JP2012021110A - 難燃性環状オレフィン系樹脂組成物及び透明成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性を有する難燃性環状オレフィン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物からなる透明成形体を提供する。
【解決手段】難燃剤として、25℃で液状であり、25℃におけるナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下である特定のシリコーン化合物、好ましくはメチル基とフェニル基を有するシロキサン単位の繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されているシリコーン化合物を使用する。全組成物中のシリコーン化合物の含有量は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性環状オレフィン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物からなる透明成形体に関する。
環状オレフィン系樹脂は、主鎖に環状オレフィンの骨格を有する樹脂であり、高透明性、低複屈折性、高熱変形温度、軽量性、寸法安定性、低吸水性、耐加水分解性、耐薬品性、低誘電率、低誘電損失、環境負荷物質を含まない等、多くの特徴をもつ樹脂である。このため、環状オレフィン系樹脂は、これらの特徴が必要とされる多種多様な分野に用いられている。
環状オレフィン系樹脂は、上記の通り、多くの有利な性質を有するが、一般的に難燃性が低い。環状オレフィン系樹脂に対して、充分な難燃性を付与するためには、難燃剤を用いる必要がある。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、燐系難燃剤、窒素系難燃剤等が一般的であり、例えば、特定の難燃剤を含有させて、難燃性を向上させた難燃性環状オレフィン系樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。
難燃性環状オレフィン系樹脂組成物は、電気、電子部品のための材料として用いられる。近年の電気、電子部品は、意匠性、視認性の観点から、透明であることが求められる場合がある。しかし、環状オレフィン系樹脂と難燃剤とを組み合わせると、環状オレフィン系樹脂の高透明性が樹脂組成物に表れ難くなるため、環状オレフィン系樹脂に難燃剤を配合させた樹脂組成物は、透明性が求められる部品の材料に適さないのが現状である。
現在、透明性、難燃性が求められる電気、電子部品の材料としては、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂と難燃剤とを組み合わせた樹脂組成物が使用されている(特許文献2参照)。しかし、上述の通り、環状オレフィン系樹脂は、多くの有利な性質を有するため、難燃性環状オレフィン系樹脂組成物を透明性が求められる電気、電子部品の材料に用いることが求められる。
特開2007−231144号公報 特開2009−155381号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、透明性を有する難燃性環状オレフィン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物からなる透明成形体を提供することにある。
本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、難燃剤として、25℃で液状であり、25℃におけるナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下である特定のシリコーン化合物を使用することで、以上の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 環状オレフィン系樹脂と、一般式(A)で表されるシリコーン化合物とを含み、前記シリコーン化合物は25℃で液状であり、25℃におけるナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下である難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
Figure 2012021110
(一般式(A)中のRはメチル基又はフェニル基であり、Rはフェニル基であり、Rは炭化水素基である。また、l、m及びnは1以上の正の整数である。また、l個ある繰り返し単位とm個ある繰り返し単位とはランダムに共重合してなる。)
(2) 全組成物中の前記シリコーン化合物の含有量が、1質量%以上10質量%以下である(1)に記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
(3) 前記環状オレフィン系樹脂は、エチレンとノルボルネンとの共重合体である(1)又は(2)に記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物からなる透明成形体。
本発明によれば、難燃剤として、特定のシリコーン化合物を用いるため、透明性の高い難燃性環状オレフィン系樹脂組成物になる。そして、難燃性環状オレフィン系樹脂組成物の透明性が高いため、この樹脂組成物からなる成形体も透明性が高い。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<難燃性環状オレフィン系樹脂組成物>
本発明の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物は、必須成分として、環状オレフィン系樹脂と特定のシリコーン化合物とを含む。先ず、環状オレフィン系樹脂、シリコーン化合物について、この順で説明する。
[環状オレフィン系樹脂]
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。
また、環状オレフィン系樹脂としては、上記重合体に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの、を含む。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物が好ましい。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体として、特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 2012021110
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
特に好ましい環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネンとエチレンの共重合体からなる樹脂である。このような環状オレフィン系樹脂を用いることで本発明の効果が有効に現れる。
〔その他共重合成分〕
環状オレフィン系樹脂は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
なお、環状オレフィン系樹脂組成物を原料として用いる場合、環状オレフィン系樹脂組成物は、上記環状オレフィン系樹脂以外の他の樹脂、核剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の従来公知の添加剤を含有することができる。
本発明においては、上述のような環状オレフィン系樹脂を用いる。全組成物中の環状オレフィン系樹脂の含有量は特に限定されないが、80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂の含有量が80質量%以上であれば、透明性が保たれるため好ましい。環状オレフィン系樹脂の含有量が99質量%以下であれば、難燃性確保のために好ましい。
[シリコーン化合物]
シリコーン化合物は、下記一般式(A)で表すことができる。本発明によれば、特定のシリコーン化合物を、難燃剤として用いるため、透明性を有する難燃性環状オレフィン系樹脂組成物になる。
Figure 2012021110
(一般式(A)中のRはメチル基又はフェニル基であり、Rはフェニル基であり、Rは炭化水素基である。また、l、m及びnは1以上の正の整数である。また、l個ある繰り返し単位とm個ある繰り返し単位とはランダムに共重合してなる。)
シリコーン化合物は、上記一般式(A)で表され、25℃で液状であり、25℃の屈折率が1.51以上である。以下、一般式(A)で表される化合物、25℃で液状であること、25℃の屈折率が1.51以上であることについて、この順で説明する。
先ず、一般式(A)で表される化合物について説明する。シリコーン化合物は、上記の通り、メチル基とフェニル基を有するシロキサン単位の繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されている。具体的には、下記式(A1)、(A2)で表される繰り返し単位をランダム共重合させたものの末端が、トリオルガノシロキシ基で封鎖された化合物である。
Figure 2012021110
Figure 2012021110
(式(A2)中のRはメチル基又はフェニル基であり、Rはフェニル基である。)
Rは炭化水素基であれば特に限定されず、飽和の炭化水素基、不飽和の炭化水素基、芳香族の炭化水素基等の一般的なものを例示することができる。不飽和の炭化水素基には、エチレン性の不飽和基、アセチレン性の不飽和基がある。
飽和の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1以上6以下のアルキル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の炭素原子数1以上4以下のハロアルキル基が挙げられる。また、飽和の炭化水素基は酸素、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい。
エチレン性の不飽和基は、炭素−炭素二重結合を含み、さらに酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含む又は含まない有機基をいう。その具体例としては、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素原子数2以上20以下のアルケニル基、1,3−ブタジエニル基等の炭素原子数4以上10以下のアルカジエニル基、アクリロイルオキシ基(−O(O)CCH=CH)、メタクリロイルオキシ基(−O(O)CC(CH)=CH)等の、上記アルケニル基とカルボニルオキシ基との組み合わせ、アクリルアミド基(−NH(O)CCH=CH)等の、上記アルケニル基とカルボニルアミノ基との組み合わせ等が挙げられる。
アセチレン性の不飽和基としては、炭素−炭素三重結合を含み、さらに酸素、窒素等のヘテロ原子を含む又は含まない有機基をいう。その具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等の炭素原子数2以上20以下のアルキニル基、エチニルカルボニルオキシ基(−O(O)CC≡CH)等の、上記アルキニル基とカルボニルオキシ基との組み合わせ等が挙げられる。
芳香族の炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素と水素とからなる有機基が挙げられる。また、芳香族の炭化水素基には、フラニル基等のヘテロ原子(O,S,N)を含む芳香族基も含まれる。また、芳香族の炭化水素基は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)等の置換基を有してもよい。
上記一般式(A)で表される化合物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の一般的な方法を採用することができる。例えば、ジアルコキシメチルフェニルシラン等の2官能性シランを加水分解・縮合させた後、又は加水分解・縮合と同時に、末端封止剤を投入することにより得ることができる。
次いで、25℃で液状であることについて説明する。25℃で液状であれば、シリコーン化合物は、室温付近(およそ1℃以上30℃以下)での、環状オレフィン系樹脂との溶融混合分散性に優れる。その結果、シリコーン化合物が環状オレフィン系樹脂の透明性を損なう程度を大きく抑えることができる。
上述の通り、シリコーン化合物が液状でなければならないのは、シリコーン化合物が環状オレフィン系樹脂との溶融混合分散性に優れ透明性が保たれるためであり、さらに燃焼時の難燃化効果発現に有効であるためである。上述の通り、シリコーン化合物が液状であれば、上記溶融混合分散性や難燃性に問題は無いが、シリコーン化合物の粘度が所定の範囲にあると、上記溶融混合分散性はさらに良くなるため好ましい。例えば、シリコーン化合物の粘度が25℃において20mm/s以上50000mm/s以下であることが好ましい。より好ましくは、30mm/s以上6000mm/s以下である。なお、粘度は、JIS Z8803により測定された25℃における粘度を採用する。
次いで、25℃のナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下であることについて説明する。環状オレフィン系樹脂の屈折率とシリコーン化合物の屈折率とが近い値であれば、樹脂組成物の透明性が高まる。環状オレフィン系樹脂の屈折率がおよそ1.53であるため、シリコーン化合物の屈折率が上記範囲内にあれば、屈折率の差による透明性低下の問題はほとんど抑えられる。なお、屈折率はアッベ屈折計で測定した値を採用する。
シリコーン化合物の屈折率は、シリコーン化合物中のフェニル基の量を変化させることで調整することができる。また、シリコーン化合物中のフェニル基の量は、比重を指標に見積もることもできる。本発明においては、例えば、シリコーン化合物の比重が、1.00g/cm以上1.20g/cm以下であることが好ましい。比重はJIS Z8804に準じた方法で測定した値を採用する。
次いで、本発明の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物中のシリコーン化合物の含有量について説明する。組成物中のシリコーン化合物の含有量は特に限定されないが、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。シリコーン化合物の含有量が1質量%以上であれば、樹脂組成物に難燃性が付与されやすいため好ましい。シリコーン化合物の含有量が10質量%以下であれば、樹脂組成物に透明性が付与されやすいため好ましい。より好ましいシリコーン化合物の含有量は1質量%以上5質量%以下である。
[その他の成分]
本発明の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物は、本発明の効果を害さない範囲で、上記必須成分以外の他の樹脂、核剤、着色剤、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤及び難燃剤等の従来公知の添加剤を含有することができる。
上述の通り、本発明の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物は、透明性に優れる。他の成分の配合は透明性に影響を与えやすいため、本発明の樹脂組成物は、上記の必須成分からなること、又は必須成分を主成分とすること(組成物中の必須成分の含有量が80質量%以上)が好ましい。
<透明成形体>
上記の本発明の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物は、透明性を有する。このため、従来公知の成形方法で、本発明の樹脂組成物から成形体を製造すると、透明成形体が得られる。従来公知の成形方法としては、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下の材料を使用した。
環状オレフィン系樹脂:Topas Advanced Polymers社製の「TOPAS 6013S−04」(エチレンとノルボルネンとの共重合体)
シリコーン化合物1:信越シリコーン社製の「KR−511」(25℃で液状、2つのメチル基を有するシロキサン単位、及びメチル基とフェニル基を有するシロキサン単位のランダムな繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖)
シリコーン化合物2:信越シリコーン社製の「KR−2710」(25℃で液状、2つのメチル基を有するシロキサン単位、及びメチル基とフェニル基を有するシロキサン単位のランダムな繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖)
シリコーン化合物3:信越シリコーン社製の「KF−50」(25℃で液状、2つのメチル基を有するシロキサン単位の繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖)
シリコーン化合物4:東レ・ダウコーニングシリコーン社製の「Z6800」(25℃で固形、トリフェニルシラノール、一部は二量体として存在)
上記各材料の屈折率(25℃)を表1に示した。また、シリコーン化合物1〜3については、粘度(25℃)、比重(25℃)も併せて示した。なお、シリコーン化合物4は、固形のため物性を示していない。
Figure 2012021110
<難燃性環状オレフィン系樹脂組成物の製造>
上記材料を表2に示す割合(表2中の数字の単位は質量%)で含む難燃性環状オレフィン系樹脂組成物を製造した。樹脂組成物の製造には、同方向回転二軸押出機HK25D(Φ=25mm、L/D=41、パーカーコーポレーション社製)を使用した。環状オレフィン系樹脂を押出機に投入するために、計量装置(重量式スクリューフィーダーKML−D5−KS60、K−tron社製)を使用し、液状のシリコーン化合物を押出機に投入するために、液添装置(滴下ポンプCP−13、轟産業社製)を使用した。
環状オレフィン系樹脂はホッパから投入し、シリコーン化合物はメルトゾーンに圧入し、上記の押出機により、難燃性環状オレフィン系樹脂組成物を製造した。
<成形品の製造>
上記実施例、比較例の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物を射出成形機に投入し、短冊状の射出成形品(127mm×13mm×1.6mm)を製造した。
<透明性評価>
成形品の透明性を目視観察により評価した。評価結果を表2に示した。評価は、透明な場合を「○」、不透明な場合を「×」とする二段階で行った。
<難燃性評価>
実施例、比較例の射出成形品の難燃性を、アンダーライターズ・ラボラトリーズのUL−94規格垂直燃焼試験により評価した。V−2以上の試験結果の場合を「○」と評価し、V−2規格に適合しない試験結果の場合を「×」と評価した。
Figure 2012021110
25℃で液状であり、25℃におけるナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下である特定のシリコーン化合物(メチル基とフェニル基を有するシロキサン単位の繰り返しからなり、末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖されているシリコーン化合物)を難燃剤として使用すれば、透明性を有する難燃性環状オレフィン系樹脂組成物になることが、表2から確認された。

Claims (4)

  1. 環状オレフィン系樹脂と、一般式(A)で表されるシリコーン化合物とを含み、
    前記シリコーン化合物は25℃で液状であり、25℃におけるナトリウムD線(587.6nm)に対する屈折率が1.51以上1.56以下である難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 2012021110
    (一般式(A)中のRはメチル基又はフェニル基であり、Rはフェニル基であり、Rは炭化水素基である。また、l、m及びnは1以上の正の整数である。また、l個ある繰り返し単位とm個ある繰り返し単位とはランダムに共重合してなる。)
  2. 全組成物中の前記シリコーン化合物の含有量が、1質量%以上10質量%以下である請求項1に記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂は、エチレンとノルボルネンとの共重合体である請求項1又は2に記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の難燃性環状オレフィン系樹脂組成物からなる透明成形体。
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