JP2012008432A - 眼鏡レンズ用クロスカット装置および眼鏡レンズのクロスカット方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズのレンズ面に高い精度でクロスカットを行うことができるとともに、作業者が刃を扱う必要がないようにする。
【解決手段】レンズ2を着脱可能かつ回転可能に保持するレンズ保持装置12と、刃36をレンズ2上の罫書き位置と退避位置との間で移動させるアーム33とを備える。刃36の退避位置への移動により刃36を非露出状態とする保護装置35を前記アーム33に備える。刃36を用いてレンズ2にクロスカットを行う切り込み装置を備える。この切り込み装置は、加工開始点に刃36を位置決めし、刃36を所定の押圧力でレンズ2に向けて押圧する機能を有する。また、切り込み装置は、刃36を用いて直線状に切り込みを入れる機能と、その後に刃36の切り込み位置を変える機能と、切り込みが所定数形成された後にレンズ保持装置12でレンズ2を90度回転させる機能とを有している。
【選択図】 図1
【解決手段】レンズ2を着脱可能かつ回転可能に保持するレンズ保持装置12と、刃36をレンズ2上の罫書き位置と退避位置との間で移動させるアーム33とを備える。刃36の退避位置への移動により刃36を非露出状態とする保護装置35を前記アーム33に備える。刃36を用いてレンズ2にクロスカットを行う切り込み装置を備える。この切り込み装置は、加工開始点に刃36を位置決めし、刃36を所定の押圧力でレンズ2に向けて押圧する機能を有する。また、切り込み装置は、刃36を用いて直線状に切り込みを入れる機能と、その後に刃36の切り込み位置を変える機能と、切り込みが所定数形成された後にレンズ保持装置12でレンズ2を90度回転させる機能とを有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、眼鏡レンズにクロスカットを施す眼鏡レンズ用クロスカット装置および眼鏡レンズのクロスカット方法に関するものである。
従来の一般的な眼鏡レンズには、ハードコート膜や反射防止膜などの膜が設けられている。これらの膜の眼鏡レンズへの密着性を評価する方法としては、たとえば特許文献1に記載されているようなクロスカット法が知られている。このクロスカット法は、JIS K 5600-5-6に塗料一般試験方法として規定されている。
特許文献1に記載されているクロスカット法による前記膜の密着性能試験は、レンズ面に直角の格子パターンが形成されるように切り込みを入れ、このレンズ面に粘着テープを強く圧着させて貼り付けてから剥離させることによって行う。この密着性能試験によれば、レンズ基材に対する密着性が低い膜は、粘着テープを剥離させるときに粘着テープに貼り付いて粘着テープとともにレンズ基材から剥離される。
前記格子パターンは、縦方向の長さと横方向の長さがそれぞれ約1mmとなるような正方形が前記縦方向に10個並ぶとともに横方向に10個並ぶように形成されている。以下においては、このように格子パターンを形成することを単に「クロスカットを行う」という。
特許文献1に記載されている密着性能試験方法によれば、粘着テープを眼鏡レンズから剥離させた後にレンズ側に残存した膜を有する前記正方形の数を数え、この数に基づいて密着性の高低が評価される。
特許文献1に記載されている密着性能試験方法によれば、粘着テープを眼鏡レンズから剥離させた後にレンズ側に残存した膜を有する前記正方形の数を数え、この数に基づいて密着性の高低が評価される。
前記レンズ面にクロスカットを行うに当たっては、従来では作業者がカッター刃やナイフなどの刃物を使用して手作業によって行っている。すなわち、作業者が刃物で前記格子パターンの縦方向に複数の線を1本ずつ形成した後、横方向に複数の線を1本ずつ形成することによって行われている。格子パターンの線を1本ずつ形成する作業は、作業者が前記刃物を手で把持してレンズ面に押し付け、レンズ面に罫書きを入れるように、この刃物を一直線状に引くことによって行われる。
しかし、作業者が手作業で前記クロスカットを行うと、密着性能試験の信頼性が低くなるおそれがあった。この理由は、主に2つあると考えられる。第1の理由は、眼鏡レンズのレンズ面は、凸面に形成されていたり、凹面に形成されていたりするからである。すなわち、刃物でレンズ面に切り込みを入れるに当たって、移動開始から停止までの間に刃物に加えられる押圧力が変化し易くなる。前記押圧力が小さくなると、前記膜を刃物で十分に切断することができなくなる。
第2の理由は、作業者の手作業では、切り込みによって形成される線が他の線に対して傾斜したり、途中で折れ曲がるおそれがあるからである。
作業者の手作業では、このように切り込みを正しく入れることが難しいから、上述したように密着性能試験の信頼性が低くなってしまう。
また、眼鏡レンズにクロスカットを行う作業者は、本試験を行う際、曲面に対して刃物で細かな作業を強いられるために、誤って手先を切ってしまうなど、常に危険にさらされるという問題点があった。
更に、刃物が試験場等に放置される機会も増えることから、第三者に対しても危険に曝してしまうことがあるため、作業者からしばしば改善が要請されている。
作業者の手作業では、このように切り込みを正しく入れることが難しいから、上述したように密着性能試験の信頼性が低くなってしまう。
また、眼鏡レンズにクロスカットを行う作業者は、本試験を行う際、曲面に対して刃物で細かな作業を強いられるために、誤って手先を切ってしまうなど、常に危険にさらされるという問題点があった。
更に、刃物が試験場等に放置される機会も増えることから、第三者に対しても危険に曝してしまうことがあるため、作業者からしばしば改善が要請されている。
本発明はこのような問題を解消するとともに作業者の要請に応えたもので、眼鏡レンズのレンズ面に高い精度でクロスカットを行うことができるとともに、作業者が刃に触れるおそれがない眼鏡レンズ用クロスカット装置および眼鏡レンズのクロスカット方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る眼鏡レンズ用クロスカット装置は、眼鏡レンズを着脱可能に保持するとともに、レンズ面の中心を回転中心として前記眼鏡レンズを所定角度だけ回転させるレンズ保持装置と、前記レンズ面に設けられている膜を切断可能な刃を有し、この刃を、前記レンズ保持装置に保持された前記眼鏡レンズの前記膜を貫通する罫書き位置と、この眼鏡レンズから離間した退避位置との間で移動させるアームと、前記刃が前記退避位置に移動することによって非露出状態となるように前記アームに設けられた保護装置と、前記刃を用いて前記眼鏡レンズに格子状の切り込みを入れる切り込み装置とを備え、前記切り込み装置は、眼鏡レンズの予め定めた加工開始点に前記刃を位置決めする機能と、前記刃を予め定めた押圧力で前記眼鏡レンズに向けて押圧する機能と、前記刃の切断方向に刃と眼鏡レンズとのうち少なくとも何れか一方を移動させて直線状に切り込みを入れる機能と、前記直線状に切り込みを入れた後に前記切断方向とは直交する方向に刃の切り込み位置を変える機能と、前記直線状の切り込みが予め定めた数だけ形成された後に前記レンズ保持装置を用いて眼鏡レンズを90度回転させる機能とを有しているものである。
本発明は、前記発明において、前記刃を前記レンズ面に押し付ける押圧力を一定に保つ制御装置をさらに備えているものである。
本発明は、前記発明において、前記保護装置は、前記アームの内側に前記刃を収容可能に形成された凹部と、前記刃を支持するとともに、前記刃が前記凹部に収容されて前記非露出状態となる保護位置と、前記刃が前記凹部から突出し露出する使用位置との間で回動するように前記アームに回動自在に支持された支持部材と、前記アームの動作に連動して前記支持部材を駆動する駆動機構とを備えているものである。
本発明は、前記発明において、前記保護装置は、前記アームの内側に前記刃を収容可能に形成された凹部と、前記刃を支持するとともに、前記刃が前記凹部に収容されて前記非露出状態となる保護位置と、前記刃が前記凹部から突出し露出する使用位置との間で回動するように前記アームに回動自在に支持された支持部材と、前記アームの動作に連動して前記支持部材を駆動する駆動機構とを備えているものである。
本発明は、前記発明において、前記刃は前記アームに固定され、前記保護装置は、前記刃が覆われて前記非露出状態となる保護位置と、刃が露出する使用位置との間で移動するように前記アームに移動自在に設けられたカバーと、前記アームの動作に連動して前記カバーを駆動する駆動機構とを備えているものである。
本発明は、眼鏡レンズを保持具に保持させて位置決めするレンズ保持工程と、眼鏡レンズの外径に対応したレンズ面の加工開始点を設定する開始点設定工程と、前記加工開始点に刃を切り込ませ、この刃を用いてレンズ面に複数の平行な罫書き線が形成されるように一定の加圧力で切り込みを行う第1の切り込み工程と、前記眼鏡レンズを90度回転させる回転工程と、前記回転工程の後、前記刃を用いて前記複数の平行な罫書き線を横切る複数の平行な罫書き線が形成されるように一定の加圧力で切り込みを行う第2の切り込み工程と、前記第2の切り込み工程の後、前記刃を眼鏡レンズから離間させて非露出状態とする保護工程とを有する眼鏡レンズのクロスカット方法である。
本発明によれば、アームに支持された刃が切り込み装置による駆動によって眼鏡レンズに対して移動し、眼鏡レンズに格子パターンを形成することができる。すなわち、眼鏡レンズをレンズ保持装置に装填した後、作業者が作業を行うことなく自動でクロスカットを行うことができる。格子パターンの切り込みの深さ(刃の押圧力の大きさ)、長さ、切り込み間の間隔等は、予め定めておくことができる。また、このクロスカット装置においては、刃が不使用時にアームに収容されるから、作業者が刃に触れることはできないものとなる。
したがって、本発明によれば、眼鏡レンズのレンズ面に高い精度でクロスカットを行うことができるとともに、作業者が刃に触れるおそれがない眼鏡レンズ用クロスカット装置を提供することができる。
本発明に係る眼鏡レンズのクロスカット方法によれば、レンズにクロスカットを自動で行うことができ、作業終了後に刃が自動で非露出状態になる。したがって、このクロスカット方法によれば、作業者が刃を取り扱うことなくクロスカットを行うことができるから、正確なクロスカットを生産性よく行うことができる。
本発明に係る眼鏡レンズのクロスカット方法によれば、レンズにクロスカットを自動で行うことができ、作業終了後に刃が自動で非露出状態になる。したがって、このクロスカット方法によれば、作業者が刃を取り扱うことなくクロスカットを行うことができるから、正確なクロスカットを生産性よく行うことができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る眼鏡レンズ用クロスカット装置の一実施の形態を図1〜図9によって詳細に説明する。この明細書においては、図1において左右方向であるクロスカット装置の前後方向を単にY方向といい、このY方向とは直交する水平方向である装置の左右方向を単にX方向という。また、この明細書においては、図1において右側を装置前側といい、図1において左側を装置後側という。
以下、本発明に係る眼鏡レンズ用クロスカット装置の一実施の形態を図1〜図9によって詳細に説明する。この明細書においては、図1において左右方向であるクロスカット装置の前後方向を単にY方向といい、このY方向とは直交する水平方向である装置の左右方向を単にX方向という。また、この明細書においては、図1において右側を装置前側といい、図1において左側を装置後側という。
図1に示す眼鏡レンズ用クロスカット装置1は、眼鏡レンズ2(以下、単にレンズ2という)に設けられている膜の密着性を評価するに当たって必要な格子パターン3{図8(b)参照}をレンズ面2aに形成するためのものである。レンズ2に設けられている前記膜としては、たとえば、ハードコート膜や反射防止膜などである。前記膜の密着性の評価は、JIS K 5600-5-6に規定されているクロスカット法によって行う。
格子パターン3は、図8(b)に示すように、複数の縦方向の直線と複数の横方向の直線とをレンズ面2aに刃物で罫書きを入れるようにして形成する。以下においては、刃物でレンズ面2aに罫書きを入れるようにして形成された1本の直線を単に切り込み線4という。この実施の形態によるクロスカット装置1は、詳細は後述するが、複数の縦方向(Y方向)の切り込み線4をレンズ面2aに形成した後にレンズ2を90度回転させ、その後、複数の横方向の切り込み線4をレンズ面2aに形成する。以下においては、レンズ2を90度回転させる以前に複数の切り込み線4を形成する工程を「第1の切り込み工程」といい、レンズ2を90度回転させた後に複数の切り込み線4を形成する工程を「第2の切り込み工程」という。
クロスカット装置1は、図1および図2に示すように、周囲から隔絶されるようにカバー5の内部に収容されており、このカバー5の内部でレンズ2に切り込みを入れるように構成されている。前記カバー5におけるクロスカット装置1の前側の端部(Y方向の一端部であって、図1において右側の端部)には、レンズ2を出し入れするために出し入れ口6が形成されているとともに、この出し入れ口6を開閉するシャッター7が設けられている。このシャッター7は、図示していないモータを動力源として昇降し、前記出し入れ口6を開閉する。このモータの動作は、後述する制御装置8(図9参照)によって制御される。
この実施の形態によるクロスカット装置1は、基台11と、この基台11の上に配設されたレンズ保持装置12および刃物移動装置13と、これらの装置の動作を制御するための制御装置8などによって構成されている。前記レンズ保持装置12は、基台11上であって前記出し入れ口6の近傍に位置付けられている。このレンズ保持装置12は、前記基台11にレンズ移動装置14を介して支持された可動ステージ15を備えている。レンズ移動装置14は、可動ステージ15をX方向とY方向とに平行移動させる機能と、可動ステージ15を上下方向の軸線回りに回転させる機能とを有している。このレンズ移動装置14の動作は制御装置8によって制御される。
可動ステージ15は、図2に示すように、円板状に形成されており、レンズ2を一対の把持用ブロック21によって把持する保持機構22と、レンズ2を載せるための台座23とを備えている。前記台座23は、円筒状に形成されており、円板状の可動ステージ15の上面に可動ステージ15と同一軸線上に位置するように固定されている。台座23の上端部には、柔軟性を有するパッド23a{図2(c),(f)参照}が設けられている。この台座23の高さは、レンズ2をその凹面が下に位置する状態で載せたとしても、レンズ2の下端が可動ステージ15に接触することがないような高さに形成されている。図2(b),(e)は、レンズ2の凸面が上方を指向する状態でレンズ2を台座23に載せた状態を示し、図2(c),(f)は、レンズ2の凹面が上方を指向する状態でレンズ2を台座23に載せた状態を示している。
前記把持用ブロック21の一側部には、レンズ2の外周面と対向する2つの傾斜面21a,21aが形成され、他側部には、把持用ブロック21とともに保持機構を構成するアクチュエータ24が取付けられている。前記傾斜面21aは、平面視において、レンズ2の接線方向に延びるように形成されている。一対の把持用ブロック21は、図2(a),(b)に示すように、傾斜面21a,21aを有する一側部どうしが互いに対向するように可動ステージ15上に位置付けられている。
前記アクチュエータ24は、前記可動ステージ15の下面に固定されており、把持用ブロック21を前記傾斜面21a,21aがレンズ2に対して接近または離間するように平行移動させる。この実施の形態によるアクチュエータ24は、図2(a)〜(c)に示すように、把持用ブロック21とレンズ2との間に隙間が形成される着脱位置と、図2(d)〜(f)に示すように、一対の把持用ブロック21でレンズ2が挟持される把持位置との間で把持用ブロック21を移動させる。レンズ2は、前記把持位置に移動した把持用ブロック21で挟持されることによって、図2(d)に示すように、可動ステージ15の中心部に可動ステージ15と同一軸線上に位置するように位置決めされる。このため、レンズ2は、保持機構22によって保持された状態で可動ステージ15が回転することによって、レンズ面2aの中心を回転中心として回転する。
保持機構22は、上述したように一対の把持用ブロック21でレンズ2を挟持する構成を採る他に、図3に示すように、複数のピン25でレンズ2を挟持する構成を採ることができる。図3において、前記図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図3に示す保持機構22は、レンズ2を挟持するために4本のピン25を備えている。これらのピン25は、上下方向に延びる状態でそれぞれアクチュエータ24に支持されている。また、これらのピン25は、可動ステージ15の外周部に径方向に延びるように形成されたスリット26に挿入されている。
図3に示す保持機構22は、レンズ2を挟持するために4本のピン25を備えている。これらのピン25は、上下方向に延びる状態でそれぞれアクチュエータ24に支持されている。また、これらのピン25は、可動ステージ15の外周部に径方向に延びるように形成されたスリット26に挿入されている。
前記刃物移動装置13は、図1に示すように、前記基台11にY方向移動装置31を介して支持された刃物台32と、この刃物台32にX方向の軸線回りに揺動自在に支持されたアーム33と、このアーム33を駆動するアーム駆動装置34(図9参照)と、前記アーム33の先端部に保護装置35を介して支持された刃36などを備えている。前記刃36は、レンズ2の表面に設けられている前記膜を切断可能なもので、X方向から見て刃先が円弧状を呈する形状に形成されている。また、この刃36は、切断方向がY方向となるようにアーム33に装着されている。
前記Y方向移動装置31は、図1(b)に示すように、刃物台32のX方向の両端部をY方向に移動自在に支持する2本のガイドロッド31a,31aを備えている。また、Y方向移動装置31は、刃物台32をY方向に移動させるボールねじ機構31bを備えている。このボールねじ機構31bは、前記2本のガイドロッド31aどうしの間に位置付けられている。このY方向移動装置31の動作は制御装置8によって制御される。
前記アーム33は、後述するアーム駆動装置34による駆動によって、図1(a)に示す退避位置と、図4(c)に示す罫書き位置との間で刃36を移動させる。前記退避位置とは、刃36がレンズ2から上方に離間して刃36とレンズ2との間に空間が形成されるような刃36の位置である。この実施の形態による刃36の退避位置は、図1(a)に示すように、前記出し入れ口6の上縁より高くなるように位置付けられている。前記罫書き位置とは、レンズ保持装置12に保持されているレンズ2の前記膜を刃36が貫通する(刃先がレンズ素材に達する)ときの刃36の位置である。
前記アーム駆動装置34は、アーム33を上下方向に揺動させるとともに、前記刃36が予め定めた押圧力でレンズ2に向けて押圧されるようにアーム33を駆動する。このアーム駆動装置34の動作は制御装置8によって制御される。このアーム駆動装置34によって所定の前記押圧力を得るためには、アーム33を下方に向けて揺動させるときの駆動力の大きさを制御することによって行う。この駆動力の制御は、たとえばフィードバック制御により、前記駆動力の大きさが一定になるように行うことができる。このようにフィードバック制御により駆動力を制御することによって、刃36がレンズ2のレンズ面2a上を移動するときにレンズ面2aの傾斜に対応した大きさで押圧力が発生する。
すなわち、たとえば凸面からなるレンズ面2aの外周側から凸面の中心側へ刃36が移動するような場合、刃36の高さが一定であると、押圧力が徐々に大きくなる(切り込みの深さが徐々に深くなる)。しかし、このような場合であっても、この実施の形態によるクロスカット装置1によれば、押圧力が一定になるように刃36の高さがレンズ面2aの傾斜に倣って上昇する(切り込みの深さが一定になる)。この実施の形態においては、前記アーム駆動装置34と、前記Y方向移動装置31と、前記レンズ移動装置14とによって、本発明でいう切り込み装置が構成されている。
前記保護装置35は、前記刃36を使用しないときに非露出状態とし、作業者を保護するためのものである。この実施の形態による保護装置35は、図1(a)に示すように、前記アーム33の内側(下側)に前記刃36を収容可能に形成された凹部33aと、前記刃36を支持する支持部材37と、この支持部材37を駆動するための駆動機構38{図1(b)参照}とを備えている。前記支持部材37は、アーム33の先端部にX方向の軸線回りに回動自在に支持されている。
前記駆動機構38は、支持部材37と基台11とを連結するリンク機構によって構成されており、アーム33の揺動動作と連動するように支持部材37を駆動する。この駆動機構38は、図1(a)に示す位置からアーム33が下方に揺動することによって、刃36が前記凹部33aから下方に突出するように前記支持部材37を駆動する。また、駆動機構38は、刃36が罫書き位置に位置している状態{図4(c)参照}からアーム33が上方に揺動することによって、刃36が前記凹部33aに収容されて非露出状態となるように前記支持部材37を駆動する。すなわち、前記支持部材37は、駆動機構38による駆動によって刃36が前記凹部33aに収容されて非露出状態となる保護位置と、前記刃36が前記凹部33aから突出し露出する使用位置との間で回動することになる。
制御装置8は、図9に示すように、シャッター制御部41と、保持機構制御部42と、加工開始点設定部43と、切り込み動作制御部44とを備えている。
シャッター制御部41は、制御装置8に接続されているスタートスイッチ45(図9参照)がON操作されたときにシャッター7を閉じる。また、シャッター制御部41は、後述する切り込み動作制御部44による制御で実施される切り込み動作が完了したときにシャッター7を開く。
シャッター制御部41は、制御装置8に接続されているスタートスイッチ45(図9参照)がON操作されたときにシャッター7を閉じる。また、シャッター制御部41は、後述する切り込み動作制御部44による制御で実施される切り込み動作が完了したときにシャッター7を開く。
前記保持機構制御部42は、スタートスイッチ45がON操作されて前記シャッター7が閉じた後、レンズ2が把持用ブロック21またはピン25によって挟持されるようにレンズ保持装置12のアクチュエータ24を動作させる。この保持機構制御部42は、後述する切り込み動作制御部44による制御で実施される切り込み動作が完了したときにレンズ2が開放されるようにアクチュエータ24を動作させる。
前記加工開始点設定部43は、レンズ2に切り込み線4を形成するときに最初に刃36をレンズ2に押し付ける位置(この位置を以下においては単に加工開始点という)を設定するためのものである。加工開始点は、レンズ2の外径に対応した位置に設定される。レンズ2の外径毎の加工開始点の座標データは、制御装置8に接続されたメモリ46(図9参照)から必要に応じて読み出す。レンズ2の外径の入力は、制御装置8に接続されたレンズ径入力用操作子47(図9参照)を作業者が操作することによって行われる。
前記切り込み動作制御部44は、前記切り込み装置を構成する各装置(レンズ移動装置14、Y方向移動装置31およびアーム駆動装置34)の動作を制御し、レンズ2にクロスカットを行うためのものである。この切り込み動作制御部44は、下記の(1)〜(6)で示す動作を制御する。
(1)刃36が罫書き位置に位置しかつ刃36がレンズ2を押す際の押圧力が予め定めた一定値になるようにアーム駆動装置34の動作を制御する。
(2)刃物台32とアーム33および刃36がY方向に移動するようにY方向移動装置31の動作を制御する。
(3)刃36が退避位置に移動するようにアーム駆動装置34の動作を制御する。
(4)可動ステージ15がX方向に移動するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
(5)可動ステージ15がY方向に移動するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
(6)可動ステージ15が90度回転するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
(1)刃36が罫書き位置に位置しかつ刃36がレンズ2を押す際の押圧力が予め定めた一定値になるようにアーム駆動装置34の動作を制御する。
(2)刃物台32とアーム33および刃36がY方向に移動するようにY方向移動装置31の動作を制御する。
(3)刃36が退避位置に移動するようにアーム駆動装置34の動作を制御する。
(4)可動ステージ15がX方向に移動するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
(5)可動ステージ15がY方向に移動するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
(6)可動ステージ15が90度回転するようにレンズ移動装置14の動作を制御する。
次に、上述したように構成されたレンズ用クロスカット装置1の動作を図4〜図7によって説明する。
このクロスカット装置1によってレンズ2にクロスカットを行うためには、先ず、図1に示すように、レンズ2をカバー5の出し入れ口6からカバー5内に挿入し、レンズ保持装置12の可動ステージ15上に載せる。その後、作業者がレンズ2の外径をレンズ径入力用操作子47によって入力し、スタートスイッチ45をON操作する。
このクロスカット装置1によってレンズ2にクロスカットを行うためには、先ず、図1に示すように、レンズ2をカバー5の出し入れ口6からカバー5内に挿入し、レンズ保持装置12の可動ステージ15上に載せる。その後、作業者がレンズ2の外径をレンズ径入力用操作子47によって入力し、スタートスイッチ45をON操作する。
スタートスイッチがON操作されることにより、図4(a)に示すように、シャッター7が閉じ、図4(b)に示すように、レンズ2がレンズ保持装置12(保持機構22)に保持される。また、このときには、レンズ2の外径毎の加工開始点と刃36の位置とを一致させるために、レンズ移動装置14がレンズ2を可動ステージ15とともにX方向に移動させる。なお、レンズ移動装置14は、図6(a)に示すように、レンズ2の着脱が行われるときには可動ステージ15を装置前側(図6においては右側)に移動させておく。
図4(b)に示すようにレンズ2が所定の位置に位置決めされた後、複数の切り込み線4を形成するための第1の切り込み工程が開始される。すなわち、先ず、図4(c),(d)および図6(a)に示すように、アーム33が下方に揺動し、刃36が罫書き位置に位置付けられ、レンズ2の加工開始点に押し付けられる。このとき、刃36は、図8(a)中に符号Aで示す加工開始点に予め定めた大きさの押圧力で押し付けられる。なお、図8(a)は、複数の切り込み線4が形成された状態で描いてある。加工開始点Aは、図8(a)に示すように、レンズ2の幾何学的中心CからX方向の一方に長さL1だけ離間し、かつY方向において装置後側にL2だけ離間する位置に設定されている。
次に、図4(e),(f)および図6(b)に示すように、Y方向移動装置31が刃物台32をアーム33および刃36と一体に予め定めた距離L3{図8(a)参照}だけ装置後側に移動させる。このように刃36がレンズ2に対して移動することによって、レンズ面2aに1本目の切り込み線4{図8(a)参照}が形成される。その後、図5(a)に示すように、アーム駆動装置34がアーム33を上昇させ、刃36を退避位置に移動させる。このとき、アーム33が上昇することによって刃36がアーム33の凹部33a内に収容される。
このように刃36が退避位置に移動した後、図5(b),(c)および図6(c)に示すように、Y方向移動装置31が刃物台32をアーム33および刃36とともに装置前側に移動させ、Y方向において初期の位置に復帰させる。そして、図5(d)および図6(d)に示すように、レンズ移動装置14がレンズ2を可動ステージ15とともにY方向の一方に予め定めた距離だけ移動させる。この予め定めた距離とは、格子パターン3の各線どうしの間の間隔である。このようにレンズ2がX方向に移動することによって、刃36の切り込み位置が切断方向とは直交する方向に変えられることになる。
レンズ2のY方向への移動が終了した後、再びアーム33が下方に揺動して刃36が罫書き位置に位置付けられ、図6(e)に示すように、刃物台32が装置後側に移動して2本目の切り込み線4が形成される。この実施の形態においては、前記切り込み線4は、上述した動作を繰り返し行うことによって、合計11本形成される。11本の切り込み線4が形成されることによって、第1の切り込み工程が終了する。
このように11本の切り込み線4が形成された後、アーム33が上方に揺動し、図6(f)に示すように、レンズ移動装置14が可動ステージ15をX方向において初期の位置に復帰させる。アーム33移動装置は、可動ステージ15をX方向に移動させた後、図6(g)に示すように、可動ステージ15を平面視において反時計方向に90度回転させ、さらに、同図(H)に示すように、可動ステージ15を装置後側に移動させる。次に、制御装置8が次の第2の切り込み工程を実施するに当たって新たに加工開始点B{図8(b)参照}を設定する。この加工開始点Bは、図8(b)に示すように、レンズ2の幾何学的中心CからX方向の一方に長さL4だけ離間し、かつY方向において装置前側にL5だけ離間して位置付けられている。
しかる後、アーム33が下方に揺動して刃36が罫書き位置に位置付けられ、図7(a)に示すように、刃物台32がアーム33および刃36とともに装置後側に移動して切り込み線4が形成される。その後、図7(b)に示す刃物台32の復帰動作と、図7(c)に示す可動ステージ15のX方向への送り動作と、図7(d)に示す切り込み動作とを繰り返し、合計11本の平行な切り込み線4を形成する。第1の切り込み工程と第2の切り込み工程とにおいてそれぞれ複数の切り込み線4を形成することによって、図8(b)に示すように、レンズ面2aに直角な格子パターン3が形成される。
第2の切り込み工程において11本の切り込み線4が形成された後、図7(e)に示すように、レンズ移動装置14が可動ステージ15をX方向の初期の位置に復帰させる。そして、図7(f)に示すように、レンズ移動装置14が可動ステージ15をY方向における初期の位置に復帰させ、さらに、図7(g)に示すように、可動ステージ15を回転方向の初期の位置に復帰させる。
このようにクロスカットが行われた後、アーム33が上方に移動して刃36が退避位置に移動するとともに、保持機構22がレンズ2を開放させ、さらに、シャッター7が開く。
このようにクロスカットが行われた後、アーム33が上方に移動して刃36が退避位置に移動するとともに、保持機構22がレンズ2を開放させ、さらに、シャッター7が開く。
このように構成されたレンズ用クロスカット装置1によれば、アーム33に支持された刃36が切り込み装置(レンズ移動装置14、Y方向移動装置31およびアーム駆動装置34)による駆動によってレンズ2に対して移動し、レンズ2に格子パターン3を形成することができる。すなわち、レンズ2をレンズ保持装置12に装填した後、作業者が作業を行うことなく自動でクロスカットを行うことができる。格子パターン3の切り込みの深さ(刃36の押圧力の大きさ)、長さ、切り込み間の間隔等は、予め定めておくことができる。また、このクロスカット装置1はカバー5で囲まれ、クロスカットが行われているときはレンズ2の出し入れ口6がシャッター7で閉じられているから、刃36を作業者から完全に隔絶することができる。
しかも、この実施の形態においては、刃36は、クロスカットを行っていないときはアーム33の凹部33a内に収容され、非露出状態になる。このため、レンズ2の着脱時や、このクロスカット装置1の各部のメンテナンス時に作業者が刃36に触れるようなことを防ぐことができる。
したがって、この実施の形態によれば、レンズ2のレンズ面2aに高い精度でクロスカットを行うことができるとともに、作業者が刃36に触れることがないレンズ用クロスカット装置を提供することができる。
したがって、この実施の形態によれば、レンズ2のレンズ面2aに高い精度でクロスカットを行うことができるとともに、作業者が刃36に触れることがないレンズ用クロスカット装置を提供することができる。
また、この実施の形態による上記クロスカット装置1を用いたクロスカット方法は、下記の工程(a)〜(e)によって実施される。
(a)レンズ保持工程:レンズ2を保持具(レンズ保持装置12)に保持させて位置決めする。
(b)第1の切り込み工程:レンズ2の外径に対応したレンズ面2aの加工開始点Aを設定し、前記加工開始点に刃36を切り込ませ、この刃36を用いてレンズ面2aに複数の平行な切り込み線4が形成されるように一定の押圧力で切り込みを行う。
(c)回転工程:レンズ2を90度回転させる。
(d)第2の切り込み工程:前記回転工程の後、レンズ2の外径に対応したレンズ面2aの加工開始点Bを設定し、前記刃36を用いて前記複数の平行な切り込み線4を横切る複数の平行な切り込み線4が形成されるように一定の押圧力で切り込みを行う。
(e)保護工程:前記第2の切り込み工程の後、前記刃36をレンズ2から離間させて非露出状態とする。
このため、この実施の形態によるクロスカット方法によれば、レンズ2にクロスカットを自動で行うことができ、作業終了後に刃36が自動で非露出状態になる。したがって、この実施の形態によれば、作業者が刃36に触れることを防ぎながら、正確なクロスカットを生産性よく行うことができる。
(a)レンズ保持工程:レンズ2を保持具(レンズ保持装置12)に保持させて位置決めする。
(b)第1の切り込み工程:レンズ2の外径に対応したレンズ面2aの加工開始点Aを設定し、前記加工開始点に刃36を切り込ませ、この刃36を用いてレンズ面2aに複数の平行な切り込み線4が形成されるように一定の押圧力で切り込みを行う。
(c)回転工程:レンズ2を90度回転させる。
(d)第2の切り込み工程:前記回転工程の後、レンズ2の外径に対応したレンズ面2aの加工開始点Bを設定し、前記刃36を用いて前記複数の平行な切り込み線4を横切る複数の平行な切り込み線4が形成されるように一定の押圧力で切り込みを行う。
(e)保護工程:前記第2の切り込み工程の後、前記刃36をレンズ2から離間させて非露出状態とする。
このため、この実施の形態によるクロスカット方法によれば、レンズ2にクロスカットを自動で行うことができ、作業終了後に刃36が自動で非露出状態になる。したがって、この実施の形態によれば、作業者が刃36に触れることを防ぎながら、正確なクロスカットを生産性よく行うことができる。
この実施の形態によるレンズ用クロスカット装置1は、前記刃36を前記レンズ面2aに押し付ける押圧力を一定に保つ制御装置8を備えている。
このため、前記押圧力の大きさは、レンズ2のレンズ面2aの凹凸に対応して一定となるように制御される。したがって、この実施の形態によれば、切り込みの深さが高い精度で一定になり、より一層正確にクロスカットを行うことができるから、クロスカット試験の信頼性を高くすることができる。
このため、前記押圧力の大きさは、レンズ2のレンズ面2aの凹凸に対応して一定となるように制御される。したがって、この実施の形態によれば、切り込みの深さが高い精度で一定になり、より一層正確にクロスカットを行うことができるから、クロスカット試験の信頼性を高くすることができる。
(第2の実施の形態)
保護装置は図10に示すように構成することができる。
図10において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10に示す保護装置35は、刃36を覆うカバー51と、このカバー51を駆動するための駆動機構52を備えている。この実施の形態による刃36は、前記アーム33の先端部に支持用ブラケット53を介して固定されている。
保護装置は図10に示すように構成することができる。
図10において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10に示す保護装置35は、刃36を覆うカバー51と、このカバー51を駆動するための駆動機構52を備えている。この実施の形態による刃36は、前記アーム33の先端部に支持用ブラケット53を介して固定されている。
前記カバー51は、刃36を覆うためのカバー本体51aと、後述する駆動機構52を接続するための駆動用レバー51bとを有し、アーム33の先端部にX方向の軸線回りに回動自在に支持されている。カバー本体51aは、図10(a)に示すように、アーム33の下側に回動することによって、刃36と前記支持用ブラケット53とをX方向の両側と、装置前側と、下方とから覆うことができる形状に形成されている。駆動用レバー51bは、このようにカバー本体51aがアーム33の下側に回動した状態では上方に向けて突出するように形成されている。
前記駆動機構52は、アーム33の動作に連動してカバー51を回動させるためのもので、前記駆動用レバー51bと、刃物台32から上方に延びるフレーム32aの上端部とを連結している。この実施の形態による駆動機構52は、アーム33が図10(a)に示すように上に揺動することによって、刃36がカバー本体51aで覆われて非露出状態になるような保護位置にカバー51を回動させる。また、駆動機構52は、アーム33が図10(c)に示すように下方に揺動することによって、刃36が露出する使用位置にカバー51を回動させる。
このため、この実施の形態によるクロスカット装置1の刃36は、クロスカットを行っていないときは前記カバー51で覆われて非露出状態になる。したがって、この実施の形態においても、レンズ2の着脱時や、このクロスカット装置1の各部のメンテナンス時に作業者が刃36に触れるようなことを防ぐことができる。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態においては、複数の切り込み線を形成するときにレンズをX方向に所定の間隔ずつ送る例を示したが、図11および図12に示すように、刃がX方向に所定の間隔ずつ送られる構成を採ることができる。図11および図12において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
第1の実施の形態においては、複数の切り込み線を形成するときにレンズをX方向に所定の間隔ずつ送る例を示したが、図11および図12に示すように、刃がX方向に所定の間隔ずつ送られる構成を採ることができる。図11および図12において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図11および図12に示す刃物台32は、基台11にX方向移動装置61を介して支持されている。なお、この実施の形態におけるレンズ保持装置12のレンズ移動装置14は、可動ステージ15をX方向に平行移動させる機能は有していない。
前記X方向移動装置61は、刃物台32をアーム33および刃36とともにX方向に平行移動させる構成が採られている。このX方向移動装置61の動作は制御装置8によって制御される。
前記X方向移動装置61は、刃物台32をアーム33および刃36とともにX方向に平行移動させる構成が採られている。このX方向移動装置61の動作は制御装置8によって制御される。
この実施の形態において、クロスカットを行うためには、先ず、図11(a)〜(c)に示すように、第1の切り込み工程において、刃36が加工開始点Aに位置付けられてから装置後側に移動して1本目の切り込み線4が形成され、アーム33が上に揺動して刃物台32がY方向の初期の位置に復帰する。そして、図11(d)に示すように、刃物台32がアーム33および刃36とともにX方向移動装置61による駆動によってX方向に予め定めた距離だけ移動する。この距離は、格子パターン3の各線の間隔に相当する長さである。このように刃物台32がX方向に移動することによって、刃36の切り込み位置が切断方向とは直交する方向に変えられることになる。このように刃物台32がX方向に移動した後、刃36をレンズ2に押し付け、さらに刃物台32を装置後側に移動させることによって、2本目の切り込み線4が形成される{図11(e)参照}。
X方向移動装置61は、図11(f)に示すように、第1の切り込み工程において、11本の切り込み線4が形成された後に刃物台32をX方向の初期の位置に復帰させる。X方向移動装置61を備える場合であっても、第1の切り込み工程が終了した後、図11(g)に示すようにレンズ2が90度回転し、同図(H)に示すように、可動ステージ15が装置後側に移動する。そして、加工開始点Bが設定され、図12(a)〜(b)に示すように、第2の切り込み工程で1本目の切り込み線4が形成される。1本目の切り込み線4が形成された後、図12(c)に示すように、X方向移動装置61による駆動によって刃物台32が前記所定距離だけX方向に移動し、刃36の切り込み位置が切断方向とは直交する方向に変えられる。
しかる後、図12(d)に示すように、2本目の切り込み線4が形成される。2本目の切り込み線4が形成された後、上述した図12(a)〜(d)の動作を複数回繰り返し、合計11本の切り込み線4が形成される。このように11本の切り込み線4が形成されることによって、第2の切り込み工程が終了し、図12(e)に示すように、X方向移動装置61が刃物台32をX方向の初期の位置に復帰させる。そして、図12(f)に示すように、レンズ移動装置14が可動ステージ15をY方向の初期の位置に復帰させ、同図(g)に示すように、レンズ移動装置14が可動ステージ15を回転方向の初期の位置に復帰させる。
この実施の形態で示したように刃物台32をアーム33と刃36とともにX方向に移動させる構成を採る場合であっても、第1の実施の形態を採るときと同等の効果を奏する。
上述した各実施の形態においては、切り込み線4を形成するときに固定されているレンズ2に対して刃36をY方向に移動させる例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることなく、Y方向への移動が規制されている刃36に対してレンズ2をY方向に移動させたり、刃36とレンズ2の両方をそれぞれY方向において逆方向に移動させることができる。
上述した実施の形態においては、刃36をレンズ2に押し付ける押圧力をアーム駆動装置34によって発生させる例を示した。しかし、この押圧力を発生させる機構は、上述した実施の形態で示す例に限定されることはなく、たとえばばねの弾発力を使用して刃36を下方に付勢する構成を採ることができる。
上述した実施の形態においては、刃36が1本である例を示した。しかし、本発明は、上述した実施の形態で示す例に限定されることはなく、たとえば刃36をJIS K 5600-5-6に規定されている通り、縦方向に延びる11本の刃を1mm間隔で並べて構成することもできる。この際、各刃に押圧力を一定に保つ制御を行うことで、より短時間にクロスカット法による試験を行うことができる。
1…クロスカット装置、2…レンズ、2a…レンズ面、8…制御装置、12…レンズ保持装置、14…レンズ移動装置、22…保持機構、31…Y方向移動装置、32…刃物台、33…アーム、33a…凹部、34…アーム駆動装置、35…保護装置、36…刃、37…支持部材、38,52…駆動機構。
Claims (5)
- 眼鏡レンズを着脱可能に保持するとともに、レンズ面の中心を回転中心として前記眼鏡レンズを所定角度だけ回転させるレンズ保持装置と、
前記レンズ面に設けられている膜を切断可能な刃を有し、この刃を、前記レンズ保持装置に保持された前記眼鏡レンズの前記膜を貫通する罫書き位置と、この眼鏡レンズから離間した退避位置との間で移動させるアームと、
前記刃が前記退避位置に移動することによって非露出状態となるように前記アームに設けられた保護装置と、
前記刃を用いて前記眼鏡レンズに格子状の切り込みを入れる切り込み装置とを備え、
前記切り込み装置は、眼鏡レンズの予め定めた加工開始点に前記刃を位置決めする機能と、
前記刃を予め定めた押圧力で前記眼鏡レンズに向けて押圧する機能と、
前記刃の切断方向に刃と眼鏡レンズとのうち少なくとも何れか一方を移動させて直線状に切り込みを入れる機能と、
前記直線状に切り込みを入れた後に前記切断方向とは直交する方向に刃の切り込み位置を変える機能と、
前記直線状の切り込みが予め定めた数だけ形成された後に前記レンズ保持装置を用いて眼鏡レンズを90度回転させる機能とを有していることを特徴とする眼鏡レンズ用クロスカット装置。 - 請求項1記載の眼鏡レンズ用クロスカット装置において、前記刃を前記レンズ面に押し付ける押圧力を一定に保つ制御装置をさらに備えていることを特徴とする眼鏡レンズ用クロスカット装置。
- 請求項1または請求項2記載の眼鏡レンズ用クロスカット装置において、前記保護装置は、前記アームの内側に前記刃を収容可能に形成された凹部と、
前記刃を支持するとともに、前記刃が前記凹部に収容されて前記非露出状態となる保護位置と、前記刃が前記凹部から突出し露出する使用位置との間で回動するように前記アームに回動自在に支持された支持部材と、
前記アームの動作に連動して前記支持部材を駆動する駆動機構とを備えていることを特徴とする眼鏡レンズ用クロスカット装置。 - 請求項1または請求項2記載の眼鏡レンズ用クロスカット装置において、前記刃は前記アームに固定され、
前記保護装置は、前記刃が覆われて前記非露出状態となる保護位置と、刃が露出する使用位置との間で移動するように前記アームに移動自在に設けられたカバーと、
前記アームの動作に連動して前記カバーを駆動する駆動機構とを備えていることを特徴とする眼鏡レンズ用クロスカット装置。 - 眼鏡レンズを保持具に保持させて位置決めするレンズ保持工程と、
眼鏡レンズの外径に対応したレンズ面の加工開始点を設定する開始点設定工程と、
前記加工開始点に刃を切り込ませ、この刃を用いてレンズ面に複数の平行な罫書き線が形成されるように一定の加圧力で切り込みを行う第1の切り込み工程と、
前記第1の切り込み工程の後、前記眼鏡レンズを90度回転させる回転工程と、
前記回転工程の後、前記刃を用いて前記複数の平行な罫書き線を横切る複数の平行な罫書き線が形成されるように一定の加圧力で切り込みを行う第2の切り込み工程と、
前記第2の切り込み工程の後、前記刃を眼鏡レンズから離間させて非露出状態とする保護工程とを有することを特徴とする眼鏡レンズのクロスカット方法。
Priority Applications (1)
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JP2010145915A JP2012008432A (ja) | 2010-06-28 | 2010-06-28 | 眼鏡レンズ用クロスカット装置および眼鏡レンズのクロスカット方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106625808A (zh) * | 2016-12-13 | 2017-05-10 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 切割装置 |
JP2018159673A (ja) * | 2017-03-23 | 2018-10-11 | Jfeスチール株式会社 | スクラッチ装置 |
JP2019197086A (ja) * | 2018-05-07 | 2019-11-14 | 株式会社ニデック | 搬送装置 |
-
2010
- 2010-06-28 JP JP2010145915A patent/JP2012008432A/ja active Pending
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CN106625808B (zh) * | 2016-12-13 | 2018-12-07 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 切割装置 |
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