本発明は、WDMシステムにおいて使用される光分岐挿入装置に係わる。
ネットワーク上の情報量が増大し、WDM(Wavelength Division Multiplexing)システムが普及してきている。WDMは、複数の波長を利用して複数の光信号を多重化して送信する。このため、WDMシステムにおいては、波長多重数を増やすことにより、伝送容量は増加する。
WDMシステムにおいては、全てのまたは一部の光ノードが光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)を備えている。光分岐挿入装置は、光伝送路に波長単位で光信号を挿入し、光伝送路から波長単位で光信号を取り出すことができる。すなわち、光分岐挿入装置は、WDM光信号に所望の波長の光信号を挿入する光アド装置(または、光アド機能)、およびWDM光信号から所望の波長の光信号を分岐する光ドロップ装置(または、光ドロップ機能)を備えている。なお、所望の波長の光信号を挿入および/または分岐する光分岐挿入装置は、ROADM(Reconfigurable Optical ADM)と呼ばれることがある。
関連する技術として、下記の光伝送装置が提案されている。光伝送装置は、分岐・挿入すべき光信号のうち、一部の光信号についての分岐・挿入動作を行う第1の可変波長選択フィルタと、第1の可変波長選択フィルタで選択されなかった、分岐・挿入すべき光信号について分岐・挿入動作を行う第2の可変波長選択フィルタとの少なくとも2つの可変波長選択フィルタを備える。(例えば、特許文献1)
他の関連技術として、下記の光分岐挿入装置が提案されている。光分岐挿入装置は、挿入される光信号の波長と同じ波長の光信号をスルー信号から取り除く構成として、ドロップ型AOTF(Acousto-Optic Tunable Filter)を使用する。ドロップ型AOTFは、常に全波長を選択するように、RF信号を入力しておき、リジェクトしたい波長に対してのみ、RF信号を入力しないようにする。これにより、RF信号が停止された波長の光信号は、ドロップ型AOTFにより選択されなくなり、スルー出来なくなる。(例えば、特許文献2)
さらに他の関連技術として、任意の波長成分の光信号を分岐挿入するROADM端局装置が提案されている。ROADM端局装置は、他のROADM端局装置との間で、光信号の任意の波長成分を授受するための光スイッチング部と、光信号を分岐挿入するためのOSC(Optical Supervisor Channel)制御情報を生成するOSC制御情報生成部と、OSC制御情報を他のROADM端局装置と授受するためのOSC制御情報入出力I/Fとを有する。(例えば、特許文献3)
さらに他の関連技術として、入力される総てのチャンネルに対して追加/脱落機能の実行が可能であり、且つ、高い自由度を有する波長選択スイッチが提案されている。この波長選択スイッチは、入力光信号を各々のチャンネルに対応する波長別に分割し、各々のチャンネルに対して入力光信号から分割された光信号又は追加ポートを介して入力された光信号を選択して出力する光逆多重化部と、電流供給又は電圧印加によって光逆多重化部から受信した各チャンネルごとの光信号を個別的に偏向する光偏向部と、光偏向部の偏向によって特定の出力ポートに前記各チャンネルごとの光信号を出力する光多重化部とにより構成される。(例えば、特許文献4)
特開平11−289296号公報
特開2005−348270号公報
特開2009−206707号公報
特開2009−145869号公報
光分岐挿入装置は、波長パスを柔軟に設定または変更できる構成を有していることが好ましい。例えば、光分岐挿入装置は、Colorless、Directionless、Contentionlessであることが好ましい。
Colorlessは、光分岐挿入装置の任意のポートに任意の波長を入力でき、任意のポートから任意の波長を出力できる構成または機能を意味する。Directionlessは、光分岐挿入装置が複数の方路を有する構成において、各端局からの光信号を任意の方路に導くことができ、各方路からの光信号を任意の端局に導くことができる構成または機能を意味する。Contentionlessは、光分岐挿入装置内で同一波長の光信号の衝突を回避する構成または機能を意味する。
ところが、従来の光分岐挿入装置においては、波長パスを柔軟に設定または変更できない。すなわち、従来の光分岐挿入装置では、所望の波長パスを設定できないことがある。例えば、従来の光分岐挿入装置においては、ある端局から送信される光信号を第1の方路へ出力する状態から、その光信号を第2の方路へ出力する状態に切り替えるときに、光ファイバを接続するポートの変更が必要となることがある。
したがって、本発明の課題は、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置を提供することである。
本発明の1つの態様の光分岐挿入装置は、第1および第2の方路を有すると共に、光クロスコネクトと、前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、を備える。
本発明の他の態様の光分岐挿入装置は、光クロスコネクトと、入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、前記ドロップ光信号を分岐して前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、を備える。
本出願において開示される方法または構成によれば、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
実施形態の光分岐挿入装置が使用されるネットワークシステムの構成を示す図である。
実施形態の光分岐挿入装置の構成を示す図である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その1)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その2)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その3)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その4)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その1)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その2)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その3)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その4)である。
アド動作の第1の実施例を示す図である。
アド動作で使用される光クロスコネクトの構成を示す図である。
アド動作の第2の実施例を示す図である。
アド動作の第3の実施例を示す図である。
アド動作の第4の実施例を示す図である。
アド動作の第5の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第1の実施例を示す図である。
ドロップ動作で使用される光クロスコネクトの構成を示す図である。
ドロップ動作の第2の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第3の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第4の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第5の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第6の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第7の実施例を示す図である。
8−Degree光分岐挿入装置の第1の実施例を示す図(その1)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第1の実施例を示す図(その2)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第2の実施例を示す図である。
8−Degree光分岐挿入装置の第3の実施例を示す図(その1)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第3の実施例を示す図(その2)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第4の実施例を示す図である。
図1は、実施形態の光分岐挿入装置が使用されるネットワークシステムの構成を示す図である。光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)は、光ノード内に設けられる。また、光分岐挿入装置は、1または複数の所望の波長の光信号をWDM光信号に挿入(Add)する機能、およびWDM光信号から1または複数の所望の波長の光信号を分岐(Drop)する機能を備える。
図1(a)に示すネットワークシステムは、双方向リングネットワークであり、4台の光ノード#1〜#4を備えている。すなわち、各光ノード間は、1組の時計回り光伝送路および反時計回り光伝送路で接続されている。時計回り光伝送路および反時計回り光伝送路は、それぞれ、WDM光信号を伝送する。各光ノード#1〜#4は、それぞれ光分岐挿入装置を備えている。
各光ノードまたは各光分岐挿入装置を基準として、ある方向に向かって伸びる光伝送路を「方路」と呼ぶことにする。例えば、光ノード#1(または、光ノード#1の光分岐挿入装置)は、方路#1および方路#2を有している。方路#1は、光ノード#4に接続されている。そして、方路#1には、光ノード#4から光ノード#1へWDM光信号を伝送する光伝送路(入方路)、および光ノード#1から光ノード#4へWDM光信号を伝送する光伝送路(出方路)が設定されている。また、方路#2は、光ノード#2に接続されている。そして、方路#2には、光ノード#2から光ノード#1へWDM光信号を伝送する光伝送路(入方路)、および光ノード#1から光ノード#2へWDM光信号を伝送する光伝送路(出方路)が設定されている。
上記構成のネットワークシステムにおいて、例えば、端局Aから端局Bへデータを送信する際には、光ノード#1は、端局Aから送信される光信号を、方路#1へ出力する。このとき、端局Aは、例えば、波長λ1を利用してデータを搬送する光信号を送信する。そうすると、光ノード#1の光分岐挿入装置は、端局Aから送信される光信号を、光ノード#2から光ノード#4へ伝送されるWDM光信号に挿入する。そして、光ノード#4の光分岐挿入装置は、そのWDM光信号から波長λ1の光信号を分岐して端局Bへ導く。これにより、端局Aから送信されるデータは、端局Bにより受信される。
端局Cから端局Aへデータを送信する際には、端局Cは、例えば、波長λ2を利用してデータを搬送する光信号を送信する。そうすると、光ノード#2の光分岐挿入装置は、端局Cから送信される光信号を、光ノード#3から光ノード#1へ伝送されるWDM光信号に挿入する。このWDM光信号は、方路#2から光ノード#1に入力される。そして、光ノード#1の光分岐挿入装置は、そのWDM光信号をから波長λ2の光信号を分岐して端局Aへ導く。これにより、端局Cから送信されるデータは、端局Aにより受信される。
図1(a)に示すネットワークシステムでは、各光分岐挿入装置は、それぞれ2本の方路を有している。ただし、実施形態の光分岐挿入装置は、より多くの方路を有するようにしてもよい。例えば、図1(b)に示すネットワークシステムでは、光ノード#5の光分岐挿入装置は、4本の方路#1〜#4を有している。このとき、光ノード#5の光分岐挿入装置は、端局Dから送信される任意の波長の光信号を、任意の方路へ出力することができる。また、光ノード#5の光分岐挿入装置は、任意の方路から任意の波長の光信号を分岐して端局Dへ転送することができる。
光分岐挿入装置が備える方路の数は、「Degree」でカウントされることがある。たとえば、図1(a)に示す各光分岐挿入装置は、2本の方路を有しているので、2-degreeと呼ばれることがある。また、図1(b)に示す光ノード#5の光分岐挿入装置は、4本の方路を有しているので、4-degreeと呼ばれることがある。
図2は、実施形態の光分岐挿入装置1の構成を示す図である。図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を有している。EAST方路は、1組の入方路および出方路を含む。同様に、WEST方路も、1組の入方路および出方路を含む。
光アンプ11Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号を増幅し、EAST方路へ出力されるWDM光信号を増幅する。同様に、光アンプ11Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号を増幅し、WEST方路へ出力されるWDM光信号を増幅する。光アンプ11E、11Wの利得は、予め計算されてもよいし、動的に制御されるようにしてもよい。
光スプリッタ(SPL)12Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号を分岐し、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)13Wおよびドロップ用波長選択スイッチ(d−WSS)14Eに導く。同様に、光スプリッタ(SPL)12Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号を分岐し、波長選択スイッチ(WSS)13Eおよびドロップ用波長選択スイッチ(d−WSS)14Wに導く。光スプリッタ12E、12Wの分岐比は、例えば、光分岐挿入装置1の構成に応じて設計される。これらの波長選択スイッチには、選択した各光信号の出力レベルを揃える機能を有するものを配置してもよい。
ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、光スプリッタ12Eから導かれてくるWDM光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。同様に、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、光スプリッタ12Wから導かれてくるWDM光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ14Eが選択する波長、およびドロップ用波長選択スイッチ14Wが選択する波長は、互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよいし、互いに一部が重複していてもよい。
光スプリッタ(SPL)15Eは、ドロップ用波長選択スイッチ14Eにより選択された光信号を分岐する。同様に、光スプリッタ(SPL)15Wは、ドロップ用波長選択スイッチ14Wにより選択された光信号を分岐する。
光クロスコネクト(OXC:Optical Cross Connect)16は、N個の入力ポートおよびN個の出力ポートを備える。N個の入力ポートのうちのm1個の入力ポートには、それぞれ光スプリッタ15Eにより得られる光信号が入力される。この場合、m1個の入力ポートには、互いに同じ光信号が入力される。同様に、N個の入力ポートのうちの他のm2個の入力ポートには、それぞれ光スプリッタ15Wにより得られる光信号が入力される。この場合、m2個の入力ポートには、互いに同じ光信号が入力される。そして、光クロスコネクト16は、各入力光信号を、それぞれ波長パス制御部2によって指定される出力ポートへ導く。光クロスコネクトは、光電変換を行わずにすべて光でクロスコネクトを行う全光クロスコネクトであってもよい。
チューナブルフィルタ(TF)17#1〜17#nは、それぞれ、光クロスコネクト16の対応する出力ポートから出力される光信号をフィルタリンングする。ここで、チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、それぞれ、指定された波長以外の波長成分を除去する。チューナブルフィルタ17#1〜17#nの通過波長は、特に限定されるものではないが、互いに異なっている。例えば、チューナブルフィルタ17#1、17#nの通過波長をそれぞれλ1、λnとする。このとき、λ1〜λ5を含むWDM光信号がチューナブルフィルタ17#1に入力すると、λ1の光信号が抽出される。また、λ1〜λ5を含むWDM光信号がチューナブルフィルタ17#nに入力すると、λnの光信号が抽出される。
ただし、チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、互いに重複する通過波長を含んでもよい。また、チューナブルフィルタ17#1〜17#nの通過波長は、波長パス制御部2によって指定されてもよい。
トランスポンダ(TP)31#1〜31#nは、それぞれ、対応するチューナブルフィルタ17#1〜17#nから出力される光信号を、対応する端局へ転送する。このとき、トランスポンダ31#1〜31#nは、必要に応じて、光信号の波長を変換する。なお、トランスポンダ31#1〜31#nから出力される光信号の波長は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
トランスポンダ(TP)32#1〜32#nは、それぞれ、対応する端局から送信される光信号を、対応するチューナブルフィルタ21#1〜21#nへ転送する。このとき、トランスポンダ32#1〜32#nは、必要に応じて、光信号の波長を変換する。なお、各端局から送信される光信号の波長は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。また、トランスポンダ32#1〜32#nから出力される光信号の波長は、特に限定されるものではないが、互いに異なるようにしてもよい。
チューナブルフィルタ(TF)21#1〜21#nは、対応するトランスポンダ32#1〜32#nから出力される光信号をフィルタリングする。ここで、チューナブルフィルタ21#1〜21#nは、それぞれ、指定された波長以外の波長成分を除去する。チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、例えば、互いに異なるように設定される。
ただし、チューナブルフィルタ21#1〜21#nは、互いに重複する通過波長を含んでもよい。また、チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、波長パス制御部2によって指定されてもよい。
光クロスコネクト(OXC)22は、N個の入力ポートおよびN個の出力ポートを備える。N個の入力ポートには、チューナブルフィルタ21#1〜21#nによりフィルタリングされた光信号が入力される。そして、光クロスコネクト22は、各入力光信号を、それぞれ波長パス制御部2により指定される出力ポートへ導く。
光カプラ(CPL)23Eは、光クロスコネクト22の出力ポートから出力される光信号を合波する。また、光カプラ(CPL)23Wは、光クロスコネクト22の他の出力ポートから出力される光信号を合波する。
アド用波長選択スイッチ(a−WSS)24Eは、光カプラ23Eから導かれてくる光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。同様に、アド用波長選択スイッチ(a−WSS)24Wは、光カプラ23Wから導かれてくる光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。アド用波長選択スイッチ24Eが選択する波長、およびアド用波長選択スイッチ24Wが選択する波長は、互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよいし、互いに一部が重複してもよい。
波長選択スイッチ13Eは、波長パス制御部2による制御に従って、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号およびアド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号から、EAST方路へ出力するWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Eは、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号から、光分岐挿入装置1を「通過(スルー)」する1または複数の任意の波長を選択する。また、波長選択スイッチ13Eは、アド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号から、WDM光信号に「挿入」する1または複数の任意の波長を選択する。
同様に、波長選択スイッチ13Wは、波長パス制御部2による制御に従って、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号およびアド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号から、WEST方路へ出力するWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Wは、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号から、光分岐挿入装置1を「通過」する1または複数の任意の波長を選択する。また、波長選択スイッチ13Wは、アド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号から、WDM光信号に「挿入」する1または複数の任意の波長を選択する。
波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、波長選択スイッチ13E、13W、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14W、アド用波長選択スイッチ24E、24Wが選択する波長を指示する。また、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、光クロスコネクト16、22のスイッチングを制御する。さらに、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、チューナブルフィルタ17#1〜17#n、21#1〜21#nの通過波長を制御する。
波長パス制御部2は、例えば、プロセッサおよびメモリを備える。メモリには、光分岐挿入装置1のアド動作およびドロップ動作を記述したプログラムが格納されるようにしてもよい。この場合、プロセッサは、メモリに格納されているプログラムを実行することにより、光信号のアド動作およびドロップ動作を提供する。また、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者との間のインタフェースを提供してもよい。
上記構成の光分岐挿入装置1において、光スプリッタ12Eおよびドロップ用波長選択スイッチ14Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部として動作する。同様に、光スプリッタ12Wおよびドロップ用波長選択スイッチ14Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部として動作する。なお、ドロップ信号生成部は、必ずしもドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えなくてもよい。また、ドロップ信号生成部は、他の構成で実現されてもよい。
図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を備えているが、光分岐挿入装置1が備える方路の数は、特に限定されるものではない。すなわち、光分岐挿入装置1は、より多くの方路を備えるようにしてもよい。また、図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、1つの光クロスコネクトOXC(drop)16および1つの光クロスコネクトOXC(add)22を備えているが、光分岐挿入装置1が備える光クロスコネクトの数は、特に限定されるものではない。すなわち、光分岐挿入装置1は、複数のドロップ用光クロスコネクトおよび複数のアド用光クロスコネクトを備えてもよい。光分岐挿入装置1が備える光クロスコネクトの数は、例えば、各光クロスコネクトのポート数、トランスポンダのチャネル数などに応じて設計される。
図3は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現する構成について説明する図である。図3(a)において、光クロスコネクト22の入力ポートには、チューナブルフィルタ21#1〜21#nが接続されている。この例では、チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、それぞれλ1〜λnである。
上記構成において、光クロスコネクト22は、任意の入力ポートの光信号を任意の出力ポートに導くことができる。例えば、波長λ1の光信号をEAST方路へ出力する指示が与えられると、光クロスコネクト22は、チューナブルフィルタ21#1を介して入力する光信号を光カプラ23Eへ導く。このとき、光クロスコネクト22は、上記光信号を、光カプラ23Eに接続されている複数の出力ポートの中の任意の1つに導く。そうすると、光カプラ23Eは、波長λ1の光信号および他の波長の光信号を合波する。そして、光カプラ23Eから出力されるアド光信号は、図2に示すアド用波長選択スイッチ24Eおよび波長選択スイッチ13Eにより選択され、EAST方路へ出力されるWDM光信号に挿入される。
また、波長λ1の光信号をWEST方路へ出力する指示が与えられると、光クロスコネクト22は、チューナブルフィルタ21#1を介して入力する光信号を光カプラ23Wへ導く。このとき、光クロスコネクト22は、上記光信号を、光カプラ23Wに接続されている複数の出力ポートの中の任意の1つに導く。そうすると、光カプラ23Wは、波長λ1の光信号および他の波長の光信号を合波する。そして、光カプラ23Wから出力されるアド光信号は、図2に示すアド用波長選択スイッチ24Wおよび波長選択スイッチ13Wにより選択され、WEST方路へ出力されるWDM光信号に挿入される。
このように、光分岐挿入装置1においては、光クロスコネクト22、アド用波長選択スイッチ24E、24Wおよび波長選択スイッチ13E、13Wの動作を適切に制御することにより、波長λ1の光信号を所望の方路に出力することができる。すなわち、光分岐挿入装置1においては、波長λ1の光信号を出力する方路を切り替える際に、光デバイス間の光ファイバの接続を変更する必要はない。したがって、Directionlessが実現される。
また、光分岐挿入装置1においては、例えば、波長の異なる複数の光信号をEAST方路へ出力する場合には、それら複数の光信号は、光クロスコネクト22により光カプラ23Eに導かれる。そして、光カプラ23Eは、それら複数の光信号を合波してEAST方路へ導く。ここで、光カプラの入力ポートは、波長依存性を有していない。すなわち、光カプラ23E、23Wは、それぞれ「各入力ポートには、それぞれ予め決められた特定の波長の光信号が入力されなければならない」という構成ではない。よって、波長の異なる複数の光信号が光カプラ23E、23Wに導かれる場合、各光信号は、それぞれ任意の入力ポートに入力することができる。すなわち、この構成によれば、Colorlessが実現される。
ただし、端局またはトランスポンダから送信される光信号のスペクトル幅は、必ずしも狭くない。例えば、端局またはトランスポンダが信号光源として安価なレーザを使用している場合は、光信号のスペクトル幅は広くなる。そして、各光信号のスペクトル幅が広いときは、図3(b)に示すように、隣接する波長の光信号のスペクトルが互いに重なり合うことがある。この場合、光カプラを用いて複数の光信号を合波すると、それらの光信号間で干渉が発生するおそれがある。
そこで、光分岐挿入装置1は、各光信号のスペクトル幅を狭くするために、チューナブルフィルタ21#1〜21#nを備える。チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長幅は、それぞれ十分に狭いものとする。そうすると、チューナブルフィルタ21#1〜21#nから出力される光信号のスペクトルは、図3(c)に示すように、互いに重なり合わない。したがって、光カプラを用いて複数の光信号を合波しても、光信号間の干渉は防止または抑制される。
このように、実施形態の光分岐挿入装置1は、方路ごとに光カプラを備える。図2および図3(a)に示す例では、2本の方路(EAST方路、WEST方路)に対して2つの光カプラ(23E、23W)が設けられている。
図4は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現する他の構成について説明する図である。図2に示す例では、光クロスコネクト22から出力される複数の光信号は、光カプラ(23E、23W)によって合波される。すなわち、複数の光信号を合波する合波デバイスとして光カプラが使用される。しかし、複数の光信号を合波する合波デバイスは、他の方法で実現されてもよい。すなわち、複数の光信号を合波する合波デバイスは、例えば、図4に示す波長マルチプレクサ41で実現されてもよい。
波長マルチプレクサ41は、入力ポート毎に、それぞれ異なる通過波長を有する光フィルタを備えている。図4に示す例では、入力ポートP1、P2、P3、...、Pnに対して設けられている光フィルタの通過波長は、それぞれλ1、λ2、λ3、...、λnである。この場合、例えば、波長λ1の光信号は入力ポートP1に入力されなければならず、波長λ2の光信号は入力ポートP2に入力されなければならない。このように、波長マルチプレクサ41の入力ポートは、波長依存性を有している。
ところが、図4に示す構成では、波長マルチプレクサ41の入力側に光クロスコネクト22が設けられている。そして、例えば、端局(または、トランスポンダ)Aから波長λ1の光信号が送信されるときは、光クロスコネクト22は、その光信号を波長マルチプレクサ41の入力ポートP1に導く。また、端局Aから波長λ3の光信号が送信されるときは、光クロスコネクト22は、その光信号を波長マルチプレクサ41の入力ポートP3に導く。すなわち、この構成によれば、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号の波長が変わっても、その光信号は波長マルチプレクサ41の適切な入力ポートに導かれる。したがって、この構成によっても、Colorlessが実現される。
なお、図4に示す例では、波長マルチプレクサ41が1つだけ描かれているが、図2に示す構成を実現するためには、光カプラ23E、23Wに対応する2つの波長マルチプレクサを設けるようにしてもよい。すなわち、図4に示す波長マルチプレクサ41は、光分岐挿入装置が備える方路ごとに設けられてもよい。また、図4に示す構成では、波長マルチプレクサ41内に光フィルタ(λ1〜λn)が内蔵されているので、図2に示すチューナブルフィルタ21#1〜21#nは、設けなくてもよい。
図5は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す例では、光クロスコネクト22の出力側において、方路毎に光カプラが設けられている。すなわち、EAST方路に対して光カプラ23Eが設けられ、WEST方路に対して光カプラ23Wが設けられている。これに対して、図5に示す構成では、複数の方路に対して1つの合波デバイス42が設けられる。ここで、合波デバイス42は、複数の光信号を合波する光カプラ(23E、23W)または波長マルチプレクサ(41)に相当する。
図5に示す構成では、合波デバイス42から出力される光信号は、光スプリッタ43により分岐されて各方路に導かれる。例えば、図5に示す構成が図2に示す光分岐挿入装置1に適用されるときは、光スプリッタ43は、合波デバイス42の出力光信号を分岐してアド用波長選択スイッチ24E、24Wに導く。この場合、アド用波長選択スイッチ24Eは、EAST方路に出力する光信号の波長を選択し、アド用波長選択スイッチ24Wは、WEST方路に出力する光信号の波長を選択する。この構成によれば、方路ごとに合波デバイス42(実施例では、光カプラまたは波長マルチプレクサ)を設ける必要はない。
図6は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す光クロスコネクト22は、図6に示す構成では、複数の光クロスコネクト44#1〜44#mにより実現されている。光カプラ45#1〜45#kは、図2に示す構成と同様に、方路ごとに設けられている。そして、各光カプラ45#1〜45#kには、それぞれ、各光クロスコネクト44#1〜44#mから出力される1以上の光信号が導かれる。一例としては、光カプラ45#1には、各光クロスコネクト44#1〜44#mの各1番目の出力ポートから出力される光信号が導かれる。また、光カプラ45#kには、各光クロスコネクト44#1〜44#mの各k番目の出力ポートから出力される光信号が導かれる。
図7は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現する構成について説明する図である。光分岐挿入装置1においては、EAST方路から入力されるWDM光信号からドロップ用波長選択スイッチ14Eにより複数の波長が選択されると、光スプリッタ15Eには選択された波長を含むドロップ光信号が入力される。この場合、光スプリッタ15Eにより生成される複数のドロップ光信号は、光クロスコネクト16の異なる入力ポートに導かれる。これらのドロップ光信号は、それぞれ、波長パス制御部2により指定されるチューナブルフィルタ17#1〜17#nに導かれる。WEST方路から入力されるWDM光信号についても同様である。
各チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、光クロスコネクト16から導かれてくるドロップ光信号から、所望の波長(例えば、波長パス制御部2により指定される波長)を選択する。したがって、この構成によれば、任意の方路から入力されるWDM信号から任意の波長の光信号を抽出して対応する端局(または、トランスポンダ)に転送することができる。
図8は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現する他の構成について説明する図である。図2に示す構成では、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wにより複数の波長が選択されると、光クロスコネクト16には、WDM光信号が入力される。そして、光クロスコネクト16は、そのWDM光信号を指定されたチューナブルフィルタに導き、各チューナブルフィルタがそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する。
図8に示す構成では、光クロスコネクト16の入力側に波長デマルチプレクサ46を備える。波長デマルチプレクサ46は、ドロップ光信号を波長ごとに分波する。すなわち、波長デマルチプレクサ46は、出力ポート毎に、それぞれ異なる通過波長を有する光フィルタを備えている。図8に示す例では、出力ポートP1、P2、P3、...、Pnに対して設けられている光フィルタの通過波長は、それぞれλ1、λ2、λ3、...、λnである。このように、波長デマルチプレクサ46の出力ポートは、波長依存性を有している。
光クロスコネクト16は、各入力ポートの光信号を任意の出力ポートに導くことができる。例えば、端局(または、トランスポンダ)Bへ波長λ1の光信号を送信するときは、光クロスコネクト16は、波長デマルチプレクサ46の出力ポートP1から出力される光信号を端局Bへ導く。また、端局(または、トランスポンダ)Bへ波長λ3の光信号を送信するときは、光クロスコネクト16は、波長デマルチプレクサ46の出力ポートP3から出力される光信号を端局Bへ導く。すなわち、この構成によれば、端局(または、トランスポンダ)は、所望の波長の光信号を受信できる。
なお、図8に示す例では、波長デマルチプレクサ46が1つだけ描かれているが、図2に示す構成を実現するためには、光スプリッタ15E、15Wに対応する2つの波長デマルチプレクサを設けるようにしてもよい。すなわち、図8に示す波長デマルチプレクサ46は、光分岐挿入装置が備える方路毎に設けられてもよい。また、図8に示す構成においては、波長デマルチプレクサ46内に光フィルタ(λ1〜λn)が内蔵されているので、図2に示すチューナブルフィルタ17#1〜17#nは、設けなくてもよい。
図9は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図9に示す構成では、各方路のWDM光信号から選択された波長の光信号は、光カプラ47によりいったん合波される。また、波長デマルチプレクサ46は、光カプラ47により合波された光信号を波長ごとに分波する。そして、光クロスコネクト16は、各波長の光信号をそれぞれ指定された端局(または、トランスポンダ)へ導く。したがって、この構成によっても、任意の方路のWDM光信号から任意の波長の光信号を抽出して所望の端局へ導くことができる。
図10は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す光クロスコネクト16は、図10に示す構成では、複数の光クロスコネクト49#1〜49#mにより実現されている。光スプリッタ48#1〜48#kは、図2に示す構成と同様に、方路ごとに設けられている。そして、各光スプリッタ48#1〜48#kの出力光信号は、それぞれ、各光クロスコネクト49#1〜49#mに導かれる。一例としては、光スプリッタ48#1の出力光信号は、光クロスコネクト49#1〜49#mの各1番目の入力ポートに導かれる。また、光スプリッタ48#kの出力光信号は、光クロスコネクト49#1〜49#mの各k番目の入力ポートに導かれる。
<アド動作およびドロップ動作の実施例>
次に、光分岐挿入装置1のアド動作およびドロップ動作の実施例を説明する。以下の説明では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を有しているものとする。すなわち、光分岐挿入装置1は、2-degree構成である。なお、実施例の変形として、3-degree以上の構成を採用することができる。その例として、8-degree構成の実施例を後述する。
図11は、光分岐挿入装置1のアド動作の第1の実施例を示す図である。ここでは、図面を見やすくするために、光アンプ11E、11W、波長選択スイッチ13E、13W、チューナブルフィルタ21#1〜21#n、光クロスコネクト22、光カプラ23E、23W、アド用波長選択スイッチ24E、24Wのみが描かれている。
光クロスコネクト22は、この実施例では、複数の光クロスコネクト22#1、22#2、...を備えている。各光クロスコネクト22#1、22#2、...は、この例では、それぞれ、8入力−8出力構成である。また、光カプラ23E、23Wは、この例では、それぞれ、複数の光カプラを含んでいる。
上記構成の光分岐挿入装置1において、光信号A、B、E、FをEAST方路へ出力し、光信号C、D、G、HをWEST方路に出力するものとする。光信号A、B、E、Fの波長は、それぞれ、λ2、λ1、λ3、λ4である。また、光信号A、B、E、Fは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1、P2、光クロスコネクト22#2の入力ポートP2、P3に入力される。一方、光信号C、D、G、Hの波長は、それぞれ、λ5、λ1、λ4、λ2である。また、光信号C、D、G、Hは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP3、P4、光クロスコネクト22#2の入力ポートP5、P6に入力される。
なお、光信号A〜Hは、それぞれ、端局から送信され、対応するチューナブルフィルタ21#1〜21#nを介して光クロスコネクト22#1、22#2に入力される。また、各端局とチューナブルフィルタ21#1〜21#nとの間には、それぞれトランスポンダが設けられる。
光クロスコネクト22#1は、光信号AをEAST方路に出力するために、入力ポートP1の光信号Aを光カプラ23Eに導く。ここで、光カプラ23Eは、光クロスコネクト22#1の出力ポートP1に接続されている。よって、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを入力ポートP1から出力ポートP1に導く。また、光クロスコネクト22#1は、光信号BをEAST方路に出力するために、入力ポートP2の光信号Bを光カプラ23Eに導く。すなわち、光クロスコネクト22#1は、光信号Bを入力ポートP2から出力ポートP1に導く。これにより、光クロスコネクト22#1は、光信号A、Bを合波して光カプラ23Eに出力する。
図12は、光クロスコネクト22#1の構成を示す図である。光クロスコネクト22#1は、各入力ポートに対してそれぞれ1×8スイッチ(SW)を備え、各出力ポートに対してそれぞれ8×1カプラ(CPL)を備える。1×8スイッチは、波長パス制御部2からの制御信号に従って、入力光信号を指定された出力ポートに導く。このとき、波長パス制御部2は、同じ波長の光信号が同じ出力ポートに導かれないように波長パスを決定する。また、8×1カプラは、複数の入力ポートから光信号が導かれてくるときは、それら複数の光信号を合波して出力する。
光クロスコネクト22#1は、特に限定されるものではないが、図2に示すチューナブルフィルタ21#1〜21#nを内蔵するようにしてもよい。この場合、各入力ポートに対してそれぞれチューナブルフィルタ(TF)が設けられる。なお、上記構成は、光クロスコネクト22#1、22#2、...において共通である。
光クロスコネクト22#2は、光信号EをEAST方路に出力するために、入力ポートP2の光信号Aを光カプラ23Eに導く。ここで、光カプラ23Eは、光クロスコネクト22#2の出力ポートP1に接続されている。よって、光クロスコネクト22#2は、光信号Eを入力ポートP2から出力ポートP1に導く。また、光クロスコネクト22#2は、光信号FをEAST方路に出力するために、入力ポートP3の光信号Bを光カプラ23Eに導く。すなわち、光クロスコネクト22#2は、光信号Fを入力ポートP3から出力ポートP1に導く。これにより、光クロスコネクト22#2は、光信号E、Fを合波して光カプラ23Eに出力する。
光カプラ23Eは、光信号A、光信号B、光信号E、光信号Fを合波して出力する。このとき、光カプラ23Eの出力光信号は、波長λ1、λ2、λ3、λ4を含んでいる。なお、光カプラ23Eにさらに他の光信号が入力される場合は、光カプラ23Eは、光信号A、B、E、F、および他の光信号を合波して出力する。そして、光カプラ23Eの出力光信号は、アド用波長選択スイッチ24Eに導かれる。
アド用波長選択スイッチ24Eは、光カプラ23Eの出力光信号から、波長パス制御部2により指定される波長を選択する。ここでは、アド用波長選択スイッチ24Eは、波長λ1、λ2、λ3、λ4を選択するものとする。そして、アド用波長選択スイッチ24Eは、選択した波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を波長選択スイッチ13Eに導く。
波長選択スイッチ13Eには、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号、およびアド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号が入力される。ここで、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号を「主光信号」と呼び、アド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号を「アド光信号」と呼ぶことにする。
波長選択スイッチ13Eは、波長パス制御部2の指示に従って、主光信号およびアド光信号から、EAST方路へ出力されるWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Eは、主光信号から、光分岐挿入装置1を「通過(スルー)」する波長を選択すると共に、アド光信号から、主光信号に「挿入」する波長を選択する。この実施例では、アド光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4が選択される。この場合、波長選択スイッチ13Eは、主光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4を選択しないように制御される。これにより、光信号A、B、E、Fを含むアド光信号が主信号に挿入されてEAST方路に出力される。
光信号C、D、G、HをWEST方路に出力する動作は、基本的に、光信号A、B、E、FをEAST方路に出力する動作と同じである。すなわち、光クロスコネクト22#1は、光信号Cを入力ポートP3から出力ポートP2に導き、光信号Dを入力ポートP4から出力ポートP2に導く。これにより、光クロスコネクト22#1は、光信号A、Bを合波して光カプラ23Wに出力する。同様に、光クロスコネクト22#2は、光信号Gを入力ポートP5から出力ポートP2に導き、光信号Hを入力ポートP6から出力ポートP2に導く。これにより、光クロスコネクト22#2は、光信号G、Hを合波して光カプラ23Wに出力する。
光カプラ23Wは、光信号C、光信号D、光信号G、光信号Hを合波して出力する。このとき、光カプラ23Wの出力光信号は、波長λ1、λ2、λ4、λ5を含んでいる。アド用波長選択スイッチ24Wは、光カプラ23Wの出力光信号から、波長パス制御部2により指定される波長を選択する。ここでは、アド用波長選択スイッチ24Wは、波長λ1、λ2、λ4、λ5を選択するものとする。
波長選択スイッチ13Wには、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号(主光信号)、及びアド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号(アド光信号)が入力される。そうすると、波長選択スイッチ13Wは、波長パス制御部2の指示に従って、主光信号およびアド光信号から、WEST方路へ出力されるWDM光信号を生成する。この実施例では、アド光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5が選択される。この場合、波長選択スイッチ13Wは、主光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5を選択しないように制御される。これにより、光信号C、D、G、Hを含むアド光信号が主信号に挿入されてWEST方路に出力される。
このように、図11に示す実施例においては、任意の端局から送信される光信号を所望の方路に出力することができる。また、複数の光信号を異なる方路に出力する場合は、それら複数の光信号が同じ波長を使用することができる。例えば、EAST方路に出力される光信号BおよびWEST方路に出力される光信号Dは、いずれも波長λ1を利用している。
図13は、光分岐挿入装置1のアド動作の第2の実施例を示す図である。第2の実施例においては、光分岐挿入装置1は、アド用波長選択スイッチ24E、24Wを備えていない。
図13に示す例では、光カプラ23E、23Wは、それぞれ複数の光カプラを備えている。よって、光カプラ51Eは、光カプラ23E内の複数の光カプラから出力される光信号を合波して波長選択スイッチ13Eに導く。同様に、光カプラ51Wは、光カプラ23W内の複数の光カプラから出力される光信号を合波して波長選択スイッチ13Wに導く。
波長選択スイッチ13E、13Wは、それぞれ、第1の実施例と同様に、主光信号にアド光信号を挿入することによりWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Eは、第1の実施例のアド用波長選択スイッチ24Eの機能を含むようにしてもよい。同様に、波長選択スイッチ13Wは、第1の実施例のアド用波長選択スイッチ24Wの機能を含むようにしてもよい。
図14は、光分岐挿入装置1のアド動作の第3の実施例を示す図である。第3の実施例においては、光クロスコネクト22#1、22#2、...は、図12に示す構成であってもよいし、単純なマトリクススイッチであってもよい。単純なマトリクススイッチは、特に限定されるものではないが、各入力ポートから入力される光信号をそれぞれ1つの出力ポートに導き、各出力ポートには1つの入力ポートの光信号を導く。すなわち、第3の実施例においては、光クロスコネクト22#1、22#2、...は、図12に示す8×1カプラ(CPL)を備えなくてもよい。
なお、図14では、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1〜P8のうちのP2〜P7の符号が省略され、出力ポートP1〜P8のうちのP2〜P7の符号が省略されている。図14では、図面を見やすくするために図示しないが、符号の付されていない6つの入力ポートは、入力ポートP1からP8に向かって順番にP2〜P7である。同様に、符号の付されていない6つの出力ポートは、出力ポートP1からP8に向かって順番にP2〜P7である。
光クロスコネクト22#1の出力ポートP1〜P4は、光カプラ23Eに接続されている。また、光クロスコネクト22#1の出力ポートP5〜P8は、光カプラ23Wに接続されている。
上記構成の光分岐挿入装置1において、第1の実施例と同様に、光信号A、B、E、FをEAST方路へ出力し、光信号C、D、G、HをWEST方路に出力するものとする。光信号A、B、E、Fの波長は、それぞれλ2、λ1、λ3、λ4であり、光信号C、D、G、Hの波長は、それぞれλ5、λ1、λ4、λ2である。ただし、第2の実施例では、光信号A、B、E、Fは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1、P3、P4、P6に入力される。また、光信号C、D、G、Hは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP2、P5、P7、P8に入力される。
光クロスコネクト22#1は、光信号AをEAST方路に出力するために、入力ポートP1の光信号Aを光カプラ23Eに導く。ここで、光カプラ23Eは、光クロスコネクト22#1の出力ポートP1〜P4に接続されている。したがって、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを、出力ポートP1〜P4の中の1つに導く。図14に示す例では、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを入力ポートP1から出力ポートP1に導いている。これにより、光信号Aは、光カプラ23Eに導かれる。
また、光クロスコネクト22#1は、光信号B、E、Fをそれぞれ光カプラ23Eに導く。このとき、光信号B、E、Fは、光信号Aと重複しないように、出力ポートP1〜P4に導かれる。図14に示す例では、光クロスコネクト22#1は、入力ポートP3の光信号Bを出力ポートP2に導き、入力ポートP4の光信号Eを出力ポートP3に導き、入力ポートP6の光信号Fを出力ポートP4に導いている。これにより、光信号B、E、Fも、光カプラ23Eに導かれる。
光カプラ23Eは、第1の実施例と同様に、光信号A、B、E、F(波長λ1〜λ4)を合波して出力する。また、アド用波長選択スイッチ24Eおよび波長選択スイッチ13Eの動作は、基本的に、第1の実施例と同じである。したがって、上記動作により、光信号A、B、E、Fが挿入されたWDM光信号がEAST方路に出力される。
光信号C、D、G、HをWEST方路に出力する動作は、基本的に、光信号A、B、E、FをEAST方路に出力する動作と同じである。ただし、光クロスコネクト22#1は、入力ポートP2の光信号Cを出力ポートP5に導き、入力ポートP5の光信号Dを出力ポートP6に導き、入力ポートP7の光信号Gを出力ポートP7に導き、入力ポートP8の光信号Hを出力ポートP8に導く。これにより、光信号C、D、G、Hは、光カプラ23Wに導かれる。
このように、光クロスコネクト22#1、22#2、...が光カプラ機能を備えていない構成であっても、第1の実施例と同様の動作を実現することができる。
図15は、光分岐挿入装置1のアド動作の第4の実施例を示す図である。第4の実施例においては、光分岐挿入装置1は、アド用波長選択スイッチ24E、24Wを備えていない。なお、第3の実施例と第4の実施例との差異は、上述した第1の実施例と第2の実施例との差異と同じである。よって、第4の実施例に係わる説明は省略する。
図16は、光分岐挿入装置1のアド動作の第5の実施例を示す図である。第5の実施例においては、光クロスコネクト22#1の動作は、基本的に、図14に示す第3の実施例と同じである。ただし、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1〜P8の入力光信号は、第3の実施例とは異なっている。
第1〜第4の実施例と同様に、第5の実施例においても、EAST方路に出力する光信号は光カプラ23Eに導かれる。ただし、第5の実施例においては、光信号A(λ1)、C(λ3)、D(λ2)、F(λ4)は、それぞれ、光カプラ23E内の別個の光カプラ(#1〜#4)に導かれる。図16に示す例では、光信号A、C、D、F、それぞれ光クロスコネクト22#1の出力ポートP1、P2、P3、P4から出力され、光カプラ23E#1、23E#2、23E#3、23E#4に導かれている。このとき、光カプラ23E#1〜23E#4には、他の光クロスコネクトから異なる波長の光信号を導くことができる。なお、アド用波長選択スイッチ24Eおよび波長選択スイッチ13Eの動作は、上述した第1または第3の実施例と同じである。
WEST方路に出力する光信号は、光クロスコネクト22#1により光カプラ23Wに導かれる。他の動作は、基本的に、光信号をEAST方路に出力するときと同じである。したがって、この構成によっても、任意の入力ポートに入力される光信号を、所望の方路に導くことができる。
図17は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第1の実施例を示す図である。ここでは、図面を見やすくするために、光アンプ11E、11W、光スプリッタ12E、12W、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14W、光スプリッタ15E、15W、光クロスコネクト16、チューナブルフィルタ17#1〜17#nのみが描かれている。
光クロスコネクト16は、この実施例では、複数の光クロスコネクト16#1、16#2、...を備えている。各光クロスコネクト16#1、16#2、...は、この例では、それぞれ、8入力−8出力構成である。また、光スプリッタ15E、15Wは、この例では、それぞれ、複数の光スプリッタを含んでいる。
上記構成の光分岐挿入装置1において、EAST方路から入力されるWDM光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を抽出し、それぞれ端局B、A、E、Fへ送信するものとする。また、WEST方路から入力されるWDM光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5の光信号を抽出し、それぞれ端局D、H、G、Cへ送信するものとする。なお、以下の説明では、EAST方路から光分岐挿入装置1に入力されるWDM光信号をE−WDM光信号と呼び、WEST方路から光分岐挿入装置1に入力されるWDM光信号をW−WDM光信号と呼ぶことがある。また、波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光信号を、それぞれ、λ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号、λ5光信号と呼ぶことがある。
光スプリッタ12Eは、E−WDM光信号を分岐して波長選択スイッチ13Wおよびドロップ用波長選択スイッチ14Eに導く。波長選択スイッチ13Wの動作は、例えば、図11を参照しながら説明した通りである。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、波長パス制御部2の指示に応じて、E−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を選択する。そして、ドロップ用波長選択スイッチ14Eにより選択された光信号は、光スプリッタ15Eに導かれる。このとき、λ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号は、WDM光信号として光スプリッタ15Eに導かれる。したがって、以下の説明では、このWDM光信号をE−λ1/λ2/λ3/λ4光信号と呼ぶことがある。
光スプリッタ15Eは、上述したように、複数の光スプリッタ15E#1、15E#2、...を備えている。そして、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号は、この例では、光スプリッタ15E#1に導かれている。なお、光スプリッタ15E#2、15E#3、...には、例えば、ドロップ用波長選択スイッチ14Eにより選択される他の波長の光信号が入力される。
光スプリッタ15E#1の出力ポートは、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の入力ポートP1に接続されている。すなわち、光スプリッタ15E#1の出力信号は、光クロスコネクト16#1、16#2の入力ポートP1に導かれる。これにより、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1にE−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。また、光クロスコネクト16#2の入力ポートP1にもE−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。
図18は、光クロスコネクト16#1の構成を示す図である。光クロスコネクト16#1は、各入力ポートに対してそれぞれ1×8スプリッタ(SPL)を備え、各出力ポートに対してそれぞれ8×1スイッチ(SW)を備える。1×8スプリッタは、それぞれ入力光信号を分岐してすべての出力ポートに導く。また、8×1スイッチは、波長パス制御部2により指定される入力ポートからの光信号を選択する。
光クロスコネクト16#1は、特に限定されるものではないが、図2に示すチューナブルフィルタ17#1〜17#nを内蔵するようにしてもよい。この場合、各出力ポートに対してそれぞれチューナブルフィルタ(TF)が設けられる。なお、上記構成は、光クロスコネクト16#1、16#2、...において共通である。
光クロスコネクト16#1の入力ポートP1の光信号は、図18に示す1×8スプリッタにより分岐され、各出力ポートP1〜P8に導かれる。同様に、光クロスコネクト16#2の入力ポートP1の光信号も、各出力ポートP1〜P8に導かれる。
ここで、波長パス制御部2は、光クロスコネクト16#1に対して下記の指示を与えている。
出力ポートP1:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP2:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP3:入力ポートP2の光信号を選択
出力ポートP4:入力ポートP2の光信号を選択
また、波長パス制御部2は、光クロスコネクト16#2に対して下記の指示を与えている。
出力ポートP2:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP3:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP5:入力ポートP2の光信号を選択
出力ポートP6:入力ポートP2の光信号を選択
したがって、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P2、光クロスコネクト16#2の出力ポートP2、P3から、それぞれ、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が出力される。
さらに、波長パス制御部2は、各チューナブルフィルタ17を下記のように制御する。なお、以下の説明では、各チューナブルフィルタ17は「#i#k」で識別される。ここで、「i」は、光クロスコネクト16#1、16#2、...を識別し、「k」は、各光クロスコネクトの出力ポートP1〜P8を識別する。例えば、「#1#1」は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1に接続されるチューナブルフィルタを識別する。
#1#1:通過波長=λ2
#1#2:通過波長=λ1
#1#3:通過波長=λ5
#1#4:通過波長=λ1
#2#2:通過波長=λ3
#2#3:通過波長=λ4
#2#5:通過波長=λ4
#2#6:通過波長=λ2
チューナブルフィルタ17#1#1には、光クロスコネクト16#1により、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。ここで、チューナブルフィルタ17#1#1の通過波長は、上述のように、λ2に制御されている。したがって、チューナブルフィルタ17#1#1は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ2光信号を抽出する。これにより、E−WDM光信号から抽出されるλ2光信号が、端局Aに送信される。
同様に、チューナブルフィルタ17#1#2は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ1光信号を抽出する。また、チューナブルフィルタ17#2#2は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ3光信号を抽出する。さらに、チューナブルフィルタ17#2#3は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ4光信号を抽出する。これにより、E−WDM光信号から抽出されるλ1、λ3、λ4光信号が、それぞれ、端局B、E、Fに送信される。
WEST方路から入力されるWDM光信号(W−WDM光信号)から指定された波長の光信号を抽出する動作は、基本的に、E−WDM光信号から指定された波長の光信号を抽出する動作と同じである。すなわち、ドロップ用波長選択スイッチ14WによりW−λ1/λ2/λ4/λ5光信号が生成される。このW−λ1/λ2/λ4/λ5光信号は、光スプリッタ15Wおよび光クロスコネクト16#1、16#2により、チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6に導かれる。そして、光信号チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6は、それぞれ、W−λ1/λ2/λ4/λ5光信号からλ5、λ1、λ4、λ2光信号を抽出する。これにより、W−WDM光信号から抽出されるλ1、λ2、λ4、λ5光信号が、それぞれ、端局D、H、G、Cに送信される。
このように、実施形態の光分岐挿入装置1は、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の端局へ送信できる。よって、実施形態の構成によれば、波長パスを柔軟に設定または変更できる。
図19は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第2の実施例を示す図である。第2の実施例においては、光分岐挿入装置1は、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えていない。
図19に示す例では、光スプリッタ15E、15Wは、それぞれ複数の光スプリッタを備えている。よって、光スプリッタ61Eは、E−WDM光信号を分岐して光スプリッタ15E内の複数の光スプリッタに光信号を導く。同様に、光カプラ61Wは、W−WDM光信号を分岐して光スプリッタ15W内の複数の光スプリッタに導く。
E−WDM光信号は、光スプリッタ61Eおよび光スプリッタ15Eにより、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1および光クロスコネクト16#2の入力ポートP1に導かれる。そうすると、E−WDM光信号は、チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3に導かれる。
チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3の動作は、第1の実施例と同じである。ただし、第2の実施例では、各チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3は、それぞれ、E−WDM光信号から指定された波長の光信号を抽出する。同様に、チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6により、W−WDM光信号から指定された波長の光信号が抽出される。
図20は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第3の実施例を示す図である。第3の実施例においては、E−WDM光信号のλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、それぞれ端局C、A、D、Fに送信するものとする。また、W−WDM光信号のλ1光信号、λ2光信号、λ4光信号、λ5光信号を、それぞれ端局E、H、G、Bに送信するものとする。
第3の実施例において、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wの動作は、第1の実施例と同じである。すなわち、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からE−λ1/λ2/λ3/λ4光信号を生成する。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からW−λ1/λ2/λ4/λ5光信号を生成する。
光スプリッタ15Eは、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号を光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P4に導く。同様に、光スプリッタ15Wは、W−λ1/λ2/λ4/λ5光信号を光クロスコネクト16#1の入力ポートP5〜P8に導く。
光クロスコネクト16#1は、波長パス制御部2からの指示に応じて、図20に示すように入力ポートP1〜P8と出力ポートP1〜P8とを接続する。これにより、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号は、チューナブルフィルタ17#1、#3、#4、#6に導かれる。また、W−λ1/λ2/λ4/λ5光信号は、チューナブルフィルタ17#2、#5、#7、#8に導かれる。
チューナブルフィルタ17#1〜17#8は、波長パス制御部2により、下記のように制御される。
#1:通過波長=λ2
#2:通過波長=λ5
#3:通過波長=λ1
#4:通過波長=λ3
#5:通過波長=λ1
#6:通過波長=λ4
#7:通過波長=λ4
#8:通過波長=λ2
そうすると、チューナブルフィルタ17#1は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ2光信号を抽出する。これにより端局Aは、E−WDM光信号に含まれるλ2光信号を受信する。同様に、チューナブルフィルタ17#3、#4、#6は、E−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ1、λ3、λ4光信号を抽出する。よって、端局C、D、Fは、それぞれ、E−WDM光信号に含まれるλ1、λ3、λ4光信号を受信する。
さらに、チューナブルフィルタ17#2、#5、#7、#8は、W−λ1/λ2/λ4/λ5光信号からλ5、λ1、λ4、λ2光信号を抽出する。したがって、端局B、E、G、Hは、それぞれ、W−WDM光信号に含まれるλ5、λ1、λ4、λ2光信号を受信する。
このように、第3の実施例においても、実施形態の光分岐挿入装置1は、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の端局へ送信できる。なお、第3の実施例では、光クロスコネクトは、入力光信号を分岐する機能を備える必要はない。よって、光クロスコネクトは、図18において、スプリッタ(SPL)の代わりに、入力光信号を指定された1つの出力ポートに導く1:8スイッチを設ける構成であってもよい。この場合、図18において各出力ポートに対して設けられているスイッチ(SW)は設けなくてもよい。
図21は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第4の実施例を示す図である。第4の実施例においては、光分岐挿入装置1は、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えていない。なお、第3の実施例と第4の実施例との差異は、上述した第1の実施例と第2の実施例との差異と同じである。よって、第4の実施例に係わる説明は省略する。
図22は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第5の実施例を示す図である。第5の実施例においては、光クロスコネクト16#1の動作は、基本的に、図20に示す第3の実施例と同じである。ただし、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P8の入力光信号は、第3の実施例とは異なっている。また、光分岐挿入装置1は、チューナブルフィルタ17#1〜17#nを備える必要はない。
第5の実施例では、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を抽出し、光スプリッタ15E内の光スプリッタ#1、#2、#3、#4に導く。同様に、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を抽出し、光スプリッタ15W内の光スプリッタ#1、#2、#3、#4に導く。
光スプリッタ15E#1は、E−WDM光信号から抽出されたλ1光信号を各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP1に導く。また、光スプリッタ15E#2、15E#3、15E#4は、それぞれ、E−WDM光信号から抽出されたλ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP2、P3、P4に導く。同様に、光スプリッタ15W#1、15W#2、15W#3、15W#4は、それぞれ、W−WDM光信号から抽出されたλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP5、P6、P7、P8に導く。
光クロスコネクト16#1は、波長パス制御部2からの指示に従って、入力光信号をそれぞれ指定された出力ポートに導く。これにより、光分岐挿入装置1は、各方路から入力されるWDM光信号から抽出する光信号を所望の端局に送信することができる。
図23は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第6の実施例を示す図である。第6の実施例では、WDM光信号から所望の波長の光信号が抽出されて複数の端局にマルチキャストされる。
図23に示す例では、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からλ1光信号を抽出する。このλ1光信号は、光スプリッタ15Eにより分岐され、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1および光クロスコネクト16#2の入力ポートP1に導かれる。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からλ4光信号を抽出する。このλ4光信号は、光スプリッタ15Wにより分岐され、光クロスコネクト16#1の入力ポートP2および光クロスコネクト16#2の入力ポートP2に導かれる。
光クロスコネクト16#1、16#2のスイッチング動作は、図17に示す第1の実施例と同じである。よって、E−WDM光信号から抽出されたλ1光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P2、および、光クロスコネクト16#2の出力ポートP2、P3から出力される。すなわち、このλ1光信号は、4つの端局に送信される。また、W−WDM光信号から抽出されたλ4光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP3、P4、および、光クロスコネクト16#2の出力ポートP5、P6から出力される。すなわち、このλ4光信号は、別の4つの端局に送信される。
図24は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第7の実施例を示す図である。第7の実施例においても、第6の実施例と同様に、WDM光信号から所望の波長の光信号が抽出されて複数の端局にマルチキャストされる。
第7の実施例では、光クロスコネクト16#1は、第3の実施例と同様に、入力光信号を分岐して複数の出力ポートへ導く機能を有していない。したがって、光スプリッタ15Eは、λ1光信号を分岐して光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P4に導く。また、光スプリッタ15Wは、λ4光信号を分岐して光クロスコネクト16#1の入力ポートP5〜P8に導く。
光クロスコネクト16#1のスイッチング動作は、図20に示す第3の実施例と同じである。よって、E−WDM光信号から抽出されたλ1光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P3、P4、P6から出力される。すなわち、このλ1光信号は、4つの端局に送信される。また、W−WDM光信号から抽出されたλ4光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP2、P5、P7、P8から出力される。すなわち、このλ4光信号は、別の4つの端局に送信される。
このように、第6および第7の実施例では、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の複数の端局へマルチキャストすることができる。なお、第6および第7の実施例では、光分岐挿入装置1は、チューナブルフィルタ17#1〜17#nを備える必要はない。
<8−Degree光分岐挿入装置の実施例>
図25および図26は、第1の実施例の構成を示す図である。以下の説明では、光分岐挿入装置は、8本の方路(#1〜#8)を有する。各方路は、それぞれ入方路および出方路を備えている。なお、図25では、各方路から光分岐挿入装置に入力されるWDM光信号を増幅する光アンプ(Pre-AMP)、および光分岐挿入装置から各方路に出力するWDM光信号を増幅する光アンプ(Post-AMP)は、省略されている。また、光分岐挿入装置内の他の光アンプも省略されている。
各光スプリッタ101(#1〜#8)は、それぞれ、入力WDM光信号を分岐する。光スプリッタ101は、例えば、1:8カプラである。すなわち、光カプラ101は、入力WDM光信号を分岐して8つのWDM光信号を生成する。8つのWDM光信号の中の1つは、対応するドロップ用波長スイッチ111に導かれる。残りの7つのWDM光信号は、それぞれ他の方路の波長選択スイッチ102に導かれる。例えば、光スプリッタ101#1により生成される8つのWDM光信号は、ドロップ用波長スイッチ111#1、および方路#2〜#8に対して設けられている波長選択スイッチ102#2〜102#8に導かれる。なお、光スプリッタ101は、例えば、1:9カプラであってもよい。この場合、未使用の分岐光信号は、他の目的に使用することができる。
光パス#1〜#8は、光スプリッタ101#1〜101#8と波長選択スイッチ102#1〜102#8との間の光パスを模式的に表している。例えば、光パス#1は、光スプリッタ101#2〜101#8からそれぞれ出力されるWDM光信号を波長選択スイッチ102#1に導く機能を表している。
各ドロップ用波長選択スイッチ111(#1〜#8)は、それぞれ、対応する入力WDM光信号から所望の波長を抽出して光カプラ112(#1〜#8)に導く。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ111は、8以上の出力ポートを備える。また、ドロップ用波長選択スイッチ111は、任意の光カプラ112に対して任意の波長の光信号を導くことができる。例えば、ドロップ用波長選択スイッチ111#1は、光カプラ112#1へ波長λ1の光信号を導き、光カプラ112#8へ波長λ2の光信号および波長λ3の光信号を導くことができる。
光パス#11〜#18は、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8と光カプラ112#1〜112#8との間の光パスを模式的に表している。例えば、光パス#11は、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8からそれぞれ出力される光信号を光カプラ112#1に導く機能を表している。
また、光パス#11〜#18は、光スプリッタ123#1〜123#8とアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#11〜#18は、図面を見やすくするために、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8から光カプラ112#1〜112#8へ光信号を送信する機能、および光スプリッタ123#1〜123#8からアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。例えば、光パス#11は、上述の機能に加え、光スプリッタ123#1〜123#8からそれぞれ出力される光信号をアド用波長選択スイッチ124#1に導く機能を表している。
各光カプラ112(#1〜#8)は、それぞれ、1または複数のドロップ用波長選択スイッチ111から導かれてくる光信号を合波する。すなわち、光分岐挿入装置は、任意のまたは全ての方路の光信号を任意の光カプラ112に導くことができる。ただし、ドロップ用波長選択スイッチ111(#1〜#8)は、各光カプラ112に同じ波長の光信号が導かれないように、波長パス制御部2により制御される。
各波長デマルチプレクサ113(#1〜#8)は、それぞれ、対応する光カプラ112から出力される光信号を波長ごとに分波する。なお、波長デマルチプレクサ113の各出力ポートの通過波長は、図8を参照しながら説明したように、予め固定されているものとする。また、各方路上のWDM光信号が、例えば96波(λ1〜λ96)を伝送するときは、波長デマルチプレクサ113は、96個の出力ポートを備える。この場合、特に限定されるものではないが、第1出力ポートからλ1が出力され、第96出力ポートからλ96が出力されるようにしてもよい。
光クロスコネクト114(#1〜#8)は、それぞれ、対応する波長デマルチプレクサ113から出力される光信号を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。波長デマルチプレクサ113が96個の出力ポートを備える場合、光クロスコネクト114は96×96構成である。なお、クロスコネクト114の出力信号は、トランスポンダまたはトランスポンダと同等のインタフェースを介して端局へ送信される。
上記構成において、方路#X(X=1〜8)のWDM光信号の中の波長λi(i=1〜96)の光信号を、光クロスコネクト114#1に収容される端局に導く場合は、ドロップ用波長選択スイッチ111#Xは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号を光カプラ112#1に導く
この制御により、光カプラ112#1には、方路#XのWDM光信号から抽出された波長λiの光信号(以下、X−λi光信号)が入力される。このとき、光カプラ112#1には、他のドロップ用波長選択スイッチにより選択された光信号も入力される。したがって、波長デマルチプレクサ113#1には、X−λi光信号を含むWDM光信号が入力される。
波長デマルチプレクサ113#1は、このWDM光信号を分波する。この結果、波長デマルチプレクサ113#1のi番目の出力ポートからX−λi光信号が出力される。ここで、波長デマルチプレクサ113#1のi番目の出力ポートは、光クロスコネクト114#1のi番目の入力ポートに接続されている。よって、X−λi光信号は、光クロスコネクト114#1のi番目の入力ポートに導かれる。そして、光クロスコネクト114#1は、この光信号(すなわち、方路#XのWDM光信号から抽出された波長λiの光信号)を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。
このように、実施形態の光分岐挿入装置は、任意の方路上のWDM光信号の中の任意の波長の光信号を、指定された端局に送信することができる。このとき、波長デマルチプレクサ113の波長依存性は、光クロスコネクト114によって補償される。したがって、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
各光クロスコネクト121(#1〜#8)は、それぞれ、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号を、波長に応じて決まる出力ポートに導く。光クロスコネクト121のポート数は、例えば、光クロスコネクト114と同じである。また、各波長マルチプレクサ122(#1〜#8)は、それぞれ、対応する光クロスコネクト121から出力される光信号を合波する。波長マルチプレクサ122の入力ポート数は、例えば、波長デマルチプレクサ113の出力ポート数と同じである。また、波長マルチプレクサ122の各入力ポートの通過波長は、図4を参照しながら説明したように、予め固定されているものとする。
波長マルチプレクサ122の入力ポートP1〜P96の通過波長がそれぞれλ1〜λ96であるものとする。また、光クロスコネクト121の出力ポートP1〜P96がそれぞれ波長マルチプレクサ122の入力ポートP1〜P96に接続されているものとする。この場合、光クロスコネクト121は、例えば、波長λ1の入力光信号を出力ポートP1に導き、波長λ96の入力光信号を出力ポートP96に導く。これにより、光クロスコネクト121に収容される端局(または、トランスポンダ)が任意の波長で光信号を送信しても、その光信号は、波長マルチプレクサ122の適切な入力ポートに導かれる。
各光スプリッタ123(#1〜#8)は、それぞれ、対応する波長マルチプレクサ122から出力される光信号を分岐してアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導く。すなわち、アド用波長選択スイッチ124#1〜124#8には、同じ光信号が導かれる。
各アド用波長選択スイッチ124(#1〜#8)は、それぞれ、光スプリッタ123#1〜#8から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長を選択する。そして、アド用波長選択スイッチ124は、選択した波長の光信号を対応する波長選択スイッチ102に導く。例えば、アド用波長選択スイッチ124#1は、選択した波長の光信号を波長選択スイッチ102#1に導く。このとき、アド用波長選択スイッチ124は、複数の波長を選択したときは、複数の光信号を合波して対応する波長選択スイッチ102に導く。
各波長選択スイッチ102(#1〜#8)には、それぞれ、対応するアド用波長選択スイッチ124から導かれてくる光信号、および他の方路から導かれてくるWDM光信号が入力される。例えば、波長選択スイッチ102#1には、アド用波長選択スイッチ124#1から導かれてくる光信号、および方路#2〜#8から導かれてくるWDM光信号が入力される。そして、波長選択スイッチ102は、対応する方路に出力する光信号を選択してWDM光信号として出力する。このとき、WDM光信号に含まれる複数の光信号の波長は、互いに異なるように選択される。
上記構成において、光クロスコネクト121#1に収容される端局(または、トランスポンダ)から波長λi(i=1〜96)を利用して送信される光信号を方路#X(X=1〜8)へ出力するものとする。この場合、この光信号は、光クロスコネクト121#1、波長マルチプレクサ122#1、光スプリッタ123#1を介して、アド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導かれる。このとき、この光信号は、他の端局から送信される光信号と共にアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導かれる。
アド用波長選択スイッチ124#Xは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ124#Xは、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Xも、波長λiを選択するように制御される。このとき、波長選択スイッチ102#Xも、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。
このように、実施形態の光分岐挿入装置は、任意の波長の光信号を所望の方路に出力できる。このとき、波長マルチプレクサ122の波長依存性は、光クロスコネクト121によって補償される。したがって、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
図27は、第2の実施例の構成を示す図である。なお、光スプリッタ101(#1〜#8)および波長選択スイッチ102(#1〜#8)の構成および動作は、第1の実施例と同じであり、図25を参照しながら説明した通りである。
各ドロップ用波長選択スイッチ131(#1〜#8)は、それぞれ、対応する入力WDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して対応する光スプリッタ132(#1−1〜#8−8)に導く。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ131は、8以上の出力ポートを備える。そして、ドロップ用波長選択スイッチ131#iの出力ポートは、光スプリッタ132#i−1〜132#i−8に接続されている。よって、例えば、ドロップ用波長選択スイッチ131#1は、方路#1のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して対応する光スプリッタ132#1−1〜132#1−8に導く。このとき、ドロップ用波長選択スイッチ131は、対応する8個の光スプリッタ132に対して任意の波長の光信号を導くことができる。例えば、ドロップ用波長選択スイッチ131#1は、光スプリッタ132#1−1へ波長λ1の光信号を導くと共に、光スプリッタ132#1−8へ波長λ2の光信号および波長λ3の光信号を導くことができる。
光パス#21〜#28は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8と光スプリッタ132#1−1〜132#8−8との間の光パスを模式的に表している。たとえば、光パス#21は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1から出力される光信号を光スプリッタ132#1−1〜132#1−8に導く機能を表している。
また、光パス#21〜#28は、光カプラ142#1−1〜142#8−8とアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#21〜#28は、図面を見やすくするために、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8から光スプリッタ132#1−1〜132#8−8へ光信号を送信する機能、および光カプラ142#1−1〜142#8−8からアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。例えば、光パス#21は、上述の機能に加え、光カプラ142#1−1〜142#1−8からそれぞれ出力される光信号をアド用波長選択スイッチ143#1に導く機能を表している。
各光スプリッタ132(#1−1〜#8−8)は、それぞれ、対応するドロップ用波長選択スイッチ131の対応する出力ポートから導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#1〜133#64の対応する入力ポートへ送信する。例えば、光スプリッタ132#1−1は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1の出力ポートP1から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#1、133#9、133#17、133#25、133#33、133#41、133#49、133#57の入力ポートP1へ送信する。また、光カプラ132#1−8は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1の出力ポートP8から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#8、133#16、133#24、133#32、133#40、133#48、133#56、133#64の入力ポートP1へ送信する。さらに、光カプラ132#8−8は、ドロップ用波長選択スイッチ131#8の出力ポートP8から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#8、133#16、133#24、133#32、133#40、133#48、133#56、133#64の入力ポートP8へ送信する。
なお、光分岐挿入装置は、より多くの光クロスコネクト133、141を備えるようにしてもよい。例えば、光分岐挿入装置は、96セットの光クロスコネクト133、141を備えるようにしてもよい。この場合、例えば、光スプリッタ132は、12個の出力ポートを備え、光カプラ142は、12個の入力ポートを備える。
光パス#31〜#38は、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8と光クロスコネクト133#1〜133#64との間の光パスを模式的に表している。また、光パス#31〜#38は、光クロスコネクト141#1〜141#64と光カプラ142#1−1〜142#8−8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#31〜#38は、図面を見やすくするために、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8から光クロスコネクト133#1〜133#64へ光信号を送信する機能、および光クロスコネクト141#1〜141#64から光カプラ142#1−1〜142#8−8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。
光クロスコネクト133(#1〜#64)は、それぞれ、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8から出力される光信号を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。例えば、光クロスコネクト133#1は、光スプリッタ132#1−1、132#2−1、132#3−1、132#4−1、132#5−1、132#6−1、132#7−1、132#8−1から導かれてくる光信号をスイッチングする。また、光クロスコネクト133#2は、光スプリッタ132#1−2、132#2−2、132#3−2、132#4−2、132#5−2、132#6−2、132#7−2、132#8−2から導かれてくる光信号をスイッチングする。さらに、光クロスコネクト133#64は、光スプリッタ132#1−8、132#2−8、132#3−8、132#4−8、132#5−8、132#6−8、132#7−8、132#8−8から導かれてくる光信号をスイッチングする。
なお、光クロスコネクト133は、8×8構成であり、図18に示すように、各出力ポートに対してチューナブルフィルタTFを備えている。各チューナブルフィルタTFは、波長パス制御部2により指示される波長を抽出する。そして、クロスコネクト133の出力信号は、トランスポンダまたはトランスポンダと同等のインタフェースを介して端局へ送信される。
各光クロスコネクト141(#1〜#64)は、それぞれ、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号を、その光信号を出力する方路に対応する出力ポートに導く。例えば、方路#1に出力する光信号は出力ポートP1に導かれ、方路#8に出力する光信号は出力ポートP8に導かれる。
なお、光クロスコネクト141は、8×8構成であり、図12に示すように、各入力ポートに対してチューナブルフィルタTFを備えている。チューナブルフィルタTFは、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号のスペクトル幅を狭くするために設けられている。
各光カプラ142(#1−1〜#8−8)は、それぞれ、対応する8個の光クロスコネクト141から導かれてくる光信号を合波する。例えば、光カプラ142#1−1は、光クロスコネクト141#1、141#9、141#17、141#25、141#33、141#41、141#49、141#57の各出力ポートP1から導かれてくる光信号を合波する。
各アド用波長選択スイッチ143(#1〜#8)は、それぞれ、対応する8個の光カプラ142から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長の光信号を選択する。例えば、アド用波長選択スイッチ143#1は、光カプラ142#1−1〜142#1−8から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長の光信号を選択する。そして、アド用波長選択スイッチ143は、選択した波長の光信号を対応する波長選択スイッチ102に導く。アド用波長選択スイッチ143は、複数の波長を選択したときは、複数の光信号を合波して対応する波長選択スイッチ102に導く。
上記構成の光分岐挿入装置において、方路#X(X=1〜8)のWDM光信号の中の波長λi(i=1〜96)の光信号Xi、および、方路#Y(Y=1〜8)のWDM光信号の中の同じ波長λiの光信号Yiを、光クロスコネクト133#1に収容される端局に導く場合には、ドロップ用波長選択スイッチ131#Xは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号(すなわち、光信号Xi)を光スプリッタ132#X−1に導く
また、ドロップ用波長選択スイッチ131#Yは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号(すなわち、光信号Yi)を光スプリッタ132#Y−1に導く
上記制御により、光信号Xiは、光スプリッタ132#X−1から光クロスコネクト133#1を含む複数の光クロスコネクトに導かれる。同様に、光信号Yiは、光スプリッタ132#Y−1から光クロスコネクト133#1を含む複数の光クロスコネクトに導かれる。このとき、光信号Xiおよび光信号Yiは、それぞれ、光クロスコネクト133#1の入力ポートPX、PYに導かれる。そして、光クロスコネクト133#1は、光信号Xiおよび光信号Yiをそれぞれ指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。
このように、図25および図27に示す第2の実施例の光分岐挿入装置においては、異なる方路X、Yから抽出した光信号Xi、Yiは、異なる経路を介して光クロスコネクト133の異なる入力ポートに導かれてくる。したがって、光分岐挿入装置は、複数の同じ波長の光信号を抽出してそれぞれ対応する端局に送信することができる。すなわち、上述したColorless、Directionlessに加えてContentionlessも実現される。
また、上記構成において、端局A(または、トランスポンダA)から波長λi(i=1〜96)を利用して送信される光信号Aiを方路#X(X=1〜8)へ出力すると共に、端局B(または、トランスポンダB)から同じ波長λiを利用して送信される光信号Biを方路#Y(Y=1〜8)へ出力ものとする。この例では、端局Aおよび端局Bは、光クロスコネクト141#1に収容されているものとする。この場合、光信号Aiは、光クロスコネクト141#1の出力ポートPXから出力され、光カプラ142#X−1に導かれる。また、光信号Biは、光クロスコネクト141#1の出力ポートPYから出力され、光カプラ142#Y−1に導かれる。
光カプラ142#X−1は、光信号Aiを他の波長の光信号と共にアド用波長選択スイッチ143#Xに導く。アド用波長選択スイッチ143#Xは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ143#Xは、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Xも、波長λiを選択するように制御される。この結果、端局Aから出力される光信号Aiは、方路XのWDM光信号に挿入される。
同様に、光カプラ142#Y−1は、光信号Biを他の波長の光信号と共にアド用波長選択スイッチ143#Yに導く。アド用波長選択スイッチ143#Yは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ143#Yは、方路Yへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Yも、波長λiを選択するように制御される。この結果、端局Bから出力される光信号Biは、方路YのWDM光信号に挿入される。
このように、図25および図27に示す第2の実施例の光分岐挿入装置においては、異なる方路に出力する光信号Ai、Biは、光クロスコネクト141の異なるポートから出力され、異なる経路を介して対応する方路に導かれる。したがって、光分岐挿入装置は、複数の同じ波長の光信号をそれぞれ所望の方路に出力することができる。すなわち、上述したColorless、Directionlessに加えてContentionlessも実現される。
図28および図29は、第3の実施例の構成を示す図である。第3の実施例の光分岐挿入装置は、第1の実施例と類似の構成を有している。ただし、第3の実施例においては、第1の実施例の光スプリッタ101および波長選択スイッチ102の代わりに、波長選択スイッチ201および波長選択スイッチ202が使用される。
波長選択スイッチ201は、15以上の出力ポートを備える。7つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ他の方路に導かれる。このとき、波長選択スイッチ201は、入力WDM光信号の全ての波長を選択して他の方路に導くようにしてもよい。また、他の8つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ光カプラ112#1〜112#8に導かれる。このとき、波長選択スイッチ201は、端局が要求する光信号の波長のみを選択するようにしてもよい。
波長選択スイッチ202は、15以上の入力ポートを備える。7つの入力ポートには、それぞれ他の方路から入力されるWDM光信号が導かれる。また、他の8つの入力ポートには、それぞれ光スプリッタ123#1〜123#8から出力される光信号が導かれる。
このように、第3の実施例の光分岐挿入装置は、図25〜図26に示す第1の実施例と比較すると、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8、およびアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8を備える必要はない。また、波長選択スイッチ201、202のポート数を増やせば、光分岐挿入装置は、より多くの方路を有することができる。
図30は、第4の実施例の構成を示す図である。第4の実施例の光分岐挿入装置は、第2の実施例と類似の構成を有している。なお、波長選択スイッチ201および波長選択スイッチ202は、第3の実施例と同様であり、図28に示す通りである。
第4の実施例では、波長選択スイッチ201の7つの出力ポートから出力される光信号はそれぞれ他の方路に導かれ、他の8つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ対応する8個の光スプリッタ132#1−1〜132#8−8に導かれる。また、波長選択スイッチ202の7つの入力ポートにはそれぞれ他の方路のWDM光信号が導かれ、他の8つの入力ポートには、それぞれ対応する光カプラ142#1−1〜142#8−8の出力光信号が導かれる。このように、第4の実施例においても、光分岐挿入装置は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8、およびアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8を備える必要はない。
<光アンプの配置>
実施形態の光分岐挿入装置においては、光デバイス(波長選択スイッチ、光クロスコネクト、光カプラ、光スプリッタ、チューナブルフィルタ、MUX/DMUX等)で損失が発生する。この損失に起因して、例えば、受信器の光信号対雑音比特性が劣化し、伝送特性が劣化する。したがって、光分岐挿入装置の構成によっては、光デバイスの損失を補償するために、伝送路用の光アンプの他に光分岐挿入装置内に光アンプを設けることが好ましい。なお、伝送路用の光アンプは、例えば図2においては光アンプ11E、11Wに相当し、受信WDM光信号を増幅するポストアンプおよび送信WDM光信号を増幅するプリアンプとして動作する。以下、伝送路用の光アンプの他に設ける光アンプ(損失補償光アンプ)について検討する。
光アンプは、一般的には、以下の要因を考慮して配置される。
(1)パワー制約
(2)利得レンジ
光アンプの総パワーは、例えば、標準品で+19dBm以下、ハイエンドで+22dBm以下である。光アンプの利得は、例えば、標準品で30dB以下、ハイエンドで35dB以下である。光ノード内の光信号対雑音比は、光アンプの利得およびNF(Noise Figure)に基づいて算出される。
なお、光伝送路の非線形効果の制約を満たすためには、光ノードの出力光パワー(すなわち、伝送路光ファイバの入力端での光パワー)は、信号のビットレート、ネットワークシステムのスパン数等に基づいて設計されることが好ましい。一例としては、光ノードの出力光パワーは、+2.0dBm程度に設定される。
図25、図26に示す光分岐挿入装置においては、パターン1として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光カプラ112と波長デマルチプレクサ113との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、波長マルチプレクサ122と光スプリッタ123との間に設けられる。また、パターン2として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光スプリッタ101とドロップ用波長選択スイッチ111との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、アド用波長選択スイッチ124と波長選択スイッチ102との間に設けられる。
図25、図27に示す光分岐挿入装置においては、パターン1として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、ドロップ用波長選択スイッチ131と光スプリッタ132との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、光カプラ142とアド用波長選択スイッチ143との間に設けられる。また、パターン2として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光スプリッタ101とドロップ用波長選択スイッチ131との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、アド用波長選択スイッチ143と波長選択スイッチ102との間に設けられる。
いずれのケースにおいても、損失補償光アンプは、上述の要因を考慮して配置されることが好ましい。ただし、光分岐挿入装置の構成によっては、損失補償光アンプを設けない方が好ましいこともある。また、損失補償光アンプの配置および損失補償光アンプを設けるか否かは、光分岐挿入装置のコストを考慮して設計してもよい。
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記2)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトは、入力光信号を前記第1の方路へ出力するときは、前記入力光信号を前記第1の合波デバイスに導き、入力光信号を前記第2の方路へ出力するときは、前記入力光信号を前記第2の合波デバイスに導く
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記3)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記第1および第2の合波デバイスは、それぞれ、光カプラを備える
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記4)
付記3に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに対して、それぞれ指定された通過波長を有する複数の光フィルタをさらに備える
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記5)
付記3に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトの各出力ポートに対して、複数の入力ポートから導かれてくる複数の光信号を合波する光カプラが設けられている
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記6)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記第1および第2の合波デバイスは、それぞれ、波長マルチプレクサを備え、
前記波長マルチプレクサの複数の入力ポートには、互いに異なる通過波長が設定されており、
前記光クロスコネクトは、入力光信号を、前記入力光信号の波長に対応する波長マルチプレクサの入力ポートに導く
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記7)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される合波デバイスと、
前記合波デバイスの出力光信号から第1および第2の分岐光信号を生成する光スプリッタと、
前記第1の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記8)
光クロスコネクトと、
入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記9)
付記8に記載の光分岐挿入装置であって、
前記ドロップ信号生成部は、前記入力WDM光信号から2以上の波長を選択することで前記ドロップ光信号を生成する波長選択スイッチを備える
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記10)
付記9に記載の光分岐挿入装置であって、
前記波長選択スイッチは、前記入力WDM光信号から第1および第2の波長を選択することで前記ドロップ光信号を生成し、
前記複数の光フィルタの中の第1の光フィルタは、前記ドロップ光信号から前記第1の波長を抽出し、前記複数の光フィルタの中の第2の光フィルタは、前記ドロップ光信号から前記第2の波長を抽出する
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記11)
付記8に記載の光分岐挿入装置であって、
前記ドロップ信号生成部は、前記入力WDM光信号を分岐して前記ドロップ光信号として出力する
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記12)
入力WDM光信号の中の2以上の波長を含むドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
入力ポートから入力される前記ドロップ光信号を分岐して複数の出力ポートに導く光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記13)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
複数の光クロスコネクトと、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第1のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導く第1の光スプリッタと、
前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第2のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導く第2の光スプリッタと、
前記複数の光クロスコネクトから出力される前記第1および第2のドロップ光信号からそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記14)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部および前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を合波する光カプラと、
前記光カプラから出力される光信号を波長ごとに分波して複数の光信号を生成する波長デマルチプレクサと、
前記波長デマルチプレクサにより得られる複数の光信号の送信先を切り替える光クロスコネクト、
を備える光分岐挿入装置。
(付記15)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光アド方法であって、
光クロスコネクトの複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して第1の合波光信号を生成し、
前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して第2の合波光信号を生成し、
前記第1の合波光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導き、
前記第2の合波光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く、
ことを特徴とする光アド方法。
(付記16)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光アド方法であって、
光クロスコネクトの複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して合波光信号を生成し、
前記合波光信号から第1および第2の分岐光信号を生成し、
前記第1の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導き、
前記第2の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く、
ことを特徴とする光アド方法。
(付記17)
光分岐挿入装置において使用される光ドロップ方法であって、
入力WDM光信号からドロップ光信号を生成し、
前記ドロップ光信号を分岐して光クロスコネクトの複数の入力ポートに導き、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する、
ことを特徴とする光ドロップ方法。
(付記18)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光ドロップ方法であって、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第1のドロップ光信号を分岐して複数の光クロスコネクトに導き、
前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第2のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導き、
前記複数の光クロスコネクトから出力される前記第1および第2のドロップ光信号からそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する、
ことを特徴とする光ドロップ方法。
(付記19)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
アド用光クロスコネクトと、
前記アド用光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記アド用光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチと、
ドロップ用光クロスコネクトと、
前記第1または第2の方路からの入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記ドロップ用光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記ドロップ用光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を有する光分岐挿入装置。
(付記20)
複数の光分岐挿入装置を備えるWDMネットワークシステムであって、
各光分岐挿入装置は、第1および第2の方路を有し、
各光分岐挿入装置は、
アド用光クロスコネクトと、
前記アド用光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記アド用光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチと、
ドロップ用光クロスコネクトと、
前記第1または第2の方路からの入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記ドロップ用光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記ドロップ用光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、を有する
ことを特徴とするWDMネットワークシステム。
1 光分岐挿入装置
2 波長パス制御部
12E、12W 光スプリッタ
13E、13W 波長選択スイッチ
14E、14W ドロップ用波長選択スイッチ
15E、15W 光スプリッタ
16、22 光クロスコネクト
17#1〜17#n、21#1〜21#n チューナブルフィルタ
23E、23W 光カプラ
24E、24W アド用波長選択スイッチ
41 波長マルチプレクサ
42 合波デバイス
43 光カプラ
46 波長デマルチプレクサ
47 光カプラ
本発明は、WDMシステムにおいて使用される光分岐挿入装置に係わる。
ネットワーク上の情報量が増大し、WDM(Wavelength Division Multiplexing)システムが普及してきている。WDMは、複数の波長を利用して複数の光信号を多重化して送信する。このため、WDMシステムにおいては、波長多重数を増やすことにより、伝送容量は増加する。
WDMシステムにおいては、全てのまたは一部の光ノードが光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)を備えている。光分岐挿入装置は、光伝送路に波長単位で光信号を挿入し、光伝送路から波長単位で光信号を取り出すことができる。すなわち、光分岐挿入装置は、WDM光信号に所望の波長の光信号を挿入する光アド装置(または、光アド機能)、およびWDM光信号から所望の波長の光信号を分岐する光ドロップ装置(または、光ドロップ機能)を備えている。なお、所望の波長の光信号を挿入および/または分岐する光分岐挿入装置は、ROADM(Reconfigurable Optical ADM)と呼ばれることがある。
関連する技術として、下記の光伝送装置が提案されている。光伝送装置は、分岐・挿入すべき光信号のうち、一部の光信号についての分岐・挿入動作を行う第1の可変波長選択フィルタと、第1の可変波長選択フィルタで選択されなかった、分岐・挿入すべき光信号について分岐・挿入動作を行う第2の可変波長選択フィルタとの少なくとも2つの可変波長選択フィルタを備える。(例えば、特許文献1)
他の関連技術として、下記の光分岐挿入装置が提案されている。光分岐挿入装置は、挿入される光信号の波長と同じ波長の光信号をスルー信号から取り除く構成として、ドロップ型AOTF(Acousto-Optic Tunable Filter)を使用する。ドロップ型AOTFは、常に全波長を選択するように、RF信号を入力しておき、リジェクトしたい波長に対してのみ、RF信号を入力しないようにする。これにより、RF信号が停止された波長の光信号は、ドロップ型AOTFにより選択されなくなり、スルー出来なくなる。(例えば、特許文献2)
さらに他の関連技術として、任意の波長成分の光信号を分岐挿入するROADM端局装置が提案されている。ROADM端局装置は、他のROADM端局装置との間で、光信号の任意の波長成分を授受するための光スイッチング部と、光信号を分岐挿入するためのOSC(Optical Supervisor Channel)制御情報を生成するOSC制御情報生成部と、OSC制御情報を他のROADM端局装置と授受するためのOSC制御情報入出力I/Fとを有する。(例えば、特許文献3)
さらに他の関連技術として、入力される総てのチャンネルに対して追加/脱落機能の実行が可能であり、且つ、高い自由度を有する波長選択スイッチが提案されている。この波長選択スイッチは、入力光信号を各々のチャンネルに対応する波長別に分割し、各々のチャンネルに対して入力光信号から分割された光信号又は追加ポートを介して入力された光信号を選択して出力する光逆多重化部と、電流供給又は電圧印加によって光逆多重化部から受信した各チャンネルごとの光信号を個別的に偏向する光偏向部と、光偏向部の偏向によって特定の出力ポートに前記各チャンネルごとの光信号を出力する光多重化部とにより構成される。(例えば、特許文献4)
特開平11−289296号公報
特開2005−348270号公報
特開2009−206707号公報
特開2009−145869号公報
光分岐挿入装置は、波長パスを柔軟に設定または変更できる構成を有していることが好ましい。例えば、光分岐挿入装置は、Colorless、Directionless、Contentionlessであることが好ましい。
Colorlessは、光分岐挿入装置の任意のポートに任意の波長を入力でき、任意のポートから任意の波長を出力できる構成または機能を意味する。Directionlessは、光分岐挿入装置が複数の方路を有する構成において、各端局からの光信号を任意の方路に導くことができ、各方路からの光信号を任意の端局に導くことができる構成または機能を意味する。Contentionlessは、光分岐挿入装置内で同一波長の光信号の衝突を回避する構成または機能を意味する。
ところが、従来の光分岐挿入装置においては、波長パスを柔軟に設定または変更できない。すなわち、従来の光分岐挿入装置では、所望の波長パスを設定できないことがある。例えば、従来の光分岐挿入装置においては、ある端局から送信される光信号を第1の方路へ出力する状態から、その光信号を第2の方路へ出力する状態に切り替えるときに、光ファイバを接続するポートの変更が必要となることがある。
したがって、本発明の課題は、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置を提供することである。
本発明の1つの態様の光分岐挿入装置は、第1および第2の方路を有すると共に、光クロスコネクトと、前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、を備える。
本発明の他の態様の光分岐挿入装置は、光クロスコネクトと、入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、前記ドロップ光信号を分岐して前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、を備える。
本出願において開示される方法または構成によれば、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
実施形態の光分岐挿入装置が使用されるネットワークシステムの構成を示す図である。
実施形態の光分岐挿入装置の構成を示す図である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その1)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その2)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その3)である。
アド機能を実現する構成について説明する図(その4)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その1)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その2)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その3)である。
ドロップ機能を実現する構成について説明する図(その4)である。
アド動作の第1の実施例を示す図である。
アド動作で使用される光クロスコネクトの構成を示す図である。
アド動作の第2の実施例を示す図である。
アド動作の第3の実施例を示す図である。
アド動作の第4の実施例を示す図である。
アド動作の第5の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第1の実施例を示す図である。
ドロップ動作で使用される光クロスコネクトの構成を示す図である。
ドロップ動作の第2の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第3の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第4の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第5の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第6の実施例を示す図である。
ドロップ動作の第7の実施例を示す図である。
8−Degree光分岐挿入装置の第1の実施例を示す図(その1)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第1の実施例を示す図(その2)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第2の実施例を示す図である。
8−Degree光分岐挿入装置の第3の実施例を示す図(その1)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第3の実施例を示す図(その2)である。
8−Degree光分岐挿入装置の第4の実施例を示す図である。
図1は、実施形態の光分岐挿入装置が使用されるネットワークシステムの構成を示す図である。光分岐挿入装置(OADM:Optical Add-Drop Multiplexer)は、光ノード内に設けられる。また、光分岐挿入装置は、1または複数の所望の波長の光信号をWDM光信号に挿入(Add)する機能、およびWDM光信号から1または複数の所望の波長の光信号を分岐(Drop)する機能を備える。
図1(a)に示すネットワークシステムは、双方向リングネットワークであり、4台の光ノード#1〜#4を備えている。すなわち、各光ノード間は、1組の時計回り光伝送路および反時計回り光伝送路で接続されている。時計回り光伝送路および反時計回り光伝送路は、それぞれ、WDM光信号を伝送する。各光ノード#1〜#4は、それぞれ光分岐挿入装置を備えている。
各光ノードまたは各光分岐挿入装置を基準として、ある方向に向かって伸びる光伝送路を「方路」と呼ぶことにする。例えば、光ノード#1(または、光ノード#1の光分岐挿入装置)は、方路#1および方路#2を有している。方路#1は、光ノード#4に接続されている。そして、方路#1には、光ノード#4から光ノード#1へWDM光信号を伝送する光伝送路(入方路)、および光ノード#1から光ノード#4へWDM光信号を伝送する光伝送路(出方路)が設定されている。また、方路#2は、光ノード#2に接続されている。そして、方路#2には、光ノード#2から光ノード#1へWDM光信号を伝送する光伝送路(入方路)、および光ノード#1から光ノード#2へWDM光信号を伝送する光伝送路(出方路)が設定されている。
上記構成のネットワークシステムにおいて、例えば、端局Aから端局Bへデータを送信する際には、光ノード#1は、端局Aから送信される光信号を、方路#1へ出力する。このとき、端局Aは、例えば、波長λ1を利用してデータを搬送する光信号を送信する。そうすると、光ノード#1の光分岐挿入装置は、端局Aから送信される光信号を、光ノード#2から光ノード#4へ伝送されるWDM光信号に挿入する。そして、光ノード#4の光分岐挿入装置は、そのWDM光信号から波長λ1の光信号を分岐して端局Bへ導く。これにより、端局Aから送信されるデータは、端局Bにより受信される。
端局Cから端局Aへデータを送信する際には、端局Cは、例えば、波長λ2を利用してデータを搬送する光信号を送信する。そうすると、光ノード#2の光分岐挿入装置は、端局Cから送信される光信号を、光ノード#3から光ノード#1へ伝送されるWDM光信号に挿入する。このWDM光信号は、方路#2から光ノード#1に入力される。そして、光ノード#1の光分岐挿入装置は、そのWDM光信号をから波長λ2の光信号を分岐して端局Aへ導く。これにより、端局Cから送信されるデータは、端局Aにより受信される。
図1(a)に示すネットワークシステムでは、各光分岐挿入装置は、それぞれ2本の方路を有している。ただし、実施形態の光分岐挿入装置は、より多くの方路を有するようにしてもよい。例えば、図1(b)に示すネットワークシステムでは、光ノード#5の光分岐挿入装置は、4本の方路#1〜#4を有している。このとき、光ノード#5の光分岐挿入装置は、端局Dから送信される任意の波長の光信号を、任意の方路へ出力することができる。また、光ノード#5の光分岐挿入装置は、任意の方路から任意の波長の光信号を分岐して端局Dへ転送することができる。
光分岐挿入装置が備える方路の数は、「Degree」でカウントされることがある。たとえば、図1(a)に示す各光分岐挿入装置は、2本の方路を有しているので、2-degreeと呼ばれることがある。また、図1(b)に示す光ノード#5の光分岐挿入装置は、4本の方路を有しているので、4-degreeと呼ばれることがある。
図2は、実施形態の光分岐挿入装置1の構成を示す図である。図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を有している。EAST方路は、1組の入方路および出方路を含む。同様に、WEST方路も、1組の入方路および出方路を含む。
光アンプ11Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号を増幅し、EAST方路へ出力されるWDM光信号を増幅する。同様に、光アンプ11Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号を増幅し、WEST方路へ出力されるWDM光信号を増幅する。光アンプ11E、11Wの利得は、予め計算されてもよいし、動的に制御されるようにしてもよい。
光スプリッタ(SPL)12Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号を分岐し、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective Switch)13Wおよびドロップ用波長選択スイッチ(d−WSS)14Eに導く。同様に、光スプリッタ(SPL)12Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号を分岐し、波長選択スイッチ(WSS)13Eおよびドロップ用波長選択スイッチ(d−WSS)14Wに導く。光スプリッタ12E、12Wの分岐比は、例えば、光分岐挿入装置1の構成に応じて設計される。これらの波長選択スイッチには、選択した各光信号の出力レベルを揃える機能を有するものを配置してもよい。
ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、光スプリッタ12Eから導かれてくるWDM光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。同様に、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、光スプリッタ12Wから導かれてくるWDM光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ14Eが選択する波長、およびドロップ用波長選択スイッチ14Wが選択する波長は、互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよいし、互いに一部が重複していてもよい。
光スプリッタ(SPL)15Eは、ドロップ用波長選択スイッチ14Eにより選択された光信号を分岐する。同様に、光スプリッタ(SPL)15Wは、ドロップ用波長選択スイッチ14Wにより選択された光信号を分岐する。
光クロスコネクト(OXC:Optical Cross Connect)16は、N個の入力ポートおよびN個の出力ポートを備える。N個の入力ポートのうちのm1個の入力ポートには、それぞれ光スプリッタ15Eにより得られる光信号が入力される。この場合、m1個の入力ポートには、互いに同じ光信号が入力される。同様に、N個の入力ポートのうちの他のm2個の入力ポートには、それぞれ光スプリッタ15Wにより得られる光信号が入力される。この場合、m2個の入力ポートには、互いに同じ光信号が入力される。そして、光クロスコネクト16は、各入力光信号を、それぞれ波長パス制御部2によって指定される出力ポートへ導く。光クロスコネクトは、光電変換を行わずにすべて光でクロスコネクトを行う全光クロスコネクトであってもよい。
チューナブルフィルタ(TF)17#1〜17#nは、それぞれ、光クロスコネクト16の対応する出力ポートから出力される光信号をフィルタリンングする。ここで、チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、それぞれ、指定された波長以外の波長成分を除去する。チューナブルフィルタ17#1〜17#nの通過波長は、特に限定されるものではないが、互いに異なっている。例えば、チューナブルフィルタ17#1、17#nの通過波長をそれぞれλ1、λnとする。このとき、λ1〜λ5を含むWDM光信号がチューナブルフィルタ17#1に入力すると、λ1の光信号が抽出される。また、λ1〜λ5を含むWDM光信号がチューナブルフィルタ17#nに入力すると、λnの光信号が抽出される。
ただし、チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、互いに重複する通過波長を含んでもよい。また、チューナブルフィルタ17#1〜17#nの通過波長は、波長パス制御部2によって指定されてもよい。
トランスポンダ(TP)31#1〜31#nは、それぞれ、対応するチューナブルフィルタ17#1〜17#nから出力される光信号を、対応する端局へ転送する。このとき、トランスポンダ31#1〜31#nは、必要に応じて、光信号の波長を変換する。なお、トランスポンダ31#1〜31#nから出力される光信号の波長は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
トランスポンダ(TP)32#1〜32#nは、それぞれ、対応する端局から送信される光信号を、対応するチューナブルフィルタ21#1〜21#nへ転送する。このとき、トランスポンダ32#1〜32#nは、必要に応じて、光信号の波長を変換する。なお、各端局から送信される光信号の波長は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。また、トランスポンダ32#1〜32#nから出力される光信号の波長は、特に限定されるものではないが、互いに異なるようにしてもよい。
チューナブルフィルタ(TF)21#1〜21#nは、対応するトランスポンダ32#1〜32#nから出力される光信号をフィルタリングする。ここで、チューナブルフィルタ21#1〜21#nは、それぞれ、指定された波長以外の波長成分を除去する。チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、例えば、互いに異なるように設定される。
ただし、チューナブルフィルタ21#1〜21#nは、互いに重複する通過波長を含んでもよい。また、チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、波長パス制御部2によって指定されてもよい。
光クロスコネクト(OXC)22は、N個の入力ポートおよびN個の出力ポートを備える。N個の入力ポートには、チューナブルフィルタ21#1〜21#nによりフィルタリングされた光信号が入力される。そして、光クロスコネクト22は、各入力光信号を、それぞれ波長パス制御部2により指定される出力ポートへ導く。
光カプラ(CPL)23Eは、光クロスコネクト22の出力ポートから出力される光信号を合波する。また、光カプラ(CPL)23Wは、光クロスコネクト22の他の出力ポートから出力される光信号を合波する。
アド用波長選択スイッチ(a−WSS)24Eは、光カプラ23Eから導かれてくる光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。同様に、アド用波長選択スイッチ(a−WSS)24Wは、光カプラ23Wから導かれてくる光信号から、波長パス制御部2により指定される1または複数の波長の光信号を選択する。アド用波長選択スイッチ24Eが選択する波長、およびアド用波長選択スイッチ24Wが選択する波長は、互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよいし、互いに一部が重複してもよい。
波長選択スイッチ13Eは、波長パス制御部2による制御に従って、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号およびアド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号から、EAST方路へ出力するWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Eは、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号から、光分岐挿入装置1を「通過(スルー)」する1または複数の任意の波長を選択する。また、波長選択スイッチ13Eは、アド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号から、WDM光信号に「挿入」する1または複数の任意の波長を選択する。
同様に、波長選択スイッチ13Wは、波長パス制御部2による制御に従って、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号およびアド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号から、WEST方路へ出力するWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Wは、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号から、光分岐挿入装置1を「通過」する1または複数の任意の波長を選択する。また、波長選択スイッチ13Wは、アド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号から、WDM光信号に「挿入」する1または複数の任意の波長を選択する。
波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、波長選択スイッチ13E、13W、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14W、アド用波長選択スイッチ24E、24Wが選択する波長を指示する。また、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、光クロスコネクト16、22のスイッチングを制御する。さらに、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者からの指示に応じて、チューナブルフィルタ17#1〜17#n、21#1〜21#nの通過波長を制御する。
波長パス制御部2は、例えば、プロセッサおよびメモリを備える。メモリには、光分岐挿入装置1のアド動作およびドロップ動作を記述したプログラムが格納されるようにしてもよい。この場合、プロセッサは、メモリに格納されているプログラムを実行することにより、光信号のアド動作およびドロップ動作を提供する。また、波長パス制御部2は、ユーザまたはネットワーク管理者との間のインタフェースを提供してもよい。
上記構成の光分岐挿入装置1において、光スプリッタ12Eおよびドロップ用波長選択スイッチ14Eは、EAST方路から入力されるWDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部として動作する。同様に、光スプリッタ12Wおよびドロップ用波長選択スイッチ14Wは、WEST方路から入力されるWDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部として動作する。なお、ドロップ信号生成部は、必ずしもドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えなくてもよい。また、ドロップ信号生成部は、他の構成で実現されてもよい。
図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を備えているが、光分岐挿入装置1が備える方路の数は、特に限定されるものではない。すなわち、光分岐挿入装置1は、より多くの方路を備えるようにしてもよい。また、図2に示す例では、光分岐挿入装置1は、1つの光クロスコネクトOXC(drop)16および1つの光クロスコネクトOXC(add)22を備えているが、光分岐挿入装置1が備える光クロスコネクトの数は、特に限定されるものではない。すなわち、光分岐挿入装置1は、複数のドロップ用光クロスコネクトおよび複数のアド用光クロスコネクトを備えてもよい。光分岐挿入装置1が備える光クロスコネクトの数は、例えば、各光クロスコネクトのポート数、トランスポンダのチャネル数などに応じて設計される。
図3は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現する構成について説明する図である。図3(a)において、光クロスコネクト22の入力ポートには、チューナブルフィルタ21#1〜21#nが接続されている。この例では、チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長は、それぞれλ1〜λnである。
上記構成において、光クロスコネクト22は、任意の入力ポートの光信号を任意の出力ポートに導くことができる。例えば、波長λ1の光信号をEAST方路へ出力する指示が与えられると、光クロスコネクト22は、チューナブルフィルタ21#1を介して入力する光信号を光カプラ23Eへ導く。このとき、光クロスコネクト22は、上記光信号を、光カプラ23Eに接続されている複数の出力ポートの中の任意の1つに導く。そうすると、光カプラ23Eは、波長λ1の光信号および他の波長の光信号を合波する。そして、光カプラ23Eから出力されるアド光信号は、図2に示すアド用波長選択スイッチ24Eおよび波長選択スイッチ13Eにより選択され、EAST方路へ出力されるWDM光信号に挿入される。
また、波長λ1の光信号をWEST方路へ出力する指示が与えられると、光クロスコネクト22は、チューナブルフィルタ21#1を介して入力する光信号を光カプラ23Wへ導く。このとき、光クロスコネクト22は、上記光信号を、光カプラ23Wに接続されている複数の出力ポートの中の任意の1つに導く。そうすると、光カプラ23Wは、波長λ1の光信号および他の波長の光信号を合波する。そして、光カプラ23Wから出力されるアド光信号は、図2に示すアド用波長選択スイッチ24Wおよび波長選択スイッチ13Wにより選択され、WEST方路へ出力されるWDM光信号に挿入される。
このように、光分岐挿入装置1においては、光クロスコネクト22、アド用波長選択スイッチ24E、24Wおよび波長選択スイッチ13E、13Wの動作を適切に制御することにより、波長λ1の光信号を所望の方路に出力することができる。すなわち、光分岐挿入装置1においては、波長λ1の光信号を出力する方路を切り替える際に、光デバイス間の光ファイバの接続を変更する必要はない。したがって、Directionlessが実現される。
また、光分岐挿入装置1においては、例えば、波長の異なる複数の光信号をEAST方路へ出力する場合には、それら複数の光信号は、光クロスコネクト22により光カプラ23Eに導かれる。そして、光カプラ23Eは、それら複数の光信号を合波してEAST方路へ導く。ここで、光カプラの入力ポートは、波長依存性を有していない。すなわち、光カプラ23E、23Wは、それぞれ「各入力ポートには、それぞれ予め決められた特定の波長の光信号が入力されなければならない」という構成ではない。よって、波長の異なる複数の光信号が光カプラ23E、23Wに導かれる場合、各光信号は、それぞれ任意の入力ポートに入力することができる。すなわち、この構成によれば、Colorlessが実現される。
ただし、端局またはトランスポンダから送信される光信号のスペクトル幅は、必ずしも狭くない。例えば、端局またはトランスポンダが信号光源として安価なレーザを使用している場合は、光信号のスペクトル幅は広くなる。そして、各光信号のスペクトル幅が広いときは、図3(b)に示すように、隣接する波長の光信号のスペクトルが互いに重なり合うことがある。この場合、光カプラを用いて複数の光信号を合波すると、それらの光信号間で干渉が発生するおそれがある。
そこで、光分岐挿入装置1は、各光信号のスペクトル幅を狭くするために、チューナブルフィルタ21#1〜21#nを備える。チューナブルフィルタ21#1〜21#nの通過波長幅は、それぞれ十分に狭いものとする。そうすると、チューナブルフィルタ21#1〜21#nから出力される光信号のスペクトルは、図3(c)に示すように、互いに重なり合わない。したがって、光カプラを用いて複数の光信号を合波しても、光信号間の干渉は防止または抑制される。
このように、実施形態の光分岐挿入装置1は、方路ごとに光カプラを備える。図2および図3(a)に示す例では、2本の方路(EAST方路、WEST方路)に対して2つの光カプラ(23E、23W)が設けられている。
図4は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現する他の構成について説明する図である。図2に示す例では、光クロスコネクト22から出力される複数の光信号は、光カプラ(23E、23W)によって合波される。すなわち、複数の光信号を合波する合波デバイスとして光カプラが使用される。しかし、複数の光信号を合波する合波デバイスは、他の方法で実現されてもよい。すなわち、複数の光信号を合波する合波デバイスは、例えば、図4に示す波長マルチプレクサ41で実現されてもよい。
波長マルチプレクサ41は、入力ポート毎に、それぞれ異なる通過波長を有する光フィルタを備えている。図4に示す例では、入力ポートP1、P2、P3、...、Pnに対して設けられている光フィルタの通過波長は、それぞれλ1、λ2、λ3、...、λnである。この場合、例えば、波長λ1の光信号は入力ポートP1に入力されなければならず、波長λ2の光信号は入力ポートP2に入力されなければならない。このように、波長マルチプレクサ41の入力ポートは、波長依存性を有している。
ところが、図4に示す構成では、波長マルチプレクサ41の入力側に光クロスコネクト22が設けられている。そして、例えば、端局(または、トランスポンダ)Aから波長λ1の光信号が送信されるときは、光クロスコネクト22は、その光信号を波長マルチプレクサ41の入力ポートP1に導く。また、端局Aから波長λ3の光信号が送信されるときは、光クロスコネクト22は、その光信号を波長マルチプレクサ41の入力ポートP3に導く。すなわち、この構成によれば、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号の波長が変わっても、その光信号は波長マルチプレクサ41の適切な入力ポートに導かれる。したがって、この構成によっても、Colorlessが実現される。
なお、図4に示す例では、波長マルチプレクサ41が1つだけ描かれているが、図2に示す構成を実現するためには、光カプラ23E、23Wに対応する2つの波長マルチプレクサを設けるようにしてもよい。すなわち、図4に示す波長マルチプレクサ41は、光分岐挿入装置が備える方路ごとに設けられてもよい。また、図4に示す構成では、波長マルチプレクサ41内に光フィルタ(λ1〜λn)が内蔵されているので、図2に示すチューナブルフィルタ21#1〜21#nは、設けなくてもよい。
図5は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す例では、光クロスコネクト22の出力側において、方路毎に光カプラが設けられている。すなわち、EAST方路に対して光カプラ23Eが設けられ、WEST方路に対して光カプラ23Wが設けられている。これに対して、図5に示す構成では、複数の方路に対して1つの合波デバイス42が設けられる。ここで、合波デバイス42は、複数の光信号を合波する光カプラ(23E、23W)または波長マルチプレクサ(41)に相当する。
図5に示す構成では、合波デバイス42から出力される光信号は、光スプリッタ43により分岐されて各方路に導かれる。例えば、図5に示す構成が図2に示す光分岐挿入装置1に適用されるときは、光スプリッタ43は、合波デバイス42の出力光信号を分岐してアド用波長選択スイッチ24E、24Wに導く。この場合、アド用波長選択スイッチ24Eは、EAST方路に出力する光信号の波長を選択し、アド用波長選択スイッチ24Wは、WEST方路に出力する光信号の波長を選択する。この構成によれば、方路ごとに合波デバイス42(実施例では、光カプラまたは波長マルチプレクサ)を設ける必要はない。
図6は、光分岐挿入装置1のアド機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す光クロスコネクト22は、図6に示す構成では、複数の光クロスコネクト44#1〜44#mにより実現されている。光カプラ45#1〜45#kは、図2に示す構成と同様に、方路ごとに設けられている。そして、各光カプラ45#1〜45#kには、それぞれ、各光クロスコネクト44#1〜44#mから出力される1以上の光信号が導かれる。一例としては、光カプラ45#1には、各光クロスコネクト44#1〜44#mの各1番目の出力ポートから出力される光信号が導かれる。また、光カプラ45#kには、各光クロスコネクト44#1〜44#mの各k番目の出力ポートから出力される光信号が導かれる。
図7は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現する構成について説明する図である。光分岐挿入装置1においては、EAST方路から入力されるWDM光信号からドロップ用波長選択スイッチ14Eにより複数の波長が選択されると、光スプリッタ15Eには選択された波長を含むドロップ光信号が入力される。この場合、光スプリッタ15Eにより生成される複数のドロップ光信号は、光クロスコネクト16の異なる入力ポートに導かれる。これらのドロップ光信号は、それぞれ、波長パス制御部2により指定されるチューナブルフィルタ17#1〜17#nに導かれる。WEST方路から入力されるWDM光信号についても同様である。
各チューナブルフィルタ17#1〜17#nは、光クロスコネクト16から導かれてくるドロップ光信号から、所望の波長(例えば、波長パス制御部2により指定される波長)を選択する。したがって、この構成によれば、任意の方路から入力されるWDM信号から任意の波長の光信号を抽出して対応する端局(または、トランスポンダ)に転送することができる。
図8は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現する他の構成について説明する図である。図2に示す構成では、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wにより複数の波長が選択されると、光クロスコネクト16には、WDM光信号が入力される。そして、光クロスコネクト16は、そのWDM光信号を指定されたチューナブルフィルタに導き、各チューナブルフィルタがそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する。
図8に示す構成では、光クロスコネクト16の入力側に波長デマルチプレクサ46を備える。波長デマルチプレクサ46は、ドロップ光信号を波長ごとに分波する。すなわち、波長デマルチプレクサ46は、出力ポート毎に、それぞれ異なる通過波長を有する光フィルタを備えている。図8に示す例では、出力ポートP1、P2、P3、...、Pnに対して設けられている光フィルタの通過波長は、それぞれλ1、λ2、λ3、...、λnである。このように、波長デマルチプレクサ46の出力ポートは、波長依存性を有している。
光クロスコネクト16は、各入力ポートの光信号を任意の出力ポートに導くことができる。例えば、端局(または、トランスポンダ)Bへ波長λ1の光信号を送信するときは、光クロスコネクト16は、波長デマルチプレクサ46の出力ポートP1から出力される光信号を端局Bへ導く。また、端局(または、トランスポンダ)Bへ波長λ3の光信号を送信するときは、光クロスコネクト16は、波長デマルチプレクサ46の出力ポートP3から出力される光信号を端局Bへ導く。すなわち、この構成によれば、端局(または、トランスポンダ)は、所望の波長の光信号を受信できる。
なお、図8に示す例では、波長デマルチプレクサ46が1つだけ描かれているが、図2に示す構成を実現するためには、光スプリッタ15E、15Wに対応する2つの波長デマルチプレクサを設けるようにしてもよい。すなわち、図8に示す波長デマルチプレクサ46は、光分岐挿入装置が備える方路毎に設けられてもよい。また、図8に示す構成においては、波長デマルチプレクサ46内に光フィルタ(λ1〜λn)が内蔵されているので、図2に示すチューナブルフィルタ17#1〜17#nは、設けなくてもよい。
図9は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図9に示す構成では、各方路のWDM光信号から選択された波長の光信号は、光カプラ47によりいったん合波される。また、波長デマルチプレクサ46は、光カプラ47により合波された光信号を波長ごとに分波する。そして、光クロスコネクト16は、各波長の光信号をそれぞれ指定された端局(または、トランスポンダ)へ導く。したがって、この構成によっても、任意の方路のWDM光信号から任意の波長の光信号を抽出して所望の端局へ導くことができる。
図10は、光分岐挿入装置1のドロップ機能を実現するさらに他の構成について説明する図である。図2に示す光クロスコネクト16は、図10に示す構成では、複数の光クロスコネクト49#1〜49#mにより実現されている。光スプリッタ48#1〜48#kは、図2に示す構成と同様に、方路ごとに設けられている。そして、各光スプリッタ48#1〜48#kの出力光信号は、それぞれ、各光クロスコネクト49#1〜49#mに導かれる。一例としては、光スプリッタ48#1の出力光信号は、光クロスコネクト49#1〜49#mの各1番目の入力ポートに導かれる。また、光スプリッタ48#kの出力光信号は、光クロスコネクト49#1〜49#mの各k番目の入力ポートに導かれる。
<アド動作およびドロップ動作の実施例>
次に、光分岐挿入装置1のアド動作およびドロップ動作の実施例を説明する。以下の説明では、光分岐挿入装置1は、2本の方路(EAST方路およびWEST方路)を有しているものとする。すなわち、光分岐挿入装置1は、2-degree構成である。なお、実施例の変形として、3-degree以上の構成を採用することができる。その例として、8-degree構成の実施例を後述する。
図11は、光分岐挿入装置1のアド動作の第1の実施例を示す図である。ここでは、図面を見やすくするために、光アンプ11E、11W、波長選択スイッチ13E、13W、チューナブルフィルタ21#1〜21#n、光クロスコネクト22、光カプラ23E、23W、アド用波長選択スイッチ24E、24Wのみが描かれている。
光クロスコネクト22は、この実施例では、複数の光クロスコネクト22#1、22#2、...を備えている。各光クロスコネクト22#1、22#2、...は、この例では、それぞれ、8入力−8出力構成である。また、光カプラ23E、23Wは、この例では、それぞれ、複数の光カプラを含んでいる。
上記構成の光分岐挿入装置1において、光信号A、B、E、FをWEST方路へ出力し、光信号C、D、G、HをEAST方路に出力するものとする。光信号A、B、E、Fの波長は、それぞれ、λ2、λ1、λ3、λ4である。また、光信号A、B、E、Fは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1、P2、光クロスコネクト22#2の入力ポートP2、P3に入力される。一方、光信号C、D、G、Hの波長は、それぞれ、λ5、λ1、λ4、λ2である。また、光信号C、D、G、Hは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP3、P4、光クロスコネクト22#2の入力ポートP5、P6に入力される。
なお、光信号A〜Hは、それぞれ、端局から送信され、対応するチューナブルフィルタ21#1〜21#nを介して光クロスコネクト22#1、22#2に入力される。また、各端局とチューナブルフィルタ21#1〜21#nとの間には、それぞれトランスポンダが設けられる。
光クロスコネクト22#1は、光信号AをWEST方路に出力するために、入力ポートP1の光信号Aを光カプラ23Wに導く。ここで、光カプラ23Wは、光クロスコネクト22#1の出力ポートP1に接続されている。よって、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを入力ポートP1から出力ポートP1に導く。また、光クロスコネクト22#1は、光信号BをWEST方路に出力するために、入力ポートP2の光信号Bを光カプラ23Wに導く。すなわち、光クロスコネクト22#1は、光信号Bを入力ポートP2から出力ポートP1に導く。これにより、光クロスコネクト22#1は、光信号A、Bを合波して光カプラ23Wに出力する。
図12は、光クロスコネクト22#1の構成を示す図である。光クロスコネクト22#1は、各入力ポートに対してそれぞれ1×8スイッチ(SW)を備え、各出力ポートに対してそれぞれ8×1カプラ(CPL)を備える。1×8スイッチは、波長パス制御部2からの制御信号に従って、入力光信号を指定された出力ポートに導く。このとき、波長パス制御部2は、同じ波長の光信号が同じ出力ポートに導かれないように波長パスを決定する。また、8×1カプラは、複数の入力ポートから光信号が導かれてくるときは、それら複数の光信号を合波して出力する。
光クロスコネクト22#1は、特に限定されるものではないが、図2に示すチューナブルフィルタ21#1〜21#nを内蔵するようにしてもよい。この場合、各入力ポートに対してそれぞれチューナブルフィルタ(TF)が設けられる。なお、上記構成は、光クロスコネクト22#1、22#2、...において共通である。
光クロスコネクト22#2は、光信号EをWEST方路に出力するために、入力ポートP2の光信号Eを光カプラ23Wに導く。ここで、光カプラ23Wは、光クロスコネクト22#2の出力ポートP1に接続されている。よって、光クロスコネクト22#2は、光信号Eを入力ポートP2から出力ポートP1に導く。また、光クロスコネクト22#2は、光信号FをWEST方路に出力するために、入力ポートP3の光信号Fを光カプラ23Wに導く。すなわち、光クロスコネクト22#2は、光信号Fを入力ポートP3から出力ポートP1に導く。これにより、光クロスコネクト22#2は、光信号E、Fを合波して光カプラ23Wに出力する。
光カプラ23Wは、光信号A、光信号B、光信号E、光信号Fを合波して出力する。このとき、光カプラ23Wの出力光信号は、波長λ1、λ2、λ3、λ4を含んでいる。なお、光カプラ23Wにさらに他の光信号が入力される場合は、光カプラ23Wは、光信号A、B、E、F、および他の光信号を合波して出力する。そして、光カプラ23Wの出力光信号は、アド用波長選択スイッチ24Wに導かれる。
アド用波長選択スイッチ24Wは、光カプラ23Wの出力光信号から、波長パス制御部2により指定される波長を選択する。ここでは、アド用波長選択スイッチ24Wは、波長λ1、λ2、λ3、λ4を選択するものとする。そして、アド用波長選択スイッチ24Wは、選択した波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を波長選択スイッチ13Wに導く。
波長選択スイッチ13Wには、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号、およびアド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号が入力される。ここで、EAST方路から光スプリッタ12Eを介して導かれてくる光信号を「主光信号」と呼び、アド用波長選択スイッチ24Wから導かれてくる光信号を「アド光信号」と呼ぶことにする。
波長選択スイッチ13Wは、波長パス制御部2の指示に従って、主光信号およびアド光信号から、WEST方路へ出力されるWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Wは、主光信号から、光分岐挿入装置1を「通過(スルー)」する波長を選択すると共に、アド光信号から、主光信号に「挿入」する波長を選択する。この実施例では、アド光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4が選択される。この場合、波長選択スイッチ13Wは、主光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4を選択しないように制御される。これにより、光信号A、B、E、Fを含むアド光信号が主信号に挿入されてWEST方路に出力される。
光信号C、D、G、HをEAST方路に出力する動作は、基本的に、光信号A、B、E、FをWEST方路に出力する動作と同じである。すなわち、光クロスコネクト22#1は、光信号Cを入力ポートP3から出力ポートP2に導き、光信号Dを入力ポートP4から出力ポートP2に導く。これにより、光クロスコネクト22#1は、光信号C、Dを合波して光カプラ23Eに出力する。同様に、光クロスコネクト22#2は、光信号Gを入力ポートP5から出力ポートP2に導き、光信号Hを入力ポートP6から出力ポートP2に導く。これにより、光クロスコネクト22#2は、光信号G、Hを合波して光カプラ23Eに出力する。
光カプラ23Eは、光信号C、光信号D、光信号G、光信号Hを合波して出力する。このとき、光カプラ23Eの出力光信号は、波長λ1、λ2、λ4、λ5を含んでいる。アド用波長選択スイッチ24Eは、光カプラ23Eの出力光信号から、波長パス制御部2により指定される波長を選択する。ここでは、アド用波長選択スイッチ24Eは、波長λ1、λ2、λ4、λ5を選択するものとする。
波長選択スイッチ13Eには、WEST方路から光スプリッタ12Wを介して導かれてくる光信号(主光信号)、及びアド用波長選択スイッチ24Eから導かれてくる光信号(アド光信号)が入力される。そうすると、波長選択スイッチ13Eは、波長パス制御部2の指示に従って、主光信号およびアド光信号から、EAST方路へ出力されるWDM光信号を生成する。この実施例では、アド光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5が選択される。この場合、波長選択スイッチ13Eは、主光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5を選択しないように制御される。これにより、光信号C、D、G、Hを含むアド光信号が主信号に挿入されてEAST方路に出力される。
このように、図11に示す実施例においては、任意の端局から送信される光信号を所望の方路に出力することができる。また、複数の光信号を異なる方路に出力する場合は、それら複数の光信号が同じ波長を使用することができる。例えば、WEST方路に出力される光信号BおよびEAST方路に出力される光信号Dは、いずれも波長λ1を利用している。
図13は、光分岐挿入装置1のアド動作の第2の実施例を示す図である。第2の実施例においては、光分岐挿入装置1は、アド用波長選択スイッチ24E、24Wを備えていない。
図13に示す例では、光カプラ23E、23Wは、それぞれ複数の光カプラを備えている。よって、光カプラ51Eは、光カプラ23E内の複数の光カプラから出力される光信号を合波して波長選択スイッチ13Eに導く。同様に、光カプラ51Wは、光カプラ23W内の複数の光カプラから出力される光信号を合波して波長選択スイッチ13Wに導く。
波長選択スイッチ13E、13Wは、それぞれ、第1の実施例と同様に、主光信号にアド光信号を挿入することによりWDM光信号を生成する。このとき、波長選択スイッチ13Eは、第1の実施例のアド用波長選択スイッチ24Eの機能を含むようにしてもよい。同様に、波長選択スイッチ13Wは、第1の実施例のアド用波長選択スイッチ24Wの機能を含むようにしてもよい。
図14は、光分岐挿入装置1のアド動作の第3の実施例を示す図である。第3の実施例においては、光クロスコネクト22#1、22#2、...は、図12に示す構成であってもよいし、単純なマトリクススイッチであってもよい。単純なマトリクススイッチは、特に限定されるものではないが、各入力ポートから入力される光信号をそれぞれ1つの出力ポートに導き、各出力ポートには1つの入力ポートの光信号を導く。すなわち、第3の実施例においては、光クロスコネクト22#1、22#2、...は、図12に示す8×1カプラ(CPL)を備えなくてもよい。
なお、図14では、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1〜P8のうちのP2〜P7の符号が省略され、出力ポートP1〜P8のうちのP2〜P7の符号が省略されている。図14では、図面を見やすくするために図示しないが、符号の付されていない6つの入力ポートは、入力ポートP1からP8に向かって順番にP2〜P7である。同様に、符号の付されていない6つの出力ポートは、出力ポートP1からP8に向かって順番にP2〜P7である。
光クロスコネクト22#1の出力ポートP1〜P4は、光カプラ23Wに接続されている。また、光クロスコネクト22#1の出力ポートP5〜P8は、光カプラ23Eに接続されている。
上記構成の光分岐挿入装置1において、第1の実施例と同様に、光信号A、B、E、FをWEST方路へ出力し、光信号C、D、G、HをEAST方路に出力するものとする。光信号A、B、E、Fの波長は、それぞれλ2、λ1、λ3、λ4であり、光信号C、D、G、Hの波長は、それぞれλ5、λ1、λ4、λ2である。ただし、第3の実施例では、光信号A、B、E、Fは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1、P3、P4、P6に入力される。また、光信号C、D、G、Hは、それぞれ、光クロスコネクト22#1の入力ポートP2、P5、P7、P8に入力される。
光クロスコネクト22#1は、光信号AをWEST方路に出力するために、入力ポートP1の光信号Aを光カプラ23Wに導く。ここで、光カプラ23Wは、光クロスコネクト22#1の出力ポートP1〜P4に接続されている。したがって、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを、出力ポートP1〜P4の中の1つに導く。図14に示す例では、光クロスコネクト22#1は、光信号Aを入力ポートP1から出力ポートP1に導いている。これにより、光信号Aは、光カプラ23Wに導かれる。
また、光クロスコネクト22#1は、光信号B、E、Fをそれぞれ光カプラ23Wに導く。このとき、光信号B、E、Fは、光信号Aと重複しないように、出力ポートP1〜P4に導かれる。図14に示す例では、光クロスコネクト22#1は、入力ポートP3の光信号Bを出力ポートP2に導き、入力ポートP4の光信号Eを出力ポートP3に導き、入力ポートP6の光信号Fを出力ポートP4に導いている。これにより、光信号B、E、Fも、光カプラ23Wに導かれる。
光カプラ23Wは、第1の実施例と同様に、光信号A、B、E、F(波長λ1〜λ4)を合波して出力する。また、アド用波長選択スイッチ24Wおよび波長選択スイッチ13Wの動作は、基本的に、第1の実施例と同じである。したがって、上記動作により、光信号A、B、E、Fが挿入されたWDM光信号がWEST方路に出力される。
光信号C、D、G、HをEAST方路に出力する動作は、基本的に、光信号A、B、E、FをWEST方路に出力する動作と同じである。ただし、光クロスコネクト22#1は、入力ポートP2の光信号Cを出力ポートP5に導き、入力ポートP5の光信号Dを出力ポートP6に導き、入力ポートP7の光信号Gを出力ポートP7に導き、入力ポートP8の光信号Hを出力ポートP8に導く。これにより、光信号C、D、G、Hは、光カプラ23Eに導かれる。
このように、光クロスコネクト22#1、22#2、...が光カプラ機能を備えていない構成であっても、第1の実施例と同様の動作を実現することができる。
図15は、光分岐挿入装置1のアド動作の第4の実施例を示す図である。第4の実施例においては、光分岐挿入装置1は、アド用波長選択スイッチ24E、24Wを備えていない。なお、第3の実施例と第4の実施例との差異は、上述した第1の実施例と第2の実施例との差異と同じである。よって、第4の実施例に係わる説明は省略する。
図16は、光分岐挿入装置1のアド動作の第5の実施例を示す図である。第5の実施例においては、光クロスコネクト22#1の動作は、基本的に、図14に示す第3の実施例と同じである。ただし、光クロスコネクト22#1の入力ポートP1〜P8の入力光信号は、第3の実施例とは異なっている。
第1〜第4の実施例と同様に、第5の実施例においても、WEST方路に出力する光信号は光カプラ23Wに導かれる。ただし、第5の実施例においては、光信号A(λ1)、C(λ3)、D(λ2)、F(λ4)は、それぞれ、光カプラ23W内の別個の光カプラ(#1〜#4)に導かれる。図16に示す例では、光信号A、C、D、F、それぞれ光クロスコネクト22#1の出力ポートP1、P2、P3、P4から出力され、光カプラ23W#1、23W#2、23W#3、23W#4に導かれている。このとき、光カプラ23W#1〜23W#4には、他の光クロスコネクトから異なる波長の光信号を導くことができる。なお、アド用波長選択スイッチ24Wおよび波長選択スイッチ13Wの動作は、上述した第1または第3の実施例と同じである。
EAST方路に出力する光信号は、光クロスコネクト22#1により光カプラ23Eに導かれる。他の動作は、基本的に、光信号をWEST方路に出力するときと同じである。したがって、この構成によっても、任意の入力ポートに入力される光信号を、所望の方路に導くことができる。
図17は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第1の実施例を示す図である。ここでは、図面を見やすくするために、光アンプ11E、11W、光スプリッタ12E、12W、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14W、光スプリッタ15E、15W、光クロスコネクト16、チューナブルフィルタ17#1〜17#nのみが描かれている。
光クロスコネクト16は、この実施例では、複数の光クロスコネクト16#1、16#2、...を備えている。各光クロスコネクト16#1、16#2、...は、この例では、それぞれ、8入力−8出力構成である。また、光スプリッタ15E、15Wは、この例では、それぞれ、複数の光スプリッタを含んでいる。
上記構成の光分岐挿入装置1において、WEST方路から入力されるWDM光信号から波長λ1、λ2、λ3、λ4の光信号を抽出し、それぞれ端局B、A、E、Fへ送信するものとする。また、EAST方路から入力されるWDM光信号から波長λ1、λ2、λ4、λ5の光信号を抽出し、それぞれ端局D、H、G、Cへ送信するものとする。なお、以下の説明では、EAST方路から光分岐挿入装置1に入力されるWDM光信号をE−WDM光信号と呼び、WEST方路から光分岐挿入装置1に入力されるWDM光信号をW−WDM光信号と呼ぶことがある。また、波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5の光信号を、それぞれ、λ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号、λ5光信号と呼ぶことがある。
光スプリッタ12Wは、W−WDM光信号を分岐して波長選択スイッチ13Eおよびドロップ用波長選択スイッチ14Wに導く。波長選択スイッチ13Eの動作は、例えば、図11を参照しながら説明した通りである。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、波長パス制御部2の指示に応じて、W−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を選択する。そして、ドロップ用波長選択スイッチ14Wにより選択された光信号は、光スプリッタ15Wに導かれる。このとき、λ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号は、WDM光信号として光スプリッタ15Wに導かれる。したがって、以下の説明では、このWDM光信号をW−λ1/λ2/λ3/λ4光信号と呼ぶことがある。
光スプリッタ15Wは、上述したように、複数の光スプリッタ15W#1、15W#2、...を備えている。そして、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号は、この例では、光スプリッタ15W#1に導かれている。なお、光スプリッタ15W#2、15W#3、...には、例えば、ドロップ用波長選択スイッチ14Wにより選択される他の波長の光信号が入力される。
光スプリッタ15W#1の出力ポートは、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の入力ポートP1に接続されている。すなわち、光スプリッタ15W#1の出力信号は、光クロスコネクト16#1、16#2の入力ポートP1に導かれる。これにより、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1にW−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。また、光クロスコネクト16#2の入力ポートP1にもW−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。
図18は、光クロスコネクト16#1の構成を示す図である。光クロスコネクト16#1は、各入力ポートに対してそれぞれ1×8スプリッタ(SPL)を備え、各出力ポートに対してそれぞれ8×1スイッチ(SW)を備える。1×8スプリッタは、それぞれ入力光信号を分岐してすべての出力ポートに導く。また、8×1スイッチは、波長パス制御部2により指定される入力ポートからの光信号を選択する。
光クロスコネクト16#1は、特に限定されるものではないが、図2に示すチューナブルフィルタ17#1〜17#nを内蔵するようにしてもよい。この場合、各出力ポートに対してそれぞれチューナブルフィルタ(TF)が設けられる。なお、上記構成は、光クロスコネクト16#1、16#2、...において共通である。
光クロスコネクト16#1の入力ポートP1の光信号は、図18に示す1×8スプリッタにより分岐され、各出力ポートP1〜P8に導かれる。同様に、光クロスコネクト16#2の入力ポートP1の光信号も、各出力ポートP1〜P8に導かれる。
ここで、波長パス制御部2は、光クロスコネクト16#1に対して下記の指示を与えている。
出力ポートP1:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP2:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP3:入力ポートP2の光信号を選択
出力ポートP4:入力ポートP2の光信号を選択
また、波長パス制御部2は、光クロスコネクト16#2に対して下記の指示を与えている。
出力ポートP2:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP3:入力ポートP1の光信号を選択
出力ポートP5:入力ポートP2の光信号を選択
出力ポートP6:入力ポートP2の光信号を選択
したがって、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P2、光クロスコネクト16#2の出力ポートP2、P3から、それぞれ、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が出力される。
さらに、波長パス制御部2は、各チューナブルフィルタ17を下記のように制御する。なお、以下の説明では、各チューナブルフィルタ17は「#i#k」で識別される。ここで、「i」は、光クロスコネクト16#1、16#2、...を識別し、「k」は、各光クロスコネクトの出力ポートP1〜P8を識別する。例えば、「#1#1」は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1に接続されるチューナブルフィルタを識別する。
#1#1:通過波長=λ2
#1#2:通過波長=λ1
#1#3:通過波長=λ5
#1#4:通過波長=λ1
#2#2:通過波長=λ3
#2#3:通過波長=λ4
#2#5:通過波長=λ4
#2#6:通過波長=λ2
チューナブルフィルタ17#1#1には、光クロスコネクト16#1により、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号が導かれる。ここで、チューナブルフィルタ17#1#1の通過波長は、上述のように、λ2に制御されている。したがって、チューナブルフィルタ17#1#1は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ2光信号を抽出する。これにより、W−WDM光信号から抽出されるλ2光信号が、端局Aに送信される。
同様に、チューナブルフィルタ17#1#2は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ1光信号を抽出する。また、チューナブルフィルタ17#2#2は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ3光信号を抽出する。さらに、チューナブルフィルタ17#2#3は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ4光信号を抽出する。これにより、W−WDM光信号から抽出されるλ1、λ3、λ4光信号が、それぞれ、端局B、E、Fに送信される。
EAST方路から入力されるWDM光信号(E−WDM光信号)から指定された波長の光信号を抽出する動作は、基本的に、W−WDM光信号から指定された波長の光信号を抽出する動作と同じである。すなわち、ドロップ用波長選択スイッチ14EによりE−λ1/λ2/λ4/λ5光信号が生成される。このE−λ1/λ2/λ4/λ5光信号は、光スプリッタ15Eおよび光クロスコネクト16#1、16#2により、チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6に導かれる。そして、光信号チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6は、それぞれ、E−λ1/λ2/λ4/λ5光信号からλ5、λ1、λ4、λ2光信号を抽出する。これにより、E−WDM光信号から抽出されるλ1、λ2、λ4、λ5光信号が、それぞれ、端局D、H、G、Cに送信される。
このように、実施形態の光分岐挿入装置1は、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の端局へ送信できる。よって、実施形態の構成によれば、波長パスを柔軟に設定または変更できる。
図19は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第2の実施例を示す図である。第2の実施例においては、光分岐挿入装置1は、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えていない。
図19に示す例では、光スプリッタ15E、15Wは、それぞれ複数の光スプリッタを備えている。よって、光スプリッタ61Eは、E−WDM光信号を分岐して光スプリッタ15E内の複数の光スプリッタに光信号を導く。同様に、光スプリッタ61Wは、W−WDM光信号を分岐して光スプリッタ15W内の複数の光スプリッタに導く。
W−WDM光信号は、光スプリッタ61Wおよび光スプリッタ15Wにより、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1および光クロスコネクト16#2の入力ポートP1に導かれる。そうすると、W−WDM光信号は、チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3に導かれる。
チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3の動作は、第1の実施例と同じである。ただし、第2の実施例では、各チューナブルフィルタ17#1#1、17#1#2、17#2#2、17#2#3は、それぞれ、W−WDM光信号から指定された波長の光信号を抽出する。同様に、チューナブルフィルタ17#1#3、17#1#4、17#2#5、17#2#6により、E−WDM光信号から指定された波長の光信号が抽出される。
図20は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第3の実施例を示す図である。第3の実施例においては、W−WDM光信号のλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、それぞれ端局C、A、D、Fに送信するものとする。また、E−WDM光信号のλ1光信号、λ2光信号、λ4光信号、λ5光信号を、それぞれ端局E、H、G、Bに送信するものとする。
第3の実施例において、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wの動作は、第1の実施例と同じである。すなわち、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からW−λ1/λ2/λ3/λ4光信号を生成する。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からE−λ1/λ2/λ4/λ5光信号を生成する。
光スプリッタ15Wは、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号を光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P4に導く。同様に、光スプリッタ15Eは、E−λ1/λ2/λ4/λ5光信号を光クロスコネクト16#1の入力ポートP5〜P8に導く。
光クロスコネクト16#1は、波長パス制御部2からの指示に応じて、図20に示すように入力ポートP1〜P8と出力ポートP1〜P8とを接続する。これにより、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号は、チューナブルフィルタ17#1、#3、#4、#6に導かれる。また、E−λ1/λ2/λ4/λ5光信号は、チューナブルフィルタ17#2、#5、#7、#8に導かれる。
チューナブルフィルタ17#1〜17#8は、波長パス制御部2により、下記のように制御される。
#1:通過波長=λ2
#2:通過波長=λ5
#3:通過波長=λ1
#4:通過波長=λ3
#5:通過波長=λ1
#6:通過波長=λ4
#7:通過波長=λ4
#8:通過波長=λ2
そうすると、チューナブルフィルタ17#1は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ2光信号を抽出する。これにより端局Aは、W−WDM光信号に含まれるλ2光信号を受信する。同様に、チューナブルフィルタ17#3、#4、#6は、W−λ1/λ2/λ3/λ4光信号からλ1、λ3、λ4光信号を抽出する。よって、端局C、D、Fは、それぞれ、W−WDM光信号に含まれるλ1、λ3、λ4光信号を受信する。
さらに、チューナブルフィルタ17#2、#5、#7、#8は、E−λ1/λ2/λ4/λ5光信号からλ5、λ1、λ4、λ2光信号を抽出する。したがって、端局B、E、G、Hは、それぞれ、E−WDM光信号に含まれるλ5、λ1、λ4、λ2光信号を受信する。
このように、第3の実施例においても、実施形態の光分岐挿入装置1は、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の端局へ送信できる。なお、第3の実施例では、光クロスコネクトは、入力光信号を分岐する機能を備える必要はない。よって、光クロスコネクトは、図18において、スプリッタ(SPL)の代わりに、入力光信号を指定された1つの出力ポートに導く1:8スイッチを設ける構成であってもよい。この場合、図18において各出力ポートに対して設けられているスイッチ(SW)は設けなくてもよい。
図21は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第4の実施例を示す図である。第4の実施例においては、光分岐挿入装置1は、ドロップ用波長選択スイッチ14E、14Wを備えていない。なお、第3の実施例と第4の実施例との差異は、上述した第1の実施例と第2の実施例との差異と同じである。よって、第4の実施例に係わる説明は省略する。
図22は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第5の実施例を示す図である。第5の実施例においては、光クロスコネクト16#1の動作は、基本的に、図20に示す第3の実施例と同じである。ただし、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P8の入力光信号は、第3の実施例とは異なっている。また、光分岐挿入装置1は、チューナブルフィルタ17#1〜17#nを備える必要はない。
第5の実施例では、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を抽出し、光スプリッタ15E内の光スプリッタ#1、#2、#3、#4に導く。同様に、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を抽出し、光スプリッタ15W内の光スプリッタ#1、#2、#3、#4に導く。
光スプリッタ15W#1は、W−WDM光信号から抽出されたλ1光信号を各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP1に導く。また、光スプリッタ15W#2、15W#3、15W#4は、それぞれ、W−WDM光信号から抽出されたλ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP2、P3、P4に導く。同様に、光スプリッタ15E#1、15E#2、15E#3、15E#4は、それぞれ、E−WDM光信号から抽出されたλ1光信号、λ2光信号、λ3光信号、λ4光信号を、各光クロスコネクト16#1、16#2、...の各入力ポートP5、P6、P7、P8に導く。
光クロスコネクト16#1は、波長パス制御部2からの指示に従って、入力光信号をそれぞれ指定された出力ポートに導く。これにより、光分岐挿入装置1は、各方路から入力されるWDM光信号から抽出する光信号を所望の端局に送信することができる。
図23は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第6の実施例を示す図である。第6の実施例では、WDM光信号から所望の波長の光信号が抽出されて複数の端局にマルチキャストされる。
図23に示す例では、ドロップ用波長選択スイッチ14Wは、W−WDM光信号からλ1光信号を抽出する。このλ1光信号は、光スプリッタ15Wにより分岐され、光クロスコネクト16#1の入力ポートP1および光クロスコネクト16#2の入力ポートP1に導かれる。また、ドロップ用波長選択スイッチ14Eは、E−WDM光信号からλ4光信号を抽出する。このλ4光信号は、光スプリッタ15Eにより分岐され、光クロスコネクト16#1の入力ポートP2および光クロスコネクト16#2の入力ポートP2に導かれる。
光クロスコネクト16#1、16#2のスイッチング動作は、図17に示す第1の実施例と同じである。よって、W−WDM光信号から抽出されたλ1光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P2、および、光クロスコネクト16#2の出力ポートP2、P3から出力される。すなわち、このλ1光信号は、4つの端局に送信される。また、E−WDM光信号から抽出されたλ4光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP3、P4、および、光クロスコネクト16#2の出力ポートP5、P6から出力される。すなわち、このλ4光信号は、別の4つの端局に送信される。
図24は、光分岐挿入装置1のドロップ動作の第7の実施例を示す図である。第7の実施例においても、第6の実施例と同様に、WDM光信号から所望の波長の光信号が抽出されて複数の端局にマルチキャストされる。
第7の実施例では、光クロスコネクト16#1は、第3の実施例と同様に、入力光信号を分岐して複数の出力ポートへ導く機能を有していない。したがって、光スプリッタ15Wは、λ1光信号を分岐して光クロスコネクト16#1の入力ポートP1〜P4に導く。また、光スプリッタ15Eは、λ4光信号を分岐して光クロスコネクト16#1の入力ポートP5〜P8に導く。
光クロスコネクト16#1のスイッチング動作は、図20に示す第3の実施例と同じである。よって、W−WDM光信号から抽出されたλ1光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP1、P3、P4、P6から出力される。すなわち、このλ1光信号は、4つの端局に送信される。また、E−WDM光信号から抽出されたλ4光信号は、光クロスコネクト16#1の出力ポートP2、P5、P7、P8から出力される。すなわち、このλ4光信号は、別の4つの端局に送信される。
このように、第6および第7の実施例では、任意の方路上のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して所望の複数の端局へマルチキャストすることができる。なお、第6および第7の実施例では、光分岐挿入装置1は、チューナブルフィルタ17#1〜17#nを備える必要はない。
<8−Degree光分岐挿入装置の実施例>
図25および図26は、第1の実施例の構成を示す図である。以下の説明では、光分岐挿入装置は、8本の方路(#1〜#8)を有する。各方路は、それぞれ入方路および出方路を備えている。なお、図25では、各方路から光分岐挿入装置に入力されるWDM光信号を増幅する光アンプ(Pre-AMP)、および光分岐挿入装置から各方路に出力するWDM光信号を増幅する光アンプ(Post-AMP)は、省略されている。また、光分岐挿入装置内の他の光アンプも省略されている。
各光スプリッタ101(#1〜#8)は、それぞれ、入力WDM光信号を分岐する。光スプリッタ101は、例えば、1:8カプラである。すなわち、光カプラ101は、入力WDM光信号を分岐して8つのWDM光信号を生成する。8つのWDM光信号の中の1つは、対応するドロップ用波長スイッチ111に導かれる。残りの7つのWDM光信号は、それぞれ他の方路の波長選択スイッチ102に導かれる。例えば、光スプリッタ101#1により生成される8つのWDM光信号は、ドロップ用波長スイッチ111#1、および方路#2〜#8に対して設けられている波長選択スイッチ102#2〜102#8に導かれる。なお、光スプリッタ101は、例えば、1:9カプラであってもよい。この場合、未使用の分岐光信号は、他の目的に使用することができる。
光パス#1〜#8は、光スプリッタ101#1〜101#8と波長選択スイッチ102#1〜102#8との間の光パスを模式的に表している。例えば、光パス#1は、光スプリッタ101#2〜101#8からそれぞれ出力されるWDM光信号を波長選択スイッチ102#1に導く機能を表している。
各ドロップ用波長選択スイッチ111(#1〜#8)は、それぞれ、対応する入力WDM光信号から所望の波長を抽出して光カプラ112(#1〜#8)に導く。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ111は、8以上の出力ポートを備える。また、ドロップ用波長選択スイッチ111は、任意の光カプラ112に対して任意の波長の光信号を導くことができる。例えば、ドロップ用波長選択スイッチ111#1は、光カプラ112#1へ波長λ1の光信号を導き、光カプラ112#8へ波長λ2の光信号および波長λ3の光信号を導くことができる。
光パス#11〜#18は、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8と光カプラ112#1〜112#8との間の光パスを模式的に表している。例えば、光パス#11は、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8からそれぞれ出力される光信号を光カプラ112#1に導く機能を表している。
また、光パス#11〜#18は、光スプリッタ123#1〜123#8とアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#11〜#18は、図面を見やすくするために、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8から光カプラ112#1〜112#8へ光信号を送信する機能、および光スプリッタ123#1〜123#8からアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。例えば、光パス#11は、上述の機能に加え、光スプリッタ123#1〜123#8からそれぞれ出力される光信号をアド用波長選択スイッチ124#1に導く機能を表している。
各光カプラ112(#1〜#8)は、それぞれ、1または複数のドロップ用波長選択スイッチ111から導かれてくる光信号を合波する。すなわち、光分岐挿入装置は、任意のまたは全ての方路の光信号を任意の光カプラ112に導くことができる。ただし、ドロップ用波長選択スイッチ111(#1〜#8)は、各光カプラ112に同じ波長の光信号が導かれないように、波長パス制御部2により制御される。
各波長デマルチプレクサ113(#1〜#8)は、それぞれ、対応する光カプラ112から出力される光信号を波長ごとに分波する。なお、波長デマルチプレクサ113の各出力ポートの通過波長は、図8を参照しながら説明したように、予め固定されているものとする。また、各方路上のWDM光信号が、例えば96波(λ1〜λ96)を伝送するときは、波長デマルチプレクサ113は、96個の出力ポートを備える。この場合、特に限定されるものではないが、第1出力ポートからλ1が出力され、第96出力ポートからλ96が出力されるようにしてもよい。
光クロスコネクト114(#1〜#8)は、それぞれ、対応する波長デマルチプレクサ113から出力される光信号を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。波長デマルチプレクサ113が96個の出力ポートを備える場合、光クロスコネクト114は96×96構成である。なお、クロスコネクト114の出力信号は、トランスポンダまたはトランスポンダと同等のインタフェースを介して端局へ送信される。
上記構成において、方路#X(X=1〜8)のWDM光信号の中の波長λi(i=1〜96)の光信号を、光クロスコネクト114#1に収容される端局に導く場合は、ドロップ用波長選択スイッチ111#Xは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号を光カプラ112#1に導く
この制御により、光カプラ112#1には、方路#XのWDM光信号から抽出された波長λiの光信号(以下、X−λi光信号)が入力される。このとき、光カプラ112#1には、他のドロップ用波長選択スイッチにより選択された光信号も入力される。したがって、波長デマルチプレクサ113#1には、X−λi光信号を含むWDM光信号が入力される。
波長デマルチプレクサ113#1は、このWDM光信号を分波する。この結果、波長デマルチプレクサ113#1のi番目の出力ポートからX−λi光信号が出力される。ここで、波長デマルチプレクサ113#1のi番目の出力ポートは、光クロスコネクト114#1のi番目の入力ポートに接続されている。よって、X−λi光信号は、光クロスコネクト114#1のi番目の入力ポートに導かれる。そして、光クロスコネクト114#1は、この光信号(すなわち、方路#XのWDM光信号から抽出された波長λiの光信号)を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。
このように、実施形態の光分岐挿入装置は、任意の方路上のWDM光信号の中の任意の波長の光信号を、指定された端局に送信することができる。このとき、波長デマルチプレクサ113の波長依存性は、光クロスコネクト114によって補償される。したがって、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
各光クロスコネクト121(#1〜#8)は、それぞれ、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号を、波長に応じて決まる出力ポートに導く。光クロスコネクト121のポート数は、例えば、光クロスコネクト114と同じである。また、各波長マルチプレクサ122(#1〜#8)は、それぞれ、対応する光クロスコネクト121から出力される光信号を合波する。波長マルチプレクサ122の入力ポート数は、例えば、波長デマルチプレクサ113の出力ポート数と同じである。また、波長マルチプレクサ122の各入力ポートの通過波長は、図4を参照しながら説明したように、予め固定されているものとする。
波長マルチプレクサ122の入力ポートP1〜P96の通過波長がそれぞれλ1〜λ96であるものとする。また、光クロスコネクト121の出力ポートP1〜P96がそれぞれ波長マルチプレクサ122の入力ポートP1〜P96に接続されているものとする。この場合、光クロスコネクト121は、例えば、波長λ1の入力光信号を出力ポートP1に導き、波長λ96の入力光信号を出力ポートP96に導く。これにより、光クロスコネクト121に収容される端局(または、トランスポンダ)が任意の波長で光信号を送信しても、その光信号は、波長マルチプレクサ122の適切な入力ポートに導かれる。
各光スプリッタ123(#1〜#8)は、それぞれ、対応する波長マルチプレクサ122から出力される光信号を分岐してアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導く。すなわち、アド用波長選択スイッチ124#1〜124#8には、同じ光信号が導かれる。
各アド用波長選択スイッチ124(#1〜#8)は、それぞれ、光スプリッタ123#1〜#8から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長を選択する。そして、アド用波長選択スイッチ124は、選択した波長の光信号を対応する波長選択スイッチ102に導く。例えば、アド用波長選択スイッチ124#1は、選択した波長の光信号を波長選択スイッチ102#1に導く。このとき、アド用波長選択スイッチ124は、複数の波長を選択したときは、複数の光信号を合波して対応する波長選択スイッチ102に導く。
各波長選択スイッチ102(#1〜#8)には、それぞれ、対応するアド用波長選択スイッチ124から導かれてくる光信号、および他の方路から導かれてくるWDM光信号が入力される。例えば、波長選択スイッチ102#1には、アド用波長選択スイッチ124#1から導かれてくる光信号、および方路#2〜#8から導かれてくるWDM光信号が入力される。そして、波長選択スイッチ102は、対応する方路に出力する光信号を選択してWDM光信号として出力する。このとき、WDM光信号に含まれる複数の光信号の波長は、互いに異なるように選択される。
上記構成において、光クロスコネクト121#1に収容される端局(または、トランスポンダ)から波長λi(i=1〜96)を利用して送信される光信号を方路#X(X=1〜8)へ出力するものとする。この場合、この光信号は、光クロスコネクト121#1、波長マルチプレクサ122#1、光スプリッタ123#1を介して、アド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導かれる。このとき、この光信号は、他の端局から送信される光信号と共にアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8に導かれる。
アド用波長選択スイッチ124#Xは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ124#Xは、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Xも、波長λiを選択するように制御される。このとき、波長選択スイッチ102#Xも、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。
このように、実施形態の光分岐挿入装置は、任意の波長の光信号を所望の方路に出力できる。このとき、波長マルチプレクサ122の波長依存性は、光クロスコネクト121によって補償される。したがって、波長パスを柔軟に設定または変更できる光分岐挿入装置が実現される。
図27は、第2の実施例の構成を示す図である。なお、光スプリッタ101(#1〜#8)および波長選択スイッチ102(#1〜#8)の構成および動作は、第1の実施例と同じであり、図25を参照しながら説明した通りである。
各ドロップ用波長選択スイッチ131(#1〜#8)は、それぞれ、対応する入力WDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して対応する光スプリッタ132(#1−1〜#8−8)に導く。ここで、ドロップ用波長選択スイッチ131は、8以上の出力ポートを備える。そして、ドロップ用波長選択スイッチ131#iの出力ポートは、光スプリッタ132#i−1〜132#i−8に接続されている。よって、例えば、ドロップ用波長選択スイッチ131#1は、方路#1のWDM光信号から所望の波長の光信号を抽出して対応する光スプリッタ132#1−1〜132#1−8に導く。このとき、ドロップ用波長選択スイッチ131は、対応する8個の光スプリッタ132に対して任意の波長の光信号を導くことができる。例えば、ドロップ用波長選択スイッチ131#1は、光スプリッタ132#1−1へ波長λ1の光信号を導くと共に、光スプリッタ132#1−8へ波長λ2の光信号および波長λ3の光信号を導くことができる。
光パス#21〜#28は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8と光スプリッタ132#1−1〜132#8−8との間の光パスを模式的に表している。たとえば、光パス#21は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1から出力される光信号を光スプリッタ132#1−1〜132#1−8に導く機能を表している。
また、光パス#21〜#28は、光カプラ142#1−1〜142#8−8とアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#21〜#28は、図面を見やすくするために、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8から光スプリッタ132#1−1〜132#8−8へ光信号を送信する機能、および光カプラ142#1−1〜142#8−8からアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。例えば、光パス#21は、上述の機能に加え、光カプラ142#1−1〜142#1−8からそれぞれ出力される光信号をアド用波長選択スイッチ143#1に導く機能を表している。
各光スプリッタ132(#1−1〜#8−8)は、それぞれ、対応するドロップ用波長選択スイッチ131の対応する出力ポートから導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#1〜133#64の対応する入力ポートへ送信する。例えば、光スプリッタ132#1−1は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1の出力ポートP1から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#1、133#9、133#17、133#25、133#33、133#41、133#49、133#57の入力ポートP1へ送信する。また、光カプラ132#1−8は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1の出力ポートP8から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#8、133#16、133#24、133#32、133#40、133#48、133#56、133#64の入力ポートP1へ送信する。さらに、光カプラ132#8−8は、ドロップ用波長選択スイッチ131#8の出力ポートP8から導かれてくる光信号を分岐し、光クロスコネクト133#8、133#16、133#24、133#32、133#40、133#48、133#56、133#64の入力ポートP8へ送信する。
なお、光分岐挿入装置は、より多くの光クロスコネクト133、141を備えるようにしてもよい。例えば、光分岐挿入装置は、96セットの光クロスコネクト133、141を備えるようにしてもよい。この場合、例えば、光スプリッタ132は、12個の出力ポートを備え、光カプラ142は、12個の入力ポートを備える。
光パス#31〜#38は、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8と光クロスコネクト133#1〜133#64との間の光パスを模式的に表している。また、光パス#31〜#38は、光クロスコネクト141#1〜141#64と光カプラ142#1−1〜142#8−8との間の光パスも模式的に表している。すなわち、光パス#31〜#38は、図面を見やすくするために、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8から光クロスコネクト133#1〜133#64へ光信号を送信する機能、および光クロスコネクト141#1〜141#64から光カプラ142#1−1〜142#8−8へ光信号を送信する機能の双方を模式的に表している。
光クロスコネクト133(#1〜#64)は、それぞれ、光スプリッタ132#1−1〜132#8−8から出力される光信号を指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。例えば、光クロスコネクト133#1は、光スプリッタ132#1−1、132#2−1、132#3−1、132#4−1、132#5−1、132#6−1、132#7−1、132#8−1から導かれてくる光信号をスイッチングする。また、光クロスコネクト133#2は、光スプリッタ132#1−2、132#2−2、132#3−2、132#4−2、132#5−2、132#6−2、132#7−2、132#8−2から導かれてくる光信号をスイッチングする。さらに、光クロスコネクト133#64は、光スプリッタ132#1−8、132#2−8、132#3−8、132#4−8、132#5−8、132#6−8、132#7−8、132#8−8から導かれてくる光信号をスイッチングする。
なお、光クロスコネクト133は、8×8構成であり、図18に示すように、各出力ポートに対してチューナブルフィルタTFを備えている。各チューナブルフィルタTFは、波長パス制御部2により指示される波長を抽出する。そして、クロスコネクト133の出力信号は、トランスポンダまたはトランスポンダと同等のインタフェースを介して端局へ送信される。
各光クロスコネクト141(#1〜#64)は、それぞれ、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号を、その光信号を出力する方路に対応する出力ポートに導く。例えば、方路#1に出力する光信号は出力ポートP1に導かれ、方路#8に出力する光信号は出力ポートP8に導かれる。
なお、光クロスコネクト141は、8×8構成であり、図12に示すように、各入力ポートに対してチューナブルフィルタTFを備えている。チューナブルフィルタTFは、端局(または、トランスポンダ)から送信される光信号のスペクトル幅を狭くするために設けられている。
各光カプラ142(#1−1〜#8−8)は、それぞれ、対応する8個の光クロスコネクト141から導かれてくる光信号を合波する。例えば、光カプラ142#1−1は、光クロスコネクト141#1、141#9、141#17、141#25、141#33、141#41、141#49、141#57の各出力ポートP1から導かれてくる光信号を合波する。
各アド用波長選択スイッチ143(#1〜#8)は、それぞれ、対応する8個の光カプラ142から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長の光信号を選択する。例えば、アド用波長選択スイッチ143#1は、光カプラ142#1−1〜142#1−8から導かれてくる光信号から1または複数の所望の波長の光信号を選択する。そして、アド用波長選択スイッチ143は、選択した波長の光信号を対応する波長選択スイッチ102に導く。アド用波長選択スイッチ143は、複数の波長を選択したときは、複数の光信号を合波して対応する波長選択スイッチ102に導く。
上記構成の光分岐挿入装置において、方路#X(X=1〜8)のWDM光信号の中の波長λi(i=1〜96)の光信号Xi、および、方路#Y(Y=1〜8)のWDM光信号の中の同じ波長λiの光信号Yiを、光クロスコネクト133#1に収容される端局に導く場合には、ドロップ用波長選択スイッチ131#Xは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号(すなわち、光信号Xi)を光スプリッタ132#X−1に導く
また、ドロップ用波長選択スイッチ131#Yは、以下のように制御される。
(1)入力WDM光信号から波長λiを選択する
(2)選択した波長λiの光信号(すなわち、光信号Yi)を光スプリッタ132#Y−1に導く
上記制御により、光信号Xiは、光スプリッタ132#X−1から光クロスコネクト133#1を含む複数の光クロスコネクトに導かれる。同様に、光信号Yiは、光スプリッタ132#Y−1から光クロスコネクト133#1を含む複数の光クロスコネクトに導かれる。このとき、光信号Xiおよび光信号Yiは、それぞれ、光クロスコネクト133#1の入力ポートPX、PYに導かれる。そして、光クロスコネクト133#1は、光信号Xiおよび光信号Yiをそれぞれ指定された端局(または、トランスポンダ)に導く。
このように、図25および図27に示す第2の実施例の光分岐挿入装置においては、異なる方路X、Yから抽出した光信号Xi、Yiは、異なる経路を介して光クロスコネクト133の異なる入力ポートに導かれてくる。したがって、光分岐挿入装置は、複数の同じ波長の光信号を抽出してそれぞれ対応する端局に送信することができる。すなわち、上述したColorless、Directionlessに加えてContentionlessも実現される。
また、上記構成において、端局A(または、トランスポンダA)から波長λi(i=1〜96)を利用して送信される光信号Aiを方路#X(X=1〜8)へ出力すると共に、端局B(または、トランスポンダB)から同じ波長λiを利用して送信される光信号Biを方路#Y(Y=1〜8)へ出力ものとする。この例では、端局Aおよび端局Bは、光クロスコネクト141#1に収容されているものとする。この場合、光信号Aiは、光クロスコネクト141#1の出力ポートPXから出力され、光カプラ142#X−1に導かれる。また、光信号Biは、光クロスコネクト141#1の出力ポートPYから出力され、光カプラ142#Y−1に導かれる。
光カプラ142#X−1は、光信号Aiを他の波長の光信号と共にアド用波長選択スイッチ143#Xに導く。アド用波長選択スイッチ143#Xは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ143#Xは、方路Xへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Xも、波長λiを選択するように制御される。この結果、端局Aから出力される光信号Aiは、方路XのWDM光信号に挿入される。
同様に、光カプラ142#Y−1は、光信号Biを他の波長の光信号と共にアド用波長選択スイッチ143#Yに導く。アド用波長選択スイッチ143#Yは、波長λiを選択するように制御される。このとき、アド用波長選択スイッチ143#Yは、方路Yへ出力する他の波長も合わせて選択することができる。また、波長選択スイッチ102#Yも、波長λiを選択するように制御される。この結果、端局Bから出力される光信号Biは、方路YのWDM光信号に挿入される。
このように、図25および図27に示す第2の実施例の光分岐挿入装置においては、異なる方路に出力する光信号Ai、Biは、光クロスコネクト141の異なるポートから出力され、異なる経路を介して対応する方路に導かれる。したがって、光分岐挿入装置は、複数の同じ波長の光信号をそれぞれ所望の方路に出力することができる。すなわち、上述したColorless、Directionlessに加えてContentionlessも実現される。
図28および図29は、第3の実施例の構成を示す図である。第3の実施例の光分岐挿入装置は、第1の実施例と類似の構成を有している。ただし、第3の実施例においては、第1の実施例の光スプリッタ101および波長選択スイッチ102の代わりに、波長選択スイッチ201および波長選択スイッチ202が使用される。
波長選択スイッチ201は、15以上の出力ポートを備える。7つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ他の方路に導かれる。このとき、波長選択スイッチ201は、入力WDM光信号の全ての波長を選択して他の方路に導くようにしてもよい。また、他の8つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ光カプラ112#1〜112#8に導かれる。このとき、波長選択スイッチ201は、端局が要求する光信号の波長のみを選択するようにしてもよい。
波長選択スイッチ202は、15以上の入力ポートを備える。7つの入力ポートには、それぞれ他の方路から入力されるWDM光信号が導かれる。また、他の8つの入力ポートには、それぞれ光スプリッタ123#1〜123#8から出力される光信号が導かれる。
このように、第3の実施例の光分岐挿入装置は、図25〜図26に示す第1の実施例と比較すると、ドロップ用波長選択スイッチ111#1〜111#8、およびアド用波長選択スイッチ124#1〜124#8を備える必要はない。また、波長選択スイッチ201、202のポート数を増やせば、光分岐挿入装置は、より多くの方路を有することができる。
図30は、第4の実施例の構成を示す図である。第4の実施例の光分岐挿入装置は、第2の実施例と類似の構成を有している。なお、波長選択スイッチ201および波長選択スイッチ202は、第3の実施例と同様であり、図28に示す通りである。
第4の実施例では、波長選択スイッチ201の7つの出力ポートから出力される光信号はそれぞれ他の方路に導かれ、他の8つの出力ポートから出力される光信号は、それぞれ対応する8個の光スプリッタ132#1−1〜132#8−8に導かれる。また、波長選択スイッチ202の7つの入力ポートにはそれぞれ他の方路のWDM光信号が導かれ、他の8つの入力ポートには、それぞれ対応する光カプラ142#1−1〜142#8−8の出力光信号が導かれる。このように、第4の実施例においても、光分岐挿入装置は、ドロップ用波長選択スイッチ131#1〜131#8、およびアド用波長選択スイッチ143#1〜143#8を備える必要はない。
<光アンプの配置>
実施形態の光分岐挿入装置においては、光デバイス(波長選択スイッチ、光クロスコネクト、光カプラ、光スプリッタ、チューナブルフィルタ、MUX/DMUX等)で損失が発生する。この損失に起因して、例えば、受信器の光信号対雑音比特性が劣化し、伝送特性が劣化する。したがって、光分岐挿入装置の構成によっては、光デバイスの損失を補償するために、伝送路用の光アンプの他に光分岐挿入装置内に光アンプを設けることが好ましい。なお、伝送路用の光アンプは、例えば図2においては光アンプ11E、11Wに相当し、受信WDM光信号を増幅するポストアンプおよび送信WDM光信号を増幅するプリアンプとして動作する。以下、伝送路用の光アンプの他に設ける光アンプ(損失補償光アンプ)について検討する。
光アンプは、一般的には、以下の要因を考慮して配置される。
(1)パワー制約
(2)利得レンジ
光アンプの総パワーは、例えば、標準品で+19dBm以下、ハイエンドで+22dBm以下である。光アンプの利得は、例えば、標準品で30dB以下、ハイエンドで35dB以下である。光ノード内の光信号対雑音比は、光アンプの利得およびNF(Noise Figure)に基づいて算出される。
なお、光伝送路の非線形効果の制約を満たすためには、光ノードの出力光パワー(すなわち、伝送路光ファイバの入力端での光パワー)は、信号のビットレート、ネットワークシステムのスパン数等に基づいて設計されることが好ましい。一例としては、光ノードの出力光パワーは、+2.0dBm程度に設定される。
図25、図26に示す光分岐挿入装置においては、パターン1として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光カプラ112と波長デマルチプレクサ113との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、波長マルチプレクサ122と光スプリッタ123との間に設けられる。また、パターン2として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光スプリッタ101とドロップ用波長選択スイッチ111との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、アド用波長選択スイッチ124と波長選択スイッチ102との間に設けられる。
図25、図27に示す光分岐挿入装置においては、パターン1として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、ドロップ用波長選択スイッチ131と光スプリッタ132との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、光カプラ142とアド用波長選択スイッチ143との間に設けられる。また、パターン2として光アンプは以下のように配置される。すなわち、ドロップ信号を増幅する光アンプは、光スプリッタ101とドロップ用波長選択スイッチ131との間に設けられる。アド信号を増幅する光アンプは、アド用波長選択スイッチ143と波長選択スイッチ102との間に設けられる。
いずれのケースにおいても、損失補償光アンプは、上述の要因を考慮して配置されることが好ましい。ただし、光分岐挿入装置の構成によっては、損失補償光アンプを設けない方が好ましいこともある。また、損失補償光アンプの配置および損失補償光アンプを設けるか否かは、光分岐挿入装置のコストを考慮して設計してもよい。
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記2)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトは、入力光信号を前記第1の方路へ出力するときは、前記入力光信号を前記第1の合波デバイスに導き、入力光信号を前記第2の方路へ出力するときは、前記入力光信号を前記第2の合波デバイスに導く
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記3)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記第1および第2の合波デバイスは、それぞれ、光カプラを備える
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記4)
付記3に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに対して、それぞれ指定された通過波長を有する複数の光フィルタをさらに備える
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記5)
付記3に記載の光分岐挿入装置であって、
前記光クロスコネクトの各出力ポートに対して、複数の入力ポートから導かれてくる複数の光信号を合波する光カプラが設けられている
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記6)
付記1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記第1および第2の合波デバイスは、それぞれ、波長マルチプレクサを備え、
前記波長マルチプレクサの複数の入力ポートには、互いに異なる通過波長が設定されており、
前記光クロスコネクトは、入力光信号を、前記入力光信号の波長に対応する波長マルチプレクサの入力ポートに導く
ことを特徴とする光分岐挿入装置。
(付記7)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される合波デバイスと、
前記合波デバイスの出力光信号から第1および第2の分岐光信号を生成する光スプリッタと、
前記第1の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記8)
光クロスコネクトと、
入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記9)
付記8に記載の光分岐挿入装置であって、
前記ドロップ信号生成部は、前記入力WDM光信号から2以上の波長を選択することで前記ドロップ光信号を生成する波長選択スイッチを備える
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記10)
付記9に記載の光分岐挿入装置であって、
前記波長選択スイッチは、前記入力WDM光信号から第1および第2の波長を選択することで前記ドロップ光信号を生成し、
前記複数の光フィルタの中の第1の光フィルタは、前記ドロップ光信号から前記第1の波長を抽出し、前記複数の光フィルタの中の第2の光フィルタは、前記ドロップ光信号から前記第2の波長を抽出する
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記11)
付記8に記載の光分岐挿入装置であって、
前記ドロップ信号生成部は、前記入力WDM光信号を分岐して前記ドロップ光信号として出力する
ことを特徴とする波長分岐挿入装置。
(付記12)
入力WDM光信号の中の2以上の波長を含むドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
入力ポートから入力される前記ドロップ光信号を分岐して複数の出力ポートに導く光クロスコネクトと、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記13)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
複数の光クロスコネクトと、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第1のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導く第1の光スプリッタと、
前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第2のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導く第2の光スプリッタと、
前記複数の光クロスコネクトから出力される前記第1および第2のドロップ光信号からそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する複数の光フィルタ、
を備える光分岐挿入装置。
(付記14)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部および前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を合波する光カプラと、
前記光カプラから出力される光信号を波長ごとに分波して複数の光信号を生成する波長デマルチプレクサと、
前記波長デマルチプレクサにより得られる複数の光信号の送信先を切り替える光クロスコネクト、
を備える光分岐挿入装置。
(付記15)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光アド方法であって、
光クロスコネクトの複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して第1の合波光信号を生成し、
前記光クロスコネクトの他の複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して第2の合波光信号を生成し、
前記第1の合波光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導き、
前記第2の合波光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く、
ことを特徴とする光アド方法。
(付記16)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光アド方法であって、
光クロスコネクトの複数の出力ポートから出力される複数の光信号を合波して合波光信号を生成し、
前記合波光信号から第1および第2の分岐光信号を生成し、
前記第1の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導き、
前記第2の分岐光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く、
ことを特徴とする光アド方法。
(付記17)
光分岐挿入装置において使用される光ドロップ方法であって、
入力WDM光信号からドロップ光信号を生成し、
前記ドロップ光信号を分岐して光クロスコネクトの複数の入力ポートに導き、
前記光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する、
ことを特徴とする光ドロップ方法。
(付記18)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置において使用される光ドロップ方法であって、
前記第1の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第1のドロップ光信号を分岐して複数の光クロスコネクトに導き、
前記第2の方路から入力されるWDM光信号の少なくとも一部を含む第2のドロップ光信号を分岐して前記複数の光クロスコネクトに導き、
前記複数の光クロスコネクトから出力される前記第1および第2のドロップ光信号からそれぞれ指定された波長の光信号を抽出する、
ことを特徴とする光ドロップ方法。
(付記19)
第1および第2の方路を有する光分岐挿入装置であって、
アド用光クロスコネクトと、
前記アド用光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記アド用光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチと、
ドロップ用光クロスコネクトと、
前記第1または第2の方路からの入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記ドロップ用光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記ドロップ用光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、
を有する光分岐挿入装置。
(付記20)
複数の光分岐挿入装置を備えるWDMネットワークシステムであって、
各光分岐挿入装置は、第1および第2の方路を有し、
各光分岐挿入装置は、
アド用光クロスコネクトと、
前記アド用光クロスコネクトの複数の出力ポートに接続される第1の合波デバイスと、
前記アド用光クロスコネクトの他の複数の出力ポートに接続される第2の合波デバイスと、
前記第1の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第1の方路へ導く第1の波長選択スイッチと、
前記第2の合波デバイスから出力される光信号の少なくとも一部を含むWDM光信号を生成して前記第2の方路へ導く第2の波長選択スイッチと、
ドロップ用光クロスコネクトと、
前記第1または第2の方路からの入力WDM光信号からドロップ光信号を生成するドロップ信号生成部と、
前記ドロップ光信号を分岐して前記ドロップ用光クロスコネクトの複数の入力ポートに導く光スプリッタと、
前記ドロップ用光クロスコネクトから出力される各ドロップ光信号からそれぞれ指定された波長を抽出する複数の光フィルタ、を有する
ことを特徴とするWDMネットワークシステム。
1 光分岐挿入装置
2 波長パス制御部
12E、12W 光スプリッタ
13E、13W 波長選択スイッチ
14E、14W ドロップ用波長選択スイッチ
15E、15W 光スプリッタ
16、22 光クロスコネクト
17#1〜17#n、21#1〜21#n チューナブルフィルタ
23E、23W 光カプラ
24E、24W アド用波長選択スイッチ
41 波長マルチプレクサ
42 合波デバイス
43 光カプラ
46 波長デマルチプレクサ
47 光カプラ