JP2011515494A - テトラサイクリンファミリー抗生物質を用いる、眼瞼縁および涙液膜機能の改善ならびに眼瞼縁疾患の処置のための方法 - Google Patents

テトラサイクリンファミリー抗生物質を用いる、眼瞼縁および涙液膜機能の改善ならびに眼瞼縁疾患の処置のための方法 Download PDF

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Abstract

眼瞼縁疾患の有病率およびその負担を考慮すると、眼瞼縁機能を改善して、それに関連する疾患を処置および予防するための、眼治療薬および治療投薬計画に対する必要性が存在する。本発明は、眼瞼縁機能の改善およびそれに関連する疾患の処置のために、強い組織浸透性を持つ抗炎症特徴を備えた粘膜付着性広域抗生物質を提供する。本発明は、眼瞼炎およびドライアイ疾患の徴候および/または症状を処置および/または予防する組成物ならびに方法をさらに提供する。

Description

(関連する出願に対する参照)
この非仮特許出願は、2008年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/070,850号に対する優先権を主張し、この仮特許出願は、参照により、その全体が本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は一般に、眼瞼縁疾患の処置および予防のための新規組成物および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、眼瞼縁の機能を改善して、それにより眼瞼縁および涙液膜の疾患ならびにそれに関連する疾患を処置するための、抗感染/抗炎症剤および粘膜付着性ビヒクルを含む組成物、ならびに該組成物をそれを必要とする被験体に投与する方法に関する。
(背景)
眼瞼縁は、涙液膜の生成および健康な眼表面の維持に重要な役割を果たす。眼瞼のマイボーム腺から分泌される脂質は、ムチン(結膜において杯細胞によって分泌される、および角膜を保護して、眼の主屈折面として作用する水性成分(涙腺によって分泌)と共に、混合物に寄与する。
眼瞼縁疾患は、広範で潜在的に重大な影響を伴う、一般的な慢性疾患である。眼瞼縁疾患に関連する徴候および症状は、生活の質に影響を及ぼすことがあり、その続発症は、永久的な組織損傷および失明を引き起こす可能性がある。眼瞼縁疾患は、眼の外科手術を受けている患者における合併症および次善の結果にとって重要なリスク因子でもある。眼瞼縁疾患はまた、別の一般的な眼表面疾患状態であるドライアイにおいて、一般的な原因であるか、または共変異型である。眼瞼縁疾患は、ドライアイに関連することがあるか、および/またはドライアイ、特に蒸発性ドライアイの原因であり得る。
眼瞼縁疾患は、過小診断され、一般に誤診される。眼瞼縁疾患の基礎をなす病態生理学についてはほとんど知られておらず、眼瞼縁疾患は他の眼状態と頻繁に共存するために特徴付けることが困難である。さらに治療効力は、マイボーム腺への送達が困難なために達成が難しかった。しかしその結果を考慮すると、眼科医および検眼士が眼瞼縁疾患を考慮して、特定および処置されるようになることが重要である。現在、眼瞼縁疾患には治療法がない。急性発赤を解消して、疾患管理を維持するための方法は利用できるが、これらの介入は冗長で時間がかかることがあり、長期にわたって継続しなければならないため、処置は難しい。眼瞼縁疾患およびその後遺症の慢性的性質について患者に教育することは、有効な管理の基本であるコンプライアンスを向上するために重要である。眼瞼縁疾患の有病率およびその負担を考慮すると、眼瞼縁機能を改善して、それに関連する疾患を処置および予防するための、眼治療薬および治療投薬計画に対する必要性が存在する。本発明は、この必要性および他の必要性を満足する。
(発明の要旨)
本発明は、マイボーム腺分泌を正常化して(すなわちマイボーム腺分泌物の粘度を低下させ、分泌物の透明性を向上させて、腺分泌の間の時間を短縮する)、眼の不快感を軽減するために相乗的に作用して、それにより眼瞼縁疾患の少なくとも1つの徴候または症状を処置および/または予防することが可能である構成要素の組合せを含む、眼瞼縁機能を改善するのに好適な局所眼科用製剤を提供する。特に、本明細書に記載する製剤は、眼瞼縁疾患およびそれに関連する疾患(たとえばドライアイ疾患、慢性結膜炎(conjunctitivits)、霰粒腫および角膜炎)の処置および/または予防のための間欠的および/または反復長期間使用に好適な粘膜付着性ビヒクル中に、抗感染特性および抗炎症特性の両方を有する広域抗生物質を含む。
眼瞼炎疾患(たとえば前部および後部眼瞼炎、マイボーム腺炎、マイボーム腺機能不全)およびそれに関連する疾患(たとえばドライアイ疾患)を処置する方法であって、上記被験体の眼瞼縁に、眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢に有効量の本発明の局所眼科用製剤を投与することを含む方法もさらに提供される。一実施形態において、眼科用製剤は、少なくとも3ヶ月まで(すなわち3ヶ月またそれ以上まで)、少なくとも1日1回(たとえば1日1もしくは2回またはそれ以上)投与される。別の実施形態において、薬物治療は、3ヶ月の療法の後に中断して、必要に応じて延長期間にわたって再開してもよい。なお別の実施形態において、薬物治療は、患者の臨床応答によって決定されるように、継続的に使用され得る。場合により、眼科用製剤は、眼瞼縁への、眼前部への、上眼瞼の下への、下眼瞼上への、涙腺または盲嚢への局所投与の後に、被験体の眼瞼に軽くマッサージされる。いくつかの実施形態において、本発明の局所眼科用製剤は、眼瞼温熱療法、眼瞼衛生維持、および/または栄養補助食品(たとえばω−3、魚油、アマニ油)などの待機治療と併せて投与される。
方法または製剤のいずれにおいても、広域抗感染剤は、以下に限定されるわけではないが、テトラサイクリンファミリー抗生物質(たとえばテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンまたはその任意の誘導体)を含む。特定の実施形態において、抗感染剤は、ドキシサイクリンまたはその誘導体である。別の特定の実施形態において、抗感染剤は、テトラサイクリンもしくはミノサイクリン、またはこれらの任意の誘導体である。本発明の方法または製剤での使用に好適な粘膜付着性ビヒクルの例は、以下に限定されるわけではないが、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、ゲルライト(Gelrite)(登録商標)、セルロース性ポリマー、およびカルボキシ含有ポリマー系を含む1つ以上のポリマー性懸濁化剤を含む水性ポリマー懸濁化剤を含む。好ましい一実施形態において、ポリマー性懸濁化剤は、架橋カルボキシ含有ポリマー(たとえばポリカルボフィル(polycarbophil))を含む。本発明の局所眼科用製剤での使用に好適な架橋カルボキシ含有ポリマー系の例は、これに限定されるわけではないが、ノベオン(Noveon)AA−1、カルボポル(Carbopol)(登録商標)および/またはデュラサイト(DuraSite)(登録商標)を含む。
本発明により、治療剤を被験体のマイボーム腺開口部に送達する方法であって:(a)以下に限定されないが、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、ゲルライト(登録商標)、セルロース性ポリマー、カルボキシ含有ポリマー系、およびその任意の組合せを含む、ポリマー性懸濁化剤を含む粘膜付着性ビヒクル中で治療剤を調合するステップと;(b)上記被験体の眼瞼縁に、眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢にステップ(a)の製剤を投与するステップと;(c)適用ステップ(b)の後にステップ(a)の製剤を上記被験体の眼瞼にマッサージするステップとを含む方法も提供される。非水性成分は、マイボーム腺開口部を緊急に保護して、眼表面の涙液膜を維持する効力を最適化し、マイボーム腺開口部への活性剤の滞留時間を延長して、それにより活性薬剤の治療効力を向上させて、その一方で、上記被験体の眼瞼縁への、眼前部への、上眼瞼の下への、下眼瞼上への、涙腺または盲嚢への投与および眼瞼への製剤のマッサージによって、活性薬剤のマイボーム腺開口部への送達が増加する。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
(発明の詳細な説明)
便宜上、本発明をさらに説明する前に、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語をここに集める。これらの定義は、当業者によってのように、開示の残りの部分に照らし合せて読まれ、理解されるべきである。
「マイボーム腺の異常分泌」という用語は、粘度上昇、分泌物減少、溶融温度上昇、炎症性組成物の増加、マイボーム腺の濃縮、混濁、色、および/またはマイボーム腺分泌間の時間の延長(不応期)を伴うマイボーム腺分泌物を指す。
「眼瞼炎」という用語は、マイボーム腺分泌物が蓄積して、マイボーム腺管を閉塞させて、腺の炎症および細菌コロニー形成を引き起こす、異常なマイボーム腺分泌物(マイバムとして公知)に関連する眼瞼縁の炎症を含む障害を指す。眼瞼角質化、眼瞼縁湾曲、グレーラインの不明瞭化、眼瞼縁透明性の向上、および血管分布の増加がよく観察される。別途示さない限り、眼瞼炎という用語は、本明細書で使用するように、前部および後部眼瞼炎、ならびに細菌性、寄生虫性、脂漏性、湿疹様、および新生物性形態の眼瞼炎を含む。
「ドライアイ疾患」という用語は本明細書で使用するように、不十分な涙液産生、異常な涙液組成および/または脂質涙液層の異常を指し、これに限定されるわけではないが、定性的ドライアイ、蒸発性ドライアイという用語を含む。
「有効量」という句は、当分野で認識された用語であり、本発明の製薬組成物中に包含されるときに、任意の医療処置に適用可能な合理的な利益/リスク比である所望の効果を産生する薬剤の量を指す。ある実施形態において、この用語は、眼瞼縁刺激の症状を除去、低減もしくは維持(たとえば眼瞼縁刺激の症状の広がりを予防する)するのに、または眼瞼縁疾患を予防もしくは処置するのに必要または十分な量を指す。有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される特定の組成物、または疾患もしくは状態の重症度などの因子に応じて変化し得る。当業者は、過度の実験を必要とせずに、特定の薬剤の有効量を経験的に決定し得る。
「粘膜付着性ビヒクル」という用語は、投薬形態の滞留時間の延長ならびに、粘膜付着による薬物の生物学的利用能の向上も提供するポリマーを指す。「粘膜付着」という用語は、投薬形態として作用する合成または天然ポリマー性物質と粘膜組織を被覆する粘液層との間の界面張力相互作用を指す。
「製薬的に許容される」という句は、当分野で認識されており、正常な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触して使用されるのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合っている、組成物、ポリマーおよび他の物質ならびに/またはこれらの塩および/もしくは投薬形態を指す。
「製薬的に許容される担体」という句は、当分野で認識されており、たとえば、任意の補助食品もしくは組成物、またはその成分を1つの器官、もしくは体の部分から別の器官、もしくは体の部分に運搬または輸送することに関与する、または薬剤を眼の表面まで送達する、製薬的に許容される物質、組成物またはビヒクル、たとえば液体(水性または非水性)または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を指す。各担体は、組成物の他の構成要素と適合しており、患者に有害でないという意味で「許容される」必要がある。ある実施形態において、製薬的に許容される担体は非発熱性である。
「製薬的に許容される塩」という用語は、当分野で認識されており、制限なく、治療剤、賦形剤、他の物質などを含む、本発明の組成物またはその任意の成分の、比較的非毒性の無機および有機酸付加塩を指す。製薬的に許容される塩の例は、無機酸、たとえば塩酸および硫酸に由来する塩、ならびに有機酸、たとえばエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などに由来する塩を含む。塩の形成に好適な無機塩基の例は、アンモニア、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの水酸化物、炭酸塩、および重炭酸塩を含む。塩はまた、非毒性であり、このような塩を形成するのに十分な強さである塩基を含む、好適な有機塩基によって形成され得る。例証の目的で、このような有機塩基のクラスは、モノ−、ジ−、およびトリアルキルアミン、たとえばメチルアミン、ジメチルアミン、およびトリエチルアミン;モノ−、ジ−、またはトリヒドロキシアルキルアミン、たとえばモノ−、ジ−、およびトリエタノールアミン;アミノ酸、たとえばアルギニンおよびリジン;グアニジン;N−メチルグルコサミン;N−メチルグルカミン;L−グルタミン;N−メチルピペラジン;モルホリン;エチレンジアミン;N−ベンジルフェネチルアミン;(トリヒドロキシメチル)アミノエタン;などを含み得る。たとえばJ.Pharm.Sci.,66:1−19(1977)を参照。
「予防すること」という用語は、異常なマイボーム腺分泌物などの状態に関連して使用するとき、当分野で認識されており、組成物を摂取していない被験体と比較して、被験体の医学的状態の徴候および/もしくは症状の頻度を低減するか、または徴候および/もしくは症状の開始を遅延する組成物の投与を指す。
「テトラサイクリンファミリー抗生物質」という用語は、オクタヒドロテトラセン−2−カルボキサミド骨格を有するポリケチドのサブクラスを指し、これに限定されるわけではないが、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、およびロリテトラサイクリン(olitetracycline)を含む。
「処置すること」という用語は、任意の状態または疾患の少なくとも1つの症状を治癒することならびに、改善することも指す、当分野で認識された用語である。
(眼瞼縁疾患)
眼瞼縁疾患は、眼瞼、ならびに眼瞼縁の副腺、粘膜皮膚移行部、およびマイボーム腺を含めた、関連する付属構造の任意の異常として定義することができる(Foulks)。眼瞼炎は、眼瞼縁疾患と互換的に使用されることが多い一般用語である。眼瞼炎は、眼瞼の炎症を特徴する一連の状態を説明しており、皮膚疾患、アレルギー反応、および感染症を含む。
眼瞼炎のための複数の異なる分類スキームが存在するが、眼瞼炎を病理学的な関わりで解剖学的部位に基づいて前部眼瞼炎および後部眼瞼炎に分類する方法は、簡単で臨床的に有用である(Wilhemus)。この分類は、眼瞼炎の症例の大部分を説明して、病因の相違および特徴的な臨床的特徴も反映している。
前部眼瞼炎は、主に睫毛基部の眼瞼領域に影響を及ぼす疾患として定義される。前部眼瞼炎は、ブドウ球菌性眼瞼炎および脂漏性眼瞼炎の両方を含むが、両方の種類の眼瞼炎が混合した症状が一般的である。後部眼瞼炎は、睫毛後方の眼瞼縁を含む。後方眼瞼炎は、通常、マイボーム腺の障害から生じ、マイボーム腺機能不全(MGD)またはマイボーム腺炎とも呼ばれる。マイボーム腺は、正常な涙液膜の重要な成分である脂質分泌物のマイバムを産生する、膨脹した脂腺である。後部眼瞼炎は、マイボーム腺の停滞分泌物および管開口部の濃縮を伴うマイボーム腺の閉塞(マイボーム腺炎)またはマイボーム腺分泌物の過剰産生(マイボーム腺脂漏症)のどちらかを含み得る。
眼瞼の細菌コロニー形成が、両方の眼瞼炎患者ならびに、眼瞼が健康な個体にも存在する。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、コリネバクテリウム属、表皮ブドウ球菌、およびざ瘡プロピオンバクテリウムは、最も頻繁に単離される微生物叢を構成する(Driver)。黄色ブドウ球菌によるコロニー形成はそれほど優勢ではないが、この生物は、正常な個体よりもブドウ球菌性眼瞼炎患者でより一般的であるように思われる(McCulley)。黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌はどちらも、ブドウ球菌性眼瞼炎で病因的役割を果たすと考えられている。正確な機構はまだ十分に解明されていないが、直接感染、細菌外毒素に対する反応、または抗原関連免疫反応を含み得る(AAO,Smith)。
マイボーム腺管の狭窄につながる上皮角化亢進は、後部眼瞼炎の病因において重要であると考えられる。後部眼瞼炎患者では、マイボーム腺分泌物の生化学組成が正常対照と比較して変化するという証拠もある。変化した脂質分泌物は腺内で停滞し、そこで細菌増殖のための培地を与え、組織炎症を促進し得る。マイボーム腺分泌物の質的変化の根本原因は未確認であるが、細菌性リパーゼの作用に媒介され得る(Smith)。この点で、表皮ブドウ球菌の眼瞼コロニー形成の蔓延はMGD患者および対照で同様であるが、これらの集団の間には、細菌性リパーゼ活性の相違に関連する菌株のタイプに相違があり得ることが報告されている(Dougherty)。
前部および後部眼瞼炎は、どちらの状態も眼瞼、結膜、および角膜の刺激および炎症に関連する徴候および症状が現れるため、その臨床的特徴には著しい重複がある(Smith,AAO)。しかし、皮膚疾患との関連を含む特定の所見は、異なるタイプの眼瞼炎より特徴的である。
ブドウ球菌性眼瞼炎は、板状鱗屑(睫毛襟状付着物)の形成、眼瞼痂皮形成、および睫毛基部に沿った残屑形成を呈する。罹患した患者は、焼灼感、掻痒、光感受性、および異物感を訴えることがある。これらの症状および眼瞼痂皮形成は通常、朝に悪化する。他の臨床的徴候は、眼瞼縁肥厚および充血を含む。長期疾患による慢性炎症は、眼瞼瘢痕、ならびに睫毛の喪失、損傷、および/または乱生を含む睫毛の変化を引き起こす可能性がある。睫毛毛包の基部に影響を及ぼす潰瘍形成はまれであるが、重篤な急性増悪の間に発症することがある。角膜合併症が発生することがあり、この角膜合併症は下部またはびまん性点状上皮びらん、辺縁浸潤、瘢痕、新生血管形成、パンヌス、菲薄化および穿孔、小水疱、ならびにザルツマン結節を含む。結膜の所見には、慢性乳頭状結膜炎に関連する軽度から中程度の充血が含まれる。ブドウ球菌性眼瞼炎に関連する他の続発症は、膿疱、再発性霰粒腫、外および内麦粒腫、ならびに涙液膜不安定性を含む。ブドウ球菌性眼瞼炎の患者は一般に、皮膚疾患に関連していないが、アトピーは現れ得る(AAO)。
脂漏性眼瞼炎は、眼瞼紅斑、スケーリングおよび睫毛異常によっても明らかであるが、鱗屑は脂状の外観を有し、睫毛は共に付着する傾向があり、前部眼瞼縁は光沢のある外観を有し得る。脂漏性眼瞼炎の炎症は、ブドウ球菌性眼瞼炎と比較してそれほど重篤ではなく、患者は、増悪を伴わずに長期の症状をより呈しやすいことがある。結膜炎または角膜炎は、脂漏性眼瞼炎患者の少数において報告されている(AAO)。角膜炎は、存在するときに、一般に角膜の下3分の1に関わり、点状上皮びらんにより明らかになる。脂漏性皮膚炎は一般的な共存症である。
後部眼瞼炎の患者も、一般に慢性疼痛を経験し、覚醒時により悪化する焼灼感、掻痒、流涙、および異物感を訴え、起床時によりひどくなる。これらの患者は、視力の低下または変動も訴えている。眼瞼の検査によって、マイボーム(meibomiam)腺開口部の炎症および後部眼瞼縁の肥厚が明らかとなる。マイボーム腺分泌物は、濃縮された歯磨粉様の外観を有し、眼瞼縁に指圧をかけたときにごくわずかだけ絞り出されることがある。経時的に、マイボーム腺が萎縮して、眼瞼瘢痕が発症することがある。ブドウ球菌性眼瞼炎と同様に、霰粒腫は一般的であり、患者は眼瞼および睫毛の異物感/痂皮形成も報告する。後部眼瞼炎患者は、外部眼感染症、特に再発性細菌性結膜炎のリスクが上昇している。実際に、大半の細菌性結膜炎は、眼瞼で開始して、次に涙液膜および結膜まで広がる感染症を伴う、眼瞼結膜炎である。これらの患者において、増悪する眼瞼縁疾患の処置によって、問題が決定的に解決されるが、局所抗生物質のみによる結膜感染症の処置は、一時的な改善のみを与え、再発性感染症が続発することがある。
マイボーム腺脂漏症の臨床的特徴は、マイボーム腺開口部に重なる油球および油性泡沫状涙液膜の存在である。この形のMGDは、脂漏性皮膚炎および酒さに関連し得る(AAO、Driver)。
(眼瞼炎およびドライアイ疾患)
ドライアイ疾患は、眼瞼炎患者の56%に、閉塞性MGD患者の48%に、および脂漏性MGD患者の79%に存在することが報告されている(Mathers)。後部眼瞼炎とドライアイ疾患との間の頻繁な関連は、マイボーム腺によって分泌された脂質が正常な涙液膜の安定性および機能に必要であることを考慮すると、驚くべきではない。しかし、ドライアイ疾患は、別の機構を通じて発生し得る。後部眼瞼炎患者の変化したマイボーム腺分泌物が、眼表面組織に直接の刺激性効果を有し得るという理論が立てられている(Smith)。眼瞼炎に関連する細菌叢は、外毒素の放出、炎症性サイトカインおよび他の化学メディエータの誘導、および超過敏反応の誘発を含む、複数の経路による、涙液膜異常および眼表面炎症も誘導し得る(Foulks)。
後部眼瞼炎患者は、涙液の量ではなく質の不足に関連する、蒸発性ドライアイ状態を有する傾向がある。MGD患者の涙液膜の脂質成分の不十分な産生は、涙腺による正常な水分の産生の存在下での、眼表面からの水の過剰な損失に関連している。しかし乾性角結膜炎は、MGD患者の最大40%で、ブドウ球菌性眼瞼炎患者の半分で、および脂漏性眼瞼炎患者の3分の1で報告されている(AAO.Smith,Bowman)。
(外科手術候補の眼瞼炎)
眼瞼炎患者での重要な考慮事項は、眼外科手術の結果に影響する眼瞼炎の可能性である。眼瞼炎患者のすでに損なわれた涙液膜は、外科的切開またはレーシックフラップによる角膜神経の切断、外科的に誘導された炎症、および局所点眼された薬物によって引き起こされた刺激を含む、多様な外科関連因子によってさらに劣化することがある。結果として、患者は、ドライアイの症状によってさらに衰弱することがあり、最適な前角膜涙液膜が優れた視覚の前提条件であることを考慮すると、不十分な機能的結果を得ることがある。制御不能な眼瞼炎の患者がレーシックを受けることも、レーシックフラップの下にマイボーム腺残屑を捕捉するリスクに瀕する。FDAは、レーシック眼科手術前に患者に対して担当の外科医がスクリーニングすべきリスク因子として、眼瞼炎を挙げている。レーシック後の不満が原因で三次医療センターで診察を受けている患者の所見を分析する研究において、ドライアイ/眼瞼炎は、最も一般的な診断として評価された(Levison)。
眼瞼炎患者では、術後感染症のリスクも、眼瞼および睫毛の細菌叢がこれらの感染症の病原体の主な供給源であることを考慮すると上昇し得る。患者対照研究における単変量解析によって、緑内障濾過手術後の遅発性感染症に眼瞼炎が関連していることが見出された(Jampel)。著者らは、細菌量の上昇が感染症への素因となり得ることに注目した。
(眼瞼炎の診断)
診断は、眼瞼縁疾患の有効な管理の第1ステップである。眼瞼炎は、最も一般的な眼科疾患であり得る。眼瞼炎は、ドライアイ疾患および再発性結膜炎を含む他の一般的な障害の根本原因であることが多いのはもちろんのこと眼科手術後の次善の結果についての重要なリスク因子でもある。したがって眼科医は、慢性眼瞼炎およびその続発症を特定するために、すべての患者が眼瞼および眼表面の徹底的な検査を受けるに値することを覚えておかなければならない。
眼瞼炎の診断が見落とされることが多いのは、その症状が非特異的であるか、またはドライアイ疾患に関連するとして解釈されがちなためである。確かに、ドライアイ疾患は眼瞼炎患者の一般的な共存症であり、診療室での評価が涙液膜および眼表面の所見を含むことは適切である。しかし、眼瞼炎は特定されたいずれの異常の根本原因でもあり得る。眼瞼炎症を呈している患者の診断の相違で考慮すべき他の実体には、眼瞼内反、眼瞼外反、眼瞼弛緩症候群、上眼瞼被覆症候群、粘液フィッシング症候群(mucous fishing syndrome)、以前の眼瞼手術または外傷、およびアレルギー性眼疾患が含まれる。細菌、ウイルス、または寄生虫由来の急性感染症は、まれではあるが、眼瞼炎として現れ得る。各種の良性および悪性新生物も、眼瞼炎のように見えることがある。眼瞼疾患が両側でなく片目のみに影響するとき、そして症状が慣習的な処置後も持続する場合、腫瘍の診断が推測され得る。このような新生物は深刻で生命さえ脅かす性質であるため、早期診断が重要である。眼瞼炎症は、薬物誘導性であることもあり、経口イソトレチノインは最も重要な原因の1つである(Fraunfelder)。
眼瞼炎の診断は、患者の病歴、臨床評価および眼表面の検査の組合せによって行われることが多い。患者の病歴を解釈するときに査定されることの多い眼瞼炎のリスク因子は、これに限定されるわけではないが、患者の症状の期間および性質、任意の環境または他の外部因子(たとえば低い湿度、喫煙、アレルゲン、コンタクトレンズ装用)による増悪、眼科手術または外傷の病歴、外眼部に影響し得る疥癬または他の感染症への暴露、薬物使用、ならびに眼瞼炎に関連する皮膚疾患(酒さ、アトピー、脂漏症)の存在を含む。眼瞼炎の臨床評価は、これに限定されるわけではないが、炎症および異物または残屑の痕跡についての眼瞼縁の肉眼的検査(たとえば膿疱、睫毛喪失、または他の異常について眼瞼縁を検査するために細隙灯を使用);マイボーム腺開口部および分泌物の性質の検査のための眼瞼の飜転を含む。原発性マイボーム腺炎患者は、マイボーム腺分泌物の変色、腺開口部付近の濃縮および炎症、ならびに管(ductile)拡張を呈する。毛細血管拡張症、充血、および肥厚が眼瞼縁の慢性炎症の徴候として見られ、続発性の前部眼瞼縁の関与もあり得る。
眼表面の検査時に、下眼瞼縁における涙液膜に位置する石鹸泡様物質の確認は、それがMGDに疾病特徴的であるために、主な所見である。この泡状物質は、細菌性リパーゼがマイボーム腺分泌物を脂肪酸ならびにモノおよびジグリセリドに切断した結果として生じる。結膜および角膜の関与の存在についても調べるべきである。結膜の所見は、充血、乳頭増殖、および着色を含む。超生体染料は、リサミングリーンまたはローズベンガルのどちらでも、結膜損傷を確認する目的では、フルオレセインよりも有用である。眼瞼炎患者における結膜着色の特徴は、水分欠乏ドライアイ疾患に関連するものと重複している。しかし、前部および後部眼瞼炎の患者における角膜着色は、ブドウ球菌が涙液膜に入り込み、涙湖内に吸収される下部領域に局在することが多い。
異物感および眼の刺激を訴える任意の患者の診断的精密検査には、水分欠乏ドライアイを診断するためのシルマー試験も含めるべきである。シルマー試験の異常な結果は、併存するMGDを除外するものではないが、正常な水分産生の所見によって、症候の訴えの根本病因として眼瞼炎のさらなる評価が要求されるべきである。MGDに関連するドライアイ疾患患者の涙液の質は不十分であるため、患者は正常な水分産生の存在下でさえ、フルオレセイン涙液層破壊時間が短縮される傾向がある(Pflugfelder)。
ロウ様のかすんだ視覚が朝、起床時に悪化するという訴えが、眼瞼炎と水分欠乏ドライアイ疾患とを区別する最も重要な所見の1つであるのは、ドライアイ患者は一般に朝には最も症候が少なく、涙液膜が脱水する1日の過程で悪化を経験するためである。人工涙液および局所シクロスポリン眼科用乳剤を含む、ドライアイ疾患の伝統的な保存療法に応答しないことも、基礎診断として眼瞼炎を確認するさらに慎重な評価に対する要求を示唆している。
悪性度を診断するための生検および微生物試験のための培養物は、処置に対する応答を含む、患者の個別の特徴に応じて、ケース・バイ・ケースで考慮され得る。
(眼瞼炎の管理)
眼瞼炎は、継続的なケアを必要とする慢性で不治の障害であり、そのケアでの目標は、関連する徴候および症状を軽減して、生活の質を改善し、永久的な組織損傷や失明さえ引き起こすおそれのある合併症を予防するための疾病管理を実現することである。術前に眼瞼炎に対処することも、合併症を減少させ、その手術患者の機能的結果を最適化するために重要である。
眼瞼炎に対する現在の処置選択肢は代表的には、眼瞼縁から残屑および感染症を除去するのはもちろんのこと、炎症も低減することも目的とした、眼瞼温熱療法、眼瞼衛生維持、抗炎症剤、栄養補助食品、ならびに局所および/または経口抗生物質を含む、各種の異なる対症および治療手段を含む。
温湿布を眼瞼に当てることを含む眼瞼温熱療法は、前部および後部眼瞼炎の両方に対する療法の中心となっている。前部眼瞼炎では、熱が粘着性のプラークを緩める作用をするのに対して、後部眼瞼炎では、熱がマイボーム腺分泌物の溶融を誘導して、腺開口部の閉塞を軽減するのを補助する。後部眼瞼炎患者は、眼瞼温熱療法後に眼瞼を軽くマッサージして、マイボーム腺から分泌物を絞り出すよう勧められることがある。
眼瞼衛生維持も、眼瞼炎の処置には必須の要素である。前部眼瞼縁患者では、眼瞼縁から沈着物を除去して、眼瞼の細菌コロニー形成を減少させるのに有用であり、衛生維持は特に重要である。しかし衛生維持は、後部眼瞼炎患者においても、障害および関連するドライアイ疾患の病因に関係している遊離脂肪酸および細菌を眼瞼から除去することができるので、重要な役割を果たす。洗浄は、眼瞼皮膚だけでなく、眼瞼縁および睫毛基部を被験体とすべきであり、好ましくは眼瞼温熱療法後に実施する。
局所コルチコステロイドによる抗炎症処置は、慢性眼瞼炎の処置では限定された役割を有する。コルチコステロイドは、活性霰粒腫/麦粒腫、辺縁浸潤性角膜炎、または結膜もしくは角膜小水疱の患者などの、より重篤な炎症をさらに迅速に管理するために処方され得る。しかし、コルチコステロイド処置のリスクは、眼瞼萎縮、緑内障、白内障、および重篤な日和見感染症を含む。したがって、より効力が低いコルチコステロイド、または他の部位特異的薬剤の選択を検討すべきであり、処置の期間を制限すべきである(McCulley,Dougherty)。局所シクロスポリンは、急性炎症を処置する代わりの薬剤を提供する。後部眼瞼炎患者においてシクロスポリンを評価する研究によって、シクロスポリンがマイボーム腺分泌物の質、症状、フルオレセイン着色、および眼瞼毛細血管拡張症の改善に伴い、マイボーム腺封入体の減少に関連していることが見出された(Perry,Rubin)。
予備的証拠によって、必須脂肪酸(たとえばアマニ)の経口補給によって眼瞼炎患者のマイボーム腺分泌物の質が菲薄化および改善され得ることが示される(Lahners,Boerner)。この方法の理論的根拠は、脂肪酸の食事摂取がマイボーム腺分泌物の脂質組成に影響を及ぼす証拠に関連している(Sullivan)。
細菌、特にブドウ球菌属は、後部眼瞼炎ならびに、前部眼瞼炎でも重要な役割を果たすと見なされており、抗ブドウ球菌活性のある抗生物質は、これらの患者のいずれの処置にも適切であり得る。歴史的に、軟膏調製物、特にバシトラシンおよびエリスロマイシンが急性前部眼瞼炎の処置に最も幅広く使用されてきた。しかし、このような抗生物質軟膏が後部眼瞼炎の処置に一般に有効でないのは、これらのワセリンベースのビヒクル中の活性構成要素が眼瞼縁に著しく浸透せずに、患者の妨げとなる視界のぼやけを生じるためである。慣習的な点眼薬に調合される抗生物質は、結膜および涙液膜に浸透するが、眼瞼縁に対する生物学的利用能および眼瞼組織中への浸透はなお不十分である。
経口テトラサイクリンファミリー抗生物質は、患者の疾患が眼瞼の衛生および眼瞼温熱療法によって十分に管理されていないときに後部眼瞼炎患者に処方され、特に酒さが併存する患者にこのことが考慮され得る。テトラサイクリンは、抗菌効果を有することに加えて、その抗生物質効果とは別個で区別された抗炎症活性を提供し(Perry)、細菌性リパーゼおよびコラゲナーゼ産生を減少させることが報告されている。(Frucht−Perry)。都合の悪いことに、経口投薬によって実現される抗生物質の組織内レベルは、局部的な局所適用によって得ることができる組織内レベルよりもはるかに低い。経口テトラサイクリン処置には、日光感受性、膣酵母感染症、胃腸障害を含む全身性副作用の可能性、およびおそらく乳癌のリスクも伴う。さらに、これらの薬剤は、妊娠または授乳中の女性への使用は禁忌であり、経口避妊薬およびワルファリンと相互作用し得る。これらは、骨および歯に対するリスクのために、幼児にも使用すべきではない。
製薬組成物
本発明は、眼瞼縁疾患を処置するのに有用である、抗感染/抗炎症剤(たとえばテトラサイクリンファミリー抗生物質)および粘膜付着性ビヒクルを含む局所製薬組成物を特徴とする。有効量の本発明の製剤が使用されて、眼瞼縁機能が改善され、それにより眼瞼縁に関連する疾患(たとえば眼瞼炎、マイボーム腺炎、マイボーム腺機能不全、およびドライアイ)を処置することができる。異常な眼瞼縁の機能の徴候および症状は、これに限定されるわけではないが、マイボーム腺分泌物の粘度上昇、分泌低下、溶融温度の上昇、炎症性組成物の増加、マイボーム腺の濃縮、混濁、色ならびに、腺分泌の間の時間(不応期)の延長も含む。眼瞼縁疾患に関連する疾患の徴候および症状は、これに限定されるわけではないが、ドライアイ、焼灼感、視覚変動、眼の充血、眼瞼縁の掻痒および/または刺激ならびに浮腫、異物感、ならびに睫毛の固まりを含む。
好ましくは、抗感染剤は、広範囲の抗感染活性および抗炎症特性の両者ならびに、高い組織浸透性も有する。本明細書に記載した製剤の有効性は、一部は、製剤中の構成要素の組合せの相乗効果に起因する。抗感染/抗炎症剤は、マイボーム腺疾患に関連する徴候および症状を、眼瞼縁機能を改善することによって軽減、抑制、予防、またはそうでなければ減少する。粘膜付着性ビヒクルは、抗感染剤の眼瞼縁への接触時間および接着を増大させて、これにより抗感染剤の眼瞼組織およびマイボーム腺中への浸透性を向上させる。このため、本発明の製薬組成物は、本明細書に記載するような粘膜付着性ビヒクルと組み合わされておらず、抗炎症効果を有さない抗感染剤の他の製剤よりも、治療有効性および作用期間を増大させてきた。本発明の組成物の治療有効性の向上によって、慣習的なビヒクルと組み合わされた抗感染剤よりも少ない投与頻度が可能となり、同時に治療的抗菌および抗炎症レベルが達成される。
例示的な抗感染剤は、これに限定されるわけではないが、テトラサイクリンファミリー抗生物質(たとえばテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)またはその誘導体もしくは類似体、アミノグリコシド抗生物質、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、トリメトプリム、サルファ剤、フルオロキノロン、およびクロロフェニコールを含む。好ましい実施形態において、抗感染剤はドキシサイクリンである。別の実施形態において、抗感染剤はテトラサイクリンファミリー抗生物質(たとえばテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、またはその任意の組合せもしくはその誘導体)である。
製薬的眼科用製剤は代表的には、有効量の、たとえば約0.1〜約1%w/vの、好ましくは約0.15%〜約0.85%w/vの、さらに好ましくは約0.25%〜約0.75%w/vの、なおさらに好ましくは約0.3%〜約6%w/vのマイボーム腺疾患の処置および/または予防に好適な抗感染剤を含有する。眼組織内での濃度は、多くの抗生物質のMICである少なくとも0.25μg/gであることが所望されるが、耐性生物を根絶して、感染プロセスのより迅速な解決を提供するために、より高濃度(たとえば少なくとも1μg/g、さらに好ましくは少なくとも10μg/g)が好ましい。さらに、テトラサイクリン抗生物質などの濃度依存性の抗炎症効果を有する抗生物質の濃度がより高いと、より大きい抗炎症効果が生じる。外眼部表面に実際に供給される抗感染剤の量は、ほぼ必ず、組織濃度よりも高いであろう。このことは、眼の外部組織層による抗感染剤の浸透妨害を反映しており、この浸透は、ある程度まで濃度誘導性である。それゆえ、外部により多くの量を供給することによって、より多くの抗感染剤が組織中に送り込まれるであろう。
上述した本発明の製薬組成物は、これに限定されるわけではないが、抗感染剤(たとえば抗生物質、抗ウィルス薬、抗真菌薬)、抗炎症剤(ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬)、血管収縮薬、抗アレルギー剤、麻酔薬、鎮痛薬、およびドライアイ剤(たとえば分泌促進薬、ムコミメティック、ポリマー、脂質、抗酸化剤)を含む、1つ以上のさらなる活性構成要素をさらに含み得る、または1つ以上のさらなる活性構成要素と併せて(同時にまたは順次)投与され得る。
本発明の製薬組成物は、水性懸濁液または水性液剤として調合され得る。しかし、外眼部表面への局所投与のための他の投薬形が使用され得る(たとえば軟膏、懸濁液、粘性もしくは半粘性ゲル、または他の種類の固体もしくは半固体組成物)。
眼と適合性である多様な製薬的に許容される担体またはビヒクルのいずれも、本発明の製剤で使用され得る。製薬的に許容される担体として作用し得る物質のいくつかの例は:(1)糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、たとえばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、たとえばココアバターおよび坐剤ワックス;(9)油、たとえばヒマシ油、オリーブ油、ラッカセイ油、マカデミアナッツ油、クルミ油、アーモンド油、パンプキンシード油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ダイズ油、アボカド油、ヤシ油、ココナッツ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、アマニ油、グレープシード油、キャノーラ油、低粘度シリコーン油、軽油、またはその任意の組合せ;(10)グリコール、たとえばプロピレングリコール;(11)ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;(21)ガム、たとえばHPグアー;(22)ポリマー;ならびに(23)製薬的製剤に使用される他の非毒性適合性物質を含む。
好ましくは、担体は、マイボーム腺開口部での活性剤の滞留時間を延長することによって、抗感染剤の治療有効性を向上させることができる。特定の実施形態において、担体は粘膜付着剤である。特定の実施形態において、本発明の組成物は、水性ポリマー懸濁液として調合される。代表的には、抗感染剤は懸濁されているが、抗感染剤を溶解させる(水溶性)または溶解かつ懸濁させることが可能である。ポリマー性懸濁化剤は好ましくは懸濁液(すなわち非水溶性および/または水膨潤性)であるが、水溶性懸濁化剤も使用され得る。懸濁化剤は、懸濁液に安定性を提供して、眼への投薬形態の滞留時間を延長させる役割を果たす。懸濁化剤は、よい長い放出時間およびより均一な放出曲線の両方に関して、抗感染剤の持続放出を増大することもできる。
ポリマー性懸濁化剤の例は、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、ゲルライト(登録商標)、ヒドロキシピロピルメチルセルロースのようなセルロース性ポリマー、およびアクリル酸のポリマーまたはコポリマーなどのカルボキシ含有ポリマーならびに、他のポリマー性粘滑薬も含む。好ましいポリマー性懸濁化剤は、水膨潤性、非水溶性ポリマー、特に架橋カルボキシ含有ポリマーである。
本発明を実施するのに使用される架橋カルボキシ含有ポリマーは一般に、当分野で周知である。好ましい実施形態において、このようなポリマーは、存在するモノマーの総重量に基づいて、少なくとも約90重量%および好ましくは約95重量%〜約99.9重量%の、一つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマー(本明細書では場合によりカルボキシ−ビニルポリマーとも呼ばれる)から調製され得る。アクリル酸は好ましいカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーであるが、他の不飽和重合性カルボキシ含有モノマー、たとえばメタクリル酸、エタクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、シス−α−メチルクロトン酸(アンゲリカ酸)、トランス−α−メチルクロトン酸(チグリン酸)、α−ブチルクロトン酸、α−フェニルアクリル酸、α−ベンジルアクリル酸、α−シクロヘキシルアクリル酸、β−フェニルアクリル酸(桂皮酸)、クマリン酸(o−ヒドロキシ桂皮酸)、ウンベル酸(p−ヒドロキシクマリン酸)などをアクリル酸に加えて、またはアクリル酸の代わりに使用することができる。
このようなポリマーは、多官能性架橋剤、好ましくは2官能性架橋剤によって架橋され得る。架橋剤の量は、不溶性ポリマー粒子を形成するのに十分であるが、抗感染剤の持続放出を過度に妨害するほど多くないことが望ましい。代表的には、ポリマーはごく軽度に架橋される。好ましくは、架橋剤は、存在するモノマーの総重量に基づいて、約0.01%〜約5%、好ましくは約0.1%〜約5.0%、さらに好ましくは約0.2%〜約1%の量で含有される。このような架橋剤には、ジビニルグリコール;2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,5−ジエン;2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン;ジビニルベンゼン;N,N−ジアリルアクリルアミド;N,N−ジアリルメタクリルアミドなどの非ポリアルケニルポリエーテル2官能性架橋性モノマーが含まれる。分子1個当り2個以上のアルケニルエーテル基、好ましくは、少なくとも4個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシ基を含有する多価アルコールを臭化アリルなどのアルケニルハライドによってエーテル化することによって調製された、末端H2C=C<基を含有するアルケニルエーテル基を含有するポリアルケニルポリエーテル架橋剤、たとえばポリアリルスクロース、ポリアリルペンタエリスリトールなども含まれる;たとえばBrownの米国特許第2,798,053号を参照、その内容全体は、参照により本明細書に組み入れられている。約400〜約8,000の分子量を有するジオレフィン性非親水性マクロマー性(macromeric)架橋剤、たとえばジオールおよびポリオールの不溶性ジアクリレートおよびポリアクリレートおよびメタクリレート、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールまたはポリシロキサンジオールに由来するイソシアネート末端プレポリマーとヒドロキシアルキルメタクリレートとのジイソシアネート−ヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート反応生成物なども、架橋剤として使用できる;たとえばMuellerら、米国特許第4,192,827号および同第4,136,250号を参照、各特許の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられている。
架橋カルボキシ−ビニルポリマーは、架橋剤と共に、存在する唯一のモノエチレン性不飽和モノマーとしてのカルボキシ−ビニルモノマーから作製され得る。好ましくは、ポリマーは、約40重量%までの、好ましくは約0重量%〜約20重量%の1つ以上のカルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーが、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル−メタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドンなどを含む、生理学的および眼科的に無害の置換基のみを含有する1つ以上の非カルボキシ含有モノエチレン性不飽和モノマーによって置き換えられているポリマーである;このようなさらなるモノエチレン性不飽和モノマーのさらに広範なリストについては、Muellerら、米国特許第4,548,990号を参照、その内容全体は、参照により本明細書に組み入れられている。
特に好ましいポリマーは、架橋性モノマーが2,3−ジヒドロキシヘキサ−1,5−ジエンまたは2,3−ジメチルヘキサ−1,5−ジエンである、軽度に架橋されたアクリル酸ポリマーである。好ましい市販のポリマーは、ポリカルボフィル(ノベオン(Noveon)AA−1)およびカルボポル(Carbopol)(登録商標)を含む。最も好ましくは、薬物を制御された速度で放出する持続放出局所眼科用送達系である、ポリカルボフィルを含有する、商品名デュラサイト(登録商標)によって公知のカルボキシ含有ポリマー系が、本発明の水性ポリマー性懸濁組成物で使用される。
本発明の実施に使用される架橋カルボキシ−ビニルポリマーは、たとえば等価球径でサイズが約1〜約30gmの、好ましくは約3〜約20gmの範囲に及ぶ乾燥ポリマー粒子を提供するために、等価球径で約50μmを超えない乾燥粒径まで、慣用的なフリーラジカル重合触媒を使用して、モノマーを懸濁重合または乳化重合することによって好ましくは調製される。より大型のポリマー粒子をこのサイズまで機械的に粉砕することによって得たポリマー粒子の使用は、好ましくは回避される。一般に、このようなポリマーは、約250,000〜約4,000,000、および3,000,000,000〜4,000,000,000であるとして様々に報告されている分子量を有するであろう。
本発明の最も好ましい実施形態において、架橋カルボキシ−ビニルポリマーの粒子は単分散であり、単分散とは、これらの粒子が粒子の少なくとも80%が主粒径分布の10μmバンドに含まれるような粒径分布を有することを意味する。さらに好ましくは少なくとも90%の、および最も好ましくは少なくとも95%の粒子が、主粒径分布の10μmのバンドに含まれる。また、単分散粒径は、1μm未満のサイズの粒子が20%を超えない、好ましくは10%を超えない、最も好ましくは5%を超えないことを意味する。単分散の粒子の使用によって、所与の粒径の眼科用薬剤送達系の最大粘度および眼滞留時間の延長が得られるであろう。30μm以下の粒径を有する単分散粒子が最も好ましい。良好な粒子充填は、狭い粒径分布によって促進される。
水性ポリマー懸濁液は普通には、0.05〜1%の、好ましくは0.1〜0.5%の、さらに好ましくは0.1〜0.5%の抗感染剤、および0.1〜10%の、好ましくは0.5〜6.5%のポリマー性懸濁化剤を含有する。上述の非水溶性の水膨潤性架橋カルボキシ−ビニルポリマーの場合、ポリマー性懸濁化剤のさらに好ましい量は、組成物の重量に基づいて、0.5〜2.0%、好ましくは0.5%〜約1.2%であり、ある実施形態においては、0.6〜0.9%である。単数形で言及されるが、架橋カルボキシ含有ポリマーなどのポリマー性懸濁化剤の1つ以上の種は、示した範囲に含まれる全量で使用できることが理解されるべきである。好ましい一実施形態において、組成物は、0.6〜0.8%のノベオンAA−1などのポリカルボフィルを含有する。
一実施形態において、12rpmにて25番スピンドルおよび13R小型試料アダプタを装備したブルックフィールドデジタルLVT粘度計を使用して、室温(約25℃)で測定したときに、約500〜約100,000センチポアズ、好ましくは約1,000〜約30,000または約1,000〜約10,000センチポアズの範囲の粘度を有する組成物を得るために、不溶性の軽度に架橋されたカルボキシ−ビニルポリマー粒子の量、pH、および浸透圧は、相互に、および架橋度と相関させることができる。代わりに、粘度が500〜3000センチポアズの範囲内にあるとき、6rpmにてcp−52番スピンドルを選択して、ブルックフィールドモデルDV−11+によって粘度が測定され得る。
ヒドロキシピロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマーを懸濁化剤として使用するときに、粘度は代表的には、約10〜約400センチポアズ、さらに代表的には約10〜約200センチポアズまたは約10〜約25センチポアズであろう。
本発明の水性ポリマー性懸濁液は、懸濁液が眼への投与前に有していたのと同じまたは実質的に同じ粘度を眼内で維持するように調合され得る。代わりに、懸濁液は、涙液との接触時にゲル化が増大されるように調合され得る。たとえば、デュラサイト(登録商標)または他の同様のポリアクリル酸型ポリマーを含有する製剤が約6.7未満のpHで眼に投与されるとき、ポリマーはより高いpH(おおよそ7)を有するため、涙液との接触時に膨潤するであろう。このゲル化またはゲル化の増加によって、懸濁された抗感染剤の捕捉が引き起こされ、それにより眼内での組成物の滞留時間が延長される。抗感染剤は、懸濁された粒子が時間と共に溶解するにつれて、ゆっくり放出される。このような事象はすべて最終的に、患者の快適さの向上および抗感染剤と眼の組織との接触時間の延長をもたらし、それにより薬物吸収の程度および眼内での製剤の作用期間を増大させる。
流動性点眼薬から生じる粘性ゲルは代表的に、眼内で約2〜約12時間の、たとえば約3〜約6時間の範囲に及ぶ滞留時間を有する。これらの薬物送達系に含有される薬物は、薬物自体およびその物理形、薬物の量の程度および系のpHなどの因子にはならびに、また存在し得る、眼表面と適合性のイオン交換樹脂などの任意の薬物送達アジュバントにも依存する速度で、ゲルから放出されるであろう。
本発明の抗感染剤を局所送達するために使用される組成物は、過度の実験を伴わずに当業者によって、公知の技法の利用を通じて公知のまたは容易に入手できる物質から調製することができる。たとえば、抗感染剤がテトラサイクリンファミリー抗生物質である場合、それは市販されているか、または公知の反応技法を介して当業者によって容易に入手され得る。
抗感染薬含有組成物は、ヒトまたは非ヒト動物の眼に局所適用され、非ヒト動物はウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、および他の哺乳動物を含む。組成物は、液滴、軟膏、粘性液剤またはゲル、リボンとしてまたは固体として適用することができる。組成物は、以下に限定されないが、眼瞼縁に、眼の前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺におよび/または盲嚢内に局所適用することができる。好ましくは、組成物は局所適用直後に、眼瞼にマッサージされる。適用は、眼瞼縁疾患およびそれに関連する疾患(たとえばドライアイ疾患)の処置として、または手術前のそれらの予防手段として可能である。
製薬組成物の活性な薬剤は、製薬的に許容される塩の形であり得る。たとえば、好ましい抗感染剤の水溶性が不十分である場合、塩形に変換すると溶解性が改善される。軟膏および固体投薬形態も、当分野で周知であるように送達組成物として使用できる。眼科用組成物中に存在する抗感染剤の濃度は、投薬形態、放出速度、投薬レジメン、ならびに感染の位置および種類に依存する。一般的に言えば、濃度は、流動性組成物では約0.01〜2%、さらに代表的には0.1〜1%、固体投薬形態では0.5〜50%であるが、組成物はこれらに限定されない。
軟膏および懸濁剤の両方を含む、本発明の製薬的眼科用組成物は、選択した投与経路に適した粘度を有する。約1,000〜30,000センチポアズの範囲内の粘度が滴剤に有用である。約30,000〜約100,000センチポアズは、リボン形の眼科用投与に好都合な粘度範囲である。粘度は、当業者に公知の多くの方法で制御できる。増粘剤の例は、これに限定されるわけではないが:ポリサッカライド、たとえばヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチンサルフェートおよびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの各種のポリマー;ビニルポリマー;ならびにアクリル酸ポリマーを含む。
本発明の製剤に含まれ得るさらなる構成要素は、張性増強剤、保存料、可溶化剤、非毒性賦形剤、粘滑薬、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、および共溶媒を含む。
pHは、任意の生理学的および眼科的に許容されるpH調整酸、塩基または緩衝剤を添加することによって約5.0〜8.5の範囲内に調整され得る。酸の例は、酢酸、ボロン酸、クエン酸、乳酸、リン酸、塩酸などを含み、塩基の例は、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、トロメタミン、THAM(トリスヒドロキシメチルアミノ−メタン)などを含む。塩および緩衝剤は、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸、重炭酸ナトリウム、TRIS、ならびに各種の混合リン酸塩緩衝剤(NaHPO、NaHPOおよびKHPOの組合せを含む)およびこれらの混合物を含む。
張性は、必要ならば、代表的には張性増強剤によって調整される。このような試剤は、たとえばイオン性および/または非イオン性型であり得る。水性眼科用組成物の浸透圧(π)は一般に、10ミリオスモル(mOsM)〜約400mOsM、さらに好ましくは260〜340mOsMである。必要ならば、浸透圧は、適切な量の生理学的および眼科的に許容される塩または賦形剤を使用することによって調整できる。塩化ナトリウムは、生理液に近づけるために好ましく、組成物の総重量に基づいて約0.01重量%〜約1重量%、好ましくは約0.05重量%〜約0.45重量%の範囲の塩化ナトリウム量が代表的には使用される。カリウム、アンモニウムなどのカチオンおよび塩化物イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオン、重炭酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、重硫酸イオン、ナトリウム重硫酸イオン、アンモニウム硫酸イオンなどのアニオンから成る、1つ以上の塩の当量を、上に示した範囲のオスモル濃度を達成するために、塩化ナトリウムに加えて、または塩化ナトリウムの代わりに使用することもできる。同様に、マンニトール、デキストロース、ソルビトール、グルコースなどの糖もオスモル濃度を調整するために使用できる。
ある実施形態において、局所製剤はさらに保存料を含む。保存料は代表的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウムなどの4級アンモニウム化合物から選択され得る。塩化ベンザルコニウムは:N−ベンジル−N−(C〜C18アルキル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドと記述したほうがよい。4級アンモニウム塩とは異なる保存料の例は、チオサリチル酸のアルキル水銀塩、たとえばチオメルサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀(phenyhnercuric)またはホウ酸フェニル水銀、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、パラベン、たとえばメチルパラベンまたはプロピルパラベン、アルコール、たとえばクロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノール、グアニジン誘導体、たとえばクロルヘキシジン(chlorohexidine)またはポリヘキサメチレンビグアニド、過ホウ酸ナトリウム、ジェルマール(Germal)(登録商標)IIまたはソルビン酸である。好ましい保存料は、4級アンモニウム化合物、特にポリクワッド(Polyquad)などの塩化ベンザルコニウムまたはその誘導体(米国特許第4,407,791号を参照)、アルキル水銀塩およびパラベンである。適切な場合、使用中に細菌および真菌によって引き起こされる2次汚染を確実に防止するために、十分量の保存量を眼科用組成物に添加する。
別の実施形態において、本発明の局所製剤は保存料を含まない。このような製剤は、保存料への暴露を制限することがより望まれ得る、コンタクトレンズを装用する患者、または複数の局所点眼薬を使用する患者および/もしくはすでに眼表面に障害(たとえばドライアイ)のある患者に有用であろう。
局所製剤は、特に活性または不活性構成要素が懸濁剤または乳剤を形成しがちな場合には、さらに可溶化剤の存在を必要とし得る。上の関連する組成物に好適な可溶化剤はたとえば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテル、シクロデキストリン(たとえばα、β−またはγシクロデキストリン、たとえばアルキル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化またはアルコキシカルボニル−アルキル化誘導体、またはモノもしくはジグリコシルα、β−またはγ−シクロデキストリン、モノ−またはジマルトシル−α、β−またはγ−シクロデキストリン、またはパノシル−シクロデキストリン)、ポリソルベート20、ポリソルベート80またはこれらの化合物の混合物から成る群より選択される。特に好ましい可溶化剤の具体的な例は、ヒマシ油とエチレンオキシドとの反応生成物、たとえば市販製品のクレモホール(Cremophor)EL(登録商標)またはクレモホールRH40(登録商標)である。ヒマシ油およびエチレンオキシドの反応生成物は、眼への耐性がきわめて良好である、特に優れた可溶化剤であることが判明している。別の好ましい可溶化剤は、チロキサポールおよびシクロデキストリンから選択される。使用される濃度は、活性構成要素の濃度に特に依存する。添加される量は代表的には、活性構成要素を溶解させるのに十分である。たとえば、可溶化剤の量は、活性構成要素の濃度の0.1〜5000倍である。
製剤は、たとえば200、300、400および600と呼ばれるポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000および10000と呼ばれるカーボワックスなどの、たとえば乳化剤、湿潤剤または充填剤などの、非毒性賦形剤をさらに含み得る。添加する賦形剤の量および種類は、詳細な要件に従い、一般に約0.0001〜約90重量%の範囲である。
(使用方法)
本発明は、上述の眼科用製剤の使用を含む、被験体において眼瞼縁機能を改善し、眼瞼縁疾患およびそれに関連する疾患(たとえばドライアイ疾患)を処置する方法を特徴とする。たとえば眼瞼縁疾患を処置する方法は、その処置を必要とする被験体の眼瞼縁に、眼の前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺におよび/または盲嚢内に、粘膜付着性(mucoadhseive)ビヒクル中に有効量の抗感染(anti−effective)剤(たとえばテトラサイクリンファミリー抗生物質)を含む製剤を投与することと、5〜7日以上1カ月まで局所適用の直後に製剤を眼瞼に軽くマッサージすることとを含み得る。1カ月間の薬物治療を中断した後、このプロセスは必要に応じて無制限に反復され得る。患者は、臨床応答に応じて、薬物治療の1か月間の試行を中断する前に、数ヶ月間にわたって間欠的に(すなわち1ヶ月間処置を行い、1ヶ月間中断する)、または数ヶ月間にわたって連続的に処置され得る。
本明細書に記載する製剤(すなわち強力な組織浸透性を有する粘膜付着性広域抗生物質)を使用して眼瞼縁疾患およびそれに関連する疾患を処置することによって、涙液機能、および視覚の質の改善がもたらされる。ある実施形態において、組成物は、マイボーム腺機能を正常化すること(すなわち、マイボーム腺分泌物粘度を低下させること、マイボーム腺炎症を低減すること、涙液膜を安定化すること、分泌物の透明性を無色状態まで向上させることおよび腺分泌間の時間(不応期)を短縮すること)によって、眼瞼縁機能を改善し得る。ある実施形態において、本発明の組成物は、マイボーム腺内に浸透して、マイボーム腺機能を改善し、それにより眼表面の涙液膜の補助の有効性を最適化することにより、ドライアイ疾患を処置し得る。ある実施形態において、本発明の組成物は、涙腺内に浸透して、水性涙液の質および量を改善することによって、ドライアイ疾患を処置および予防し得る。
本発明の製剤(すなわち強力な組織浸透性を有する粘膜付着性広域抗生物質)によって与えられる高い組織浸透性および有効性によって、このような製剤は、眼瞼縁に付着して、眼瞼縁において治療的抗菌レベルおよび治療的抗炎症レベルを達成しながら、通常のビヒクルと組み合わされた抗感染剤よりも低い頻度で投薬できるようになる。いくつかの実施形態において、治療投薬レジメンは、以下に限定されるわけではないが、眼瞼温熱療法、眼瞼衛生維持、栄養補助食品、別の抗感染剤、抗炎症剤、またはこれらの任意の組合せを含む1つ以上の対症および/または治療処置と併せて(同時にまたは連続的に)投与される。このような投与は、被験体の眼瞼縁疾患の少なくとも1つの症状を減少させ得て、被験体の眼瞼縁機能を改善することによって作用し得る。
たとえば、前部眼瞼炎の処置では、有効量の本発明の眼科用製剤(たとえば粘膜付着性ビヒクル(たとえばデュラサイト(登録商標))中のテトラサイクリンファミリー抗生物質)を、上述のように、眼瞼衛生維持、眼瞼温熱療法、栄養補助食品(たとえばω−3、魚油、アマニ油)、またはこれらの任意の組合せと併せて(同時にまたは順次)、1日少なくとも1回(たとえば1日1回(QD)または2回(BID)もしくはそれより多く)、少なくとも3カ月まで(すなわち3カ月までまたはそれより長く)局所投与する。
ある実施形態において、本発明の製剤の局所投与は、一時期中断されるが、他の処置(たとえば眼瞼温熱療法、眼瞼衛生維持、処置および抗感染剤もしくは抗炎症剤、栄養補助食品、またはこれらの組合せ)は継続される。たとえば、後部眼瞼炎の処置では、有効量の本発明の眼科用製剤(たとえば粘膜付着性ビヒクル(たとえばデュラサイト(登録商標))中のテトラサイクリンファミリー抗生物質)を、眼瞼衛生維持、眼瞼温熱療法、栄養補助食品(たとえばω−3、魚油、アマニ油)、またはこれらの任意の組合せを含む対症投薬レジメンと併せて(同時にまたは順次)、上述のように1日少なくとも1回(たとえば1日1回(QD)または2回(BID)もしくはそれより多く)、少なくとも3カ月まで(すなわち3カ月までまたはそれより長く)局所投与する。3ヶ月後に著しい改善が見られない場合、本発明の製剤の局所投与は中止され得るか、または有効量の、同一の経口テトラサイクリンファミリー抗生物質、抗炎症性コルチコステロイドおよび/もしくはシクロスポリンを用いて継続し得る。他のある実施形態において、本発明の製剤の局所投与は、必要に応じて1ヶ月おきに再開される。
投薬レジメンで一連の適用が使用される場合、早期の適用の1つ以上が眼組織中で有効濃度に到達しないが、投薬レジメンの後の適用が有効濃度に到達することが可能である。このことは、抗感染剤を有効量で局所適用する範囲内であるものとして企図される。
所与の製剤に含まれる活性剤の有効量、および眼瞼縁機能を改善するための製剤の有効性は、以下の:細隙灯評価、フルオレセイン着色、涙液膜破壊時間、およびマイボーム腺分泌物の質の評価(分泌物粘度、分泌物色、腺の配列、血管分布パターン、血管分布の赤味、角加亢進、後部眼瞼端、睫毛、粘膜皮膚移行部、腺周囲の赤味、腺の形状および腺の高さの1つ以上を評価することによる)の1つ以上によって査定され得る。
製剤中の活性薬剤の有効量は、薬物の吸収、不活性化、および排出速度ならびに、製剤からの活性薬剤の送達速度にも依存する。投薬量の値は緩和される状態の重症度によっても変化し得ることに注目すべきである。任意の特定の被験体に対する具体的な投薬レジメンは、時間と共に、個別の必要性および組成物を投与するかまたは組成物の投与を監督する人の専門的判断に従って調整すべきことがさらに理解されるべきである。代表的には、投薬は当業者に公知の技法を使用して決定されるであろう。
本発明の任意の化合物の投薬量は、患者の症状、年齢および他の物理的特徴、処置または予防される障害の性質および重症度、所望の快適さの程度、投与経路、ならびに補助食品の形態に応じて変化し得る。主題の製剤のいずれも、単回用量または分割用量で投与され得る。本発明の製剤の投薬量は、当業者に公知の技法によってまたは本明細書に教示されるようにただちに決定され得る。
効果的な用量または量、および製剤の投与のタイミングに対する任意の考えられる効果は、本発明の任意の特定の製剤について同定される必要がある場合がある。これは本明細書に記載するような、所定の実験により実現され得る。任意の製剤および処置または予防の方法の有効性は、製剤を投与し、本明細書に記載するように、組成物の有効性および患者に対する快適さの程度と関連する1つ以上の指数を測定して、これらの指数の処置後の値を処置前の同じ指数の値と比較する、またはこれらの指数の処置後の値を別の製剤を使用した同じ指数の値と比較して、投与の効果を判断することによって判断され得る。
所与の患者に最も有効な処置をもたらすであろう任意の特定の製剤の正確な投与時間および量は、特定の化合物の活性、薬物動態、および生物学的利用能、患者の生理学的状態(年齢、性別、疾患の種類および段階、全身的な身体状態、薬物治療の所与の投薬量および種類に対する応答性を含む)、投与経路などに依存するであろう。本明細書に示す指針は、処置を最適化するために、たとえば投与の最適時間および/または量の決定に使用されてよく、そのことは被験体の監視ならびに投薬量および/またはタイミングの調整から成る所定の実験を必要とするに過ぎない。
本発明の組成物に調合された複数の活性薬剤の併用使用によって、異なる成分の効果の開始および持続期間が相補的(complimentary)であり得るために、任意の個別の成分に必要な投薬量が減少され得る。このような併用療法では、異なる活性薬剤は一緒か、または別個に、および同時にまたはその日の異なる時間に送達され得る。
本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許それぞれが参照により組み入れられていることが具体的および個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。矛盾のある場合には、本出願が、本明細書の任意の定義を含めて、優先するであろう。
(均等物)
当業者は、本明細書に記載した本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、または常套的な実験のみを使用して均等物を確認できるであろう。主題発明の具体的な実施形態について議論してきたが、上の明細書は例証であり、限定するものではない。本明細書を検討すれば、本発明の多くの変形が当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、均等物の全範囲を含めた特許請求の範囲と、このような変形を含めた明細書とを参照することによって決定すべきであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図する。
(参照)
本明細書で言及したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許それぞれが参照により組み入れられていることが具体的および個別に示されているかのように、その全体が参照によりここに組み入れられている。矛盾のある場合には、本出願が、本明細書の任意の定義を含めて、優先するであろう。
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Claims (15)

  1. 眼瞼縁疾患を処置する方法であって、その処置を必要とする被験体に:
    a)抗炎症特性を含む抗感染剤と;
    b)粘膜付着性ビヒクルとの組み合わせ
    を含む、有効量の局所眼科用組成物を投与することを含み、該組成物が少なくとも1日に1回、少なくとも3ヶ月まで、該被験体の眼瞼縁に、眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢に局所投与される、方法。
  2. 前記抗感染剤がテトラサイクリンファミリー抗生物質である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記テトラサイクリンファミリー抗生物質がドキシサイクリンである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記テトラサイクリンファミリー抗生物質がテトラサイクリンまたはミノサイクリンである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記粘膜付着性ビヒクルがデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、ゲルライト(登録商標)、セルロース性ポリマー、およびカルボキシ含有ポリマー系から成る群より選択されるポリマー性懸濁化剤を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記カルボキシ含有ポリマー系が架橋カルボキシ含有ポリマーを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記架橋カルボキシ含有ポリマーがポリカルボフィルである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記カルボキシ含有ポリマー系がノベオンAA−1、カルボポル(登録商標)、デュラサイト(登録商標)、またはその組合せから成る群より選択される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記眼瞼縁疾患が眼瞼炎である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記眼瞼炎が前部形の眼瞼炎である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記眼瞼炎が後部形の眼瞼炎である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記被験体の眼瞼縁に、眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢に局所投与後に、眼科用製剤を眼瞼にマッサージすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 眼瞼温熱療法、眼瞼衛生維持、栄養補助食品、またはその任意の組合せから成る群より選択される待機治療を、前記局所眼科用組成物と併せて前記患者に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. ドライアイ疾患を処置する方法であって、その処置を必要とする被験体に:
    a)抗炎症特性を含む抗感染剤と;
    b)粘膜付着性ビヒクルとの組み合わせ
    を含む、有効量の局所眼科用組成物を投与することを含み、該組成物が少なくとも1日に1回、少なくとも3ヶ月まで、該被験体の眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢に局所投与される、方法。
  15. 治療剤を被験体のマイボーム腺開口部に送達する方法であって:
    (a)粘膜付着性ビヒクル中にデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドゲル、ゲルライト(登録商標)、セルロース性ポリマー、カルボキシ含有ポリマー系、およびその任意の組合せから成る群より選択されるポリマー性懸濁化剤を含む治療剤を調合するステップと;
    (b)該被験体の眼瞼縁に、眼前部に、上眼瞼の下に、下眼瞼上に、涙腺または盲嚢にステップ(a)の製剤を投与するステップと;
    (c)ステップ(b)の適用後にステップ(a)の製剤を該被験体の眼瞼にマッサージするステップとを含む、方法。
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