JP2011522239A - 心筋トロポニン、sCD40LおよびC反応性タンパク質の測定に基づく心臓療法に感受性の被験体を特定する手段および方法 - Google Patents

心筋トロポニン、sCD40LおよびC反応性タンパク質の測定に基づく心臓療法に感受性の被験体を特定する手段および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンTの測定およびC反応性タンパク質(CRP)またはsCD40L(可溶性CD40リガンド)の追加の測定に基づく、心臓療法に感受性の被験体を特定する方法に関する。さらに、本発明は、上記のマーカーの測定に基づく、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法に関する。本発明の方法を実施するためにつくられたキットおよびデバイスも、本発明に包含される。
【選択図】図1

Description

本発明は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンTの測定およびC反応性タンパク質(CRP)またはsCD40L(可溶性CD40リガンド)の追加の測定に基づく、心臓療法に感受性の被験体を特定する方法に関する。さらに、本発明は、上記のマーカーの測定に基づく、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法に関する。本発明の方法を実施するためにつくられたキットおよびデバイスも、本発明に包含される。
現代医学の目的は個人的または個別の(personalized or individualized)治療方式を提供することである。それは患者の個別のニーズまたはリスクを考慮に入れた治療方式である。特に重要なリスクは、特に急性安定性冠症候群(coronary syndrome)などの急性心血管イベントの既往歴を有する患者での、安定性冠心疾患の存在である。安定性冠心疾患は西半球における罹患および致死の主要原因に入る。
安定性冠心疾患(略してCHD)は、心筋(心臓の筋肉)に栄養供給する動脈壁内のアテローム性プラークの蓄積の結果である。安定性冠心疾患の症状および徴候は、疾患が進行した状態で確認されるが、安定性冠心疾患を有するほとんどの個体は、数十年間、疾患の証拠を示さない。該疾患は最初の症状発生より前に進行し、しばしば「突然の」心臓発作が最終的に生じる。数十年の進行後、これらのアテローム性プラークの一部が破裂し、(血液凝固系の活性化とともに)心筋への血流の制限を開始させる。
種々の冠心臓障害を生じさせるいくつかのリスクファクターが公知である。一例は、血液中の総コレステロールおよびHDLコレステロールのレベルである。しかし、コレステロールレベルの予測的有用性は低く、コレステロールレベルを測定することによる、高い冠心臓イベントリスクのプロファイルを有する多数の個体の特定は不可能である。
冠心疾患を診断するために、種々のマーカーが提唱されている。例えば、高感度C反応性タンパク質(hsCRP);胎盤成長因子(PlGF)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、IL−10、ICAM−1、VCAM−1、E−セレクチン、P−セレクチン、IL−6、VEGF、フィブリノーゲン、可溶性フィブリン、抗oxLDL、MCP−1、凝血原組織因子(TF)、またはフォンウィルブランド因子(vWF)である。上記マーカーの一部は公知であり、特徴付けられ、予後的有用性に関して詳細に調査されていない他のマーカーとは対照的に、冠疾患の病態生理学でのその役割が確立されている。
急性心血管イベントの診断のための心筋トロポニンの使用は十分に確立されている(例えばEP1890153 A1を参照のこと)。最近、心筋トロポニンは冠心疾患の発症リスクの予測に適していることが提唱された。Zethelius et al.(Circulation 2006, 113: 1071-1078)によって得られた結果は、心筋トロポニンによって70歳男性の死および冠心疾患を予測できることを示した。さらに、安定性慢性心不全を有する患者での非常に低いトロポニンT血漿濃度が有害な転帰に関する予後に有用であることの強い証拠が存在する(Latini et al., Circulation 2007, 116: 1242 to 1249, Val-HeFT study)。
いくつかのマーカーの診断的有用性が確立されており、特定の冠心臓イベント/疾患に関して非常に重要でかつ正確な診断情報を提供すると見出されているものもあるが、マーカーの組み合わせを使用するとさらに予後に有用である。しかし、冠心疾患に関するマーカーの組み合わせの使用は限定的にしか報告されていない。しかし、非常に正確な診断情報を提供するか、または患者の冠心臓リスクプロファイルを確立するために使用できるマーカーの組み合わせは非常に望ましい。
ゆえに、特に安定性冠心疾患に罹患している患者のための、慣用の診断技術は、信頼できる予後および/またはリスクアセスメントを可能にしない。ゆえに、個人的治療法式または致死および/または心血管イベントのリスクが十分な精度で決定されない。
EP1890153 A1
Zethelius et al., Circulation 2006, 113: 1071-1078 Latini et al., Circulation 2007, 116: 1242 to 1249, Val-HeFT study
したがって、安定性冠心疾患に罹患している患者の致死または心血管イベントのリスクを含む、信頼できる一般リスク層別化の必要性が存在する。さらに、特定の治療方式を必要とすると疑われる患者の個別のリスク層別化を可能にする診断または予後手段の必要性が存在する。
本発明の根底にある技術的課題は、上記必要性に適合する手段および方法の提供であると理解することができる。
この技術的課題は、特許請求の範囲および下記明細書中で特徴付けられる実施形態によって解決される。
したがって、本発明は、心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、該被験体は安定性冠心疾患に罹患しており、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有し、該方法は以下のステップ:
(a)該被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定された心筋トロポニンの量を心筋トロポニンについての参照量と比較するステップ、および
(b1)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも高い場合に、該被験体のサンプル中のC反応性タンパク質(CRP)の量を測定するステップ、およびCRPの測定量をCRPについての参照量と比較するステップ、または
(b2)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも低い場合に、該被験体のサンプル中のsCD40L(可溶性CD40Lリガンド)の量を測定するステップ、およびsCD40Lの測定量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、ならびに
(c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
を含む、上記方法に関する。
図1は、安定性冠心疾患を有し、不安定狭心症の既往歴を有する個体でのsCD40LおよびトロポニンT(中央値の下方および上方)による生存である:中央値よりも低いトロポニンTレベルを有する患者でのsCD40Lの測定はさらなる予後情報を付け加える(実施例を参照のこと)。 図2は、安定性冠心疾患を有し、不安定狭心症の既往歴を有する個体でのCRPおよびトロポニンT(中央値の下方および上方)による生存である:中央値よりも高いトロポニンTレベルを有する患者でのCRPの測定はさらなる予後情報を付け加える(実施例を参照のこと)。
本発明の方法は、好ましくは、in vitro法である。さらに、本発明の方法は、上で明示されたステップに加えてステップを含んでよい。例えば、追加のステップはサンプルの前処理または該方法によって得られた結果の評価に関する。本発明の方法は、心臓療法を必要としている被験体のモニタリング、確認、および細分類のために使用してもよい。該方法は手動で実施するか、または自動化によって支援してよい。好ましくは、ステップ(a)および/または(b)を、例えば、ステップ(a)、(b1)および/または(b2)での測定に好適なロボットおよびセンサー装置によって、またはステップ(b)、(b1)および/または(b2)でのコンピュータ実装比較によって、全体的または部分的に自動化によって支援してよい。
本明細書中で使用される用語「特定する」とは、被験体が心臓療法に感受性であるか否か、ゆえに心臓療法を必要とするか否かを評価することを意味する。さらに、心臓療法に感受性の被験体では、該療法の利益が不利益(特に特定の治療方式の有害な副作用によって生じる不利益であるが、コストに関する不利益でもある)にまさる。また、心臓療法に感受性でない被験体では、該療法の不利益(特に、有害な副作用に関する不利益であるが、過剰治療に起因するコストに関する不利益でもある)が利益にまさる。特に、被験体が特定の心臓療法を必要としなければ、過剰治療に起因するコストは節約され、かつ/または、該被験体が特定の心臓療法に付されなければ、有害な副作用を回避することができる。
当業者に理解されるように、そのような評価(被験体が心臓療法に感受性か否か)は、通常、特定対象の被験体のすべて(すなわち100%)に関して正しいことを意図されない。しかし、該用語は、被験体の統計学的に有意な割合が特定できることを必要とする(例えばコホート研究でのコホート)。割合が統計学的に有意であるかどうかは、種々の周知の統計学的評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニー検定等を使用して、当業者が追加の面倒なく決定することができる。詳細はDowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出せる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。より好ましくは、集団の被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%を本発明の方法によって適正に特定することができる。
本明細書中で使用される用語「被験体」とは、動物、好ましくは哺乳動物に関し、より好ましくはヒトに関する。
しかし、被験体は、安定性冠心疾患を示す被験体であり、したがって、好ましくは心臓療法を必要としていることが本発明の方法によって想定される。冠動脈疾患(CAD)またはアテローム硬化型心疾患とも称される用語「冠心疾患」、略してCHDは当業者に公知である。好ましくは、冠心疾患(CHD)という用語は、心臓に血液および酸素を供給する小さい血管が狭窄している状態を表す。冠心疾患は、通常、アテローム性動脈硬化症と称される状態によって引き起こされ、それは、プラークが動脈の壁上にまで蓄積すると生じる。これは血管の狭窄を引き起こす。特に、CHDは、心筋(心臓の筋肉)に栄養供給する動脈壁内のアテローム性プラークの蓄積の結果である。好ましくは、安定性冠心疾患を有する被験体は、少なくとも1つの主要な冠動脈に少なくとも50%の狭窄(ゆえに少なくとも50%の閉塞)を有する。冠動脈の閉塞の程度を評価する方法は当技術分野で周知であり、好ましくは、該程度は冠動脈造影によって評価される。冠心疾患の症状および徴候は、疾患が進行した状態で確認されるが、冠心疾患を有するほとんどの個体は、数十年間、疾患の証拠を示さない。該疾患は急性イベントの最初の症状の発生より前に進行し、しばしば「突然の」心臓発作が最終的に生じる。
用語「安定性冠心疾患」は、好ましくは、急性心血管症候群を含まない。特に、該用語は、STEMI(ST上昇心筋梗塞);NSTEMI(非ST上昇心筋梗塞)および不安定狭心症を含まない(が、好ましくは、安定狭心症を含む)。好ましくは、被験体は、0.25ng/mL未満、より好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.1ng/mL未満の心筋トロポニンレベル、好ましくはトロポニンTレベルを有する。本明細書中で使用される用語「心筋トロポニンレベル」とは、好ましくは本明細書中で定義される被験体の血液、血漿または血清サンプル中の心筋トロポニン、好ましくはTnTの濃度に関する。
しかし、被験体は、好ましくは、急性心血管症候群に属するイベントの既往歴を有し、すなわち被験体は過去に少なくとも1回の急性心血管イベントを示している。急性心血管イベントは、好ましくは、急性冠症候群(ACS)である。ACS患者は不安定狭心症(UAP)または心筋梗塞(MI)を示しうる。MIはST上昇MI(STEMI)または非ST上昇MI(NSTEMI)でありうる。ACSの発生後、左心室機能不全(LVD)および心不全の症状が生じうる。急性心血管イベントの診断方法は当技術分野で周知である。
被験体は少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有するが、該被験体は急性心血管イベントを、最近、好ましくは本発明の方法の実施前1週間、3ヵ月、1年、またはより好ましくは6ヵ月、またはさらにより好ましくは1ヵ月以内に示していないことが特に想定される。したがって、少なくとも1回の急性心血管イベントは、好ましくは、本明細書中で指定される種々のマーカーの測定(より正確には:分析対象のサンプルの取得)より1週間、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月または1年以上前に生じている。特に、本発明の方法の実施前1ヵ月以内に急性心血管イベントが生じなかったことが想定される。
用語「心臓療法」は、好ましくは、冠心疾患および、特に安定性冠心疾患の治療に適した治療方式を包含する。好ましくは、該治療方式は、冠心疾患の症状および徴候を治療することを目的にし、かつ冠心疾患のさらなる進行を予防することを目的にする。しかし、用語「心臓療法」は、好ましくは、抗炎症および抗血小板治療方式を包含してもよい。
好ましくは、該治療方式は介入的療法(およびゆえに侵襲的治療法)および薬物に基づく療法から選択される。冠心疾患の治療に適した薬物は当技術分野で公知である。好ましくは、該薬物は、ACE(アンギオテンシン変換酵素)インヒビター、アンギオテンシン受容体ブロッカー、β−アドレナリン作動性ブロッカー、複合αおよびβブロッカー、カルシウムアンタゴニスト(カルシウムチャネルブロッカー)、糖タンパク質IIb/IIIaインヒビター、ヘパリン、マクマー(macumar)、低分子量ヘパリン、硝酸塩、経口抗凝固剤(例えばワルファリン)、脂質低下薬、および血小板凝集インヒビター(および、ゆえに、血小板インヒビター)からなる群より選択される。また、上記医薬品の組み合わせを投与することもできる。
ACEインヒビターは当業者に公知である。その例には、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、およびトランドラプリルが含まれる。
β−アドレナリン作動性ブロッカー(非選択的およびβ選択的)は当業者に公知である。その例には、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ブプラノロール、カラゾロール(carazolol)、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール(propanolol)、ソタロール、タニロロール(tanilolol)、およびチモロールが含まれる。
用語「アルドステロンアンタゴニスト」は、例えば腎尿細管で見出されるアルドステロン受容体の競合的遮断によって、アルドステロンの影響を相殺可能な化合物に関する。好ましくは、該アルドステロンアンタゴニストはスピロノラクトン(spironolacton)またはエプレレノンである。
脂質低下薬は当業者に公知である。その例には、フィブラート(例えばベゾフィブラート(bezofibrate)、クロフィブラート、エトフィブラート、エトフィリンクロフィブラート(etophylline clofibrate)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル)、ニコチン酸およびそのアナログ(例えばニコチン酸、アシピモックス)、スタチン(例えばシンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン)、アニオン交換体樹脂(例えばコレスチラミン、コレスチポール)、プロブコール、およびシトステロールが含まれる。この関連で好ましい脂質低下薬はスタチン(抗炎症療法にも適している)である。
血小板糖タンパク質IIb/IIIa受容体のインヒビターまたはアンタゴニストは当業者に公知である。その例には、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、チロフィバン、エプチフィバチド、などが含まれる。本発明の好ましい実施形態では、糖タンパク質IIb/IIIa受容体インヒビターは抗体、特にアブシキシマブの名称で知られている抗体である。アブシキシマブは、Centocor Europe BVからReoProの名称で入手可能なFab断片抗体である。
血小板凝集インヒビターは当業者に公知であり(血小板インヒビターと称されることも多い)、それには、血小板(thrombocytes(platelets))の凝集を阻害可能な任意の薬物が含まれる。その例は、シクロオキシゲナーゼ、特にCOX−1のインヒビター(特にアセチルサリチル酸);ADPインヒビター(血小板(thrombocyates)上の受容体へのアデノシンリン酸の結合を阻害する、例えばチクロピジン(ticlopidin)またはクロピドグレル);血小板糖タンパク質IIb/IIIa受容体のインヒビターまたはアンタゴニスト(上記参照);ジピリダモール(dipyridamol);スルフィンピラゾン;マクマー、ヘパリン、デキストラン40である。血小板インヒビターを使用する血小板療法に関しては、さらに、Braunwald's Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, Publisher: Saunders, 8th edition, 2007, chapter 80 Hemostasis, thrombosis, fibrinolysis and cardiovascular diseaseを参照のこと。
侵襲的治療法には、外科手術、顕微手術または、心血管系および、好ましくは心臓に影響する他の療法による介入が含まれる。これは、好ましくは、心臓を支援する血管、すなわち冠血管を通過する血流を増強することによって達成される。該血管は例えば血栓またはアテローム硬化型プラークのせいで損なわれる。したがって、侵襲的方法は、好ましくは、そのようなプラークの破壊および/または除去および、必要ならば、血管の修復を含む。本発明の好ましい侵襲的方法は、経皮冠動脈血管形成術、経皮経管冠血管バルーン血管形成術、レーザー血管形成術、冠動脈ステント移植、バイパス移植または、血流の回復、血管開存性、プラークの安定化、および/または冠内血栓量(intracoronary thrombus load)の低減を目的にする腔内技術からなる群より選択される。侵襲的方法は、特に、心臓療法に非常に感受性が高い被験体に関して想定される。
用語「サンプル」とは、体液のサンプル、分離された細胞のサンプルまたは組織もしくは器官由来のサンプルを表す。体液のサンプルは周知の技術によって取得することができ、それには、好ましくは、血液、血漿、血清または尿のサンプルが含まれ、より好ましくは血液、血漿または血清のサンプルが含まれる。組織または器官サンプルは、任意の組織または器官から例えば生検によって取得することができる。分離された細胞は体液または組織もしくは器官から分離技術、例えば遠心分離または細胞選別によって取得することができる。好ましくは、細胞、組織または器官サンプルは、本明細書中で言及されるペプチドを発現または生産する細胞、組織または器官から取得される。
用語「心筋トロポニン」とは、心臓の細胞および、好ましくは、心内膜下細胞で発現されるすべてのトロポニンアイソフォームを表す。心筋トロポニンは心臓組織の壊死のマーカーであることが知られている。これらのアイソフォームは、例えば、Anderson 1995, Circulation Research, vol. 76, no. 4: 681-686およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に記載されるように、当技術分野において十分に特徴付けられている。好ましくは、心筋トロポニンとは、トロポニンTおよび/またはトロポニンIを表し、最も好ましくはトロポニンTを表す。トロポニンのアイソフォームを本発明の方法において一緒に、すなわち同時にもしくは連続して、または個別に、すなわち他のアイソフォームをまったく測定することなく測定してよいことが理解される。ヒトトロポニンTおよびヒトトロポニンIのアミノ酸配列はAnderson, 上掲およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に開示されている。
用語「心筋トロポニン」はまた、上記の具体的トロポニン、すなわち好ましくはトロポニンI、および、より好ましくは、トロポニンTの変異体を包含する。そのような変異体は、特定の心筋トロポニンと少なくとも同一の必須の生物学的および免疫学的特性を有する。特に、それらが、本明細書中で言及される同一の特異的アッセイ、例えば該心筋トロポニンを特異的に認識するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を使用するELISAアッセイによって検出可能であるならば、それらは同一の必須の生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明において言及される変異体は、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失および/または付加に起因して異なるアミノ酸配列を有し、該変異体のアミノ酸配列は、依然として、好ましくは、特定のトロポニンのアミノ配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一であることが理解される。変異体は対立遺伝子変異体または任意の他の種特異的ホモログ、パラログ、またはオーソログであってよい。さらに、本明細書中で言及される変異体には、特定の心筋トロポニンまたは上記タイプの変異体の断片が、該断片が上で言及される必須の免疫学的および生物学的特性を有する限り、含まれる。そのような断片は、例えば、トロポニンの分解産物である。さらに、翻訳後修飾、例えばリン酸化またはミリスチル化に起因して異なる変異体が含まれる。
本明細書中でC反応性タンパク質とも称されるCRPは、75年以上前に、肺炎球菌のC多糖に結合する血液タンパク質であることが発見された急性期タンパク質である。CRPは反応性炎症マーカーとして知られており、一次病巣部位に由来するケモカインまたはインターロイキンに応答または反応して遠位の器官(すなわち肝臓)によって生産される。CRPは5つのシングルサブユニットからなり、該サブユニットは非共有結合的に連結され、分子量約110〜140kDaの環状5量体として組み立てられる。用語「CRP」は、好ましくは、CRPの変異体も含む(変異体の定義に関しては、上記参照のこと)。好ましくは、本明細書中で使用されるCRPはヒトCRPに関する。ヒトCRPの配列は周知であり、例えばWoo et al.(J. Biol. Chem. 1985. 260 (24), 13384-13388)によって開示されている。CRPのレベルは、正常な個体では、通常は低いが、炎症、感染または傷害のせいで100〜200倍またはそれ以上に上昇する(Yeh (2004) Circulation. 2004; 109:II-11-II-14)。CRPは、心血管リスクの予測に関して、独立した因子であることが知られている。特に、CRPは心筋梗塞、卒中、末梢動脈疾患および突然の心臓死の予測因子として適していることが示されている。さらに、上昇したCRP量により、急性冠症候群(ACS)を有する被験体および冠血管インターベンションを受けている被験体の再発性虚血および死亡を予測することもできる。専門家パネル(例えばAmerican Heart Association)によって、冠心疾患のリスクを有する患者のCRPの測定が推奨される(さらにPearson et al. (2003) Markers of Inflammation and Cardiovascular Disease. Circulation, 107: 499-511を参照のこと)。
好ましくは、被験体のサンプル中のCRPの量は高感度のCRPアッセイを使用して測定される。そのようなアッセイによって測定されたCRPは高感度CRP(hsCRP)と称されることも多い。hsCRPアッセイは、例えば、心疾患のリスクを予測するために使用される。好適なhsCRPアッセイは当技術分野で公知である。本発明の関連で特に好ましいhsCRPアッセイは検出限界0.1mg/LのRoche/Hitachi CRP (Latex) HS試験である。
sCD40L(可溶性CD40リガンド)は血液中に見出される18kDaの可溶性タンパク質である。sCD40Lは、CD40L(CD40リガンド、CD154としても知られる)からタンパク分解によって放出され、CD40Lは33kDaのII型膜貫通タンパク質であり、TNFスーパーファミリーの膜貫通タンパク質に属する。sCD40Lの構造および組成は当技術分野で周知である。例えば、Karpusas et al., Structure 1995, 3:1019-39またはAnand et al., Thromb Haemost., 90:377-84を参照のこと。血液中で検出可能なsCD40Lの95%が血小板に由来することが示唆されている(Andre, P., et al. (2002): CD40L stabilizes arterial thrombi by a B3 integrin-dependent mechanism. Nature Medicine, vol. 8, 247-52)。さらに、該用語はsCD40Lの変異体を含む。sCD40Lの具体的な変異体の例およびその測定方法は公知である。例えば、sCD40Lの種々の変異体が存在する(例えば、Pietravalle, F. et al. (1996). Human Native Soluble CD40L is a Biologically Active Trimer, Processed Inside Microsomes. J Biol Chem, vol. 271, pp. 5965-7を参照のこと)。好ましくは、用語「sCD40L」はヒトsCD40Lに関する。(変異体という用語の説明は上記に見出せる)。
本明細書中で言及されるペプチドまたはポリペプチドの量の測定とは、好ましくは半定量的または定量的に、量または濃度を測定することに関する。また、該ペプチドおよびポリペプチドの変異体の測定が想定される。測定は直接または間接的に行うことができる。直接測定とは、ペプチドまたはポリペプチドそのものから取得されかつその強度がサンプル中に存在するペプチドの分子の数と直接相関するシグナルに基づくペプチドまたはポリペプチドの量または濃度の測定に関する。そのようなシグナル(本明細書中で強度シグナルと称されることもある)は、例えばペプチドまたはポリペプチドの特定の物理的または化学的性質の強度値を測定することによって取得してよい。間接測定には、二次成分(すなわちペプチドまたはポリペプチドそのものではない成分)または生物学的読み取り系、例えば測定可能な細胞応答、リガンド、標識、または酵素反応産物から取得されるシグナルの測定が含まれる。
本発明では、ペプチドまたはポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチドの量を測定するためのすべての公知の手段によって達成することができる。該手段は、種々のサンドイッチ、競合、または他のアッセイ形式で、標識された分子を利用するイムノアッセイデバイスおよび方法を含む。該アッセイはペプチドまたはポリペプチドの存在または不存在を示すシグナルを発生する。さらに、シグナル強度を、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量に直接または間接的に相関(例えば反比例)させることができる。追加の好適な方法は、該ペプチドまたはポリペプチドに特有の物理的または化学的性質、例えばその正確な分子量またはNMRスペクトルの測定を含む。該方法は、好ましくは、バイオセンサー、イムノアッセイに連結された光学デバイス、バイオチップ、分析用デバイス、例えば質量分光計、NMR分析計、またはクロマトグラフィーデバイスを含む。さらに、方法には、マイクロプレートELISAに基づく方法、全自動化またはロボットイムノアッセイ(例えばElecsysTM分析機で利用可能)、CBA(酵素コバルト結合アッセイ(例えばRoche-HitachiTM分析機で利用可能))、およびラテックス凝集アッセイ(例えばRoche-HitachiTM分析機で利用可能)が含まれる。
好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の測定は、(a)その強度がペプチドまたはポリペプチドの量を示す細胞応答を誘発可能な細胞を、該ペプチドまたはポリペプチドと適切な期間接触させるステップ、(b)細胞応答を測定するステップを含む。細胞応答の測定では、好ましくは、サンプルまたは処理されたサンプルを細胞培養物に加え、内部または外部の細胞応答を測定する。細胞応答には、レポーター遺伝子の測定可能な発現または物質、例えばペプチド、ポリペプチド、または小分子の分泌が含まれる。該発現または物質は、該ペプチドまたはポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生成する。
また、好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチドまたはポリペプチドから取得可能な特定の強度シグナルを測定するステップを含む。上記のように、そのようなシグナルは、質量スペクトル中で観察される該ペプチドもしくはポリペプチドに特異的なm/z変数または該ペプチドもしくはポリペプチドに特異的なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度であってよい。
ペプチドまたはポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)ペプチドを特定のリガンドと接触させるステップ、(b)(場合により)未結合リガンドを除去するステップ、(c)結合したリガンドの量を測定するステップを含んでよい。結合したリガンドは強度シグナルを生成する。本発明での結合には、共有結合および非共有結合の両者が含まれる。本発明でのリガンドは、本明細書中に記載のペプチドまたはポリペプチドに結合する任意の化合物、例えばペプチド、ポリペプチド、核酸、または小分子であってよい。好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、例えば該ペプチドまたはポリペプチドの受容体または結合パートナーおよび、該ペプチドに関する結合ドメインを含むその断片、およびアプタマー、例えば核酸またはペプチドアプタマーが含まれる。そのようなリガンドの製造方法は当技術分野において周知である。例えば、好適な抗体またはアプタマーの特定および生産は商業的供給元によっても提供される。当業者は、より高い親和性または特異性を有する、そのようなリガンドの誘導体を開発する方法に精通している。例えば、核酸、ペプチドまたはポリペプチドにランダム突然変異を導入することができる。そして、当技術分野において公知のスクリーニング手順、例えばファージディスプレイにしたがって、これらの誘導体の結合を検査することができる。本明細書中で言及される抗体には、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両者、ならびに抗原またはハプテンに結合可能なその断片、例えばFv、FabおよびF(ab)断片が含まれる。また、本発明は、単鎖抗体および所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列と組み合わされているヒト化ハイブリッド抗体を含む。該ドナー配列は、通常、少なくともドナーの抗原結合アミノ酸残基を含むが、ドナー抗体の他の構造および/または機能的に重要なアミノ酸残基を同様に含んでよい。そのようなハイブリッドは当技術分野において周知のいくつかの方法によって製造することができる。好ましくは、該リガンドまたは物質は該ペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する。本発明での特異的結合とは、リガンドまたは物質が、分析対象のサンプル中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質的に結合(交差反応)しないべきであることを意味する。好ましくは、特異的に結合しているペプチドまたはポリペプチドは、任意の他の関連ペプチドまたはポリペプチドより、少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高いおよびさらにより好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合すべきである。非特異的結合は、依然として識別可能でありかつ、例えばウエスタンブロットでそのサイズにしたがってまたはサンプル中のその相対的に高い存在量によって明らかに測定できれば、容認できる。リガンドの結合は当技術分野において公知の任意の方法によって測定することができる。好ましくは、該方法は半定量的または定量的である。好適な方法を以下に記載する。
第1に、例えばNMRまたは表面プラズモン共鳴によってリガンドの結合を直接測定することができる。
第2に、リガンドが、目的のペプチドまたはポリペプチドの酵素活性の基質としても働くならば、酵素反応産物を測定することができる(例えば切断された基質の量を例えばウエスタンブロットで測定することによってプロテアーゼの量を測定することができる)。あるいは、リガンドが酵素特性そのものを示し、「リガンド/ペプチドまたはポリペプチド」複合体または、ペプチドもしくはポリペプチドが結合したリガンドを、それぞれ、強度シグナルの生成による検出を可能にする好適な基質と接触させることができる。酵素反応産物の測定では、好ましくは、基質の量は飽和している。反応前に、検出可能な標識で基質を標識してもよい。好ましくは、サンプルを基質と適切な期間接触させる。適切な期間とは、検出可能な、好ましくは測定可能な量の生成物の生産に必要な時間を表す。生成物の量を測定するかわりに、所定の(例えば検出可能な)量の生成物の出現に必要な時間を測定することができる。
第3に、リガンドの検出および測定を可能にする標識に共有結合または非共有結合によってリガンドをカップリングさせることができる。標識化は直接または間接的方法によって行うことができる。直接標識化は、リガンドに対する直接の(共有結合または非共有結合による)標識のカップリングを必要とする。間接標識化は、一次リガンドに対する二次リガンドの(共有結合または非共有結合による)結合を必要とする。二次リガンドは一次リガンドに特異的に結合すべきである。該二次リガンドを好適な標識とカップリングさせることができ、かつ/またはそれは二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(受容体)であってよい。二次、三次またはさらに高次のリガンドを使用してシグナルを増加させることがよくある。好適な二次および高次リガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジン−ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が含まれる。リガンドまたは基質に当技術分野において公知の1種以上のタグで「タグ付け」してもよい。そのようなタグは高次リガンドの標的であってよい。好適なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、His−タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、myc−タグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質、などが含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは好ましくはN末端および/またはC末端に位置する。好適な標識は適切な検出方法によって検出可能な任意の標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁気標識(「例えば磁気ビーズ」、常磁性および超常磁性標識が含まれる)、および蛍光標識が含まれる。酵素活性標識には、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびそれらの誘導体が含まれる。検出に好適な基質には、ジ−アミノ−ベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(Roche Diagnosticsから即時使用原液として入手可能))、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が含まれる。好適な酵素と基質の組み合わせは着色反応生成物、蛍光または化学発光を生じさせ、当技術分野において公知の方法にしたがって(例えば感光フィルムまたは好適なカメラシステムを使用して)それを測定することができる。酵素反応の測定に関して、上記基準を同様に適用する。典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(例えばGFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびアレクサ色素(例えばAlexa 568)が含まれる。追加の蛍光標識は例えばMolecular Probes(Oregon)から入手可能である。また、蛍光標識としての量子ドットの使用が想定される。典型的な放射性標識には、35S、125I、32P、33Pなどが含まれる。放射性標識は公知かつ適切な任意の方法、例えば感光フィルムまたはリン光体イメージャによって検出することができる。また、本発明の好適な測定方法には、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気によって生成される(electro-generated)化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニドフルオロイムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁分析法、比濁法、ラテックス増強比濁分析法もしくは比濁法、または固相免疫試験が含まれる。当技術分野において公知の追加の方法(例えばゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウエスタンブロット法、および質量分析)を、単独で、または上記の標識化または他の検出方法と組み合わせて使用することができる。
ペプチドまたはポリペプチドの量は、好ましくは、以下のように測定することができる:(a)上記で指定されるペプチドまたはポリペプチドに関するリガンドを含む固体支持体を、ペプチドまたはポリペプチドを含むサンプルと接触させ、および(b)支持体に結合したペプチドまたはポリペプチド量を測定する。好ましくは核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群から選択されるリガンドは、好ましくは、固体支持体上に固定された形式で存在する。固体支持体を製造するための材料は当技術分野において周知であり、それには、とりわけ、市販カラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよびサーフィス、ニトロセルロースストリップ、メンブレン、シート、デュラサイト(duracytes)、反応トレーのウェルおよび壁、プラスチックチューブなどが含まれる。該リガンドまたは物質を多数の異なる担体に結合させてよい。周知の担体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボナート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、および磁鉄鉱が含まれる。担体の性質は本発明の目的のために可溶性または不溶性であってよい。該リガンドの固定化(fixing/immobilizing)に好適な方法は周知であり、それには、非限定的に、イオン性、疎水性、共有結合性相互作用などが含まれる。本発明のアレイとして「サスペンションアレイ」を使用することも想定される(Nolan 2002, Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのようなサスペンションアレイでは、担体、例えばマイクロビーズまたはミクロスフェアを懸濁状態で存在させる。該アレイは、異なるリガンドを保持する異なるマイクロビーズまたはミクロスフェア(標識されていることが多い)からなる。例えば固相化学および感光性の保護基に基づくそのようなアレイの製造方法は一般に公知である(US 5,744,305)。
本明細書中で言及される種々のペプチドおよびポリペプチド(CRP、sCD40L、トロポニンT)の量は、好ましくは、それぞれの被験体の同一サンプルにおいて、すなわち単一のサンプルのみにおいて測定される。しかし、それぞれの被験体の異なるサンプル、すなわち2以上のサンプル中で該ペプチドおよびポリペプチドを測定することも本発明の方法によって想定される。最も好ましくは、ペプチドおよびポリペプチドを同時に測定する。しかし、マーカーの量を逐次測定してもよい。
本明細書中で使用される用語「量」は、ポリペプチドまたはペプチドの絶対量、該ポリペプチドまたはペプチドの相対量または濃度ならびにそれに相関するかまたはそれから導くことができる任意の値またはパラメータを包含する。そのような値またはパラメータは、該ペプチドから直接測定によって取得されるすべての特定の物理的または化学的性質由来の強度シグナル値を含み、例えば質量スペクトルまたはNMRスペクトルの強度値である。さらに、この明細書の他の箇所で指定される間接測定によって取得されるすべての値またはパラメータが包含される。例えば、ペプチドに応答して生物学的読み取り系から測定される応答レベルまたは特異的に結合したリガンドから取得される強度シグナルである。また、すべての標準数学的操作によって上記の量またはパラメータに相関する値を取得できることが理解される。
本明細書中で使用される用語「比較する」は、分析対象のサンプルに含まれるペプチドまたはポリペプチドの量を、この明細書の他の箇所で指定される好適な参照元の量と比較することを包含する。本明細書中で使用される比較とは、対応するパラメータまたは値の比較を表すことが理解され、例えば、絶対量を絶対参照量と比較し、濃度を参照濃度と比較するか、または試験サンプルから取得された強度シグナルを参照サンプルの同一タイプの強度シグナルと比較する。本発明の方法のステップ(b)において言及される比較は、手動でまたはコンピュータの支援を受けて実行することができる。コンピュータの支援を受けた比較では、測定された量の値を、コンピュータプログラムによって、データベースに保存されている好適な参照に対応する値と比較する。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価することができ、すなわち自動的に所望の評価を好適な出力形式で提供することができる。本発明の方法を実施するために測定された量(群)と参照量(群)との比較に基づいて、本明細書中で定義される被験体が心臓療法に感受性であるかどうかを評価することが可能である。したがって、参照量は、比較された量の差異または類似性によって、心臓療法に感受性の被験体を特定することが可能になるように選択される。
したがって、本明細書中で使用される用語「参照量」とは、安定性冠心疾患を有し、心血管イベントの既往歴を有する被験体のうち、心臓療法に感受性の被験体を特定することを可能にするポリペプチドの量を表す。したがって、参照は、(i)安定性冠心疾患を有し、心血管イベントの既往歴を有し、かつ心臓療法に感受性であることが知られている被験体、または(ii)安定性冠心疾患を有し、心血管イベントの既往歴を有し、かつ心臓療法に感受性でないことが知られている被験体から得られる。さらに、参照量は、好ましくは、閾値を定める。好適な参照量または閾値量は、試験サンプルと一緒に、すなわち同時にまたは後に分析される対象の参照サンプルから本発明の方法によって測定される。閾値として有用な好ましい参照量は正常上限(ULN)、すなわち被験体の集団(例えば臨床試験に参加している患者)で見出される生理学的量の上限から得られる。
ゆえに、本発明で言及される心筋トロポニンおよび、特にトロポニンTの閾値量を定める参照量は、好ましくは0.02ng/mL、より好ましくは0.01ng/mL、最も好ましくは0.007ng/mLである。
本発明で言及されるCRPの閾値量を定める参照量は、好ましくは6.0μg/mL、より好ましくは4.0μg/mL、最も好ましくは2.8μg/mLである。
ゆえに、本発明で言及されるsCD40Lの閾値量を定める参照量は、好ましくは3.75μg/mL、より好ましくは2.75μg/mL、最も好ましくは2μg/mLである。
好ましくは、(i)心筋トロポニン、および特に心筋トロポニンTについての参照量よりも高い心筋トロポニン、および特にトロポニンTの量、および(ii)C反応性タンパク質についての参照量よりも高いC反応性タンパク質の量は、被験体が心臓療法に非常に感受性が高いことを示す。非常に感受性が高いとは、好ましくは、被験体が上記介入的方法に感受性である(ゆえにそれを必要とする)ことを意味する。特に、(サンプルを取得した後)できるだけ早く、好ましくは次の3ヵ月、2ヵ月以内、または、より好ましくは次の4週間以内に、該方法によって血流を回復させるための処置を施すべきである。当然、該被験体は、上記でまとめられている薬物を摂取してもよい。好ましい薬物は、抗炎症剤(特にスタチン)、ACEインヒビター、アルドステロン(aldosteron)アンタゴニスト、およびアンギオテンシン受容体ブロッカーである。
好ましくは、(i)心筋トロポニンについての参照量よりも高い心筋トロポニン、および特にトロポニンTの量、および(ii)C反応性タンパク質についての参照量よりも低いC反応性タンパク質の量は、被験体が心臓療法に感受性であることを示す。好ましくは、治療の焦点は上記薬物での投薬であり、好ましくは抗炎症剤、例えばスタチンおよび/または脂質低下薬での投薬である。
好ましくは、(i)心筋トロポニン、および特に心筋トロポニンTについての参照量よりも低い心筋トロポニン、および特にトロポニンTの量、および(ii)sCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量は、被験体が心臓療法に感受性であることを示す。好ましくは、治療の焦点は上記薬物での投薬であり、好ましくは血小板凝集インヒビター(特に、クロピドグレル、マクマー、ヘパリンおよびアセチルサリチル酸)および脂質低下薬での投薬である。
好ましくは、(i)心筋トロポニン、および特に心筋トロポニンTについての参照量よりも低い心筋トロポニン、および特にトロポニンTの量、および(ii)sCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量は、被験体が心臓療法に感受性でないことを示す。
本発明の基礎をなす研究では、安定性冠心疾患を有し、過去の急性心血管イベント(不安定狭心症)の既往歴を有する合計670個体から得られた血清サンプル中でトロポニンT、hsCRP、およびsCD40Lの量を測定した。好都合に、心筋トロポニンの量の測定、および、該心筋トロポニンの量が該心筋トロポニンについての好適な参照量よりも高い場合には、CRPの量の測定、または、該心筋トロポニンの量が該心筋トロポニンについての好適な参照量よりも低い場合には、sCD40Lの量の測定が、心臓療法に感受性の被験体の、より信頼できる特定に必要とされることが見出された。心筋トロポニンは冠心疾患についての公知のマーカーである。いくつかの研究は、被験体のトロポニンレベルと心疾患の重症度との関連を示した。しかし、本発明に関してなされた分析では、心筋トロポニンに加えてさらなるマーカー、すなわちsCD40LおよびCRPの測定は、心疾患の程度の、より信頼できる評価を可能にし、したがって、心臓療法に感受性の被験体を特定することを可能にし、かつ致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクの評価を可能にすることが示された。
特に、低レベルの心筋トロポニンしか有しない患者では、sCD40Lの測定がさらなる予後および診断的有用性を付け加え、一方、高レベルの心筋トロポニンを有する患者では、CRPの測定がさらなる予後および予後的有用性を付け加える。
本発明の方法は、好都合に、確実で、高速でかつ低コストの診断を可能にし、かつポータブルアッセイ、例えばテストストリップ(stripes)にさえ実装することができる。したがって、該方法は、心臓療法に感受性の被験体の特定に特によく適している。本発明の知見のおかげで、被験体に適した療法、例えば安定性冠心疾患の療法を確実に選択することができる。さらに、参照量よりも高いトロポニンレベルを有する被験体でのsCD40Lの測定、および参照よりも低いトロポニンレベルを有する被験体でのCRPの測定は、さらなる予後および診断的有用性を付け加えないことが示された。
ゆえに、本発明の知見のおかげで、被験体に適した療法を確実に選択することができる。患者の誤った治療に起因する深刻な副作用を回避することができる。さらに、コストを節約することができる。
さらに、本発明の方法の実施により、安定性冠心疾患の重症度を評価することも可能になり(ゆえにそれは本明細書中に記載の被験体の細分類のための方法であり)、かつ/または治療の決定を行うことが可能になる。したがって、本発明はまた、被験体の安定性冠心疾患の重症度を評価する方法であって、本明細書中に記載のステップを含む方法に関する。したがって、心臓介入に感受性の被験体はまた、より重症な形式のCHDに罹患しており、一方、心臓介入に感受性でない被験体はあまり重症でない形式のCHDに罹患している。本明細書中に記載のステップに基づいて被験体のための治療を決定する方法も想定される。
上記定義は、必要な変更を加えて以下に適用される。
本発明はまた、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法であって、以下のステップ:
(a)該被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定された心筋トロポニンの量を心筋トロポニンについての参照量と比較するステップ、
(b1)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも高い場合に、該被験体のサンプル中のC反応性タンパク質(CRP)の量を測定するステップ、およびCRPの測定量をCRPについての参照量と比較するステップ、または
(b2)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも低い場合に、該被験体のサンプル中のsCD40L(可溶性CD40Lリガンド)の量を測定するステップ、およびsCD40Lの測定量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、ならびに
(c)該被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するステップ
を含む方法に関する。
本明細書中で使用される用語「予測する」は、安定性冠心疾患に罹患し、少なくとも1回の心血管イベントの既往歴を有する被験体が死に至る(例えば心疾患に起因する致死)かまたは将来の所定の時間ウインドウ(予測ウインドウ)内に心血管イベント、好ましくは急性心血管イベント、例えば急性冠症候群(ACS)を発症する確率を評価することに関する。予測ウインドウは、予測された確率に基づいて被験体が心血管イベントを発症するかまたは死に至る間隔である。予測ウインドウは、本発明の方法による分析時の被験体の残りの全寿命であってよい。しかし、好ましくは、予測ウインドウは、本発明の方法の実施後(より好ましくかつ正確には、本発明の方法による分析対象のサンプルが取得された後)の1ヵ月、6ヵ月または1、2、3、4、5または10年の間隔である。当業者に理解されるように、そのような評価は、通常、分析対象の被験体の100%に関して正しいことを意図されない。しかし、該用語は、分析対象の被験体の統計学的に有意な割合について評価が妥当であることを必要とする。割合が統計学的に有意であるかどうかは、種々の周知の統計学的評価ツール、例えば信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニー検定、などを使用して、当業者が追加の面倒なく決定することができる。詳細はDowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出せる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。好ましくは、本発明によって想定される確率は、所定のコホートの被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%について予測が正しいことを可能にする。
本明細書中で使用される用語「致死」は、任意の原因による致死に関し、好ましくは、さらなる急性心血管イベントによる致死に関する。さらに、致死とは、所定の被験体集団に対する死亡率または死亡数の割合を表すこともできる。用語「急性心血管イベント」は本明細書中の他の箇所で定義されている。
本明細書中で使用される用語「致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する」とは、本発明の方法による分析対象の被験体が、急性心血管イベントまたは致死を発症する、正常な、すなわち上昇していない、ゆえに、平均のリスクを有する集団の被験体の群に割り当てられるか、または上昇したリスクを有する被験体の群に割り当てられるか、または著明に上昇したリスクを有する被験体の群に割り当てられることを意味する。本発明で言及される上昇したリスクはまた、あらかじめ決められた予測ウインドウ内の心血管イベントを発症するリスクまたは致死のリスクが、ある被験体について、本明細書中で定義される被験体の集団の心血管イベントまたは致死の平均リスクに対して上昇していることを意味する。好ましくは、1年の予測ウインドウでは、平均リスクは2.0〜3.0%の範囲内であり、好ましくは2.5%である。本明細書中で使用される上昇したリスクとは、好ましくは、1年の予測ウインドウに関して、3.0%よりも高いリスク、好ましくは2.5%よりも高いリスク、最も好ましくは3.0%〜4.0%内のリスクに関する。本明細書中で使用される著明に上昇したリスクとは、好ましくは、1年の予測ウインドウに関して、4.0%よりも高いリスク、より好ましくは5%よりも高いリスク、最も好ましくは4.0%〜8.0%の範囲内のリスク、または5.0〜8.0%もしくはそれ以上の範囲内のリスクに関する。
参照量は、(i)安定性冠心疾患を有し、心血管イベントの既往歴を有し、所定のウインドウ期間内にさらなる急性心血管イベントを有し、かつ/または死亡した被験体、または(ii)安定性冠心疾患を有し、心血管イベントの既往歴を有し、所定のウインドウ期間内にさらなる急性心血管イベントを有さず、かつ/または死亡しなかった被験体から得られる。種々のマーカーCRP、心筋トロポニンおよびsCD40Lについての好ましい参照量は上記に示される。
好ましくは、トロポニンについての参照量よりも高い心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも高いC反応性タンパク質の量は、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの著明に上昇したリスクを示す。
好ましくは、トロポニンについての参照量よりも高い心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも低いC反応性タンパク質の量は、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを示す。
好ましくは、トロポニンについての参照量よりも低い心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量は、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを示す。
好ましくは、トロポニンについての参照量よりも低い心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量は、被験体が致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを有しない(ゆえに平均リスクである)ことを示す。
さらに、本発明は、心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、以下のステップ:
(a)安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、好ましくは0.02ng/mLよりも高い、より好ましくは0.01ng/mLよりも高い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも高い(が好ましくは、0.25ng/mLよりも低い、より好ましくは0.05ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.1ng/mLよりも低い)心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを有する被験体のサンプル中でCRPの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定したCRPの量をCRPについての参照量と比較するステップ、および
(c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
を含む方法に関する。
CRPについての好ましい参照量は上記で開示されている。
好ましくは、上記方法の関連で言及される被験体のサンプル中のCRPについての参照量よりも高いCRPの量は、該被験体が心臓療法に非常に感受性が高いことを示す。好ましくは、被験体のサンプル中のCRPについての参照量よりも低いCRPの量は、該被験体が心臓療法に感受性であることを示す。
また、本発明は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法であって、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも高い、より好ましくは0.01ng/mLよりも高い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも高いが、好ましくは0.25ng/mLよりも低い、より好ましくは0.05ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.1ng/mLよりも低い心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを有し、該方法は以下のステップ:
(a)該被験体のサンプル中のCRPの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定したCRPの量をCRPについての参照量と比較するステップ、および
(c)該被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するステップ
を含む、上記方法に関する。
CRPについての好ましい参照量は上記で開示されている。
好ましくは、上記方法の関連で言及される被験体のサンプル中のCRPについての参照量よりも高いCRPの量は、該被験体が致死および/またはさらなる急性心血管イベントの著明に上昇したリスクを有することを示す。好ましくは、被験体のサンプル中のCRPについての参照量よりも低いCRPの量は、該被験体が致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを有することを示す。
さらに、本発明は、心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、以下のステップ:
(a)安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、好ましくは0.02ng/mLよりも低い、より好ましくは0.01ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも低い心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを有する被験体のサンプル中のsCD40Lの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定したsCD40Lの量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、および
(c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
を含む方法に関する。
sCD40Lについての好ましい参照量は上で開示される。
好ましくは、上記方法の関連で言及される被験体のサンプル中のsCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量は、該被験体が心臓療法に感受性であることを示す。好ましくは、被験体のサンプル中のsCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量は、該被験体が心臓療法に感受性でないことを示す。
また、本発明は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法であって、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも低い、より好ましくは0.01ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも低い心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを好ましくは有し、該方法は以下のステップ:
(a)該被験体のサンプル中のsCD40Lの量を測定するステップ、
(b)ステップ(a)で測定したsCD40Lの量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、および
(c)該被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するステップ
を含む、上記方法に関する。
sCD40Lについての好ましい参照量は上記で開示されている。
好ましくは、被験体のサンプル中のsCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量は、該被験体が致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを有することを示す。好ましくは、サンプル中のsCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量は致死および/またはさらなる急性心血管イベントの平均リスクである(ゆえに上昇したリスクでない)。
さらに本発明は、心臓療法に感受性の被験体を特定するためのデバイスであって、(a)安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに(b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定される手段を含むデバイスに関する。
さらに、本発明は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有する被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのデバイスであって、(a)該被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに(b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段を含むデバイスに関する。
心臓療法に感受性の被験体を特定するためのデバイスおよび/または被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのデバイスもまた本発明によって想定され、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも高い、より好ましくは0.01ng/mLよりも高い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも高いが、好ましくは0.25ng/mLよりも低い、より好ましくは0.05ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.1ng/mLよりも低い心筋トロポニンレベルを有し、該被験体は、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、該デバイスは、(a)該被験体のサンプル中のCRPの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定されるか、またはそれにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段を含む。
さらに、心臓療法に感受性の被験体を特定するためのデバイスおよび/または被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのデバイスであって、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも低い、より好ましくは0.01ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも低い心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを有し、該被験体はまた、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、該デバイスは、(a)該被験体のサンプル中のsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定され、かつ/またはそれにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段を含む、上記デバイスも本発明によって想定される。
本明細書中で使用される用語「デバイス」とは、予測を可能にするように互いに作動的に連結されている少なくとも上記手段を含む手段の系に関する。心筋トロポニン、CRP、およびsCD40Lの量を測定するための好ましい手段および比較を実施するための手段は、本発明の方法と併せて上記で考察されている。作動的様式での手段の連結方法は、デバイスに含まれる手段のタイプに依存する。例えば、ペプチドの量を自動的に測定する手段が適用される場合、該自動的に作動する手段によって取得されたデータを例えばコンピュータプログラムによってプロセシングして、所望の結果を得ることができる。好ましくは、そのような場合、該手段は単一デバイスに含まれる。したがって、該デバイスは、アプライされたサンプル中のペプチドまたはポリペプチドの量を測定するための分析ユニットおよび得られたデータを評価用にプロセシングするためのコンピュータユニットを含んでよい。あるいは、ペプチドまたはポリペプチドの量の測定に試験ストリップなどの手段が使用される場合、比較のための手段は、測定量を参照量に割り当てる対照ストリップまたはテーブルを含んでよい。好ましくは、本明細書中で言及されるペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合するリガンドにテストストリップをカップリングする。ストリップまたはデバイスは、好ましくは、該リガンドに対する該ペプチドまたはポリペプチドの結合を検出するための手段を含む。好ましい検出手段は上記本発明の方法に関する実施形態とともに開示される。そのような場合、マニュアルに記載の使用説明および解釈によって系のユーザーが量の測定結果とその予後値を引き合わせる点において、該手段は作動的に連結されている。該手段は、そのような実施形態において個別のデバイスとして存在してよく、好ましくは、キットとして一緒にパッケージされる。当業者は追加の面倒なく手段の連結方法を認識する。好ましいデバイスは、専門臨床家の特定の知識なしで適用できるデバイスであり、例えば、単にサンプルのロードを必要とするだけのテストストリップまたは電子デバイスである。結果は、臨床家による解釈が必要な生データ出力として提供することができる。しかし、好ましくは、デバイスの出力は、プロセシング、すなわち評価された、生データであり、その解釈に臨床家を必要としない。追加の好ましいデバイスは、分析ユニット/デバイス(例えば、該バイオマーカーを特異的に認識するリガンドにカップリングされたバイオセンサー、アレイ、固体支持体、プラズモン表面共鳴デバイス、NMR分光計、質量分光計等)または本発明の方法にしたがって上で言及される評価ユニット/デバイスを含む。
さらに、心臓療法に感受性の被験体を特定する本発明の方法を実施するためにつくられたキットであって、該方法を実施するための使用説明書、ならびに(a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、および(b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、心臓療法に感受性の被験体の特定を可能にする手段を含むキットが本発明によって想定される。
被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する本発明の方法を実施するためにつくられたキットであって、該方法を実施するための使用説明書、ならびに(a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、および(b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクの予測を可能にする手段を含むキットもまた本発明によって想定される。
さらに、心臓療法に感受性の被験体を特定する本発明の方法を実施するためにつくられたキットおよび/または被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのキットであって、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも高い、より好ましくは0.01ng/mLよりも高い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも高いが、好ましくは0.25ng/mLよりも低い、より好ましくは0.05ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.1ng/mLよりも低い心筋トロポニンレベルを有し、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、該キットは、該方法を実施するための使用説明書、ならびに(a)該被験体のサンプル中のCRPの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定され、かつ/またはそれにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段を含む、上記キットが本発明によって想定される。
さらに、心臓療法に感受性の被験体を特定する本発明の方法を実施するためにつくられたキットおよび被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのキットであって、該被験体は、好ましくは0.02ng/mLよりも低い、より好ましくは0.01ng/mLよりも低い、最も好ましくは0.007ng/mLよりも低い心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)レベルを有し、該被験体はまた、安定性冠心疾患を有し、急性心血管イベントの既往歴を有し、該キットは、該方法を実施するための使用説明書、ならびに(a)該被験体のサンプル中のsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定されるか、またはそれにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段を含む、上記キットが本発明によって想定される。
本明細書中で使用される用語「キット」とは、好ましくは個別にまたは単一容器内で提供される上記手段の集合体を表す。キットの構成要素は個別のバイアルに含ませる(すなわち個別の部分のキットとして)か、または単一バイアル中で提供することができる。さらに、本発明のキットは上記で言及される方法を実施するために使用できることが理解される。好ましくは、すべての構成要素は、上記で言及される方法の実施にすぐに使用できる様式で提供されることが想定される。さらに、キットは、好ましくは、該方法を実施するための使用説明書を含有する。使用説明書は、紙または電子形式の取扱説明書によって提供することができる。例えば、取扱説明書は、本発明のキットを使用して上記方法を実施する場合に得られる結果を解釈するための使用説明を含むことができる。
さらに、本発明は、心臓療法に感受性の被験体を特定するための、心筋トロポニン、sCD40L、および/またはCRPの使用および本明細書中に記載の被験体での致死および/またはさらなる心血管イベントのリスクを予測するための、心筋トロポニン、sCD40L、および/またはCRPの使用に関する。
本明細書中で引用されるすべての参考文献は、その開示内容全体および本明細書中で具体的に記載される開示内容に関して、参照によりここに組み入れられる。
以下の実施例は単に本発明を説明するにすぎない。実施例は、一切、本発明の範囲を限定するとは解釈されないものとする。
実施例1
冠心疾患を有し、過去に不安定狭心症の既往歴を有する合計670個体から得られた血清サンプル中でトロポニンT、hsCRP、およびsCD40Lの量を測定した。Elecsys 2010自動化分析機(Roche Diagnostics GmbH, Germany)のイムノアッセイを使用してsCD40Lを測定した。Roche Diagnosticsの高感度トロポニンT試験によってトロポニンTをアッセイした。Roche/HitachiのTina-quant C-reactive protein(latex)高感度アッセイでhsCRPを測定した。
分析されたバイオマーカーは、8年のウインドウ期間内の生存に関する独立した予測因子であることが示された。
さらに、中央値(6.9pg/mL)よりも低いトロポニンTレベルを有する患者では、CRPによって、致死についての上昇したリスクと著明に上昇したリスクを識別することが可能である。中央値よりも高いトロポニンおよびCRPのレベルを有する患者は、致死およびさらなる急性心血管イベントについての著明に上昇したリスクを有したが、一方、トロポニンTについての中央値よりも高いトロポニンTレベルを有し、CRPについての中央値よりも低いCRPを有する患者は上昇したリスクを有した(中央値CRP 2.8mg/L)。
興味深いことに、中央値(6.9pg/mL)よりも高いトロポニンTレベルを有する患者では、sCD40Lによって、致死についての上昇したリスク/上昇していないリスクを識別することが可能である。中央値よりも低いトロポニンのレベルを有し、sCD40Lについての中央値よりも高いsCD40Lレベルを有する患者は致死およびさらなる急性心血管イベントについての上昇したリスクを有し、一方、トロポニンTおよびsCD40Lのそれぞれの中央値(中央値sCD40L 2mg/L)よりも低いトロポニンTレベルおよびsCD40Lレベルを有する患者は上昇したリスクを有しなかった。
したがって、低いトロポニンT量を有する被験体での、マーカーとしてのsCD40Lの使用により、上昇したリスクを有する被験体を特定することが可能であり、上昇したトロポニンT量を有する被験体でのCRPの使用により、著明に上昇した致死リスクを有する被験体を特定することが可能である。したがって、好適な治療を開始することができる。
実施例2
1年前に急性冠症候群を有した既知の安定性冠動脈疾患を有する56歳の患者が一般開業医を訪れる。該患者から得られた血清サンプル中でトロポニンT(4pg/mL)およびCD40l(3.2mg/L)を測定する。6ヵ月後、該患者はACSの症状で救急室に現れ、NSTEMIが診断される(トロポニンT 0.2ng/mL)。患者が急性イベントから回復した後、冠動脈造影を実施し、新たな血栓を有する急性プラークを検出する。
実施例3
5年前にACSと診断された52歳の男性患者が定期健診を受け、トロポニンT(3pg/mL)およびCD40l(1.3mg/L)が測定される。心エコー図検査を実施し、異常は見つからない。さらに、ストレス試験では、患者が安定な状態であること(病理所見なし)が示される。結果として、冠動脈造影を実施する必要性はなく、ASSでの治療を継続する。以後5年以内に、さらなる急性イベントはない。
実施例4
9ヵ月前にNSTEMIを有した62歳の男性患者は、12pg/mLの血清トロポニンTレベルおよび3.4mg/Lの血清CRPレベルを有する(急性感染のいかなる徴候もない)。ASS、スタチンおよびACEインヒビターでの治療を継続する。しかし、7ヵ月後、患者は心筋梗塞を有する。
実施例5
既知の安定性冠動脈疾患を有する61歳の女性患者は1.5年前および3.5年前にACSを有した。該患者は定期健診を受け、トロポニンT(9.5pg/mL)およびCRP(1.6mg/L)が測定される。ストレスEKGを実施する(いかなる異常もなし)。さらに心エコー図検査を実施する(壁運動異常なし)。したがって、冠動脈造影を実施せず、スタチン、ACEインヒビターおよびASSでの治療を継続する。以後3年以内に、さらなる急性イベントはない。

Claims (16)

  1. 心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、該被験体は安定性冠心疾患に罹患しており、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有し、該方法は以下のステップ:
    (a)該被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するステップ、
    (b)ステップ(a)で測定された心筋トロポニンの量を心筋トロポニンについての参照量と比較するステップ、および
    (b1)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも高い場合に、該被験体のサンプル中のC反応性タンパク質(CRP)の量を測定するステップ、およびCRPの測定量をCRPについての参照量と比較するステップ、または
    (b2)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも低い場合に、該被験体のサンプル中のsCD40L(可溶性CD40Lリガンド)の量を測定するステップ、およびsCD40Lの測定量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、ならびに
    (c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
    を含む、上記方法。
  2. 前記心筋トロポニンがトロポニンTである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記心臓療法が薬物ベースの療法および介入療法から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1回の急性心血管イベントが6ヵ月以内に生じたものではない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記サンプルが、血液、血漿、または血清サンプルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 心筋トロポニンについての参照量が0.007ng/mLであり、前記心筋トロポニンがトロポニンTであり、かつ/またはC反応性タンパク質についての参照量が2.8μg/mLであり、かつ/もしくはsCD40Lについての参照量が2.0μg/mLである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. (a)トロポニンTについての参照量よりも高いトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも高いC反応性タンパク質の量が、被験体が心臓療法に非常に感受性が高いことを示し、
    (b)トロポニンTについての参照量よりも高いトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも低いC反応性タンパク質の量が、被験体が心臓療法に感受性であることを示し、
    (c)トロポニンTについての参照量よりも低いトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量が、被験体が心臓療法に感受性であることを示し、かつ
    (d)トロポニンTについての参照量よりも低いトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量が、被験体が心臓療法に感受性でないことを示す、
    請求項6に記載の方法。
  8. 安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測する方法であって、以下のステップ:
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するステップ、
    (b)ステップ(a)で測定した心筋トロポニンの量を心筋トロポニンについての参照量と比較するステップ、および
    (b1)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも高い場合に、該被験体のサンプル中のC反応性タンパク質(CRP)の量を測定するステップ、およびCRPの測定量をCRPについての参照量と比較するステップ、または
    (b2)心筋トロポニンの測定量が心筋トロポニンについての参照量よりも低い場合に、該被験体のサンプル中のsCD40L(可溶性CD40Lリガンド)の量を測定するステップ、およびsCD40Lの測定量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、ならびに
    (c)該被験体についての致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するステップ
    を含む、上記方法。
  9. 心筋トロポニンについての参照量が0.007ng/mLであり、前記心筋トロポニンがトロポニンTであり、かつ/またはC反応性タンパク質についての参照量が2.8μg/mLであり、かつ/もしくはsCD40Lについての参照量が2.0μg/mLである、請求項8に記載の方法。
  10. (a)トロポニンTについての参照量よりも高いトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも高いC反応性タンパク質の量が、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの著明に上昇したリスクを示し、
    (b)トロポニンTについての参照量よりも高いトロポニンTの量、およびC反応性タンパク質についての参照量よりも低いC反応性タンパク質の量が、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを示し、
    (c)トロポニンTについての参照量よりも低いトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも高いsCD40Lの量が、致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを示し、かつ
    (d)トロポニンTについての参照量よりも低いトロポニンTの量、およびsCD40Lについての参照量よりも低いsCD40Lの量が、被験体が致死および/またはさらなる急性心血管イベントの上昇したリスクを有しないことを示す、
    請求項8または9に記載の方法。
  11. 心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、以下のステップ:
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有し、0.007ng/mLよりも高く0.1ng/mLよりも低い心筋トロポニンレベルを有する被験体のサンプル中のCRPの量を測定するステップ、
    (b)ステップ(a)で測定したCRPの量をCRPについての参照量と比較するステップ、および
    (c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
    を含む、上記方法。
  12. 心臓療法に感受性の被験体を特定する方法であって、以下のステップ:
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有し、0.007ng/mLよりも低い心筋トロポニンレベルを有する被験体のサンプル中のsCD40Lの量を測定するステップ、
    (b)ステップ(a)で測定したsCD40Lの量をsCD40Lについての参照量と比較するステップ、および
    (c)心臓療法に感受性の被験体を特定するステップ
    を含む、上記方法。
  13. 心臓療法に感受性の被験体を特定するためのデバイスであって、以下の手段:
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに
    (b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより心臓療法に感受性の被験体が特定される手段
    を含む、上記デバイス。
  14. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法を実施するためにつくられたキットであって、該方法を実施するための使用説明書、ならびに
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに
    (b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、心臓療法に感受性の被験体の特定を可能にする手段
    を含む、上記キット。
  15. 安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体での致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクを予測するためのデバイスであって、以下の手段:
    (a)該被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに
    (b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、それにより致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクが予測される手段
    を含む、上記デバイス。
  16. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法を実施するためにつくられたキットであって、該方法を実施するための使用説明書、ならびに
    (a)安定性冠心疾患を有し、少なくとも1回の急性心血管イベントの既往歴を有する被験体のサンプル中の心筋トロポニンの量を測定するための手段、および該手段により測定した量を心筋トロポニンについての参照量と比較するための手段、ならびに
    (b)該被験体のサンプル中のCRPおよび/またはsCD40Lの量を測定するための手段、および該手段により測定した量をCRPおよび/またはsCD40Lについての参照量と比較するための手段であって、致死および/またはさらなる急性心血管イベントのリスクの予測を可能にする手段
    を含む、上記キット。
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