JP2012023221A - 半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

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Masayuki Asai
優幸 浅井
Hiroki Okamiya
弘樹 岡宮
Satao Kumon
佐多雄 久門
Naoharu Nakaiso
直春 中磯
Kanekazu Mizuno
謙和 水野
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Abstract

【課題】第1ガスの使用効率を向上させる。
【解決手段】処理室に連通する第1ノズルから、処理室内の排気速度を低下させた状態で処理室内に第1ガスを供給する工程と、第1ガスの供給を止めた後、第1ノズル内に不活性ガスを供給する工程と、処理室内に残留する第1ガスを除去する工程と、を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体デバイスの製造方法に関する。
DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体デバイスの製造工程の一工程として、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法により、複数種類のガスを処理室内に順次供給して基板上に所定の膜を形成する工程が行われてきた。具体的には、基板が載置された処理室に連通する第1ノズルから処理室内に第1ガスを供給する工程と、処理室内に残留する第1ガスを除去する工程と、第2ノズルから処理室内に第2ガスを供給する工程と、処理室内に残留する第2ガスを除去する工程と、を有する基板処理工程が実施されてきた。
上述の第1ガスを供給する工程においては、第1ガスの基板上への吸着を促進させてガスの使用効率を向上させるため、例えば処理室内の排気速度を低下させた状態で、第1ガスを処理室内に供給して所定時間滞留させる手法が考えられる。
しかしながら、上記手法を実施しても、第1ガスの使用効率が充分に向上しない場合があった。すなわち、上述の手法では、処理室内に第1ガスを供給して所定時間滞留させる際に、第1ノズルから処理室内に供給されるべき第1ガスの一部が、処理室内に供給されずに第1ノズル内に残留してしまう場合があった。第1ノズル内に残留した第1ガスは、第1ガスを除去する工程を実施することにより、基板表面に吸着することなく処理室外に排出されてしまう。その結果、第1ガスの使用効率を充分に向上させることができず、基板処理工程の生産性が低下してしまう場合があった。
そこで本発明の目的は、第1ガスの使用効率を向上させ、基板処理工程の生産性を高めることが可能な半導体デバイスの製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、基板が載置された処理室に連通する第1ノズルから、前記処理室内の排気速度を低下させた状態で前記処理室内に第1ガスを供給する第1ガス供給工程と、前記第1ガスの供給を止めた後、前記第1ノズル内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程と、前記処理室内に残留する前記第1ガスを除去する第1ガス除去工程と、前記処理室に連通する第2ノズルから前記処理室内に第2ガスを供給する第2ガス供給工程と、前記処理室内に残留する前記第2ガスを除去する第2ガス除去工程と、を有する半導体デバイスの製造方法が提供される。
本発明に係る半導体デバイスの製造方法によれば、第1ガスの使用効率を向上させ、基板処理工程の生産性を高めることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の斜透視図である。 本発明の第1実施形態に係る処理炉の構成図であって、特に処理室部分を断面図で示す図である。 本発明の第1実施形態に係る処理炉の構成図であって、特に処理室部分を図2のA−A断面で示す図である。 本発明の第1実施形態に係るガス供給系を示す図であって、(a)は第1ガス供給系を示す模式図であり、(b)は第2ガス供給系を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る基板処理工程を例示するフロー図である。 本発明の第1実施形態に係る第1ガスの供給から除去までの様子を示すフロー図である。 本発明の第1実施形態に係る基板処理工程のガス供給タイミング図である。 本発明の第3実施形態に係る処理炉の構成図であって、特に処理室部分を断面図で示す図である。 本発明の第3実施形態に係るガス供給系を示す図であって、(a)は第1ガス供給系を示す模式図であり、(b)は第2、第3ガス供給系を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る基板処理工程を例示するフロー図である。 本発明の第3実施形態に係る基板処理工程のガス供給タイミング図である。 本発明の第3実施形態の変形例に係る基板処理工程を例示するフロー図である。 本発明の第3実施形態の変形例に係る基板処理工程のガス供給タイミング図である。 本発明の実施例に係るサイクルレシピを例示するモデル図である。 本発明の実施例に係る基板処理工程における、HCDガスの消費量を示すグラフ図である。 本発明の実施例に係る基板処理工程における、SiN膜の堆積膜厚を示すグラフ図である。 従来例に係る第1ガスの供給から除去までの様子を示すフロー図である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置について、その構成を以下に説明する。
(1)基板処理装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る基板処理装置101の斜透視図である。カセットステージ114のある面を基板処理装置101の正面とし、正面の側を基板処理装置101の前方、それとは反対の処理炉202のある側を後方、基板処理装置101の正面に向かって右手側を右、左手側を左とした。基板処理装置101の上下は、重力方向のとおりである。
図1に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は筐体111を備えている。基板としてのウエハ200を筐体111内外へ搬送するには、複数のウエハ200を収納するウエハキャリア(基板収納容器)としてのカセット110が使用される。カセット110を筐体111内外へ搬送する開口であるカセット搬入搬出口(基板収納容器搬入搬出口、図示せず)の筐体111内側には、カセットステージ(基板収納容器受渡し台)114が設けられている。カセット110は、図示しない工場内搬送装置によってカセットステージ114上に載置され、また、カセットステージ114上から筐体111外へ搬出されるように構成されている。
カセット110は、工場内搬送装置によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に向けて90°回転させてカセット110内のウエハ200を水平姿勢とさせ、カセット110のウエハ出し入れ口を筐体111内の後方に向かせることが可能なように構成されている。
筐体111内の前後方向でみた略中央部には、カセット棚(基板収納容器載置棚)105が設置されている。カセット棚105は、複数段、複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105には、後述するウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。また、カセットステージ114の上方には、予備カセット棚107が設けられ、予備のカセット110を保管するように構成されている。
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置(基板収納容器搬送装置)118が設けられている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収納容器昇降機構)118aと、カセット110を保持したまま水平移動可能な搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収納容器搬送機構)118bと、を備えている。これらカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114、カセット棚105、予備カセット棚107、移載棚123の間で、カセット110を搬送するように構成されている。
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構(基板移載機構)125が設けられている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bと、を備えている。なお、ウエハ移載装置125aは、ウエハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作により、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして後述するボート(基板保持具)217へ装填(ウエハチャージ)したり、ウエハ200をボート217から脱装(ウエハディスチャージ)して移載棚123上のカセット110内へ収納したりするように構成されている。
筐体111の後部上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部には開口が設けられ、かかる開口は炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。なお、処理炉202の構成については後述する。
処理炉202の下方には、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からボート(基板保持具)217へ装填・脱装する空間である移載室124が設けられている。移載室124内には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬入搬出させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が設けられている。アーム128上には、ボート217を垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115によりボート217が上昇したときに処理炉202の下端部を気密に閉塞する炉口蓋体としてのシールキャップ219が水平姿勢で設けられている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、25枚から125枚程度)のウエハ200を、水平姿勢で、かつその中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に保持するように構成されている。
カセット棚105の上方には、供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット134aが設けられている。クリーンユニット134aは、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
また、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびボートエレベータ115側の反対側に
あたる筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するよう供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。クリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置125a、ボート217を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部に排気されるように構成されている。
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置101の動作について説明する。
まず、カセット110が、工場内搬送装置によってカセット搬入搬出口(図示せず)から搬入され、ウエハ200が垂直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、筐体111の後方に向けて90°回転させられる。その結果、カセット110内のウエハ200は水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口は筐体111内の後方を向く。
次に、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107から移載棚123に移載されるか、もしくは直接、移載棚123に搬送される。
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって、ウエハ出し入れ口を通じてカセット110からピックアップされ、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作によって移載室124の後方にあるボート217に装填(ウエハチャージ)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載機構125は、カセット110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、ウエハ200群を保持したボート217が処理炉202内へ搬入(ボートローディング)される。ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。かかる処理については後述する。処理後は、ウエハ200およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で筐体111の外部へ搬出される。
(3)処理炉の構成
続いて、本実施形態に係る処理炉202の構成について、主に図2および図3を参照しながら説明する。図2は、図1に示す基板処理装置101の処理炉202の構成図であって、特に処理室201部分を断面図で示してある。また図3は、処理室201部分を図2のA−A断面図で示している。
(処理室)
本実施形態に係る処理炉202は、バッチ式縦形ホットウォール型の処理炉として構成されている。処理炉202は、反応管203を備えている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なおボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる断熱部材218が設けられており、後述するヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなるよう構成されている。なお、断熱部材218は、石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる複数枚の断熱板と、これらを水平姿勢で多段に支持する断熱板ホルダとにより構成してもよい。
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばSUS等の金属材料からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は反応管203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
反応管203の外周には反応管203と同心円状の円筒形状に、加熱機構としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。なお、ヒータ207は、ガスを熱で活性化させる活性化機構としても機能する。
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、後述するノズル249a、249bと同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
主に、反応管203とシールキャップ219とにより処理室201が構成され、ヒータ207、反応管203及びシールキャップ219により処理炉202が構成される。
(ノズル)
処理室201内における反応管203の下部には、第1ノズル249a及び第2ノズル249bが反応管203を貫通するように設けられている。第1ノズル249a及び第2ノズル249bはL字型のロングノズルとして構成されている。
すなわち、第1ノズル249aは、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第1ノズル249aの側面にはガスを供給するガス供給孔250aが設けられている。ガス供給孔250aは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔250aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
また、第2ノズル249bは、後述するバッファ室237内の一方の端部に、反応管2
03の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第2ノズル249bの側面にはガスを供給するガス供給孔250bが設けられている。ガス供給孔250bはバッファ室237の中心を向くように開口している。このガス供給孔250bは、第1ノズル249aのガス供給孔250aと同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。この複数のガス供給孔250bのそれぞれの開口面積は、バッファ室237内と処理室201内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞれ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって、それぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
上記のように、第2ノズル249bのガス供給孔250bのそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔250bのそれぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させることができる。そしてこのガス供給孔250bのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室237内に導入し、ガス分散空間としてのバッファ室237内においてガスの流速差の均一化を行うよう構成されている。
(第1ガス供給部)
第1ノズル249aの上流端(下部)には、第1ガスとしてのシリコン(Si)含有ガス、例えばヘキサクロロジシラン(HCD(Hexa−Chloro−Disilane):SiCl)ガスを供給する第1ガス供給管233aの下流端が接続されている。液体原料としてのHCDは常温で液体であるため、処理室201内にHCDガスを供給するには、HCDを加熱して気化させてから供給する方法、キャリアガスとなるHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、N(窒素)などの不活性ガスをHCDの液体の中に供給し、HCDを気化させたガスをキャリアガスと共に処理室201内へと供給する方法(バブリング方式)などがある。以下に述べるのは、例として加熱により気化させたHCDガスを供給する場合の構成である。
図4(a)に示すように、第1ガス供給管233aの上流端は、HCDの液体が貯蔵されたHCD容器260a内のHCDの液面上方に配置されている。第1ガス供給管233aには上流側から順に、開閉弁としてのバルブ253a、液体原料としてのHCDを加熱して気化させる気化部としての気化器261a、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ241a、開閉弁としてのバルブ254a、255aが設けられている。ガス供給管233aの下流端は、上述のように第1ノズル249aの上流端に接続されている。バルブ254aの上流側から第1ノズル249aの上流端までの第1ガス供給管233aには、ヒータ281aが設けられ、ガス供給管233aを例えば130℃に保っている。HCD容器260a内のHCDの液体中には、圧送ガスを供給する圧送ガス供給管232aの下流端が浸漬されている。圧送ガス供給管232aには上流側から順に、図示しない圧送ガス供給源、開閉弁としてのバルブ252aが設けられている。圧送ガスとしては、例えばNガス等の不活性ガスを用いることができる。バルブ252aを開けることにより圧送ガス供給源から圧送ガスを供給し、さらにバルブ253aを開けることによりHCD容器260aから気化器261aへ液体原料としてのHCDを圧送(供給)することが可能となる。気化器261aは圧送されたHCDを加熱してHCDの気化ガスを発生させることが可能なように構成されている。そして、マスフローコントローラ241aによって流量制御しながら、バルブ254a、255aを開けることにより、気化器261a内で発生したHCDガスを処理室201内に供給することが可能なように構成されている。
第1ガス供給管233aのバルブ255aの上流側には、ガス排気管236aの上流端が接続されている。ガス排気管236aには開閉弁としてのバルブ256aが設けられて
いる。ガス排気管236aの下流端は後述するガス排気管231に接続されている。バルブ256aを開けることにより、処理室201を介さずにHCDガスを排気することができるように構成されている。
主に、圧送ガス供給管232a、バルブ252a、HCD容器260a、第1ガス供給管233a、バルブ253a、気化器261a、マスフローコントローラ241a、バルブ254a、255a、第1ノズル249a、ガス供給孔250aにより、処理室201内に第1ガスを供給する第1ガス供給部が構成される。
(不活性ガス供給部)
第1ガス供給管233aのバルブ254aの下流側には、不活性ガスを供給する不活性ガス供給管232dの下流端が接続されている。不活性ガスとしては、窒素(N)のほ、例えばヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)等のガスを用いることができる。不活性ガス供給管232dには上流側から順に、図示しない不活性ガス供給源と、開閉弁としてのバルブ252d、253d、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ241d、ガスの逆流を防止する逆止弁としてのチャック弁254d、異物を除去し、又はガス純度を向上させるフィルタ260d、開閉弁としてのバルブ255dが設けられている。フィルタ260dとバルブ255dとの間の不活性ガス供給管232dは、不活性ガスを加圧した状態で貯留する貯留部としての貯留管261dとなっている。すなわち、バルブ252d、253dを開けることにより、マスフローコントローラ241dによって流量制御しながら、不活性ガス供給源から不活性ガスを供給し、フィルタ260dとバルブ255dとの間の不活性ガス供給管232d内に加圧した状態で不活性ガスを貯留することが可能なように構成されている。さらにバルブ255d、255aを開けることにより、加圧した状態の不活性ガスを第1ノズル249a内に供給することが可能なように構成されている。また、不活性ガスの供給をさらに継続することで、第1ノズル249aを介して処理室201内に不活性ガスを供給することが可能なように構成されている。
上記構成においては、第1ノズル249a内への不活性ガスの供給を停止している間に、貯留管261d内に不活性ガスを供給して加圧した状態としておくことが望ましい。これにより、不活性ガスを第1ノズル249a内に供給する際、後述するように、第1ノズル249a内から第1ガスとしてのHCDガスを処理室201内に押し流すよう、勢いよく瞬時に流し、不活性ガスを第1ノズル249a内に供給することができる。なお、「瞬時に流す」とは、加圧されて勢いのついた不活性ガスが文字通り瞬時に流れるさまを指すほか、不活性ガスを加圧状態に保つ上記の貯留部のような構成を持たない通常のガス供給管からガスを供給した場合に比べて、供給されるガスの流速が相対的に高いさまも含む。
また、不活性ガスを処理室201内に供給することで、例えばHCDガスの供給終了後、不活性ガスをパージして処理室201内に残留したHCDガス等を排除することができる。
不活性ガス供給管232dのバルブ253dの上流側には、ガス排気管236dの上流端が接続されている。ガス排気管236dには開閉弁としてのバルブ256dが設けられている。ガス排気管236dの下流端は後述するガス排気管231に接続されている。バルブ256dを開けることにより、処理室201を介さずに不活性ガスを排気することができるように構成されている。
主に、貯留部としての貯留管261dを含む不活性ガス供給管232d、バルブ252d、253d、マスフローコントローラ241d、チャック弁254d、フィルタ260d、バルブ255d、255aにより、第1ノズル249a内に不活性ガスを供給する不
活性ガス供給部が構成される。
(第2ガス供給部)
第2ノズル249bの上流端(下部)には、第2ガスとしての窒素(N)含有ガス、例えばNHガスを供給する第2ガス供給管232bの下流端が接続されている。図4(b)に示すように、第2ガス供給管232bには上流側から順に、図示しないNHガス供給源、開閉弁としてのバルブ253b、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ241b、開閉弁としてのバルブ254b、255bが設けられている。バルブ253b、254b、255bを開けることにより、マスフローコントローラ241bにより流量制御しながら、NHガス供給源からバッファ室237を介して処理室201内にNHガスを供給可能なように構成されている。
第2ガス供給管232bのバルブ255bの上流側には、ガス排気管236bの上流端が接続されている。ガス排気管236bには開閉弁としてのバルブ256bが設けられている。ガス排気管236bの下流端は後述するガス排気管231に接続されている。バルブ256bを開けることにより、バッファ室237や処理室201を介さずにNHガスを排気することができるように構成されている。
第2ガス供給管232bのバルブ254bの下流側には、不活性ガスを供給する不活性ガス供給管232eの下流端が接続されている。不活性ガス供給管232eには上流側から順に、図示しない不活性ガス供給源と、開閉弁としてのバルブ252e、253e、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ241e、開閉弁としてのバルブ255eが設けられている。バルブ252e、253e、255eを開けることにより、マスフローコントローラ241eによって流量制御しながら、不活性ガス供給源から第2ノズル249bを介して処理室201内に不活性ガスを供給することが可能なように構成されている。不活性ガスを処理室201内に供給することで、例えばNHガスの供給終了後、不活性ガスをパージして処理室201内に残留したNHガス等を排除することができる。
不活性ガス供給管232eのバルブ253eの上流側には、ガス排気管236eの上流端が接続されている。ガス排気管236eには開閉弁としてのバルブ256eが設けられている。ガス排気管236eの下流端は後述するガス排気管231に接続されている。バルブ256eを開けることにより、処理室201を介さずに不活性ガスを排気することができるように構成されている。
(バッファ室)
ガス分散空間としてのバッファ室237は、反応管203の内壁とウエハ200との間の円弧状の空間に、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部(第2ノズル249bが設けられる端部とは反対の端部)にはガスを供給するガス供給孔250eが設けられている。ガス供給孔250eは反応管203の中心を向くように開口している。このガス供給孔250eは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
第2ノズル249bのガス供給孔250bのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスはバッファ室237内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室237のガス供給孔250eより処理室201内に噴出する。これにより、第2ノズル249bのガス供給孔250bのそれぞれよりバッファ室237内に噴出したガスは、バッファ室237のガス供給孔250eのそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
主に、第2ガス供給管232b、バルブ253b、マスフローコントローラ241b、バルブ254b、255b、第2ノズル249b、ガス供給孔250b、バッファ室237、ガス供給孔250eにより、処理室201内に第2ガスを供給する第2ガス供給部が構成される。
(プラズマ源)
バッファ室237内には、図3に示すように、細長い構造を有する第1の電極である第1棒状電極269及び第2の電極である第2棒状電極270が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。第1棒状電極269及び第2棒状電極270のそれぞれは、第2ノズル249bと平行に設けられている。第1棒状電極269及び第2棒状電極270のそれぞれは、上部より下部にわたって各電極を保護する保護管である電極保護管275により覆われることで保護されている。この第1棒状電極269又は第2棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1棒状電極269及び第2棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
電極保護管275は、第1棒状電極269及び第2棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237内に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部が外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1棒状電極269及び第2棒状電極270はヒータ207による熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部には窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1棒状電極269又は第2棒状電極270の酸化を防止する図示しない不活性ガスパージ機構が設けられている。
主に、第1棒状電極269、第2棒状電極270、電極保護管275、整合器272、高周波電源273によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。なお、プラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。
(排気部)
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気するガス排気管231が設けられている。ガス排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気するように構成されている。APCバルブ244は弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。なお、ガス排気管231は、図3に示すように、例えば第1ノズル249a及び温度センサ263の間の反応管203の下部側壁に設けられている。ただし図2においては、ガス排気管231、APCバルブ244、真空ポンプ246、圧力センサ245の構造をそれぞれ示すため、便宜上、ガス排気管231を含む上記構成を紙面右側の第1ノズル249a及び第2ノズル249bと対向する位置に図示した。
主に、ガス排気管231、APCバルブ244、真空ポンプ246、圧力センサ245により、排気部が構成される。
(制御部)
制御部であるコントローラ121は、マスフローコントローラ241a、241b、241d、241e、バルブ252a、253a、254a、255a、256a、253
b、254b、255b、256b、252d、253d、255d、256d、252e、253e、255e、256e、APCバルブ244、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、高周波電源273、整合器272等に接続されている。コントローラ121により、マスフローコントローラ241a、241b、241d、241eによる各種ガスの流量調整動作、バルブ252a、253a、254a、255a、256a、253b、254b、255b、256b、252d、253d、255d、256d、252e、253e、255e、256eの開閉動作、APCバルブ244の開閉及び圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構267の回転速度調節動作、ボートエレベータ115の昇降動作等の制御や、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が行われる。
(4)基板処理工程
続いて本実施形態に係る基板処理工程について説明する。本実施形態に係る基板処理工程は、例えばDRAM等の半導体デバイスの製造工程の一工程として上述の処理炉202により実施される。
ALD(Atomic Layer Deposition)法は、所定の成膜条件の下で、形成する膜を構成する2種類(またはそれ以上)の元素を含む反応性ガスを1種類ずつ交互にウエハ200上に供給し、1原子層単位で基板上に吸着させ、表面反応を利用して成膜を行なう手法である。ALD法によりウエハ200上に窒化シリコン(SiN)膜を形成する場合には、例えばシリコン(Si)含有ガスを供給する工程と窒素(N)含有ガスを供給する工程とを1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施する。1回のサイクルでは、不連続な1原子層未満、または数原子層のSiN膜が形成される。したがってSiN膜の膜厚は、サイクルの繰り返し回数により制御することができる。例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、サイクルを20回行うことで20ÅのSiN膜を形成することができる。したがって、複数種類のガスを処理室内に同時に供給し、目標膜厚等の所定の膜特性が専らガスの連続的な供給時間で規定されるCVD法と比較して、ALD法は膜厚制御性に優れるという特長がある。また、ALD法で形成された膜は一般的に段差被覆性に優れ、ローディング効果(パターンの疎密依存性)を抑制することが容易であるという優位点を備えている。
また、ガス供給時のガス供給流量、ガス供給時間、処理室201内の温度、プラズマ方式の場合はプラズマパワー等の成膜条件を制御することにより、形成されるALD薄膜の諸特性を制御することができる。例えばSiN膜の形成においては、SiN膜の組成比が化学量論組成であるN/Si≒1.33となるように、成膜条件を制御することが可能である。あるいは、形成する膜の組成比が化学量論組成とは異なる所定の組成比となるように、成膜条件を制御することもできる。すなわち、形成する膜を構成する複数の元素のうち、少なくともひとつの元素が他の元素よりも化学量論組成に対して過剰となるように、成膜条件を制御する。このようにALD法では、形成される膜を構成する複数の元素の比率、すなわち、膜の組成比を制御しつつ、成膜を行なうことが可能である。以下においては、ALD法により、異なる種類の元素を含む複数種類のガスを交互に供給して、化学量論組成を有するALD薄膜を形成するシーケンス例について説明する。
本実施形態に係る基板処理工程では、上述の処理炉202により、第1ガスとしてSi含有ガス、具体的にはHCDガスを用い、第2ガスとして窒素含有ガス、具体的にはNHガスを用いてウエハ200上に所望の絶縁膜、例えばSiN膜を成膜する。HCDガスは自己分解温度が比較的低く、例えば630℃以下の基板温度でNHガス等を併せて用いることで、例えば非結晶性(アモルファス)のSiN膜を形成することができる。なお
、ここでSiN膜はSiを含む任意の組成のSiN膜である。
以下に、本実施形態に係る基板処理工程について、主に図5および図7を用いて詳述する。図5は、処理炉202により実施される基板処理工程のフロー図である。また、図7は、本実施形態にかかる第1ガスの供給、第2ガスの供給を交互に繰り返す際のそれぞれの供給・排気のタイミングを例示するタイミングチャート図である。以下の説明において、図2にかかる処理炉202を構成する各部の動作は、コントローラ121により制御される。
(基板搬入工程S10)
まず、複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。そして、複数枚のウエハ200を保持したボート217を、ボートエレベータ115によって持ち上げて処理室201内に搬入(ボートローディング)する。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。基板搬入工程S10においては、不活性ガス供給管232d、232eのバルブ255d,255e、及びバルブ255a、255bを開けて、処理室201内にNガス等の不活性ガスを供給し続けることが好ましい。
(減圧工程S20、昇温工程S30)
続いて、不活性ガス供給管232d、232eのバルブ255d,255eを閉じ、処理室201内を真空ポンプ246により排気する。このとき、APCバルブ244の開度を調整することにより、処理室201内を所定圧力とする。また、ウエハ200が所望の温度、例えば70℃から600℃となるように、ヒータ207によって処理室201内の温度を制御する。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合をフィードバック制御する。そして、回転機構267によりボート217を回転させ、ウエハ200の回転を開始する。
(ALD薄膜形成工程S41〜S70)
続いて、図5のS41〜S53を1サイクルとし、このサイクルを所定回数行なう(S70)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiN膜を形成する。すなわち、上記のサイクルは、処理室201内の排気速度を低下させた状態で第1ノズル249aから処理室201内に第1ガスとしてのHCDガスを供給する第1ガス供給工程S41と、第1ガスの供給を止めた後、第1ノズル249a内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程S42と、処理室201内に残留する第1ガスを除去する第1ガス除去工程S43と、第2ノズル249bから処理室201内に第2ガスとしてのNHを供給する第2ガス供給工程S51と、処理室201内に残留する第2ガスを除去する第2ガス除去工程S53と、を有する。以下に、ALD薄膜形成工程S41〜S70について詳述する。なお、以下においては、随時、図6も用いながら説明を行う。図6は、本実施形態に係る第1ガスの供給から除去までの様子を示すフロー図である。
(第1ガス供給工程S41)
第1ガス供給工程S41では、処理室201内に第1ガスとしてのHCDガスを供給する。具体的には、予め、図示しない圧送ガス供給源からHCD容器260a内に圧送ガスを供給し、液体原料としてのHCDを気化器261aに圧送(供給)してHCDガスを安定的に発生させておく。そしてHCDガスを処理室201内に供給する際には、例えばAPCバルブ244の開度を絞って処理室201内の排気速度を低下させた状態で、第1ガス供給管233aのバルブ254a、255aを開けることにより、マスフローコントローラ241aにより流量制御しながら、発生させたHCDガスを処理室201内に供給してウエハ200の表面等に吸着させる。なお、処理室201内の排気速度を低下させた状
態には、APCバルブ244を閉じて処理室201内の排気を停止した状態も含む。所定時間が経過したらバルブ254aを閉じ、HCDガスの処理室201内への供給を停止する。なお、バルブ255aは開けたままとしておく。
上記のように、処理室201内の排気速度を低下させた状態で、HCDガスを所定時間、処理室201内に滞留させることで、HCD分子のウエハ200表面への吸着効率が高まる。第1ガス供給工程S41においては、処理室201内に滞留しているガスは主にHCDガス並びにNガス等の不活性ガスのみであり、HCDガスとの反応を起こし得るNHガス等は流していない。したがって、HCDガスは気相反応を起こすことなく、ウエハ200の表面、あるいはウエハ200上にすでに吸着しているHCD分子の吸着層等の表面と化学吸着(表面反応)を起こして、HCD分子の吸着層またはSi層を形成する。HCD分子の吸着層とは、HCD分子の連続的な吸着層のほか、不連続な吸着層をも含む。Si層とは、HCD分子が分解して生成されたSiにより構成される連続的な層のほか、これらが重なってできるSi薄膜をも含む。なお、これらすべてを指してSi含有層という場合もある。なお、Siは、それ単独で固体となる元素である。
なお、HCDガスの供給を開始する前には、上述のように、処理室201内を所定の圧力としておく。HCDガスの供給開始前の段階では、処理室201内は、例えばNガス等の不活性ガスで満たされ(図6(a)参照)、30Pa程度の圧力となっている。続いて、上述のようにHCDガスを処理室201内に供給すると(図6(b)参照)、処理室201内の圧力は、例えば200Paから1330Paの範囲内に上昇する。具体的には、HCDガスの吸着確率を高めるため、処理室201内の圧力を例えば133Pa以上とするとよい。あるいは後述するように、少なくとも不活性ガスを第1ノズル249a内に供給して第1ノズル249a内に残留しているHCDガスを処理室201内に押し流した後には、処理室201内の圧力が133Pa以上となっていることが好ましい。HCDガスの供給量を必要最小限とするため、係る圧力は、HCDガスの供給開始前の処理室201内の圧力を適正値とすることにより調整可能である。あるいは、HCDガス供給時に不活性ガス等の希釈ガスをHCDガスとともに供給することによっても調整可能である。但し、ALD薄膜の成長速度の低下を避けるには、希釈ガス等を用いないほうが望ましい。
また、HCDガスの供給量は、例えば100cc/秒から500cc/秒の範囲内とする。HCDガスの供給開始から供給停止までの時間は、例えば2秒から10秒の範囲内とする。HCDガスの使用量を必要最小限にするためには、供給量はなるべく少なく、供給時間はなるべく短くすることが好ましく、具体的には、10cc/秒の供給量で1秒間、HCDガスを供給することができる。これにより供給される10ccのHCDガスが有効に活用されれば、理論上、例えば直径300mmのウエハ200の100枚分の表面全面に、1層分のHCD分子又はSi原子を吸着させることが可能である。
(不活性ガス供給工程S42)
しかし、上記工程においてHCDガスの供給を停止した時点では、第1ノズル249a内に一部のHCDガスが残留していることがある。つまり、上記の第1ガス供給工程S41を実施した段階では、第1ガス供給部より供給したHCDガスの所定量、例えば10ccに対して、実際に処理室201内に供給される量はこれより少ない場合がある。第1ノズル249a内にHCDガスが残留する要因としては、例えば第1ノズル249a内の内部圧力の上昇や、第1ノズル249a内へのHCDガスの吸着等が挙げられる。特に、上述のように、ガスの吸着効率の向上のために処理室501内の排気を制限してHCDガスを処理室501内に滞留させた場合には、第1ガス249aの内部圧力が上昇し易く、HCDガスの残留が起こり易い。この状態のまま、後述する第1ガス除去工程S43を実施すると、第1ノズル249a内に残留したHCDガスは、ウエハ200表面に吸着することなく処理室201外へと排出されてしまうため、ガスの使用効率を著しく低下させる要
因となってしまう。
そこで、本願発明者等は、不活性ガス供給工程S42を新たに設け、処理室201内の排気速度を低下させた状態を保ったまま、不活性ガスを第1ノズル249a内に供給して上述の第1ノズル249a内に残留しているHCDガスを下流側、すなわち処理室201内に押し流すことに想到した。これによって、より多くのHCDガス、例えば第1ガス供給部により供給した所定量と略等しいHCDガスを処理室201内に供給することができる。そして、さらにHCDガスを所定時間、処理室201内に滞留させることにより、処理室201内に新たに押し流されたHCDガスもウエハ200表面の吸着反応に寄与することとなり、ガスの使用効率を向上させることができる。
不活性ガス供給工程S42の具体的手法としては、バルブ255dを開けることにより、貯留管261d内に加圧状態で貯留されていた不活性ガスを第1ノズル249a内に供給する。加圧状態となっている不活性ガスが瞬時に第1ノズル249a内に流れ込むので、より確実に、第1ノズル249a内に残留するHCDガスを処理室201内に押し流すことができる。また、上述のように、少なくともHCDガスを処理室201内に押し流した後に、処理室201内の圧力が133Pa以上となっていることが好ましい。所定時間が経過したら、バルブ255d、255aを閉じ、不活性ガスの供給を停止する。
なお、HCDガスを処理室201内に滞留させる時間は、少なくとも上述の第1ガス供給工程S41におけるHCDガスの供給開始から1秒以上、好ましくはHCDガスの供給停止後から1秒以上、より好ましくは、第1ノズル249a内のHCDガスを処理室201内に押し流した後から1秒以上とする。
また、不活性ガスを第1ノズル249a内に供給する際は、第1ノズル249a内を満たすのに必要充分な供給量とすることが望ましい。すなわち、理想的には、第1ノズル249a内部の容積分及びバルブ254a、256a、255dから下流側の第1ノズル249aに至るガス配管の容積分と等しい供給量の不活性ガスを供給する。これにより、第1ノズル249a内に残留していたHCDガスが処理室201内へと押し流され、第1ノズル249a内が不活性ガスで満たされる(図6(c)参照)。よって、第1ノズル249a内に残留しているHCDガスを処理室201内へと供給することができ、より多くのHCDガスを基板処理に寄与させることができる。
ただし、不活性ガスの供給量は、上記理想的な供給量より少なくても多くてもよい。供給量が少ない場合、第1ガスノズル249a内等に依然HCDガスの一部が残留することとなるが、HCDガスを処理室201内へと押し流す一定の効果は得られる。また、供給量が多い場合、一部の不活性ガスが処理室201内へも供給されて処理室201内のHCDガスが若干希釈されることとなるが、より確実に第1ノズル249a内からHCDガスを排出することができる。ただし、処理室201内に供給される不活性ガスがあまりにも多い場合は、HCDガスのウエハ200への吸着や堆積を阻害するおそれが生じるため、不活性ガスの供給量には最適値がある。
HCDガスが第1ノズル249a内からより確実に排出されることで、分解性のあるHCDガスが第1ノズル249a内に長く残留することがないので、処理室201内の熱によりHCDガスが第1ノズル249a内で分解するのを抑制することができる。これにより、分解副生成物が第1ノズル249a内に堆積し、長期間経過する間に第1ノズル249aに目詰まりを起こしてしまうのを抑制することができる。よって、長期間に亘って安定的に、第1ノズル249aを介して処理室201内に所定の供給量のHCDガスを供給することができ、安定した基板処理特性が得られる。また、基板処理装置101のメンテナンス周期を長期化することができる。
(第1ガス除去工程S43)
HCDガスを所定時間、処理室201内に滞留させた後は、APCバルブ244を開けて処理室201内を真空排気し、残留しているHCDの気化ガスや反応後の分解物(排ガス)等を排除する。このとき、不活性ガス供給管232dが備えるバルブ255d及びバルブ255aを開け、N等の不活性ガスを処理室201内に供給する(図6(d)参照)。これにより、処理室201内や第1ノズル249a内から残留ガスを排除する効果をさらに高めることができる。所定時間経過後、バルブ255d、255aを閉じて第1ガス除去工程S43を終了する。第1ガス除去工程S43の実施時間は、例えば2秒から5秒の範囲内とすることができる。
なお、上述の不活性ガス供給工程S42において、第1ノズル249a内への不活性ガスの供給は、所定時間経過後停止するとしたが、HCDガスの滞留時間と不活性ガスの供給時間とのタイミングによっては、不活性ガスの供給を一旦停止することなくバルブ255dを開放したままとし、不活性ガス供給工程S42から第1ガス除去工程S43において継続的に不活性ガスの供給を維持してもよい。
(第2ガス供給工程S51)
処理室201内の残留ガスを除去した後、第2ガス供給管232bのバルブ253b、254b、255bを開き、マスフローコントローラ241dにより流量制御しながら、NHガス供給源からバッファ室237内に第2ガスとしてのNHガスを供給する。また、バルブ243eを開き、不活性ガスを流す。不活性ガスはNHガスと一緒にバッファ室237内に供給される。このとき、第1棒状電極269及び第2棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加することで、バッファ室237内に供給されたNHガスをプラズマ励起し、活性種としてガス供給孔250eから処理室201内に供給しつつガス排気管231から排気する。
NHガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ244を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば20Paから133Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ241bで制御するNHガスの供給流量は、例えば3000cc/秒から10000cc/秒の範囲内の流量とする。NHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間は、例えば5秒から60秒の範囲内とする。このときのヒータ207の温度は、上記と同様、ウエハ200の温度が70℃から600℃の範囲内となるように設定する。なお、高周波電源273から第1棒状電極269及び第2棒状電極270間に印加する高周波電力は、例えば100Wから1000Wの範囲内の電力となるように設定する。NHガスは反応温度が高く、上記のようなウエハ温度、処理室201内圧力では反応し難いが、プラズマ励起することにより活性種としてガス供給孔250eから処理室201内に流すようにしているので、ウエハ200の温度は上述のように設定した低い温度範囲のままでも反応させることができる。
第2ガス供給工程S51では、処理室201内に流しているガスはNHガスをプラズマ励起することにより得られた活性種、もしくは処理室201内温度・圧力を高くすることで熱的に活性化されたNHガス、並びにNガス等の不活性ガスのみであり、処理室201内にはNHガスとの反応を起こし得るHCDガス等は流していない。したがって、活性種となった、もしくは活性化されたNHガスは気相反応を起こすことなく、第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42でウエハ200上に形成されたHCDの吸着層またはSi層と表面反応し、これらSi含有層は窒化されてシリコン(Si)及び窒素(N)を含むSiN層へと改質される。
所定時間経過後、第2ガス供給管232bのバルブ254bを閉じて、NHガスの供給
を止める。また、高周波電源273から第1棒状電極269及び第2棒状電極270への高周波電力の供給を停止する。
(第2ガス除去工程S53)
上記工程終了後、APCバルブ244を開けて処理室201内を真空排気し、残留しているNHガスや反応後の分解物(排ガス)等を排除する。このとき、不活性ガス供給管232eが備えるバルブ255e及びバルブ255bは開放したままとし、N等の不活性ガスの処理室201内への供給を維持する。これにより、処理室201内や第2ノズル249b内から残留ガスを排除する効果をさらに高めることができる。所定時間経過後、バルブ255e、255bを閉じて第2ガス除去工程S53を終了する。第2ガス除去工程S53の実施時間は、例えば2秒から6秒の範囲内とすることができる。
(サイクル工程S70)
上記S41〜S53を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200上に所定膜厚、例えば数Åから1000ÅのSiN膜を形成する。図7に、上述のサイクルをnサイクル行なう例を示す。図7の横軸は経過時間を示し、縦軸は各ガスの供給タイミングを示している。
(降温工程及び常圧復帰工程S80)
所定のサイクルが繰り返され、所望の膜厚のSiN膜が成膜されたら、ヒータ207への電力供給を停止し、ボート217およびウエハ200を所定の温度にまで降下させる。そして温度を降下させる間、バルブ254a、254bを開放したまま維持し、図示しない不活性ガス供給源から処理室201内に不活性ガスの供給を継続する。これにより、処理室201内を不活性ガスで置換すると共に、処理室201内の圧力を常圧に復帰させる。
(基板搬出工程S90)
ウエハ200が所定の温度にまで降下し、処理室201内が常圧に復帰したら、上述の手順とは逆の手順により、成膜後のウエハ200を処理室201内から搬出する。すなわち、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降して、反応管203の下端を開口するとともに、処理済のウエハ200をボート217に保持した状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)する。その後、処理済みのウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。なお、ボート217を搬出するときには、バルブ254a、255a、及びバルブ254b、255bを開け、処理室201内にパージガスを供給し続けることが好ましい。以上により、処理炉202による基板処理工程を終了する。
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示すひとつまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、処理室201内の排気速度を低下させた状態で第1ノズル249aから処理室201内に第1ガスとしてのHCDガスを供給する第1ガス供給工程S41と、第1ガスの供給を止めた後、第1ノズル249a内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程S42と、を有する構成となっている。これによって、不活性ガスにより第1ノズル249a内に残留したHCDガスを押し流すことができる。そして、この押し流されたHCDガスをさらにウエハ200上への吸着反応に寄与させることができ、ガスの使用効率を向上させることができる。
(b)また、本実施形態によれば、上記構成により、第1ノズル249a内に残留したHCDガスを、より確実に処理室201内に排出することができる。これによって、第1ノ
ズル249a内でのHCDガスの吸着・分解が抑制され、第1ノズル249aの目詰まりを抑制することが可能となる。よって、目詰まりによるHCDガスの供給量の低下を抑制し、長期間に亘って安定的に所定量のHCDガスを処理室201内に供給することができる。また、基板処理装置101のメンテナンス周期を長期化することができる。
(c)また、第1ノズル249a内での吸着・分解を避けて処理室201内の温度を低下させる等の措置をとらなくともよく、HCDガスを確実に分解させることが可能な温度以上で各工程を行うことができる。これによって、基板処理の速度やガスの使用効率を向上させることができる。
(d)また、HCDガスのようにそもそも自己分解温度の低いガスを使用した場合であっても、処理室201内の温度の設定領域が低温領域へと広がるほか、例えば極性の高いガスや自己分解温度の低いガスの適用が容易となり、使用ガスの選択の幅が広がって所望の基板処理特性を得ることができる。
(e)また、本実施形態によれば、不活性ガス供給部は、不活性ガスを貯留する貯留管261dを有している。そして、不活性ガス供給部により不活性ガスを第1ノズル249a内に流す際は、不活性ガス供給部により貯留管261d内に不活性ガスを所定量貯留させてから瞬時に流す。これによって、より確実に第1ノズル249a内のHCDガスを排出することができる。
(f)また、本実施形態によれば、処理室201内に残留する第1ガスを除去する第1ガス除去工程S43をさらに有し、第1ノズル249aから処理室201内に不活性ガスを供給している。これによって、第1ノズル249a内に残留するHCDガスをより確実に処理室201内へと排出することができ、第1ノズル249a内でのHCDガスの吸着・分解をいっそう抑制することができる。
(g)また、本実施形態によれば、処理室201内の排気速度を低下させた状態で第1ノズル249aから処理室201内に第1ガスとしてのHCDガスを供給する構成となっている。これによって、HCDガスのウエハ200上への吸着が促進され、ガスの使用効率が向上する。
以下に、従来例に係る基板処理工程および課題について参考までに記載する。
図17に、従来例に係る処理炉502内での第1ガスの供給から除去までの様子をフロー図で示す。図17(a)には、HCDガス供給前の、処理室501内がNガス等の不活性ガスで満たされた状態を示す。ここへ、図17(b)に示すように、排気管531を介する処理室501内の排気を制限した状態で、第1ノズル549aから処理室501内にHCDガスを供給する。次に、図17(c)に示すように、HCDガスの供給を止め、所定時間HCDガスを処理室501内に滞留させる。これにより、ボート517上に載置されたウエハ200の表面へのHCDガスの吸着効率が高まってSi原子等がウエハ200上に堆積される。所定時間経過後、図17(d)に示すように、処理室501内の雰囲気を排気しながら第1ノズル549aから不活性ガスを処理室501内に供給し、処理室501内に残留するHCDガスを除去する。
しかしながら、上記においては、図17(c)でHCDガスを処理室501内に滞留させている間、一部のHCDガスは第1ノズル549a内に残留したままであった。そして、図17(d)に示すように、第1ノズル549a内に残留していたHCDガスは、ウエハ200表面に吸着することなく処理室501外に排出されてしまっていた。このように、第1ノズル549a内に残留していた分も含め、供給されたHCDガスのうちの90%
以上が反応に寄与することなく排気されてしまう場合があった。その結果、HCDガスの使用効率が充分に向上せず、基板処理工程の生産性が低下してしまうことがあった。
上述のような第1ノズル549a内へのHCDガスの残留は、例えば第1ノズル249a内の内部圧力の上昇によって起きる。特に、上述のように、ガスの吸着効率の向上のために処理室501内の排気を制限してHCDガスを処理室501内に滞留させた場合は圧力上昇が顕著となる。
第1ノズル549a内にHCDガスが残留し易くなる要因としては、第1ノズル549a内でのHCDガスの吸着や分解の影響も挙げられる。このように、処理室201内に到達する前に第1ノズル549a内でHCDガスが消費されてしまうと、ウエハ200上に到達できるHCDガスが減って、ガスの使用効率がますます低下する。なお、HCDガスが第1ノズル549a内に長く留まるほど、第1ノズル549a内で吸着や分解の起きる確率は高くなると考えられる。
このようなHCDガスの吸着・分解は、処理室501内の温度の影響で生じる。つまり、温度が低い場合は吸着し易く、温度が高い場合は分解し易い。これをHCDガスのウエハ200上での挙動でみると、ウエハ200の温度が例えば400℃以下のときは吸着が支配的になり、ウエハ200の温度が例えば400℃以上のときは自己分解反応を起こしてSiのような堆積成分が増加することが知られている。通常、ホットウォール型の基板処理装置においては、ガスの供給効率を上げるため、ノズルが基板の近傍に配置されている。したがって、ノズル内の温度は例えば処理室内の温度や基板の温度と略同等となっており、第1ノズル549a内においてもHCDガスの上記挙動が起きていると考えられる。このように、第1ノズル549a内でのHCDガスの吸着量や分解量は処理室501内の温度に依存することとなり、吸着量や分解量の制御・抑制が困難であった。
上記HCDガスの吸着や分解が起きると、第1ノズル549aの内壁やガス供給孔の周囲に分解副生成物が堆積して目詰まりを起こし、HCDガスの供給量が徐々に低下してしまう場合があった。これによって、ウエハ200の処理特性が悪化したり、不安定になったりする場合があった。係る弊害を未然に防ぐため、第1ノズル549aを交換したりクリーニングしたりして定期的なメンテナンスを行うことも可能であるが、安定した基板処理特性を保つため、頻繁にメンテナンスを行わなければならない場合があった。
一方で、ALD薄膜の成長速度を向上させるため、例えば極性の高いガスや自己分解温度の低いガスが使用されるようになってきた。上述のように、1原子層単位で成膜をしていくALD法では、例えばCVD法等の他の手法に比べて膜の成長速度が遅かったためである。しかし、係る特性を持つガスは吸着や分解が起こり易く、上述のノズル内へのガス吸着や分解副生成物の堆積の弊害がますます生じやすい。また、ノズル内でのガス吸着量や分解量の制御がますます困難になる場合があった。
以上のように、ALD法が抱えるいくつかの課題に対し、従来より様々な研究や対策がなされてきた。しかし、それぞれの課題は相互に連関しており、これらの課題をすべて同時に解決することは非常に困難であった。本実施形態によれば、上述の主要課題、すなわち、ガス使用効率が低い点や、ノズル内でのガス吸着や分解副生成物の堆積の問題、それに伴うメンテナンス周期の短期化、基板処理速度の低下等の課題を同時に改善することができる。
(6)本実施形態に係る変形例
続いて、本実施形態の変形例にかかる基板処理工程について説明する。本変形例においては、上記とは異なるガスを用い、異なる膜種のALD薄膜を成膜する点が、上述の実施
形態とは異なる。その他、使用する処理炉、フロー、ガス供給タイミングは、上述の実施形態と同様であるので、それぞれ図2、図5、図7を参照するものとして、以下に上述の実施形態とは異なる点について説明する。
本変形例においては、第1ガスとしてSi含有ガス、具体的にはビス−ターシャルブチルアミノシラン(BTBAS(Bis−tert−Amino−Silane):SiH(NH(C)))の気化ガスであるBTBASガスを用い、第2ガスとして酸素(O)含有ガス、具体的にはOガスを用いてウエハ200上に所望の絶縁膜、例えばSiO膜を成膜する。なお、ここでSiO膜はSiOを含む任意の組成のSiO膜である。液体原料としてのBTBASは常温で液体であり、上述のHCDガスと同様、例えば気化器261aを用いた供給方法が採られる。BTBASガスもHCDガスと同様、比較的低い温度で分解する自己分解性のガスである。
以下に、具体的な成膜条件を例示する。
(a)第1ガス供給工程S41(第1ガス:BTBASガス)
BTBASガス供給量:100cc/秒〜500cc/秒
BTBASガス供給時間:2秒〜10秒
処理室内圧力:200Pa〜1330Pa
(b)不活性ガス供給工程S42
BTBASガス滞留時間:2秒〜10秒
処理室内圧力:200Pa〜2660Pa
(c)第1ガス除去工程S43
実施時間:2秒〜6秒
(d)第2ガス供給工程S51(第2ガス:Oガス)
ガス供給量:2000cc/秒〜10000cc/秒
ガス供給時間:5秒〜60秒
処理室内圧力:20Pa〜133Pa
高周波電力:100W〜1000W
(e)第2ガス除去工程S53
実施時間:2秒〜6秒
(f)その他の条件
基板処理温度:70℃〜600℃
上記S41〜S53を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200上に所定膜厚、例えば数Åから1000ÅのSiO膜を形成する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る処理炉及び基板処理工程について、その構成を以下に説明する。本実施形態に係る処理炉は、3種類のガスを供給するガス供給系を備える点が、2種類のガス供給系を備える上述の実施形態とは異なる。また、本実施形態に係る基板処理工程は、上述の実施形態における第2ガス供給工程S51に相当する工程の後にも不活性ガス供給工程を有する点が、上述の実施形態とは異なる。以下に、その詳細を説明する。
(1)処理炉の構成
本実施形態にかかる処理炉202の構成について、主に図8を用いて説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、上述と同様の機能を有する構成要件に同一の符号を付して説明を省略する。
(第3ガス供給部)
図8、図9(b)に示すように、第2ガス供給部が有する第2ガス供給管232bのバルブ254bの下流側には、第3ガスとしての酸素(O)含有ガス、例えばNOガスを供給する第3ガス供給管232cが接続されている。図9(b)に示すように、第3ガス供給管232cには上流側から順に、図示しないNOガス供給源、開閉弁としてのバルブ253c、流量制御器(流量制御部)としてのマスフローコントローラ241c、開閉弁としてのバルブ254cが設けられている。バルブ253c、254c、255bを開けることにより、マスフローコントローラ241cにより流量制御しながら、NOガス供給源からバッファ室237を介して処理室201内にNOガスを供給可能なように構成されている。
また、第2ガス供給管232bに上流端が接続されるガス排気管236bのバルブ256bを開けることにより、バッファ室237や処理室201を介さずに第2ガスとしてのNHガス及び第3ガスとしてのNOガスを排気することができるように構成されている。
主に、第3ガス供給管232c、バルブ253c、マスフローコントローラ241c、バルブ254c、255b、第2ノズル249b、ガス供給孔250b、バッファ室237、ガス供給孔250eにより、処理室201内に第3ガスを供給する第3ガス供給部が構成される。
(不活性ガス供給部)
図9(b)に示すように、本実施形態においては、第2ガス供給部(第3ガス供給部)にも貯留部を有する不活性ガス供給部が接続されている。つまり、不活性ガス供給部の一部をなす不活性ガス供給管232eには、マスフローコントローラ241eとバルブ255eとの間に、さらにガスの逆流を防止する逆止弁としてのチャック弁254e、
異物を除去し、又はガス純度を向上させるフィルタ260e、貯留部としての貯留タンク262eが設けられている。貯留タンク262eは、不活性ガスを加圧した状態で貯留する。すなわち、バルブ252e、253eを開けることにより、マスフローコントローラ241eによって流量制御しながら、不活性ガス供給源から不活性ガスを供給し、貯留タンク262e内に加圧した状態で不活性ガスを貯留することが可能なように構成されている。さらにバルブ255e、255bを開けることにより、加圧した状態の不活性ガスを第2ノズル249b内に供給することが可能なように構成されている。
また、図9(a)に示すように、本実施形態においては、第1ガス供給部に接続される不活性ガス供給管232dにも、フィルタ260dとバルブ255dとの間に、さらに貯留部としての貯留タンク262dが設けられている。
このように、貯留タンク262d、262eを備える構成とすることで、上述の図4(a)の貯留管261dを備える構成と比べて、第1ノズル249a内のHCDガスや、第2ノズル249b内のNHガス及びNOガスを処理室201内に押し流す力がさらに強まる。
主に、不活性ガス供給管232d、バルブ252d、253d、マスフローコントローラ241d、チャック弁254d、フィルタ260d、貯留タンク262d、バルブ255d、255a、不活性ガス供給管232e、バルブ252e、253e、マスフローコントローラ241e、チャック弁254e、フィルタ260e、貯留タンク262e、バルブ255e、255bにより、第1ノズル249a内及び第2ノズル249b内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部が構成される。
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態にかかる基板処理工程について説明する。本実施形態に係る基板処理工程では、上記の3種類のガス供給系を備える処理炉202により、第1ガス、第2ガスとしてはそれぞれ、上述の実施形態と同様、HCDガス、NHガスを用い、第3ガスとしては酸素(O)含有ガス、具体的にはNOガスを用いてウエハ200上に所望の絶縁膜、例えばSiON膜を成膜する。なお、ここでSiON膜はSiONを含む任意の組成のSiON膜である。
図10は、処理炉202により実施される基板処理工程のフロー図である。また、図11は、本実施形態にかかる第1ガスの供給、第2ガス・第3ガスの供給を交互に繰り返す際のそれぞれの供給・排気のタイミングを例示するタイミングチャート図である。
上記のように、本実施形態に係る基板処理工程は、第2ガス・第3ガス供給工程S51(図5における第2ガス供給工程S51に相当)の後にも不活性ガス供給工程S52を有する点が、上述の実施形態とは異なる。以下の説明では、図10中、上述の実施形態と同様の工程については、上述と同一の符号を付して説明を省略する。
(ALD薄膜形成工程S41〜S70)
図10のS40a〜S50bを1サイクルとし、このサイクルを所定回数行なう(S70)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiON膜を形成する。すなわち、第1ノズル249a内に第1ガスとしてのHCDガスを流し、処理室201内の排気速度を低下させた状態で第1ノズル249aから処理室201内に第1ガスを供給する第1ガス供給工程S41を有する第1の工程S40aと、処理室201内に残留する第1ガスを除去する第2の工程S40bと、第2ノズル249b内に第2ガスとしてのNHガス及び第3ガスとしてのNOガスを流し、処理室201内の排気速度を低下させた状態で第2ノズル249bから処理室201内に第2ガス・第3ガスを供給する第2ガス・第3ガス供給工程S51を有する第3の工程S50aと、処理室201内に残留する第2ガス・第3ガスを除去する第4の工程S50bと、を1サイクルとしてこのサイクルを順に所定回数繰り返すことにより、ウエハ200に所定のALD薄膜を形成する。
そして、第1の工程S40a及び第3の工程S50aは、第1ノズル249a内又は第2ノズル249b内に流した第1ガス、又は第2ガス・第3ガスを処理室201内に押し流すよう、不活性ガスを第1ノズル249a内又は第2ノズル249b内に供給する不活性ガス供給工程S42、S52をさらに有する。また、第2の工程S40bでは第1ガス除去工程S43を実施し、第4の工程S50bでは第2ガス・第3ガス除去工程S53を実施する。S41〜S43までは、上述の第1実施形態と同様の手順、処理条件にて行う。
(第2ガス・第3ガス供給工程S51)
第2ガス・第3ガス供給工程S51では、処理室201内にバッファ室237を介して、第2ガスとしてのNHガス及び第3ガスとしてのNOガスを供給する。具体的には、APCバルブ244の開度を絞って(APCバルブ244を閉じて処理室201内の排気を停止した状態も含む)処理室201内の排気速度を低下させた状態で、第2ガス供給管232bのバルブ253b、254b、255bを開き、マスフローコントローラ241bにより流量制御しながら、NHガス供給源からバッファ室237内に第2ガスとしてのNHガスを供給する。また、第3ガス供給管232cのバルブ253c、254cを開き、マスフローコントローラ241cにより流量制御しながら、NOガス供給源からバッファ室237内に第3ガスとしてのNOガスを供給する。
流量制御されたNHガスは流量制御されたNOガスと混合されて、バッファ室237内に供給される。このとき、第1棒状電極269及び第2棒状電極270間には高周波
電力を印加しない。また、処理室201内の温度は、例えば70℃から600℃の範囲内とし、処理室201内の圧力は、例えば20Paから1330Paの範囲内とする。これにより、バッファ室237内に供給されたNHガスとNOガスとは熱で活性化されて、ガス供給孔250eから処理室201内に供給される。なお、NHガスとNOガスとは熱で活性化させて供給した方が、穏やかな反応を生じさせることができ、酸化及び窒化を穏やかに行うことができる。
上記のように、処理室201内の排気速度を低下させた状態で、NHガス及びNOガスを所定時間、処理室201内に滞留させることで、NH分子及びNO分子の表面反応効率が高まり、ウエハ200上に形成されたSi含有層は酸化及び窒化されてシリコン(Si)、酸素(O)及び窒素(N)を含むSiON層へと改質される。
所定時間が経過したらバルブ254b、254cを閉じ、NHガス及びNOガスの処理室201内への供給を停止する。なお、バルブ255bは開けたままとしておく。
なお、NHガス及びNOガスの供給量は、例えばそれぞれ3000cc/秒から10000cc/秒の範囲内とする。また、供給時間は、例えば5秒から60秒の範囲内とする。具体的には、ガスの使用量を必要最小限にするため、3000cc/秒の供給量で15秒間、NHガス及びNOガスをそれぞれ供給することができる。
(不活性ガス供給工程S52)
次に、第2ノズル249b内に残留したNHガス及びNOガスが有効に活用されるよう、上述の第2ノズル249b内に残留しているNHガス及びNOガスを下流側、すなわち処理室201内に押し流す。具体的には、バルブ255eを開けることにより、貯留タンク262e内に加圧状態で貯留されていた不活性ガスを第2ノズル249b内に供給する。本実施形態においては、貯留タンク262eをさらに備える構成としたので、NHガス及びNOガスを処理室201内に押し流す力がさらに強まり、より確実に、第2ノズル249bからNHガス及びNOガスを排出ことができる。所定時間が経過したら、バルブ255e、255bを閉じ、不活性ガスの供給を停止する。
不活性ガスを第2ノズル249b内に供給する際の処理室201内の圧力や不活性ガスの供給量等は、これまでに述べてきた不活性ガス供給工程S42と同様とすることができる。これにより、第2ノズル249b内に残留していたNHガス及びNOガスが処理室201内へと押し流され、第2ノズル249b内が不活性ガスで満たされる。
NHガス等のような極性分子は第2ノズル249b内での吸着が起き易いため、自己分解性を持たず、分解副生成物等を堆積させることのないNHガス等のようなガスに対しても本発明を適用することは有効である。上記により、第2ノズル249b内に残留していたNHガス及びNOガスが、より確実に処理室201内に供給されるので、NHガス及びNOガスの使用効率を向上させることができ、また、安定的に所定量のNHガス及びNOガスを処理室201内に供給することができる。
上記の状態を維持したまま、さらにNHガス及びNOガスを所定時間、処理室201内に滞留させ、NH分子及びNO分子の表面反応を促進させる。なお、NHガス及びNOガスを処理室201内に滞留させる時間は、上述の不活性ガス供給工程S42と同様とすることができる。
(第2ガス・第3ガス除去工程S53)
APCバルブ244、バルブ255e、255bを開け、不活性ガスを処理室201内に供給しつつ、処理室201内を真空排気し、残留しているNHガスやNOガス、反
応後の分解物(排ガス)等を排除する。所定時間経過後、バルブ255e、255bを閉じる。第2ガス・第3ガス除去工程S53の実施時間は、第1ガス除去工程S43と同様とすることができる。なお、各工程間のタイミングによっては、不活性ガス供給工程S52から第2ガス・第3ガス除去工程S53において継続的に不活性ガスの供給を維持してもよい。
(サイクル工程S70)
上記S41〜S53を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200上に所定膜厚、例えば数Åから1000ÅのSiON膜を形成する。図11に、上述のサイクルをnサイクル行なう例を示す。
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
また本実施形態によれば、第2ガス、第3ガスを供給する際にも、不活性ガス供給工程S52、S62を実施している。これによって、第2ガス、第3ガスについても、ガスの使用効率を向上させることができ、また、安定的な供給が可能となる。
また本実施形態によれば、不活性ガス供給部は、不活性ガスを貯留する貯留タンク262d、262eを有している。これによって、より確実に第1ノズル249a内の第1ガスや、第2ノズル249b内の第2ガス、第3ガスを排出することができる。
(4)本実施形態に係る変形例
続いて、本実施形態の変形例にかかる基板処理工程について説明する。第3実施形態においては、3種類のガスのうち、2種類のガスを同時に処理室201内に供給することとしたが、3種類のガスを1種類ずつ順に処理室201内に供給し、それを複数回繰り返すという手法をとることも可能である。本変形例においては、上記とは異なるガスを用い、それぞれのガスを1種類ずつ供給して異なる膜種のALD薄膜を成膜する点が、上述の実施形態とは異なる。使用する処理炉は上述の実施形態と同様であるので図8を参照するものとして、以下に、上述の実施形態とは異なる点について説明する。
本変形例においては、第1ガスとしてSi含有ガス、具体的にはBTBASガスを用い、第2ガスとして炭素(C)含有ガス、具体的にはCガスを用い、第3ガスとして窒素(N)含有ガス、具体的にはNHガスを用いてウエハ200上に所望の絶縁膜、例えばSiCN膜を成膜する。なお、ここでSiCN膜は任意の組成のSiCN膜である。
図12は、本変形例に係る基板処理工程のフロー図である。また、図13は、本変形例に係る第1ガスの供給、第2ガスの供給、第3ガスの供給を順に繰り返す際のそれぞれの供給・排気のタイミングを例示するタイミングチャート図である。
図12に示すS41〜S43は上述のBTBASを使用する実施形態と同様の手順、処理条件にて行う。また、S51〜S63までの工程についても、S51〜S53では第2ガスのみを使用する点、S61〜S63までは第3ガスのみを使用する点以外、上述の実施形態のS51〜S53までの工程と同様の手順にて行う。
以下に、S51〜S63までの具体的な成膜条件を例示する。
(a)第2ガス供給工程S51(第2ガス:Cガス)
ガス供給量:2000cc/秒〜6000cc/秒
ガス供給時間:5秒〜60秒
処理室内圧力:20Pa〜1330Pa
(b)不活性ガス供給工程S52
ガス滞留時間:2秒〜10秒
処理室内圧力:20Pa〜2660Pa
(c)第2ガス除去工程S53
実施時間:2秒〜10秒
(d)第3ガス供給工程S61(第3ガス:NHガス)
NHガス供給量:3000cc/秒〜10000cc/秒
NHガス供給時間:5秒〜60秒
処理室内圧力:20Pa〜1330Pa
(e)不活性ガス供給工程S62
NHガス滞留時間:2秒〜20秒
処理室内圧力:20Pa〜2660Pa
(f)第3ガス除去工程S63
実施時間:2秒〜10秒
(g)その他の条件
基板処理温度:70℃〜600℃
以上、S41〜S63を1サイクルとし、このサイクルを所定回数実施することにより、ウエハ200上に所定膜厚、例えば数Åから1000ÅのSiCN膜を形成する。図13に、上述のサイクルをnサイクル行なう例を示す。
[他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
すなわち、上述の実施形態で述べた以外のガス組合せ、供給順で各ALD薄膜を形成することが可能であり、本発明は、その中の任意のガス供給工程に対して適用することが可能である。その際、任意のガス供給工程にて、幾種類かのガスを同時に供給することも可能である。また、プラズマによるガス励起を任意の工程に適用することが可能である。
例えば、第1実施形態の第2ガス供給工程S51においては、NHガスを供給する際にプラズマ励起させることとしたが、NHガスをプラズマによる手法に依らずに、熱的に活性化することも可能である。
また、不活性ガスの供給には、貯留部としての貯留管261dや、貯留タンク262d、262eを備えるガス供給系を適用することが可能であるほか、貯留部を有さない通常のガス供給系によっても、本発明に係る不活性ガスの供給を行うことが可能である。
また、不活性ガスや第1ガス等の反応性ガスの供給量、供給時間等は、ガス供給系の構成やノズル径、ノズル長等に応じて、適宜、最適化することが可能である。このとき、例えばノズルの内径を太くして内部圧力を低下させたり、第1ガス等の反応性ガスを供給する際に不活性ガス等で希釈して反応性ガスの分圧を低下させたりしたうえで、本発明を適用することも可能である。ノズルの内径を単に太くしただけでは、ノズル内の反応性ガスの存在量自体が増加して反応性ガスの供給効率が低下してしまうが、本発明の適用により、不活性ガスによってノズル内に残留した反応性ガスが押し流されるため、供給効率を低下させることがない。なお、反応性ガスを希釈して供給する際は、ウエハ200上に吸着し難くなったり、一度吸着したHCDガスが離脱し易くなったりする場合があるので注意が必要である。
また、上記の実施形態とは異なるガス種を用いて、種々のALD膜を成膜する際にも、
その中の任意のガス供給工程に対して、本発明を適用することが可能である。
具体例としては、Si含有ガスを用いてSi系膜を成膜する場合や、金属含有ガスを用いて金属系膜を成膜する場合等がある。Si含有ガスとしては、HCDガスに替えて、例えばジクロロシラン(DCS(Di−Chloro−Silane):SiHCl)を気化させたDCSガスを使用することも可能である。液体原料としてのDCSは常温で液体であり、HCDガスと同様、気化器を備えるガス供給系により供給することができる。DCSガスもHCDガスと同様、比較的低い温度で分解する自己分解性のガスである。また、その他に、モノシラン(SiH)ガスやジシラン(Si)ガス、トリシラン(Si)ガスのようなシリコン水素塩化物のガス、トリクロロシラン(SiHCl)ガスやテトラクロロシラン(SiCl)ガスのようなシリコン塩化物のガス等を用いることができる。Si系膜としては、上述のSiNやSiO、SiON,SiCN等の膜の他に、SiC、SiOCN等のALD薄膜を成膜することができる。
また、金属含有ガスとしては、TMA(トリメチルアルミニウム:(CHAl)ガス等のAl含有ガスや、TEMAH(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム:Hf(NEtMe))ガス等のHf含有ガス、TEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム:Zr(NEtMe)、)ガス等のZr含有ガス等を用いることができ、金属系膜としては、AlOやHfO、ZrO、HfAlO、ZrAlO等のALD薄膜を成膜することができる。
また、酸素(O)含有ガスとしては、Oガスに替えて、例えばオゾン(O)ガス等も用いることができる。Oガスは分解によりOや酸素ラジカルを発生させるため、反応性の高いガスである。よって、例えばプラズマ励起により活性種としなくとも充分な反応性が得られやすい。また、OガスやOガスの他に、例えばHO(水蒸気)等を用いることも可能である。また、NOガスに替えて、NOガス等を用いることも可能である。炭素(C)含有ガスとしては、Cガスのほか、Cガス、Cガス等の炭化水素系ガス等の使用が可能である。
また、上述の実施形態においては、主に、化学量論組成を有するALD薄膜を形成するシーケンス例について説明したが、ガス供給流量、ガス供給時間、処理室201内の温度、プラズマ方式の場合はプラズマパワー等の成膜条件を制御することにより、化学量論組成を有さないALD薄膜を形成することも可能である。例えば、化学量論組成を有さないSiN膜を形成する手法について、以下に、いくつかの具体例を挙げて説明する。
化学量論組成を有さないALD薄膜を形成する手法として、例えば上述のS41〜S53を1サイクルとする工程の組み合わせにおいて、Si層の窒化反応を飽和させないようにすることができる。例えば第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42で数原子層のSi層を形成した場合は、その表面層(表面の1原子層)の少なくとも一部を窒化させる。この場合、数原子層のSi層の全体を窒化させないように、Si層の窒化反応が非飽和となる条件下で各工程を実施する。なお、条件によっては数原子層のSi層の表面層から下の数層を窒化させることもできるが、表面層だけを窒化させる方が、SiN膜の組成比の制御性を向上させることができるため好ましい。また、例えば第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42で1原子層または1原子層未満のSi層を形成した場合は、そのSi層の一部を窒化させるようにする。この場合も、1原子層または1原子層未満のSi層の全体を窒化させないように、Si層の窒化反応が非飽和となる条件下で各工程を実施する。なお、窒素は、それ単独では固体とはならない元素である。
Si層の窒化反応が非飽和となるようにするには、例えば上記第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42における処理室201内の圧力、または、圧力およびガス
供給時間を、化学量論的な組成を持つSiN膜を形成する場合よりも高く、または、長くする。このように処理条件を制御することで、第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42におけるSiの供給量を、化学量論的な組成を持つSiN膜を形成する場合よりも過剰にする。そして第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42におけるSiの過剰供給により、第2ガス供給工程S51におけるSi層の窒化反応を飽和させないようにする。すなわち、化学量論的な組成を持つSiN膜を形成する場合よりも、第1ガス供給工程S41及び不活性ガス供給工程S42で与えるSi原子の数を過剰にし、これにより、第2ガス供給工程S51でのSi層の窒化反応を抑制させる。このように、化学量論的な組成に対し、シリコン(Si)の方が窒素(N)よりも過剰となるようにSiN膜の組成比を制御する。
もしくは、第2ガス供給工程S51における処理室201内の圧力、または、圧力およびガス供給時間を、化学量論的な組成を持つSiN膜を形成する場合よりも低く、または、短くする。このように処理条件を制御することで、第2ガス供給工程S51における窒素の供給量を、化学量論的な組成を持SiN膜を形成する場合よりも不足させる。そして第2ガス供給工程S51における窒素の不足供給により、第2ガス供給工程S51におけるSi層の窒化反応を飽和させないようにする。すなわち、化学量論的な組成を持つSiN膜を形成する場合よりも、第2ガス供給工程S51で与える窒素原子の数を不足させ、これにより、第2ガス供給工程S51でのSiN層の窒化反応を抑制させる。このように、化学量論的な組成に対し、シリコン(Si)の方が窒素(N)よりも過剰となるようにSiN膜の組成比を制御する。
次に、具体的な数値を挙げて本発明に係る実施例を示す。
本実施例では、図2に示す処理炉202と同様の構成の処理炉により、図5に示す工程と同様の工程を用いてSiN膜を成膜したときのHCDガスの消費量を測定した。測定にあたっては、HCDガスの供給量を0.3SLMから0.5SLMまで変化させ、それぞれの供給量における消費量について測定を行った。
本実施例に係る基板処理工程は、図14に例示するサイクルレシピに従って実施した。図14に示すように、本実施例に係るサイクルレシピは、STEP1〜STEP12までの12ステップを有し、各種パラメータ及びその設定値により構成されている。パラメータとしては、各ステップのタイミング(ALD Timing)や、各ステップにおける処理内容(EVENT NAME)、到達目標圧力(Peak PRS)、処理時間(TIME)、APCバルブ244動作(APC)、真空ポンプ246の排気(Pump)、各種ガスの供給量(GAS F/R SLM)等があり、それぞれ任意の動作や値が設定されている。図14には、HCDガスの供給量が0.3SLMの場合が例示されている。図中、「N:0.5SLM Push」とあるのが、不活性ガス供給工程S43に係る設定を表わしたものである。なお、図14に例示するサイクルレシピは、処理炉202における基板処理の状態を示す基板処理状態表示画面として、例えばコントローラ121に接続された図示しないモニタ装置(画面表示装置)に表示されるように構成されている。
本実施例の具体的な成膜条件を、以下に示す。
(a)第1ガス供給工程S41(図14のSTEP4参照)
HCDガス供給量:0.3SLM、0.4SLM、0.5SLM
HCDガス供給時間:2秒
処理室内圧力(到達目標圧力):300Pa
APCバルブ動作:閉
(b)不活性ガス供給工程S42(図14のSTEP5参照)
不活性ガス供給量:0.5SLM
HCDガス供給量:0SLM
HCDガス滞留時間:2秒
処理室内圧力(到達目標圧力):440Pa
APCバルブ動作:閉
(c)第1ガス除去工程S43(図14のSTEP6〜7参照)
(真空排気)
実施時間:4秒
処理室内圧力(到達目標圧力):34Pa
APCバルブ動作:開
(圧力調整)
NHガス供給量:3SLM
NHガス供給時間:2秒
処理室内圧力(到達目標圧力):232Pa
APCバルブ動作:閉
(d)第2ガス供給工程S51(図14のSTEP8〜12参照)
NHガス供給量:3SLM
NHガス供給時間:19秒
処理室内圧力(到達目標圧力):42Pa〜680Pa
APCバルブ動作:開/閉
(e)第2ガス除去工程S53(図14のSTEP1〜3参照)
(真空排気)
実施時間:4秒
処理室内圧力(到達目標圧力):31Pa
APCバルブ動作:開
(圧力調整)
実施時間:1秒
処理室内圧力(到達目標圧力):102Pa
APCバルブ動作:閉
(f)その他の条件
基板処理温度:600℃
1サイクル(上記(a)〜(e)まで):34秒
図15に、上記成膜条件下でのHCDガスの消費量を示す。すなわち、図15においては、第1ガス供給工程S41におけるHCDガスの供給量を0.3SLMから0.5SLMの間で変化させ、上記のサイクル(合計34秒間)を任意の回数実施したときの、それぞれの供給量におけるHCDガスの消費量を調べた。図15の横軸は、HCDガスの供給量(SLM)である。グラフ左側の縦軸は、1分あたりのHCDガスの消費量(cc/min)である。係る消費量(cc/min)は、上記のサイクルを任意の回数実施した際のHCDガスの総消費量(cc)をかかった時間(min)で割った値である。また、グラフ右側の縦軸は、直径300mmのウエハ200の100枚分の表面全面に、膜厚が1ÅのSiN膜が形成されるまでのHCDガスの消費量(cc/Å)である。係る消費量(cc/Å)は、上記のサイクルを任意の回数実施した際のHCDガスの総消費量(cc)を形成されたSiN膜の膜厚(Å)で割った値である。図中、◆印がHCDガスの各供給量における1分あたりのHCDガスの消費量(cc/min)であり、■印がHCDガスの各供給量における1ÅのSiN膜が形成されるまでのHCDガスの消費量(cc/Å)である。また、図中、○印は、上記と同一の条件下で第1ガスとしてDCSガスを用いた場合における、供給量が0.5SLMのときのDCSガスの消費量(cc/Å)である。
図15に示すように、HCDガスの供給量が0.3SLMのときHCDガスの消費量(
cc/min)、つまり基板処理に寄与した分量は、約80cc/minである。また、HCDガスの供給量が0.4SLMのときHCDガスの消費量(cc/min)は約110cc/minであり、HCDガスの供給量が0.5SLMのときHCDガスの消費量(cc/min)は約130cc/minである。このように、上述の実施形態に係る不活性ガス供給工程S42を本実施例の基板処理工程に適用することにより、0.3SLMから0.5SLMのすべての供給量において、供給されたHCDガスのうちの25%以上を基板処理に寄与させることができ、HCDガスの使用効率が向上していることが分かる。
これを、1ÅあたりのSiN膜の形成に消費されるHCDガスの消費量(cc/Å)に換算すると、HCDガスの供給量が0.3SLMのときHCDガスの消費量(cc/Å)は約40cc/Å、0.4SLMのとき約45cc/Å、0.5SLMのとき約55cc/Åである。また、DCSガスにおいては、DCSガスの供給量が0.5SLMのとき、DCSガスの消費量(cc/Å)は227cc/Åである。
図16に、図15の場合におけるSiN膜の堆積膜厚を示す。すなわち、図16は、HCDガスの使用効率を向上させた図15の基板処理条件下で、実際に得られるSiN膜の堆積膜厚を示したものである。図15と同様に図16の横軸は、HCDガスの供給量(SLM)を示している。グラフ左側の縦軸は、1サイクルあたりに形成されるSiN膜の膜厚(Å/cycle)である。係る膜厚(Å/cycle)は、上記のサイクルを任意の回数実施した後に形成されたSiN膜の膜厚(Å)を実施したサイクルの回数で割った値である。また、グラフ右側の縦軸は、1分あたりに形成されるSiN膜の膜厚(Å/min)である。係る膜厚(Å/min)は、上記のサイクルを任意の回数実施した後に形成されたSiN膜の膜厚(Å)をかかった時間(min)で割った値である。これらは、いずれも直径300mmのウエハ200の100枚分の表面全面に形成されたSiN膜の膜厚(Å)を測定して求めたものである。図中、◆印がHCDガスの各供給量における1サイクルあたりに形成されるSiN膜の膜厚(Å/cycle)であり、■印がHCDガスの各供給量における1分あたりに形成されるSiN膜の膜厚(Å/min)である。
図16に示すように、0.3SLMから0.5SLMのすべてのHCDガスの供給量において、1サイクルで形成されるSiN膜は1.2Å以上である。また、1分あたりに形成されるSiN膜はターゲット値である2.0Å以上3.0Å以下の範囲内となっている。図中、SiN膜の膜厚が0.85Å/minの付近に引かれた線は、同条件下でDCSガスを使用した場合に、1分間あたりに形成されるSiN膜の一般的な膜厚(Å/min)を参考のために示したものである。このように、上述の実施形態に係る不活性ガス供給工程S42を本実施例の基板処理工程に適用することにより、HCDガスの使用効率を向上させつつ、ターゲット値の範囲内にあるSiN膜の膜厚が得られた。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様を付記する。
本発明の一態様は、
基板が載置された処理室に連通する第1ノズルから、前記処理室内の排気速度を低下させた状態で前記処理室内に第1ガスを供給する第1ガス供給工程と、
前記第1ガスの供給を止めた後、前記第1ノズル内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程と、
前記処理室内に残留する前記第1ガスを除去する第1ガス除去工程と、
前記処理室に連通する第2ノズルから前記処理室内に第2ガスを供給する第2ガス供給工程と、
前記処理室内に残留する前記第2ガスを除去する第2ガス除去工程と、を有する
半導体デバイスの製造方法である。
本発明の他の態様は、
基板が載置された処理室に連通する第1ノズル内に第1ガスを流し、前記処理室内の排気速度を低下させた状態で前記第1ノズルから前記処理室内に前記第1ガスを供給する第1ガス供給工程を有する第1の工程と、
前記処理室内に残留する前記第1ガスを除去する第2の工程と、
前記処理室に連通する第2ノズル内に第2ガスを流し、前記処理室内の排気速度を低下させた状態で前記第2ノズルから前記処理室内に前記第2ガスを供給する第2ガス供給工程を有する第3の工程と、
前記処理室内に残留する前記第2ガスを除去する第4の工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを順に所定回数繰り返すことにより、前記基板に所定の膜を形成する半導体デバイスの製造方法であって、
前記第1の工程及び前記第3の工程は、
前記第1ノズル内又は前記第2ノズル内に流した前記第1ガス又は前記第2ガスを前記処理室内に押し流すよう、不活性ガスを前記第1ノズル内又は前記第2ノズル内に供給する不活性ガス供給工程をさらに有する
半導体デバイスの製造方法である。
好ましくは、
前記第1の工程及び前記第3の工程では、
前記第1ガス又は前記第2ガスを前記処理室内に1秒以上滞留させる。
さらに好ましくは、
前記第1の工程及び前記第3の工程では、
前記第1ガス又は前記第2ガスを前記不活性ガスで前記処理室内に押し流した後の前記処理室内の圧力が133Pa以上となるよう前記処理室内の排気を制御する。
好ましくは、
前記第1の工程から前記第4の工程では、
前記基板の温度が前記第1ガスの自己分解温度以上である。
さらに好ましくは、
前記第1ガスは、シリコンを含む化合物である。
本発明のさらに他の態様は、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に連通する第1ノズルを有し、前記第1ノズルを介して前記処理室内に第1ガスを供給する第1ガス供給部と、
前記処理室に連通する第2ノズルを有し、前記第2ノズルを介して前記処理室内に第2ガスを供給する第2ガス供給部と、
前記第1ノズル内及び前記第2ノズル内にそれぞれ不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、
前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部、前記不活性ガス供給部及び前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1ガス供給部により前記第1ノズルから前記処理室内に前記第1ガスを供給させる際は、前記排気部により前記処理室内の排気速度を低下させた状態で、前記第1ガス供給部により前記第1ガスを前記第1ノズル内に所定量だけ流させた後に前記第1ガスが前記処理室内に押し流されるよう前記不活性ガス供給部により前記不活性ガスを前記第1ノ
ズル内に供給させ、
前記第2ガス供給部により前記第2ノズルから前記処理室内に前記第2ガスを供給させる際は、前記排気部により前記処理室内の排気速度を低下させた状態で、前記第2ガス供給部により前記第2ガスを前記第2ノズル内に所定量だけ流させた後に前記第2ガスが前記処理室内に押し流されるよう前記不活性ガス供給部により前記不活性ガスを前記第2ノズル内に供給させる
基板処理装置である。
好ましくは、
前記不活性ガス供給部は、前記不活性ガスを貯留する貯留部を有し、
前記制御部は、
前記不活性ガス供給部により前記不活性ガスを前記第1ノズル内又は前記第2ノズル内に流させる際は、前記不活性ガス供給部により前記貯留部に前記不活性ガスを所定量貯留させてから瞬時に流させる。
本発明のさらに他の態様は、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に連通する第1ノズルを有し、前記第1ノズルを介して前記処理室内に第1ガスを供給する第1ガス供給部と、
前記処理室に連通する第2ノズルを有し、前記第2ノズルを介して前記処理室内に第2ガスを供給する第2ガス供給部と、
前記第1ノズル内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気部と、
前記第1ガス供給部、前記第2ガス供給部、前記不活性ガス供給部及び前記排気部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記排気部により前記処理室内の排気速度を低下させた状態で、前記第1ガス供給部により前記第1ノズルから前記処理室内に前記第1ガスを供給させ、
前記第1ガス供給部により前記第1ガスの供給を止めさせ、前記不活性ガス供給部により前記第1ノズル内に不活性ガスを供給させ、
前記排気部により前記処理室内に残留する前記第1ガスを除去させ、
前記第2ガス供給部により前記第2ノズルから前記処理室内に前記第2ガスを供給させ、
前記排気部により前記処理室内に残留する前記第2ガスを除去させる
基板処理装置である。
本発明のさらに他の態様は、
少なくとも1本以上のノズルが設置された処理室内に複数枚の基板を搬入する工程と、
前記ノズルから前記処理室内に反応性の第1ガスを供給して前記基板に噴射する第1の工程と、
前記ノズルから前記処理室内に不活性ガスを供給して前記基板に噴射する第2の工程と、
前記ノズルから前記処理室内に反応性の第2ガスを供給して前記基板に噴射する第3の工程と、
前記ノズルから前記処理室内に前記不活性ガスを供給して前記基板に噴射する第4の工程と、を1サイクルとしてこのサイクルを所定回数繰り返してALD薄膜を堆積する。
好ましくは、
前記第1の工程又は前記第3の工程では、
前記第1ガス又は前記第2ガスを前記処理室内に供給した後、前記ノズル内の前記第1
ガス又は前記第2ガスを不活性ガスで下流側へ押し流し、前記不活性ガスで前記ノズル内を満たす。
好ましくは、
前記第2の工程又は前記第4の工程では、
前記処理室内及び前記ノズル内の前記第1ガス又は前記第2ガスを前記不活性ガスで下流側へ押し流す。
好ましくは、
前記第1の工程又は前記第3の工程では、
前記ノズル内の前記第1ガス又は前記第2ガスを前記不活性ガスで下流側へ押し流した後、前記第1ガス又は前記第2ガスを前記処理室内に1秒以上滞留させる。
好ましくは、
前記第1の工程又は前記第3の工程では、
前記ノズル内の前記第1ガス又は前記第2ガスを前記不活性ガスで下流側へ押し流した後、前記処理室内の圧力が133Pa以上となるよう前記第1ガス又は前記第2ガスを滞留させる。
好ましくは、
前記ノズルから前記処理室内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部は、前記不活性ガスを貯留する貯留部を有する。
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
249a 第1ノズル
249b 第2ノズル

Claims (1)

  1. 基板が載置された処理室に連通する第1ノズルから、前記処理室内の排気速度を低下させた状態で前記処理室内に第1ガスを供給する第1ガス供給工程と、
    前記第1ガスの供給を止めた後、前記第1ノズル内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給工程と、
    前記処理室内に残留する前記第1ガスを除去する第1ガス除去工程と、
    前記処理室に連通する第2ノズルから前記処理室内に第2ガスを供給する第2ガス供給工程と、
    前記処理室内に残留する前記第2ガスを除去する第2ガス除去工程と、を有する
    ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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