JP2012009525A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱処理によってセパレータの密度が小さくなった場合においても、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、およびエージング工程におけるショート不良発生率の上昇を抑制し得る固定電解コンデンサを提供する。
【解決手段】陰極箔3と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔2とをセパレータ4を介して巻回してなる巻回部と、セパレータ4に保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサ1であって、巻回部の巻芯部に充填された熱硬化性樹脂からなる巻芯固定部20を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】陰極箔3と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔2とをセパレータ4を介して巻回してなる巻回部と、セパレータ4に保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサ1であって、巻回部の巻芯部に充填された熱硬化性樹脂からなる巻芯固定部20を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するものである。
電解コンデンサは、アルミニウムやタンタルやニオブなどの弁作用金属からなる陽極を備えており、この陽極の表面にはエッチングピットや微細孔が形成されている。また、陽極の表面には誘電体となる酸化皮膜が形成されている。陰極側の電気的な引出しは、導電性を有する電解質層によって行われ、電解コンデンサにおいて真の陰極はこの電解質層が担うこととなる。
このような電解コンデンサのうち、固体電解コンデンサは、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの導電性高分子を電解質として用いるもので、液状の電解質を用いた電解コンデンサに比較して高周波領域におけるインピーダンス特性に優れている(特許文献1参照)。
近年、各種電子機器などでデジタル化が進み、固体電解コンデンサには、高周波領域での低インピーダンス化、大容量化、小形化が求められている。
このような要求を満たすために様々な取り組みが行われており、例えば、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回し、当該セパレータに導電性高分子を保持させて巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを構成するものがある。
このような巻回型では電極面積を広く確保できるという利点がある。
このような要求を満たすために様々な取り組みが行われており、例えば、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回し、当該セパレータに導電性高分子を保持させて巻回型アルミニウム固体電解コンデンサを構成するものがある。
このような巻回型では電極面積を広く確保できるという利点がある。
このような固体電解コンデンサは、従来、以下の方法で製造される。まず、素子形成工程において、化成済みの陽極箔と陰極箔とがマニラ紙などの紙繊維からなるセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子を形成した後、導電性高分子形成工程において化学重合を行い、セパレータに導電性高分子を保持させる。
また、素子形成の後、導電性高分子形成の前に、コンデンサ素子の状態で陽極箔に化成を行う修復化成と、コンデンサ素子を200℃以上の温度に加熱する熱処理とが行われている。この熱処理は、紙繊維を細くすることによりセパレータの密度を小さくして、ESR(等価直列抵抗)を低減する目的で行われている。
このようにして、導電性高分子を形成したコンデンサ素子は、有底筒状の外装ケースに収納され、陽極および陰極のリード線を封口ゴムに形成した貫通孔から引き出すとともに、外装ケースの開口部を封口ゴムで密閉する。
しかしながら、巻回型の固体電解コンデンサを製造する際、ESRを低減することを目的に、セパレータに対して熱処理を行うと、セパレータの密度が小さくなる分、素子の巻き緩みが発生する。素子外周部は素子止めテープなどにより固定されているのに対して、巻芯部にはそのような固定手段が用いられていないことにより、セパレータの密度が小さくなって巻き緩みが生じると、巻芯側において、陽極箔および陰極箔の巻回端部がずれることにより、陽極箔と陰極箔との極間が小さくなり、また、場合によってはこれらが接触することになる。この結果、耐電圧が低下し、漏れ電流の増大や、エージング工程におけるショート不良発生率の上昇などが生じる問題があった。
一方、一対の陽極箔、陰極箔相互間にクラフト紙またはマニラ紙からなるスペーサを介在して巻回したコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、円筒状のアルミニウムケースに収納し、このアルミニウムケースの開口部を密閉して構成される非固体電解コンデンサとして、巻芯側の巻回開始部にセパレータのみによる空巻部を形成し、この空巻部に熱硬化性樹脂をしみ込ませて空巻硬化層を形成するものが考えられている(特許文献2参照)。この構成は、陽極箔および陰極箔の巻回開始部において当該陽極箔、陰極箔に生じるクラックによってセパレータが破損され、絶縁低下が生じることを回避することを目的としている。
固体電解コンデンサの構成について、巻芯部に空巻部を形成することも考えられるが、このような構成にすると、空巻部を形成する分、コンデンサ全体として大形化することを避け得ない問題があった。
上記の問題を鑑みて、本発明は、熱処理によってセパレータの密度が小さくなった場合においても、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、およびエージング工程におけるショート不良発生率の上昇などを抑制し得る固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサは、陰極箔と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔とをセパレータを介して巻回してなる巻回部と、セパレータに保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサであって、巻回部の巻芯部に充填された熱硬化性樹脂からなる巻芯固定部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、巻回部の巻芯部に熱硬化性樹脂を充填することにより、巻芯部における巻回端部を固定し、これにより、巻緩みにより陽極箔および陰極箔の極間が小さくなること、または、場合によっては接触することを抑制することができる。
また、上記構成の固体電解コンデンサにおいて、熱硬化性樹脂は、巻芯部の空間内部全体に充填され、巻芯部の空間が塞がれていることを特徴とする。
この構成によれば、巻芯部の貫通状の空間内部が熱硬化性樹脂によって塞がれることにより、巻芯部における巻回端部を確実に押さえて固定することができる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、陰極箔と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔とをセパレータを介して巻回してなる巻回部と、セパレータに保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサの製造方法であって、陰極箔および陽極箔をセパレータを介して巻回することにより巻回部を作製する工程と、巻回部の巻芯部の空間内部に熱硬化性樹脂を充填する工程と、熱硬化性樹脂が巻芯部に充填された巻回部を熱処理する工程と、セパレータに導電性高分子を保持させる工程とを備えることを特徴とする。
この方法によれば、巻芯部に熱硬化性樹脂を充填する工程を追加するだけで、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、ショート不良発生率の上昇を抑制し得る低インピーダンスの固体電解コンデンサを容易に製造することができる。
本発明によると、熱処理によってセパレータの密度が小さくなった場合においても、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、およびエージング工程におけるショート不良発生率の上昇などを抑制し得る固体電解コンデンサを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子10と、弾性封口材7と、外装ケース5とを備える。
図2に示すように、コンデンサ素子10は、陽極箔2と、陰極箔3とがセパレータ4を介して巻回された巻回部を構成している。
陽極箔2と陰極箔3には平坦状のリードタブ(図示省略)がそれぞれ接続されており、このリードタブを介して陽極箔2と陰極箔3からそれぞれリード部6が引き出されている。2つのリード部6は、コンデンサ素子10の一方の端面から導出されており、各リード部6は、リードタブの先端に連結された丸棒状の接続部6aと、接続部6aの先端部に溶接されたリード線6bとから構成されている。
陽極箔2は、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属で形成されている。陽極箔2の表面は、エッチング処理により粗面化されるとともに、陽極酸化(化成)による陽極酸化皮膜(図示せず)が形成されている。
また、陰極箔3も、陽極箔2と同様にアルミニウムなどで形成され、その表面は粗面化されるとともに自然酸化皮膜(図示せず)が形成されている。
また、セパレータ4の両面には導電性高分子からなる固体電解質層が保持されている。これにより、陽極箔2とセパレータ4との間に固体電解質層が形成され、陰極箔2とセパレータ4との間にも固体電解質層が形成されている。固体電解質層を構成する導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、および、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などを用いることができ、これら導電性高分子は、モノマーの化学重合または電解重合により生成される。
図1に示すように、コンデンサ素子10は、有底円筒状に形成された外装ケース5に収納されている。外装ケース5は、アルミニウムなどにより形成されている。
外装ケース5の開口部は、2つのリード部6が外部に引き出された状態で、弾性封口材7によって封止されている。弾性封口材7は、外装ケース5の開口部に形成された巻き締め部5aによって圧縮された状態で配置されている。
弾性封口材7には、2つのリード部6(接続部6a)がそれぞれ貫通される2つの貫通孔7aが形成されている。弾性封口材7に力が作用していない無負荷状態での貫通孔7aの径は、接続部6aの外径よりも若干小さい。
弾性封口材7は、ゴムまたは熱可塑性エラストマーを基材とする組成物により形成されている。弾性封口材7を構成するゴムとしては、具体的には、EPT(エチレンプロピレンターポリマー)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー共重合体)、IIR(イソプレンイソブチレンラバー)などが用いられる。
図3は、図2に示したコンデンサ素子10の断面を示す断面図である。なお、図3は、図2に示すコンデンサ素子10を上下逆に示している。図3に示すように、コンデンサ素子10における巻回部の巻芯部には、熱硬化性樹脂を充填(注入)して硬化させることにより、巻芯部における巻回端部を固定すると共に、巻芯部の形状を保持する巻芯固定部20が形成されている。この巻芯固定部20は、コンデンサ素子10において、陽極箔2と陰極箔3とがセパレータ4を介して巻回された巻回部の巻芯部における貫通状の空間内部全体に熱硬化性樹脂が充填されることにより形成される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。但し、固体電解コンデンサ1の製造工程における200℃を超える熱処理(後述)に耐え得る耐熱性を有することが必要である。
これにより、図4に示すように、コンデンサ素子10の巻芯部の貫通部15の空間全体に熱硬化性樹脂が充填されてなる巻芯固定部20が形成される。
次に、本実施の形態の固体電解コンデンサ1の製造工程について、図5を参照して説明する。
図5は、固体電解コンデンサ1の製造工程を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、電極の実効表面積を大きくするために、陽極箔2および陰極箔3を形成するためのアルミニウム箔などの表面にエッチング処理を施して粗面化する(ステップS101)。次に、粗面化された陽極箔2に化成処理を施して酸化皮膜を形成する(ステップS102)。
図5は、固体電解コンデンサ1の製造工程を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、電極の実効表面積を大きくするために、陽極箔2および陰極箔3を形成するためのアルミニウム箔などの表面にエッチング処理を施して粗面化する(ステップS101)。次に、粗面化された陽極箔2に化成処理を施して酸化皮膜を形成する(ステップS102)。
そして、素子巻回工程(ステップS103)において、酸化皮膜が形成された陽極箔2および陰極箔3にそれぞれ電極タブを介してリード部6(接続部6a)を接続するとともに、これら陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回し、円筒状のコンデンサ素子10を形成する。ここで、セパレータ4としては、マニラ紙、ヘンプ紙、クラフト紙など、またはそれらにガラス繊維や化学合成繊維を混抄したものを用いることができる。コンデンサ素子10の外周は、素子止めテープ(図示せず)により固定される。
次に、陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回してなるコンデンサ素子10の巻芯部に熱硬化性樹脂を注入し、硬化させることにより、巻芯固定部20を形成する(ステップS104)。具体的に説明すると、陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回してなるコンデンサ素子10の巻芯部には、貫通状の空間(貫通部15)が形成されており、この孔部に熱硬化性樹脂を注入し、硬化させる。熱硬化性樹脂が硬化することにより、セパレータ4、陽極箔2および陰極箔3の巻芯部における巻回端部と熱硬化性樹脂とが固着される。また、巻芯部の貫通部15の内部空間全体が熱硬化性樹脂によって中実状になって硬化することにより、コンデンサ素子10の巻芯部の形状が保持される。かくして、コンデンサ素子10は、その外周部が素子止めテープにより固定されると共に、その巻芯部が巻芯固定部20によって固定されることにより、巻回部は、その両端部(外周部および巻芯部)が固定された状態となる。
これにより、後述する熱処理(ステップS105)において、セパレータ4の密度が小さくなってその分セパレータの厚みが薄くなっても、巻回部の両端部が固定されていることにより巻緩みが発生せず、陽極箔と陰極箔との間隔が全体に亘って保たれ、これらの極間が全体に亘って小さくなること、または、場合によっては接触することを抑制することができる。また、巻芯部においては、巻回部の端部が巻芯固定部20によって固定されていることにより、熱処理を行っても巻芯側への巻緩み(巻回部の巻芯側において陽極箔2、陰極箔3およびセパレータ4の端部がずれること)が発生せず、この巻芯部における巻回部の端部において陽極箔および陰極箔の極間が小さくなること、または、場合によっては接触することを抑制することができる。なお、巻芯側への巻緩みが発生しないと、巻芯部における巻回部の端部において、または全体に亘って、陽極箔および陰極箔の極間が保たれる理由は次のように考えられる。陽極箔と陰極箔では箔硬度の違いから箔が巻き戻ろうとする力(巻回部が緩み、陽極箔および陰極箔が外側へ広がろうとする力)にも差が生じて、巻緩みに差が生じ、極間が小さくなるが、巻芯部が固定されていれば、このような巻き緩みの差が生じないからである。
次に、修復化成工程(ステップS105)において、コンデンサ素子10の状態で陽極箔2に化成を行い、陽極箔2の切口や酸化皮膜の欠陥を修復する。
次に、セパレータ4を低密度化するための熱処理(炭化処理)を行う(ステップS106)。この熱処理は、200℃を超える温度条件で30分〜2時間程度の処理時間により行われる。熱処理の後、含浸・重合工程(導電性高分子形成工程)を行い、セパレータ4の両面(陽極箔2とセパレータ4との間、陰極箔3とセパレータ4との間)に導電性高分子からなる固体電解質層8を形成する(ステップS107)。
具体的には、コンデンサ素子10に酸化剤溶液を含浸させてから乾燥させ、その後、コンデンサ素子10にモノマー溶液を含浸させる。そして、コンデンサ素子10を所定の温度で一定時間加熱し、含浸された酸化剤とモノマーとを化学重合させて、導電性高分子からなる固体電解質層を形成する。
次に、固体電解コンデンサ1の組立を行う(ステップS108)。まず、弾性封口材7の貫通孔7aに、コンデンサ素子10から導出されたリード部6を挿通し、コンデンサ素子10に弾性封口材7を取り付ける。
次に、弾性封口材7を取り付けたコンデンサ素子10を外装ケース5に収納する。そして、外装ケース5の開口部に巻き締め加工を施し、外装ケース5の開口部を弾性封口材7で封止する。
以上の組立工程により作製された固体電解コンデンサ1に対して、高温雰囲気下において、所定の電圧を印加してエージング処理を行い(ステップS109)、固体電解コンデンサ1の製造工程を完了する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例においては、幅3.1mm、長さ60mmのマニラ紙からなるセパレータ4を用い、陽極箔2および陰極箔3は、セパレータ4よりもサイズの小さなものを用いた。セパレータ4(マニラ紙)の密度は0.45〜0.60g/cm3、厚さは30〜50μm程度である。
実施例においては、幅3.1mm、長さ60mmのマニラ紙からなるセパレータ4を用い、陽極箔2および陰極箔3は、セパレータ4よりもサイズの小さなものを用いた。セパレータ4(マニラ紙)の密度は0.45〜0.60g/cm3、厚さは30〜50μm程度である。
図5に示した製造工程により、定格20V−22μFの固体電解コンデンサを作製した。当該固体電解コンデンサのサイズは、直径6.3mm、長さ6.0mmである。
また、巻芯固定部20としてコンデンサ素子10の巻芯部に充填する熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いた。
一方、従来例として、巻芯固定部20を有しない固体電解コンデンサを作製した。この従来例の固体電解コンデンサは、巻芯固定部20を有していない点を除いて、上記実施例の構成と同様の構成を有する。
上記実施例および従来例による固体電解コンデンサの電気特性の測定結果および生産歩留を表1に示す。
表1に示すように、巻芯部に巻芯固定部20を有する実施例によれば、巻芯部に巻芯固定部20を有していない従来例と比べて、エージング工程における漏れ電流が特に低減され、かつショート不良の発生率が低下して歩留が向上した。
以上説明したように、本実施の形態の固体電解コンデンサにおいては、陽極箔2および陰極箔3をセパレータ4を介して巻回してなるコンデンサ素子10の外周部を素子止めテープにより固定すると共に、巻芯部に巻芯固定部20を形成することにより、コンデンサ素子10は、その巻芯側の巻回端部と、外周側の巻回端部とにおいて、各々が固定される。これにより、熱処理においてセパレータ4の密度が低下しても、陽極箔と陰極箔との間隔を保つことができる。
すなわち、固体電解コンデンサ1の低インピーダンス化を図るために、セパレータ4の熱処理を行い、当該セパレータ4の密度が小さくなると、コンデンサ素子10の巻き緩みが生じ易くなるが、本実施の形態においては、コンデンサ素子10の外周部と巻芯部とが各々固定されていることにより、陽極箔と陰極箔との極間が小さくなること、および、場合によっては接触することを抑制することができる。
これにより、陽極箔と陰極箔との極間が小さくなること、または接触することにより生じる耐電圧の低下、漏れ電流の増大、ショート不良発生率の上昇を抑制することができる。かくして、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、ショート不良発生率の上昇を抑制しつつ、固体電解コンデンサ1の低インピーダンス化を図ることができる。
また、本実施の形態は、例えば、セパレータのみを空巻きしてなる空巻部を形成し、この空巻部に樹脂をしみ込ませる従来の構成に比べて、空巻部を形成する必要がない分、固体電解コンデンサ1を小形化することができる。
また、本実施の形態においては、巻芯部に熱硬化性樹脂を充填するだけで、容易に、耐電圧の低下、漏れ電流の増大、ショート不良発生率の上昇を抑制した低インピーダンスの固体電解コンデンサ1を作製することができる。すなわち、本実施の形態に係る固体電解コンデンサ1の構成は、巻芯固定部20を有する点以外は、従来の固体電解コンデンサと同様の構成を有していることにより、これまでの製造工程に対して、巻芯部に熱硬化性樹脂を充填(注入)する工程を付加するだけで、固体電解コンデンサ1を製造することができる。
また、本実施の形態においては、コンデンサ素子10の巻芯部に熱硬化性樹脂を充填(注入)することによって巻芯固定部20を形成するようにした。一般に、陽極箔および陰極箔をセパレータを介して巻回する構成、またはセパレータのみを巻芯部に巻回(空巻)する従来の構成においては、その巻回工程において、それらの巻回端部を何らかの芯材に挟み込んで巻き取る方法を用いることにより、これらを巻回し、巻芯部を取り除いた後の巻芯部の貫通部15は、芯材に挟み込まれていた巻回端部が巻芯部の貫通状の孔部内に突出した状態となっており、内壁が滑らかな曲面のみで形成された貫通孔とはならない。内壁が滑らかな曲面のみで形成された貫通孔であれば、当該貫通孔の内壁面に熱硬化性樹脂を塗布することにより、当該熱硬化性樹脂を層状に塗布して層状の巻芯固定部を形成することは可能であるが、貫通孔内部にセパレータの端部などが突出している場合には、熱硬化性樹脂による層を確実に形成することが困難になる。
これに対して、本実施の形態の固体電解コンデンサ1においては、巻芯部の貫通部15に熱硬化性樹脂を充填(注入)することによって巻芯固定部20を形成することにより、図4に示したように、巻芯部には、充填(注入)された熱硬化性樹脂による中実の巻芯固定部20が確実に形成される。これにより、コンデンサ素子10の巻芯部を確実に押さえて固定することができる。
なお、上述の実施の形態においては、巻芯部の空間内に熱硬化性樹脂を充填して、当該空間内を完全に中実状とする場合について述べたが、これに限られるものではなく、要は、巻芯部に熱硬化性樹脂を充填する方法を用いればよく、完全に充填されていない場合であっても、内部に充填された熱硬化性樹脂が硬化することにより、巻芯部を固定することができる。
1 固体電解コンデンサ
2 陽極箔
3 陰極箔
4 セパレータ
5 外装ケース
6 リード部
6a 接続部
6b リード線
7 弾性封口材
10 コンデンサ素子
15 貫通部
20 巻芯固定部
2 陽極箔
3 陰極箔
4 セパレータ
5 外装ケース
6 リード部
6a 接続部
6b リード線
7 弾性封口材
10 コンデンサ素子
15 貫通部
20 巻芯固定部
Claims (3)
- 陰極箔と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔とをセパレータを介して巻回してなる巻回部と、前記セパレータに保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサであって、
前記巻回部の巻芯部に充填された熱硬化性樹脂からなる巻芯固定部を備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記熱硬化性樹脂は、前記巻芯部の空間内部全体に充填され、前記巻芯部の空間が塞がれていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 陰極箔と、表面に酸化皮膜が形成された陽極箔とをセパレータを介して巻回してなる巻回部と、前記セパレータに保持された導電性高分子からなる固体電解質とを有する固体電解コンデンサの製造方法であって、
前記陰極箔および前記陽極箔を前記セパレータを介して巻回することにより前記巻回部を作製する工程と、
前記巻回部の巻芯部の空間内部に前記熱硬化性樹脂を充填する工程と、
前記熱硬化性樹脂が前記巻芯部に充填された前記巻回部を熱処理する工程と、
前記セパレータに前記導電性高分子を保持させる工程と
を備えることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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