JP2012022806A - 燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒層および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体および固体高分子形燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒層および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体および固体高分子形燃料電池 Download PDF

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早織 岡田
Haruna Hatazawa
晴菜 畑澤
Hiroyuki Morioka
弘幸 盛岡
Kazuhiro Takanabe
和広 高鍋
Jun Kubota
純 久保田
Kazunari Domen
一成 堂免
Kenichiro Ota
健一郎 太田
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Abstract

【課題】非貴金属元素を含み、酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電特性を兼ね備えた燃料電池用電極触媒の製造方法、それを用いた燃料電池用電極触媒層および固体高分子形燃料電池用膜電極接合体および固体高分子形燃料電池の提供。
【解決手段】工程(1)第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩及び、第2元素群、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩を錯体重合する工程と、工程(2)前記錯体重合した金属塩を酸窒化処理する工程を備えることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法により課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法並びにその用途に関する技術に係わる。より詳しくは、酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電性能を兼ね備えた、燃料電池用電極触媒、特にカソード触媒の製造方法並びにその用途に関する。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを、触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音などの特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。
用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性固体高分子膜を用いたものは、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly;以下、MEAと称すことがある)を備える。
その膜電極接合体は、高分子電解質膜の両面に一対の電極を配置させた構造となっている。
そして、上記固体高分子形燃料電池は、上記一対の電極のうちの一方の電極に対し水素を含有する燃料ガスを供給するためのガス流路を形成し、上記一対の電極のうちの他方の電極に対し酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路を形成する一対のセパレータで挟持した電池である。
ここで、燃料ガスを供給する電極をアノード(燃料極)、酸化剤を供給する電極をカソード(空気極)と呼んでいる。これらの電極は、一般に、白金系の貴金属などの触媒物質を担持したカーボン粒子と高分子電解質を積層してなる触媒層と、ガス通気性と導電性を兼ね備えたガス拡散層と、からなる。
固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度や耐久性の向上などが挙げられるが、最大の課題は低コスト化である。
現在の固体高分子形燃料電池には、高価な白金が電極触媒として用いられており、本格的な普及のため、代替材料の開発が強く求められている。
特に、カソード(空気極)は、アノード(燃料極)よりも多くの白金を使用しているため、カソードに対して、高い酸素還元触媒能を示す白金代替材料(非白金触媒)の開発が盛んである。
カソードに使用する非白金触媒の例として、例えば特許文献1には、遷移金属である鉄の窒化物と貴金属の混合物が記載されている。また、特許文献2には、遷移金属であるモリブデンの窒化物が記載されている。しかし、特許文献1及び特許文献2で記載されているような触媒物質は、酸性電解質中での酸素還元能が不充分であり、且つ、触媒物質が溶解する場合がある。
一方、非特許文献1には、部分酸化されたタンタルの炭窒化物が記載されており、優れた安定性と触媒能を持つことを示している。この酸化物系非白金触媒は、触媒単体として高い酸素還元触媒能を示している。
特開2005−44659号公報 特開2005−63677号公報
"Journal of The Electrochemical Society",Vol.155,No.4,pp.B400−B406(2008)
本発明の第1の目的は、酸素還元活性を有し、高い発電特性が得られる燃料電池用電極触媒の製造方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の製造方法により製造された電極触媒を用いた燃料電池用電極触媒層を提供することである。
本発明の第3の目的は、本発明の燃料電池用電極触媒層を備えた固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を提供することである。
本発明の第4の目的は、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、工程(1)第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩及び、第2元素群、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩を錯体重合する工程と、工程(2)前記錯体重合した金属塩を酸窒化処理する工程を備えることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法である。
本発明の請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の製造方法において、オキシカルボン酸を配合したグリコール溶液中に前記金属塩を溶解させて前記金属塩を錯体重合することを特徴とするものである。
本発明の請求項3に記載した発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の製造方法において、第1元素群より選ばれる非貴金属元素1に対して、第2元素群より選ばれる非貴金属元素をモル比で0.5〜20の割合で錯体重合する工程(1)を備えることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法において、工程(2)前記酸窒化処理する工程において、含窒素有機物を混合・加熱し、酸窒化処理すること特徴とするものである。
本発明の請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法において、前記錯体重合する工程の前又は後に炭素粒子を分散配合する工程を備えることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された製造方法により作製された燃料電池用電極触媒を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒層である。
本発明の請求項7に記載した発明は、アノード触媒層とカソード触媒層でプロトン伝導性固体高分子膜を挟持してなる膜電極接合体において、カソード触媒層が、請求項6に記載の電極触媒層からなることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体である。
本発明の請求項8に記載した発明は、請求項7に記載された燃料電池用膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池である。
本発明の請求項1記載の発明は、工程(1)第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩及び、第2元素群、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩を錯体重合する工程と、工程(2)前記錯体重合した金属塩を酸窒化処理する工程を備えることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法であり、
酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電特性を兼ね備え、高い発電特性が得られる燃料電池用電極触媒を容易に製造できるという、顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の製造方法において、オキシカルボン酸を配合したグリコール溶液中に前記金属塩を溶解させて前記金属塩を錯体重合することを特徴とするものであり、
金属元素を均一な状態で含ませることができるという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の製造方法において、第1元素群より選ばれる非貴金属元素1に対して、第2元素群より選ばれる非貴金属元素をモル比で0.5〜20の割合で錯体重合する工程(1)を備えることを特徴とするものであり、
触媒活性の安定性を高めることができるという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法において、工程(2)前記酸窒化処理する工程において、含窒素有機物を混合・加熱し、酸窒化処理すること特徴とするものであり、
触媒活性の安定性を高め、酸素還元活性を向上させることが出来るという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法において、前記錯体重合する工程の前又は後に炭素粒子を分散配合する工程を備えることを特徴とするものであり、
炭素粒子が金属酸窒化物の担持体となるので、金属酸窒化物を均一に分散できるとともに、炭素粒子の電気伝導性によって高いカソード触媒能を付与できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された製造方法により作製された燃料電池用電極触媒を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒層であり、
酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電特性を兼ね備え、高い発電特性が得られるという、顕著な効果を奏する。
本発明の請求項7に記載した発明は、アノード触媒層とカソード触媒層でプロトン伝導性固体高分子膜を挟持してなる膜電極接合体において、カソード触媒層が、請求項6に記載の電極触媒層からなることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体であり、
酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電特性を兼ね備え、高い発電特性が得られるという、顕著な効果を奏する。
本発明の請求項8に記載した発明は、請求項7に記載された燃料電池用膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池であり、
酸素還元活性を有し、化学的安定性と高い発電特性を兼ね備え、高い発電特性が得られるという、顕著な効果を奏する。
本発明に基づく実施形態に係る膜電極接合体を示す概略断面図である。 本発明に基づく実施形態に係る固体高分子形燃料電池の分解模式図を示す図である。 本発明の燃料電池用電極触媒の作製方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施例1の測定電極の、酸素還元反応の触媒能を評価した結果を示すボルタモグラムである。 比較例1の測定電極の、酸素還元反応の触媒能を評価した結果を示すボルタモグラムである。 比較例2の測定電極の、酸素還元反応の触媒能を評価した結果を示すボルタモグラムである。 本発明の実施例2、3および4の測定電極の、酸素還元反応の触媒能を評価した結果を示すボルタモグラムである。 本発明の実施例5の固体高分子形燃料電池の発電特性を測定した結果を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体12は、図1に示すように、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1の一方の面に配置された空気極側のカソード触媒層2と、高分子電解質膜1のもう一方の面に配置された燃料極側のアノード触媒層3を備えている。
(固体高分子形燃料電池)
本実施形態の固体高分子形燃料電池では、分解模式図である図2に示すように、上記膜電極接合体12におけるカソード触媒層2と対向させて空気極側のガス拡散層4が配置され、アノード触媒層3と対向させて燃料極側のガス拡散層5が配置されている。これにより、それぞれ空気極(カソード)6及び燃料極(アノード)7が構成される。
さらに、ガス拡散層4及びガス拡散層5にそれぞれ対向して配置される一組のセパレータ10を有する。各セパレータ10は、対向面側にガス流通用のガス流路8を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた、導電性でかつ不透過性の材料から構成される。
燃料極7側のセパレータ10のガス流路8からは燃料ガスとして、例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6側のセパレータ10のガス流路8からは、酸化剤ガスとして、例えば酸素を含むガスが供給される。
そして、燃料ガスの水素と酸素ガスとを触媒の存在下で電極反応させることにより、固体高分子形燃料電池は、燃料極7と空気極6の間に起電力を生じることができる。
ここで、図2に示した固体高分子形燃料電池は、一組のセパレータ10の間に、固体高分子電解質膜1、カソード触媒層2、アノード触媒層3、ガス拡散層4、5を配置した、いわゆる単セルの構造の固体高分子形燃料電池である。本発明に基づく固体高分子形燃料電池としては、上記構造の単セルを、セパレータ10を介して複数積層した、所謂スタック構造で構成されていても良い。
(燃料電池用電極触媒の製造方法)
本実施の形態に係わる燃料電池用電極触媒の製造方法は、第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩及び、第2元素群、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩を錯体重合する工程(1)と前記錯体重合した金属塩を酸窒化処理する工程(2)を備える。
工程(1)では上記金属塩を錯体重合する。
具体的には、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール溶液中に、クエン酸などのオキシカルボン酸を過剰に含ませ、その中に上記金属塩を溶解させると金属オキシカルボン酸錯体が得られる。
この状態で、120℃〜150℃程度の温度で加熱処理すると、オキシカルボン酸のカルボキシル基とグリコールのヒドロキシル基との間で脱水エステル反応が起こって、ポリエステル化したポリエステル高分子ゲルが得られる。この方法で得られたゲルは、その中の金属元素が均一な状態で含まれている。
エチレングリコールやプロピレングリコールなどの他に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、ヒドロキノン、メチルベンゼンジオール、ベンゼンジメタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
配合する材料の配合割合は特に限定されるものではないが、第1元素群より選ばれる非貴金属元素1に対して、第2元素群より選ばれる非貴金属元素をモル比で0.5〜20、好ましくは1〜12の割合で導入することにより、触媒活性の安定性を高めることができる。
0.5未満の場合では、安定性を高める効果が得られず、20を超えると触媒活性が低下してしまう。
具体例は後述の実験例に示すように、目的の特性が得られるようにモル比1〜12の範囲内で任意に調整して決定される。
なお、分散配合手段は、例えば、電気モーター攪拌機、エアーモーター攪拌機、マグネチックスターラー等の攪拌手段等が好ましく適用される。
こうした工程により、金属酸窒化物を構成する金属元素をゲル中に均一に分散させることができるので、例えば複数種の金属元素を配合する場合に金属元素毎に偏って析出する等の問題が生じにくいという利点がある。
その結果、その後の加熱処理によって各金属元素が均一に分散してなる酸窒化物を常に安定した状態で容易に得ることができる。
工程(2)において、含窒素有機物を混合・加熱し酸窒化処理することも可能であり、含窒素有機物としてはフェナントロリン,エチレンジアミン等を好適に用いることができる。
含窒素有機物は、第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素1に対してモル比で1〜10の割合で導入することにより、触媒活性の安定性を高めることができる。
また、前記錯体重合する工程の前又は後に炭素粒子を分散配合することができる。
すなわち、炭素粒子は、上記錯体重合法でポリエステル高分子ゲルとした後、つまり加熱処理した後に分散配合してもよいし、上記錯体重合法でポリエステル高分子ゲルとする前、つまり加熱処理する前に分散配合してもよい。
本実施形態に係る炭素粒子の配合割合は特に限定されるものではないが、最終的に得られる金属酸窒化物中の質量%で20〜99質量%の範囲になるように調整して配合されるのが好ましい。最終的に得られる金属酸窒化物中の質量%で30〜89質量%の範囲になるように調整して配合されるのがより好ましい。
炭素粒子としては、上記したように、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ナノグラファイト粒子、カーボンナノホーン、フラーレン及び活性炭から選ばれることが好ましいが、所望のカソード触媒能を示すことができれば他の伝導性微粒子であってもよい。
配合する炭素粒子の粒径も特に限定されないが、この炭素粒子が金属酸窒化物の担持体として作用し、金属酸窒化物を均一分散させるとともに、炭素粒子の電気伝導性によって高いカソード触媒能を実現するという作用を持つことから、その平均粒径は5nm以上、好ましくは10nm以上、また、1000nm以下、好ましくは100nm以下である。
特にこの発明では、得られる燃料電池用電極触媒粉末の大きさが、ここでの炭素粒子の大きさによってほぼ決まるので、この炭素粒子の大きさを調整することによって所望の大きさの燃料電池用電極触媒を得ることができる。
なお、このときの「平均粒径」は、透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で測定した値で評価した。
さらに、炭素粒子の電気伝導度は、酸素還元電流を高めることができるという観点から5000Ω・cm以下であることが好ましく、4000Ω・cm以下であることがより好ましい。
なお、炭素粒子を錯体重合工程前又は錯体重合工程後に均一に分散配合させる手段は、上記同様、電気モーター攪拌機、エアーモーター攪拌機、マグネチックスターラーを適用することが好ましい。
なお、錯体重合工程後に炭素粒子を分散配合する場合には、炭素粒子を均一に分散配合するという観点から、ゲル化したスラリーの粘度を0.001〜10000Pa・sの範囲に調整することが望ましい。0.01〜1000Pa・sの範囲に調整することがさらに望ましい。
工程(2)における酸窒化処理は、先ず、窒素雰囲気下で室温以上1600℃以下の範囲内の任意の温度で1分〜100時間程度の加熱処理を施して化合物としての金属酸化物を作製し、その後、アンモニアガス雰囲気下で400℃以上1500℃以下の範囲内の任意の温度で1分〜100時間程度の加熱処理を施して金属酸窒化物を作製することが好ましい。
ここで、アンモニアガス雰囲気下での金属酸化物とアンモニアとの反応では、窒化の進行とともに酸素がとれるのでアンモニアは還元剤かつ窒化剤として作用する。
したがって、アンモニアの供給速度や反応温度を変化させることにより、窒化の程度を制御できる。この反応の際に、アンモニアに加えて水蒸気と窒素の混合気体としてアンモニアの分圧を変化させ、窒化速度を下げることによって、窒化の度合いの場所による差が小さい均一に窒化された酸窒化物を得ることも可能である。
こうした工程を経て、上記した本発明に係るカソード触媒能を持つ所望の金属酸窒化物を作製することができる。
なお、この方法で得られた燃料電池用電極触媒は、例えばNafion(Dupont社の登録商標)とエタノール等の溶媒と配合し、燃料電池用集電体に塗布して容易に膜化することができる。膜化した電極触媒は、集電体上の各部で均一なカソード触媒能を示し、再現性のある安定した電極触媒とすることができる。
本実施形態に係る高分子電解質膜としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)などを用いることができる。
炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質膜を用いることができる。
中でも、高分子電解質膜としてデュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質膜を用いることができる。
本実施形態に係る触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜と同様のフッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。
フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料などを用いることができる。
また、炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質膜を用いることができる。
中でも、高分子電解質膜としてデュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
なお、触媒層と高分子電解質膜の密着性を考慮すると、高分子電解質膜と同一の材料を用いることが好ましい。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はない。
しかし、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましく、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどの極性溶剤などが使用される。
また、これらの溶剤のうち二種以上を混合させたものも使用できる。
また、溶媒として低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。
高分子電解質となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
本実施形態のカソード触媒層の製造方法において、導電性が付与された触媒物質と導電性物質と高分子電解質とを溶媒に分散させた触媒インクを作製する混合形成工程にあっては、予め導電性が付与された触媒物質と導電性物質とを無溶媒で混合させた後、その混合物を高分子電解質と共に溶媒に分散させることが好ましい。
導電性が付与された触媒物質と導電性物質を無溶媒で混合させることで、メカノケミカル効果により、強固に2つの粉末を結びつけることが可能である。導電性が付与された触媒物質と混合させる導電性物質としては、導電性ポリマー、炭素粉末等が挙げられるが、特に炭素粉末が好ましい。
触媒物質や炭素粒子を分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていても良い。
分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
上記アニオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルカノイルザルコシン、アルカノイルグルタミン酸塩、アシルグルタメート、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分
子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどのカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホサクシネート、スルホこはく酸ジアルキル塩、1,2−ビス(アルコキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸塩、アルキルスルホネート、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネート−ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホネート、アルカノイルメチルタウリド、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルポリエトキシ硫酸塩、ポリグリコールエーテルサルフェート、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、硫酸化油、高度硫酸化油などの硫酸エステル型界面活性剤、リン酸(モノまたはジ)アルキル塩、(モノまたはジ)アルキルホスフェート、(モノまたはジ)アルキルりん酸エステル塩、りん酸アルキルポリオキシエチレン塩、アルキルエーテルホスフェート、アルキルポリエトキシ・りん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、りん酸アルキルフェニル・ポリオキシエチレン塩、アルキルフェニルエーテル・ホスフェート、アルキルフェニル・ポリエトキシ・りん酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニル・エーテルホスフェート、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などのりん酸エステル型界面活性剤などが挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタインなどが挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、具体的には、例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記界面活性剤の中でもアルキルベンゼンスルホン酸、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸型の界面活性剤は、カーボンの分散効果、分散剤の残存による触媒性能の変化などを考慮すると、好適である。
上記混合形成工程で作製される触媒インクは、必要に応じて分散処理が行われる。触媒インクの粘度、粒子のサイズは、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。
分散処理は、様々な装置を用いておこなうことができる。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理などが挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザーなどを用いても良い。
触媒インク中の固形分含有量は、多すぎると触媒インクの粘度が高くなるため触媒層表面にクラックが入りやすくなり、また逆に少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまうため、1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
固形分は触媒物質および炭素粒子と高分子電解質からなるが、炭素粒子を多くすると同じ固形分含有量でも粘度は高くなり、少なくすると粘度は低くなる。そのため、固形分に占める炭素粒子の割合は10質量%以上80質量%以下が好ましい。また、このときの触媒インクの粘度は、0.1〜500cP程度が好ましく、さらに好ましくは5cP以上100cP以下が良い。また触媒インクの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
また、触媒インクに造孔剤が含まれても良い。造孔剤は、触媒層の形成後に除去することで、細孔を形成することができる。
酸やアルカリ、水に溶ける物質や、ショウノウなどの昇華する物質、熱分解する物質などを挙げることができる。温水で溶ける物質であれば、発電時に発生する水で取り除いても良い。
酸やアルカリ、水に溶ける造孔剤としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの酸可溶性無機塩類、アルミナ、シリカゲル、シリカゾルなどのアルカリ水溶液に可溶性の無機塩類、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、鉄などの酸またはアルカリに可溶性の金属類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸一ナトリウムなどの水溶性無機塩類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性有機化合物類などが挙げられ、二種以上併用することも有効である。
本実施形態の触媒層の製造方法において、触媒インクから触媒層を作製する工程にあっては、触媒インクは基材上に塗布され、乾燥工程を経て触媒層が形成される。
基材として、ガス拡散層もしくは転写シートを用いた場合には、接合工程によって高分子電解質膜の両面に触媒層は接合される。
また、本発明の膜電極接合体にあっては、基材として高分子電解質膜を用い、高分子電解質膜の両面に直接触媒インクを塗布し、高分子電解質膜両面に直接触媒層を形成することもできる。
このとき、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などを用いることができる。例えば、加圧スプレー法、超音波スプレー法、静電噴霧法などのスプレー法は、塗工された触媒インクを乾燥させる際に凝集が起こりにくく、均質で空孔率の高い触媒層が得ることができる。 本実施形態の触媒層の製造方法における基材としては、ガス拡散層、転写シートもしくは高分子電解質膜を用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性がよい材質であればよく、例えばエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレートなどの高分子シート、高分子フィルムを転写シートとして用いることができる。基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜に触媒層を接合後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜の両面に触媒層を備える膜電極接合体とすることができる。
ガス拡散層としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質のものを用いることができる。
具体的にはガス拡散層としてはカーボンクロス、カーボンペーパー、不織布などのポーラスカーボン材を用いることができる。ガス拡散層は基材として用いることもできる。
このとき、接合工程後にガス拡散層である基材を剥離する必要は無い。
ガス拡散層を基材として用いる場合には、触媒インクを塗布する前に、予め、ガス拡散層上に目処め層を形成させてもよい。
目処め層は、触媒インクがガス拡散層の中に染み込むことを防止する層であり、触媒インクの塗布量が少ない場合でも目処め層上に堆積して三相界面を形成する。このような目処め層は、例えばフッ素系樹脂溶液にカーボン粒子を分散させ、フッ素系樹脂の融点以上の温度で焼結させることにより形成することができる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが利用できる。
セパレータ10としては、カーボンタイプあるいは金属タイプのものなどを用いることができる。なお、ガス拡散層とセパレータ10は一体構造となっていても構わない。また、セパレータ10もしくは触媒層が、ガス拡散層の機能を果たす場合にはガス拡散層は省略されていても構わない。燃料電池としては、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより製造される。
本発明における固体高分子形燃料電池用電極触媒の製造方法について、以下に具体的な実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明は下記実施例によって制限されるものではない。
[実験例1]
(燃料電池用電極触媒の作製方法)
四塩化チタン(TiCl)1.77gと塩化鉄六水和物(FeCl・6HO)1.61gを金属塩原料とし、メタノール(CHOH)100ml中に、クエン酸(HOOCCHC(OH)(COOH)CHCOOH)11.58g、エチレングリコール(HOCHCHOH)14.74g加え、錯体重合法により重合反応を120℃〜150℃で30分行った。
重合反応によって得られたゲル状物質に、含窒素有機物であるフェナントロリン2.5gを加え、さらにカーボンブラック(VulcanXC72R(登録商標)Cabot社製、平均粒径:30nm)を質量比で、Ti/CB=6.6質量%になる様に加えた。
その後、窒素雰囲気下(100ml/min)で300℃3時間炭化処理を、アンモニアガス雰囲気下(50ml/min)で950℃5時間、窒化処理理を行った。
フローチャートを図3に示した。得られた粉末は溶出する金属成分を含有しているため、0.5M硫酸で80℃24時間、酸処理を行い、燃料電池用電極触媒を作製した。
(電気化学測定用電極の作製方法)
得られた電極触媒5mgを、エタノール1mL及び5質量%Nafion((登録商標)Dupont社製)0.05mLと混合し、超音波で30分間攪拌した。その後、超音波処理して得た電極触媒溶液を面積1cmに加工したカーボンペーパー(Toray社製、TGP−H−120)に塗布し、電極触媒量が0.12mg/cmになるように測定用電極を作製した。
(電気化学測定方法)
電気化学反応は3電極式セルを用いた。測定用電極を作用電極とし、対極にはカーボンペーパー、参照電極にはAg/AgCl電極を用い、0.1MのH2SO水溶液(30℃)、走査速度5mV/秒にて測定を行い、電極の安定性、酸素還元電位の測定を行った。
電極電位は、可逆水素電極(RHE)電位基準で表示した。酸素還元反応は窒素雰囲気下から酸素雰囲気下の電流の差を取ることで評価した。測定電極の電気化学測定を実施した後に、0.5M硫酸(HSO)中にて24時間、酸処理を行った後に、再び電気化学測定を実施した。
[実施例2]
実施例1の電気化学測定用電極の作製方法において、実施例1で得られた電極触媒溶液をカーボンペーパー上に塗布して、電極触媒量が0.12mg/cmになるように測定用電極を作製した以外は、実施例1と同様にして実施例2の測定用電極を作製した。
[実施例3]
実施例1の電気化学測定用電極の作製方法において、実施例1で得られた電極触媒溶液をカーボンペーパー上に塗布して、電極触媒量が2mg/cmになるように測定用電極を作製した以外は、実施例1と同様にして実施例3の測定用電極を作製した。
[実施例4]
実施例1の電気化学測定用電極の作製方法において、実施例1で得られた電極触媒溶液をカーボンペーパー上に塗布して、電極触媒量が4mg/cmになるように測定用電極を作製した以外は、実施例1と同様にして実施例4の測定用電極を作製し、電気化学測定を実施した。
[実施例5]
(カソード触媒層用インク)
実施例1で作製した燃料電池用電極触媒と、20質量%プロトン伝導性高分子電解質溶液(ナフィオン:登録商標、デュポン社製)を、遊星ボールミル(商品名:P−7、フリッチュ・ジャパン社製)を用いて混練した。
ボールミルのポット、ボールにはジルコニア製のものを用いた。プロトン伝導性高分子電解質は、電極触媒が1に対して質量比で0.7になる割合で調整し、カソード触媒層用インクを作製した。溶媒は、超純水、1−プロパノ−ルを体積比で1:1とした。
〔カソード触媒層の形成方法〕
ドクターブレードにより、カソード触媒層用インクを基材に塗布し、そして大気雰囲気中80℃で5分間乾燥させた。触媒層の厚さは、触媒物質担持量が3.5mg/cmになるようにインクの塗布量を調節し、カソード触媒層2を形成した。
〔アノード触媒層の作製〕
白金担持量が50質量%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%プロトン電導性高分子電解質溶液を溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで分散処理をおこなった。分散時間を60分間としたものを触媒インクとした。
触媒インクの組成比は、白金担持カーボン中のカーボンと、プロトン電導性高分子電解質は質量比で1:1とし、溶媒は超純水、1−プロパノ−ルを体積比で1:1とした。
また、固形分含有量は10質量%とした。カソード触媒層2と同様の手法で、基材に触媒インクを塗布し、乾燥させた。アノード触媒層の厚さは触媒物質担持量が0.3mg/cmになるように調節し、燃料極側のアノード触媒層3を形成した。
(固体項分子形膜電極接合体の作製)
(実施例)および下記の(比較例)において作製したカソード触媒層2が形成された基材と、アノード触媒層3を形成された基材を5cmの正方形に打ち抜き、高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標名)212、デュポン社製)の両面に対面するように転写シートを配置し、130℃、10分間の条件でホットプレスを行い、図2に示すような膜電極接合体12を得た。得られた膜電極接合体12の両面に、ガス拡散層として目処め層が形成されたカーボンクロス4、5を配置し、更に、一対のセパレータ10で挟持し、図2に示す単セルの固体高分子形燃料電池を作製した。
〔発電特性〕
(評価条件)
東陽テクニカ社製GFT−SG1の燃料電池測定装置を用いて、セル温度80℃で、アノードおよびカソードともに100%RHの加湿条件で発電特性評価を行った。燃料ガスとして純水素、酸化剤ガスとして純酸素を用い、流量一定による流量制御を行い燃料極側の背圧を300kPa、空気極側の背圧を300kPaとした。
[比較例1]
実施例1の燃料電池用電極触媒の作製方法において、四塩化チタンを加えずに作製した以外は、実施例1と同様にして比較例1の測定用電極を作製し、電気化学測定を実施した。
測定用電極の電気化学測定を実施した後に、実施例1と同様に、0.5M硫酸(HSO)中にて24時間、酸処理を行った後に、再び電気化学測定を実施した。
[比較例2]
実施例1の燃料電池用電極触媒の作製方法において、含窒素有機物であるフェナントロリン2.5gを加えずに作製した以外は、実施例1と同様にして比較例2の測定用電極を作製し、電気化学測定を実施した。
[結果]
図4は実施例1の測定電極について、酸素還元反応の触媒能を評価するボルタモグラムである。
図5、図6は比較例1、2の測定電極について酸素還元反応の触媒能を評価するボルタモグラムである。
図7は実施例2、3、4の測定電極について酸素還元反応の触媒能を評価するボルタグラムである。
図8は実施例5の固体高分子形燃料電池の発電特性結果を示すグラフである。
図4に示すように、実施例1の測定電極は高い酸素還元活性を示し、更に、0.5M硫酸(HSO)中にて24時間、酸処理を行った後は、活性の低下度合いは小さく高い安定性を示すことを確認した。
また、図5に示すように、比較例1の測定電極は、実施例1と同等の性能を示すが、実施例1と同様に0.5M硫酸(HSO)中にて24時間、酸処理を行った後は、活性が大きく低下することを確認した。
図6に示すように、フェナントロリンあり(実線)に比べてフェナントロリンなし(破線)の比較例2の場合は酸素還元活性が低いことを確認した。
図7に示すように、実施例2、実施例3、実施例4において、測定電極に塗布する触媒量を増やすと、電流値はある程度のところで一定になることを確認した。これは酸素の供給速度が律速になるためと考えられる。
図8に示すように、実施例5の固体高分子形燃料電池は、0.6V時に電流密度566mA/cm(IR補正後)、最大出力密度802mW/cm(IR補正後)高い発電特性を示すことを確認した。
以上の結果から、本実施の燃料電池用電極触媒は、酸素還元活性を有し、チタンを導入することで、更に、酸性雰囲気中での安定性が高められたことを確認した。
本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法であって、酸素還元活性を有し、酸性雰囲気中での高い安定性を有することから、電極触媒として有用であり、特に固体高分子形燃料電池のカソード触媒として有用であるので、産業上の利用価値が高い。
1 固体高分子電解質膜
2 カソード触媒層
3 アノード触媒層
4 ガス拡散層
5 ガス拡散層
6 空気極(カソード)
7 燃料極(アノード)
8 ガス流路
9 冷却水流路
10 セパレータ
12 膜電極接合体

Claims (8)

  1. 工程(1)第1元素群、Mn、Fe、Co、Ni、Cuの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩及び、第2元素群、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo、Wの群より選ばれる非貴金属元素の金属塩を錯体重合する工程と、工程(2)前記錯体重合した金属塩を酸窒化処理する工程を備えることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  2. オキシカルボン酸を配合したグリコール溶液中に前記金属塩を溶解させて前記金属塩を錯体重合することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 第1元素群より選ばれる非貴金属元素1に対して、第2元素群より選ばれる非貴金属元素をモル比で0.5〜20の割合で錯体重合する工程(1)を備えることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の製造方法。
  4. 工程(2)前記酸窒化処理する工程において、含窒素有機物を混合・加熱し、酸窒化処理すること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記錯体重合する工程の前又は後に炭素粒子を分散配合する工程を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された製造方法により作製された燃料電池用電極触媒を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒層。
  7. アノード触媒層とカソード触媒層でプロトン伝導性固体高分子膜を挟持してなる膜電極接合体において、カソード触媒層が、請求項6に記載の電極触媒層からなることを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載された燃料電池用膜電極接合体を備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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