JP2012020347A - ロボットのツールベクトルの導出に用いる治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る治具10は、先端部に平面接触子14が備えられると共に平面接触子14に対し垂直方向を向く計測軸に沿った変位を計測可能で且つ平面接触子14でツール先端の位置ずれ量を計測して実績位置ずれ量とする3つの変位計11と、3つの変位計の各計測軸が1点で互いに直交し且つ各計測軸の交点が空間上の所定点となるように、3つの変位計11を配備する配備手段15と、を有する。
【選択図】図8
Description
この溶接ツールの先端部にはツール座標系が設定されており、このツール座標系は、ツールパラメータを用いた変換行列を用いることでフランジ座標系から座標変換可能となっている(ツールパラメータとツールベクトルの差違は後述する)。フランジ座標系は、溶接ロボットの先端部に形成されているフランジ部に設定された座標系であり、このフランジ座標系は、溶接ロボットの各軸のデータより制御装置にて計算可能となっている。
特許文献1は、ロボットのアーム先端に取り付けられたツールの位置姿勢を決定するツールパラメータを導出する方法において、上記ツールを空間上の1点に少なくとも異なる3つの姿勢で位置決めしたときの各位置決めデータに基づいて上記ツールの取り付け部の座標系を演算し、ツールパラメータを用いて表現される上記取り付け部の座標系の任意の2つより見たツール位置候補を含む直線を少なくとも2本求め、上記直線同士の交点と取り付け部の座標系とに基づいて上記ツールパラメータを導出してなることを特徴とするロボットのツールパラメータ導出方法を開示する。
すなわち、特許文献1に開示された技術では、溶接ロボットの先端部に針状に尖った治具(専用治具(1))を装着し、他方、同様に先端が針状となった治具(専用治具(2))を用意し、ロボットの姿勢をいろいろと変化させながら、専用治具(1)の針先と専用治具(2)の針先を併せる位置決め教示を行い、その結果からツールパラメータの推定を行うものとなっている。
そこで、本願発明者らは、ロボットのアーム先端に取り付けられたツールの先端位置を決定するツールベクトルを導出する方法であって、ロボットのツール先端が空間上の所定点の近傍に位置するように、ロボットに対して3つ以上の姿勢をとらせ、各姿勢におけるツール先端の位置ずれ量を計測して実績位置ずれ量とし、計測された実績位置ずれ量を基にツールベクトルを算出することを特徴とするロボットのツールベクトルの導出方法を開発するに至った。
本発明に係るロボットのツールベクトルの導出の際に用いる治具は、ロボットのアーム先端に取り付けられたツールの先端位置を決定するツールベクトルを導出するに際し、前記ロボットのツール先端が空間上の所定点の近傍に位置するように、前記ロボットに対して3つ以上の姿勢をとらせ、各姿勢におけるツール先端の位置ずれ量を計測して実績位置ずれ量とし、計測された実績位置ずれ量を基にツールベクトルを算出するロボットのツールベクトルの導出方法で使用するものである。この治具は、先端部に平面接触子が備えられると共に、前記平面接触子に備えられた計測面に対し垂直方向を向く計測軸に沿った距離変位を計測可能な3つの変位計と、前記3つの変位計の各計測軸が1点で互いに直交すると共に各計測軸の交点が前記空間上の所定点となるように、3つの変位計を配備する配備手段と、を有することを特徴とする。
以上のような構成を有する治具を用いるならば、ロボットに対して3つ以上の姿勢をとらせた場合、各姿勢におけるツール先端の位置ずれは、計測プローブの先端にある球体の位置ずれとなる。計測プローブの球体は3つの変位計の各平面接触子の計測面に接しているため、球体の位置ずれ量すなわちロボットの各姿勢におけるツール先端の位置ずれ量は、治具に備えられた3つの変位計により実績位置ずれ量として計測される。
上記したツールベクトルとは、ロボットのツール座標系とフランジ座標系とをつなぐパラメータであるツールパラメータ(Tx,Ty,Tz,α,β,γ)の中で、並進成分(Tx,Ty,Tz)のみを取り出したものである。
この構成を有する治具であれば、支柱は載置面に対して斜め上方に立ち上がるようになっており、3つの支柱の交点より上方は開放空間となっている。それ故、上方から接近するような姿勢を有するロボットが3つ以上の様々な姿勢を採用したとしても、治具と接触・干渉する可能性は非常に低いものとなる。
また、前記計測用プローブの先端側に設けられた球体の直径が、前記平面接触子の計測面の代表長さと同等又は代表長さより大きいとよい。
なお、ツールベクトルの導出の際に用いる治具(以降、導出治具10と呼ぶ)は、本願発明者らが鋭意研究の末、想到した「ロボットのツールベクトルの導出方法及び較正方法」を行う際に最も適した専用の計測器である。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に示すように、ロボットシステム1は、溶接ロボット2と、教示ペンダント3を備えた制御装置4と、パソコン5(パーソナルコンピュータ)とを含む。溶接ロボット2は垂直多関節型の6軸の産業用ロボットであり、その先端に溶接トーチなどから構成される溶接ツール6(単にツール6と呼ぶこともある)が設けられている。この溶接ロボット2はそれ自体を移動させるスライダ(図示せず)に搭載されていてもよい。
ところで、本願発明は、ツール先端の位置を正確に把握するために必要なツールパラメータ(特にツールベクトル)を正しく導出するための方法に最適な治具に関するものである。
図3〜図7に示す如く、導出治具10は、距離変位計であるダイヤルゲージ11(接触式の変位計)を3台有しており、ツール6の先端の3次元的な変化量を正確に捉えるために、各ダイヤルゲージ11は、配備手段15を用いてそれぞれが直交する方向に配備するされている。この導出治具10により構成される計測座標に関しては、その原点位置を導出治具10の原点と一致するようにしている。
図3〜図5には、本発明の実施形態に係るツールベクトルの導出に用いる治具10の全体構成が示されている。
導出治具10は、配備手段15を構成する部材の一つである支柱20を3本備えている。この3本の支柱20は、三又状に配備され、それぞれが長尺の丸棒(φ10mm程度)からなり長さ約20cm程度で同尺である。3本の支柱20は、互いの先端部が1点で交わり(又は、軸芯を当該支柱20の先端側へ延長した線が1点で交わり)、その交差角は互いが正確に90°となるように配備されている。
支柱保持部材21は立方体形状(一辺が約20mm)を有しており、各面が正方形となっている6面を備えている。支柱保持部材21の互いに隣接する3面(支柱挿入面34)には、支柱20を差し込み可能とする挿入孔22が設けられている。挿入孔22の軸芯は支柱挿入面34に垂直とされ、挿入孔22には雌ネジ部が形成されている。この挿入孔22に支柱20の先端部(雄ネジ部が形成)が螺合し固定される。固定後の支柱20の張り出し長さ(支柱挿入面34〜支柱20の基端部の長さ)は、各支柱20で同じとされている。
一方、各支柱20の中途部には接触式の変位計11が取り付けられている。本実施形態の場合、変位計11は、0.01mmオーダまで計測可能なダイヤルゲージを採用している。
ところで、本実施形態の場合、ダイヤルゲージ11は、クランプ部材30を介して支柱20に取り付けられている。このクランプ部材30は、配備手段15を構成する部材の一つである。
ところで、支柱保持部材21に形成された切断平面23の中央部には、当該平面23に軸芯が垂直となるように穿かれた穿孔25が設けられ、この穿孔25に原点調整具24が嵌り込むようになっている。
切断平面23の穿孔25に原点調整具24が差し込まれた場合、球体27の中心が計測座標系の原点と一致するように、原点調整具24の棒体26の長さなどが決定されている。
この図に示されるように、計測用プローブ12は長さ40mm程度の棒体31を備え、この棒体31の先端部には直径10mmの球体13が設けられている。この計測用プローブ12は導出治具10を構成する一部材ではあるものの、溶接ロボット2の先端部(溶接ワイヤを取り去った後の溶接ツールの先端部)に取り付けられる。それ故、計測用プローブ12の棒体31の基端には、溶接ロボット2のアーム先端に取り付き可能なようにネジ部33が形成されている。
また、計測用プローブ12の先端側に設けられた球体13の直径は、ダイヤルゲージ11の平面接触子14の計測面14Aの代表長さ(直径)と同等か、もしくは代表長さより大きい(例えば、約2倍)とされている。こうすることで、計測針29が、±(計測面14Aの直径/2)の範囲内で移動したとしても、球体13と計測面14Aとの接触状態は維持されて、ダイヤルゲージ11での距離変位の計測が可能となる。例えば、平面接触子14の計測面14Aの直径が10mmである場合、ダイヤルゲージ11は原点を中心として±5mmの変位を計測可能となる。
具体的には、導出の準備として、図9のフローチャートに従って、導出治具11の設置を行う。
まず、図9のS11に示す如く、支柱保持部材21に3つの支柱20をねじ込み、各支柱20にダイヤルゲージ11を取り付けて導出治具10を組み立てる。組み上がった導出治具10をツールベクトルを算出する対象である溶接ロボット2が設置されている載置面F上に配置する。
詳しくは、この原点調整具24の球体27に平面接触子14の計測面14Aが接するようにした上で、その時のダイヤルゲージ11の測定値がほぼ0となるように、ダイヤルゲージ11を支柱20上でスライドさせ、その上で支柱20に対するダイヤルゲージ11の位置を固定する(クランプ部材30のボルトを締め付ける)。
なお、以上の説明では、溶接ロボット2の近傍で、導出治具11の組み立て・設置を行うことを例示したが、事前作業のやり方はこれに限定されない。別の場所で、導出治具11の組み立て、原点位置の調整を行っても何ら問題はない。
具体的には、溶接ロボット2に対して3つ以上の姿勢をとらせた場合、各姿勢におけるツール先端の位置ずれは、計測プローブ12の先端にある球体13の位置ずれとなる。球体13は、3つの変位計11の各平面接触子14の計測面14Aに接しているため、球体13の位置ずれ量は、導出治具10に備えられた3つの変位計11により実績位置ずれ量として計測される。
ところで、導出治具10(3台のダイヤルゲージ11)の各計測方向を、ロボット座標系の軸方向と一致するように配置できれば、各ダイヤルゲージ11の計測値が対応するロボット座標系での計測値となる。しかしながら、ダイヤルゲージ11の計測方向は斜め上方45°であって、ロボット座標系の軸方向と一致するものとはなっていない。ダイヤルゲージ11の計測方向とロボット座標系の軸方向とは、所定の変換行列をもってして関係付けられるかもしれないが、設置時の配置誤差などの影響を完全に排除することは困難である。
すなわち、
(i) 導出治具10の原点近傍にロボット先端を位置決めし、この位置を導出治具10で計測する。このときの計測値をM1(M1x,M1y,M1z)とする。
(iii) ロボットを(i)の位置に戻し、ロボットを(i)の姿勢のまま治具の計測範囲を超えない範囲でロボット座標系でY軸方向にのみ動作させ、その時の位置を導出治具10で計測し、計測値をM3(M3x,M3y,M3z)とする。
このmesGroboを用いることで、導出治具10の各計測方向とロボット座標系の軸方向とが一致した配置を(仮想的に)実現することができる。本実施形態においても、このmesGroboを用いることとする。
以上まとめれば、[数2]で示す変換を行うことで、導出治具10の計測値はロボット直交座標軸に一致した計測座標系での値となり、導出治具10の各計測方向がロボット座標系の軸方向と一致していない場合でも、正確な計測値を確実に得ることができるようになる。
まず、図10のS21に示す如く、まず、オペレータは、教示ペンダント3により計測用プローブ12の球体13を導出治具10の計測範囲の所定位置Pに設定する。この所定位置Pは、導出治具10の原点近傍であることが好ましい。
これらA1(A1x,A1y,A1z)、P1(P1x,P1y,P1z)、F1(l1x,l1y,l1z,m1x,m1y,m1z,n1x,n1y,n1z,o1x,o1y,o1z)、の関係は、フランジ面7から見たツール先端を定義するツールベクトルをT(Tx,Ty,Tz)とすると,式(1)で表すことができる。
このとき(k番目)のロボット座標での位置をPk、ロボットのフランジ座標系をFkとすると、式(2)が得られる。なお、導出治具10の座標系で計測したk番目の値をAk(Akx,Aky,Akz)とすると、Akの計測座標系とPkのロボット座標系は軸方向が一致しているため、式(3)に示すように変化量は一致する。
また、式(3)と式(4)から関係から、式(5)が成立する。
ただし、上記したやり方であると、1番目の計測値を基準(位置ずれ量の算出の基準)としているため、誤差の存在状況によっては、得られるツールベクトルに誤差が生じる場合も否めない。そこで、基準を1番目からn番目まで順次使用した式(9)を解くことで、計測誤差を極力廃することが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、本実施形態ではロボットとして溶接ロボットを例示したが、組み立てロボットなどの作業用ロボットであっても本技術は採用可能である。
2 溶接ロボット
3 教示ペンダント
4 制御装置
5 パソコン
6 溶接ツール
7 フランジ面
10 導出治具(計測器)
11 ダイヤルゲージ
12 計測用プローブ
13 球体(計測用プローブ)
14 平面接触子
15 配備手段
20 支柱
21 支柱保持部材
22 挿入孔
23 切断平面
24 原点調整具
25 穿孔
26 棒体(原点調整具)
27 球体(原点調整具)
28 ゲージ本体
29 計測針
30 クランプ部材
31 棒体(調整用プローブ)
32 貫通孔
33 ネジ部
34 支柱挿入面
F 載置面
Claims (5)
- ロボットのアーム先端に取り付けられたツールの先端位置を決定するツールベクトルを導出するに際し、前記ロボットのツール先端が空間上の所定点の近傍に位置するように、前記ロボットに対して3つ以上の姿勢をとらせ、各姿勢におけるツール先端の位置ずれ量を計測して実績位置ずれ量とし、計測された実績位置ずれ量を基にツールベクトルを算出するロボットのツールベクトルの導出方法で使用する治具であって、
先端部に平面接触子が備えられると共に、前記平面接触子に備えられた計測面に対し垂直方向を向く計測軸に沿った距離変位を計測可能な3つの変位計と、
前記3つの変位計の各計測軸が1点で互いに直交すると共に各計測軸の交点が前記空間上の所定点となるように、3つの変位計を配備する配備手段と、
を有することを特徴とするロボットのツールベクトルの導出に用いる治具。 - 先端側に球体が設けられた計測用プローブを有していて、
前記計測用プローブはその基端側が前記ロボットのアーム先端に取り付けられ、且つ前記球体が前記3つの変位計の各平面接触子の計測面に接するように、前記ロボットの姿勢が設定されることを特徴とする請求項1に記載のロボットのツールベクトルの導出に用いる治具。 - 前記配備手段は、
互いの先端部又は互いの軸芯を先端側へ延長した線が1点で直交する3つの支柱と、
前記支柱の軸芯方向に前記計測軸が平行となると共に前記平面接触子の計測面が支柱の先端側を向くように、3つの支柱の各々に前記変位計を取り付けるクランプ部材と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットのツールベクトルの導出に用いる治具。 - 前記3つの変位計により設定される計測座標系の原点が各変位計の原点位置に一致するように、各支柱に変位計が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のロボットのツールベクトルの導出に用いる治具。
- 前記計測用プローブの先端側に設けられた球体の直径が、前記平面接触子の計測面の代表長さと同等又は代表長さより大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロボットのツールベクトルの導出に用いる治具。
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