JP2012017779A - 電磁ディスクブレーキ - Google Patents

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豪 中島
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Abstract

【課題】本発明は、ブレーキ釈放時に制動ディスクが固定プレートに対して迅速に離れることができる電磁ディスクブレーキを提供することにある。
【解決手段】本発明は、ブレーキ釈放時に制動ディスク5をアーマチュア6と固定プレート7の中間位置に変位させる変位機構(13)を設けたのである。
このような変位機構(13)を設けることで、ブレーキ釈放時に制動ディスク5が迅速に固定プレート7から離れるので、制動ディスク5の回転時における固定プレート7との接触時間が短縮される。その結果、ブレーキ釈放時の摩耗粉の発生も少なくなり、摩耗粉のスプライン結合部への付着堆積も殆どなくなるので、制動ディスク5が付着堆積した摩耗粉によって軸方向への移動を妨げられるのを防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は電磁ディスクブレーキに係り、特に、制動ディスクの動作を改善した電磁ディスクブレーキに関する。
一般的に電磁ディスクブレーキは、特許文献1に開示のように、回転軸にスプライン結合された制動ディスクをブレーキ制動時には制動ばねに押圧されたアーマチュアと固定プレートとの間で挟圧し、ブレーキ釈放時には制動ばねに逆らってアーマチュアを電磁吸引して固定プレートとの挟圧力を解くことで制動ディスクを自由にしている。
特開2005−14726号公報
上記構成の電磁ディスクブレーキは、ブレーキ釈放時に制動ディスクからアーマチュアは瞬間的に離れるので、制動ディスクが回転し始めるときにアーマチュアとの接触摺動はないが、固定プレートからは制動ディスクは遅れて離れるので、制動ディスクが回転し始めるときに固定プレートとの接触摺動が発生し、その結果、制動ディスクの片減りを生じることがある。
さらに、この種電磁ディスクブレーキをエレベーターの巻上機に適用した場合には、乗かご減速時は電動機で制御され、電磁ディスクブレーキは乗かごが停止した後に機能するように構成されているので、ブレーキ制動時において制動ディスクとアーマチュアや固定プレートとの接触摺動はないが、ブレーキ釈放時における制動ディスクの回転し始めに固定プレートと制動ディスクとの接触摺動は避けられず、接触摺動による摩耗粉が制動ディスクと回転軸とのスプライン結合部に付着堆積することが散見される。その結果、制動ディスクが付着堆積した摩耗粉によって軸方向への移動を妨げられ、ブレーキ釈放後においても固定プレートと制動プレートとが接触を継続することがあった。
本発明の目的は、ブレーキ釈放時に制動ディスクが固定プレートに対して迅速に離れることができる電磁ディスクブレーキを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、ブレーキ釈放時に制動ディスクをアーマチュアと固定プレートの中間位置に変位させる変位機構を設けたものである。
このような変位機構を設けることで、ブレーキ釈放時に制動ディスクが迅速に固定プレートから離れるので、制動ディスクの回転時における固定プレートとの接触時間が殆どなくなる。その結果、両者間の摩耗粉の発生も殆どなく、摩耗粉のスプライン結合部への付着堆積も殆どなくなるので、制動ディスクが付着堆積した摩耗粉によって軸方向への移動を妨げられるのを防止することができる。
以上説明したように本発明によれば、ブレーキ釈放時に制動ディスクが固定プレートに対して迅速に離れることができる電磁ディスクブレーキを得ることができる。
本発明による電磁ディスクブレーキのブレーキ制動時における実施の形態を示す上半分の縦断側面図。 図1に示す電磁ディスクブレーキのブレーキ釈放時を示す上半分の縦断側面図。 本発明による電磁ディスクブレーキを適用したエレベーター用巻上機を示す側面図。 図3によるエレベーター用巻上機を利用したエレベーターを示す概略縦断面図。
以下、本発明による電磁ディスクブレーキを図1及び図2に基づいて説明する。
本実施の形態による電磁ディスクブレーキ1は、回転軸2と、この回転軸2に回り止めキー3を介して固定されたスプラインハブ4と、このスプラインハブ4の外周に形成したスプライン歯4Tにスプライン結合されるスプライン溝5Gを内径側に形成した制動ディスク5と、この制動ディスク5を軸方向の両側から挟む位置に配置されたアーマチュア6及び固定プレート7と、これらアーマチュア6及び固定プレート7の前記制動ディスク5の外周部近傍に対向する位置に夫々固定されたブレーキライニング6L,7Lと、前記アーマチャ6を電磁吸着する電磁石10と、前記制動ディスク5を固定プレート7側に押圧する制動ばね11とを有している。
前記固定プレート7は、図示しない支持機構によって電磁石10側に支持されており、電磁石10との間隔が変化しないように構成されている。
前記電磁石10は、固定部材に支持され、前記アーマチュア6と対向する吸着面8A,8Bを内外径側に有する鉄心8と、この鉄心8に埋設された電磁コイル9とを有する。
また、前記制動ばね11は、前記アーマチュア6に対向して前記鉄心8に設けたばね穴8Hに装着されて前記アーマチュア6に押圧力を付加している。
上記構成の電磁ディスクブレーキ1のブレーキ制動時は、図1に示すように、電磁石10の電磁コイル9には通電されておらず、制動ばね11のばね力によって制動ディスク5を固定プレート7側に押し付けて挟圧している。このアーマチュア6と固定プレート7との挟圧力によって制動ディスク5は固定され、その結果、制動ディスク5とスプライン結合された回転軸2もその回転を止められている。
他方、上記構成の電磁ディスクブレーキ1のブレーキ釈放時には、電磁石10の電磁コイル9に通電することにより、鉄心8に磁気吸引力が発生し、制動ばね11のばね力に逆らってアーマチュア6を吸着面8A,8Bに吸着させる。その結果、アーマチュア6と固定プレート7との間隔が開いて制動ディスク5に作用していた挟圧力が解放されるので、制動ディスク5は自由となり、スプライン結合された回転軸2の固定も解かれて回転可能となる。
そして、本実施の形態においては、回転軸2と制動ディスク5との間に、ブレーキ釈放時に制動ディスク5をアーマチュア6と固定プレート7の中間位置に変位させる変位機構を設けたのである。
具体的には、回転側である回転軸2上のスプラインハブ4の固定プレート7側端部にばね座12を設け、このばね座12と制動ディスク5の内径側との間にコイル状の押圧ばね13を設けて変位機構としたものである。
この変位機構の押圧ばね13は、ブレーキ釈放時には、アーマチャ6と固定プレート7との中間に位置する制動ディスク5と接触し、ブレーキ制動時には、制動ディスク5の固定プレート7側への変位によって容易に圧縮される程度のばね力を有するものである。
このような変位機構を設けることで、電磁ディスクブレーキ1のブレーキ釈放時に電磁コイル9に通電されて鉄心8にアーマチュア6が吸着されると同時に、押圧ばね13のばね力によって制動ディスク5は、アーマチャ6と固定プレート7との中間に押し出されて変位する。その結果、制動ディスク5は、ブレーキ釈放時に、アーマチュア6の電磁石10への吸着とほぼ同時に固定プレート7から離れるので、ブレーキ釈放直後の制動ディスク5の回転し始め時に固定プレート7と接触摺動することは殆どなくなり、摺動により発生する摩耗粉のスプライン結合部への付着堆積もなくなる。したがって、制動ディスク5とスプラインハブ4との固渋はなく、長期間使用しても、ブレーキ釈放時に制動ディスクが固定プレートに対して迅速に離れることができる電磁ディスクブレーキを得ることができる。
ところで、以上の説明は、ばね座12と制動ディスク5の内径側との間にコイル状の押圧ばね13を設けた一例を説明したが、コイル状の押圧ばね13に限らず、環状の波形ばねや環状のゴムばねとしてもよい。
尚、以上の説明は、電磁ディスクブレーキ1を適用できる駆動源については、回転軸2を有するものであれば特に限定されるものではないが、駆動源を電動機とした例を図3に基づいて説明する。
図3に示す電動機14は、その回転軸(図示せず)の一端側に、本実施の形態による電磁ディスクブレーキ1を連結し、回転軸の他端側に、ワイヤロープ(図示せず)を巻き掛ける駆動綱車15を連結して、巻上機16を構成している。
ここで、電動機14に従来の電磁ディスクブレーキが連結されている場合には、ブレーキ釈放直後の制動ディスクの回転し始め時に固定プレートと長時間接触するので、この接触摺動抵抗が電動機14の負荷抵抗となり、電動機14のトルクにリップルが発生して電動機14の回転を不安定にする問題が生じる。
しかしながら、本実施の形態による電磁ディスクブレーキ1を電動機14に連結することで、ブレーキ釈放直後の制動ディスクの回転し始める前に固定プレートとの接触が瞬間的に離れるので、電動機14の性能を左右することはない。また、これにより巻上機を分解しての清掃作業などによる頻度を低減できるので、メンテナンス性も向上することができる。
次に、図3に示す巻上機16をエレベーターに適用した例を図4に基づいて説明する。
建築構造物17に形成された昇降路18内にはガイドレール19が立設されており、このガイドレール19に乗かご20が案内されている。この乗かご20は主ロープ21を介して吊られており、同時に、釣り合い重り22も主ロープ21によって吊られている。そして、昇降路18内には、図3に示す巻上機16が設置されており、駆動綱車15に前記主ロープ21を巻き掛けている。
このような構成において、巻上機16を駆動することで、乗かご20を昇降させることができる。
そして、エレベーターにおいては、乗かご20の減速時は電動機14を例えばインバータ制御することで行い、乗かご20の停止時には電磁ディスクブレーキ1によって停止位置を保持するため、制動ディスク5の回転中にアーマチュア6と固定プレート7とで挟圧することはなく、制動ディスク5とアーマチュア6及び固定プレート7との摺動摩擦は行われない。また、ブレーキ釈放時においても、電磁石10によるアーマチュア6の瞬時の吸着と同時に電動機14が回転して乗かご20を昇降させるが、本実施の形態による押圧ばね13の作用により制動ディスク5も瞬時に固定プレート7から引き離されるので両者間に制動ディスク回転し始めによる接触摺動は殆ど行われない。このため、エレベーター装置内での異音の発生等も抑えられ、電動機性能も安定するため、エレベーターの乗り心地を向上することも可能である。
以上説明したように本実施の形態によれば、ブレーキ釈放時に制動ディスク5と固定プレート7との摺動接触が殆ど行われないので、制動ディスク5のスプライン結合部に摩耗粉の付着堆積はなく、長期に亘って制動ディスク5を迅速に動作させることができると共に、電動機14に対しても余分に負荷をかけることはない。
1…電磁ディスクブレーキ、2…回転軸、3…回り止めキー、4…スプラインハブ、4T…スプライン歯、5…制動ディスク、5G…スプライン溝、6…アーマチュア、7…固定プレート、6L,7L…ブレーキライニング、8…鉄心、8A,8B…吸着面、8H…ばね穴、9…電磁コイル、10…電磁石、11…制動ばね、12…ばね座、13…押圧ばね、14…電動機、15…綱車、16…巻上機、17…建築構造物、18…昇降路、19…ガイドレール、20…乗かご、21…主ロープ、22…釣り合い重り。

Claims (5)

  1. 回転軸にスプライン結合する制動ディスクと、前記制動ディスクの一方側に配置されたアーマチュア及び前記制動ディスクの他方側に配置された固定プレートと、前記アーマチュアを前記固定プレート側に押圧する制動ばねと、前記アーマチュアを前記制動ばねに逆らって吸着する電磁石とを備えた電磁ディスクブレーキにおいて、ブレーキ釈放時に、前記制動ディスクを前記アーマチュアと前記固定プレートの中間位置に変位させる変位機構を回転側に設けたことを特徴とする電磁ディスクブレーキ。
  2. 前記変位機構は、ブレーキ釈放時に前記固定プレートとアーマチュアとの間に位置する前記制動ディスクと接触すると共に、ブレーキ制動時には前記制動ディスクの変位によって圧縮力を受けるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁ディスクブレーキ。
  3. 前記変位機構は、押圧ばねであることを特徴とする請求項2記載の電磁ディスクブレーキ。
  4. 請求項1,2又は3記載の電磁ディスクブレーキを備えたことを特徴とする電動機。
  5. 主ロープによって吊られた乗かごを昇降路内に設置すると共に、昇降路内に請求項4記載の電動機を設置し、かつ、前記主ロープを巻き掛ける綱車を前記電動機に連結したことを特徴とするエレベーター。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019142611A (ja) * 2018-02-16 2019-08-29 東芝エレベータ株式会社 巻上機の電磁ディスクブレーキ装置

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