以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(不図示)を支持する部材であり、遊技盤2に対して蝶番(不図示)を介して開閉可能に構成されると共に、遊技盤2に対して着脱可能に構成されている。
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計方向へ回転させると、ハンドル31の回転角度に応じた打球力で不図示の発射装置から遊技球が発射される。図には示されていないが、遊技盤2には、発射装置から発射された遊技球を遊技領域20へ案内するガイド部材が設けられており、遊技球は、このガイド部材によって遊技領域20の上部位置へ案内される。遊技球は、遊技領域20に配置された不図示の遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら、遊技盤2の表面に沿って落下する。
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。また、遊技領域20における大入賞口23の下方には、始動口21,22、又は大入賞口23,24に入らなかった遊技球を遊技領域20の外へ排出する排出口26が設けられている。
第1始動口21及び第2始動口22は、後述する液晶表示器5の下方に設けられている。第1始動口21及び第2始動口22は、第1始動口21を第2始動口22の上側として所定の間隔を隔てて上下に並んで配置されている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞することで、大当たり抽選が実行される。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第1特別図柄抽選と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第2特別図柄抽選と呼び、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選を総称して特別図柄抽選と呼ぶものとする。
第1始動口21と第2始動口22との間には、チューリップの花を模した一対の羽根部材を有する電動チューリップ27が配置されている。電動チューリップ27は、一対の羽根部材が閉じた閉姿勢(図1参照)と、一対の羽根部材が開いた開姿勢(不図示)との間で姿勢変化可能に構成されており、不図示の電動ソレノイドが作動することによって姿勢変化する。
電動チューリップ27の一対の羽根部材が閉姿勢の状態では、第1始動口21を構成する部材及び電動チューリップ27によって第2始動口22への遊技球の進入経路が塞がれており、遊技球が第2始動口22へ入ることはない。これに対して、遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)が実行され、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27の一対の羽根部材が規定時間だけ開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、普通図柄抽選に当選することで、第2始動口22への遊技球の進入経路が開放されて、遊技球が第2始動口22に入賞可能となる。すなわち、第2特別図柄抽選の実行が可能な状態となる。なお、電動チューリップ27の動作に関する規定時間及び規定回数は、パチンコ遊技機1の遊技状態に応じて変更されることがある。
普通入賞口24は、ゲート25の下方に配置されている。普通入賞口24に遊技球が入賞した場合、抽選は実行されないが、第1始動口21や第2始動口22に遊技球が入賞した場合よりも多い賞球が払い出される。
大入賞口23は、第2始動口22の下方に配置されている。大入賞口23は、特別図柄抽選の結果に応じて開放される。大入賞口23の開口部には、大入賞口23を開閉するプレートが設けられている。特別図柄抽選に当選していない状態では、このプレートが遊技盤2の表面と同一平面を形成する姿勢となっているために、大入賞口23に遊技球が入らない状態となっている。これに対して、特別図柄抽選に当選すると、プレートの下端側を軸としてプレートの上端側が遊技盤2の表面側へ傾倒して、大入賞口23が開放される。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入って入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球(遊技球)が払い出される。例えば、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると4個の賞球が払い出され、大入賞口23に遊技球が入賞すると13個の賞球が払い出され、普通入賞口24に遊技球が入賞すると10個の賞球が払い出される。なお、遊技球がゲート25を通過しても賞球が払い出されることはない。
遊技盤2の中央部には、演出のための各種の画像を表示する液晶表示器5及び有機EL(Electro-Luminescence)表示器6(以下、単にEL表示器6という)が設けられている。EL表示器6は、後述する駆動機構10によって、移動可能に構成されている。液晶表示器5及びEL表示器6については、後に詳述する。
液晶表示器5と近接する位置に、各種の演出に用いられる盤ランプ8及び可動役物7が設けられている。盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。可動役物7は、遊技盤2に対して可動に構成されており、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回動することによって各種の演出を行う。なお、本実施形態では、遊技盤2に対して可動に構成された装飾役物が可動役物7のみである場合について説明するが、更に他の可動役物が設けられていてもよい。
図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1及び図2に示されるように、枠部材3には、上記ハンドル31及びレバー32の他に、停止ボタン33、取り出しボタン34、スピーカ35、枠ランプ36、演出ボタン37、演出キー38、及び皿39が設けられている。
皿39は、枠部材3からパチンコ遊技機1の正面側へ突出するように設けられており、上述の発射装置へ供給される遊技球を一時的に溜めるものである。この皿39には、上述のように払い出された賞球が排出される。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計方向へ回転させると、皿39に溜められた遊技球が発射装置へ供給されて、遊技領域20へ所定の時間間隔で発射される。この遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン33を押下することによって一時的に停止される。
取り出しボタン34は、皿39と近接する位置に設けられている。遊技者が取り出しボタン34を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された不図示の箱へ落下する。なお、この皿39は、1つの皿によって構成されてもよいし、発射装置へ供給される遊技球及び賞球を溜める上皿と、賞球のみを溜める下皿との2つの皿によって構成されてもよい。
スピーカ35は、楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。枠ランプ36は、点灯又は点滅のパターンの変更、発光色の変更、光の照射方向の変更等の光による各種の演出を行う。
演出ボタン37及び演出キー38は、それぞれ遊技者が演出に対する操作入力を行うために設けられている。演出ボタン37は、皿39の横に設けられており、演出キー38は、中央キーと中央キーの周辺に配列された複数(ここでは4つ)の周辺キーとを有しており、演出ボタン37に隣接配置されている。後述するが、遊技者が周辺キーのいずれかを押下することによって、EL表示器6を遊技盤2に対して移動させることができる。すなわち、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作することによって、EL表示器6の移動方向(上下左右)を指示することができる。また、遊技者が演出キー38の周辺キーを操作することによって、液晶表示器5に表示された複数の選択肢の中からいずれかを選択指示することができる。このように、演出キー38は、遊技者が操作情報を入力するための入力手段として機能する。
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する情報を表示するものである。図3に示されるように、表示器4は、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を備えている。
第1特別図柄表示器41は、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第1特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄抽選の保留数を表示する。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第2特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄抽選の保留数を表示する。普通図柄表示器45は、遊技球がゲート25を通過したことを契機として普通図柄を変動表示してから普通図柄抽選の結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄抽選の保留数を表示する。遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、潜伏遊技状態)を表示する。
ここまでパチンコ遊技機1の概略構成について説明したが、上述したパチンコ遊技機1の構成は単なる一例であって、遊技盤2の盤面構成(入賞や抽選に関する役物の配置)等は、適宜変更されてもよい。例えば本発明に係る遊技機が右打ちが必要なパチンコ遊技機に適用される場合には、大入賞口23やゲート25等を液晶表示器5に対して右側の遊技領域20に配置するといった変更が行われる。
次に、液晶表示器5の液晶画面50およびEL表示器6のEL画面60に表示される画像について説明する。画像遊技球が第1始動口21または第2始動口22に入賞して特別図柄抽選が行われると、所定の画像が液晶画面50に表示されることによって所定の演出が開始されて、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄が変動する様子が液晶画面50に表示される。所定の演出が行われた後、装飾図柄の変動が停止し、特別図柄抽選の抽選結果が報知される。一方、所定の演出が行われている間、遊技者による演出キー38の操作によって、EL表示器6のEL画面60は、上下左右に移動する。
図4は、EL画面60の移動によってEL画面60に画像が表示される様子を示す図である。図4(A)は、EL表示器6のEL画面60が移動する前の状態であって、液晶表示器5の液晶画面50にキャラクタが表示された状態を示す図である。図4(B)および図4(C)は、EL画面60を通して液晶表示器5の液晶画面50に表示されたキャラクタを視認可能な位置にEL表示器6が移動した後の状態を示す図である。図4に示すキャラクタは、所定の演出が開始されたことに応じて液晶画面50に表示される。当該キャラクタは、特別図柄抽選の抽選結果を予告するためのものであり、装飾図柄の変動が停止するまでに様々な動作を行う。図4(B)および図4(C)に示されるように、EL画面60を通して液晶画面50に表示されたキャラクタを視認可能な位置にEL表示器6が移動したときには、当該キャラクタが発するセリフを示す文字情報(文字画像)や当該キャラクタが所持するアイテム(アイテム画像)等がEL表示器6のEL画面60に表示される。遊技者は、演出キー38を操作して、EL画面60をキャラクタが表示された位置に移動させることで、例えば当該キャラクタが所持するアイテムを視認することができる。例えば、キャラクタが剣アイテムを所持している場合には、特別図柄抽選に当選する確率(装飾図柄の停止後に大当たりとなる期待値)は50%に予め設定されている。遊技者はEL画面60を移動させて当該アイテムを視認することで、特別図柄抽選の抽選結果が報知される前に、特別図柄抽選に当選する確率を知ることができる。以下、このような効果的な演出を実現するためのパチンコ遊技機1の構成及び動作について説明する。
[液晶表示器5の構成]
液晶表示器5(本発明の第1画像表示器の一例)は、遊技盤2を支持するパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。このため、液晶表示器5は、遊技盤2に対して固定されている。液晶表示器5としては、例えば水平方向12の画素数が「800」で、垂直方向11の画素数が「600」という画面解像度(水平画素数800×垂直画素数600)の液晶画面50(本発明の第1表示画面の一例)を有する液晶ディスプレイが使用される。液晶表示器5は、後述する画像音響制御部140から出力される画像を液晶画面50に表示する。液晶画面50には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像等が表示される。
図5は、液晶画面50の概略構成を示す図である。図5に示されるように、液晶画面50は、多数の画素ユニット51を有して構成されている。画素ユニット51は、垂直方向11に600個、水平方向12に800個並んで配置されているが、説明の便宜上、図5(A)では、実際よりも少なく画素ユニット51が表記されている。
画素ユニット51は、カラー液晶素子52及び光センサ56を有している。カラー液晶素子52は、3原色のそれぞれの色を表示するR(Red)色液晶素子53、G(Green)色液晶素子54、及びB(Blue)色液晶素子55から構成されている。光センサ56は、液晶画面50の前方からの光を検知する受光素子であり、R色液晶素子53、G色液晶素子54、及びB色液晶素子55と隣接するように配置されている(図5(B)参照)。このように、光センサ56は、各カラー液晶素子52のそれぞれに近接配置されている。
光センサ56が光を受光すると、受光した光の輝度に応じた電気信号が生成される。液晶画面50が有する各光センサ56は、後述する演出制御部130に接続されており、各光センサ56で生成された電気信号は演出制御部130に出力される。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。具体的には、後述するEL表示器6のフレーム61(図7参照)は、液晶表示器5の液晶画面50と対向する面が黒色に形成されており、液晶画面50においてフレーム61によって覆われた領域に設けられている光センサ56からは、フレーム61によって覆われていない領域に設けられている光センサ56から出力される電気信号とは異なるレベルの電気信号が出力される。図6には、液晶表示器5の液晶画面50に対してEL表示器6のEL画面60が左下方に位置したときにフレーム61によって覆われた領域16(ハッチングされた領域)が示されている。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号のレベルの違いに基づいて、フレーム61の位置、すなわちEL画面60の位置を検出することができる。
図5(B)に示されるように、画素ユニット51には、画素ユニット51と隣接する他の画素ユニットとを区画する外壁57、及び画素ユニット51を構成するカラー液晶素子52と光センサ56とを区画する内壁58が設けられている。外壁57は、カラー液晶素子52及び光センサ56の外側を囲み、且つ画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。内壁58は、カラー液晶素子52と光センサ56との間に画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。この外壁57及び内壁58が設けられていることにより、光センサ56に対して近接するカラー液晶素子52から光が直接入射することが防止されるので、液晶画面50の前方からの光を各光センサ56で正確に検知して、EL表示器6の位置を精度良く検出することができる。
[EL表示器6の構成]
EL表示器6(本発明の第2画像表示器の一例)は、液晶表示器5の前面側に液晶画面50と所定の間隔を隔てて配置されており、後述する駆動機構10によって遊技盤2及び液晶表示器5に対して上下左右に移動可能である。本実施形態におけるEL表示器6は、透明なEL画面60(本発明の第2表示画面の一例)に画像をカラー又は単色表示する透明ELディスプレイである。EL画面60は、樹脂製のフレーム61に形成された開口部に嵌め込まれることによってフレーム61に固定されている。EL画面60としては、例えば垂直方向11の画素数が「240」で、水平方向12の画素数が「320」という画面解像度を有するものが使用される。したがって、EL画面60よりも液晶画面50の方が画面解像度が高くなるように構成されている。
EL表示器6として透過型のELディスプレイが使用されるので、EL画面60に画像が表示された状態であっても、遊技者がEL表示器6の裏面側に位置するオブジェクト(液晶画面50に表示されたキャラクタやアイテムといった表示オブジェクト、可動役物7等)をEL画面60を通して視認することができる。なお、EL表示器6のフレーム61の裏面(液晶画面50と対向する面)は、上述のように、黒色に形成されている。
[駆動機構10の構成及び動作]
次に、図7〜図10を参照しつつ、EL表示器6を移動させる駆動機構10について説明する。図7は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、液晶画面50に表示された表示オブジェクトをEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が位置した状態を示している。図8は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、可動役物7の一部をEL画面60を通して視認可能な位置にEL表示器6が位置した状態を示している。図9は、駆動機構10の分解斜視図である。図10は、EL表示器6の拡大斜視図である。
駆動機構10は、EL表示器6を液晶表示器5の液晶画面50に沿って上下左右に移動させるものである。本実施形態においては、駆動機構10は、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って垂直方向11(図1参照)に移動させる昇降駆動機構200と、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って水平方向12(図1参照)に移動させるスライド駆動機構220とから構成されている。
昇降駆動機構200は、大別して、第1支持部材201、ガイド部材202、ガイド部材203、第1回転軸204、第2回転軸205、第1駆動ベルト206、及び第2駆動ベルト207を備えている。
第1支持部材201は、水平方向12を長手方向とする薄い板状部材である。この第1支持部材201は、図1に示されるように、液晶表示器5の液晶画面50の手前に配置されるため、液晶画面50に表示された画像の視認性の低下を最低限に抑えるために、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、水平方向12に貫通する挿通孔62(図9及び図10参照)が形成されており、第1支持部材201は、挿通孔62に挿通されることによってフレーム61を水平方向12へ移動可能に支持する。
図10に示されるように、第1支持部材201は、その一端側に連結部材194が固定されると共に、その他端側に連結部材197が固定されている。連結部材194は、ガイド部材202(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔195と、第1駆動ベルト206(図9参照)を挟持する挟持片196とを有している。ガイド部材202は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が垂直方向11と一致するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材202の外径寸法は、挿通孔195の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材194は、挿通孔195にガイド部材202が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材202によって支持される。
連結部材197は、連結部材194と同形状の部材であって、ガイド部材203(図9参照)が挿通される挿通孔198と、第2駆動ベルト207(図9参照)を挟持する挟持片199とを有している。ガイド部材203は、ガイド部材202と同形状の部材であって、ガイド部材202と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材197は、挿通孔198にガイド部材203が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材203によって支持される。
このように連結部材194及び連結部材197がガイド部材202及びガイド部材203に支持されているので、第1支持部材201は、垂直方向11へスライド可能である。
ガイド部材202,203の上側に第1回転軸204が設けられると共に、ガイド部材202,203の下側に第2回転軸205が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸204及び第2回転軸205は、それぞれ軸方向が水平方向12と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図9に示されるように、第1回転軸204は、その一端側にギヤ212及びプーリ208が固定されると共に、その他端にプーリ209が固定されている。第2回転軸205は、その一端にプーリ210が固定されると共に、その他端にプーリ211が固定されている。
プーリ208とプーリ210との間には、内側に歯が形成された無端環状の第1駆動ベルト206が張り渡されている。プーリ209とプーリ211との間には、第1駆動ベルト206と同じ構成の第2駆動ベルト207が張り渡されている。
第1回転軸204のギヤ212(図7参照)には、第1ステッピングモータ29(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ212が固定された第1回転軸204が回転する。プーリ208〜211の外周には、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸204の回転力がプーリ208,209を介して第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207に伝達される。その結果、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207が周運動すると共に、第1回転軸204及び第2回転軸205が同期回転する。この第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207には、第1支持部材201の両端に固定された連結部材194,197が挟持片196,199によって固定されているので、第1ステッピングモータ29の駆動力が第1支持部材201にも伝達されて、第1支持部材201に支持されたEL表示器6が垂直方向11へ移動する。なお、第1ステッピングモータ29の回転方向を正回転又は逆回転に切り換えることで、垂直方向11におけるEL表示器6の移動方向を切り換えることができる。
一方、スライド駆動機構220は、大別して、第2支持部材221、ガイド部材222、ガイド部材223、第1回転軸224、第2回転軸225、第1駆動ベルト226、及び第2駆動ベルト227を備えている。
第2支持部材221は、垂直方向11を長手方向とする薄い板状部材である。この第2支持部材221は、第1支持部材201と同様に、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、垂直方向11に貫通する挿通孔63(図9及び図10参照)が形成されており、第2支持部材221は、挿通孔63に挿通されることによってフレーム61を垂直方向11へ移動可能に支持する。
図10に示されるように、第2支持部材221は、その一端側に連結部材214が固定されると共に、その他端側に連結部材217が固定されている。連結部材214は、ガイド部材222(図9参照)が挿通される円筒状の挿通孔215と、第2駆動ベルト227(図9参照)を挟持する挟持片216とを有している。ガイド部材222は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が水平方向12と一致するように、パチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材222の外径寸法は、挿通孔215の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材214は、挿通孔215にガイド部材222が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材222によって支持される。
連結部材217は、連結部材214と同形状の部材であって、ガイド部材223(図9参照)が挿通される挿通孔218と、第1駆動ベルト226(図9参照)を挟持する挟持片219とを有している。ガイド部材223は、ガイド部材222と同形状の部材であって、ガイド部材222と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材217は、挿通孔218にガイド部材223が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材223によって支持される。
このように連結部材214及び連結部材217がガイド部材222及びガイド部材223に支持されているので、第2支持部材221は、水平方向12へスライド可能である。
水平方向12におけるガイド部材222,223の外側に、第1回転軸224及び第2回転軸225が設けられている(図7及び図8参照)。第1回転軸224及び第2回転軸225は、それぞれ軸方向が垂直方向11と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図9に示されるように、第1回転軸224は、その一端側にギヤ232及びプーリ228が固定されると共に、その他端にプーリ229が固定されている。第2回転軸225は、その一端にプーリ230が固定されると共に、その他端にプーリ231が固定されている。
プーリ228とプーリ230との間には、内側に歯が形成された無端環状の第1駆動ベルト226が張り渡されている。プーリ229とプーリ231との間には、第1駆動ベルト226と同じ構成の第2駆動ベルト227が張り渡されている。
第1回転軸224のギヤ232(図7参照)には、第2ステッピングモータ30(図11参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ232が固定された第1回転軸224が回転する。プーリ228〜231の外周には、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸224の回転力がプーリ228,229を介して第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227に伝達される。その結果、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227が周運動すると共に、第1回転軸224及び第2回転軸225が同期回転する。この第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227には、第2支持部材221の両端に固定された連結部材214,217が挟持片216,219によって固定されているので、第2ステッピングモータ30の駆動力が第2支持部材221にも伝達されて、第2支持部材221に支持されたEL表示器6が水平方向12へ移動する。なお、第2ステッピングモータ30の回転方向を正回転又は逆回転に切り換えることで、水平方向12におけるEL表示器6の移動方向を切り換えることができる。
このように、EL表示器6は、昇降駆動機構200によって垂直方向11へ移動し、スライド駆動機構220によって水平方向12へ移動する。なお、本実施形態では、演出キー38から入力される操作情報に応じてEL表示器6が移動するので、遊技者は、所望の位置へEL表示器6を移動させることができる。なお、第1支持部材201及び第2支持部材221を除く駆動機構10の各構成部材は、液晶表示器5等が設けられた領域と遊技領域20とを区画する化粧カバー14(図1参照)によって覆われているために、図1には現れていない。
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。図には示されていないが、この制御装置は、メイン基板及びサブ基板を有している。メイン基板は、内部抽選や当選の判定等を行う遊技制御部100として機能するメイン制御基板、賞球の払い出しを制御する払出制御部120として機能する払出制御基板等から構成されている。このメイン基板は、メイン基板が改変された場合にその痕跡が残るように、透明部材で構成されたケース内に密閉状態で配置されている。一方のサブ基板は、演出を統括的に制御する演出制御部130として機能する演出制御基板、画像や音による演出を制御する画像音響制御部140として機能する画像音響制御基板、及び各種のランプ(枠ランプ36や盤ランプ8)や可動役物7による演出を制御するランプ制御部150として機能するランプ制御基板等から構成されている。
以下、図11を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。ここで、図11は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図11に示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、払出制御部120、演出制御部130、画像音響制御部140、及びランプ制御部150を備えている。
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。この遊技制御部100の主な機能は以下の通りである。
遊技制御部100は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を実行し、特別図柄抽選の抽選結果を示すデータ、特別図柄の変動パターン(例えば、30秒で特別図柄が変動する等)を示すデータ、リーチの有無を示すデータ等を含むコマンドを演出制御部130へ送信する。また、遊技制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)を示すデータ、特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータ、普通図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータ等を演出制御部130へ送信する。
遊技制御部100は、電動チューリップ27の羽根部材が開姿勢となる開時間、羽根部材が開閉する回数、及び羽根部材が閉じてから次に開くまでの開閉時間間隔を制御する。また、遊技制御部100は、遊技球が第1始動口21又は第2始動口22へ入賞したことによる特別図柄抽選の保留数、及び遊技球がゲート25を通過したことによる普通図柄抽選の保留数を管理する。
遊技制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口23の開閉動作を制御する。例えば、所定条件(例えば、大入賞口23が開いてから30秒が経過、大入賞口23への10個の遊技球の入賞、又は大入賞口23の開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで、大入賞口23のプレートが突出傾倒して大入賞口23の開状態を維持するラウンドを所定回数(例えば15回)繰り返す。
遊技制御部100は、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを払出制御部120に指示する。払出制御部120が遊技制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払い出された賞球の個数に関する情報が払出制御部120から遊技制御部100へ送られる。遊技制御部100は、払出制御部120から取得した情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
これらの機能を実現するために、遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
第1始動口スイッチ111は、第1始動口21に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。第2始動口スイッチ112は、第2始動口22に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部113は、電動チューリップ27の一対の羽根部材に駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、電動チューリップ27の一対の羽根部材が姿勢変化する。ゲートスイッチ114は、ゲート25を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口スイッチ115は、大入賞口23に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートに駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、大入賞口23が開閉される。普通入賞口スイッチ117は、普通入賞口24に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。
また、遊技制御部100には、表示器4が接続されている(図3参照)。遊技制御部100は、第1特別図柄抽選の結果を第1特別図柄表示器41に表示させ、第1特別図柄抽選を保留している保留数を第1特別図柄保留表示器43に表示させる。遊技制御部100は、第2特別図柄抽選の結果を第2特別図柄表示器42に表示させ、第2特別図柄抽選の保留数を第2特別図柄保留表示器44に表示させる。遊技制御部100は、普通図柄抽選の結果を普通図柄表示器45に表示させ、普通図柄抽選の保留数を普通図柄保留表示器46に表示させる。遊技制御部100は、遊技状態表示器47にパチンコ遊技機1の遊技状態を表示させる。
[払出制御部120の構成]
払出制御部120は、CPU121、ROM122、及びRAM123を備えている。CPU121は、ROM122に記憶されたプログラムに基づいて、賞球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。RAM123は、CPU121が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
払出制御部120は、遊技制御部100からの指示に基づいて、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球が皿39へ払い出されるように払出モータ125を制御する。ここで、払出モータ125は、遊技盤2の裏面側に配置された球タンクから遊技球を送り出すモータである。
払出制御部120には、払出モータ125の他に、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128が接続されている。払出球検出部126は、払出モータ125により球タンクから皿39へ払い出された賞球の数を検出する。球有り検出部127は、球タンクにおける遊技球の有無を検出する。満タン検出部128は、皿39が遊技球で満タンになったことを検出する。払出制御部120は、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128の検出結果に応じて所定の処理を実行する。
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。さらに、特別図柄抽選の当選確率の変動設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、特別図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、及び普通図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合には、これらのデータに応じて演出内容を設定する。演出制御部130は、このようにして設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
演出制御部130には、液晶表示器5が備える光センサ56が接続されている。演出制御部130のCPU131は、各光センサ56から入力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8や枠ランプ36の発光、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び可動役物7の発光を制御する。また、CPU151は、演出制御部130から送信されたコマンドにEL表示器6の移動が可能な状態になったことを示す情報が含まれている場合に、遊技者に対して演出キー38の操作を促すために、演出キー38に内蔵されているボタンランプ40の発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7を動作させるモータ(不図示)の回転を制御する。
ランプ制御部150は、演出制御部130から送信されたコマンドに演出キー38の操作情報が含まれていた場合、その操作情報に基づいて、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の回転を制御する。第1ステッピングモータ29は、その回転軸が昇降駆動機構200のギヤ212(図7参照)と噛合するように配置されており、第1ステッピングモータ29の駆動力がギヤ212に入力されることによって、EL表示器6が垂直方向11へ移動する。一方、第2ステッピングモータ30は、その回転軸がスライド駆動機構220のギヤ232(図7参照)と噛合するように配置されており、第2ステッピングモータ30の駆動力がギヤ232に入力されることによって、EL表示器6が水平方向12へ移動する。本実施形態においては、第1ステッピングモータ29、第2ステッピングモータ30、昇降駆動機構200、スライド駆動機構220、及びステッピングモータ29,30を動作させるCPU151が、EL表示器6を移動させる移動手段として機能する。
[画像音響制御部140の構成]
図12は、画像音響制御部140の構成を例示するブロック図である。画像音響制御部140は、図12に示されるように、各種演出の実行を指示するための制御信号を生成するCPU141と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を表現するための画像を生成するVDP(Video Display Processor)142と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を実現するための音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)143とを備えている。
CPU141には、制御用ROM144、及びRAM145が接続されている。制御用ROM144には、CPU141によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM145は、CPU141が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、VDP142及び音響DSP143の動作を制御するための制御信号を生成して、その制御信号をVDP142及び音響DSP143に出力する。
音響DSP143には、音響用ROM146、及びSDRAM147が接続されている。音響用ROM146には、スピーカ35から出力させる楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データが記憶されている。SDRAM147は、音響DSP143によるデータ処理等の作業領域として使用される。
音響DSP143は、CPU141によって生成された制御信号に対応する音響データを音響用ROM146からSDRAM147に読み出し、その音響データに対して必要なデータ処理を行う。そして、液晶画面50やEL画面60による画像表示と同期させて、又は画像表示とは非同期に、データ処理後の音響データを不図示の増幅器を介してスピーカ35に出力する。
VDP142は、CPU141から入力された制御信号に基づいて画像を描画して、液晶表示器5及びEL表示器6に出力する表示制御手段として機能する。このVDP142は、CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、VRAM_RS1425、VRAM_FB1426、及び出力回路1427を備えている。
VDP142には、内部バス1428及び内部バス1429が設けられている。CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、及びVRAM_RS1425は、内部バス1428を介して通信可能に接続されている。また、描画エンジン1424、VRAM_FB1426、及び出力回路1427は、内部バス1429を介して通信可能に接続されている。
CPU I/F1421は、VDP142とCPU141とを通信可能に接続するインターフェースである。CPU141によって生成された制御信号は、CPU I/F1421を介してVDP142に入力される。ROM I/F1423は、画像用ROM148から画像データを読み出すためのインターフェースである。
画像用ROM148には、液晶表示器5及びEL表示器6に表示される演出画像を構成する素材となる素材データが記憶されている。具体的には、特別図柄抽選の抽選結果を示す装飾図柄や特別図柄抽選の抽選結果に対する期待度の大きさに応じた演出を行うためのキャラクタやアイテム等に関する画像データ、液晶表示器5に背景画面として表示される背景画像に関する画像データ、「リーチ」、「激アツ」等の文字に関する画像データといった、いわゆるスプライト機能を実現するための素材データが記憶されている。
VRAM_RS1425は、画像用ROM148から読み出された素材データを一時的に記憶する記憶領域や描画エンジン1424が実行する描画処理などの作業領域として使用されるメモリである。なお、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式で符号化された画像データが画像用ROM148から読み出される場合には、デコーダ1422によって復号された画像データが素材データとしてVRAM_RS1425に格納される。VRAM_RS1425に格納された素材データは、描画エンジン1424が行う描画処理に使用される。このため、描画処理で頻繁に使用される素材データをVRAM_RS1425にバッファリングしておくことによって、描画エンジン1424による描画処理を効率良く実行することができる。
描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に基づいて、液晶表示器5の液晶画面50及びEL表示器6のEL画面60に表示すべき画像を生成してVRAM_FB1426に格納(描画)する。具体的には、CPU141からの制御信号、及びVRAM_RS1425に格納された素材データに基づいて、各ピクセルの色を計算し、計算した色の値をVRAM_FB1426に書き込むレンダリング処理を行う。VRAM_FB1426に格納された画像は、1フレーム分の画像に対応する複数の画素データから構成されており、各画素データは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)を示す色情報と、画素の透過度を示すアルファ値とを含んでいる。出力回路1427は、VRAM_FB1426に格納された画像を所定の表示タイミングで液晶表示器5及びEL表示器6に出力して、液晶画面50及びEL画面60に画像を表示させる。なお、液晶表示器5のみを使用する場合には、描画エンジン1424は、液晶画面50に表示するための画像のみを生成してVRAM_FB1426に格納し、その画像を液晶表示器5に出力する。
図13は、VRAM_FB1426の構成について説明するための説明図である。図13に示されるように、VRAM_FB1426は、描画エンジン1424によって描画される1フレーム分の画像をそれぞれ記憶する第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bを備えるダブルバッファ方式のメモリである。第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、本実施形態においては、いずれも垂直方向11に960ドット、水平方向12に1280ドットの画素データを格納可能なメモリ領域を有している。描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を生成して第2フレームバッファ1426Bに格納する。一方、第2フレームバッファ1426B内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を生成して第1フレームバッファ1426Aに格納する。このように、描画エンジン1424は、一方のフレームバッファから画像を出力している間に次のフレームの画像を生成して他方のフレームバッファに格納することで、高いフレームレートで描画処理を行うことができる。
以上のように、本実施形態に係る遊技機1は、液晶表示器5およびEL表示器6の2つの画像表示器を備えるが、これら2つの画像表示器に表示する画像を生成するVDPは、1つである。すなわち、VDP142は、1フレーム時間(例えば、1/60秒)に液晶表示器5に表示される画像と、EL表示器6に表示される画像とを生成し、それぞれの画像を液晶表示器5およびEL表示器6に出力する。
上述したように、本実施形態では、液晶画面50にキャラクタが表示された場合において、EL画面60を通して当該キャラクタが視認できる位置にEL表示器6が移動したとき、EL画面60には、当該キャラクタに関する情報が表示される(図4)。より具体的には、EL画面60には、キャラクタに付加される画像(アイテムや文字等)と、キャラクタの一部の画像とを重ね合わせた画像が表示される。例えば、図4(C)に示される例では、EL画面60には、EL画面60にのみ表示されるアイテム画像(差分画像)と、EL画面60を通して見られる液晶画面50に表示されたキャラクタの一部の画像とが重ね合わされた画像が表示される。
図14は、EL画面60に表示される画像の一例を示す図である。図14に示すように、EL画面60には、キャラクタが所持するアイテムを示すアイテム画像と、キャラクタの一部である部分画像とが表示される。EL画面60にアイテム画像のみが表示された場合において、遊技者が当該EL画面60を見ると、手前にアイテム画像が見えるとともに、EL画面60の背後に液晶画面50に表示されたキャラクタの一部が見える。そうすると、遊技者の目の焦点が合いにくい場合があったり、EL画面60を通して液晶画面50に表示される画像を見ると、液晶画面50に表示される画像がEL画面60によって見難くなる場合があったりする。しかしながら、上述したように、EL画面60には、アイテム画像とキャラクタの部分画像とが重ね合わされた画像が表示されるため、遊技者にとって見やすい表示となる。
EL画面60に表示される画像は、EL画面60の位置に応じて決定される。以下、EL画面60に表示される画像の決定の仕方について説明する。
図15は、液晶画面50およびEL画面60に表示される画像について説明するための図である。本実施形態に係るVDP142は、1フレーム時間に第1画像と第2画像とを生成する。第1画像は、液晶表示器5に表示される画像であり、VDP142によって生成された第1画像が液晶表示器5に出力されることによって、第1画像(以下「メイン画像」とも呼ぶ)が液晶画面50に表示される。第2画像は、第1画像と同じ画像と、EL画面60にのみ表示される差分画像とを重ね合わせた画像である。差分画像とは、図4(B)や図4(C)に示す文字画像やアイテム画像等、EL画面60にのみ表示される画像である。EL画面60には、EL表示器6の位置に応じて、第2画像の一部の領域を切り取って得られる画像(以下、「サブ画像」と呼ぶ)が表示される。すなわち、サブ画像は、EL画面60に表示される画像であり、EL表示器6の位置に応じた領域を第2画像から切り取って得られる画像である。
ところで、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、本実施形態においては、いずれも垂直方向11に960ドット、水平方向12に1280ドットの画素データを格納可能なメモリ領域を有している(図16参照)。一方、液晶表示器5の液晶画面50に表示される第1画像、および、当該第1画像と同じ画像に差分画像を重ね合わせた第2画像は、何れも、垂直方向11に600ドット、水平方向12に800ドットの画素データから構成されている。従って、2つの画像を例えば第1フレームバッファ1426Aに同時に格納するために、一方の画像をそのまま第1フレームバッファ1426Aに格納し、他方の画像を分割して格納する。
図16は、VDP142による画像の生成と出力の流れを示す図である。図16に示すように、液晶画面50に表示される第1画像は、例えば第1フレームバッファ1426Aにそのまま格納される。そして、第1フレームバッファ1426Aに格納された第1画像は所定のタイミングで液晶表示器5に出力され、メイン画像として液晶表示器5の液晶画面50に表示される。
一方、第1画像と同じ画像に差分画像(アイテム画像等)を重ね合わせた第2画像は、第1フレームバッファ1426Aに分割して描画(格納)される。例えば、第2画像は、4つの領域に分割された分割画像として、第1フレームバッファ1426Aに格納される。各分割画像は、例えば、400×300(水平画素数400×垂直画素数300)の画像である。そして、第1フレームバッファ1426Aに格納された4つの分割画像は、第2画像として再合成され、所定の領域が切り取られて、サブ画像としてEL表示器6に出力される。具体的には、出力回路1427は、4つの分割画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出し、第2画像として再合成する。そして、出力回路1427は、演出キー38の操作情報に応じた領域を、再合成された第2画像から切り取り、当該切り取った画像をサブ画像としてEL表示器6に出力する。これにより、EL表示器6のEL画面60にサブ画像が表示される。
[演出制御処理]
以下、図17及び図18を参照しつつ、演出制御部130で行われる演出制御処理について説明する。ここで、図17は、演出制御部130のCPU131によって実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。図18は、EL表示器6のEL画面60にサブ画像が表示されるまでの流れについて説明するための説明図である。なお、図17のフローチャートに示す演出制御部130で行われる処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が実行することで行われる。また、図17では、本発明と直接関係しない処理については、記載を省略している。
本実施形態では、液晶表示器5の液晶画面50に表示オブジェクトとしてのキャラクタが表示される場合を例に、演出制御部130によって行われる演出制御処理について説明する。
図17に示されるように、ステップS11において、演出制御部130のCPU131は、画像音響制御部140で行われている演出に関する情報を取得して、液晶画面50にキャラクタが表示されたか否かを判定する。液晶画面50にキャラクタが表示されていないとCPU131によって判定された場合(ステップS11:NO)、ステップS11に処理が戻されて、画像音響制御部140及びランプ制御部150に既に送信された演出の実行を指示するコマンドに基づいて、液晶表示器5、スピーカ35、枠ランプ36、盤ランプ8等による演出が継続される。
一方、CPU131は、液晶画面50にキャラクタが表示されたと判定した場合(ステップS11:YES)、ランプ制御部150へボタンランプ40の発光を指示する所定のコマンドを送信して、演出キー38に内蔵されたボタンランプ40を発光させる(ステップS12)(図18(A)参照)。このステップS12の処理によって、遊技者に対して演出キー38の操作によってEL表示器6の移動が可能な状態になったことが報知される。以降、ステップS13〜S20の処理ループが1フレーム時間(例えば1/60秒)毎に繰り返されることによって、遊技演出が進行していく。
CPU131は、ステップS12の処理に続き、演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信して、キャラクタの移動処理を画像音響制御部140に実行させる(ステップS13)。当該コマンドに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、キャラクタの位置を更新して、RAM145に記憶する。そして、後述する描画処理がVDP142によって行われることで、キャラクタが液晶画面50上を移動する様子が表示されることになる(図18(A)及び(B)参照)。次に、CPU131は、ステップS14の処理を実行する。
ステップS14において、CPU131は、演出キー38からの操作情報の入力の有無に基づいて、演出キー38が操作されたか否かを判定する。判定結果が肯定の場合、CPU131は、次にステップS15の処理を実行する。一方、判定結果が否定の場合、CPU131は、次にステップS17の処理を実行する。
ステップS15において、CPU131は、演出キー38が操作されたと判定したため(ステップS14:YES)、演出キー38から入力された操作情報に基づいて、EL表示器6を移動させる。具体的には、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、演出キー38から入力された操作情報が含まれており、ランプ制御部150のCPU151は、この操作情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、演出キー38の操作に応じた位置へEL表示器6が移動する(図18(B)及び(C)参照)。このように、CPU151は、演出キー38からの操作情報に基づいてEL表示器6を移動させる。ステップS15の処理の後、CPU131は、ステップS16の処理を実行する。
ステップS16において、CPU131は、RAM133に記憶されたEL画面60の位置情報を更新する処理を実行する。具体的には、CPU131は、EL画面60の現在の位置情報と、演出キー38から入力された操作情報とに基づいて、EL画面60の位置を更新し、RAM133に記憶する。EL画面60の位置は、例えば、EL画面60の中心(2本の対角線の交点)の座標値として表される。例えば、CPU131は、EL画面60の現在の位置を示す位置ベクトルに演出キー38から入力された操作情報に基づく移動ベクトルを加えることにより、EL画面60の位置を更新する。また、CPU131は、更新したEL画面60の位置情報を、画像音響制御部140に送信する。
なお、ステップS16において、CPU131は、光センサ56が検出したEL画面60の位置と更新されたEL画面60の位置(制御上の位置)との差が所定の閾値以上の場合、RAM133に記憶されたEL画面60の位置を光センサ56が検出した位置に補正してもよい。EL画面60の制御上の位置は、演出キー38から入力された操作情報に基づいて算出された位置である。具体的には、EL画面60の制御上の位置は、ランプ制御部150のCPU151が第1ステッピングモータ29および第2ステッピングモータ30に送信したステップ数に応じた位置であり、実際のEL画面60の位置とは異なる場合がある。例えば、第1ステッピングモータ29または第2ステッピングモータ30の脱調により、EL画面60が制御した位置に正確に移動しない場合がある。このため、EL画面60の制御上の位置と光センサ56が検出した実際の位置とにずれが生じ、EL画面60に表示される画像と液晶画面50に表示される画像との間にずれが生じる。従って、EL画面60の制御上の位置と実際の位置とがずれている場合は、CPU131は、RAM133に記憶されるEL画面60の位置を、光センサ56が検出した実際の位置に補正してもよい。
次に、ステップS17において、CPU131は、液晶画面50およびEL画面60による2画面表示を行うか否かを判定する。ステップS17の処理は、EL画面60にサブ画像を表示するか否かを判定する処理である。具体的には、CPU131は、ステップS13で移動したキャラクタの位置と、ステップS16で更新されたEL画面60の位置とに基づいて、2画面表示(液晶画面50およびEL画面60による表示)を行うか否かを判定する。なお、ステップS13で移動した後のキャラクタの位置は、画像音響制御部140から取得されてもよいし、ステップS13の処理でRAM133に記憶されてもよい。より具体的には、CPU131は、更新されたEL画面60の位置に配置されたEL画面60を正視した場合に、液晶画面50に表示されるキャラクタの一部をEL画面60を通して視認可能か否かを判定する。判定結果が肯定の場合、CPU131は、次にステップS18の処理を実行する。判定結果が否定の場合、CPU131は、次にステップS19の処理を実行する。
ステップS18において、CPU131は、2画面表示のコマンドを画像音響制御部140に送信する。画像音響制御部140がこのコマンドを受信したことに応じて、画像音響制御部140のVDP142が後述する描画処理を行い、液晶画面50およびEL画面60に画像が表示される。ステップS18の処理の後、CPU131は、ステップS20の処理を実行する。
一方、ステップS19において、CPU131は、1画面表示のコマンドを画像音響制御部140に送信する。画像音響制御部140がこのコマンドを受信したことに応じて、画像音響制御部140のVDP142が後述する描画処理を行い、液晶画面50にのみ画像が表示される。ステップS19の処理の後、CPU131は、ステップS20の処理を実行する。
ステップS20において、CPU131は、キャラクタの表示が終了したか否かを判定する。具体的には、画像音響制御部140で行われている演出に関する情報を取得して、液晶画面50に表示されていたキャラクタが画面から消えたか否かを判定する。キャラクタの表示が終了していないとCPU131によって判定された場合(ステップS20:NO)、処理がステップS13へ戻されて、次のフレームに関してステップS13以降の処理が行われる。逆に、キャラクタの表示が終了したと判定した場合(ステップS20:YES)、CPU131は、EL表示器6による画像表示の終了を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信すると共に、EL表示器6を初期位置へ移動させる処理の実行を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信して、図17に示す演出制御処理を終了する。
なお、ここでは、液晶画面50にキャラクタが表示されたことを契機としてEL表示器6の移動が可能になるとした。そして、EL表示器6が所定の位置(EL画面60を通してキャラクタを視認可能な位置)へ移動した場合、キャラクタがアイテムを所持している様子を示すサブ画像をEL画面60に表示する例について説明した。これに代えて、特別図柄の変動表示中にリーチ演出に発展したこと、大当たり遊技が開始されたこと、リーチ演出に発展しない特別図柄の変動表示が所定回数連続して行われたこと等を契機としてEL表示器6の移動が可能な状態にしてもよい。また、キャラクタやキャラクタ以外のオブジェクト(アイテム、装飾図柄、可動役物7等)の少なくとも一部をEL画面60を通して視認可能な位置へEL表示器6が移動した場合、そのオブジェクトに関連する表示内容(例えばそのオブジェクトの説明)の画像をEL画面60に表示するようにしてもよい。
[描画処理]
以下、図19および図20を参照しつつ、画像音響制御部140のVDP142によって行われる描画処理について説明する。ここで、図19は、VDP142によって行われる描画処理の詳細フローチャートである。図20は、サブ画像の出力処理について説明するための説明図である。なお、図19のフローチャートに基づいて説明するVDP142で行われる描画処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムを実行するCPU141が生成する制御信号に基づいて行われる。また、以下の説明では、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用した描画処理も第1フレームバッファ1426Aを使用した描画処理と同様に行われる。
まず、ステップS101において、描画エンジン1424は、メイン画像及びサブ画像の描画処理に使用するフレームバッファを選択する。具体的には、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、液晶表示器5又はEL表示器6へ画像を出力しているフレームバッファを特定して、画像を出力していないフレームバッファを今回のフレームの描画処理に使用するフレームバッファとして選択する。次に、ステップS102の処理が実行される。
ステップS102において、描画エンジン1424は、液晶表示器5に表示される第1画像(メイン画像)を生成して第1フレームバッファ1426Aに格納する。例えば、描画エンジン1424は、キャラクタを示すキャラクタ画像と、装飾図柄を示す装飾図柄画像と、背景を示す背景画像とを画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出して、これらの画像を合成した画像である第1画像を生成し、第1フレームバッファ1426Aに格納する(図16参照)。次に、ステップS103の処理が実行される。
ステップS103において、VDP142は、2画面表示のコマンドを受信したか否かを判定する。ここでは、上述したステップS18において、演出制御部130から得画面表示のコマンドが送信されたか否かが判定される。判定結果が肯定の場合、VDP142は、ステップS104の処理を実行する。一方、判定結果が否定の場合、VDP142は、ステップS108の処理を実行する。
ステップS104において、VDP142の描画エンジン1424は、第2画像を分割してフレームバッファに描画する。具体的には、描画エンジン1424は、まず、第1画像と同じ画像に差分画像(アイテム画像や文字画像等)を重ね合わせることによって、第2画像を生成する。第2画像は、遊技制御部100から演出制御部130に送信されるコマンドに含まれる特別図柄抽選の抽選結果や変動パターンに応じて、定められる。例えば、特別図柄抽選の抽選結果が当選であり、変動パターンが所定のパターンである場合、第1画像に表示されたキャラクタが所定のアイテムを所持する画像が第2画像として生成される(例えば、図4(C))。そして、描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426Aの空き領域(第1画像が格納された領域とは異なる領域)に当該第2画像を予め定められた数で分割して、格納する。次に、ステップS105の処理が実行される。
ステップS105において、第1フレームバッファ1426Aに格納した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かが判定される。表示タイミングになっていない場合(ステップS105:NO)、処理がステップS105へ戻されて待機状態となる。表示タイミングになったと判定された場合(ステップS105:YES)、次に、ステップS106の処理が実行される。
ステップS106において、第1フレームバッファ1426Aから分割画像が読み出されて、第2画像として再合成される。具体的には、出力回路1427は、第1フレームバッファ1426Aから4つの分割画像を読み出し、第2画像として再合成する。次に、ステップS107の処理が実行される。
ステップS107において、出力回路1427は、EL画面60の位置に基づいて、ステップS107で再合成された第2画像の一部の領域を切り取り、サブ画像としてEL表示器6に出力する。具体的には、出力回路1427は、ステップS16で更新されたEL画面60の位置を中心としたEL画面60の大きさと同じ大きさの領域を第2画像から切り取り、サブ画像としてEL表示器6に出力する。
ここで、上述したように、演出制御部130によってEL画面60の位置が更新されると、EL画面60の最新の位置情報が画像音響制御部140へ送信される(ステップS16)。画像音響制御部140のCPU141は、そのEL画面60の位置情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。そして、VDP142の出力回路1427は、当該EL画面60の位置に応じた第2画像の一部の領域を、サブ画像として切り取り、EL表示器6に出力する。例えば、出力回路1427は、図20に示されるように、第2画像の左上方の領域である第1分割画像、右上方の領域である第2分割画像、左下方の領域である第3分割画像、および、右下方の領域である第4分割画像を読み出す。そして、出力回路1427は、読み出した画像を再合成した第2画像から、EL画面60の位置を中心とした長方形の領域18のみを切り取り、EL表示器6に出力する。
このように、出力回路1427は、各分割画像を読み出して得られる第2画像の一部を、EL画面60の位置に応じて切り取り、EL表示器6に出力する。これにより、サブ画像がEL表示器6のEL画面60に表示される。
次に、ステップS108において、第1画像が液晶表示器5に出力される。具体的には、出力回路1427は、第1フレームバッファ1426Aから第1画像を読み出し、液晶表示器5に出力する。これにより、液晶表示器5の液晶画面50には、第1画像(メイン画像)が表示される。以上で、描画処理が終了する。
以上のように、フレームバッファに液晶画面50に表示される第1画像が描画されると共に、第2画像が当該フレームバッファの空き領域に同時に描画される。そして、遊技者による演出キー38への入力に応じて、第2画像の一部の領域がサブ画像として切り出されてEL画面60に出力される。
[本実施形態の作用効果]
以上のように、本実施形態によれば、1つのVDPによって2つの画面に異なる画像が表示される。このため、液晶表示器5、及びEL表示器6用にそれぞれVDPを用意する必要がなく、製造コストの上昇を抑制することができる。すなわち、上記画像処理方法によって、1つのVDPを用いて2つの画像表示器にそれぞれ異なる画像を表示することができる。従って、2つの画像表示器を有する遊技機であってもVDPを1つだけ備えるだけでよく、製造コストの上昇を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第2画像がフレームバッファの空き領域に分割されるため、フレームバッファを効率的に利用することができ、必要以上に容量の大きいフレームバッファを設ける必要がない。すなわち、第1画像および第2画像を分割せず、そのまま2つの画像をフレームバッファに格納することも考えられるが、その場合は、より高性能なVDPを用いる必要がある。図21は、第2画像を分割せずにVDPのフレームバッファに格納する場合について説明するための図である。第2画像を分割しない場合、図21に示すように、例えば、VDPのフレームバッファの水平方向の画素数は、第1画像と第2画像との水平方向の画素数の和よりも多く必要となる。このため、第2画像を分割しない場合は、より容量の大きなフレームバッファが必要となり、従って、フレームバッファの容量に応じた処理能力の高いVDPが必要となる。その結果、第1画像または第2画像を分割しない場合、2個の画像表示器を備えることによって製造コストが上昇するおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、フレームバッファを効率的に利用することができ、必要以上に高性能なVDPを用いる必要がない。従って、2個の画像表示器を備える場合であっても製造コストの上昇を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、遊技者による演出キー38の操作に応じてEL画面60が移動し、当該演出キー38の操作に応じた第2画像の領域がEL画面60に出力される。このため、EL画面60の実際の位置を検出しなくても、EL画面60に出力する画像(サブ画像)を決定することができる。
また、本実施形態によれば、EL画面60の位置に応じて、液晶画面50に表示される画像の一部(EL画面60を通して視認可能な液晶画面50に表示される画像の一部)と、EL画面60にのみ表示される差分画像とが合成されて(重ね合わされて)EL画面60に表示される。これにより、差分画像のみがEL画面60に表示される場合と比較して、遊技者にとって見やすい表示となる。すなわち、遊技者がEL画面60を通して液晶画面50に表示された画像を見ると、EL画面60によって液晶画面50から発せられた光の一部が吸収されたり、EL画面60に外部からの光が反射したりするため、当該画像が見難い場合がある。また、EL画面60に差分画像のみが表示された場合において、遊技者が当該EL画面60を見ると、手前に差分画像が見えるとともに、EL画面60の背後に液晶画面50に表示された画像の一部(例えば、キャラクタの一部)が見える。そうすると、遊技者の目の焦点が合いにくい場合がある。しかしながら、本実施形態では、EL画面60に差分画像に加えて液晶画面50に表示される画像が表示されるため、遊技者にとって見やすい表示となる。
[変形例]
本実施形態では、演出キー38からの操作情報に基づいて、EL画面60に表示する画像を決定した(第2画像から切り取る領域を決定した)。他の実施形態では、液晶表示器5が有する光センサ56によってEL画面60の位置を検出し、検出した位置に応じた第2画像の領域を切り取り、当該切り取った画像をサブ画像としてEL画面60に表示してもよい。
また、他の実施形態では、液晶表示器5が有する光センサ56によってEL画面60の実際の位置を検出し、検出した位置に基づいて、第2画像を切り取る領域(サブ画像)を決定してもよい。
EL画面60の実際の位置を検出する方法としては、上述した液晶表示器5が有する光センサ56に替えて、他のセンサが用いられてもよい。例えば、図22に示すように、非接触で連結部材194および連結部材214の存否を検出する近接センサ233(例えば、光センサ、磁気センサ等)をガイド部材202およびガイド部材222に配設することにより、EL画面60の実際の位置を検出してもよい。
図22は、他の実施形態におけるEL画面60の実際の位置を検出するための構成を示す図である。この場合において、近接センサ233は連結部材194および連結部材214の長手方向に沿って複数配設されてもよい。この場合において、演出キー38からの操作情報に基づくEL画面60の制御上の位置と近接センサ233によって検出されたEL画面60の実際の位置とにずれが発生した場合、EL画面60の制御上の位置を補正してもよい。そして、補正後の位置に基づいて、EL画面60に表示するサブ画像を決定してもよい。図22に示される構成では、図5に示すように液晶画面の各画素に光センサを設ける必要がないため、比較的簡易な構造となり、製造コストを抑えることができる。なお、非接触型の近接センサ233に限らず、接触型のセンサが用いられてもよい。
また、本実施形態では、第2画像を分割する数は予め定められていた。他の実施形態では、第2画像を分割する分割数を遊技機1の起動時に算出して、設定してもよい。VDP142は、フレームバッファのサイズ、および液晶画面50のサイズに基づいて、第2画像の分割数を算出することができる。例えば、VDP142は、フレームバッファの水平方向および垂直方向の空き領域の画素数に基づいて、分割数を算出することが可能である。上述した実施形態では、フレームバッファの水平方向の画素数(1280)から液晶画面50の水平方向の画素数(800)を引いた空き領域の水平方向の画素数は480である。また、フレームバッファの垂直方向の画素数(960)から液晶画面50の垂直方向の画素数(600)を引いた空き領域の垂直方向の画素数は360である。従って、液晶画面50を(液晶画面50のサイズと同サイズの第2画像を)4分割することで、フレームバッファの空き領域に、第2画像を描画することができる。
また、本実施形態では、液晶画面50に表示される第1画像をフレームバッファにそのまま描画して、EL画面60に表示されるために用いられる第2画像をフレームバッファの空き領域に分割して描画した。他の実施形態では、液晶画面50に表示される第1画像をフレームバッファに分割して描画し、EL画面60に表示されるために用いられる第2画像をフレームバッファにそのまま描画してもよい。
また、他の実施形態では、EL画面60に表示されるために用いられる第2画像が分割されてフレームバッファに描画されるとともに、液晶画面50に表示される第1画像もまた分割されてフレームバッファに描画されてもよい。
また、本実施形態では、EL画面60に特別図柄抽選に当選する期待値を示すアイテム等が表示されたが、他の実施形態では、EL画面60がキャラクタが表示される位置に移動した場合、当該キャラクタの説明等を示す文字画像がEL画面60に表示されてもよい。
また、本実施形態では、EL画面60の全体が液晶画面50に含まれる場合について、説明したが、必ずしもEL画面60の全体が液晶画面50に含まれなくてもよい。例えば、図8に示すように、EL画面60が右下方に移動した場合、液晶画面50の一部と可動役物7の一部とが、EL画面60を通して視認される。この場合において、EL画面60には、液晶画面50に表示される画像の一部の領域であって、EL画面60を通して視認される領域のみが、表示される。一方、可動役物7は、EL画面60を通して視認される。
また、本実施形態では、遊技者による演出キー38の操作に応じてEL表示器6が移動する場合について説明したが、他の実施形態では演出キー38等の入力手段からの操作情報の入力とは無関係に、EL表示器6を自動的に移動させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、液晶表示器5とは異なる第2の画像表示器として、透過型のEL表示器6が用いられたが、透過型EL表示器に限らず、透過型液晶表示器が用いられてもよいし、透過型ではない画像表示器が用いられてもよい。
また、本実施形態では、2つの画像表示器を有することとしたが、他の実施形態では、3つ以上の画像表示器を有してもよい。この場合においても、上述した画像処理方法を適用することで、画像表示器の数と同じ数のVDPを用意する必要がないため、製造コストの上昇を抑制することができる。