以下、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態は、ベース部10に備えられた電動機2の回転運動を可動部5に設けられた回転部8に伝達する伝達機構7を、伸縮リンク機構によって構成したものである。
図1は、本発明の第1実施形態である多自由度移動体1の外観を表す斜視図である。図において、1は多自由度移動体、2は電動機、3は動作アーム、4は従属アーム、5は可動部、7は伝達機構、10はベース部となっている。
図2は、多自由度移動体1の電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。図において、6は複数自由度を有する回転ジョイント(以下適宜「複数回転ジョイント」と称する)、8は回転部、11は制御器、12は電動機制御器、13は多軸制御器、14は電動機回転検出器、17は保持部、21は減速器である。電動機2は、4つの電動機2a,2b,2c,2dで構成される。電動機2a,2b,2cは、動作アーム3a,3b,3cを動作させることにより、従属アーム4a,4b,4cを介して可動部5を並進移動させる。電動機2dは、伝達機構7を介し、可動部5に設けられた回転部8を回転させる。なお、電動機2a,2b,2cが、請求項1に記載の第1電動機を構成し、電動機2dが、請求項2に記載の第2電動機を構成する。
図3は、伝達機構7の全体構成を表す概略図であり、図3(a)は伝達機構7が伸びた状態、図3(b)は伝達機構7が縮んだ状態で回転している様子を示す。図3の上部には図示されていない電動機2dがあり、伝達機構7は、図3の可動部5以外の全体が回転する様に、可動部5及び図示されていないベース部10に対し、複数回転ジョイント6(図3では図示省略。図2参照)を介して接続されている。伝達機構7は、2つのリンク部材27,27がその長手方向中間位置において単一自由度を有する回転ジョイント16(以下適宜「単一回転ジョイント」と称する)により相互に回転可能に接合されたX字状のリンク機構要素18を複数備えており、これら複数のリンク機構要素18が単一回転ジョイント16により直線状に連なって接合されることにより、各リンク機構要素18におけるリンク部材27,27同士の開閉動作によりリンク機構の全長が伸縮する、いわゆるマジックハンド状の形態である伸縮リンク機構として構成されている。なお、図3では一部の単一回転ジョイント16のみ図示しているが、伝達機構7の全体にわたってリンク部材27同士の接合に単一回転ジョイント16が用いられている。また、伝達機構7を構成するリンク部材及び単一回転ジョイント16は、カーボン製である。
伝達機構7は、リンク27を単一回転ジョイント16で繋いでいるので、1つの回転自由度を有している。電動機2dの回転運動を伝えるために、可動部5及び図示されていないベース部10に対し、複数回転ジョイント6を介して接続されている。こうして、この伝達機構7は複数の回転自由度を有している。
多自由度移動体1の可動部5は、3次元空間を並進移動できる構成になっている。可動部5の3次元の動作は、電動機2a,2b,2cの動作により動作アーム3a,3b,3cが動作し、さらに、従属アーム4a,4b,4cが動作することによって決定される。また、可動部5には、回転部8が設けられており、回転部8は図3に示すように電動機2dの動作が伝達機構7を介して伝わることにより回転動作する。
制御器11は、これらの動作を制御する。多軸制御器13は、電動機2a,2b,2cの回転運動により可動部5が3次元空間を並進移動できるように座標変換を行い、電動機制御器12a,12b,12cに動作指令を送る。電動機制御器12a,12b,12cは、電動機2a,2b,2cを動作させ、電動機回転検出器14a,14b,14cの検出値を元にフィードバック制御を行う。電動機回転検出器14a,14b,14cは通常、電動機2a,2b,2cに備えられている。電動機2dも同様に、多軸制御器13から送られた動作指令に従って動作し、電動機制御器12dが電動機回転検出器14dの検出値を元にフィードバック制御を行う。
以上のように構成されているので、3つの電動機2a,2b,2cの回転運動によって可動部5が3次元空間を並進移動できる。この際に、ベース部10と可動部5の距離が変動するが、上述した伸縮リンク機構として構成された伝達機構7が変形して伸縮でき、且つ、その両端が複数回転ジョイント6で接合されているので、伝達機構7は電動機2dの回転運動を伝達して可動部5の回転部8を回転できる。なお、回転部8には吸着器等が付加されており、保持部17として、搬送物を吸着し保持できる。これにより、可動部5を移動し、回転角度を変えて吸着した搬送物を別の場所に置くことができる。
なお、図29に示す従来の空間で要素を運動させて位置決めするための装置では、回転運動を伝えるために、ロッドシステム314とベース部材301及び可動部材308との接合に、2自由度の回転ジョイントであるユニバーサルジョイントを用いると考えられるが、本実施形態でも上述した複数自由度の回転ジョイント6の代わりに、単一回転ジョイント16に回転自由度をもう1つ加えた2自由度のユニバーサルジョイントを用いても良い。
図4は、この場合の伝達機構7の全体構成を表す概略図である。図4では、伝達機構7の両端に、リンク27同士を接合する単一回転ジョイント16による回転自由度とは異方向の回転自由度を付加する単一回転ジョイント16′を加えることにより、ユニバーサルジョイント6′としている。このようにユニバーサルジョイント6′を用いた場合でも、可動部5は3次元空間を滑らかに自由に移動できる。また、リンク27と回転ジョイント16に回転自由度があるので、このようにして簡単に回転自由度を追加できる。
以上説明したように、本実施形態においては、ベース部10と可動部5との間の距離が変化しても、伸縮リンク機構により構成された伝達機構7が伸縮して距離の変化に対応しつつ、電動機2dの回転運動を回転部8に伝達することができる。そして、伝達機構7は軽量なカーボン製であるため、伝達機構7を軽量化でき、その結果、可動部5を高速動作させることが可能な多自由度移動体1を実現できる。また、図29に示す従来技術だと重量があるロッドシステム314を含む機構を動作させるために電動機303の容量を上げざるを得ないが、本実施形態では伝達機構7を軽量化できるため、電動機2の容量は小さくて済み、電動機2や制御器11の価格を安価にできる効果もある。さらに、多自由度移動体1の可動部5とベース部10の距離は様々であるため、多自由度移動体1の設計やその操作段階で間違いが発生すると、上述した従来技術のようなボールベアリングを用いて並進方向に伸縮できる機構の場合、可動部5とベース部10の距離が想定以上に長すぎる位置になるとボールベアリングが抜け落ちて伸縮機能の支障が残り、部品交換する必要があるというような問題もあり、またパラレルメカニズムを用いた多自由度移動体1の可動部の動作範囲の把握は、シリアルメカニズムに比べ算出が難しいので、設計ミスや仕様変更に対して、可動部5とベース部10の距離に応じたボールベアリングを用いて並進方向に伸縮できる機構の入手・納品までの期間が掛かる問題もあった。これに対し、本実施形態によれば、設計ミスや仕様変更に対しても、伸縮できる機構を簡単に製作できるとともに、ボールベアリング等が抜け落ちることが無く、上記問題が生じることがない。
また、本実施形態では特に、可動部5が3次元空間を移動することができ、可動部5を高速動作させることが可能な4自由度の多自由度移動体1を実現できる。
なお、上記第1実施形態では可動部5が3次元空間を移動できる多自由度移動体について説明したが、可動部5が2次元平面を移動できる多自由度移動体に本発明を適用してもよい。図5は、本変形例の多自由度移動体1Aの外観を表す正面図である。図において、前述の図1と同様の部分については同符号を付して説明を適宜省略する。多自由度移動体1Aは、電動機2、動作アーム3、従属アーム4、可動部5、伝達機構7、回転部8、ベース部10、単一回転ジョイント16、保持部17を備えている。
図6は、多自由度移動体1Aの電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。図において、前述の図2と同様の部分については同符号を付して説明を適宜省略する。本変形例の電動機2は、3つの電動機2a,2b,2dで構成され、電動機2a,2bは動作アーム3a,3bを動作させることにより、従属アーム4a,4bを介して可動部5を並進移動させる。電動機2dは、伝達機構7を介し、可動部5に設けられた回転部8を回転させる。
本変形例が上述の第1実施形態と異なるのは、電動機2、動作アーム3、従属アーム4が減り、可動部5が2次元平面を移動する形態になっている点である。このため、第1実施形態と異なり、従属アーム4と、動作アーム3、可動部5は単一回転ジョイント16で接合されている。伝達機構7の構造は上述の第1実施形態と同じであり、また伝達機構7は電動機2dの回転運動を回転部8に伝えるために、ベース部10と可動部5とに対して複数回転ジョイント6で接合されている。
可動部5の2次元平面の動作は、電動機2a,2bの動作により動作アーム3a,3bが動作し、さらに、従属アーム4a,4bが動作することによって決定される。また、可動部5には、回転部8が設けられており、第1実施形態と同様に回転部8は電動機2dの動作が伝達機構7を介して伝わることにより回転動作する。
制御器11は、これらの動作を制御する。多軸制御器13は、電動機2a,2bの回転運動により可動部5が2次元平面を並進移動できるように座標変換を行い、電動機制御器12a,12bに動作指令を送る。電動機制御器12a,12bは、電動機2a,2bを動作させ、電動機回転検出器14a,14bの検出値を元にフィードバック制御を行う。電動機回転検出器14a,14bは通常、電動機2a,2bに備えられている。電動機2dも同様に、多軸制御器13から送られた動作指令に従って動作し、電動機制御器12dが電動機回転検出器14dの検出値を元にフィードバック制御を行う。
以上のように構成されているので、2つの電動機2a,2bの回転運動によって可動部5が2次元平面を並進移動できる。この際に、ベース部10と可動部5の距離が変動するが、上述した伸縮リンク機構として構成された伝達機構7が変形して伸縮でき、且つ、その両端が複数回転ジョイント6で接合されているので、伝達機構7は電動機2dの回転運動を伝達して可動部5の回転部6を回転できる。これにより、可動部5が2次元平面を移動することができ、可動部5を高速動作させることが可能な3自由度の多自由度移動体1Aを実現できる。
なお、上記第1実施形態及び変形例では、図1及び図5に示すようにベース部10の下側で可動部5が動作するように設置したが、ベース部10や可動部5の向きは逆や横になっても良い。
[第2実施形態]
第2実施形態は、ベース部110に固定支持されたアクチュエータアーム120に沿って移動するスライダ122を電動機102の動作によって移動させるスライダ駆動機構123を、伸縮リンク機構によって構成したものである。
図7は、本発明の第2実施形態である多自由度移動体100の外観を表す斜視図である。図において、120はアクチュエータアーム、122はスライダ、104は従属アーム、105は可動部である。アクチュエータアーム120は、全体構成を可視化するため図示を省略したベース部110によって固定支持されている。このアクチュエータアーム120は、電動機102によってスライダ122をアームに沿って動作させる。なお、アクチュエータアーム120は、請求項5記載の動作アームを構成する。
図8は、多自由度移動体100の電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。図において、106は複数自由度を有する回転ジョイント(以下適宜「複数回転ジョイント」と称する)、108は回転部、111は制御器、112は電動機制御器、113は多軸制御器、114は電動機回転検出器、117は保持部、121は減速器である。電動機102は、4つの電動機102a,102b,102c,102dで構成される。電動機102a,102b,102cは、アクチュエータアーム120a,120b,120cに設けられたスライダ122a,122b,122cを移動させることにより、従属アーム104a,104b,104cを介して可動部105を並進移動させる。
なお、図7では図示を省略したが、ベース部110に、前述の第1実施形態の伝達機構7と同様の構成である伝達機構107を介し、可動部105に設けられた回転部108を回転させるための電動機102dを設けてもよい。また、電動機102a,102b,102cが、請求項1に記載の第1電動機を構成する。
図9は、アクチュエータアーム120内に設けられたスライダ駆動機構123の概略構成図、図10は、このスライダ駆動機構123の駆動系の概略構成図である。図において、116は単一自由度を有する回転ジョイント(以下適宜「単一回転ジョイント」と称する)、126はアクチュエータアーム120に設けられたスリット状の直動案内(図7も参照)、127はリンク部材、124はボールねじ、125はボールねじ可動部である。図に示すように、スライダ駆動機構123は、2つのリンク部材127,127がその長手方向中間位置において単一回転ジョイント116により相互に回転可能に接合されたX字状のリンク機構要素118を複数備えており、これら複数のリンク機構要素118が単一回転ジョイント116により直線状に連なって接合されることにより、各リンク機構要素118におけるリンク部材127,127同士の開閉動作によりリンク機構の全長が伸縮する、いわゆるマジックハンド状の形態である伸縮リンク機構として構成されている。このスライダ駆動機構123の端部にはスライダ122が設けられており、当該スライダ122は直動案内126によってアクチュエータアーム120に沿った並進方向のみに移動できる。
リンク機構要素118におけるリンク部材127,127同士の開閉動作は、電動機102によって行われる。電動機102が減速器121を介してボールねじ124を回転させると、ボールねじ可動部125が並進方向に動作する。ボールねじ可動部125は図10に図示していない直動案内によって支持されている。ボールねじ可動部125a,125bは一方が逆ネジ(ナット)になっており、ボールねじ124の回転によって、正逆異なった方向に、ボールねじ可動部125aと125bが近寄ったり、遠ざかったりする。これらのボールねじ可動部125a,125bにそれぞれリンク部材127が接続されているので、ボールねじ可動部125a,125bの並進動作によってリンク部材127,127同士の開閉動作が行われ、スライダ駆動機構123が伸縮し、スライダ122が並進方向に可動する構造となっている。
多自由度移動体100の可動部105は、3次元空間を並進移動できる構成になっている。それぞれのアクチュエータアーム120において、それぞれの電動機102で図9,10に示す構造のスライダ駆動機構123が伸縮することで、スライダ122が並進方向に可動する。可動部105の3次元の動作は、電動機102a,102b,102cの動作によりアクチュエータアーム120a,120b,120cのスライダ122a,122b,122cが移動し、従属アーム104a,104b,104cが動作することによって決定される。
制御器111はこれらの動作を制御する。多軸制御器113は、電動機102a,102b,102cの回転運動により、可動部105が3次元空間を並進移動できるように座標変換を行い、電動機制御器112a,112b,112cに動作指令を送る。電動機制御器112a,112b,112cは電動機102a,102b,102cを動作させ、電動機回転検出器114a,114b,114cの検出値を元にフィードバック制御を行う。電動機回転検出器114a,114b,114cは通常、電動機102a,102b,102cに備えられている。
次に、スライダ駆動機構123を上述した伸縮リンク機構として構成した効果について説明する。図11は、リンク機構要素118の数が異なる2種類のスライダ駆動機構123A,123Bの概略構成図、図12は、これら2種類のスライダ駆動機構123A,123Bによるスライダ122の出力速度の違いを示す図である。なお、図11はスライダ駆動機構123の異なる駆動系の例を示す図でもある。この内容については後述する。
図11に示す構成は、いずれも1つの電動機102でスライダ駆動機構123を伸縮させスライダ122を並進動作させるものである。図11(a)に示すスライダ駆動機構123Aは2つのリンク機構要素118を備えており、図11(b)に示すスライダ駆動機構123Bは4つのリンク機構要素118を備えており、スライダ駆動機構123Bはスライダ駆動機構123Aよりもリンク機構要素数が多い。この場合、スライダ駆動機構123A,123Bの電動機102に対し同じ指令速度を与えた場合、スライダ122の出力速度は、スライダ駆動機構123Bの方がスライダ駆動機構123Aよりも速くなる。
図12(a)は、スライダ駆動機構123A,123Bの電動機102に与えた同一の指令速度を示している。図12(b)は、図11(a)に示すスライダ駆動機構123Aの場合のスライダ122の速度、図12(c)は、図11(b)に示すスライダ駆動機構123Bの場合のスライダ122の速度である。リンク機構要素118の数が多い方がスライダ122の速度が速くなることがわかる。そして、可動部105の移動速度は、スライダ122の速度に依存するので、スライダ駆動機構123を複数のリンク機構要素118を備えた伸縮リンク機構として構成することにより、スライダ122の速度を速め、高速に可動部105を移動できる。
以上説明したように、本実施形態の多自由度移動体100においては、3つの電動機102a,102b,102cの回転運動によって、伸縮リンク機構により構成されたスライダ駆動機構123が伸縮し、スライダ122をアクチュエータアーム120に沿って高速に移動させることができる。その結果、可動部105を高速移動することができる。また、スライダ駆動機構123を伸縮リンク機構とすることで、トルクや駆動力を減衰させることなくスライダ122の移動を増速させることができる。したがって、電動機102a,102b,102cとして従来のモータを用いても、駆動出力をさらに高速化し、可動部105を高速移動することができる。その結果、高価な特殊モータを用いることなく、モータの高トルク化と高速化を両立することができ、産業用機械に要望されるサイクルタイムを向上する効率化のニーズに応えることができる。
また、本実施形態では特に、可動部105が3次元空間を移動することができ、可動部105を高速動作させることが可能な4自由度の多自由度移動体100を実現できる。
なお、上記第2実施形態では、スライダ駆動機構123の駆動系を、図10に示すようにボールねじ124及びボールねじ可動部125a,125bで構成したが、これに限らず、図11に示す構成としても良い。図11に示す駆動系の構成は、ギア131、略くの字形状のアーム部材132、及び直動案内等による並進方向の拘束を受けた部品133からなる伝達経路を2つ備えており、部品133は単一回転ジョイント116を介してアーム部材132及びリンク部材127に接合されている。電動機102により一方側のギア131が回転されると、その回転駆動が2つの伝達経路を経てスライダ駆動機構123に伝達され、リンク機構要素118におけるリンク部材127,127同士の開閉動作が行われる構成になっている。これにより、スライダ駆動機構123が伸縮し、スライダ122を並進動作させる。なお、スライダ122の駆動方法は上記の2つの例以外でも良い。
また、上記第2実施形態では、アクチュエータアーム120の内部構成として、スライダ駆動機構123をスライダ122の電動機102側である一方側にのみ設ける構造としたが、剛性向上のために、電動機102と反対側に追加して設けても良い。図13は、本変形例のアクチュエータアーム120の内部構成を示す概略図である。図13において、固定部X側に電動機102を設け、固定部X側のスライダ駆動機構123が縮み、固定部Y側のスライダ駆動機構123が伸びると、スライダ122が固定部X側に動作する。反対に、固定部X側のスライダ駆動機構123が伸び、固定部Y側のスライダ駆動機構123が縮むと、スライダ122が固定部Y側に動作する。
さらに、電動機102を増やすことにより、トルクを向上させて、可動部105の保持部117の付加質量・過般重量の増大に対応できる。図14は、本変形例のアクチュエータアーム120の内部構成を示す概略図である。図14(a)は、図13に示した1つの電動機102で駆動する場合を示している。図14(b)は、固定部X,Y側の双方に電動機102を設け、計2つの電動機102で駆動する場合を示している。図14(c)は、固定部X側に2つの電動機102を設け、2つの電動機102を同期してリンク部材127の開閉を行う場合を示している。図14(d)は、固定部X,Y側の双方に電動機102を2つずつ設け、計4つの電動機102を同期してリンク部材127の開閉を行う場合を示している。なお、電動機102の配置や数はこれらの例に限定されない。
また、上記第2実施形態では可動部105が3次元空間を移動できる多自由度移動体について説明したが、可動部105が2次元平面を移動できる多自由度移動体に本発明を適用してもよい。図15は、本変形例の多自由度移動体100Aの外観を表す正面図である。図において、前述の図7と同様の部分については同符号を付して説明を適宜省略する。多自由度移動体100Aは、アクチュエータアーム120、スライダ122、及び可動部105を備えている。
図16は、多自由度移動体100Aの電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。図において、前述の図8と同様の部分については同符号を付して説明を適宜省略する。本変形例の電動機102は、2つの電動機102a,102bで構成され、電動機102a,102bはアクチュエータアーム120a,120bのスライダ122a,122bを動作させることにより、従属アーム104a,104bを介して可動部105を並進移動させる。アクチュエータアーム120は、上述した第2実施形態と同様の構造になっている。
本変形例が上述の第2実施形態と異なるのは、電動機102、アクチュエータアーム120、従属アーム104が減り、可動部105が2次元平面を移動する形態になっている点である。このため、第2実施形態と異なり、従属アーム104と、スライダ122及び可動部105とは、単一回転ジョイント116でそれぞれ接合されている。
可動部105の2次元平面の動作は、電動機102a,102bの動作によりアクチュエータアーム120a,120bのスライダ122a,122bが並進方向に動作して、従属アーム104a,104bが動作することによって決定される。
制御器111は、これらの動作を制御する。多軸制御器113は、電動機102a,102bの回転運動により可動部105が2次元平面を並進移動できるように座標変換を行い、電動機制御器112a,112bに動作指令を送る。電動機制御器112a,112bは、電動機102a,102bを動作させ、電動機回転検出器114a,114bの検出値を元にフィードバック制御を行う。電動機回転検出器114a,114bは通常、電動機102a,102bに備えられている。
以上のように構成されているので、2つの電動機102a,102bの回転運動によって可動部105が2次元平面を並進移動できる。これにより、可動部105が2次元平面を移動することができ、可動部105を高速動作させることが可能な2自由度の多自由度移動体100Aを実現できる。
図17は、本実施形態のさらに他の変形例を示す多自由度移動体100Bの外観を表す正面図、図18は、駆動変換部129の概略構成図である。図において、前述の図15と同様の部分については同符号を付して説明を適宜省略する。多自由度移動体100Bは、ベース部110と、一端がベース部110と単一回転ジョイント116によって接合され、他端が従属アーム104と接合された回動アーム140と、スライダ122を備え、回動アーム140とアクチュエータアーム120とを2つの並進自由度と1つの回転自由度を有するように接合する駆動変換部141とを備えている。また、可動部105には回転部108が設けられ、この回転部108は可動部105に設けられた電動機102eによって回転動作する。
駆動変換部141は、アクチュエータアーム120に沿って並進移動するスライダ122と、回動アーム141に沿って並進移動する第2スライダ142と、これらスライダ122,142を回転可能に接合する単一回転ジョイント116とを備えている。よって、アクチュエータアーム120のスライダ122の動作によって、回動アーム140はベース部110側の回転ジョイント116を支点に回動する。
このような構成により、電動機102の動作によりアクチュエータアーム120のスライダ122が駆動されると、駆動変換部141を介して回動アーム140が動作すると共に、従属アーム104がこれに従って動作し、可動部105は2次元平面を高速に並進移動できる。なお、上述の第2実施形態と同様に、ベース部110に、伝達機構107を介し可動部105に設けられた回転部108を回転させるための電動機102dを設けてもよい。
なお、アクチュエータアーム120のスライダ122の動作によって、駆動変換部141を介して回動アーム140を操作する形態は、図7に示す多自由度移動体100のように、可動部105が3次元空間を移動する用途にも利用できる。また、回動アーム140と従属アーム104によって可動部105を動作する形態は、図29に示すように、従来型の多自由度移動体に似た形態であるので、2次元もしくは3次元を可動部105が移動できる形態であっても、制御器111が行う座標変換は、従来の計算方法を利用することができる。さらに、上記変形例で示した回転部108を電動機102eで回転する形態は、前述した第1実施形態や第2実施形態にも適用できる。可動部105の3次元もしくは2次元の動作に加えて、回転自由度を追加することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、従属アームを第1の従属アームと第2の従属アームとで構成し、動作アーム、第1の従属アーム及び第2の従属アームを、伸縮リンク機構によって構成したものである。
図19は、本発明の第3実施形態である多自由度移動体200の外観を表す斜視図である。図20は、多自由度移動体200の電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。
図19に示すように、本実施形態に係る多自由度移動体200は、電動機202と、動作アーム203と、第1の従属アーム204と、第2の従属アーム205と、可動部207と、中継部209と、ベース部210とを有する。
図20に示すように、本実施形態に係る多自由度移動体200は、ベース部210に備えられた3つの電動機202a,202b,202cは、3つの減速器221a,221b,221cを介して、3つの動作アーム203a,203b,203cを駆動する。動作アーム203a,203b,203cは単一自由度を有する回転ジョイント216(以下適宜「単一回転ジョイント」と称する)によって回転1自由度を持つ。
動作アーム203a,203b,203cは、単一回転ジョイント216の反対側の複数自由度を有する回転ジョイント(以下適宜「複数回転ジョイント」と称する)206を介して、それぞれ第1の従属アーム204a,204b,204cに接合されている。第1の従属アーム204a,204b,204cはさらに、複数回転ジョイント206を介して、それぞれ第2の従属アーム205a,205b,205cに接合されている。第2の従属アーム205a,205b,205cはさらに、複数回転ジョイント206を介して、1つの可動部207に接合されている。また、第1の従属アーム204a,204b,204cは、単一回転ジョイント216を介して、1つの中継部206にも接合されている。これにより、第1の従属アーム204a,204b,204cは、その長手方向中間位置において相互に回転可能に接合されたリンク機構要素218を構成している。そして、動作アーム203、第1の従属アーム204及び第2の従属アーム205は、上記リンク機構要素218を1つ備え、当該リンク機構要素218におけるリンク部材としての第1の従属アーム204a,204b,204c同士の開閉動作によりリンク機構の全長が伸縮する、いわゆるマジックハンド状の形態である伸縮リンク機構として構成されている。
電動機202a,202b,202cは、検出部214a,214b,214cをそれぞれ備えている。制御器212a,212b,212cは、検出部214a,214b,214cからの出力を検出しながら電動機202a,202b,202cを駆動する。多軸制御器213は、可動部207を制御するために電動機202a,202b,202cに指令を与えている。多軸制御器213は、制御器212a,212b,212cから検出部214a,214b,214cから得た位置情報などを受け取っている。
なお、3つの電動機202a,202b,202cから第2の従属アーム205a,5b,5cまでの各アーム機構は、図19に示すように、ベース部210を中心に円周方向に3分割・120度間隔で取り付けられている。また、第1の従属アーム204a,204b,204cは、互いに機械的干渉が無いように、中継部209で交差している。
次に、図19、図20を参照しつつ、本実施形態に係る多自由度移動体200の動作について説明する。多自由度移動体200の可動部207は、3つの電動機202(202a,202b,202c)によって動作する。可動部207が、3次元空間を動作するような指令を多軸制御器213に設定すると、多軸制御器213は、可動部207が指令通りに動作するための電動機202a,202b,202cへの指令に変換する。多軸制御器213が変換された指令を制御器212a,212b,212cに与えると、制御器212a,212b,212cは電動機202a,202b,202cを駆動する。また、制御器212a,212b,212cは、検出部214a,214b,214cから得た電動機202a,202b,202cの位置情報を得る。制御器212a,212b,212cは、電動機202a,202b,202cを駆動する指令と位置情報との差を無くすように制御する。電動機202a,202b,202cは、このような制御に基づき駆動することにより、減速器221a,221b,221cを介して、3つの動作アーム203a,203b,203cを駆動する。動作アーム203a,203b,203cが駆動することにより、第1の従属アーム204a,204b,204cと第2の従属アーム205a,205b,205cが動作し、可動部207が多軸制御器213に設定された指令通りに動作する。
さらに、図21、図22を参照しつつ、本実施形態に係る多自由度移動体200の特徴について説明する。図21は、本実施形態に係る多自由度移動体200及び従来の多自由度移動体の簡易的な動作図、図22は、同実施形態に係る多自由度移動体200及び従来の多自由度移動体の動作時の位置と速度の関係図である。なお、図21は、特徴の説明を簡単化するために、本実施形態および従来の装置を2次元平面を移動する形態に置き換えており、2次元的に図を記載している。
図21(a)及び図21(c)は、本実施形態に係る多自由度移動体200の形態である(以下「形態A」と称する)。図21(b)及び図21(d)は、従来の多自由度移動体の形態である(以下「形態B」と称する)。なお、形態Bの動作アーム203と第2の従属アーム205は、図29のリンク手段305に相当する。
図21では、形態Aと形態Bについて動作アーム203を同じ量(角度)動作させている。図に示すように、形態Aの動作アーム203の位置的な移動量(角度)をPMa、速度(角速度)をVMa、形態Bの動作アーム3の位置的な移動量(角度)をPMb、速度(角速度)をVMbとすると、形態Aと形態Bで全く同じように動作アーム3を動作させているので、PMa=PMb、VMa=VMbである。
図22は、形態Aと形態Bにおいてt1からt2の時間変化の間に図21に示す動作を行った際の動作アーム203の角度、角速度と、可動部207の位置、速度を示している。図22(a)は、形態Aと形態Bの動作アーム203の角度を示しており、両者は一致している(PMa=PMb)。図4(b)は、形態Aと形態Bの動作アーム203の角角度を示しており、両者は一致している(VMa=VMb)。図22(c)は、形態Aと形態Bの可動部7の位置を示しており、形態Aの移動量(位置)PEAと形態Bの移動量(位置)PEBは異なり、PEA>PEBである。図22(d)は、形態Aと形態Bの可動部7の速度を示しており、形態Aの速度の最大値VEAと形態Bの速度の最大値VEBは異なり、VEA>VEBである。
このように、同じ動作アーム203の角度、角速度を与えたとき、形態Aは形態Bに比べ、可動部207の位置、速度が大きくなる。図21に示す構成では、図22に示すように、可動部207の形態Aの位置(移動量)PEAは形態Bの移動量PEBの約1.7倍弱、形態Aの最大速度VEAは形態Bの最大速度VEBの約1.8倍となっている。以上のように、同一の動作アーム203の動作を行っても、本実施形態に係る多自由度移動体200(形態A)は、従来の多自由度移動体(形態B)に比べ、可動部207の位置、速度が大きくなる特徴がある。
以上説明したように、本実施形態に係る多自由度移動体200は、動作アーム203a,203b,203cと、第1の従属アーム204a,204b,204c及び第2の従属アーム205a,205b,205cとが伸縮リンク機構として構成されることにより、可動部207が3次元空間を移動でき、且つ、従来の多自由度移動体に比べ、トルクや駆動力を減衰させることなく、可動部207の移動を増速させることができる。したがって、電動機202として従来のモータを用いても、駆動出力をさらに高速化し、可動部207を高速移動することができる。その結果、高価な特殊モータを用いることなく、モータの高トルク化と高速化を両立することができ、産業用機械に要望されるサイクルタイムを向上する効率化のニーズに応えることができる。
なお、上記本発明の第3実施形態においては設けなかったが、可動部207に保持対象物を回転させるための回転部208を設けてもよい。図23は、本変形例に係る多自由度移動体200Aの外観の一部を拡大した部分拡大図、図24は、多自由度移動体200Aの電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。これらの図において、前述の図19及び図20と同様の部分には同符号を付す。
本変形例の多自由度移動体200Aの基本構成は、上述した第3実施形態に係る多自由度移動体200と同様であるが、可動部207に付属する回転部208、保持部217、回転部208を駆動するための電動機202e、減速器221e、電動機202eに付属する検出部214eを有する点で、多自由度移動体200と異なり、他の構成は同様である。従って、以下では、説明の便宜上、重複説明を適宜省略し、上述の第3実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
多自由度移動体200Aは、可動部207に付属する保持部217にて対象物を保持し、移動先に対象物を搬送できる。このとき、可動部207に付属する回転部208は対象物の傾きを補正して移動先に整列できる。多自由度移動体200Aは、3次元空間を移動できるため、回転部208を追加することにより、対象物をXYZθの自由度で搬送できる。電動機202eは、減速器221eを介して回転部208を回転させる。図24に示すように、制御器212eは、多軸制御器213に設定した動作の指令に従い、電動機202eを駆動する。このとき制御器212eは、検出部214eで得た電動機202eの位置情報を参照し、指令通りに電動機202eが動作するように制御する。その結果、本変形例に係る多自由度移動体200Aは、3次元空間での移動に加え、可動部207に回転θの自由度を備えることができる。
以上説明した変形例に係る多自由度移動体200Aによれば、保持部217を回転させる回転部208を有することにより、上述した第3実施形態に係る多自由度移動体200が奏する作用・効果に加えて更に、可動部207に回転θの自由度を備えることができる。
次に、図25、図26を参照しつつ、本発明の第3実施形態の他の変形例に係る多自由度移動体200Bについて説明する。図25は、本変形例に係る多自由度移動体200Bの外観を表す斜視図、図26は、多自由度移動体200Bの電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。これらの図において、前述の図19及び図20と同様の部分には同符号を付す。
本変形例の多自由度移動体200Bは、位置補正部230を有する点で、上述した第3実施形態に係る多自由度移動体200と異なり、他の構成は同様である。従って、以下では、説明の便宜上、重複説明を適宜省略し、第3実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
図25に示すように、多自由度移動体200Bの可動部207を動作させ、その軌跡点を重要視すると、多自由度移動体200Bの設置、重力、剛性、機構特性などの影響でずれが生じる場合がある。図25(a)は、可動部207が直線移動する場合を示す。図25(b)は、直線移動する可動部207の軌跡点が理想状態(点線上)ではなく、ずれεを生じた場合を示す。図25(c)は、理想状態とのずれεは3次元的にεx,εy,εzの成分であることを示す。ずれεは、一般に再現性があり同条件では同じずれεが発生するので、理想状態とのずれを3次元的にεx,εy,εzとして、予め把握しておけば、多軸制御器213に設定する可動部207の指令を、各点のずれεx,εy,εzを補正するように加工して電動機202を動作するようにすれば、可動部207の軌跡点は理想状態となる。
図26に示すように、位置補正部230に予め把握した各点のずれεx,εy,εzを複数記憶しておき、各補正点間はそのずれを補間して近似する。ずれの補正は、各点で予め把握したずれεx,εy,εz無くすように元の指令を加工することで行われる。多自由度移動体200Bの可動部207は3次元を動作できるので、補正した指令を座標変換して、各制御器212に与えれば、可動部207の軌跡点が理想状態になるように各電動機202が動作する。
以上説明した変形例に係る多自由度移動体200Bによれば、位置補正部230に予め把握した各点のずれεx,εy,εzを複数記憶しておけば、多自由度移動体200Bは可動部207の軌跡点が理想状態になるように動作できる。
次に、図27、図28を参照しつつ、本発明の第3実施形態のさらに他の変形例に係る多自由度移動体200Cについて説明する。図27は、本変形例に係る多自由度移動体200Cの外観を表す斜視図、図28は、多自由度移動体200Cの電気系統を含む全体構成を概念的に表す概念構成図である。これらの図において、前述の図19及び図20と同様の部分には同符号を付す。
本変形例に係る多自由度移動体200Cは、可動部207を動作させるための、電動機202、動作アーム203、第1の従属アーム204、第2の従属アーム205、制御器212、検出部214、減速器221をそれぞれ4つ備える点で、上述した第3実施形態に係る多自由度移動体200と異なっており、その他の構成は同様である。従って、以下では、説明の便宜上、重複説明を適宜省略し、第3実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
図27に示すように、多自由度移動体200Cは、動作アーム203、第1の従属アーム204、第2の従属アーム205をそれぞれ4つ備えている。このため、図28に示すように、ベース部210に備えられた4つの電動機202a,202b,202c,202dは、4つの減速器221a,221b,221c,221dを介して、4つの動作アーム203a,203b,203c,203dを駆動する。動作アーム203a,203b,203c,203dは、単一回転ジョイント216によって回転1自由度を持つ。動作アーム203a,203b,203c,203dは、単一回転ジョイント216の反対側の複数回転ジョイント206を介して、それぞれ第1の従属アーム204a,204b,204c,204dに接合されている。第1の従属アーム204a,204b,204c,204dはさらに、複数回転ジョイント206を介して、それぞれ第2の従属アーム205a,205b,205c,205dに接合されている。第2の従属アーム205a,205b,205c,205dはさらに、複数回転ジョイント206を介して、1つの可動部207に接合されている。
第1の従属アーム204a,204b,204c,204dは、単一回転ジョイント216を介して、中継部206にも接合されている。中継部206は、第1中継部206Uと第2中継部206Dとにより一体的に構成されており、対向する第1の従属アーム204b,204dは第1中継部206Uに接合され、対向する第1の従属アーム204a,204cは第2中継部206Dに接合されている。これにより、第1の従属アーム204a,204b,204c,204dは、その長手方向中間位置において相互に回転可能に接合されたリンク機構要素218Cを構成している。そして、動作アーム203、第1の従属アーム204及び第2の従属アーム205は、上記リンク機構要素218Cを1つ備え、当該リンク機構要素218Cにおけるリンク部材としての第1の従属アーム204a,204b,204c,204d同士の開閉動作によりリンク機構の全長が伸縮する、いわゆるマジックハンド状の形態である伸縮リンク機構として構成されている。
電動機202a,202b,202c,202dは、検出部214a,214b,214c,214dをそれぞれ備えている。制御器212a,212b,212c,212dは、検出部214a,214b,214c,214dからの出力を検出しながら電動機202a,202b,202c,202dを駆動する。多軸制御器213は、可動部207を制御するために電動機202a,202b,202c,202dに指令を与えている。多軸制御器213は、制御器212a,212b,212c,212dから検出部214a,214b,214c,214dから得た位置情報などを受け取っている。なお、4つの電動機202a,202b,202c,202dから第2の従属アーム205a,205b,205c,205dまでの各アーム機構は、ベース部210を中心に円周方向に4分割・90度間隔で取り付けられている。また、第1の従属アーム204a,204b,204c,204dは、機械的干渉が無いように中継部9で交差している。対向する第1の従属アーム204a,204cと第2中継部209Dは同じ箇所に単一回転ジョイント216を備え、対向する第1の従属アーム204b,204dと第1中継部209Uは同じ箇所に単一回転ジョイント216を備えている。
以上説明したように、本変形例に係る多自由度移動体200Cは、動作アーム203a,203b,203c,203dと、第1の従属アーム204a,204b,204c,204d及び第2の従属アーム205a,205b,205c,205dとを、伸縮リンク機構として構成することにより、可動部207を3次元に、高速に移動できる。さらに、4つの電動機202a,202b,202c,202dと4本の動作アーム203、第1の従属アーム204、第2の従属アーム205を備えているので、もう1自由度の動作が可能となり、可動部207に回転θの自由度を備えることができる。
また、本変形例に係る多自由度移動体200Cは、電動機202a,202c、動作アーム203a,203c、第1の従属アーム204a,204c、第2の従属アーム205a,205cがそれぞれ対向し、且つ、電動機202b,202d、動作アーム203b,203d、第1の従属アーム204b,204d、第2の従属アーム205b,205dがそれぞれ対向しているので、上述した第3実施形態に係る多自由度移動体200より、組み立てが簡単になる。
なお、図19に示す第3実施形態や図27に示す変形例では、第1の従属アーム204と中継部209とを1段で構成した(すなわちリンク機構要素218,218Cが単一である)が、動作アーム203と第2の従属アーム205との間に、複数段の第1の従属アーム204と中継部209とを備えた構成(すなわちリンク機構要素218,218Cを複数備えた構成)としても良い。
また、図23に示す変形例では、可動部207に減速器221eと電動機202eを備えた構成としたが、これらを離間して設け、電動機202eの動力を減速器221eに伝達する別の機構を介しても良い。
また、図25に示す変形例では、軌跡点を直線で示したが、直線の組み合わせや曲線、直線と曲線の組み合わせでも良い。また、回転自由度に関する補正値を位置補正部230に記憶させ、軌跡点で補正できるようにしても良い。
以上、本発明の第1乃至第3実施形態について説明したが、いわゆる当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態から適宜変更が可能であり、また、上記実施形態と変形例による手法を適宜組み合わせて利用することも可能である。すなわち、このような変更等が施された技術であっても、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。