以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(不図示)を支持する部材であり、遊技盤2に対して蝶番(不図示)を介して開閉可能に構成されると共に、遊技盤2に対して着脱可能に構成されている。
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、ハンドル31の回転角度に応じた打球力で不図示の発射装置から遊技球が発射される。図には示されていないが、遊技盤2には、発射装置から発射された遊技球を遊技領域20へ案内するガイド部材が設けられており、遊技球は、このガイド部材によって遊技領域20の上部位置へ案内される。遊技球は、遊技領域20に配置された不図示の遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら、遊技盤2の表面に沿って落下する。
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。また、遊技領域20における大入賞口23の下方には、始動口21,22、又は入賞口23,24に入らなかった遊技球を遊技領域20の外へ排出する排出口26が設けられている。
第1始動口21及び第2始動口22は、後述する液晶表示器5の下方に設けられている。第1始動口21及び第2始動口22は、第1始動口21を第2始動口22の上側として所定の間隔を隔てて上下に並んで配置されている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞することで、大当たり抽選が実行される。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第1特別図柄抽選と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第2特別図柄抽選と呼び、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選を総称して特別図柄抽選と呼ぶものとする。
第1始動口21と第2始動口22との間には、チューリップの花を模した一対の羽根部材を有する電動チューリップ27が配置されている。電動チューリップ27は、一対の羽根部材が閉じた閉姿勢(図1参照)と、一対の羽根部材が開いた開姿勢(不図示)との間で姿勢変化可能に構成されており、不図示の電動ソレノイドが作動することによって姿勢変化する。
電動チューリップ27の一対の羽根部材が閉姿勢の状態では、第1始動口21を構成する部材及び電動チューリップ27によって第2始動口22への遊技球の進入経路が塞がれており、遊技球が第2始動口22へ入ることはない。これに対して、遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)が実行され、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27の一対の羽根部材が規定時間だけ開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、普通図柄抽選に当選することで、第2始動口22への遊技球の進入経路が開放されて、遊技球が第2始動口22に入賞可能となる。すなわち、第2特別図柄抽選の実行が可能な状態となる。なお、電動チューリップ27の動作に関する規定時間及び規定回数は、パチンコ遊技機1の遊技状態に応じて変更されることがある。
普通入賞口24は、ゲート25の下方に配置されている。普通入賞口24に遊技球が入賞した場合、抽選は実行されないが、第1始動口21や第2始動口22に遊技球が入賞した場合よりも多い賞球が払い出される。
大入賞口23は、第2始動口22の下方に配置されている。大入賞口23は、特別図柄抽選の結果に応じて開放される。大入賞口23の開口部には、大入賞口23を開閉するプレートが設けられている。特別図柄抽選に当選していない状態では、このプレートが遊技盤2の表面と同一平面を形成する姿勢となっているために、大入賞口23に遊技球が入らない状態となっている。これに対して、特別図柄抽選に当選すると、プレートの下端側を軸としてプレートの上端側が遊技盤2の表面側へ傾倒して、大入賞口23が開放される。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入って入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球(遊技球)が払い出される。例えば、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が1個入賞すると4個の賞球が払い出され、大入賞口23に遊技球が1個入賞すると13個の賞球が払い出され、普通入賞口24に遊技球が入賞すると10個の賞球が払い出される。なお、遊技球がゲート25を通過しても賞球が払い出されることはない。
遊技盤2の中央部には、演出のための各種の画像を表示する液晶表示器5及びEL表示器6が設けられている。液晶表示器5及びEL表示器6については、後に詳述する。
液晶表示器5と近接する位置に、各種の演出に用いられる盤ランプ8及び可動役物7が設けられている。盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。可動役物7は、遊技盤2に対して可動に構成されており、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回動することによって各種の演出を行う。なお、本実施形態では、遊技盤2に対して可動に構成された装飾役物が可動役物7のみである場合について説明するが、更に他の可動役物が設けられていてもよい。
図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1及び図2に示されるように、枠部材3には、上記ハンドル31及びレバー32の他に、停止ボタン33、取り出しボタン34、スピーカ35、枠ランプ36、演出ボタン37、演出キー38、及び皿39が設けられている。
皿39は、枠部材3からパチンコ遊技機1の正面側へ突出するように設けられており、上述の発射装置へ供給される遊技球を一時的に溜めるものである。この皿39には、上述のように払い出された賞球が排出される。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、皿39に溜められた遊技球が発射装置へ供給されて、遊技領域20へ所定の時間間隔で発射される。この遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン33を押下することによって一時的に停止される。
取り出しボタン34は、皿39と近接する位置に設けられている。遊技者が取り出しボタン34を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された不図示の箱へ落下する。なお、この皿39は、1つの皿によって構成されてもよいし、発射装置へ供給される遊技球及び賞球を溜める上皿と、賞球のみを溜める下皿との2つの皿によって構成されてもよい。
スピーカ35は、楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。枠ランプ36は、点灯又は点滅のパターンの変更、発光色の変更、光の照射方向の変更等の光による各種の演出を行う。
演出ボタン37及び演出キー38は、それぞれ遊技者が演出に対する操作入力を行うために設けられている。演出ボタン37は、皿39の横に設けられており、演出キー38は、中央キーと中央キーの周辺に配列された複数(ここでは4つ)の周辺キーとを有しており、演出ボタン37に隣接配置されている。後述するが、遊技者が演出キー38の周辺キーのいずれかを押下することによって、EL表示器6を遊技盤2に対して移動させることができる。すなわち、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作することによって、EL表示器6の移動方向(上下左右)を指示することができる。また、遊技者が演出キー38の中央キーを操作することによって、液晶表示器5に表示された複数の選択肢の中からいずれかを選択指示することができる。このように、演出キー38は、遊技者が操作情報を入力するための入力手段として機能する。
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する情報を表示するものである。図3に示されるように、表示器4は、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を備えている。
第1特別図柄表示器41は、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第1特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄抽選の保留数を表示する。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第2特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄抽選の保留数を表示する。普通図柄表示器45は、遊技球がゲート25を通過したことを契機として普通図柄を変動表示してから普通図柄抽選の結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄抽選の保留数を表示する。遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態)を表示する。
ここまでパチンコ遊技機1の概略構成について説明したが、上述したパチンコ遊技機1の構成は単なる一例であって、遊技盤2の盤面構成(入賞や抽選に関する役物の配置)等は、適宜変更されてもよい。例えば本発明に係る遊技機が右打ちが必要なパチンコ遊技機に適用される場合には、大入賞口23やゲート25等を液晶表示器5に対して右側の遊技領域20に配置するといった変更が行われる。
ところで、液晶表示器5は、遊技者が視認し易い位置に固定されているので、特別図柄抽選に当選しない期間が長時間続いたとき等に遊技者の視点が固定され易く、遊技が単調になるおそれがある。そこで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1においては、EL表示器6のEL画面60に画像が表示される場合、この画像は、それ単独では認識することができないものとなっている。この画像は、EL表示器6が自動的に移動することによって、または、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作してEL表示器6を移動させることによって、EL表示器6のEL画面60が所定の位置へ移動し、液晶画面50にも表示されている単独では認識不可能な画像と重なることによって初めてその意味が認識可能となる。このようにパチンコ遊技機1は、遊技者の視点が固定されにくく、かつ興趣性の高い効果的な演出が行われるように構成されている。例えば、図4(A)に例示されるように、液晶表示器5の液晶画面50に装飾図柄の変動表示がなされている場合において、変動表示中にリーチとなったときなど、ある特定の演出が行われる際に、EL画面60と液晶画面50のそれぞれに単独では認識不可能な画像が表示される。この場合、EL表示器6は、自動的または遊技者の演出キー38の操作によって移動し、EL画面60の単独では認識不可能な画像と、液晶画面50の単独では認識不可能な画像が互いに重なる(図4(B)参照)。この結果、それぞれ単独の画像のみでは認識不可能であった画像が、合成されて初めてその意味が認識可能な画像となる。以下、このような効果的で興趣性の高い演出を実現するためのパチンコ遊技機1の構成及び動作について説明する。
[液晶表示器5の構成]
液晶表示器5(本発明の第2画像表示器の一例)は、遊技盤2を支持するパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。このため、液晶表示器5は、遊技盤2に対して固定されている。液晶表示器5としては、例えば垂直方向11の画素数が「600」で、水平方向12の画素数が「800」という画面解像度(垂直画素数×水平画素数)の液晶画面50(本発明の第2表示画面の一例)を有する液晶ディスプレイが使用される。液晶表示器5は、後述する画像音響制御部140から出力される画像を液晶画面50に表示する。液晶画面50には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像、単独では認識不可能な画像等が表示される。
図5は、液晶画面50の概略構成を示す図である。図5に示されるように、液晶画面50は、多数の画素ユニット51を有して構成されている。画素ユニット51は、垂直方向11に600個、水平方向12に800個並んで配置されているが、説明の便宜上、図5(A)では、実際よりも少なく画素ユニット51が表記されている。
画素ユニット51は、カラー液晶素子52及び光センサ56を有している。カラー液晶素子52は、光の3原色のそれぞれの色を表示するR(Red)色液晶素子53、G(Green)色液晶素子54、及びB(Blue)色液晶素子55から構成されている。光センサ56は、液晶画面50の前方からの光を検知する受光素子であり、R色液晶素子53、G色液晶素子54、及びB色液晶素子55と隣接するように配置されている(図5(B)参照)。このように、光センサ56は、各カラー液晶素子52のそれぞれに近接配置されている。
光センサ56が光を受光すると、受光した光の輝度に応じた電気信号が生成される。液晶画面50が有する各光センサ56は、後述する演出制御部130に接続されており、各光センサ56で生成された電気信号は演出制御部130に出力される。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。具体的には、後述するEL表示器6のフレーム61(図7参照)は、液晶表示器5の液晶画面50と対向する面が黒色に形成されており、液晶画面50においてフレーム61によって覆われた領域に設けられている光センサ56からは、フレーム61によって覆われていない領域に設けられている光センサ56から出力される電気信号とは異なるレベルの電気信号が出力される。図6には、液晶表示器5の液晶画面50に対してEL表示器6のEL画面60が左下方に位置したときにフレーム61によって覆われた領域16(ハッチングされた領域)が示されている。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号のレベルの違いに基づいて、フレーム61の位置、すなわちEL画面60の位置を検出することができる。
図5(B)に示されるように、画素ユニット51には、画素ユニット51と隣接する他の画素ユニットとを区画する外壁57、及び画素ユニット51を構成するカラー液晶素子52と光センサ56とを区画する内壁58が設けられている。外壁57は、カラー液晶素子52及び光センサ56の外側を囲み、且つ画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。内壁58は、カラー液晶素子52と光センサ56との間に画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。この外壁57及び内壁58が設けられていることにより、光センサ56に対して近接するカラー液晶素子52から光が直接入射することが防止されるので、液晶画面50の前方からの光を各光センサ56で正確に検知して、EL表示器6の位置を精度良く検出することができる。
[EL表示器6の構成]
EL表示器6(本発明の第1画像表示器の一例)は、液晶表示器5の前面側に液晶画面50と所定の間隔を隔てて配置されており、後述する駆動機構10によって遊技盤2及び液晶表示器5に対して上下左右に移動可能である。本実施形態におけるEL表示器6は、透明なEL画面60(本発明の第1表示画面の一例)に画像を単色表示する透明ELディスプレイである。EL画面60は、樹脂製のフレーム61に形成された開口部に嵌め込まれることによってフレーム61に固定されている。EL画面60としては、例えば垂直方向11の画素数が「240」で、水平方向12の画素数が「320」という画面解像度を有するものが使用される。したがって、液晶表示器5及びEL表示器6は、EL画面60よりも液晶画面50の方が画面解像度が大きくなるように構成されている。
EL表示器6として透過型のELディスプレイが使用されるので、EL画面60に画像等が表示された状態であっても、遊技者がEL表示器6の裏面側に位置するオブジェクト(液晶画面50に表示されたキャラクタやアイテムといった表示オブジェクト、可動役物7等)をEL画面60を通して視認することができる。なお、EL表示器6のフレーム61の裏面(液晶画面50と対向する面)は、上述のように、黒色に形成されている。
[駆動機構10の構成及び動作]
次に、図7〜図10を参照しつつ、EL表示器6を移動させる駆動機構10について説明する。図7は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、液晶画面50に表示された表示オブジェクトをEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が位置した状態を示している。図8は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、可動役物7の一部をEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が位置した状態を示している。図9は、駆動機構10の分解斜視図である。図10は、EL表示器6の拡大斜視図である。
駆動機構10は、EL表示器6を液晶表示器5の液晶画面50に沿って上下左右に移動させるものである。本実施形態においては、駆動機構10は、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って垂直方向11(図1参照)に移動させる昇降駆動機構200と、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って水平方向12(図1参照)に移動させるスライド駆動機構220とから構成されている。
昇降駆動機構200は、大別して、第1支持部材201、ガイド部材202、ガイド部材203、第1回転軸204、第2回転軸205、第1駆動ベルト206、及び第2駆動ベルト207を備えている。
第1支持部材201は、水平方向12を長手方向とする薄い板状部材である。この第1支持部材201は、図1に示されるように、液晶表示器5の液晶画面50の手前に配置されるため、液晶画面50に表示された画像の視認性の低下を最低限に抑えるために、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、水平方向12に貫通する挿通孔62(図9及び図10参照)が形成されており、第1支持部材201は、挿通孔62に挿通されることによってフレーム61を水平方向12へ移動可能に支持する。
図10に示されるように、第1支持部材201は、その一端側に連結部材194が固定されると共に、その他端側に連結部材197が固定されている。連結部材194は、ガイド部材202(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔195と、第1駆動ベルト206(図9参照)を挟持する挟持片196とを有している。ガイド部材202は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が垂直方向11と一致するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材202の外径寸法は、挿通孔195の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材194は、挿通孔195にガイド部材202が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材202によって支持される。
連結部材197は、連結部材194と同形状の部材であって、ガイド部材203(図9参照)が挿通される挿通孔198と、第2駆動ベルト207(図9参照)を挟持する挟持片199とを有している。ガイド部材203は、ガイド部材202と同形状の部材であって、ガイド部材202と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材197は、挿通孔198にガイド部材203が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材203によって支持される。
このように連結部材194及び連結部材197がガイド部材202及びガイド部材203に支持されているので、第1支持部材201は、垂直方向11へスライド可能である。
ガイド部材202,203の上側に第1回転軸204が設けられると共に、ガイド部材202,203の下側に第2回転軸205が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸204及び第2回転軸205は、それぞれ軸方向が水平方向12と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図9に示されるように、第1回転軸204は、その一端側にギヤ212及びプーリ208が固定されると共に、その他端にプーリ209が固定されている。第2回転軸205は、その一端にプーリ210が固定されると共に、その他端にプーリ211が固定されている。
プーリ208とプーリ210との間には、内側に歯(ギヤ形状)が形成された無端環状の第1駆動ベルト206が張り渡されている。プーリ209とプーリ211との間には、第1駆動ベルト206と同じ構成の第2駆動ベルト207が張り渡されている。
第1回転軸204のギヤ212(図7参照)には、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ212が固定された第1回転軸204が回転する。プーリ208〜211の外周には、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸204の回転力がプーリ208,209を介して第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207に伝達される。その結果、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207が周運動すると共に、第1回転軸204及び第2回転軸205が同期回転する。この第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207には、第1支持部材201の両端に固定された連結部材194,197が挟持片196,199によって固定されているので、第1ステッピングモータ29の駆動力が第1支持部材201にも伝達されて、第1支持部材201に支持されたEL表示器6が垂直方向11へ移動する。なお、第1ステッピングモータ29の回転方向を正回転又は逆回転に切り替えることで、垂直方向11におけるEL表示器6の移動方向を切り替えることができる。
一方、スライド駆動機構220は、大別して、第2支持部材221、ガイド部材222、ガイド部材223、第1回転軸224、第2回転軸225、第1駆動ベルト226、及び第2駆動ベルト227を備えている。
第2支持部材221は、垂直方向11を長手方向とする薄い板状部材である。この第2支持部材221は、第1支持部材201と同様に、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、垂直方向11に貫通する挿通孔63(図9及び図10参照)が形成されており、第2支持部材221は、挿通孔63に挿通されることによってフレーム61を垂直方向11へ移動可能に支持する。
図10に示されるように、第2支持部材221は、その一端側に連結部材214が固定されると共に、その他端側に連結部材217が固定されている。連結部材214は、ガイド部材222(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔215と、第2駆動ベルト227(図9参照)を挟持する挟持片216とを有している。ガイド部材222は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が水平方向12と一致するように、パチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材222の外径寸法は、挿通孔215の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材214は、挿通孔215にガイド部材222が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材222によって支持される。
連結部材217は、連結部材214と同形状の部材であって、ガイド部材223(図9参照)が挿通される挿通孔218と、第1駆動ベルト226(図9参照)を挟持する挟持片219とを有している。ガイド部材223は、ガイド部材222と同形状の部材であって、ガイド部材222と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材217は、挿通孔218にガイド部材223が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材223によって支持される。
このように連結部材214及び連結部材217がガイド部材222及びガイド部材223に支持されているので、第2支持部材221は、水平方向12へスライド可能である。
水平方向12におけるガイド部材222,223の外側に、第1回転軸224及び第2回転軸225が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸224及び第2回転軸225は、それぞれ軸方向が垂直方向11と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図9に示されるように、第1回転軸224は、その一端側にギヤ232及びプーリ228が固定されると共に、その他端にプーリ229が固定されている。第2回転軸225は、その一端にプーリ230が固定されると共に、その他端にプーリ231が固定されている。
プーリ228とプーリ230との間には、内側に歯が形成された無端環状の第1駆動ベルト226が張り渡されている。プーリ229とプーリ231との間には、第1駆動ベルト226と同じ構成の第2駆動ベルト227が張り渡されている。
第1回転軸224のギヤ232(図7参照)には、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ232が固定された第1回転軸224が回転する。プーリ228〜231の外周には、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸224の回転力がプーリ228,229を介して第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227に伝達される。その結果、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227が周運動すると共に、第1回転軸224及び第2回転軸225が同期回転する。この第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227には、第2支持部材221の両端に固定された連結部材214,217が挟持片216,219によって固定されているので、第2ステッピングモータ30の駆動力が第2支持部材221にも伝達されて、第2支持部材221に支持されたEL表示器6が水平方向12へ移動する。なお、第2ステッピングモータ30の回転方向を正回転又は逆回転に切り替えることで、水平方向12におけるEL表示器6の移動方向を切り替えることができる。
このように、EL表示器6は、昇降駆動機構200によって垂直方向11へ移動し、スライド駆動機構220によって水平方向12へ移動する。なお、第1支持部材201及び第2支持部材221を除く駆動機構10の各構成部材は、液晶表示器5等が設けられた領域と遊技領域20とを区画する化粧カバー14(図1参照)によって覆われているために、図1には現れていない。
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。図には示されていないが、この制御装置は、メイン基板及びサブ基板を有している。メイン基板は、内部抽選や当選の判定等を行う遊技制御部100として機能するメイン制御基板、賞球の払い出しを制御する払出制御部120として機能する払出制御基板等から構成されている。このメイン基板は、メイン基板が改変された場合にその痕跡が残るように、透明部材で構成されたケース内に密閉状態で配置されている。一方のサブ基板は、演出を統括的に制御する演出制御部130として機能する演出制御基板、画像や音による演出を制御する画像音響制御部140として機能する画像音響制御基板、及び各種のランプ(枠ランプ36や盤ランプ8等)や可動役物7による演出を制御するランプ制御部150として機能するランプ制御基板等から構成されている。
以下、図11を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。ここで、図11は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図11に示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、払出制御部120、演出制御部130、画像音響制御部140、及びランプ制御部150を備えている。
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。この遊技制御部100の主な機能は以下の通りである。
遊技制御部100は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を実行し、特別図柄抽選で当選したか否かを示す判定結果データを演出制御部130へ送信する。また、遊技制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)を示すデータ、特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータ、特別図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータ等を演出制御部130へ送信する。
遊技制御部100は、電動チューリップ27の羽根部材が開姿勢となる開時間、羽根部材が開閉する回数、及び羽根部材が閉じてから次に開くまでの開閉時間間隔を制御する。また、遊技制御部100は、遊技球が第1始動口21又は第2始動口22へ入賞したことによる特別図柄抽選の保留数、及び遊技球がゲート25を通過したことによる普通図柄抽選の保留数を管理する。
遊技制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口23の開閉動作を制御する。例えば、所定条件(例えば、大入賞口23が開いてから30秒が経過、又は大入賞口23への10個の遊技球の入賞)を満たすまで、大入賞口23のプレートが突出傾倒して大入賞口23の開状態を維持するラウンドを所定回数(例えば15回)繰り返す。
遊技制御部100は、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを払出制御部120に指示する。払出制御部120が遊技制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払い出された賞球の個数に関する情報が払出制御部120から遊技制御部100へ送られる。遊技制御部100は、払出制御部120から取得した情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
これらの機能を実現するために、遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
第1始動口スイッチ111は、第1始動口21に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。第2始動口スイッチ112は、第2始動口22に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部113は、電動チューリップ27の一対の羽根部材に駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、電動チューリップ27の一対の羽根部材が姿勢変化する。ゲートスイッチ114は、ゲート25を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口スイッチ115は、大入賞口23に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートに駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、大入賞口23が開閉される。普通入賞口スイッチ117は、普通入賞口24に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。
また、遊技制御部100には、表示器4(図3参照)が接続されている。遊技制御部100は、第1特別図柄抽選の結果を第1特別図柄表示器41に表示させ、第1特別図柄抽選を保留している保留数を第1特別図柄保留表示器43に表示させる。遊技制御部100は、第2特別図柄抽選の結果を第2特別図柄表示器42に表示させ、第2特別図柄抽選の保留数を第2特別図柄保留表示器44に表示させる。遊技制御部100は、普通図柄抽選の結果を普通図柄表示器45に表示させ、普通図柄抽選の保留数を普通図柄保留表示器46に表示させる。遊技制御部100は、遊技状態表示器47にパチンコ遊技機1の遊技状態を表示させる。
[払出制御部120の構成]
払出制御部120は、CPU121、ROM122、及びRAM123を備えている。CPU121は、ROM122に記憶されたプログラムに基づいて、賞球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。RAM123は、CPU121が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
払出制御部120は、遊技制御部100からの指示に基づいて、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球が皿39へ払い出されるように払出モータ125を制御する。ここで、払出モータ125は、遊技盤2の裏面側に配置された球タンクから遊技球を送り出すモータである。
払出制御部120には、払出モータ125の他に、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128が接続されている。払出球検出部126は、払出モータ125により球タンクから皿39へ払い出された賞球の数を検出する。球有り検出部127は、球タンクにおける遊技球の有無を検出する。満タン検出部128は、皿39が遊技球で満タンになったことを検出する。払出制御部120は、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128の検出結果に応じて所定の処理を実行する。
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。さらに、特別図柄抽選の当選確率の変動設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、特別図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、及び普通図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合には、これらのデータに応じて演出内容を設定する。演出制御部130は、このようにして設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
演出制御部130には、液晶表示器5が備える光センサ56が接続されている。演出制御部130のCPU131は、各光センサ56から入力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8や枠ランプ36の発光、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び可動役物7の発光を制御する。また、CPU151は、遊技者に対して演出キー38の操作を促すために、演出キー38に内蔵されているボタンランプ40の発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7を動作させるモータ(不図示)の回転を制御する。
ランプ制御部150は、演出制御部130から送信されたコマンドに演出キー38の操作情報が含まれていた場合、その操作情報に基づいて、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の回転を制御する。第1ステッピングモータ29は、その回転軸が昇降駆動機構200のギヤ212(図7参照)と噛合するように配置されており、第1ステッピングモータ29の駆動力がギヤ212に入力されることによって、EL表示器6が垂直方向11へ移動する。一方、第2ステッピングモータ30は、その回転軸がスライド駆動機構220のギヤ232(図7参照)と噛合するように配置されており、第2ステッピングモータ30の駆動力がギヤ232に入力されることによって、EL表示器6が水平方向12へ移動する。本実施形態においては、第1ステッピングモータ29、第2ステッピングモータ30、昇降駆動機構200、スライド駆動機構220、及びステッピングモータ29,30を動作させるCPU151が、EL表示器6を移動させる駆動手段として機能する。
[画像音響制御部140の構成]
図12は、画像音響制御部140の構成を例示するブロック図である。画像音響制御部140は、図12に示されるように、各種演出の実行を指示するための制御信号を生成するCPU141と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を表現するための画像を生成するVDP(Video Display Processor)142と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を実現するための音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)143とを備えている。
CPU141には、制御用ROM144、及びRAM145が接続されている。制御用ROM144には、CPU141によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM145は、CPU141が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、VDP142及び音響DSP143の動作を制御するための制御信号を生成して、その制御信号をVDP142及び音響DSP143に出力する。
音響DSP143には、音響用ROM146、及びSDRAM147が接続されている。音響用ROM146には、スピーカ35から出力させる楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データが記憶されている。SDRAM147は、音響DSP143によるデータ処理等の作業領域として使用される。
音響DSP143は、CPU141によって生成された制御信号に対応する音響データを音響用ROM146からSDRAM147に読み出し、その音響データに対して必要なデータ処理を行う。そして、液晶画面50やEL画面60による画像表示と同期させて、又は画像表示とは非同期に、データ処理後の音響データを不図示の増幅器を介してスピーカ35に出力する。
VDP142は、CPU141から入力された制御信号に基づいて画像を描画して、液晶表示器5及びEL表示器6に出力する表示制御手段として機能する。このVDP142は、CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、VRAM_RS1425、VRAM_FB1426、及び出力回路1427を備えている。本実施形態では、描画エンジン1424が本発明の第1描画手段、画像生成手段、及び第2描画手段として機能し、出力回路1427が本発明の出力手段として機能する。
VDP142には、内部バス1428及び内部バス1429が設けられている。CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、及びVRAM_RS1425は、内部バス1428を介して通信可能に接続されている。また、描画エンジン1424、VRAM_FB1426、及び出力回路1427は、内部バス1429を介して通信可能に接続されている。
CPU I/F1421は、VDP142とCPU141とを通信可能に接続するインターフェースである。CPU141によって生成された制御信号は、CPU I/F1421を介してVDP142に入力される。ROM I/F1423は、画像用ROM148から画像データを読み出すためのインターフェースである。
画像用ROM148には、液晶表示器5及びEL表示器6に表示される演出画像を構成する素材となる素材データが記憶されている。具体的には、3つの数字からなる装飾図柄や期待度の大きさに応じた演出を行うためのキャラクタやアイテム等に関する画像データ、液晶表示器5に背景画面として表示される背景画像に関する画像データ、「リーチ」、「激アツ」等の文字に関する画像データといった、いわゆるスプライト機能を実現するための素材データ、及び本実施形態の特徴となる単独では認識不可能な画像データ等が記憶されている。
VRAM_RS1425は、画像用ROM148から読み出された素材データを一時的に記憶する記憶領域又は描画エンジン1424が実行する描画処理などの作業領域として使用されるメモリである。なお、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式で符号化された画像データが画像用ROM148から読み出される場合には、デコーダ1422によって復号された画像データが素材データとしてVRAM_RS1425に格納される。VRAM_RS1425に格納された素材データは、描画エンジン1424が行う描画処理に使用される。このため、描画処理で頻繁に使用される素材データをVRAM_RS1425にバッファリングしておくことによって、描画エンジン1424による描画処理を効率良く実行することができる。
描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に基づいて、液晶表示器5の液晶画面50及びEL表示器6のEL画面60に表示すべき画像をVRAM_FB1426に描画する。具体的には、CPU141からの制御信号、及びVRAM_RS1425に格納された素材データに基づいて、各ピクセルの色を計算し、計算した色の値をVRAM_FB1426に書き込むレンダリング処理を行う。VRAM_FB1426に描画された画像は、1フレーム分の画像に対応する複数の画素データから構成されており、各画素データは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)を示す色情報と、画素の透過度を示すアルファ値とを含んでいる。出力回路1427は、VRAM_FB1426に描画された画像を所定の表示タイミングで液晶表示器5及びEL表示器6に出力して、液晶画面50及びEL画面60に画像を表示させる。なお、液晶表示器5のみを使用する場合には、描画エンジン1424は、液晶画面50に表示するための画像のみをVRAM_FB1426に描画して、その画像を液晶表示器5に出力する。
図13は、VRAM_FB1426の構成について説明するための説明図である。図13に示されるように、VRAM_FB1426は、描画エンジン1424によって描画される1フレーム分の画像をそれぞれ記憶する第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bを備えるダブルバッファ方式のメモリである。描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第2フレームバッファ1426Bに描画する。一方、第2フレームバッファ1426B内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する。このように、描画エンジン1424は、一方のフレームバッファから画像を出力している間に他方のフレームバッファに描画処理を行うことで、高いフレームレートで描画処理を行うことができる。
ところで、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、本実施形態においては、いずれも垂直方向11に720ドット、水平方向12に960ドットの画素データを格納可能なメモリ領域を有している(図16(A)参照)。これに対して、液晶表示器5の液晶画面50に表示される画像(以下「メイン画像」と呼ぶ)は、垂直方向11に600ドット、水平方向12に800ドットの画素データから構成されている(図16(A)参照)。このため、EL表示器6のEL画面60には画像を表示せずに液晶表示器5の液晶画面50にのみ画像を表示する場合には、何ら問題なく描画処理を行うことができる。しかしながら、EL表示器6のEL画面60に表示される画像(以下「サブ画像」と呼ぶ)が垂直方向11に240ドット、水平方向12に320ドットの画素データから構成されており(図16(C)参照)、メイン画像及びサブ画像を並べて描画した場合に垂直方向11又は水平方向12の画素数が第1フレームバッファ1426Aに格納可能な画素データの画素数を超えるため、そのままでは、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することは不可能である。これは、第2フレームバッファ1426Bについても同様である。そこで、本実施形態に係るVDP142は、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後にできる空き領域(図16(B)参照)にサブ画像を複数の領域に分割した状態で描画することによって、第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)にメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することを可能にしている。以下、このような描画処理を実現するためのパチンコ遊技機1の動作について詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用して描画処理を行う場合にも同様の処理が行われる。
[分割画像サイズ及び分割数の設定]
第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、メイン画像が描画された場合に、描画処理に使用されていない空き領域が生じる(図15(D)参照)。サブ画像は、この空き領域に描画されるが、空き領域にそのまま描画できない場合には複数の領域に分割された分割画像として空き領域に描画される。サブ画像を分割画像として描画する処理は、予め設定された分割画像サイズSS及び分割数SNに基づいて行われる。
以下、図14〜図16を参照しつつ、分割画像サイズSS及び分割数SNを設定する処理について説明する。ここで、図14は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理の一例を示すフローチャートである。図15は、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、フレームバッファサイズ、及び空き領域のサイズについて説明するための説明図である。図16は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理について説明するための説明図である。なお、図14以降のフローチャートに基づいて説明する画像音響制御部140で行われる処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が発行する命令に従って行われる。
例えば、パチンコ遊技機1の電源が投入されたときや、液晶表示器5を用いた1画面表示から液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示に切り替えられるとき等に、分割画像サイズSS及び分割数SNの設定処理を指示する設定指示コマンドが演出制御部130から画像音響制御部140へ送信される。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、設定指示コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1)。設定指示コマンドを受信していないとCPU141によって判定された場合(ステップS1:NO)、待機状態となる。
CPU141は、設定指示コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1:YES)、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、及びフレームバッファ(FB)サイズを取得する(ステップS2)。具体的には、VDP142から第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのフレームバッファサイズを取得してRAM145に格納すると共に、液晶画面50の画面解像度及びEL画面60の画面解像度をメイン画像サイズ及びサブ画像サイズとしてVDP142を介して液晶表示器5及びEL表示器6から取得してRAM145に格納する。ここで、フレームバッファサイズは、図15(A)に示されるように、第1フレームバッファ1426A(或いは第2フレームバッファ1426B)に格納可能な画素データの垂直方向11の画素数L1及び水平方向12の画素数C1を示す情報であり、本実施形態では720×960(垂直画素数L1×水平画素数C1)である(図16(A)参照)。メイン画像サイズは、図15(B)に示されるように、メイン画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L2及び水平方向12の画素数C2を示す情報であり、液晶画面50の画面解像度と等しく、本実施形態では600×800(垂直画素数L2×水平画素数C2)である(図16(A)参照)。サブ画像サイズは、図15(C)に示されるように、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L3及び水平方向12の画素数C3を示す情報であり、EL画面60の画面解像度と等しく、本実施形態では240×320(垂直画素数L3×水平画素数C3)である(図16(C)参照)。
次に、CPU141は、取得したメイン画像サイズ、及びフレームバッファサイズに基づいて、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後に生じる空き領域のサイズを算出する(ステップS3)。具体的には、以下の演算式を用いて、空き領域に描画可能な画素データの最低垂直画素数L4(図15(D)参照)、及び最低水平画素数C4(図15(D)参照)を算出する。
最低垂直画素数L4=垂直画素数L1−垂直画素数L2
最低水平画素数C4=水平画素数C1−水平画素数C2
本実施形態では、図16に示されるように、垂直画素数L1が「720」であり、垂直画素数L2が「600」であるため、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、水平画素数C1が「960」であり、水平画素数C2が「800」であるため、最低水平画素数C4として「160」が算出される(図16(B)参照)。
続いて、CPU141は、以下の演算式を用いて、サブ画像を構成する画素データの総数ST、及び空き領域に描画可能な画素データの総数VTを算出し、総数STが総数VTよりも小さいか否かを判定する(ステップS4)。
総数ST=垂直画素数L3×水平画素数C3
総数VT=垂直画素数L4×水平画素数C1+水平画素数C4×(垂直画素数L1−垂直画素数L4)
ここで、垂直画素数L3は、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数であり、水平画素数C3は、サブ画像を構成する画素データの水平方向12の画素数である。総数ST及び総数VTを算出すると、CPU141は、総数STが総数VTよりも小さいか否かを判定する。総数STが総数VTよりも小さければ、サブ画像をそのまま或いは分割して第1フレームバッファ1426Aに描画することができると判断することができる。一方、総数STが総数VTよりも大きければ、サブ画像を分割したとしてもそのままでは第1フレームバッファ1426Aに描画することはできないと判断することができる。
分割判定手段として機能するCPU141は、総数STが総数VTよりも小さいと判定した場合(ステップS4:YES)、サブ画像を空き領域に描画するためにサブ画像を分割する必要があるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、サブ画像を構成する画素データの垂直画素数L3(図15(C)参照)が空き領域の最低垂直画素数L4(図15(D)参照)よりも小さいか、又はサブ画像を構成する画素データの水平画素数C3(図15(C)参照)が空き領域の最低水平画素数C4(図15(D)参照)よりも小さいかの少なくとも一方の条件を満たしているか否かを判定する。ここで、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも小さいか、又は水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも小さければ、サブ画像を分割することなく空き領域に描画することが可能であると判定することができる。一方、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも大きく且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも大きい場合、サブ画像を空き領域にそのまま描画できないので、サブ画像を分割して描画する必要があると判定することができる。このように、CPU141は、空き領域のサイズ、及びサブ画像サイズに基づいて、サブ画像の分割の必要性を判定する。
CPU141は、分割が不要であると判定した場合(ステップS5:NO)、分割数SNを「0」に設定する(ステップS6)。ここで、分割数SNは、空き領域に描画される分割画像の数を示す情報である。言い換えれば、分割数SNは、サブ画像を構成する分割画像の数を示す情報である。このステップS6で設定された分割数SNは、設定情報としてRAM145に格納される。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含まれて、VDP142へと送られる。後に詳述するが、分割数SNが「0」に設定された場合、空き領域には分割画像が描画されず、サブ画像がそのまま描画されることになる。
算出手段として機能するCPU141は、分割が必要であると判定した場合(ステップS5:YES)、空き領域サイズ及びサブ画像サイズに基づいて、分割画像サイズSS及び分割数SNを算出する(ステップS7)。ここで、分割画像サイズSSは、サブ画像が分割数SNで示される個数の分割画像に分割された場合に、1個の分割画像のサイズ(垂直画素数、及び水平画素数)を示す情報である。ステップS7では、以下の演算式を用いて、分割画像サイズSS(分割画像の垂直画素数SSLと分割画像の水平画素数SSC)及び分割数SNを算出する。
分割画像の垂直画素数SSL=最低垂直画素数L4
分割画像の水平画素数SSC=最低水平画素数C4
分割数SN=(垂直画素数L3/最低垂直画素数L4)×(水平画素数C3/最低水平画素数C4)
図16(B)及び(C)に示されるように、本実施形態では、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、最低水平画素数C4として「160」が算出される。このため、ここでの分割画像サイズSSは、120×160(垂直画素数SSL×水平画素数SSC)となる。また、分割数SNは、(240/120)×(320/160)により「4」が算出される。
CPU141は、分割画像サイズSS及び分割数SNを算出した後、算出した分割画像サイズSS及び分割数SNを設定情報としてRAM145に格納する(ステップS8)。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含まれて、VDP142へと送られる。なお、ステップS8の設定処理に代えてステップS6の設定処理が行われた場合には、サブ画像を分割する必要がないので分割画像サイズSSは算出されず、設定情報として、分割数SNが「0」であることを示す情報のみがVDP142へ送られる。
ここで、分割画像サイズSS及び分割数SNを変化させた場合の分割画像サイズSSと空き領域サイズとの関係について図16(C)に基づいて説明する。垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像に対して、仮に分割数SNが「0」に設定された場合(ステップS6の処理が行われた場合)、図16(B)及び図16(C)から明らかなように、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4を超え且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4を超えているので、第1フレームバッファ1426Aの空き領域にサブ画像をそのまま描画することはできない。
また、仮に分割数SNが「2」に設定された場合、サブ画像を垂直画素数が「240」で水平画素数が「160」である2個の分割画像として空き領域に描画する第1の方法と、サブ画像を垂直画素数が「120」で水平画素数が「320」である2個の分割画像として空き領域に描画する第2の方法とが考えられる(図16(C)の中央の図を参照)。しかしながら、第1の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の垂直方向11に延びる領域(図16(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の水平方向12に延びる領域に分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の垂直画素数「240」が、空き領域の最低垂直画素数L4(=120)を超えているからである。また、第2の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の横方向に延びる領域(図16(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の垂直方向11に延びる領域に2個の分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の水平画素数「320」が、空き領域の最低水平画素数C4(=160)を超えているからである。このように、本実施形態で例示したサブ画像を分割画像として空き領域に描画する際に分割数SNを「2」に設定すると、分割画像を描画する位置によっては、分割画像を空き領域に描画できないケースが生じ得る。
これに対して、上述のように分割数SNが「4」に設定された場合、図16(B)及び図16(C)の右側の図から明らかなように、垂直画素数SSLが空き領域の最低垂直画素数L4と同じ「120」に設定され、且つ水平画素数SSCが空き領域の最低水平画素数C4と同じ「160」に設定される。そして、この分割画像サイズSSの分割画像が空き領域に4個描画されることになる。この場合、各分割画像は、空き領域内の垂直方向11に延びる領域と水平方向12に延びる領域とのいずれにも描画可能である。したがって、分割数SNが「2」に設定された場合とは異なり、分割画像を描画する位置によって空き領域に分割画像を描画できないケースが生じることはない。このように、分割数SN及び分割画像サイズSSは、分割画像をどのような配列で空き領域に描画したとしても確実に空き領域に収まるように、適切な値に設定される。
一方、上記ステップS4において総数STが総数VTよりも大きいとCPU141に判定された場合(ステップS4:NO)、たとえサブ画像を分割したとしても、サブ画像を構成する全ての画素データを空き領域に描画することは不可能である。このため、CPU141は、総数STが総数VTよりも大きいと判定した場合(ステップS4:NO)、縮小倍率を算出して(ステップS9)、算出した縮小倍率を設定情報としてRAM145に格納する(ステップS10)。そして、ステップS7,S8へ処理が進められて、分割画像サイズSS及び分割数SNが設定される。
ここで、縮小倍率の設定方法について説明する。例えばステップS9で縮小倍率が「0.5」に設定された場合、垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像(図16(C)の左側の図を参照)が、垂直画素数L3が「120」(=240×0.5)であり水平画素数C3が「160」(=320×0.5)であるサブ画像として、ステップS7,S8の処理が行われる。この場合、描画処理に際して、VRAM_RS1425上で垂直方向11及び水平方向12の画素数を1/2にしたサブ画像が生成されて、そのサブ画像が、分割画像サイズSS及び分割数SNに基づく分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画されることになる。そして、これらの分割画像は、垂直方向11及び水平方向12の画素数を2倍にするスケーリング処理(拡大処理)が描画エンジン1424によって行われてからEL表示器6へ出力される。これにより、分割したとしても空き領域に描画できないサブ画像を空き領域に描画することが可能になる。したがって、空き領域サイズに対して画面解像度が大きい画像表示器を備えるパチンコ遊技機において、従来の描画処理ではその画像表示器に画像を表示することができないという問題を、分割画像サイズSS及び分割数SNに加えて縮小倍率を設定することで解決することができる。
なお、縮小倍率は、例えば縮小後のサブ画像の総画素数(=垂直画素数×水平画素数)が、空き領域に描画可能な画素データの総数VT以下(好ましくは総数VTより所定数以上小さい値)となるように設定すればよい。これにより、サブ画像を分割画像として空き領域に描画することが可能となる。ただし、縮小倍率を小さくし過ぎると、スケーリング処理の結果としてEL表示器6に表示される画像の画質が低下するおそれがあるので、縮小倍率は、縮小後のサブ画像の総画素数が総数VTを超えない範囲で、できるだけ大きな値に設定することが好ましい。
以上説明した図14のフローチャートに基づく設定処理が行われることにより、第1フレームバッファ1426Aへのメイン画像及びサブ画像の描画に際してサブ画像の縮小が必要か否かを示す情報、縮小が必要な場合には縮小倍率、サブ画像の分割が必要か否かを示す情報、分割が必要な場合には分割画像サイズSS及び分割数SN(分割数SN=0の場合は分割数SNのみ)が、設定情報としてRAM145に格納される。後述する描画エンジン1424による2画面表示のための描画処理は、この設定情報に基づいて実行される。
CPU141は、液晶表示器5のみを用いた1画面表示を実行する際には、上記設定処理によってRAM145に格納した設定情報を含まない制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像のみが描画されて、液晶表示器5のみを用いた1画面表示が行われる。一方、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示を実行する際には、CPU141は、設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像及びサブ画像が描画されて、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示が行われる。このように、CPU141が設定情報を含まない制御信号と設定情報を含む制御信号とを切り替えて出力することにより、VDP142が描画処理を適切に行うことができる。また、上記設定処理が行われることにより、例えばEL表示器6のリユースによってEL画面60の画面解像度、すなわちサブ画像サイズが変化した場合でも、第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域へのサブ画像の描画を適切に行うことができる。
[メイン処理]
以下、図17及び図18を参照しつつ、演出制御部130で行われる演出のメイン処理について説明する。ここで、図17は、演出制御部130のCPU131によって実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートである。図18は、EL表示器6のEL画面60に単独では認識不可能な画像が表示され、液晶表示器5の液晶画面50に表示された単独では認識不可能な画像と適切に重なるようにEL表示器6が移動し、その後再びEL表示器6が初期位置に戻るまでの流れについて説明するための図である。以下の説明では、液晶画面50に既に演出画像が表示されている(液晶表示器5を用いた1画面表示が行われている)ことを前提として、液晶画面50に装飾図柄の変動表示がリーチに発展したことを表す演出(以下、リーチ演出という)が表示された場合(図18(A1)参照)に演出制御部130で行われる処理について説明する。なお、図17以降のフローチャートに基づいて説明する演出制御部130で行われる処理は、ROM132に記憶されているプログラムに基づいてCPU131自身又はCPU131が発行する命令に従って行われる。また、以下の説明では、本実施形態の特徴と直接関係しない内容は省略する。
図17に示されるように、まず、演出制御部130のCPU131は、画像音響制御部140で行われている演出に関する情報を取得して、液晶画面50にリーチ演出が表示されているか否かを判定する(ステップS21)。液晶画面50にリーチ演出が表示されていない場合(ステップS21:NO)、CPU131は、処理をステップS22に進め、液晶表示器5を用いた現在の1画面表示を継続指示し、処理を終了する。
一方、液晶画面50にリーチ演出が表示されている場合(ステップS21:YES)、CPU131は、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示を画像音響制御部140に実行させる。具体的には、CPU131は、1つ前のフレームで行われていた液晶表示器5を用いた1画面表示から液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示への切り替えを指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像及びサブ画像をVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5及びEL表示器6へそれぞれ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。この時、メイン画像及びサブ画像にはそれぞれ単独では認識不可能な画像が含まれる。これにより、単独では認識不可能な画像を含む描画処理がVDP142によって実行されて、それらの画像等がEL画面60及び液晶画面50に表示される(図18(A1)参照)。なお、このステップS23の処理に応じてVDP142で行われる2画面表示の描画処理については、後に詳述する。
CPU131は、ステップS23の処理に続き、液晶画面50に対するEL画面60の位置が所定の位置(液晶画面50の単独では認識不可能な画像とEL画面60の単独では認識不可能な画像が適切に重なる位置)にあるか否かを判定する(ステップS24)。ここで、演出制御部130のRAM133には、光センサ56の検知結果に基づいて検出したEL画面60の液晶画面50に対する現在の位置を示す位置情報が記憶されている。また、演出制御部130のROM132には、前述した液晶画面50に対するEL画面60の所定の位置を示す位置情報が記憶されている。つまり、ステップS24の処理において、CPU131は、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報が、ROM132に記憶されている所定の位置を示す位置情報と一致するか否かを判定する。
EL画面60が所定の位置にない場合(ステップS24:NO)、CPU131は、EL表示器6を移動させる(ステップS25)。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、RAM133に記憶されたEL画面60の現在位置とROM132に記憶されている所定の位置との差分情報が含まれており、駆動手段として機能するCPU151は、この差分情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、EL表示器6が移動する結果、EL画面60が所定の位置に向かって移動する(図18(A2)参照)。
そして、CPU131は、ステップS25の処理によって移動したEL表示器6のEL画面60の位置情報を更新して、RAM133に更新する(ステップS26)。具体的には、検出手段として機能するCPU131は、液晶画面50に設けられた各光センサ56による検知結果(各光センサ56から出力される電気信号の変化)に基づいてEL画面60の最新の位置を検出して、その検出結果に基づいてEL画面60の位置情報を書き換える。この後、CPU131は、EL画面60が所定の位置に達する(ステップS24:YES)まで、ステップS23、ステップS24:No、ステップS25、ステップS26の処理を繰り返す。すなわち、CPU131は、EL画面60が所定の位置に達するまで、EL画面60と液晶画面50のそれぞれに単独では認識不可能な画像を表示させながら、EL表示器6を移動させる。
一方、EL表示器6が移動した結果、EL画面60が所定の位置である場合(ステップS24:YES)、CPU131は、ステップS21において判定されたリーチ演出が終了しているか否かを判定する(ステップS27)。具体的には、CPU131は、画像音響制御部140で行われている演出に関する情報を取得して、液晶画面50に表示されていたリーチ演出が画面から消えたか否かを判定する。リーチ演出が終了している場合(ステップS27:YES)、CPU131は、処理をステップS29に進め、リーチ演出が終了していない場合(ステップS27:NO)、CPU131は、処理をステップS28に進め、2画面表示を指示し、リーチ演出が終了するまでステップS27:NO、ステップS28の処理を繰り返す。
すなわち、リーチ演出が終わる(ステップS27:NO)までの間、CPU131は、EL画面60と液晶画面50に単独では認識不可能な画像の表示を指示し続ける。このとき、EL画面60と液晶画面50は所定の位置関係にあるので、それぞれの単独では認識不可能な画像は適切に重なり、その意味が認識可能な画像となっている(図18(A3)参照)。したがって、遊技者は、リーチ演出が終わるまでの間、重なった画像の意味を認識することができる。
一方、リーチ演出が終了した場合(ステップS27:YES)、ステップS29の処理において、CPU131はEL画面60の表示を消す、すなわち1画面表示を指示する(ステップS29、図18(A4)参照)。具体的には、CPU131は、1つ前のフレームで行われていた液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示から液晶表示器5を用いた1画面表示への切り替えを指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像のみをVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5へ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。なお、この時のメイン画像には単独では認識不可能な画像は含まれない。また、このステップS29の処理に応じてVDP142で行われる1画面表示の描画処理については、後に詳述する。
次にCPU131は、EL画面60が初期位置にあるか否かを判定する(ステップS30)。ここで、演出制御部130のRAM133には、光センサ56の検知結果に基づいて検出したEL画面60の液晶画面50に対する現在の位置を示す位置情報が記憶されている。また、演出制御部130のROM132には、液晶画面50に対するEL画面60の初期位置を示す位置情報が記憶されている。つまり、ステップS30の処理において、CPU131は、RAM133に記憶されているEL画面60の位置情報が、ROM132に記憶されている初期位置を示す位置情報と一致するか否かを判定する。
EL画面60が初期位置にない場合(ステップS30:NO)、CPU131は、EL表示器6を移動させる(ステップS31)。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、CPU131がステップS30で判定したRAM133に記憶されたEL画面60の現在位置とROM132に記憶されている初期位置との差分情報が含まれており、駆動手段として機能するCPU151は、この差分情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、EL表示器6が移動する結果、EL画面60が初期位置に向かって移動する(図18(A5)参照)。
そして、CPU131は、ステップS30の処理によって移動したEL表示器6のEL画面60の位置情報を更新して、RAM133に記憶させる(ステップS32)。具体的には、検出手段として機能するCPU131は、液晶画面50に設けられた各光センサ56による検知結果(各光センサ56から出力される電気信号の変化)に基づいてEL画面60の最新の位置を検出して、その検出結果に基づいてEL画面60の位置情報を書き換える。この後、CPU131は、EL画面60が初期位置に達する(ステップS30:YES)まで、ステップS29、ステップS30:No、ステップS31、ステップS32の処理を繰り返す。すなわち、EL画面60上の画像等の表示が消えた後、EL画面60が初期位置に達するまで、EL表示器6が移動する。
一方、EL表示器6が移動した結果、EL画面60が初期位置に戻った場合(ステップS30:YES)、CPU131は、一連のメイン処理を終了する。すなわち、リーチ演出が終了すると(ステップS27:YES)、EL画面60上の画像表示は終了し、EL表示器6が初期位置に移動する。
以上に説明したように、演出制御部130のメイン処理において、CPU131は、液晶画面50に表示されている現在の演出がリーチ演出中か否かを判定し(ステップS21)、リーチ演出中であれば(ステップS21:YES)、EL画面60と液晶画面50のそれぞれに単独では認識不可能な画像を表示し(ステップS23、図18(A1)参照)、両者の画像が重なる所定の位置にEL画面が達する(ステップS24:YES)ように、EL表示器6を移動させ(ステップS25、図18(A2)参照)、両者の画像は、適切に重なった結果、その意味が認識可能な画像となる(図18(A3)参照)。両者の画像は、リーチ演出が継続している間(ステップS27:NO)、表示され続け、リーチ演出が終了すると(ステップS27:YES)表示されなくなる(ステップS29、図18(A4)参照)。そして、EL画面60が初期位置に戻るように、EL表示器6が移動する(ステップS31、図18(A5)参照)。
[描画処理]
以下、図19〜図22を参照しつつ、VDP142によって行われる描画処理について説明する。ここで、図19は、VDP142によって実行される2画面表示のための描画処理の一例を示すフローチャートである。図20は、分割数SNが「0」に設定されている場合にVDP142によって行われる描画処理について説明するための説明図である。図21は、分割数SNが「4」に設定されている場合にVDP142によって行われる描画処理について説明するための説明図である。図22は、分割画像の出力処理について説明するための説明図である。なお、図19以降のフローチャートに基づいて説明するVDP142で行われる描画処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が生成する制御信号に基づいて行われる。また、以下の説明では、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用した描画処理も第1フレームバッファ1426Aを使用した描画処理と同様に行われる。
CPU141からの制御信号がVDP142に入力されると、描画エンジン1424は、図19に示されるように、メイン画像及びサブ画像の描画処理に使用するフレームバッファを選択する(ステップS291)。具体的には、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、液晶表示器5又はEL表示器6へ画像を出力しているフレームバッファを特定して、画像を出力していないフレームバッファを今回のフレームの描画処理に使用するフレームバッファとして選択する。
次に、CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、液晶表示器5及びEL表示器6に表示すべき単独では認識不可能な画像を含むメイン画像及びサブ画像の内容を決定する(ステップS292)。具体的には、制御用ROM144には、2画面表示される際にメイン画像及びサブ画像にそれぞれ表示される単独では認識不可能な画像を特定する情報が記憶されており、CPU141は、この情報を含んだ画像内容情報を制御用ROM144から読み出してRAM145に格納する。この画像内容情報は、メイン画像及びサブ画像の内容を示す情報であり、制御信号に含まれてVDP142へ出力される。
そして、ステップS291で例えば第1フレームバッファ1426Aを選択した場合、描画エンジン1424は、液晶表示器5に表示されるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する(ステップS293)。具体的には、描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に含まれているステップS292で決定された単独では認識不可能な画像の内容を特定する情報を含んだ画像内容情報に基づいてメイン画像を生成するために必要な素材データを画像用ROM148から読み出す。例えば、装飾図柄及びキャラクタ等を示す第1画像と、装飾図柄等の背景を示す背景画像としての第2画像と、文字画像としての第3画像とを画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出して、これらの画像を合成した画像であるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する(図20参照)。なお、この際に、第1フレームバッファ1426Aに描画されるメイン画像に単独では認識不可能な画像も含まれることになる。
描画エンジン1424によるステップS293の処理で第1フレームバッファ1426Aにメイン画像が描画されると、VDP142の描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に含まれているステップS292で決定された単独では認識不可能な画像の内容を特定する情報を含んだ画像内容情報に基づいてサブ画像を生成するために必要な素材データを画像用ROM148から読み出す。そして、描画エンジン1424は、読み出した素材データをVRAM_RS1425に格納して、その素材データを用いて、単独では認識不可能な画像を含んだサブ画像を生成する(ステップS294)。
サブ画像を生成すると、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号にステップS10(図14参照)の処理によって設定された縮小倍率を示す情報が含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する(ステップS295)。縮小倍率が設定されていると判定した場合(ステップS295:YES)、描画エンジン1424は、ステップS294の処理で生成されたサブ画像に対して、制御信号から抽出した縮小倍率を示す情報に基づいて、サブ画像の縮小処理を行う(ステップS296)。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、垂直画素数L3が「240」で水平画素数C3が「320」のサブ画像から垂直画素数L3が「120」(=240×0.5)で水平画素数C3が「160」(=320×0.5)のサブ画像を生成する。
描画エンジン1424は、ステップS296の処理を行った場合、又は縮小倍率が設定されていないと判定した場合(ステップS295:NO)、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」であるか否かを判定する(ステップS297)。分割数SNが「0」であると判定した場合(ステップS297:YES)、VRAM_RS1425内のサブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することができるので、サブ画像をそのまま空き領域に描画する(ステップS298)。このように、描画エンジン1424は、分割が不要であるとCPU141によって予め判定されている場合には、メイン画像の描画によってできた第1フレームバッファ1426A内の空き領域にサブ画像を分割することなく描画する。
図20には、サブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画される例が示されている。図20に例示されているように、垂直画素数L2が「600」で水平画素数C2が「800」のメイン画像に対して上述した例とは異なり垂直画素数L1が「840」で水平画素数C1が「1120」であるフレームバッファが用意されている場合、そのフレームバッファの空き領域の最低垂直画素数L4は「240」(=840−600)で、最低水平画素数C4は「320」(=1120−800)であり、サブ画像の垂直画素数L3が最低垂直画素数L4と等しく、且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4と等しくなっている。このような場合には、描画エンジン1424は、サブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することが可能である。
ステップS298の処理を行った場合、描画エンジン1424は、第2フレームバッファ1426Bに格納されている前のフレームの画像を表示する処理が完了して、ステップS293,S298の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する(ステップS299)。表示タイミングになっていない場合(ステップS299:NO)、処理がステップS299へ戻されて待機状態となる。
表示タイミングになったと描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS299:YES)、出力回路1427は、図20に示されているように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5へ出力すると共に(ステップS300)、サブ画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出してEL表示器6へ出力する(ステップS301)。
一方、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」ではない(2以上の偶数である)と判定した場合(ステップS297:NO)、ステップS294の処理でVRAM_RS1425に生成したサブ画像、又はステップS296の処理で縮小処理したサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する(ステップS303)。
図21には、分割数SNが「4」であり、分割画像サイズSSが120×160(垂直画素数×水平画素数)に設定されている場合に(図16(C)の右側の図を参照)、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した場合に生じた空き領域に対して、サブ画像が4個の分割画像(図16(C)参照)として描画される様子が示されている。サブ画像の分割が必要であるとCPU141によって予め判定されている場合、図21に例示されるように、描画エンジン1424は、サブ画像を複数の領域に分割して得られる分割画像(ここでは4個の分割画像)として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
このように、描画エンジン1424は、CPU141によって分割が必要であると判定されて分割画像サイズSS及び分割数SNが予め設定されている場合、その設定に基づいてサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
分割画像を描画した場合、描画エンジン1424は、ステップS293,S303の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する(ステップS304)。表示タイミングになっていない場合には(ステップS304:NO)、処理がステップS304へ戻されて待機状態となる。一方、表示タイミングになったと描画エンジン1424によって判定された場合、出力回路1427は、図21に示されるように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5に出力する(ステップS305)。
続いて、描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に縮小倍率を示す情報が含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する(ステップS306)。縮小倍率が設定されていないと描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS306:NO)、すなわち図14に例示される設定処理でステップS9,S10の処理が行われておらず、このためステップS296の縮小処理が行われていない場合、出力回路1427は、分割画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して、サブ画像としてEL表示器6に出力する(ステップS307)。
ところで、メイン画像は、液晶画面50を構成する画素(カラー液晶素子52)と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、メイン画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番で液晶表示器5に出力すればよい。また、サブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図20参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、このサブ画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番でEL表示器6に出力すればよい。
これに対して、サブ画像が分割画像として第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図21参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素とは異なる配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。そこで、サブ画像がEL画面60に正しく表示されるように、出力回路1427は、サブ画像を構成する各画素データが本来出力されるべき順序で出力されるように、分割画像を構成する各画素データを読み出す。例えば図21に例示された配列で4個の分割画像が第1フレームバッファ1426Aに格納されている場合、出力回路1427は、図22に示されるように、サブ画像の左上方の領域と同じ表示内容を示す第1分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右上方の領域と同じ表示内容を示す第2分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、サブ画像の上半分に対応する画素データが出力されたことになる。続いて、サブ画像の左下方の領域と同じ表示内容を示す第3分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右下方の領域と同じ表示内容を示す第4分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、分割画像の下半分に対応する画素データが出力されたことになる。
このように、出力回路1427は、サブ画像が分割画像として描画された場合であってもそのサブ画像が正しくEL画面60に表示されるように、分割画像の読み出しを行う。
一方、縮小倍率が設定されていると描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS306:YES)、描画エンジン1424は、分割画像を拡大してから、サブ画像としてEL表示器6に出力する(ステップS308)。具体的には、縮小倍率の逆数を拡大倍率として第1フレームバッファ1426A内の各分割画像に対して拡大処理を行い、拡大処理された分割画像を出力回路1427に出力させる。その結果、EL画面60の画面解像度と同じ画素数の画素データが出力される。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、拡大倍率を2倍(=1/0.5)に設定する。そして、第1フレームバッファ1426Aに格納されている各分割画像をVRAM_RS上で2倍に拡大して、拡大処理した各分割画像を、サブ画像として出力回路1427に出力させる。
ステップS300及びS301の処理、ステップS305及びS307の処理、又はステップS305及びS308の処理が実行されることによって、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示が実現され、液晶画面50とEL画面60のそれぞれに単独では認識不可能な画像が表示される。
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、演出用のEL表示器6が移動可能に構成されているので、遊技者の視点が固定されにくいという利点がある。また、EL表示器6に表示された画像は単独では認識不可能であり、EL表示機6が移動して、液晶画面50の単独では認識不可能な画像とEL画面60の単独では認識不可能な画像とが適切に重なったときに初めて、その画像の意味が認識できるようになる。これにより、遊技者の視点が固定されにくいうえ、2つの画面が重なるまで画像の意味がわからないという遊技の興趣性を高める従来にはない効果的な演出を行うことができる。
また、本実施形態によれば、サブ画像が第1フレームバッファ1426Aの空き領域に収まるように分割された状態で描画される。このため、必要以上に容量の大きいフレームバッファを設けることなく、液晶画面50に表示されるメイン画像と、EL画面60に表示されるサブ画像とを1個の描画エンジン1424によって1つのフレームバッファ(第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426B)に描画することが可能となり、その結果、2個の画像表示器を備えることによる製造コストの上昇を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、メイン画像を描画した後の第1フレームバッファ1426Aの空き領域にサブ画像を分割しなければ描画できない場合にのみサブ画像が分割画像として描画され、分割が不要な場合にはサブ画像が空き領域にそのまま描画される。このため、第1フレームバッファ1426Aの空き領域に対するサブ画像のサイズに応じた適切な描画処理を行うことができる。
ところで、特別図柄等を表示するメインの液晶表示器とは別の画像表示器を追加した遊技機を製造する場合、その画像表示器の画面解像度(サブ画像の垂直画素数×水平画素数)は、どのようなサイズの画像表示器が追加されるかによって異なるものと考えられる。本実施形態によれば、第1フレームバッファ1426Aの空き領域に収まるように分割画像サイズ及び分割数が算出されて、その算出結果に基づいてサブ画像が分割画像として描画される。このため、追加される画像表示器の画面解像度が変化したとしても、第1フレームバッファ1426Aへの描画処理を適切に行うことができる。
また、本実施形態によれば、EL画面60が固定されたEL表示器6のフレーム61の実際の位置を光センサ56が検知することによって、EL画面60の位置が検出されるので、例えばステッピングモータ29,30のステップ数に基づいてEL画面60の位置を検出する場合に比べて、EL画面60の位置を正確に検出することができる。その結果、液晶画面50に表示された単独では認識不可能な画像とEL表示画面60に表示された単独では認識不可能な画像が最適な状態で重なることが可能となり、重なった画像の視認性が高くなる。
また、本実施形態では、液晶画面50の前面に画像を単色表示する透明なEL画面60が重ねられて2画面演出が行われるので、液晶画面50に他の表示画面が重ねられたことによる液晶画面50上の画像の視認性の低下を抑制しつつ、視認性の高い画像をEL画面60に表示することができる。
[駆動機構10の変形例]
図23は、駆動機構10の変形例について説明するための図である。上記実施形態においては、昇降駆動機構200及びスライド駆動機構220からなる駆動機構10によってEL表示器6が移動する場合について説明したが、EL表示器6は、他の駆動機構によって移動するものであってもよい。例えば、図23(A)に例示されるように、基台601に対して軸605を介して回動可能に連結されたアーム602と、アーム602に対して軸606を介して回動可能に連結されたアーム603と、アーム603に対して軸607を介して回動可能に連結されると共にEL表示器6が固定されたアーム604とを備える駆動機構を用いてもよい。
また、図23(B)に例示されるように、アーム701の先端に固定された透明ELディスプレイ700が軸702を中心に回動することによって透明ELディスプレイ700が移動する駆動機構を用いてもよい。この場合、駆動機構10に比べて駆動機構の構成が簡素であるため、パチンコ遊技機1の製造コストを更に低減させることができる。
[メイン処理の変形例]
以下、図24を参照しつつ、メイン処理の変形例について説明する。ここで、図24は、図17に示すCPU131によって実行されるメイン処理の変形例を示すフローチャートである。なお、図17に示すメイン処理の各処理と共通する処理については、同じステップ番号を付してその説明を省略または簡略化する。
CPU131は、液晶画面50にリーチ演出が表示されている場合(ステップS21:YES)、ステップS23の処理において2画面表示を指示した後、ランプ制御部150へボタンランプ40の点滅を指示するコマンドを送信して、演出キー38(図2参照)に内蔵されたボタンランプ40を点滅させる(ステップS41)。このステップS41の処理によって、遊技者に対して演出キー38が現在利用可能であることが報知される。なお、この報知の形態は、演出キー38が現在利用可能であることを報知するものであればどのような形態であってもよい。
次に、CPU131は、演出キー38の周辺キーが操作されたか否かを判定する(ステップS42)。演出キー38の周辺キーが操作されたと判定した場合(ステップS42:YES)、CPU131は、演出キー38の周辺キーから入力された操作情報に基づいて、EL表示器6を移動させる(ステップS43)。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、演出キー38の周辺キーから入力された操作情報が含まれており、駆動手段として機能するCPU151は、この操作情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、演出キー38の周辺キーの操作に応じた位置へEL表示器6が移動する。このように、CPU151は、CPU131によって演出キー38の周辺キーからの操作情報の入力が受け付けられた場合に、その操作情報に基づいてEL表示器6を移動させる。
その後、CPU131は、RAM133に記憶された液晶画面50に対するEL画面60の位置を示す位置情報を更新し(ステップS26)、処理をステップS44へ進める。また、演出キー38の周辺キーが操作されていないと判定した場合(ステップS42:NO)も、CPU131は、処理をステップS44へ進める。
ステップS44の処理において、CPU131は、液晶画面50のリーチ演出の表示が終了しているか否かを判定する。リーチ演出の表示が終了している場合(ステップS44:YES)、CPU131は後続のステップS45に進み、ランプ制御部150へボタンランプ40の点滅を中止するコマンドを送信して、演出キー38に内蔵されたボタンランプ40の点滅を中止させる(ステップS45)。このステップS45の処理によって、遊技者に対して演出キー38が現在利用できないことが報知される。なお、この報知の形態は、演出キー38が現在利用できないことを報知するものであればどのような形態であってもよい。
一方、リーチ演出の表示が終了していない場合(ステップS44:NO)、CPU131は、ステップS23、S41、S42、S43、S26の処理を繰り返す。すなわち、CPU131は、液晶画面50のリーチ演出の表示が終了するまでの間、EL表示器6に単独では認識不可能な画像を表示させ続けながら、演出キーのランプを点滅させることで、遊技者による演出キー38の操作を促し、その操作情報に応じてEL表示器6を移動させる。
このように、本変形例によれば、遊技者は、演出キー38を自ら操作することによってEL表示器6を移動させることができ、その結果としてEL画面60に表示されている単独では認識不可能な画像を液晶画面50にも表示されている単独では認識不可能な画像に重ね合わせることができ、その結果、単独では認識不可能だった画像の意味が認識可能になる。すなわち、遊技者自らの操作によって、認識できなかった画像を認識できるようになり、遊技者にとっては遊技が単調にならずに退屈ではない興趣性の高い効果的な演出を享受することができる。
[サブ画面の変形例]
上記実施形態では、EL画面60と液晶画面50に表示された単独では認識不可能な画像が互いに適切に重なることによって、その意味が認識可能になる場合について説明したが、遊技機1は遊技盤2に対して固定されたEL表示器(以下、第2EL表示器と呼ぶ)を更にもうひとつ備えていてもよい。この場合、第2EL表示器が有するEL画面(以下、第2EL画面と呼ぶ)と、EL表示器6(以下、第1EL表示器と呼ぶ)が有するEL画面60(以下、第1EL画面と呼ぶ)のそれぞれに表示された単独では認識不可能な画像が互いに適切に重なることによってその意味が認識可能になることとしてもよい。
[第2EL表示器の構成]
第2EL表示器は、液晶表示器5の前面側に液晶画面50と所定の間隔を隔てて固定されている。本変形例における第2EL表示器は、透明な第2EL画面に画像を単色表示する透明ELディスプレイである。第2EL画面は、第2EL表示器が有する樹脂製のフレーム(図示せず)に形成された開口部に嵌め込まれることによってフレームに固定されている。第2EL画面としては、例えば垂直方向11の画素数が「240」で、水平方向12の画素数が「320」という画面解像度を有するものが使用される。したがって、第2EL表示器は、第2EL画面よりも液晶画面50の方が画面解像度が大きくなるように構成されている。なお、第2EL表示器のフレームの裏面(液晶画面50と対向する面)は、第1EL表示器のフレーム61と同様に、黒色に形成されている。
以下、図25及び図26を参照しつつ、上述の場合のメイン処理について説明する。ここで、図25は図17に示す演出制御部130のCPU131によって実行されるメイン処理の変形例を示すフローチャートである。なお、図17に示すメイン処理の各処理と共通する処理については、同じステップ番号を付してその説明を省略または簡略化する。
図25で示すメイン処理のステップS51及びステップS53の処理において、CPU131は、液晶表示器5及び第1EL表示器及び第2EL表示器を用いた3画面表示を画像音響制御部140に実行させる。具体的には、CPU131は、1つ前のフレームで行われていた1画面表示から3画面表示への切り替えを指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、液晶画面50に表示させるメイン画像及び第1EL画面に表示させるサブ画像及び第2EL画面に表示させるサブ画像をVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5及び第1EL表示器及び第2EL表示器へそれぞれ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。これにより、それ単独では認識不可能な画像等の描画処理がVDP142によって実行されて、その画像等が第1EL画面及び第2EL画面に表示される(図26(1)参照)。なお、このステップS51及びステップS53の処理に応じてVDP142で行われる3画面表示の描画処理については、後述する。
また、図25で示すステップS52の処理において、CPU131は、第1EL画面が所定の位置(第1EL画面の単独では認識不可能な画像と第2EL画面の単独では認識不可能な画像が適切に重なる位置)にあるか否かを判定する。ここで、演出制御部130のRAM133には、光センサ56の検知結果に基づいて検出した第1EL画面の液晶画面50に対する現在の位置を示す位置情報が記憶されている。また、演出制御部130のROM132には、前述した液晶画面50に対する第2EL画面の固定位置を示す位置情報が記憶されている。つまり、ステップS52の処理において、CPU131は、RAM133に記憶されている第1EL画面の位置情報が、ROM132に記憶されている第2EL画面の固定位置の位置情報と一致するか否かを判定する。
この変形例によれば、CPU131は、液晶画面50に表示されている現在の演出がリーチ演出中か否かを判定し(ステップS21)、リーチ演出中であれば(ステップS21:YES)、第1EL画面と第2EL画面に単独では認識不可能な画像を表示し(ステップS51、図26(1)参照)、第1EL画面が第2EL画面に適切に重なる(ステップS52:YES)ように、第1EL表示器を移動させ(ステップS25、図26(1)参照)、両者の画像が重なった結果はじめて、その意味が認識可能な画像となる(図26(2)参照)。両者の画像は、リーチ演出が継続している間(ステップS27:NO)、表示され続け、リーチ演出が終了すると(ステップS27:YES)その表示が消える(ステップS29)。そして、第1EL画面が初期位置に戻るように、第1EL表示器が移動する(ステップS31)。
(メイン+サブ(可動)+サブ(可動)のケース)
なお、上記変形例において第2EL表示器は遊技盤2に対して固定されているとしたが、図7で示す第1EL表示器(EL表示器6)の駆動機構10(以下、第1駆動機構と呼ぶ)と同様の機構(以下、第2駆動機構と呼ぶ)によって可動に構成されているものとし、第1EL表示器と第2EL表示器が液晶画面50上のあらかじめ決められた所定位置に向かって移動するものとしてもよい(図27参照)。この場合、図25のステップS52の処理において、CPU131は、第1EL画面及び第2EL画面がそれぞれ液晶画面50に対するあらかじめ決められた所定の位置にあるか否かを判定する。ここで、あらかじめ決められた所定の位置とは、第1EL画面と第2EL画面がこの所定の位置に位置することによって、結果として第1EL画面に表示された単独では認識不可能な画像と第2EL画面に表示された単独では認識不可能な画像が適切に重なる位置のことである。
演出制御部130のRAM133には、光センサ56の検知結果に基づいて検出した第1EL画面の液晶画面50に対する現在の位置及び第2EL画面の液晶画面50に対する現在の位置を示す位置情報が記憶されている。また、演出制御部130のROM132には、液晶画面50に対する第1EL画面の所定の位置及び液晶画面50に対する第2EL画面の所定の位置を示す位置情報が記憶されている。つまり、ステップS52の処理において、CPU131は、RAM133に記憶されている第1EL画面と第2EL画面の位置情報が、ROM132に記憶されている所定の位置を示す位置情報と一致するか否かを判定する。なお、光センサ56が、第1EL画面の位置と第2EL画面の位置のいずれを検知しているかを区別するためには、例えば、第1EL表示器と第2EL表示器のフレームの形状を異ならせることにより、光センサ56の検知結果が異なるようにすればよい。
また、図25で示すステップS25の処理において、CPU131は、第1EL表示器と第2EL表示器を移動させる。具体的には、CPU131は、第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、CPU131がステップS52で判定したRAM133に記憶された第1EL画面の現在位置とROM132に記憶されている第1EL画面の所定の位置との差分情報、及び第2EL画面の現在位置とROM132に記憶されている第2EL画面の所定の位置との差分情報が含まれており、駆動手段として機能するCPU151は、この差分情報に基づいて第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動を制御する。これにより、第1EL表示器及び第2EL表示器が移動する結果、第1EL画面及び第2EL画面が所定の位置に向かって移動する。そして、図25で示すステップS26の処理において、CPU131は、ステップS25の処理によって移動した第1EL画面及び第2EL画面の位置情報を更新して、RAM133に更新する。
また、図25で示すステップS30の処理においては、CPU131は、第1EL画面と第2EL画面が初期位置であるか否かを判定し、ステップS31の処理において、それぞれが初期位置に戻るように第1EL表示器及び第2EL表示器を移動させる。具体的には、CPU131は、第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、CPU131がステップS30で判定したRAM133に記憶された第1EL画面の現在位置とROM132に記憶されている第1EL画面の初期位置との差分情報、及び第2EL画面の現在位置とROM132に記憶されている第2EL画面の初期位置との差分情報が含まれており、駆動手段として機能するCPU151は、この差分情報に基づいて第1駆動機構及び第2駆動機構の駆動を制御する。これにより、第1EL表示器及び第2EL表示器が移動する結果、第1EL画面及び第2EL画面が初期位置に向かって移動する。そして、図25で示すステップS32の処理において、CPU131は、ステップS31の処理によって移動した第1EL画面及び第2EL画面の位置情報を更新して、RAM133に更新する。
この変形例によれば、液晶画面50にリーチ演出がなされた場合に、第1EL画面及び第2EL画面に単独では認識不可能な画像が表示された後、互いの画像が重なるように第1EL表示器及び第2EL表示器が所定の位置に移動する(図27(1)参照)。この結果、単独では認識不可能だった画像が適切に重なって初めて、その意味が認識可能となる(図27(2)参照)。このように、この変形例によれば、移動可能なEL表示器を複数備えることによって、遊技者の視点が更に固定されにくく、遊技者を飽きさせない興趣性の高い効果的な演出を行うことができる。
なお、第1EL表示器及び第2EL表示器は、第1駆動機構及び第2駆動機構によって可動に構成されているとしたが、図23に示す駆動機構によって可動に構成されているとしてもよい。例えば図23(B)の駆動機構によって第1EL表示器及び第2EL表示器が可動に構成されている場合は、図28に示すように第1EL表示器及び第2EL表示器が軸を中心に回転移動することによって適切に重なった結果、単独では認識不可能だった画像の意味が認識可能になる。
[3画面表示の描画処理]
以下、図14、図29〜図31を参照しつつ、前述した変形例における3画面表示の描画処理について説明する。ここで、図29は、VDP142によって実行される3画面表示のための描画処理の一例を示すフローチャートである。なお、上記実施形態に係るパチンコ遊技機1で行われるVDP142によって実行される2画面表示のための描画処理(図19参照)の各処理と共通する処理については、同じステップ番号を付してその説明を省略または簡略化する。また、図30は、分割数SNが「0」に設定されている場合にVDP142によって実行される3画面表示のための描画処理について説明するための説明図であり、図31は、分割数SNが「4」に設定されている場合にVDP142によって実行される3画面表示のための描画処理について説明するための説明図である。
ところで、3画面表示の描画処理を行う際にも2画面表示の描画処理と同様に、サブ画像の縮小倍率及び分割数等が図14で示すフローチャートによって算出され、設定情報としてRAM145に格納される。ただし、3画面表示の描画処理の場合、これらを決める算出手段においてサブ画像を構成する画素データの総数STは第1EL表示器および第2EL表示器に表示すべき2つのサブ画像(以下、第1サブ画像と第2サブ画像と呼ぶ)の画素データの合計となる。また分割数SNも同様に2つのサブ画像の分割数の合計となる。すなわち、分割数SN及び総数STは以下演算式によって計算される。
分割数SN=(第1サブ画像の垂直画素数L3a/最低垂直画素数L4)×(第1サブ画像の水平画素数C3a/最低水平画素数C4)+(第2サブ画像の垂直画素数L3b/最低垂直画素数L4)×(第2サブ画像の水平画素数C3b/最低水平画素数C4)
総数ST=第1サブ画像の垂直画素数L3a×第1サブ画像の水平画素数C3a+第2サブ画像の垂直画素数L3b×第2サブ画像の水平画素数C3b
次に、図29を参照しつつ、VDP142によって実行される3画面表示の描画処理について説明する。なお、図29のステップS291の処理において、描画エンジン1424は、画像を出力していないフレームバッファとして第1フレームバッファ1426Aを選択しているものとする。
図29のステップS401の処理において、画像音響制御部140のCPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、第1サブ画像として第1EL表示器に表示すべき画像、第2サブ画像として第2EL表示器に表示すべき画像、及びメイン画像として液晶表示器5に表示すべき画像それぞれの内容を決定する。具体的には、制御用ROM144には、液晶画面50に表示されるリーチ演出画像と対応づけられた単独では認識不可能だが重なるとその意味が認識可能になる互いに関連する一対の画像内容情報が記憶されている。そして、CPU141は、第1サブ画像の内容を決定するために、この一対の画像内容情報の一方を含んだサブ画像内容情報を制御用ROM144から読み出してRAM145に格納する。また、同様にCPU141は、第2サブ画像の内容を決定するために、この一対の画像内容情報の他方を含んだサブ画像内容情報を制御用ROM144から読み出してRAM145に格納する。これらのサブ画像内容情報は、制御信号に含まれてVDP142へ出力される。なお、ステップS401の処理で決定されるメイン画像の内容を決定するための画像内容情報にはこのような単独では認識不可能な画像内容情報は含まれない。
ステップS402において、VDP142の描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に含まれているステップS401で決定された画像内容情報に基づいて第1サブ画像及び第2サブ画像を生成するために必要な素材データを画像用ROM148から読み出す。そして、描画エンジン1424は、読み出した素材データをVRAM_RS1425に格納して、その素材データを用いて、単独では認識不可能な画像をそれぞれ含んだ第1サブ画像と第2サブ画像を生成する。
そして、図29のステップS295の処理で判定される縮小倍率及びステップS297の処理で判定される分割数は前述の算出方法により決定され、RAM145に格納された設定情報を基に処理が進められる。描画エンジン1424は、ステップS296の処理を行った場合、又は縮小倍率が設定されていないと判定した場合(ステップS295:NO)、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」であるか否かを判定する(ステップS297)。
分割数SNが「0」の場合(ステップS297:YES)、描画エンジン1424は、VRAM_RS1425内のサブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することができるので、第1サブ画像と第2サブ画像の2つのサブ画像をそのまま空き領域に描画する(ステップS403)。このように、描画エンジン1424は、分割が不要であるとCPU141によって予め判定されている場合には、メイン画像の描画によってできた第1フレームバッファ1426A内の空き領域に2つのサブ画像を分割することなく描画する。
図30には、2つのサブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画される例が示されている。図30に例示されているように、垂直画素数L2が「600」で水平画素数C2が「800」のメイン画像に対して垂直画素数L1が「840」で水平画素数C1が「1120」であるフレームバッファが用意されている場合、そのフレームバッファの空き領域の最低垂直画素数L4は「240」(=840−600)で、最低水平画素数C4は「320」(=1120−800)であり、第1サブ画像の垂直画素数L3a(=240)が最低垂直画素数L4と等しく、且つ水平画素数C3a(=320)が最低水平画素数C4と等しくなっている。また、第2サブ画像の垂直画素数L3b(=240)が最低垂直画素数L4と等しく、且つ水平画素数C3b(=320)が最低水平画素数C4と等しくなっている。このような場合には、図14で示すステップS5において分割が必要とは判断されず(図14のステップS5:NO)、分割数は「0」に設定される(図14のステップS6)。すなわち、描画エンジン1424は、サブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することが可能である。
そして、出力回路1427は、図30に示されているように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5へ出力する(ステップS300)と共に、第1サブ画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出して第1EL表示器へ出力し、第2サブ画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出して第2EL表示器へ出力する(ステップS404)。
一方、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」ではない(2以上の偶数である)と判定した場合(ステップS297:NO)、描画エンジン1424は、ステップS402の処理でVRAM_RS1425に生成した2つのサブ画像、又はステップS296の処理で縮小処理した2つのサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する(ステップS405)。
図31には、分割数SNが「8」であり、分割画像サイズSSが120×160(垂直画素数×水平画素数)に設定されている場合に(図16(C)の右側の図を参照)、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した場合に生じた空き領域に対して、第1サブ画像が4個の分割画像(図16(C)参照)として描画され、同様に第2サブ画像が4個の分割画像として描画され、全体として8個の分割画像が描画される様子が示されている。サブ画像の分割が必要であるとCPU141によって予め判定されている場合、図31に例示されるように、描画エンジン1424は、サブ画像を複数の領域に分割して得られる分割画像(ここでは合計8個の分割画像)として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
このように、描画エンジン1424は、CPU141によって分割が必要であると判定されて分割画像サイズSS及び分割数SNが予め設定されている場合、その設定に基づいてサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
そして、出力回路1427は、図31に示されているように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5へ出力する(ステップS305)と共に、縮小倍率が設定されていない場合(ステップS306:NO)、第1サブ画像の分割画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出して第1EL表示器へ出力し、第2サブ画像の分割画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出して第2EL表示器へ出力する(ステップS406)。一方、縮小倍率が設定されている場合(ステップS306:YES)、出力回路1427は、描画エンジン1424によってVRAM_RS上で拡大されたそれぞれの分割画像を第1EL表示器及び第2EL表示器へ出力する(ステップS407)。
このように、出力回路1427は、2つのサブ画像が分割画像として描画された場合であってもそれぞれのサブ画像が正しく第1EL画面及び第2EL画面に表示されるように、分割画像の読み出しを行う。
以上のように、ステップS300及びS404の処理、ステップS305及びS406の処理、又はステップS305及びS407の処理が実行されることによって、液晶表示器5、第1EL表示器、及び第2EL表示器を用いた3画面表示が実現され、第1EL画面と第2EL画面のそれぞれに単独では認識不可能な画像が表示される。
[その他の変形例]
本実施形態では、液晶表示器5とEL表示器6を用いた2画面表示を、液晶画面50にリーチ演出が表示されたことを契機として実行したが、図17のステップS21の処理においてリーチ演出中か否かの判定に代え、他の演出内容(役物が動くなどの演出)が演出中か否かの判定とし、図17のステップS23及びステップS28において、その演出内容に応じた関連画像等をEL画面60に表示させてもよい。
また、EL表示器6のEL画面60及び液晶表示器5の液晶画面50に表示される単独では認識不可能な画像が示す内容は、遊技に関連する内容であれば、本実施形態で例示した文字情報等に限定されるものではない。
また、本実施形態ではリーチ演出中にEL画面60と液晶画面50に単独では認識不可能な画像が表示されて、それらの画像が重なった結果、その意味が認識可能となる演出について説明した。しかし、重なった結果もその画像の意味が認識不可能なままである演出とする場合があってもよい。このような演出は、例えば特別図柄抽選の結果大当たりにならなかった(ハズレ)場合に行うことで、興趣性の高い演出とすることができる。
(サブ+サブのみのケース)
また、本実施形態の変形例では、パチンコ遊技機1が、遊技盤2に固定された画像表示器として液晶表示器5を備えている場合について説明したが、本発明はこの液晶表示器5を備えていない遊技機に適用されてもよい。すなわち、画像表示器として第1EL表示器及び第2EL表示器のみを有する遊技機に本発明が適用されてもよい。この場合、所定の条件(例えば、可動役物が動作を開始する条件)により第1EL表示器の第1EL画面及び第2EL表示器の第2EL画面に単独では認識不可能な画像が表示され、2つの画像が適切に重なることで初めてその意味が認識可能になる演出が行われてもよい。
また、本実施形態では、光センサ56の検知結果に基づいてEL画面60の位置を検出する場合について説明したが、これに代えて、第1ステッピングモータ29、及び第2ステッピングモータ30のステップ数に基づいて、EL画面60の位置を検出するようにしてもよい。特に、EL画面60の初期位置と移動目標の所定位置が常に固定である場合には移動に必要なステップ数は常に一定であるため、光センサ56を用いるよりも安価に構成することができる。また、液晶表示器5のバックライトからEL表示器6へ向けて可視光及び紫外光を出射させると共に、EL表示器6のフレーム61からの反射光のうち、紫外光のみを光センサ56側へ透過させるUVフィルタを備える構成を採用して、光センサ56による紫外光の受光結果に基づいてEL表示器6の位置検出を行ってもよい。この場合、不可視光を用いてセンシングが行われるので、ホール照明等の可視光による外乱の影響を低減して、EL表示器6の位置検出の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、EL表示器6は液晶画面50の上を移動可能としたが、その範囲を超えて遊技領域20の上を移動可能としてもよい。この場合は、EL画面60の位置を検出する手段は光センサ56の検地結果に代え、上述した第1ステッピングモータ29、及び第2ステッピングモータ30のステップ数に基づいて、EL画面60の位置を検出するようにしてもよい。なお、本実施形態の変形例において第2EL表示器も同様の構成としてもよいことは言うまでもない。
また、上述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、及び設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、及び設置位置であっても、本発明の範囲を逸脱しなければ本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述した処理で用いられている数値等は、単なる一例に過ぎず他の数値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
以上、本発明を実施形態を用いて詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。