JP2012013531A - 金属酸化膜、酸素センサ、酸素透過膜及び固体酸化物燃料電池 - Google Patents

金属酸化膜、酸素センサ、酸素透過膜及び固体酸化物燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節可能な金属酸化膜、並びに、それを備える酸素センサ、酸素透過膜及び固体酸化物燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の金属酸化膜は、結晶粒の境界たる粒界を有するものであって、その表面で、且つ粒界に希土類元素が偏析しており、この希土類元素が、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種である。また、本発明の酸素センサは、上記金属酸化膜を有する。更に、本発明の酸素透過膜は、上記金属酸化膜を有する。また、本発明の固体酸化物燃料電池は、上記金属酸化膜を有する固体電解質体を備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属酸化膜、酸素センサ、酸素透過膜及び固体酸化物燃料電池に関する。
従来、固体酸化物燃料電池等の電気化学デバイスには、固体電解質体等の酸素透過性を有する部材(酸素透過性物質)が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
このような電気化学デバイス分野においては、あらゆる観点から研究が行われている。このことは、固体電解質体等の酸素透過性物質に関しても例外ではなく、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節可能なものが求められているのが現状である。
特開2003−263997号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節可能な金属酸化膜、並びに、それを備える酸素センサ、酸素透過膜及び固体酸化物燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]結晶粒の境界たる粒界を有する金属酸化膜であって、
その表面で、且つ前記粒界に希土類元素が偏析しており、
前記希土類元素が、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることを特徴とする金属酸化膜。
[2]表面に露出した前記結晶粒の縁部が隆起している前記[1]に記載の金属酸化膜。
[3]前記[1]又は[2]に記載の金属酸化膜を有することを特徴とする酸素センサ。
[4]前記[1]又は[2]に記載の金属酸化膜を有することを特徴とする酸素透過膜。
[5]前記[1]又は[2]に記載の金属酸化膜を有する固体電解質体を備えていることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
本発明の金属酸化膜によれば、その表面で、且つ粒界に特定の希土類元素が偏析しているため、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節することができる。
また、表面に露出した結晶粒の縁部が隆起している場合には、酸素透過性を増大させることができる。
本発明の酸素センサでは、本発明の金属酸化膜を有しているため、酸素透過性を調節することができ、感度を向上させることもできる。
本発明の酸素透過膜では、本発明の金属酸化膜を有しているため、酸素透過性を調節することができる。
本発明の固体酸化物燃料電池では、本発明の金属酸化膜を有する固体電解質体を備えているため、固体電解質体における酸素透過性を調節することができ、発電特性を向上させることもできる。
酸素透過特性の評価に用いた装置の模式的な説明図である。 各試験片における酸素透過特性を示すグラフである。 希土類元素を高酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−1の試験片)の高酸素分圧側の表面の微細組織に係るSEM写真による説明図である。 希土類元素を高酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−1の試験片)の低酸素分圧側の表面の微細組織に係るSEM写真による説明図である。 希土類元素を低酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−2の試験片)の高酸素分圧側の表面の微細組織に係るSEM写真による説明図である。 希土類元素を低酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−2の試験片)の低酸素分圧側の表面の微細組織に係るSEM写真による説明図である。 希土類元素を高酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−1の試験片)の断面を模式的に説明する説明図である。 希土類元素を高酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−1の試験片)の表面(高酸素分圧側)を模式的に説明する説明図である。 希土類元素を低酸素分圧側に偏析させた金属酸化膜(実験例3−2の試験片)の断面を模式的に説明する説明図である。 希土類元素を粒界に均一に分散させた金属酸化膜(実験例2の試験片)の断面を模式的に説明する説明図である。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]金属酸化膜
本発明の金属酸化膜は、結晶粒の境界たる粒界を有するものであって、その表面で、且つ粒界に希土類元素が偏析しており、この希土類元素が、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の金属酸化膜を構成する金属酸化物は、粒界を有するものであれば特に限定されない。即ち、多結晶の金属酸化物であればよい。具体的には、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ペロブスカイト等の金属酸化物が挙げられる。これらのなかでも、酸素透過性を抑制する観点からは、アルミナ、シリカであることがより好ましく、酸素透過性を増大させる観点からは、ジルコニア、ペロブスカイトであることがより好ましい。
上記希土類元素は、上記金属酸化膜の少なくとも一方の表面における粒界に偏析していればよく、特に金属酸化膜のいずれか一方の表面における粒界に偏析していることが好ましい(但し、希土類元素は、粒界の表面以外に存在していてもよい。)。この場合、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を容易に調節することができる。
この希土類元素は、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種である。特に、高温安定性、耐久性の観点から、Lu、Y、Euが好ましい。
上記希土類元素の偏析の程度は特に限定されないが、表面に露出している粒界上において、その厚さが0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μm、更に好ましくは0.1〜1μmである。この厚さが0.1〜10μmである場合、酸素透過性を十分に調節することができる。
また、上記希土類元素が金属酸化膜の表面で、且つ粒界に偏析していることは、X線回折、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)等により確認することができる。
更には、二次イオン質量分析(SIMS)等により希土類元素の定量分析を行うことができる。
また、上記金属酸化膜の厚さ及び形状等は特に限定されないが、この厚さは500μm以下であることが好ましく、より好ましくは100〜500μmである。この厚さが100〜500μmである場合、機械的強度により優れた金属酸化膜とすることができる。
また、本発明の金属酸化膜は、表面に露出した結晶粒の縁部が隆起しているものとすることができる。具体的には、図7に示すように、希土類元素(Lu)が一方の表面の粒界(91)に偏析しており、且つ同一表面において露出している結晶粒(9)の縁部が隆起しているものとすることができる。
この金属酸化膜がこのような形態である場合、酸素透過性をより増大させることができる。
また、本発明の金属酸化膜は、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節することができる。例えば、酸素ポテンシャル勾配下であって、高温(1000〜1700℃、特に1500〜1700℃)であり、且つ、高酸素分圧側表面における酸素ガスの分圧が10Paよりも低い雰囲気下(特に10−9〜10Pa、更には10−3〜1Pa)における酸素透過量を増大若しくは減少させることができる。
具体的には、片面側の表面の粒界に希土類元素が偏析している金属酸化膜を、上記酸素ポテンシャル勾配下において、希土類元素の偏析している面が高酸素分圧側となり、希土類元素の偏析していない面が低酸素分圧側となるように配置することで、金属酸化膜の厚み方向における酸素透過量を増大させることができる。
一方、片面側の表面の粒界に希土類元素が偏析している金属酸化膜を、上記酸素ポテンシャル勾配下において、希土類元素の偏析している面が低酸素分圧側となり、希土類元素の偏析していない面が高酸素分圧側となるように配置することで、金属酸化膜の厚み方向における酸素透過量を減少させることができる。
また、本発明の金属酸化膜を製造する方法は特に限定されないが、例えば、多結晶の金属酸化物から構成される基体の表面に、希土類元素を含有するコーティング液を公知の方法により塗布し、乾燥することによって製造することができる。
尚、表面に露出した結晶粒の縁部が隆起したものは、片面側の表面の粒界に希土類元素が偏析している金属酸化膜を、上述の酸素ポテンシャル勾配下において、希土類元素の偏析している面が高酸素分圧側となり、希土類元素の偏析していない面が低酸素分圧側となるように配置して、酸素ガスに曝すことで得ることができる。
[2]酸素センサ
本発明の酸素センサは、上記金属酸化膜を有することを特徴とする。この酸素センサは、上述の本発明の金属酸化膜を有しているため、酸素透過性を調節することができる。更には、酸素センサの感度を向上させることもできる。
尚、この酸素センサの構造は、上述の特定の金属酸化膜を備えていること以外は特に限定されず、公知の少なくとも一対の電極等を備える酸素センサと同様の構造とすることができる。
[3]酸素透過膜
本発明の酸素透過膜は、上記金属酸化膜を有することを特徴とする。この酸素透過膜は、上述の本発明の金属酸化膜を有しているため、酸素透過性を調節することができる。
尚、この酸素透過膜の構造は、上述の特定の金属酸化膜を備えていること以外は特に限定されず、公知の酸素透過膜と同様の構造とすることができる。また、本発明の酸素透過膜は、上記金属酸化膜から構成されていてもよい。
[4]固体酸化物燃料電池
本発明の固体酸化物燃料電池(SOFC)は、上記金属酸化膜を有する固体電解質体を備えていることを特徴とする。この固体酸化物燃料電池は、上述の本発明の金属酸化膜を有する固体電解質体を備えているため、固体電解質体における酸素透過性を調節することができる。更には、SOFCの発電特性を向上させることもできる。
尚、この固体酸化物燃料電池の構造は、上述の特定の固体電解質体を備えていること以外は、公知の燃料極及び空気極等を備える固体酸化物燃料電池と同様の構造とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[1]各試験片(金属酸化膜)の作製
(1−1)アルミナ(Al)からなり、希土類元素(Lu)を有していない試験片の作製
Al粉末(大明化学工業社製、商品名「TM−DAR、純度99.99%以上)を圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。その後、大気雰囲気下において、温度1500℃で5時間焼成した。次いで、直径23.5mm、厚さ0.25mmに切削加工し、多結晶アルミナから構成される試験片(以下、「実験例1」という。)を作製した。尚、この実験例1の試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
(1−2)アルミナを母体としており、その粒界に希土類元素(Lu)が均一に分散している試験片の作製
Al粉末(大明化学工業社製、商品名「TM−DAR、純度99.99%以上)と、硝酸ルテチウム水和物[Lu(NO)・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.999%以上]とを、Al粉末及びLu化合物粉末(Lu換算)の合計を100モル%とした場合に、Lu化合物粉末が0.2モル%となる配合割合で、ボールミル混合を行った。尚、Al粉末は乾燥後、700〜900℃で2時間仮焼したものを用いた。また、硝酸ルテチウム水和物は、分散溶液(水/エタノール)に分散させたものをボールミル混合に用いた。
次いで、圧力20MPaでプレス成形した後、圧力250MPaでCIP成形した。その後、大気雰囲気下において、温度1500℃で5時間焼成した。次いで、直径23.5mm、厚さ0.25mmに切削加工し、試験片(以下、「実験例2」という。)を作製した。尚、この実験例2の試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
(1−3)アルミナを母体としており、その一方の表面で、且つ粒界に希土類元素(Lu)が偏析している試験片の作製
まず、純水と、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量;630000)と、硝酸ルテチウム水和物[Lu(NO)・xHO、シグマ−アルドリッチ社製、純度99.999%以上]とを、265:1:1(モル比)で混合し、24時間撹拌することにより、コーティング液を調製した。
一方、上記(1−1)と同様にして、多結晶アルミナからなる基体(直径23.5mm、厚さ0.25mm)を製作した後、エキシマランプ(波長172nm)を照射して表面処理を行った。
そして、表面処理された基体の一方の表面上に、上記コーティング液をスピンコートした。次いで、温度1000℃で10分間、熱処理を行うことにより、一方の表面に希土類元素(Lu)がコーティングされた試験片(以下、「実験例3」という。)を作製した。
[2]酸素透過特性の評価及び結果
上記[1]で作製した実験例1〜3の各試験片における低酸素分圧下(1Pa)における酸素透過特性を以下のようにして評価した。
測定装置として、ガス透過特性評価装置100(図1参照、各々のガスは矢印の方向に流れる。)を用いた。具体的には、2本のアルミナ保護管の間にPtシールリング21、22を介して試験片3を配置し,上側のアルミナ保護管11に対して錘にて一定荷重を加え、試験片3とPtシールリング21、22との間に面圧を付加した。その後、試験片3の両側に100cc/分の流速で高純度Arガスを供給した。ここで、Ptシールリング21、22と試験片3との間のガスリークの影響を防止するため、上下のアルミナ保護管11、12の外側に、更にアルミナ保護管(外側アルミナ保護管13)を配置し、外側と内側の保護管の間にも同一流速にて高純度Arガスを供給した。また、高純度Arガスは、Arガス供給配管4を、ドライアイスが投入されたエタノール浴(冷却浴槽5)中を通過させて−72℃まで冷却することにより、供給するArガス中に不純物として含まれる水蒸気量の低減を図った。
その後、上下のチャンバーの酸素分圧を、それぞれ酸素センサ(ジルコニアセンサ)61、62により計測しながら、電気炉8により1650℃まで昇温させてPtシールリング21、22によるシールを完成させ、次いで、この温度(1650℃)にて酸素分圧の計測を、酸素センサ61、62を700℃に保持して実施した。その後、各々のセンサの出力が一定となった時点で、上下チャンバーの平衡酸素分圧を計測した(平衡酸素分圧;1Pa)。そして、その値をバックグラウンド値とした。
尚、実験例3の試験片を酸素ポテンシャル勾配に曝す直前における希土類(Lu)濃化層(希土類コーティング面)の状態を把握するため、別途、この段階で処理を中断して取り出した試験片を二次イオン質量分析(SIMS)で測定した。その結果、Luが濃化されている層の厚さは、高速拡散経路である粒界に拡散した領域をも含めて1μm程度であった。
次いで、上側チャンバーの供給ガスを低酸素分圧ガス(0.01〜1体積%のHガスを含有するArガスであり、下側チャンバーに供給される高純度Arガスより更に酸素分圧が低い。尚、Hガス量はガスクロマトグラフィ7により測定する。)に切り替え、100cc/分の流速で供給し、上下チャンバーの酸素分圧の変化をモニターした。その後、それぞれのセンサの出力が一定となった時点で、ガス透過量が定常状態に達したと判断し、下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測した。次いで、バックグラウンド値との差分から、下側チャンバーにおけるガス置換前後の酸素分圧の変化量(ΔPO2)を計測した。
そして、各試験片を構成する多結晶アルミナにおける酸素透過は主に粒界を介して進行するため、各試験片におけるガス置換前後の酸素分圧の変化量(ΔPO2)、粒界密度(Sgb)、及び、試験片の厚さ(L)を用いて規格化した酸素ガス透過特性値[ΔPO2・L/Sgb(但し、Sgbは単位面積当たりの粒界総長を示す。この粒界総長は組織写真で粒界スケッチを行い、画像解析にて導出したものである。)]を求め、その結果を図2に示した。この値の絶対値により各試験片の酸素透過性を評価した。尚、この絶対値が大きくなる程、酸素透過性が高いといえる。
但し、本発明の実施例である実験例3の試験片においては、希土類元素(Lu)が偏析している面を高酸素分圧側(下側チャンバー側)に配置した場合(以下、「実験例3−1」という。)、及び、希土類元素(Lu)が偏析している面を低酸素分圧側(上側チャンバー側)に配置した場合(以下、「実験例3−2」という。)の両方について計測した。
図2のグラフによれば、実験例2(アルミナが母体であって、その粒界に希土類元素(Lu)が均一に分散している試験片)の酸素透過特性は、ブランクである実験例1(アルミナからなり、希土類元素をドープしていない試験片)と対比すると、酸素の透過を遮蔽する側(図2の上側)にシフトしていることが確認できた。
一方、実験例3−1(アルミナが母体であって、その一表面で、且つ粒界に希土類元素(Lu)が偏析しており、希土類元素の偏析している面が高酸素分圧側に配置された試験片)の酸素透過特性は、実験例1と対比すると、上述の実験例2とは反対に、酸素の透過を増大する側(図2の下側)にシフトしていることが確認できた。
また、実験例3−2(アルミナが母体であって、その一表面で、且つ粒界に希土類元素(Lu)が偏析しており、希土類元素の偏析している面が低酸素分圧側に配置された試験片)の酸素透過特性は、実験例1と対比すると、上述の実験例2と同様に、酸素の透過を遮蔽する側(図2の上側)にシフトしていることが確認できた。
尚、酸素ポテンシャル勾配に曝した後の実験例3の試験片における希土類(Lu)濃化層の状態を把握するため、別途、この段階で処理を中断して取り出した試験片を二次イオン質量分析(SIMS)で測定した。その結果、Luが濃化されている層の厚さは、粒界拡散した領域をも含めて1〜2μm程度であり、酸素ポテンシャル勾配に曝す前から大きく変化していないことを確認した。即ち、希土類(Lu)濃化層は試験片厚さに比べて極めて薄いことを確認した。
また、本発明の実施例に相当する実験例3の試験片において、希土類元素が偏析(濃化)している面を高酸素分圧側(下側チャンバー側)に配置した場合(実験例3−1)、及び、希土類元素が偏析している面を低酸素分圧側(上側チャンバー側)に配置した場合(実験例3−2)の両方について、上記ガス透過特性評価装置を使用し、下側チャンバーを高酸素分圧側(ガス;高純度Arガス、酸素分圧;1Pa)、上側チャンバーを低酸素分圧側(ガス;Arガスと2体積%のHガスとの混合ガス、酸素分圧;10−8Pa)として、1650℃で10時間加熱処理した場合の、それぞれの試験片の表面(高酸素分圧側の表面、及び低酸素分圧側の表面)を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。これらの観察結果を図3〜図6に示す。
その結果、実験例3−1(希土類元素の偏析している面が高酸素分圧側に配置された試験片)の高酸素分圧側の表面では、図3に示すように、結晶粒の縁部の隆起が観察された。一方、実験例3−1の低酸素分圧側の表面では、図4に示すように、深い粒界溝が観察された。これは、図7及び図8に示すように、高酸素分圧側における希土類元素が、酸素ガスを集める効果(ガスレンズとしての効果)を備えており、試験片の表面(高酸素分圧側の表面)に近いほど酸素濃度が濃くなり、その表面における酸素濃度の濃化によって、Al成分の移動が誘発されているからではないかと推察される。そして、Al成分の移動によって、高酸素分圧側の表面においては、母体を構成するアルミナ結晶粒の縁部の隆起が生じ、低酸素分圧側の表面においては深い粒界溝が生じると考えられる。
また、実験例3−2(希土類元素の偏析している面が低酸素分圧側に配置された試験片)では、図5及び図6に示すように、高酸素分圧側、低酸素分圧側ともに、一般に観察される粒界のサーマルエッチングの様相を呈しており、結晶粒の縁部の隆起及び深い粒界溝等は観察されなかった。これは、図9に示すように、酸素の脱着を生じるのみであり、Al成分の移動をともなわないため、試験片の表面における結晶粒の縁部の隆起及び深い粒界溝等は観察されず、通常の粒界部のサーマルエッチングの様相を呈しているものと推定される。更に、図2の結果も考慮すると、低酸素分圧側における表面の粒界においては、希土類元素による物質移動抑制効果が現れており、希土類元素(Lu)を添加していない実験例1よりも減少しているものと考えられる。
尚、実験例2(粒界に希土類元素が均一に分散している試験片)では、上記実験例3−2よりも酸素透過量が減少していたが(図2参照)、これは、図10に示すように、母体内部の粒界に均一で、且つより多く存在する希土類元素の物質移動抑制効果によるものと推察できる。
以上のことから、酸素ポテンシャル勾配下[高温(1650℃)であり、且つ酸素分圧が1Pa未満]において、金属酸化膜の表面で且つ粒界に希土類元素を偏析させ、その偏析させた側の面を、高酸素分圧側及び低酸素分圧側のいずれかに配置するかによって、酸素透過特性を調節できることが分かった。具体的には、金属酸化膜において希土類元素が偏析している面を高酸素分圧側に配置することで、即ち、希土類元素が偏析していない面を低酸素分圧側に配置することで、金属酸化膜の厚み方向における酸素透過量を増大させることができることが分かった。
一方、金属酸化膜において希土類元素が偏析している面を低酸素分圧側に配置することで、即ち、希土類元素が偏析していない面を高酸素分圧側に配置することで、金属酸化膜の厚み方向における酸素透過量を減少させることができることが分かった。
本発明の金属酸化膜は、酸素ポテンシャル勾配下における酸素透過性を調節することができるため、酸素センサやSOFC等の電気化学デバイス分野において好適に利用することができる。更には、腐食ガスの透過を抑える環境バリアコーティングを必要とする各種の耐熱部材においても利用することができる。
100;ガス透過特性評価装置、11;上側アルミナ保護管、12;下側アルミナ保護管、13;外側アルミナ保護管、21、22;Ptシールリング、3;円板状試片、4;Arガス供給配管、5;冷却浴槽、61、62;酸素センサ、7;ガスクロマトグラフィ、8;電気炉、9;結晶粒、91;粒界。

Claims (5)

  1. 結晶粒の境界たる粒界を有する金属酸化膜であって、
    その表面で、且つ前記粒界に希土類元素が偏析しており、
    前記希土類元素が、Y、Sm、Eu、Tm及びLuのうちの少なくとも1種であることを特徴とする金属酸化膜。
  2. 表面に露出した前記結晶粒の縁部が隆起している請求項1に記載の金属酸化膜。
  3. 請求項1又は2に記載の金属酸化膜を有することを特徴とする酸素センサ。
  4. 請求項1又は2に記載の金属酸化膜を有することを特徴とする酸素透過膜。
  5. 請求項1又は2に記載の金属酸化膜を有する固体電解質体を備えていることを特徴とする固体酸化物燃料電池。
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