JP2011525491A - Crkl標的化ペプチド - Google Patents

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Abstract

標的化ペプチドの使用を介してCRKLを選択的に標的するための方法および組成物が提供される。標的化ペプチドの使用を介した分泌CRKLの選択的標的化は、たとえば、化学療法化合物、融合タンパク質、または融合構築物を癌細胞または組織に送達するために癌の治療において使用され得る。

Description

本出願は、その開示全体が放棄を伴わずに参照により全体として本明細書に組み入れられる、2008年6月20日出願の米国特許出願第61/074,423号の優先権を主張する。
本発明は、米国国立衛生研究所および国防総省からの助成金PC050442の下に米国政府の援助を得て為された。政府は本発明に一定の権利を有する。
1.発明の技術分野
本発明は、分子医学ならびに治療薬および検出薬の標的化送達の分野に関する。より具体的には、本発明は、癌の治療および検出のために癌を選択的に標的する新規ペプチド配列の同定に関する。
2.関連技術の説明
多くのヒト疾患状態の治療処置は、使用される治療薬の全身毒性によって制限される。特に癌治療薬は非常に低い治療指数を示し、皮膚および骨髄などの迅速に増殖する正常組織は、典型的には腫瘍細胞を死滅させるために使用される濃度よりもそれほど高くない薬剤濃度で影響を受ける。癌の治療および診断は、癌細胞への標的化送達のための組成物および方法の開発によって、より具体的には、癌細胞の表面で認められるが、正常組織では認められない標的に結合する抗体または腫瘍ホーミングペプチドを使用することによって大きく促進される。そのような標的は、他の細胞表面分子と最小限の相同性を有していなければならず、見出すことが困難である。
最近、マウスモデル系において器官または組織標的化ペプチドを同定するためのファージディスプレイライブラリーを使用したインビボ選択システムが開発された。そのようなライブラリーは、ファージ表面タンパク質をコードするcDNAにランダムオリゴヌクレオチドを挿入することによって作製でき、10e9もの順列でユニークペプチドを提示するファージ粒子のコレクションを生成する(Pasqualini and Ruoslahti, 1996, Arap et al., 1998; Pasqualini et al., 2001)。腫瘍担持マウスへのファージディスプレイライブラリーの静脈内投与に続いて、腫瘍異種移植片からファージが回収され、腫瘍に選択的にホーミングすることができる腫瘍標的化ペプチドが特徴づけられた。ファージの外表面で発現される特異的標的化ペプチド配列に基づき、種々のマウス器官または組織の血管床に選択的にホーミングすることができるファージが回収された(Pasqualini and Ruoslahti, 1996)。それらの腫瘍ホーミングペプチドの各々は、腫瘍細胞の表面で選択的に発現されるまたは上方調節される受容体に結合した。
標的化ペプチドへの治療薬の結合は、マウスモデル系において所望器官または組織への薬剤の選択的送達をもたらした。腫瘍の新生血管系に位置する受容体への化学療法剤およびプロアポトーシスペプチドの標的化送達は、腫瘍担持マウスモデルにおいて治療効果の著明な増加と全身毒性の低下を生じさせた(Arap et al., 1998a, 1998b; Ellerby et al., 1999)。
アダプタータンパク質であるCRKL(キナーゼ様タンパク質のニワトリ腫瘍ウイルス10調節因子(chicken tumor virus number 10 regulator of kinase-like protein))は、癌遺伝子v-crkのホモログである。CRKLは一つのSH2ドメインおよび2つの縦列SH3ドメインを含有する。細胞内CRKLは、MAPキナーゼ経路およびインテグリン媒介性経路の両方に関与する(Li et al., 2003; Uemura et al., 1999)。加えて、CRKLは発癌能を有する。
現在、癌患者は常套的に全身化学療法および放射線療法で治療される。しかし、そのような治療はしばしば周知の副作用および限られた効果に悩まされる。明らかに、治療薬および診断薬の標的化送達のための新しい組成物および方法が求められている。
本発明は、標的化ペプチドの使用を介して、分泌されたCRKLを選択的に標的するための方法および組成物を提供することにより、先行技術における欠陥を克服する。標的化ペプチドの使用を介した分泌CRKLの選択的標的化は、たとえば、化学療法化合物、融合タンパク質、または融合構築物を癌細胞もしくは組織に送達するために癌の治療において使用され得る。
癌における細胞膜を越えたシグナル伝達の機構への洞察を得るため、本発明者らは、腫瘍異種移植モデルにおいて機能的タンパク質相互作用を明らかにしようと試みた。本発明者らは、インビボでのファージディスプレイランダムペプチドライブラリーからの連続選択のようなコンビナトリアルアプローチ(Hajitou et al., 2006; Arap et al., 2002; Arap et al., 1998; Arap et al., 2004; Pasqualini and Ruoslahti, 1996)が、腫瘍の微小環境の中での偏りのないリガンド-受容体結合を模倣することによって手がかりを提供し得ると推論した。以下の実施例に示すように、細胞内シグナル伝達タンパク質CRKLと調節性(リガンド結合性ではなく)β1インテグリン細胞外ドメインとの間に特異的相互作用が認められた。驚くべきことに、本発明者らは、CRKLが細胞の外側に位置するβ1インテグリンのプレキシン-セマフォリン-インテグリン(PSI)ドメインを標的し、MAPキナーゼを誘導して、細胞の増殖および生存を促進することを見出した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの結果は、MAPキナーゼ経路を活性化するうえで、SH3含有タンパク質のような細胞内メディエーターのための、認識されていないインテグリン媒介性アウトサイドイン機能(outside-in function)が存在するという着想を支持する。
本発明の一つの局面は、6〜20アミノ酸長であり、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対する対応ベストフィット配列アラインメントに少なくとも25%の類似度を有すると定義されるCRKL結合モチーフを含み、および100アミノ酸長またはそれ未満のアミノ酸長であり、CRKLを発現する細胞に生理的条件下で結合する、単離された腫瘍標的化ペプチドに関連した。CRKL結合モチーフは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%の類似度を有し得る。特定の態様では、ペプチドは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに同一ではない配列を有する。特定の態様では、CRKL結合モチーフは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有し得る。CRKL結合モチーフは、アミノ酸6〜10;10〜29;15〜34;18〜37;36〜55;39〜58;45〜64;94〜113;196〜215;198〜213;203〜222;244〜263;330〜349;377〜396;379〜398;380〜399;398〜417;400〜419;413〜432;447〜466;460〜479;460〜479;464〜483;469〜488;474〜493;475〜494;512〜533;519〜538;551〜570;574〜593;577〜596;579〜598;590〜609;596〜615;613〜632;615〜634;616〜635;644〜663;648〜667;663〜682;674〜693;682〜701;721〜740;727〜746;および779〜798からなる群より選択されるβ1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有し得る。特定の態様では、CRKL結合モチーフは、SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:46からなる群より選択される配列を有する。
特定の態様では、単離ペプチドは、所望する場合、たとえばジ-システイン(すなわちシスチン)の形成を介して環状形態で提供され得る、両末端にシステイン残基(「C」)を有するペプチドのような、環状形態で調製することができる環状ペプチドとしてさらに定義され得る。そのような環状ペプチドは、ペプチド内のジスルフィド結合がそれらを化学、熱または酵素分解に対して著しく安定にするという点で特に重要であり得る。そのような環状ペプチドは、低いアベイラビリティー、タンパク質分解を受けやすいことおよびインビボでの短い半減期が懸念される、治療および診断適用において特に重要であり得る。
前記ペプチドは分子に結合され得る;たとえば、分子はタンパク質であり得、ペプチドは該タンパク質に結合または融合して、天然に存在するタンパク質ではないタンパク質複合体を形成し得る。ペプチドは、該タンパク質の末端に位置し得る。前記分子は、プロアポトーシス物質、抗血管新生物質、サイトカイン、細胞傷害性物質、薬剤、化学療法剤、ホルモン、増殖因子、抗生物質、抗体またはそのフラグメントもしくは一本鎖、生存因子、抗アポトーシス物質、ホルモンアンタゴニスト、抗原、ペプチド、タンパク質、診断薬、放射性同位体、または造影剤であり得る。前記分子は、グラミシジン;マガイニン;メリチン;デフェンシン;セクロピン;(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48);(KLAKKLA)2(SEQ ID NO:49);(KAAKKAA)2(SEQ ID NO:50);(KLGKKLG)3(SEQ ID NO:51);Bcl-2;Bad;Bak;Bax;およびBikからなる群より選択されるプロアポトーシス物質であり得る。特定の態様では、プロアポトーシス物質は(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48)である。SEQ ID NO:48はDアミノ酸からなり得る。
他の態様では、前記分子は、トロンボスポンジン、アンギオスタチン、色素上皮由来因子、アンギオテンシン、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、血小板因子4、IP-10、Gro-β、トロンボスポンジン、2-メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンギオポエチン2、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP-470、エンドスタチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ポリアミン類、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、シグナル伝達ペプチド、アキュチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM-1470、血小板因子4、ミノサイクリン、エンドスタチンXVIII、エンドスタチンXV、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2のC末端ヘモペキシンドメイン、ヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメイン、エンドスタチンとアンギオスタチンの融合タンパク質、エンドスタチンとヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメインの融合タンパク質、インターフェロン-γによって誘導されるモノカイン(Mig)、MigとIP10の融合タンパク質、可溶性FLT-1(fins様チロシンキナーゼ1受容体)、またはキナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)からなる群より選択される抗血管新生物質であり得る。前記分子は、インターロイキン1(IL-1)、IL-2、IL-5、IL-I0、IL-11、IL-12、IL-18、インターフェロン-γ(IF-γ)、IF-α、IF-β、腫瘍壊死因子、またはGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)からなる群より選択されるサイトカインであり得る。
前記ペプチドは、ウイルス、バクテリオファージ、細菌、リポソーム、ミクロ粒子、磁気ビーズ、酵母細胞、または哺乳動物細胞などの巨大分子複合体に結合され得る。特定の態様では、前記ペプチドは、レンチウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、AAV、ワクシニアウイルスまたはヘルペスウイルスなどのウイルスに結合される。前記ペプチドは、マイクロタイターディッシュまたはマイクロチップなどの固体支持体に結合され得る。
本発明のもう一つの局面は、本発明に従ってペプチドを得る工程および構築物を調製するために該ペプチドを分子に結合する工程を含む、構築物を調製する方法に関する。
本発明のさらにもう一つの局面は、本発明に従ってペプチドを得るまたは上記方法によって調製する工程;および該ペプチドを、CRKLを発現する細胞を含む細胞集団に投与し、それによって分子またはタンパク質を該細胞に送達する工程を含む、CRKLを発現する細胞へのペプチド、分子またはタンパク質の送達を標的化する方法に関する。CRKLを発現する細胞は被験者中に存在し得、ペプチドまたはタンパク質融合構築物は薬学的に許容される組成物中で製剤され得、組成物は被験者に投与され得る。被験者はヒト被験者であり得る。特定の態様では、該方法は、検出方法としてさらに定義され、細胞に送達されたペプチド、分子またはタンパク質を検出する工程をさらに含む。被験者は疾患または障害を有し得、該方法は治療方法としてさらに定義され得る。被験者は、前立腺癌、乳癌、肉腫、歯肉癌、舌癌、肺癌、皮膚癌、肝癌、腎癌、眼癌、脳癌、白血病、中皮腫、神経芽細胞腫、頭部癌、頸部癌、膵癌、腎癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳癌、結腸癌および膀胱癌などの癌を有し得る。
本発明の方法および/または組成物に関して論じられる態様は、本明細書中で述べる任意の他の方法または組成物に関しても使用され得る。それゆえ、一つの方法または組成物に関する態様は、本発明の他の方法および組成物にも適用され得る。
本明細書において使用される場合、「1つ(「a」または「an」)」は、1または複数を意味し得る。特許請求の範囲において使用される場合、「含む」という語と共に使用されるときには、「1」という語は1または2以上を意味し得る。
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、別の可能性だけを指すことが明白に指示されていない限りまたは別の可能性が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、別の可能性だけおよび「および/または」を指すという定義を支持する。本明細書で使用される場合、「もう一つの」は、少なくとも第2のもの以上を意味し得る。
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、その値を測定するために使用される装置、方法についての固有の誤差の変動、または試験被験者の間に存在する変動を包含することを指示するために使用される。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい態様を指示するが、本発明の精神および範囲内で様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、説明のためにのみ与えられるものであることを理解されたい。
以下の図面は本明細書の一部であり、本発明の特定の局面をさらに明らかにするために含まれる。本発明は、本明細書において提示する特定の態様の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することにより、さらによく理解され得る。
(図1A)図1A〜C:癌細胞におけるペプチドの標的化およびインターナリゼーション。図1A、ファージペプチド
Figure 2011525491
は、DU145細胞の細胞表面に結合する。配列RGD-4Cを提示するファージクローン(Arap et al., 1998)は陽性対照として、およびfd-tet(挿入物なし)は陰性対照としての役割を果たした。バーは、三重の平板培養からの平均±標準偏差を表す。
(図1B)図1A〜C:癌細胞におけるペプチドの標的化およびインターナリゼーション。図1B、非透過処理KS 1767 細胞の細胞表面上の腫瘍ホーミングファージの免疫局在。
(図1C)図1A〜C:癌細胞におけるペプチドの標的化およびインターナリゼーション。図1C、合成ペプチド
Figure 2011525491
は、WST-1試薬および抗アネキシンV FITC抗体を使用することにより細胞生存率によって測定されるように、DU 145細胞内のインターナリゼーションを可能にする。
(図1D)図1D、合成ペプチド
Figure 2011525491
は、WST-1試薬および抗アネキシンV FITC抗体を使用することにより細胞生存率によって測定されるように、DU 145細胞内のインターナリゼーションを可能にする。
(図2A)図2A〜C:腫瘍ホーミングペプチドとβ1インテグリン(SEQ ID NO:13)の配列アラインメント。図2A、腫瘍ホーミングペプチド
Figure 2011525491
は、プレキシン-セマフォリン-インテグリン(PSI)ドメイン(配列領域26〜78の残基)(SEQ ID NO:12)にマッチする。
(図2B)図2A〜C:腫瘍ホーミングペプチドとβ1インテグリン(SEQ ID NO:13)の配列アラインメント。図2B、8個すべてのβインテグリンサブユニット(SEQ ID NO:14〜21)と
Figure 2011525491
ペプチド配列の配列アラインメント。
(図2C)図2A〜C:腫瘍ホーミングペプチドとβ1インテグリン(SEQ ID NO:13)の配列アラインメント。図2C、すべての腫瘍ホーミングペプチド(表1)とβ1インテグリン(SEQ ID NO:13)の配列アラインメント。
(図3A)図3A〜D:ペプチドによる受容体結合。図3A、組換えHisタグCRKL(rCRKL)、rCRKL-SH3(N)ドメイン、およびrCRKL-SH3(C)ドメインは、腫瘍ホーミングペプチド
Figure 2011525491
に結合する。
(図3B)図3A〜D:ペプチドによる受容体結合。図3B、組換えHisタグrCRKL、rCRKL-SH3(N)ドメイン、およびrCRKL-SH3(C)ドメインは、PSIドメイン内の領域に対応する合成ペプチドNSTFLQEGMPTSA(SEQ ID NO:23)に結合する。
(図3C)図3A〜D:ペプチドによる受容体結合。図3C、PSIドメイン全体(残基22〜82)の組換えgst融合タンパク質。
Figure 2011525491
、直鎖状gst-PSI(残基48〜62、SEQ ID NO:72-TNSTFLQEGMPTSAR)、環状gst-PSI(残基26〜74、
Figure 2011525491
)を結合アッセイのために作製した。直鎖状PSIおよび環状PSI由来の領域はどちらもCRKLに結合する。
(図3D)図3A〜D:ペプチドによる受容体結合。図3D、rCRKL-SH3(C)ドメインへの腫瘍ホーミングペプチドの結合活性は、腫瘍ホーミング
Figure 2011525491
ペプチドによって、PSI由来(NSTFLQEGMPTSA;SEQ ID NO:23)ペプチドまたはSEQ ID NO:1を提示する腫瘍ホーミングファージによって阻害される。バーは、三重のウエルからの平均±標準偏差を表す。
(図4A)図4A〜D:CRKLと結合ペプチドとの間の相互作用。図4A、腫瘍ホーミングペプチドへのrCRKL-SH3(C)の結合特性。SEQ ID NO:1におけるPro→Alaは、SEQ ID NO:25として提供される。CRKL SH3(C)ドメインの突然変異分析。
(図4B)図4A〜D:CRKLと結合ペプチドとの間の相互作用。図4B、腫瘍ホーミングファージ(
Figure 2011525491
を提示する)およびPSI由来ファージ(CNSTFLQEGMPTSAC;SEQ ID NO:23を提示する)は、組換えCRKLに結合する。バーは、三重のウエルからの平均±標準偏差を表す。
(図4C)図4A〜D:CRKLと結合ペプチドとの間の相互作用。図4C、CRKL SH3(C)ドメイン(SEQ ID NO:24)およびHisタグ組換えタンパク質として作製した対照欠失突然変異型の概略図。4つの突然変異型を作製し、試験した:Δ1(欠失残基236〜256)、Δ2(欠失残基257〜277)、Δ3(欠失残基278〜293)、およびΔSH3(C)(欠失残基236〜293)。
(図4D)図4A〜D:CRKLと結合ペプチドとの間の相互作用。図4D、結合領域は、SH3(C)ドメインの残基236〜277の間に位置する。
(図5)CRKLとβ1インテグリンとの間のタンパク質-タンパク質相互作用。組換えgst-PSIタンパク質(800?mまで)によるβ1インテグリンへのCRKL結合の濃度依存的阻害。インテグリンαvβ3およびαvβ5を対照として使用した。三重のウエルからの平均の標準偏差を示す。
(図6A)図6A〜B:CRKLの細胞表面局在。図6A、DU145細胞上のCRKLのフローサイトメトリー分析。モノクローナル抗CRKL(**)、抗β1インテグリン()、および抗AHSG抗体(c、対照)を使用することによって免疫標識を実施した。
(図6B)図6A〜B:CRKLの細胞表面局在。図6B、細胞表面上の個々のCRKL-金粒子(矢印)を示すCRKLの透過型電子顕微鏡検査(TEM)。試験に使用したDU145細胞は、透過処理を行わずに固定した。抗CRKLポリクローナル抗体を試験において使用した。スケールバーを示す。
(図7A)図7A〜C:CRKL分泌。図7A、無血清培地(SFM)で培養した様々な癌細胞型は、非リン酸化形態のCRKLを分泌する。
(図7B)図7A〜C:CRKL分泌。図B、CRKL抗体は、培地中の細胞外形態のCRKLを中和し、細胞の増殖および移動に影響を及ぼす。使用した対照抗体は以下のとおりであった:抗IL-11受容体、抗AHSG、抗grb2、抗α6インテグリン、および免疫前抗体。バーは、二重のウエルからの平均±標準偏差を表す。
(図7C)図7A〜C:CRKL分泌。図C、CRKL抗体は、培地中の細胞外形態のCRKLを中和し、細胞の増殖および移動に影響を及ぼす。使用した対照抗体は以下のとおりであった:抗IL-11受容体、抗AHSG、抗grb2、抗α6インテグリン、および免疫前抗体。バーは、二重のウエルからの平均±標準偏差を表す。
(図8A)図8A〜D:CRKLのsiRNAノックダウンの影響。細胞の増殖(図8A)を示す。三重のウエルからの平均の標準偏差を表す。
(図8B)図8A〜D:CRKLのsiRNAノックダウンの影響。細胞の接着(図8B)を示す。三重のウエルからの平均の標準偏差を表す。
(図8C)図8A〜D:CRKLのsiRNAノックダウンの影響。細胞の移動(図8C)を示す。三重のウエルからの平均の標準偏差を表す。
(図8D)図8A〜D:CRKLのsiRNAノックダウンの影響。図8D、組換えCRKLは、細胞増殖アッセイにおいてCRKL siRNAノックダウン細胞を救済する。DU145細胞をCRKL siRNAで48時間トランスフェクトした後、組換えCRKLを外因的にウエルに添加した。WST-1試薬を用いて細胞増殖を測定した。
(図9A)図9A〜D:腫瘍標的化および機構モデル。図9A、rCRKLへの腫瘍ホーミングまたは対照(挿入物なし、突然変異型
Figure 2011525491
、またはスクランブル
Figure 2011525491
)ファージのインビトロでのファージ結合。
(図9B)図9A〜D:腫瘍標的化および機構モデル。図9B〜D、種々の腫瘍型を担持するマウスにおける標的化または対照ファージ構築物のインビボでのホーミング。腫瘍ホーミングファージは、対照と比較した場合、腫瘍に選択的に局在した。2つの独立した実験からの代表的データを示す。
(図9C)図9A〜D:腫瘍標的化および機構モデル。図9B〜D、種々の腫瘍型を担持するマウスにおける標的化または対照ファージ構築物のインビボでのホーミング。腫瘍ホーミングファージは、対照と比較した場合、腫瘍に選択的に局在した。2つの独立した実験からの代表的データを示す。
(図9D)図9A〜D:腫瘍標的化および機構モデル。図9B〜D、種々の腫瘍型を担持するマウスにおける標的化または対照ファージ構築物のインビボでのホーミング。腫瘍ホーミングファージは、対照と比較した場合、腫瘍に選択的に局在した。2つの独立した実験からの代表的データを示す。
(図10)腫瘍担持マウスにおける標的化阻害。腫瘍ホーミングファージを対照gstまたは組換えgst-CRKLと共にプレインキュベートした後、大きさの適合するヒト腫瘍(DU145由来)を担持するヌードマウスに投与した。組換えCRKLによって前処理した腫瘍ホーミングファージにおいて阻害が認められた。2つの独立した実験からの結果を示す。
(図11)合成腫瘍ホーミングプロアポトーシスペプチドによる腫瘍異種移植片の処理。ヒト前立腺癌異種移植片(DU145由来)を担持する、大きさの適合するヌードマウスのコホートを使用した。合成腫瘍ホーミングプロアポトーシスペプチド
Figure 2011525491
で処置した腫瘍担持マウスにおいて腫瘍増殖の著明な低下が認められた。等モル量の
Figure 2011525491
は、未処置動物と比較して腫瘍体積に差を示さなかった(スチューデント t-検定、p<0.001)。
発明の詳細な説明
本発明は、細胞内シグナル伝達タンパク質CRKLならびにCRKLを標的するペプチドの両方の重要性と機能を裏付けるデータを提供する。細胞膜は、細胞内内容物と細胞外環境との間の厳密で区分された制御を調和させるように進化してきた(Conner and Schmid, 2003; Cho and Stahelin, 2005)。そのようなホメオスタシスを維持するために、膜貫通受容体ファミリーは、シグナル伝達カスケードの複雑な空間的および時間的機構を介して細胞表面を越える双方向性シグナル伝達を媒介する(Martin et al., 2002; Manning et al., 2002)。それゆえ、シグナル伝達に関与するタンパク質の位置は、細胞応答の特異性を提供するための中核をなす(Cho and Stahelin, 2005; Mochly-Rosen, 1995)。たとえば、原型的な機械的シグナル伝達の状況で、インテグリンのような細胞表面受容体は、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ経路のようなシグナル伝達カスケードとのクロストークを可能にするためにリガンド結合を介して誘導される立体配座変化を受ける;従来型のインテグリンリガンドは、それらの細胞外ドメインに対する細胞外マトリックス(ECM)タンパク質およびそれらの細胞内ドメインに対する細胞骨格タンパク質を含む(Martin et al., 2002; Manning et al., 2002; Hunter, 2000; Pawson and Scott, 1997; Blume-Jensen and Hunter, 2001)。
癌における細胞膜を越えたシグナル伝達の機構への洞察を得るため、本発明者らは、腫瘍異種移植モデルにおいて機能的タンパク質相互作用を明らかにしようと試みた。本発明者らは、インビボでのファージディスプレイランダムペプチドライブラリーからの連続選択のようなコンビナトリアルアプローチ(Hajitou et al., 2006; Arap et al., 2002; Arap et al., 1998; Arap et al., 2004; Pasqualini and Ruoslahti, 1996)が、腫瘍の微小環境の中での偏りのないリガンド-受容体結合を模倣することによって手がかりを提供し得ると推論した。以下のデータは、細胞内シグナル伝達タンパク質CRKLと調節性(リガンド結合性ではなく)β1インテグリン細胞外ドメインとの間に特異的相互作用が存在することを指示する。驚くべきことに、本発明者らは、CRKLが細胞の外側に位置するβ1インテグリンのプレキシン-セマフォリン-インテグリン(PSI)ドメインを標的し、MAPキナーゼを誘導して、細胞の増殖および生存を促進することを見出した。これらの結果は、MAPキナーゼ経路を活性化するうえでの、SH3含有タンパク質のような細胞内メディエーターのための認識されていないインテグリン媒介性アウトサイドイン機能を示唆する。
この研究において提示した総合的な機能性データと一致して、細胞外CRKLは、細胞の増殖および移動の引き金を引くことにより、腫瘍微小環境においてまだ認識されていない役割を果たすと考えられる。CRKL自体の細胞内画分も、外因性rCRKLの添加によってリン酸化されるので、細胞外CRKL(分泌および/または放出された)は、おそらく腫瘍内の自己分泌またはパラ分泌因子として機能し得ると推測され得る。これらの結果は、シグナル伝達分子と細胞接着受容体との間での異例の新しい関連性を確認するものであり、細胞表面でのそれらの関係が細胞外環境からのシグナル伝達事象を開始させ得る。
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、インテグリン活性化についての「スイッチブレード(switchblade)」構造モデル(Takagi et al., 2002)に基づき、本発明者らは、細胞外CRKLがβ1インテグリン鎖のPSIドメインへの結合を介してインテグリンを活性化することができる(不活性な屈曲立体配座から活性な伸長立体配座へ)選択的経路を提案する。本明細書で提示する多段階モデルにおいて(図6)、以下のデータは、細胞内非リン酸化CRKLが非古典的能動輸送(おそらくABC輸送体を介して)によって分泌され、および/または細胞死を介して腫瘍微小環境に放出され(段階1)、そのSH3ドメインが腫瘍細胞表面のβ1インテグリンのPSIドメインに特異的に結合する(段階2)ことを明らかにする。結合後、β1インテグリンの立体配座は屈曲から伸長(活性)へと変化し、それによりインテグリン媒介性経路(段階3および4)および/またはMAPキナーゼ経路(段階5〜7)内の標的タンパク質の下流リン酸化を誘導し、最終的に腫瘍細胞の移動および増殖に影響を及ぼす(段階8)。これらの所見と一致して、様々な核タンパク質(Sinclair and O'Brien, 2002; Hovanessian et al., 2000)、転写因子(Monferran et al., 2004)、およびストレス応答シャペロン(Arap et al., 2004; Shin et al., 2003; Mintz et al., 2003)を含む、同じく細胞表面で検出され得る他の細胞内分子についていくつかの最近の報告があった。以下の実施例で示すものに加えて他の機能的リガンド-受容体相互作用が、細胞外環境で働く分泌および/または放出されたシグナル伝達分子と細胞接着受容体との間に存在すると考えられ、その相互作用は一般的な生物学的重要性を有し得る。
本発明は、たとえば、6〜20アミノ酸長であり、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対する対応ベストフィット配列アラインメントに、たとえば少なくとも25%の類似度を有すると定義されるCRKL結合モチーフを含み、および100アミノ酸長またはそれ未満のアミノ酸長であり得、CRKLを発現する細胞に生理的条件下で結合する、単離された腫瘍標的化ペプチドを提供する。CRKL結合モチーフは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%の類似度を有し得る。特定の態様では、ペプチドは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに同一ではない配列を有する。特定の態様では、CRKL結合モチーフは、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有し得る。CRKL結合モチーフは、アミノ酸10〜29;15〜34;18〜37;36〜55;39〜58;45〜64;94〜113;196〜215;198〜213;203〜222;244〜263;330〜349;377〜396;379〜398;380〜399;398〜417;400〜419;413〜432;447〜466;460〜479;460〜479;464〜483;469〜488;474〜493;475〜494;512〜533;519〜538;551〜570;574〜593;577〜596;579〜598;590〜609;596〜615;613〜632;615〜634;616〜635;644〜663;648〜667;663〜682;674〜693;682〜701;721〜740;727〜746;および779〜798からなる群より選択されるβ1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有し得る。特定の態様では、CRKL結合モチーフは、SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:46からなる群より選択される配列を有する。特定の態様では、単離ペプチドは環状ペプチドとしてさらに定義され得る。
様々なCRKL結合ペプチドが本発明に関して使用され得る。CRKL結合ペプチドの非限定的なリストを以下に提供する(SEQ ID NO:1〜46)。
(表1)腫瘍ホーミングペプチドはβ1インテグリンと類似度を共有する
Figure 2011525491
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定義
「標的化部分」は、器官、組織、特定細胞型、疾患組織または腫瘍を含む、動物において特定位置への物質の局在化または結合を増強するために使用され得る様々な種類の親和性試薬を包含する用語である。標的化部分は、ペプチド、ペプチドミメティック、ポリペプチド、抗体、抗体様分子、核酸、アプタマー、およびそのフラグメントを含み得る。特定の態様では、標的化部分は、細胞外でCRKLを発現する、すなわち細胞表面と結合しているまたは周囲の細胞外マトリックスと結合しているCRKLを発現する細胞への物質の局在化を増強する。本発明の標的化部分、たとえば標的化ペプチドならびにその変異体およびフラグメントの選択的結合は、標的化部分が標的(たとえばCRKL)に結合し、無関係なタンパク質には有意に結合しない場合である。標的化部分は、標的と実質的に相同でない他のタンパク質にも結合する場合でも、そのようなタンパク質が抗体のペプチド標的のフラグメントまたはドメインと相同性を共有する限り、まだ選択的に結合するとみなされる。この場合、標的に結合する標的化部分は、ある程度の交差反応性にもかかわらず、まだ選択的であると理解される。典型的には、交差反応性の程度を測定し、標的への結合から区別することができる。
「腫瘍標的化ペプチド」は、6〜20アミノ酸長であり、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対する対応ベストフィット配列アラインメントに少なくとも25%の類似度を有すると定義されるCRKL結合モチーフを含み、および100アミノ酸長またはそれ未満のアミノ酸長であり、細胞外CRKLとの特異的結合を含む、生理的条件下での器官、組織または細胞型への選択的局在化によって特徴づけられるペプチドである。選択的局在化は、たとえば以下で開示する方法によって測定でき、その方法では、推定上の標的化ペプチド配列がファージの外表面で提示されるタンパク質に結合する。
「被験者」は、一般に哺乳動物を指す。特定の好ましい態様では、被験者はマウスまたはウサギである。さらに一層好ましい態様では、被験者はヒトである。
CRKL(キナーゼ様タンパク質のニワトリ腫瘍ウイルス10調節因子)
慢性骨髄性白血病(CML)は、顆粒球の制御されない増殖が起こる造血器悪性腫瘍である。CMLは、エイブルソン(abl)癌原遺伝子を切断点クラスター領域(bcr)の3'末端に転移させる、9番染色体と22番染色体の相互転座によって特徴づけられることが多い。これは、腫瘍形成性で、CML細胞の増殖のために必要なp210. sup. bcr-abl融合タンパク質をコードするキメラbcr-abl遺伝子を産生する(Szczylik et al., 1991; Skorski et al., 1994; Tari et al., 1994; McGahon et al., 1994; Bedi et al., 1994)。
bcr-ablタンパク質は、bcrの最初のエクソン内に認められる177位のチロシンアミノ酸で自己リン酸化することができる。リン酸化した場合、bcr-ablタンパク質のbcrドメインは、アダプタータンパク質である増殖因子受容体結合タンパク質2(Grb2)のSH2ドメインに結合する。SH3ドメインを介して、Grb2は、rasタンパク質の活性化を生じさせるヒトSon of sevenless 1(hSos1)GDP/GTP交換因子に結合する。bcr-ablタンパク質はまた、正常bcrタンパク質内に認められる177位のチロシンアミノ酸をトランスリン酸化することができる。正常bcrタンパク質がアミノ酸177でチロシンリン酸化される場合、同時にGrb2と複合体化すると考えられる。bcr-ablタンパク質が発現される場合p46およびp52 Shc(Puil et al., 1994)タンパク質もチロシンリン酸化される。これらのShcタンパク質もGrb2と安定な複合体を形成することが示された。それゆえ、Grb2は、bcr-ablタンパク質によって媒介される腫瘍形成において非常に重要な役割を果たすと思われる(Puil et al., 1994; Pendergast et al., 1993)。
もう一つのアダプタータンパク質、Crk様(CRKL)もbcr-ablに結合することが認められた。Grb2と異なり、CRKLはablドメインを介してbcr-ablに結合する。そのSH3ドメインを介して、CRKLはまた、やはりRasタンパク質の活性化を導く、hSos1にも結合することができる(ten Hoeve et al., 1994a and 1994b)。そこで、Grb2およびCRKLアダプタータンパク質を通して、bcr-ablタンパク質は、腫瘍形成を導くことが公知であるrasの活性化に結びつけられた。rasタンパク質の発現が阻害される場合、CML細胞の増殖も阻害される。それゆえ、bcr-ablタンパク質がCMLの増殖を促進する腫瘍経路の一つは、rasタンパク質を活性化することによる(Skorski et al., 1994 and 1995)。
本発明者らは、細胞内シグナル伝達タンパク質CRKLと調節性(リガンド結合性ではなく)β1インテグリン細胞外ドメインとの間に特異的相互作用が認められることを見出した。驚くべきことに、本発明者らは、従来は細胞内アダプターとして公知のCRKLが、細胞の外側に位置するβ1インテグリンのプレキシン-セマフォリン-インテグリン(PSI)ドメインを標的し、MAPキナーゼを誘導して、細胞の増殖および生存を促進することを認めた。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの結果は、MAPキナーゼ経路を活性化するうえで、SH3含有タンパク質のような細胞内メディエーターのための、認識されていないインテグリン媒介性アウトサイドイン機能が存在するという着想を裏付ける。
配列アラインメント分析
配列類似度は、2つのヌクレオチド配列の間の配列同一性と定義されるが、必ずしも2つの配列が共通の起源を有することを指示しない。たとえば、25%の類似度は、2つのヌクレオチド配列において100のヌクレオチド位置のうち25が同一であることを意味する。本発明における「ベストフィット配列アラインメント」は、2以上の配列のベストマッチする区分的(ローカル)アラインメントまたはグローバルアラインメントを見出すために当業者に公知の配列アラインメント法を使用することによる配列分析と定義される。当業者に公知のように、様々なアルゴリズム、たとえばBLASTアラインメントなどが配列比較のために使用され得る。
腫瘍ホーミングファージペプチドとβ1インテグリンの間の配列アラインメントは、本明細書において開示されるまたは開示されるであろう技術を用いて分析され得る。本発明者らは、RELIC50に基づきPerl 5.8.1においてコード化されたPeptide Matchソフトウエアを使用した。このプラグラムは、Nタンパク質末端からCタンパク質末端へと1残基ずつシフトして、親和性選択されたペプチド配列と標的タンパク質配列との間であらかじめ定められた残基ウインドウサイズに基づいて類似度を計算する。各残基についてのペプチド-タンパク質類似度スコアは、稀アミノ酸表示について調整するように修正されたBLOSUM62アミノ酸置換マトリックスに基づいて計算された。閾値は、非特異的バックグラウンドマッチから有意の類似度を識別するためにペプチドとタンパク質セグメントの間で少なくとも4つの同一残基と設定され得る。
タンパク質およびペプチド
特定の態様では、本発明は、少なくとも一つのタンパク質またはペプチドを含む新規組成物に関する。本明細書において使用される場合、タンパク質またはペプチドは、一般に、遺伝子から翻訳された完全長配列までの、約200アミノ酸より大きいタンパク質;約100アミノ酸より大きいポリペプチド;および/または約3〜約100アミノ酸のペプチドを指すが、それらに限定されるわけではない。便宜上、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
特定の態様では、少なくとも一つのタンパク質またはペプチドの大きさは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1750、約2000、約2250、約2500またはそれ以上のアミノ酸残基を含み得るが、それらに限定されるわけではない。たとえば、標的化ペプチドは、タンパク質を生じさせる融合タンパク質中に存在し得る。
一部の局面では、本発明において定義される腫瘍標的化ペプチドの大きさは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20アミノ酸残基を含み得るが、それらに限定されるわけではない。他の局面では、腫瘍標的化ペプチドの大きさは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30アミノ酸残基、またはそれらから導かれる任意の範囲を含み得るが、それらに限定されるわけではない。特定の態様では、20アミノ酸以下の長さのペプチド、または6〜10アミノ酸長のペプチドが使用され得る。
本明細書において使用される場合、「アミノ酸残基」は、当技術分野において公知の任意の天然に存在するアミノ酸、任意のアミノ酸誘導体または任意のアミノ酸ミミックを指す。特定の態様では、タンパク質またはペプチドの残基は連続的であり、アミノ酸残基の配列を中断するいかなる非アミノ酸も含まない。他の態様では、配列は1または複数の非アミノ酸部分を含み得る。特定の態様では、タンパク質またはペプチドの残基の配列は、1または複数の非アミノ酸部分によって中断され得る。
従って、「タンパク質またはペプチド」という用語は、天然に存在するタンパク質において認められる20の共通アミノ酸の少なくとも一つ、または、Aad、2-アミノアジピン酸;EtAsn、N-エチルアスパラギン;Baad、3-アミノアジピン酸、Hyl、ヒドロキシリシン;Bala、β-アラニン、β-アミノ-プロピオン酸;AHyl、アロ-ヒドロキシリシン;Abu、2-アミノ酪酸;3Hyp、3-ヒドロキシプロリン;4Abu、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸;4Hyp、4-ヒドロキシプロリン;Acp、6-アミノカプロン酸、Ide、イソデスモシン;Ahe、2-アミノヘプタン酸;AIle、アロ-イソロイシン;Aib、2-アミノイソ酪酸;MeGly、N-メチルグリシン、サルコシン;Baib、3-アミノイソ酪酸;MeIle、N-メチルイソロイシン;Apm、2-アミノピメリン酸;MeLys、6-N-メチルリシン;Dbu、2,4-ジアミノ酪酸;MeVal、N-メチルバリン;Des、デスモシン;Nva、ノルバリン;Dpm、2,2'-ジアミノピメリン酸;Nle、ノルロイシン;Dpr、2,3-ジアミノプロピオン酸;Orn、オルニチン;およびEtGly、N-エチルグリシンを含むがそれらに限定されるわけではない、少なくとも一つの修飾もしくは異常アミノ酸を含有するアミノ酸配列を包含する。
タンパク質またはペプチドは、標準的な分子生物学技術を介したタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然供給源からのタンパク質もしくはペプチドの単離、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成を含む、当業者に公知の任意の技術によって作製され得る。様々な遺伝子に対応するヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列がこれまでに開示されており、当業者に公知のコンピュータデータベースで見出され得る。一つのそのようなデータベースは、National Center for Biotechnology Information's Genbank and GenPeptデータベース(ワールドワイドウエブ:ncbi.nlm.nih.gov)である。公知の遺伝子についてのコード領域は、本明細書において開示される技術または当業者に公知であろう技術を使用して増幅および/または発現され得る。あるいは、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの様々な市販製剤が当業者に公知である。
融合タンパク質
タンパク質複合体の他の態様は、融合タンパク質に関する。これらの分子は、一般に、第2のポリペプチドまたはタンパク質の全部または一部にNまたはC末端で連結された、腫瘍標的化ペプチドの全部または実質的な部分を有する。たとえば、融合は、異種宿主におけるタンパク質の組換え発現を可能にする他の種からのリーダー配列を使用し得る。もう一つの有用な融合は、たとえば融合タンパク質の精製を容易にするための、抗体エピトープなどの免疫学的に活性なドメインの付加を含む。融合の接合部またはその近傍に切断部位を含めることにより、精製後の外来性ポリペプチドの除去が容易になる。他の有用な融合は、酵素からの活性部位、グリコシル化ドメイン、細胞標的化シグナルまたは膜貫通領域などの機能性ドメインの連結を含む。好ましい態様では、本発明の融合タンパク質は、治療タンパク質またはペプチドに連結されたLPR標的化ペプチドを含む。融合タンパク質に組み込み得るタンパク質またはペプチドの例は、細胞増殖抑制性タンパク質、殺細胞性タンパク質、プロアポトーシス物質、抗血管新生物質、ホルモン、サイトカイン、増殖因子、ペプチド薬、抗体、Fabフラグメント抗体、抗原、受容体タンパク質、酵素、レクチン、MHCタンパク質、細胞接着タンパク質および結合タンパク質を含む。これらの例は限定を意図するものではなく、本発明の範囲内で事実上任意のタンパク質またはペプチドが、標的化ペプチドを含む融合タンパク質に組み込まれ得ることを企図する。融合タンパク質を作製する方法は当業者に周知である。そのようなタンパク質は、たとえば、二官能性架橋剤を使用する化学結合によって、完全な融合タンパク質の新規合成によって、または第2のペプチドもしくはタンパク質をコードするDNA配列への、標的化ペプチドをコードするDNA配列の結合およびそれに続く無傷融合タンパク質の発現によって、生産され得る。
タンパク質の精製
特定の態様では、タンパク質またはペプチドは、単離または精製され得る。タンパク質の精製技術は当業者に周知である。これらの技術は、一つのレベルでは、細胞、組織または器官の均質化およびポリペプチド画分と非ポリペプチド画分への粗分別を含む。対象となるタンパク質またはポリペプチドは、部分的または完全な精製(または均質への精製)を達成するためにクロマトグラフィーおよび電気泳動技術を使用してさらに精製され得る。純粋なペプチドの調製に特に適する分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、免疫アフィニティークロマトグラフィーおよび等電点電気泳動である。アフィニティークロマトグラフィーによる受容体タンパク質精製の一例は、そのテキスト全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,206,347号に開示されている。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速液体クロマトグラフィー(FPLC)、さらには高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)である。
精製タンパク質またはペプチドは、他の成分から単離可能な組成物を指すことが意図されており、該タンパク質またはペプチドは、その天然に入手可能な状態に比べて任意の程度に精製されている。それゆえまた、単離または精製タンパク質またはペプチドは、それが天然に存在し得る環境から自由であるタンパク質またはペプチドを指す。一般に、「精製された」は、様々な他の成分を除去するために分別に供されたが、その発現される生物活性を実質的に保持するタンパク質またはペプチド組成物を指す。「実質的に精製された」という用語が使用される場合、この指定は、タンパク質またはペプチドが組成物の主要成分を形成する、たとえば組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれ以上を構成する組成物を指す。
タンパク質またはペプチドの精製の程度を定量するための様々な方法が、本発明の開示に照らして当業者に公知である。これらは、たとえば、活性画分の比活性を測定する工程、またはSDS/PAGE分析によって画分内のポリペプチドの量を評価する工程を含む。画分の純度を評価するための好ましい方法は、画分の比活性を計算し、それを初期抽出物の比活性と比較し、そのようにして「精製倍数(-fold purification number)」によって評価される純度を計算することである。活性の量を表すのに使用される実際の単位は、言うまでもなく、精製を追跡するために選択される特定アッセイ技術、および発現されるタンパク質またはペプチドが検出可能な活性を示すか否かに依存する。
タンパク質精製における使用に適する様々な技術が当業者に周知である。これらは、たとえば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体などを用いた沈殿、または熱変性とそれに続く遠心分離;クロマトグラフィー工程、たとえばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーなど;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこれらと他の技術の組合せを含む。当技術分野において一般に公知であるように、様々な精製工程を実施する順序は変更されてもよく、または特定の工程が省略されてもよく、そしてそれでもなお実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの調製のために適切な方法を生じると考えられる。
タンパク質またはペプチドが常にそれらの最も精製された状態で提供される一般的な必要性はない。実際に、実質的にそれほど精製されていない生成物が特定の態様において有用性を有することが考慮される。部分的な精製は、より少ない精製工程を組み合わせて使用することによって、または同じ一般的精製スキームの異なる形態を利用することによって達成され得る。たとえば、HPLC装置を利用して実施される陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般に低圧クロマトグラフィーシステムを利用する同じ技術よりも高い「-倍数」の精製を生じさせることが理解される。より低い程度の相対的精製を示す方法は、タンパク質生成物の総回収率においてまたは発現されるタンパク質の活性を維持するうえで利点を有し得る。
アフィニティークロマトグラフィーは、単離される物質とそれが特異的に結合し得る分子との間の特異的な親和性に基づくクロマトグラフィー手順である。これは受容体-リガンド型の相互作用である。カラム材料は、結合パートナーの一方を不溶性マトリックスに共有結合的にカップリングさせることによって合成される。次に、カラム材料は、溶液からの物質を特異的に吸着することができる。溶出は、条件を結合が起こらないものに変更する(たとえばpH、イオン強度、温度などの変更)ことによって生じる。マトリックスは、それ自体が任意の有意の程度に分子を吸着せず、且つ幅広い化学的、物理的および熱安定性を有する物質であるべきである。リガンドは、その結合特性に影響を及ぼさないようにカップリングされるべきである。リガンドはまた、比較的強固な結合を提供すべきである。そして、試料またはリガンドを破壊することなく物質を溶出することが可能であるべきである。
合成ペプチド
本発明の標的化ペプチドは、それらの比較的小さなサイズのゆえに、従来の技術に従って溶液中でまたは固体支持体上で合成することができる。様々な自動合成装置が市販されており、公知のプロトコールに従って使用できる。たとえば、各々が参照により本明細書に組み入れられる、Stewart and Young, 1984; Tam et al., 1983; Merrifield, 1986; Barany and Merrifield, 1979参照。通常、約6から最大約35〜50アミノ酸の短いペプチド配列は、そのような方法によって容易に合成することができる。あるいは、組換えDNA技術が使用でき、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、適切な宿主細胞に形質転換するかまたはトランスフェクトして、発現に適した条件下で培養する。
治療または診断複合体
これらの方法を用いて同定される標的化部分は、複合体をマウスモデル系における所望器官、組織または細胞型に選択的に送達するために、治療薬または診断薬を含む様々な物質にカップリングまたは結合され得る。本発明の態様は、疾患または障害、好ましくは癌の治療を対象とする。本発明における腫瘍標的化ペプチドは分子に結合され得る;たとえば、分子はタンパク質であり得、ペプチドは該タンパク質に結合または融合して、天然に存在するタンパク質ではないタンパク質複合体を形成し得る。ペプチドは、該タンパク質の末端に位置し得る。前記分子は、プロアポトーシス物質、抗血管新生物質、サイトカイン、細胞傷害性物質、薬剤、化学療法剤、ホルモン、増殖因子、抗生物質、抗体またはそのフラグメントもしくは一本鎖、生存因子、抗アポトーシス物質、ホルモンアンタゴニスト、抗原、ペプチド、タンパク質、診断薬、放射性同位体、または造影剤であり得る。
腫瘍標的化ペプチドは、ウイルス、バクテリオファージ、細菌、リポソーム、ミクロ粒子、磁気ビーズ、酵母細胞、または哺乳動物細胞などの巨大分子複合体に結合され得る。特定の態様では、前記ペプチドは、レンチウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、AAV、ワクシニアウイルスまたはヘルペスウイルスなどのウイルスに結合される。前記ペプチドは、マイクロタイターディッシュまたはマイクロチップなどの固体支持体に結合され得る。
A.プログラムされた細胞死の調節因子
アポトーシス、またはプログラムされた細胞死は、正常な胚発生、成体組織におけるホメオスタシスの維持、および発癌の抑制のために不可欠な過程である(Kerr et al., 1972)。Bcl-2ファミリーのタンパク質およびICE様プロテアーゼは、他の系におけるアポトーシスの重要な調節因子およびエフェクターであることが明らかにされている。濾胞性リンパ腫に関連して発見されたBcl-2タンパク質は、多様なアポトーシス刺激に応答してアポトーシスを制御し、細胞の生存を増強するうえで顕著な役割を果たす(Bakhshi et al., 1985; Cleary and Sklar, 1985; Cleary et al., 1986; Tsujimoto et al., 1985; Tsujimoto and Croce, 1986)。進化的に保存されたBcl-2タンパク質は、現在、デスアゴニストまたはデスアンタゴニストとして分類され得る、関連タンパク質ファミリーの成員であることが認識されている。
その発見後、Bcl-2は、様々な刺激によって誘発される細胞死を抑制するように働くことが示された。また、現在では、共通の構造相同性および配列相同性を共有するBcl-2細胞死調節タンパク質のファミリーが存在することも明らかである。これらの種々のファミリー成員は、Bcl-2と類似の機能を有する(たとえばBclXL、BclW、BclS、Mcl-1、A1、Bfl-1)か、またはBcl-2の機能を中和して、細胞死を促進する(たとえばBax、Bak、Bik、Bim、Bid、Bad、Harakiri)ことが示された。
プロアポトーシス物質の例は、グラミシジン;マガイニン;メリチン;デフェンシン;セクロピン;(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48);(KLAKKLA)2(SEQ ID NO:49);(KAAKKAA)2(SEQ ID NO:50);(KLGKKLG)3(SEQ ID NO:51);Bcl-2;Bad;Bak;Bax;およびBikである。特定の態様では、前記プロアポトーシス物質は(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48)である。SEQ ID NO:48はDアミノ酸からなり得る。
B.血管新生阻害剤
腫瘍細胞の増殖は、癌の進行を伴う、広範な腫瘍血管新生に大きく依存する。そこで、抗血管新生物質による新しい血管形成の阻害と既存血管の標的化破壊が、腫瘍治療への有効で比較的非毒性のアプローチとして導入された(Arap et al., 1998; Arap et al., 1998; Ellerby et al., 1999)。様々な抗血管新生物質および/または血管阻害剤が公知である(たとえば、Folkman, 1997; Eliceiri and Cheresh, 2001)。
特定の態様では、本発明は、抗血管新生物質、たとえばトロンボスポンジン、アンギオスタチン、色素上皮由来因子、アンギオテンシン、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、血小板因子4、IP-10、Gro-β、トロンボスポンジン、2-メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンギオポエチン2、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP-470、エンドスタチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ポリアミン類、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、シグナル伝達ペプチド、アキュチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM-1470、血小板因子4、ミノサイクリン、エンドスタチンXVIII、エンドスタチンXV、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2のC末端ヘモペキシンドメイン、ヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメイン、エンドスタチンとアンギオスタチンの融合タンパク質、エンドスタチンとヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメインの融合タンパク質、インターフェロン-γによって誘導されるモノカイン(Mig)、MigとIP10の融合タンパク質、可溶性FLT-1(fins様チロシンキナーゼ1受容体)、またはキナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)などに機能的に連結された標的化部分の投与を利用し得る。前記分子は、インターロイキン1(IL-1)、IL-2、IL-5、IL-10、IL-11、IL-12、IL-18、インターフェロン-γ(IF-γ)、IF-α、IF-β、腫瘍壊死因子、またはGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)からなる群より選択されるサイトカインであり得る。
C.細胞傷害性物質
化学療法剤(細胞傷害性物質)は、本発明の標的化ペプチドに結合されて、癌を含む様々な過剰増殖性または腫瘍性疾患状態を治療するために使用され得る。潜在的に使用され得る化学療法剤(細胞傷害性物質)は、5-フルオロウラシル、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、シクロフォスファミド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エストロゲン受容体結合物質、エトポシド(VP16)、ファルネシル-プロテイントランスフェラーゼ阻害剤、ゲムシタビン、イフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、マイトマイシン、ナベルビン、ニトロソ尿素、プリコマイシン、プロカルバジン、ラロキシフェン、タモキシフェン、タキソール、テマゾロミド(DTICの水性形態)、トランスプラチナ、ビンブラスチンおよびメトトレキサート、ビンクリスチン、または前述の任意の類似体もしくは誘導変異体を含むが、それらに限定されるわけではない。大部分の化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗腫瘍性抗生物質、コルチコステロイドホルモン、有糸分裂阻害剤、およびニトロソ尿素類、ホルモン剤、その他の作用物質、およびその任意の類似体または誘導変異体の分類に属する。
化学療法剤および投与の方法、用量などは当業者に周知であり(たとえば、関連部分が参照により本明細書に組み入れられる、the “Physicians Desk Reference”, Goodman & Gilman's “The Pharmacological Basis of Therapeutics” and in “Remington's Pharmaceutical Sciences” 15th ed., pp 1035-1038 and 1570-1580参照)、本明細書における開示に照らして本発明と組み合され得る。用量の多少の変動は、治療される被験者の状態に依存して必然的に起こる。投与の責任者が、いずれの場合も、個々の被験者にとっての適切な用量を決定する。言うまでもなく、本明細書において述べるすべての用量および物質は限定ではなく例示であり、他の用量または物質も特定患者または適用のために当業者によって使用され得る。これらの点の中間の任意の用量またはそこから導かれる範囲も、本発明において有用であると予想される。
D.アルキル化剤
アルキル化剤は、ゲノムDNAと直接相互作用して細胞の増殖を妨げる薬剤である。このカテゴリーの化学療法剤は、細胞周期のすべての期に影響を及ぼす物質であり、すなわちそれらは期特異的ではない。アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素またはトリアジンを含み得るが、それらに限定されるわけではない。それらは、ブスルファン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド(シトキサン)、ダカルバジン、イフォスファミド、メクロレタミン(ムスタルゲン)、およびメルファランを含むが、それらに限定されるわけではない。
E.代謝拮抗物質
代謝拮抗物質は、DNAおよびRNA合成を混乱させる。アルキル化剤と異なり、それらはS期の細胞周期に特異的に影響を及ぼす。代謝拮抗物質は、葉酸類似体、ピリミジン類似体およびプリン類似体ならびに関連する阻害性化合物などの様々なカテゴリーに分類され得る。代謝拮抗物質は、5-フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(Ara-C)、フルダラビン、ゲムシタビン、およびメトトレキサートを含むが、それらに限定されるわけではない。
F.天然生成物
天然生成物は、一般に、もともとは天然供給源から単離され、薬理学的活性を有すると同定された化合物を指す。そのような化合物、その類似体および誘導体は、当業者に公知の任意の技術によって天然供給源から単離され得る、化学合成され得るまたは組換え生産され得る。天然生成物は、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍性抗生物質、酵素および生物学的応答調節剤のようなカテゴリーを含む。
有糸分裂阻害剤は、植物アルカロイド類、および細胞分裂または有糸分裂のために必要なタンパク質合成を阻害することができる他の天然物質を含む。それらは細胞周期の特定の期において作用する。有糸分裂阻害剤は、たとえばドセタキセル、エトポシド(VP16)、テニポシド、パクリタキセル、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンを含む。
タキソイドは、イチイの木、タキサス・ブレビフォリア(Taxus brevifolia)の樹皮から単離された関連化合物のクラスである。タキソイドは、ドセタキセルおよびパクリタキセルなどの化合物を含むが、それらに限定されるわけではない。パクリタキセルはチューブリンに結合し(ビンカアルカロイド類によって使用されるのとは異なる部位で)、微小管の構築を促進する。
ビンカアルカロイド類は、薬学的活性を有すると同定された植物アルカロイドの一種である。それらは、ビンブラスチン(VLB)およびビンクリスチンなどの化合物を含む。
G.抗生物質
特定の抗生物質は、抗菌活性と細胞傷害活性の両方を有する。これらの薬剤はまた、酵素および有糸分裂を化学的に阻害することによってまたは細胞膜を変化させることによってDNAに干渉する。これらの薬剤は期特異的ではなく、そのため細胞周期のすべての期で作用する。細胞傷害性抗生物質の例は、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびイダルビシンを含むが、それらに限定されるわけではない。
H.その他の細胞傷害性物質
先のカテゴリーに属さないその他の細胞傷害性物質は、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、アムサクリン、L-アスパラギナーゼ、およびトレチノインを含むが、それらに限定されるわけではない。白金配位錯体は、カルボプラチンおよびシスプラチン(cis-DDP)のような化合物を含む。例示的なアントラセンジオンはミトキサントロンである。例示的な置換尿素はヒドロキシ尿素である。例示的なメチルヒドラジン誘導体はプロカルバジン(N-メチルヒドラジン、MIH)である。これらの例は限定ではなく、任意の公知の細胞傷害性、細胞増殖抑制性または殺細胞性物質が、本発明の範囲内で標的化ペプチドに結合され得、標的器官、組織または細胞型に投与され得ることが企図されている。
I.造影剤および放射性同位体
特定の態様では、本発明の標的化部分は、様々な疾患器官、組織または細胞型の画像化および診断のために使用される造影剤に結合され得る。多くの適切な造影剤が、タンパク質またはペプチドへのそれらの結合のための方法と同様に、当技術分野において公知である(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,021,236号および同第4,472,509号参照)。特定の結合方法は、たとえば、タンパク質またはペプチドに結合されたDTPAのような有機キレート化剤を用いる、金属キレート錯体の使用を含む(米国特許第4,472,509号)。タンパク質またはペプチドはまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で酵素と反応させ得る。フルオレセインマーカーとの複合体は、これらのカップリング剤の存在下でまたはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
造影剤として潜在的に使用され得る常磁性イオンの非限定的な例は、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)を含み、ガドリニウムが特に好ましい。X線イメージングのような他の状況において有用なイオンは、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、および特にビスマス(III)を含むが、それらに限定されるわけではない。
造影剤または治療薬として潜在的に使用され得る放射性同位体は、アスタチン21114炭素、51クロム、36塩素、57コバルト、58コバルト、銅67152Eu、ガリウム673水素、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム11159鉄、32リン、レニウム186、レニウム18875セレン、35硫黄、テクネチウム99mおよびイットリウム90を含む。125Iが、しばしば特定の態様における使用のために好ましく、テクネチウム99mおよびインジウム111も、それらの低エネルギー性および広範囲の検出への適性によりしばしば好ましい。
本発明の放射性標識タンパク質またはペプチドは、当技術分野において周知の方法によって作製され得る。たとえば、それらは、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムのような化学的酸化剤またはラクトペルオキシダーゼのような酵素的酸化剤との接触によってヨウ素化され得る。本発明によるタンパク質またはペプチドは、リガンド交換工程によって、たとえば第一スズ溶液を用いてペルテクネートを還元し、還元されたテクネチウムをセファデックスカラムにキレート化して、このカラムにペプチドを適用することによって、または直接標識化技術によって、たとえばペルテクネート、SNCl2のような還元剤、ナトリウム-カリウムフタレート溶液のような緩衝液、およびペプチドをインキュベートすることによって、テクネチウム99mで標識され得る。金属イオンとして存在する放射性同位体をペプチドに結合するためにしばしば使用される中間官能基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。また、ローダミン、フルオレセインイソチオシアネートおよびレノグラフィンを含む蛍光標識も使用のために企図される。
特定の態様では、特許請求されるタンパク質またはペプチドは、発色基質と接触したとき着色生成物を生じる二次結合リガンドまたは酵素(酵素タグ)に連結され得る。適切な酵素の例は、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、、(ホースラディッシュ)水素ペルオキシダーゼおよびグルコースオキシダーゼを含む。好ましい二次結合リガンドは、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン化合物である。そのような標識の使用は当業者に周知であり、たとえば、各々が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号および同第4,366,241号に記載されている。
なおさらなる態様では、標的化部分はナノ粒子に機能的に連結され得る。ナノ粒子は、コロイド状金および銀ナノ粒子を含むが、それらに限定されるわけではない。金属ナノ粒子は可視スペクトル領域内の色を示す。これらの色は、金属粒子における表面プラズモン共鳴の励起の結果であり、粒子の大きさ、形状および凝集状態;周囲の媒質の誘電特性;粒子の表面のイオンの吸着に対して極めて感受性が高いと考えられる(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第20040023415号参照)。
J.架橋剤
架橋剤もまた、CRKL標的化ペプチドを含む融合タンパク質または他の構築物に含まれ得る;たとえば、架橋剤は、標的化ペプチドをリポソームまたは治療化合物に結合するために有用であり得る。二官能性架橋試薬は、親和性マトリックスの調製、様々な構造体の修飾および安定化、リガンドと受容体の結合部位の同定、ならびに構造試験を含む様々な目的のために広範に使用されてきた。2つの同一官能基を担持するホモ二官能性試薬は、同一のおよび異なる巨大分子または巨大分子のサブユニットの間での架橋、およびポリペプチドリガンドのそれらの特異的結合部位への連結を誘導するうえで極めて有効であることが証明された。ヘテロ二官能性試薬は2つの異なる官能基を含有する。2つの異なる官能基の異なる反応性を利用することにより、架橋が選択的且つ連続的に制御され得る。二官能性架橋試薬は、それらの官能基の特異性によって、たとえばアミノ、スルフヒドリル、グアニジノ、インドール、カルボキシル特異性基に分類され得る。これらのうちで、遊離アミノ基を対象とする試薬は、それらが市販されていること、合成の容易さ、およびそれらが適用され得る穏やかな反応条件のために特に広く使用されるようになった。ヘテロ二官能性架橋試薬の大部分は、第一級アミン反応基とチオール反応基を含有する。
リガンドをリポソームに架橋するための例示的な方法は、各々その全体が参照により本明細書に具体的には組み入れられる、米国特許第5,603,872号および同第5,401,511号に記載されている。様々なリガンドが、アミン残基の架橋を介してリポソーム表面に共有結合され得る。リポソーム、特に、各々がホスファチジルエタノールアミン(PE)を含有する、ミクロ乳化リポソーム(MEL)および大型単層リポソーム(LUVET)のような多重層小胞(MLV)または単層小胞は、確立された手順によって調製されてきた。リポソーム中にPEを含有することは、架橋のためにリポソーム表面に活性官能性残基、第一級アミンを提供する。上皮増殖因子(EGF)などのリガンドがPE-リポソームと成功裏に結合された。リガンドは、リポソーム表面上の別個の部位へ共有結合される。これらの部位の数および表面密度は、リポソームの製剤およびリポソームの型によって決定される。リポソーム表面はまた、非共有結合性会合のための部位を有し得る。リガンドとリポソームの共有結合複合体を形成するために、架橋試薬が有効性および生体適合性に関して試験された。架橋試薬は、グルタルアルデヒド(GAD)、二官能性オキシラン(OXR)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)、および水溶性カルボジイミド、好ましくは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を含む。架橋の複雑な化学作用を介して、認識物質アミン残基とリポソームの結合が確立される。
もう一つの例では、ヘテロ二官能性架橋試薬および架橋試薬を使用する方法が記載されている(具体的にはその全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,889,155号)。架橋試薬は、求核性ヒドラジド残基を求電子性マレイミド残基と結合させ、一例では、アルデヒドを遊離チオールにカップリングさせる。架橋試薬は、様々な官能基を架橋するように修飾され得る。
核酸
本発明による核酸は、標的化ペプチド、標的化抗体、治療ポリペプチド、融合タンパク質または他のタンパク質もしくはペプチドをコードし得る。核酸は、ゲノムDNA、相補的DNA(cDNA)または合成DNAに由来し得る。
本明細書において使用される「核酸」は、一本鎖および二本鎖分子、ならびにDNA、RNA、化学修飾された核酸および核酸類似体を含む。本発明の範囲内の核酸は、一部にはコードされるタンパク質またはペプチドの長さによって決定される、ほとんど任意の大きさであり得ることが企図される。
標的化ペプチドおよび融合タンパク質は、適切なアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列によってコードされ得ることが企図される。所望のアミノ酸配列をコードする核酸の設計および作製は、標準化された遺伝暗号表を使用して、当業者に周知である。好ましい態様では、各々のアミノ酸をコードするために選択されるコドンは、対象となる宿主細胞での核酸の発現を最適化するように改変され得る。
遺伝子療法ベクターの標的化送達
標的化ペプチドは、特定の態様では、特定腫瘍細胞のような、細胞表面でCRKLを発現する細胞を選択的にまたは優先的に標的する遺伝子療法ベクターに結合され得る。遺伝子療法ベクターを細胞に導入し得る多くの方法が存在する。本発明の特定の態様では、遺伝子療法ベクターはウイルスを含む。受容体を介したエンドサイトーシスによって細胞に入り込み、宿主細胞ゲノムに組み込まれてまたはエピソームに維持されて、ウイルス遺伝子を安定且つ効率的に発現する特定ウイルスの能力は、それらを、哺乳動物細胞への外来遺伝子の導入のための魅力的な候補物質にした(Ridgeway, 1988; Nicolas and Rubinstein, 1988; Baichwal and Sugden, 1986; Temin, 1986)。好ましい遺伝子療法ベクターは一般にウイルスベクターである。遺伝子療法ベクターとして使用されるDNAベクターは、パポバウイルス(たとえばシミアンウイルス40、ウシパピローマウイルス、およびポリオーマウイルス)(Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986)およびアデノウイルス(Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986)を含む。
インビボ送達のための好ましい方法の一つは、アデノウイルス発現ベクターの使用を含む。アデノウイルスベクターはゲノムDNAへの組込み能力が低いことが公知であるが、この特徴は、これらのベクターによって与えられる遺伝子導入の高い効率によって相殺される。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)構築物のパッケージングを支持するため、および(b)その中にクローニングされたアンチセンスまたはセンスポリヌクレオチドを発現するために十分なアデノウイルス配列を含有する構築物を含むことが意図されているが、それらに限定されるわけではない。
アデノウイルスベクターは、真核生物遺伝子発現(Levrero et al., 1991; Gomez -Foix et al., 1992)およびワクチン開発(Grunhaus and Horwitz, 1992; Graham and Prevec, 1991)において使用されてきた。組換えアデノウイルスを種々の組織に投与する試験は、気管点滴注入(Rosenfeld et al., 1991; Rosenfeld et al., 1992)、筋肉注射 (Ragot et al., 1993)、末梢静脈内注射(Herz and Gerard, 1993)および脳内への定位接種(Le Gal La Salle et al., 1993)を含む。
好ましい態様では、腫瘍細胞のような、CRKLを発現し、表面にCRKLを担持する細胞に標的する腫瘍標的化ペプチドに治療分子または物質を結合することから特定の利点が得られ得る。具体的には、腫瘍異種移植片を担持するマウスの実験モデルにおいて、親化合物よりも有効で毒性が低い化合物を生成するために、腫瘍血管系にホーミングする部分が細胞傷害性薬剤またはプロアポトーシスペプチドに結合された(Arap et al., 1998; Ellerby et al., 1999)。アデノウイルスの表面タンパク質へのRGD-4Cペプチドの挿入は、腫瘍標的化遺伝子療法のために使用され得るアデノウイルスベクターを生成した(Arap et al., 1998)。
ペプチドモチーフは、たとえば、本発明の標的化部分、および/または細胞表面結合部位に対するリガンドを含むことにより、細胞標的化を可能にする。ペプチドモチーフは、任意で、細胞標的化において使用される他のエレメント(たとえば一本鎖抗体配列)を含み得る。ペプチド結合モチーフは挿入によって作製され得、たとえば天然配列と非天然配列を含み得るか、または完全に非天然配列で作られ得る。キメラ繊維タンパク質への非天然アミノ酸配列の挿入から生じるペプチドモチーフは、高親和性ペプチド(すなわち、比較的低濃度で提供される場合に、そのコグネイト結合部位、たとえばCRKLに結合するもの)または低親和性ペプチド(すなわち比較的高濃度で提供される場合に、そのコグネイト結合部位、たとえばCRKLに結合するもの)のいずれかであり得る。好ましくは、しかしながら、生じるペプチドモチーフは、高親和性モチーフ、特にアデノウイルス繊維タンパク質内でのその制約によりそのコグネイト結合部位に対して高い親和性を有するものである。
他の遺伝子導入ベクターはレトロウイルスから構築され得る(Coffin,1990)。レトロウイルスベクターを構築するために、対象となるタンパク質をコードする核酸を特定ウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入して、複製欠損であるウイルスを生成する。ビリオンを生成するため、gag、polおよびenv遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mann et al., 1983)。cDNAを含有する組換えプラスミドを、レトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と共にこの細胞株に導入した場合(たとえばリン酸カルシウム沈殿法によって)、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写産物がウイルス粒子にパッケージングされることを可能にし、次にそれが培地に分泌される(Nicolas and Rubenstein, 1988; Temin, 1986; Mann et al., 1983)。その後、組換えレトロウイルスを含有する培地を収集し、任意で濃縮して、遺伝子導入のために使用する。レトロウイルスベクターは幅広い細胞型に感染することができる。しかし、組込みと安定な発現には宿主細胞の分裂を必要とする(Paskind et al., 1975)。
他のウイルスベクターも標的化遺伝子療法ベクターとして使用され得る。ワクシニアウイルス(Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986)、アデノ関連ウイルス(AAV)(Ridgeway, 1988; Baichwal and Sugden, 1986; Hermonat and Muzycska, 1984)、およびヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターが使用され得る。
本発明のさらなる態様では、遺伝子療法構築物はリポソーム内に封入され得る。インビトロでのリポソームを介した核酸送達および外来性DNAの発現は非常に成功を収めた。Wong et al., (1980)は、培養ニワトリ胚、HeLa、および肝細胞癌細胞における外来性DNAのリポソーム媒介送達および発現の実現可能性を明らかにした。Nicolau et al., (1987)は、静脈内注射後のラットにおいてリポソーム媒介性遺伝子導入の成功を実現した。
本発明の遺伝子療法ベクターは、典型的には発現ベクターのコードされるDNAまたはRNAである、様々な導入遺伝子を含み得る。遺伝子療法は、治療遺伝子の発現、新生血管形成を増強するためのVEGFR-1/NRP-1の発現、または新生血管形成に関連する疾患状態の治療のためのVEGFR-1/NRP-1発現の阻害のために使用され得る。DNAは、cDNA、インビトロ重合DNA、プラスミドDNA、プラスミドDNAの部分、ウイルスに由来する遺伝物質、直鎖状DNA、ベクター(P1、PAC、BAC、YAC、人工染色体)、発現カセット、キメラ配列、組換えDNA、染色体DNA、オリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA、またはこれらの群の誘導体の形態であり得る。RNAは、オリゴヌクレオチドRNA、tRNA(転移RNA)、snRNA(核内低分子RNA)、rRNA(リボソームRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、インビトロ重合RNA、組換えRNA、キメラ配列、アンチセンスRNA、siRNA(低分子干渉RNA)、リボザイム、またはこれらの群の誘導体の形態であり得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、DNAおよび/またはRNAの機能に干渉するポリヌクレオチドである。アンチセンスポリヌクレオチドは、モルホリノ、2'-O-メチルポリヌクレオチド、DNA、RNAなどを含むが、それらに限定されるわけではない。siRNAは、典型的には15〜50塩基対、好ましくは21〜25塩基対を含有し、発現される標的遺伝子または細胞内のRNAに同一またはほぼ同一のヌクレオチド配列を有する二本鎖構造を含む。干渉は発現の抑制を生じさせ得る。加えて、DNAおよびRNAは、一本鎖、二本鎖、三本鎖、または四本鎖であり得る。
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体に溶解または分散した1または複数の前記腫瘍標的化ペプチドまたは付加的な作用物質の有効量を含む。「薬学的または薬理学的に許容される」という語句は、適宜に、たとえばヒトのような動物に投与された場合、有害反応、アレルギー反応または他の不都合な反応を生じさせない分子実体および組成物を指す。本発明における少なくとも一つの腫瘍標的化ペプチドまたは付加的な有効成分を含有する薬学的組成物の調製は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990に例示されるように、本発明の開示に照らして当業者に公知である。さらに、動物(たとえばヒト)への投与に関して、製剤は、FDAの生物学的基準によって要求される無菌性、発熱性、一般的な安全性および純度基準を満たすべきであることが理解される。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、当業者に公知である(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329参照)、任意のあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(たとえば抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、防腐剤、薬剤、薬剤安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香料、染料、同様の物質およびそれらの組合せを含む。任意の従来の担体が有効成分と不適合性である場合を除き、薬学的に許容される組成物におけるその使用が企図される。
組成物は、固体、液体またはエアロゾル形態で投与されるか否か、および注射のような投与経路のために無菌である必要があるか否かに依存して、種々のタイプの担体を含有し得る。本発明は、静脈内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻内、膣内、直腸内、局所、筋肉内、皮下、経粘膜、経口、局所、局部、吸入(たとえばエアロゾル吸入)、注射、注入、持続注入、標的細胞を直接浸す局所灌流によって、カテーテルを介して、洗浄によって、クリームとして、脂質組成物(たとえばリポソーム)中で、または当業者に公知の他の方法または前述の任意の組合せによって投与され得る(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21th Ed. Mack Printing Company, 2005参照)。
さらに本発明に従って、投与に適する本発明の組成物は、不活性希釈剤と共にまたは不活性希釈剤なしで、薬学的に許容される担体中で提供される。担体は同化可能であるべきであり、液体、半固体、すなわちペースト、または固体担体を含む。任意の従来の媒質、作用物質、希釈剤または担体が受容者に対してまたはその中に含有される組成物の治療上の有効性に対して有害である場合を除き、本発明の方法を実施するときに使用される投与可能な組成物中でのその使用は適切である。担体または希釈剤の例は、脂肪、油、水、塩類溶液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、またはそれらの組合せを含む。組成物はまた、1または複数の成分の酸化を遅延させる様々な抗酸化剤を含有し得る。加えて、パラベン(たとえばメチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組合せを含むが、それらに限定されるわけではない、様々な抗菌剤および抗真菌剤のような防腐剤により、微生物の作用の予防がもたらされ得る。
本発明に従って、組成物は、任意の都合のよい且つ実際的な様式で、すなわち溶解、懸濁、乳化、混合、封入、吸収などによって担体と組み合わされる。そのような手順は当業者にとって常套的である。
併用療法
CRKL結合モチーフを含有する単離された腫瘍標的化ペプチドの有効性を高めるために、これらの組成物を抗癌薬のような他の作用物質または治療方法と組み合わせることが望ましいと考えられる。「抗癌」薬は、たとえば、癌細胞を死滅させる、癌細胞におけるアポトーシスを誘導する、癌細胞の増殖速度を低下させる、転移の発生率または数を低減する、腫瘍の大きさを縮小する、腫瘍増殖を阻害する、腫瘍もしくは癌細胞への血液供給を低下させる、癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進する、癌の進行を防止するもしくは阻害する、または癌を有する被験者の生存期間を延長させることにより、被験者において癌に負の影響を及ぼすことができる。より一般的には、これらの他の組成物は、細胞を死滅させるまたは細胞の増殖を阻害するのに有効な併用量で提供される。この工程は、細胞を発現構築物および作用物質または複数の因子と同時に接触させることを含み得る。これは、両方の作用物質を含む単一組成物または薬理学的製剤と細胞を接触させることによって、または一方の組成物が発現構築物を含み、他方が第2の作用物質を含む、2つの異なる組成物または製剤と細胞を同時に接触させることによって達成され得る。
化学療法剤および放射線治療薬に対する腫瘍細胞の抵抗性は、臨床腫瘍学における重要な問題である。現在の癌研究の一つの目標は、化学療法および放射線療法を遺伝子治療と組み合わせることによってその効果を改善する方法を見出すことである。たとえば、単純ヘルペス-チミジンキナーゼ(HS-tK)遺伝子は、レトロウイルスベクター系によって脳腫瘍に送達された場合、抗ウイルス薬ガンシクロビルに対する感受性を成功裏に誘導した(Culver, et al., 1992)。本発明に関連して、腫瘍標的化ペプチドは、他のプロアポトーシス物質または細胞周期調節剤に加えて、化学療法、放射線療法、または免疫療法介入と組み合わせて同様に使用され得ることが企図される。
あるいは、遺伝子治療は、数分から数週間にわたる間隔を置いてその他の作用物質治療に先行し得るかまたは後続し得る。その他の作用物質と発現構築物が別々に細胞に適用される態様では、一般に、作用物質と発現構築物がまだ細胞に対して有利な併用作用を及ぼすことができるように、各々の送達時点の間に有意の期間が経過しないことが確保される。そのような場合、互いに対して約12〜24時間以内に、より好ましくは互いに対して約6〜12時間以内に両方の治療法と細胞を接触させ得ることが企図される。しかし、一部の状況では、治療のための期間を有意に延長させる、すなわちそれぞれの投与の間に数日間(2、3、4、5、6または7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週間)が経過することが望ましいことがあり得る。
様々な組合せが使用でき、腫瘍標的化ペプチドが「A」であり、放射線療法または化学療法のような第2の作用物質が「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
患者への本発明の治療発現構築物の投与は、ベクターの毒性を、もし存在する場合は、考慮に入れて、化学療法剤の投与のための一般的プロトコールに従う。治療サイクルは必要に応じて反復されると予想される。また、様々な標準療法、ならびに外科的処置が、前述した過剰増殖細胞治療と組み合わせて適用され得ることが企図される。
a.化学療法
癌治療はまた、化学物質および放射線に基づく治療との様々な併用療法を含む。併用化学療法は、たとえば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロフォスファミド、カンプトテシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合物質、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル-プロテイントランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナ、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびメソトレキサート、または前述の任意の類似体もしくは誘導変異体を含む。
b.放射線療法
DNA損傷を生じさせる、広範に使用されてきた他の因子は、γ線、X線として一般に公知であるもの、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の指向送達(directed delivery)を含む。マイクロ波およびUV照射のような他の形態のDNA損傷因子も企図される。これらの因子すべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の構築および維持に対する広範囲の損傷を生じさせる可能性が高い。X線についての線量範囲は、長期間(3〜4週間)にわたる50〜200レントゲンの1日線量から、2000〜6000レントゲンの単回線量までに及ぶ。放射性同位体についての線量範囲は広く異なり、その同位体の半減期、放射される放射線の強さおよびタイプ、ならびに腫瘍細胞による吸収量に依存する。
「接触させる」および「暴露させる」という用語は、細胞に適用される場合、本明細書において治療構築物と化学療法剤もしくは放射線治療薬が標的細胞に送達される過程、または標的細胞と直接並置される過程を表すために使用される。細胞の死滅または静止を達成するために、両方の薬剤が、細胞を死滅させるまたは細胞が分裂するのを妨げるのに有効な併用量で細胞に送達される。
c.免疫療法
免疫療法は、一般に、癌細胞を標的し、破壊する免疫エフェクター細胞および分子の使用に基づく。免疫エフェクターは、たとえば、腫瘍細胞表面上の何らかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体単独で治療のエフェクターとして働き得るか、または実際に細胞の死滅を生じさせる他の細胞を動員し得る。抗体はまた、薬剤または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合されてもよく、単に標的化剤としても役立ち得る。あるいは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接または間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞およびNK細胞を含む。
それゆえ、免疫療法は、腫瘍標的化ペプチドによる治療と共に、併用療法の一部として使用され得る。併用療法のための一般的なアプローチを以下で論じる。一般に、腫瘍細胞は、標的しやすい、すなわち大部分の他の細胞上には存在しない何らかのマーカーを担持しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれもが本発明に関連する標的化に適し得る。一般的な腫瘍マーカーは、癌胎児性抗原、前立腺特異抗原、尿腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb Bおよびp155を含む。
d.遺伝子
さらにもう一つの態様では、第2の治療は遺伝子療法であり、遺伝子療法では、治療ポリヌクレオチドが、CRKL結合モチーフを含有する単離腫瘍標的化ペプチドを含む第1治療薬の前、後または同時に投与される。以下の遺伝子産物の一つをコードする第2のベクターと組み合わせた治療薬の送達は、標的組織に複合抗過剰増殖作用を及ぼす。
e.手術
癌を有する人々の約60%が何らかのタイプの手術を受け、それには予防的、診断的または病期分類、治癒的および緩和的手術が含まれる。治癒的手術は、本発明の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法および/または代替療法のような他の両方と組み合わせて使用され得る癌治療である。
治癒的手術は、癌組織の全部または一部を物理的に除去する、切除する、および/または破壊する切除術を含む。腫瘍切除術は、少なくとも腫瘍の一部の物理的除去を指す。腫瘍切除術に加えて、手術による治療は、レーザー手術、凍結手術、電気外科手術、および顕微鏡下手術(モース手術)を含む。本発明は、表在癌、前癌病変、または付随量(incidental amounts)の正常組織の除去と共に使用され得ることがさらに企図される。
癌細胞、組織、または腫瘍の一部または全部の切除後、体内に腔が形成され得る。治療は、灌流、直接注入または付加的な抗癌治療によるその領域の局所適用によって達成され得る。そのような治療は、たとえば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごとに、または1、2、3、4、および5週間ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月ごとに反復され得る。これらの治療も様々な用量であり得る。
f.他の作用物質
他の作用物質も、治療の効果を改善するために本発明と組み合わせて使用され得ることが企図される。これらの付加的な作用物質は、免疫調節剤、細胞表面受容体およびギャップ結合の上方調節に影響を及ぼす物質、細胞増殖抑制性物質、および分化因子、細胞接着の阻害剤、またはアポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める物質を含む。免疫調節剤は、腫瘍壊死因子;インターフェロンα、βおよびγ;IL-2および他のサイトカイン;F42Kおよび他のサイトカイン類似体;またはMIP-1、MIP-1β、MCP-1、RANTESおよび他のケモカインを含む。細胞表面受容体またはFas/Fasリガンド、DR4もしくはDR5/TRAILのようなそれらのリガンドの上方調節は、過剰増殖性細胞への自己分泌またはパラ分泌作用の確立によって本発明のアポトーシス誘導能力を強化することがさらに企図される。ギャップ結合の数を増加させることによる細胞内シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団への抗過剰増殖作用を高める。他の態様では、細胞増殖抑制性物質または分化因子が、治療の抗過剰増殖効果を改善するために本発明と組み合わせて使用され得る。細胞接着の阻害剤は、本発明の効果を改善することが企図される。細胞接着阻害剤の例は、フォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。c225抗体のような、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を高める他の作用物質も、治療効果を改善するために本発明と組み合わせて使用され得ることがさらに企図される。
ホルモン療法も、本発明と共にまたは先に述べた任意の他の癌治療と組み合わせて使用され得る。ホルモンの使用は、テストステロンまたはエストロゲンのような特定のホルモンのレベルを低下させるまたはその作用をブロックするために乳癌、前立腺癌、卵巣癌、または子宮頸癌のような特定の癌の治療において使用され得る。この治療は、しばしば、治療の選択肢としての、又は転移のリスクを減らすために、少なくとも1つの癌治療と組み合わせて使用される。
以下の実施例は本発明の様々な局面をさらに説明するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって発見された技術および/または組成物であり、それゆえ、その実施のための好ましい形式を構成するとみなされ得ることが当業者に認識されるべきである。しかし、当業者は、本発明の開示に照らして、開示される特定の態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の精神と範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果が得られ得ることを認識すべきである。
実施例1:インビボでの腫瘍ホーミングペプチドの選択
ファージディスプレイランダムペプチドライブラリー(Arap et al., 1998; Pasqualini and Ruoslahti, 1996; Pasqualini et al., 2001)を、ヒトDU145由来の前立腺癌異種移植片を担持するnu/nu(ヌード)マウスに静脈内投与し、24時間の循環時間枠後に腫瘍を回収した。3回の選択後、腫瘍標的ファージ富化集団を回収し、個々のファージクローンによって提示されたペプチド挿入物に対応するDNAを配列決定した(表1)。主要ペプチドを選択し、機能的特徴づけのためにアミノ酸配列
Figure 2011525491
を選択した。最初に、
Figure 2011525491
ペプチドの腫瘍標的化特異性を、DU145由来腫瘍を担持するマウスにおいてインビボで評価した。個々の
Figure 2011525491
の全身静脈内投与後、いくつかの対照器官で認められたファージ局在を伴わないまたはかろうじて検出可能なファージ局在を伴う、腫瘍異種移植片への著明なホーミングが観察された(挿入物不含ファージを陰性対照として使用した)。これに一致して、DU145前立腺癌細胞はまた、水相-有機相分離アッセイ(Giordano et al., 2001)およびファージに基づく免疫蛍光アッセイ(KS1767細胞)を使用することによってインビトロでも標的され、ペプチド
Figure 2011525491
を提示するファージは、ペプチド挿入物を提示しない陰性対照ファージよりもはるかに多く腫瘍細胞表面に結合することが認められた(図1A、B)。
Figure 2011525491
次に、選択したペプチドのインターナリゼーション能力を評価した。そのために、真核生物ミトコンドリア膜を特異的に標的するプロアポトーシスペプチド(Arap et al., 2004; Javadpour et al., 1996; Ellerby et al., 1999; Kolonin et al., 2004; Zurita et al., 2004)を腫瘍ホーミングペプチドに融合した。対照と比較した標的化細胞死滅(図1C)は、ペプチド
Figure 2011525491
がリガンド指向性インターナリゼーションを媒介することを指示した。プログラムされた細胞死がアネキシンV染色アッセイによって確認された(図1D)。注目すべき点として、プロアポトーシスペプチドの選択的標的化およびインターナリゼーションは、モジュール標的ペプチドミメティックに基づく抗腫瘍療法(modular targeted peptidomimetic-based anti-tumor therapy)の設計の可能性を提供する(Arap et al., 2004; Ellerby et al., 1999; Kolonin et al., 2004; Zurita et al., 2004)。同時に、これらの結果は、ペプチド
Figure 2011525491
が腫瘍細胞を標的し、インターナリゼーションを可能にすることを示す。
試薬
すべての細胞株は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)より入手した。以下の抗体を本明細書において述べる試験において使用した:抗CRKL(Santa Cruz, Cell Signaling, EpitomicsまたはUpstate Biotechnology)、抗ホスホCRKL(Cell Signaling)、抗β1インテグリン(ChemiconまたはBD Transduction Laboratories)、抗IL11R(Santa Cruz)、抗β3および抗β5インテグリン47、抗EGFR48、抗grb2(Santa Cruz)、抗α6インテグリン(Chemicon)、抗AHSG/Feutin A(R&D Systems)、免疫前血清(Jackson Laboratory)、抗FAK(Upstate)、抗ヒストンH1(Santa Cruz)、抗ホスホパキシリン(Cell Signaling)、抗ホスホ130Cas(Santa Cruz)、抗ホスホErkl/2(Cell SignalingまたはBiosource)、抗ホスホElk-1(Cell Signaling)、抗His(Santa Cruz)、抗gst(Santa Cruz)、ならびに抗GAPDH(Ambion)。ペプチドを合成し、本発明者らの規格に環化した(AnaSpec)。6週齢の雄性ヌードマウスを購入し(Harlen)、記述されているように(Arap et al., 2004; Marchio et al., 2004)腫瘍異種移植片を作製した。University of Texas M. D. Anderson Cancer Center(UTMDACC)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC))がすべての実験手順を検閲し、承認した。
ファージディスプレイランダムペプチドライブラリーの選択
インビボでのファージスクリーニングを記述されているように(Arap et al.,1998; Arap et al., 2004; Pasqualini and Ruoslahti, 1996; Pasqualini et al., 2001)実施した。一般的な配置X2CX12CX2(C、システイン;X、任意の残基)で挿入物を提示するランダムファージライブラリーを、ヒトDU145前立腺癌細胞由来の腫瘍異種移植片を担持する無胸腺ヌードマウスに全身投与し(尾静脈)、24時間循環させた。マウスを深麻酔下に置き、腫瘍異種移植片を切除して、計量し、結合ファージ集団を回収して、処理した(Arap et al., 1998; Arap et al., 2004; Pasqualini and Ruoslahti, 1996; Pasqualini et al., 2001)。連続3回のインビボ選択を実施した。
実施例2:腫瘍ホーミングペプチド配列は調節性インテグリン細胞外ドメインを模倣する
同定されたペプチド配列が天然タンパク質を模倣するか否かを調べるため、
Figure 2011525491
およびその他の選択ペプチド配列の類似性検索を実施した。オンラインデータベースに対する標準的BLAST検索とそれに続くタンパク質配列アラインメントを使用することにより、すべてのユニークファージが提示したペプチドがβ1インテグリン上に存在する配列に類似することが認められた。意外にも、主要ペプチド配列
Figure 2011525491
は、β1インテグリン鎖のプレキシン-セマフォリン-インテグリン(PSI)細胞外ドメイン(残基26〜78)に類似性を有していた(図2A);さらに、他の選択ペプチドも同じ領域内に出現することが認められた(図2C)。次に、選択ペプチド配列
Figure 2011525491
の類似性がβ1インテグリン配列のPSIドメインに特異的であるのかまたは他の公知のインテグリンβ鎖に共通するのかを検討した。適合分析、および分子モデリング後、
Figure 2011525491
とβ1インテグリンのPSIドメインの間の配列同一性は実際に最良アラインメントであると結論された(図2B)。
配列アラインメント分析
腫瘍ホーミングファージペプチドとβ1インテグリンの間の配列アラインメントを、RELIC50に基づきPerl 5.8.1において分類されたPeptide Matchソフトウエアを使用して分析した。このプラグラムは、Nタンパク質末端からCタンパク質末端へと1残基ずつシフトして、親和性選択されたペプチド配列と標的タンパク質配列との間であらかじめ定められた残基ウインドウサイズに基づいて類似度を計算する。各残基についてのペプチド-タンパク質類似度スコアは、稀アミノ酸表示について調整するように修正されたBLOSUM62アミノ酸置換マトリックスに基づいて計算された。閾値は、非特異的バックグラウンドマッチから有意の類似度を識別するためにペプチドとタンパク質セグメントの間で少なくとも4つの同一残基と設定した。
実施例3:細胞質アダプタータンパク質はPSIドメイン様腫瘍ホーミングペプチドに対する受容体としての機能を果たす
インテグリンPSIドメインは、その調節活性に関して広く特徴づけられている(Shi et al., 2005; Mould et al., 2005; Arnaout et al., 2005; Juliano et al., 2004)。選択結果に鑑みて、PSIドメインはまた、β1インテグリン内のリガンド-受容体結合部位としても機能し得ると思われる。これを考慮して、腫瘍ホーミングペプチド
Figure 2011525491
に対する結合パートナーを同定するためにアフィニティークロマトグラフィーを使用した。最初にDU145由来細胞抽出物を、対照ペプチドカラムに通して前除去し、次に前除去した抽出物を腫瘍ホーミング
Figure 2011525491
ペプチドカラムに通し、続いて酸溶出した。カラムから溶出したおよそ40KDaタンパク質に対応する特異的ゲルバンドを検出した。
質量分析法およびデータベース解析は、ゲルバンドタンパク質の同一性がキナーゼ様タンパク質のニワトリ腫瘍ウイルス10調節因子、アクセッション番号NP005198(SEQ ID NO:22)(ten Hoeve et al., 1993)(CRKLと称される)であることを明らかにした。これらの結果は、抗CRKL抗体を用いて精製タンパク質を免疫ブロットすることによって確認された。次に、CRKLの組換えHisタグ融合タンパク質(rCRKL)およびその3つの対応ドメイン、rCRKL-SH2、rCRKL-SH3(N)、およびrCRKL-SH3(C)を結合アッセイのために設計し、構築した。ペプチド
Figure 2011525491
は、該タンパク質の2つのSH3ドメインを介して選択的にrCRKLに結合することが認められた;これに対し、SH2ドメインを介した結合または対照タンパク質への結合は、ほとんどまたは全く検出されなかった(図3A)。無関係なペプチド配列を提示するいくつかのファージクローンは、同様の実験条件下で試験した場合結合を示さなかった。天然PSI領域内のファージディスプレイ選択ペプチド配列とオーバーラップする、β1インテグリンの天然PSIドメインに直接由来する合成ペプチド(配列NSTFLQEGMPTSA(SEQ ID NO:23)、残基50〜62)に関しても結合試験を実施した(図2A、C)。やはり、β1インテグリンのPSI由来ペプチドNSTFLQEGMPTSA(SEQ ID NO:23)は、rCRKL、rCRKL-SH3(N)ドメイン、およびrCRKL-SH3(C)ドメインに結合した(図2B)。さらに、PSIドメインから環状および線状ペプチド配列を作製し、PSIドメインに存在する環状ジスルフィド結合はCRKLへの結合のために必須ではないことが認められた(図3C)。最後に、SH3(C)ドメインと腫瘍ホーミングペプチドの間の相互作用は、対応する合成ペプチドによっておよびファージクローン自体によって特異的に阻害ざれることが示された(図3D)。これらの所見は、腫瘍ホーミングペプチドおよびβ1インテグリン特異的PSIドメインミミック、
Figure 2011525491
がCRKLのSH3ドメインを標的することを示す。
アフィニティークロマトグラフィーおよび質量分析法
標準的なペプチドアフィニティーカラムをEDCおよびDADPA固定化樹脂(Pierce)によって作製した。DU145腫瘍細胞抽出物を調製し、最初に非特異的対照ペプチドカラムに通し、続いて腫瘍ホーミングペプチドカラムに通した。カラムを十分に洗浄し、次にグリシン(pH 2.2)で溶出して、SDS-PAGEによって分析した。その後、ゲルをクマシー染色した。〜40KDaのバンドが検出され、それをUTMDACC Proteomic Core Facilityでの質量分析法によるタンパク質配列決定のために切り出した。タンパク質はCRKLと同定された。無血清馴化培地からのCRKLのアフィニティー精製を実施し、腫瘍ホーミングペプチドまたは突然変異型対照ペプチド(Pro→Ala)のいずれかを発現する組換えgstタグ融合タンパク質を使用して確認した。無血清馴化培地約200ml(48時間の培養)をアフィニティー精製のために濃縮した。組換え融合タンパク質をgst樹脂ビーズに結合し、カラムに負荷した。濃縮した無血清馴化培地を結合カラムに添加し、一晩インキュベートした。数回洗浄した後、結合CRKLをウエスタンブロット法のために溶出した。ブロットを抗gstおよび抗CRKL抗体でプローブした。
ファージ結合およびタンパク質-タンパク質アッセイ
精製タンパク質に関するファージ結合アッセイを記述されているように(Giordano et al. 2001)実施した。組換えタンパク質を先に記述されているように(Cardo-Vila et al., 2003; Smith and Scott, 1993)マイクロタイターウエルに被覆した。簡単に述べると、タンパク質をPBS 50μl中1μg/mlで4℃にて一晩マイクロタイターウエルに固定化した。ウエルをPBSで2回洗浄し、3% BSAを含有するPBSにより室温で2時間ブロックして、109 T.U.の野生型腫瘍ホーミングファージ
Figure 2011525491
、スクランブルファージ
Figure 2011525491
、突然変異型ファージ
Figure 2011525491
、PSI由来環状ファージ(CNSTFLQEGMPTSAC;SEQ ID NO:23)またはfd-tetファージと共に、1.5% BSAを含有するPBS 50μl中でインキュベートした。室温で1時間後、ウエルをPBSで10回洗浄し、細菌感染によってファージを回収した。ポリクローナル抗CKRLを用いたELISAは、ウエル上のCKRL組換えタンパク質の存在と濃度を確認した。タンパク質を含有するSH3への腫瘍ホーミングファージの結合を試験するため、マイクロタイターウエルを250?g/mlの組換えgst-SH3ドメイン(CKRL-D1、CKRL-D2、grb2-D1、grb2-D2、Lyn、src;Pronomics)、rCKRLタンパク質、および陰性対照gstまたはBSAで4℃にて一晩被覆した。SH3(C)突然変異型結合試験のために、2μg/mlのHisタグ組換え野生型SH3-Cおよび突然変異型SH3(C)ドメインを被覆した。腫瘍ホーミングファージ(1010 T.U.)またはfd-tetファージ(挿入物なし)を各ウエルに添加し、前述したように結合アッセイを実施した。CRKLとインテグリンβ1の間のタンパク質-タンパク質相互作用実験を、1μg/ウエルのα5β1、αvβ3またはαvβ5インテグリン(Chemicon)で被覆したウエルに関して実施した。gst-PSIによるβ1インテグリンへのCKRLの結合阻害を評価するため、CKRLと漸増濃度のgst-PSIまたはgstを室温で15分間プレインキュベートした後、被覆ウエルに添加した。3時間後、抗CKRL抗体、続いてHRP結合抗ウサギIgGを使用してインテグリンへのCKRLの結合を検出した。等しい量のインテグリンがプレートに結合したことを確認するため、抗インテグリン抗体(Amersham Pharmacia)の1:1500希釈を使用して並行実験を実施した。
スクランブルおよび突然変異型腫瘍ホーミングファージの設計と構築
CRKLタンパク質への結合特性を検討するファージクローンを作製するため、スクランブルペプチド配列を提示するファージおよび突然変異型(Pro→AlaおよびPhe-Phe-Trp→Ala-Ala-Ala)を、選択したCRKL結合腫瘍ホーミングファージペプチド
Figure 2011525491
から設計し、構築した。スクランブルペプチド配列
Figure 2011525491
、突然変異型
Figure 2011525491
または天然PSI由来ファージ(CNSTFLQEGMPTSAC;SEQ ID NO:23)をSfiI消化したfUSE5ベクター(Smith and Scott,1993)にクローニングした。簡単に述べると、提示されるペプチドに対応する合成オリゴヌクレオチド鋳型の各々500?g(Sigma-Genosys)を、プライマーセット
Figure 2011525491
(Sigma-Genosys)ならびに20μl中のTaq-DNAポリメラーゼ(Promega)2.5Uを用いて以下のようにPCR増幅によって二本鎖DNAに変換した:94℃、2分、続いて94℃、30秒、60℃、30秒および72℃、30秒を35サイクル、続いて72℃、5分間。挿入物隣接領域内にBglI制限部位を含有する二本鎖DNA配列を、QIAquickヌクレオチド除去キット(Qiagen)を使用して精製し、溶出した。オリゴヌクレオチドをBglIにより37℃で2時間消化し、再精製して、SfiI消化fUSE5ベクターに連結した。生じたファージクローンを、正しい挿入とヌクレオチド配列を確認するためにPCR増幅した。個々のファージクローンをファージ結合アッセイにおいて試験した。
ペプチド結合およびインターナリゼーションアッセイ
合成腫瘍ホーミングペプチド
Figure 2011525491
またはPSI由来ペプチド(NSTFLQEGMPTSA;SEQ ID NO:23)をマイクロタイタープレートに被覆し、続いてブロックし、洗浄した。以下の組換えHisタグタンパク質を被覆プレートに添加した:rCRKL、rCRKL-SH2ドメイン、rCRKL-SH3(N)ドメイン、およびrCRKL-SH3(C)ドメイン。無関係な対照タンパク質(α2-Heremans-Schmid糖タンパク質;AHSG)を陰性対照として使用した。混合物をインキュベートし、洗浄して、適切な抗体で標識した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)に結合した二次抗体を添加し、続いてTMB基質(Calbiochem)を添加して、自動ELISAリーダー(Bio-Tek)によって分析した。腫瘍ホーミングペプチドの阻害活性を測定するため、PSI由来ペプチド、または対応する腫瘍ホーミングペプチドを提示するファージクローンをrCRKL-SH3(C)ドメインと共にインキュベートした。無関係な環状ペプチド配列および挿入物不含ファージ(fd-tet)を陰性対照として使用した。混合物をインキュベートし、腫瘍ホーミングペプチドで被覆したウエルに添加した。インキュベーション後、ウエルを洗浄し、適切な抗体で標識して、前述のように処理した。
グリシニルグリシン架橋を介してプロアポトーシス配列に融合した腫瘍ホーミングペプチドのインターナリゼーション能力を記述されているように(Arap et al., 2004; Ellerby et al., 1999; Kolonin et al., 2004; Zurita et al., 2004)試験した。複合腫瘍ホーミングペプチド、
Figure 2011525491
または非標的化対照ペプチドD(KLAKLAK)2を合成し、漸増等モルペプチド濃度をDU145細胞に添加した。細胞生存率を、WST-1試薬(Roche)およびアポトーシスに関するアネキシンV染色によって検定した(Zurita et al., 2004; Cardo-Vila et al., 2003)。腫瘍ホーミングファージ局在化試験のために、細胞を109 T.U.の腫瘍ホーミングファージ
Figure 2011525491
または陰性対照(fd-tet)ファージと共に6時間および24時間インキュベートした。ウエルを20mMグリシンで洗浄して非特異的細胞表面結合ファージを除去し、次に4%パラホルムアルデヒドで固定した。非透過処理細胞をウサギ抗fdバクテリオファージ抗体(Sigma)と共に室温で2時間、続いてCys3標識抗ウサギIgG抗体(Jackson ImmunoResearch)と共に1時間インキュベートした。細胞を再び4%パラホルムアルデヒドで固定し、DAPI(Vector Laboratories)の存在下で標本にして、Olympus蛍光顕微鏡で画像を取得した。
実施例4:CRKLとの相互作用の特徴づけ
他の試験は、SH3ドメインが、1個のPro残基を含有するモチーフに加えてPXXPおよび非PXXPモチーフに結合することを示した(Mayer, 2001; Sicheri et al., 1997; Kang et al., 2000; Kato et al., 2000; Xu et al., 1997)。SEQ ID NO:1に示す配列はいかなるそのような公知のモチーフも含有しないので、部位指定突然変異誘発を使用して腫瘍ホーミングペプチドの結合特性を評価した。これらの試験の結果は、CRKL-SH3(C)ドメインへの結合が腫瘍ホーミングペプチド内に存在するPro残基および環状Cys-Cysジスルフィド架橋に依存することを示した(図4A);fd-tet挿入物不含ファージおよび無関係な合成環状ペプチドを陰性対照として使用した。CRKL-SH3(C)ドメインの突然変異分析も実施し、結果は、結合領域が残基Gly236とTrp277の間であることを示した(図 4C、D)。加えて、腫瘍ホーミングファージ(SEQ ID NO:1)とPSI由来ファージ(SEQ ID NO:23)の両方が組換えCRKLに結合することが示された(図4B)。さらに、アフィニティークロマトグラフィーを使用することにより、CRKLがDU145無血清馴化培地から精製され得ること、および突然変異形態の腫瘍ホーミングペプチドで調製した対照カラムは、同じ実験条件下でもはやCRKLに検出可能レベルで結合しないことが確認された。膜画分との相互共免疫沈降アッセイを使用することにより、CRKLとβ1インテグリンは細胞表面複合体を形成することが確認された;これに対し、抗IL11受容体、抗EGF受容体、または他のインテグリン(抗β3および抗β5)を含む無関係な膜貫通受容体に対して惹起した対照抗体は、CRKLまたはβ1インテグリンとの関連を示さなかった。最後に、CRKLとβ1インテグリンの間のタンパク質-タンパク質相互作用は、組換えタンパク質として発現されるPSIドメインによって用量依存的に阻害され得ることが明らかにされた(IC50=20?m);共免疫沈降試験と一致して、対照インテグリンは結合を示さなかった(図5)。
突然変異型構築物
すべてのプライマーセットを(表2)に要約する。完全長CRKL cDNA(Invitrogen)のオープンリーディングフレームをPCR増幅しpET28a(Novagen)発現ベクターにクローニングした。SHドメインの各々に対応するcDNAをPCR増幅し、ベクターのSac IおよびXho I制限部位にクローニングした。すべての構築物を制限消化およびDNA配列決定によって確認し、BL21(Stragene)細菌株に形質転換して、組換えタンパク質をHisタグカラム(Qiagen)で精製した。精製組換えタンパク質を、クマシー染色ならびに抗CRKLおよび抗His抗体を使用することによるウエスタンブロット分析を通して確認した。
SH3ドメイン(カルボキシル末端)のCRKL突然変異型をPCR突然変異誘発によって作製した。60bp(Δ1およびΔ2)と54bp(Δ3)を除去し、読み枠を維持するようにプライマーセットを設計した。PSIドメイン構築物のために、環状および線状ペプチド形態のPSIドメインを生成した。PSIオリゴヌクレオチドをアニーリングした後(表2)、二本鎖オリゴヌクレオチドを、EcoRIでの消化後にヌクレオチド除去キット(QIAGEN)を用いて精製し、pGEX4T-1ベクターにクローニングした。CRKLタンパク質がオリゴマー化することを示すため、漸増濃度の組換えgst-CRKLを固定化CRKLタンパク質(Hisタグ組換え形態)または固定化BSAと共に4℃で一晩インキュベートし、その後3回洗浄した。gstに対する抗体を使用することによってタンパク質-タンパク質相互作用を検出した。
(表2)PCRプライマー(SEQ ID NO:32〜53)
Figure 2011525491
実施例5:分子イメージングはCRKLが細胞の外側に局在し得ることを示す
前記で提示した一連の証拠と一致して、分子イメージングはCRKLとβ1インテグリンの共局在化を明らかにした。集合的に、これらの試験は、細胞表面におけるCRKLとβ1インテグリンの特異的分子相互作用を指示する。腫瘍ホーミングペプチドはDU145前立腺癌細胞の表面に結合するので、CRKLもまた細胞膜の外側に局在し得る可能性を検討した。DU145細胞のFACS分析は、対照と比較して抗CRKL抗体による細胞表面標識化を明らかにした(図6A)。細胞表面標識化はまた、非透過処理条件下での免疫蛍光染色および共焦点イメージング試験によっても確認された。超微細構造レベルでの細胞表面局在化も、同じく非透過処理条件下で走査型および透過型電子顕微鏡検査(TEM;図6B)によって検討した。これらの古典的画像化アプローチもやはりCRKLの細胞表面標識化を生じた(図6B)。2つの付加的な生化学的方法:ビオチニル化による細胞表面標識化および界面活性剤膜分画も、CRKLの細胞膜局在化を確認するために使用した。2つの独立した方法により、CRKLは細胞膜上に存在することが認められた。これらの試験のために、無関係な細胞内タンパク質に対する抗体を陰性対照として使用した。合わせて考慮すると、これらの結果は、CRKLタンパク質が、その周知の細胞質存在に加えて、細胞表面にも局在することを示す。
細胞表面および膜局在化
ビオチンによる細胞表面標識化を記述されているように(Monferran et al., 2004)実施した。簡単に述べると、DU145細胞を膜不透過性Biotin-LC-LC-NHS EZ link(Pierce)で標識した。ビオチニル化膜タンパク質を洗浄し、可溶化して、清澄化し、続いてストレプトアビジンビーズ(Pharmacia)で免疫沈降させた。指示される適切な抗体でウエスタンブロット法を実施した。ファージ細胞表面結合アッセイを、選択的相互作用性リガンドのバイオパニング迅速分析(Biopanning and Rapid Analysis of Selective Interactive Ligands)(BRASIL)法(Giordano et al., 2001)を介して、記述されているようにDU145細胞に関して実施した。膜分画を記述されているように(Mintz et al., 2003)実施した。免疫ブロットを指示される適切な抗体でプローブした。共焦点画像をLSM 510(Carl Zeiss)共焦点顕微鏡で取得した。DU145細胞をフィブロネクチン被覆スライドガラス上で増殖させ、4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定して、適切な抗体(ポリクローナルCRKL抗体およびモノクローナルAHSG抗体)で標識した。電子顕微鏡画像をHigh Resolution Electron Microscopy Core Facility(JSM 5900走査型およびJEM 1010透過型電子顕微鏡)で取得した。金ナノ粒子抗体複合体を、20〜25?mまたは40〜45?mの金をホウ酸ナトリウム中で混合することによって調製した。金結合ナノ粒子をTEM分析によって確認した。DU145細胞を氷上にて適切な抗体(モノクローナル抗CRKL、抗β1インテグリン、および抗AHSG抗体)で標識し、続いて二次結合蛍光抗体で標識して、FACSによって分析した。
実施例6:機能性試験および潜在的CRKL輸送機構
CRKLは古典的膜貫通ドメインを有さないので、CRKLが腫瘍細胞から分泌されるか否かを評価するための試験を実施した。結果は、無血清培地で培養したDU145細胞が非リン酸化形態のCRKLを分泌することを示した。これに対し、抗CRKLまたはいくつかの対照抗体を用いた免疫沈降によって示されたように対照細胞培地ではCRKLは検出されなかった。これらの所見の一般性を評価するため、無血清培地中の腫瘍細胞株のパネルを検討し、それらもまた非リン酸化CRKLを分泌することが認められ(図7A)、それゆえ、この現象が細胞型特異的である可能性は低いことを指示した。次に、CRKL分泌が細胞増殖および移動に何らかの検出可能な影響を及ぼすか否かを調べるための試験に着手した。特異性を証明するため、抗CRKL中和抗体を培養下のDU145細胞の無血清培地に添加した。結果は、抗CRKL抗体が細胞外CRKLを中和し、細胞増殖(図7B)および細胞移動(図7C)を低下させたことを示す;いくつかの対照抗体または免疫前血清は、細胞増殖または移動に対して検出可能な作用を生じなかった(図7B、C)。腫瘍細胞に関連するCRKLの生物学的役割をさらに理解するため、siRNA技術によるCRKLノックダウンを用いた;やはり、CRKL発現が低下した場合、細胞の増殖、接着、および移動の有意の低下が生じることが認められた(図8A〜C)。付加的な対照として、細胞増殖の低下は外因性CRKLによって救済され得ることが示され(図8D)、バックグラウンドレベルのアポトーシス(1%未満)だけがCRKL siRNAノックダウン細胞においてまたは無血清培地で培養した細胞において検出された。細胞におけるCRKL siRNAノックダウンはまた、細胞への腫瘍ホーミングファージの結合を低下させることが認められ、腫瘍ホーミングファージが分泌CRKLを介して結合し得ることを示唆した。
CRKLは、小胞体およびゴルジ依存性分泌経路を介したタンパク質分泌のための疎水性N末端配列を有さない(Walter et al., 1984)ことを考慮して、古典的分泌阻害剤がCRKLの細胞放出を妨げ得るか否かを検討した。これらの試験の結果は、ブレフェルジンAおよびタプシガルジンのような阻害剤はCRKL分泌を阻害しないと思われることを示した;これに対し、アデノシン三リン酸結合カセット(ABC)輸送体の阻害剤であるグリベンクラミドはCRKL放出を阻止することが認められた。特定の増殖因子およびサイトカインを含む、タンパク質が古典的シグナルペプチドなしで分泌され得る少なくとも4つの公知のプロセスが存在する(Nickel, 2003; Prudovsky et al., 2003)。これらのデータは、CRKLが、ABC輸送体を使用することによって非古典的輸送経路を介して分泌され得ることを示唆する。注目すべき点として、インターロイキン-1βおよびマクロファージ遊走阻止因子のような他の生物学的に活性な増殖因子もABC輸送体系を使用し(Marty et al., 2005; Flieger et al., 2003; Hamon et al., 1997)、説得力のある能動輸送機構仮説を示唆した。しかし、本明細書で提供する結果は、細胞死も、悪性化の間のクローン選択の一部としてまたは細胞傷害性化学療法後に、腫瘍微小環境内で細胞外CRKLを生じ得る可能性を排除しない。このタンパク質複合体についてさらなる洞察を得るため、CRKL、β1インテグリン、およびPSIドメインミミックペプチドの間の生化学的相互作用を詳細に調べるための結合アッセイを設計した。2つの異なる形態の組換えCRKL(すなわちgstとhisタグ)を使用することにより、結果は、CRKLが、おそらくSH3ドメインを介して、実際にホモ二量体化し得ることを示唆する(Kishan et al., 1997; kristensen et al., 2006)。細胞内CRKLはMAPキナーゼ経路およびインテグリン媒介性経路の両方に関与するので(Li et al., 2003; Uemura et al., 1999)、これら2つの経路内のリン酸化タンパク質を検討した。パキシリン、pl30Cas、Erk1、Erk2、およびElk1を含むいくつかのリン酸化タンパク質、さらにはCRKL自体が、組換えCRKLをインビトロで腫瘍細胞に添加した場合に認められた。さらに、外因性組換えCRKLをβ1インテグリンsiRNAノックダウン細胞に添加した場合、リン酸化Erk1およびErk2タンパク質の減少が認められ、外因性rCRKLによるERK経路の活性化がβ1インテグリンの発現に依存することを指示した。陽性対照マイトジェンは、細胞シグナル伝達機構の全体的効率がCRKL siRNAノックダウン細胞において維持されることを示すため、MAPキナーゼ依存性経路を活性化し、DU145腫瘍細胞を刺激するのに役立った。これらの試験は、分泌CRKLがインテグリン媒介性経路およびMAPキナーゼ経路を活性化し得ることを明らかにした。
siRNA試験
CRKL(mRNAアクセッション番号NM_005207)、β1インテグリン(mRNAアクセッション番号NM_002211)、および対照siRNAを購入した(Santa Cruz, AmbionおよびDharmacon)。siRNAオリゴヌクレオチド配列および対応する製造業者を(表3)に要約する。Oligofectamine(Invitrogen)またはDharmaFect(Dharmacon)を使用してsiRNAをDU 145細胞にトランスフェクトした(1〜2x105細胞/ウエル)。トランスフェクトした細胞を処理の前に48〜72時間インキュベートした。アネキシンV染色(Roche)によって測定した場合、トランスフェクト細胞において細胞死またはアポトーシスは認められなかった。トランスフェクト細胞を採集し、プロテアーゼ阻害剤の存在下で溶解した。腫瘍ホーミングファージ結合活性も、CRKLノックダウン細胞において検討した。救済実験のために、1.5μgまでの組換えCRKLをCRKL siRNAトランスフェクト細胞に外因的に添加した。外因性Hisタグ組換えCRKLタンパク質(400?g/ml)または対照タンパク質(EGF、200?g/ml;MIF、300?g/ml;PMA、300?g/ml)をβ1インテグリンノックダウン実験で使用した。等しい量のタンパク質を負荷し、SDS-PAGEによって、続いて適切な抗体を用いたウエスタンブロット分析によって分割した。WST-1(Roche)を用いて細胞増殖アッセイを実施した。細胞移動アッセイをボイデンチャンバーアッセイ(Corning)において実施した。
(表3)siRNA
Figure 2011525491
免疫沈降アッセイ
細胞をRPMI無血清培地で24〜48時間同調させ、続いて遠心し、0.22μmフィルターを通してろ過し、対照抗体に前吸収させた。等容量のPBSを回収した上清に添加した後、適切な抗体で免疫沈降させた。ブレフェルジンA、グリベンクラミド、およびタプシガルジンを分泌阻害試験に使用した。細胞を無血清培地中で前記化合物と共に9時間インキュベートした後、適切な抗体で免疫沈降させた。免疫沈降試験には界面活性剤を使用しなかった。前述した方法を使用することにより、CRKLは、小胞ではなく、遊離可溶性状態で認められる。
実施例7:CRKLを介したリガンド指向性腫瘍標的化
次に、腫瘍担持マウスにおけるCRKL結合ファージの腫瘍標的化特性を評価した。最初に、選択CRKL結合ペプチドまたは対照(突然変異型またはスクランブル)ペプチドのパネルのいずれかを提示するファージ構築物を設計し、作製した。ファージクローンをヒト腫瘍異種移植片(カポジ肉腫KS 1767細胞および前立腺癌DU145細胞)および同種同系マウス腫瘍モデル(EF43-FGF4乳癌)において試験した。CRKL結合ファージの全身投与後、著明で特異的な腫瘍ホーミングが認められた;これに対し、対照構築物は腫瘍への局在化を示さなかった(図9A〜D)。図9に示すように、突然変異型ペプチド配列P→A
Figure 2011525491
、スクランブル1
Figure 2011525491
、およびスクランブル2
Figure 2011525491
は腫瘍標的化を示さなかった。SEQ ID NO:1
Figure 2011525491
または2つの他のスクランブル配列
Figure 2011525491
内のプロリン残基に隣接するFFW→AAA突然変異を含むペプチドに関する付加的な試験も、突然変異型についての腫瘍標的化活性を示さなかった。さらに、試験は、CRKL結合ファージを組換えCRKLと共にプレインキュベートした後で腫瘍担持マウスに投与した場合、腫瘍ホーミングが阻害されることを示した(図10)。また、CRKL結合ファージは、このタイプの実験のために陽性対照として典型的に使用されるαvインテグリン結合ファージ(RGD-4Cと称される、ペプチド配列CDCRGDCFC(SEQ ID NO:31))と比較した場合、少なくとも10倍高いことが認められた(Hajitou et al., 2006; Arap et al., 1998; Pasqualini et al., 2001; Giordano et al., 2001; Javadpour et al., 1996; Ellerby et al., 1999; Pasqualini et al., 1997)。
最後に、大きさが適合する腫瘍担持マウスの4つのコホートを含むパイロット前臨床試験を設計し、実施した(図11)。動物に以下の試薬を与えた:(i)合成PSIドメインミミックペプチド、(ii)受容体を介したインターナリゼーション時に標的化アポトーシスを誘導するための、プロアポトーシスペプチドミメティックに連結された合成PSIドメインミミックペプチド(Arap et al., 2004; Ellerby et al., 1999; Kolonin et al., 2004; Zurita et al., 2004)、(iii)合成プロアポトーシスペプチドミメティック単独、または(iv)ビヒクル単独。すべてのペプチドまたはペプチドミメティックを等モル濃度で投与した。これらのインビボ試験の結果は、評価した実験条件下で、PSIドメインミミックペプチドが腫瘍増殖に検出可能な作用を及ぼさないのに対し、標的化プロアポトーシスペプチドミメティックは腫瘍増殖を有意に阻害することを示した。
インビボでの腫瘍標的化および阻害
ファージに関するインビボ標的化実験を、記述されているように(Hajitou et al., 2006; Arap et al., 1998; Arap et al., 2004; Kolonin et al., 2004; Marchio et al., 2004)実施した。実験において使用した動物は以下のとおりであった:皮下的にヒトDU145異種移植片を担持する雄性ヌードマウスまたはヒトカポジ肉腫KS 1767由来異種移植片を有する雌性ヌードマウス、および乳房の脂肪パッドに同所性にEF43-FGF4由来乳癌を担持する免疫担当性のBalb/c雌性マウス。簡単に述べると、腫瘍(およそ8mm)を担持するマウスを麻酔し、5×1010 T.U./マウスの野生型
Figure 2011525491
、または陰性対照:fd-tetファージ(挿入物なし)およびスクランブル
Figure 2011525491
、または突然変異型
Figure 2011525491
を、尾静脈を介して静脈内注射した。大きさが適合する腫瘍を有する2匹のマウスのコホートに各々のセットのファージクローンを投与した。24時間後、各マウスから腫瘍を切除し、細菌感染によってファージを回収して、組織の重量によって基準化した。各腫瘍モデルについて実験を2回反復した。腫瘍標的化の阻害のために、CRKLホーミングファージを最初に組換えgst-CRKLまたは対照gstタンパク質と共に37℃で30分間インキュベートし、その後前立腺腫瘍担持マウスに静脈内投与した。fdファージを陰性対照として使用し、RGD-4C(Hajitou et al., 2006; Arap et al., 1998)を陽性対照として使用した。パラフィン包埋腫瘍組織切片に関するTUNEL染色(Promega)により、ごくわずかなバックグラウンドアポトーシス(総細胞の<1%)だけが検出された。
腫瘍担持マウスにおける治療
DU145腫瘍担持マウスの大きさを適合させ、個別のコホートに分けた(n=各群当たり4匹のマウス)。腫瘍ホーミングペプチド
Figure 2011525491
をプロアポトーシスモチーフD(KLAKLAK)2と融合して合成した。非結合ペプチド
Figure 2011525491
またはD(KLAKLAK)2を対照として使用した。合成ペプチドを全身投与し、腫瘍体積を記述されているように(Arap et al., 1998; Arap et al., 2004)測定した。
CRKL標的化ペプチドを使用したMRIイメージング
金/ファージイミダゾールヒドロゲルを、腫瘍標的化ファージ(CRKLを標的する)および対照として挿入物不含ファージで形成した。酸化鉄を30%(容積比で)の最終容積でこれらのヒドロゲルに組み込んだ。このヒドロゲル製剤をその後のMRI試験において使用し、MRI試験では、3匹の前立腺腫瘍担持マウス(DU145)に、等しい量のAuFe単独、AuFeを含有する非標的化ヒドロゲル(挿入物不含ファージ)およびAuFeを含有するCRKL標的化ヒドロゲルを腫瘍内注射した。鉄コアによって媒介される陰性コントラストが、MRIを使用して明瞭に認められ、定量され得る。
本明細書において開示され、主張される組成物および方法のすべてが、本開示に照らして過度の実験を必要とせずに作製され、実施され得る。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して述べたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく本明細書において述べる組成物および方法ならびに方法の工程または工程の順序に変更を加え得ることは当業者に明白である。より具体的には、化学的および生理的に関連する特定の作用物質を本明細書において述べる作用物質の代わりに使用してもよく、それでもなお同じかまたは類似の結果が達成されることは明白である。当業者に明白なすべてのそのような類似代替物および変更は、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念内であるとみなされる。
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書において述べるものを補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りにおいて、参照により具体的には本明細書に組み入れられる。
Figure 2011525491
Figure 2011525491
Figure 2011525491
Figure 2011525491

Claims (37)

  1. a)6〜20アミノ酸長である;
    b)β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対する対応ベストフィット配列アラインメントに少なくとも25%の類似度を有する
    と定義されるCRKL結合モチーフを含み、および
    100アミノ酸長またはそれ未満のアミノ酸長であり、CRKLを発現する細胞に生理的条件下で結合する、単離された腫瘍標的化ペプチド。
  2. CRKL結合モチーフが、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに少なくとも40%の類似度を有する、請求項1記載のペプチド。
  3. CRKL結合モチーフが、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに少なくとも50%の類似度を有する、請求項1記載のペプチド。
  4. CRKL結合モチーフが、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに少なくとも60%の類似度を有する、請求項1記載のペプチド。
  5. β1インテグリン(SEQ ID NO:47)に対するベストフィット配列アラインメントに同一ではない配列を有する、請求項1記載のペプチド。
  6. CRKL結合モチーフが、β1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有する、請求項1記載のペプチド。
  7. CRKL結合モチーフが、アミノ酸10〜29;15〜34;18〜37;36〜55;39〜58;45〜64;94〜113;196〜215;198〜213;203〜222;244〜263;330〜349;377〜396;379〜398;380〜399;398〜417;400〜419;413〜432;447〜466;460〜479;460〜479;464〜483;469〜488;474〜493;475〜494;512〜533;519〜538;551〜570;574〜593;577〜596;579〜598;590〜609;596〜615;613〜632;615〜634;616〜635;644〜663;648〜667;663〜682;674〜693;682〜701;721〜740;727〜746;および779〜798からなる群より選択されるβ1インテグリン(SEQ ID NO:47)のPSIドメイン領域に対するベストフィット配列アラインメントを有する、請求項1記載のペプチド。
  8. CRKL結合モチーフが、SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:46からなる群より選択される配列を有する、請求項1記載のペプチド。
  9. 環状ペプチドとしてさらに定義される、請求項1記載の単離ペプチド。
  10. 分子に結合している、請求項1記載の単離ペプチド。
  11. 分子がタンパク質であり、ペプチドが該タンパク質に結合または融合して、天然に存在するタンパク質ではないタンパク質複合体を形成する、請求項10記載の単離ペプチド。
  12. タンパク質の末端に位置する、請求項11記載の単離ペプチド。
  13. 分子が、プロアポトーシス物質、抗血管新生物質、サイトカイン、細胞傷害性物質、薬剤、化学療法剤、ホルモン、増殖因子、抗生物質、抗体またはそのフラグメントもしくは一本鎖、生存因子、抗アポトーシス物質、ホルモンアンタゴニスト、抗原、ペプチド、タンパク質、診断薬、放射性同位体、または造影剤である、請求項10記載の単離ペプチド。
  14. 分子が、グラミシジン;マガイニン;メリチン;デフェンシン;セクロピン;(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48);(KLAKKLA)2(SEQ ID NO:49);(KAAKKAA)2(SEQ ID NO:50);(KLGKKLG)3(SEQ ID NO:51);Bcl-2;Bad;Bak;Bax;およびBikからなる群より選択されるプロアポトーシス物質である、請求項13記載の単離ペプチド。
  15. プロアポトーシス物質が(KLAKLAK)2(SEQ ID NO:48)である、請求項14記載の単離ペプチド。
  16. SEQ ID NO:48がDアミノ酸からなる、請求項15記載の単離ペプチド。
  17. 分子が、トロンボスポンジン、アンギオスタチン、色素上皮由来因子、アンギオテンシン、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、血小板因子4、IP-10、Gro-β、トロンボスポンジン、2-メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンギオポエチン2、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP-470、エンドスタチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ポリアミン類、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、シグナル伝達ペプチド、アキュチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM-1470、血小板因子4、ミノサイクリン、エンドスタチンXVIII、エンドスタチンXV、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2のC末端ヘモペキシンドメイン、ヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメイン、エンドスタチンとアンギオスタチンの融合タンパク質、エンドスタチンとヒトプラスミノーゲンのクリングル5ドメインの融合タンパク質、インターフェロン-γによって誘導されるモノカイン(Mig)、MigとIP10の融合タンパク質、可溶性FLT-1(fins様チロシンキナーゼ1受容体)、またはキナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)からなる群より選択される抗血管新生物質である、請求項13記載の単離ペプチド。
  18. 分子が、インターロイキン1(IL-1)、IL-2、IL-5、IL-10、IL-11、IL-12、IL-18、インターフェロン-γ(IF-γ)、IF-α、IF-β、腫瘍壊死因子、またはGM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)からなる群より選択されるサイトカインである、請求項13記載の単離ペプチド。
  19. 巨大分子複合体に結合している、請求項10記載の単離ペプチド。
  20. 複合体が、ウイルス、バクテリオファージ、細菌、リポソーム、ミクロ粒子、磁気ビーズ、酵母細胞、または哺乳動物細胞である、請求項19記載の単離ペプチド。
  21. ウイルスに結合している、請求項13記載の単離ペプチド。
  22. レンチウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、AAV、ワクシニアウイルスまたはヘルペスウイルスである、請求項14記載の単離ペプチド。
  23. ペプチドが固体支持体に結合している、請求項19記載の単離ペプチド。
  24. 固体支持体がマイクロタイターディッシュまたはマイクロチップである、請求項23記載の単離ペプチド。
  25. 請求項1記載のペプチドを得る工程および構築物を調製するために該ペプチドを分子に結合する工程を含む、構築物を調製する方法。
  26. (a)請求項1〜24のいずれか一項記載のペプチドを得る、または請求項23記載の方法によって調製する工程;および
    (b)該ペプチドを、CRKLを発現する細胞を含む細胞集団に投与し、それによって分子またはタンパク質を該細胞に送達する工程
    を含む、CRKLを発現する細胞へのペプチド、分子またはタンパク質の送達を標的化する方法。
  27. CRKLを発現する細胞が被験者中に存在し、ペプチドまたはタンパク質融合構築物が薬学的に許容される組成物中で製剤され、該組成物が前記被験者に投与される、請求項26記載の方法。
  28. 被験者がヒト被験者である、請求項27記載の方法。
  29. 検出方法としてさらに定義され、細胞に送達されたペプチド、分子またはタンパク質を検出する工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
  30. 被験者が疾患または障害を有しており、治療方法としてさらに定義される、請求項26記載の方法。
  31. 被験者が癌を有する、請求項29または30記載の方法。
  32. 癌が、前立腺癌、乳癌、肉腫、歯肉癌、舌癌、肺癌、皮膚癌、肝癌、腎癌、眼癌、脳癌、白血病、中皮腫、神経芽細胞腫、頭部癌、頸部癌、膵癌、腎癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳癌、結腸癌および膀胱癌からなる群より選択される、請求項31記載の方法。
  33. 癌が前立腺癌である、請求項32記載の方法。
  34. 癌が乳癌である、請求項32記載の方法。
  35. 癌が肉腫である、請求項32記載の方法。
  36. モチーフが、6〜10アミノ酸長であるとさらに定義される、請求項1記載の方法。
  37. モチーフが、14〜20アミノ酸長であるとさらに定義される、請求項1記載の方法。
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