以下、図面を参照しつつ本発明について説明するが、本発明の適用範囲は、下記の実施形態に限定されるものではない。以下の説明では、他の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のエンコーダの概略構成を示す斜視図、図2は、インデックス及びスケールの概略構成を示す斜視図である。
図1に示すエンコーダ1は、照明系2、分岐部としてのインデックス3、光学系4、スケール5、及び検出部6を備えている。スケール5は、例えば露光装置等の一部を構成する基板ステージなどの移動体に固定され、インデックス3は、例えば基板ステージから離れた位置に固定される。インデックス3は、光分岐面としての回折面30を有している。
以下の説明では、図1に示すXYZ直交座標系に基づいて、構成要素の位置関係を説明する。このXYZ直交座標系は、スケール5に平行であって互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向とし、スケール5の法線方向をZ軸方向としている。
エンコーダ1は、概略すると以下のように動作する。照明系2は、照明光L0を射出するとともに、照明光L0をインデックス3の回折面30上で走査させる。インデックス3は、回折面30上の互いに交差する2方向のそれぞれで照明光L0を分岐させる。ここでは、上記の2方向のうちの第1方向がX軸方向に微小角(後述する角度θ)をなす方向に設定され、第2方向がY軸方向に微小角をなす方向に設定されている。インデックス3は、照明光L0を第1方向にて第1の光L11と第1の光L12とに分岐させ、照明光L0を第2方向にて第2の光L21と第2の光L22とに分岐させる。
第1の光L11と第1の光L12は、光学系4を経由してスケール5に入射して互いに干渉し、干渉縞を形成する。また、第2の光L21と第2の光L22は、光学系4を経由してスケール5に入射して互いに干渉し、干渉縞を形成する。スケール5は、インデックス3に対して相対移動しうる物体に取付けられている。検出部6は、第1の光L11と第1の光L12の干渉縞、及び第2の光L21と第2の光L22の干渉縞によって形成されるモアレMを検出する。検出されるモアレの変化に基づいて、インデックス3とスケール5との相対位置の変化量が測定される。
次に、エンコーダ1の各種構成要素について説明する。
照明系2は、光源部20、偏向部21、及び平行化部品22を含んでいる。光源部20は、例えばランプ光源や固体光源等の光源を含み、照明光L0を発する。本例の光源部20は、レーザーダイオードを含み、例えば可干渉長が10μm以上10mm以下であるレーザー光を照明光L0として射出する。可干渉長は、可干渉距離あるいはコヒーレント長と呼ばれることもある。
偏向部21は、光源部20から発せられた照明光L0を反射させて、反射した照明光L0の偏角を時間変化させる。本例の偏向部21は、ガルバノミラーにより構成され、光源部20から射出された照明光L0が入射する反射面23を含んでいる。偏向部21は、反射面23が所定の回転軸24周りの正逆方向に所定の周波数で振動するように、制御される。反射面23の振動動作は、回動と呼ばれることもある。反射面23で反射した照明光L0は、反射面23の振動に伴って、その光線束の中心軸の方向が時間変化する。以下、光の進行方向を光線束の中心軸方向で代表させて説明する。
偏向部21を経由した照明光L0は、平行化部品22に入射する。平行化部品22は、正のパワーを有する光学部品、例えば凸レンズや凹面鏡により構成される。平行化部品22に入射した発散光または収束光は、入射前よりも平行度が高くなり、換言すると入射前よりも平行光に近くなり平行化部品22から射出される。平行化部品22は、コリメート部品と呼ばれることがある。本例の平行化部品22は、平行化レンズ(コリメートレンズ)により構成されている。
平行化部品22に入射前の照明光L0は、進行方向が偏向部21によって時間変化し、平行化部品22を通過後の照明光L0の進行方向が基準方向となす角度(偏角)も時間変化する。基準方向は、例えば平行化部品22の光軸と平行な方向である。このように、回折面30に対する照明光L0の入射角が時間変化し、換言すると、照明系2は回折面30に対する照明光L0の入射角を変調するように構成されている。
図2に示すように、本例のインデックス3及びスケール5は、いずれも透過型の二次元回折格子を含んでいる。二次元回折格子における格子の配列例として、正方格子や長方格子等の直交格子、三角格子等の非直交格子等が挙げられる。回折格子の具体例として、表面に規則的な凹凸を有するレリーフ型回折格子、VHGやCGH等のホログラフィック素子等が挙げられる。
本例のインデックス3は、レリーフ型回折格子により構成され、複数の溝部33及び複数の溝部34を含んでいる。溝部33と溝部34は、それぞれ格子を構成しており、互いに交差(ここでは、ほぼ直交)している。複数の溝部33は、Ya方向とほぼ平行に延在しており、Xa方向にピッチP1で並んでいる。Xa方向は、X軸方向からXY平面内で角度θだけ回転させた方向であり、Ya方向は、Y軸方向からXY平面内で角度θだけ回転させた方向である。複数の溝部34は、それぞれがXa方向とほぼ平行に延在しており、Ya方向にピッチP2で並んでいる。
溝部33で回折した光は、インデックス3に入射するときの照明光L0に対して、溝部33の延在方向に直交する方向(Xa方向)に偏向する。Xa方向に回折した±1次回折光の一方が第1の光L11となり、他方が第1の光L12となる。第1の光L11及び第1の光L12は、図1に示した第1面31に沿って進行する。第1面31は、回折面30(XY面)に直交し、かつ溝部33の延在方向に直交する面である。
溝部34で回折した光は、インデックス3に入射するときの照明光L0に対して、溝部34の延在方向に直交する方向(Ya方向)に偏向する。Ya方向に回折した±1次回折光の一方が第2の光L21となり、他方が第2の光L22となる。第2の光L21及び第2の光L22は、図1に示した第2面32に沿って進行する。第2面32は、回折面30に直交し、かつ溝部34の延在方向に直交すなわち第1面31に直交する面である。
Xa方向の回折角は、ピッチP1の関数であり、Ya方向の回折角はピッチP2の関数である。ピッチP1とピッチP2は、互いに同じ値または異なる値に、適宜設定される。ここでは、ピッチP1がピッチP2と同じ値に設定されている。
上記のように、照明系2は照明光L0を回折面30上で走査させる。照明光L0が回折面30を走査する走査方向は、上記の第1方向(Xa方向)に交差し、かつ第2方向(Ya方向)と交差する方向に設定されている。換言すると、照明光L0の走査方向は、溝部33の延在方向に交差し、かつ溝部34の延在方向に交差する方向に設定されている。ここでは、照明光L0の走査方向が、Xa方向及びYa方向とほぼ45°の角度をなしている。照明光L0の回折面30上でのスポットS0が、ベクトル(X,Y)=(1,1)と角度θをなす方向に往復移動して回折面30を走査する。
本例のスケール5は、インデックス3と同様の二次元回折格子を含んでいる。スケール5は、複数の溝部51及び複数の溝部52を含んでいる。溝部51は、Y軸方向に延在しており、溝部52はX軸方向に延在している。溝部51のピッチP3は、溝部のピッチP4と同じに設定されている。ここでは、ピッチP3、P4が、ピッチP1、P2とほぼ同じになっている。
スケール5に対する第1の光L11(及び第1の光L12)の入射面である第1面31に関して、第1面31とスケール5との交線を想定したときに、溝部51の延在方向は、この交線と角度θをなしている。角度θは、例えば1/60°以上1°以下の範囲内に設定されるが、図2では誇張して示している。
図1の説明に戻り、光学系4は、反射面41〜44を含んでいる。第1の光L11は、反射面41で反射してスケール5に入射し、スポットS11を形成する。第1の光L12は、反射面42で反射してスケール5へ入射し、スポットS12を形成する。スポットS11とスポットS12とが互いに重なる重複領域を含むように、反射面41と反射面42とが配置されている。例えば、反射面41と反射面42は、互いに平行かつ、第1面31と直交するように配置される。
第2の光L21は、反射面43で反射してスケール5へ入射し、スポットS21を形成する。第2の光L22は、反射面44で反射してスケール5へ入射し、スポットS22を形成する。スポットS21とスポットS22とが互いに重なる重複領域を含むように、反射面43と反射面44とが配置されている。例えば、反射面43と反射面44は、互いに平行、かつ第2面32と直交するように配置される。
また、スポットS11とスポットS12の重複領域の少なくとも一部が、スポットS21とスポットS22の重複領域の少なくとも一部と重なり合うように、反射面41〜44が配置されている。すなわち、第1の光L11、L12のスケール5上でのスポットS11、S12が、第2の光L21、L22のスケール5上でのスポットS21、S22と重なるように、光学系4は、第1の光L11、L12及び第2の光L21、L22を導光する。
第1の光L11及び第1の光L12は、スケール5の回折面50で回折するとともに互いに干渉する。回折面50で回折した第1の光L11の一部(例えば、−1次回折光)は、回折面50で回折した第1の光L12の一部(例えば+1次回折光)と進行方向がほぼ同じになる。同様に、第2の光L21及び第2の光L22は、スケール5上で回折するとともに互いに干渉する。回折面50で回折した第2の光L21の一部は、回折面50で回折した第2の光L22の一部と進行方向がほぼ同じになる。
スケール5から検出部6へ向かう光L3は、スポットS11、S12の重複領域と、スポットS21、S22の重複領域とが互いに重なる領域内を通った第1の光L11、L12及び第2の光L21、L22を含んでいる。光L3は、検出部6へ入射して、検出部6の受光面60上でモアレMを形成する。
図3(a)から図3(c)は、第1の光の干渉縞と第2の光の干渉縞とによって形成されるモアレの例を示す図である。図3(a)に示すモアレM1は、単位パターンM0が、二次元的に周期的に並んだパターンになっている。単位パターンM0は、X方向にピッチP5で並んでおり、Y方向にピッチP6で並んでいる。ピッチP5、P6の値は、インデックス3の格子のピッチP1、P2、スケール5の格子のピッチP3、P4、上記の角度θ等をパラメータとする関数である。これらのパラメータは、光L3がモアレを形成するように設定される。角度θについては、計測中にスケール5とインデックス3とが相対的に回転することによって、変化することがありえる。スケール5が回転した状態で角度θの絶対値が0°より大きくなるように、角度θは、例えば測定中にスケール5がZ軸周りに回転する角度範囲として想定される値を加味して設定される。本例では、ピッチP5がピッチP6とほぼ同じになっている。
図3(a)に示したモアレM1が形成されるときのインデックス3とスケール5との相対位置を基準として、インデックス3とスケール5との相対位置がY方向に変化すると、例えば図3(b)に示すモアレM2が形成される。モアレM2は、モアレM1と比較して、単位パターンM0がX方向に平行移動したパターンになる。また、インデックス3とスケール5との相対位置が、上記の基準からX方向に変化すると、例えば図3(c)に示すモアレM3が形成される。モアレM3は、モアレM1と比較して、単位パターンM0がY方向に平行移動したパターンになる。
図4(a)は、検出部の概略構成を示す平面図である。
本例の検出部6は、マトリックス状に配列された複数の画素61を含んでいる。画素配列の行方向は、X軸方向(第3方向)とほぼ一致しており、画素配列の列方向はY軸方向(第4方向)とほぼ一致している。本例では、各画素の寸法が、X方向とY方向とでほぼ同じになっており、画素の平面形状がほぼ正方形になっている。また、モアレMの単位パターンM0が2行以上かつ2列以上の画素61にまたがるように、画素61の寸法が設定されている。
各画素61は、フォトダイオード及びスイッチング素子を含んでいる。各フォトダイオードは、PN接合またはPIN接合された半導体層(受光領域)を含んでいる。上記の受光面60は、フォトダイオードの受光領域が配列される面である。半導体層に光が入射すると、半導体層に入射光量に応じた量の電荷が生じる。上記のスイッチング素子のオンオフを制御することにより、画素61ごとの受光量に応じた電荷が取出される。複数の画素61のうちで、X軸方向に画素1つおきに並ぶ画素は互いに電気的に接続されており、Y軸方向に画素1つおきに並ぶ画素も互いに電気的に接続されている。
各画素61から取出された画素61ごとの電荷は、例えば電圧値に電流電圧変換(IV変換)された後にアナログデジタル変換(AD変換)されてデジタル値のデータになる。画素61ごとの電荷量を示すデータは、演算部63に出力される。演算部63は、電荷量を示すデータを演算処理することにより、モアレMの変化として、例えば単位パターンM0の移動量を算出する。演算部63は、例えば演算回路等のハードウエアやPCに各種処理を実行させるソフトウエア等により実現される。演算部63は、検出部6の一部であってもよいし、検出部6に接続された外部装置であってもよい。
図4(b)及び図4(c)は、モアレの変化を検出する方法の一例を示す説明図である。本例では、2行2列の画素61を画素グループ62としたときに、各画素グループ62に1つの単位パターンM0が収まる場合について説明する。各画素グループ62は、画素61a〜61dを含んでいる。ここでは、単位パターンM0の中心を原点として、第1象限に画素61bが配置されており、第2象限に画素61a、第3象限に画素61d、第4象限に画素61cが、それぞれ配置されているものとする。
図4(b)に示す例では、Y軸方向に並ぶ画素61a、61cの出力が積算される。画素61a、61cとは異なる列のY軸方向に並ぶ画素61b、61dでの出力が積算される。画素61a、61cの出力の積算値と、画素61b、61dの出力の積算値との差分が、単位パターンM0のX軸方向の移動量ΔXに対応する量として出力される。換言すると、画素61aと画素61bの和領域は、第3方向(X軸方向)よりも第4方向(Y軸方向)に長手の第1受光領域64aを構成している。同様に、画素61c及び画素61dの和領域は、第1受光領域64bを構成している。一対の第1受光領域64a、64bは、X軸方向に並んでいる。検出部6は、第1受光領域64aの受光量と第1受光領域64bの受光量との差分を検出し、単位パターンM0の変化についてX軸方向の成分を分離して検出する。
図4(c)に示す例では、X軸方向に並ぶ画素61a、61bの出力が積算される。画素61a、61bとは異なる行のX軸方向に並ぶ画素61c、61dでの出力が積算される。画素61a、61bの出力の積算値と、画素61c、61dの出力の積算値との差分が、単位パターンM0のY軸方向の移動量ΔYに対応する量として出力される。換言すると、画素61aと画素61cの和領域は、Y軸方向よりもX軸方向に長手の第2受光領域64cを構成している。同様に、画素61c及び画素61dの和領域は、第2受光領域64dを構成している。一対の第2受光領域64c、64dは、Y軸方向に並んでいる。検出部6は、第2受光領域64cの受光量と第2受光領域64dの受光量との差分を検出し、単位パターンM0の変化についてY軸方向の成分を分離して検出する。
なお、各画素での受光量を示すデータが演算部63に入力され、このデータを用いて演算部が和算や引算等の演算処理、各種統計処理を実行することによって、モアレの変化を検出するようになっていてもよい。
本例のエンコーダ1は、米国特許第7601947号明細書、特開2007−333722号公報に開示されているような測定原理を適用して、インデックス3とスケール5との相対位置の変化を3次元的に測定可能である。法令で許容される限りにおいて、米国特許第7601947号明細書、特開2007−333722号公報、その他の光干渉法に関する文献の開示内容を援用して本文の記載の一部とする。
エンコーダ1において、照明光L0は、インデックス3の回折面30上の互いに交差するXa方向とYa方向のそれぞれで分岐する。分岐した第1の光L11、L12のスポットS11、S12が、分岐した第2の光L21、L22のスポットS21、S22と重ねあわされる。スポットS11、S12、S21、S22の重複領域を経由した光を含む光L3によるモアレの変化が、検出部6に検出される。
照明系2は、インデックス3上でXa方向とYa方向とにそれぞれ交差する方向に照明光L0を走査し、インデックス3に対する照明光L0の入射角を変調する。したがって、検出部6に検出されるモアレの変化量は、互いに交差するX軸方向及びY軸方向のそれぞれの成分が変調されることになる。よって、検出部6の検出結果についてX軸方向及びY軸方向の成分を復調することにより、インデックス3とスケール5のX軸方向の相対位置の変化量及びY軸方向の相対位置の変化量がそれぞれ得られる。また、米国特許第7601947号明細書に開示されているように、変調効率の変化をモニターすること等によって、インデックス3とスケール5のZ軸方向の相対位置の変化量を得ることもできる。
このように、スポットの重複領域を経由した光L3によるモアレの変化に基づいて物体間の相対位置の変化量が得られるので、同じ測定点(例えば、重複領域)での相対位置の変化量を2次元的又は3次元的に得ることができる。互いに交差する方向での相対位置の変化量を互いに異なる測定点で計測する場合と比較すると、例えば測定点間で測定対象の物体が歪んでいるときの測定誤差を減らすことができる。また、検出部6に検出される光について、互いに交差する方向の成分のそれぞれを同じ照明系2で変調することができるので、装置構成をシンプルにすることが可能である。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のエンコーダについて説明する。第2実施形態において第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図5は、第2実施形態のエンコーダの概略構成を示す斜視図である。図5に示すエンコーダ1Bは、照明系2B、インデックス3、光学系としての導光ロッド4B、スケール5B、検出部6、補償スケール7、及び補償検出部8を備えている。本例の導光ロッド4Bは、Y軸方向に延在しており、その内部に分光部43Bを含んでいる。
照明系2Bは、導光ロッド4Bに対してY軸方向の負側に配置されている。インデックス3は、照明系2Bと導光ロッド4Bとの間に配置されている。スケール5Bは、分光部43Bに対してZ軸方向の負側に配置されている。検出部6は、Z軸方向の正側に配置されており、スケール5Bとともに導光ロッド4Bを挟んでいる。補償スケール7は、導光ロッド4BのY軸方向の正側の端部に対してZ軸方向の正側に配置されている。補償検出部8は、補償スケール7に対して、Z軸方向の正側に配置されている。
照明系2Bは、光源部20、振動子21B、平行化部品22及び反射ミラー23Bを含んでいる。振動子21Bは、例えば音叉型水晶振動子によって構成される。振動子21Bは、光源部20から射出された照明光L0を反射させる反射面を含んでいる。振動子21Bで反射した照明光L0は、振動子21Bの振動に伴って進行方向が時間変化しつつ、反射ミラー23Bに入射する。反射ミラー23Bで反射した照明光L0は、平行化部品22によって平行化された後に、導光ロッド4Bに取付けられたインデックス3に入射する。反射ミラー23Bは、照明光L0の進行方向が変化する方向を、インデックス3における格子の2つの配列方向のそれぞれと交差する方向に変換する。
導光ロッド4Bは、例えば2つ柱状プリズムを互いに接合したものであり、その内部を光が透過可能である。導光ロッド4Bは、中実構造であってもよいし、中空構造であってもよい。導光ロッド4Bは、Y軸方向の負側の端面41B、Y軸方向の正側の端面42B、及びY軸方向周りの側面44B〜47Bを有している。端面41Bは、光を透過する特性を有し、端面42B及び側面44B〜47Bは光を反射させる特性を有している。分光部43Bは、導光ロッド4Bの内部の接合面に設けられている。分光部43Bは、入射する光を分離可能な各種光学要素、例えばハーフミラー膜や偏光分離膜、回折光学素子等によって構成される。
側面46Bは、X軸方向の正側に配置され、側面47Bは、X軸方向の負側に配置されている。側面44Bは、Z軸方向の正側に配置され、側面45Bは、Z軸方向の負側に配置されている。側面46Bは、側面47Bと平行になっている。側面44Bは、側面45Bと平行になっている。側面46Bと側面47Bとの間隔d1は、側面44Bと側面45Bの間隔d2と異なっている。
インデックス3は、導光ロッド4BのY軸方向の負側の端面41Bに取付けられている。インデックス3は、第1実施形態と同様のものであり、格子が二次元的に規則的に配列された二次元回折格子を含んでいる。格子の配列方向は、X軸方向に微小角をなす第1方向と、Y軸方向に微小角をなす第2方向とに設定されている。インデックス3は、照明光L0を第1方向にて第1の光L11と第1の光L12とに分岐させ、照明光L0を第2方向にて第2の光L21と第2の光L22とに分岐させる。
照明光L0は、照明系2Bの振動子21Bの振動に伴って、インデックス3の回折面上を走査する。この走査方向は、上記の第1方向及び第2方向のいずれとも交差する方向に設定されている。照明光L0のインデックス3上の入射位置が変化するにつれて、インデックス3の回折面に対する照明光L0の入射角が変化する。すなわち、照明系2Bは、インデックス3に対する照明光L0の入射角を変調する。
第1の光L11は、側面46Bで反射した後に分光部43Bに入射し、その一部が分光部43Bで反射してスケール5Bに入射する。また、分光部43Bに入射した第1の光L11の一部は、分光部43Bを通って端面42Bで反射し、補償スケール7に入射する。すなわち、分光部43Bは、インデックス3によって分岐された第1の光L11をスケール5Bに向かう光と、補償スケール7に向かう光とに分光する。第1の光L12は、側面47Bで反射した後に第1の光L11と同様に分光部43Bによって分光され、分光された一方の光がスケール5Bに、他方の光が補償スケール7にそれぞれ入射する。
第2の光L21、L22は、側面44B、側面45Bで反射した後に第1の光L11と同様に分光部43Bによって分光され、分光された一方の光がスケール5Bに、他方の光が補償スケール7にそれぞれ入射する。インデックス3からスケール5Bに至る第1の光L11、L12の光路長は、間隔d1が間隔d2と異なっていることによって、インデックス3からスケール5Bに至る第2の光L21、L22の光路長と異なっている。この第1の光L11、L12の光路長と第2の光L21、L22の光路長との差分が、照明光L0の可干渉長よりも大きくなるように、間隔d1、d2が設定されている。
本実施形態のスケール5Bは、反射型の二次元回折格子を含んでいる。この二次元回折格子における格子の配列方向は、第1の光L11、L12のスケール5Bに対する入射面に交差し、かつ第2の光L21、L22のスケール5Bに対する入射面に交差する方向に設定される。二次元回折格子における格子の配列方向は、例えばX軸方向とY軸方向とに設定される。
スケール5Bに入射した第1の光L11、L12及び第2の光L21、L22は、スケール5Bで反射するとともに回折して、ほぼZ軸方向の正側に向かって進行する。スケール5B上で、第1の光L11のスポットの少なくとも一部が、第1の光L12のスポットの少なくとも一部と重複し、第2の光L21のスポットの少なくとも一部が、第2の光L22のスポットの少なくとも一部と重複するように、導光ロッド4Bの各面の位置や姿勢、インデックス3の格子ピッチが設定されている。また、第1の光L11、L12が形成するスポットの重複領域の少なくとも一部が、第2の光L21、L22が形成するスポットの重複領域の少なくとも一部と重なるようになっている。
スケール5Bを経由した第1の光L11、L12は、検出部6に入射して干渉縞を形成する。スケール5Bを経由した第2の光L21、L22も、検出部6に入射して干渉縞を形成する。検出部6は、第1の光L11、L12の干渉縞、及び第2の光L21、L22の干渉縞によって形成されるモアレの変化を検出する。
補償スケール7は、スケール5と同様の二次元回折格子を含んでいる。補償スケール7は、インデックス3に対する相対位置が管理(ここでは固定)されている。分光部43Bで分光されて補償スケール7を経由した第1の光L11、L12は、補償検出部8に入射して干渉縞を形成する。同様に、分光部43Bで分光されて補償スケール7を経由した第2の光L21、L22も、補償検出部8に入射して干渉縞を形成する。補償検出部8は、検出部6と同様の構成になっており、第1の光L11、L12の干渉縞、及び第2の光L21、L22の干渉縞によって形成されるモアレの変化を検出する。
上記のような構成のエンコーダ1Bにあっては、第1実施形態と同様にインデックス3とスケール5Bとの相対位置の変化を検出可能になっている。また、検出部6の検出結果を補償検出部8の検出結果と比較することによって、インデックス3に対するスケール5Bの相対位置の変化量として検出された値を補償することができる。また、スケール5Bの位置が管理された状態で上記の比較を行うことによって、照明系2B内の各種構成要素の位置ずれ等を検出する等もできる。
また、インデックス3からスケール5Bに至る第1の光L11、L12の光路長と、インデックス3からスケール5Bに至る第2の光L21、L22の光路長との差分が、照明光L0の可干渉長よりも大きいので、スケール5Bや補償スケール7で4光束の干渉を生じにくくなる。第1の光L11、L12及び第2の光L21、22を、いずれも導光ロッド4Bの面で反射させるので、第1の光L11、L12の光路や第2の光L21、22の光路の位置誤差を減らすことが容易になる。また、スケール5Bが、反射型の光学素子で構成されているので、スケール5Bに対してZ軸方向の負側にエンコーダ1の構成要素を配置する必要性が低くなる。したがって、スケール5Bが取付けられる物体が、エンコーダ1の構成要素と干渉すること等が回避される。
[第3実施形態]
次に、第2実施形態のエンコーダについて説明する。第3実施形態において上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図6は、第3実施形態のエンコーダの概略構成を示す斜視図である。
図6に示すエンコーダ1Cは、照明系2、反射ミラー25、反射ミラー41C〜44C、スケール5B、第1インデックス91C、第2インデックス92C、第1検出部93C、及び第2検出部94Cを備えている。
本例の反射ミラー25は、スケール5Bに対してZ軸方向の正側に配置されている。第2インデックス92Cは、反射ミラー25Cに対してZ軸方向の正側に配置されている。第2検出部94Cは、第2インデックス92Cに対してZ軸方向の正側に配置されている。第1インデックス91Cは、第2検出部94Cに対してZ軸方向の正側に配置されている。第1検出部93Cは、第1インデックス91Cに対してZ軸方向の正側に配置されている。
反射ミラー41C、42Cは、スケール5Bで分岐した第1の光L11、L12を第1インデックス91Cに導く光学系を構成している。反射ミラー41C、42Cは、スケール5Bと第1インデックス91Cとの間のZ軸周りに配置されている。ここでは、反射ミラー41Cが、反射ミラー42CとX軸方向に対向して配置されている。反射ミラー43C、44Cは、スケール5Bで分岐した第2の光L21、L22を第2インデックス92Cに導く光学系を構成している。反射ミラー43C、44Cは、スケール5Bと第2インデックス92Cとの間のZ軸周りに配置されている。ここでは、反射ミラー43Cが、反射ミラー44Cと軸方向に対向して配置されている。
照明系2から射出された照明光L0は、反射ミラー25で反射して、Z軸方向の正側からスケール5Bに入射する。スケール5Bは、第2実施形態と同様の反射型の二次元回折格子を含み、光分岐面としての回折面を有している。この二次元回折格子における格子の配列方向は、例えばX軸方向及びY軸方向に設定される。照明系2は、スケール5B上で格子の配列方向のいずれとも交差する方向に、照明光L0を走査させる。照明光L0のスケール5B上の入射位置が変化するにつれて、スケール5Bの回折面に対する照明光L0の入射角が変化する。すなわち、照明系2は、スケール5Bに対する照明光L0の入射角を変調する。スケール5Bは、照明光L0をX軸方向にて第1の光L11と第1の光L12とに分岐させ、照明光L0を第2方向にて第2の光L21と第2の光L22とに分岐させる。
第1の光L11は、反射ミラー41Cで反射して第1インデックス91Cに入射する。第1の光L12は、反射ミラー42Cで反射して第1インデックス91Cに入射する。第1インデックス91Cは、格子が少なくともX軸方向に周期的に配列された回折格子を含んでいる。ここでは、第1インデックス91Cの格子ピッチが、スケール5BのX軸方向の格子ピッチと同じに設定されている。第1インデックス91Cは、第1の光L11、L12をX軸方向に回折させる。第1の光L11、L12は、第1インデックス91Cで回折して偏向し、ほぼZ軸方向の正側に進行して第1検出部93Cに入射する。第1の光L11、L12は、X軸方向に並ぶ干渉縞を形成し、第1検出部93Cは第1の光L11、L12の干渉縞を検出する。
第2の光L21は、反射ミラー43Cで反射して第2インデックス92Cに入射する。第2の光L22は、反射ミラー44Cで反射して第2インデックス92Cに入射する。第2インデックス92Cは、格子が少なくともY軸方向に周期的に配列された回折格子を含んでいる。ここでは、第2インデックス92Cの格子ピッチが、スケール5BのY軸方向の格子ピッチと同じに設定されている。第2インデックス92Cは、第2の光L21、L22をY軸方向に回折させる。第2の光L21、L22は、第2インデックス92Cで回折して偏向し、ほぼZ軸方向の正側に進行して第2検出部94Cに入射する。第2の光L21、L22は、Y軸方向に並ぶ干渉縞を形成し、第2検出部94Cは第2の光L21、L22の干渉縞を検出する。
なお、第1インデックス91Cと第2インデックス92Cの一方又は双方に、スケール5Bの二次元回折格子と同じ回折格子を用いてもよい。
第1検出部93C、第2検出部94Cは、複数の画素を有している。各画素は、フォトダイオード等の受光素子及びスイッチング素子を含んでいる。第1検出部93C、第2検出部94Cは、各画素に入射する光の光量を画素ごとに検出可能である。第1検出部93C、第2検出部94Cの一方又は双方に、第1実施形態の検出部6を採用してもよい。
上記のような構成のエンコーダ1Cにあっては、第1検出部93Cの検出結果に基づいて、第1インデックス91Cとスケール5Bとの相対位置のX軸方向の変化を検出可能になっている。また、第2検出部94Cの検出結果に基づいて、第2インデックス92Cとスケール5Bとの相対位置のY軸方向の変化を検出可能になっている。また、第1実施形態で説明したように、第1検出部93Cの検出結果に基づいて、変調効率の変化をモニターすること等により、第1インデックス91Cとスケール5BのZ軸方向の相対位置の変化量を得ることもできる。同様に、第2検出部94Cの検出結果に基づいて、第2インデックス92Cとスケール5BのZ軸方向の相対位置の変化量を得ることもできる。第1インデックス91Cに入射する第1の光L11、L12と、第2インデックス92Cに入射する第2の光L21、L22とは、いずれもスケール5B上の同じ位置に入射した照明光L0に由来する光である。したがって、スケール5B上の同じ測定点について計測したときの、第1インデックス91C又は第2インデックス92Cに対するスケール5Bの相対位置の変化量を得ることができ、互いに交差する方向での相対位置の変化量を互いに異なる計測点で計測したときの測定誤差を減らすことが可能になる。
なお、第3実施形態のエンコーダ1Cに、第2実施形態で説明した補償スケール及び補償検出部を組み合わせることもできる。例えば、反射ミラー25をハーフミラー等によって構成して分光部として機能させる。この分光部で分光された光を、スケール5Bと同様の補償スケールを経由させ、互いに交差する第1方向および第2方向のそれぞれにて分岐させる。そして、第1方向にて分岐した光を、例えば第1インデックスと同様の第1補償インデックスを経由させて互いに干渉させる。そして、その干渉縞を第1検出部と同様の第1補償検出部に検出させる。第2方向にて分岐した光についても、第1方向と同様に、その干渉縞を検出する。このようにして、第2実施形態と同様に、第1検出部93Cの検出結果あるいは第2検出部94Cの検出結果を補償すること等ができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のエンコーダについて説明する。第4実施形態において上記の実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付してその説明を省略する。第4実施形態は、スケールに対する相対位置が固定され、スケールによって回折した光を反射させてスケールに再度入射させる反射部材を備える点で、第2実施形態と異なる。
図7は、第4実施形態のエンコーダの概略構成を示す斜視図、図8(a)、図8(b)はコーナーキューブ及びスケールを拡大して示す断面図である。図8(a)には、スケールの回折面がXY面と平行な状態を図示しており、図8(b)にはスケールの回折面がXY面に対して傾斜している状態を図示している。
図7に示すエンコーダ1Dは、反射部材としての複数のコーナーキューブ91D〜94Dを備える。コーナーキューブ91D、92Dは、X軸方向に互いに対向して配置されている。コーナーキューブ93D、94Dは、Y軸方向に互いに対向して配置されている。
図8(a)に示すコーナーキューブ91Dは、互いに直交する2つの反射面95D、96Dを有している。スケール5Bに入射した第1の光L11は、スケール5Bで回折するとともに反射して、反射面95Dに向かって進行する。反射面95Dに入射した第1の光L11は、反射面95Dで反射した後に反射面96Dで反射する。反射面96Dで反射した第1の光L11は、反射面95Dに入射前と進行方向が反転してスケール5Bに向かって進行する。コーナーキューブ91Dを経由した第1の光L11はスケール5Bで再度回折するとともに反射して、ほぼZ軸方向の正側に向かって進行する。なお、第1の光L11が反射面96Dで反射した後に反射面95Dで反射する場合でも、第1の光L11の進行方向は同様になる。
図8(b)に示すようにスケール5Bの姿勢が変化した状態でも、第1の光L11は、コーナーキューブ91Dで折り返されて、コーナーキューブ91Dへの入射前後でスケール5Bに2回入射することになる。これにより、検出部6に向かう第1の光L11の進行方向に及ぼすスケール5Bの姿勢変化の影響が打ち消される。すなわち、スケール5Bを2回経由した第1の光L11は、スケール5Bの姿勢によらずにほぼZ軸方向の正側に向かって進行して、検出部6に検出される。
コーナーキューブ92D〜94Dは、コーナーキューブ91Dと同様の構成になっている。第1の光L12、第2の光L21、L22は、それぞれ対応するコーナーキューブ92D〜94Dを経由して、スケール5Bスケール5Bで再度回折するとともに反射して、ほぼZ軸方向の正側に向かって進行して、検出部6に検出される。このように、第4実施形態のエンコーダ1Dにあっては、スケール5Bの姿勢変化による測定誤差を減らすことが可能になる。
なお、上記の実施形態では、スケールで分岐した光ごとにコーナーキューブが設けられた構成を例示したが、2以上のコーナーキューブが同一の部材であってもよい。例えば、反射部材が、スケール5の外周の一部または全部を囲む環状の部材を含んでおり、スケールで分岐した光の2以上がこの部材に入射して反射してスケール5に向けて折り返されるように、構成されていてもよい。
次に、各種変形例について説明する。
図9は、変形例1の検出部の概略構成を模式的に示す説明図である。図9に示す変形例1の検出部6Eは、複数の第1種の画素61E〜64E、及び複数の第2種の画素65E〜68Eを含んでいる。ここで、受光面上で互いに交差する方向を第3方向及び第4方向とする。例えば、第3方向がY軸方向に設定され、第4方向がX軸方向に設定される。
第1種の画素61E〜64Eの各受光領域(第1受光領域)は、第3方向(Y軸方向)よりも第4方向(X軸方向)に長手の領域になっている。第1種の画素61E〜64Eは、第3方向(Y軸方向)に配列されている。第2種の画素65E〜68Eの各受光領域(第2受光領域)は、第4方向(X軸方向)よりも第3方向(Y軸方向)に長手の領域になっている。第2種の画素65E〜68Eは、第4方向(X軸方向)に配列されている。検出部6Eの受光面には、第1受光領域が配列された区画と第2受光領域が配列された区画とが、第3方向及び第4方向のそれぞれにて交互に並んでいる。
ここでは、互いに隣接する第1種の画素61E、62Eにまたがって、2つの単位パターンM0がX軸方向に並んで配置されるものとして、検出部6Eの動作を説明する。第1種の画素61Eからの出力値と第1種の画素62Eからの出力値との差分が、2つの単位パターンM0のY軸方向の移動量ΔYの平均値に対応する値として、出力される。また、互いに隣接する第1種の画素63E、64Eからの各出力値の差分も出力される。第1種の画素61E、62Eからの各出力値の差分は、第1種の画素63E、64Eからの各出力値の差分と積算されて、出力される。すなわち、本例では、第1種の画素61E〜64Eの出力値を用いて、4つの単位パターンM0のY軸方向の移動量ΔYの平均値に対応する値が出力される。さらに、第1種の画素が配列された複数の区画からの出力値が、積算されて出力される。
第2種の画素が配列された区画からは、第1種の画素と同様の動作によって、単位パターンM0のX軸方向の移動量ΔXに対応する値が出力される。例えば、互いに隣接する第2種の画素65E、66Eからの各出力値の差分が出力され、第2種の画素67E、68Eからの各出力値の差分と積算されて出力される。
図10(a)は、変形例2に関するエンコーダの概略構成を示す斜視図、図10(b)は変形例2の照明系の概略構成を示す平面図である。図10(a)に示すエンコーダ1Fは、変形例2の照明系2Fを含んでいる。照明系2Fは、光源部20F及び平行化部品22を有する。光源部20Fは、複数の光源を含んでおり、照明光を射出する。平行化部品22は、光源部20Fから射出された照明光を平行化する。本例の光源部20Fは、発光素子アレイ21F、複数の導光体23Fを含んでいる。
発光素子アレイ21Fは、配列された複数の発光素子を含んでいる。各発光素子は、例えばLEDやレーザーダイオード等により構成され、照明光を射出する。複数の発光素子は、図示しない制御装置等によって制御され、択一的に時間順次で点灯する。複数の発光素子は、例えば、その配列方向の一方から他方に向かって順に点灯消灯した後に、他方から一方に向かって順に点灯消灯する。
各導光体23Fは、例えば光ファイバー等によって構成され、その内部にて発光素子からの光を導く。各導光体23Fは、発光素子アレイ21Fの各発光素子と1対1対応で設けられている。導光体23Fの一端は、対応する発光素子と接続されており、発光素子から光が入射する入射端面を含んでいる。各導光体23Fの他端は、発光素子からの光を平行化部品22に向けて射出する射出端面を含み、実質的に上記の複数の光源の1つに相当する。各導光体23Fの射出端面側の光軸24Fは、例えば平行化部品22の光軸と平行に設定される。光軸24Fは、平行化部品22の光軸に直交する面に平行な方向に配列され、その配列方向は、インデックス3の格子が配列される2方向のいずれとも交差する方向に設定される。
上述のような構成の照明系2Fにおいて、複数の発光素子のいずれが点灯するかによって、光源部20Fから照明光が射出される位置が変化する。すなわち、複数の発光素子が時間順次で点灯消灯すると、平行化部品22を通った後の照明光の進行方向が時間変化する。このように、照明系2Fは、インデックス3の回折面上の互いに交差する2方向(格子の配列方向)のいずれといも交差する方向に照明光を走査させ、回折面に対する照明光の入射角を変調する。
図11(a)は、変形例3に関するエンコーダの概略構成を示す斜視図、図11(b)は照明系の概略構成を示す平面図である。図11(a)に示すエンコーダ1Gは、変形例3の照明系2Gを含んでいる。照明系2Gは、光源部20G、集光レンズ21G、平行化部品22、回折格子23G、及び反射ミラー24Gを含んでいる。なお、図11(b)では反射ミラー24Gの図示を省略している。
光源部20Gは、例えばレーザーダイオードやLED等の発光素子を含んでいる。光源部20Gは、発光素子の駆動条件を制御することによって、発光素子から射出される照明光の波長を時間変化させることが可能である。例えば、発光素子としてレーザーダイオードを用いてその駆動温度等を時間変化させると、レーザー発振波長が時間変化して、照明光の波長が時間変化する。また、音響光学素子(AOM)等の波長を可変に変換可能な素子を用いて、光源部20Gから回折格子23Gに向かう照明光の波長を時間変化させてもよい。
集光レンズ21Gは、正のパワーを有するレンズによって構成される。集光レンズ21Gは、光源部20Gから射出された照明光を、例えば回折格子23G上でスポットサイズが最小になるように集光する。回折格子23Gは、反射型又は透過型の回折格子を含んでいる。回折格子23Gは、照明光を反射させるとともにその波長に応じた方向に回折させる。回折格子23Gで反射回折した照明光は、反射ミラー24Gで反射して平行化部品22に入射する。反射ミラー24Gは、照明光の進行方向が回折によって変化する方向を、インデックス3における格子の2つの配列方向のそれぞれと交差する方向に変換する。ここでは、回折格子23Gでの1次回折光が、平行化部品22に向けて射出される。例えば、回折格子23Gをアノマリーの配置にすれば、1次回折光を効率よく取出すことができる。なお、回折格子23Gとして透過型のものを採用してもよく、この場合には、光源部20G等の配置が適宜変更される。
上述のような構成の照明系2Gにおいて、光源部20Gから射出される照明光の波長が時間変化するので、照明光の回折格子23Gでの回折角が時間変化する。したがって、回折格子23Gから平行化部品22へ向かう照明光の進行方向が時間変化し、平行化部品22からインデックス3へ向かう照明光の進行方向が時間変化する。例えば、回折格子23Gの格子ピッチを2μmとし、平行化部品22の焦点距離を10mmとする。回折格子23Gに入射する照明光の波長が、中心波長850nm、片振幅1nmで時間変化する例について説明する。この数値例では、中心波長であるときを基準として、照明光の進行方向の偏角δが±5.5×10−4radの範囲で変化する。このときに、平行化部品22の焦点面上で照明光のスポットが移動する片幅dは、±5.5μmになる。このように、照明系2Gは、インデックス3の回折面30上の互いに交差する2方向(格子の配列方向)のいずれといも交差する方向に照明光を走査させ、回折面30に対する照明光の入射角を変調するようになっている。
なお、上述した実施形態の構成要素あるいは変形例の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、分岐部及びスケールが回折によって光を偏向させる構成例を説明したが、分岐部とスケールの少なくとも一方が、ビームスプリッタ等の光を分岐させる1又は2以上の光学素子によって構成されていてもよい。例えば、第1方向にて光を分岐させるビームスプリッタと、第2方向にて光を分岐させるビームスプリッタとを組み合わせた構成を採用してもよい。
また、光学系が、照明光を反射により偏向させてスケール又はインデックスに導くようになっているが、回折等によって照明光を偏光させて導くようになっていてもよい。光学系に含まれる反射面は、光学系の上流に配置されるインデックス又はスケールの法線方向に平行になっているが、反射面が法線方向に対して傾斜していてもよい。この傾斜角を調整することによって、光学系の下流に配置されるスケール又はインデックスに対する入射角を調整することができる。
また、インデックスを経由した光のスケールに対する入射面と、スケールの格子の配列方向が微小角をなすようにインデックスとスケールの位置関係が設定されているが、上記の入射面がスケールの格子の配列方向と平行に設定されていてもよい。この場合に、例えば、インデックスの格子ピッチが、スケールの格子ピッチと異なり、かつスケールの格子ピッチ整数倍又は整数分の1にならないように、インデックスの格子ピッチ及びスケールの格子ピッチを設定すれば、単位パターンが周期的に並ぶモアレを形成することができる。このように格子ピッチが設定されたインデックス及びスケールは、上記の入射面がスケールの格子の配列方向と微小角をなす構成にも適用可能である。