JP2012003994A - 非水電解質電池および非水電解質 - Google Patents

非水電解質電池および非水電解質 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解液の電極活物質等への浸透性の改善を図り、生産性および電池容量を向上できるとともに、長期および高温などの過酷な環境下における使用時の電池特性を改善できる、非水電解質電池および非水電解質を提供する。
【解決手段】セパレータ23には、電解液が含浸されている。電解液は、溶媒と、電解質塩と、オクチルトリクロロシランなどのハロゲン化シリルアルキル化合物とを含む。
【選択図】図2

Description

この発明は、非水電解質電池および非水電解質に関する。さらに詳しくは、溶媒および電解質塩を含む非水電解質を用いた非水電解質電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(Video Tape Recorder)、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、リチウムイオン二次電池は、充放電反応にリチウム(Li)の吸蔵および放出を利用する二次電池であり、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般的に、正極活物質としてLiCoO2などの金属酸化物、負極活物質として炭素質材料などを使用する。また、正極と負極との間に配置されたセパレータと、溶媒およびこの溶媒に溶解したLiPF6などのリチウム塩を含む非水電解液とを備える。この非水電解液は、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる媒体の役割をする。
溶媒としては、一般的に、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)のような非プロトン性高誘電率溶媒、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)などの非プロトン性低粘度溶媒などを用いる。
これらの非プロトン性高誘電率溶媒と、非プロトン性低粘度溶媒とを混合した混合溶媒が、主として使用される。この混合溶媒は、電解質塩を効果的に溶解することができ、イオン解離できる程度の極性溶媒であると同時に、充放電の際に充分に速い速度でイオンを伝達できる非プロトン性溶媒である。
このような高誘電率溶媒と低粘度溶媒との混合溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液は、極性による相互作用のために、多くの場合、高い粘性および表面張力を示す。したがって、リチウムイオン二次電池の非水電解液は、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)などの結合剤を含む電極材料に対し低い親和性しか示さないため、電極活物質等への浸透速度が遅い。このことは、電池組み立て段階で電解液を電極活物質等に浸透させるのにかなりの時間を費やさなければならず、生産性の向上を妨げる原因になる。また、電解液が浸透されていない電極活物質は、充放電に関与できないため、電極の持つ容量を十分に発揮させることができない。
非水電解液の電極活物質等への浸透性の改善を図り、生産性および電池特性を最適化するための手法が提案されている。特許文献1では、炭素材料よりなる負極または非水電解液中に、界面活性剤を添加することが提案されている。特許文献2では、リチウム遷移金属化合物を含むカソードおよび/または黒鉛化炭素を含むアノードに界面活性剤を付加することが提案されている。
一般的な界面活性剤であるカチオン系、アニオン系、両性系、ノニオン系等の界面活性剤およびフルオロカーボン鎖を有するフッ素系界面活性剤は、表面張力低下作用が大きく、電極材料との接触性を向上できる。特許文献1〜特許文献2では、ノニオンタイプフッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエステル)、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、PEO−PPOブロックコポリマーなどの一般的な界面活性剤が使用されている。
特開平7−263027号公報 特表2009−526349号公報
しかしながら、特許文献1〜特許文献2で使用されている界面活性剤は、非プロトン性溶媒に比べて耐酸化還元性が劣るために、これらの界面活性剤を電解液中に含有させた場合には、長期の使用において電池特性を劣化させることが問題となる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、非水電解液の電極活物質等への浸透性の改善を図り、生産性および電池容量を向上できるとともに、長期および高温などの過酷な環境下における使用時の電池特性を改善できる、非水電解質電池および非水電解質を提供することにある。
上述した課題を解決するために、第1の発明は、正極と、負極と、溶媒および電解質塩を含む非水電解質とを有し、非水電解質は、式(1)で表されるシリル化合物を含む非水電解質電池である。
Figure 2012003994
(Xは、炭素数8以上22以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である。
Xは、水素の一部またはすべてがハロゲンで置換されてもよい。
R1〜R3は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基または脂肪族炭化水素基である。
R1〜R3の少なくとも1つはハロゲン基を含む。)
第2の発明は、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表されるシリル化合物を含む非水電解質である。
Figure 2012003994
(Xは、炭素数8以上22以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である。
Xは、水素の一部またはすべてがハロゲンで置換されてもよい。
R1〜R3は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基または脂肪族炭化水素基である。
R1〜R3の少なくとも1つはハロゲン基を含む。)
第1の発明および第2の発明では、非水電解質中に、式(1)で表されるシリル化合物を含む。これにより、非水電解液の電極活物質等への浸透性が改善され、生産性および電池容量を向上できる。また、使用初期の充放電によって負極上に安定なSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質膜)と呼称される被膜が形成されることによって、長期および高温などの環境下における使用時の電池特性を改善できる。
この発明によれば、生産性および電池容量を向上できるとともに、長期および高温などの過酷な環境下における使用時の電池特性を改善できる。
この発明の実施の形態による非水電解質電池の構成例を示す断面図である。 図1における巻回電極体の一部を拡大した断面図である。 この発明の実施の形態による非水電解質電池の構成例を示す分解斜視図である。 図3における巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 この発明の実施の形態による非水電解質電池の構成の一例を示す分解斜視図である。 電池素子の外観の一例を示す斜視図である。 電池素子の構成の一例を示す断面図である。 正極の形状の一例を示す平面図である。 負極の形状の一例を示す平面図である。 セパレータの形状の一例を示す平面図である。 この発明の実施の形態による非水電解質電池に用いられる電池素子の構成の一例を示す断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(非水電解質電池の第1の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質電池の第2の例)
3.第3の実施の形態(非水電解質電池の第3の例)
4.第4の実施の形態(非水電解質電池の第4の例)
5.第5の実施の形態(非水電解質電池の第5の例)
6.他の実施の形態(変形例)
1.第1の実施の形態
(非水電解質電池の構成)
この発明の第1の実施の形態による非水電解質電池について説明する。図1はこの発明の第1の実施の形態による非水電解質電池の断面構成を示す。図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して示す。この非水電解質電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この非水電解質電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ23を介して正極21と負極22とが積層および巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この円柱状の電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。
電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。
熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケル(Ni)などよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
(正極)
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
(正極材料)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1-zCoz2(z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi(1-v-w)CovMnw2(v+w<1))、またはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)あるいはリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2-tNit4(t<2))などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)、リチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnuPO4(u<1))、LixFe1-yM2yPO4(式中、M2は、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。xは、0.9≦x≦1.1の範囲内の値である。)などが挙げられる。
更にまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上記リチウム含有化合物のいずれかより成る芯粒子の表面を、他のリチウム含有化合物のいずれかより成る微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
(負極)
負極22は、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。この際、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料における充電可能な容量は、正極の放電容量よりも大きくなっていることが好ましい。なお、結着剤および導電剤に関する詳細は、正極と同様である。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
上述の炭素材料の他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
特に、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、スズ(Sn)を第1の構成元素とし、そのスズ(Sn)に加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。勿論、この負極材料を上記した負極材料と共に用いてもよい。第2の構成元素は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を構成元素として含み、炭素(C)の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、スズ(Sn)およびコバルト(Co)の合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下の範囲内であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)などが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量特性またはサイクル特性がさらに向上するからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSでは、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、グラファイトであれば、炭素の1s軌道(C1s)のピークは284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば、炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素(C)の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPSでは、例えば、スペクトルのエネルギー軸の補正に、C1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPSにおいて、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物とは、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどであり、高分子化合物とは、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
なお、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記の負極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。負極活物質層22Bを気相法、液相法、溶射法若しくは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成する場合には、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに拡散し、あるいは負極活物質層22Bの構成元素が負極集電体22Aに拡散し、またはそれらの構成元素が互いに拡散し合っていることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張および収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。セパレータ23は、ポリフッ化ビニリデン、アラミド、ポリアクリロニトリルなどで構成してもよい。このセパレータ23には、電解液が含浸されている。
(電解液)
電解液は、溶媒と、電解質塩と、式(1)で表されるシリル化合物とを含む。
(溶媒)
溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチルまたはジメチルスルホキシドなどを用いることができる。この電解液を電池などの電気化学デバイスに用いた場合において、優れた容量、サイクル特性および保存特性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。十分な効果が得られるからである。この場合には、特に、高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)である炭酸エチレンまたは炭酸プロピレンと、低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)である炭酸ジメチル、炭酸ジエチルまたは炭酸エチルメチルとを混合して含むものを用いることが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩の1種あるいは2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。電解液の抵抗が低下するからである。特に、六フッ化リン酸リチウムと一緒に四フッ化ホウ酸リチウムを用いることが好ましい。
この電解液は、不飽和環状炭酸エステルおよびハロゲン化環状炭酸エステルから選ばれる化合物の少なくとも1種を含有していることが好ましい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。
不飽和環状炭酸エステルとしては、炭酸ビニレン系化合物、炭酸ビニルエチレン系化合物および炭酸メチレンエチレン系化合物などが挙げられる。炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン、炭酸メチルビニレン、炭酸エチルビニレン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが、炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが、炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でも良いし、複数種が混合されてもよい。
ハロゲン化環状炭酸エステルとしては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、の4,5−ジクロロ−1,3−オキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
(式(1)で表されるシリル化合物)
電解液は、式(1)で表されるシリル化合物を含む。
Figure 2012003994
(Xは、炭素数8以上22以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である。
Xは、水素の一部またはすべてがハロゲンで置換されてもよい。
R1〜R3は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基または脂肪族炭化水素基である。
R1〜R3の少なくとも1つはハロゲン基を含む。)
式(1)において、脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。飽和脂肪族炭化水素基としては、アルキル基などが挙げられる。
式(1)で表されるシリル化合物は、界面活性剤である。この界面活性剤は、一般に極性部分と、非極性部分とを有することによって、極性を有する非水電解液と、疎水性を有する非極性な電極活物質とに対して、親和性を示す。非水電解液に式(1)で表されるシリル化合物を添加すると、式(1)で表されるシリル化合物は、非水電解液と電極活物質との界面に存在して、極性部分が非水電解液に、非極性部分が電極活物質に対して、それぞれ配向した構造をとる。その結果、界面活性剤を媒介として非水電解液が容易に電極中に浸透できるようになる。したがって、電解液が電極中に十分に浸透しないで、電気化学反応に寄与する電極活物質の量が低下して、容量が低下することを抑制できる。
また、非水電解液中に、極性部分がハロゲン化シリル基である、式(1)で表されるシリル化合物を含有することにより、使用初期の充放電によって負極上に安定なSEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質膜)と呼称される被膜が形成され、炭素質材料の剥離や、炭酸エステルの分解を抑制することが可能になると考えられる。また、負極上でのSEIの形成と同時に、正極上にも吸着されて、電解質中のリチウム塩および溶媒が酸化分解されるのを抑制していると考えられる。式(1)で表されるシリル化合物を含む電解液を用いた場合には、負極での分解により形成されるSEIが、ハロゲン化リチウムなどの強固な無機成分を多く含む。また、同時に、このシリル化合物が有するハロゲン化シリル基によって、正極にも吸着による被膜を形成できるため、高温環境などでの使用においても電池特性が向上すると考えられる。
式(1)において、Xを構成する脂肪族炭化水素基は、主鎖の炭素数が大きくなるにつれて疎水性が増大し、界面活性剤としての効果が向上することから、主鎖の炭素数が8以上とされている。また、より優れた高温環境下での電池特性を得ることができる点から、式(1)において、Xを構成する脂肪族炭化水素基は、主鎖の炭素数が20以下であることが好ましい。
また、式(1)において、R1〜R3に少なくとも1つ含まれるハロゲン基としては、塩素基、フッ素基が好ましい。また、式(1)において、ケイ素原子上のハロゲン基の数は、2つ以上が好ましく、3つがより好ましい。ケイ素原子上のハロゲン基の数が多くなると、電極表面において保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応をより抑制できるからである。
式(1)で表されるシリル化合物としては、より具体的に、例えば、オクチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリフルオロシラン、デシルトリフルオロシラン、ドデシルトリフルオロシラン、オクタデシルトリフルオロシラン、オクチルメチルジクロロシラン、デシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクチルメチルジフルオロシラン、デシルメチルジフルオロシラン、ドデシルメチルジフルオロシラン、オクタデシルメチルジフルオロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、デシルジメチルクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクチルジメチルフルオロシラン、デシルジメチルフルオロシラン、ドデシルジメチルフルオロシラン、オクタデシルジメチルフルオロシラン等のシリル化合物が挙げられる。これらの中でも、ドデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシランが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。これらの添加剤は2種類以上を混合して使用してもよい。
(含有量)
式(1)で表されるシリル化合物の含有量は、例えば、電解液に対して、0.01質量%以上1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。式(1)で表されるシリル化合物の含有量が過度に少ないと、界面活性剤としての効果が十分でなく、電解液の電極活物質中への浸透を促進することができない。また、式(1)で表されるシリル化合物の含有量が過度に多いと、電極上の被膜が厚くなり、被膜抵抗が大きくなりすぎるために、電池の他の特性を劣化させる傾向にある。添加量としては、初期の充放電でSEIとして消費される量であることが好ましい。
(非水電解質電池の製造方法)
上述した非水電解質電池は、以下のようにして製造できる。なお、式(1)で表されるシリル化合物を含む電解液は、電極への浸透性が改善されていることから、以下の非水電解質電池の製造工程において、電解液が電極に十分に浸透するまでの時間を短縮できる。これにより、電池の生産性を向上することができる。
(正極の製造)
まず、正極21を作製する。例えば、正極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
(負極の製造)
次に、負極22を作製する。例えば、負極材料と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを混合して負極合剤としたのち、これを有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して負極活物質層22Bを形成する。
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。その後、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み、電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。その後、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を、ガスケット17を介してかしめることにより固定する。以上により、図1、図2に示した非水電解質電池が作製される。
<効果>
この発明の第1の実施の形態では、生産性および電池容量を向上できるとともに、長期および高温などの過酷な環境下における使用時の電池特性を改善できる。
2.第2の実施の形態
(非水電解質電池の構成)
この発明の第2の実施の形態による非水電解質電池について説明する。図3はこの発明の第2の実施の形態による非水電解質電池の分解斜視構成を表しており、図4は図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面を拡大して示している。
この非水電解質電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着または接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムによって構成されていてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構成を表している。この巻回電極体30は、セパレータ35および電解質36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ37によって保護されている。
正極33は、例えば、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、例えば、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものであり、その負極活物質層34Bが正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、夫々第2の実施の形態の正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質36は、上述した第1の実施の形態と同様の電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、電解液を吸収してゲル化するものを用いることができる。例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、またはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンまたはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
(非水電解質電池の製造方法)
この非水電解質電池は、例えば、以下の3種類の製造方法(第1〜第3の製造方法)によって製造される。
(第1の製造方法)
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第2の実施の形態の正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製する。また、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。
続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。
続いて、電解質36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、非水電解質電池が完成する。
(第2の製造方法)
第2の製造方法では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させたのち、その最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。
続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質36を形成する。これにより、非水電解質電池が完成する。
(第3の製造方法)
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。
このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体または多元共重合体などが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。
なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種または2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質36が形成されるため、非水電解質電池が完成する。
<効果>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
3.第3の実施の形態
この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池について説明する。この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池は、電解液を高分子化合物に保持させたもの(電解質36)に代えて、電解液をそのまま用いた点以外は、第2の実施の形態による非水電解質電池と同様である。したがって、以下では、第2の実施の形態と異なる点を中心にその構成を詳細に説明する。
(非水電解質電池の構成)
この発明の第3の実施の形態による非水電解質電池では、ゲル状の電解質36の代わりに、電解液を用いている。したがって、巻回電極体30は、電解質36が省略された構成を有し、電解液がセパレータ35に含浸されている。
(非水電解質電池の製造方法)
この非水電解質電池は、例えば、以下のように製造する。
まず、例えば正極活物質と結着剤と導電剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させることにより正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを両面に塗布し、乾燥させ圧縮成型して正極活物質層33Bを形成し正極33を作製する。次に、例えば正極集電体33Aに正極リード31を、例えば超音波溶接、スポット溶接などにより接合する。
また、例えば負極材料と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させることにより負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体34Aの両面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層34Bを形成し、負極34を作製する。次に、例えば負極集電体34Aに負極リード32を例えば超音波溶接、スポット溶接などにより接合する。
続いて、正極33と負極34とをセパレータ35を介して巻回して外装部材40の内部に挟み込んだのち、外装部材40の内部に、電解液を注入し、外装部材40を密閉する。これにより、図3および図4示す非水電解質電池が得られる。
<効果>
第3の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
4.第4の実施の形態
(非水電解質電池の構成)
図5は、この発明の第4の実施の形態による非水電解質電池の構成の一例を示す分解斜視図である。図5に示すように、この非水電解質電池は、正極リード73および負極リード74が取り付けられた電池素子71をフィルム状の外装部材72の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード73および負極リード74は、それぞれ外装部材72の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。
図6は、電池素子71の外観の一例を示す斜視図である。図7は、電池素子71の構成の一例を示す断面図である。図6および図7に示すように、この電池素子71は、正極81と負極82とをセパレータ83を介して積層した積層電極体であり、電池素子71には、第1の実施の形態と同様の電解液が含浸されている。
正極81は、例えば、一対の面を有する正極集電体81Aの両面に正極活物質層81Bが設けられた構造を有している。正極81は、図8に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分81Cとを有する。この集電体露出部分81Cには正極活物質層81Bが設けられず、正極集電体81Aが露出した状態となっている。集電体露出部81Cは、正極リード73と電気的に接続される。なお、図示はしないが、正極集電体81Aの片面のみに正極活物質層81Bが存在する領域を設けるようにしてもよい。
負極82は、例えば、一対の面を有する負極集電体82Aの両面に負極活物質層82Bが設けられた構造を有している。負極82は、図9に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分82Cとを有する。この集電体露出部分82Cには負極活物質層82Bが設けられず、負極集電体82Aが露出した状態となっている。集電体露出部82Cは、負極リード74と電気的に接続される。なお、図示はしないが、負極集電体82Aの片面のみに負極活物質層82Bが存在する領域を設けるようにしてもよい。
セパレータ83は、図10に示すように、矩形状などの形状を有する。
正極集電体81A、正極活物質層81B、負極集電体82A、負極活物質層82B、セパレータ83を構成する材料は、それぞれ、上述の第2の実施の形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
(非水電解質電池の製造方法)
上述のように構成された非水電解質電池は、例えば以下のようにして製造することができる。
(正極の作製)
正極81は以下のようにして作製する。まず、例えば、正極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、これを正極集電体81Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより正極活物質層81Bを形成する。その後、これを図8に示す形状などに切断し、正極81を得る。
(負極の作製)
負極82は以下のようにして作製する。まず、例えば、負極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチルピロリドンなどの有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、これを負極集電体82Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより負極活物質層82Bを形成する。その後、これを図9に示す形状などに切断し、負極82を得る。
(電池素子の作製)
電池素子71を以下のようにして作製する。まず、ポリプロピレン製微多孔フィルムなどを図10に示す形状に切断し、セパレータ83を作製する。次に、上述のようにして得られた複数枚の負極82、正極81およびセパレータ83を、例えば、図7に示すように、負極82、セパレータ83、正極81、・・・、正極81、セパレータ83、負極82の順で積層して電池素子71を作製する。
次に、正極81の集電体露出部82Cを正極リード73に溶接する。同様にして、負極82の集電体露出部82Cを負極リード74に溶接する。次に、電解液を電池素子71に含浸させた後、外装部材72の間に電池素子71を挟み込み、外装部材72の外縁部同士を熱溶着などにより密着させて封入する。その際、正極リード73、負極リード74が熱融着部を介して外装部材72の外部に出るようにし、これらを正負極端子とする。以上により、目的とする非水電解質電池が得られる。
<効果>
第4の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
5.第5の実施の形態
次に、この発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態による非水電解質電池は、第4の実施の形態の非水電解質電池において、電解液の代わりに、ゲル状の電解質層を用いるものである。なお、上述の第4の実施の形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
(非水電解質電池の構造)
図11は、第2の実施の形態による非水電解質二次電池に用いられる電池素子の構成の一例を示す断面図である。電池素子85は、正極81と負極82とをセパレータ83および電解質層84を介して積層したものである。
電解質層84は、第1の実施の形態と同様の電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層84は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。高分子化合物の構成は、第4の実施の形態による非水電解質電池と同様である。
(非水電解質電池の製造方法)
上述のように構成された非水電解質電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極81および負極82のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層84を形成する。その後の工程は、電解質層84が形成された正極81および負極82を用いる以外のことは上述の第4の実施の形態と同様にして、非水電解質電池を得ることができる。
<効果>
この発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
この発明の具体的な実施例について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下では、説明の便宜上、以下の化合物を化A〜化Uとして説明する。
Figure 2012003994
Figure 2012003994
<実施例1−1>
以下の手順により、負極活物質として、炭素材料であるMCMB(メソカーボンマイクロビーズ)系黒鉛を用いて、図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し、正極合剤塗液を得た。
次に、この正極合剤塗液を、厚み10μmのアルミニウム箔上の両面に、均一に塗布し、乾燥させ圧縮成型し、片面あたりの厚さが30μmの正極活物質層(活物質層の体積密度:3.40g/cc)を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を得た。
また、負極活物質としてMCMB(メソカーボンマイクロビーズ)系黒鉛97質量部と、結着剤としてPVdF3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し負極合剤塗液を得た。
次に、この負極合剤塗液を、厚み10μmの銅箔上の両面に、均一に塗布し、乾燥させ圧縮成型し、片面当たりの厚さが30μmの負極活物質層(活物質層の体積密度:1.80g/cc)を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を得た。
セパレータとしては、厚さ7μmの微多孔性ポリエチレンフィルムの両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したものを用いた。
電解液を以下のように調製した。すなわち、まず、エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:7(質量比)の混合溶媒を調製し、この混合溶媒に電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を0.9mol/kgとなるように溶解したものを調製した。これに対して、化Aを0.005質量%溶解させ、これにより、電解液を調製した。
正極と負極とを、セパレータを介して巻回した後、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状の外装部材に入れたのち、電解液を2g注液し、その後、袋を熱融着して実施例1−1のラミネートフィルム型電池を作製した。この電池の活物質量に基づく容量は800mAhであった。
<実施例1−2>
電解液の調製の際に、化Aの濃度を0.01質量%に変えた点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−3>
電解液の調製の際に、化Aの濃度を0.5質量%に変えた点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−4>
電解液の調製の際に、化Aの濃度を1質量%に変えた点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−5>
電解液の調製の際に、化Aの濃度を2質量%に変えた点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−1>
電解液の調製の際に、化Aを加えなかった点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−2>
電解液の調製の際に、化Aを加えず、作製後の電池を12時間静置することにより、電解液を電極活物質に浸透させた点以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
実施例1−1〜実施例1−5および比較例1−1〜比較例1−2の電池について、以下の高温サイクル試験および高温保存試験を行った。
(初期容量の測定および長期サイクル試験)
最初に、各電池を23℃環境下800mAで1サイクル充放電させて、初回放電容量を求めた。続いて、23℃環境下において300サイクルの充放電を繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する300サイクルにおける放電容量維持率を、(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)として求めた。充放電条件としては、1Cの電流で上限電圧4.2Vまで定電流定電圧充電したのち、1Cの電流で終止電圧3.0Vまで定電流放電した。この「1C」とは、理論容量を1時間で放電しきる電流値である。
(高温保存時の膨れの測定)
最初に、各電池を23℃環境下800mAで1サイクル充放電させて、保存前の電池厚さを測定した。次に、再度23℃の雰囲気中において、4.2Vを上限として3時間充電した後、4.2Vの充電状態において85℃の恒温槽中に24時間保存し、保存後の電池厚さと保存前の電池厚さとの差を高温保存時の膨れとして求めた。
(高温保存後抵抗の測定)
初回充電後に4.2V充電状態における1kHz交流インピーダンスの値(mΩ)を測定し、4.2Vの充電状態において85℃の恒温槽中に24時間保存してから同様の測定を行った。保存後抵抗変化(mΩ)=(保存後の抵抗)−(初回充電時の抵抗)として算出した。
試験結果を表1に示す。
Figure 2012003994
表1から以下のことがわかる。実施例1−1〜実施例1−5によれば、化Aを含む電解液を用いているため、高い放電容量が得られた。電池の容量は、活物質量から計算される容量に近づくことから、界面活性剤(化A)の効果により電解液が電極中に十分浸透したと考えられる。また、実施例1−1〜実施例1−5によれば、化Aを含む電解液を用いているため、化Aを含まない電解液を用いた比較例1−1および比較例1−2より、高温保存時の膨れおよび抵抗値の上昇が抑制された。
なお、電解液中に界面活性剤(化A)を含まないが、12時間静置する工程により、電解液を浸透させた比較例1−2では、比較例1−1より、高い放電容量が得られるが十分ではない。これは、電解液の電極への浸透が遅く、電解液の電極への浸透が十分でないためと考えられる。
また、実施例1−1〜実施例1−5によれば、化Aの含有量は、化Aによる被膜が過剰に生成しない、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましいことがわかった。化Aの含有量が、1質量%を超えた場合には、高温保存時の膨れ抑制効果は高くなるが、抵抗上昇とそれに伴う放電容量の減少が見られた。
<実施例2−1>
実施例1−3と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例2−2〜実施例2−11、比較例2−1〜比較例2−10>
電解液の調製の際に、化Aの代わりに、化B〜化Uを加えた点以外は、実施例2−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
実施例2−1〜実施例2−11および比較例2−1〜比較例2−10のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様に、初期容量の測定および長期サイクル試験、高温保存時の膨れの測定、高温保存後抵抗の測定を行った。試験結果を表2に示す。
Figure 2012003994
表2から以下のことがわかる。
化A〜化Kのように、主鎖の炭素数が8以上の飽和炭化水素基を有するハロゲン化シリルアルキル化合物を含む電解液を用いた場合には、高い放電容量が得られた。すなわち、飽和炭化水素基の主鎖の炭素数多いほど、界面活性剤としての効果が高まり、主鎖の炭素数が8以上の飽和炭化水素基を有するハロゲン化シリルアルキル化合物は、界面活性剤としての効果が十分に大きいものであり、これを含む電解液を用いた場合には、高い放電容量が得られた。
なお、飽和炭化水素基の主鎖の炭素数が多いほど、界面活性剤としての効果が高くなるが、化G、化Hのように、20以上になると、ハロゲン化シリル基の相対的な濃度が低下するため、高温保存時の膨れを抑制する効果が若干弱くなる傾向にあった。
一方、化L〜化Pのように、主鎖の炭素数が7以下の飽和炭化水素基を有するハロゲン化シリルアルキル化合物を含む電解液を用いた場合には、界面活性剤としての効果が小さく、高い放電容量を得ることができなかった。
また、化A〜化Kのように、ケイ素原子上にハロゲンを有するハロゲン化シリルアルキル化合物は、初回充電時の反応性が高く強固な被膜を形成できることが考えられるため、高温保存時の膨れの抑制効果が大きかった。
一方、化Q〜化Rのように、ケイ素原子上にハロゲンを有さないハロゲン化シリルアルキル化合物を含む電解液を用いた場合には、高温保存時の膨れの抑制効果が小さかった。
化S、化Tおよび化Uは、界面活性効果を有するが、初回充放電時の反応性が低く被膜を形成することができないため、これらの化合物を含む電解液を用いた場合には、高温保存時の膨れおよび抵抗値の上昇を抑制することができなかった。
6.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例では、ラミネートフィルム型、円筒型の電池構造を有する電池、電極を巻回した巻回構造を有する電池、電極を積み重ねた構造を有するスタック型の電池について説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、角型、コイン型、またはボタン型などの他の電池構造を有する電池、正極と負極とを積層しつづら折りにした電池素子を備えた電池についても同様に、この発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。またナトリウム(Na)、カリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、この発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。また、負極活物質としてリチウム金属を用いてもよい。化学反応を伴う電池だけでなく、電解液を使用する電気二重層キャパシタなどの他の電気化学デバイスにも適用可能である。
11・・・電池缶、12,13・・・絶縁板、14・・・電池蓋、15A・・・ディスク板、15・・・安全弁機構、16・・・熱感抵抗素子、17・・・ガスケット、20・・・巻回電極体、21・・・正極、21A・・・正極集電体、21B・・・正極活物質層、22・・・負極、22A・・・負極集電体、22B・・・負極活物質層、23・・・セパレータ、24・・・センターピン、25・・・正極リード、26・・・負極リード、27・・・ガスケット、30・・・巻回電極体、31・・・正極リード、32・・・負極リード、33・・・正極、33A・・・正極集電体、33B・・・正極活物質層、34・・・負極、34A・・・負極集電体、34B・・・負極活物質層、35・・・セパレータ、36・・・電解質、37・・・保護テープ、40・・・外装部材、41・・・密着フィルム、71・・・電池素子、72・・・外装部材、73・・・正極リード、74・・・負極リード、81・・・正極、82・・・負極、83・・・セパレータ

Claims (8)

  1. 正極と、
    負極と、
    溶媒および電解質塩を含む非水電解質と
    を有し、
    上記非水電解質は、式(1)で表されるシリル化合物を含む非水電解質電池。
    Figure 2012003994
    (Xは、炭素数8以上22以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である。
    Xは、水素の一部またはすべてがハロゲンで置換されてもよい。
    R1〜R3は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基または脂肪族炭化水素基である。
    R1〜R3の少なくとも1つはハロゲン基を含む。)
  2. 上記シリル化合物の含有量は、上記非水電解質に対して、0.01質量%以上1質量%以下である請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 上記式(1)において、上記Xは、炭素数8以上20以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である請求項1記載の非水電解質電池。
  4. 上記式(1)において、上記脂肪族炭化水素基は、アルキル基である請求項1記載の非水電解質電池。
  5. 上記式(1)において、R1〜R3のうち2つ以上がハロゲン基である請求項1記載の非水電解質電池。
  6. 上記式(1)において、上記ハロゲン基は、塩素基またはフッ素基である請求項1記載の非水電解質電池。
  7. ラミネートフィルムで外装された請求項1記載の非水電解質電池。
  8. 溶媒と、
    電解質塩と、
    式(1)で表されるシリル化合物と
    を含む非水電解質。
    Figure 2012003994
    (Xは、炭素数8以上22以下の主鎖を有する脂肪族炭化水素基である。
    Xは、水素の一部またはすべてがハロゲンで置換されてもよい。
    R1〜R3は、それぞれ独立して、水素基、ハロゲン基または脂肪族炭化水素基である。
    R1〜R3の少なくとも1つはハロゲン基を含む。)
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