JP2012020508A - 乾燥ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】熱風を使用して液体塗布層の乾燥を行う乾燥ユニットにおいて、効率良く乾燥させることができ、かつ美しい仕上がりを得られるようにする。
【解決手段】熱風乾燥ユニット60において、加熱された気体を吹き付けることでシート媒体Pを加熱し、前記液体塗布層を乾燥させるにあたって、該熱風乾燥ユニット60を、複数のノズル63A,63Bを設けて構成し、それらから放射される気体の温度に差を持たせる。具体的には、上流側の熱風吹き出しノズル63Aから熱風を放射する一方、下流側の温風吹き出しノズル63Bからは温風を放射する。これによって、熱風を使用して液体塗布層の乾燥を効率的に行い、温度の低い温風によって表面を硬化させ、美しく仕上げることができる。
【選択図】図3
【解決手段】熱風乾燥ユニット60において、加熱された気体を吹き付けることでシート媒体Pを加熱し、前記液体塗布層を乾燥させるにあたって、該熱風乾燥ユニット60を、複数のノズル63A,63Bを設けて構成し、それらから放射される気体の温度に差を持たせる。具体的には、上流側の熱風吹き出しノズル63Aから熱風を放射する一方、下流側の温風吹き出しノズル63Bからは温風を放射する。これによって、熱風を使用して液体塗布層の乾燥を効率的に行い、温度の低い温風によって表面を硬化させ、美しく仕上げることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば枚葉輪転印刷機のような印刷機において、シート媒体上に塗布されたインクやニス等の液体塗布層を乾燥させるための乾燥ユニットに関する。
紙シート等のシート媒体に油性のインクを用いて画像を形成する枚葉輪転印刷機が汎用されている。一般に、油性インクの完全乾燥には相応の時間を要するため、油性インクで印刷されたシート媒体の表面には水性ニスがコーティングされ、これに乾燥処理を施すことで乾燥時間の短縮及び印刷表層の保護が図られている。従って、この種の枚葉輪転印刷機では、油性インクを用いてシート媒体に印刷処理を施す印刷ユニットと、油性インクが塗布されたシート媒体の表面に水性ニスをコーティングする水性ニス塗布ユニットとを備える(例えば特許文献1参照)。
枚葉輪転印刷機は、さらに、油性インク及び水性ニスからなる印刷液が塗布されたシート媒体に対して乾燥処理を施す乾燥ユニットを備える。乾燥ユニットは、印刷ユニット及び水性ニス塗布ユニットの下流側に配置され、例えば赤外線放射ランプのような熱光源を備える。そして、当該ランプの輻射熱により、その上流から搬送されてくるシート媒体の前記印刷液を乾燥させる(例えば特許文献2参照)。
前記特許文献2には、さらに前記赤外線放射加熱による内側からの乾燥と同時に、エアを吹き付けることで外側からも乾燥させることが示されている。しかしながら、単純にエアを吹き付けても、乾燥効率を大きく改善することは難しく、またシート媒体の表面の仕上がりも良好なものにはならない。
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたものであって、シート媒体を効率良く乾燥させることができ、かつ美しい仕上がりを得ることができる乾燥ユニットを提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る乾燥ユニットは、所定の搬送経路に沿って搬送され、その表面に液体塗布層を備えたシート媒体を乾燥する乾燥ユニットであって、前記搬送経路上に配置され、加熱された気体を前記シート媒体に吹き付ける乾燥手段を備え、前記乾燥手段は、所定の第1温度の気体を放射する第1放射器と、前記第1温度よりも高い第2温度の気体を放射する第2放射器と、を含み、前記第2放射器は、前記第1放射器よりも前記搬送経路の上流側に配置されている(請求項1)。
この構成によれば、表面に液体塗布層を備えたシート媒体に対して、乾燥手段において、加熱された気体を吹き付けることで該シート媒体を加熱し、前記液体塗布層を乾燥させる。前記乾燥手段は、気体を放射する放射器を複数備え、それらから放射される気体の温度に差を持たせる。そして、先ず第2放射器から第2温度の熱風を放射し、次に第1放射器から温度の低い第1温度の気体を放射する。したがって、熱風を使用して液体塗布層の乾燥を効率的に行い、温度の低い第1温度の気体によって表面を硬化させ、美しく仕上げることができる。
上記構成において、前記液体塗布層は、前記シート媒体の表面に、油性インク層と、該油性インク層の上に形成された水性ニス層とを備えてなることが望ましい(請求項2)。
この構成によれば、水性ニス層の表面を美しく仕上げることができる。
上記構成において、前記第1放射器から放射される気体と前記第2放射器から放射される気体とが互いに接近する方向に、前記第1放射器及び第2放射器の気体放出方向が設定されていることが望ましい(請求項3)。
この構成によれば、第1放射器から放射される気体にエアカーテンとしての機能を持たせ、第2放射器からの熱風が周辺装置に拡散することを抑えることができる。
上記構成において、前記第2放射器は前記第2温度の気体を、前記シート媒体の液体塗布層表面の法線方向から放射し、前記第1放射器は前記第1温度の気体を、前記法線に対して傾斜した方向から放射することが望ましい(請求項4)。
この構成によれば、第2放射器からの熱風を、第1放射器からの温風で押し返し、前記エアカーテンとしての機能をより高めることができる。
上記構成において、前記第2温度は、130℃以下の温度であることが望ましい(請求項5)。
この構成によれば、130℃を超える温度の風を当てても、水性ニス層の乾燥が主であるので、それ以上の乾燥効果が期待できないため、効果的である。
上記構成において、前記搬送経路上に配置され、輻射熱を前記シート媒体に与える輻射熱発生手段をさらに備え、前記輻射熱発生手段は、前記乾燥手段よりも前記搬送経路の上流側、若しくは、前記乾燥手段を挟んで前記搬送経路の上流側及び下流側の双方に配置されていることが望ましい(請求項6)。
この構成によれば、前記乾燥手段による上記の熱風と、輻射熱発生手段による輻射熱との相乗効果によって、より効率的に乾燥を行うことができる。
本発明によれば、液体塗布層を備えたシート媒体に加熱された気体を吹き付ける乾燥手段を備えた乾燥ユニットにおいて、シート媒体を効率良く乾燥させることができ、かつ美しい仕上がりを得ることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、枚葉輪転印刷機Sの全体構造を概略的に示す断面図である。枚葉輪転印刷機Sは、紙や樹脂フイルム等のシートP(シート媒体)を図中矢印Aの方向に搬送しつつ、当該シートPに油性インク及び水性ニスを順次塗布し、その後シートの乾燥処理を施す印刷機である。枚葉輪転印刷機Sは、給紙装置11、印刷ユニット12、水性ニス塗布ユニット13、乾燥部14及び排紙装置15が、シートPの搬送経路の上流側から下流に向けて、上記の順に配置されてなる。
給紙装置11は、大量のシートPの積層体からなる印刷前のシート束P1を貯留すると共に、このシート束P1からシートPを1枚ずつ給紙する装置である。給紙装置11は、シート束P1を支持し、上下方向に移動するリフタ111を備える。リフタ111は、シート束P1の最上面が所定の給紙位置に位置するよう、その上下動が制御される。シートPは、給紙装置11から搬入路112を通して印刷ユニット12内へ導入される。
印刷ユニット12は、シートPの表面に、油性インクを用いて印刷処理を行う。本実施形態では、3基の印刷ユニット12A、12B、12Cが備えられている例を示しているが、印刷ユニットの基数は3基よりも多基としても良い。各印刷ユニット12A、12B、12Cは、刷版が装着されるローラ状の版胴121と、版胴121の周面に圧接され前記刷版上に形成された画像が転写されるゴム胴122と、ゴム胴122に圧接されてニップ部を形成し、当該ニップ部を通過するシートPにゴム胴122の画像を印刷させる圧胴123と、次段のユニットへシートPを受け渡す受渡し胴124とが備えられている。
水性ニス塗布ユニット13は、油性インクが塗布されたシートPの表面に水性ニスを塗布するユニットであって、水性ニスを担持するニス胴131と、ニス胴131の周面に圧接されるブランケット胴132と、ブランケット胴132に圧接されてニップ部を形成する圧胴133とを備える。シートPは、ブランケット胴132と圧胴133とのニップ部に案内され、油性インクが塗布された面の上に水性ニスが塗布される。
乾燥部14は、後に詳述する乾燥ユニット20が配置される部位であり、油性インク及び油性インクが塗布されたシートPの乾燥が行われる部位である。この乾燥部14において、枚葉輪転印刷機Sのハウジングは水平な平坦部141を有している。この平坦部141は、作業員の作業スペースとして活用される場合がある。
排紙装置15は、印刷処理及び乾燥処理を終えたシートPが排紙され、これらをシート束P2として貯留する装置である。排紙装置15は、上下方向に移動するリフタ151を備え、シートPは、このリフタ151に上方から落下積載される。リフタ151は、シート束P2の積載高さに応じて、その上下動が制御される。
印刷処理後のシートPは、排紙チェーン16によって、乾燥ユニット20を通して排紙装置15へ搬送される。排紙チェーン16は、水性ニス塗布ユニット13の圧胴133に近接して配置される第1スプロケット17と、排紙装置15のリフタ151の直上に配置された第2スプロケット18との間に、シートPの幅方向(図1の紙面に垂直な方向)端部に一対で張架されている。
排紙チェーン16には、水性ニスが塗布された後のシートPの前端部を把持するくわえ爪161が、一定の間隔を置いて取り付けられている(図1では、1つのくわえ爪161を図示している)。排紙チェーン16は、図1の時計方向に周回駆動され、これによりくわえ爪161で前端が把持されたシートPは、乾燥ユニット20を経由して排紙装置15まで搬送される。リフタ151の上方位置で、くわえ爪161によるシートPの把持は解除され、上方からリフタ151にシートPが落下積載される。このような落下積載を行わせるため、排紙チェーン16によるシート搬送経路は、乾燥ユニット20を通過したあと、上方に向かっている。これに合わせ、前記ハウジングは、平坦部141に続いて傾斜部142が備えられている。
枚葉輪転印刷機Sの動作を概説する。給紙装置11のシート束P1からシートPが1枚ずつ繰り出され、該シートPは搬入路112を通して印刷ユニット12内へ搬入される。このシートPの表面(上面)に、各印刷ユニット12A、12B、12Cによって、油性インクを用いて版胴121の画像が印刷される。続いて、水性ニス塗布ユニット13によって、シートPの表面のインク塗布層の上に水性ニスが塗布される。その後、シートPは、排紙チェーン16で搬送されつつ、乾燥部14に配置された乾燥ユニット20によって、乾燥処理が施される。しかる後、シートPは、排紙装置15により機外に排紙され、シート束P2として貯留される。
図8は、枚葉輪転印刷機Sによって処理が施された後のシートPを示す断面図である。シートPの表面には、油性インク層101と、該油性インク層101の上を覆う水性ニス層102とが形成されている。
次に、乾燥ユニット20の詳細構造について説明する。図2は、乾燥ユニット20の斜視図、図3は、図2のIII−III線断面図、図4は、乾燥ユニット20の上面図である。乾燥ユニット20は、保持フレーム200と、該保持フレーム200に組み付けられた第1光源ユニット30、第2光源ユニット40、保温ユニット50、熱風乾燥ユニット60、第3光源ユニット70及び風冷ユニット80とを備える。これらのユニット30〜80は、シートPの搬送経路に沿って、搬送上流側から下流側に向けて(矢印Aの方向)、上記の順に配置されている。
保持フレーム200は、上流側フレーム201と下流側フレーム202とを含む。上流側フレーム201は、シートPの搬送経路を挟んで対向して配置される第1フレーム201Aと第2フレーム201Bとを備える。これらフレーム201A、201Bは、前記搬送経路が延びる方向に長い四角枠状のフレームであり、両者はほぼ同様の形状を備えている。下流側フレーム202は、同様にシートPの搬送経路を挟んで対向して配置される第3フレーム202Aと第4フレーム202Bとを備え、上流側フレーム201の下流端に連接されている。これらフレーム202A、202Bも四角枠状のフレームであって、両者はほぼ同様の形状を備えている。
第1フレーム201A及び第3フレーム202Aと、第2フレーム201B及び第4フレーム202Bとの間には、第1、第2、第3仕切り板203、204、205が取り付けられている。これら仕切り板203、204、205は、薄い平板からなり、乾燥ユニット20内を上流側空間20Aと下流側空間20Bとに区画すると共に、当該乾燥ユニット20が発する熱が、枚葉輪転印刷機S内に拡散することを抑止する役目を果たす。
第1仕切り板203は、最上流側において第1フレーム201Aと第2フレーム201Bとの間に架設され、一方、第3仕切り板205は、最下流側において第3フレーム202Aと第4フレーム202Bとの間に架設されている。そして、第2仕切り板204は、上流側フレーム201と下流側フレーム202との境界付近に配置され、上流側空間20Aと下流側空間20Bとを区画している。
第1仕切り板203は、第1光源ユニット30及び第2光源ユニット40が発する輻射熱により生じる暖気が、水性ニス塗布ユニット13及び印刷ユニット12が配置されている方向に向かうことを規制する。第2仕切り板204は、熱風乾燥ユニット60及び第3光源ユニット70が発する熱風及び輻射熱により生じる暖気が、上流側空間20A(水性ニス塗布ユニット13及び印刷ユニット12の配置方向)へ向かうことを規制する。第3仕切り板205は、前記熱風及び輻射熱が、排紙装置15の方向へ向かうことを規制する。
図2では図示を省略しているが、保持フレーム200の天面及び前記搬送経路と平行な両側面は、枚葉輪転印刷機S(乾燥部14)のケーシングで覆われる。このケーシングとしては、金属平板を用いることができる。ここで、前記の両側面を覆うケーシングとして窓部付きの枠フレームを用い、その窓部に透明な樹脂板を嵌め込む構成とすることが望ましい。
第1光源ユニット30は、遠赤外領域の光をシートPに照射するユニットであって、乾燥ユニット20内において、シートPの搬送経路の最も上流側に配置されている。第1光源ユニット30が発する光の波長は、2.5μm程度以上の領域にピークを有する遠赤外領域の光であり、好ましくは3μm〜6μm程度の遠赤外光である。本実施形態では、第1光源ユニット30が、第1、第2、第3セラミックヒータユニット31、32、33の3つのサブユニットから構成されている例を示している。各セラミックヒータユニット31、32、33は同一のユニット構造を有し、シートPの搬送経路と直交する方向に長い、矩形の筐体構造を備えている。
図5は、第1光源ユニット30(第1、第2、第3セラミックヒータユニット31、32、33の一つ)を示し、図5(A)は、第1光源ユニット30の斜視図、図5(B)は図5(A)の矢印VB方向の矢視図、図5(C)は、図5(A)のVC−VC線断面図である。
第1光源ユニット30は、一方向に長い直方体からなる筐体341と、この筐体341内に収容された複数のセラミックヒータ35とを備える。筐体341は、開口した下端部341Bを有すると共に、その天板に互いに離間して配置された第1空気孔342及び第2空気孔343を、その側板にケーブル挿通孔344をそれぞれ有している。後記で説明するが、第1空気孔342及び第2空気孔343は、第1光源ユニット30の冷却のための空気流通路として利用される。図5(C)に示すように、筐体341の下端部341Bには、セラミックヒータ35を保持した支持板345が、下端部341Bの開口を塞ぐように嵌入されている。
セラミックヒータ35は、通電されることで遠赤外光を輻射するヒータ(光源)である。セラミックヒータ35としては、例えば、通電発熱するニクロム線の蛇行配線体を、アルミナや窒化ケイ素等からなる一対のセラミック平板で挟み、これを焼結処理して一体化して形成された平板状のヒータを用いることができる。図5(B)に示すように、本実施形態では、8個の略正方形の単位セラミックヒータ35が、その輻射面を筐体341の開口に露呈した状態で、筐体341の長手方向に配列されている例を示している。一実施例を挙げると、単位セラミックヒータ35として出力=0.69kWのものを用い、各々のセラミックヒータユニット31、32、33の出力を0.69kW×8個=5.52kWに設定することができる。
支持板345は、筐体341の下端部341B付近に取り付けられており、支持板345と筐体341の天板との間には略密閉された空間Rが存在している。この空間Rは、風冷空間として、また、セラミックヒータ35の配線空間として利用される。支持板345の上面側には、各セラミックヒータ35へ給電を行うための一対のリード電極351、352が突出している。これらリード電極351、352の各々は、支持板345に固定された絶縁スペーサ353で保持されている。図略の通電ケーブルが、ケーブル挿通孔344を通して空間Rに配線され、その通電ケーブルの端末部がリード電極351、352の各々に接続される。
第2光源ユニット40は、近赤外領域の光をシートPに照射するユニットであって、乾燥ユニット20内において、第1光源ユニット30の次段の下流側に配置されている。第1光源ユニット30が発する光の波長は、1.0μm〜3.0μm程度以上の領域にピークを有する近赤外領域の光である。本実施形態では、第2光源ユニット40が、第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット41、42、43、44の4つのサブユニットから構成されている例を示している。各カーボンヒータユニット41、42、43、44は同一のユニット構造を有し、シートPの搬送経路と直交する方向に長い、矩形の筐体構造を備えている。
図6は、第2光源ユニット40(第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット41、42、43、44の一つ)を示し、図6(A)は、第2光源ユニット40の斜視図、図6(B)は図6(A)の矢印VIB方向の矢視図、図6(C)は、図6(A)のVIC−VIC線断面図である。
第2光源ユニット40は、一方向に長い直方体を形成する上部筐体431及び下部筐体432と、下部筐体432に装着された複数のカーボンヒータ46とを備える。上部筐体431は、開口した下端部を有する蓋状の部材であり、その天板に空気孔433と、複数のカーボンヒータ46への通電端子となるコネクタ434とを有している。下部筐体432は、その上端部432Tと下端部432Bが開口した部材であり、上端部432Tの側は上部筐体431で覆われている。一方、下端部432Bの開口には、カーボンヒータ46の輻射面が露呈している。
各カーボンヒータ46は、細長い棒状のヒータエレメント44と、このヒータエレメント44の上方に配置された半円筒型のリフレクタ45とを含む。ヒータエレメント44は、前記の近赤外線を輻射する光源であって、例えば、炭素系の導電性材料を用いて断面長方形の長尺体に成形して焼結した発熱体と、この発熱体を包囲する石英ガラス管とからなるランプヒータを用いることができる。リフレクタ45は、ヒータエレメント44が輻射する近赤外光線を、被照射面(シートP)に指向させる部材であり、ヒータエレメント44の長手方向全長に亘り、その上方部をドーム状に覆う部材である。なお、図示は省略しているが、コネクタ434と、各ヒータエレメント44とを電気的に接続する通電ケーブルが、上部筐体431及び下部筐体432の内部に配線されている。
本実施形態では、第2光源ユニット40(第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット41、42、43、44の各々)に、3本のカーボンヒータ46が平行に配置されている例を示している。図6(C)に示すように、3本のカーボンヒータ46の長手方向両端部は、下部筐体432に備えられた保持板432Hにて保持されている。一実施例を挙げると、1本のカーボンヒータ46として出力=2kWのものを用い、各々のカーボンヒータユニット41、42、43、44の出力を2kW×3本=6kWに設定することができる。なお、カーボンヒータ46の側部と、下部筐体432の下端部432Bのエッジとの間には、スリット状の隙間432Gが備えられている。従って、上部筐体431の空気孔433から空気流が送り込まれた場合、この隙間432Gから空気流は筐体外部へ流出することになる。
上記のように、先ず第1光源ユニット30により印刷処理後のシートPに遠赤外線が照射され、続いて第2光源ユニット40により同シートPに近赤外線が照射されるレイアウトとすることで、次のような利点がある。すなわち、第1光源ユニット30が輻射する遠赤外線によってシートPが専ら内部的に加熱され、次いで第2光源ユニット40が輻射する近赤外線によりシートPの表層に位置する水性ニス層が乾燥される。
図8を用いて説明すると、第1光源ユニット30が発する遠赤外領域の光は、印刷処理が施されるシートPの表面側から照射された場合でも、シートPの内部まで至り易く、シートPを内部から加熱するのに有利である。これにより、油性インク層101に熱が与えられ、該層の乾燥を促進させることができる。一方、第2光源ユニット40が発する近赤外領域の光は、水に吸収され易く、水性ニス層102を良好に乾燥させることができる。従って、本実施形態のレイアウトであれば、表層に位置する水性ニス層102を乾燥させる前に、内層に位置する油性インク層101が乾燥される。水性ニス層102が先に乾燥して硬化してしまうと、内層の油性インク層101を乾燥させ難くなるが、本レイアウトでは先に油性インク層101を乾燥させるので、油性インク層101及び水性ニス層102の双方を良好に乾燥させることができる。
保温ユニット50は、前記搬送経路上における上述の第2光源ユニット40と後述する熱風乾燥ユニット60との間に配置され、第2光源ユニット40の配置位置を通過した後、熱風乾燥ユニット60へ向かうシートPの温度を保温するためのユニットである。保温ユニット50としては、本実施形態では、第1光源ユニット30の1つのサブユニット(セラミックヒータユニット31、32、33の一つ)と同一構成を備えるヒータユニットが用いられている例を示している。つまり、保温ユニット50は、図5(A)〜(C)で説明したような、筐体341及び複数のセラミックヒータ35を備える。従って、保温ユニット50は、遠赤外領域の光を、直下を通過するシートPに照射することで、当該シートPを加温する。
前述の第1光源ユニット30及び第2光源ユニット40は、上流側フレーム201に装着されている。一方、保温ユニット50よりも下流側のユニットは、下流側フレーム202に装着されている。ここで、熱風乾燥ユニット60は、熱風を吹き付ける加熱形式を取るユニットであり、気体を流通させるための配管路等を要するため、レイアウトの都合上、第2光源ユニット40の直下流に配置することは容易でない。また、第2光源ユニット40の直下を通過中で表層の乾燥度合いが低い状態のシートPに、熱風乾燥ユニット60が発する熱風が及び、水性ニス層102の表面状態が乱れることを回避すべき要請もある。このため、第2光源ユニット40と熱風乾燥ユニット60との間には、相応の間隔が置かれている。
一方、熱風乾燥ユニット60に至る前にシートPの温度が低下することは、熱風による乾燥の効果を低下させるため好ましいとは言えない。そこで、両者間におけるシートPの保温のため、保温ユニット50が配置されている。保温ユニット50の形態は特に限定はなく、セラミックヒータユニットタイプに代えて、例えば第2光源ユニット40と同様なカーボンヒータユニットタイプのものを採用してもよい。しかし、次段の熱風乾燥ユニット60ではシートPの表層部分が専ら乾燥されるので、シートPを内部的に加熱することができる(油性インク層を加熱できる)、遠赤外線を発生するヒータユニットを用いることが望ましい。
熱風乾燥ユニット60は、保温ユニット50の下流側に配置され、シートPに熱風および温風(加熱された気体)を吹き付けるユニットである。この熱風乾燥ユニット60は、第1光源ユニット30及び第2光源ユニット40によって、ある程度乾燥されたシートPの表面に熱風および温風を吹き付けることで、水性ニス層の乾燥を一層促進し、乾燥に要する時間をより短縮する目的で配置されている。
熱風乾燥ユニット60は、ノズルボックス61とヒータボックス62とを含む。ノズルボックス61は、図3に示すように、空気を吹き付けるノズルを収容するもので、ボックス筐体611と、このボックス筐体611の内部に収容された熱風吹き出しノズル63A及び温風吹き出しノズル63Bとを備えている。ボックス筐体611は、シートPの搬送経路と直交する方向に長い直方体のケーシングであり、保温ユニット50と第3光源ユニット70との間に配置されている。ボックス筐体611の下端部612は開口しており、ノズル63A、63Bから吹き出される空気流が、前記開口を通して該ユニット60の直下を搬送されるシートPに照射可能とされている。ボックス筐体611の天板には、中空円筒体からなる熱風ノズルコネクタ661及び温風ノズルコネクタ671が各々取り付けられている。
ヒータボックス62は、図2、図4に示すように、ノズルボックス61の上部に配置され、ヒータ筐体620と、このヒータ筐体620の内部に配置された図略の電気ヒータとを備えている。ヒータボックス62は、熱風吹き出しノズル63Aから吐出させる熱風を生成するためのボックスであり、前記電気ヒータはヒータ筐体620内に導入された空気を加熱するために備えられている。ヒータ筐体620には、空気の入力ポート621と、出力ポート622とが穿孔されている。
乾燥手段である熱風乾燥ユニット60は、ノズル63A、63Bに空気を導くために、T分岐管64、第1パイプ65、第2パイプ66及び第3パイプ67を備える。T分岐管64は第1ポート641、第2ポート642及び第3ポート643を備え、第1ポート641には後記で説明する回収された温風が供給される。第1パイプ65は、T分岐管64の第2ポート642とヒータ筐体620の入力ポート621との間を接続している。第2パイプ66は、ヒータ筐体620の出力ポート622とボックス筐体611の熱風ノズルコネクタ661との間を接続している。第3パイプ67は、T分岐管64の第3ポート643とボックス筐体611の温風ノズルコネクタ671との間を接続している。
このような配管が施されている結果、T分岐管64の第1ポート641に温風が供給されると、その一部は、第1パイプ65を通してヒータボックス62に導入され、ヒータ筐体620内の前記電気ヒータで加熱される。この加熱された空気は、第2パイプ66及び熱風ノズルコネクタ661を通して熱風吹き出しノズル63Aに導入され、該ノズル63Aから熱風として吹き出される。一方、第1ポート641に供給された温風の残部は、第3パイプ67及び温風ノズルコネクタ671を通してそのまま温風吹き出しノズル63Bに導入され、該ノズル63Bから温風として吹き出される。
ここで、第1放射器である温風吹き出しノズル63Bから吹き出される温風の温度は、第1温度である30℃〜70℃程度である。一方、第2放射器である熱風吹き出しノズル63Aから吹き出される熱風の温度は、前記シート媒体Pがこの熱風吹き出しノズル63Aの下を通過する際の前記水性ニス層102の表面温度を超過する温度であり、第2温度である70℃〜130℃程度に設定される。これは、当該表面温度以下の風であれば、上流側の第1光源ユニット30及び第2光源ユニット40で与えた乾燥効果が薄れる結果となる一方、例えば130℃以上の風を当てても、水性ニス層102の乾燥が主であるので、それ以上の乾燥効果が期待できないからである。
前記シート媒体Pの搬送方向に対して、上流側に第2放射器である熱風吹き出しノズル63Aが、下流側に第1放射器である温風吹き出しノズル63Bが配置されることである。従って、シートPには、先ず70℃〜130℃程度の熱風が吹き付けられ、続いて30℃〜70℃程度の温風が吹き付けられることになる。
続いて、ノズル63A、63Bの詳細構造を、図7に基づいて説明する。図7(A)は、熱風吹き出しノズル63Aの斜視図、図7(B)は、保持具68で支持されたノズル63Aの側面図、図7(C)はその正面図である。なお、温風吹き出しノズル63Bも同様の構造である。
ノズル63Aは、シートPの搬送幅(搬送経路と直交する方向の幅)に相当する長さを備えた長尺の中空部材であり、筒状のキャビティ部631と、キャビティ部631の下端部に連接されたノズル部632とを含む。ノズル部632の断面幅は、キャビティ部631よりも狭幅とされ、その下端部には熱風が吹き出すスリット633が備えられている。図示を省略しているが、キャビティ部631には、熱風ノズルコネクタ661が接続されるインレットが備えられている。また、キャビティ部631の側板631Sには、ノズル63Aを揺動させる回動軸となる支軸634と、この支軸634を挟んで対称に配置された一対のガイド突起635とが突設されている。
キャビティ部631の両端の側板631Sは、保持具68で各々支持される。保持具68は、ボックス筐体611の内部に配置され、支軸634を回動自在に軸支する軸支孔681と、一対のガイド突起635が各々嵌入される一対の円弧ガイド溝682が穿孔されている。
キャビティ部631の支軸634が保持具68の軸支孔681へ、また、一対のガイド突起635が一対の円弧ガイド溝682にそれぞれ挿入された状態で、図7(B)に示すように、ノズル63Aは支軸634の軸回りに回動可能である。これにより、ユーザはノズル部632(スリット633)の方向を、円弧ガイド溝682の溝長の限度において、首振りさせることが可能である。従って、スリット633から放射されるスリット状の温風の吹き出し方向を、図中の角度θの範囲で選択することができる。なお、ノズル63Aの首振り角度選択後は、図略の固定具でキャビティ部631が固定される。
このようなノズル首振り機構を用いて、図3で示すように、上流側の熱風吹き出しノズル63Aは、シート媒体Pの表面の法線方向から熱風を放射する。一方、下流側の温風吹き出しノズル63Bは、前記法線に対して傾斜した方向から温風を放射する。従って、前記シート媒体Pの表面で、それらの熱風と温風とが交差するようになっている。
第3光源ユニット70は、搬送経路上の熱風乾燥ユニット60よりも下流側に配置され、近赤外領域の光をシートPに照射するユニットである。第3光源ユニット70を熱風乾燥ユニット60の下流に設けるレイアウトとすることで、熱風乾燥後にさらにシートPの表層部を、近赤外線により加熱することができる。従って、シートPの水性ニス層102の乾燥性をさらに高めることができ、排紙装置15においてシート束P2として積層された際に、水性ニス層102の剥がれやシートP同士のひっつきを抑止できる。また、熱風乾燥ユニット60による熱風の放射により水性ニス層102の表面が乱れたとしても、これを整えることができるようになる。
本実施形態では、第3光源ユニット70として、第2光源ユニット40と同様な構成を有する2つのカーボンヒータユニット、すなわち、第5、第6カーボンヒータユニット71、72が用いられている例を示している。これらヒータユニット71、72は、図6(A)〜図6(C)で説明した第2光源ユニット40が備える上部筐体431及び下部筐体432、3組のカーボンヒータ46、空気孔433及びコネクタ434等と同様の構成を備えている。
風冷ユニット80は、シートPの搬送経路上における最も下流側に配置され、常温又は冷却された気体をシートPに吹き付けるユニットである。このような風冷ユニット80を最後段に配置することで、上流側の各ユニット30〜70で加熱されたシートPを冷却することができ、水性ニス層及び油性インク層の安静化を図ることができる。
風冷ユニット80は、同一構造を備えた第1、第2、第3サブユニット81、82、83から構成されている。各サブユニット81、82、83は、搬送経路と直交する方向に長い直方体であり、その天板の長手方向中央部にはインレット811、821、831が備えられ、底板には図略の吹き出しスリットが設けられている。このスリットから空気が吹き出され、シートPの印刷面に放射される。
なお、図4に示すように、サブユニット81、82、83は、搬送経路と直交する方向に対して若干傾斜した状態で下流側フレーム201に取り付けられている。これは、シートPの幅方向全長に対して同時にスリット風の吹き付けが行われるとシートPがバタついてしまうことから、スリット風の照射幅を徐々に増加させるようにするためである。
乾燥ユニット20はさらに、ユニットの冷却及び熱回収のために、第1エアダクト21、第2エアダクト22、第1回収ダクト23、第2回収ダクト24及び底部回収ダクト25を備えている。第1エアダクト21は、上流側空間20Aに配置され、第1光源ユニット30及び第2光源ユニット40に冷却風を供給するダクトである。また、第2エアダクト22は、下流側空間20Bに配置され、保温ユニット50及び第3光源ユニット70に冷却風を供給するダクトである。
図3に示すように、第1エアダクト21は、1つの入気口211と、第1光源ユニット30向けの3つの出気口212及び第2光源ユニット40向けの4つの出気口213とを備えている。3つの出気口212は各々、第1光源ユニット30(第1、第2、第3セラミックヒータユニット31、32、33)の筐体341に設けられている第1空気孔342に連結されている。また、4つの出気口213は各々、第2光源ユニット40(第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット41、42、43、44)の上部筐体431に設けられている空気孔433に連結されている。
第2エアダクト22は、1つの入気口221と、保温ユニット50向けの1つの出気口222と、第3光源ユニット70向けの2つの出気口223を備えている。保温ユニット50向けの出気口222は、保温ユニット50の筐体に設けられている空気孔に連結されている。また、2つの出気口223は各々、第3光源ユニット70(第5、第6カーボンヒータユニット71、72)の上部筐体に設けられている空気孔に連結されている。
第1回収ダクト23は、上流側空間20Aにおける最上流位置の上部に配置され、上流側空間20A内の暖気を回収するためのダクトである。この配置は、乾燥ユニット20の上流側方向への暖気の流入を効果的に抑止することを意図したものである。第1回収ダクト23は、シートPの搬送経路と直交する方向に長い直方体の形状を備え、暖気を吸い込むためのスリットを有する底板23Bと、吸い込んだ暖気を回収経路に導くためのアウトレット231とを含む。
第2回収ダクト24は、下流側空間20Bにおける最上流位置の上部に配置され、下流側空間20B内の暖気を回収するためのダクトである。この配置は、熱風乾燥ユニット60が発する熱風を効果的に回収することを意図したものである。第2回収ダクト24は、シートPの搬送経路と直交する方向に長い直方体の形状を備え、暖気を吸い込むためのスリットを有する底板24Bと、吸い込んだ暖気を回収経路に導くためのアウトレット241とを含む。
底部回収ダクト25は、保持フレーム200の下方に配置され、第1光源ユニット30〜第3光源ユニット70の搬送経路長さに相当する長さ、シート搬送幅に相当する幅を備える筐体である。底部回収ダクト25は、各ユニット30〜70が輻射若しくは放射する熱により生成される暖気を回収する。底部回収ダクト25の天面25Tには、多数の暖気回収スリットが設けられ、また側板には吸い込んだ暖気を回収経路に導くためのアウトレット251(図2)が設けられている。
底部回収ダクト25と保持フレーム200との間には、複数本の搬送ガイド26が備えられている。搬送ガイド26は搬送経路の方向に長い棒状体であり、一定間隔をおいて平行に配列されている。くわえ爪161で前端が把持されたシートPは、図3に示すように、搬送ガイド26の上を搬送される。
続いて、主に図4を参照して、冷却風の供給系統及び暖気の回収系統について説明する。乾燥ユニット20は、第1送気ブロア91、循環ブロア92、第2送気ブロア93及び排気ブロア94を備えている。
第1送気ブロア91は、外気を取り入れ、これを第1エアダクト21及び第2エアダクト22に向けて送気する。第1送気ブロア91と第1エアダクト21の入気口211とは第1配管911で接続され、また第2エアダクト22の入気口221とは第2配管912で接続されている。
第1送気ブロア91から送られた外気は、出気口212及び第1空気孔342を通して第1光源ユニット30の内部へ、また、出気口213及び空気孔433を通して第2光源ユニット40の内部へ導入される。第1光源ユニット30の内部へ導入された外気は、当該ユニット30が保有する熱と熱交換し、第2空気孔343(図5(A)参照)から上流側空間20A内に放出される。第2光源ユニット40の内部へ導入された外気は、当該ユニット40が保有する熱と熱交換し、筐体下端部432Bの隙間432G(図6(C)参照)から放出される。
循環ブロア92は、底部回収ダクト25で回収された暖気を、熱風乾燥ユニット60に向けて送気する。循環ブロア92の入気側と底部回収ダクト25のアウトレット251との間は第3配管921で接続され、また出気側とT分岐管64の第1ポート641との間は第4配管922で接続されている。
循環ブロア92が駆動されると、底部回収ダクト25の天面25Tの暖気回収スリットに吸引空気流が生成され、各ユニット30〜70の稼動により生成される暖気が第3配管921を通して循環ブロア92に向けて回収される。回収された暖気は、第4配管922を通してT分岐管64に送られる。既述の通り、T分岐管64に供給された暖気の一部は、ヒータボックス62を経由することで熱風に変換され、熱風吹き出しノズル63Aから吹き出される。また暖気の残部は、そのまま温風として、温風吹き出しノズル63Bから吹き出される。さらに、ノズル63A及びノズル63Bから吹き出された熱風及び温風は、再び底部回収ダクト25で回収される。このような暖気の回収・再利用を行う循環系統を設けることにより、エネルギー効率が向上し、熱風乾燥ユニット60の稼動コストを低減することができる。
第2送気ブロア93は、外気を取り入れ、これを風冷ユニット80に向けて送気する。第2送気ブロア93と各サブユニット81、82、83のインレット811、821、831との間は、第5配管931で接続されている。第2送気ブロア93から送られた外気は、各サブユニット81、82、83の底板に設けられた吹き出しスリットから吹き出され、シートPの冷却に供される。
排気ブロア94は、第1回収ダクト23及び第2回収ダクト24を通して暖気を回収し、これを外部へ排気させる。排気ブロア94と第2回収ダクト24のアウトレット241との間は第6配管941で接続され、また第1回収ダクト23のアウトレット231との間は第7配管942で接続されている。排気ブロア94の稼動により、第1回収ダクト23の底板23B及び第2回収ダクト24の底板24Bの各スリットにおいて吸引空気流が生成される。これにより上流側空間20A及び下流側空間20Bに存在する暖気が排気ブロア94に向けて回収され、外部へ排気される。
ここで、本件発明者らの実験結果を示す。実験は、第1光源ユニット30として、第2光源ユニット40および第3光源ユニット70と同様のカーボンヒータ46を用い、保温ユニット50は省略している。すなわち、カーボンヒータ→カーボンヒータ→熱風→温風→カーボンヒータである。また、熱風乾燥ユニット60では、下流側のノズル63Bからは35℃の温風を吹出すこととしている。これに対して、熱風乾燥ユニット60の上流側のノズル63Aからは、120℃、130℃、135℃のそれぞれの熱風を吹き出すこととした。
実験の結果では、先ず120℃の熱風の場合、水分計によるシートPの幅方向中央部付近における水分量は、11.4%であった。これに対して、130℃の熱風では、前記水分量は10.0%となり、乾燥が促進されていることが理解される。一方、135℃の熱風では、前記水分量は9.9%となり、乾燥が促進されているものの、130℃の場合と大差なく、前述のように130℃を超える温度としてもさほど効果が上がらないことが理解される。
以上説明した本実施形態の乾燥ユニット20によれば、表面に液体塗布層として油性インク層101と水性ニス層102とを備えたシート媒体Pに対して、乾燥手段である熱風乾燥ユニット60において、加熱された気体を吹き付けることで該シート媒体Pを加熱し、前記液体塗布層を乾燥させる。乾燥ユニット60は、複数のノズル63A,63Bを備え、それらから放射される気体の温度に差を持たせる。具体的には、第2放射器である上流側の熱風吹き出しノズル63Aから熱風を放射する一方、第1放射器である下流側の温風吹き出しノズル63Bからは温風を放射する。したがって、熱風を使用して液体塗布層の乾燥を効率的に行い、温度の低い温風によって水性ニス層102の表面を硬化させ、美しく仕上げることができる。
また、図3で示すように、前記温風吹き出しノズル63Bから放射される温風と前記熱風吹き出しノズル63Aから放射される熱風とが互いに接近する方向に、前記温風吹き出しノズル63B及び熱風吹き出しノズル63Aの気体放出方向を設定している。これにより、温風吹き出しノズル63Bから放射される温風にエアカーテンとしての機能を持たせ、熱風吹き出しノズル63Aからの熱風が周辺装置に拡散することを抑えることができる。
また、図3で示すように、上流側の熱風吹き出しノズル63Aはシート媒体Pの表面の法線方向から熱風を放射し、下流側の温風吹き出しノズル63Bは前記法線に対して傾斜した方向から温風を放射するので、前記熱風吹き出しノズル63Aからの熱風を、温風吹き出しノズル63Bからの温風で押し返し、前記エアカーテンとしての機能をより高めることができる。
さらにまた、前記熱風の温度を、130℃以下とするので、130℃を超える温度の風を当てても、水性ニス層102の乾燥が主であるので、それ以上の乾燥効果が期待できないため、効果的である。
また、該熱風乾燥ユニット60よりも上流側に、輻射熱を前記シート媒体Pに与える第1光源ユニット30、第2光源ユニット40及び保温ユニット50をさらに備えるので、該熱風乾燥ユニット60による上記の熱風と、これらの輻射熱の発生手段による輻射熱との相乗効果によって、より効率的に乾燥を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、遠赤外領域の光をシートPに照射する第1光源ユニット30と、近赤外領域の光をシートPに照射する第2光源ユニット40とに加え、熱源として、保温ユニット50、熱風乾燥ユニット60及び第3光源ユニット70をさらに備えた乾燥ユニット20を例示した。これらユニット50、60、70は必要に応じて設ければ良く、例えば、第2光源ユニット40と熱風乾燥ユニット60との間が近接させることができる場合は、保温ユニット50を省いても良い。
(2)上記実施形態では、第1光源ユニット30として、各々が複数のセラミックヒータ35を有する第1、第2、第3セラミックヒータユニット31、32、33の3つのサブユニットを、第2光源ユニット40として各々が複数のカーボンヒータ46を有する第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット41、42、43、44の4つのサブユニットの形態で、搬送経路に対向配置させる例を示した。これらは必ずしもサブユニットの形態としなくともよく、単純なフレームに、セラミックヒータ35やカーボンヒータ46を組み付ける構成としても良い。
(3)上記実施形態では、遠赤外領域の光を発する光源としてセラミックヒータ35を、近赤外領域の光を発する光源としてカーボンヒータ46を例示した。これらは単なる一例であり、例えばセラミックヒータ及びカーボンヒータに代えて、発光波長が遠赤外又は近赤外領域であるハロゲンヒータや石英管ヒータを用いるようにしても良い。
S 枚葉輪転印刷機
11 給紙装置
12 印刷ユニット
13 水性ニス塗布ユニット
14 乾燥部
15 排紙装置
16 排紙チェーン
20 乾燥ユニット
200 保持フレーム
20A 上流側空間
20B 下流側空間
23 第1回収ダクト
24 第2回収ダクト
30 第1光源ユニット(第1光源)
31、32、33 第1、第2、第3セラミックヒータユニット
35 セラミックヒータ
40 第2光源ユニット(第2光源)
41、42、43、44 第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット
46 カーボンヒータ
50 保温ユニット(保温手段)
60 熱風乾燥ユニット(熱風乾燥手段)
63A 熱風吹き出しノズル
63B 温風吹き出しノズル
70 第3光源ユニット(第3光源)
80 風冷ユニット
91 第1送気ブロア
92 循環ブロア
93 第1送気ブロア
94 排気ブロア
101 油性インク層
102 水性ニス層
P シート(シート媒体)
11 給紙装置
12 印刷ユニット
13 水性ニス塗布ユニット
14 乾燥部
15 排紙装置
16 排紙チェーン
20 乾燥ユニット
200 保持フレーム
20A 上流側空間
20B 下流側空間
23 第1回収ダクト
24 第2回収ダクト
30 第1光源ユニット(第1光源)
31、32、33 第1、第2、第3セラミックヒータユニット
35 セラミックヒータ
40 第2光源ユニット(第2光源)
41、42、43、44 第1、第2、第3、第4カーボンヒータユニット
46 カーボンヒータ
50 保温ユニット(保温手段)
60 熱風乾燥ユニット(熱風乾燥手段)
63A 熱風吹き出しノズル
63B 温風吹き出しノズル
70 第3光源ユニット(第3光源)
80 風冷ユニット
91 第1送気ブロア
92 循環ブロア
93 第1送気ブロア
94 排気ブロア
101 油性インク層
102 水性ニス層
P シート(シート媒体)
Claims (6)
- 所定の搬送経路に沿って搬送され、その表面に液体塗布層を備えたシート媒体を乾燥する乾燥ユニットであって、
前記搬送経路上に配置され、加熱された気体を前記シート媒体に吹き付ける乾燥手段を備え、
前記乾燥手段は、所定の第1温度の気体を放射する第1放射器と、前記第1温度よりも高い第2温度の気体を放射する第2放射器と、を含み、
前記第2放射器は、前記第1放射器よりも前記搬送経路の上流側に配置されている、乾燥ユニット。 - 請求項1に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記液体塗布層は、前記シート媒体の表面に、油性インク層と、該油性インク層の上に形成された水性ニス層とを備えてなる、乾燥ユニット。 - 請求項1又は2に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記第1放射器から放射される気体と前記第2放射器から放射される気体とが互いに接近する方向に、前記第1放射器及び第2放射器の気体放出方向が設定されている、乾燥ユニット。 - 請求項3に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記第2放射器は前記第2温度の気体を、前記シート媒体の液体塗布層表面の法線方向から放射し、
前記第1放射器は前記第1温度の気体を、前記法線に対して傾斜した方向から放射する、乾燥ユニット。 - 請求項2に記載の乾燥ユニットにおいて、
前記第2温度は、130℃以下の温度である、乾燥ユニット。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の乾燥ユニットにおいて、
前記搬送経路上に配置され、輻射熱を前記シート媒体に与える輻射熱発生手段をさらに備え、
前記輻射熱発生手段は、前記乾燥手段よりも前記搬送経路の上流側、若しくは、前記乾燥手段を挟んで前記搬送経路の上流側及び下流側の双方に配置されている、乾燥ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010160512A JP2012020508A (ja) | 2010-07-15 | 2010-07-15 | 乾燥ユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010160512A JP2012020508A (ja) | 2010-07-15 | 2010-07-15 | 乾燥ユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012020508A true JP2012020508A (ja) | 2012-02-02 |
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ID=45775173
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010160512A Pending JP2012020508A (ja) | 2010-07-15 | 2010-07-15 | 乾燥ユニット |
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Country | Link |
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-
2010
- 2010-07-15 JP JP2010160512A patent/JP2012020508A/ja active Pending
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