JP5325516B2 - 耐食性塗料組成物及び塗装金属板 - Google Patents

耐食性塗料組成物及び塗装金属板 Download PDF

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この発明は、耐食性に優れた耐食性塗料組成物及び塗装金属板に係り、より詳しくは、クロメート系防錆剤を使用すること無しに優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることができる耐食性塗料組成物に関し、また、このような塗料組成物が塗装され、主としてプレコート金属板として用いられる塗装金属板に関する。
例えば、屋根材、外装材、サイディング材、シャッター、雨戸等の建材、エアコンの屋内外機器、冷蔵庫、洗濯機等の家電製品、ドアパネルやルーフパネル等の自動車用品、事務機器、家具等の多くの用途において、構造材として用いられる鋼板については、この鋼板を用いて製造される製品や部品に対して高い耐久性や美観が要求されることから、その表面を塗料組成物で塗装することが行われている。
そして、このような鋼板の塗装については、鋼板を製品や部品に加工した後にこれら製品や部品等のメーカー側で塗装する、いわゆる「ポストコート法」と、鋼板を製品や部品に加工する前に塗装して予め塗装鋼板(プレコート鋼板)を製造し、この塗装鋼板をメーカー側で加工して製品や部品に加工する、いわゆる「プレコート法」とがあるが、ポストコート法では、製品や部品に加工した後の塗装であるために大掛りな塗装設備が必要になることから、コイルコーティング法やシートコーティング法等のクローズドシステムでの塗装が可能であって、環境対策においても優位であるプレコート法が主流になっている。
ところで、このプレコート法での塗装鋼板を製造する際には、通常、亜鉛めっき鋼板や亜鉛合金めっき鋼板等の比較的優れた耐久性を有する鋼板を使用し、必要によりその下地処理として鋼板表面に燐酸亜鉛処理やクロメート処理等の化成処理を施した後、クロメート系防錆剤を含む下地塗料で塗装し、次いで所望の上塗り塗料で塗装することが行われているが、このような塗装鋼板においては、塗装後に製品化や部品化のための成形加工、切断加工、曲げ加工等が行われるために、優れた耐食性を発現させる上で加工部分、特に切断部端面の耐食性が極めて重要になり、その対策として、下地塗料中に添加するクロメート系防錆剤の添加量を増大する等の方法が採られていた。
しかしながら、クロメート系防錆剤には6価クロムを発生させる虞があり、環境衛生上の問題や安全性の観点から、鋼板の下地処理としては燐酸亜鉛処理に代表される非クロメート系の化成処理が主流になりつつあり、また、その上に施される下地塗料についても非クロメート系防錆剤を使用した塗料組成物で耐食性を確保しようとする試みが始まっている。
例えば、特許文献1においては、粒子表面を金属化合物で被覆したトリポリ燐酸二水素アルミニウムと亜鉛化合物とを併用してなる防錆塗料組成物が提案されており、また、特許文献2においては、非クロメート系防錆剤としてカルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子を所定の割合で添加してなる塗料組成物が提案されている。
更に、特許文献3においては、クロメート系防錆剤を用いることなく、上記の特許文献1及び2における問題点を解決できるものとして、水酸基を有するポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂からなる塗料樹脂と、アミノ樹脂及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物からなる架橋剤と、カルシウムイオン交換性の非晶質シリカ及び粒子表面を金属化合物で被覆したトリポリ燐酸二水素アルミニウムの併用からなる防錆剤とを含有する塗料組成物が提案されている。
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載の塗料組成物は、そのいずれも、この塗料組成物を用いて塗装された塗装鋼板における加工部分以外の表面での耐食性においては優れた性能を有するものの、鋼板の加工部分、特に切断面が剥き出しになる切断部端面における耐食性については必ずしも十分ではなく、高度の耐食性が要求される製品や部品においては、この切断部分の耐食性が満足できず、非クロメート系塗料への切り替えが進展しない原因になっていた。
特開平04-149,278号公報 特開平11-222,575号公報 特開2002-003,779号公報
そこで、本発明者らは、クロメート系防錆剤を使用すること無しに優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることができる耐食性塗料組成物及びこのような塗料組成物が塗装された塗装金属板を新たに開発すべく鋭意検討した結果、意外なことには、水酸基を有するポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂からなる塗料樹脂とアミノ樹脂及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物からなる架橋剤とからなる塗料系に、非クロメート系防錆剤としてバナジン酸塩と表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとを含有する特定の防錆剤を添加して得られる塗料組成物が優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、クロメート系防錆剤を使用すること無しに、優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることができる耐食性塗料組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、クロメート系防錆剤を使用すること無しに優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることができる耐食性塗料組成物が塗装された塗装金属板を提供することにある。
すなわち、本発明は、水酸基を有するポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂からなる塗料樹脂と、アミノ樹脂及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物からなる架橋剤と、防錆剤とを含有する耐食性塗料組成物であって、前記防錆剤が、バナジン酸塩と粒子表面が金属化合物で処理された表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとを含有し、これらバナジン酸塩と表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとの併用割合がバナジン酸塩1質量部に対して表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムが5〜10質量部であることを特徴とする耐食性塗料組成物である。
また、本発明は、このような耐食性塗料組成物が金属板の表面に塗装されていることを特徴とする塗装金属板である。
本発明において、塗料樹脂として用いられる水酸基を有するポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多塩基酸とから公知のエステル化法により得られる種々のポリエステル樹脂を挙げることができる。ここで、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、水添ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができ、また、多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水マレイン酸、フマール酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、更に、必要に応じて、安息香酸、p-ターシャリーブチル安息香酸等の一塩基酸を併用することもできる。
また、塗料樹脂として用いられる水酸基含有のエポキシ樹脂としては、ビスファノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
本発明において、塗料樹脂として使用する上記の水酸基を有するポリエステル樹脂やエポキシ樹脂については、その何れかを単独で用いることができるほか、必要により、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との併用、2種以上のポリエステル樹脂の併用、2種以上のエポキシ樹脂の併用等の如く、2種以上を併用して使用することもできる。
また、これら塗料樹脂として使用する上記の水酸基を有するポリエステル樹脂やエポキシ樹脂については、そのガラス転移温度(Tg)が通常20℃以上80℃以下、好ましくは30℃以上70℃以下であるのがよく、このTgが20℃未満であると高温多湿の条件下での耐食性が低下し、反対に、Tgが80℃を超えると加工性が低下する。
本発明において、架橋剤として用いられるアミノ樹脂としては、硬化触媒の存在下に若しくは非存在下に、上記塗料樹脂の水酸基と反応して塗料樹脂の間を架橋し、塗膜を形成することができるものであればよく、特には限定されないが、好適なものとしてメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
また、架橋剤として用いられるブロック化ポリイソシアネート化合物としては、アミノ樹脂の場合と同様に、硬化触媒の存在下に若しくは非存在下に、上記塗料樹脂の水酸基と反応して塗料樹脂の間を架橋し、塗膜を形成することができるものであればよく、特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化してなる化合物である。
上記ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート若しくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、水素添加キシリレンジイソシアネート若しくはイソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート若しくは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類等の有機ジイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。また、イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール系、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系、メタノール、エタノール、n-又はi-プロピルアルコール、n-,i-又はt-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール系、ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系等のブロック化剤を好適に使用することができる。そして、これらポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロックすることができる。
本発明において、架橋剤として使用する上記のアミノ樹脂やブロック化ポリイソシアネート化合物については、その何れかを単独で用いることができるほか、必要により、アミノ樹脂とブロック化ポリイソシアネート化合物との併用、2種以上のアミノ樹脂の併用、2種以上のブロック化ポリイソシアネート化合物の併用等の如く、2種以上を併用して使用することもできる。この架橋剤として好ましいものはアミノ樹脂である。
更に、本発明において、非クロメート系防錆剤として用いられるバナジン酸塩としては、具体的には例えば、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸カルシウム等を挙げることができ、また、非クロメート系防錆剤として用いられるモリブデン酸塩としては、具体的には例えば、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム等を挙げることができる。これらは、その何れかを単独で用いることができるほか、必要により、バナジン酸塩とモリブデン酸塩との併用、2種以上のバナジン酸塩の併用、2種以上のモリブデン酸塩の併用等の如く、2種以上を併用して使用することもできる。
ここで、上記防錆剤の成分であるバナジン酸塩については、好ましくは20℃の水100gに対する溶解度が2g/100g・H2O以下、より好ましくは1g/100g・H2O以下であるものがよく、具体的にはバナジン酸カルシウム(溶解度:0g/100g・H2O)、バナジン酸アンモニウム(溶解度:5g/100g・H 2 O)等を例示することができる。溶解度が2g/100g・H2O以下のものは、高湿度下での試験において、塗膜からの溶出量が少なく長期耐食性に優れている。
本発明の耐食性塗料組成物において、上記塗料樹脂、架橋剤、及び防錆剤の配合割合は、これら塗料樹脂、架橋剤、及び防錆剤の種類によっても異なるが、固形分配合割合として、塗料樹脂が30質量%以上50質量%以下、好ましくは35質量%以上45質量%以下であり、また、架橋剤が3質量%以上20質量%以下、好ましくは5質量%以上15質量%以下であり、更に、防錆剤が30質量%以上70質量%以下、好ましくは40質量%以上60質量%以下である。塗料樹脂の配合割合が30質量%より少ないと顔料成分が多くなって加工性が低下するという問題があり、反対に、50質量%より多くなると防錆顔料成分が少なくなって充分な耐食性が得られなくなるという問題が生じ、また、架橋剤の配合割合が3質量%より少ないと架橋が充分でなく耐溶剤性が低下するという問題があり、反対に、20質量%より多くなると架橋度が大きくて加工性が低下するという問題が生じ、更に、防錆剤の配合割合が30質量%より少ないと充分な耐食性が得られないという問題があり、反対に、70質量%より多くなると顔料成分が多くなって加工性が低下するという問題が生じる。
本発明の耐食性塗料組成物においては、上記の塗料樹脂、架橋剤及び防錆剤以外に、これら塗料樹脂、架橋剤及び防錆剤を溶解し、又は、分散させて塗装作業性等を改善するための有機溶剤を始めとして、塗料組成物の目的、用途等により必要に応じて、耐食性(切断部端面の耐食性も含めて)をより改善するために上記の防錆剤と併用するための他の防錆剤、塗料樹脂と架橋剤との硬化反応を促進させる硬化触媒、隠蔽性向上のための酸化チタン、光沢調整用のシリカ等を添加してもよいほか、更に、塗装作業性、塗料安定性、塗膜外観等を向上させるための消泡剤、沈降防止剤、塗面調整剤等の添加剤を添加してもよい。
本発明において用いられる有機溶剤としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。これらの有機溶剤を用いて調製される本発明の耐食性塗料組成物における固形分濃度については、その目的、用途、使用方法等により異なるが、通常、30質量%以上80質量%以下、好ましくは40質量%以上70質量%以下である。
また、耐食性(切断部端面の耐食性も含めて)をより改善する目的で上記バナジン酸塩や表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムと併用する他の防錆剤については、耐食性塗料組成物の目的、用途、使用方法等に応じて公知の防錆剤の中から適宜選択することができるが、具体的には、燐酸亜鉛系防錆剤、燐酸マグネシウム系防錆剤、トリポリ燐酸二水素アルミニウム等のポリ燐酸塩系防錆剤を始めとして、亜燐酸亜鉛、亜燐酸アルミニウム等の亜燐酸亜鉛系防錆剤、メタホウ酸バリウム、フィチン酸亜鉛、フィチン酸カルシウム、有機ニトロ化合物亜鉛塩、カルシウムイオン交換シリカ、ケイ酸マグネシウム化合物系防錆剤等を挙げることができ、なかでもポリ燐酸塩系防錆剤が好ましい。
そして、特に切断部端面の耐食性向上のためには、これらバナジン酸塩と表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとの併用割合がバナジン酸塩1質量部に対して表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムが5質量部以上10質量部以下である。この表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとしては、具体的には、市販品として例えばテイカ社製のK-WHITEシリーズ等が挙げられる。
また、塗料樹脂と架橋剤との硬化反応を促進させる硬化触媒については、これら塗料樹脂や架橋剤の種類等、特に架橋剤の種類に応じて適宜選択して使用されるもので、その使用量も使用される架橋剤及び硬化触媒の種類に応じて決定される。
具体的には、架橋剤がメラミン樹脂、特に低分子量のメチルエーテル化又はメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂である場合には、硬化触媒としてスルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適に用いられる。スルホン酸化合物の代表例としては、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等を挙げることができ、また、これらスルホン酸化合物のアミン中和物を形成するアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであってもよい。これらのうち、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗膜の物性等の点から、p-トルエンスルホン酸のアミン中和物及び/又はドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和物が好適である。
そして、架橋剤がブロック化ポリイソシアネート化合物である場合には、硬化触媒としてはブロック化ポリイソシアネート化合物からブロック剤を解離させる作用を有する、あるいは、ブロック剤の解離を促進するものであるのがよく、好適な硬化触媒として、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2-エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒等を挙げることができる。
更に、酸化チタンやシリカを添加する場合、その添加量については、それぞれの添加目的に応じて適宜選択できるものであるが、塗料組成物中の固形成分割合として、通常、5質量%以上20質量%以下、好ましくは10質量%以上15質量%以下であるのがよい。更にまた、塗装作業性、塗料安定性、塗膜外観等を向上させる目的で添加される消泡剤、沈降防止剤、塗面調整剤等の添加剤についても、それぞれの添加目的に応じて、従来公知のものを従来公知の範囲内で適宜選択して添加することができる。
本発明の塗装金属板は、基材としての金属板の表面に上記の耐食性塗料組成物を塗装することにより製造することができる。
この目的で使用される金属板としては、鉄製、ステンレス製、アルミニウム製等の一般的な金属板を挙げることができ、好ましくは溶融亜鉛メッキ鋼板や電気亜鉛メッキ鋼板等の亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板等であり、これらの金属板については、必要により、金属素材との密着性向上や耐食性向上のために通常に行われる脱脂処理、燐酸亜鉛処理等の下地処理等を施したものであってもよい。ただ、下地処理としてクロメート処理を施すことは、非クロメート系防錆剤を用いて非クロム化を目指す本発明の趣旨に沿うものではない。
本発明の塗装金属板を製造するに際し、本発明の耐食性塗料組成物を用いて金属板の表面を塗装する方法については、ロールコート法、スプレー法、刷毛塗り法、浸漬法等の公知の方法を採用することができる。
本発明の塗装金属板において、金属板表面に形成される塗膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常2μm以上10μm以下、好ましくは3μm以上6μm以下の範囲である。塗膜の乾燥は、使用する塗料樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、コイルコーティング法等によって塗装したものを連続的に焼付ける場合には、通常、素材到達最高温度が160℃以上250℃以下、好ましくは180℃以上230℃以下となる温度で30秒間以上90秒間以下の範囲の条件で焼付けられる。バッチ式で焼付ける場合には、80〜140℃で10〜30分間焼付けることによっても行うことができる。
本発明の塗装金属板としては、プレコート金属板としての利用のために、好ましくは、下地処理としてクロメート処理以外の化成処理を施した亜鉛メッキ鋼板、亜鉛合金メッキ鋼板、又はアルミニウムメッキ鋼板上に、下地塗料として上記本発明の耐食性塗料組成物をロールコート法等により塗装して焼き付け、次いで形成された通常2μm以上10μm以下、好ましくは3μm以上6μm以下の下塗り塗膜上に、ロールコート法等により塗装して焼付温度180〜230℃及び焼付時間30〜90秒の条件で焼き付け、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上80℃以下、好ましくは30℃以上70℃以下であって、膜厚が8μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上25μm以下である上塗り塗膜が設けられた塗装鋼板である。
上記塗装鋼板の上塗り塗膜を形成する際に用いられる上塗り塗料としては、例えばプレコート鋼板用として公知の、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、シリコン変性ポリエステル樹脂系、シリコン変性アクリル樹脂系、フッ素樹脂系等の上塗り塗料を挙げることができる。加工性が特に重視される場合には高度加工用のポリエステル系上塗り塗料を使用することによって加工性の特に優れた塗装鋼板を得ることができる。本発明の塗装鋼板は、耐食性、加工性等に優れた塗膜性能を有する。
本発明の耐食性塗料組成物は、クロメート系防錆剤を使用すること無しに、優れた耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れた塗膜を与えることができ、主としてプレコート金属板用に適した下地塗料として好適に使用することができる。また、本発明の塗装金属板は、耐食性、特に切断部端面の耐食性に優れており、高度の耐食性が要求される製品や部品において、プレコート金属板として好適に使用することができる。
以下、実施例、参考例及び比較例に基づいて、本発明の耐食性塗料組成物及び塗装鋼板を具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、「部」や「%」はいずれも質量を基準にしたものである。
参考例1〜3、9及び11、実施例4〜8、10及び12、及び比較例1〜4〕
塗料樹脂としてポリエステル樹脂(東洋紡社製商品名:バイロン36CS;固形分濃度40%、数平均分子量約15000)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名:エピコート1009;キシレンにて固形分濃度40%に調整)を用い、また、架橋剤としてメチル化メラミン樹脂(三井サイテック社製商品名:サイメル303;固形分濃度100%)及び尿素樹脂(大日本インキ社製商品名:ベッカミンP-138;固形分濃度60%)を用い、更に、防錆剤としてバナジン酸カルシウム(溶解度:0g/100g・H2O)、バナジン酸アンモニウム(溶解度:5g/100g・H2O)、モリブデン酸亜鉛(キクチカラー株式会社製商品名:M-70L;溶解度:0.5g/100g・H2O)、表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウム(テイカ社製商品名:K-WHITE G-105)及び燐酸亜鉛(キクチカラー社製商品名:ZP-DL)を用い、更にまた、これら塗料樹脂、架橋剤及び防錆剤に加えて、酸化チタン(石原産業社製商品名:タイペークCR-90)、及び硬化触媒としてジノニルナフタレンジスルホン酸のアミン塩(キング・インダストリー社製商品名:ネイキュア−3225;有効成分25%)を用い、また、有機溶剤として芳香族系混合溶剤(エッソ石油製商品名:ソルベッソ100)とシクロヘキサノンとの混合溶剤(重量比1/1)を用いた。
塗料組成物の調製に際しては、先ず、硬化触媒以外の成分を表1に示す割合で配合し、次いでこれに固形分濃度が60質量%となるように混合溶剤を添加し、ガラスビーズミルで1時間分散させた。得られた混合物について、その粒度を粒ゲージで測定した結果、10μm以下の粒度であることを確認した。
次に、ガラスビーズミルで分散させて得られた混合物中に、表1に示す割合で硬化触媒を添加し、均一に混合した後、上記混合溶剤にて粘度約100秒(フォードカップ#4/23℃)に調整し、各実施例、参考例及び比較例の塗料組成物を得た。
このようにして調製された各実施例、参考例及び比較例の塗料組成物を用い、非クロム系の表面処理剤(日本パーカライジング社製商品名:パルボンド)で化成処理(下地処理)された厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量45g/m2)の表面にバーコーターにて乾燥膜厚5μmになるように塗布し、到達板温210℃で50秒間の焼付けを行い、下地処理された溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に下塗り塗膜を形成させた。
次に、上記の下塗り塗膜の上に、ポリエステル系上塗り塗料(大日本塗料社製商品名:Vニット#8100)を、乾燥後の膜厚が15μmになるようにバーコーターにて塗布し、到達温度225℃で60秒間の焼き付けを行い、各実施例、参考例及び比較例の塗装鋼板を作製した。
以上のようにして得られた各実施例、参考例及び比較例の塗装鋼板について、以下の試験方法でその耐食性及び加工性を調べて評価した。
〔耐食性1〕
各実施例、参考例及び比較例の塗装鋼板を70mm×150mmの大きさに切断した後、裏面及び切断面をJIS K5551に準ずる塗料にてシールし、次いでシールした塗装鋼板のほぼ中央に、素地に到達するクロスカットを入れて試験片を作製し、JIS Z-2371に準じて300時間の塩水噴霧試験を行い、クロスカット部の最大フクレ発生幅を測定し、◎:フクレの発生無し、○:最大フクレ発生部の幅寸法1〜2mm、△:最大フクレ発生部の幅寸法3〜5mm、及び×:最大フクレ発生部の幅寸法6以上mmの判定基準でクロスカット部の耐食性を評価した。
結果を表1に示す。
〔耐食性2〕
各実施例、参考例及び比較例の塗装鋼板の裏面をJIS K5551に準ずる塗料にてシールし、70mm×150mmの大きさに切断した。鋼板の切断はシャーにより実施し、鋼板横方向(70mm幅)の切断面をJIS K5551に準ずる塗料にてシールし、また、鋼板縦方向(150mm幅)の切断面については金属を剥き出しのままとした。作製された各試験片について、上記の耐食性1の場合と同様にして塩水噴霧試験を行い、切断部端面の最大フクレ発生幅を測定し、上記の耐食性1の場合と同様の判定基準で切断部端面の耐食性を評価した。
結果を表1に示す。
〔加工性〕
各実施例、参考例及び比較例の塗装鋼板の塗装面を外側にし、スペーサーを挟まずに180度折り曲げ加工を行った(いわゆる0Tベンド試験)。屈曲部分のクラックの状態を10倍ルーペで観察し、◎:塗膜割れの全くない時、○:極僅かに割れがある時、△:全体に割れがある時、×:剥離を生じる割れがある時、の判定基準で評価した。この試験は20℃にて実施した。
結果を表1に示す。
Figure 0005325516
表1に示す各実施例、参考例及び比較例の結果から明らかなように、本発明の実施例4〜8、10及び12の塗料組成物を塗装して得られた塗装鋼板は、そのいずれもクロスカット部の耐食性に優れており、また、切断部端面の耐食性についてもフクレの発生が認められない(◎)か、認められたとしても最大フクレ発生部の幅寸法が2mm以下であり(○)、プレコート鋼板として満足できるものであった。
これに対して、比較例1〜4の塗料組成物を塗装して得られた塗装鋼板は、クロスカット部の耐食性については最大フクレ発生部の幅寸法が2mm以下(○)であってある程度は満足できるものであったが、切断部端面の耐食性についてはいずれも最大フクレ発生部の幅寸法が3mm以上(△又は×)であり、プレコート鋼板として満足できるものではなかった。

Claims (5)

  1. 水酸基を有するポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂からなる塗料樹脂と、アミノ樹脂及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物からなる架橋剤と、防錆剤とを含有する耐食性塗料組成物であって、
    前記防錆剤が、バナジン酸塩と粒子表面が金属化合物で処理された表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとを含有し、これらバナジン酸塩と表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムとの併用割合がバナジン酸塩1質量部に対して表面処理トリポリ燐酸二水素アルミニウムが5〜10質量部であることを特徴とする耐食性塗料組成物。
  2. 塗料組成物の配合割合は、固形分配合割合として、塗料樹脂が30〜50質量%、架橋剤が3〜20質量%、及び防錆剤が30〜70質量%である請求項1に記載の耐食性塗料組成物。
  3. 防錆剤の成分であるバナジン酸塩は、その溶解度が2g/100g・H2O以下である請求項1又は2に記載の耐食性塗料組成物。
  4. 架橋剤がアミノ樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の耐食性塗料組成物。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の耐食性塗料組成物が金属板の表面に塗装されていることを特徴とする塗装金属板。
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