JP2012011605A - 樹脂被覆金属板 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形高さの高い深絞りのような非常に厳しい成形が可能であり、成形後の有機溶剤を用いた洗浄に耐えうるように、高い成形性と耐溶剤性を両立させた樹脂被覆金属板を提供する。
【解決手段】金属板の表面に、厚さ2〜22μmであり、硬化剤としてイソシアヌレートを含有し、ガラス転移温度50〜100℃のポリエステル系樹脂からなる樹脂層が形成した樹脂被覆金属板とした。さらに樹脂として数平均分子量が15000〜25000のポリエステル系樹脂を用いた。
【選択図】なし
【解決手段】金属板の表面に、厚さ2〜22μmであり、硬化剤としてイソシアヌレートを含有し、ガラス転移温度50〜100℃のポリエステル系樹脂からなる樹脂層が形成した樹脂被覆金属板とした。さらに樹脂として数平均分子量が15000〜25000のポリエステル系樹脂を用いた。
【選択図】なし
Description
本発明は成形高さの高い深絞りのような非常に厳しい成形が可能であり、成形後の有機溶剤を用いた洗浄に耐えうる、高い成形性と耐溶剤性を有する樹脂被覆金属板に関する。
樹脂被覆金属板に高い成形性を付与する方法として、樹脂層に伸びが大きい高分子ポリエステルを用いることが行われている。さらに硬化剤としてイソシアネートを用いることにより、メラミンやフェノールなどを用いた場合より樹脂層の伸びが大きく、より柔軟で金属板の成形に対する追従性が優れた、言い換えれば成形性に優れた樹脂被覆金属板を得ることができる。
このように、高分子ポリエステルを用いた樹脂被覆金属板の例として例えば、特許文献1には、軟化開始温度が30℃以上の下塗り塗膜及び軟化開始温度が30℃以下の上塗り塗膜が鋼板表面に積層されており、下塗り塗膜は、エポキシ樹脂を樹脂ベースとする塗料で形成され、上塗り塗膜は、ネオペンチルグリコール及び1、6-ヘキサンジオールを主体とする多価アルコールとシクロヘキサンジカルボン酸を主体とする多塩基酸からなるポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であるウレタン樹脂を樹脂ベースとする塗料で形成される塗装鋼板が開示されている。
特許文献2には(A)水酸基含有樹脂とブロックイソシアネート硬化剤を含有する皮膜形成樹脂組成物、(B)アルデヒド化合物吸着能を有する窒素含有化合物で表面処理された無機化合物、及び(C)リン酸チタニウム系化合物を、(A)成分100質量部に対して(B)成分0.1〜10質量部及び(C)成分0.1〜10質量部の割合で、含有することを特徴とするプレコート用熱硬化型塗料組成物とそれを金属板に塗装して得られるプレコート金属板が開示されている。さらに(A)成分に含まれる水酸基含有樹脂として、水酸基価が5〜200mgKOH/g、数平均分子量が1000〜20000である水酸基含有ポリエステル樹脂が開示されている。
特許文献3には金属基材の表裏両面に、(A)水酸基含有塗膜形成性樹脂、(B)架橋剤及び(C)防錆顔料混合物を含有する塗料組成物防錆塗料組成物による防錆塗膜層が形成されてなる塗膜形成金属材であって、該防錆顔料混合物(C)が、該樹脂(A)及び該架橋剤(B)の合計固形分100質量部に対して、(1)五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム及びメタバナジン酸アンモニウムのうちの少なくとも1種のバナジウム化合物3〜50質量部、(2)金属珪酸塩3〜50質量部及び(3)リン酸系カルシウム塩3〜50質量部、からなる塗膜形成金属材が開示されている。そして、樹脂(A)として水酸基含有エポキシ樹脂が、架橋剤(B)としてブロック化されていてもよいポリイソシアネート化合物が開示されている。しかしながら、これらの特許文献に開示される樹脂被覆金属板は、いずれも成形性には優れるものの耐溶剤性が不足しており、成形後の有機溶剤を用いた洗浄において樹脂層が溶解し、成形品同士がひっつくなどして、樹脂層に欠損が発生することがあった。
一方で樹脂層をさらに硬化させるため、ポリエステル樹脂の硬化剤としてメラミン樹脂やフェノール樹脂を用いることが考えられるが、これらの硬化剤にて硬化させたポリエステル樹脂の耐溶剤性は向上するものの樹脂層の伸びが小さくなり、金属板の成形に対する追従性が低下して、樹脂被覆金属板としての成形性が低下する。
本発明は成形高さの高い深絞りのような非常に厳しい成形が可能であり、成形後の有機溶剤を用いた洗浄に耐えうるように、高い成形性と耐溶剤性を両立させることを課題とする。
すなわち、金属板の表面に、厚さ2〜22μmであり、硬化剤としてイソシアヌレートを含有し、ガラス転移温度50〜100℃のポリエステル系樹脂からなる樹脂層が形成されていることを特徴とする樹脂被覆金属板。
数平均分子量が15000〜25000のポリエステル系樹脂を用いることを特徴とする前記の樹脂被覆金属板。
イソシアヌレートがトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体から少なくともいずれか1種類を含むことを特徴とする前記の樹脂被覆金属板。
成形高さの高い深絞りのような非常に厳しい成形が可能であり、成形後の有機溶剤を用いた洗浄に耐えうるように、高い成形性と耐溶剤性を両立させた樹脂被覆金属板である。
本発明はイソシアネートを硬化剤とするポリエステル樹脂を用いた樹脂被覆金属板であるが、このポリエステル樹脂の分子量とガラス転移温度を規定するとともに硬化剤を従来のイソシアネート一般ではなく、イソシアヌレートとすることにより、高い成形性と耐溶剤性を両立させうることを見出したものである。
本発明の樹脂層を構成する樹脂はポリエステル系樹脂でなければならない。ポリエステル系樹脂以外の樹脂では樹脂層の伸びが不足し、十分な成形性が得られないからである。ポリエステル系樹脂としてはいわゆるオイルフリーポリエステル樹脂が好ましい。オイルフリーポリエステル樹脂は多塩基酸と多価アルコールがエステル結合した樹脂である。多塩基酸としては無水フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などがあり、多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどがある。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は50〜100℃でなければならない。50℃未満ではポリエステル系樹脂が柔らかすぎて十分な強度がないため成形性が劣り、100℃を超えるとポリエステル系樹脂が硬すぎて柔軟性が不足し、成形性が劣る。なお、硬化剤の種類や樹脂層形成条件によって、ガラス転移温度が変わる場合があるので、本発明のガラス転移温度は金属板に形成した樹脂層にて測定した値で規定している。樹脂被覆金属板の樹脂層のガラス転移温度は、例えば、熱機械分析装置にて測定可能である。
ポリエステル系樹脂の数平均分子量は15000〜25000が好ましい。15000未満では樹脂層の伸びが比較的小さく、形状によっては十分な成形性が得られない場合がある。また、 25000を超えると金属板の表面状態によっては樹脂層と金属板の密着性が不足し、結果的に成形性が劣る場合があるからである。
ポリエステル系樹脂の硬化剤はイソシアヌレートでなければならない。トリレンジイソシアネート、メチレンビスイソシアネートといった一般的なイソシアネートでは、成形性は十分であるが、耐溶剤性が不足する。さまざまなイソシアネートを用いて、ポリエステル系樹脂を硬化させ、樹脂被覆金属板を製造して成形性と耐溶剤性を調査した結果、イソシアヌレートのみが成形性と耐溶剤性を両立させうることを見出した。このような性能を発揮するメカニズムは明らかではないが、樹脂層の伸びを阻害しない分子構造において十分な結合が得られるものと推定される。イソシアヌレートの中でもトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
本発明の樹脂層の厚さは2μm以上22μm以下でなければならない。2μm未満では成形時に樹脂層が損傷を受けやすく,成形性が低下する。22μmを超えると,樹脂層と金属板の密着性が低下し,結果的に成形性が低下する。好ましくは4μm以上15μm以下である。
本発明の樹脂層の形成方法は特に限定するものではないが、ラミネート、塗装などによって形成できる。経済性の観点からは塗装によって形成することが好ましい。塗装方法としてはロールコータ方式、カーテンフロー方式、ダイコート方式などがあり、いずれの方法でも形成可能である。塗装における焼付温度は金属到達温度で200〜300℃が好ましい。
本発明は金属板に直接樹脂を形成することも可能であるが、金属板との密着性を向上させるために脱脂、化成処理などを実施することも有効である。脱脂としては溶剤脱脂、アルカリ脱脂などを使用する金属板の種類や表面状態に合わせて選択すればよい。化成処理としては金属がアルミニウムあるいはその合金であれば、一般的なリン酸クロメートの他、ノンクロム系の反応型化成処理、塗布型化成処理などが使用可能である。金属が鋼の場合は、一般的なりん酸亜鉛処理の他、塗布型化成処理などが使用可能である。
本発明に用いられる金属板はこれを用いる製品に要求される成形性,耐食性,軽量性などから選択すればよい。例えば,軽量性が重視される製品ではアルミニウム板あるいはアルミニウム合金板が好適である。その中でも高い成形性が要求される場合はJIS A 5182などの5000系合金が好ましい。多段で円筒深絞り成形されるような場合はJIS A 3003などの3000系あるいはJIS A 1100などの1000系が好ましい。また,アルミニウム合金板では強度が不足するような場合はSPCCのような鋼板,さらに耐食性が要求される場合は亜鉛メッキ鋼板などが好ましい。
金属板として、アルミニウム板と鋼板を用いた。アルミニウム板はJIS A1100のアルミニウム板を常法により熱間圧延して、厚さ2.8mmとし、その後冷間圧延にて厚さ1.0mmとし、中間焼鈍の後に冷間圧延によって厚さ0.3mmとした。このアルミニウム板材に塗装下地処理として、市販のアルカリ性脱脂液にて脱脂し、市販のリン酸クロメート処理液にて化成処理を施した。鋼板としては市販の厚さ0.3mmのSPCCを用い、市販のアルカリ性脱脂液にて脱脂し、市販のリン酸亜鉛処理液にて化成処理を施した。これらの金属板の片面に表1に示す各種塗料をバーコータにて塗布し、これを焼付けた。
ポリエステル系樹脂としては、オイルフリーポリエステル樹脂で表1に示す分子量のものを用いた。そして、その固形分に対して表1に示す各種硬化剤を樹脂固形分の25重量%添加した塗料を用い、いずれも金属到達温度で250℃、焼付時間60秒にて樹脂層を形成した。また、エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に樹脂固形分に対して5重量%のメチル化メラミン樹脂を添加した塗料を用いた。金属到達温度で260℃、焼付時間60秒にて樹脂層を形成した。
上述のように作製した樹脂被覆金属板について、成形性と耐溶剤性を評価した。成形性は次のような条件にて円筒形に成形して、側壁部樹脂層表面の変化を目視観察した。評価が○以上であれば、実際の円筒形の成形品にも適用可能である。
(成形条件)
アルミニウム板:市販のアルミニウム板用プレス油を用い、5段の絞りしごき成形金型を用い、直径5mmφ、高さ10mmの円筒形に成形した。
鋼板:市販の鋼板用プレス油を用い、パンチ径40mmφ、ブランク径84mmφ、しわ押さえ力20kNにて円筒形に成形。いずれも○以上であれば,成形性は良好である。
(判定基準)
◎:変化なし
○:ざらざらした部分(非常に細かいクラックの集合)が発生
△:目視で金属の露出がわかるクラックが発生
×:開口部に剥離が発生
アルミニウム板:市販のアルミニウム板用プレス油を用い、5段の絞りしごき成形金型を用い、直径5mmφ、高さ10mmの円筒形に成形した。
鋼板:市販の鋼板用プレス油を用い、パンチ径40mmφ、ブランク径84mmφ、しわ押さえ力20kNにて円筒形に成形。いずれも○以上であれば,成形性は良好である。
(判定基準)
◎:変化なし
○:ざらざらした部分(非常に細かいクラックの集合)が発生
△:目視で金属の露出がわかるクラックが発生
×:開口部に剥離が発生
耐溶剤性は2ポンドハンマーの丸い方にガーゼを8重に付け、MEK(メチルエチルケトン)を染み込ませて、ガーゼにハンマーの自重のみがかかるようにして、樹脂層表面の一定の長さを直線的に往復させて擦り、金属板が露出するまでの回数を測定した。評価が○以上であれば、実際の成形後に実施される,有機溶剤を用いた成形油の脱脂にも耐えうる。
(判定基準)
◎:80回以上
○:50回以上80回未満
△:20回以上50回未満
×:20回未満
本発明例はいずれも成形性、耐溶剤性が優れており、高い成形性と耐溶剤性が要求される成形品用途にも好適に用いることが可能である。一方、比較例は成形性あるいは耐溶剤性に問題があり、高い成形性と耐溶剤性が要求される成形品用途には不適である。
(判定基準)
◎:80回以上
○:50回以上80回未満
△:20回以上50回未満
×:20回未満
本発明例はいずれも成形性、耐溶剤性が優れており、高い成形性と耐溶剤性が要求される成形品用途にも好適に用いることが可能である。一方、比較例は成形性あるいは耐溶剤性に問題があり、高い成形性と耐溶剤性が要求される成形品用途には不適である。
Claims (3)
- 金属板の表面に、厚さ2〜22μmであり、硬化剤としてイソシアヌレートを含有し、ガラス転移温度50〜100℃のポリエステル系樹脂からなる樹脂層が形成されていることを特徴とする樹脂被覆金属板。
- 数平均分子量が15000〜25000のポリエステル系樹脂を用いることを特徴とする請求項1の樹脂被覆金属板。
- イソシアヌレートがトリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体から少なくともいずれか1種類を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2の樹脂被覆金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010148276A JP2012011605A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 樹脂被覆金属板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010148276A JP2012011605A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 樹脂被覆金属板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012011605A true JP2012011605A (ja) | 2012-01-19 |
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JP2010148276A Pending JP2012011605A (ja) | 2010-06-29 | 2010-06-29 | 樹脂被覆金属板 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2010
- 2010-06-29 JP JP2010148276A patent/JP2012011605A/ja active Pending
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