JP2012007593A - プラントの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラントの固体ばらつきや経年劣化による推定値の誤差を抑制できるプラントの制御装置を提供すること。
【解決手段】排気浄化システムの制御装置は、NOx量の推定値NOXHATを、複数の入力に基づきニューラルネットワークにより算出するNOx量推定値算出部811と、NOx量と相関のある排気空燃比の推定値ΦHATを、複数の入力に基づきニューラルネットワークにより算出するLAFセンサ出力推定値算出部812と、排気空燃比を検出するLAFセンサ34と、推定誤差EHATを含む複数の入力に基づいて、NOx量推定値算出部811及びLAFセンサ出力推定値算出部812のうちNOx量推定値算出部811のみに入力される適応入力UVNSを算出する適応入力算出部813と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、プラントの制御装置に関する。特に、プラントの状態を示す所定の物理量の推定値を算出し、この推定値に基づいてプラントの制御量を制御するプラントの制御装置に関する。
内燃機関やその排気浄化システムなどのプラントにおいて、このプラントの状態を示す複数の物理量は、センサにより検出されている物理量(検出物理量)と、センサにより検出されていない物理量(非検出物理量)とに分けられる。ここで、非検出物理量には、原理的にセンサで直に検出できない物理量や、耐久性やコストなどの様々な理由からセンサを用いて直に検出しない物理量などが含まれる。このような非検出物理量に基づいてプラントを制御する必要が生じた場合、制御装置では、基本的には他の検出物理量に基づいて、その推定値を算出する。
非検出物理量の具体例の1つとして、例えば内燃機関の排気浄化システムでは、EGR量やEGR率などの排気還流装置に関わる物理量が挙げられる。特許文献1や特許文献2には、EGR量やEGR率の推定値の算出や、この推定値に基づいた制御に関する技術が示されている。
特許文献1には、各種バルブの開度と、吸入新気量と、機関回転数と、EGR率との関係が定められたマップにより、EGR率の推定値を算出する制御装置が示されている。この制御装置では、EGR率の推定値が目標EGR率に維持するようにディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPF(Diesel Particulate Filter)」という)を再生することにより、内燃機関から排出される窒素酸化物(以下、「NOx」という)の量の変動を抑制している。
特許文献2には、EGR弁の開度やエアフローメータで検出された吸入空気量などに基づいて、EGR量の推定値を算出する制御装置が示されている。この制御装置では、推定したEGR量に基づいて、燃料噴射時期やパイロット噴射量を補正することにより、内燃機関の過渡運転状態における燃焼騒音を低減したり、NOxの排出量を低減したりしている。
特開2008−106717号公報 特開2008−19782号公報
ところで、特許文献1及び特許文献2に示された技術や、その他従来から知られている技術などにおいて、EGR量やEGR率を推定する際には、予め設定されたマップや、物理モデルに基づいて予め設定された演算式が用いられる。しかしながら、このような予め設定されたマップや演算式を用いた場合、例えば、システムの経年劣化や固体ばらつきが生じると、推定値と実際の値との間に誤差が生じてしまい、結果として適切な制御が行えなくなってしまう。
本発明は上述した点を考慮してなされたものであり、推定値に基づいてプラントの制御量を制御するプラントの制御装置であって、プラントの固体ばらつきや経年劣化による推定値の誤差を抑制できるプラントの制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、プラント(2)の制御装置を提供する。前記制御装置は、前記プラントの状態を示す複数の物理量のうちの少なくとも1つである第1物理量の推定値(NOXHAT)を、複数の入力に基づき所定のアルゴリズムにより算出する第1推定値算出手段(811)と、前記第1物理量と相関のある第2物理量の推定値(ΦHAT)を、複数の入力に基づき所定のアルゴリズムにより算出する第2推定値算出手段(812)と、前記第2物理量を検出する検出手段(34)と、前記検出手段により検出された第2物理量の検出値(ΦACT)と前記第2推定値算出手段により算出された第2物理量の推定値(ΦHAT)との偏差(EHAT)又は比率を含む複数の入力に基づいて、前記第1推定値算出手段及び前記第2推定値算出手段のうち前記第1推定値算出手段のみに入力される適応入力(UVNS)を算出する適応入力算出手段(813)と、を備え、前記第1物理量の推定値に基づいて、前記プラントの所定の制御量を制御する。
この構成によれば、第1推定値算出手段で所定のアルゴリズムに基づいて第1物理量の推定値を算出し、第2推定値算出手段で所定のアルゴリズムに基づいて第2物理量の推定値を算出する。ここで、第1推定値算出手段には、第2物理量の推定値と検出手段の出力値との偏差又は比率を含む複数の入力に基づいて算出された適応入力が入力される。さらにこの第1物理量の推定値に基づいて、プラントの所定の制御量を制御する。
ここで、例えば、プラントに固体ばらつきや経年劣化が生じることにより、第1物理量の推定値に誤差が発生したとする。この場合、第1物理量と相関のある第2物理量の推定値にも、誤差が発生すると考えられる。上記構成によれば、この第1物理量の推定値に発生する誤差は、第2物理量の推定値と検出手段の検出値との偏差又は比率として検出される。さらにこの偏差又は比率に基づいて適応入力が算出され、第1推定値算出手段に入力される。これにより、第1物理量の推定値の誤差が抑制される。また、このような第1物理量の推定値に基づいてプラントの所定の制御量を制御することにより、プラントの制御量を適切な状態に制御することができる。
また、ここで例えば、適応入力を第1推定値算出手段及び第2推定値算出手段の両方に入力する場合と、上記構成のように適応入力を第1推定値算出手段にのみ入力する場合とで比較する。前者の場合、適応入力を第1推定値算出手段及び第2推定値算出手段の両方に入力することにより、第1物理量の推定値とともに第2物理量の推定値の誤差も抑制することができる。これに対して、後者の場合、適応入力を第1推定値算出手段のみに入力することにより、第2物理量の推定値の誤差を抑制することはできないものの、第2推定値算出手段への入力の数を減らすことができるので、その分だけ、第2推定値算出手段におけるアルゴリズムを簡易にすることができる。これにより、第2推定値算出手段の構築にかかる時間や計算負荷を軽減することができる。
この場合、前記適応入力算出手段は、前記第2物理量の検出値と前記第2物理量の推定値との偏差又は比率並びに前記第2物理量の検出値を含んで構成された複数の入力に基づいて、ファジィ推論アルゴリズムにより前記適応入力を算出することが好ましい。
この構成では、上記偏差又は比率並びに第2物理量の検出値を含む複数の入力に基づき、ファジィ推論アルゴリズムにより適応入力を算出する。これにより、検出値と推定値の偏差又は比率だけでなく、第2物理量の検出値の情報を有効に取り込み、プラントの特性変化を示す適切な適応入力を算出することができる。
この場合、前記ファジィ推論アルゴリズムは、前記第2物理量の検出値と前記第2物理量の推定値との偏差又は比率の大きさを2以上に区分し、前記検出手段により検出された第2物理量の検出値の大きさを2以上に区分し、それぞれがどの区分に属するかによって定まる4つ以上の領域に対して設定されたファジィルールを含むことが好ましい。
この構成によれば、上記偏差又は比率並びに第2物理量の大きさをそれぞれ2以上に区分し、それぞれがどの区分に属するかによって定まる4つ以上の領域に対して設定されたファジィルールを含むファジィ推論アルゴリズムに基づいて適応入力を算出することにより、簡単かつ効率的な演算で適応入力を算出することができる。
この場合、前記第1推定値算出手段のアルゴリズム及び前記第2推定値算出手段のアルゴリズムは、それぞれ、所定の関数(f(x)、g(x))に従って出力する複数のニューロンを結合して構成されたニューラルネットワークであることが好ましい。
この構成では、非線形な動特性の再現性に優れたニューラルネットワークにより第1物理量及び第2物理量の推定値を算出する。これにより、例えば、実際の第1物理量が非線形な挙動を示したとしても、これを精度良く推定することができる。
この場合、前記第1推定値算出手段への複数の入力(U)、及び、前記第2推定値算出手段への複数の入力(ULAF)には、それぞれ、複数の異なる時刻の物理量に関するデータが含まれることが好ましい。
この構成によれば、第1推定値算出手段及び第2推定値算出手段への入力に、複数の異なる時刻の物理量に関するデータを含めることで、推定値の動的挙動の再現性をより向上することができる。
この場合、前記プラントは、内燃機関の排気系に設けられ、還元剤の存在下で前記排気系を流通するNOxを還元する選択還元触媒(61)と、前記排気系のうち前記選択還元触媒の上流側に、還元剤又は還元剤の元となる添加剤を供給する還元剤供給手段(62)と、を備える内燃機関の排気浄化システム(2)であり、前記プラントの第1物理量は、前記選択還元触媒に流入する排気中のNOxに関するパラメータを含むことが好ましい。
この構成によれば、選択還元触媒に流入する排気中のNOxに関するパラメータを第1物理量として、この第1物理量の推定値を上述の手順で算出する。排気中のNOxを検出するセンサは、現存するものでは、検出分解能や応答性が低く、また出力ばらつきが大きい。このため、排気中のNOxに関するパラメータを、精度良く検出することができない。そこで、このような排気中のNOxに関するパラメータの推定値を第1推定値算出手段で精度良く算出することにより、排気浄化システムを、その固体ばらつきや経年劣化に応じて適切な状態に制御することができる。
この場合、前記制御装置は、前記排気中のNOxに関するパラメータの推定値に基づいて、前記還元剤供給手段による還元剤又は添加剤の供給量を決定するコントローラをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、コントローラは、排気中のNOxに関するパラメータの推定値に基づいて、還元剤又は添加剤の供給量を決定する。これにより、排気浄化システムの固体ばらつきや経年劣化に合わせて、選択還元触媒におけるNOx浄化率を高く維持することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジン及びその排気浄化システムと、その制御装置との構成を示す模式図である。 上記実施形態に係る排気浄化システムの制御装置の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る最大ストレージ容量と選択還元触媒温度との関係を示す図である。 上記実施形態に係る選択還元触媒のストレージモデルの概念を示す模式図である。 上記実施形態に係る適応バーチャルセンサシステムの構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係るNOx量推定値算出部のニューラルネットワーク構造を示す図である。 上記実施形態に係るシグモイド関数を示す図である。 上記実施形態に係る定常負荷運転状態におけるエンジンの排気中のNOx量と排気空燃比との関係を示す図である。 上記実施形態に係る推定誤差と適応入力との関係を模式的に示す図である。 上記実施形態に係る前件部メンバーシップ関数の構成を示す図である。 上記実施形態に係る後件部メンバーシップ関数の構成を示す図である。 上記実施形態に係るルールの重みを算出する手順を示す図である。 上記実施形態に係る適応バーチャルセンサシステムを構築する手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る排気浄化システムの動作例を示す図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関(以下「エンジン」という)1及びその排気浄化システム2と、その制御装置との構成を示す模式図である。
エンジン1は、リーンバーン運転方式のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。エンジン1には、各シリンダの燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)8により電気的に接続されており、燃料噴射弁の開弁時間及び閉弁時間は、ECU8により制御される。
排気浄化システム2は、エンジン1に接続され吸気が流通する吸気管20と、エンジン1の排気が流通する排気管30と、排気の一部を吸気に還流する高圧排気還流装置(以下、「高圧EGR装置」という)40及び低圧排気還流装置(以下、「低圧EGR装置」という)45と、排気を浄化する酸化触媒35、DPF36、選択還元触媒61及びユリア噴射装置62と、エンジン1に吸気を圧送するターボチャージャ50と、を含んで構成される。
吸気管20は、吸気マニホールド21の複数の分岐部を介してエンジン1の各気筒の吸気ポートに接続されている。排気管30は、排気マニホールド31の複数の分岐部を介してエンジン1の各気筒の排気ポートに接続されている。また、吸気管20には、ターボチャージャ50と、インタークーラ59とが上流側からこの順で設けられている。
ターボチャージャ50は、排気管30に設けられたタービン51と、吸気管20に設けられたコンプレッサ52と、を備える。タービン51は、排気管30を流通する排気の運動エネルギにより駆動される。コンプレッサ52は、タービン51の回転により駆動され、吸気を加圧する。さらに、ターボチャージャ50は、開閉動作によりタービン51の回転速度を変更する図示しない可変ベーンを備える。インタークーラ59は、ターボチャージャ50により加圧された吸気を冷却する。
排気管30のうち、ターボチャージャ50のタービン51の下流には、酸化触媒35と、DPF36と、ユリア噴射装置62と、選択還元触媒61とが、上流側からこの順で設けられている。
酸化触媒35は、排気との反応により発生する熱で排気を昇温するとともに、排気中のNOをNOに変換し後述の選択還元触媒61におけるNOxの還元を促進する。この酸化触媒35には、例えば、触媒として作用する白金(Pt)を、アルミナ(Al)担体に担持させたものに、HCの吸着作用に優れたゼオライトと、HCの水蒸気改質作用に優れたロジウム(Rh)を加えて構成されたものが用いられる。
DPF36は、排気がフィルタ壁の微細な孔を通過する際、排気中の炭素を主成分とする粒子状物質(以下、「PM(Particulate Matter)」という)を、フィルタ壁の表面及びフィルタ壁中の孔に堆積させることによって捕集する。フィルタ壁の構成材料としては、例えば、炭化珪素(SiC)などのセラミックスの多孔体が使用される。
ユリア噴射装置62は、ユリアタンク621と、ユリア噴射弁623とを備える。ユリアタンク621は、選択還元触媒61における還元剤の元となる尿素水を貯蔵する。ユリア噴射弁623は、ECU8に接続されており、ECU8からの制御信号により動作し、この制御信号に応じた量の尿素水を排気管30内のDPF36と選択還元触媒61との間に噴射する。すなわち、ユリア噴射制御が実行される。
選択還元触媒61は、アンモニア等の還元剤が存在する雰囲気下で、排気中のNOxを選択的に還元する。具体的には、ユリア噴射装置62により尿素水を噴射すると、この尿素水は、排気の熱により熱分解又は加水分解されて還元剤としてのアンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、選択還元触媒61に供給され、これらアンモニアにより、排気中のNOxが選択的に還元される。
ところで、この選択還元触媒61は、尿素水から生成したアンモニアで排気中のNOxを還元する機能を有するとともに、生成したアンモニアを所定の量だけ貯蔵する機能も有する。以下では、選択還元触媒61において貯蔵されたアンモニア量をストレージ量とし、選択還元触媒61において貯蔵できるアンモニア量を最大ストレージ容量とする。このようにして貯蔵されたアンモニアは、排気中のNOxの還元にも適宜消費される。このため、ストレージ量が大きくなるに従い、選択還元触媒61におけるNOx還元率は高くなる。また、エンジンから排出されたNOxの量に対し尿素水の供給量が少ない場合等には、貯蔵されたアンモニアが、この尿素水の不足分を補うようにしてNOxの還元に消費される。
ここで、選択還元触媒61において、最大ストレージ容量を超えてアンモニアが生成された場合、生成されたアンモニアは、選択還元触媒61の下流側へ排出される。このようにしてアンモニアが選択還元触媒61に貯蔵されず、その下流側へ排出されることを、以下では「アンモニアスリップ」という。後に詳述するように、選択還元触媒61のストレージ量が所定の目標値に維持されるようにユリア噴射制御を行うことにより、選択還元触媒61におけるNOx浄化率を高く維持しながら、アンモニアスリップの発生も極力抑制することができる。
高圧EGR装置40は、高圧EGR管41と、高圧EGRバルブ42と、高圧EGRクーラ43と、を含んで構成される。高圧EGR管41は、排気マニホールド31と吸気マニホールド21とを接続する。高圧EGRバルブ42は、高圧EGR管41に設けられ、この高圧EGR管41を介して還流される排気の流量を制御する。高圧EGRクーラ43は、高圧EGR管41を介して還流される排気を冷却する。高圧EGRバルブ42は、図示しないアクチュエータを介してECU8に接続されており、その開度(リフト量)はECU8により電磁的に制御される。
低圧EGR装置45は、低圧EGR管46と、低圧EGRバルブ47と、低圧EGRクーラ48と、を含んで構成される。低圧EGR管46は、排気管30のうち選択還元触媒61の下流側と吸気管20のうちコンプレッサ52の上流側とを接続する。低圧EGRバルブ47は、低圧EGR管46に設けられ、この低圧EGR管46を介して還流される排気の流量を制御する。低圧EGRクーラ48は、低圧EGR管46を介して還流される排気を冷却する。低圧EGRバルブ47、図示しないアクチュエータを介してECU8に接続されており、その開度(リフト量)はECU8により電磁的に制御される。
ECU8には、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するクランク角度位置センサ11、及びエンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ12が接続されており、これらセンサの検出信号は、ECU8に供給される。ここで、エンジン1の回転数NEは、クランク角度位置センサ11の出力に基づいてECU8により算出される。エンジン1の負荷を示す燃料噴射量GFUELは、アクセルセンサ12の出力に基づいてECU8により算出される。
これらセンサ11,12に加えて、ECU8には、排気浄化システム2の各部分における物理量を検出する吸気圧力センサ24、第1排気圧力センサ32、第2排気圧力センサ33、LAFセンサ34、第1リフトセンサ13、第2リフトセンサ14、選択還元触媒温度センサ38が接続されている。
吸気圧力センサ24は、吸気管20のうちインタークーラ59の下流側の吸気圧力P2を検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。第1排気圧力センサ32は、高圧EGR管41のうち高圧EGRクーラ43の上流側の排気圧力P3を検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。第2排気圧力センサ33は、排気管30のうちタービン51と酸化触媒35との間の排気圧力P4Lを検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。LAFセンサ34は、排気管30のうちタービン51と酸化触媒35との間の排気の空燃比ΦACTを検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。第1リフトセンサ13は、高圧EGRバルブ42のリフト量LHP_ACTを検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。第2リフトセンサ14は、低圧EGRバルブ47のリフト量LLP_ACTを検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。選択還元触媒温度センサ38は、選択還元触媒61の温度TSCRを検出し、検出値に略比例した信号をECU8に送信する。
ECU8は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU8は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果などを記憶する記憶回路と、高圧EGRバルブ42、低圧EGRバルブ47、ターボチャージャ50、及びエンジン1の燃料噴射弁などに制御信号を出力する出力回路と、を備える。
次に、以上のような排気浄化システム2のユリア噴射量を制御するECUを構成するにあたり、本願発明者が着目した課題について説明する。従来では、ユリア噴射装置と選択還元触媒との間に排気中のNOx量を検出するNOxセンサを設け、このNOxセンサの検出値に基づいてユリア噴射量を決定することが知られている。しかしながら、このようにNOxセンサを用いた場合には、以下のような課題がある。
(1)先ず、現存するNOxセンサは、高精度でユリア噴射制御を行うにはNOxの観測分解能が十分ではなく、また固体ばらつきが大きい。このため、ユリア噴射量が不足してNOx浄化率が低下したり、逆にユリア噴射量が過多になってしまい過剰なアンモニアスリップが発生したりする虞がある。
(2)また、現存するNOxセンサは、高精度でユリア噴射制御を行うには応答性能が十分では無い。このため、特に過渡時において大きなセンシング遅れが生じてしまい、結果としてユリア噴射量が不足しNOx浄化率が低下する虞がある。
(3)また、現存するNOxセンサは、センサ素子の割れを防止するために、急速昇温することができない。このため、エンジンの始動後、NOxセンサが活性に達するまで、数百秒程度かかってしまう場合がある。したがって、この間は、NOxセンサの出力を利用できないため、NOx浄化率が低下したりアンモニアスリップが発生したりする虞がある。
以上のように、ユリア噴射制御を行うためにNOxセンサを設けることの利点は多くない。また、NOxセンサの出力を用いずに、予め設定したマップを用いてユリア噴射量を決定することも考えられるが、この場合も、高い精度でユリア噴射量を決定することは困難であり、また、エンジンや排気浄化システムの劣化や固体ばらつきに対応することも困難である。
以下では、以上のような課題に鑑みてなされた、排気浄化システム2の制御装置の構成について説明する。以下、詳細に説明するように、本実施形態では、排気中のNOx量の推定値を算出する適応バーチャルセンサシステムを構築する。すなわち、本実施形態では、ニューラルネットワークを用いて排気中のNOx量を推定し、さらにこのNOx量の推定値に基づいてユリア噴射制御を行う。
図2は、排気浄化システム2の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図2には、排気浄化システム2におけるユリア噴射制御に係る構成のみを図示する。より具体的には、ユリア噴射装置のユリア噴射量GUREAの決定に関する、ECUにより構成されるモジュールのみを図示する。
このモジュールは、適応バーチャルセンサシステム81と、フィードフォワード噴射量決定部82と、ストレージ量目標値設定部83と、フィードバック噴射量決定部84と、を含んで構成される。
このモジュールにおいて、ユリア噴射量GUREA(k)は、下記式(1)に示すように、加算器85によりフィードフォワード噴射量GUREA_FF(k)とフィードバック噴射量GUREA_ST(k)との和を算出することにより決定される。
Figure 2012007593
ここで、記号(k)は、離散化した時間を示す記号であり、所定の制御周期ごとに検出又は算出されたデータであることを示す。すなわち、記号(k)が今回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであるとした場合、記号(k−1)は前回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであることを示す。なお、以下の説明においては、記号(k)を適宜、省略する。
以下、詳細に説明するように、フィードフォワード噴射量GUREA_FF(k)は、適応バーチャルセンサシステム81により算出された排気中のNOx量の推定値NOXHATに基づいて、フィードフォワード噴射量決定部82により決定される。
また、フィードバック噴射量GUREA_ST(k)は、ストレージ量目標値設定部83により設定された目標値STUREA_CMD(k)にストレージ量を維持するように、フィードバック噴射量決定部84により決定される。
適応バーチャルセンサシステム81は、複数のセンサ24,32,33,34,13,14,37,38の検出値P2,P3,P4L,ΦACT,LHP_ACT,LLP_ACTに基づいて、酸化触媒と選択還元触媒との間の排気のNOx量の推定値NOXHATを算出する。なお、この適応バーチャルセンサシステム81の詳細な構成については、後に図5〜図13を参照して説明する。
フィードフォワード噴射量決定部82は、下記式(2)に示すように、適応バーチャルセンサシステム81により算出されたNOx量の推定値NOXHAT(k)に、変換係数KCONV_NOX_UREAを乗算することにより、フィードフォワード噴射量GUREA_FF(k)を決定する。下記式(2)において、変換係数KCONV_NOX_UREAは、NOx量からユリア噴射量に変換する変換係数である。より具体的には、変換係数KCONV_NOX_UREAは、所定の量のNOxを還元するために必要なユリア噴射量である。
Figure 2012007593
ストレージ量目標値設定部83は、選択還元触媒温度の検出値TSCR(k)に基づいて、ストレージ量の目標値STUREA_CMD(k)を設定する。
図3は、最大ストレージ容量STUREA_MAXと選択還元触媒温度TSCRとの関係を示す図であり、検出値TSCR(k)に基づいて、ストレージ量の目標値STUREA_CMD(k)を設定するためのマップを示す図である。
この図に示すように、選択還元触媒温度TSCRが上昇するに従い最大ストレージ容量STUREA_MAXは減少する。そこで、ストレージ量の目標値STUREA_CMDは、アンモニアスリップが発生しないように、最大ストレージ容量STUREA_MAXよりもやや小さな値に設定される。
図2に戻って、ストレージ量目標値設定部83では、図3に示すようなマップに基づいて、検出値TSCR(k)に応じた目標値STUREA_CMD(k)を設定する。
フィードバック噴射量決定部84は、選択還元触媒の所定のストレージモデルに基づいてストレージ量STUREAを推定しつつ、このストレージ量の推定値STUREAが設定された目標値STUREA_CMDに一致するように、フィードバック噴射量GUREA_STを決定する。
図4は、選択還元触媒のストレージモデルの概念を示す模式図である。
このアンモニアストレージモデルは、選択還元触媒に流入する排気のNOx量に対するユリア噴射量に応じて、選択還元触媒におけるアンモニアのストレージ量の変化を推定するモデルである。具体的には、選択還元触媒におけるストレージ量の変化の状態を、所定のNOx量に対してユリア噴射量が適切な状態(図4の(a)参照)と、ユリア噴射量が過剰な状態(図4の(b)参照)と、ユリア噴射量が不足した状態(図4の(c)参照)との、3つの状態に分類する。
図4の(a)に示すように、選択還元触媒に流入するNOxに対して、ユリア噴射量が適切な状態である場合、すなわち、排気中のNOxを最も効率良く還元できるアンモニアの量と、供給した尿素水から生成されるアンモニアの量とが略一致した場合には、ストレージ量の変化はない。
図4の(b)に示すように、選択還元触媒に流入するNOxに対して、ユリア噴射量が過剰な状態である場合、すなわち、供給した尿素水から生成されたアンモニアの量が、排気中のNOxを最も効率良く還元できる量より多い場合には、この余剰分のアンモニアが選択還元触媒に貯蔵される。したがって、このような供給過剰(Over−dosing)状態では、ストレージ量は増加する。
図4の(c)に示すように、選択還元触媒に流入するNOxに対して、ユリア噴射量が不足した状態である場合、すなわち、供給した尿素水から生成されたアンモニアの量が、排気中のNOxを最も効率良く還元できる量より少ない場合には、この不足分は貯蔵されたアンモニアから補われる。したがって、このような供給不足(Under−dosing)状態では、ストレージ量は減少する。
フィードバック噴射量決定部84では、以上のようなストレージモデルに基づいてストレージ量の推定値STUREAを算出する。より具体的には、下記式(3)〜(6)に基づいて算出する。
先ず、選択還元触媒に流入したNOxを還元するために必要な量のユリア噴射量GUREA_IDEAL(k)は、下記式(3)に示すように、NOx量の推定値NOXHATに基づいて算出される。
Figure 2012007593
ストレージ量を増減する要因となるユリア噴射量の余剰分DUREA(k)は、下記式(4)に示すように、実際のユリア噴射量GUREA(k)から還元に必要なユリア噴射量GUREA_IDEAL(k)を減算することにより算出される。
Figure 2012007593
したがって、ストレージ量の推定値STUREA(k)は、最大ストレージ容量STUREA_MAX(k)を上限値として、下記式(5)及び(6)に示すように、ユリア噴射量の余剰分DUREA(k)に基づいて算出される。
Figure 2012007593
Figure 2012007593
ここで、最大ストレージ容量STUREA_MAX(k)は、選択還元触媒温度TSCR(k)に応じて、上述の図3に示すようなマップを検索することにより設定される。
フィードバック噴射量決定部84は、以上のように算出されたストレージ量の推定値STUREA(k)が目標値STUREA_CMD(k)に一致するように、下記式(7)〜(10)に以下に示すような拡大系I−P制御によりフィードバック噴射量GUREA_ST(k)を決定する。
先ず、下記式(7)に示すように、ストレージ量の推定値STUREA(k)と目標値STUREA_CMD(k)との偏差EST(k)を算出する。
Figure 2012007593
次に、偏差EST(k)に積分ゲインKISTを乗算したものを、下記式(8)に示すように、積分項GUREA_ST_I(k)として定義する。
Figure 2012007593
一方、ストレージ量の推定値の微分値STUREA(k)−STUREA(k−1)を算出し、この微分値に比例ゲインKPSTを乗算したものを、下記式(9)に示すように、比例項GUREA_ST_P(k)として定義する。
Figure 2012007593
次に、下記式(10)に示すように、比例項GUREA_ST_P(k)と積分項GUREA_ST_I(k)の和を算出し、これをフィードバック噴射量GUREA_ST(k)として決定する。
Figure 2012007593
以下、図5〜図13を参照して、適応バーチャルセンサシステム81の構成について詳細に説明する。
図5は、適応バーチャルセンサシステム81の構成を示すブロック図である。
適応バーチャルセンサシステム81は、NOx量の推定値NOXHATを算出するNOx量推定値算出部811と、LAFセンサ34の出力(排気空燃比)の推定値ΦHATを算出するLAFセンサ出力推定値算出部812と、後述の適応入力UVNSを算出する適応入力算出部813とを含んで構成される。
NOx量推定値算出部811は、上述の課題(1)〜(3)を解決するため、非線形な動特性の再現性に優れたニューラルネットワークを用いてNOx量の推定値NOXHATを算出する。また、さらに、この適応バーチャルセンサシステム81では、NOx量とは別の物理量であり、かつ、NOx量と相関のある物理量である排気空燃比の推定値ΦHATを、NOx量推定値算出部811と同様に、ニューラルネットワークを用いてLAFセンサ出力推定値算出部812で算出する。
加算器814では、下記式(11)に示すように、算出した排気空燃比の推定値ΦHAT(k)とLAFセンサ34の検出値ΦACT(k)との間の推定誤差EHAT(k)を算出する。
Figure 2012007593
適応入力算出部813は、後に図8〜図12を参照して詳述するように、LAFセンサ34の検出値ΦACT及び推定誤差EHATに基づいて、ニューラルネットワークが構成されたNOx量推定値算出部811及びLAFセンサ出力推定値算出部812のうちNOx量推定値算出部811のみに入力される適応入力UVNSを算出する。
この適応入力UVNSは、例えば、「−1」〜「1」の間に設定されるものであり、後に詳述するように、NOx量推定値算出部811において、排気浄化システムの所定の基準品からの特性変化の度合い、すなわちその劣化や固体ばらつきによる基準品から特性変化の度合いを示す値として、ニューラルネットワークの学習時に設定される入力である。
すなわち、この適応バーチャルセンサシステム81では、直感的には、排気浄化システムの劣化や固体ばらつきにより生じるNOx量の推定値の誤差を、NOx量と相関のある物理量の推定誤差EHATにより間接的に検出する。そして、この誤差に基づいて、基準品からのずれを示す入力として予め用意しておいた適応入力UVNSを算出し、この適応入力UVNSをNOx量推定値算出部811及びLAFセンサ出力推定値算出部812のうちNOx量推定値算出部811のみに入力する。これにより、NOx量推定値算出部811のニューラルネットワーク構造において、排気浄化システムの劣化や固体ばらつきに対する適応特性を実現することができる。
ここで、本実施形態の適応バーチャルセンサシステム81におけるNOx量と、排気空燃比との関係について説明する。この適応バーチャルセンサシステム81では、出力として必要となるのはNOx量の推定値NOXHATである。これに対して、排気空燃比の推定値ΦHATは、NOx量の推定値NOXHATの真値との誤差を小さくするために、補助的に算出されるものである。
すなわち、排気浄化システムが劣化したり固体ばらつきが発生したりした場合には、NOx量に及ぼされる影響と、補助的に検出される物理量に及ぼされる影響とがほぼ等しいことが好ましい。したがって、このような補助的に検出する物理量としては、上述のように推定する必要のある物理量と上述のような相関があること、並びに、センサにより常時検出できる物理量であることが好ましい。このような条件を満たす物理量であれば、補助的に検出する物理量は、排気空燃比に限られない。
以下では、NOx量推定値算出部811、LAFセンサ出力推定値算出部812、及び適応入力算出部813の構成について順に説明する。
[NOx量推定値算出部]
図6は、NOx量推定値算出部811のニューラルネットワーク構造を示す図である。
このニューラルネットワークは、所定の関数に従って出力する複数のニューロンを結合して構成され、m成分の入力ベクトルU(k)に応じて、値Y(k)を出力する。図6に示すように、このニューラルネットワークは、m個のニューロンW1j(j=1〜m)で構成された入力層と、m×(n−1)個のニューロンWij(i=2〜n,j=1〜m)で構成された中間層と、1個のニューロンYで構成された出力層との3つの層を含んで構成された階層型である。
入力層:W1j (j=1,2,…,m)
中間層:Wij (i=2,3,…,n,j=1,2,…,m)
出力層:Y
入力層のm個のニューロンW1j(j=1〜m)の動作について説明する。
入力層のニューロンW1jには、信号T1j(k)が入力される。この入力信号T1j(k)には、それぞれ、下記式(12)に示すように入力ベクトルU(k)のj番目の成分U(k)が用いられる。
Figure 2012007593
入力層のニューロンW1jは、中間層のm個のニューロンW2j(j=1〜m)に所定の重みで結合しており、これら結合したm個のニューロンW2jへ信号V1j(k)を出力する。すなわち、このニューロンW1jは、下記式(13),(14)に示すように、シグモイド関数f(x)に従って、入力信号T1j(k)に応じた信号V1j(k)をm個のニューロンW2jに出力する。
Figure 2012007593
Figure 2012007593
図7は、シグモイド関数f(x)を示す図である。この図7には、上記式(10)において、ε=0とし、β=0.5,1.0,2.0,3.0とした場合を示す。
シグモイド関数f(x)の値域は、[ε,ε+1]となっている。また、図7に示すように、シグモイド関数f(x)は、βを大きくするに従い、x=0を中心としたステップ関数に近づく。
上記式(14)において、係数βはシグモイド関数f(x)の傾きゲインを示し、係数εはシグモイド関数f(x)のオフセット値を示す。傾きゲインβは、後述のニューラルネットワークの学習により設定する。オフセット値εは、後述のニューラルネットワークの学習により設定するか、又は所定の値に設定しておく。
次に中間層の(n−1)×m個のニューロンWij(i=2〜n,j=1〜m)の動作について説明する。
中間層のニューロンWij(i=2〜n,j=1〜m)には、結合するニューロンから出力されたm個の信号Vi−1,j(j=1〜m)のそれぞれに所定の重みωi−1,j(j=1〜m)を乗じた信号の和が入力される。したがって、中間層のニューロンWijには、下記式(15)に示すような信号Tij(k)が入力される。
Figure 2012007593
中間層のニューロンのうち出力層に結合するm個を除いたニューロン、すなわち、(n−2)×m個のニューロンWij(i=2〜n−1,j=1〜m)は、中間層のm個のニューロンWi+1,j(j=1〜m)に重みωijで結合しており、これら結合したニューロンWi+1,jへ信号Vij(k)を出力する。すなわち、このニューロンWij(i=2〜n−1,j=1〜m)は、下記式(16)に示すように、シグモイド関数f(x)に従って、入力信号Tij(k)に応じた信号Vij(k)をm個のニューロンWi+1,jに出力する。
Figure 2012007593
また、中間層のm個のニューロンWnj(j=1〜m)は、出力層のニューロンYに重みωnjで結合しており、この出力層のニューロンYへ信号Vnj(k)を出力する。すなわち、これらニューロンWnj(j=1〜m)は、下記式(17)に示すように、シグモイド関数f(x)に従って、入力信号Tnj(k)に応じた信号Vnj(k)をニューロンYに出力する。
Figure 2012007593
次に出力層のニューロンYの動作について説明する。
出力層のニューロンYには、結合する中間層のニューロンから出力されたm個の信号Vn,j(j=1〜m)に所定の重みωn,j(j=1〜m)を乗じた信号の和が入力される。したがって、出力層のニューロンYには、下記式(18)に示すような信号T(k)が入力される。
Figure 2012007593
出力層のニューロンYは、下記式(19),(20)に示すように、シグモイド関数g(x)に従って、入力信号T(k)に応じた信号Y(k)を出力する。
Figure 2012007593
Figure 2012007593
シグモイド関数g(x)は、上述の図7に示す関数f(x)と、定性的には同じ振る舞いを示すが、値域が[δ,δ+α]である点でシグモイド関数f(x)と異なる。上記式(19)において、係数γはシグモイド関数g(x)の傾きゲインを示し、係数δはシグモイド関数g(x)のオフセット値を示す。また、係数αはニューラルネットワークの出力の取り得る自由度を設定するための出力ゲインを示す。傾きゲインγ及び出力ゲインαは、後述のニューラルネットワークの学習により設定する。オフセット値δは、後述のニューラルネットワークの学習により設定するか、又は所定の値に設定しておく。
ニューラルネットワークに対する入力ベクトルU(k)の成分を、下記式(21)に示すように定義する。このように、入力ベクトルU(k)の成分には、NOx量を推定するために必要となる複数の物理量(燃料噴射量GFUEL、吸気圧力P2、排気圧力P3、排気圧力P3L、高圧EGRバルブリフト量の検出値LHP_ACT、低圧EGRバルブリフト量の検出値LLP_ACT、エンジン回転数NE)と、適応入力算出部により算出された適応入力UVNSとが含まれる。また、入力ベクトルU(k)の成分には、このように異なる種類の物理量に関するデータが含まれているとともに、異なる時刻の物理量に関するデータも含まれている。
Figure 2012007593
また、このような入力ベクトルU(k)に対するニューラルネットワークの出力Y(k)を、下記式(22)に示すように、NOx量の推定値NOXHAT(k)として定義する。なお、このニューラルネットワークの学習の手順については、後に図13を参照して詳述する。
Figure 2012007593
[LAFセンサ出力推定値算出部]
図5に戻って、LAFセンサ出力推定値算出部812の構成について説明する。
LAFセンサ出力推定値算出部812は、NOx量推定値算出部811と同様に、ニューラルネットワークによりLAFセンサ34の出力の推定値ΦHATを算出する。
このLAFセンサ出力推定値算出部812のニューラルネットワークに対する入力ベクトルULAF(k)の成分は、下記式(23)に示すように定義する。このように、入力ベクトルULAF(k)の成分には、排気空燃比を推定するために必要となる複数の物理量(燃料噴射量GFUEL、吸気圧力P2、排気圧力P3、排気圧力P4L、高圧EGRバルブリフト量の検出値LHP_ACT、低圧EGRバルブリフト量の検出値LLP_ACT、エンジン回転数NE)と、が含まれており、NOx量推定値算出部811のニューラルネットワークに対する入力ベクトルU(k)と比較して、適応入力UVNSを含まない点が異なる。
Figure 2012007593
また、LAFセンサ出力推定値算出部812のニューラルネットワーク構造は、その入力ベクトルULAF(k)の成分数が、上述のようにNOx量推定値算出部811のニューラルネットワークに対する入力U(k)の成分数よりも1つ少ない点を除き、図6及び図7を参照して詳述したNOx量推定値算出部811のニューラルネットワーク構造とほぼ同じである。したがって、その詳細な説明を省略する。なお、このニューラルネットワークの学習の手順については、後に図13を参照して詳述する。
[適応入力算出部]
次に、図8〜図12を参照して、適応入力算出部の構成について説明する。適応入力算出部では、現在の排気浄化システムの所定の基準品からの特性変化の度合いを示す適応入力UVNSを、ファジィ推論アルゴリズムに基づいて算出する。
図8は、定常負荷運転状態におけるエンジンの排気中のNOx量と排気空燃比との関係を示す図である。図8に示すように、排気空燃比がリーンになるに従いNOx量は増加する傾向がある。適応入力算出部では、排気空燃比とNOx量との間に図8のような相関関係があることを利用して、LAFセンサの検出値ΦACTのLAFセンサの推定値ΦHATに対するずれ方に応じて、現在の排気浄化システムの基準品からの特性変化の度合いに相当する適応入力UVNSを算出する。
したがって、例えば、実際のLAFセンサの検出値ΦACTが推定値ΦHATと等しい場合、つまり推定誤差EHATが「0」の場合、これは現在の排気浄化システムは基準品に対して特性変化が無いことを示すものであるから、この場合、適応入力UVNSを「0」に設定する。
例えば、実際のLAFセンサの検出値ΦACTが推定値ΦHATより大きい場合、つまり推定誤差EHATが正の場合、これは現在の排気浄化システムが基準品に対しNOx量増加側へその特性が変化したことを示すものであるから、この場合、適応入力UVNSを正の値に設定する。
また、例えば、実際のLAFセンサの検出値ΦACTが推定値ΦHATより小さい場合、つまり推定誤差EHATが負の場合、これは現在の排気浄化システムが基準品に対しNOx量減少側へその特性が変化したことを示すものであるから、この場合、適応入力UVNSを負の値に設定する。
図9は、推定誤差EHATと適応入力UVNSとの関係を模式的に示す図である。
実際の車両では、例えば減速時のフューエルカットにより、LAFセンサの検出値ΦACTが急激にリーン側に変化する場合がある。しかしながら、このようなリーン側への急激な変化に対しては、LAFセンサ出力推定値算出部による推定値ΦHATが追いつかずに、推定誤差EHATが大きくなってしまう場合がある。このため、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチ側にある場合とリーン側にある場合とでは、リーン側にある場合の方が、推定誤差EHATが大きくなる傾向がある。そこで、以上のような推定誤差EHATの大きさの違いを考慮して、LAFセンサの検出値ΦACTが理論空燃比よりもリーン側にある場合とリッチ側にある場合とで異なるように適応入力UVNSを設定する。つまり、図9中破線で示すように、LAFセンサの検出値ΦACTが理論空燃比よりもリーン側にある場合は、リッチ側にある場合と比較して同じ大きさの推定誤差EHATに対して、その絶対値がより小さくなるように適応入力UVNSを設定する。
図9に示すような適応入力UVNSと、推定誤差EHAT及びLAFセンサの検出値ΦACTとの関係に基づいて、以下に示すようなファジィルールが定められる。すなわち、推定誤差EHATの大きさを2つ以上に区分し、LAFセンサの検出値ΦACTの大きさを2つ以上に区分し、それぞれがどの区分に属するかによって定まる4つ以上の領域に対してファジィルールが設定される。なお、以下では、推定誤差EHAT及びLAFセンサの検出値ΦACTの大きさをそれぞれ2つに区分し、これに伴って定められる4つの領域に対し4つのファジィルールを設定するが、区分数やファジィルールの数はこれに限られるものではない。
ルール1は、推定誤差EHATが正でありかつ検出値ΦACTが理論空燃比よりもリッチ側にある場合に適用されるルールであり、より具体的には、以下の条件文で示される。
IF 推定誤差EHAT≧0 AND 検出値ΦACTがリッチ側(ΦACT<理論空燃比)
THEN 適応入力UVNSは正の値(NOx排出量は増加)
ルール2は、推定誤差EHATが負でありかつ検出値ΦACTが理論空燃比よりもリッチ側にある場合に適用されるルールであり、より具体的には、以下の条件文で示される。
IF 推定誤差EHAT<0 AND 検出値ΦACTがリッチ側(ΦACT<理論空燃比)
THEN 適応入力UVNSは負の値(NOx排出量は減少)
ルール3は、推定誤差EHATが正でありかつ検出値ΦACTが理論空燃比よりもリーン側にある場合に適用されるルールであり、より具体的には、以下の条件文で示される。
IF 推定誤差EHAT≧0 AND 検出値ΦACTがリーン側(ΦACT≧理論空燃比)
THEN 適応入力UVNSは小さな正の値(NOx排出量は少し増加)
ルール4は、推定誤差EHATが負でありかつ検出値ΦACTが理論空燃比よりもリーン側にある場合に適用されるルールであり、より具体的には、以下の条件文で示される。
IF 推定誤差EHAT<0 AND 検出値ΦACTがリーン側(ΦACT≧理論空燃比)
THEN 適応入力UVNSは小さな負の値(NOx排出量は少し減少)
図10は、前件部メンバーシップ関数の構成を示す図であり、図11は、後件部メンバーシップ関数の構成を示す図である。
推定誤差EHATに対する前件部メンバーシップ関数(μ11,μ12)及び検出値ΦACTに対する前件部メンバーシップ関数(μ21,μ22)は、それぞれ、図10中上段及び下段に示すように、台形状で定義する。また、図11に示すように本実施形態では、後件部メンバーシップ関数として、シングルトンを用いた所謂簡略ファジィ推論アルゴリズムにより適応入力UVNSを算出する。
適応入力UVNSの値は、以上のように定義したファジィルール及びメンバーシップ関数を用いて、例えば以下に示すようなミニマックス重心法により算出される。以下、ミニマックス重心法により適応入力UVNSを算出する手順について、ルール1を具体例として説明する。
先ず、ミニマックス選択について説明する。ここでは、現在の推定誤差及びLAFセンサの検出値をそれぞれEHAT(k)及びΦACT(k)とし、これらの値のルール1に対する適合度を算出する。ルール1は、上述のように、推定誤差EHATが正でありかつ検出値ΦACTが理論空燃比よりもリッチ側である領域に適用されるルールである。そこで、推定誤差EHATの前件部メンバーシップ関数μ12の適合度は、図12中、上段に示すようにμ11(k)となり、検出値ΦACTの前件部メンバーシップ関数μ22の適合度は、図12中、上段に示すようにμ22(k)となる。ミニマックス選択では、同一ルールにおける適合度のうち最も小さいものをそのルールの適合度とする。したがって、図12に示す例では、
μ22(k)<μ12(k)、であるので、ルール1の適合度m1(k)は、
m1(k)=μ22(k)、となる。
さらに、ルール1の後件部メンバーシップ関数は、図12中、下段に示すように、位置pU1、基準重み(関数の長さ)wU1である。したがって、ルール1の重み、すなわち、位置pU1における重みw1は、
w1(k)=m1(k)×wU1となる。
以上の手順に基づいて、各ルールに対する重みwi(k)(i=1〜4)が算出される。最終的な適応入力UVNSは、下記式(24)に示す重心法に基づいて算出される。ここで、適応入力UVNSの算出には、各ルールの重みの全てが用いられるため、これはマックス選択となる。
Figure 2012007593
図13は、以上のように構成された適応バーチャルセンサシステムを構築する手順を示すフローチャートである。適応バーチャルセンサシステムは、図13に示すように、LAFセンサ出力推定値算出部、適応入力算出部、及びNOx量推定値算出部の順で構築する。以下、各手順の具体的な内容について、順に説明する。
ステップS1では、学習データを準備する。
より具体的には、先ず、状態の異なる排気浄化システムを少なくとも2組準備する。1つは、基準品となるものであり、新品でありかつばらつきのある製品群のうち規定範囲内のものを準備する。もう1つは、現在の排気浄化システムの上記基準品からの特性変化の度合いを算出するための参考となるものであり、上記基準品が劣化したもの又は上記製品群のうちの規定範囲外のばらつき品(以下、単に「劣化品」という)を準備する。
次に、実際に準備した排気浄化システムを運転することにより、上記式(21)及び(23)のニューラルネットワークの入力ベクトルU及びULAFの成分(GFUEL,P2,P3,P3L,LHP_ACT,LLP_ACT,NE)と、センサで取得したNOx量及びLAFセンサの検出値との関係を記録し、これを学習データとする。なお、入力ベクトルの成分とNOx量及びLAFセンサの検出値との関係を示す学習データは、上記準備した基準品と劣化品とで取得する。また、ここで取得する学習データには、基準品及び劣化品ともに排気浄化システムのエンジンの過渡運転状態におけるデータが含まれていることが好ましい。
ステップS2では、LAFセンサ出力推定値算出部を構築する。
より具体的には、先ずニューラルネットワークへの入力ベクトルULAFの成分を、例えば上記式(23)に示すように決定した後、ニューロンの数を決定する。
次に、上記ステップS1で取得した基準品及び劣化品の学習データのうち、基準品の学習データのみに基づいて、LAFセンサ出力推定値算出部に含まれるニューラルネットワークの学習を行う。すなわち、入力ベクトルULAFの成分(GFUEL,P2,P3,P3L,LHP_ACT,LLP_ACT,NE)とLAFセンサの検出値との関係が、ニューラルネットワークにより再現されるように、ニューロンの関数f(x),g(x)の各種ゲイン(α,β,γ,δ,ε)、並びに各ニューロンの結合の強さを示す重みωの値を設定する。なお、ニューラルネットワークの学習アルゴリズムには、既知の方法が用いられる。具体的には、例えば、逆誤差伝播法などの学習アルゴリズムの他、遺伝的アルゴリズムなどの最適化アルゴリズムが挙げられる。
次に、以上のように構築されたLAFセンサ出力推定値算出部を所定の方法で評価し、その出力の再現性を検証する。この評価の結果、十分な再現性が得られれば、LAFセンサ出力推定値算出部の構築を終了する。一方、この評価の結果、十分な再現性が得られなければ、入力ベクトルULAFの成分及びニューロンの数を再検討し、再び上記と同じ手順で学習する。
ステップS3では、適応入力算出部を構築する。
より具体的には、先ず、適応入力UVNSを算出するための入力の成分を決定する。
次に、具体的なファジィルールを抽出する。
次に、上記ステップS1で取得した基準品及び劣化品の学習データを用いて、前件部メンバーシップ関数及び後件部メンバーシップ関数などのチューニング、すなわち上記メンバーシップ関数の形状を設定する。
次に、以上のように構築された適応入力算出部を所定の方法で評価し、その出力の再現性を検証する。ここで、適応入力算出部の出力の再現性とは、算出された適応入力UVNSが、「−1」〜「1」の間で、現在の排気浄化システムの基準品からの特性変化の度合いを示す値として適した値となっていることをいう。定性的には、現在の排気浄化システムが基準品に対しNOx量増加側へその特性が変化した場合には適応入力UVNSが「1」以下の正の値となり、現在の排気浄化システムが基準品に対しNOx量減少側へその特性が変化した場合には適応入力UVNSが「−1」以上の負の値となることをいう。この評価の結果、十分な再現性が得られれば、適応入力算出部の構築を終了する。一方、この評価の結果、十分な再現性が得られなければ、ファジイルール及び上記メンバーシップ関数を再検討する。
ステップS4では、NOx量推定値算出部を構築する。
より具体的には、先ずニューラルネットワークへの入力ベクトルUの成分を、例えば上記式(21)に示すように決定した後、ニューロンの数を決定する。
次に、上記ステップS1で取得した基準品及び劣化品の学習データの両方に基づいて、NOx量推定値算出部に含まれるニューラルネットワークの学習を行う。なお、ニューラルネットワークの学習を行う具体的な手順は、上記ステップS2におけるLAFセンサ出力推定値算出部と同じであるので、詳細な説明は省略する。
ここで、上述のようにNOx量推定値算出部のニューラルネットワークへの入力ベクトルUには、上述のLAFセンサ出力推定値算出部のニューラルネットワークへの入力ベクトルULAFと異なり、適応入力UVNSが含まれている。したがって、このNOx量推定値算出部のニューラルネットワークの学習には、上記ステップS1で取得した基準品及び劣化品の学習データの他、上記ステップS3で構築した適応入力算出部により算出される適応入力UVNSを用いる。
図14は、以上のように構成された排気浄化システムの動作例を示す図である。図14には、エンジンの負荷を変動させた場合における推定誤差EHAT、適応入力値UVNS及びNOx量の変化について、新品時の排気浄化システムと劣化時の排気浄化システムとを比較した図である。図14に示すように、エンジンの負荷を階段状に変化させると、エンジンから排出されるNOx量も増加する。特に、負荷を増加した瞬間の過渡運転時には多くの量のNOxが排出される。
この時、排気浄化システムが新品である場合(図14中、左側参照)、上述のようにLAFセンサ出力推定値算出部を、新品である基準品の学習データに基づいて構築したので、推定誤差EHATの変動幅は小さく、したがって適応入力UVNSの変動幅も小さい。また、NOx量推定値算出部も、新品である基準品の学習データに基づいて構築したので、高い精度でNOx量を推定できる。
一方、排気浄化システムが劣化した場合(図14中、右側参照)、新品時と比較してNOx量は増加側に変動する。このNOx量の増加側への変動は、図8を参照して説明したように、推定誤差EHATが正の値となることで現れる。また、このようにして推定誤差EHATが正の値に変化したことに応じて、適応入力算出部は、現在のエンジンが基準品に対し、NOx量増加側へその特性が変化したことを示すべく、正の値の適応入力UVNSをNOx量推定値算出部に入力する。これにより、図14に示すように、排気浄化システムが劣化した場合であっても、新品時と同じように高い精度でNOx量を推定することができる。
本実施形態では、例えば、LAFセンサ34により検出手段が構成され、ECU8により、第1推定値算出手段、第2推定値算出手段、適応入力算出手段、及びコントローラが構成される。
具体的には、例えば、NOx量推定値算出部811により第1推定値算出手段が構成され、LAFセンサ出力推定値算出部812により第2推定値算出手段が構成され、適応入力算出部813により適応入力算出手段が構成される。また、例えば、フィードフォワード噴射量決定部82、ストレージ量目標値設定部83、フィードバック噴射量決定部84、及び加算器85によりコントローラが構成される。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施形態では、第1推定値算出手段で推定する第1物理量として、エンジンの排気中のNOx量とした場合を示したが、これに限るものではない。第1推定値算出手段で推定する第1物理量として、高圧EGR装置及び低圧EGR装置により排気から吸気に還流されたEGRガス中の不活性ガスの量である所謂Inert−EGR量を推定してもよい。
また、上記実施形態では、LAFセンサの検出値ΦACTとその推定値ΦHATとの偏差である判定誤差EHATに基づいて適応入力UVNSを算出したが、これに限らない。例えば、LAFセンサの検出値ΦACTとその推定値ΦHATとの比率に基づいて適応入力UVNSを算出してもよい。
また、上記実施形態では、後件部メンバーシップ関数にシングルトンを用いた簡略ファジィ推論アルゴリズムにより適応入力UVNSを算出したが、これに限らない。後件部メンバーシップ関数に、一般的な台形状又は三角状としてもよい。
1…エンジン(内燃機関)
2…排気浄化システム(プラント)
34…LAFセンサ(検出手段)
61…選択還元触媒
62…ユリア噴射装置(還元剤供給手段)
8…ECU
811…NOx量推定値算出部(第1推定値算出手段)
812…LAFセンサ出力推定値算出部(第2推定値算出手段)
813…適応入力算出部(適応入力算出手段)

Claims (7)

  1. プラントの制御装置であって、
    前記プラントの状態を示す複数の物理量のうちの少なくとも1つである第1物理量の推定値を、複数の入力に基づき所定のアルゴリズムにより算出する第1推定値算出手段と、
    前記第1物理量と相関のある第2物理量の推定値を、複数の入力に基づき所定のアルゴリズムにより算出する第2推定値算出手段と、
    前記第2物理量を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された第2物理量の検出値と前記第2推定値算出手段により算出された第2物理量の推定値との偏差又は比率を含む複数の入力に基づいて、前記第1推定値算出手段及び前記第2推定値算出手段のうち前記第1推定値算出手段のみに入力される適応入力を算出する適応入力算出手段と、を備え、
    前記第1物理量の推定値に基づいて、前記プラントの所定の制御量を制御することを特徴とするプラントの制御装置。
  2. 前記適応入力算出手段は、前記第2物理量の検出値と前記第2物理量の推定値との偏差又は比率並びに前記第2物理量の検出値を含んで構成された複数の入力に基づいて、ファジィ推論アルゴリズムにより前記適応入力を算出することを特徴とする請求項1に記載のプラントの制御装置。
  3. 前記ファジィ推論アルゴリズムは、前記第2物理量の検出値と前記第2物理量の推定値との偏差又は比率の大きさを2以上に区分し、前記検出手段により検出された第2物理量の検出値の大きさを2以上に区分し、それぞれがどの区分に属するかによって定まる4つ以上の領域に対して設定されたファジィルールを含むことを特徴とする請求項2に記載のプラントの制御装置。
  4. 前記第1推定値算出手段のアルゴリズム及び前記第2推定値算出手段のアルゴリズムは、それぞれ、所定の関数に従って出力する複数のニューロンを結合して構成されたニューラルネットワークであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のプラントの制御装置。
  5. 前記第1推定値算出手段への複数の入力、及び、前記第2推定値算出手段への複数の入力には、それぞれ、複数の異なる時刻の物理量に関するデータが含まれることを特徴とする請求項4に記載のプラントの制御装置。
  6. 前記プラントは、
    内燃機関の排気系に設けられ、還元剤の存在下で前記排気系を流通するNOxを還元する選択還元触媒と、
    前記排気系のうち前記選択還元触媒の上流側に、還元剤又は還元剤の元となる添加剤を供給する還元剤供給手段と、を備える内燃機関の排気浄化システムであり、
    前記プラントの第1物理量は、前記選択還元触媒に流入する排気中のNOxに関するパラメータを含むことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のプラントの制御装置。
  7. 前記排気中のNOxに関するパラメータの推定値に基づいて、前記還元剤供給手段による還元剤又は添加剤の供給量を決定するコントローラをさらに備えること特徴とする請求項6に記載のプラントの制御装置。
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