近年、楽曲などの音声データを携帯型の情報処理装置にダウンロードして、移動中など屋外で音楽を聴く機会が増えている。たとえば電車内で辺りを見回すと、自分だけでなく、多くの人がイヤホンやヘッドホンで何かを聴いている。他人が集中して聴いている様子を見ると「何を聴いているんだろう」という興味がわき、また自分が好きな楽曲を聴いているときには「他人にも聴かせてあげたい」という想いもある。しかしながら、見ず知らずの他人からイヤホンをかりて音楽を聴かせてもらったり、また他人に聴かせようとイヤホンを貸したりすることは、現実に難しい。そのため、イヤホンの貸し借り無しに、他人が聴いている音楽を同期して聴くことができ、または自分が聴いている音楽を他人が同期して聴けることが好ましい。
図1は、本発明の実施例におけるストリーム同期再生システム1の説明図である。ストリーム同期再生システム1は、新たな音楽との出会いを効率よく実現する環境を提供する。図1は、ストリーム同期再生システム1の利用場面を例示している。各ユーザが保持する情報処理装置100a、100bは無線通信機能を有している。
この例では、ユーザBが情報処理装置100bで再生している音楽(SongB)を聴いている。ここでユーザAが情報処理装置100aから情報処理装置100bに対して再生中の音楽(SongB)の送信要求を送る。ユーザBの情報処理装置100bは、送信要求を受信すると、再生中の楽曲データを、送信要求を受信した時点の再生位置から情報処理装置100aに送信する。つまりストリーム同期再生システム1では、情報処理装置100bは、楽曲ファイルの全体を転送するのではなく、ユーザBが聴いているところから、楽曲データを情報処理装置100aに転送する。これによりユーザAは、ユーザBと同期して楽曲を聴くことができ、見ず知らずのユーザBと感覚を共有できるようになる。このようにストリーム同期再生システム1は、ユーザAが、新たな音楽(SongB)に簡単に出会える環境を提供できる。
なお情報処理装置100bは、個人により所有されてもよいが、たとえば音楽ショップなどに設置された端末装置であってもよい。この場合、ユーザAには、音楽ショップお薦めの音楽を試聴できるという利点があり、一方音楽ショップにも、広告効果を期待できる利点がある。
図2は、ストリーム同期再生システム1の構成を示す。ストリーム同期再生システム1は、複数の無線通信可能な情報処理装置100a、100b、100c、100d、100e(以下、区別しない場合には「情報処理装置100」と呼ぶこともある)を含んで構成される。情報処理装置100は、他の情報処理装置100との間でIEEE802.11を用いたアドホックネットワークを構築して、互いの間で信号の送受信を可能とする。ここでは無線ネットワークに相当するIBSS(Independent Basic Service Set:IBSS)が形成される例を示す。
同一のIBSSに所属する情報処理装置100は互いに直接通信できる。本実施例のストリーム同期再生システム1においてIBSSはグループと見なすことができ、情報処理装置100は、単一のIBSSに所属できる。単一のIBSSにおいて、たとえば情報処理装置100bは、情報処理装置100aに対してはホストとして動作し、同時に情報処理装置100eに対してはクライアントとして動作してもよい。本実施例において、ホストは、コンテンツストリームを配信する端末装置であり、クライアントは、コンテンツストリームの配信を受ける端末装置である。
なお情報処理装置100は、WLAN以外の他の無線通信方式および/または有線通信方式による通信機能を用いて、他の情報処理装置100と通信してもよい。他の無線通信方式として、たとえばBluetooth(登録商標)やTransferJet(登録商標)などの通信方式が用いられてもよい。また、IBSSではなく、IEEE802.11を利用したインフラストラクチャBSSを形成することで、情報処理装置100間の通信ネットワークが構築されてもよい。
以下においては、IBSSとして構築された無線ネットワークにおいて、ホストとして動作する情報処理装置100bから、クライアントとして動作する情報処理装置100aに対して、情報処理装置100bで再生中の音声データを送信するケースを一例として示す。以下では音声データの例として音楽データを示すが、音楽(楽曲)以外のたとえば詩の朗読やボイスメッセージなどのデータも、音声データに含まれる。
なお、情報処理装置100bにおいて再生中の音声データは、情報処理装置100bにおいて必ずしも音声出力されている必要はなく、復号処理がなされて音声信号に変換する処理がなされていればよい。つまり情報処理装置100bにおいては、情報処理装置100bで保持する楽曲データの再生が行われているものの、情報処理装置100bのユーザBは、その楽曲を聴いていなくてもよく、他のたとえば情報処理装置100eから送信される楽曲を聴いていてもよい。このとき、情報処理装置100bでは、自端末で保持する楽曲データの再生処理と、情報処理装置100eから送信される楽曲データの再生処理とが独立して並列に実行されている。
図3は、情報処理装置100の正面図である。図4は、情報処理装置100の上面図である。情報処理装置100の筐体10は、全体として横長の形状を有しており、筐体10の両端は、中心線から一定の距離偏心した位置を中心とする円弧状に湾曲形成されている。筐体10は、上側部10a、中間部10bおよび下側部10cから構成され、その内部に各種ボタン操作による信号を発生するスイッチ接点と、その信号を処理し各種演算を実行する中央処理装置などが搭載された回路基板(図示せず)を内蔵している。図示しない回路基板は、上側部10aまたは下側部10cに固定されている。また、中間部10bは上側部10aおよび下側部10cに比して剛性が高く、筐体10全体の剛性を確保している。
筐体10の上側部10aの表面、つまりユーザに対する面の中央部分には、表示装置としての液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)12が嵌め込まれている。また上側部10aの表面には、ユーザの左手により把持される左手領域48Lと、右手により把持される右手領域48Rと、LCD12の下方に位置し各種ボタンが配置される横長のボタン領域50と、LCD12の上方に位置する装飾領域16が設けられる。
左手領域48Lには、方向指示入力をするための十字キー20と、アナログ入力をするためのアナログデバイス22と、スピーカ52が設けられている。右手領域48Rには、操作指示を入力するための押しボタン30a、30b、30c、30d(以下、これらを総称するときには、「押しボタン30」という)と、スピーカ52が設けられている。Lボタン46L、Rボタン46Rは、それぞれユーザの左手人差し指または中指、右手人差し指または中指で操作されるボタンである。
筐体10の背面の両端には膨らみ42L、42Rが形成されている。これら2つの膨らみの間は平面となっており、その平面のほぼ全体が、ディスクドライブの蓋44となっている。この蓋44は、中間部10bに設けられたスイッチをスライドすることによって、図4の上方に展開し、その下部にある図示しないディスクドライブにディスクを載置できるようになっている。このディスクは、情報処理装置100のアプリケーションプログラムやゲームプログラム、また動画再生用のデータや音楽再生用のデータを提供する。
また筐体10の上面には、WLANスイッチ54が設けられる。WLANスイッチ54は、情報処理装置100の通信部の機能をオン状態またはオフ状態にするためのスイッチである。具体的には、図4の右方にWLANスイッチ54を動かすと、情報処理装置100のWLAN(Wireless Local Area Network)モジュールが起動し、情報処理装置100が無線通信できるようになる。また筐体10の側面には、外付けのメモリユニットを挿入するための挿入口が設けられる。なおスピーカ52が筐体表面に設けられているが、筐体下面に設けられた差込口(図示せず)にイヤホンを差し込むと、音声は、イヤホンから出力されるようになる。
本実施例の情報処理装置100は、様々な種類の装置として機能することができる。たとえばディスクドライブにゲームプログラムを記録したディスクを挿入すれば、情報処理装置100はゲーム装置として機能する。また、メモリユニットに楽曲データや動画データなどのコンテンツデータが記録されていれば、情報処理装置100は、コンテンツ再生装置として機能する。本実施例では、主として楽曲などの音声データを再生して、音声出力する再生装置として機能する場合について説明する。
本実施例のストリーム同期再生システム1においては、1つの情報処理装置100が、2系統の再生処理を独立して実行でき、他の情報処理装置100に対してコンテンツストリームを提供するホストとして動作し、また同時に他の情報処理装置100からコンテンツストリームを提供されるクライアントとして動作できる。以下、説明の便宜上、情報処理装置100aがクライアントとして動作し、情報処理装置100bがホストとして動作するとして、クライアントおよびホストの双方の機能を説明する。
図5は、クライアントとして動作する情報処理装置100aの機能を説明するための図である。情報処理装置100aは、入力受付部102、接続モード設定部104、通信部110、再生部130、送信要求生成部172、表示情報取得部180、音声出力部190、表示処理部192および画面表示部194を備える。通信部110は、無線インタフェース112、通信制御部114、送信部116および受信部118を有する。再生部130は、第1再生部150および第2再生部140を有し、第1再生部150は、選択部152、再生処理部154および読出制御部156を含み、第2再生部140は、再生モード設定部142、音声データ取得部144および再生処理部146を含む。表示情報取得部180は、再生情報取得部182およびコンテンツ情報取得部184を有する。
図6は、ホストとして動作する情報処理装置100bの機能を説明するための図である。情報処理装置100bは、通信部210、送信要求取得部230、管理部240、再生処理部254、読出制御部256、送信データ生成部260、メモリユニット270および音声出力部290を備える。通信部210は、無線インタフェース212、通信制御部214、送信部216および受信部218を有する。図6に示す通信部210、再生処理部254、読出制御部256および音声出力部290は、図5に示す通信部110、再生処理部154、読出制御部156および音声出力部190にそれぞれ対応する。
情報処理装置100の機能は、CPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現され、図5および図6においてはそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。プログラムは、情報処理装置100に内蔵されていてもよい。したがってこれらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者に理解されるところである。また図5にクライアント端末の機能ブロックを示し、図6にホスト端末の機能ブロックを示しているが、実際には、情報処理装置100がクライアント端末およびホスト端末として動作可能に構成され、したがって情報処理装置100は単体でクライアント端末およびホスト端末の両方の構成を有している。
情報処理装置100は、メモリユニットに記録した楽曲データを再生処理して音声信号を生成する「基本再生機能」をもつ。また本実施例の情報処理装置100は、WLANスイッチ54がONされることを条件として、他の情報処理装置100で再生している楽曲データを受信して再生処理し、音声信号を生成する「付加再生機能」ももつ。なお、一般に「再生」とは、音声信号をスピーカ52やイヤホンから出力することを含むこともあるが、本実施例で「再生」は、圧縮された音声データを復号して、音声信号に変換する処理を示す。
付加再生機能は、WLANスイッチ54がONされてWLANモジュールがアクティブ(オン状態)にあることを条件として実現される。なお、情報処理装置100がWLAN以外の通信プロトコル、すなわち他の無線通信プロトコルおよび/または有線通信プロトコルによる通信機能を有する場合には、それらの通信機能がオン状態であることを条件として、付加再生機能が実現されてもよい。
また、この付加再生機能は、さらに基本再生機能が起動していることを条件として実現されてもよい。ストリーム同期再生システム1は、ユーザが、別のユーザ端末で再生中の音楽を聴くことのできる環境を実現すること、また自身の端末で再生中の音楽を別のユーザにも聴かせられる環境を実現することを1つの目的としている。そこで、情報処理装置100は、基本再生機能を起動していること、すなわち音声データの再生が行われていることを1つの条件として、ストリーム同期再生システム1に参加できるようにしてもよい。
図5を参照して、基本再生機能について説明する。情報処理装置100の電源をONにすると、メニュー画面がLCD12に表示される。図7は、メニュー画面の一例を示す。このメニュー画面には、アプリケーションを示すアイコンが一列に配置されている。ユーザが、音符のアイコン60を選択すると、楽曲の選択画面がLCD12に表示される。図8は、楽曲の選択画面を示す。これらの処理は、システムソフトウェアによって実行される。システムソフトウェアは、アイコン60が選択されると、メモリユニット170に記録されている楽曲データを特定する情報、ここでは楽曲名、アーティストなどの情報を読み出し、図8に示す楽曲リストの選択画面を生成する。なお図8において、実際の選択画面では、(Song Title)の欄には楽曲名、(Artist)の欄にはアーティスト名が表示されるが、ここでは具体名の表記を避け、それぞれ(Song Title)、(Artist)と表示欄のみを示している。楽曲選択画面において、ユーザは、十字キー20および押しボタン30を操作して、再生する楽曲を決定する。これにより、基本再生機能が起動する。
基本再生機能は、第1再生部150により実現される。図5において、入力受付部102が、ユーザによる楽曲決定操作を受け付けると、選択部152が、再生決定された楽曲を再生処理部154に通知する。再生処理部154は、読出制御部156に楽曲データの読出を指示する。読出制御部156は、着脱可能なメモリユニット170からのデータの読み出しを制御する。なおメモリユニット170は、情報処理装置100に対してリムーバブルなタイプのものに限らず、ハードディスクドライブのような内蔵タイプのものであってよい。
再生処理部154は、読出制御部156を介して楽曲データを読み出すと、音声データの先頭から再生処理を開始する。楽曲データには、音声データと楽曲を特定する情報とが含まれており、再生処理部154は、音声データの再生を開始するとともに、再生情報取得部182に、再生する楽曲を特定する情報を提供する。再生情報取得部182に提供される情報は、楽曲名、アーティスト名、楽曲時間(総曲長)を少なくとも含む。また、楽曲のジャケット写真画像などが含まれてもよい。再生処理部154は、音声データの再生処理の開始前に、これらの情報を提供してもよく、また開始時に提供してもよい。再生処理部154は、再生処理の開始後は、再生中の楽曲に関する情報、たとえば楽曲を再生した時間(楽曲再生時間)を周期的に再生情報取得部182に提供する。再生処理部154は、音声データの圧縮形式に応じた復号処理を行って、音声信号を生成する。音声出力部190は、再生処理部154で再生された音声信号を出力する。音声出力部190は、スピーカ52やイヤホンなどであってよく、またスピーカ52やイヤホンなどに音声信号を供給するアンプなどであってもよい。
図9は、再生画面の一例を示す。再生情報取得部182は、再生処理部154で再生する楽曲を特定する情報、および再生中の楽曲に関する情報を取得し、表示処理部192に提供する。表示処理部192は、再生情報取得部182から提供される情報を用いて、LCD12に表示するための表示画面を生成し、画面表示部194が、生成された表示画面をLCD12に表示する。図9は、表示処理部192により生成された再生画面の一例を示している。
表示処理部192は、再生画面を少なくとも2つの領域に分割する。この例では、再生画面の上方を第1領域62、下方を第2領域64と、2つに分割している。第1領域62および第2領域64は、境界線78によって明示的に仕切られてもよいが、境界線78は存在しなくてもよい。表示処理部192は、第1領域62に、音声出力部190より出力される楽曲を特定する情報を配置する。第1領域62を第2領域64の上方に設けることで、ユーザが、音声出力中の楽曲を容易に認識できるようになる。また、第1領域62に表示する情報を、第2領域64に表示する情報よりも大きくすることで、ユーザは、音声出力中の楽曲を容易に認識できる。
この例では、第1領域62に、音声出力される楽曲を保持しているユーザを特定するユーザアイコン66、ユーザ名68、楽曲のジャケット写真などのサムネイル67、楽曲名69、アーティスト名70、楽曲再生時間と楽曲時間(総曲長)の関係を示す時間情報71が配置される。なお、これ以外の情報が配置されてもよい。
表示処理部192は、第2領域64に、音声出力部190より音声出力可能な楽曲を特定する情報を配置する。この例では、第2領域64に、楽曲を保持しているユーザを特定するユーザアイコン72、ユーザ名79、楽曲名73、アーティスト名74、楽曲再生時間75、楽曲時間76および出力特定情報77が配置される。出力特定情報77は、第2領域64に表示される楽曲のうち、現在音声出力中の楽曲を識別できるように表示する情報である。表示処理部192は、第1領域62に配置する楽曲情報に対応する第2領域64の楽曲情報に対して、音声出力中のストリームであることを示す出力特定情報77を付加する。なお出力特定情報77として、出力中の楽曲を特定するために付加される標識を例示しているが、標識の付加ではなく、たとえば楽曲情報の表示色を変更するなどして出力中の楽曲を識別可能にするものであってもよい。図9は、基本再生機能のみを実行しているときの再生画面であるため、音声出力可能な楽曲は、ユーザ自身が保持しているものしかない。したがって、第2領域64には、第1領域62に含まれる情報と同様の情報が表示されている。
なお基本再生機能のみを実行しているとき、第2領域64には自端末で再生中の楽曲が表示されるだけであるため、表示処理部192は、第2領域64を設定しなくてもよい。一方、表示処理部192は、後述する付加再生機能を実行する場合、第2領域64には自端末以外で再生中の楽曲を表示するため、再生画面を第1領域62と第2領域64とに分割するようにする。
次に、図5を用いて、付加再生機能について説明する。付加再生機能は、第2再生部140により実現される。既述したように、付加再生機能は、WLANスイッチ54がONされることを条件として起動する。なお基本再生機能の起動前に、既にWLANスイッチ54がONされている場合には、基本再生機能の起動と同時に、付加再生機能が起動する。
WLANスイッチ54がONされると、通信部110の機能がアクティブ(オン状態)となり、情報処理装置100aが無線通信可能となる。まず通信制御部114は、周囲に存在するWLAN端末装置を探索する。この探索処理は、周期的に実行される。通信制御部114が探索処理により他のWLAN端末装置を検出し、また他のWLAN端末装置の探索処理により情報処理装置100aが検出されると、情報処理装置100aと他のWLAN端末装置との間でIBSSが形成される。IBSSが形成されると、そのIBSSに所属する端末装置(情報処理装置100aを含む)は、自端末装置で再生中の楽曲を特定する情報および再生中の楽曲に関する情報を周期的にブロードキャスト送信する。情報処理装置100aでは、送信部116が、再生情報取得部182から、再生処理部154で再生中の楽曲を特定する情報および再生中の楽曲に関する情報を取得し、IBSS内に周期的にブロードキャスト送信する。
受信部118は、無線インタフェース112を介して、他のWLAN端末装置からブロードキャスト送信された情報を受信し、コンテンツ情報取得部184に供給する。コンテンツ情報取得部184は、他のWLAN端末装置で再生中の楽曲を特定する情報および再生中の楽曲に関する情報を取得し、表示処理部192に提供する。表示処理部192は、コンテンツ情報取得部184から提供される情報、および再生情報取得部182から提供される情報を用いて、LCD12に表示するための表示画面を生成し、画面表示部194が、生成された表示画面をLCD12に表示する。
図10は、付加再生機能実行時の再生画面の一例を示す。図10に示す再生画面は、図9の再生画面から3秒経過した時点の状況を示しており、第1領域62の時間情報71において、楽曲再生時間が1:00から3秒後の1:03に更新されている。既述したように、再生処理部154で再生される楽曲の再生時間は周期的に再生情報取得部182に提供されており、したがって表示処理部192は、再生処理部154で再生中の楽曲の再生時間を再生画面に表示できる。
表示処理部192は、第2領域64に、音声出力部190より音声出力可能な楽曲を特定する情報を配置する。具体的に表示処理部192は、再生情報取得部182で取得した情報およびコンテンツ情報取得部184で取得した情報を、リストにして第2領域64に配置する。図9と比較すると、図10に示す再生画面は、自分以外の他のユーザ(Mike, Tom)の楽曲を特定する情報が表示されている点で相違している。このように、音声出力可能な楽曲を特定する情報をLCD12に表示することで、ユーザは、音声出力する楽曲の選択機会を得ることができ、新たな音楽に出会う環境を提供される。なお図10に示す再生画面では、ユーザは、情報処理装置100で保持している楽曲を引き続き聴いているため、出力特定情報77は、ユーザ自身が保持している楽曲に対して付加されている。
表示処理部192は、第2領域64において、再生情報取得部182で取得した情報を所定位置に配置し、コンテンツ情報取得部184で取得した情報を、それ以外の位置に配置する。すなわち、表示処理部192は、自端末で再生している楽曲を特定する情報を、第2領域64の所定位置に配置する。自端末の楽曲情報の表示位置を固定することで、ユーザは、第2領域64において、自端末で再生中の楽曲を容易に探し出すことができるようになる。表示処理部192は、第2領域64において、再生情報取得部182で取得した情報を最上位に配置し、コンテンツ情報取得部184で取得した情報を、その下方に配置してもよい。情報処理装置100aの周囲のWLAN端末装置の数が増え、コンテンツ情報取得部184が取得する楽曲情報の数が多くなると、LCD12において第2領域64を全て表示しきれないために、図10に示すようにスクロールバー80が設定される。このような場合であっても、自端末で再生している楽曲を特定する情報を第2領域64の最上位に配置することで、その情報はスクロールバー80が一番上にある状態で、必ずLCD12に表示されることになる。これによりユーザは、容易に自端末で再生中の楽曲を認識できるようになる。
第2領域64において、複数の楽曲に関する情報がリスト表示されると、ユーザは、十字キー20および押しボタン30を操作して、音声出力させる楽曲を選択できる。以下、図5を参照して、この処理について説明する。
入力受付部102が、ユーザによる楽曲選択操作を受け付けると、通信制御部114が、その楽曲を再生中のWLAN端末装置に対して接続(コネクション)を設定し、送信要求生成部172が、その楽曲を再生中のWLAN端末装置に対して、音声データの送信要求を生成する。送信要求生成部172は、状況に応じて、少なくとも以下の3種類の送信要求(TR_REQ)を生成する機能をもつ。以下、各送信要求について説明する。
(1)TR_REQ1
ホストにおける現在の再生位置からの音声データの送信を要求するパケット。
図10に示す再生画面において、ユーザが、他端末で再生中の楽曲を選択すると、送信要求生成部172がTR_REQ1を生成する。
(2)TR_REQ2
ホストが前回送信した(クライアントが前回受信した)音声データに続く音声データの送信を要求するパケット。
ホストから送信された音声データはバッファに蓄積され、再生されていくが、バッファ量が少なくなると、送信要求生成部172がTR_REQ2を生成する。
(3)TR_REQ3
ホストが再生中の楽曲の次に再生する楽曲の先頭からの音声データの送信を要求するパケット。
TR_REQ1またはTR_REQ2に応答してホストから送信される音声データに、その楽曲の最後が含まれている場合に、送信要求生成部172がTR_REQ3を生成する。
送信要求パケットの所定のフィールドには、送信要求の種類を特定するための情報(タイプ情報)が含まれている。また各送信要求パケットの所定のフィールドには、配信を希望するストリームのバイトサイズが含まれる。このバイトサイズは、ホストから送信されるデータのサイズを指定する情報である。
入力受付部102がユーザによる楽曲選択操作を受け付けた場合、送信要求生成部172は、その楽曲を再生中のWLAN端末装置に対して送信要求(TR_REQ1)を生成する。送信部116は、TR_REQ1を無線インタフェース112を介してWLAN端末装置に送信する。ここで、ユーザは、図10に示す"Mike"のユーザアイコン72aを選択したとすると、送信部116は、ユーザ「Mike」のWLAN端末装置(情報処理装置100b、図6)に、TR_REQ1を送信する。
図6を参照して、ホストとなる情報処理装置100bの動作について説明する。ホストとして動作するために、情報処理装置100bは、基本再生機能を実行していることが前提となる。情報処理装置100bの再生処理部254、読出制御部256は、クライアントである情報処理装置100aにおいて基本再生機能を担当する再生処理部154、読出制御部156にそれぞれ対応する。
読出制御部256は、メモリユニット270からのデータの読み出しを制御する。再生処理部254は、たとえば楽曲の再生順序をさだめたプレイリストなどにしたがって読出制御部256に楽曲データの読出を指示する。再生処理部254は、読出制御部256を介して楽曲ファイルの先頭から音声データを読み出し、再生処理を開始する。音声出力部290は、再生処理部254で再生された音声信号を出力してよい。再生処理部254は、音声データの再生を開始するとともに、管理部240に、再生する楽曲を特定する情報を提供する。管理部240に提供される情報は、楽曲名、アーティスト名、楽曲時間を少なくとも含む。また、楽曲のジャケット写真画像などが含まれてもよい。再生処理部254は、音声データの再生処理の開始前に、これらの情報を提供してもよく、また開始時に提供してもよい。再生処理部254は、再生処理の開始後は、再生中の楽曲に関する情報、たとえば楽曲を再生した時間(楽曲再生時間)を周期的に管理部240に提供する。再生処理部254は、音声データの圧縮形式に応じた復号処理を行って、音声信号を生成する。管理部240は、再生処理部254から提供される情報から、現在再生中の楽曲を特定し、また再生中の楽曲の再生時間を特定する。
なお、情報処理装置100bは、再生処理部254で再生中の楽曲を特定する情報および再生中の楽曲に関する情報を、IBSS内に周期的にブロードキャスト送信する。図5においては、再生情報取得部182が再生中の楽曲情報を取得して、送信部116がブロードキャスト送信しているが、情報処理装置100bでは、管理部240が、再生情報取得部182のように動作する。
クライアントである情報処理装置100aが送信要求(TR_REQ1)を送信すると、ホストである情報処理装置100bにおいて、受信部218が、無線インタフェース212を介して送信要求(TR_REQ1)を受信し、送信要求取得部230に供給する。送信要求取得部230が、取得した送信要求(TR_REQ1)を管理部240に提供すると、管理部240は、所定のフィールドに含まれるタイプ情報から、送信要求の種類を特定する。また管理部240は、送信要求の所定のフィールドに含まれるバイトサイズを、配信するストリームのバイトサイズ(配信バイトサイズ)として決定する。
管理部240は、送信要求がTR_REQ1であることを特定すると、クライアントである情報処理装置100aが、再生処理部254における現在の再生位置からの音声データの送信を要求していることを認識する。管理部240は、再生処理部254から周期的に提供される楽曲再生時間より、楽曲データにおける現在の再生位置を特定し、楽曲データを特定する情報とともに、送信データ生成部260に提供する。現在の再生位置は、楽曲先頭からのオフセット情報として特定されてよい。また管理部240は、決定した配信バイトサイズを送信データ生成部260に提供する。管理部240は、クライアントである情報処理装置100aの識別情報に対応付けて、配信する音声データを特定する情報と、配信音声データの先頭の楽曲先頭からのオフセット情報、配信音声データの末尾の楽曲先頭からのオフセット情報、配信先頭データのフレーム番号などをメモリユニット270などの記憶部に記録し、管理する。以後、この記録する情報を「管理情報」と呼ぶ。この管理情報は、次に送信要求が送られてきたときに、送信するデータ範囲を決定するために利用される。
送信データ生成部260は、管理部240より提供される音声データの特定情報、現在の再生位置、配信バイトサイズを受け取ると、読出制御部256に楽曲データの読出を指示する。なお送信データ生成部260は、管理部240より音声データの特定情報、配信音声データの先頭の楽曲先頭からのオフセット情報、配信音声データの末尾の楽曲先頭からのオフセット情報を提供されて、読出制御部256に楽曲データの読出を指示してもよい。送信データ生成部260は、読出制御部256を介して、再生処理部254で再生中の楽曲データを、現在の再生位置から配信バイトサイズ分だけ読み出し、情報処理装置100aに送信するための送信データを生成する。
なお送信データ生成部260は、管理部240から管理情報を提供されて、送信データのヘッダに、管理情報を含めてもよい。ヘッダには、クライアントである情報処理装置100aの再生画面に表示される楽曲名、アーティスト名、楽曲時間、楽曲のジャケット写真画像などが含まれる。また送信データ生成部260は、ヘッダに、送信する音声データに楽曲ファイルの最後(終端)のデータが含まれているか否かを示すEOF(End Of File)フラグを設定する。EOFフラグ値が0であれば、楽曲の終端は含まれておらず、EOFフラグ値が1であれば、楽曲の終端が含まれていることを示す。送信部216は、生成された送信データを無線インタフェース212を介して情報処理装置100aに送信する。
図5を参照して、クライアントである情報処理装置100aにおいて、受信部118が、無線インタフェース112を介して、情報処理装置100bから送信された送信データを受信し、音声データ取得部144に供給する。音声データ取得部144は、取得した音声データを、リングバッファなどのバッファ(図示せず)に蓄積する。再生処理部146は、バッファに蓄積された音声データの再生を開始するとともに、再生画面の表示に必要な情報をコンテンツ情報取得部184に提供する。コンテンツ情報取得部184に提供される情報は、楽曲名、アーティスト名、楽曲時間、楽曲のジャケット写真画像などが含まれてよい。再生処理部146は、音声データの再生処理の開始前に、これらの情報を提供してもよく、また開始時に提供してもよい。再生処理部146は、再生処理の開始後は、再生中の楽曲に関する情報、たとえば楽曲を再生した時間(楽曲再生時間)を周期的にコンテンツ情報取得部184に提供する。再生処理部146は、音声データの圧縮形式に応じた復号処理を行って、音声信号を生成する。このようにして、第2再生部140における付加再生機能が実行される。なお、このとき、第1再生部150における基本再生機能は、停止されることなく、継続して実行されている。
音声出力部190は、第1再生部150における再生処理部154または第2再生部140における再生処理部146のいずれかで再生された音声信号を選択して出力する機能をもつ。いずれを選択するかは、原則としてユーザの操作により決定される。具体的には、図10などに示す再生画面の第2領域64において、ユーザが、十字キー20および押しボタン30を操作して、音声出力させる楽曲を選択すると、音声出力部190は、その楽曲の音声信号を出力する。
図11は、再生画面の一例を示す。ここでは、図10に示す再生画面において、ユーザが"Mike"のユーザアイコン72aを選択し、情報処理装置100aが、"Mike"の情報処理装置100bから音声データを取得して、音声出力している状態を示す。表示処理部192は、第1領域62に、音声出力される楽曲を保持しているユーザを特定するユーザアイコン66、ユーザ名68、楽曲のジャケット写真などのサムネイル67、楽曲名69、アーティスト名70、楽曲再生時間と楽曲時間の関係を示す時間情報71を配置する。
また表示処理部192は、第2領域64に、音声出力部190より音声出力可能な楽曲を特定する情報を配置する。現在、"Mike"が保持している楽曲が音声出力中であるため、"Mike"端末で再生している楽曲を特定する情報に、出力特定情報77が付加されている。なお、出力特定情報77は、第2領域64に付加されるチェック標識として示されているが、たとえば、楽曲情報の色を他と変えたりすることで、音声出力中であることをユーザが認識できるようにしてもよい。既述したように、スクロールバー80が一番上にある状態で、第2領域64の最上位に、自端末で再生している楽曲を特定する情報が配置されることに変わりはない。
第2再生部140において、再生処理部146は、再生処理を行いながら、バッファに保持されている音声データ量(以下、バッファ量とよぶ)を監視し、バッファ量が所定量より少なくなると、送信要求生成部172に通知する。送信要求生成部172は、この通知を受けると、情報処理装置100bに対して送信要求(TR_REQ2)を生成する。既述したように、TR_REQ2は、ホストが前回送信した(クライアントが前回受信した)音声データに続く音声データの送信を要求するパケットである。送信部116は、TR_REQ2を無線インタフェース112を介して情報処理装置100bに送信する。
図6を参照して、ホストである情報処理装置100bにおいて、受信部218が、無線インタフェース212を介して送信要求(TR_REQ2)を受信し、送信要求取得部230に供給する。送信要求取得部230が、取得した送信要求(TR_REQ2)を管理部240に提供すると、管理部240は、所定のフィールドに含まれるタイプ情報から、送信要求の種類を特定する。また管理部240は、送信要求の所定のフィールドに含まれるバイトサイズを、配信するストリームのバイトサイズ(配信バイトサイズ)として決定する。
管理部240は、送信要求がTR_REQ2であることを特定すると、クライアントである情報処理装置100aが、前回送信した音声データに続く音声データの送信を要求していることを認識する。管理部240は、記憶部に記録した管理情報を参照し、配信する音声データを特定する情報と、配信音声データの先頭の楽曲先頭からのオフセット情報、配信音声データの末尾の楽曲先頭からのオフセット情報、配信先頭データのフレーム番号などを取得する。管理部240は、前回配信した音声データの末尾に関する情報から、今回配信する音声データの先頭の楽曲先頭からのオフセット情報を生成する。楽曲先頭からのオフセット情報は、音声データを特定する情報とともに、送信データ生成部260に提供される。また管理部240は、決定した配信バイトサイズを送信データ生成部260に提供する。管理部240は、クライアントである情報処理装置100aの識別情報に対応付けて、配信する音声データを特定する情報と、配信音声データの先頭の楽曲先頭からのオフセット情報、配信音声データの末尾の楽曲先頭からのオフセット情報、配信先頭データのフレーム番号などをメモリユニット270などの記憶部に記録し、管理情報を更新する。
送信データ生成部260は、管理部240より提供される音声データの特定情報、配信する音声データの先頭フレームに関する情報、配信バイトサイズを受け取ると、読出制御部256に楽曲データの読出を指示する。送信データ生成部260は、読出制御部256を介して、再生処理部254で再生中の楽曲データを、楽曲先頭からのオフセット情報で特定される音声データから配信バイトサイズ分だけ読み出し、情報処理装置100aに送信する送信データを生成する。なお送信データ生成部260は、管理部240から管理情報を提供されて、送信データのヘッダに、情報処理装置100aにおける再生画面の生成に必要な管理情報を含めてもよい。送信部216は、生成された送信データを無線インタフェース212を介して情報処理装置100aに送信する。
図5を参照して、クライアントである情報処理装置100aにおいて、受信部118が、無線インタフェース112を介して、情報処理装置100bから送信された送信データを受信し、音声データ取得部144に供給する。音声データ取得部144は、取得した音声データを、リングバッファなどのバッファ(図示せず)に蓄積する。再生処理部146は、バッファに蓄積された音声データの再生を継続して実行する。
音声データ取得部144は、音声データをバッファに蓄積する際、送信データのヘッダに含まれるEOFフラグの値を検出する。EOFフラグ値が0であれば、取得した音声データに楽曲の最後のデータが含まれていないことを判定する。再生処理部146は、再生処理を行いながら、バッファ量を監視し、バッファ量が所定量より少なくなると、送信要求生成部172に通知する。送信要求生成部172は、この通知を受けると、情報処理装置100bに対して送信要求(TR_REQ2)を生成する。この一連の処理は、EOFフラグ値が1になるか、またはユーザ指示により再生処理が終了され、または再生する楽曲が変更されるまで続けられる。
以上のようにして、情報処理装置100aは、情報処理装置100bで再生されている楽曲を、同期再生することができる。情報処理装置100aには、自端末で保持する楽曲を再生する系統と、他端末で再生中の楽曲を再生する系統が独立して存在するため、ストリーム同期再生システム1において、ホストまたはクライアントとして振る舞うだけでなく、同時にホストおよびクライアントとして振る舞うこともできる。
なお既述したように、付加再生機能は、基本再生機能が実行されていることを条件として起動する。たとえば基本再生機能が実行されていなければ、コンテンツ情報取得部184が情報を取得することができず、または音声データ取得部144が音声データを取得することができない。コンテンツ情報取得部184および音声データ取得部144は、基本再生機能が実行されていることを条件として起動される。
図12は、情報処理装置100の音声出力状況の例を示す。基本再生機能を実行することで、情報処理装置100aは、SongA1、SongA2を連続して再生し、情報処理装置100bは、SongB1、SongB2を連続して再生し、情報処理装置100eは、SongEを再生する。時間T1で、情報処理装置100aは、情報処理装置100bに接続し、情報処理装置100bにおける再生位置からSongB1の楽曲データを受信する。これにより、情報処理装置100bは、情報処理装置100aに対するホストとして振る舞い、情報処理装置100aはクライアントとして振る舞う。情報処理装置100aの音声出力は、時間T1で、SongA1からSongB1に切り替えられる。
時間T2で、情報処理装置100bは、情報処理装置100eに接続し、情報処理装置100eにおける再生位置からSongEの楽曲データを受信する。これにより、情報処理装置100eは、情報処理装置100bに対するホストとして振る舞い、情報処理装置100bはクライアントとして振る舞う。この例では、情報処理装置100bが、時間T2以降、ホストおよびクライアントとして振る舞うことになる。情報処理装置100bの音声出力は、時間T2で、SongB1からSongEに切り替えられる。
なお、基本再生機能を停止しないことで、たとえば情報処理装置100aは、音声出力をSongB1からSongA1に瞬時に切り替えることができる。たとえば、ユーザがSongB1を気に入らない場合、SongA1の再生処理は継続しているため、音声出力部190は、時間遅延なく、SongA1を音声出力することが可能である。ユーザは、再生画面において、第2領域64に表示されているSongA1の楽曲情報を選択することで、音声出力を切り替えられる。
なお、図12に示す音声出力状況において、情報処理装置100bは、時間T3でSongB1の再生処理を終了し、次のSongB2の再生処理を開始している。再生する楽曲の順番は、たとえばプレイリストなどにより定められている。なお、ランダム再生モードのように、ユーザが次に再生される楽曲を知らないこともあるが、情報処理装置100bの再生処理部254は、所定のアルゴリズムにより、SongB1の次に再生する楽曲を決定している。
図6を参照して、ホストである情報処理装置100bにおいて、送信データ生成部260は、再生処理部254で再生中の楽曲データを、楽曲先頭からのオフセット情報で特定される音声データから配信バイトサイズ分を最大限として読み出し、情報処理装置100aに送信する送信データを生成する。このとき、楽曲ファイルの終端が含まれていれば、送信データ生成部260は、送信データ中のEOF(End Of File)フラグを1に設定する。なお、楽曲ファイルの終端が含まれる場合、読み出す音声データは、通常配信バイトサイズ分よりも少なくなる。送信部216は、生成された送信データを無線インタフェース212を介して情報処理装置100aに送信する。
図5を参照して、クライアントである情報処理装置100aにおいて、受信部118が、無線インタフェース112を介して、情報処理装置100bから送信された送信データを受信し、音声データ取得部144に供給する。音声データ取得部144は、取得した音声データを、リングバッファなどのバッファ(図示せず)に蓄積する。再生処理部146は、バッファに蓄積された音声データの再生を継続して実行する。
音声データ取得部144は、音声データをバッファに蓄積する際、送信データのヘッダに含まれるEOFフラグの値を検出する。この場合、EOFフラグ値が1であるため、バッファに蓄積する音声データで、再生中の楽曲が終了することを判定する。音声データ取得部144は、送信要求生成部172に、判定結果を通知する。
送信要求生成部172は、判定結果を受けると、情報処理装置100bに対して送信要求(TR_REQ3)を生成する。既述したように、TR_REQ3は、ホストが再生中の楽曲の次に再生する予定の楽曲の先頭からの音声データの送信を要求するパケットである。送信部116は、TR_REQ3を無線インタフェース112を介して情報処理装置100bに送信する。
図6を参照して、ホストである情報処理装置100bにおいて、受信部218が、無線インタフェース212を介して送信要求(TR_REQ3)を受信し、送信要求取得部230に供給する。送信要求取得部230が、取得した送信要求(TR_REQ3)を管理部240に提供すると、管理部240は、所定のフィールドに含まれるタイプ情報から、送信要求の種類を特定する。管理部240は、送信要求がTR_REQ3であることを特定すると、クライアントである情報処理装置100aが、情報処理装置100bにおいて次に再生する予定の楽曲の音声データの送信を要求していることを認識する。管理部240は、再生処理部254に対して、次に再生する楽曲を特定する情報を要求する。
管理部240は、再生処理部254から次に再生する楽曲の特定情報を取得する。また管理部240は、送信要求の所定のフィールドに含まれるバイトサイズを、配信するストリームのバイトサイズ(配信バイトサイズ)として決定する。管理部240は、次に再生する楽曲を特定する情報と、決定した配信バイトサイズを送信データ生成部260に提供する。送信データ生成部260は、管理部240より提供される音声データの特定情報、配信バイトサイズを受け取ると、読出制御部256に対して、ファイル先頭から楽曲データの読出を指示する。送信データ生成部260は、読出制御部256を介して、再生処理部254で再生予定の楽曲データを、ファイル先頭位置から配信バイトサイズ分だけ読み出し、情報処理装置100aに送信する送信データを生成する。
図13は、再生画面を生成するフローチャートである。図13に示すフローチャートにおいては、各部の処理手順を、ステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって表示する。また、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば、(S10のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、(S10のN)と表示する。なお、フローチャートにおける表示の意味は、他の図面に示すフローチャートでも同じである。
ユーザが、メニュー画面(図7参照)において音符のアイコン60を選択すると、楽曲の選択画面(図8参照)がLCD12に表示される。ユーザは、選択画面から、再生する楽曲を選択する(S10)。図5を参照して、入力受付部102が、ユーザによる楽曲決定操作を受け付けると、選択部152が、再生決定された楽曲を再生処理部154に通知する。再生処理部154は、読出制御部156を介して楽曲データを読み出すと、再生情報取得部182に、再生する楽曲を特定する情報を提供し、再生情報取得部182は、その情報を表示処理部192に供給する。表示処理部192は、再生情報取得部182から供給される情報を用いて、LCD12に表示するための再生画面(図9参照)を生成する(S12)。再生処理部154は、楽曲ファイルの先頭データから再生処理を実行する(S14)。
再生処理の実行中、WLANスイッチ54がOFFである場合(S16のN)、付加再生機能は実行されない。ユーザからの指示により再生処理を終了する場合(S24のY)、表示画面はメニュー画面に戻される(S26)。一方、再生処理を終了しない場合には(S24のN)、WLANスイッチ54がONされるのを待機する。
WLANスイッチ54がONである場合(S16のY)、情報処理装置100は、周辺のWLAN端末装置からブロードキャストされる信号を監視する(S18)。コンテンツ情報取得部184が、周辺のWLAN端末装置から、再生中の楽曲を特定する情報を取得すると(S18のY)、表示処理部192が、コンテンツ情報取得部184から提供される情報、および再生情報取得部182から提供される情報を用いて、LCD12に表示するための再生画面(図10参照)を更新する(S22)。
一方、コンテンツ情報取得部184が、周辺のWLAN端末装置から、再生中の楽曲を特定する情報を取得しない場合(S18のN)、音声出力部190は、ユーザから音声出力の切替指示の有無を監視する(S20)。音声出力の切替指示がある場合(S20のY)、表示処理部192は、再生画面(図11参照)を更新する(S22)。音声出力の切替指示がなければ(S20のN)、S24のステップに進む。なお、再生時間が進んでいれば、再生時間の更新は行われる。
本実施例において、S20で音声出力の切替指示があった場合に、表示処理部192が、図11に示す再生画面を生成する例を示した。その後、S24の判定ステップでS16に戻る場合、S18で、コンテンツ情報取得部184が、新たなWLAN端末装置から、再生中の楽曲を特定する情報を取得することがある。このとき、表示処理部192は、新たに取得した情報を、第2領域64における所定位置に配置することが好ましい。なお、第2領域64において自端末の楽曲情報の表示位置は固定されており、新たに取得した楽曲情報は、自端末の楽曲情報の表示位置とは異なる所定位置に配置される。新たに取得した楽曲情報の表示位置を固定することで、ユーザは、新たに取得した端末装置の楽曲情報を容易に確認できるようになる。
図14は、再生画面の一例を示す。図14に示す再生画面は、図11の再生画面から5秒経過した時点の状況を示しており、第2領域64において、自端末の楽曲情報の直下に新たに取得された"John"をユーザ名79bとする楽曲情報が配置されている。なお、それ以前に表示されていた楽曲情報は、下方にずれて表示される。これにより、新しく取得された楽曲情報から順に、自端末楽曲情報の下方にリスト表示される。新たに発見されたWLAN端末装置の楽曲情報を、自端末の楽曲情報の直下に配置することで、スクロールバー80が一番上にあれば、スクロールバー80を操作しなくても、新たなWLAN端末装置で再生している楽曲情報をLCD12上に表示でき、ユーザに、音声出力可能な新たな楽曲情報の存在を知らせることが可能となる。
図15は、クライアントからホストに送信要求を送信するフローチャートである。ユーザが再生画面(図10参照)から、他のWLAN端末装置で再生中の楽曲を選択する(S40)。入力受付部102が、ユーザによる楽曲選択操作を受け付けると、通信制御部114が、その楽曲を再生中のWLAN端末装置に対して接続(コネクション)を設定する。送信要求生成部172が、そのWLAN端末装置に対して音声データの送信要求(TR_REQ1)を生成し、送信部116が送信する(S42)。
音声データ取得部144は、WLAN端末装置から音声データを取得してリングバッファなどのバッファに蓄積する(S46)。このとき音声データ取得部144は、送信データのヘッダに含まれるEOFフラグの値を検出する(S48)。EOFフラグの値が0のとき(S48のY)、音声データ取得部144は、バッファに蓄積する音声データに楽曲の終端が含まれていないことを認識する。再生処理部146は、バッファから音声データを読み出して再生処理を実行する(S52)。再生処理部146はバッファ量を監視し(S54)、バッファ量が所定量Th以上であれば(S54のN)、ユーザから再生処理の終了を指示されない限り(S58のN)、再生処理を継続し(S52)、バッファ量を監視する(S54)。一方、バッファ量が所定量Thより少なくなると(S54のY)、送信要求生成部172が、音声データの送信要求(TR_REQ2)を生成し、送信部116が送信する(S56)。
なお、S48において、EOFフラグ値が1のとき(S48のN)、音声データ取得部144は、バッファに蓄積する音声データに楽曲の終端が含まれていることを認識する。このとき送信要求生成部172が、音声データの送信要求(TR_REQ3)を生成し、送信部116が送信する(S50)。なお、送信要求生成部172が送信要求(TR_REQ3)を生成するタイミングは、楽曲の終端が含まれていることを認識後、S54においてバッファ量が所定量Thより少なくなったときであってよい。本フローは、ユーザから再生処理の終了を指示されると(S58のY)、終了する。
なお、以上のコンテンツストリーム再生処理は、ユーザが、他のWLAN端末装置を選択することを契機として実行されている。以下では、情報処理装置100が、他のWLAN端末装置に自動接続して、他のWLAN端末装置で再生中の音声データを取得する例を説明する。
入力受付部102が、ユーザから所定の操作入力を受け付けると、接続モード設定部104が、他のWLAN端末装置に自動接続するモードを設定する。設定された自動接続モードは通信制御部114に通知される。通信制御部114は、通知を受けると、周辺に存在する接続可能なWLAN端末装置を周期的に探索する。通信制御部114は、WLAN端末装置を見つけると、そのWLAN端末とIBSSを形成する。
自動接続モードにおいて、通信制御部114は、WLAN端末に対して接続(コネクション)を設定する。送信要求生成部172は、送信要求(TR_REQ1)を自動生成し、送信部116は、接続するWLAN端末装置に送信要求を送信する。その後の処理は、上記したとおりであるが、音声出力部190は、再生処理部146で再生した音声信号を出力する。これにより、自動接続モードにおいては、周辺にWLAN端末装置が存在していれば、そのWLAN端末装置で再生している楽曲が音声出力部190から優先的に出力されることになる。なお、音声出力可能な楽曲情報が複数存在する場合には、たとえばユーザの嗜好に応じて再生順序が決定されてもよく、また検出した順に再生順序が決定されてもよい。
なお自動接続モードにおいて、ユーザは再生モードを設定することができる。再生モードとして、所定時間(たとえば)30秒だけ再生するモード、楽曲の最後まで再生するモードなどが用意されてもよい。入力受付部102が、ユーザから再生モードの選択指示を受け付けると、再生モード設定部142が、音声データ取得部144または再生処理部146に再生モードを設定する。設定された再生モードに応じて、音声データ取得部144は、WLAN端末装置から音声データを取得し、または再生処理部146が、音声データを再生処理する。30秒の再生モードが選択された場合、音声データ取得部144は、送信要求生成部172に対して、30秒分の音声データを要求する送信要求を生成させる。これにより、ユーザの好みに応じた再生処理が実現される。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
情報処理装置100は、再生中の楽曲を特定する情報、および再生中の楽曲に関する情報を周期的、たとえば5秒ごとにブロードキャスト送信してもよい。これにより、クライアントは、再生画面を周期的に更新することができる。なお、ホストが再生する楽曲を変更した場合には、すぐに新しい情報をブロードキャスト送信することが好ましい。
また、ホストがコンテンツストリームを配信するクライアント数は、所定数に制限されることが好ましい。本実施例のクライアントである情報処理装置100は、バッファ量が所定量Thよりも少なくなると送信要求を送信して、ホストの再生と同期をとるようにしている。そのため、クライアント数に制限を設けなければ、ホスト側からのストリーム配信処理が間に合わず、同期維持が困難となる可能性がある。そこで、クライアント数を制限することで、確実に同期をとれるようにすることが好ましい。
また、ストリーム同期再生システム1において、情報処理装置100は、他の情報処理装置100からの音声信号を出力中、自端末で再生する音声信号に瞬時に切り替えることができる。このとき、他の情報処理装置100からの音声データの再生処理は、音声信号の切替タイミングで終了してもよい。また、その楽曲の最後で再生処理を終了してもよい。送信要求生成部172は、たとえば無線ネットワークのトラフィックに応じて、送信要求の生成の是非を判断してもよい。具体的に、ネットワークが混み合っているときには、音声信号の切替タイミングで送信要求の生成を終了してもよく、空いているときには、楽曲の最後まで音声データの送信要求を生成し続けてもよい。
またユーザは、他の情報処理装置100からの音声データを再生している際に、別の情報処理装置100の楽曲情報を選択することも可能である。この場合、以前の情報処理装置100との間の接続は破棄し、新たな情報処理装置100との間で接続を形成することになる。
また情報処理装置100は、コンテンツ情報取得部184で取得した楽曲情報を、履歴として保存し、表示する機能を有してもよい。表示の際には、実際に聴いた楽曲と、聴いてない楽曲とを区別した履歴を生成してもよい。区別の方法としては、たとえば色分けや、表示順の設定などが考えられる。ユーザが履歴に含まれる楽曲情報を選択すると、直接オンラインショップで楽曲を購入できるようにすることで、ユーザおよびショップに有益なストリーム同期再生システム1が実現される。
またホストが音楽ショップなどに設置される端末装置である場合、最後まで楽曲を聴いた場合には、クーポンなどの特典がユーザに付与されるような仕組みが構築されてもよい。