JP2011523597A - 微細工具の加工 - Google Patents
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Abstract
本開示は、続いて微細構造物品を作製するために使用してもよい工具の製造方法に関する。本明細書に詳細に記述する方法は、マスター工具を作製するために基板上に微細構造アレイを形成するためのパターンのある微細構造工具構造体の形成について記載している。本方法は、基板の第1の面を光重合性液体でコーティングした部分的に透明な基板を提供する工程を含む。作製したマスター工具は、続いて、複製用工具の作製、ひいては導光体を作製するのに使用できる。
【選択図】図1A
【選択図】図1A
Description
本出願は、微細構造工具又は物品を加工するための光学的直接描出法に関する。
微細構造トポグラフィを備えた物品として、少なくとも2次元で微視的な複数の構造体(突起、窪み、溝など)をその表面に有するものが挙げられる。この微細構造トポグラフィは、例えば、キャスティング、コーティング、又は圧縮等の任意の接触法により、その物品内又は物品上に作製できる。通常、微細構造トポグラフィは、(1)微細構造パターンを備える工具上にキャスティングすること、(2)剥離ライナー等の微細構造パターンを備える構造フィルムをコーティングすること、又は(3)物品をニップロールの間を通過させて、微細構造パターンを備える基板に対して物品を圧縮させること、のうちの少なくとも1つによって作製できる。
物品又はフィルム内に微細構造パターンを作製するために使用する工具のトポグラフィは、例えば、化学エッチング、機械的エッチング、レーザアブレーション、フォトリソグラフィ、ステレオリソグラフィ、マイクロマシニング、ローレット切り、切断、又はスコーリングなどの任意の周知の技術を使用して作製してよい。工作機械産業は、微細構造物品を作製するために必要な多種多様のパターンを作製することができ、ユークリッド幾何パターンは、大きさ、形状、及び深さ/高さの異なるパターンの突起によって形成することができる。工具は、平面プレスから円筒形ドラム及びその他曲線状形状まで様々であり得る。
しかし、金属製工具を機械加工して、顧客仕様の微細構造物品を作製することは、時間のかかる工程である。加えて、一旦金属製工具を機械加工したら、顧客の要求の変化に対応して微細構造パターンを変更することは困難かつ費用がかかる。この機械加工時間は、製造の遅れを生み、全体的なコストを増加させるため、微細構造物品の製造に好適な工具を作製するための所要時間を短くするための方法が必要となる。
電子産業ではよくあることであるが、迅速な試作品作製と短い製品寿命が要求される分野においては、時間がかからずコスト効果の高い、微細構造物品を作製するための工具の生産法が望まれる。従来の方法で現在利用できるものよりも大きな形式の工具を作製できる方法も有用であろう。
本開示は、複製用工具の製造方法に関し、続いて微細構造物品を作製するために使用し得る複製用工具の製造方法に関する。本明細書に詳細に記述する方法は、マスター工具を作製するために基板上に微細構造アレイを形成するためのパターンのある微細構造工具構造体の形成について記載している。作製されたマスター工具は、その後、例えば導光体のような所望の物品を製造するのに使用できる複製用工具を作り出すのに使用できる。
複製用工具を作製する方法は、マスター工具の形成から始まる。マスター工具を、部分的に透明な基板上に形成する。この基板を、その基板の第1の面上に、光重合性の液体でコーティングする。光重合性液体を、第1の位置で基板を通して光重合性液体に導入される光線に露光できる。光線は、光重合性液体を硬化して第1の工具構造体を形成するように、十分な光線特性を有することができる。光線特性として、光線形状、光線強度プロファイル、総光線強度、及び露光時間を含む。基板の表面に接触している光重合性液体の一部を硬化して第1の工具構造体を形成してもよい。基板は光線と相対的に移動させられる。露光、硬化工程及び移動工程を複数回繰り返して、工具構造体のアレイを作製してもよい。工具構造体のアレイの形成後、未硬化の光重合性液体を除去する。
マスター工具の表面に成形性材料を載せて、複製用工具を形成する。マスター工具上の工具構造体のアレイのネガティブ輪郭を成形性材料に転写する。その後、この成形性材料をマスター工具から除去し、複製用工具を得る。
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの図示の実施形態又は全ての実施を説明しようとするものではない。以下の図面、及び発明を実施するための形態は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述される。
本発明による単一の工具構造体の形成を示す図。
本発明による例示的な工具構造体の概略図。
本発明による工具構造体の描出のための例示的装置の概略を示す図。
本発明によるマスター工具上に工具構造体を形成するための例示的方法を概略的に示す図。
本発明による複製用工具形成の例示的方法を概略的に示す図。
本発明にしたがって形成した例示的な単一の工具構造体の顕微鏡写真。
本発明にしたがって形成した例示的な単一の工具構造体の顕微鏡写真。
本発明にしたがって形成した例示的な工具構造体のアレイの顕微鏡写真。
本発明にしたがって形成した、別の例示的な工具構造体のアレイの顕微鏡写真。
本発明にしたがって形成した更なる例示的な工具構造体の顕微鏡写真。
本発明にしたがって形成したマスター工具の部分の顕微鏡写真。
本発明にしたがって図8のマスター工具で形成した複製用工具の顕微鏡写真。
本発明にしたがって図9の複製用工具で形成した第2世代複製物の顕微鏡写真。
本発明は種々の修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部は一例として図面に示されており、また詳しく説明することにする。しかしながら、その意図は、本発明を記載された特定の実施形態に限定することにない旨を理解するべきである。むしろ、付随する請求項によって定義される本発明の範囲内に入る修正、等価物、及び代替物すべてを網羅することを意図するものである。
好ましい実施形態の以下の詳細な説明において、本発明を実施できる具体的な実施形態を説明する添付図面を参照する。説明する実施形態は、本発明によるすべての実施形態を網羅することを意図したものではない。他の実施形態を使用してもよく、また本発明の範囲から逸脱することなく構造上又は論理上の変更を成してもよいことが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
本開示は、マスター工具の製造方法に関し、続いて微細構造物品を作製するために使用し得るマスター工具の製造方法に関する。前述した様に、微細構造物品は、その表面上に、少なくとも2次元で微視的である構造体(突起、窪み、溝など)を備えたトポグラフィを有する。本明細書で使用するとき「微視的」という用語は、顕微鏡を使用しなければ人間の目によっては解明するのが困難である寸法を指す。いくつかの場合においては、微細構造体の寸法は、500μm未満、又は200μm未満、又は100μm未満である。
本明細書に詳細に記載する方法は、マスター工具を作製するために、微細構造アレイ等の微細構造パターンを基板上に形成することについて記載している。微細構造パターンとして、例えば、突起構造体、連続及び不連続の溝、隆起、並びにこれらの組み合わせを挙げてもよい。
マスター工具の作製に使用する基板として、様々なものが使用できる。いくつかの場合において、基板材料は、微細構造アレイの正確な作製を可能にするのに十分な剛性、平坦性、及び安定性を有することができる。基板は、アレイの構造を作製するのに使用する光の波長に対し透過性を有するべきである。好適な基材材料として、ガラス、石英、又は剛直若しくは可撓性の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されない。
微細構造体は、様々な形状を有することができる。例えば、底面を円状、楕円状、又は多角形とし、その結果生じる側壁を、概して球状、楕円状、放物線状、双曲線状、又はこれらの組み合わせである垂直断面(底面に対して垂直にとったもの)により特徴づけることができる。好ましくは、これらの側壁として、構造体の底面に対し垂直ではない(例えば、約10度〜約80度の角度)ものが使用できる。構造体は、底面の中心と上部の中心とを結ぶ主軸線を有する場合がある。
これらの微細構造体を複数組み合わせることで、より複雑な構造体及びアレイパターンを形成してもよい。このようなアレイは、規則的な配列(例えば、正方形又は六角形)又はランダムアレイ等の不規則な配列を含む、様々な充填配列を有することができる。アレイにおける構造体の大きさ及び形状は、アレイ毎に異なることもでき、又は同様の構造体が局所化した領域を形成してもよい。例えば、高さは、特定の構造体の特定の点又は線からの距離に応じて異なっていてもよい。
図1Bを参照し、例えば、本明細書に記載の方法を、高さdmaxを約5μm〜約500μm(好ましくは、約10μm〜約300μm)の範囲に、並びに/又は最大長さL及び/若しくは最大幅を約5μm〜約500μm(好ましくは、約10μm〜約300μm、より好ましくは、約50μm〜約250μm)の範囲に有する構造体を備えたアレイを加工するのに使用することができる。
マスター工具は、対応する数の構造体を複製用工具に製造することができる数千もの工具構造体を含むことができる。複製用工具は、成形性材料を、マスター工具上の工具構造体に対して適用することで形成することができる。成形性材料は、工具構造体をその表面に有するマスター工具上に硬化性材料をキャスティングするか、又は熱成形性材料でできたフィルムをニップロールに通して、工具構造体をその表面に有する熱成形性マスター工具に対して熱成形性材料を圧縮することにより適用され得る。
第2世代の複製物は、同様な方法で、第2の成形性材料をその型押しされた複製用工具の表面に適用することで形成できる。
例示的な方法では、微視的な3次元構造を有するマスター工具の形成方法を光抽出材料用の工具構造体を作製するのに使用できる。この方法は、図1A及び図2Bを参照して説明できる。
図1Aに示すように、光重合性材料又は液体120の第1の面100aを化学線130に、図示されていない光源から短時間露光することで工具構造体110を基板100上に形成することができる。この光線130は、基板100を通過する際、第2の面100b上に入射する。光源は、水銀灯等の広域スペクトル光源、又はレーザ若しくはレーザダイオード等の離散波長を有する光源であってもよい。この光線130をビーム整形光学部品140に通過させ、光重合性液体120の露光に使用する前に、光線を整形し集光する。このビーム整形光学部品140は、レンズ、フィルター、鏡、フォトマスク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。基板100は、光重合性液体120の重合を開始させるのに使用する光線130の波長に対し、部分的に透過性を有するべきである。例えば、基板は、光重合性液体の硬化に使用する光の波長で、10%を超える(好ましくは、50%を超える、より好ましくは90%を超える)透過度を有するべきである。光線は基板に対して垂直ではない基板角で通過できるが、光線が基板にほぼ垂直になるようにして、光線は基板を透過する。
露光時には、光重合性液体の一部が、化学線の強度プロファイル、光線の総強度、露光時間、及び光重合性液体の応答特性等の光線特性によって決まる深度まで重合する。光線の強度プロファイル135がガウス分布に従い、光重合性材料が、重合深度が露光の対数関数であるように応答する場合、放物線部分と同形のマスター工具を、1回の露光で生成できる。
本発明の方法を実施する際、光重合性液体を、光重合性液体の重合又は架橋を引き起こすのに十分な総強度を有する光線に露光することができる。光線のその他の特性(すなわち、光線の形状、光線強度プロファイル、及び光重合性液体の光線への露光時間)は、本明細書に記載の方法により描出される工具構造体の最終形状を制御することになる。これらの光線特性を、使用者が予め選択することができる。
本発明の方法を実施するのに使用できる1つの例示的な加工システムを図2Aに示す。加工システム200は、光源232、光線の強度プロファイル及び形状を定めるための複数の鏡、開口部、マスク、及びレンズを含むことができるビーム整形光学部品240、並びに可動ステージシステム250を含む。ステージシステム250は、3次元で可動であり、協働して動き、コントローラ(図示せず)で正確に制御される、1つ、2つ、又は3つの独立したステージを含む。光重合性液体120がその上面に適用された基板100を、取付け台270によりステージシステム250上に支持できる。
光源232から発せられる光線230は、ビーム整形光学部品240を通過し、基板100を通過して光重合性液体120に導入させることができる。重合を引き起こすのに露光が十分な、光重合性液体120の領域では、光重合性液体120は重合して、工具構造体を形成する。重合を引き起こすには露光が不十分な光重合性液体120の領域では、光重合性液体は反応せず、低粘度液体のままとなる。本発明の一態様において、光重合性液体の露光及び硬化に使用する光線は、光線の整形にフォトマスクを使用しない光学系を通過する。
その後の工具構造体を、ステージシステム250により基板100を動かした後、光重合性液体中の第2の位置で形成してもよい。あるいは、例えば、ガルバノミラー、ピエゾミラー、又は音響光学偏向素子と望遠鏡を用いてレーザ光線を動かすこと、及びビーム整形光学システム240の1つ又はそれ以上の要素を動かすことで、光線を基板上の第2の位置に照射してもよい。このようにして、光線の焦点を、工具構造体のアレイを作製するように繰り返し露光することと連携して、基板全域で走査又は移動させることができる。いずれの態様においても、光線及び光重合性液体の露光部分は、互いに相対的に移動することができる。
描出用工具構造体の装置に関する別の態様において、光源が十分なエネルギーレベルである場合、少なくとも1つのビームスプリッタ又はその他の多重化光学部品(図示せず)を加えてもよい。少なくとも1つのビームスプリッタを追加することで、1つ以上の工具構造体又は1つ以上の工具構造体のアレイの描出が、装置のコストを大幅に増加させることなく、一度に可能となる。
マスター工具の例示的な製造法を図2Bに示す。基板100を提供し、基板の第1の面100a上を選択的な接着促進剤105でコーティングする。この接着促進剤を、例えば、浸漬コーティング、ナイフコーティング、及びスピンコーティング等の当業者に既知の多様なコーティング法のいずれかにより、基板の表面にコーティングすることができる。この接着促進剤層は、工具寿命を確実に長くするように、基板100への工具構造体110の接着を改善することができる。
好適な接着促進剤として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びこれらを組み合わせたものが挙げられるが、これらに限定されない。
次に、光重合性液体120を、例えば、ナイフコーティング及びフラッドコーティング等の当業者に既知の任意の様々なコーティング法のいずれかで、接着促進剤層をコーティングする。この基板は、構造体の描出時に基板上の光重合性液体を維持するために、その外周周りに形成した堤部102(図2A)を有していてもよい。基板をコーティングする液体の深さは、製造する工具構造体の高さよりも大きいか等しいべきである。さらに、選択的なカバー103(図2A)を堤部102の上部に置いて、描出工程中の光重合性液体の過剰な蒸発を防いでもよい。
この光重合性液体は、室温にて、約200cP(約0.2Pa.s)未満(好ましくは約40cP(約0.04Pa.s)未満)の粘度を有する低粘度液体である。光重合性材料又は液体は、適切な光開始剤又は光増感剤を用いる場合、光重合できるモノマー及び/又はオリゴマーを含むことができる。光重合性液体は、吸収特性を低減して光重合性液体の応答を変える光吸収材料も含んでもよい。
上述の例示的方法で作製したマスター工具は、好ましくは、複数の複製用工具を製造するための複数の複製工程に耐える、適切な堅牢性を備える。好適な光重合性モノマー材料として、モノ−、ジ−、及びポリ−アクリレート類及びメタクリレート類(例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸アリル、ジアクリル酸グリセロール、トリアクリル酸グリセロール、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸1,3−プロパンジオール、ジメタクリル酸1,3−プロパンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸1,2,4−ブタントリオール、ジアクリル酸1,4−シクロヘキサンジオール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、及びこれらを組み合わせたもの)等のアクリル酸モノマー;シリコーン系液体光重合体、及びエポキシ系液体光重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
あるいは、光重合性材料は、適切な光開始剤を用いる場合に光重合又は架橋が可能な、アクリレートオリゴマー系又はポリジメチルシロキサンオリゴマー系のフィルムの形態であってもよい。
オリゴマー材料は、光重合性液体のレオロジー特性の制御に役立てることができ、好ましくは選択したモノマー材料に可溶であると共に、マスター工具の機械的特性を改善するものである。好適なオリゴマー材料として、エポキシ樹脂系液体光重合体、ウレタンアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマー、及びポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、非反応性の高分子結合剤を、例えば、光重合性液体の粘度を制御するために、所望の組成物中のオリゴマー材料の代わりに、又はオリゴマー材料に加えて含むことは、本発明の範囲内である。そのような高分子結合剤は一般に、モノマー材料と相溶性を有するように選定することができる。結合剤は、光重合性液体の所望の溶液レオロジーを達成するのに好適な分子量を有することができる。
光重合性液体はまた、光開始剤又は増感剤も含む。モノマー、オリゴマー(使用する場合)と相溶し、その活性化又は吸収ピークの波長が構造体描出に用いる光源、例えば光重合性液体の重合を開始させるのに使用する光源に適合する、任意の光開始剤を使用することができる。例示的な光開始材料として、Ciba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)よりそれぞれ入手可能な、IRGACURE 651等のベンジルジメチルケタール類、DAROCUR TPO等のモノアシルホスフィン類、IRGACURE 819等のビスアシルホスフィン類、及びIRGACUR 784等のヨードニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な光吸収材料として、官能性ベンゾフェノン類、Ciba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な、Tinuvin 234、Tinuvin 326等のベンゾトリアゾール類、及びヒドロキシフェニルトリアジン類が挙げられるが、これらに限定されない。
各種の補助剤を、工具構造体の所望の最終用途に応じて、光重合性液体に選択的に含有させることができる。好適な補助剤として、溶媒、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、顔料、染料、無機又は有機の補強又は増量フィラー、チキソトロピー剤、指示薬、阻害剤、安定剤などが挙げられる。補助剤の量及び種類並びにそれらを組成物に添加する方法は、当業者によく知られている。
光重合性液体の重合を開始させるのに、化学線照射を用いてもよく、平行化学線照射が好ましい。平行化学線130を、Innova Technology(Ellicott City,MD)より入手可能な351nmで作動するアルゴンイオンレーザ(Sabre FreD)、又はPoint Source Ltd(Hamble,U.K.)より入手可能な405nmで作動する固体レーザ(iFlex 2000)等のレーザから提供できる。光線130を、焦点距離100mmの両凸レンズを用いて、基板100を通過させて光重合性液体120中に集光できる。例示的な実施形態において、レーザ光線の断面プロファイルは、近似的にガウス分布に従うことができる。基板/光重合性液体界面での光線の大きさは、基板/光重合性液体界面をレンズの焦点に近づくように、又はレンズの焦点から離れるように位置決めすることで制御される。光線の形状及び強度プロファイルを、上述のようにビーム整形光学部品により制御する。レーザ強度及び露光時間を調整して、露光を制御する。
基板を、相対的なXY位置及び化学線の焦点面に相対的なZ位置を制御するため、コンピュータ制御されたX、Y、Zステージ上に載せることができる。別の態様において、基板の表面を固定したままにすることができ、光線を、精密ステージに取り付けた鏡を用いて、3軸で移動できる。第1の工具構造体が形成又は描出されると、基板をx軸方向及び/又はy軸方向に移動させて、新しい位置に移動する。この新しい位置で、第2の露光を行うことができる。この第2の位置での露光条件、光線の強度プロファイル、光線の形状、及び光線の総強度は、前露光条件と同一でも異なっていてもよい。これらの光線条件のうち少なくとも1つを変更すると、前回描出された工具構造体とは異なる大きさ又は形状を有する第2の工具構造体が作製され得る。この工程を、所望の工具構造体が形成されるまで、段階的に繰り返すことができる。
複数の工具構造体110を形成した後、重合していない光重合性液体を、水、溶媒、又はエアーナイフを用いて除去する。いくつかの例においては、未反応の光重合性液体の除去を促進するため、工具構造体を少量のモノマー材料で選択的にすすいでもよい。
その後、工具構造体を、窒素パージしたチャンバ内でUV光でブランケット露光することにより、後硬化することができる。
上述の方法で作製した工具構造体を非球面の円錐部分から得る。これらの工具構造体の例示的な一用途において、これらの構造体は光抽出器として有用であり得る。これらの工具構造体の形状を、次の等式で表すことができる。
式中、dは半径rでの工具構造体の高さであり、dmaxは工具構造体110(図1B)の最大高さであり、cは曲率半径の逆数であり、kは円錐定数である。k=0のとき、この等式は球の部分を表す。k=−1のとき、この等式は、光抽出器として特に有用な形状である、放物面部分を表す。この放物面形状は、次のように表すことができる。
式中、dは半径rでの工具構造体の高さであり、dmaxは工具構造体110(図1B)の最大高さであり、cは曲率半径の逆数であり、kは円錐定数である。k=0のとき、この等式は球の部分を表す。k=−1のとき、この等式は、光抽出器として特に有用な形状である、放物面部分を表す。この放物面形状は、次のように表すことができる。
立体リソグラフィ用途において、多くの場合、光重合性液体の応答を以下の式により表すことができると仮定される。
式中、dは重合深さであり、Qは光強度と露光時間との関数である露光であり、Qcは重合を開始するのに必要な臨界露光であり、Sは応答曲線の傾きである。Qc及びSは、光重合性材料の特性であり、光重合性液体の配合を調整することで変更してもよい。
式中、dは重合深さであり、Qは光強度と露光時間との関数である露光であり、Qcは重合を開始するのに必要な臨界露光であり、Sは応答曲線の傾きである。Qc及びSは、光重合性材料の特性であり、光重合性液体の配合を調整することで変更してもよい。
ガウス分布に従う強度プロファイルを有するレーザ光線からの断面露光は以下のようにして与えられる。
式中、Qmaxは光線の中心での露光であり、Qは、光線の中心からの半径rでの露光であり、wは、光線の強度がeで割った最大強度に等しい点でのビーム半径である。
式中、Qmaxは光線の中心での露光であり、Qは、光線の中心からの半径rでの露光であり、wは、光線の強度がeで割った最大強度に等しい点でのビーム半径である。
工具構造体の形状は、光線の幅と材料の応答の傾きで決まる。光線の幅は、レンズの焦点を近づけたり離したりすることで、変えることができる。材料応答の傾きを、少量の光吸収剤、光開始剤、及び/又は選択的な補助剤を加えるか、又は除去することで制御する。臨界露光は、存在する光開始剤の量等の光重合性液体の組成、モノマー特性、光吸収剤の存在、及び放射線を吸収する又は散乱させる任意の添加剤に依存する。所与の光重合性液体組成物及び光線特性に関して、工具構造体の最大高さdmaxを、レーザ露光により制御する。光線の総強度を、レーザの出力調整、総強度を低減するフィルターの追加、又は音響光学変調器の使用により制御する。露光時間を、音響光学変調器により、又は光源(例えば、レーザ)の直接変調により、制御することもできる。
本発明の別の態様において、光強度プロファイル及び/又は光線の形状は、少なくとも1つの非対称光学要素をビーム整形光学部品に導入することで歪んでいてもよい。歪んだ光強度プロファイルを、歪んだプロファイルを有する工具構造体を製造するのに使用することができる。更に、光線が基板を通過して光重合性液体に入るように光線の主軸を制御することにより、基板の面に対して傾いている抽出工具構造体の形成が可能になる。
本発明のまた別の態様において、露光工程中に、レーザから発した光を前後にディザリングすることで細長い工具構造体を製造してもよい。あるいは、個々の単一の工具構造体を重ね合わせてより大きな構造体を形成してもよい。ディザリングの方向及び位置を制御することで、隆起、十字、T字、屈曲などのより複雑な形状を形成してもよい。あるいは、細長い又は複雑な工具構造体を、基板に対して光線をゆっくりであるが連続して動かすことで、作製してもよい。
本発明のさらにまた別の態様において、切頭又は平頂工具構造体を、基板上をコーティングする光重合性溶液の深さを制御することで、作製してもよい。光線の活性部分の浸透深さが、基板をコーティングする光重合性溶液の深さよりも大きいと、切頭構造体を形成できる。
このような工程で作製したマスター工具を、微細レンズアレイ、LCDディスプレイ用利得拡散器、反射又は照明看板用構造体、自動車のダッシュボード及び浮動画像作成用バックライトを複製するのに使用できる。
図2Cは、上述のようにして作製したマスター工具を用いた、複製用工具の作製を示す。即ち、成形性材料121を、工具構造体のアレイを形成したマスター工具の表面に対して置くことができる。マスター工具上の工具構造体のアレイのネガティブ輪郭122を、成形性材料を成形、エンボス加工、又は硬化させる等の既知の複製方法により、成形性材料に転写する。成形性材料は、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、又はその他のポリマー樹脂系等の熱可塑性ポリマー又は硬化性樹脂である。マスター工具のアレイ構造体のネガティブ輪郭又は像を有する複製用工具を作製するため、成形性材料をマスター工具(master)に対して置くことができる。その後、マスター工具と同じ特徴を有する追加のアレイを作製するのに続いて使用できる複製用工具を残して、このマスター工具を除去できる。あるいは、ニッケル等の金属又はその他の電解により沈着させた成形性材料を、マスター工具の電導的にコーティングした(例えば、無電解銀めっき)表面に電気めっき又は電鋳して、導電性複製用工具を形成してもよい。
第2世代及びその以後の世代の複製物を、好適な第2の成形材料を前回の複製工程で作製した工具の表面に適用することで、複製用工具と同様にして形成することができる。このようにして、単一のマスター工具を、数多くの最終微細構造物品を作製するのに使用できる。
これらの工具から作製した微細構造物品は、電子装置に使用する導光体又は光抽出器とすることができる。多くの電子装置は、装置の特徴を強調又は照明するのにバックライトの使用を必要とする。典型例は、携帯電話のキーパッドのバックライトである。これらのバックライトは、その用途により決まっている特定位置で導波管から光を向けるように設計された光抽出構造体を含む、エッジ照明式ポリマー導波管からなる。例として、携帯電話用途において、光抽出構造体は、キーを照明する光を提供するため、キーの真下にあってもよい。この光抽出構造体の大きさ、形状、及び位置は、所望の照明効果、導波管の大きさ及び厚さ、並びに(単一又は複数の)エッジ照明の種類及び位置により決まる。これらのバックライトは、本明細書中に記載の例示的工具の1つ(すなわち、マスター工具、複製用工具、第2世代複製物等)に対して透明ポリマーを形成することで製造できる。透明ポリマーをこれらの工具の1つの微細構造表面に接触させることで、抽出シート内の光抽出構造体を製造するのに使用できる。
マスター工具として、対応する数の複製用工具のネガティブ輪郭構造体の製造、ひいては第2世代複製物のポジティブ輪郭構造体を形成する等に使用できる数千の工具構造体が挙げられる。最終物品、例えば、抽出シートを、本明細書に記載の微細構造体をその表面に有する例示的な工具の1つに透明ポリマー材料をキャストして形成できる。あるいは、抽出シートを、工具構造体をその表面に有する例示的な工具に対して抽出シート材料を圧縮するため、抽出シート材料の透明フィルムをニップロールに通過させることで形成できる。
本発明の光抽出構造体アレイを用いる導光体は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、及びガラスなどの光学的に好適な広範な種々の材料から製造可能であり、ポリアクリレート及びポリカーボネートなどの高屈折率材料が好ましい。導光体は、好ましくは、上記の複製ツールに注入形成可能な樹脂を金型形成、型押し、硬化、ないしは別の方法で成型することにより製造される。最も好ましくは、注入形成及び硬化技術を使用する。導光体を金型形成、型押し、又は硬化させる方法は、当業者には周知であろう。望ましい場合には、導光体の1以上の面の少なくとも一部(例えば、光抽出構造体の内面又は凹面)に既知の方法でコーティング(例えば、薄い金属の反射コーティング)を適用してもよい。
本発明の導光体は、バックライト照明のディスプレイ及びキーパッドに特に有用であり得る。バックライト照明ディスプレイとして、光源、ライトゲート装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))及び導光体が挙げられる。キーパッドとして、光源及び少なくとも一部が光を伝達する感圧スイッチのアレイを含んでもよい。導光体は、小型バッテリーから電力供給される発光ダイオード(LED)で照明される超小型若しくは小型のディスプレイ又はキーパッド装置用の、点から面(point to area)又は線から面(line to area)までの背面導光体として有用である。好適なディスプレイ装置には、例えば、携帯電話、ポケットベル、携帯情報端末、時計、腕時計、電卓、ラップトップコンピュータ、車両向けディスプレイ用のカラー又はモノクロLCD装置が挙げられる。その他のディスプレイ装置には、ラップトップコンピュータディスプレイ又はデスクトップフラットパネルディスプレイなどのフラットパネルディスプレイが挙げられる。好適なバックライト照明キーパッド装置には、例えば、携帯電話、ポケットベル、携帯情報端末、電卓、車両向けディスプレイ用のキーパッドが挙げられる。
LEDに加えて、ディスプレイ及びキーパッド用の他の好適な光源には、蛍光ランプ(例えば、冷陰極蛍光ランプ)、白熱灯、エレクトロルミネッセントライトなどが挙げられる。光源は、導光体の光遷移領域に機械加工、成型、ないしは別の方法で形成されたスロット、キャビティ、又は開口部に任意の好適な方法で機械的に固定可能である。しかしながら、好ましくは、光源と周辺の光遷移領域との間に空気間隙又は空気境界面を無くすため、光源は光遷移領域に埋設、埋め込み、又は固着され、それによって光の損失が減少し、導光体から放出される光出力が向上する。このような光源の実装は、例えば、十分な量の好適な埋設、埋め込み、又は固着材料を用いて光源を光遷移領域のスロット、キャビティ、又は開口部に固着することで達成可能である。スロット、キャビティ、又は開口部は、光遷移領域の上部、下部、側面、又は背面に存在してもよい。固着は、例えば、熱接着、熱かしめ加工、超音波溶接、プラスチック溶接など、追加の材料を組み込まない種々の方法によっても達成可能である。固着の別の方法には、光源周辺での挿入成形及び注型が挙げられる。
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
実施例1
光重合性エポキシ樹脂、DSM Somos(New Castle,DE)より入手可能なSomos 11120の層で透明ガラス基板をコーティングして、多くの例示的工具構造体を作製した。この光重合性エポキシ樹脂の粘度は約130cP(約0.13Pa.s)であった。351nmで作動するアルゴンイオンレーザからの平行光を、ガラスを通して、レンズにより、第1の位置で光重合性液体に集光した。光線の断面プロファイルは近似的にガウス分布に従った。最大値の1/eでの光線幅は約150μmであった。レーザ強度は約2μWであり、それぞれの工具構造体は0.4秒間の露光で形成された。第1の位置での露光終了後、基板を第2の位置に移し、露光をまた行った。
光重合性エポキシ樹脂、DSM Somos(New Castle,DE)より入手可能なSomos 11120の層で透明ガラス基板をコーティングして、多くの例示的工具構造体を作製した。この光重合性エポキシ樹脂の粘度は約130cP(約0.13Pa.s)であった。351nmで作動するアルゴンイオンレーザからの平行光を、ガラスを通して、レンズにより、第1の位置で光重合性液体に集光した。光線の断面プロファイルは近似的にガウス分布に従った。最大値の1/eでの光線幅は約150μmであった。レーザ強度は約2μWであり、それぞれの工具構造体は0.4秒間の露光で形成された。第1の位置での露光終了後、基板を第2の位置に移し、露光をまた行った。
露光により数個の工具構造体を形成した後、重合していない光重合性液体をメタノール洗浄及び乾燥により除去した。最終的に、窒素パージしたELC−500チャンバ(Electro Lite Corporation)内で10分間UV光(365nmでの最大強度)にブランケット露光して、工具構造体を後硬化した。
図3は、本明細書に記載のように製造した単一の工具構造体の顕微鏡写真を示す。工具構造体の最大高さは230μmであり、底面での幅は140μmであった。
実施例2
多くの例示的な工具構造体を、接着促進剤である、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)の薄層で透明ガラス基板をコーティングして作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布した。光重合性液体は、ジアクリル酸1,6ヘキサンジオールであるSartomer Company(Exton,PA)より入手可能なSR−238と、2重量%のCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な光開始剤、IRGACURE 651とからなるものであった。このジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール系光重合性液体の粘度は約6cP(約0.006Pa.s)であった。
多くの例示的な工具構造体を、接着促進剤である、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)の薄層で透明ガラス基板をコーティングして作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布した。光重合性液体は、ジアクリル酸1,6ヘキサンジオールであるSartomer Company(Exton,PA)より入手可能なSR−238と、2重量%のCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な光開始剤、IRGACURE 651とからなるものであった。このジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール系光重合性液体の粘度は約6cP(約0.006Pa.s)であった。
351nmで作動するアルゴンイオンレーザからの平行光を、基板を通して、レンズにより、第1の位置で光重合性液体に集光した。光線の断面プロファイルは近似的にガウス分布に従った。最大光線強度の1/eでの光線幅は約120μmであった。レーザ強度は約10μWであり、それぞれの工具構造体は0.4秒間の露光で形成された。第1の位置での露光終了後、試料を第2の位置に移し、露光をまた行った。
数個の工具構造体形成後、未反応の光重合性液体をエアーナイフで除去した。最終的に、窒素パージしたELC−500チャンバ(Electro Lite Corporation)内で10分間UV光(365nmでの最大強度)にブランケット露光して、工具構造体を後硬化した。
図4は、本明細書に記載のようにして製造した3つの工具構造体の顕微鏡写真を示す。工具構造体の最大高さは150μmであり、底面での幅は95μmであった。
実施例3
例示的なパターン形成マスター工具を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)等の接着促進剤の薄層で透明ガラス基板をコーティングすることで作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布した。この光重合性液体は、Sartomer Company,Inc(Exton,PA)より入手可能なウレタンアクリレートオリゴマー、CN9008を20重量%と、Sartomer Companyよりまた入手可能なジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、SR−238を80重量%とのベース光重合体混合物からなるものであった。このベース光重合体混合物に、共にCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な、2重量%の光開始剤IRGACURE 651と、0.1重量%の光吸収剤Tinuvin 234とを加えて、使用する光重合性液体を作製した。
例示的なパターン形成マスター工具を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)等の接着促進剤の薄層で透明ガラス基板をコーティングすることで作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布した。この光重合性液体は、Sartomer Company,Inc(Exton,PA)より入手可能なウレタンアクリレートオリゴマー、CN9008を20重量%と、Sartomer Companyよりまた入手可能なジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、SR−238を80重量%とのベース光重合体混合物からなるものであった。このベース光重合体混合物に、共にCiba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な、2重量%の光開始剤IRGACURE 651と、0.1重量%の光吸収剤Tinuvin 234とを加えて、使用する光重合性液体を作製した。
351nmで作動するアルゴンイオンレーザからの平行光を、基板を通して、レンズにより、第1の位置で光重合性液体に集光した。光線の断面プロファイルは近似的にガウス分布に従った。最大値の1/eでの光線幅は約120μmであった。レーザ強度は約10μWであり、それぞれの工具構造体は0.8秒間の露光で形成された。
第1の位置での露光終了後、この基板を第2の位置に移した。4mm×7mmの基板表面の長方形領域がパターン形成されるまで、この方法を繰り返した。これにより、中心間距離が170μmの概して放物丘状の構造体のアレイを作製した。
その後、このレーザ強度を2μWまで低減し、第2の4mm×8mm長方形領域の間隔の狭い小さな工具構造体を0.35秒間の繰り返し露光により作製した。
全ての工具構造体の形成後、未反応の光重合性液体をエアーナイフで除去した。最終的に、窒素パージしたELC−500チャンバ(Electro Lite Corporation)内で10分間UV光(365nmでの最大強度)にブランケット露光して、工具構造体を後硬化した。
図5は、作製した工具構造体のアレイの顕微鏡写真を示す。工具構造体の最大高さは225μmであり、底面での幅は150μmであった。図6は、第2の領域でのより小さな工具構造体のアレイの顕微鏡写真を示す。これらの工具構造体の最大高さは55μmであり、底面での幅は75μmであった。これらの工具構造体は75μmで分離されていた。
実施例4
例示的なパターン形成マスター工具を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)等の接着促進剤の薄層で透明ガラス基板をコーティングすることで作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布する。この光重合性液体は、Sartomer Company,Inc(Exton,PA)より入手可能なウレタンアクリレートオリゴマー、CN9008を20重量%と、Sartomer Companyよりまた入手可能なジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、SR−238を80重量%とのベース光重合体混合物からなるものであった。このベース光重合体混合物に、Ciba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な、5重量%の光開始剤Darocur TPOを加えて、使用する光重合性液体を作製した。
例示的なパターン形成マスター工具を、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(Alfa Aeserより入手可能)等の接着促進剤の薄層で透明ガラス基板をコーティングすることで作製した。次に、光重合性液体の層をガラス基板の表面に塗布する。この光重合性液体は、Sartomer Company,Inc(Exton,PA)より入手可能なウレタンアクリレートオリゴマー、CN9008を20重量%と、Sartomer Companyよりまた入手可能なジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、SR−238を80重量%とのベース光重合体混合物からなるものであった。このベース光重合体混合物に、Ciba Specialty Chemicals Inc.(Basel,Switzerland)より入手可能な、5重量%の光開始剤Darocur TPOを加えて、使用する光重合性液体を作製した。
405nmでのファイバ結合固体イオンレーザ(iFlex 2000)からの平行光を、ガラスを通して、レンズにより、第1の位置で光重合性液体に集光した。光線の断面プロファイルは近似的にガウス分布に従った。最大値の1/eでの光線幅は約100μmであった。レーザ強度は約7.5μWであり、それぞれの工具構造体は0.175秒間の露光で形成された。
図7は、作製した2つの工具構造体の顕微鏡写真を示す。工具構造体の最大高さは120μmであり、構造体の底面での幅は160μmであった。
実施例5
例示的な複製用工具を、実施例3に関して記載の方法にしたがって形成したマスター工具を用いて作製した。複製物の作製に使用したマスター工具の部分の顕微鏡写真を図8に示す。これらの工具構造体の最大高さは225μmであり、底面での幅は150μmであった。中心間の間隔は450μmであった。
例示的な複製用工具を、実施例3に関して記載の方法にしたがって形成したマスター工具を用いて作製した。複製物の作製に使用したマスター工具の部分の顕微鏡写真を図8に示す。これらの工具構造体の最大高さは225μmであり、底面での幅は150μmであった。中心間の間隔は450μmであった。
例示的な複製用工具を、成形性材料である、Dow Corning(Midland,MI)より入手可能な液体シリコーン注型用樹脂キットSylgard(商標)184シリコーンエラストマーキットを用いて作製した。このキットはベース材料と硬化剤とを含んでいた。この2成分を重量比10:1(ベース:硬化剤)で混合した。この混合物を室温で10分間激しく攪拌した。その後、真空チャンバ内に10分間置いてガス抜きした。このシリコーン混合物をマスター工具上に流し込み、マスター工具の表面に厚さ5mmのシリコーン層を形成した。マスター工具への完全な充填を確実にするために、シリコーンコーティングしたマスター工具を真空下に10分間置いた。その後、シリコーンコーティングしたマスター工具をホットプレート上で90℃で1時間加熱し、この間にシリコーン混合物を硬化させて屈曲性固体を形成した。この硬化したシリコーン複製用工具を、続いてマスター工具から分離した。シリコーン複製用工具を図9に示す。
このシリコーン複製用工具から第2世代の複製物を作製することを実証するのに、マスター工具の作製に使用したのと同じアクリレート混合物をシリコーン複製物上に流し込んだ。ウレタンアクリレートオリゴマー、CN9008を20重量%と、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、SR−238を80重量%とを含むベース光重合体混合物;2重量%の光開始剤、IRGACURE 651;及び0.1重量%の光吸収剤、Tinuvin234を含有するアクリレート混合物を、シリコーン複製用工具の表面に均一に塗布した。真空下で10分間ガス抜きした後、接着促進剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランでコーティングしたガラス基板を、アクリレート混合物の表面に載せて、ガラスとシリコーン複製用工具との間にアクリレート混合物を挟みこんだ。その後、このアセンブリを、ELC−500 Light Exposure System(Electro−Lite Corp.)を用いて、広帯域UV線をフルパワーにて窒素雰囲気下で10分間露光した。硬化後、このシリコーン複製物をガラス基板表面に接着した第2世代アクリレート複製物を有するガラス基板から分離した。第2世代複製物の顕微鏡写真を図10に示す。
本明細書に記載の直接描出法は、従来のリソグラフィ法に比べていくつかの利点を有する。第一に、光重合性液体はその工程にわたって液体のままなので、どのような不必要な材料を除去するのにも追加的な化学的又はプラズマ現像工程を要しない。従来のリソグラフィ法では、フォトレジストが乾燥フィルムレジストか、又はフォトレジストを露光する前に乾燥する液体レジストかに関わらず、通常、溶媒、酸性又は塩基性の現像液を用いて不必要なフォトレジスト材料を除去する。従来の現像液を使用する別の欠点として、現像液はパターン形成工程中に作製した微細構造体を損傷、膨潤、又は分解し得ることである。微細構造表面を作製するためのいくつかの従来的なリソグラフィ法では、フォトレジストは微細構造体を作製するためのテンプレートとしてのみ使用される。微細構造体の形成に付加的なアプローチをとる場合、基板の追加的な沈着又はめっき工程を要するかもしれず、減法的なアプローチで基板の追加的なエッチングをしてもよい。
Microchem(Newton,MA)より入手可能なSU−8等の液体フォトレジストは、残存する溶媒を除去し固体フィルムを形成するのに、コーティング後に追加的なソフトベーキング工程を要する。液体フォトレジストを用いる場合の標準法は、基板上にレジスト材料をスピンコーティングする工程と、ソフトベーキングで溶媒を除去しレジストにフィルムを形成する工程と、露光してパターン作製する工程と、露光後ベーキングによりレジストをハードキュアし、現像してレジストの未硬化部分を除去する工程とを含む。別の現像法は、試料のUV露光を減らして架橋を制限することを要し、これにより未硬化のレジストを除去するため高温(すなわち、未硬化レジスト材料のガラス転移点を超える)に加熱することでレジストの未露光部分を除去できる。この方法は、結果として得られる構造体の架橋を完了させるための補足的な露光工程を要するかもしれない。比較的低粘度の光重合性液体を本明細書に記載の直接法で用いるので、未硬化の光重合性液体の除去を室温で達成できる。
第2の利点は、本明細書に記載の直接描出法は、所望のパターンを作製するために個々の微細構造体要素を規定する複雑なフォトマスクの使用を要しないことである。その代わり、直接描出法では、所望の微細構造体を作製するよう光線寸法及び特性を利用する。
直接描出法の第3の利点は、異なる大きさ及び形状の微細構造体を、その後の露光のために光線特性及び/又は近接するものを単に変えるだけで、互いのすぐ近くに描出してもよいことである。さらにまた、光線は基板を通して導入されるので、微細構造体は、光源がフォトレジスト材料の上にある多くのトップダウン露光システムとは反対に、基板の表面に形成される。
この直接描出法を光抽出材料作製のためのマスター工具に関して記載してきたが、この方法により作製したマスター工具は、微細構造表面が必要な別の用途において使用することができる。例えば、この方法で作製したマスター工具は、マイクロレンズアレイ、LCDディスプレイ用の利得拡散器、反射又は照明看板用構造体、自動車のダッシュボード及び浮動画像作成用バックライトを複製するのに使用してもよい。
本発明が適用可能な方法、この方法により形成できる工具、及びその数多くの構造体自身の様々な明白な変更は、当業者には、本明細書を見直すことで容易に明らかとなるので、これらは本発明の範囲であると考えられる。
Claims (19)
- 複製用工具の作製方法であって、
マスター工具を形成する工程であって、
基板の第1の面を光重合性液体でコーティングした部分的に透明な基板を提供する工程と、
前記光重合性液体を第1の位置で前記基板を通して、前記光重合性液体を硬化して第1の工具構造体を形成するのに十分な光線特性を有する光線に露光し、前記光線特性は、光線形状、光線強度プロファイル、総光線強度、及び露光時間を含む、工程と、
前記光重合性液体の一部を硬化して前記第1の工具構造体を形成する工程と、
前記光線と相対的に前記基板を移動させる工程と、
露光、硬化工程、及び移動工程を複数回繰り返して、工具構造体のアレイを作製する工程と、
未硬化の光重合性液体を全て除去して、前記基板の表面に沈着した前記工具構造体のアレイを残す工程と、を含む工程と、
成形性材料を前記マスター工具に対して置く工程と、
前記マスター工具上の前記工具構造体のアレイのネガティブ輪郭を前記成形性材料に転写する工程と、
前記成形性材料を前記マスター工具から分離する工程と、を含む、方法。 - 前記基板上の前記工具構造体を後硬化することを更に含む、請求項2に記載の方法。
- 前記アレイ中の少なくとも1つの前記工具構造体の形状を変化させる前記光線特性の少なくとも1つを調節することを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記基板の表面に接着層を提供することを更に含み、該接着層が前記基板と前記光重合性液体との間に配置される、請求項1に記載の方法。
- 前記第1の工具構造体が、非球面形状の突起のほぼ円錐部分である、請求項1に記載の方法。
- 前記光線プロファイルが対称である、請求項1に記載の方法。
- 前記光線プロファイルが非対称である、請求項1に記載の方法。
- 前記アレイ中の少なくとも1つの前記工具構造体が、前記基板に対してほぼ垂直である、請求項1に記載の方法。
- 前記アレイ中の少なくとも1つの前記工具構造体が、前記基板から非垂直角で突出している、請求項1に記載の方法。
- 前記複製用工具を導光体の形成に使用する、請求項1に記載の方法。
- 前記工具構造体が光抽出工具構造体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記光重合性液体が、低粘度液体で、モノマーと、光開始剤と、オリゴマーと、を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記光重合性液体の粘度が、約200cP未満である、請求項12に記載の方法。
- 前記光重合性液体の粘度が、約40cP未満である、請求項13に記載の方法。
- 前記光重合性液体が、光吸収材料を更に含む、請求項12に記載の方法。
- 前記マスター工具の表面を導電性材料でコーティングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記成形性材料が、電解により、導電的にコーティングされた前記マスター工具の前記表面にめっきされる、請求項16に記載の方法。
- 前記成形性材料が、熱可塑性ポリマー又は硬化性樹脂の1つである、請求項1に記載の方法。
- 前記光重合性液体を露光及び硬化させるのに使用する前記光線は、マスクなしの光学系を通過する、請求項1に記載の方法。
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