JP2011527709A - 眼瞼炎の治療方法 - Google Patents
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Abstract
Description
アジスロマイシンは、マクロライド抗生物質である。アザサイト(登録商標)(アジスロマイシン点眼液)は、デュラサイト(DURASITE)(登録商標)(ポリカルボフィル, エデト酸二ナトリウム, 塩化ナトリウム)で製剤化されたアジスロマイシンの1%の無菌水性の局所的点眼液である。アザサイト(登録商標)は、CDCのコリネ菌(coryneform group)G、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌,(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ミティス菌(Streptococcus mitis group)、及び肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)の感受性分離株によって引き起こされる細菌結膜炎の治療用として、米国食品医薬品局(FDA)によって認可されている(アザサイト(登録商標)添付文書, 2007)。細菌性結膜炎の治療に対する推奨される用量レジメンは、以下の通りである:最初の2日間は、一日に二度、8〜12時間の間隔をおいて発症した眼(複数)に1滴を滴下し、その後、続く5日間は、一日に一度発症した眼(複数)に1滴を滴下する(アザサイト(登録商標)添付文書, 2007)。
細菌感染及び炎症は、眼瞼炎の病態生理の2つの主要な原因である。本明細書で開示される本発明よりも以前には、局所的な抗生物質が、眼瞼炎の非細菌誘発性の慢性の炎症性側面を治療することにおいて有効であろう、ということは知られていなかった。本明細書で開示するように、本発明者は、局所的なアジスロマイシンが眼瞼炎のこれらの慢性の炎症性側面を治療することにおいて驚くほど有効であることを示した。
目的
この試験の目的は、機械的療法(温湿布)との組み合わせにおける試験薬、アザサイト(登録商標)(アジスロマイシン点眼液)1%の、後部眼瞼炎に罹患する対象の徴候及び症状に対する有効性を2週間の治療期間に渡って、機械的療法単独と比較することであった。
対象は、18歳以上であり、中度〜重度の後部眼瞼炎との臨床診断を受けた者である。対象には、眼性感染、眼瞼構造的異常の疑いがなかったか、或いは虹彩または前房における炎症及び/又は有効な構造変化は存在しなかった。この試験には、合計21人の対象が含まれた。
本試験は、非盲検試験であった。1回目の外来(1日目)時に全対象を、(a)試験薬の使用のない機械的療法単独を14日間受けるグループ(湿布グループ)、または(b)機械的療法との組み合わせによる薬剤を14日間受けるグループ(組み合わせグループ)に、1:1の割合に無作為抽出した。試験薬を1滴各眼に1日に2度投与した1日目及び2日目を除いて、試験薬の1滴を各眼に1日に1度投与した。試験薬は対象によって自己投与された。
調査者は、1回目及び2回目の外来での対象の眼瞼炎の徴候重症度を、以下の5つの分類に従って評価した:
(0)正常:クリアな眼瞼縁
(1)軽度:時折の断片(ふけ)、1〜5個の鱗屑
(2)中度:わずかな断片、6〜20個の鱗屑
(3)重度:多くの断片、21〜40個の鱗屑
(4)極めて重度:凝集塊/ストランド、>40個の鱗屑
(0)正常:無発赤
(1)軽度:若干拡張した血管;ピンク色の血管;眼瞼縁の一部分に存在する。
(2)中度:血管のより明白な拡張;より強い血管色、眼瞼の縁全体が関係する。
(3)重度:眼瞼縁の増加した血管分布、深紅色であり、明らかに拡張した多数の血管、眼瞼の縁全体が関与する。
(4)極めて重度:眼瞼縁の明らかに増加した血管分布、深紅色を特徴とする大きくて多数の拡張された血管、眼瞼の縁全体が関与する、結膜の顕著な充血。
(0)正常:眼瞼組織の肥大なし
(1)軽度:眼瞼縁の一部の肥大
(2)中度:眼瞼縁の広汎性の肥大
(3)重度:眼瞼の変化を有する眼瞼縁の重度の肥大
(4)極めて重度:明らかに眼瞼間の開口を減少する肥大
(0)正常:下眼瞼の中央部の、マイボーム腺のクリアな開口部
(1)軽度:開口部の1/3未満であるが、少なくとも1つが濁りまたは油質の分泌を含む
(2)中度:開口部の1/3〜2/3が、濁りまたは油状の分泌を含む
(3)重度:開口部の全部ではないが2/3以上が、濁りまたは油状の分泌を含む
(4)極めて重度:全開口部が、濁りまたは油質の分泌で詰まっている
(0)正常:最少限のクリアな分泌
(1)軽度:濁っている
(2)中度:粒状
(3)重度:ペースト状
(4)閉塞:表出不可能な分泌
治療の14日後、組み合わせグループは、湿布処理グループと比較して、平均総合臨床結果重症度スコア(表1)、マイボーム腺閉塞、マイボーム腺分泌、及び眼瞼縁の発赤(表2)で顕著な改善を示した。組み合わせグループはまた、眼瞼炎の徴候及び症状に対する有効性の対象を評価した全体的な評価において、湿布処理グループと比較して改善を示した(表3)。組み合わせ治療は、眼瞼発赤、急性炎症の主徴を減弱した。
組み合わせグループにおけるベースラインからの平均的変化は、湿布グループと有意に異なった(p< 0.001, ANCOVA)。
目的
本試験の目的は、4週間の治療期間の、機械的療法との組み合わせでのアザサイト(登録商標)(アジスロマイシン点眼液, 1%)の、慢性の眼瞼炎を有する対象における徴候及び症状に対する安全性及び有効性を、アザサイトの使用のない機械的療法単独と比較することであった。
対象は、18歳以上であり、中度〜重度の慢性の眼瞼炎と臨床診断され、眼瞼縁の発赤または肥大(或いは両方)並びにマイボーム腺(或いは両方)の眼瞼壊死組織片または閉塞に関して、少なくとも2(中度)の臨床徴候重症度スコアを有した。対象はまた、ベースラインにおいて彼らが自己申告した「最も厄介な」症状に関して少なくとも2(中度)の症状重症度スコア並びに任意の他の症状に関して少なくとも2(中度)のスコアを有した。対象は、疑わしい眼性感染、眼瞼構造的奇形を有さない、或いは虹彩または前房における炎症及び/又は有効な構造変化は存在しなかった。本試験では、合計76人の対象を登録した。
本試験は、非盲検試験であった。試験デザインには6週間中に6回の外来が含まれた。スクリーニング外来(1回目の外来 / 1日目)に、対象適格性を判断した。この外来で、適格な対象を2つのうちのどちらかの治療群に無作為抽出し、そして1)機械的療法と組み合わせた試験薬の治療または2)機械的療法単独を開始した。無作為抽出した対象は全て、試験の全期間中に機械的療法を受け、これは1回目の外来で開始しそして6回目の外来で終了した。この試験の目的のために、機械的療法は、1日に2度(BID)、5〜10分間温湿布を各眼に適用することから成った。この試験の参加時に、試験薬の投与に割り当てられた対象は、機械的療法に続いて各眼にアザサイト(登録商標)の1滴、及び8〜12時間後の第2の用量を自己投与した。試験薬治療群に割り当てられた対象は2日目に試験薬を1日に2度、そして試験治療期間中1日に1度(QD)投与し続け、5回目の外来で終了した(合計約29日の試験薬治療)。
調査者は、実施例1に記載される5つの分類に従って、1及び2回目の外来時に対象の眼瞼炎徴候の重症度を評価した。
1〜6回目の外来時に以下の眼瞼炎症状を評価するために、対象に問診した。
眼瞼に掻痒を感じますか?
(0)なし:眼瞼に掻痒を感じない。
(1)軽度:時々、わずかに眼瞼に掻痒を感じるが、擦りたいと思わない。
(2)中度:時折、眼瞼に掻痒を感じ、擦る必要がある。
(3)重度:眼瞼を擦っても、掻痒感を軽減することが困難である。
(4)極めて重度:眼瞼を擦りたいという抑制し難い衝動を有する、我慢できないほどの眼瞼のかゆみ
眼に何か砂っぽさ、ざらざら感がしますか?
(0)なし:眼に砂っぽさ、ざらざら感はない。
(1)軽度:時々眼の表面を意識する。
(2)中度:時折眼の中に何か小さなものがあるように感じる。
(3)重度:眼の中に何か大きなまたはざらざらしたものがあるように感じる。
(4)極めて重度:眼の異物感のため、眼を開けることができない。
眼に乾燥を感じますか?
(0)なし:眼に乾燥は感じない。
(1)軽度:乾燥を意識しており、良くなるようにまばたきしなければならない。
(2)中度:乾燥を意識しており、時折人工涙液を使用しなければならない。
(3)重度:乾燥を意識しており、定期的に人工涙液を使用しなければならない。
(4)極めて重度:乾燥を意識しており、常に人工涙液を保持し、1日に6回以上使用しなければならない。
眼が焼けるように痛みますか、または疼痛を伴いますか?
(0)なし:眼に焼けるように痛みまたは疼痛はない。
(1)軽度:眼の表面を意識している;眼に軽度の焼けるような痛みまたは疼痛を感じる。
(2)中度:眼に焼けるような痛みを感じるが、まだ耐えられる。
(3)重度:焼けるような痛み/疼痛のため、眼がズキズキするまたはヒリヒリする。
(4)極めて重度:焼けるような痛み/疼痛のため、眼を開けることができない。
眼瞼が重いまたは肥大している感じがしますか?
(0)正常:眼瞼が重い/肥大していると感じない。
(1)軽度:眼瞼が少し重い/肥大していると感じる。
(2)中度:眼瞼が重い/肥大していると感じるが、我慢可能である。
(3)重度:眼瞼が重い/肥大していると感じ、数分間眼をつぶりたい。
(4)極めて重度:眼瞼が重い/肥大していると感じ、眼を開けたままにするには努力しなければならない。
結果
総合臨床徴候重症度スコアにおいて平均値がベースラインから減少する(改善を示している)ことが、1〜6週後の各試験外来において両方の治療グループで観察された(図1)。平均値の減少は、2〜6週間後の各試験外来において、機械的療法単独のグループより機械的療法にアザサイト(登録商標)を加えたグループで大きいが、違いは3週間後でのみ統計的に有意であった(-3.3 vs. -2.1, p=0.047)。
目的
本試験の目的は、マイボーム腺疾患(後部眼瞼炎)に罹患する患者において、マイボーム腺分泌の物理化学的特性に対するアザサイト(登録商標)(アジスロマイシン点眼液 , 1%)の効果を評価することである。
眼瞼マッサージ治療に反応のない、症候性マイボーム腺機能障害に罹患する17人の成人対象。合計17人の対象を本試験に登録した。
本試験は、治療の1ヶ月間、毎日一度適用される局所的なアジスロマイシン1%溶液を使用しながらの前向き、非盲検、介入臨床試験であった。MGDの症状及び徴候を評価するために、治療の参加時、2週間後及び4週間後、並びに治療の中止の1ヶ月後に、臨床検査を実施した。各外来時にマイボーム腺の圧搾を実施し、分光分析まで回収されたマイバムをアルゴンガス存在下の冷凍庫で保存した。徴候及び症状を4点分類尺度でスコア化した。
アザサイト(登録商標)治療の4週間後、この試験でテストされたマイボーム腺機能障害の徴候(図 3)及び症状(図 4)は全て、有意に改善または回復した。閉塞された腺の数を、上眼瞼の中央の10個の腺の中の閉塞を示している腺の数として評価したことを除いて、徴候及び症状は全て、0〜4スケールで評価した。
目的
本試験の目的は、4週間の治療期間に渡って、後部眼瞼炎に罹患する対象におけるドライアイ疾患の徴候及び症状に対する、試験薬、アザサイト(登録商標)(アジスロマイシン点眼液 , 1%)の有効性を評価することであった。
対象は、18歳以上であり、中度〜重度の後部眼瞼炎と臨床診断された。合計17人の対象を本試験に登録した。
本試験は、非盲検試験であった。1回目の外来時(1日目)に、全対象にアザサイト(登録商標)を投与した。毎日1度各眼に1滴、試験薬を投与した。対象は試験薬を自己投与した。
患者は、1回目及び2回目の外来時に以下の分類に従って自身のドライアイ症状の重症度を評価した:
眼に何か砂っぽさ、ざらざら感がしますか?
(0)ない:眼に砂っぽさ、ざらざら感は感じない。
(1)軽度:時々眼の表面を意識する。
(2)中度:時折眼の中に何か小さなものがあるように感じる。
(3)重度:眼の中に何か大きいまたはざらざらしたものがあるように感じる。
(4)極めて重度:眼の異物感のため、眼を開けることができない。
眼に乾燥を感じますか?
(0)なし:眼に乾燥は感じない。
(1)軽度:乾燥を意識しており、良くなるようにまばたきしなければならない。
(2)中度:乾燥を意識しており、時折人工涙液を使用しなければならない。
(3)重度:乾燥を意識しており、定期的に人工涙液を使用しなければならない。
(4)極めて重度:乾燥を意識しており、常に人工涙液を保持し、1日に6回以上使用しなければならない。
眼が焼けるように痛みますか、または疼痛を伴いますか?
(0)なし:眼に焼けるように痛みまたは疼痛はない。
(1)軽度:眼の表面を意識している;眼に軽度の焼けるように痛みまたは疼痛を感じる。
(2)中度:眼に焼けるような痛みを感じるが、まだ耐えられる。
(3)重度:焼けるような痛み/疼痛のため、眼がズキズキするまたはヒリヒリする。
(4)極めて重度:焼けるような痛み/疼痛のため、眼を開けることができない。
調査者は、1及び2回目の外来時に、以下の分類に従って彼らのドライアイ徴候の重症度を評価した:
対象のTBUTの評価を促進するために、フルオレセイン色素を対象の眼表面に適用した。細隙灯検査を介して、フルオレセインを投与後に対象にまばたきするよう指示し、最初の乾燥点の出現までの時間をTBUTとして記録した。
2回目の外来(28日目)の個々の徴候及び症状に関する平均スコアをベースライン(1回目の外来)と比較した。アザサイト(登録商標)での治療後に個々のドライアイ症状に関する平均スコアの有意な減少が観察され、図7に提示する(p<0.001; スチューデントの対応のある両側t検定)。アザサイト(登録商標)での治療後にTBUTにおける有意な増加が観察され、図8に提示する(p<0.001; スチューデントの対応のある両側t検定)。
上述の結果から、後部眼瞼炎に罹患する対象においてアザサイトでの治療が、ドライアイ疾患の徴候及び症状を有意に改善したことが示される。
Claims (21)
- 対象における非感染性、炎症性の慢性後部眼瞼炎の治療方法であって、
非感染性、炎症性の慢性後部眼瞼炎に罹患する対象を特定すること、及び、
当該対象の眼に対して、アジスロマイシンの有効量から本質的に成る医薬製剤を局所的に投与すること、
を含んでなる、方法。 - 前記アジスロマイシンの有効量が、約0.5〜1.5%(w / v)である、請求項1に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンの有効量が、約l%(w / v)である、請求項2に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンが、ポリカルボフィル、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、及び水の中で製剤化される、請求項1に記載の方法。
- 前記対象に前記医薬製剤が少なくとも2週間投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記対象に前記医薬製剤が少なくとも1ヶ月間投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記対象を機械的療法で治療する段階をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
- 対象における慢性後部眼瞼炎の治療方法であって、
慢性後部眼瞼炎に罹患する対象を特定すること、及び、
当該対象の眼に対してアジスロマイシンの有効量から本質的に成る医薬製剤を2週間以上局所的に投与すること、
を含んでなる、方法。 - 前記アジスロマイシンの有効量が、約0.5〜1.5%(w / v)である、請求項8に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンの有効量が、約l%(w / v)である、請求項9に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンが、ポリカルボフィル、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、及び水の中で製剤化される、請求項8に記載の方法。
- 前記対象に前記医薬製剤が少なくとも3週間投与される、請求項8に記載の方法。
- 前記対象に前記医薬製剤が少なくとも4週間投与される、請求項12に記載の方法。
- 前記対象を機械的療法で治療する段階をさらに含んでなる、請求項8に記載の方法。
- 対象における炎症性の慢性後部眼瞼炎の治療方法であって、
非感染性、炎症性の慢性後部眼瞼炎に罹患する対象を特定すること、及び、
2週間以上に渡って断続的に、当該対象の眼に対してアジスロマイシンの有効量を含んでなる医薬製剤を局所的に投与すること、
を含んで成る、方法。 - 対象における眼瞼炎に続発するドライアイの治療方法であって、
眼瞼炎に続発するドライアイに罹患する対象を特定すること、及び、
当該対象の眼に対してアジスロマイシンの有効量を含んでなる医薬製剤を局所的に投与すること、
を含んでなる、方法。 - 前記アジスロマイシンの有効量が、約0.5〜1.5%(w / v)である、請求項16に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンの有効量が、約l%(w / v)である、請求項16に記載の方法。
- 前記アジスロマイシンが、ポリカルボフィル、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、及び水の中で製剤化される、請求項16に記載の方法。
- 前記対象に前記医薬製剤が、2週間以上毎日または断続的に投与される、請求項16に記載の方法。
- 眼瞼炎または眼瞼炎に続発するドライアイに起因する対象のコンタクトレンズ不耐性を緩和するための方法であって、
眼瞼炎または眼瞼炎に続発するドライアイに起因するコンタクトレンズ不耐性に苦しむ対象を特定すること、及び、
当該対象の眼に対してアジスロマイシンの有効量を含んでなる医薬製剤を局所的に投与すること、
を含んでなり、
これによって上記対象の1日の快適なコンタクトレンズ装着時間が増加される、方法。
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