ある態様に係るロボットアームは、その近位端とその遠位端とを連結するユニットを備えるロボットアームであって、前記ユニットは、ベースと、前記ベースに対して所定の第1中心点を通る回動軸線である第1軸線を中心に回動可能に連結されている第1リンクと、前記ベースに取り付けられ、前記第1リンクを回転駆動する第1駆動ユニットと、前記ベースに対して前記第1中心点を通る回動軸線である第2軸線を中心に回動可能に連結されている第2リンクと、前記ベースに取り付けられ、前記第2リンクを回転駆動する第2駆動ユニットと、前記ベースに対して前記第1中心点を通る回動軸線である第3軸線を中心に回動可能に連結されている第3リンクと、前記ベースに取り付けられ、前記第3リンクを回転駆動する第3駆動ユニットと、第1連結部を介して前記第1リンクに連結されている第4リンクと、前記第1リンクに対して前記第4リンクを第4軸線を中心に回動可能に連結する前記第1連結部と、第2連結部を介して前記第2リンクに連結され、且つ第3連結部を介して前記第4リンクに連結されている第5リンクと、前記第2リンクに対して前記第5リンクを第5軸線を中心に回動可能に連結する前記第2連結部と、前記第4リンクに対して前記第5リンクを第6軸線を中心に回動可能に連結する前記第3連結部と、出力端を有し、第4連結部を介して前記第4リンクに連結され、且つ第5連結部を介して前記第3リンクに連結されている第6リンクと、前記第4リンクに対して前記第6リンクを第7軸線を中心に回動可能に連結する前記第4連結部と、前記第3リンクに対して前記第6リンクを前記第3リンクの回転駆動力を受け取り可能に前記第1中心点を通る互いに交差する2つの軸線を中心とする円周方向に回転2自由度をもって連結する前記第5連結部と、を含み、前記第1リンクは、前記第4軸線が前記第1中心点を通るように前記第1連結部を支持し、前記第2リンクは、前記第5軸線が前記第1中心点を通るように前記第2連結部を支持し、前記第4リンク及び前記第5リンクは、前記第6軸線が前記第1中心点を通るように前記第3連結部を支持する。
この構成によれば、1の駆動ユニットを動作させたときに他の駆動ユニット全体が従動しないように構成することができる。その結果、動作時の干渉を避けるために設ける空間を狭くすることができ、出力端の動作範囲を犠牲にすることなく、ロボットアームをコンパクトに構成することができる。また、上記1の駆動ユニットが他の駆動ユニットの慣性を負担しないので、上記1の駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
前記第3軸線及び前記第7軸線は、前記第1軸線及び前記第2軸線が位置する平面と交差して延び、前記第3リンクは、該平面の一方側に配置され、前記第6リンクは、該平面の他方側に配置されていてもよい。
この構成によれば、出力端の動作範囲を拡げることができる。
前記ユニットは肩ユニットであり、該肩ユニットと前記遠位端との間に配置された上腕ユニットを更に備え、前記上腕ユニットは、前記出力端に連なる上腕ベースと、前記上腕ベースに対して所定の第2中心点を通る肘第1軸線を中心に回動可能に連結されている肘第1リンクと、前記肘第1リンクを回転駆動する肘第1駆動ユニットと、前記上腕ベースに対して前記第2中心点を通る肘第2軸線を中心に回動可能に連結されている肘第2リンクと、前記肘第2リンクを回転駆動する肘第2駆動ユニットと、肘出力端を有し、肘第1連結部を介して前記肘第1リンクに連結され、且つ肘第2連結部を介して前記肘第2リンクに連結されている肘第3リンクと、前記肘第1リンクに対して前記肘第3リンクを肘第3軸線を中心に回動可能に連結する前記肘第1連結部と、前記肘第2リンクに対して前記肘第3リンクを前記肘第2リンクの回転駆動力を受け取り可能に前記第2中心点を通る互いに交差する2つの軸線を中心とする円周方向に回転2自由度をもって連結する前記肘第2連結部と、を含み、前記肘第1リンクは、前記肘第3軸線が前記第2中心点を通るように前記肘第1連結部を支持してもよい。
この構成によれば、ロボットアームの自由度を高めることができる。また、2つの駆動ユニットの駆動力によって出力端を回転2自由度を有するように動作させる機構において、1の駆動ユニットを動作させたときに他の駆動ユニット全体が従動しないように構成することができる。その結果、動作時の干渉を避けるために設ける空間を狭くすることができ、出力端の動作範囲を犠牲にすることなく、ロボットアームをコンパクトに構成することができる。また、1の駆動ユニットが他の駆動ユニットの慣性を負担しないので、1の駆動ユニットの出力を小さくすることができる。更に、上腕ユニットの回旋を肩ユニットの第3駆動ユニットの駆動力によっておこなうので、駆動ユニットが自身を回旋させるための慣性を負担せず、上腕ユニットの回旋を行う駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
前記上腕ユニットと前記遠位端との間に配置された前腕ユニットを更に備え、前記前腕ユニットは、前記肘出力端に連なる前腕ベースと、手首出力端を有し、手首連結部を介して前記前腕ベースに連結されている手首リンクと、前記前腕ベースから前記手首リンクに向かって伸延し、前記前腕ベースと前記手首リンクとを回転2自由度をもって回動可能に連結する前記手首連結部と、前記手首連結部の周りに設けられている3以上の手首可変長駆動リンクを有する手首駆動ユニットを含み、前記手首可変長駆動リンクは、近位端が前記前腕ベースに取り付けられ、遠位端が前記手首出力端に取り付けられ、発生させた駆動力により前記近位端と前記遠位端との間隔を変更可能であってもよい。
この構成によれば、ロボットアームの自由度を高めることができる。また、前腕ユニットの回旋を上腕ユニットの肘第2駆動ユニットの駆動力によっておこなうので、駆動ユニットが自身を回旋させるための慣性を負担せず、前腕ユニットの回旋を行う駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
前記第1駆動ユニット、前記第2駆動ユニット、及び前記第3駆動ユニットの少なくとも何れか1の駆動ユニットは、発生させた駆動力により両端の間隔を変更可能である可変長駆動リンクユニットと、該可変長駆動リンクユニットと前記駆動ユニットが回転駆動するリンクとを連結し、前記駆動ユニットが回転駆動するリンクの前記回動軸線に対して偏心して位置する連結軸を有する駆動力伝達部と、を有してもよい。
この構成によれば、可変長駆動リンクの伸縮動作をリンクの回動動作に適切に変換することができる。そして、減速機付きのモータを用いた場合と比較して、駆動ユニットの構成を簡素化することができ、また、コストを低減することができる。また、減速機付きのモータを用いた場合と比較して、駆動ユニットのメンテナンス作業の間隔を長くすることができる。更に、駆動ユニットをロボットアームに沿って配置することができ、関節をコンパクトにすることができる。
前記可変長駆動リンクユニットは、第1可変長駆動リンク及び第2可変長駆動リンクを含み、前記連結軸は一対設けられ、一対の前記連結軸にそれぞれ第1可変長駆動リンク及び第2可変長駆動リンクが連結され、一方の前記連結軸は、前記駆動ユニットが回転駆動するリンクの前記回動軸線に対して該リンクの一端側の部位に配置され、他方の前記連結軸は、前記駆動ユニットが回転駆動するリンクの前記回動軸線に対して該リンクの他端側の部位に配置されていてもよい。
この構成によれば、可変長駆動リンクの伸長動作時に発生させることができる力と短縮動作時に発生させることができる力とに差がある場合であっても、リンクを回転させる一方側及び他方側のモーメントをバランスよく発生させることができる。
前記駆動力伝達部は、前記ベースに固定された固定リンクと、前記固定リンクに対して固定-原動連結軸を中心に回動可能に連結され、且つ前記可変長駆動リンクユニットが前記固定-原動連結軸に対して偏心して位置する駆動リンク-原動連結軸を中心に回動可能に連結されている原動リンクと、一端側の部位が前記固定-原動連結軸に対して偏心して位置する原動-中間連結軸を中心に回動可能に連結され、他端側の部位が前記駆動ユニットが回転駆動するリンクの前記回動軸線に対して偏心して位置する中間-従動連結軸を中心に回動可能に連結されている中間リンクと、を有し、前記固定-原動連結軸と前記原動-中間連結軸との間隔の自乗は、前記固定-原動連結軸と前記駆動リンク-原動連結軸との間隔及び前記駆動ユニットが回転駆動するリンクの前記回動軸線と前記中間-従動連結軸との間隔の積よりも大きくてもよい。
この構成によれば、可変長駆動リンクの少しの伸縮動作によってリンクを大きく回動させることができる。これによって、可変長駆動リンクユニットの動作に伴う可変長駆動リンクユニットの倒伏を少なくすることができ、可変長駆動リンクユニットが他のリンクに干渉することを防止することができる。
前記可変長駆動リンクユニットは、第1可変長駆動リンク及び第2可変長駆動リンクを含み、前記固定-原動連結軸は、前記原動リンクの中間部に位置し、前記原動-中間連結軸は一対設けられ、一対の前記原動-中間連結軸にそれぞれ第1可変長駆動リンク及び第2可変長駆動リンクが連結され、一方の前記原動-中間連結軸は、前記固定-原動連結軸に対して前記原動リンクの一端側の部位に配置され、他方の前記原動-中間連結軸は、前記固定-原動連結軸に対して前記原動リンクの他端側の部位に配置されていてもよい。
この構成によれば、可変長駆動リンクの伸長動作時に発生させることができる力と短縮動作時に発生させることができる力とに差がある場合であっても、リンクを回転させる一方側及び他方側のモーメントをバランスよく発生させることができる。
他の態様に係るロボットアームは、その近位端とその遠位端とを連結する関節ユニットを備えるロボットアームであって、前記関節ユニットは、関節ベースと、前記関節ベースに対して所定の中心点を通る関節第1軸線を中心に回動可能に連結されている関節第1リンクと、前記関節第1リンクを回転駆動する関節第1駆動ユニットと、前記関節ベースに対して前記中心点を通る関節第2軸線を中心に回動可能に連結されている関節第2リンクと、前記関節第2リンクを回転駆動する関節第2駆動ユニットと、出力端を有し、関節第1連結部を介して前記関節第1リンクに連結され、且つ関節第2連結部を介して前記関節第2リンクに連結されている関節第3リンクと、前記関節第1リンクに対して前記関節第3リンクを関節第3軸線を中心に回動可能に連結する前記関節第1連結部と、前記関節第2リンクに対して前記関節第3リンクを前記関節第2リンクの回転駆動力を受け取り可能に前記中心点を通る互いに交差する2つの軸線を中心とする円周方向に回転2自由度をもって連結する前記関節第2連結部と、を含み、前記関節第1リンクは、前記関節第3軸線が前記中心点を通るように前記関節第1連結部を支持してもよい。
この構成によれば、1の駆動ユニットを動作させたときに他の駆動ユニット全体が従動しないように構成することができる。その結果、動作時の干渉を避けるために設ける空間を狭くすることができ、出力端の動作範囲を犠牲にすることなく、ロボットアームをコンパクトに構成することができる。また、上記1の駆動ユニットが他の駆動ユニットの慣性を負担しないので、上記1の駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下の各要素は、部品を組み立てた組立体(assembly)として構成されてもよい。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るロボットアーム100の構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、ロボットアーム100は、ロボットアーム100の近位端に配置されたアームベース1と、肩ユニット3と、上腕ユニット4と、前腕ユニット5と、ロボットアーム100の遠位端に配置されたハンド2とを備える。アームベース1、肩ユニット3、上腕ユニット4、前腕ユニット5、及びハンド2は、ロボットアーム100の近位端から遠位端に向かって順次連結され、直列に連なる。なお、遠位端という用語はロボットアーム100が伸延する方向においてハンド2側の部位を意味し、近位端という用語はロボットアーム100が伸延する方向においてアームベース1側の部位を意味する。また、説明の便宜上、肩、上腕、肘、前腕、及び手首という用語を用いているが、肩という用語はロボットアーム100が伸延する方向において近位端側に位置する要素を意味し、前腕及び手首という用語はロボットアーム100が伸延する方向において近位端側に位置する要素を意味し、上腕及び肘という用語はそれぞれ肩と前腕及び肩と手首との間に位置する要素を意味する。したがって、人体における肩、上腕、肘、前腕、手首に相当する要素に限られない。更に、連結とは、2つのものが直接接続されている場合のみならず、2つのものの間に他のものが介在し、間接的に接続されている場合も含む。
アームベース1は、ロボットアーム100を支持する。アームベース1は、一体成型された部材であってもよく、複数の柱部材を組み合わせたものであってもよい。ハンド2は、例えば、ワークの保持を行う保持動作及び保持したワークWの解放を行う解放動作を行うことができるように構成されている。しかし、これに限られるものではなく、これに代えて、例えば溶接作業、塗装作業を行うことができるように構成されていてもよい。
[肩ユニットの構成例]
図2は、肩ユニット3の構成例を示す斜視図である。図3は、肩ユニット3のリンク構造の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、肩ユニット3は、アームベース(ベース)1及び上腕ユニット4の間に配置され、アームベース1及び上腕ユニット4に固定されている。肩ユニット3は、全体として回転3自由度を有する肩関節を含むように構成されている。図2及び図3に示すように、肩ユニット3は、6つの肩リンク(肩第1リンク(第1リンク)11、肩第2リンク(第2リンク)12、肩第3リンク(第3リンク)13、肩第4リンク(第4リンク)14、肩第5リンク(第5リンク)15、及び肩第6リンク(第6リンク)16)と、継手である5つの肩連結部(肩第1連結部(第1連結部)21、肩第2連結部(第2連結部)22、肩第3連結部(第3連結部)23、肩第4連結部(第4連結部)24、肩第5連結部(第5連結部)25)と、3つの肩駆動ユニット(肩第1駆動ユニット(第1駆動ユニット)31、肩第2駆動ユニット(第2駆動ユニット)32、肩第3駆動ユニット(第3駆動ユニット)33)とを含む。5つの肩連結部のうち、肩第1連結部21、肩第2連結部22、肩第3連結部23、及び肩第4連結部24は、回転1自由度を有する回転関節であり、これらの回動軸の軸線がそれぞれ、肩第4軸線(第4軸線)L14、肩第5軸線(第5軸線)L15、肩第6軸線(第6軸線)L16、及び肩第7軸線(第7軸線)L17である。また、肩第5連結部25は、回転2自由度を有する自在継手である。まず、肩関節のリンク構造について詳述する。
肩第1リンク11、肩第2リンク12、及び肩第3リンク13は、対応する肩駆動ユニットを介して、アームベース1に対して、それぞれ肩第1軸線(第1軸線)L11、肩第2軸線(第2軸線)L12、及び肩第3軸線(第3軸線)L13を中心に回動可能に連結されている。肩第1軸線L11、肩第2軸線L12、及び肩第3軸線L13は、何れも所定の第1中心点C1を通る回動軸線である。肩第2リンク12は、肩第2軸線L12が肩第1軸線L11と交差するように、肩第1リンク11に対して配置されている。また、肩第3リンク13は、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12が位置する平面の近位端側に配置されている。更に、肩第3リンク13は、肩第3軸線L13が肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12が位置する平面と交差して延びるように、肩第1リンク11及び肩第2リンク12に対して配置されている。また、肩第1リンク11、肩第2リンク12、及び肩第3リンク13は、それぞれ肩第1連結部21、肩第2連結部22、肩第5連結部25に固定されている。肩第1軸線L11は、肩第1リンク11の中間の部位を通る(図5を参照)。肩第2軸線L12及び肩第3軸線L13は、それぞれ肩第2リンク12及び肩第3リンク13の一端側の部位を通る(図6を参照)。
肩第4リンク14は、肩第1連結部21に固定され、肩第1連結部21を介して肩第1リンク11に連結されている。また、肩第4リンク14は、肩第3連結部23に固定され、肩第3連結部23を介して肩第5リンク15に連結されている。更に、肩第4リンク14は、肩第4連結部24に固定され、肩第4連結部24を介して肩第6リンク16に連結されている。
肩第5リンク15は、肩第2連結部22に固定され、肩第2連結部22を介して肩第2リンク12に連結されている。また、肩第5リンク15は、肩第3連結部23に固定され、肩第3連結部23を介して肩第4リンク14に連結されている。
肩第6リンク16は、肩第5連結部25に固定され、肩第5連結部25を介して肩第3リンク13に連結されている。また、肩第6リンク16は、肩第4連結部24を介して肩第4リンク14に連結されている。そして、肩第6リンク16は、肩出力端16aを有する。肩第6リンク16は、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12が位置する平面の遠位端側に配置されている。すなわち、肩第6リンク16は、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12が位置する平面の肩第3リンク13が位置する側とは反対側に配置されている。
肩第1連結部21は、肩第1リンク11に対して肩第4リンク14を肩第4軸線L14を中心に回動可能に連結する。そして、肩第1連結部21は、肩第1リンク11によって、肩第4軸線L14が第1中心点C1を通るように支持され、肩第1リンク11を回動させると肩第4軸線L14が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第4軸線L14が肩第1軸線L11を中心に回動するように配置されている。
肩第2連結部22は、肩第2リンク12に対して肩第5リンク15を肩第5軸線L15を中心に回動可能に連結する。そして、肩第2連結部22は、肩第2リンク12によって、肩第5軸線L15が第1中心点C1を通るように支持され、肩第2リンク12を回動させると肩第5軸線L15が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第5軸線L15が肩第2軸線L12を中心に回動するように配置されている。
肩第3連結部23は、肩第4リンク14に対して肩第5リンク15を肩第6軸線L16を中心に回動可能に連結する。そして、肩第3連結部23は、肩第5リンク15によって、肩第6軸線L16が第1中心点C1を通るように支持され、肩第5リンク15を回動させると肩第6軸線L16が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第6軸線L16が肩第5軸線L15を中心に回動するように配置されている。更に、肩第3連結部23は、肩第4リンク14によって、肩第6軸線L16が第1中心点C1を通るように支持され、更に、肩第4リンク14を回動させると肩第6軸線L16が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第6軸線L16が肩第4軸線L14を中心に回動するように配置されている。肩第3連結部23は、上記2つの条件を同時に満たすように、肩第4軸線L14を中心とする公転軌道と、肩第5軸線L15を中心とする公転軌道との交点に位置する。
肩第5連結部25は、第1中心点C1に配置されている。また、肩第5連結部25は、肩第3リンク13に対して肩第6リンク16を第1中心点C1を通る互いに交差する2つの軸線(第1連結軸線L41、第2連結軸線L42)を中心とする円周方向に回動可能に回転2自由度をもって連結する。そして、肩第5連結部25は、第1中心点C1において肩第3リンク13の回転駆動力を受け取り可能に連結する。すなわち、肩第5連結部25は、肩第3リンク13を肩第3軸線L13を中心とする円周方向に回動させると、肩第6リンク16がその軸線を中心とする円周方向に回動するように、肩第3リンク13に対して肩第6リンク16を拘束する。
図4は、肩第5連結部25の構成例を示す斜視図である。図4に示すように、肩第5連結部25は、中間連結リンク25aと、肩第3リンク13と中間連結リンク25aとを連結する第1連結軸25bと、中間連結リンク25aと肩第6リンク16とを連結する第2連結軸25cとを有する。第1連結軸25bは、肩第3リンク13に対して中間連結リンク25aを第1連結軸線L41を中心とする円周方向に回動可能に連結する。第2連結軸25cは、第1連結軸25bと直交(交差)し、中間連結リンク25aに対して肩第6リンク16を第2連結軸線L42を中心とする円周方向に回動可能に連結する。これによって、肩第5連結部25は、全体として第1軸線L11及び肩第2軸線L12回りに回転自由度を有するように連結する。そして、肩第3リンク13を任意の角度位置に位置させた状態において、肩第6リンク16を肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12を中心とする円周方向に回動させることができる。
肩第4連結部24は、肩第4リンク14に対して肩第6リンク16を肩第7軸線L17を中心に回動可能に連結する。肩第4連結部24は、肩第4リンク14に対する肩第7軸線L17と直交する方向への肩第6リンク16の移動を規制(拘束)している。
図7は、肩ユニット3のリンク構造の動作例を模式的に示す図である。
図7に示すように、上記の通り構成された肩関節のリンク構造において、肩第1リンク11を肩第1軸線L11を中心に回動させると、肩第1連結部21が肩第1軸線L11を中心とする公転軌道B1上を移動し、肩第4軸線L14が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第1軸線L11を中心に回動する。これによって、肩第4軸線L14を中心とする公転軌道B2も肩第1軸線L11の周りを公転し、肩第3連結部23は、公転軌道B2と、肩第5軸線L15を中心とする公転軌道B3との交点に位置するように移動する。このとき、肩第6リンク16に対する肩第7軸線L17(図3参照)を中心とする円周方向における肩第3連結部23及び肩第4リンク14の角度位置が変位すると、肩第4連結部24がその変位を受容する。そして、肩第1連結部21と肩第3連結部23とを連結する肩第4リンク14が移動し、肩第4リンク14に肩第4連結部24を介して連結されている肩第6リンク16が移動する。これによって、肩出力端16aを肩第1軸線L11を中心に公転させる方向に移動させることができる。
また、肩第2リンク12を肩第2軸線L12を中心に回動させると、肩第2連結部22が肩第2軸線L12を中心とする公転軌道B4上を移動し、肩第5軸線L15が第1中心点C1を通る状態を保ちながら肩第2軸線L12を中心に回動する。これによって、公転軌道B3も肩第2軸線L12の周りを公転し、肩第3連結部23は、公転軌道B2と公転軌道B3との交点に位置するように移動する。そして、肩第3連結部23と肩第1連結部21とを連結する肩第4リンク14が移動し、肩第4リンク14に肩第4連結部24を介して連結されている肩第6リンク16が移動する。これによって、肩出力端16aを肩第2軸線L12を中心に公転させる方向に移動させることができる。そして、肩第2リンク12の回動動作と上述した肩第1リンク11の回動動作とを組み合わせることにより、肩第3リンク13に対して肩第6リンク16を任意の向きに傾斜させることができ、これによってロボットアーム100を揺動させることができる。
更に、図3に示すように、肩第3リンク13を肩第3軸線L13を中心に回動させると、その回転駆動力は肩第5連結部25を介して肩第6リンク16に伝達され、肩第6リンク16は肩第7軸線L17回りに回動する。このとき、肩第6リンク16は、肩第5連結部25によって肩第7軸線L17と交差する方向への移動が規制され、当該方向における位置を維持する。また、肩第4リンク14に対する肩第7軸線L17を中心とする円周方向における肩第6リンク16の角度位置が変位するが、肩第4連結部24がその変位を受容する。上述の通り、肩第5連結部25は、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12回りに回転自由度を有するように、肩第3リンク13に対して肩第6リンク16を連結するので、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12を中心とする円周方向における任意の角度位置において、肩第6リンク16を肩第7軸線L17回りに回動させることができる。
次に、肩第1リンク11、肩第2軸線L12、及び肩第3リンク13を回転駆動する駆動ユニットについて述べる。図5は、肩第1駆動ユニット31の構成例を示す図である。図6は、肩第2駆動ユニット32及び肩第3駆動ユニット33の構成例を示す図である。
図5に示すように、肩第1駆動ユニット31は、肩出力端16aを揺動させる駆動ユニットである。肩第1駆動ユニット31は、アームベース1に取り付けられ、肩第1リンク11を回転駆動する。肩第1駆動ユニット31は、可変長駆動リンクユニット101と、第1駆動力伝達部102とを含む。以下に述べるように、肩第1駆動ユニット31は、直動アクチュエータを含み、直動アクチュエータの直動駆動力を肩第1リンク11の回転駆動力に変換する。しかし、これに限られるものではなく、これに代えて、肩第1駆動ユニット31は、減速機付のモータを含み、このモータの回転駆動力によって肩第1リンク11を回転させてもよい。
可変長駆動リンクユニット101は、例えば、直動アクチュエータであり、発生させた駆動力により両端の間隔を変更可能である。可変長駆動リンクユニット101は、進退動する駆動力出力端111aを有する第1可変長駆動リンク111と、進退動する駆動力出力端112aを有する第2可変長駆動リンク112とを含む。第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112として、エアシリンダ、ラックアンドピニオン機構、エラストマーアクチュエータ、ソフトアクチュエータが例示される。第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112は、それぞれ図示しない駆動部によって駆動され、当該駆動部は図示しない制御部によって制御される。
第1駆動力伝達部102は、可変長駆動リンクユニット101の駆動力を回転駆動する対象リンク、すなわち肩第1リンク11に伝達する。第1駆動力伝達部102は、アームベース1に固定又はアームベース1と一体成型されている固定リンク116と、一対のベース-駆動リンク連結部113と、一対の駆動リンク-揺動リンク連結部114と、固定リンク-揺動リンク連結部115とを含む。
一対のベース-駆動リンク連結部113は、それぞれ回転1自由度を有する回転関節であり、連結軸113aを含む。一対の連結軸113aは、可変長駆動リンクユニット101、すなわち第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112とアームベース1とを回動可能に連結する。
一対の駆動リンク-揺動リンク連結部114は、それぞれ回転1自由度を有する回転関節であり、連結軸114aを含む。一対の連結軸114aは、可変長駆動リンクユニット101、すなわち第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112と肩第1リンク11とを回動可能に連結する。また、各連結軸114aは、肩第1リンク11の回動軸線である肩第1軸線L11に対して偏心して位置する。すなわち、各連結軸114aは、肩第1軸線L11を中心とする径方向に肩第1軸線L11に対して離間して位置する。そして、一方の連結軸113aは、肩第1軸線L11に対して肩第1リンク11の一端側の部位に配置され、他方の連結軸113aは、肩第1軸線L11に対して肩第1リンク11の他端側の部位に配置されている。
固定リンク-揺動リンク連結部115は、回転1自由度を有する回転関節であり、連結軸115aを含む。連結軸115aは、固定リンク116と肩第1リンク11とを回動可能に連結し、その軸線が肩第1軸線L11である。
そして、一対の連結軸113a、一対の連結軸114a、及び連結軸115aは互いに平行に伸延している。
制御部は、第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112の一方を主動側のアクチュエータとして制御し、他方を拮抗側のアクチュエータとして制御し、主動側のアクチュエータの動作に拮抗させるように拮抗側のアクチュエータを制御する。これによって、制御部が、第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112のうち一方の可変長駆動リンクを伸長させ他方の可変長駆動リンクを短縮させるように駆動させると、肩第1リンク11が肩第1軸線L11回りに回動する。
ところで、直動アクチュエータには、アクチュエータの伸長動作時に発生させる力と短縮動作時に発生させる力とに差を有する特性を示すものがある。しかし、上述の通り、肩第1駆動ユニット31は、一対の直動アクチュエータを互いに反対に動作させ、肩第1軸線L11回りのモーメントを発生させるように構成されているので、このような特性を有するアクチュエータであっても、肩第1軸線L11回り一方側のモーメントと肩第1軸線L11回り他方側のモーメントとをバランスよく発生させることができる。
なお、肩第1リンク11が揺動すると、連結軸115aが伸びる方向から見て、連結軸115aと連結軸113aとを結ぶ仮想線と、連結軸114aと連結軸113aとを結ぶ仮想線とが成す角A(図5参照)が変化する。上述の通り、連結軸113aと連結軸114aとは平行に伸延しているので、これらの軸113a、114aがこの変化を受容し、第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112が揺動し、アームベース1に対して可変長駆動リンクが起倒する。
このように、第1駆動力伝達部102は、第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112の伸縮動作を肩第1リンク11の回動動作に適切に変換することができる。
そして、可変長駆動リンクとして直動アクチュエータを用いているので、減速機付きのモータを用いた場合と比較して、駆動ユニットの構成を簡素化することができ、また、コストを低減することができる。また、減速機付きのモータを用いた場合と比較して、駆動ユニットのメンテナンス作業の間隔を長くすることができる。
更に、駆動ユニットが、駆動ユニットが回転駆動する軸方向に出っ張らず、駆動ユニットをアームベース1に沿って配置することができ、関節をコンパクトにすることができる。
図6に示すように、肩第2駆動ユニット32は、肩出力端16aを揺動させる駆動ユニットである。肩第2駆動ユニット32は、アームベース1に取り付けられ、肩第2リンク12を回転駆動する。肩第2駆動ユニット32は、可変長駆動リンクユニット101と、第2駆動力伝達部122とを含む。
第2駆動力伝達部122は、可変長駆動リンクユニット101の駆動力を回転駆動する対象リンク、すなわち肩第2リンク12に伝達する。第2駆動力伝達部122は、アームベース1に固定又はアームベース1と一体成型されている固定リンク131と、原動リンク132と、中間リンク133と、8つの連結部(一対の固定-駆動リンク連結部113、固定-原動連結部134、一対の駆動リンク-原動連結部135、原動-中間連結部136、固定-従動連結部137、中間-従動連結部138)とを含む。固定リンク131は、基端側の部位がアームベース1に固定され、中間部が原動リンク132に連結され、先端側の部位が肩第2リンク12に連結されている。8つの連結部は、何れも1回転自由度を有する回転関節であり、その回動軸である連結軸(113a、134a、135a、136a、137a、138a)は互いに平行に伸延している。そして、固定リンク131、原動リンク132、中間リンク133及び肩第2リンク12は、4節リンク機構を構成し、肩第2リンク12は、原動リンク132の従動リンクとして動作する。すなわち、肩第2リンク12を回転駆動することにより、肩第2リンク12が従動して回動するように構成されている。
固定-原動連結部134の固定-原動連結軸134aは、原動リンク132の中間部に位置する。連結軸134aは、固定リンク131の中間部と原動リンク132とを連結軸134aを中心に回動可能に連結する。
一対の駆動リンク-原動連結部135の駆動リンク-原動連結軸135aは、可変長駆動リンクユニット101の出力端、すなわち第1可変長駆動リンク111の駆動力出力端111a及び第2可変長駆動リンク112の駆動力出力端112aと原動リンク132とを連結軸135aを中心に回動可能に連結する。また、各連結軸135aは、連結軸134aに対して偏心して位置する。そして、一方の連結軸135aは、連結軸134aに対して原動リンク132の一端側の部位に配置され、他方の連結軸135aは、連結軸134aに対して原動リンク132の他端側の部位に配置されている。
原動-中間連結部136の原動-中間連結軸136aは、原動リンク132の一端側の部位と中間リンク133の一端側の部位とを連結軸136aを中心に回動可能に連結する。また、連結軸136aは、連結軸135aと同軸に配置されているがこれに限られるものではない。
固定-従動連結部137の固定-従動連結軸137aは、固定リンク131の先端側の部位と肩第2リンク12の基端側の部位とを連結軸137aを中心に回動可能に連結し、その軸線が肩第2軸線L12である。
中間-従動連結部138の中間-従動連結軸138aは、中間リンク133の他端側の部位と肩第2リンク12の中間部とを連結軸138aを中心に回動可能に連結する。また、連結軸138aは、肩第2軸線L12に対して偏心して位置する。
そして、固定-原動連結部134の連結軸134aと原動-中間連結部136の連結軸136aとの間隔の自乗は、固定-原動連結部134の連結軸134aと駆動リンク-原動連結部135の連結軸135aとの間隔及び固定-従動連結部137の連結軸137a(駆動ユニットが回転駆動するリンクの回動軸線)と中間-従動連結部138の連結軸138aとの間隔の積よりも大きくなるように、各連結軸が配設されている。
したがって、原動リンク132を回動させると、肩第2リンク12が従動して回動する。このとき、連結軸134aと連結軸136aとの間隔の自乗は、連結軸134aと連結軸135aとの間隔及び連結軸137aと連結軸138aとの間隔の積よりも大きいので、肩第2リンク12の回動角は原動リンク132の回動角よりも大きくなる。したがって、第1駆動力伝達部102のように可変長駆動リンクユニット101の駆動力出力端111a、112aが肩第1リンク11に直接連結されている場合と比較して、駆動ユニットが駆動するリンクの回動角度を大きくすることができる。これによって、可変長駆動リンク111,112の少しの伸縮動作によって肩第2リンク12を大きく回動させることができるので、可変長駆動リンク111,112の動作に伴う可変長駆動リンク111,112の倒伏を少なくすることができ、可変長駆動リンクユニット101が他のリンクに干渉することを防止することができる。
肩第3駆動ユニット33は、肩出力端16aを回旋させる駆動ユニットである。肩第3駆動ユニット33は、アームベース1に取り付けられ、肩第3リンク13を回転駆動する。肩第3駆動ユニット33は、肩第2駆動ユニット32と同様に構成され、可変長駆動リンクユニット101と、第2駆動力伝達部122とを含む。肩第2駆動ユニット32の第2駆動力伝達部122はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が肩第2リンク12であるのに対し、肩第3駆動ユニット33の第2駆動力伝達部122はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が肩第3リンク13である。肩第3駆動ユニット33の第2駆動力伝達部122のその他の構成は、肩第2駆動ユニット32の第2駆動力伝達部122と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
以上に説明したように、肩ユニット3は、3つの駆動ユニット31,32,33の駆動力によって肩出力端16aを回転3自由度を有するように回動させる。そして、3つの駆動ユニットは、肩関節に対してパラレルに接続され、1の駆動ユニットを動作させたときに、他の駆動ユニット全体が従動しないように構成されている。これによって、動作時に駆動ユニットが移動するための空間を設ける必要がなくなり、駆動ユニットとその周囲の環境との干渉を避けるために設ける空間を狭くすることができる。その結果、出力端の動作範囲を犠牲にすることなく、ロボットアーム100をコンパクトに構成することができる。また、1の駆動ユニットが他の駆動ユニットの慣性を負担しないので、駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
更に、肩第2軸線L12は、肩第1軸線L11と交差し、肩第3軸線L13及び肩第7軸線L17は、肩第1軸線L11及び肩第2軸線L12が位置する平面と交差して延び、肩第3リンク13は、平面のアームベース1が位置する側に配置され、肩第6リンク16は、平面のハンド2が位置する側に配置されているので、出力端の動作範囲を拡げることができる。
[上腕ユニットの構成例]
図8は、上腕ユニット(関節ユニット)4の構成例を示す斜視図である。図9は、上腕ユニット4のリンク構造の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、上腕ユニット4は、肩ユニット3と前腕ユニット5との間に配置され、肩ユニット3及び前腕ユニット5に固定されている。上腕ユニット4は、全体として回転2自由度を有する肘関節を含むように構成されている。図8及び図9に示すように、上腕ユニット4は、肩出力端16aに連なる上腕ベース(関節ベース)40(図1も参照)と、3つの肘リンク(肘第1リンク41、肘第2リンク42、肘第3リンク43)と、2つの肘連結部(肘第1連結部51、肘第2連結部52)と、2つの肘駆動ユニット(肘第1駆動ユニット61、肘第2駆動ユニット62)とを含む。上腕ベース40は、肩第6リンク16の肩出力端16aに固定されている。肘第1連結部51は、回転1自由度を有する回転関節であり、その回動軸線がL23である。また、肘第2連結部52は、回転2自由度を有する自在継手である。まず、肘関節のリンク構造について詳述する。
肘第1リンク(関節第1リンク)41及び肘第2リンク(関節第2リンク)42は、対応する肘駆動ユニットを介して、上腕ベース40に対して、ぞれぞれ肘第1軸線L21及び肘第2軸線L22を中心に回動可能に連結されている。肘第1軸線L21及びL22は、何れも第2中心点C2を通る回動軸線である。また、肘第1リンク41、及び肘第2リンク42は、それぞれ肘第1連結部51及び肘第2連結部52に固定されている。肘第1軸線L21は、肘第1リンク41の中間の部位を通る(図10を参照)。肘第2軸線L22は、肘第2リンク42の一端側の部位を通る(図11を参照)。
肘第3リンク(関節第3リンク)43は、肘第2連結部52に固定され、肘第2連結部52を介して肘第2リンク42に連結されている。また、肘第3リンク43は、肘第1連結部51に固定され、肘第1連結部51を介して肘第1リンク41に連結されている。そして、肘第3リンク43は、肘出力端43aを有する。
肘第1連結部(関節第1連結部)51は、肘第1リンク41に対して肘第3リンク43を肘第3軸線L23を中心に回動可能に連結する。そして、肘第1連結部51は、肘第1リンク41によって、肘第3軸線L23が第2中心点C2を通るように支持され、肘第1リンク41を回動させると肘第3軸線L23が第2中心点C2を通る状態を保ちながら肘第3軸線L23が肘第1軸線L21を中心に回動するよう配置されている。肘第1連結部51は、肘第1リンク41に対する肘第3軸線L23と直交する方向への肘第3リンク43の移動を規制している。
肘第2連結部(関節第2連結部)52は、第2中心点C2に配置されている。また、肘第2連結部52は、肘第2リンク42に対して肘第3リンク43を第2中心点C2を通る互いに交差する2つの軸線を中心とする円周方向に回動可能に回転2自由度をもって連結する。そして、肩第5連結部25は、第2中心点C2において肘第2リンク42の回転駆動力を受け取り可能に連結する。すなわち、肘第2連結部52は、肘第2リンク42を肘第2軸線L22を中心とする円周方向に回動させると、肘第3リンク43がその軸線を中心とする円周方向に回動するように、肘第2リンク42に対して肘第3リンク43を拘束する。肘第2連結部52のその他の構成は、肩第5連結部25と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
上記の通り構成された肘関節のリンク構造において、肘第1リンク41を肘第1軸線L21を中心に回動させると、肘第1連結部51が肘第1軸線L21を中心とする公転軌道上を移動し、肘第1軸線L21が第2中心点C2を通る状態を保ちながら肘第1軸線L21を中心に回動する。これによって、肘出力端43aを肘第1軸線L21を中心に公転させることができる。
また、肘第2リンク42を肘第2軸線L22を中心に回動させると、その回転駆動力は肘第2連結部52を介して肘第3リンク43に伝達され、肘第3リンク43は肘第3軸線L23周りに回動する。このとき、肘第3リンク43は、肘第1連結部51によって肘第3軸線L23と交差する方向への移動が規制され、当該方向における位置を維持する。また、肘第1リンク41に対する肘第3軸線L23を中心とする円周方向における肘第3リンク43の角度位置が変異するが、肘第1連結部51がその変異を受容する。上述の通り、肘第2連結部52は、肘第1軸線L21回りに回転自由度を有するように、肘第2リンク42に対して肘第3リンク43を連結するので、肘第1軸線L21を中心とする円周方向における任意の角度位置において、肘第3リンク43を肘第3軸線L23回りに回動させることができる。
次に、肘第1リンク41、及び肘第2リンク42を回転駆動する駆動ユニットについて述べる。図10は、肘第1駆動ユニット61の構成例を示す図である。図11は、肘第2駆動ユニット62の構成例を示す図である。
図10に示すように、肘第1駆動ユニット(関節第1駆動ユニット)61は、肘出力端43aを揺動させる駆動ユニットである。肘第1駆動ユニット61は、上腕ベース40に取り付けられ、肘第1リンク41を回転駆動する。肘第1駆動ユニット61は、肩第1駆動ユニット31と同様に構成され、可変長駆動リンクユニット101と第1駆動力伝達部102とを含む。肩第1駆動ユニット31の第1駆動力伝達部102はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が肩第1リンク11であるのに対し、肘第1駆動ユニット61の第1駆動力伝達部102はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が、肘第1リンク41である。肘第1駆動ユニット61のその他の構成は、肩第1駆動ユニット31と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
図11に示すように、肘第2駆動ユニット(関節第2駆動ユニット)62は、肘出力端43aを回旋させる駆動ユニットである。上腕ベース40に取り付けられ、肘第2リンク42を回転駆動する。肘第2駆動ユニット62は、肩第2駆動ユニット32と同様に構成され、可変長駆動リンクユニット101と第2駆動力伝達部122とを含む。肩第2駆動ユニット32の第2駆動力伝達部122はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が肩第2リンク12であるのに対し、肘第2駆動ユニット62の第2駆動力伝達部122はアクチュエータの駆動力を伝達する対象が、肘第2リンク42である。なお、肘第2駆動ユニット62は、肘第1駆動ユニット61が伸延する方向と交差する方向に延びるように配置され、これにより、リンク構造の思案点の通過を避けている。肘第2駆動ユニット62のその他の構成は、肩第2駆動ユニット32と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
そして、図8に示すように、肘第1駆動ユニット61及び肘第2駆動ユニット62は、上腕ユニット4の近位端から遠位端に向かう方向に伸延するように配置されている。これによって、駆動ユニットを内骨格として配置することができ、関節の外方への張り出しを抑制することができ、関節をコンパクトにすることができる。
以上に説明したように、上腕ユニット4は、2つの駆動ユニット61、62の駆動力によって肘出力端43aを回転2自由度を有するように回動させる。この上腕ユニット4は、肩ユニット3に直列に連なるように連結されているので、ロボットアーム100の自由度を高めることができる。また、2つの駆動ユニット61、62は、肩関節に対してパラレルに接続され、1の駆動ユニットを動作させたときに、他の駆動ユニット全体が従動しないように構成されている。これによって、動作時に駆動ユニットが移動するための空間を設ける必要がなくなり、駆動ユニットとその周囲の環境との干渉を避けるために設ける空間を狭くすることができる。その結果、出力端の動作範囲を犠牲にすることなく、ロボットアーム100をコンパクトに構成することができる。また、1の駆動ユニットが他の駆動ユニットの慣性を負担しないので、駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
更に、上腕ユニット4の回旋を肩ユニット3の肩第3駆動ユニット33の駆動力によっておこなうので、駆動ユニットが自身を回旋させるための慣性を負担せず、上腕ユニット4の回旋を行う駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
[前腕ユニットの構成例]
図12は、前腕ユニット5の構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、前腕ユニット5は、上腕ユニット4とハンド2との間に配置され、上腕ユニット4及びハンド2に固定されている。前腕ユニット5は、全体として回転2自由度を有する手首関節を含むように構成されている。図12に示すように、前腕ユニット5は、肘出力端43aに連なる前腕ベース70(図1も参照)と、前腕ベース70に対してロボットアーム100の遠位端側に位置する手首リンク71と、ベース-手首連結部(手首連結部)81と、手首駆動ユニット91とを含む。前腕ベース70は、肘出力端43aに固定されている。
手首リンク71は、手首出力端71aを有し、ベース-手首連結部81を介して前腕ベース70に連結されている。そして、ハンド2は手首出力端71aに連結されている。
ベース-手首連結部81は、前腕ベース70と手首リンク71とを連結し、連結リンク82と、継手83とを含む。連結リンク82は、近位端が前腕ベース70に固定され、手首リンク71に向かって伸延する固定長のリンクである。継手83は、第3中心点C3に配置されている(図13参照)。継手83が手首関節を構成する。そして、継手83は、第3中心点C3において回転2自由度を有する自在継手であり、連結リンク82の遠位端に設けられている。そして、継手83は、連結リンク82に対し手首リンク71を互いに直交する手首第1軸線L32及び手首第2軸線L33の周りに回転2自由度をもって回動可能に連結する(図13参照)。図13において、手首第1軸線L32は紙面に対して直交する方向に延びる線である。
図13は、前腕ユニット5の手首駆動ユニット91の構成例を示す図である。
図13に示すように手首駆動ユニット91は、前腕ベース70に取り付けられ、手首リンク71を第3中心点C3を中心に回転駆動する。手首駆動ユニット91は、ベース-手首連結部81の周りに設けられている3以上の手首可変長駆動リンクを有する可変長駆動リンクユニット141と、駆動力伝達部142とを含む。本実施の形態において、可変長駆動リンクユニット141は、第1~第4の手首可変長駆動リンク151、152、153、154を含み、図示しない制御部によって制御される。4つの手首可変長駆動リンク151、152、153、154は、第1可変長駆動リンク111と同様に構成される直動アクチュエータであり、発生させた駆動力により近位端と遠位端との間隔を変更可能である。4つの手首可変長駆動リンク151、152、153、154は、前腕ベース70から手首リンク71に向かって伸延する。4つの手首可変長駆動リンク151、152、153、154は、この順に第3中心点C3を通り、近位端から遠位端に向かって伸びる前腕中心線L31を中心とする円周方向に等間隔に配設されている。前腕中心線L31は、手首第1軸線L32及び手首第2軸線L33と直交(交差)する。また、第1手首可変長駆動リンク151及び第2手首可変長駆動リンク152は、それぞれ第4手首可変長駆動リンク154及び第3手首可変長駆動リンク153と手首第1軸線L32が伸延する方向に並ぶように配設されている。また、第1手首可変長駆動リンク151及び第4手首可変長駆動リンク154は、それぞれ第2手首可変長駆動リンク152及び第3手首可変長駆動リンク153と手首第2軸線L33が伸延する方向に並ぶように配設されている。
駆動力伝達部142は、各手首可変長駆動リンクに設けられたベース-駆動リンク連結部155と、各手首可変長駆動リンクに設けられた駆動リンク-手首リンク連結部156とを含む。ベース-駆動リンク連結部155は、回転2自由度を有する自在継手であり、前腕ベース70と対応する手首可変長駆動リンクの近位端とを連結する。駆動リンク-手首リンク連結部156は、回転3自由度を有する継手であり、対応する手首可変長駆動リンクの遠位端と手首リンク71とを連結する。駆動リンク-手首リンク連結部156は、手首第1軸線L32及び手首第2軸線L33回りに回転自由度を有する自在継手と前腕中心線L31回りに回転自由度を有するスラスト軸受とを連結して構成されている。しかし、これに限られるものではなく、ボールジョイントであってもよい。このように4つの手首可変長駆動リンク151、152、153、154は、それぞれ近位端が前腕ベース70に取り付けられ、遠位端が手首出力端71aに取り付けられている。
第1の動作において、制御部は、第1手首可変長駆動リンク151及び第4手首可変長駆動リンク154の群と第2手首可変長駆動リンク152及び第3手首可変長駆動リンク153の群との一方の群のアクチュエータを主動側のアクチュエータとして制御し、他方の群のアクチュエータを拮抗側のアクチュエータとして制御し、主動側のアクチュエータの動作に拮抗させるように拮抗側のアクチュエータを制御する。そして、例えば、図13に示すように、制御部が第1手首可変長駆動リンク151及び第4手首可変長駆動リンク154を短縮させ、第2手首可変長駆動リンク152及び第3手首可変長駆動リンク153を伸長させるように駆動させると、手首リンク71が手首第1軸線手首第1軸線L32を中心とする円周方向に揺動する。また、第2の動作において、制御部は、第1手首可変長駆動リンク151及び第2手首可変長駆動リンク152の群と第3手首可変長駆動リンク153及び第4手首可変長駆動リンク154の群との一方の群のアクチュエータを主動側のアクチュエータとして制御し、他方の群のアクチュエータを拮抗側のアクチュエータとして制御し、主動側のアクチュエータの動作に拮抗させるように拮抗側のアクチュエータを制御する。そして、例えば第1手首可変長駆動リンク151及び第2手首可変長駆動リンク152を短縮させ、第3手首可変長駆動リンク153及び第4手首可変長駆動リンク154を伸長させるように駆動させると、手首リンク71が手首第2軸線L33を中心とする円周方向に揺動する。そして、これら第1及び第2の動作を組み合わせることにより、手首リンク71を前腕中心線L31と交差する任意の向きに傾斜させることができ、これによってハンド2を傾斜させることができる。
以上に説明したように、前腕ユニット5は、手首駆動ユニット91の駆動力によって、手首出力端71aを回転2自由度を有するように回動させる。この前腕ユニット5は、肩ユニット3及び上腕ユニット4に直列に連なるように連結されているので、ロボットアーム100の自由度を高めることができる。
また、前腕ユニット5の回旋を上腕ユニット4の肘第2駆動ユニット62の駆動力によっておこなうので、駆動ユニットが自身を回旋させるための慣性を負担せず、前腕ユニット5の回旋を行う駆動ユニットの出力を小さくすることができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、可変長駆動リンクユニットが回動するリンクの回動角度に応じて、第1可変長駆動リンク111の長さと第2可変長駆動リンク112の長さが一意に決定される。すなわち、第1可変長駆動リンク111の長さと第2可変長駆動リンク112の長さとの間には、所定の対応関係が成立する。本実施の形態において、ロボットアームは、この対応関係に基づいて可変長駆動リンクの異常を検知する。すなわち、ロボットアーム100は第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112の長さを検知する検知部(図示せず)を備える。そして、可変長駆動リンクユニット101を制御する制御部が、上記所定の対応関係から算出される第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112の長さと、検知部が検知した第1可変長駆動リンク111及び第2可変長駆動リンク112の長さとを比較し、算出した可変長駆動リンクの長さと検知した可変長駆動リンクの長さとの間に所定の閾値を超える乖離が生じた場合は、可変長駆動リンクに異常が発生したと判定してもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。