JP2012011707A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a−1)結合材、(a−2)中空粒子、及び(a−3)熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)以下である粉粒体を含み、各成分の比率が(a−1)成分の固形分100重量部に対し、(a−2)成分1〜200重量部、(a−3)成分450〜1500重量部である断熱層と、装飾性被覆材によって多色模様が形成された装飾層を積層する。
【選択図】なし
Description
また、一方では、景観上の観点から美観性が求められており、建築物、土木構築物等の外装面に、多色性に富む材料が施されることが多くなってきている。(例えば、特許文献1、特許文献2等)
1.断熱層と装飾層が積層された積層体であって、
上記断熱層は、(a−1)結合材、(a−2)中空粒子、及び(a−3)熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)以下である粉粒体を含み、各成分の比率が(a−1)成分の固形分100重量部に対し、(a−2)成分1〜200重量部、(a−3)成分450〜1500重量部であり、
上記装飾層は、装飾性被覆材によって多色模様が形成されたものであることを特徴とする積層体。
本発明の断熱層は、(a−1)結合材(以下、「(a−1)成分」ともいう。)、(a−2)中空粒子(以下、「(a−2)成分」ともいう。)、(a−3)熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)である粉粒体(以下、「(a−3)成分」ともいう。)を含むものである。
また、無機質結合材としては、例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイダル金属酸化物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等の水溶性ケイ酸アルカリ金属塩、ポルトランドセメント、アルミナセメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント等の各種セメント等が挙げられる。
(a−1)成分としては、これら有機質結合材、無機質結合材のうち1種または2種以上を混合して用いることができる。(a−1)成分としては、特に、有機質結合材が好適である。
(a−2)成分としては、例えば、中空セラミック粒子、中空樹脂粒子等が挙げられる。中空セラミック粒子を構成するセラミック成分としては、例えば、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、フライアッシュ、アルミナ、シラス、黒曜石等が挙げられる。中空樹脂粒子を構成する樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、アクリル−アクリロニトリル−メタアクリロニトリル共重合樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合樹脂等が挙げられる。中空粒子は、これらの成分を公知の方法で発泡させることにより得られる。
通常、最表面で発生した熱は内部(断熱層側)へと伝わっていく。このとき、内部が断熱性の高い材料である場合、最表面で発生した熱が逃げ場を失い、表面側の被膜の劣化を引き起こすおそれがある。一方、内部が熱伝導性の高い材料である場合は、最表面で発生した熱が内側へと伝わってしまい、基材や屋内等の温度が上昇しやすくなる。特に、最表面が多色模様である場合、多色模様のうち最も明度の低い色相部位にて温度が上昇し、上述のような不具合が生じやすくなる。
これに対し、本発明では、(a−3)成分を高比率で用いることによって、断熱層内部に、空隙が多数形成される。また、断熱層内部には、(a−2)成分による中空部も形成される。一方、断熱層の表層部では、(a−3)成分が連結した形態となりやすくなる。
本発明では、このような断熱層の作用によって、装飾層から受ける熱が、断熱層表層部で効率よく移動・拡散され、内側方向には伝わり難くなる。そのため、被膜劣化を抑制する効果、温度上昇を抑制する効果等が奏されるものと考えられる。
(a−3)成分としては、上記熱伝導性を有する材料が使用できるが、具体的には、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。
さらに、本発明では、(a−3)成分のうち、平均粒子径が0.1〜50μmである粉粒体が1重量%以上(より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上)含まれることにより、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
本発明における断熱層は、上述の成分を均一に混合して得られる断熱組成物によって形成することができる。
本発明積層体における装飾層は、装飾性被覆材によって多色模様が形成されたものである。このような装飾性被覆材としては、多色模様が形成可能なものであれば、特に制限されず使用することができる。なお、ここに言う多色模様とは、少なくとも2色以上の色彩が視認可能な状態で混在する模様のことである。
石材調仕上塗材は、骨材の発色によって多色模様が形成可能な塗材であり、構成成分として合成樹脂エマルション及び骨材を必須成分とする塗材である。このうち、合成樹脂エマルションとしては、例えば酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。
骨材は、合成樹脂エマルションの固形分100重量部に対し、好ましくは100〜4000重量部、より好ましくは150〜3000重量部、さらに好ましくは200〜2000重量部の比率で混合する。骨材の混合比率がこのような範囲内であれば、形成被膜の意匠性、ひび割れ防止性等の点において好適である。
多彩模様塗料は、液状またはゲル状の2色以上の色粒が分散媒に懸濁したものである。これらは水中油型(O/W型)、油中水型(W/O型)、油中油型(O/O型)、水中水型(W/W型)に分類することができる。このうち、水中油型(O/W型)及び水中水型(W/W型)の多彩模様塗料については、いずれも分散媒が水性であり、環境面等において好ましいものである。
着色塗料中の樹脂としては、塗料のビヒクルとして作用するものであればよく、公知の樹脂を特に制限なく使用することができる。このような樹脂としては、例えば、アクリル、ウレタン、酢酸ビニル、アクリル酢酸ビニル、アクリルウレタン、アクリルシリコン、フッ素、ポリビニルアルコール、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸誘導体、セルロース誘導体等が挙げられる。これら樹脂の形態は、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、水溶性樹脂、水分散性樹脂等のいずれであってもよい。また、これら樹脂は、硬化剤や硬化触媒によって架橋可能な官能基を有するものであってもよい。
色粒の粒子径や形状は、適宜設定することができる。具体的には、製造時における攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、着色塗料の粘性、分散安定剤の添加方法や濃度、水性分散媒の粘性等を適宜選択・調整すればよい。
色粒の粒子径は、特に限定されないが、通常0.01〜10mm(好ましくは0.1〜5mm)程度である。
本発明の積層体は、上記断熱層、装飾層が積層されたものであり、建築物における外壁、屋根、屋上等の基材に対して適用できる。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、磁器タイル、木材、合板、有機フォーム板、押出成形板、金属板等が挙げられる。このような基材に本発明積層体を適用することにより、基材の上に、断熱層、及び装飾層が順に積層された形態となる。
(1)基材に断熱組成物を塗装後、装飾性被覆材を塗装する方法
(2)予め断熱層・装飾層からなる積層体を製造しておき、該積層体を基材に貼着する方法
等の方法を採用することができる。
上記(1)において、断熱組成物、装飾性被覆材を塗装する方法としては、刷毛、ローラー、こて、スプレーガン等の塗装器具を使用すればよい。上記(2)における積層体の製造は、公知の方法を採用することができる。また、上記(2)において、積層体を基材に貼着する際には、公知の接着剤、粘着剤等を用いて貼着すればよい。
表1に示す配合にて、各原料を常法で均一に混合し、断熱組成物を得た。なお、断熱組成物の製造においては、以下の原料を使用した。
・結合材1:アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度30℃)
・中空粒子1:閉気泡型中空樹脂ビーズ(アクリル−アクリロニトリル共重合樹脂、平均粒子径45μm、密度0.025g/cm3)
・中空粒子2:真球状ガラスバルーン(平均粒子径40μm、密度0.45g/cm3)
・粉粒体1:酸化亜鉛粒子(平均粒子径0.3μm、熱伝導率21W/(m・K))
・粉粒体2:酸化亜鉛粒子(平均粒子径11μm、熱伝導率21W/(m・K))
・粉粒体3:酸化チタン粒子(平均粒子径0.3μm、熱伝導率13W/(m・K))
・粉粒体4:酸化チタン粒子(平均粒子径0.5μm、熱伝導率13W/(m・K))
・粉粒体5:炭酸カルシウム粒子(平均粒子径30μm、熱伝導率5W/(m・K))
・粉粒体6:炭酸カルシウム粒子(平均粒子径100μm、熱伝導率5W/(m・K))
・粉粒体7:アルミニウム粒子(平均粒子径20μm、熱伝導率214W/(m・K))
・添加剤:消泡剤、分散剤等
(多彩模様塗料1の製造)
・黒色粒子分散液1
まず、容器内にアクリル樹脂エマルションを85.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤8.3重量部、水5.7重量部、ゲル化剤として硫酸アルミニウム0.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより、水性分散媒1を製造した。
次に、別の容器内にアクリル樹脂エマルションを40.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤4.0重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液12.0重量部、ゲル形成物質としてカルボキシメチルセルロース2重量%水溶液43.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより黒色水性塗料1を製造した。
上述の水性分散媒1(100重量部)に対し、黒色水性塗料1を100重量部加えて分散(攪拌羽根の回転速度;600rpm)することにより、粒径約2mmの黒色粒子が分散した黒色粒子分散液1を得た。
容器内にアクリル樹脂エマルションを40.0重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤4.0重量部、酸化チタン60重量%分散液3.5重量部、黄色酸化鉄60重量%分散液11.5重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液0.2重量部、弁柄60重量%分散液1.5重量部、ゲル形成物質としてカルボキシメチルセルロース2重量%水溶液43.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより褐色水性塗料1を製造した。
上述の水性分散媒1(100重量部)に対し、褐色水性塗料1を100重量部加えて分散(攪拌羽根の回転速度;1600rpm)することにより、粒径約1mmの褐色粒子が分散した褐色粒子分散液1を得た。
上記方法で得られた多彩模様塗料1の100重量部に対し、ガラス質骨材(ガラス粉粒体、平均粒子径0.5mm)22重量部を均一に混合し、多彩模様塗料2を得た。この多彩模様塗料2におけるガラス質骨材の比率は18重量%である。
ガラス不織布の上に、表1に示す断熱組成物1を、乾燥膜厚が約2.0mmとなるように塗付し、温度50℃下で1時間硬化させた。次に、多彩模様塗料1を、乾燥膜厚が約0.5mmとなるように塗付し、温度50℃下で1時間硬化させ、積層体(300mm×150mm×2.5mm)を得た。
スレート板(300mm×150mm)の上に、接着剤を介して積層体を貼り付け、試験体を得た。この試験体の装飾層に対し、赤外線ランプ(出力250W)を40cmの距離から照射し、試験体裏面の温度を測定した。評価は、温度が65℃未満であったものを「A」、65℃以上70℃未満であったものを「B」、70℃以上75℃未満であったものを「C」、75℃以上であったものを「D」とした。
試験1と同様の方法で得られた試験体について、赤外線ランプ(出力250W)を60cmの距離から8時間照射した後、23℃の水に16時間浸漬するサイクルを、合計10サイクル行った後、その外観変化を目視にて観察した。評価は、異常(膨れ、剥れ、浮き等)が認められなかったものを「A」、一部に異常が認められたものを「B」、明らかに異常が認められたものを「C」として行った。
断熱組成物、装飾性被覆材として、表2に示すものをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様の方法で積層体を作製し、実施例1と同様の試験を行った。
試験結果を表2に示す。試験例1〜7は概ね良好な結果を示した。
Claims (1)
- 断熱層と装飾層が積層された積層体であって、
上記断熱層は、(a−1)結合材、(a−2)中空粒子、及び(a−3)熱伝導率が0.2〜50W/(m・K)以下である粉粒体を含み、各成分の比率が(a−1)成分の固形分100重量部に対し、(a−2)成分1〜200重量部、(a−3)成分450〜1500重量部であり、
上記装飾層は、装飾性被覆材によって多色模様が形成されたものであることを特徴とする積層体。
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