JP2011523072A - 1型糖尿病を有する患者の合併症の評価 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被るリスクを予測する方法であって、(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量を測定するステップ、及び(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPの量を測定するステップ、及び(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を参照量と比較し、予測を確立するステップを含む方法に関する。また本発明は、上記方法を実施するためのデバイス及びキットを包含する。
【選択図】なし

Description

本発明は、1型糖尿病患者が心血管系事象及び/又は末期腎不全及び/又は死亡を被るリスクを予測又は評価する方法に関する。本方法は、1型糖尿病を患う被験体のサンプルにおける心筋トロポニン(特にトロポニンT)、及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の測定に基づく。さらに本発明は、1型糖尿病を患う被験体のサンプルにおける心筋トロポニン(特にトロポニンT)、及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の測定に基づいて、該被験体について心血管系事象、死亡又は末期腎不全のリスクを予測する方法に関する。また本発明は、上記方法を実施するためのデバイス及びキットを包含する。
近代医学の目的の1つは、特定の個人向けの又は個人に合わせた治療レジメンを提供することである。それらは、ある患者個人のニーズ又はリスクを勘案して行われる治療レジメンである。特定の個人向けの又は個人に合わせた治療レジメンは、救急処置についても考慮する必要がある。具体的には、急性の心血管系事象の場合には、通常は短期間のうちに、特定の治療レジメンの決定を行わなければならない。心血管系合併症、特に心疾患は西半球においては死亡と罹患率の主因である。心血管系合併症は、長期にわたり無症状のままであることがある。しかし、急性心血管系事象、例えば心筋梗塞などが心血管系合併症の結果として生ずると、重篤な結果となる可能性がある。
1型及び2型糖尿病の2つの主なカテゴリーがあり、これらは当業者に知られた特徴の組み合わせにより区別することができる。
1型糖尿病(以前は若年発症型又はインスリン依存型と呼ばれていた)では、おそらく遺伝的に感受性が高い人において環境的曝露により引き起こされた自己免疫性膵臓β細胞破壊のためにインスリン産生がない。この破壊は、インスリン濃度が血漿グルコースレベルを制御するのにもはや十分ではない点にβ細胞塊が低下するまで数ヶ月又は数年にわたり無症状で進行する。1型糖尿病は一般的に小児期又は青年期に発症し、最近まで、30歳前に診断される最も一般的な形態であったが、成人でも発症しうる。
2型糖尿病(以前は成人発症型又は非インスリン依存型と呼ばれていた)では、インスリン分泌が不十分である。インスリンレベルは、特に疾患の初期には非常に高いことが多いが、末梢インスリン抵抗性及びグルコースの肝産生増大は、インスリンレベルを正常化血漿グルコースレベルとするには不十分なものとする。次いで、インスリン産生が低下し、さらに高血糖を悪化させる。この疾患は一般に成人で発症し、年齢と共により一般的となる。血漿グルコースレベルは、若年成人よりも高齢成人において、飲食後(特に高糖質負荷後)により高いレベルに達し、正常へ戻るのにより時間がかかり、これは部分的には、内臓及び腹部脂肪の蓄積増大並びに筋肉量低下によるものである。
慢性腎疾患は、十分な程度の腎機能不全のあらゆる原因によって生じる可能性がある。USにおいて最も一般的な呼び名は糖尿病性腎症であり、それに続いて高血圧性腎血管硬化症と種々の一次及び二次糸球体症が生じる。慢性腎疾患(慢性腎不全)は、長期にわたる進行性の腎機能低下である。症候は徐々に発症し、例えば食欲不振、悪心、嘔吐、口内炎、味覚障害、夜間頻尿、倦怠感、疲労、そう痒、知力低下、筋収縮及び痙攣、水分貯留、低栄養、潰瘍及び出血、末梢神経障害及び発作が挙げられる。診断は、腎機能の臨床検査に基づき、場合によりそれに続く腎生検に基づいて行われる。
心血管系合併症及びその予測のための慣用的な診断技術としては、心電図及び心エコー測定、患者の症候及び既往歴の分析(例えば胸痛など)、並びにいくつかの臨床パラメータの分析が挙げられる。最近、これらの慣用的な技術が、バイオマーカーの分析により、特に救急患者の血液サンプルにおける心筋トロポニンレベルの分析により、さらに強化されている。さらに、ナトリウム利尿ペプチドもまた心血管系合併症の診断に好適なバイオマーカーとして報告されている。
心筋機能障害は、心臓の筋肉(心筋)のいくつかの病理状態を説明する総称である。心筋機能障害は、心不全とは異なり、一時的な病理状態(例えば虚血、毒性物質、アルコールなどにより引き起こされるもの)である。心筋機能障害は、根本の原因を取り除いた後は消失するだろう。しかしながら、無症候性の心筋機能障害は心不全を発症する可能性もある(これは治療で処置する必要がある)。しかし、心筋機能障害はまた、心不全、慢性心不全、さらには重篤な慢性心不全にもなりうる。
心筋機能障害及び心不全は、特にその症状が「軽度」とみなされる場合には、診断されないことが多い。心不全の慣用的な診断法は、周知の血管容量ストレスマーカーであるNT-proBNP(ナトリウム利尿ペプチド)に基づくものである。しかしながら、いくつかの医療状況下におけるNT-proBNPに基づく心不全の診断は、全てではないがかなりの人数の患者では不正確であるようである(例えば、Beck 2004, Canadian Journal of Cardiology 20: 1245-1248;Tsuchida 2004, Journal of Cardiology, 44:1-11)。ところが、特に心不全に罹患する患者には、心不全の支持療法が緊急に必要と考えられる。一方、心不全の不正確な診断の結果、多くの患者が不十分な又は有害な副作用さえ有することのある治療レジメンを受けることになる。
心不全を有する患者はまた、急性心疾患、一般的には急性冠症候群を発症する可能性がある。ACSは、不安定狭心症(UAP)及び急性心筋梗塞(MI)の状態を包含する。
MIは冠動脈性心疾患(CHD)に属するものとして分類され、MIを発症する前には、MIと同様にCHDに属するものとして分類される他の事象、例えば不安定狭心症(UAP)が起こる。UAPの症状は胸痛で、これはニトログリセリンの舌下投与により緩和される。UAPは、低酸素血症及び心筋虚血を招来する冠血管の部分閉塞により引き起こされる。閉塞が極めて重症であるか又は全体に及ぶ場合には、(心筋梗塞の基礎をなす病理状態である)心筋壊死が生じる。MIは明らかな症状がなくても、すなわち被験体が症状を何も示さなくても生じる場合があり、この場合、MIを発症する前に、安定狭心症又は不安定狭心症は生じない。
しかしながら、UAPはMIよりも前に起こる症候性の事象である。被験体において、CHDは無症状でも起こり得る。すなわち、被験体は不快感を感じたり、息切れ、胸痛又は当業者に公知の他の症候等のCHDの症状を何も呈さない場合がある。ところが、被験体は、MI及び/又はうっ血性心不全(CHF)(心臓が被験体の身体に必要な血液供給を確保するように機能するために必要な能力を有さないことを意味する)をもたらし得る冠血管の機能不全に病理学的に該当し、また該機能不全を患っている場合がある。このことは、重篤な合併症、一例として心臓死を招来し得る。
胸痛のような急性心血管系事象(例えば、心筋梗塞)の症状を患う患者は、現在のところ心筋トロポニンに基づく診断、一般的にはトロポニンT又はトロポニンIに基づいた診断に供される。この目的のために、患者のトロポニンT/Iレベルが測定される。血中トロポニンT量が上昇している場合、すなわち約0.1ng/mLより高い場合、急性心血管系事象が想定され、患者はしかるべき治療を受ける。
急性心筋梗塞は、心臓冠動脈の閉塞によって生じ、種々のサイズの心筋組織領域の死に至る。心筋の死は、血清/血漿中で検出することができるトロポニンT(心臓特異的分子)又はトロポニンIの上昇を生じる。さらに、心筋の死は、心臓のポンプ機能の喪失とも関連し、ナトリウム利尿ペプチドレベルの上昇も生じる。
トロポニンT(及びトロポニンIもまた)のレベル、そしてナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)のレベルは、心筋梗塞の約4〜6時間後に上昇を開始する。その時点の後で医師の診察を受ける患者は、上記ペプチドレベルの上昇を示す。
慣用的な診断技術、特に救急事態のための診断技術では、通常、信頼性ある診断及び/又はリスク評価が可能ではない。従って、上記診断技術に基づいて、特定の個人向けのリスク予測を十分な精度で決定することができない。その結果として、多くの患者にとって、不十分な又は有害な副作用を生じることもある予測が確立されることになる。
従って、心血管系合併症、末期腎不全又は死亡を被る疑いがあり、所定の治療レジメンの必要があると思われる1型糖尿病患者の個々のリスク予測を可能にする診断手段又は予後判定手段が必要とされている。さらに、1型糖尿病患者の死亡リスクを含む、信頼性のある一般的なリスク予測又は評価が必要とされている。この種の患者では、心血管系合併症及び/又は腎不全から、あるいは別の理由から死亡が生じる可能性がある。
本発明の基礎となっている技術的課題は、上述の必要性に応じるための手段や方法の提供として理解することができる。
上記技術的課題は特許請求の範囲及び本明細書の以下で記載される実施形態によって解決される。
従って、本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)かを予測する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量を測定するステップ、及び
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPの量を測定するステップ、及び
(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を参照量と比較して、予測を確立するステップ
を含む方法に関する。
本発明の方法は、好ましくはin vitroの方法である。さらに、前記方法は上記で明示するものの他にステップを含んでもよい。例えば、別のステップは、サンプルの前処理、又は前記方法で得られる結果の評価に関連するものである。本発明の方法はまた、被験体の前記合併症に関する1型糖尿病患者のモニター、確認、及び細分類に用いることもできる。この方法は、手動で行うか、又は自動化により支援することができる。好ましくは、ステップ(a)及び/又は(b)は、その全体又は一部を自動化によって、例えば、ステップ(a)での測定のための適切なロボット及びセンサー装置、又はステップ(b)でのコンピュータで行う比較によって、支援することができる。
NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。 NT-proBNP及びトロポニンTのレベルの四分位に応じた、末期腎不全ESRF又は死亡(全死因死亡)、致死性及び非致死性心血管系合併症、致死性心血管系合併症、並びに非致死性心血管系合併症を患者が被る(患う)までの時間を示す。
本明細書で用いる用語「予測する」とは、1型糖尿病患者が将来的に規定の時間窓(予測窓)内に心血管系合併症、末期腎不全及び死亡の1以上を患う(被る)確率を評価することを意味する。死亡は、心血管系合併症及び/又は腎不全に起因するものでありうる。予測窓は、被験体が予測された確率で前記合併症の1以上を発症する時間間隔である。予想窓は、本発明の方法による分析時における被験体の残りの全寿命とすることができる。しかしながら、予測窓は、好ましくは、1型糖尿病の出現後(より好ましくはそして正確には、本発明の方法により分析されるサンプルが採取された後)、1ヶ月、6ヶ月、又は1年、2年、3年、4年、5年若しくは10年の間隔である。当業者であれば理解できるように、このような評価は、通常、分析対象の被験体の100%について正しいことを目的としていない。しかし、この用語は、評価が、分析対象の被験体の統計的に有意な一部について妥当であることを要する。一部が統計的に有意かどうかについては、様々な周知の統計的評価ツール(例えば、信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニー検定等)を用いて、当業者は難なく決定することができる。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に記載されている。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.0001である。好ましくは、本発明により想定する確率により、所定のコホートの被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%についてその予測が正確である。
本明細書で用いる「患者」又は「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。
上記本発明の方法において、被験体は1型糖尿病を患っていることを想定している。従って、被験体は、当業者に公知であり、かつ部分的には事前に存在している糖尿病の兆候を示す(導入部を参照のこと)。さらなる詳細は、例えばwww.merck.com/mmpe/index.htmlで見出すことができる。
数年にわたる管理不良の糖尿病は、小さな血管(微小血管)及び大きな血管(大血管)の両方に影響を及ぼしうる複数の主に血管の合併症に至る。微小血管疾患は、糖尿病の3つの一般的かつ深刻な兆候、すなわち網膜症、腎症及び神経障害の基礎となる。
糖尿病性腎症は、慢性腎不全の主因である。これは、糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム拡張及び糸球体硬化を特徴とする。これらの変化は、糸球体高血圧及び進行性の低下を引き起こす。全身性高血圧はその進行を促進しうる。この疾患は通常、ネフローゼ症候群又は腎不全を発症するまで無症候である。
大血管疾患(大血管アテローム性動脈硬化症)は、糖尿病に特徴的な、高インスリン血症、脂質異常症及び高血糖の結果である。その兆候は、狭心症及び心筋梗塞、一過性脳虚血発作及び卒中、並びに末梢動脈疾患である。糖尿病性心筋症は、多くの要因、例えば心外膜アテローム性動脈硬化症、高血圧及び左心室肥大、微小血管疾患、内皮及び自律神経機能障害、肥満、並びに代謝障害などに起因すると考えられる。患者は、左心室の収縮及び拡張機能の障害のために心不全を発症し、そして心筋梗塞後に心不全を発症する可能性がより高い。
慢性腎不全は、腎予備力の低下、腎機能障害又は腎不全(末期腎疾患)として大まかに分類することができる。最初は、腎組織が機能を損なうにつれ、残りの組織がその能力を増大するために異常はほとんどない。腎機能の低下は、腎臓が流体及び電解質恒常性を維持する能力を妨げる。
腎不全の診断には、血清クレアチニンレベルの測定がある。クレアチニンレベルが上昇すると、通常は最初に慢性腎不全が疑われる。最初のステップは、腎不全が、急性であるか、慢性であるか又は慢性に急性が併発したもの(すなわち、慢性腎不全を患う患者において、腎機能をさらに障害する急性疾患)であるかを判定することである。腎不全の原因もまた特定する。場合によっては、腎不全の持続期間を判定することにより、その原因の特定に役立つ。試験としては、尿沈渣、電解質、尿素窒素、及びクレアチニン、リン酸、カルシウムの検査による尿分析が挙げられる。場合によっては、特定の血清学的検査は原因の特定を妨げる。尿分析の知見は、基礎疾患の性質に応じて変動するが、より大きい円柱又は特にろう様円柱はあらゆる原因の進行性腎不全において顕著であることが多い。腎臓の超音波検査は通常、閉塞性尿路疾患の評価、及び腎臓のサイズに基づく急性腎不全と慢性腎不全との識別に有用である。特定の状態を除けば、慢性腎不全を有する患者は、薄くなった高エコー性皮質(hyperechoic cortex)を有する小さな萎縮腎を有する。正確な診断の確立は、腎機能が末期腎疾患に近い値に達するとますます困難となる。的確な診断ツールは腎生検であるが、超音波検査が小腎臓又は繊維性腎臓を示す場合には推奨されない。
慢性腎不全の進行は、多くの場合、タンパク尿の程度により予測される。ネフローゼ域のタンパク尿の患者は通常、予後がより悪く、より迅速に腎不全へと進行する。進行は、基礎疾患が活動性ではない場合でさえも起こることがある。高血圧も同様により迅速な進行と関連している。
用語「サンプル」は、体液サンプル、分離細胞サンプル、又は組織若しくは器官由来のサンプルをいう。体液サンプルは、周知技術によって得ることができ、好ましくは血液、血漿、血清、又は尿のサンプルを、より好ましくは血液、血漿又は血清のサンプルを含む。組織又は器官サンプルは、あらゆる組織又は器官から、例えば生検によって得ることができる。分離細胞は、体液、又は組織若しくは器官から、遠心又はセルソーティングのような分離技術によって得ることができる。細胞、組織又は器官のサンプルは、本明細書に記載のペプチドを発現又は生産する細胞、組織又は器官から得ることが好ましい。
用語「ナトリウム利尿ペプチド」は、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型及び脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型のペプチド、並びに同じ予想能力を有するそれらの変異体を含む。本発明においてナトリウム利尿ペプチドは、ANP型及びBNP型ペプチド並びにそれらの変異体を含む(例えば、Bonow, 1996, Circulation 93: 1946-1950を参照)。ANP型ペプチドはプレ-プロANP、プロANP、NT-proANP(NT-プロANP)、及びANPを含む。BNP型ペプチドはプレ-プロBNP、プロBNP、NT-proBNP(NT-プロBNP)、及びBNPを含む。プレ-プロペプチド(プレ-プロBNPの場合、134アミノ酸)は、酵素により切断されてプロペプチド(プロBNPの場合、108アミノ酸)を遊離する短いシグナルペプチドを含む。上記プロペプチドはさらにN末端プロペプチド(NT-プロペプチド、NT-proBNPの場合、76アミノ酸)及び活性ホルモン(BNPの場合、32アミノ酸;ANPの場合、28アミノ酸)に切断される。本発明においてナトリウム利尿ペプチドは、好ましくはNT-proANP、ANP、より好ましくはNT-proBNP、BNP、及びそれらの変異体である。ANP及びBNPは活性ホルモンでありかつそれぞれの不活性対応物であるNT-proANP及びNT-proBNPより短い半減期を有する。BNPは血液中で代謝されるが、NT-proBNPは血液中で無傷分子として循環し、それ自体は腎で排出される。NT-proBNPのin-vivo半減期は、20分であるBNPの半減期より120分長い(Smith 2000, J Endocrinol. 167: 239-46)。NT-proBNPの分析前状態はより頑強で、サンプルの中央実験室への輸送が容易である(Mueller 2004, Clin Chem Lab Med 42: 942-4)。血液サンプルは室温にて数日間貯蔵してもよく、又は郵送若しくは配送しても回収ロスはない。対照的に、BNPの室温又は4℃における48時間貯蔵は、少なくとも20%の濃度低下をもたらす(Mueller 前掲;Wu 2004, Clin Chem 50: 867-73)。それ故に、時間経過又は目的の特性に応じて、ナトリウム利尿ペプチドの活性型又は不活性型の測定のうちのいずれかが有利でありうる。本発明において最も好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNP又はそれらの変異体である。上で簡単に考察した通り、本発明において言及するヒトNT-proBNPは、ヒトNT-proBNP分子のN末端部分に対応する、好ましくは、長さ76アミノ酸を含むポリペプチドである。ヒトBNP及びNT-proBNPの構造は、先行技術において、例えば、WO 02/089657号、WO 02/083913号、又はBonow 前掲において既に詳細に記載されている。好ましくは、本発明で使用されるヒトNT-proBNPはEP 0 648 228 B1に開示されたヒトNT-proBNPである。これらの先行技術の文献は、そこに開示されたNT-proBNP及びその変異体の特定の配列について参照により本明細書に組み入れるものとする。本発明において記載するNT-proBNPはさらに、以上考察したヒトNT-proBNPの上記特定の配列の対立遺伝子及び他の変異体を包含する。具体的には、ヒトNT-proBNPに対して、アミノ酸レベルで少なくとも60%の同一性、より好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する変異体ポリペプチドが想定される。さらに、診断手段により又はそれぞれの全長ペプチドに対するリガンドにより認識されるタンパク質分解生成物もまた実質的に類似し、また想定される。また、ヒトNT-proBNPのアミノ酸配列と比較してアミノ酸欠失、置換及び/又は付加を有する変異体ポリペプチドは、上記ポリペプチドがNT-proBNP特性を有する限りにおいて包含される。本明細書において記載するNT-proBNP特性は免疫学的及び/又は生物学的特性である。好ましくは、上記NT-proBNP変異体は、NT-proBNPの免疫学的特性と同等の免疫学的特性(すなわちエピトープ組成)を有する。従って、上記変異体はナトリウム利尿ペプチドの量の測定に用いる上記の手段又はリガンドにより認識可能でなければならない。生物学的及び/又は免疫学的NT-proBNP特性は、Karlら(Karl 1999, Scand J Clin Invest 230:177-181)、Yeoら(Yeo 2003, Clinica Chimica Acta 338:107-115)に記載のアッセイにより検出することができる。変異体にはまた、翻訳後修飾されたペプチド、例えばグリコシル化ペプチドなども含まれる。さらに、本発明において変異体は、サンプルの採集後に修飾された、例えば、標識(特に放射性又は蛍光標識)とペプチドとの共有結合又は非共有結合により修飾されたペプチド又はポリペプチドである。
「心筋トロポニン」という用語は、心臓の細胞、好ましくは心内膜下細胞で発現されるトロポニンのアイソフォームの全てを意味する。これらのアイソフォームは当業界では十分に特性決定されており、例えば、Anderson 1995, Circulation Research, vol.76, no.4:681-686、及びFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44:487-493に記載されている。心筋トロポニンは、好ましくはトロポニンT及び/又はトロポニンI、最も好ましくはトロポニンTを意味する。トロポニンのアイソフォームを本発明の方法において一緒に(すなわち、同時に若しくは順次的に)、又は個々に(すなわち他のアイソフォームを全く測定せずに)測定することができることを理解されたい。ヒトトロポニンT及びヒトトロポニンIのアミノ酸配列はAnderson(上掲)及びFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44:487-493に開示されている。
「心筋トロポニン」という用語は、上述の特定のトロポニン、すなわち、好ましくはトロポニンI、より好ましくはトロポニンTの変異体をさらに包含する。そのような変異体はその特定の心筋トロポニンと少なくとも同一の本質的な生物学的及び免疫学的特性を有している。とりわけ、それらの変異体が本明細書中で記載している特定の同一のアッセイによって、例えば前記心筋トロポニンを特異的に認識するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いたELISAアッセイによって検出可能であるならば、それらの変異体は同一の本質的な生物学的及び免疫学的特性を有する。さらに、本発明において記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加により異なるアミノ酸配列を有し、該変異体のアミノ酸配列が、特定のトロポニンのアミノ酸配列と、依然として、好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有することは理解されよう。上述した変異体は、対立遺伝子変異体又はその他の種特異的ホモログ、パラログ若しくはオーソログのいずれかであることができる。さらに、本明細書において記載する変異体には、上述の本質的な免疫学的及び生物学的特性を有している限り、特定の心筋トロポニン又は上述のタイプの変異体の断片が含まれる。そのような断片は、例えばトロポニンの分解産物である。さらに、翻訳後修飾、例えばリン酸化又はミリスチル化によって異なる変異体も含まれる。
本発明に関して特に好ましいトロポニンTアッセイは、検出限界が0.001〜0.002ng/mlであるElecsys(登録商標)2010アナライザー(Roche Diagnostics)である。
本明細書に記載のナトリウム利尿ペプチド、心筋トロポニン、又は任意の他のペプチド若しくはポリペプチドの量の測定は、その量又は濃度を、好ましくは半定量的又は定量的に測定することに関する。測定は、直接的又は間接的に行うことができる。直接的な測定は、ペプチド又はポリペプチド自体から得られ、その強度がサンプル中に存在するペプチド分子数と直接相関するシグナルに基づいて、ペプチド又はポリペプチドの量又は濃度を測定することに関する。(強度シグナルとして本明細書に記載されることもある)そのようなシグナルは、例えばペプチド又はポリペプチドの特定の物理的又は化学的な特性についての強度値を測定することによって得ることができる。間接的な測定としては、二次成分(即ちペプチド若しくはポリペプチドそれ自体ではない成分)又は生物学的な読み取り系、例えば測定可能な細胞応答、リガンド、標識若しくは酵素反応生成物から得られるシグナルの測定が挙げられる。
本発明においては、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチドの量を測定するためのあらゆる公知の手段によって行うことができる。この手段は、サンドイッチ、競合又は他のアッセイの形式において標識した分子を利用することができるイムノアッセイのデバイス及び方法を含む。該アッセイは、ペプチド又はポリペプチドの存在又は非存在を示すシグナルを生成する。さらにシグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量と直接的に又は間接的に(例えば反比例で)相関するものである。別の好適な方法は、正確な分子量又はNMRスペクトル等のペプチド又はポリペプチドに特有な物理的又は化学的な特性を測定することを含む。該方法は、好ましくは、バイオセンサー、イムノアッセイと連結した光学装置、バイオチップ、質量分析計、NMR分析器又はクロマトグラフィー装置等の分析装置を含む。さらに方法は、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全に自動化又はロボット化した免疫アッセイ(例えばElecsysTM分析器を利用できる)、CBA(酵素的コバルト結合アッセイ法(enzymatic Cobalt Binding Assay)、例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)、及びラテックス凝集アッセイ(例えばRoche-HitachiTM分析器を利用できる)を含む。
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、(a)細胞応答の強度がペプチド又はポリペプチドの量を示す細胞応答を誘導することができる細胞に、該ペプチド又はポリペプチドを適切な時間にわたり接触させる工程と、(b)その細胞応答を測定する工程とを含む。細胞応答を測定するためには、好ましくは、サンプル又は処理したサンプルを、培養細胞に加え、内部又は外部の細胞応答を測定する。その細胞応答としては、測定可能なレポーター遺伝子の発現、又はペプチド、ポリペプチド若しくは小分子等の物質の分泌が挙げられる。その発現又は物質は、ペプチド又はポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生じる。
また好ましくは、ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、サンプル中のペプチド又はポリペプチドから得られる特有な強度シグナルを測定する工程を含む。上記のように、このようなシグナルは、質量スペクトルで観察されるペプチド若しくはポリペプチドに特有な変化量m/z、又はペプチド若しくはポリペプチドに特有なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度であってもよい。
ペプチド又はポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)該ペプチドを特定のリガンドに接触させる工程、(b)(必要に応じて)非結合リガンドを除去する工程、(c)結合リガンドの量を測定する工程を含んでもよい。その結合リガンドは、強度シグナルを生じる。本発明において、結合は、共有結合及び非共有結合を含む。本発明において、リガンドは、任意の化合物、例えば本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドに結合する、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は小分子でありうる。好ましいリガンドは、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、例えば、該ペプチド又はポリペプチドに対する受容体又は結合パートナー、及び該ペプチドに対する結合ドメインを含むそれらの断片、並びに核酸又はペプチドアプタマー等のアプタマーを含む。このようなリガンドを調製する方法は、当技術分野で周知である。例えば、好適な抗体又はアプタマーの同定及び作製は、市販の業者からも提供される。当業者は、より高い親和性又は特異性をもつ前記リガンドの誘導体を開発する方法に精通している。例えば、ランダム変異を核酸、ペプチド又はポリペプチドに導入することができる。これらの誘導体は、例えばファージディスプレイ法等の当技術分野で知られるスクリーニング法により、結合について試験することができる。本明細書において、抗体は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体だけでなく、抗原又はハプテンに結合することができるFv、Fab及びF(ab)2フラグメント等のそのフラグメントも含む。本発明はまた、所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列をヒトアクセプター抗体の配列と組み合わせた一本鎖抗体及びヒト化ハイブリッド抗体も含む。ドナー配列は通常、少なくとも抗原に結合するドナーのアミノ酸残基を含むが、他の構造的及び/又は機能的に関連性のあるドナー抗体のアミノ酸残基も含んでよい。このようなハイブリッドは、当技術分野で周知の種々の方法により調製することができる。好ましくは、リガンド又は薬剤がペプチド又はポリペプチドに特異的に結合する。本発明において、特異的な結合は、そのリガンド又は薬剤が、分析対象サンプル中に存在する他のペプチド、ポリペプチド又は物質に、実質的に結合する(「交差反応する」)べきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合するペプチド又はポリペプチドは、関連のある他のどのペプチド又はポリペプチドよりも、少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合するべきである。非特異的な結合も、例えばウェスタンブロットにおけるそのサイズに従って、又はサンプル中に相対的により多量に存在することによって、明確に区別及び測定できる場合は、許容できることもある。リガンドの結合は、当技術分野で公知のあらゆる方法によって測定することができる。好ましくは、該方法は、半定量的又は定量的である。好適な方法については、以下に記載する。
第一に、リガンドの結合は、例えばNMR又は表面プラズモン共鳴によって、直接測定することができる。
第二に、リガンドが、対象とするペプチド又はポリペプチドの酵素活性の基質としても働く場合は、酵素反応生成物を測定することができる(例えばプロテアーゼの量は、例えばウェスタンブロットで、切断された基質の量を測定することによって測定することができる)。あるいは、リガンドが酵素特性自体を示す場合があり、「リガンド/ペプチド若しくはポリペプチド」複合体、又はペプチド若しくはポリペプチドそれぞれと結合するリガンドを、強度シグナルの発生によって検出可能となる好適な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のために、好ましくは基質の量は飽和している。基質は、反応前に検出可能な標識で標識化してもよい。好ましくは、サンプルを適切な時間にわたり、基質と接触させる。適切な時間は、生成する生成物の量が検出可能に、好ましくは測定可能になるために必要な時間を表す。生成物の量を測定する代わりに、所定の(例えば検出可能な)量の生成物が現れるために必要な時間を測定することができる。
第三に、リガンドの検出及び測定を可能とする標識に、リガンドを共有結合又は非共有結合により結合させることができる。標識は、直接的又は間接的な方法により行うことができる。直接的な標識は、リガンドに標識を直接(共有結合又は非共有結合により)結合させることを含む。間接的な標識は、一次リガンドに二次リガンドが(共有結合又は非共有結合により)結合することを含む。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合するべきである。二次リガンドは、好適な標識と結合する及び/又はその二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(受容体)となることができる。二次、三次又はより高次のリガンドの使用は、シグナルを増強するために用いられる場合が多い。好適な二次及び高次のリガンドは、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)を含み得る。リガンド又は基質は、当技術分野で公知の一種以上のタグで「タグ標識」してもよい。このようなタグは、より高次のリガンドの標的となってもよい。好適なタグとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、A型インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質等が挙げられる。ペプチド又はポリペプチドの場合は、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端にある。好適な標識は、適切な検出法によって検出可能な全ての標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(例えば、常磁性及び超常磁性標識等の「磁性ビーズ」)、及び蛍光標識がある。酵素活性標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びその誘導体が挙げられる。検出のための好適な基質としては、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(Roche Diagnosticsの既製のストック溶液として利用できる、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロライド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)がある。好適な酵素と基質の組み合わせによって、当技術分野で公知の方法により(例えば、感光膜又は好適なカメラシステムを用いて)測定可能な呈色反応生成物、蛍光又は化学発光が生じることになる。酵素反応の測定に関しては、上記で規定した基準を同様に適用する。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えばGFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン及びAlexa色素(例えばAlexa 568)が挙げられる。別の蛍光標識は、例えばMolecular Probes(Oregon)から入手可能である。蛍光標識として量子ドットの使用も想定される。典型的な放射性標識としては、35S、125I、32P、33P等が挙げられる。放射性標識は、感光膜又はホスファーイメージャー(phosphor imager)等の適切な周知の方法によって検出することができる。本発明において好適な測定法には、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気的に生成された化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫法、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増感ランタニド蛍光イムノアッセイ(dissociation-enhanced lanthanide fluoro immuno assay (DELFIA))、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、ネフェロメトリ、ラテックスにより増感される比濁法若しくはネフェロメトリ、又は固相免疫法も含まれる。当技術分野で公知の別の方法(例えばゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE))、ウェスタンブロッティング及び質量分析法)は、単独で、又は上記の標識化若しくは他の検出法と組み合わせて用いることができる。
ペプチド又はポリペプチドの量は、好ましくは、次の通り測定することができる:(a)上記で特定したペプチド又はポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、ペプチド又はポリペプチドを含むサンプルに接触させ、(b)支持体に結合したペプチド又はポリペプチドの量を測定する。好ましくは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体及びアプタマーからなる群より選択されるリガンドは、好ましくは固定化形態で固体支持体上に存在する。固体支持体を製造するための材料は、当技術分野で周知であり、特に、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス並びに/又はシリコンのチップ及び表面、ニトロセルロース片、膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレイのウェル及び壁、プラスチックチューブ等が含まれる。リガンド又は薬剤は、多くの様々な担体と結合することができる。周知の担体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然の及び修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及びマグネタイトが含まれる。担体の性質は、本発明の目的に応じて、可溶性又は不溶性のいずれであってもよい。前記リガンドを定着/固定化するための好適な方法は周知であり、例えば限定されるものではないが、イオン性、疎水性、共有結合性の相互作用等が含まれる。本発明においては、アレイとして「懸濁アレイ」を使用することも検討される(Nolan 2002, Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのような懸濁アレイでは、担体、例えばマイクロビーズ又はミクロスフェアが懸濁液中に存在する。そのアレイは、場合により標識された、様々なリガンドを担持する異なるマイクロビーズ又はミクロスフェアから構成される。そのようなアレイの製造方法は、例えば固相化学及び光解離性保護基に基づくものが、一般的に知られている(米国特許第5,744,305号)。
本明細書で用いられる用語「量」は、ポリペプチド又はペプチドの絶対量、該ポリペプチド又はペプチドの相対量若しくは濃度、並びにこれに関連する又はこれから導かれるあらゆる値又はパラメータを包含する。そのような値又はパラメータには、直接的な測定によって前記ペプチドから得られる全ての特有の物理的又は化学的な特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルにおける強度値が含まれる。さらに、本明細書の各所で特定される間接的な測定により得られる全ての値又はパラメータ、例えば、ペプチドに対する応答として生物学的読み取り系で測定される応答レベル又は特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。上記の量又はパラメータと相関する値は、全ての標準的な数学的手法によっても得られることは理解されるべきである。
本明細書で使用する用語「比較する」は、分析対象のサンプルに含まれるペプチド又はポリペプチドの量を本明細書中で特定した適切な参照源の量と比較することを包含する。本明細書で使用する比較とは、対応するパラメータ又は値の比較を言うものと理解される。例えば、絶対量は絶対参照量と比較され、濃度は参照濃度と比較され、又はテストサンプルから得られた強度シグナルは、参照サンプルの同タイプの強度シグナルと比較される。本発明の方法のステップ(b)でいう比較は、手動で又はコンピュータを使って実行することができる。コンピュータを使った比較については、測定量の値は、コンピュータプログラムによってデータベース中に格納された適当な参照に対応する値と比較することができる。コンピュータプログラムは、さらに比較結果を評価することができる。すなわち、適切なアウトプットフォーマットで所望の評価を自動的に提供することができる。ステップ(a)で測定された量と参照量との比較に基づいて、本明細書で記載する合併症の1以上を患う(被る)被験体のリスクを予測することが可能である。したがって、前記参照量は、比較される量の差異又は類似性のいずれかにより、本明細書において記載する合併症の1以上を被るリスクがある1型糖尿病患者及びそのリスクがない1型糖尿病患者の同定が可能であるように選択される。
従って、本明細書で用いる「参照量」という用語は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡の1以上を被る(患う)リスクがあるかを予測することができる量を指す。従って、参照は、(i)前記合併症の1以上を被ることがわかっている1型糖尿病患者、又は(ii)前記合併症を被らないことがわかっている1型糖尿病患者、のいずれかから導くことができる。さらに、参照量は閾値量を規定することができ、それによってその閾値よりも多い量は前記合併症の1以上を発症するリスクのある被験体についての指標となり、閾値量よりも低い量は前記合併症を発症するリスクのない被験体の指標とすることができる。個々の被験体に適用できる参照量は、種々の生理学的パラメーター、例えば年齢、性別、又は部分集団、並びに本明細書で記載するポリペプチド又はペプチドの測定に用いられる手段によって変わりうる。好適な参照量は、本発明の方法によって、分析対象の参照サンプルから、試験サンプルと共に、すなわち同時に又は連続的に、決定することができる。閾値となる好ましい参照量は、正常上限(ULN)、すなわち見かけ上健康な被験体の集団において見出される生理学的量の上限、から導き出すことができる。所与の被験体集団のULNは、様々な周知の技術によって決定することができる。好適な技術は、本発明の方法で測定されるペプチド量又はポリペプチド量について集団の中央値を決定することである。
本発明に関して記載する心筋トロポニン(特にトロポニンT)の閾値量を規定する、全死因死亡に関する参照量は、0.008 ng/ml、好ましくは0.011 ng/ml、より好ましくは0.015 ng/ml、特に0.020 ng/mlである。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン(特にトロポニンT)は、より好ましくは、被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載するナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の閾値量を規定する、全死因死亡に関する参照量は、150 pg/ml、200 pg/ml、250 pg/ml、350 pg/ml、より好ましくは500 pg/mlである。
参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)は、より好ましくは、被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載する心筋トロポニン(特にトロポニンT)の閾値量を規定する、末期腎不全についての参照量は、0.008 ng/ml、好ましくは0.011 ng/ml、より好ましくは0.015 ng/ml、特に0.020 ng/ml(すなわち8 pg/ml、11 pg/ml、15 pg/ml、20 pg/ml)である。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン(特にトロポニンT)は、より好ましくは、被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載するナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の閾値量を規定する、末期腎不全に関する参照量は、150 pg/ml、200 pg/ml、250 pg/ml、350 pg/ml、より好ましくは500 pg/mlである。
参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載する心筋トロポニン(特にトロポニンT)の閾値量を規定する、致死性及び非致死性心血管系合併症、特に致死性及び非致死性心血管系事象に関する参照量は、0.008 ng/ml、好ましくは0.011 ng/ml、より好ましくは0.015 ng/ml、特に0.020 ng/mlである。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン(特にトロポニンT)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載するナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の閾値量を規定する、致死性及び非致死性心血管系合併症、特に致死性及び非致死性心血管系事象に関する参照量は、150 pg/ml、200 pg/ml、250 pg/ml、350 pg/ml、より好ましくは500 pg/mlである。
参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載する心筋トロポニン(特にトロポニンT)の閾値量を規定する、非致死性心血管系合併症、特に非致死性心血管系事象に関する参照量は、0.008 ng/ml、好ましくは0.011 ng/ml、より好ましくは 0.015 ng/ml、特に0.020 ng/mlである。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン(特にトロポニンT)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載するナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の閾値量を規定する、非致死性心血管系合併症、特に非致死性心血管系事象に関する参照量は、150 pg/ml、200 pg/ml、250 pg/ml、350 pg/ml、より好ましくは500 pg/mlである。
参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載する心筋トロポニン(特にトロポニンT)の閾値量を規定する、致死性心血管系合併症、特に致死性心血管系事象に関する参照量は、0.008 ng/ml、好ましくは0.011 ng/ml、より好ましくは0.015 ng/ml、特に0.020 ng/mlである。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン(特にトロポニンT)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
本発明に関して記載するナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)の閾値量を規定する、致死性心血管系合併症、特に致死性心血管系事象に関する参照量は、150 pg/ml、200 pg/ml、250 pg/ml、350 pg/ml、より好ましくは500 pg/mlである。
参照量よりも多い量のナトリウム利尿ペプチド(特にNT-proBNP)は、より好ましくは被験体が前記合併症の1以上を発症するリスクがあることを示す。
有利には、本発明の基礎となる研究において、心筋トロポニン及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドは、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被るリスクを予測するための信頼性ある予後診断バイオマーカーであるということが見出された。本発明により、リスク層化を簡便に実施し、患者の医学的処置、身体的処置又は食事療法、例えば患者の生活習慣の適応などを開始することができる。患者にリスクがない又は低いことがわかった場合には、時間及び/又は大きなコストを、あるいは場合によっては危険な治療を、回避することができる。従って、本発明の方法は、資源を節約するという点で医療制度にとって有益である。上記及び下記において本明細書に記載する本発明の方法においては、心筋トロポニン及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量又はそれを測定するための手段を、本発明の方法を受容可能である被験体を同定するための診断用組成物の製造に用いることができることが理解されるだろう。
本発明に関して「心血管系合併症」という用語は、急性心血管系事象及び慢性心血管系疾患を指す。本発明において、急性事象は、慢性疾患よりも高頻度で観察される。
急性心血管系事象は、好ましくは卒中又は急性冠症候群(ACS)である。ACS患者は不安定狭心症(UAP)又は心筋梗塞(MI)を示すこともある。MIはST上昇型MI(STEMI)、又は非ST上昇型MI(NSTEMI)でありうる。ACSの発症に引き続き、左心室機能不全(LVD)及び心不全の症候が起こりうる。急性心血管系事象が致死性又は非致死性であることは理解されよう。本発明の方法によって、致死性心血管系事象並びに非致死性心血管系事象の予測が可能となる。結果として、合わせた、すなわち致死性及び非致死性心血管系事象の予測も可能となる。
本明細書で使用する心血管系の慢性障害は、冠動脈性心疾患、安定狭心症(SAP)、又は心不全、好ましくは慢性心不全を含む。本明細書で用いる「心不全(HF)」という用語は、心臓の収縮及び/又は拡張機能が損われていることを意味する。好ましくは、この用語は、種々の基礎疾患又は障害によって引き起こされることがある鬱血性心不全に関する。好ましくは、本明細書に記載する心不全はまた慢性心不全である。心不全はNew York Heart Association(NYHA)に従って機能分類系に分類することができる。NYHAクラスIの患者は心血管系疾患の明確な症状はないが、既に機能障害の客観的証拠がある。身体活動に制限はなく、通常の身体活動を行っても過度の疲労、動悸、又は呼吸困難(息切れ)を引き起こさない。NYHAクラスIIの患者は身体活動にわずかに制限がある。これらの患者は安静時は快適であるが、通常の身体活動で疲労、動悸、又は呼吸困難を生じる。NYHAクラスIIIの患者は身体動作に著しい制限が認められる。これらの患者は安静時は快適であるが、通常以下の活動で疲労、動悸、又は呼吸困難が生ずる。NYHAクラスIVの患者は不快感なしにいずれの身体活動も行うことができない。これらの患者は安静時でも心臓の機能不全の症状を示す。
上記方法により同定すべき被験体は、好ましくは心臓の収縮及び/又は拡張機能の障害の客観的証拠、例えば心エコー検査、血管造影、シンチグラフィー、又は磁気共鳴映像法により示される客観的証拠を有するものと理解される。この機能障害は、上述したように心不全の症候を伴うものである(NYHAクラスII〜IV)が、一部の患者は有意な症候がないことがある(NYHA I)。
末期腎不全は、一般に、進行性(progredient)の腎機能低下(クレアチニンレベル及び他の尿中排出物質の上昇)と共に糖尿病性腎症として観察されうる。最終的には、腎臓がわずか少量の尿を排出する又は全く尿を排出しない末期腎不全となる。尿中排出物質の滞留によって生じるため、患者は透析を受ける必要があり、これは腎臓移植により克服することができる。しかし、腎臓移植は、新しい腎臓もまた腎症による攻撃を受ける可能性があり、さらには免疫抑制療法によって患者の糖尿病への順応が妨げられるという欠点を有する。
本明細書で用いる用語「死亡」は、あらゆる種の死亡、特に前記心血管系合併症を原因とする、例えば心筋(再)梗塞、心不全の結果として起こる、又は末期腎不全により起こる死亡に関する。
さらにまた本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)リスクを評価する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン(好ましくはトロポニンT)の量を測定するステップ、及び
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド(好ましくはNT-proBNP)の量を測定するステップ、及び
(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を参照量と比較し、それにより前記リスクを評価するステップ
を含む方法に関する。
本明細書で用いる用語「リスクを評価する」とは、被験体が将来的に心血管系合併症、腎不全、及び/又は死亡となるかどうかの確率を評価することを意味する。当業者であれば理解できるように、本発明における評価は、通常、同定対象の被験体の全て(すなわち100%)について正しいことを目的としていない。しかし、この用語は、被験体の統計的に有意な一部(例えばコホート研究における1コホート)が同定されることを要する。一部が統計的に有意かどうかについては、様々な周知の統計的評価ツール(例えば、信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン・ホイットニー検定等)を用いて、当業者は難なく決定することができる。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に記載されている。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.0001である。より好ましくは、母集団の被験体の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%を本発明の方法により正確に同定することができる。
閾値の値は、上で引用したものと同じである。
本明細書において使用する「合併症/死亡を被る(患う)リスクを評価する」という表現は、本発明の方法により分析対象となる被験体(すなわち1型糖尿病患者)を、前記合併症又は死亡のリスクが正常(すなわち上昇していない)集団の被験体群、あるいはそのリスクが有意に上昇している被験体群に割り当てることを意味する。本発明に関して記載するリスクの上昇とは、所定の予測窓内で、被験体集団における合併症/死亡の平均リスクに関して、被験体の合併症/死亡のリスクが有意に上昇することを意味する。
原則として、心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量の測定は、1型糖尿病患者が合併症/死亡のリスクを有するかどうかを予測するための診断用組成物の製造に用いることができることが見い出された。
本発明はさらに、心血管系合併症、末期腎不全及び/又は死亡を被りやすい(患いやすい)1型糖尿病患者における治療の開始について決定する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニンの量を測定するステップ、
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチドの量を測定するステップ、
(c)ステップ(a)及び必要に応じてステップ(b)で測定したペプチドの量を参照量と比較するステップ、
(d)前記治療について決定するステップ
を含む方法に関する。
好ましくは、本発明の方法により被験体に選択される治療は、薬物療法である。より好ましくは、医薬は、ACE阻害薬、好ましくはカプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル又はトランドラプリル;AT-1受容体遮断薬、好ましくはカンデサルタン、ロサルタン又はバルサルタン;β受容体遮断薬、好ましくはビソプロロール、カルベジロール、メトプロロール又はスクシネート;あるいはアルドステロン拮抗薬、好ましくはスピロラクトン又はエプレレノンである。
本発明において被験体に選択すべき別の好ましい治療は、「心臓介入療法」である。本明細書において記載する心臓介入療法は、被験体の身体的介入に基づく治療であり、例えば外科手術及び/又は電気生理学的介入による治療である。「心臓介入療法」という用語は、好ましくは、少なくとも1つの冠動脈における血流を増大及び/又は回復させ、それゆえ、心筋、好ましくは冬眠している心筋への酸素の供給を改善及び/又は回復することを意図した侵襲的治療レジメンを包含する。従って、好ましくは、この用語は、心筋、好ましくは冬眠の影響を受けている心筋領域の血行再建を可能にする侵襲的治療レジメンに関する。少なくとも1つの冠動脈、好ましくは少なくとも1つの狭窄冠動脈、より好ましくは心筋領域に供給している少なくとも1つの狭窄冠動脈の血液供給を回復することが好ましい。好ましくは、この心臓介入療法は経皮冠動脈インターベンション(介入術)である。より好ましくは、心臓介入療法は、経皮冠動脈形成術、経皮経管冠動脈バルーン形成術、レーザー血管形成術、冠動脈ステント移植術、バイパス移植術、及び血流回復を目的とした腔内術からなる群より選択される。別の実施形態において、心臓介入療法は、心臓再同期療法(CRT)であるか、又は除細動器の植え込み(ICD)に基づくものである。
有利には、I型糖尿病を患う被験体のサンプルにおける心筋トロポニン量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチド量を測定することによって、被験体が上述した治療を受容可能であるかどうか決定することができる。具体的には、参照量より多い量の心筋トロポニン及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドを有する被験体は、前記治療により処置するのに好適であるが、少量の心筋トロポニン及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドを有する被験体はその治療から利益を受けないことが想定される。
本発明はさらに、本発明の方法を実施するために適合されたデバイスであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較し、それにより上で特定したような合併症の素因を有する1型糖尿病患者を同定するための手段とを備えたデバイスを包含する。
本明細書で用いる用語「デバイス」は、予測を可能とするために、互いが動作可能となるよう連結された少なくとも上記の手段を含む手段からなるシステムに関する。心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を測定するための好ましい手段、及び比較を行うための好ましい手段は、本発明の方法に関連して上記に開示されている。動作するように手段を連結する方法は、デバイスに含まれる手段の種類に応じて変わる。例えば、ペプチドの量を自動的に測定するための手段を適用する場合には、その自動的に作動する手段により得られるデータを、所望の結果を得るために、例えばコンピュータープログラムによって処理することができる。好ましくは、そのような場合、その手段は単一のデバイスによって構成される。従って該デバイスは、アプライされるサンプル中のペプチド又はポリペプチドの量の測定について解析するユニット、及び評価のためにその得られたデータを処理するコンピュータユニットを備えることができる。あるいは、テストストリップのような手段をペプチド又はポリペプチドの量を測定するために使用する場合には、比較のための手段は、対照ストリップ、又は測定量を参照量に割り当てる表を含んでもよい。テストストリップは、好ましくは、本明細書で説明するペプチド又はポリペプチドと特異的に結合するリガンドと組み合わせられる。ストリップ又はデバイスは、好ましくは該ペプチド又はポリペプチドと該リガンドとの結合を検出するための手段を含む。検出のための好ましい手段は、上記の本発明の方法に関する実施形態と関連して開示されている。そのような場合、その手段は動作可能なように連結され、システムの使用者はその量の測定結果と説明書に定められる指示及び解釈によりその診断値又は予測値を結びつける。その手段は、かかる実施形態で個々のデバイスとして存在してもよく、好ましくはキットとして一緒にパッケージングされる。当業者は、さらなる苦労をすることなくその手段を連結する方法を理解することができる。好ましいデバイスは、専門の臨床医の特別な知識がなくても適用することができるものであり、例えば、単にサンプルを付加すればよいテストストリップ又は電子デバイスである。結果は、臨床医による解釈を必要とする未加工データのアウトプットとして得ることができる。しかし好ましくは、デバイスのアウトプットは、その解釈にあたり臨床医を必要としないように処理された、即ち評価された未加工データである。さらに好ましいデバイスは、分析ユニット/デバイス(例えば、バイオセンサー、アレイ、ペプチドを特異的に認識するリガンドと結合した固体支持体、表面プラズモン共鳴装置、NMR分析装置、質量分析装置等)、又は本発明の方法における上記の評価ユニット/デバイスを備える。
従って、本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)リスクを予測するためのデバイスであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたデバイスに関する。
さらに、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)リスクを評価するためのデバイスであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたデバイスを想定している。
本発明はまた、心血管系合併症、末期腎不全及び/又は死亡を被りやすい(患いやすい)1型糖尿病患者における医薬の投与について決定するためのデバイスであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたデバイスにも関する。
さらに本発明は、本発明の方法を実施するために適したキットであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較し、それにより上で特定したような合併症の素因を有する1型糖尿病患者を同定するための手段とを備えたキットを包含する。
本明細書で用いる用語「キット」は、好ましくは個別に又は単一の容器内に提供される上記手段の集合を意味する。この容器は、好ましくは本発明の方法を行うための説明書を含んでいる。
本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)リスクを予測するためのキットであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたキットに関する。
また本発明は、1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)リスクを評価するためのキットであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたキットに関する。
最後に本発明は、心血管系合併症、末期腎不全及び/又は死亡を被りやすい(患いやすい)1型糖尿病患者における医薬の投与について決定するためのキットであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ぺプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたキットに関する。
本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体の開示内容及び本明細書で特別に言及された開示内容について、参照により本明細書に組み入れられる。
トロポニンT及びNT-proBNPの量は、1型糖尿病を患う891人の患者の血清サンプル中において、市販のElecsysイムノアッセイ(Roche Diagnostics, Germany)を用いて測定した。これらのマーカーが何らかの死因の死亡及び非致死性心血管系事象と相関するか否かを12年の追跡調査時間で分析した。891人の患者のうち178人の患者が追跡調査時間内に死亡した(78人の患者は心血管系疾患のために死亡した)。この結果は、トロポニンT及びNT-proBNPレベルの上昇を示す被験者が、急性心血管系事象を患うリスクが上昇していることを示した。
研究結果を以下の表にまとめる。
N=患者891人
四分位当たりの患者:n=223

トロポニンT(レベル、pg/ml)
25パーセンタイル:< 2
50パーセンタイル:5
75パーセンタイル:11
95パーセンタイル:36

トロポニンT 全死因死亡(合計n=178) 末期腎不全
1. 四分位 n=5 (約2%) 2
2. 四分位 n=25 (約11%) 4
3. 四分位 n=39 (約17%) 25
4. 四分位 n=109 (約49%) 58

トロポニン−心血管系合併症
全心血管系合併症 非致死性心血管系合併症 致死性心血管系合併症
1. 四分位 n=18 (9%) n=15 (11%) n=3 (4%)
2. 四分位 n=35 (17%) n=26 (20%) n=9 (12%)
3. 四分位 n=53 (25%) n=34 (26%) n=19 (24%)
4. 四分位 n=105 (50%) n=58 (44%) n=47 (60%)
NT-proBNP(四分位の中央値、pg/ml)
25パーセンタイル:< 29
50パーセンタイル:58
75パーセンタイル:150
95パーセンタイル:788

NT-proBNP 全死因死亡(合計n=178) 末期腎不全
1. 四分位 n=16 (約7%) 3
2. 四分位 n=27 (約12%) 6
3. 四分位 n=33 (約15%) 27
4. 四分位 n=102 (約46%) 53

NT-proBNP−心血管系合併症
全心血管系合併症 非致死性心血管系合併症 致死性心血管系合併症
1. 四分位 n=33 (16%) n=4 (3%) n=10 (13%)
2. 四分位 n=56 (27%) n=19 (14%) n=13 (17%)
3. 四分位 n=56 (27%) n=34 (26%) n=16 (21%)
4. 四分位 n=66 (31%) n=76 (57%) n=39 (50%)

Claims (13)

1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被る(患う)かを予測する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量を測定するステップ、及び
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPの量を測定するステップ、及び
(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を参照量と比較し、予測を確立するステップ
を含む方法。
心血管系合併症が慢性心血管系疾患又は急性心血管系事象である、請求項1に記載の方法。
心血管系合併症が、卒中、急性冠症候群(ACS)、不安定狭心症(UAP)、心筋梗塞(MI)、ST上昇型MI(STEMI)、非ST上昇型MI(NSTEMI)、左心室機能不全(LVD)及び心不全である、請求項1又は2に記載の方法。
参照量よりも多い量の心筋トロポニン及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドは、前記合併症の1以上を被る疑いがある被験体を示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
ナトリウム利尿ペプチドがNT-proBNPである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
NT-proBNPの参照量が、心血管系合併症及び全死因死亡に関して150 pg/mlであり、腎不全に関して200 pg/mlである、請求項5に記載の方法。
心血管系合併症が、致死性又は非致死性心血管系合併症、特に心血管系事象である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
心筋トロポニンがトロポニンTである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
トロポニンTの参照量が0.008 ng/mlである、請求項8に記載の方法。
1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被るリスクを評価する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量を測定するステップ、及び
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPの量を測定するステップ、及び
(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を参照量と比較し、それにより前記リスクを評価するステップ
を含む方法。
心血管系合併症、末期腎不全及び/又は死亡を被りやすい1型糖尿病患者における治療の開始について決定する方法であって、
(a)1型糖尿病患者のサンプルにおける心筋トロポニン、好ましくはトロポニンTの量を測定するステップ、及び
(b)必要に応じて、1型糖尿病患者のサンプルにおけるナトリウム利尿ペプチド、好ましくはNT-proBNPの量を測定するステップ、及び
(c)ステップ(a)及び(b)で測定した心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を参照量と比較するステップ、
(d)前記治療について決定するステップ
を含む方法。
1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被るリスクを予測するためのデバイスであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを備えたデバイス。
1型糖尿病患者が心血管系合併症、末期腎不全及び死亡から選択される1以上の合併症を被るリスクを予測するためのキットであって、被験体のサンプルにおける心筋トロポニンの量及び必要に応じてナトリウム利尿ペプチドの量を測定するための手段と、前記量を参照量と比較するための手段とを含むキット。
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