JP2012020992A - 含フッ素プロペンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的スケールにも対応できる、簡便かつ効率的な、一般式:CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法を提供する。
【解決手段】触媒の不存在下で、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物とフッ化水素とを、加熱下において気相状態で反応させることを特徴とする、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般式:CF3CH=CHZ (ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法に関する。
化学式:CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、噴射剤や冷媒として有用な化合物であり、特に、代替フロンとして使用可能な冷媒、混合冷媒の構成成分として注目されている。
HFC-1234zeの製造方法としては、一般式:CF3CH2CHFX(X は、F、Cl、Br又はIである)で表される化合物を脱HXさせる方法(特許文献1〜5等参照)、化学式:CF3CHFCH2F(HFC-245eb)で表される化合物を脱HFさせる方法(特許文献6〜7参照)、化学式:CF3CH=CHCl(HCFC-1233zd)で表される化合物をフッ素化する方法(特許文献8)、一般式:CF3CHXCH2F(XはCl、Br又はIである)で表される化合物を脱HXさせる方法(特許文献9)などが知られている。しかしながら、これらの方法は、原料の製造が難しく入手が困難であることや、収率が低く、工程が多段階に及ぶことなどの問題点があり、工業的な製法としては改善が必要である。
例えば、特許文献1には、CF3CH2CHFX(X は、F、Cl、Br又はIである)で表される化合物の脱HX反応によるHFC-1234zeの製造工程が記載されており、この工程において原料として用いる一般式:CF3CH2CHFXで表される化合物の製造方法として、Cr2O3等の触媒の存在下に、CY3CH2CHY2(Yは、F、Cl、Br又はIである)で表される化合物をHFと反応させる方法が記載されている。しかしながら、この方法で1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るには、CY3CH2CHY2(Yは、F、Cl、Br又はIである)で表される化合物をHFと反応させる工程と脱HXさせる工程という二段階の工程が必要であり、反応工程が煩雑である。反応の中間成分であるCF3CH2CHFXで表される化合物の製造方法については、上記した方法の他に、CF3X(X は、Cl、Br又はIである)とフッ化ビニルを反応させる方法も記載されているが、この方法では、CF3Xという高価な化合物を用いているため、工業的に有効な製法とはいえない。
一方、化学式:CF3CH=CHClで表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFC-1233zd)は、各種フルオロカーボンを製造するための中間体として有用な化合物であり、更に、各種の重合体におけるモノマー成分としても有用である。
HCFC-1233zdの製造方法としては、非特許文献1,2等に、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)を液相でハロゲン化アンチモンの存在下にHFと反応させる方法が記載されている。しかしながら、この方法の反応条件で使用できる反応器の材質は限られており、一般的に高価な耐食性材料が必要である。しかも、このように高価な耐食性材料を用いても耐食性は十分とはいえず、頻繁な保守が必要となる。更に、原料中に含まれる水分により触媒の劣化が進行し、これの再生処理が必要になってくる。
また、特許文献10には、液相中において、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)とHFを無触媒で反応させる方法が記載されている。この方法は、180℃以上(好ましくは200〜300℃)という高温において、HFもしくは生成物が液相として存在するのに足る圧力下において実施可能とされており、HFの蒸気圧以上の圧力(6〜15MPa)が好ましい圧力とされている。このように、この方法は、HFもしくは生成物が液相となる極めて高圧の過酷な条件下で反応を行うことが必要である上、液状態にある多量のHFを取り扱う上で、ハンドリングや安全上の課題も有している。しかも、反応速度が遅く十分な収率で目的物を得るには長時間を要するため、工業スケールでの生産方法としては不適切である。
その他のHCFC-1233zdの製造方法として、特許文献11,12等には1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)を気相で触媒存在下にHFと反応させる方法が記載されている。しかしながら、この方法では触媒の劣化が進行するために、頻繁に触媒再生や触媒交換が必要となり、工業的な製法としては改善が必要である。
US 2005/0245773 A1 US 2008/051611 A1 EP 2000/974571 A2 JP 11/140002 A US 2007/0129579 A1 WO 2008/002499 A2 WO 2008/002500 A1 JP 2007/320896 A WO 2005/108334 A1 JP 1999/180908 A JP 1998/67693 A JP 1997/194404 A
Journal of Fluorine Chemistry, 128(3), 190-195; 2007 Journal of Molecular Catalysis A: Chemical, 233(1-2), 99-104; 2005
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、工業的スケールにも対応できる、簡便かつ効率的な、一般式:CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、特定の一般式で表される含塩素化合物を原料として用い、これを気相中で触媒の不存在下においてフッ化水素と加熱下で反応させる方法によれば、驚くべきことに、一段階の反応操作によって、比較的短い反応時間で目的とする一般式:CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンを高収率で製造できることを見出した。そして、この方法によれば、従来の含フッ素プロペンの製造方法における欠点を解消して、工業的スケールにおいて、含フッ素プロペンを効率良く製造することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の含フッ素プロペンの製造方法を提供するものである。
1. 触媒の不存在下で、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物とフッ化水素とを、加熱下において気相状態で反応させることを特徴とする、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法。
2. 含塩素化合物が、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパンである上記項1に記載の含フッ素プロペンの製造方法。
3. 含塩素化合物が、1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン及び1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である上記項1又は2に記載の含フッ素プロペンの製造方法。
4. 原料として用いる含塩素化合物1モルに対してフッ化水素を3モル以上使用し、250〜500℃で反応を行う上記項1〜3のいずれかに記載の含フッ素プロペンの製造方法。
5. 上記項1〜4のいずれかの方法によって、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される化合物を含む含フッ素プロペンを製造した後、反応生成物に含まれる、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料化合物として再利用する工程を含む、含フッ素プロペンの製造方法。
以下、本発明の製造方法について具体的に説明する。
原料化合物
本発明では、原料化合物としては、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を用いる。これらの含塩素化合物は、いずれも公知の化合物であり、公知の方法によって容易に得ることができる。
特に、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパンは、入手が容易な化合物であり、具体例としては、1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)等を挙げることができる。
1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)と1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)は、それぞれ、例えば、四塩化炭素とフッ化ビニルとの反応、又は四塩化炭素と塩化ビニルとの反応によって同様な条件で容易に得ることができる。
これらの内で、1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)を得るための四塩化炭素とフッ化ビニルの反応は、例えば、金属及び金属ハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分の存在下に、必要に応じて、本反応に対して不活性な非極性溶媒、例えば塩化メチレン、二硫化炭素などの溶媒を用いて行うことができる。この方法では、金属としては銅、鉄、マンガン等を用いることができ、金属ハロゲン化物としては塩化アルミニウム、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化第二鉄、塩化マンガンなどを用いることができる。金属と金属ハロゲン化物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
更に、四塩化炭素とフッ化ビニルの反応では、必要に応じて、反応促進剤として、5価のリンを含む化合物、例えば、トリメチルフォスフェート、トリメチルフォスフィン、トリエチルフォスフェート、トリエチルフォスフィン、トリブチルフォスフェート等を用いることができる。
上記反応において、フッ化ビニルの使用量は、四塩化炭素1モルに対して、0.1〜10モル程度とすればよい。
また、金属及び金属ハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分の使用量については、四塩化炭素1モルに対して、0.001〜2モル程度とすればよい。
また、反応促進剤として用いる5価のリンを含む化合物の使用量は、添加した金属及び金属ハロゲン化物の合計量1モルに対して、0.1〜 10モル程度とすればよい。
四塩化炭素とフッ化ビニルの反応の反応温度は、通常、室温〜150℃程度、好ましくは、80〜120℃程度とすればよい。
反応圧力は、常圧、加圧、及び減圧の何れであっても良いが、通常は、密閉容器中において、加圧下に行うことができる。
1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)についても1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)と同様の方法で製造することができる。
これらの方法では、原料とする四塩化炭素、フッ化ビニル及び塩化ビニルはいずれも比較的安価な物質であり、しかも製造方法も簡単であるため、本発明方法において原料とするHCFC-241fbとHCC-240faは、安価に入手可能である。
更に、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)は、例えば、Journal of Molecular Catalysis, 77, 51-60; 1992、US 2001/6313360 B1、US 2004/6720466 B2、US 2008/0091053 A1等に記載されている方法によっても容易に製造することができる。
本発明の製造方法
本発明の含フッ素プロペンの製造方法では、触媒の不存在下において、上記した一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なってCl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物と無水フッ化水素とを、加熱下において気相状態で反応させればよい。これにより、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンを製造することができる。
前述した通り、上記方法で用いる原料化合物は安価な物質であり、特に、一般式(1)で表される含塩素プロパンは、入手容易で安価な化合物である。従って、本発明方法によれば、安価な原料を用いて、実質的に一段階の反応によって、フッ素化反応と脱ハロゲン化水素反応の両方を効率良く進行させることができ、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンを高収率で得ることができる。しかも、本発明の方法は、連続製造に適した気相反応を利用する製造方法である。このため、本発明方法は、工業的な有用性が高い方法である。
尚、本発明方法は、前述した特定の原料を用いて加熱下において気相状態で反応させることによって、触媒を用いることなく、実質的に一段階での反応で目的とする含フッ素プロペンを製造することを可能としたものである。これによって、従来の含フッ素プロペンの製造方法における欠点を解消したものである。
本発明の製造方法では、上記した原料化合物とフッ化水素とを気相状態で反応させることが重要である。この場合、後述する反応温度領域において、原料化合物とフッ化水素が気体状態で接触できればよく、原料化合物の供給時には、原料化合物が液体状態であってもよい。例えば、原料化合物が常温、常圧で液状である場合には、原料化合物を気化器を用いて気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させ、無水フッ化水素と接触させる混合領域に供給することによって、気相状態で反応を行うことができる。混合領域には、原料ガスの混合や熱伝達の改善、反応管内の温度分布の均一化の観点から充填物(ビーズ状、板状、薄片状等)を存在させてもよい。この充填物は、熱伝導性が良好でしかもフッ化水素に対して安定な材料、例えば、ニッケル、ハステロイ、インコネル等のNi系の材料からなるものが好ましい。また、原料化合物を液体状態で反応装置に供給し、フッ化水素との反応領域に達した時に気化させて反応させても良い。原料化合物を反応領域で気化させる方法については特に限定はないが、上記したような充填物を入れた領域を原料化合物の気化温度以上に加熱し、ここに液体状態の原料化合物を供給して、原料化合物を気化させて気相状態としてもよい。
フッ化水素は、通常、原料化合物と共に気相状態で反応器に供給すればよい。フッ化水素の供給量については、通常、上記した原料化合物(含塩素化合物)1モルに対して、3モル程度以上とすればよいが、特に、5〜100モル程度の範囲とすることが好ましく、5〜30モル程度の範囲とすることがより好ましい。この様な使用量の範囲とすることによって、原料化合物の転化率と一般式(4):CF3CH=CZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンの選択率の両方を良好な範囲内に維持することができる。
尚、上記した原料は、反応器にそのまま供給してもよく、あるいは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈して供給しても良い。
本発明方法で用いる反応器の形態は特に限定されるものではなく、例えば、空塔の断熱反応器やフッ化水素と出発物質との気相混合状態を向上させるための(多孔質の、あるいは多孔質でなくても良いが)金属や媒体を充填した断熱反応器を用いてよい。また、熱媒体を用いて除熱・反応器内の温度分布を均一化した多管型反応器等を用いることもできる。尚、反応器としては、ハステロイ(HASTELLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)、インコロイ(INCOLLOY)等のフッ化水素の腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。
本発明方法では、反応温度は、反応器の中の温度として、250〜600℃程度が適当であり、300〜500℃程度がより好ましい。この温度範囲より高温になると一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンの選択率が低下し、低温になると原料化合物の転化率が低下するので、いずれも好ましくない。尚、500℃より高温で反応を行うと、反応器の腐食が進行しやすくなる上、炭化物が生成して反応管壁や充填剤に付着・堆積する場合があり、反応器内を徐々に閉塞することがあるが、このような場合には反応系中に酸素を同伴するか、あるいはいったん反応を停止して酸素あるいは空気を流通させることで、反応管内に残存する炭化物を燃焼除去することができる。
反応時の圧力については、上記した原料化合物とフッ化水素が気相状態で存在できる圧力であれば特に限定されるものではなく、常圧下、加圧下及び減圧下のいずれでもよい。即ち、本発明の製造方法は、減圧下又は大気圧(0.1MPa)下で実施することができ、原料が液体状態にならない程度の加圧下で実施することもできる。
この様に、本発明方法では、高圧下での反応は不要であり、通常は、大気圧下又は2MPa程度までの比較的低い圧力下において反応を行うことができる。このため、本発明方法は、穏和な条件下で反応を行うことが可能な点で、工業的に非常に有利な方法である。尚、本発明方法で得られた生成物について、引き続き、分液処理によってフッ化水素等を分離する場合には、分液作業の効率を考慮すると、大気圧より多少高い加圧条件、例えば、0.2〜1MPa程度の圧力下において反応を行うことが好ましい。
反応時間については特に限定的ではないが、通常、気相での反応空間V(cc)と反応系に流す原料ガス(原料化合物、フッ化水素及び不活性ガス)の全流量Fo(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)との比率:V/Foで表される接触時間を0.1〜100 sec、好ましくは1〜50 sec 程度の範囲とすればよい。
また、内径の小さい反応管を用いて伝熱効率を良くする方法では、例えば、原料の流量と、反応管の内径の関係は、線速度が大きくかつ伝熱面積が大きくなるようにすることが好ましい。
また、充填物を導入する場合には、上記した条件を満足する材料として、例えば、ハステロイ片、ニッケル製ビーズ等を用い、これらの材料を反応管に充填すればよい。充填される材料の形状については特に限定はなく、反応管の形状に応じて、粉体状、ペレット状等の反応管に均一に充填可能な形状であればよい。
反応生成物
上記した反応条件によれば、反応器出口では、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンを含む反応生成物を得ることができる。
この方法で得られる一般式(4)式:CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンとしては、原料化合物として、一般式(1)又は(3)の化合物を用いる場合には、通常、CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンとCF3CH=CHCl(HCFC-1233zd)で表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの両方が得られる。また、原料化合物として、一般式(2)の化合物を用いる場合には、YがFの場合には、CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンが得られるが、YがClの場合には、CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンとCF3CH=CHCl(HCFC-1233zd)で表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの両方が得られる。尚、CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンとしては、通常、E-体(bp. -19℃)とZ-体(bp. +9℃)の両方が得られ、CF3CH=CHCl(HCFC-1233zd)で表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとしても、E-体(bp. +17℃)とZ-体(bp. +44℃)の両方が得られる。
CF3CH=CHF(HFC-1234ze)で表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペンとCF3CH=CHCl(HCFC-1233zd)で表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの生成比については、反応条件などによって異なるが、通常、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの生成量が多くなる。
上記した方法で得られる生成物は、混合物のまま目的とする用途に用いても良いし、蒸留などによって精製してそれぞれを分離回収して、目的とする用途に用いても良いし、他の化合物へと変換することもできる。
本発明の製造方法では、反応生成物中には、目的とする一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンの他に、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン等が含まれることがある。これらの化合物は、使用した原料の種類や反応条件に応じて、目的とする一般式(4)式:CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンの前駆体として生じるものであり、いずれも本発明の製造方法の原料としても使用可能である。
本発明の製造方法では、反応生成物に含まれるこれらの前駆体や未反応の原料、即ち、前記した一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた含塩素化合物については、目的とする一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンを分離回収した後、再び反応器に戻してリサイクルして、原料化合物として再利用することができる。この様に目的物の前駆体や未反応の原料をリサイクルすることによって、原料転化率が低い場合であっても、高い生産性を維持することができる。
本発明の方法によれば、容易に入手できる化合物である特定の含塩素化合物とフッ化水素を原料として、簡便な反応装置を用いて、実質的に一段階の反応によって、目的とする含フッ素プロペンを得ることができる。
また、本発明の製造法は、常圧や減圧状態等の穏和な条件下で実施が可能であり、しかも連続製造に適した気相反応を利用する製造方法である。更に、本発明の方法では、気相状態で反応を行うために、液状態にあるHFを取り扱う場合のような安全面や操作面での問題点を解消できる。
このため、本発明の方法は、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。) で表される含フッ素プロペンの製造方法として工業的に非常に有利な方法といえる。
実施例1〜6で用いた反応装置の概略図。
以下、原料として使用する1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン (HCFC-241fb)の製造例と、本発明の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
製造例1
1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)の合成
温度計、真空ライン、窒素パージライン、仕込みライン、ゲージ及び圧力開放弁を設置した1000mlオートクレーブに、軟鉄粉4.5g(79.2mmol)、トリエチルフォスフェート20g(79.2mmol)、塩化第二鉄100mg、及び四塩化炭素420g(2.73mol)を仕込み、窒素で5回、フッ化ビニルで1回パージした。次に、オートクレーブ内を真空にして攪拌しながらフッ化ビニルをゲージ圧0.4MPaになるまで仕込んだ。120℃まで加熱すると反応が始まり、内温は127℃まで上昇して圧力は0.9MPaから0.4MPaまで低下した。フッ化ビニルの圧力を0.8MPaに保ちながら、内温120℃で8時間攪拌した。その後トリエチルフォスフェート10g(39.6mmol)を圧入して、さらに120℃で10時間反応させた。
反応終了後、粗生成物をガスクロマトグラフィーにて分析し四塩化炭素が完全に消費されたことを確認した。粗生成物の3倍量の水で2回洗浄し有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥することによって、ガスクロマトグラフィー純度88.9%のHCFC-241fbが得られた。副生成物はエチレンとフッ化ビニルオリゴマーであった。得られた粗生成物を減圧下(10mmHg)で蒸留して留分63〜65℃を集めることにより、純度99%以上のHCFC-241fb、467g(2.35mol、収率86%)を得た。
実施例1
1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb)のフッ素化反応
本実施例で用いた反応装置の概略図を図1に示す。この装置は、無水フッ化水素(HF)を気相状態で予熱して供給するライン、原料化合物の気化器と予熱ライン、無水フッ化水素(HF)と原料化合物を気相状態で混合させる混合部、及び無水フッ化水素(HF)と原料化合物の混合後の反応器入口までを加温する予熱ラインを備えたものである。
反応管としては、外径1/4インチ(肉厚1.0 mm)、長さ200 cmのインコネル600製の管を用い、反応温度がほぼ均一になるように、反応管は全てマッフル炉の内部に設置した。反応管内には何も充填せず、空筒で使用した。反応管と混合部の接続および反応管からの反応出口ラインにはハステロイ22製の管(外径1/8インチ)を使用し、接合にはインコネル600製の継手を使用した。反応管内の容積は29.4 cm3であり、これを反応容積(V)とした。マッフル炉内における反応管以外の接続部の容積は小さいため、反応容積としては考慮しないこととし、以下の実施例も同様とした。
この反応装置における反応管内を大気圧(0.1MPa)およびマッフル炉内の温度を400℃に維持し、乾燥空気(窒素:酸素= 79:21)を100 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に連続的に供給して10時間維持した後、マッフル炉内の温度を室温まで下げた。その後、乾燥空気の供給を停止し、窒素を100cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に連続的に供給しながらマッフル炉内の温度を400℃に維持して2時間経過させた。その後、窒素の供給を停止して無水フッ化水素(HF)を140 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に連続的に供給して2時間維持し、1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン(HCFC-241fb、純度99.4%)を気相状態で7.0 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で連続的に供給して反応開始とした。
反応継続時の反応圧力は0.007 MPa(ゲージ圧)を示していた。反応の継続時は反応器出口側から窒素(N2)を60 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で供給し、反応生成物と合わせて抜き出した。反応管の外壁温度を反応器入口側から出口側にかけて計5点等間隔で測定し、その平均温度を反応温度とした。以下の実施例も同様の測定を行うことで、反応温度とした。
HFと1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン)は20であった。滞留時間(V/F0)は反応容積(V)と反応器へ供給したガスの総流量(F0)から、V/F0= 12.1 secとなった。以下の実施例も同様の考え方で滞留時間(V/F0)を算出した。
反応開始から3時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。
反応生成物の内で、沸点が50℃以上の高沸点物については、以下に説明する方法で定量した。即ち、内部標準物質として所定量のパークロロエチレンを溶解したHCFC-225(225ca:225cb=43:57)と氷水を混合して分液状態にしておき、反応器出口成分を一定時間HCFC-225層にバブリングして、有機物をHCFC-225層で抽出し、フッ化水素と塩化水素の酸分は氷水に溶解させた。抽出液は20℃まで加温し、HCFC-225層をガスクロマトグラフ(FID)で分析した。カラムにはDB-624(60m)のキャピラリーカラムを使用し、内部標準物質であるパークロロエチレンと各生成物との検出エリア比から、それぞれガスクロマトグラフでの係数を考慮して、各生成物の生成量をモル比に換算した。
一方、沸点が50℃以下の低沸点物については、以下に説明する方法で定量した。即ち、反応器出口に水を入れた水洗塔を2本連結して接続し、ウォーターバスに浸して予め60℃に加温した後、反応器流出物を流し込み、バブリングさせて酸分を洗った後、CaCl2管を通して脱水したガス成分を捕集してガスクロマトグラフ(FID)で分析した。この時、反応器出口側から水洗塔に内部標準物質として所定量のHFC-32を同伴させた。カラムとしては、gsgaspro(60m)のキャピラリーカラムを使用し、内部標準物質であるHFC-32と各生成物との検出エリア比から、それぞれガスクロマトグラフでの係数を考慮して、各生成物の生成量をモル比に換算した。以下に示す実施例1〜6では、全てこの分析方法で定量した。分析時の反応条件と分析結果を表1に示す。
本実施例での生成物は以下の通りである。下記5つの化合物の内で、HFC-1234zeおよびHCFC-1233zd以外の化合物は、いずれもこれらの前駆体であり、リサイクルして原料として使用できるため有用物とみなす。
CF3CH=CHF (HFC-1234ze E体+Z体)
CF3CH=CHCl (HCFC-1233zd E体+Z体)
CF3CH2CHFCl(HCFC-244fa)
CF2ClCH=CHCl(HCFC-1232zd E体+Z体)
CF2ClCH2CHFCl(HCFC-243fb)
また、以下の化合物は本反応により生成する不純物とみなす。
CF3CH2CHF2(HFC-245fa)
CF3CH=CH2(HFC-1243zf)。
実施例2
実施例1で使用した反応管(長さ200cm)を用い、反応温度を451℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で実験を行った。HFと1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン)は20であり、反応管内の容積は29.4cm3であることから、滞留時間(V/F0)は12.1 secであった。反応継続時の反応圧力は0.008 MPa(ゲージ圧)を示していた。
反応開始から2時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。分析時の反応条件と分析結果を表1に示す。
実施例3
反応管長さを250cmに変更し、反応温度を363℃に変更し、更に、無水フッ化水素(HF)の流量を105 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実験を行った。HFと1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン)は15であり、反応管内の容積は37.1 cm3であることから、滞留時間(V/F0)は19.9 secであった。反応継続時の反応圧力は0.008 MPa(ゲージ圧)を示していた。
反応開始から3時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。分析時の反応条件と分析結果を表1に示す。
Figure 2012020992
実施例4
1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa) のフッ素化
実施例1で用いた反応装置において、反応管として、外径1/4インチ(肉厚1.0 mm)、長さ520 cmのインコネル600製の管を用い、反応管と混合部の接続および反応管からの反応出口ラインにはハステロイ22製の管(外径1/8インチ)を使用し、接合にはインコネル600製の継手を使用する以外は、実施例1と同様の構造の反応装置を用いた。反応管内の容積は77.2cm3であり、これを反応容積(V)とした。マッフル炉内における反応管以外の接続部の容積は小さいため、反応容積としては考慮しないこととし、以下の実施例も同様とした。
この反応装置における反応管内を大気圧(0.1MPa)およびマッフル炉内の温度を400℃に維持し、乾燥空気(窒素:酸素= 79:21)を100 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に連続的に供給して10時間維持した後、マッフル炉内の温度を室温まで下げた。その後、乾燥空気の供給を停止し、窒素を100cc/minで反応器に連続的に供給しながらマッフル炉内の温度を400℃に維持して2時間経過させた後、窒素の流量を7.0cc/minに変更し、無水フッ化水素(HF)を140 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で反応器に連続的に供給して2時間維持し、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa、純度99.8%)を気相状態で7.0 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で連続的に供給して反応開始とした。
反応継続時の反応圧力は0.010 MPa(ゲージ圧)を示していた。反応の継続時は反応器出口側から窒素(N2)を60 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)で供給し、反応生成物と合わせて抜き出した。反応管の外壁温度を反応器入口側から出口側にかけて計5点等間隔で測定し、その平均温度を反応温度とした。以下の実施例も同様の測定を行うことで、反応温度とした。HFと1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン)は20であった。滞留時間(V/F0)は反応容積(V)と反応器へ供給したガスの総流量(F0)から、V/F0= 30.1 secとなった。以下の実施例も同様の考え方で滞留時間(V/F0)を算出した。
反応開始から3時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。分析時の反応条件と分析結果を表2に示す。
本実施例での生成物は以下の通りである。下記8つの化合物の内で、HFC-1234zeおよびHCFC-1233zd以外の化合物は、いずれもこれらの前駆体であり、リサイクルして原料として使用できるため有用物とみなす。
CF3CH=CHF (HFC-1234ze E体+Z体)
CF3CH=CHCl (HCFC-1233zd E体+Z体)
CF2ClCH=CHCl(HCFC-1232zd)
CHCl2CH=CF2(HCFC-1232zc)
CFCl2CH=CHCl(HCFC-1231zd)
CHCl2CH=CFCl(HCFC-1231zb)
CFCl2CH2CHCl2(HCFC-241fa)
CCl2=CHCHCl2 (HCC-1230za)
また、以下の化合物は本反応により生成する不純物とみなす。
CF3CCl=CH2(HCFC-1233xf)
CF2ClCCl=CH2(HCFC-1232xf)
CF3CCl=CHCl (HCFC-1223xd)
CF2ClCCl=CHCl (HCFC-1222xd)。
実施例5
反応管長さを335cmに変更し、無水フッ化水素(HF)の流量を105 cc/min(0℃、0.1MPaでの流量)に変更した以外は、実施例4と同様の方法で実験を行った。 HFと1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン)は15であり、反応管内の容積は49.8 cm3であることから、滞留時間(V/F0)は25.1 secであった。反応継続時の反応圧力は0.009 MPa(ゲージ圧)を示していた。
反応開始から3時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。分析時の反応条件と分析結果を表2に示す。
実施例6
実施例5で使用した反応管(長さ335cm)を用い、反応温度を435℃に変更した以外は実施例5と同様の方法で実験を行った。HFと1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンのモル比(HF/1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン)は15であり、反応管内の容積は49.8 cm3であることから、滞留時間(V/F0)は25.1 secであった。反応継続時の反応圧力は0.009 MPa(ゲージ圧)を示していた。
反応開始から2時間後の反応器の出口流出物をガスクロマトグラフを使用して分析した。分析時の反応条件と分析結果を表2に示す。
Figure 2012020992

Claims (5)

  1. 触媒の不存在下で、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物とフッ化水素とを、加熱下において気相状態で反応させることを特徴とする、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される含フッ素プロペンの製造方法。
  2. 含塩素化合物が、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパンである請求項1に記載の含フッ素プロペンの製造方法。
  3. 含塩素化合物が、1,1,1,3-テトラクロロ-3-フルオロプロパン及び1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項1又は2に記載の含フッ素プロペンの製造方法。
  4. 原料として用いる含塩素化合物1モルに対してフッ化水素を3モル以上使用し、250〜500℃で反応を行う請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素プロペンの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの方法によって、一般式(4):CF3CH=CHZ (式中、ZはCl又はFである。)で表される化合物を含む含フッ素プロペンを製造した後、反応生成物に含まれる、一般式(1):CClX2CH2CHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、YはCl又はFである。)で表される含塩素プロパン、一般式(2):CClX2CH=CHY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペン、及び一般式(3):CX2=CHCHClY(式中、各Xは、同一又は異なって、Cl又はFであり、Yは、Cl又はFである。)で表される含塩素プロペンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料化合物として再利用する工程を含む、含フッ素プロペンの製造方法。
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