JP2012016310A - 乾燥果実の製造方法及び乾燥果実 - Google Patents

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Abstract

【課題】果実に対して温度差を大きく付与して乾燥させるようにし、果実の甘みや風味が良好に生成されるようにした乾燥果実の製造方法及び乾燥果実を提供する。
【解決手段】リンゴからなる果実原料を所要の大きさに切断する処理を含む前処理工程1と、切断した果実原料を加熱処理する加熱処理工程2と、加熱処理した果実原料を冷却する冷却工程3と、冷却した果実原料を所要期間冷凍して保存する冷凍保存工程4と、冷凍した果実原料を解凍する解凍工程5と、解凍した果実原料を低温送風下で半乾燥する乾燥工程6と、乾燥した果実原料を所要期間冷凍若しくは冷蔵して保持する低温保持工程7とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、リンゴ等の果実を半乾燥した所謂セミドライ果実といわれる乾燥果実の製造方法及び乾燥果実に関する。
従来、この種の乾燥果実の製造方法としては、例えば、特開2006−325403号公報(特許文献1)に掲載されているものが知られている。これは、リンゴ等の果実原料をカットした可食部分を、乾燥室にて含水率が20〜30%になるまで乾燥し、次に、この果実原料を袋に密封して、含水率20〜28%になるまで冷暗所にて乾燥し、その後、この果実原料を乾燥剤と脱酸素剤を入れた袋に吸引、密封して乾燥果実としている。
また、従来においては、例えば、特開2003−225077号公報(特許文献2)に掲載されているものが知られている。これは、リンゴ等の果実原料に対して、温風を作用させる加熱乾燥工程と、この加熱乾燥工程に続いて常温以下の冷風に接触させる冷風乾燥工程からなる乾燥サイクルを、複数回くり返して行うものである。温風加熱と冷風冷却とを一対とする乾燥工程を繰り返して行うことで、果実原料を熟成させるようにしている。
特開2006−325403号公報 特開2003−225077号公報
ところで、上記従来の前者の乾燥果実の製造方法においては、果実原料を、乾燥室にて含水率を低下させ、更に、袋に入れて冷暗所にて乾燥し、その後、袋に乾燥剤と脱酸素剤とともに入れて吸引乾燥しているので、乾燥が連続的になっており、それだけ、熟成する間が少なく、そのため、果実の甘みや風味が必ずしも良好に生成できないという問題があった。
一方、上記後者の乾燥果実の製造方法においては、温風加熱と冷風冷却とを一対とする乾燥工程を繰り返して行うことで、果実原料を熟成させるようにしているので、前者の製造方法に比較して、ある程度、食味は良くなるが、しかしながら、温風と冷風による繰り返しなので、果実に対する温度差の刺激が少なく、必ずしも果実の甘みや風味が良好に生成されるとはいえない。また、温風加熱と冷風冷却とを繰り返すので、工数が増して製造効率にも劣っている。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、果実に対して温度差を大きく付与して乾燥させるようにし、果実の甘みや風味が良好に生成されるようにした乾燥果実の製造方法及び乾燥果実を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の乾燥果実の製造方法は、果実原料を乾燥して乾燥果実を得る乾燥果実の製造方法において、果実原料を所要の大きさに切断する処理を含む前処理工程と、該切断した果実原料を加熱処理する加熱処理工程と、加熱処理した果実原料を冷却する冷却工程と、冷却した果実原料を所要期間冷凍して保存する冷凍保存工程と、冷凍した果実原料を解凍する解凍工程と、解凍した果実原料を低温送風下で半乾燥する乾燥工程とを備えた構成にしている。
これにより、切断された果実原料が、加熱処理工程により加熱処理され、その後、冷却工程で冷却される。この際には、果実原料においては、冷却することにより、果実原料内の空気が収縮して負圧が生じ、加熱により滲み出た果汁成分が再び果実原料内に浸透して再吸収され封入される。その後、果実原料は冷凍保存工程で冷凍保存される。この冷凍保存の期間においては、果実の甘みや風味が熟成していく。この場合、果実に付与される温度差が大きいものになるので、熟成が進みやすく確実に熟成させて糖度を増加させることができるようになる。そして、解凍工程で果実原料を解凍後、乾燥工程で果実原料を半乾燥すると、所謂セミドライフルーツの乾燥果実が出来上がる。この場合、低温送風乾燥なので、徐々に水分が蒸発していくことから、色合いを損なうことなく果実の甘みや風味を凝縮させていくことができる。また、解凍した果実原料を乾燥工程の1工程で乾燥させるので、製造効率が極めて良いものになる。このようにして製造された乾燥果実においては、加熱処理工程と冷凍保存工程により、果実原料に対して大きい温度差を付与して熟成させられるので、果実の甘みや風味が良好になり、特に、糖度が増加して、極めて品質の良い乾燥果実になる。
そして、必要に応じ、上記乾燥工程後に、果実原料を所要期間冷凍若しくは冷蔵して保持する低温保持工程を備えた構成としている。これにより、乾燥後、更に、冷凍若しくは冷蔵して保存するので、より一層、熟成が進み糖度の増加が図られるとともに、乾燥果実の表面の糖分に水分が吸着するので、封入された乾燥果実内の湿潤度が均一化され、甘み,風味や食感のばらつきが解消される。
また、必要に応じ、上記前処理工程において、果実原料を切断した後、果実原料に対してレモン汁を添加する構成としている。これにより、果実原料の酸化変色が抑制される。また、酸味付けも行われることになるので、風味が向上させられる。
更に、必要に応じ、上記乾燥工程は、温度45℃以下の環境下で行い、水分含有率を、20重量%〜27重量%にした構成としている。これにより、より一層果実の甘みや風味が良好になり、特に、糖度が増加するとともに、食感も向上させられる。
また、上記課題を解決するための本発明の乾燥果実は、上記の乾燥果実の製造方法によって製造された乾燥果実にある。上記もしたように、この乾燥果実においては、加熱処理工程と冷凍保存工程により、果実原料に対して大きい温度差を付与して熟成させられるので、果実の甘みや風味が良好になり、特に、糖度が増加して、極めて品質の良い乾燥果実になる。
本発明によれば、冷凍保存の期間において果実の甘みや風味を熟成させることができるとともに、加熱処理工程と冷凍保存工程により、果実原料に対して大きい温度差を付与して熟成させるので、果実の甘みや風味を良好にし、特に、糖度を増加させて、品質を向上させることができる。また、乾燥工程は、低温送風乾燥なので、徐々に水分が蒸発していくことから、色合いを損なうことなく果実の甘みや風味を凝縮させていくことができる。また、解凍した果実原料を乾燥工程の1工程で乾燥させるので、製造効率が極めて良いものになる等、種々の効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る乾燥果実の製造方法を示す工程図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る乾燥果実の製造方法及び乾燥果実について詳細に説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係る乾燥果実の製造方法に係る工程図を示している。本発明の実施の形態に係る乾燥果実の製造方法は、果実としてリンゴを半乾燥した乾燥果実を製造するものであり、リンゴの果実原料を所要の大きさに切断する処理を含む前処理工程(1)と、切断した果実原料を加熱処理する加熱処理工程(2)と、加熱処理した果実原料を冷却する冷却工程(3)と、冷却した果実原料を所要期間冷凍して保存する冷凍保存工程(4)と、冷凍した果実原料を解凍する解凍工程(5)と、解凍した果実原料を低温送風下で半乾燥する乾燥工程(6)と、乾燥した果実原料を所要期間冷凍若しくは冷蔵して保持する低温保持工程(7)とを備えている。以下、各工程について説明する。
(1)前処理工程
果実原料の前処理を行う。詳しくは、リンゴを水洗いし(1−1)、皮をむき(1−2)、例えば、縦方向に8〜12等分に切断するとともに不要部を取り除く(1−3)。これにより、加熱工程での加熱を容易にし、また、食べやすくすることができる。
また、この切断した果実原料に対してレモン汁及び塩を適宜添加する(1−4)。これにより、果実原料の酸化変色が抑制される。また、酸味付けも行われることになるので、風味が向上させられる。
そして、水切りをしておく(1−5)。
(2)加熱処理工程
切断した果実原料を加熱処理する。加熱は、設定温度100℃で、7min〜10min行う。
(3)冷却工程
加熱処理した果実原料を、例えば、室内に放置し、あるいは、冷蔵庫に入れて放置して、冷却する。例えば、2℃〜20℃の温度範囲で、数時間行う。
この場合、果実原料においては、加熱された果実原料が冷却されるが、この際、果実原料内の空気が収縮して負圧が生じ、加熱により滲み出た果汁成分が再び果実原料内に浸透して再吸収され封入される。そのため、甘みや風味が増加させられる。
(4)冷凍保存工程
冷却した果実原料を、冷凍庫内で、所要期間冷凍して保存する。例えば、−5℃〜−40℃の温度範囲で、数日〜数年、適宜の期間行う。
この冷凍保存の期間においては、果実の甘みや風味が熟成していく。この場合、果実に付与される温度差が大きいものになるので、熟成が進みやすく確実に熟成させて糖度を増加させることができるようになる。また、加熱後に果汁が浸潤した状態で冷凍されるので、長期間(例えば数年)品質を変化させずに保存が可能になり、ストックしておいて生産調整できるなどの効果がある。
(5)解凍工程
冷凍した果実原料を解凍する。例えば、室内に放置し、あるいは、冷蔵庫に入れて放置する。加温しても良い。2℃〜30℃の温度範囲で、完全に解凍するまで行う。
(6)乾燥工程
解凍した果実原料を低温送風下で半乾燥する。例えば、低温乾燥室で、30℃〜45℃の温度範囲、送風条件下で、9時間〜20時間、乾燥を行う。
乾燥後の水分含有率を、20重量%〜27重量%にする。
この場合、低温送風乾燥なので、徐々に水分が蒸発していくことから、色合いを損なうことなく果実の甘みや風味を凝縮させていくことができる。また、解凍した果実原料を乾燥工程の1工程で乾燥させるので、製造効率が極めて良いものになる。
(7)低温保持工程
乾燥した果実原料を所要期間冷凍若しくは冷蔵して保持する。例えば、冷凍庫に入れ、あるいは、冷蔵庫に入れて放置する。例えば、−40℃〜5℃の温度範囲で、一週間以上行う。
これにより、乾燥後、更に、冷凍若しくは冷蔵して保存するので、より一層、熟成が進み糖度の増加が図られるとともに、乾燥果実の表面の糖分に水分が吸着するので、封入された乾燥果実内の湿潤度が均一化され、甘み,風味や食感のばらつきが解消される。
このようにして製造された乾燥果実においては、加熱処理工程と冷凍保存工程により、果実原料に対して大きい温度差を付与して熟成させられるので、果実の甘みや風味が良好になり、特に、糖度が増加して、極めて品質の良い乾燥果実になる。
この乾燥果実においては、果実原料として、商品価値が低い、枝ずれなどによる傷物のリンゴを用いて加工し、高付加価値商品として販売することができる。また、季節商品であるリンゴを、容量を縮小し長期間保存可能にすることができる。また、人工の食品添加物を加えず、リンゴの風味を凝縮した保存食品にすることができる。また、手をよごさず、ナイフなどの道具なしでも手軽に食べることができ、自然風味のドライフルーツとなる。
実施例を示す。リンゴ(岩手県滝沢村産、品種名「サンフジ」)を用いた。
前処理工程で、果肉部分を12等分に切断し、加熱処理工程で、設定温度100℃で、8min加熱した。
冷却工程で、15℃の温度で、5時間放置した。
冷凍保存工程で、冷凍庫に入れ、−20℃の温度で、30日間行った。
解凍工程は、室内放置した。
乾燥工程では、低温乾燥室で、35℃、12時間乾燥を行った。水分含有率は、23.7重量%であった。
低温保持工程で、冷凍庫に入れ、−20℃で、1週間放置した。
これにより得られた実施例に係る乾燥果実について、男女30人のパネラにより、食味試験を行った。その結果、従来にない風味であり、極めて良好な評価が得られた。
尚、上記実施の形態においては、本発明を果実原料としてリンゴに適用した例を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、キウイ、パイナップル、イチゴ、マンゴー、パパイヤ、梨、桃、花梨、メロン、西瓜、サクランボ、葡萄、バナナ、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライチ、ザクロ、イチジク、杏、梅、プラム等どのような果実であっても、本発明を適用することができることは勿論である。
(1)前処理工程
(2)加熱処理工程
(3)冷却工程
(4)冷凍保存工程
(5)解凍工程
(6)乾燥工程
(7)低温保持工程

Claims (5)

  1. 果実原料を乾燥して乾燥果実を得る乾燥果実の製造方法において、
    果実原料を所要の大きさに切断する処理を含む前処理工程と、該切断した果実原料を加熱処理する加熱処理工程と、加熱処理した果実原料を冷却する冷却工程と、冷却した果実原料を所要期間冷凍して保存する冷凍保存工程と、冷凍した果実原料を解凍する解凍工程と、解凍した果実原料を低温送風下で半乾燥する乾燥工程とを備えたことを特徴とする乾燥果実の製造方法。
  2. 上記乾燥工程後に、果実原料を所要期間冷凍若しくは冷蔵して保持する低温保持工程を備えたことを特徴とする請求項1記載の乾燥果実の製造方法。
  3. 上記前処理工程において、果実原料を切断した後、果実原料に対してレモン汁を添加することを特徴とする請求項1または2記載の乾燥果実の製造方法。
  4. 上記乾燥工程は、温度45℃以下の環境下で行い、水分含有率を、20重量%〜27重量%にしたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の乾燥果実の製造方法。
  5. 上記請求項1乃至4記載の乾燥果実の製造方法によって製造されたことを特徴とする乾燥果実。
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