JP2011525194A - 線維性疾患または病態を治療するための組成物 - Google Patents
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Abstract
患者の線維性疾患または病態を治療する方法であって、該患者にノスカピンおよび医薬担体を投与することを含む、方法。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
関連出願の相互参照
本発明は、2008年6月20日に出願された、米国特許仮出願第61/074,492号に対して、35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が組み込まれる。
本発明は、2008年6月20日に出願された、米国特許仮出願第61/074,492号に対して、35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、当該出願は、参照によりその全体が組み込まれる。
線維症は、長期に及ぶ損傷に対して、多くの異なる組織内に生じる可能性のある複雑な障害である。線維症は、一般的に、線維芽細胞および筋線維芽細胞の増殖における異常な増加、ならびにコラーゲンおよび他の細胞外基質(ECM)成分の過剰沈着を特徴とする。最終的に、これらの変化は、肝硬変、肺間質性線維症(IPF)、皮膚および他の臓器の全身硬化症(強皮症)、移植拒絶反応、心臓の鬱血性腎不全、および多くの他の疾患において生じ得るように、罹患臓器の正常構造および機能を破壊し得える。コルチコステロイドおよび免疫抑制剤の使用を伴う従来の治療は、線維症の進行の逆転、または阻止に対して、ほとんど、または全く効果がない(Wynn、2007)。
根本的な病因の複雑性から、様々な治療介入が提案されてきた。コラーゲン線維の合成、排泄、または重合を低減することは、線維成長を鈍化させる上で有効であり得ることが示唆されている。別の一連の攻撃は、過剰なECMを破壊する目的で、コラゲナーゼ活性を亢進させることであり、一方他の者は、コラーゲン合成を刺激する、形成転換成長因子β(「TGF−β」)等のサイトカインを中和するか、またはそれに拮抗する戦略を示唆している。いくつか想定される抗線維化剤が臨床治験で試験されているが、線維症の遅延における実質的な有効性を証明できていない。
線維症の開始および進行に関与する要因のなかで、創部へのリンパ球および線維芽細胞/筋線維芽細胞の動員(Hinz et al,2007)およびTGF−βの誘導(Wells 2000、Verrecchia and Mauviel,2007)が、重要であると見なされる。したがって、創部組織内への線維芽細胞および筋線維芽細胞の移動を正常化する、および/またはTGF−βの機能を調節することができる薬剤は、線維症を治療する上で特に有用であり得る。
したがって、一態様において、本発明は、患者の線維性疾患または病態を治療する方法を提供し、この方法は、患者にノスカピンおよび医薬担体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、線維性疾患または病態が遅延され、いくつかの実施形態において、線維性疾患または病態が低減される。
さらなる態様において、本発明は、線維性疾患を治療する方法を提供し、この方法は、ノスカピン(その変異体を含む)を含む医薬組成物、ならびにACE阻害剤、抗炎症剤、パーフェニドン、グリーベック、およびボセンタンが挙げられるが、これらに限定されない1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の抗線維化剤を投与することを含む。医薬組成物は、医薬担体をさらに含み得る。かかる治療は、線維性疾患の症状の発症の遅延、または線維性疾患の症状の重症度の低減をもたらし得る。
特記しない限り、本発明の実施は、当該技術分野の技術範囲内である分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を用いる。かかる技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Clos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987):PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、およびMass isotopomer distribution analysis at eight years:theoretical,analytic and experimental considerations by Hellerstein and Neese(Am J Physiol 276(Endocrinol Metab.39)E1146−E1162,1999)等の文献に十分に説明されており、それらのすべては、必要な技術のための参照により組み込まれる。さらに、市販されている分析キットおよび試薬を用いる手順は、典型的には、特に注記しないかぎり、製造者が定義したプロトコルに従って使用される。
近年のインビトロ研究は、微小管(MT)動態が、線維成長において以前に認識されていない役割を担い得ることを示唆している。MTは、すべての細胞の運動性に必要ではないが、MTの適切な機能は、線維芽細胞等の大細胞の定方向の転座に必要であると思われる。MT動態を阻害する化合物の極低濃度は、大細胞が罹患領域内に移動することができる比率を大幅に低下させる(Liao et al,1995)。これは、損傷組織内への線維芽細胞/筋線維芽細胞の動員において重要な要因であり得る。さらに、MTは、Smad2、Smad3、およびSmad4との複合体を形成し、したがって、rSmadをTGF−β受容体から離して封鎖することによって、TGF−β/Smadシグナル伝達において負のフィードバックループを提供する(Doung et al,2000)。線維症の誘導におけるTGF−βシグナル伝達カスケードおよびその重要性は、多くの発行物において検討されている(Wells2000;Verrecchia and Mauviel,2007)。
ノスカピンは、チューブリンに結合し、その配座を変更し、それによって、MTの分解/再組立サイクル(すなわち、動態)の比率を変更する、経口で有効な薬剤であり(Ye et al.1998)、チューブリンの全ポリマー質量に影響を及ぼすか、または総MT変形を引き起こすことはない(Zhou et al.2002)。元々鎮咳薬として使用されていた(Empey et al.1979)、ノスカピンは、近年、正常な組織に対して毒性が少ないか、または免疫反応の抑制を有する有効な抗癌剤であると報告されている(Ke et al.2000、Zhou et al.2003)。ノスカピンは、おそらく、そのブラジキニン活性を遮断する能力により、脳卒中の治療において有益であることが分かっている(Mahmoudian et al.2003)。ノスカピンは、アヘンから派生する非麻薬性フタリドイソキノリンアルカロイドである。しかしながら、ノスカピンは、鎮痛特性、鎮静特性、および呼吸機能抑制薬特性が欠如し、幸福感または依存性のいずれかを誘発しない。臨床治験において、ノスカピンは、良好な容認性を示すと考えられる(Mahmoudian et al.2003)。また、本開示において、ノスカピンは、線維性疾患または病態の有効な治療であると認められている。したがって、本開示は、線維性疾患または病態の治療のための製剤および方法を提供する。
本発明は、様々な線維性疾患または病態の治療のための方法および組成物を対象とする。この内容において「治療」は、症状の発症または重症度の遅延、死亡の遅延、および症状の軽減を含む。
一実施形態において、本発明は、線維性疾患または病態を治療する方法を提供し、方法は、ノスカピンまたはその塩を含む医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む。「線維性疾患」とは、罹患していない対照に対するコラーゲンまたは他の細胞外基質(ECM)成分の増加等の臓器または組織内の線維性結合組織の増加を特徴とする、疾患または障害を意味する。「線維性疾患」または「病態」としては、肝硬変、鬱血性心不全、線維性肺病、紫外線による老化、すい臓および肺の嚢腫性線維症、注入線維症が挙げられるが、それらに限定されず、それらは、筋肉内注入、心内膜心筋線維症、特発性肺線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症(炭鉱労働者の塵肺の合併症)、腎性全身性線維症、強皮症、腎線維症、臓器移植、傷、火傷等に関連する線維症の合併症として生じる可能性がある(米国特許第7,449,171号のfibrotic disease or conditionsの考察および米国特許第11/064,197号も参照されたく、それらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
下記にさらに説明するように、一実施形態は、治療のために薬剤としてノスカピンを用いる。ノスカピンの構造を図13に示す。「ノスカピン」は、例えば、米国特許第6,376,516号に概説されるスカピン類似体および/または誘導体を含み、スカピン類似体およびそれを作製する方法に関連する、その特定の開示のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。好ましいノスカピン類似体は、図13で確認できる。
別の実施形態において、本明細書に開示する方法に従い、他の薬剤、好ましくは、他の抗線維化剤と共にノスカピンを使用する。好ましい薬剤としては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、抗炎症剤、パーフェニドン、グリーベック、またはボセンタンが挙げられるが、それらに限定されない。
ACE阻害剤は、それらの分子構造に基づき、カプトプリル(商標カプトテン)およびゾフェノプリル等のスルフヒドリル含有剤の3つのグループに分割することができる。他の薬剤としては、ジカルボン酸含有剤が挙げられる。これは、エナラプリル(バソテック/レニテック)、ラミプリル(アルテース/トリテース/ラマース(Ramace)/ラミウィン)、キナプリル(アキュプリル)、ペリンドプリル(コバシル/アセオン)、リシノプリル(リソジュール(Lisodur)/ロプリル/ノバテック/プリニビル/ゼストリル)、ベナゼプリル(ロテンシン)を含む最大のグループである。最後に、他のACE阻害剤としては、フォシノプリル(モノプリル)等のホスホン酸含有剤が挙げられる。
抗炎症剤としては、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症剤(NSAIDS)が挙げられる。好ましい抗炎症剤としては、グルココルチコイド、アスピリン、イブプロフェン、およびナプロキセンが挙げられるが、それらに限定されない。
製剤
線維性疾患または病態の治療のための治療上の使用において、本発明の医薬方法に用いられる化合物を、治療効果を達成するのに適した投与量レベルで、線維性疾患または病態と診断された患者、または線維性疾患または病態を発症するリスクのある患者に投与する。「治療効果」とは、化合物の投与が経時的に患者に対して有益な効果につながることを意味する。
ヒトへの投与に好適な初期投与量は、インビトロ分析または動物モデルから決定し得る。例えば、初期投与量は、インビトロ分析において測定されるように、投与される化合物の特定の代謝的活性剤のIC50を含む血清濃度を達成するように調剤し得る。あるいは、ヒトの初期投与量は、ブレオマイシン誘導型肺線維症マウスモデル等の線維性疾患または病態の動物モデルにおいて有効であることが分かっている投与量に基づき得る。一例として、本明細書に概説する医薬組成物のそれぞれの成分の初期投与量は、約0.01mg/kg/日〜約3000mg/kg/日の範囲であり得るか、または約0.1mg/kg/日〜約2000mg/kg/日、または、約1mg/kg/日〜約2000mg/kg/日、または約10mg/kg/日〜約2000mg/kg/日、または約100mg/kg/日〜約2000mg/kg/日、または約1000mg/kg/日〜約2000mg/kg/日も使用することができる。しかしながら、投与量は、患者の要求、治療される病態の重症性、および用いられる化合物によって異なり得る。用量はまた、特定の患者において特定の化合物の投与に伴う任意の薬物副作用の存在、性質、および範囲によって決定される。特定条件のための適切な投与量の決定は、施術者の技術範囲内である。一般的に、治療は、適量未満で化合物のより少量の投与量で開始する。その後、その状況下で最適な効果が達成されるまで、投与量を少しずつ増量する。便宜上、必要に応じて、1日の総投与量を分割し、1日に分割して投与し得る。
薬物組成物内の活性化合物の濃度は、薬物の吸収率、分布率、不活化率、および排泄率、ならびに当業者に知られる他の要因によって異なる。投与量値はまた、緩和される病態の重症度で異なることも留意するものとする。任意の特定の対象において、特定の投薬計画が個人のニーズ、および組成物の投与を投与するか、または管理する者の専門的な判断にしたがって経時的に調節されるべきであり、本明細書に示す濃度範囲は、例示のみであり、主張する組成物の範囲または実施を制限することを意図しないことをさらに理解するものとする。活性成分を一度に投与し得るか、または異なる時間間隔で投与される、いくつかの少ない用量に分割し得る。
経口投与に好適な製剤は、(a)水、生理食塩水、またはPEG400等の希釈剤中に懸濁された有効量の化合物等の液体溶液、(b)液体、固体、顆粒、またはゼラチンとして、それぞれ、規定量の活性成分を含むカプセル、サシェット、または錠剤、(c)適切な液体内の懸濁液、および(d)好適な乳液から成ることができる。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、芳香剤、染料、崩壊剤、および医薬的に適合性担体のうちの1つ以上を含むことができる。ドロップ形態は、風味のある活性成分、例えば、スクロースを含み、芳香錠は、活性成分の他に当該技術分野において知られる担体を含む、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア乳液、ゲル等の不活性塩基中の活性成分を含むことができる。
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセル内に封入されるか、または錠剤に圧縮され得る。経口の治療的投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、トローチ、またはカプセルに使用することができる。医薬的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含むことができる。
活性化合物またはその医薬的に許容される塩は、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューイングガム等の成分として投与することができる。シロップは、活性化合物の他に、甘味剤としてのスクロース、および特定の防腐剤、染料および着色料、ならびに香味料を含み得る。
活性化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、所望の作用を害さない他の活性材料、または所望の作用を補完する材料と混合することもできる。
本明細書に使用される、医薬的に許容される塩という用語は、上記に特定した化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小限の望ましくない毒性効果を呈するか、またはそれを全く呈さない塩を指す。かかる塩の例としては、無機酸を用いて形成された酸付加塩(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)、および酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンジスルホン酸、およびポリガラクツロン酸等の有機酸を用いて形成された塩が挙げられるが、それらに限定されない。化合物はまた、当業者に知られる医薬的に許容される第4級塩として投与することができ、それは、具体的に、式−−NR+Z−の第4級アンモニウム塩を含み、式中、Rは、水素、アルキル、またはベンジルであり、Zは、塩素物、臭化物、ヨウ化物、−−O−アルキル、トルエンスルホナート、メチルスルホナート、スルホナート、リン酸、またはカルボン酸(安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、シンナモアート、マンデロエート、ベンジロエート、およびジフェニル酢酸等)を含む、対イオンである。
最適か、単独か、または他の好適な成分と組み合わせた化合物は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤(すなわち、それらは「ネブライザー」であってもよい)に作製することができる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧可能な高圧ガス内に定置することができる。
直腸投与に好適な製剤としては、例えば、座薬基剤と共にパッケージ化された核酸から成る座薬が挙げられる。好適な座薬基剤としては、自然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭化水素が挙げられる。また、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、およびパラフィン炭化水素を含む、塩基との最適な化合物の組み合わせから成るゼラチン状直腸カプセルの使用も可能である。
例えば、関節内(関節の中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下経路等による非経口投与に好適な製剤としては、製剤に対象とする受容者の血液との等張性を与える、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および溶質を含むことができる、水性および非水性、等張性滅菌注射液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。本発明の実践において、組成物は、例えば、静脈内注入、経口、局所、腹腔内、膀胱内または髄腔内によって投与することができる。非経口投与、経口投与、皮下投与、および静脈内投与は、好ましい投与方法である。好適な溶液製剤の具体的な例は、水中に、約0.1〜100mg/mLの化合物〜約1000mg/mLプロピレングリコールを含み得る。好適な溶液製剤の別の具体的な例は、水中に、約0.1または約0.2〜約100mg/mLの化合物、および約800〜1000mg/mLのポリエチレングリコール400(PEG400)を含み得る。
好適な懸濁液製剤の具体的な例は、水中に、約0.2〜30mg/mLの化合物、および約200mg/mLのエタノール、約1000mg/mLの植物油(例えば、トウモロコシ油)、約600〜1000mL/mLの果汁(例えば、ブドウの果汁)、約400〜800mL/mLの牛乳、約0.1mL/mLのカルボキシメチルセルロース(または、微結晶セルロース)、約0.5mg/mLのベンジルアルコール(または、ベンジルアルコールおよびベンザルコニウム塩素物の組み合わせ)、および約40〜50mMの緩衝剤、pH7(例えば、リン酸塩緩衝剤、酢酸緩衝剤もしくはクエン酸緩衝剤、または、あるいは5%のブドウ糖を緩衝剤の代わりに使用し得る)からなる群から選択された、1つ以上の賦形剤を含み得る。
好適なリポソーム懸濁液製剤の具体的な例は、水中に、約0.5〜30mg/mLの化合物、約100〜200mg/mLのレシチン(または、他のリン脂質またはリン脂質の混合物)、および任意に、約5mg/mLのコレステロールを含み得る。化合物の皮下投与では、100mg/mLのレシチンを有する、水中に、5mg/mLの化合物、ならびに100mg/mLのレシチンおよび5mg/mLのコレステロールを有する、水中に、5mg/mL化合物を含むリポソーム懸濁液製剤は、良好の結果を提供する。
化合物の製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量の密封容器で提供することができる。注射液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
医薬調製物は、好ましくは、単回投与量形態である。かかる形態において、調製物は、適量の化合物を含む単位用量に細分される。単回投与量形態は、パッケージ化された調製物であってもよく、パッケージは、小袋の錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル内の粉末等の分離量の調製物を含む。また、単位用量形態は、カプセル、錠剤、カチェット、またはドロップ自体であってもよいか、または適切な数のパッケージ形態のこれらのいずれかであってもよい。必要に応じて、組成物はまた、他の適合性治療薬を含むことができ、下記にさらに詳細に説明する。
一実施形態において、活性化合物を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、制御放出製剤等の身体からの迅速排除から化合物を保護する担体を用いて調製する。エチレンビニル酢酸、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の生分解可能な生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤の調整方法は、当業者には明らかである。材料はまた、Alza Corporation(CA)およびGilford Pharmaceuticals(Baltimore,Md.)から市販されるものを入手することができる。リポソーム懸濁液はまた、医薬的に許容される担体であり得る。これらは、当業者に知られる方法、例えば、米国特許第4,522,811号(それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に説明される方法に従って調製し得る。例えば、リポソーム製剤は、適切な脂質(ステアロイルホスファジルエタノールアミン、ステアロイルホスファジルコリン、アラカドイルホスファジルコリン、およびコレステロール等)を無機溶媒中に溶解し、次いで蒸発させ、容器の表面上に薄層の乾燥脂質を残すことによって調製し得る。次いで、活性化合物またはその一リン酸塩、二リン酸塩、および/または三リン酸塩誘導体の水性溶液を容器内に導入する。次いで、脂質物質を容器の側面から遊離させ、かつ脂質会合体を分散するために手で容器を回転し、それによって、リポソーム懸濁液を形成する。
したがって、本明細書に説明する組成物は、線維性病態の治療上の使用に役立つ。損傷組織の修復は、生存に必要な基本的な生物学的プロセスである。しかしながら、損傷が繰り返されるか、または持続される場合、修復プロセスが異常になり得、ECMタンパク質は、病的レベルまで集積され得る。本明細書に説明する実験において、組織損傷は、様々な薬剤(肺内のブレオマイシンおよび肝臓内のANIT)によってもたらされた。これらのモデルは、共通して、刺激によって、組織コラーゲンの合成が未治療対照から得られるレベルを上回って著しく増加したという事実を有する。この影響は、総コラーゲン貯留および組織内で合成された新規コラーゲンの絶対値の増加に反映された。両方のモデルにおいて、ノスカピンは、用量依存的に、新規コラーゲンの合成、組織内に存在するコラーゲンの分割量および絶対量の双方、ならびにその総量の増加を阻止した。
ノスカピンは、これらの実験において対象関心である2つの主要な薬理活性を有する。ノスカピンは、MT修飾剤(Ye et al.1998)、ならびにブラジキニン拮抗薬(Mahmoudian et al.2001)である。 理論に束縛されるものではないが、この活性の組み合わせは、ノスカピンを線維症治療のための特に興味深い新規薬剤にし得る。
通常の創部治癒プロセス中に、損傷上皮および/または内皮細胞は、線維芽細胞を活性化させるためにメディエータを放出する。それらが創部内に移動すると、線維芽細胞は、病理学的組織改造の重要な役割を担う、α−SMA発現筋線維芽細胞へと変形する(Hinz et al.2007再考)。MTの動態特性は、大細胞が移動するときにMTネットワークの再配向を可能にする。 理論に束縛されるものではないが、ノスカピンがMTの動態を減少させるため、創部領域内への線維芽細胞等の細胞の動作を減少することができると考えられる。Liaoら(1995)は、生体内において、細胞内の実際のMTレベルではなく、MT動態を妨害するノコダゾール等の低濃度の物質が、線維芽細胞培養の創部領域内への線維芽細胞の移動運動速度を減少させることを発見した。しかしながら、ノスカピン等のMT修飾剤の抗線維性影響は、以前、生体内で証明されていない。
MTはまた、TGF−Smad信号伝達経路の負の調節において重要な役割を担い得る。生体内において、Liuら(2005)は、低濃度のMT阻害剤(パクリタキセル)が、強皮症のヌードマウスモデルにおいてTGF−β信号伝達を有意に抑制したことを発見した。パクリタキセルは、Smad2およびSmad3リン酸化反応を顕著に抑制し、かつSSc移植片におけるコラーゲン沈着を減少させた(Liu et al,2005)。TGF−βSmad信号伝達経路は、原因として線維症の誘導に関連付けられている(再考:Wells,2000,Verrecchia and Mauviel,2007)。TGF−βは、例えば、線維芽細胞に走化性であり、かつECMの酵素的分解を阻止するプロテアーゼ阻害剤の産生も増加させながら、ECMを合成するために線維芽細胞を誘導し、TGF−βは、リンパ球機能を調節し、かつ平滑筋細胞アポトーシスを阻害しながら、内皮細胞アポトーシスを増加させる。
生体内の低濃度で、すべてのMT阻害剤は、MT動態を分裂させるが、これらの薬剤は、異なる結合部位で微小管に作用し、それらに異なる影響を引き起こさせる(Jordan,2002)。MT阻害は、MTポリマー化を阻害するコルヒチン、ノコダゾール、およびビンカアルカロイド等の化合物、およびMTポリマー化を促進するタキソイド(例えば、パクリタキセル)等の化合物の2つの一般的な種類に分類される(Jordan,2002)。痛風の治療に使用されている抗炎症剤であるコルヒチンは、タブリンを結合し、MTポリマー化の破壊をもたらす。コルヒチンは、IPFの治療において、コルチコステロイドおよび/または免疫抑制薬の代替として試験されており(Douglas et al 1998)、より安全であるが、効果的ではない(すなわち、効果のない従来の療法よりも効果がない)ことが分かった。ノスカピンは、化学的にコルヒチンと同様であるが、それは、チューブリン上の異なる部位に結合する(Ye et al,1998)。結合すると、ノスカピンは、ポリマー化を破壊するよりはむしろ、ポリマー化を促進するチューブリンおよびMT構成の構造変化を誘導し、MT分解/再構成サイクルを遅くする一般的な方法で作用し得る。
トキソイド等の多くのMT阻害剤は、それらの細胞増殖を制限する能力から、抗癌療法として開発されている。しかしながら、これらの薬剤の副作用プロファイルにより、それらが線維症の治療に不適切になり得る。実際、いくつかのこれらの薬剤によるMTネットワークの破壊は、TGF−β応答性遺伝子の転写によるリガンド非依存性Smad核内沈着につながり、TGF−β誘導Smad活性を増加させ、すべての活性は、線維形成の性質になる可能性が高い。パクリタキセル治療は、数名の患者の強皮症様症候群の発達に関連付けられている(例えば、De Angelis et al,2003)。したがって、ノスカピンが線維性疾患または病態の動物モデルにおける生体内の線維化、抗線維性または中和作用を及ぼすかどうかは、予測不可能であった。
そのMT調節作用の他に、ノスカピンはまた、その鎮咳活性のうちの少なくとも一部に関与する機構である(Ebrahimi et al,2003)非競合的ブラジキニン拮抗薬として作用する(Mahmoudian et al.2001)。ブラジキニンは、低血圧、気管支収縮、腸および子宮収縮、気道内の上皮分泌、腸および外分泌腺、血管透過性、疼痛、結合組織増殖、サイトカイン放出、ならびにエイコサノイド形成の様々な生物学的影響を引き起こす(Steranka et al,1989)。ブラジキニンは、それとは反対の証拠が存在するが、線維症の誘発に関連し得る(例えば、Sancho−Bru et al,2007、Helske et al,2007)。線維芽細胞増殖を誘発、筋線維芽細胞への肺線維芽細胞の移行、およびコラーゲン産生の促進によって、ブラジキニンは、気管支の再構成および肺線維症に関与し得る(Vancheri et al,2005)。ブラジキニンはまた、コラーゲンmRNA、血管平滑筋細胞内のTIMPおよびTGF−βの分泌を増加させた(Douillet et al,2000)。ブラジキニン拮抗薬を用いる治療は、心筋再構成モデルにおいて、ブラジキニンの線維形成作用を阻止することができた(Koike et al,2005)。したがって、ブレオマイシン内のいくつかのノスカピンの抗線維性作用およびANITモデルは、そのMT調節活性の他に、ブラジキニン拮抗薬活性によるものであり得る。
要約すると、ノスカピンは、様々な線維性病態を治療する可能性を有する新規抗線維化剤であると思われる。ノスカピンの抗線維性活性は、MT修飾剤および/またはブラジキニン拮抗薬として、その独自の薬理学的プロファイルに起因し得る。
以下の非制限的実施例は、本明細書に開示する発明をさらに解説する。
実施例1:ブレオマイシン誘導型肺線維症
特発性肺線維症(IPF)は、肺機能を害する広域な組織再構成をもたらすECMの過剰沈着を特徴とする、慢性、かつ、しばしば、致死性の疾患である。免疫抑制剤に伴う治療等の従来の治療は、疾患進行を制御するか、または予防する上で非効果的である。
げっ歯動物へのブレオマイシンの器官内投与は、ヒトの間質性肺線維症の標準的実験モデルとなった。ブレオマイシンの毒性(Sleijfer,2001再考)は、主に、肺および皮膚内で生じ、それは、これらの組織内の不活性酵素、ブレオマイシンヒドロラーゼの欠如によるものである。ブレオマイシンは、フリーラジカルの誘導を介して細胞毒性を誘導し、次いで、それは、DNAの切断を引き起こす。IPFの多くの組織学的変化は、ブレオマイシンの投与によって再産生され(Grande et al.1998において再考)、肺胞の歪み、毛細血管の再構成、およびECM、特にコラーゲンの過剰沈着を特徴とする。ブレオマイシンモデル、ならびにIPFにおいて、TGF−βは、線維芽細胞増殖および増加したコラーゲン合成の主な分子メディエータである。
ブレオマイシン投与は、GC/MSによって測定されるように、OHPの分別合成の少なくとも3倍の増加を誘発する。線維性反応の阻害または反転は、ブレオマイシン/媒体対照と比較するときに、OHP合成の減少によって決定される。
方法
動物:研究開始時に生後10週間のメスのC57BL/6マウスを使用した。餌および水は、研究期間、その場で入手可能であった。研究グループは、表1に記載するとおりである。
表1:ブレオマイシン誘発型線維症の実験グループの概要
プロトコル:ブレオマイシン(Sigma−Aldrich)を、1.05U/mLの濃度の滅菌生理食塩水中で溶解した。1.5U/kgのブレオマイシンの用量を得るために、経口投与によって、30μLのブレオマイシン溶液または同一容量の媒体(擬似対照)をメスのC57Bl/6マウスの器官内に設置した。同一日に、8%2H2Oを用いてマウスを標識し、ノスカピンの投与を開始した。標識(飲料水内の8%2H2O)および薬物投与を2週間の研究期間、継続した。ノスカピンの用量および投与経路は、表1に示すとおりである(poは、強制経口、ipは、腹腔内を表す)。
最終の薬物投与の翌日に、マウスを強い麻酔化に置き、心穿刺を介して血液を収集した。等張性生理食塩水を用いて肺を還流し、除去し、計量した。肺を、MiniBeadbeater−96(登録商標)(Biospec,Bartlesville,OK)ビーズ式破砕機を用いて均質化し、全ホモジネート量を決定した。ホモジネートを、OHP評価のための総組織タンパク質を得るために、アセトン沈殿を施した。タンパク質を、HCl中の培養によって加水分解し、真空下で乾燥させ、次いで、培養前に、50%のアセトニトリル、50mMのK2HPO4、およびペンタフルオロベンジル臭化物の溶液中で懸濁した。誘導体をエチル酢酸内に抽出し、上層を除去し、真空遠心分離によって乾燥させた。ヒドロキシプロリンのヒドロキシル部分をアセチル化するために、サンプルをアセトニトリル、N−メチル−N−[タート−ブチルジメチル−シリル]トリフルオロアセトアミド(MTBSTFA)およびメチルイミジゾールの溶液を用いて培養した。この材料を石油エーテル内で抽出し、Na2SO4を用いて乾燥させた。誘導体化OHPを、負化学イオン化モードで実施したGC/MSによって分析した。選択イオンモニタリングを、445、446、および447の質量対電荷比(m/z)を有するイオンで実施し、それらは、OHPからの炭素−水素結合のすべてを含む。OHPへの2Hの組み込みを、天然依存度分率(EM1)を上回る1つの過剰質量を有する分子のモル分率として計算した。コラーゲンの分別合成(f)を、現在の身体2H2O濃縮で可能な最大値までのタンパク質結合OHP内のEM1値の比率として計算した。
GC/MS分析の他に、サンプル中のコラーゲンの絶対量を、OHP含有量を決定するための確立されている比色分析法である、総OHPのクロラミン−t分析によって決定した。本来のホモジネート(400μL)のサンプルを加水分解し、(HCl、500μL)、乾燥させ、1mLの分析緩衝剤中で再懸濁し、一晩、培養した。150μLの懸濁液を96ウェルプレートのウェル内にピペットで入れた。75μLのクロラミン−tをウェルに添加し、プレートを室温で20分間培養した。次いで、ジメチルアミノベンズアルデヒド(75μL)をそれぞれのウェルに添加した。プレートを、540nmのマイクロクァント(Bio−Tek Instruments,Inc.MQX200)上で読み込まれる前に、60℃で15分間、培養した。OHP標準を調製し、サンプルを用いて分析した。標準曲線からの値を補間するために、グラフパッドプリズムを使用して結果を分析した。
α平滑筋アクチン(α−SMA)を発現する、筋線維芽細胞内への線維芽細胞の分化は、線維症の発達の主なプロセスである。α−SMAは、活性化筋線維芽細胞の周知の指標である。肺の小さなサンプル(5〜20mg)を、左葉の中央から切除し、即座にホルマリン中に固定し、組織学的検査に送った(Premier Laboratory LLC,Longmont Co,USA)。つまり、パラフィン組み込みスライドを、ホルマリン固定された組織から調製し、次いで、αSMAの抗体を使用して染色した。調製されたスライドをスキャンし、撮影し、その後、ImageScopeソフトウエア(Aperio Technologies Inc.,Vista Ca)を使用して、αSMA陽性細胞の存在を分析した。
統計:薬物媒体/ブレオマイシン対照との比較のためのダネット検定後の分散分析を使用して、データを分析した(SigmaStat)。データをp<0.05で有意と見なした。
結果:
ブレオマイシンは、コラーゲンの分別合成の有意な増加を誘発した(図1、5および6)。ノスカピンは、腹腔内(ip)注入されたか(図1)、または強制経口(po)によって投与(図5)されたかどうかに関わらず、ブレオマイシン誘発のコラーゲン合成の増加を阻止した。ノスカピンはまた、食餌中に投与されたときに、新たに合成されたコラーゲンの割合を低減する傾向があった(図6)。
ブレオマイシンはまた、クロラミン−t分析によって評価されるように、肺の総コラーゲン(OHP)含有量を増加させた。この影響は、用量依存的方法で、ノスカピンによって阻止された(図2)。
肺内の新たに合成されたコラーゲンの絶対量(合成(f)x総OHP含有量として計算)は、ノスカピンによって有意に減少した(図3)。
ノスカピンは、媒体+ブレオマイシン対照グループに対して、α平滑筋アクチン(αSMA)陽性細胞の数を有意に減少させた(図4)。
実施例II:ANIT誘発型肝臓線維症
α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)は、胆管細胞および肝細胞を損傷する肝毒物である。ANITへの長期の曝露は、胆管過形成、胆管線維症、ならびに肝臓損傷を誘発する。ANITは、グルタチオンに抱合され、胆汁に分泌される(Xu,2004において再考)。しかしながら、ANIT−グルタチオン錯体は、不安定であり、胆汁を迅速に解離させ、それによって、肝細胞の薬物の再摂取を引き起こす。再利用を多くの周期で継続することができ、ANIT排除を遅延し、グルタチオンを枯渇させる。その直接の細胞毒性効果の他に、ANITはまた、組織損傷の一因となる肝炎反応を誘発する。げっ歯動物へのANITの慢性投与は、肝臓コラーゲンの有意な増加をもたらし、肝臓線維症の動物モデルとして使用される(Xu et al,2004)。KineMedの重水標識化およびGC/MS技術を使用して、ANIT投与は、コラーゲンの分別合成の少なくとも3倍の増加を誘発することが発見されている。線維性反応の阻害または反転は、ANIT媒体対照と比較したときのコラーゲン合成の減少によって決定される。
方法:
対象:研究開始時に生後10週間のメスのC57BL/6マウスを使用した。動物を、標準的実験室環境下で、その場で入手可能な餌および水で、5匹のグループに収容した。研究グループは、表2に示すとおりである(poは、強制経口を表す)。
表2 ANIT誘導型肝臓線維症の実験グループの概要
プロトコル:
マウスに、肝臓内に繊維性反応を誘発させるために、2週間、0.05%(w/w)のANITを混ぜた食餌、または対照の食餌を与えた。マウスを、ANIT投与が開示した日から、8%2H2O(Spectra Stable Isotopes,Columbia,MD)で標識した。同一日に、表2に記載するように、ノスカピンHCl(Sigma−Aldrich)投与を開始した。ANIT、標識、ノスカピン投与を2週間、継続した。
最終薬物投与の翌日に、マウスを強い麻酔下に置き、肝臓を還流して、除去した。肝臓組織を、MiniBeadbeater−96(登録商標)ビーズ式破砕機(Biospec,Bartlesville,OK)を用いて均質化し、その後、アセトン沈殿および真空乾燥を行った。タンパク質を、6NHCl(110℃、16時間)中で加水分解し、真空下で乾燥させ、1mLの50%のアセトニトリル、50mMのK2HPO4、pH11中で懸濁した。ペンタフルオロベンジル臭化物を、密封された混合物が培養される(100℃、1時間)前に添加し、エチル酢酸内に抽出した。上層を除去し、真空遠心分離後に固体のNa2SO4の添加によって乾燥させた。サンプルを、50μLのメチルイミダゾールおよび100μLのMTBSTFAで培養した(100℃、30分間)。誘導体を水/石油エーテル内で抽出し、Na2SO4を用いて乾燥させた。選択イオンモニタリングは、OH−プロリン誘導体では、445、446、および447の質量対電荷比(m/z)であった。モル%の過剰なM1濃縮(EM1)および分別合成(f)を計算する。
GC/MS分析の他に、ブレオマイシン研究に対して上述のように、試料中のOHPの絶対量をクロラミン−t分析によって決定した。
コラーゲン含有量のANIT誘発による変化へのノスカピンの影響を組織学的に確認した。肝臓の小さなサンプル(75〜80mg)を右側葉から切除し、即座に、ホルマリン中に固定させ、組織学的検査に送った(Premier Laboratory LLC,Longmont Co,USA)。つまり、パラフィン組み込みスライドを、ホルマリン固定された組織から調製し、次いで、コラーゲン分布のためのMassonの三重染色を用いて処理した。調製されたスライドをスキャンし、撮影し、その後、ImageScopeソフトウエア(Aperio Technologies Inc.,Vista Ca)を使用してコラーゲン含有量を分析した。
統計:ANIT/媒体対照との比較のためのダネット検定後の分散分析を使用して、データを分析した(SigmaStat)。データをp<0.05で有意と見なした。
結果:
2週間にわたる食餌中の0.05%のANITの投与は、肝臓内に新たに合成されたヒドロキシプロリン(OHP)の割合において有意な増加をもたらした(図7、11および12)。肝臓内の新規および総OHPの絶対値(クロラミン−t試験によって測定される)はまた、ANITを投与することによって有意に増加した。(図8および9)。強制経口(po)によって投与されるとき、ノスカピン用量は、新たに合成されたコラーゲンの割合を用量依存的に減少させた(図7)。全肝臓内のOHPの総量および新たに合成されたコラーゲンの量はまた、ANITと媒体対照グループと比較すると、有意に減少した。(図8および9)。ノスカピンがANITと共に投与されるときのコラーゲン含有量の有意な減少を組織学的に確認した(図10)。個別の研究において、食餌中(図11)か、または強制経口(図12)のいずれかで投与された、300mg/kgの用量のノスカピンはまた、新たに合成されたコラーゲンの量を減少させる傾向があった。
前述の発明を、明確な理解を目的として図示および実施例によって詳細に説明したが、特定の変更および修正が本発明の精神および範囲から逸脱することなく実施し得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、説明は、添付の請求項によって詳しく記述する、本発明の範囲を制限すると解釈されてはならない。
本明細書に引用したすべての発行物、特許、特許出願は、個々の発行物、特許、または特許出願のそれぞれが、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同一程度において、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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J Biol Chem.2002 May 10;277(19):17200−8。
Claims (9)
- 患者の線維性疾患または病態を治療する方法であって、前記患者にノスカピンおよび医薬担体を投与することを含む、方法。
- 前記線維性疾患または病態の発症を遅延させる、請求項1に記載の方法。
- 前記線維性疾患または病態の重症度を低減させる、請求項1に記載の方法。
- 前記投与後に、細胞外基質タンパク質のレベルを前記投与前のレベルに対して減少させる、請求項1、2、または3に記載の方法。
- 細胞外基質タンパク質はコラーゲンである、請求項4に記載の方法。
- 前記ノスカピンは、ノスカピン類似体である、請求項1、2、3、4、または5に記載の方法。
- 患者の線維性疾患または病態を治療する方法であって、前記患者に微小管修飾剤および医薬担体を投与することを含む、方法。
- 前記方法は、ACE阻害剤、抗線維化剤および抗炎症剤から成る群から選択された薬剤を投与することをさらに含む、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の方法。
- 前記投与は、経口投与、静脈内投与、皮下投与、皮内、局所、肛門座薬、エアロゾル、関節内、および筋肉内投与によるものである、前述の請求項のいずれか1項に記載の方法。
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