JP2012022528A - 販売機会損失の分析システム - Google Patents

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Abstract

【課題】施設の監視カメラにより得られるデータ情報を利用して、商品在庫と販売機会損失とのバランス等の判断に関する情報を、精度よく且つプライバシー等の観点でも問題無い形で得る。
【解決手段】本分析システム100で、監視カメラサーバ20は、監視カメラ30の撮影範囲35の動画像の解析処理による解析情報24(人物の位置の情報を含む)を出力し(22)、解析情報を用いてフレーム領域内の人物の立寄りの人数(d)を計算する(25)。POSレジ40は、店舗50の商品の在庫及び販売の状況を示す管理情報を保持する。分析サーバ10は、解析情報、管理情報などを収集し(11)、収集情報を用いて、店舗50の商品の販売機会損失に関する分析処理を行い、販売機会損失の指標値を含む分析結果14を出力する(12)。
【選択図】図1

Description

本発明は、店舗などの施設の入場者(来店客など)の状況を分析するデータ情報処理等の技術に関し、特に、小売店舗などに設置された監視カメラの撮影映像またはその画像解析情報などを用いて、販売機会損失などの分析を行うシステム等に適用して有効な技術に関するものである。
現在では、例えばスーパーやコンビニエンスストア等の小売店舗など、様々な施設において、防犯目的などで監視カメラや監視カメラシステム(以下では単に「監視カメラ」と記載する場合がある)が設置され利用されている。監視カメラは高機能・高性能化し続けており、様々な機能を有するものが市場に提供されている。
監視カメラの機能としては、施設内外の画像(動画像)の撮影と記録という基本的な機能に加えて、付加的な機能としては、撮影した動画像に対する画像解析処理等に基づいて、動体を検出する機能、および検出した動体の特徴に基づいて人物、顔などの対象を検出する機能などがある。また更に、人物の顔などの各部分を検出し、その特徴から人物の性別や年齢などの属性を推定する機能を有するものもある。
上記監視カメラを利用して得られるデータ情報を、防犯目的以外でどのように活用するかについては、設置施設のニーズ次第である。例えば、上記監視カメラによるデータ情報を、小売店舗等を対象とした経営管理・マーケティング・広告などの目的で活用することが考えられる。また特に、上記監視カメラによるデータ情報を、商品在庫管理情報や販売実績情報など、POS(Point of Sales)システム等のデータと照らし合わせて活用することが考えられる。
例えば、小売店舗では、商品の仕入れ・陳列(追加補充)の内容やそのタイミングなど、商品在庫管理に係わる判断・意思決定を必要とし、この判断については、商品店頭在庫の品切れ等を考慮した販売機会損失とのバランスをとって最適化することが求められている。よって、上記監視カメラによるデータ情報を活用して、上記の販売機会損失(ないし潜在的な需要)を数値化し、店舗経営管理などに役立てることが考えられる。
上記の商品販売機会損失の推定に係わる先行技術例として、特開2001−331875号公報(特許文献1)(消費者行動モニタ装置等)がある。本消費者行動モニタ装置は、顧客の売り場への立寄りを検出する立寄り検出機器と、顧客の購買情報を管理するPOS端末と、立寄り情報及び購買情報をもとに、売り場に立ち寄っても商品購入を行わなかった販売機会損失を測定する解析端末と、を有することが記載されている(請求項1)。また前記立寄り検出機器は、売り場に取り付けられたカメラ、重量センサ、赤外線センサ、超音波センサであることが記載されている(請求項2)。またカメラによる顔画像を照合して販売機会損失を判定する旨が記載されている(請求項4)。
特開2001−331875号公報
小売店舗等では、商品の店頭在庫(陳列数)が少なすぎる場合や多すぎる場合などが時々発生している。少なすぎる場合は、販売機会損失(売上げ減少)などの問題につながる。多すぎる場合は、在庫保有コストや、商品廃棄処分(例えば食品の廃棄)などの問題につながる。販売機会損失は、典型的には、例えば店舗内の特定の通路や商品棚などへ立ち寄る来店客が存在するにもかかわらず来店客が所望する商品が品切れ等により無いために購入されない、といった事例が挙げられる。また特に、店頭に商品が陳列されていたとしても、一定数量以上が確保されていない場合には、その分販売機会損失が増えるというデータもある。一方、販売機会損失を無くす/減らすために、多数の商品を仕入れて陳列しておけば、当然ながら消費者が余裕をもって購入可能となるが、商品の売れ残りによる廃棄処分等の問題につながる。廃棄率(廃棄数)を1つの基準としてこの値を低減することも求められる。
従来の小売店舗等では、前述の商品在庫管理(商品在庫と販売機会損失とのバランスや最適化)に係わる判断については、第1に、店員などの人間による経験的・曖昧な判断に依存する部分が大きかった。また一方、第2に、上記判断について、コンピュータシステムを用いて支援や自動化などを行う場合、従来は主にPOSシステムや商品在庫管理システム等による商品販売実績情報(POSデータ等)に基づいて行われていた。POSデータ等の参照や分析により、どのような商品がどのようなタイミングでどのような客層に対してよく売れるか、といった情報が得られる。このような情報は、前述の商品在庫管理の判断を行うために有効となる。
しかしながら、従来技術では、上記の人間/コンピュータの判断のいずれにせよ、販売機会損失や廃棄の問題に対して改善の余地がある。
上記コンピュータ(POSシステム等)の利用の場合、来店客が商品を購入した事例による情報(商品購入数など)が把握できるのみであり、来店客が商品を購入しなかった事例については把握できなかった。即ち、来店客が商品を購入しなかったような事例までを含めた販売機会損失の状況を的確に分析することはできなかった。
なお、前記特許文献1では、立寄り検出機器(カメラ、センサ等)は、消費者(来店客)の店舗への立寄りを信号処理によって検出する(段落0013)。立寄り検出機器として、カメラで検出する場合、背景差分・フレーム間差分を用いた一般的な手法、人物検出手法を用いる(段落0020)。また、店舗(商品棚)への立寄り人数と商品購入人数との差分により、機会損失の値を算出している(段落0023、図2)。また、POS端末付近のカメラで消費者の顔画像を撮影し、POS端末で入力される情報(性別、年齢等)と共にネットワークを介して解析端末へ送信し保存する旨が記載されている(段落0025等)。
前記特許文献1では、カメラを利用して機会損失の測定をするにあたり効果的かつ問題無い形で実現するための具体的な説明に乏しい。カメラによる撮影データ情報などの取り扱いに関しても、プライバシー等の観点から問題がある。例えばネットワーク上で撮影データ(人物の顔画像など)とPOS端末入力情報を送信することやデータベースに保存すること等は、注意を要する。またセンサを用いた検出の場合、混雑時など複数人がいる場合には人数を誤検出する可能性が高い。また特許文献1等では、商品廃棄などの観点については詳しくは記載されていない。
以上を鑑み、本発明の目的は、店舗などの施設における監視カメラでの撮影映像ないしその解析情報等により得られるデータ情報を利用して、商品在庫管理等(店舗経営管理等)に係わる商品在庫と販売機会損失とのバランスや最適化の判断に関する有益な指標(販売機会損失などに関する指標値)を、精度よく且つプライバシー等の観点でも問題無い形で得ることができるシステム等を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
前記目的を達成するために、本発明の代表的な実施の形態は、店舗(施設)の所定の撮影範囲を撮影する監視カメラを含む監視カメラシステムに内蔵または接続され、店舗の商品の販売機会損失を分析する分析サーバ等を有する販売機会損失の分析システムであり、以下の特徴を有するものである。
例えば、監視カメラシステムは、監視カメラで撮影した分析対象とする動画像の解析処理により、撮影範囲に対応したフレーム領域における人物の位置の情報を含む解析情報を出力する解析部を有する。例えば、解析部または分析サーバは、解析情報を用いてフレーム領域内における領域単位ごと及び時間単位ごとに人物の立寄りの人数を計算する処理を行う立寄り状況計算部を有する。例えば、店舗の端末装置(POSレジ等)を含む情報処理システムは、店舗の商品の在庫及び販売の状況を示す管理情報(POSデータ等)を保持する。例えば、分析サーバは、監視カメラシステムからの立寄りの人数を含む解析情報と、店舗の情報処理システムからの管理情報と、を含む情報を収集する収集部と、前記立寄りの人数を含む収集情報を用いて、店舗の商品の販売機会損失に関する分析処理を行い、販売機会損失の指標値を含む分析結果情報を出力する分析部と、を有する。
本発明の代表的な実施の形態によれば、店舗などの施設における監視カメラでの撮影映像ないしその解析情報等により得られるデータ情報を利用して、商品在庫管理等(店舗経営管理等)に係わる商品在庫と販売機会損失とのバランスや最適化の判断に関する有益な指標(販売機会損失などに関する指標値)を、精度よく且つプライバシー等の観点でも問題無い形で得ることができる。
本発明の一実施の形態である販売機会損失分析システムの構成例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における、各種データ情報、及び販売機会損失の計算式について示した図である。 本発明の一実施の形態における、分析結果として各種データ情報のグラフの例を示した図である。 本発明の一実施の形態における、立寄り人数の計算方法を説明するための図である。 本発明の一実施の形態における、立寄り度合い・立寄り箇所等の計算方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の一実施の形態である販売機会損失の分析システム100(図1)では、(A)店舗50の監視カメラシステム(30,20)の撮影範囲35の映像における人物(来店客)の解析情報(24,61)と、(B)店舗50のPOSシステム(POSレジ40)対応のデータ(41,62)とを用いて、(C)店舗50の撮影範囲35内の商品に関する販売機会損失の分析処理を行い、販売機会損失の指標値などを高精度に計算する。
詳しくは、(A)は、当該商品に対応付けられる領域(区画等)への来店客の立寄り人数などの情報である。(B)は、当該領域(区画等)に対応付けられる商品に関する在庫数や販売数・購入者数(実績)などの情報である。(C)では、(A),(B)の各情報の関連性に基づく所定の計算により、販売機会損失の指標値を得る(図2)。
[システム構成]
図1において、本発明の一実施の形態である分析システム100の構成例について概要を示す。本分析システム100は、インターネット等のネットワーク90において接続される、分析サーバ10、及び複数の各々の店舗50の情報処理システムを含んで成る。各店舗50の情報処理システムは、監視カメラシステム(監視カメラサーバ20、監視カメラ30)、及びPOSレジ40、等を含んで成る。
店舗50には、1つ以上の監視カメラ30が設置される。監視カメラ30は所定の撮影範囲35を撮影する。各監視カメラ30は、監視カメラサーバ20に接続される。監視カメラサーバ20は、店舗50内部に構成されるか、ネットワーク90等を介して店舗50外部に構成されてもよい。また店舗50内にはPOSレジ40を有する。監視カメラサーバ20及びPOSレジ40に対し、ネットワーク90を介して分析サーバ10が接続される。分析サーバ10は、ネットワーク90上のシステムとして構成され、複数の店舗50を分析対象とすることができる。なお分析サーバ10は、各店舗50の監視カメラサーバ20等の情報処理システムとは独立した機器・システムとして実装する場合を示しているが、各店舗50の監視カメラサーバ20等の情報処理システム内に一体的に実装されてもよい。
店舗50は、例えばスーパーやコンビニエンスストア店舗などである。複数の店舗50は、例えば、同種の施設、例えばチェーン店舗などである。監視カメラ30の撮影範囲35は、例えば店舗50内の所定の固定的な空間領域を対象とする。本実施の形態では、撮影範囲35は、店舗50内の通路や商品棚など(区画)を含む3次元的なものである(図4、301)。監視カメラ30による撮影範囲35を対象として撮影される動画像は、動画像データ23として監視カメラサーバ20内に記録される。
監視カメラサーバ20は、例えば、コンピュータシステムによって構成され、ソフトウェアプログラムによって実装される監視カメラ制御部21および画像解析部22の各部と、動画像データ23および解析情報24の各データもしくはデータベースを有する。監視カメラサーバ20は、監視カメラ30によって撮影された動画像を動画像データ23として記録する機能を有する。また監視カメラサーバ20は、動画像データ23をもとに、画像解析部22による画像解析処理を行うことにより、撮影範囲35の領域内における、移動する人物やその顔などの対象、及びその動線(軌跡)などを検出することができる公知の機能(人物検出機能及び動線検出機能)を有する。画像解析部22等の処理内容は設定情報に基づいて可変に設定できる。画像解析部22(人物検出機能及び動線検出機能)による解析情報24が監視カメラサーバ20内に記録される。また更に、画像解析部22は、検出人物の属性(性別、年齢層など)を推定する公知の機能を備えてもよい。この場合は解析情報24内に属性情報が含まれる。
監視カメラサーバ20は、監視カメラ制御部21により監視カメラ30を制御する。この制御としては、例えば、監視カメラ30による撮影の実行・停止、撮影範囲35の設定や変更、露出等の撮影条件の変更などが含まれ得る。特に監視カメラ30の向き等を変えることにより、所望の撮影範囲35を設定することが可能である。
また本実施の形態では、画像解析部22は、立寄り状況計算部25を含む構成である。立寄り状況計算部25は、上記検出機能の一部として、上記検出機能の結果の人物・動線などの情報をもとに、撮影範囲35の領域内(区画等)における人物(来店客)の立寄りの人数(d)などの状況を計算する処理を行う。この処理結果の立寄り人数(d)などの情報は、解析情報24内に含まれる。
画像解析部22(立寄り状況計算部25)では、監視カメラ30の撮影映像(動画像データ23)から、人物の立寄り・立去り等の動向・状況を、人物・動線、立寄り人数(d)等の情報として、高精度に解析・検出する機能を備える。検出した人物情報を含む解析情報24(日時、場所(区画等)、人数(立寄り人数(d))、属性など)を、テキストデータとして活用する。例えば混雑時に特定の商品棚や区画に集中する複数の来店客についても、誤検出せずに、立寄り人数(d)等を判定することができる。
本実施の形態では、監視カメラサーバ20に、上記の人物・動線検出機能や、立寄り状況計算機能などを備え、本分析サーバ10(分析部12)は、上記の機能(解析情報24)を利用して、販売機会損失の分析を実現する。なお、他の実施の形態として、分析サーバ10側に上記の機能(特に立寄り状況計算部25)を備えて、同様に実現してもよい。その場合、例えば、授受される解析情報61は人物・動線の情報などを含み、分析サーバ10側の立寄り状況計算部では、その解析情報61を処理して立寄り人数(d)などを得る形となる。
また監視カメラサーバ20は、保持している解析情報24をもとに、ネットワーク90を介して分析サーバ10へ、一部のデータ(解析情報61)をテキストデータ形式で送信する機能を有する。この際、動画像データ23などは送信されない。解析情報61には来店客の個人情報などは含まれない。
POSレジ40は、POSシステムに対応した機能を備えるキャッシュレジスター装置であり、商品会計時(販売時点)の情報などをPOSデータ41として記録・保持する。POSレジ40は、対応POSシステム・機種などによって異なるが、商品販売(購入)実績の情報(販売情報(b))を記録・管理等する機能(販売管理機能)、商品在庫の情報(在庫情報(a))を記録・管理等する機能(在庫管理機能)、購入者の属性情報(性別、年齢層など)を店員により入力・記録する機能(属性管理機能)(必須ではない)、などを有する。なお店舗50のPOSレジ40は、店舗コンピュータやネットワーク通信装置などを含んで成る情報処理システムであってもよいし、外部の在庫管理システムや、電子マネーシステム(例えばICカードによるシステム)等と接続・連携するシステムであってもよい。例えばICカードによる会計操作及び処理に従い、販売時点情報がPOSデータ41として記録されるものでもよい。
POSデータ41は、データベース等により実現され、本実施の形態では、在庫情報(a)、販売情報(b)、廃棄情報(c)、等を有する。販売情報(b)は購入者の属性情報を含んでもよい。
POSレジ40は、上記の販売管理機能及び属性管理機能としては、来店客による商品の購入時点ごとに、店舗、日時(時間帯)、商品、数量、客層(属性)などの情報(販売情報(b))をPOSデータ41の一部として記録する。
POSレジ40は、上記在庫管理機能(ないし在庫管理システム等)としては、店舗50の商品の仕入れ・陳列の数量などの情報(在庫情報(a))をPOSデータ41の一部として記録する。また本機能ないしシステムは、上記販売情報(b)をもとに、商品の仕入れ・陳列の数量などの情報(在庫情報(a))を決定するものとしてもよい。本機能ないしシステムとしては、店舗50の商品(店頭在庫)の陳列の数量を把握するものが望ましい。
廃棄情報(c)としては、商品の廃棄処分の場合における、日時、数量などの情報を管理する。なお廃棄情報(c)は、他の情報処理システムで管理してもよいし、販売機会損失の計算のみを目的とする場合は管理しなくてもよい。
またPOSレジ40は、保持しているPOSデータ41をもとに、ネットワーク90を介して分析サーバ10へ、一部のデータ(POSデータ62)をテキストデータ形式で送信する機能を有する。この際、POSデータ62には来店客の個人情報などは含まれない。
分析サーバ10は、例えば、コンピュータシステムによって構成され、ソフトウェアプログラムによって実装される収集部11、および分析部12の各部と、収集情報13および分析結果14の各データもしくはデータベースを有する。これにより、本分析システム100は、監視カメラシステム(30,20)による撮影動画像から撮影範囲35の領域における商品の販売機会損失の情報(71)を計算する機能を有する。また分析サーバ10は、図示しないが、管理者等の操作により各種情報を設定するための設定手段を備え、処理対象のフレームや時間、判定用の閾値などを設定することが可能である。
収集部11は、ネットワーク90を介して、各店舗50の監視カメラサーバ20及びPOSレジ40から、分析部12での処理に必要な各種データ情報(61,62)を収集・取得し、店舗や日時などの単位で集計し、収集情報13として格納する。収集する情報は、例えば、店舗、日時、人物・動線(立寄り人数(d)などの立寄り状況)、人物の属性(性別、年齢層など)、POSシステム関連情報、などである。上記で特に、収集部11は、監視カメラサーバ20からは解析情報61(立寄り人数(d)を含む)のテキストデータを受信し、POSレジ40からはPOSデータ62(在庫情報(a)、販売情報(b)、廃棄情報(c)などを含む)のテキストデータを受信する。
本分析システム100では、来店客(消費者)のプライバシーや肖像権などに配慮した仕組みを有する。監視カメラシステム(30,20)では、リアルタイムの処理により、撮影動画像データ23を長く保存せずに消去し、動画像データ23の解析情報24(プライバシー等を侵害する情報を含まない)をもとに、ネットワーク90上ではテキストデータ(解析情報61)を授受する。そのデータ(解析情報61)は、人物(来店客)の画像など、プライバシー等を侵害する情報を含まない。また、POSレジ40から、従来と同様の情報(POSデータ62)を授受する。そのデータ(POSデータ62)も、人物(購入者)の画像など、プライバシー等を侵害する情報を含まない。
分析部12は、収集情報13(前記a,b,c,d等)を用いて、販売機会損失の指標値(f)や廃棄の指標値(g)などに関する分析・計算処理(後述、図2)を行い、その結果を分析結果14として格納・出力する。分析結果14は、販売機会損失の指標値(f)の情報(販売機会損失情報71)や、廃棄の指標値の情報(廃棄情報72)などを含む。また分析部12は、販売機会損失の指標値(f)を含む各種データ情報をまとめたグラフを作成し、分析結果14として含めてもよい(後述、図3)。
分析部12の処理内容は管理者等により可変に指定・設定することができる。例えば分析の単位(1時間単位、1商品単位、1区画単位など)や、判定の条件や閾値などを指定できる。また分析サーバ10(分析部12等)は、収集情報13をもとに統計処理を行ってもよい。即ち、複数の各々の店舗50の情報を統計処理し、分析対象としてもよい。例えば、管理者等により、店舗、日時、商品(区画)、客層(属性)などを指定して分析対象としてもよい。
分析結果14は、例えば、該当の店舗50の管理者等が閲覧することができる形式とする。分析結果14は、例えば、該当の店舗50の情報処理システム等へ送信したり、該当の店舗50の情報処理システム等からアクセスして取得可能とする。
なお、店舗50等の施設によっては、POSレジ40(POSシステム等の機能)を持たない場合もある。その場合、分析サーバ10は、POSデータ62を取得できないが、分析サーバ10側に、収集情報13に対する所定の情報処理によりPOSデータ62相当を計算して得る機能、あるいは、他の情報処理システムからPOSデータ62相当を取得する機能などを備えることで実現可能である。
[各種データ情報、及び計算式]
図2において、本実施の形態における、各種データ情報(a〜g)、及び販売機会損失の指標値(f)の計算式の例について示している。各数値の単位は、所定時間(例えば1時間)あたり及び商品(対応領域単位)あたり等である。
aは、商品の在庫数(店頭在庫数、陳列数など)である。対応するのは、図1のPOSデータ41の在庫情報(a)である。
bは、商品の販売数(購入数)ないし購入者数である(実績値)。対応するのは、図1のPOSデータ41の販売情報(b)である。
cは、商品の廃棄数である。対応するのは、図1のPOSデータ41の廃棄情報(c)である。cは、概略的には、aとbの差分(a−b)から計算できる。
dは、立寄り人数である。dは、立寄り状況計算部25により計算され、解析情報24(61)内に含まれる。画像解析部22での人物・動線の解析・検出をもとに、当該商品に対応付けられる領域単位における人物の立寄り・立去りの人数を判定・カウントすることで算出できる(後述)。
eは、商品の購入率である。eは、POSデータ41(a,b等)及び立寄り人数(d)などから計算できる。
fは、販売機会損失の指標値である。fは機会損失情報71に含まれる。基本的には、ある商品(対応領域)・ある時間帯において、在庫数(a)または購入者数(b)が少なく、立寄り人数(d)が多い場合、販売機会損失が大きくなると考えられる。
gは、廃棄率の指標値である。gは廃棄情報72に含まれる。基本的には、ある商品(対応領域)・ある時間帯において、在庫数(a)が多く、立寄り人数(d)が少ない場合、廃棄率(在庫保有コスト等)が大きくなると考えられる。
販売機会損失の指標値(f)の計算式の例は以下である。
(1)第1の計算式として、[機会損失(f)]=[立寄り人数(d)]×[購入率(e)]である。条件として、[在庫数(a)]=0(または所定の閾値at以下など)、且つ(AND)、[立寄り人数(d)]>0(または所定の閾値dt以上など)、の場合に算出する。
上記条件は、例えば、店舗50内の対象の区画の商品棚の商品に関して、店頭在庫(陳列)の数が0であり、且つ、当該区画に対する立寄り人数(d)が1人以上の場合である。計算例としては、対象の区画Kでの特定の商品Pの販売の場合において、1時間あたりで、立寄り人数(d)が10人であり、当該商品Pの購入率(e)が20%である場合、販売機会損失の指標値(f)は、10×(1−0.2)=8、である。
第2の計算式として、概略的に、立寄り人数(d)と、購入者数(b)との差分(d−a)から計算することができる。計算例としては、対象の区画Kでの特定の商品Pの販売の場合において、1時間あたりで、立寄り人数(d)が10人であり、当該商品Pの購入者数(b)が2人である場合、販売機会損失の指標値(f)は、10−2=8、である。
[分析例]
図3は、分析部12による分析例として、ある店舗50、ある月日(24時間)、ある商品(対応する区画などの領域単位)、及び全来店客を対象として、各種データ情報(a,b,c,d,f)を計算したグラフ例を示す。図3のグラフ例において、横軸は1時間(h)単位である。各値は1時間あたり及び1商品(対応領域)あたり等で換算したものである。
図3では、例えば9時〜10時や12時〜15時などの時間帯(タイミング)では、販売機会損失(f)が大きいことがわかる。即ち、このタイミングでは、当該商品(領域)に対する来店客の立寄りがある(立寄り人数(d)>0)にもかかわらず、当該商品(領域)における在庫数(a)が無いまたは少ないために、購入につながっていない(販売数(b)が少ない)。
また図3の例以外にも、属性情報などを用いて例えば「月曜日」「20代」「男性」等のAND条件を指定して同様に分析することもできる。
[立寄り人数の計算]
図4において、立寄り状況計算部25における立寄り人数(d)の計算方法の例について説明図を示している。本分析システム100では、動画像データ23(解析情報24)をもとに、店舗50内の商品Pや棚Eなどの配置構成に対応した区画K等の領域単位ごと、及び時間帯ごとに、人物(来店客)の立寄り人数(d)を判定・カウントする。区画K(その境界線)等は、本分析システム100(設定手段)で可変に設定が可能である。
301は、撮影範囲35に対応したフレーム領域の例であり、背景領域(人がいない状態)として、K(K1〜K3)は通路などの区画、E(E1〜E4)は棚(商品棚)、P(P2)は商品の例である。破線は区画Kの境界線を示す。なお、フレーム領域において棚Eや通路などを区別せずに統一的に区画Kを設定してもよい。
310は、背景領域上におけるある人物の位置の時系列(フレーム時間等)での変化を示す動線の例を示す。動線310上、311で示す三角のマークは、フレーム画像上の人物の現在位置(座標)の例を示す。動線の情報は、例えば、時系列における所定フレーム単位ごとの人物の位置を示す座標情報などである。
立寄り状況計算部25は、撮影範囲35のフレーム領域における人物の解析・検出に基づいて得られる人物の動線の情報(座標情報など)を用いて、境界線で示される区画K単位ごとに、人物の出入りや滞留などを判定し、立寄り人数(d)などをカウントする。例えば、境界線と動線との交差状況、あるいは人物現在位置(座標)と領域単位との重なりなどを、幾何計算によって判定する。また更には、立寄り時間や立寄りの度合い(混雑や閑散の度合い)などを判定・計算してもよい。撮影範囲35のフレーム領域内において、上記立寄り人数(d)が多い区画Kは、立寄り度合いが高い箇所を示している。
また、302は、3次元空間の場合のフレーム領域301に対応付けられた、2次元空間の場合の領域を示す。店舗50内の配置構成を上から俯瞰し、動線などの情報を重ねたものである。監視カメラ30の設置や撮影範囲35の設定に応じて、このように対象を2次元的にすることも可能である。例えば商品棚を正面から見る方向で撮影範囲35を設定してもよい。また、3次元の情報と2次元の情報との間で所定の対応付け・変換処理を行うようにしてもよい。2次元化することで、例えば出力時に管理者等が見やすい情報にすることができる。
[立寄り度合い・立寄り箇所の計算]
また、図5において、立寄り状況計算部25における立寄り度合いや立寄り箇所の計算方法の例について説明図を示している。501のように、フレーム領域を、複数の矩形のブロック等の単位に分割し、この分割領域単位ごとに、立寄り度合いなどを判定・計算する例である。501は、301のようなフレーム領域を縦横で8×8の64個のブロック510に分割した例である。前記区画Kの代わりにブロック510単位で立寄り人数(d)などを計算する。
例えば、511は、計算の結果、立寄り度合いが高いブロックを抽出した例を示す。立寄り度合いの計算の仕方は、例えば、図4で例示したような動線310の情報を用いて、対象フレーム群における各人物の動線(現在位置の座標)と、ブロック510との重なりを判定し、重なるブロックについて、立寄り度に関する数値をカウントする。そして例えばその立寄り度の数値と所定の閾値との比較などに基づき、当該立寄り度の数値が大きいブロックを抽出する。
また、上記抽出ブロックが多数存在する場合などには、クラスタリングの処理を行って、クラスタ集合にまとめてもよい。クラスタリングの方法としては、例えばK平均法などの公知技術を利用できる。クラスタ集合にまとめることで、撮影範囲35のフレーム領域内における立寄り度合いが高い箇所を人間が判別しやすくなる。
502は、上記の抽出ブロックまたはクラスタ集合などを、立寄り度合いが高い箇所(立寄り箇所)として円で表示した場合である。上記の抽出ブロックまたはクラスタ集合または立寄り箇所(円)は、撮影範囲35のフレーム領域内における、特定の区画Kや棚Eや商品Pなどに対応付けられたものになる。
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、店舗50などの施設における監視カメラ30での撮影動画像データ23ないしその解析情報24等により得られるデータ情報、及びPOSレジ40等により得られるデータ情報を利用して、店舗50の経営管理等に係わる商品在庫と販売機会損失とのバランスや最適化の判断に関する有益な指標(販売機会損失などに関する指標値)を、精度よく、且つプライバシー等の観点でも問題無い形で得ることができる。
これにより、分析結果14を、店舗50の経営管理等(商品在庫管理等)に反映できる。例えば、店舗50内の商品や広告の配置構成などの検討に役立てることができる。あるいはPOSシステムないし在庫管理システム等に自動的にデータを入力して、商品の仕入れ・陳列の数量などを調整してもよい。これにより、売り上げの増加や、廃棄率の低減などが実現できる。
本実施の形態では、前記特許文献1等の従来技術とは異なり、分析のために用いる情報(ネットワークで授受する情報)は、カメラによる撮影データを含まず、人物の位置の情報などのみを含む解析情報(テキストデータ)を用いる構成であるため、プライバシー等の観点での問題は生じない。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、特に、店舗の経営管理等の目的での固定カメラシステム、等に利用できる。
10…分析サーバ、11…収集部、12…分析部、13…収集情報、14…分析結果、
20…監視カメラサーバ、21…監視カメラ制御部、22…画像解析部、23…動画像データ、24…解析情報、25…立寄り状況計算部、
30…監視カメラ、35…撮影範囲、
40…POSレジ、41…POSデータ、
50…店舗、
61…解析情報、62…POSデータ、
71…機会損失情報、72…廃棄情報、
100…分析システム。

Claims (9)

  1. 店舗の所定の撮影範囲を撮影する監視カメラを含む監視カメラシステムに内蔵または接続され、店舗の商品の販売機会損失を分析するシステムであり、
    前記監視カメラで撮影した分析対象とする動画像の解析処理により、前記撮影範囲に対応したフレーム領域における人物の位置の情報を含む解析情報を出力する解析部と、
    前記解析情報を用いて前記フレーム領域内における領域単位ごと及び時間単位ごとに人物の立寄りの人数を計算する処理を行う立寄り状況計算部と、を有し、
    前記店舗の端末装置を含む情報処理システムは、前記店舗の商品の在庫及び販売の状況を示す管理情報を保持し、
    前記監視カメラシステムからの前記立寄りの人数を含む前記解析情報と、前記店舗の情報処理システムからの前記管理情報と、を含む情報を収集する収集部と、
    前記立寄りの人数を含む収集情報を用いて、前記店舗の商品の販売機会損失に関する分析処理を行い、前記販売機会損失の指標値を含む分析結果情報を出力する分析部と、を有すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  2. 店舗の所定の撮影範囲を撮影する監視カメラを含む監視カメラシステムに内蔵または接続され、店舗の商品の販売機会損失を分析する分析サーバを有するシステムであり、
    前記監視カメラシステムは、前記監視カメラで撮影した分析対象とする動画像の解析処理により、前記撮影範囲に対応したフレーム領域における人物の位置の情報を含む解析情報を出力する解析部を有し、
    前記監視カメラシステムまたは前記分析サーバは、前記解析情報を用いて前記フレーム領域内における領域単位ごと及び時間単位ごとに人物の立寄りの人数を計算する処理を行う立寄り状況計算部を有し、
    前記店舗の端末装置を含む情報処理システムは、前記店舗の商品の在庫及び販売の状況を示す管理情報を保持し、
    前記分析サーバは、
    前記監視カメラシステムからの前記解析情報と、前記店舗の情報処理システムからの前記管理情報と、を含む情報を収集する収集部と、
    前記立寄りの人数を含む収集情報を用いて、前記店舗の商品の販売機会損失に関する分析処理を行い、前記販売機会損失の指標値を含む分析結果情報を出力する分析部と、を有すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  3. 請求項1または2に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記収集部は、ネットワークを介して、前記監視カメラシステムからの前記解析情報のテキストデータと、前記店舗の情報処理システムからの前記管理情報のテキストデータと、を含む情報を収集すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  4. 請求項1に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記分析部は、分析対象の店舗及び時間帯の来店客における、分析対象の商品及び対応付けられる領域単位に関して、前記立寄りの人数(d)と、購入率(e)とを用いて、(f)=(d)×(e)により、前記販売機会損失の指標値(f)を計算すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  5. 請求項1に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記分析部は、分析対象の店舗及び時間帯の来店客における、分析対象の商品及び対応付けられる領域単位に関して、購入者数(b)と、前記立寄りの人数(d)と、を用いて、(f)=(d)−(b)により、前記販売機会損失の指標値(f)を計算すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  6. 請求項1に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記立寄り状況計算部は、前記解析情報による人物ないしその動線の情報を用いて、前記撮影範囲のフレーム領域における領域単位に対して出入りするまたは重なる人物を判定することで当該領域単位での前記立寄りの人数をカウントすること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  7. 請求項6に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記立寄り状況計算部は、前記撮影範囲のフレーム領域における、店舗内の配置構成に対応した、任意設定される区画単位ごとに、前記立寄りの人数を計算し、
    前記分析部は、前記区画単位ごとに前記販売機会損失の指標値を計算すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  8. 請求項6に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記立寄り状況計算部は、前記撮影範囲のフレーム領域における、複数に分割されたブロック単位ごとに、前記立寄りの人数を計算し、
    前記分析部は、前記ブロック単位ごとに前記販売機会損失の指標値を計算すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
  9. 請求項1に記載の販売機会損失の分析システムにおいて、
    前記店舗の端末装置は、POSシステムに対応したPOSレジ装置であり、前記商品の在庫数の管理情報、及び前記商品の販売実績の管理情報を含むPOSデータを管理し、
    前記収集部は、前記POSレジ装置から前記POSデータを収集すること、を特徴とする販売機会損失の分析システム。
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