JP2011520993A - 間質圧力の調節並びに腫瘍崩壊性ウイルスの送達及び分布 - Google Patents

間質圧力の調節並びに腫瘍崩壊性ウイルスの送達及び分布 Download PDF

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Abstract

対象体の増殖性障害を治療する方法であって、対象体の間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させること、及び腫瘍崩壊性ウイルスを対象体に投与することを含む方法が本明細書に提供される。そのような方法は、腫瘍崩壊性ウイルスの送達及び分布を向上させる。

Description

本発明は、間質圧力の調節並びに腫瘍崩壊性ウイルスの送達及び分布に関する。
腫瘍崩壊性ウイルス療法は、ウイルスが大型分子であり、効果的な送達の支援は溶媒牽引に依存するものの、これらの作用剤が、腫瘍標的中で自身を複製し増幅することができ、標的細胞を溶解し、子孫を放出し、隣接する細胞を再び標的とするという意味で特有である。したがって、腫瘍崩壊性ウイルスは、腫瘤全体にわたる送達のための対流に対する完全な依存性を軽減する。
Martin et al., Immunology 64(2):301-5 (1988)
対象体の増殖性障害を治療する方法であって、対象体の間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させること、及び対象体に腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が本明細書に提供される。そのような方法は、腫瘍崩壊性ウイルスの送達及び分布を向上させる。
1つ又は複数の態様の詳細は、添付の図面及び下記の説明に示されている。他の特徴、目的、及び利点は、下記の説明、図面、及び特許請求の範囲から明白になろう。
B16.F10細胞に対するレオウイルス及びラパマイシンのin vitroでの効果を示すグラフである。細胞(1ウエル当たり5×10個)を96ウエルプレートに播種し、終夜接着させた。培地を、以前に決定したED50の2、1、0.5、及び0.25倍に対応する2倍希釈のラパマイシン及び/又はレオウイルスで置換し、新鮮な培地で希釈し、インキュベーションを48時間継続させた。その後、培地を取り除き、未処理細胞と比較した細胞生存のパーセントをMTSアッセイを使用して決定した。 B16.F10細胞に対するレオウイルス及びラパマイシンのin vitroでの効果を示すグラフである。細胞(1ウエル当たり5×10個)を96ウエルプレートに播種し、終夜接着させた。培地を、以前に決定したED50の2、1、0.5、及び0.25倍に対応する2倍希釈のラパマイシン及び/又はレオウイルスで置換し、新鮮な培地で希釈し、インキュベーションを48時間継続させた。その後、培地を取り除き、未処理細胞と比較した細胞生存のパーセントをMTSアッセイを使用して決定した。 B16.F10細胞に対するレオウイルス及びラパマイシンのin vitroでの効果を示すグラフである。細胞(1ウエル当たり5×10個)を96ウエルプレートに播種し、終夜接着させた。培地を、以前に決定したED50の2、1、0.5、及び0.25倍に対応する2倍希釈のラパマイシン及び/又はレオウイルスで置換し、新鮮な培地で希釈し、インキュベーションを48時間継続させた。その後、培地を取り除き、未処理細胞と比較した細胞生存のパーセントをMTSアッセイを使用して決定した。 レオウイルス及びラパマイシンがin vivoで相乗効果を示すことを示すグラフである。B16.F10腫瘍をC57Bl/6マウスに皮下播種し、1及び4日目に腫瘍内レオウイルスT3D 5×10TCID50及び1、4、8、12日目に腹腔内ラパマイシン 5mg/kgの単独又は組み合わせのいずれかで、又は対照治療(腫瘍内PBS、腹腔内PBS)で治療した。図2Aは、レオウイルス及びラパマイシンで治療したC57Bl/gマウスのB16.F10腫瘍の平均腫瘍直径を示すグラフである。図2Bは、レオウイルス及びラパマイシンで治療したB16.F10腫瘍を有するC57Bl/gマウスの生存データを示すグラフである。 レオウイルス及びラパマイシンがin vivoで相乗効果を示すことを示すグラフである。B16.F10腫瘍をC57Bl/6マウスに皮下播種し、1及び4日目に腫瘍内レオウイルスT3D 5×10TCID50及び1、4、8、12日目に腹腔内ラパマイシン 5mg/kgの単独又は組み合わせのいずれかで、又は対照治療(腫瘍内PBS、腹腔内PBS)で治療した。図2Aは、レオウイルス及びラパマイシンで治療したC57Bl/gマウスのB16.F10腫瘍の平均腫瘍直径を示すグラフである。図2Bは、レオウイルス及びラパマイシンで治療したB16.F10腫瘍を有するC57Bl/gマウスの生存データを示すグラフである。 Treg欠乏+IL−2が、皮下腫瘍へのレオウイルスの全身性送達を増強することを示すグラフである。C57Bl/6マウスに皮下B16腫瘍を播種した。9日後、マウスは、抗CD25抗体PC−61又は対照IgGの腹腔内注射を受容した。24時間後、75,000単位/注射の用量で1日3回3日間、PBS又は組換えヒトIL−2をマウスに腹腔内注射した。4日目に、IL−2を単回注射でさらに投与した。この最後のIL−2/PBS注射の2時間後、マウスは、レオウイルス(3.75×10TCID50)を静脈注射で受容し、その24時間後に第2の注射で同様にウイルスを受容した。72時間後、腫瘍を外植及び分離し、示されているように治療したマウスに由来する腫瘍の凍結/解凍溶解産物から回収したウイルス力価を決定した(1群当たり3匹のマウス)。 IL−2及びより低用量レオウイルスによるCPA媒介性Treg修飾が、定着腫瘍に対して治療的であることを示すグラフである。図4Aの場合、皮下B16腫瘍をC57Bl/6マウスに播種した。9日後、マウスは、CPA(100mg/kg)又は抗CD25抗体PC−61又はPBSのいずれかを腹腔内注射で受容した。24時間後、75,000単位/注射の用量で1日3回3日間、PBS又は組換えヒトIL−2をマウスに腹腔内注射した。4日目に、IL−2を単回注射でさらに投与した。この最後のIL−2/PBS注射の2時間後、マウスは、最大達成可能用量より低い1×10TCID50のレオウイルスを静脈注射で受容し、その24時間後に第2の注射で同様にウイルスを受容した。腫瘍播種後の経時的なマウスの生存(腫瘍の任意の直径が1.0cm未満)が示されている(1群当たりn=7)。レオウイルス単独(生存中央値、21日)、CPA/IL−2(23日)、PC−61/レオウイルス(22日)、又はCPA/レオウイルス(21日)で治療した群の生存期間中央値には、互いに有意差はなく、これらの治療はいずれも、いかなる長期生存マウスをもたらさなかった。IL−2/レオウイルス(25日)、PC−61/IL−2/レオウイルス(24日)、又はCPA/IL−2/レオウイルス(25日)で治療した群の生存期間中央値は、これら他の群より有意に長期間だった(P=0.04)。PC−61/IL−2/レオウイルス又はCPA/IL−2/レオウイルスによる治療は、長期生存に結びつき、これらは両方とも有意により治療的だった。**、P<0.01。図4Bは、図4Aに記載されているように、マウスにウイルスを最後に注射した7〜10日後のマウスから回収した血清中の、レオウイルスに対する中和抗体を示すグラフである。 IL−2及びより低用量レオウイルスによるCPA媒介性Treg修飾が、定着腫瘍に対して治療的であることを示すグラフである。図4Aの場合、皮下B16腫瘍をC57Bl/6マウスに播種した。9日後、マウスは、CPA(100mg/kg)又は抗CD25抗体PC−61又はPBSのいずれかを腹腔内注射で受容した。24時間後、75,000単位/注射の用量で1日3回3日間、PBS又は組換えヒトIL−2をマウスに腹腔内注射した。4日目に、IL−2を単回注射でさらに投与した。この最後のIL−2/PBS注射の2時間後、マウスは、最大達成可能用量より低い1×10TCID50のレオウイルスを静脈注射で受容し、その24時間後に第2の注射で同様にウイルスを受容した。腫瘍播種後の経時的なマウスの生存(腫瘍の任意の直径が1.0cm未満)が示されている(1群当たりn=7)。レオウイルス単独(生存中央値、21日)、CPA/IL−2(23日)、PC−61/レオウイルス(22日)、又はCPA/レオウイルス(21日)で治療した群の生存期間中央値には、互いに有意差はなく、これらの治療はいずれも、いかなる長期生存マウスをもたらさなかった。IL−2/レオウイルス(25日)、PC−61/IL−2/レオウイルス(24日)、又はCPA/IL−2/レオウイルス(25日)で治療した群の生存期間中央値は、これら他の群より有意に長期間だった(P=0.04)。PC−61/IL−2/レオウイルス又はCPA/IL−2/レオウイルスによる治療は、長期生存に結びつき、これらは両方とも有意により治療的だった。**、P<0.01。図4Bは、図4Aに記載されているように、マウスにウイルスを最後に注射した7〜10日後のマウスから回収した血清中の、レオウイルスに対する中和抗体を示すグラフである。
新生物治療用の大型生物学的作用剤は、腫瘍内の間質圧力及び/又は血管透過性の低下により制限を受ける場合がある。さらに、組織における低分子(つまり、MWが4000Da)の受動輸送の最も重要な様式は、拡散であると考えられるが、大型タンパク質(MW>40,000Da)の運動に関する主要な機序は、典型的には対流又は溶媒牽引である。
腫瘤内の間質圧力は、動静脈圧力差並びに血流に対する幾何学的抵抗及び粘性抵抗に依存する微小血管圧力(MVP)増加の結果(つまり血管径を減少させる固形腫瘍の増殖により血管に引き起こされる物理的ストレスの関数である血管径減少の結果)であり得る。そのため、腫瘍内環境は、間質圧力の増加及び/又は血管透過性の減少に帰着する環境であり、大型分子の送達を阻害する場合がある。
腫瘍の静水圧を減少させる作用剤は、腫瘤外側の静水圧が腫瘍自体の静水圧よりも高い可能性のある状況を作り出す。この状況は、腫瘍崩壊性ウイルスなどの大型分子の送達を支援する。したがって、対象体の増殖性障害を治療する方法であって、治療を必要とする対象体の間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させること、並びに治療を必要とする対象体に腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が本明細書で提供される。腫瘍崩壊性ウイルスは、対象体の間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させると同時に、その前に、又はその後で投与してもよい。
対象体の間質圧力は、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤により低下させてもよい。このように、間質圧力を減少させる作用剤は、同様に血管透過性を増加させてもよい。或いは、間質圧力を減少させる作用剤は、血管透過性を増加させる作用剤と組み合わせて使用することができる。
提供されている方法で使用するに好適な作用剤にはタキサンが含まれる。提供されている方法で使用するための好適なタキサンには、これらに限定されないが、タキソール(パクリタキセル)、ラロタキセル、及びタキソテール(ドセタキセル)が含まれる。他の作用剤には、これらに限定されないが、バソプレシン;TNF;インターロイキン−1(IL−1);インターフェロン−K(IFN−K);サブスタンスP;N−アルファ−トシル−L−リシル−クロロメチル−ケトン(TLCK)、トシルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)、及びロイペプチンなどのプロティナーゼ阻害剤;血管内皮増殖因子(VEGF);ニトログリセリン;セロトニン;ブラジキニンなどの血漿キニン;血小板活性化因子(PAF);プロスタグランジンE(PGE);ヒスタミン;イマチニブ;閉鎖帯毒素(ZOT、zona occludens toxin);インターロイキン−2;L−N−モノメチルアルギニン(L−NMMA)及びL−N−ニトロ−アルギニンメチルエステル(L−NAME)などの一酸化窒素阻害剤;及びゲフィチニブなどのヒト成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤が含まれる。Martin et al., Immunology 64(2):301-5 (1988);Zhou et al., Radiat. Res. 168(3):299-307 (2007);Watanabe et al., Inflammation Research 17(5-6):472-7 9 (1986);米国特許出願公開第2005/0101559号明細書;Moasser et al., J. Magn. Reson. Imaging 26(6):1618-25 (2007);及びVlahovic et al., Br. J. Cancer 97(6):735-40 (2007)を参照されたい。これらは、少なくともそこに記載されている作用剤及び作用剤の作製法及び使用法に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
対象体の間質圧力は、細胞外カルシウムイオン濃度を低下させることにより減少させてもよい。低細胞外カルシウムイオン濃度状態を使用して、血管透過性を増強することもできる。例えば、低カルシウムイオン濃度液体を、腫瘍崩壊性ウイルスが投与される組織の脈管構造を通して灌流させることができる。好適な灌流液カルシウムイオン濃度は、約40又は50Tmol/Lから約500Tmol/Lまで、より好ましくは約50Tmol/Lから約200Tmol/Lまでに及んでいてもよい。約50Tmol/Lの灌流液カルシウム濃度が提供される。例えば、カルシウムイオン(例えば、Ca2+)濃度は、キレート剤、例えば、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、又は1,2−ビス−(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−4酢酸(BAPTA)などの好適な緩衝液の使用によっても低下させることができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0101559号明細書を参照されたい。したがって、対象体の増殖性障害を治療する方法であって、間質圧力を減少させる低カルシウムイオン濃度液体及び腫瘍崩壊性ウイルスを対象体に投与することを含む方法が本明細書で提供されている。本方法は、血管透過性を増加させる作用剤の投与をさらに含んでいてもよい。
腫瘍の間質圧力は、過剰間質液の除去により低下させることができてもよい。例えば過剰間質液の除去は、人工リンパ系(ALS)によることを含む任意の公知の方法により遂行される。そのような方法は、例えば、米国特許出願公開第2001/0047152号明細書;米国特許第5,484,399号明細書;米国特許出願公開第2005/0165342号明細書;及び米国特許出願公開第2003/0149407号明細書に記載されており、それらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。したがって、対象体の腫瘍を治療する方法であって、対象体において腫瘍の過剰間質液を低減させること、及び対象体に腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が本明細書で提供されている。腫瘍崩壊性ウイルス投与の前に、過剰間質液を除去してもよい。本方法は、血管透過性を増加させる作用剤の投与をさらに含んでいてもよい。
腫瘍崩壊性ウイルスを全身性に投与する場合、透過化光線力学療法(P−PDT、permeabilizing photodynamic therapeuty)を使用して、血管透過性の増強による腫瘍崩壊性ウイルスの送達を増強することができる。P−PDT誘導性脈管漏出により、治療薬が脈管構造を離れて、透過化PDTを事前に行わずに達成可能であるよりも高い濃度で、過剰増殖性組織(例えば、腫瘍床)へと分布させることが可能になる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0010218号明細書を参照されたい。したがって、対象体の増殖性障害を治療する方法であって、透過化光線力学療法用薬剤及び腫瘍崩壊性ウイルスを対象体に投与することを含む方法が本明細書で提供されている。腫瘍崩壊性ウイルス投与の前に、透過化光線力学療法用薬剤を投与してもよい。本方法は、間質圧力を減少させる作用剤を投与することをさらに含んでいてもよい。
提供されている方法は、免疫抑制剤を対象体に投与することをさらに含んでいてもよい。免疫抑制剤は、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤であってもよい。本明細書で使用される場合、炎症促進性サイトカインは、直接的又は間接的に免疫系を刺激するサイトカインを指す。炎症促進性サイトカインには、これらに限定されないが、IL−lI、IL−3、IL−6、IL−12p70、IL−17、MIP−lI、及びRANTESが含まれる。したがって、対象体の増殖性障害を治療する方法であって、治療を必要性とする対象体に、間質圧力を減少させる作用剤、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤、及び腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が、本明細書で提供されている。間質圧力を減少させる作用剤を最初に対象体に投与して、その後炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤及び腫瘍崩壊性ウイルスを投与してもよい。その後、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤の後で、腫瘍崩壊性ウイルスを投与してもよい。炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤は、炎症促進性サイトカインの発現又は活性を阻害してもよい。この作用剤は、T細胞応答を阻止するが、B細胞活性に対する効果はほとんどか全く示さない。したがって、この作用剤は、炎症促進性サイトカインを阻害するが、NARAの産生は阻害しないか又は最小限にしか阻害しない。この作用剤は白金化合物であってもよい。好適な白金化合物には、これらに限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、メタプラチン(metaplatin)、及びオキサリプラチンも含まれている。間質圧力を低下させる作用剤はパクリタキセルであってもよく、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤はカルボプラチンであってもよく、腫瘍崩壊性ウイルスはレオウイルスであってもよい。
炎症促進性サイトカインを阻害する他の作用剤には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:インフリキシマブ、CDP571、CDP870、及びアダリムマブなどのTNF−I抗体;オネルセプト(onercept)などの組換えヒト可溶性p55TNF受容体;エタネルセプトなどの可溶性TNF受容体及びFc断片融合タンパク質;セルトリズマブペゴールなどのTNFに対するヒト化抗体のペグ化Fab断片;バシリキシマブ又はダクリズマブなどのIL−2受容体の抗I鎖に対するキメラ抗体;ABT−874などのIL−12p40抗体;MRA又はトシリズマブなどのIL−6受容体抗体;フォントリズマブ(fontolizumab)などのIFN−K抗体;AMG108などのIL−1受容体へのIL−1結合を阻害する抗体;ジアリールスルホニルウレネ(diarylsulphonylurene)などのサイトカイン放出を阻害するカスパーゼ−1阻害剤;メポリズマブなどのIL−15抗体;ABX−IL−8などのIL−8抗体;IL−9モノクローナル抗体を含むIL−9抗体;494C10とも呼ばれる組換えヒトIL−21;ビオフルムセンシチブム(biophylum sensitivum)などのTNF−I、IL−1θ、IL−6、及び顆粒球単球コロニー刺激因子発現の阻害剤;シンバスタチンなどの炎症促進性サイトカイン発現を阻害するNF−PBシグナル伝達遮断剤;及び(−)−エピガロカテキン−3−ガラート(EGCG)などのIL−6発現及びNF−PB活性化の阻害剤。
炎症促進性サイトカインを阻害する他の作用剤には、ヒト組換えラクトフェリンが含まれ、それは炎症促進性サイトカイン及び前転移性サイトカイン(IL−6、IL−8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、及びTNF−αを含む)の細胞放出を阻害する。ラパマイシン及びサングリフェリンなどの樹状細胞由来IL−12及びIL−18の阻害剤も、提供されている方法での使用に好適である。ラパマイシンは、T細胞mTORキナーゼ活性化を阻害する免疫抑制剤であり、サングリフェリンAは、IL−2依存性T細胞増殖も阻害するサイクロフィリン結合免疫抑制剤である。IL−1β、IL−6、及びGM−CSなどの炎症促進性サイトカインの誘導を抑制する食物性ルチンも、提供されている方法での使用に好適である。
提供されている方法は、増殖性障害を有する対象体を選択するステップをさらに含んでいてもよい。したがって、対象体の増殖性障害を治療する方法であって、増殖性障害を有する対象体を選択すること、及び治療を必要性とする対象体に間質圧力を低下させる作用剤及び腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が提供されている。増殖性障害は、ras媒介性増殖障害であってもよい。したがって、提供されている方法は、ras媒介性増殖障害を有する対象体を選択するステップをさらに含んでいてもよい。増殖性障害は、インターフェロン耐性、p53欠乏、又はRb欠乏を特徴とする増殖性障害であってもよい。
対象体は、腫瘍崩壊性ウイルスの送達増強を必要としていてもよい。したがって、増殖性障害を有する対象体に対する腫瘍崩壊性ウイルス送達を増強する方法であって、間質圧力を減少させる作用剤を対象体に投与すること、及び対象体に腫瘍崩壊性ウイルスを投与することを含む方法が、本明細書で提供されている。そのような方法は、増殖性障害を有する対象体を選択するステップも含むことができる。
提供されている方法は、例えば、増殖性障害がras媒介性増殖性障害かどうかを決定することにより、増殖性障害の表現型を診断するステップを含んでいてもよい。別の例では、提供されている方法は、増殖性障害が、インターフェロン耐性腫瘍、p53欠乏腫瘍、又はRb欠乏腫瘍かどうかを決定するステップを含む。増殖性障害が特定の表現型を有するかどうかを決定するためのそのような方法は公知である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,306,902号明細書を参照されたい。
提供されている方法で使用される腫瘍崩壊性ウイルスには、これらに限定されないが、以下の科のメンバーである腫瘍崩壊性ウイルスが含まれる:ミオウイルス科、シホウイルス科、ポドプウイルス科(podpviridae)、テチウイルス科(teciviridae)、コルチコウイルス科、プラズマウイルス科、リポスリックスウイルス科、フーゼロウイルス科、ポキシイルス科(poxyiridae)、イリドウイルス科、フィコドナウイルス科、バキュロウイルス科、ヘルペスウイルス科、アドノウイルス科(adnoviridae)、パポバウイルス科、ポリドナウイルス科、イノウイルス科、ミクロウイルス科、ジェミニウイルス科、サーコウイルス科、パルボウイルス科、ヘパドナウイルス科、レトロウイルス科、シクトウイルス科(cyctoviridae)、レオウイルス科、ビルナウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブンヤウイルス科、アレナウイルス科、レビウイルス科、ピコルナウイルス科、セキウイルス科、コモウイルス科、ポティウイルス科、カリシウイルス科、アストロウイルス科、ノダウイルス科、テトラウイルス科、トムブスウイルス科、コロナウイルス科、グラビウイルス科(glaviviridae)、トガウイルス科、及びバルナウイルス科(barnaviridae)。免疫保護されたウイルス及びそれらの再集合又は組換えウイルス、並びに他の腫瘍崩壊性ウイルスも、提供されている方法により包含される。さらに、少なくとも2つの腫瘍崩壊性ウイルスの組み合わせも、提供されている方法を実施するために使用することができる。少数の腫瘍崩壊性ウイルスが下記で考察されており、当業者であれば、本明細書の開示及び当技術分野で利用可能な知識により、追加的な腫瘍崩壊性ウイルスを使用して同様に本方法を実施することができる。
通常、ウイルスが細胞に進入すると、二本鎖RNAキナーゼ(PKR)が活性化されてタンパク質合成が阻止され、ウイルスはこの細胞で複製することができない。幾つかのウイルスは、PKRを阻害してウイルスタンパク質合成並びにウイルス複製を促進させる系を生じさせている。例えば、アデノウイルスは、大量の小型RNA、VA1 RNAを産生する。VA1 RNAは、広範な二次構造を有しており、通常PKRを活性化する二本鎖RNA(dsRNA)と競合してPKRと結合する。PKRの活性化には最小限の長さのdsRNAが必要であるため、VA1 RNAはPKRを活性化しない。その代り、VA1 RNAは大量にあるためPKRを封鎖する。結果的に、タンパク質合成は阻止されず、アデノウイルスは細胞中で複製することができる。
Ras活性化新生物細胞は、rasがPKRを不活性化するため、PKRによるタンパク質合成阻害の影響を受けない。したがって、これらの細胞は、たとえウイルスがPKR阻害系を有していなくとも、ウイルス感染に感受性である。したがって、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はパラポックスウイルス属オルフウィルスのPKR阻害剤が、PKR機能をもはや阻止しないように突然変異している場合、その結果生じるウイルスは、PKRによるタンパク質合成阻害のため正常細胞には感染しないが、PKR活性を欠失しているras活性化新生物細胞では複製する。例として、レオウイルスは選択的に複製し、ras活性化新生物細胞を溶解する。
したがって、PKR機能を阻害しないように修飾又は突然変異したウイルスは、ras活性化新生物細胞で選択的に複製するが、正常細胞は抵抗性である。腫瘍崩壊性ウイルスは、VA1領域が突然変異したアデノウイルス、K3L及び/又はE3L領域が突然変異したワクシニアウイルス、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子が突然変異したワクシニアウイルス、ワクシニア増殖因子(VGF)遺伝子が突然変異したワクシニアウイルス、γ134.5遺伝子が突然変異したヘルペスウイルス、OV20.0L遺伝子が突然変異したパラポックスウイルス属オルフウイルス、NS−1遺伝子が突然変異したインフルエンザウイルスであってもよい。
ウイルス性チミジンキナーゼ(TK)遺伝子が突然変異したワクシニアウイルスは、DNA複製に必要なヌクレオチドを産生することができない。正常細胞では、細胞性TKレベルは通常非常に低く、ウイルスは複製することができない。腫瘍では、腫瘍抑制因子Rbの減少又はサイクリン活性の増加が、E2F経路活性化及び高レベルのTK発現に結びつく。したがって、癌細胞は高いTKレベルを示し、突然変異したワクシニアウイルスは複製及び伝染することができる。
ワクシニア増殖因子(VGF)遺伝子は、哺乳動物上皮増殖因子(EGF)の相同体であり、EGF受容体(EGFR)に結合しそれを活性化することができる。VGF遺伝子が突然変異したワクシニアウイルスは、EGF経路が活性化された細胞に増殖が限定され、癌ではVGF遺伝子が一般的に突然変異している。
このウイルスは、ウイルス性PKR阻害剤の公知の構造機能相関性により修飾又は突然変異させることができる。例えば、E3タンパク質のアミノ末端領域は、PKRのカルボキシ末端領域ドメインと相互作用するため、このドメインの欠失又は点突然変異は、抗PKR機能を妨げる(Chang et al., PNAS 89:4825-4829 (1992);Chang, H. W. et al., Virology 194:537-547 (1993);Chang et al., J. Virol. 69:6605-6608 (1995);Sharp et al., Virol. 250:301-315 (1998);及びRomano et al., Mol. and Cell. Bio. 18:7304-7316 (1998))。ワクシニアウイルスのK3L遺伝子は、pK3、PKRの偽基質をコードする。eIF−2の残基79〜83に相同的なK3Lタンパク質のC末端部分内の短縮又は点突然変異は、PKR阻害活性を消滅させる(Kawagishi-Kobayashi, M., et al., Mol. Cell. Biology 17:4146-4158 (1997))。
別の例は、Delta24ウイルスであり、これはE1A領域に24塩基対の欠失を保持する突然変異アデノウイルスである(Fueyo, J., et al., Oncogene 19(1):2-12 (2000))。この領域は、細胞性腫瘍抑制因子Rbへの結合及びRb機能の阻害に関与しており、これにより細胞増殖機構、したがってウイルス複製が抑制されない様式で進行することが可能になる。Delta24は、Rb結合領域に欠失を有しており、Rbに結合しない。したがって、正常細胞では、突然変異ウイルスの複製はRbにより阻害される。しかしながら、Rbが不活化され、細胞が新生物性になる場合、Delta24はもはや阻害されない。その代りに、突然変異ウイルスは効率的に複製し、Rb欠乏細胞を溶解する。
加えて、水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、新生物細胞を選択的に死滅させる(及びインターフェロンを加えることができる)。リボヌクレオチドレダクターゼ発現を欠失している単純疱疹ウイルス1(HSV−1)突然変異体、hrR3は、結腸癌細胞で複製するが、正常肝細胞では複製しない(Yoon, S. S., et al., FASEB J. 14:301-311(2000))。ニューカッスル病ウイルス(NDV)は、悪性細胞で優先的に複製し、最も一般に使用される菌株は、73−Tである(Reichard, K. W., et al., J. of Surgical Research 52:448-453 (1992);Zorn, U. et al., Cancer Biotherapy 9(3):22-235 (1994);Bar-Eli, N., et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol. 122: 409-415 (1996))。ワクシニアウイルスは、幾つかの悪性腫瘍細胞系統で増幅する。脳炎ウイルスは、マウス肉腫腫瘍に腫瘍崩壊効果を有するが、正常細胞での感染力を低減させるためには弱毒化が必要な場合がある。帯状疱疹、肝炎ウイルス、インフルエンザ、水痘、及び麻疹ウイルスに感染した腫瘍患者での腫瘍退縮が記録されている(概説は、Nemunaitis, J. , Invest. New Drugs 17:375-386 (1999)を参照)。
腫瘍崩壊性ウイルスはレオウイルスであってもよい。レオウイルスは、天然か、修飾か、又は組換えかに関わらず、レオウイルス属に分類される任意のウイルスを指す。レオウイルスは、二本鎖のセグメント化RNAゲノムを有するウイルスである。そのビリオンは、直径が60〜80nmであり、各々が二十面体である2つの同心円状のカプシドシェルを有する。このゲノムは、16〜27kbpの総ゲノムサイズを有する10〜12本の別々のセグメントの二本鎖RNAで構成される。個々のRNAセグメントはサイズが異なる。異なるが関連している3つのタイプのレオウイルスが、多くの種から回収されている。3つのタイプは全て、共通の補体結合抗原を共有する。
ヒトレオウイルスは、3つの血清型:1型(Lang菌株又はT1L)、2型(Jones菌株、T2J)、及び3型(Dearing菌株又はAbney菌株、T3D)を含む。この3つの血清型は、中和アッセイ及び赤血球凝集素阻害アッセイに基づいて容易に識別可能である。本開示によるレオウイルスは、3型哺乳動物オルトレオウイルスであり得る。3型哺乳動物オルトレオウイルスには、限定ではないが、Dearing及びAbney菌株(それぞれT3D又はT3A)が含まれる。例えば、ATCC寄託番号VR−232及びVR−824を参照されたい。以前に記述されているように、レオウイルスは、宿主細胞のras経路機構を使用して、二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼ(PKR)及びしたがって細胞での複製を下方制御する。例えば、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,110,461号明細書;第6,136,307号明細書;第6,261,555号明細書;第6,344,195号明細書;第6,576,234号明細書;及び第6,811,775号明細書を参照されたい。
レオウイルスは、天然でもよく又は修飾されていてもよい。レオウイルスは、自然界の供給源から単離することができ、実験室でヒトにより意図的に修飾されていない場合、天然である。例えば、レオウイルスは、フィールド供給源に由来し、すなわちレオウイルスに感染したヒト由来であり得る。レオウイルスは、腫瘍崩壊活性の増強に関して選択することもでき、又は突然変異誘発させることもできる。
レオウイルスは、修飾されてもよいが、それでもなお活性ras経路を有する哺乳動物細胞に感染して細胞を溶解することができる。レオウイルスは、増殖細胞への投与前に化学的又は生化学的に前処理されていてもよい(例えば、キモトリプシン又はトリプシンなどのプロテアーゼでの処理により)。プロテアーゼでの前処理により、ウイルスの外被又はカプシドが取り除かれ、ウイルスの感染力が増加する場合がある。レオウイルスは、リポソーム又はミセルに被膜されていてもよい(Chandran and Nibert, J. of Virology 72(1):467-75 1998)。例えば、新しい伝染性サブウイルス粒子(ISVP)を生成するために、ミセル形成濃度のアルキル硫酸塩界面活性剤の存在下で、ビリオンをキモトリプシンで処理してもよい。
レオウイルスは、組換えレオウイルスであってもよい。例えば、組換えレオウイルスは、2つ以上の遺伝学的に異なるレオウイルスに由来するゲノムセグメントを含む再集合レオウイルスであり得る。レオウイルスのゲノムセグメントの組換え/再集合は、少なくとも2つの遺伝学的に異なるレオウイルスが宿主生物に感染した後で生じる場合がある。組換え/再集合ウイルスは、例えば、遺伝学的に異なるレオウイルスを許容宿主細胞に同時感染させることにより、細胞培養で生成することができる。したがって、提供されている方法は、1型(例えば、Lang菌株)、2型(例えば、Jones菌株)、及び3型(例えば、Dearing菌株又はAbney菌株)などのヒトレオウイルス;非ヒト哺乳動物レオウイルス;又はトリレオウイルスが含まれるがこれらに限定されない2つ以上の遺伝学的に異なるレオウイルスに由来するゲノムセグメントの再集合に起因する組換えレオウイルスの使用を含む。提供されている方法は、少なくとも1つの親のウイルスが、遺伝子操作されているか、1つ又は複数の化学的に合成されたゲノムセグメントを含むか、化学的又は物理的な突然変異誘発物質で処理されているか、又はそれ自体が組換え事象の結果である2つ以上の遺伝学的に異なるレオウイルスに由来するゲノムセグメントの再集合に起因する組換えレオウイルスの使用を含んでいてもよい。提供されている方法は、硫酸ジメチル及び臭化エチジウムを含むがそれらに限定されない化学的突然変異誘発物質、又は紫外線及び他の形態の放射線を含むがそれらに限定されない物理的突然変異誘発物質の存在下組換えを起こした組換えレオウイルスの使用を含んでいてもよい。
提供されている方法は、1つ又は複数のゲノムセグメントに突然変異(挿入、置換、欠失、又は重複を含む)を有するレオウイルスの使用を含んでいてもよい。そのような突然変異は、宿主細胞ゲノムとの組換えの結果としての追加的な遺伝情報を含んでいてもよく、又は合成遺伝子を含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載の突然変異レオウイルスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/124,522号明細書に記載のように、sigma3ポリペプチドの発現を低減又は本質的に除去するか、又は機能的sigma3ポリペプチドの非存在に帰着する突然変異を含有していてもよい。sigma3ポリペプチドの発現を除去するか、又は機能的sigma3ポリペプチドの非存在に帰着する突然変異は、sigma3ポリペプチドをコードする核酸(つまり、S4遺伝子)、又はsigma3ポリペプチドの発現若しくは機能を制御するポリペプチドをコードする核酸に存在していてもよい。
本明細書で使用される場合、sigma3ポリペプチドの発現を低減する突然変異とは、野生型レベルのsigma3ポリペプチドを発現するレオウイルスと比較して、sigma3ポリペプチド量の少なくとも30%(例えば、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%)減少に帰着する突然変異を指す。本明細書で使用される場合、sigma3ポリペプチドの発現を本質的に除去する突然変異とは、野生型レオウイルスにより産生されるsigma3ポリペプチド量と比べて、sigma3ポリペプチド量の少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、又は100%)減少に帰着する突然変異を指す。本明細書で使用される場合、機能的sigma3ポリペプチドの減少又は非存在に帰着する突然変異とは、sigma3ポリペプチドの発現を可能にするが、ウイルスカプシドに集合又は組み込むことができないsigma3ポリペプチドに帰着する突然変異を指す。sigma3ポリペプチドは、突然変異レオウイルスが増殖能力を保持するために、他の機能性(例えば、RNAに結合する能力)を保持することが望ましい又は必要な場合があることが理解されるだろう。
本明細書に記載のsigma3ポリペプチドの突然変異は、突然変異を含有していないsigma3ポリペプチド(例えば、野生型sigma3ポリペプチド)と比べて低いレベルでカプシドに組み込まれるsigma3ポリペプチドに帰着し得る。本明細書に記載のsigma3ポリペプチドの突然変異は、ウイルスカプシドに組み込むことができないsigma3ポリペプチドに帰着する場合もある。いかなる特定の機序にも束縛されないが、sigma3ポリペプチドは、例えば、sigma3ポリペプチド及びmu1ポリペプチドが適切に結合できないことにより、又はカプシドへのsigma3ポリペプチドの組み込みを低減又は防止する立体構造的変化により、機能低下又は機能欠如を示す場合がある。
sigma3ポリペプチドの発現を消滅又は低減するか、又は非機能的な若しくは機能が低下したsigma3ポリペプチドに帰着する突然変異に加えて、本明細書に記載の突然変異レオウイルスは、他のレオウイルスカプシドポリペプチド(例えばmu1、lambda2、及び/又はsigma1)の1つに、1つ又は複数のさらなる突然変異(例えば、第2、第3、又は第4の突然変異)を含有している場合もある。sigma3ポリペプチドに影響を与える突然変異、及び他の外側カプシドタンパク質のいずれか又は全てにさらなる突然変異を含有していてもよいレオウイルスは、そのような突然変異レオウイルスが感染し細胞溶解を引き起こす能力についてスクリーニングすることができる。例えば、野生型レオウイルスによる溶解に耐性である新生物細胞を使用して、本明細書に記載されている有効な突然変異レオウイルスをスクリーニングすることができる。
例えば、さらなる突然変異は、mu1ポリペプチドの発現を低減又は本質的に除去するか、又は機能的mu1ポリペプチドの非存在に帰着し得る。mu1ポリペプチドは、M2遺伝子によりコードされており、細胞透過に関与している可能性が高く、転写酵素活性化に役割を果たしている可能性がある。各ビリオンは、sigma3ポリペプチドとの1:1複合体の形態で存在する約600コピーのmu1ポリペプチドを含有している。mu1ポリペプチドは、そのN末端がミリストレート化(myristolated)され、その後、ミリストレート化されたN末端42残基は、切断されてC末端断片(mu1C)に帰着する。それに加えて又は或いは、さらなる突然変異は、lambda2ポリペプチドの発現を低減又は本質的に除去するか、又は機能的lambda2ポリペプチドの非存在に帰着する場合があり、及び/又はさらなる突然変異は、sigma1ポリペプチドの発現を低減又は本質的に除去するか、又は機能的sigma1ポリペプチドの非存在に帰着する場合がある。lambda2ポリペプチドは、L2遺伝子によりコードされており、粒子構築に関与し、グアニリルトランスフェラーゼ及びメチルトランスフェラーゼ活性を示す。sigma1ポリペプチドは、S1遺伝子によりコードされており、細胞結合に関与し、ウイルス性赤血球凝集素として機能する。
例えば、レオウイルスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/046,095号明細書に記載されているように、1つ又は複数のアミノ酸修飾を有するlambda−3ポリペプチド、1つ又は複数のアミノ酸修飾を有するsigma−3ポリペプチド、1つ又は複数のアミノ酸修飾を有するmu−1ポリペプチド、及び/又は1つ又は複数のアミノ酸修飾を有するmu−2ポリペプチドを有する。例として、lambda−3ポリペプチドの1つ又は複数のアミノ酸修飾は、残基214のVal、残基267のAla、残基557のThr、残基755のLys、残基756のMet、残基926のPro、残基963のPro、残基979のLeu、残基1045のArg、残基1071のVal、又はそれらの任意の組み合わせであり、付番はGenBank寄託番号M24734.1と比べてである。アミノ酸配列の残基214がVal又は残基1071がValである場合、そのアミノ酸配列は、少なくとも1つの追加的変化をそのアミノ酸配列にさらに含むことに留意されたい。lambda−3ポリペプチドは、配列番号18に示されている配列を含んでいてもよい。さらに、例として、sigma−3ポリペプチドの1つ又は複数のアミノ酸修飾は、残基14のLeu、残基198のLys、又はそれらの任意の組み合わせであり、付番はGenBank寄託番号K02739と比べてである。アミノ酸配列の残基14がLeuである場合、そのアミノ酸配列は、少なくとも1つの追加的変化をそのアミノ酸配列にさらに含むことに留意されたい。sigma−3ポリペプチドは、配列番号14に示されている配列を含んでいてもよい。さらに、例として、mu−1ポリペプチドの1つ又は複数のアミノ酸修飾は、残基73のAspであり、付番はGenBank寄託番号M20161.1と比べてである。mu−1ポリペプチドは、配列番号16に示されている配列を含んでいてもよい。また、例として、mu−2ポリペプチドのアミノ酸修飾は、残基528のSerであり、付番はGenBank寄託番号AF461684.1と比べてである。mu−1ポリペプチドは、配列番号15に示されている配列を含んでいてもよい。1つ又は複数の修飾を有する本明細書に記載のレオウイルスは、レオウイルスsigma−2ポリペプチドをさらに含むことができる。そのようなsigma−2ポリペプチドは、70、127、195、241、255、294、296、又は340位の1つ又は複数にCysを有しており、付番はGenBank寄託番号NP_694684.1と比べてである。sigma−2ポリペプチドは、配列番号12に示されている配列を含んでいてもよい。
レオウイルスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/046,095号明細書に記載されているように、1つ又は複数の核酸修飾を有するL1ゲノムセグメント、1つ又は複数の核酸修飾を有するS4ゲノムセグメント、1つ又は複数の核酸修飾を有するM1ゲノムセグメント、及び/又は1つ又は複数の核酸修飾を有するM2ゲノムを有していてもよい。例として、L1ゲノムセグメントの1つ又は複数の核酸修飾は、660位のT、817位のG、1687位のA、2283位のG、2284〜2286位のATG、2794位のC、2905位のC、2953位のC、3153位のA、又は3231位のGであり、付番はGenBank寄託番号M24734.1と比べてである。L1ゲノムセグメントは、配列番号8に示されている配列を含んでいてもよい。さらに、例として、S4ゲノムセグメントの1つ又は複数の核酸修飾は、74位のA及び624位のAであり、付番はGenBank寄託番号K02739と比べてである。S4ゲノムセグメントは、配列番号4に示されている配列を含んでいてもよい。さらに、例として、M2ゲノムセグメントの核酸修飾は、248位のCであり、付番はGenBank寄託番号M20161.1と比べてである。M2ゲノムセグメントは、例えば、配列番号6に示されている配列を含む。また、例として、M1ゲノムセグメントの核酸修飾は、1595位のTであり、付番はGenBank寄託番号AF461684.1と比べてである。M1ゲノムセグメントは、配列番号5に示されている配列を含んでいてもよい。本明細書に記載のレオウイルスは、本明細書に開示されている任意の修飾又は修飾の組み合わせを含むことができる。本明細書に記載のレオウイルスは、配列番号1〜10に示されている配列を有するゲノムセグメント、又は配列番号11、12、16〜21、及び配列番号13又は14のいずれか又は両方に示されているポリペプチドを含んでいてもよい。本明細書に開示されているレオウイルスは、IDAC寄託番号190907−01であると特定されてもよい。
シンドビスウイルス(SIN)を、本明細書に記載の方法で使用することができる。シンドビスウイルスは、トガウイルス科のアルファウイルス属のメンバーである。シンドビスウイルスゲノムは、5’末端でキャッピングされており、3’末端でポリアデニル化されている11703ヌクレオチドの一本鎖RNAである。このゲノムは、49S非翻訳領域(UT)、非構造タンパク質nsP1、nsP2、nsP3、及びnsP4、その後のプロモーターで構成されている。このプロモーターの後には、26S UT、構造タンパク質C、E3、E2、6K、及びE1、並びに最後には3’UT及びポリアデニル化末端が続く。このゲノムの49S RNAは、プラスセンスであり、感染性であり、感染細胞のmRNAとして機能する。
シンドビスベクターは、in vivoで転移腫瘍を全身性及び特異的に感染/検出及び死滅させ、腫瘍増殖の著しい抑制及び生存の向上に結びつく(Hurtado et al. , Rejuvenation Res. 9(1):36-44 (2006))。シンドビスウイルスは、正常細胞より腫瘍中で上昇するMr67,000ラミニン受容体を使用して哺乳動物細胞に感染する。ラミニン受容体の腫瘍過剰発現は、シンドビスベクターがin vivoで腫瘍細胞に対して実証する特異性及び効能を説明することができる。シンドビスは、癌細胞を標的とするか又は腫瘍に直接注射されるように遺伝子操作を受ける必要はない。シンドビスは、対象体の何処に注射しても、血流により標的区域へ移動する(Tseng et al., Cancer Res. 64(18):6684-92 (2004))シンドビスは、ウイルスに対する免疫応答を抑制する1つ又は複数の遺伝子、並びに/又は例えばインターロイキン12及びインターロイキン15遺伝子などの抗腫瘍サイトカイン遺伝子などの腫瘍に対する免疫応答を刺激する遺伝子を保持するように遺伝子操作することもできる。
腫瘍崩壊性ウイルスは、天然であってもよく又は修飾されていてもよい。このウイルスは、新生物細胞への投与前に化学的又は生化学的に(例えば、キモトリプシン又はトリプシンなどのプロテアーゼでの処理により)前処理されていてもよい。プロテアーゼでの前処理により、ウイルスの外被又はカプシドが取り除かれ、ウイルスの感染力が増加する場合がある。ウイルスは、ウイルスに対する免疫を誘発した哺乳動物からの免疫応答を低減又は防止するために、リポソーム又はミセルに被膜されていてもよい(Chandran and Nibert, J. of Virology 72(1):467-75 (1998))。例えば、新しい伝染性サブウイルス粒子を生成するために、ミセル形成濃度のアルキル硫酸塩界面活性剤の存在下で、ビリオンをキモトリプシンで処理してもよい。また、腫瘍崩壊性ウイルスは、再集合体ウイルス又はISVPであってもよい。
本方法は、本明細書の開示及び当技術分野で利用可能な知識による任意の腫瘍崩壊性ウイルスの使用を含む。レオウイルスは、天然であってもよく又は修飾されていてもよい。腫瘍崩壊性ウイルスは、自然界の供給源から単離することができ、実験室でヒトにより意図的に修飾されていない場合、天然である。例えば、腫瘍崩壊性ウイルスは、フィールド供給源に由来、すなわちレオウイルスに感染したヒト由来であり得る。
腫瘍崩壊性ウイルスは、組換え腫瘍崩壊性ウイルスであってもよい。例えば、組換え腫瘍崩壊性ウイルスは、2つ以上の遺伝学的に異なる腫瘍崩壊性ウイルスに由来するゲノムセグメントの再集合に起因しており、本明細書では再集合体とも呼ばれる。腫瘍崩壊性ウイルスゲノムセグメントの再集合体は、少なくとも2つの遺伝学的に異なる腫瘍崩壊性ウイルスが宿主生物に感染した後で生じる場合がある。再集合ウイルスは、例えば、遺伝学的に異なる腫瘍崩壊性ウイルスを許容宿主細胞に同時感染させることにより、細胞培養で生成することができる。本方法は、少なくとも1つの親のウイルスが、遺伝子操作されているか、1つ又は複数の化学的に合成されたゲノムセグメントを含むか、化学的又は物理的な突然変異誘発物質で処理されているか、又はそれ自体が組換え事象の結果である2つ以上の遺伝学的に異なる腫瘍崩壊性ウイルスに由来するゲノムセグメントの再集合に起因する組換え腫瘍崩壊性ウイルスの使用を含んでいてもよい。本方法は、硫酸ジメチル及び臭化エチジウムを含むがそれらに限定されない化学的突然変異誘発物質、又は紫外線及び他の形態の放射線を含むがそれらに限定されない物理的突然変異誘発物質の存在下で組換えを起こした組換え腫瘍崩壊性ウイルスの使用を含んでいてもよい。
本方法は、1つ又は複数のゲノムセグメントに(挿入、置換、欠失、又は重複)を含む突然変異を有する腫瘍崩壊性ウイルスの使用を含んでいてもよい。そのような突然変異は、宿主細胞ゲノムとの組換えの結果としての追加的な遺伝情報、又は例えば抗ウイルス免疫応答を抑制する作用剤をコードする遺伝子などの合成遺伝子を含む追加的な遺伝情報を含むことができる。
腫瘍崩壊性ウイルスは、突然変異腫瘍崩壊性ウイルスであってもよい。例えば、腫瘍崩壊性ウイルスは、例えばビリオン外側カプシドなどへの突然変異外殻タンパク質の組み込みにより修飾されていてもよい。突然変異腫瘍崩壊性ウイルスは、突然変異レオウイルスであってもよい。本明細書に記載の突然変異レオウイルスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/124,522号明細書に記載されているように、sigma3ポリペプチドの発現を低減又は本質的に除去するか、又は機能的sigma3ポリペプチドの非存在に帰着する突然変異を含有することができる。提供されている方法で使用される突然変異レオウイルスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/046,095号明細書に記載のように突然変異していてもよい。
本明細書で引用されたような突然変異は、1つ又は複数のヌクレオチドの置換、挿入、又は欠失であり得る。点突然変異には、例えば単一ヌクレオチド転移(プリンからプリン又はピリミジンからピリミジン)又は転換(プリンからピリミジン、又はその逆)、及び単一又は複数ヌクレオチド欠失又は挿入が含まれる。核酸の突然変異は、立体構造変化又は機能の喪失若しくは部分的な喪失に帰着する場合があるコードポリペプチドにおける1つ又は複数の保存的又は非保存的アミノ酸置換、全く異なるポリペプチドがその地点からコードされることに帰着する翻訳リーディングフレームのシフト(フレームシフト)、短縮ポリペプチド(短縮)に帰着する早期終止コドン、又はコードポリペプチドを全く変化させない場合があるウイルス核酸の突然変異(サイレント又はナンセンス)に帰着し得る。保存的及び非保存的アミノ酸置換に関する開示は、例えば、Johnson and Overington, 1993, J. Mol. Biol. 233:716-38;Henikoff and Henikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-19;及び米国特許第4,554,101号明細書を参照されたい。
当技術分野で公知の任意の数の方法を使用して、腫瘍崩壊性ウイルスの核酸に突然変異を生成することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発を使用して、レオウイルス核酸配列を修飾することができる。部位特異的突然変異誘発の最も一般的な方法の1つは、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発である。オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発では、所望の変化(複数可)をコードするオリゴヌクレオチドは、目的DNAの一方の鎖とアニーリングし、DNA合成開始のプライマーとして機能する。このようにして、配列変化を含有するオリゴヌクレオチドが、新しく合成される鎖に組み込まれる。例えば、Kunkel, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488;Kunkel et al., 1987, Meth. Enzymol. 154:367;Lewis and Thompson, 1990, Nucl. Acids Res. 18:3439;Bohnsack, 1996, Meth. Mol. Biol. 57:1;Deng and Nickoloff, 1992, Anal. Biochem. 200:81;及びShimada, 1996, Meth. Mol. Biol. 57:157を参照されたい。当技術分野では、タンパク質又はポリペプチドの配列を修飾するために、他の方法が日常的に使用されている。例えば、突然変異を含有する核酸は、PCR又は化学合成を使用して生成してもよく、又はアミノ酸配列に所望の変化を有するポリペプチドは化学的に合成してもよい。例えば、Bang and Kent, 2005, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:5014-9及びその中の文献を参照されたい。
ウイルスは、標準的方法を用いて精製することができる。例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるSchiff et al., “Orthoreoviruses and Their Replication,” Ch 52, in Fields Virology, Knipe and Howley, eds., 2006, Lippincott Williams and Wilkins;Smith et al., 1969, Virology 39(4):791-810;並びに米国特許第7,186,542号明細書;第7,049,127号明細書;第6,808,916号明細書;及び第6,528,305号明細書を参照されたい。本明細書で使用される場合、精製ウイルスとは、それらに自然に付随している細胞構成要素から分離されたウイルスを指す。典型的には、ウイルスは、乾燥重量で少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)が、自然に付随しているタンパク質及び他の細胞構成要素を含んでいない場合、精製されたとみなされる。
腫瘍崩壊性ウイルスを含む医薬組成物が、本明細書で提供されている。治療薬、例えば間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤を含む医薬組成物も本明細書で提供されている。医薬組成物は、腫瘍崩壊性ウイルス並びに間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤を含んでいてもよい。医薬組成物は、腫瘍崩壊性ウイルス、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤、及び炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤を含んでいてもよい。したがって、提供されている医薬組成物は、1つの作用剤又は複数の作用剤を含むことができる。例えば、腫瘍崩壊性ウイルスの各々、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤、及び炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤は、別々の医薬組成物内に含まれていてもよく、又は同一の組成物内に含まれていてもよい。腫瘍崩壊性ウイルス及び作用剤が別々の医薬組成物内に含まれている場合、組成物は、同時に又は順次投与することができる。
本明細書で提供される組成物は、薬学的に許容される担体中にあり、in vitro又はin vivoで投与される。薬学的に許容される担体は、レオウイルス用の媒体、担体、又は媒質として機能することができる固形、半固形、又は液体物質であり得る。したがって、レオウイルス及び/又は提供されている作用剤の1つ又は複数を含有する組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体として、又は液体媒質中)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射剤、及び無菌包装散剤の形態であり得る。
腫瘍崩壊性ウイルスを含有する組成物は、点滴に好適であってもよい。静脈内点滴の場合、一般的に使用される液体には、晶質及びコロイドの2つのタイプがある。晶質とは、無機塩又は他の水溶性分子の水溶液である。コロイドとは、ゼラチンなどのより大型の不溶性分子を含有しており、血液自体はコロイドである。最も一般的に使用される晶質液は、通常の生理食塩水、0.9%濃度の塩化ナトリウム溶液であり、それは血液中の濃度に近い(等張性)。乳酸リンガー液又は酢酸リンガー液は、大量補液に使用されることが多い別の等張液である。患者に低血糖又は高ナトリウムのリスクがある場合、D5Wと呼ばれることがある5%デキストロース水溶液が、代りに使用されることが多い。
好適な担体の幾つかの例には、リン酸緩衝生理食塩水又は別の生理学的に許容される緩衝液、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。加えて、医薬組成物には、限定ではないが、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;メチルベンゾアート及びプロピルヒドロキシベンゾアートなどの保存剤;甘味料;及び香料が含まれ得る。医薬組成物は、当技術分野で公知の手順を使用して投与した後で、突然変異レオウイルスの急速放出、持続的放出、又は遅延放出を提供するように製剤化することができる。下記に記載されている代表的な製剤に加えて、医薬組成物で使用するための他の好適な製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (21th ed.) ed. David B. Troy, Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見出すことができる。錠剤などの固形組成物を調製するために、突然変異レオウイルスを医薬担体と混合し、固形組成物を形成することができる。錠剤又は丸剤を被膜又はそうでなければ調合して、持続性作用の利点をもたらす剤形を提供することができてもよい。例えば、錠剤又は丸剤は、内側用量成分及び外側用量成分を含むことができ、後者は前者を覆う包膜の形態である。2つの成分は、胃の中で崩壊し難くなるように機能する腸溶層で分離することができ、内側成分が完全性を保ったまま十二指腸へと通過することを可能にするか、又は放出の遅延を可能にする。様々な物質を、そのような腸溶層又は被膜に使用することができ、そのような物質は、多数のポリマー酸、及びポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの物質との混合物を含む。
レオウイルス及び/又は経口投与用若しくは注射用の作用剤を含む液体製剤には、一般的に、水溶液、好適に風味付けられたシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及びトウモロコシ油、綿実油、胡麻油、やし油、又は落花生油などの食用油を有する風味付けられた乳剤、並びにエリキシル剤、及び類似の医薬媒体が含まれる。
吸入又は通気用の組成物には、薬学的に許容される水性若しくは有機溶媒又はそれらの混合物中の液剤及び懸濁剤、並びに散剤が含まれる。これらの液状又は固形組成物は、本明細書に記載の好適な薬学的に許容される賦形剤を含有していてもよい。そのような組成物は、局所的又は全身性効果のために経口又は経鼻呼吸経路により投与することができる。薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用により霧状化されてもよい。霧状化した溶液は、噴霧デバイスから直接吸入されてもよく、噴霧デバイスは、フェイスマスクテント又は間欠的陽圧呼吸器に装着されていてもよい。液剤、懸濁剤、又は散剤組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから、経口又は経鼻で投与されてもよい。
本開示の方法で使用されてもよい別の製剤には、経皮的送達デバイス(例えば、貼付剤)が含まれる。そのような経皮的貼付剤は、本明細書に記載のウイルス及び作用剤の連続的又は不連続注入を提供するために使用することができる。医薬品送達用の経皮的貼付剤の作製及び使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号明細書を参照されたい。そのような貼付剤は、突然変異レオウイルスの連続的送達、拍動性送達、又はオンデマンド送達用に作製することができる。
上記に記載のように、ウイルス及び/又は他の作用剤は、必要に応じて、リポソーム又はミセルで被膜して、ウイルス又は作用剤に対する免疫を誘発した哺乳動物での免疫応答を低減又は防止することができる。そのような組成物は、免疫保護ウイルス又は作用剤と呼ばれる。例えば、米国特許第6,565,831号明細書及び第7,014,847号明細書を参照されたい。
提供されている方法では、腫瘍崩壊性ウイルスを、標的腫瘍又は腫瘍細胞と最終的に接触することができる様式で、例えば全身性に投与する。ウイルスが投与される経路、並びに製剤、担体、又は媒体は、標的細胞の位置並びにタイプに依存する。多種多様な投与経路を使用することができる。例えば、接近可能な固形腫瘍の場合、腫瘍への直接注射によりウイルスを投与することができる。造血器腫瘍の場合、例えば、静脈内又は血管内にウイルスを投与することができる。転移など体内で容易に接近可能でない腫瘍の場合、哺乳動物の体内を通して全身性に輸送し、それにより腫瘍(例えば、静脈内又は筋肉内)に到達することができるような様式で、ウイルスを投与する。或いは、ウイルスを単一の固形腫瘍に直接投与してもよく、その後ウイルスは体内を通して全身性に転移部位へと運ばれる。ウイルスは、皮下、腹腔内、髄腔内、又は脳室内(例えば、脳腫瘍の場合)、局所的(例えば、メラノーマの場合)、経口(例えば、口腔癌又は食道癌の場合)、直腸性(例えば、結腸直腸癌の場合)、経膣的に(例えば、子宮頸癌又は膣癌の場合)、吸入スプレー又はエアロゾル製剤(例えば、肺癌の場合)により経鼻的に投与することもできる。
ウイルスは、連続的に少なくとも1日1回、又はある期間中の連続する日の終日にわたって断続的に又は連続的に対象体に投与してもよい。したがって、ウイルスは、例えば、任意の薬理学的に許容される溶液中で又は点滴剤として、ある期間にわたって静脈内投与により対象体に投与される。例えば、本物質は、注射(例えば、IM又は皮下)により全身投与されてもよく、又は少なくとも1日1回経口摂取されてもよく、又は対象体の組織又は血流への連日送達に帰着する様式で点滴により投与されてもよい。ウイルスがある期間にわたって点滴により投与される場合、その期間は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、若しくは24時間であるか、又は1時間以上24時間以内の間の任意の期間、又はそれを超える期間である。その期間は、5、15、30、60、90、120、150、若しくは180分間であるか、又は5分以上180分以内の間の任意の期間、又はそれを超える期間であってもよい。したがって、例えば、ウイルスは、点滴により60分間投与される。投与は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、21、28日間、又は2日以上28日以内の間の任意の日数、又はそれを超える日数の間、毎日繰り返すことができる。
提供されている方法の間質圧力及び/又は血管透過性を減少させる作用剤、又は他の治療薬(つまり、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤)も、多種多様な投与経路経由で投与される。したがって、作用剤は、局所的、経口、非経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮、肝内、頭蓋内、噴霧/吸入、又は気管支鏡による滴下を含む幾つかの投与経路のいずれででも投与される。治療薬は、腫瘍崩壊性ウイルスに関する上記の説明に示されている様式で、連続的に投与されてもよい。したがって、例えば、作用剤は、任意の薬理学的に許容される溶液中で又は点滴剤として、ある期間にわたって静脈内投与により対象体に投与される。作用剤は、腫瘍部位に又はその付近に局所投与されてもよい。或いは、作用剤は全身投与される。間質圧力及び/又は血管透過性を減少させる作用剤は、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させるのに十分な量(つまり、有効量)で投与される。炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤は、1つ又は複数の炎症促進性サイトカインを阻害するのに十分な量(つまり、有効量)で投与される。例として、タキサンの有効量には、腫瘍容積1m当たり約40〜300mg、又は40以上300mg/m以内の間の任意の量が含まれる。したがって、タキサンの有効量には、130〜225mg/mが含まれる。別の例では、白金化合物の有効量には、約5〜1000mg/m、又は5以上1000mg/m以内の間の任意の量が含まれる。したがって、例えば、シスプラチンの有効量には、約175〜200mg/mが含まれ、カルボプラチンの有効量には、約200〜600mg/mが含まれる。他の作用剤の有効量は、体重1kg当たり0.001〜10,000mg、又は体重1kg当たり0.001以上10,000mg以内の間の任意の量に及ぶ。白金化合物の有効量には、カルバートの式により計算されるような1分当たりおよそ2〜7mg/mL(AUC)が含まれていてもよい。白金化合物の有効量には、カルバートの式により計算されるような1分当たりおよそ5又は6mg/mL(AUC)が含まれていてもよい。白金化合物は、30分間にわたって静脈内点滴として投与されてもよい。
本明細書で開示されているウイルスは、増殖性障害の治療に十分な量(つまり、有効量)で投与される。増殖細胞へのウイルス投与が、罹患細胞の溶解(例えば、腫瘍崩壊)に効果を示し、異常増殖細胞数の低減、新生物のサイズの縮小、及び/又は増殖性障害に関連した症状(例えば、疼痛)の軽減若しくは除去に帰着する場合、増殖性障害は治療されている。本明細書で使用される場合、腫瘍崩壊という用語は、増殖細胞の少なくとも10%が溶解されることを意味する(例えば、細胞の少なくとも約20%、30%、40%、50%、又は75%が溶解される)。溶解の割合は、例えば、哺乳動物中で新生物のサイズ又は増殖細胞数の減少を測定することにより、又は細胞溶解の量をin vitroで(例えば、増殖細胞の生検から)測定することにより決定することができる。ウイルスの有効量は、個別の基準で決定されることになり、少なくとも部分的には、使用する特定のウイルス;個体のサイズ、年齢、性別;並びに異常増殖細胞のサイズ及び他の特徴に基づいていてもよい。例えば、ヒト治療の場合、存在する増殖細胞又は新生物のタイプ、サイズ、及び数に依存して、およそ10〜1012プラーク形成単位(PFU)のウイルスが使用される。有効量は、例えば、体重1kg当たり約1.0PFUから体重1kg当たり約1015PFUまでであり得る(例えば、体重1kg当たり約10PFUから体重1kg当たり約1013PFUまで)。有効量は、約1×10〜約1×1012TCID50であってもよい。有効量は、約1×1010TCID50であってもよい。
例として、パクリタキセルなどの間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤が、175mg/mで対象体に投与され、3×1010TCID50又は1×1010TCID50のレオウイルスが対象体に投与される。パクリタキセルなどの間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤が、200mg/mで対象体に投与され、3×1010TCID50又は1×1010TCID50のレオウイルスが対象体に投与されてもよい。間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤は、3時間の静脈内点滴として投与されてもよい。レオウイルスは1時間の静脈内点滴として投与されてもよい。
別の例として、パクリタキセルなどの間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤が、175mg/mで対象体に投与され;カルボプラチンなどの炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が、1分当たり5mg/ml(カルバートの式により計算されるAUC)で対象体に投与され;及び3×1010TCID50又は1×1010TCID50のレオウイルスが対象体に投与される。パクリタキセルなどの間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤が、200mg/mで対象体に投与され;炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が、1分当たり6mg/mlで対象体に投与され;及び3×1010TCID50又は1×1010TCID50のレオウイルスが対象体に投与されてもよい。間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤は、3時間の静脈内点滴として投与されてもよい。炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤は、30分間の静脈内点滴として投与されてもよい。レオウイルスは1時間の静脈内点滴として投与されてもよい。
ウイルス及び治療薬並びにウイルスと作用剤とを含む組成物の至適用量は、様々な要因に依存する。必要とされる正確な量は、対象体の種、年齢、体重、及び一般的状態、治療する疾患の重症度、特定のウイルス又はベクター、並びに投与経路に依存して、対象体毎に変動するだろう。したがって、あらゆる組成物について正確な量を指定することは可能ではない。しかしながら、適正な量は、当業者であれば、本明細書で提供される手引きが与えられれば、単に日常的な実験作業を使用して決定することができる。
組成物を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に決定されてもよい。例えば、様々な増殖性障害の動物モデルは、Jackson Laboratory社、600 メインストリート、バーハーバー、メーン州 04609 アメリカ合衆国から取得することができる。直接的測定(例えば、腫瘍の組織学的検査)及び機能的測定(例えば、対象体の生存又は腫瘍のサイズ)は両方とも、療法に対する応答をモニターするために使用することができる。これらの方法は、代表的な動物の犠牲にして集団を評価することを伴い、実験に必要な動物数を増加させる。腫瘍中のルシフェラーゼ活性の測定は、動物を犠牲にせずに腫瘍容積を評価する代替方法を提供し、縦断的集団に基づいて療法を分析することが可能になる。
組成物投与の用量範囲は、疾患の症状が影響を受ける所望の効果を生じさせるほどの量の用量である。用量は、望ましくない交差反応及びアナフィラキシー反応などの有害副作用を引き起こさない程度の量であるべきである。任意の逆の兆候(counterindication)が生じた場合には、個々の医師は用量を調節することができる。
用量は変動し、1つ又は複数の用量投与で1日又は数日間毎日投与される。提供されているウイルス及び治療薬は、単回投与又は複数回投与で投与される(例えば、2、3、4、又は6用量以上)。例えば、投与が点滴による場合、点滴は単回の持続的用量であってもよく、又は複数の点滴により送達してもよい。治療は、数日から数か月まで継続してもよく、又は疾患の軽減が達成されるまで継続してもよい。
提供されているウイルス及び治療薬の組み合わせは、付随的に(例えば、混合物として)、別々だが同時に(例えば、別々の静脈ラインにより同一対象体に)、又は順次(例えば、化合物又は作用剤のうちの1つが最初に投与され、その後第2の化合物又は作用剤が投与される)のいずれかで投与される。したがって、組み合わせという用語は、2つ以上の作用剤の付随的投与、同時的投与、又は順次投与のいずれかを指すために使用される。例として、間質圧力を減少させる作用剤は、腫瘍崩壊性ウイルスの前に又は同時に投与される。別の例では、間質圧力を減少させる作用剤が最初に又は2番目に投与され、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が最初に又は2番目に投与され、腫瘍崩壊性ウイルスが3番目に投与される。間質圧力を低下させる作用剤が最初に投与され、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が、腫瘍崩壊性ウイルスと同時に投与されてもよい。ある化合物が別の化合物の前に投与される場合、第1の化合物は、第2の化合物を投与する数分、数時間、数日、又は数週間前に投与される。例えば、第1の化合物は、第2の化合物を投与する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、24、36、48、60、又は72時間前に投与してもよく、又は1時間以上〜72時間以内の間の任意の時点で投与してもよい。第1の化合物は、第2の化合物の72時間より前に投与されてもよい。別の例では、第1の化合物は、第2の化合物を投与する1、5、15、30、60、90、120、150、又は180分前に投与してもよく、又は1分以上〜180分以内の間の任意の時点で投与してもよい。第1の化合物は、第2の化合物を投与する1、2、3、4、5、6、7、14、21、又は28日前に投与してもよく、又は1日以上〜28日以内の間の任意の時点で投与してもよい。第1の化合物は、第2の化合物の28日より前に投与されてもよい。例えば、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤(複数可)は、腫瘍崩壊性ウイルスを投与する約1〜8時間前に投与される。別の例では、間質圧力を減少及び/又は血管透過性を増加させる作用剤(複数可)が、腫瘍崩壊性ウイルスを投与する4、6、8、又は10時間前に最初に投与され、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が、腫瘍崩壊性ウイルスを投与する1時間前の時点で2番目に投与され、腫瘍崩壊性ウイルスが3番目に(つまり、炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤を投与した1時間後に)投与される。
腫瘍崩壊性ウイルス又はそのようなウイルスを含む医薬組成物は、キットに包装されていてもよい。キットは、1つ又は複数の作用剤、又は間質圧力を減少及び/若しくは血管透過性を増加させるような作用剤を含む医薬組成物も含む。キットは、炎症促進性サイトカインを阻害する1つ又は複数の作用剤、1つ又は複数の化学療法剤、1つ又は複数の免疫抑制剤、及び/又は1つ若しくは複数の抗抗ウイルス抗体も含んでいてよい。医薬組成物は、単位剤形で製剤化することができる。「単位剤形」という用語は、ヒト対象体及び他の哺乳類用の単位用量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な薬学的に許容される担体との併用で所望の治療効果を生じるように計算された所定量の突然変異レオウイルスを含有する。
提供されている方法は、化学療法、放射線療法、外科手術、ホルモン療法、及び/又は免疫療法などの他の腫瘍療法と組み合わせてもよい。したがって、腫瘍崩壊性ウイルスは、新生物の外科手術又は摘出と併せて投与されてもよい。したがって、固形新生物を治療するための方法であって、新生物を外科的に摘出すること、及び腫瘍崩壊性ウイルスを新生物の部位又はその付近に投与することを含む方法が、本明細書と共に提供される。
提供されている方法の組成物は、公知の抗癌性化合物又は化学療法剤と併せて又はそれらに加えて投与されてもよい。化学療法剤とは、腫瘍の増殖を阻害することができる化合物である。そのような作用剤には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:5−フルオロウラシル;マイトマイシンC;メトトレキサート;ヒドロキシ尿素;シクロホスファミド;ダカルバジン;ミトキサントロン;アントラサイクリン(エピルビシン及びドクスルビシン(doxurubicin));ハーセプチンなどの受容体に対する抗体;エトポシド;プレグナソーム(pregnasome);タモキシフェン及び抗エストロゲンなどのホルモン療法;インターフェロン;アロマターゼ阻害剤;プロゲステロン作用剤;及びLHRH類似体。
本明細書で使用される場合、増殖性障害という用語は、細胞が正常組織増殖より急速に増殖するあらゆる細胞性障害を指す。増殖性障害には、これらに限定されないが、腫瘍とも呼ばれている新生物が含まれている。新生物には、これらに限定されないが、膵臓癌、乳癌、脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫)、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、腎癌、副腎癌、肝臓癌、神経線維腫症1、及び白血病が含まれ得る。新生物は、固形新生物(例えば、肉腫又はカルシノーマ)、又は造血系に影響を与える癌性増殖(例えば、リンパ腫又は白血病)であり得る。他の増殖性障害には、これらに限定されないが、神経線維腫症が含まれる。
腫瘍崩壊性ウイルスが治療として使用される増殖性障害では、一般的に、障害に関連する増殖細胞の1つ又は複数は、ras遺伝子(又はrasシグナル伝達経路のエレメント)が、直接的(例えば、rasの活性化突然変異により)又は間接的(例えば、rasシグナル経路の上流又は下流エレメントの活性化により)のいずれかで活性化される突然変異を有している場合がある。ras経路の上流エレメントの活性化は、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)又はSosによる形質転換を含む。例えば、Wiessmuller and Wittinghofer, 1994, Cellular Signaling 6(3):247-267;及びBarbacid, 1987, Ann. Rev. Biochem. 56, 779-827を参照されたい。ras経路の下流エレメントの活性化は、例えば、B−Raf内の突然変異を含む。例えば、Brose et al., 2002, Cancer Res. 62:6997-7000を参照されたい。少なくとも部分には、ras、rasの上流エレメント、又はrasシグナル経路のエレメントの活性化により生じる増殖性障害を、本明細書ではras媒介性増殖障害と呼ぶ。加えて、腫瘍崩壊性ウイルスは、PKRの突然変異又は調節異常により引き起こされる増殖性障害の治療に有用である。例えば、Strong et al. , 1998, EMBO J. 17:3351-62を参照されたい。
本明細書で使用される場合、治療、治療する、治療している、又は寛解するという用語は、疾患若しくは状態の影響又は疾患若しくは状態の症状を軽減する方法を指す。したがって、本開示の方法では、治療とは、罹患している疾患若しくは状態の重症度又は疾患若しくは状態の症状の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の軽減又は寛解を指すことができる。例えば、癌を治療する方法は、対象体の疾患の1つ又は複数の症状に、対照と比較して10%の軽減がある場合に、治療であるとみなされる。したがって、軽減は、天然レベル又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又は10から100までの任意のパーセントの軽減であり得る。治療は、疾患、状態、又は疾患若しくは状態の症状の治癒又は完全な消失を必ずしも意味しないことが理解される。
本明細書で使用される場合、対象体という用語は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長類、ウシ、ネコ、モルモット、又はげっ歯動物)、魚類、鳥類、又は爬虫類、又は両生類であり得る。この用語は、特定の年齢及び性別を指定しない。したがって、成体及び生まれたばかりの対象体は、雄か雌かに関わらず、包含されることが意図されている。本明細書で使用される場合、患者又は対象体は同義的に使用される場合があり、疾患又は障害を有する対象体を参照することができる。患者又は対象体という用語は、ヒト及び獣医学的対象体を含む。
本開示の方法及び組成物用に使用することができる、本開示の方法及び組成物と併せて使用することができる、又は本開示の方法及び組成物の調製に使用することができる物質、組成物、及び成分、又は本開示の方法及び組成物の産物が開示されている。これらの物質及び他の物質が本明細書で開示されており、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これらの化合物の種々の各個別的な及び集団的な組み合わせに対する特定の参照は、明示的に開示されていない場合があるが、各々は本明細書で企図されており、記載されていることが理解される。例えば、阻害剤が開示及び考察される場合、及び阻害剤を含む多数の分子へと作製することができる多数の改変が考察される場合、そうではないと特に指示のない限り、阻害剤及び可能な改変のありとあらゆる組み合わせ及び順列が具体的に企図されている。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせも具体的に企図及び開示されている。この概念は、本開示の組成物を使用する方法のステップを含むがそれらに限定されない本開示の全ての態様に適用される。したがって、実施することができる様々な追加的ステップが存在する場合、これら追加的ステップの各々は、本開示の方法における任意の特定の方法ステップ又は方法ステップの組み合わせと共に実施することができ、そのような組み合わせの各々又は組み合わせのサブセットが具体的に企図されており、開示されているとみなされるべきであると理解される。
本出願の全体にわたって、種々の出版物が参考文献として参照されている。これら出版物の開示は、これによってそれらの全体が参照により本出願に組み込まれる。
多数の態様が記載されている。しかしながら、改変は種々作製することができることが理解されるだろう。さらに、ある特徴又はステップが記載されている場合、その組み合わせが明示的に述べられなくても、それは、本明細書の他の任意の特徴又はステップと組み合わせることができる。したがって、他の態様は特許請求の範囲内にある。
(実施例)
実施例1 レオウイルス、パクリタキセル、及びカルボプラチンのヒト用プロトコール。
これは、レオウイルスをパクリタキセル及びカルボプラチンと共に3週毎に静脈内投与する研究計画である。
パクリタキセルを、175mg/m又は200mg/mの用量で3時間の静脈内点滴として投与する。その後、カルボプラチンを、カルバートの式で計算した用量で(GFRを51Cr EDTAにより測定した、AUC 1分当たり5mg/mL又は1分当たり6mg/mL)30分間の静脈内点滴として投与する。その後、パクリタキセル及びカルボプラチン投与後に、レオウイルスを1×1010又は3×1010TCID50の用量で1時間の静脈内点滴として投与する。
2〜5日目に、レオウイルスのみを、1日目に使用したのと同じ用量及び方法を使用して投与するだろう。
実施例2 レオウイルス及びmTOR阻害剤。
Chou及びTalalayの中央値効果原理(median-effect principle)(Chou and Talalay, Trends Pharmacol. Sci. 4:450-454 (1983))に基づく定率組み合わせ設計及び組み合わせ示標法(constant ratio combination design and combination index method)を使用して、ラパマイシンと組み合わせたレオウイルスのB16.F10細胞に対する効果を評価した。
細胞(1ウエル当たり5×10個)を96ウエルプレートに播種し、終夜接着させた。培地を、以前に決定したED50の2、1、0.5、及び0.25倍に対応する2倍希釈のラパマイシン及び/又はレオウイルスで置換し、新鮮な培地で希釈し、インキュベーションを48時間継続させた。この時に、培地を取り除き、MTSアッセイを使用して未処理細胞と比較した細胞生存のパーセントを決定した。CalcuSynプログラムを使用してデータを分析した。
レオウイルスの24時間前に又は後にラパマイシンを添加することにより、順序の影響を評価した。特筆すべきことに、24時間の時点でレオウイルスによる細胞死は、あったとしてもわずかしか見られなかった。ラパマイシンがレオウイルスより先行するか又はレオウイルスと同時に投与した場合、相互作用は拮抗的であった(1を超える組み合わせ指標値(CIV))(それぞれ図1a及び1b)。ラパマイシンをレオウイルスの後に投与した場合のみ、レオウイルスとラパマイシンとの間に相乗効果的相互作用(1未満のCIV)が観察された(図1c)。
in vivoの設定で、レオウイルス及びラパマイシンの併用療法は、皮下移植腫瘍の増殖を低減し、マウスの生存期間中央値を延長した。B16.F10腫瘍をC57Bl/6マウスに皮下播種し、1及び4日目に腫瘍内レオウイルスT3D 5×10TCID50及び1、4、8、12日目に腹腔内ラパマイシン5mg/kgの単独又は組み合わせのいずれかで、又は対照治療(腫瘍内PBS、腹腔内PBS)で治療した。
各腫瘍の直径を測定し、各群の平均を計算した。レオウイルスT3D/ラパマイシンの併用治療は、単一の作用剤治療又は対照治療と比較して、腫瘍増殖の著しい低減に帰着した(図2A)。
生存率をカプラン−マイヤー曲線としてプロットした。対照治療マウスの生存期間中央値は7日だった。ラパマイシン単独による生存中央値には改善がなかった。レオウイルス単独では、生存期間中央値が9日に延長された。併用療法では、生存期間が15日超に延長された(ログランク検定p=0.0216)(図2B)。
実施例3 レオウイルス、シクロホスファミド(CPA)、及びIL−2。
Treg欠乏(PC−61)及び/又はIL−2を用いたC57Bl/6マウスのプレコンディショニングは、静脈内送達したレオウイルスの皮下定着B16腫瘍への局在化を増強した(図3)。しかしながら、この実験に使用した高用量のレオウイルス(3.75×10TCID50)は、毒性をもたらした。したがって、レオウイルスのウイルス用量を1回の注射当たり1×10TCID50に低減して、PC−61又はCPA(PC−61の効果を模倣する)+IL−2+レオウイルスの治療効能を試験した。これらの条件下で、PC−61+IL−2又はCPA+IL−2のいずれかを使用した皮下B16腫瘍の同様の療法が、どの対照治療よりも有意に良好なレベルであったことを観察した(P<0.01;図4A)。プレコンディショニング投薬計画及び静脈内レオウイルスで治療したマウスはいずれも、毒性を発生させなかった。しかしながら、観察可能な毒性の欠如にも関わらず、CPA+IL−2+レオウイルスで治療したマウスの肺及び心臓の両方から、レオウイルスが回収された。これは、ウイルスが肺からのみ回収され、心臓からは回収されなかった、PC−61+IL−2+レオウイルスで治療したマウスと対照的である。したがって、CPA+IL−2によるプレコンディショニングは、静脈内送達したレオウイルスの全身性送達によりもたらされた療法を、PC−61+IL−2により誘導されたものと判別不能なレベルへと増強した。
より高用量のCPA(150mg/kg)は、レオウイルスに対するNAbのレベルを調節することができ、ウイルスの反復投与を可能にすることが以前に示されていた(Qiao et al., Clin. Cancer Research 14:259-69 (2008))。したがって、レオウイルスに対するNAbは、図4Aでウイルス未処理C57Bl/6マウスに見られた治療効果にいかなる阻害性の役割も有していないことが示されているが、それらの血清をNAbレベルについて検査した。予想通り、レオウイルス単独で治療したマウスに由来する血清は、レオウイルスに対する高レベルの中和活性を含有していた(図4B)。これらの値は非常にばらついているが、IL−2又はPC−61のいずれかによる前処理は、血清中の中和活性のレベルを増加させる傾向を示した。レオウイルス投与前にCPAで前処理すると、この中和活性が有意に低減され(P<0.01)、それはCPA+IL−2の組み合わせで維持された(図4B)。PC−61+IL−2によるTreg欠乏の組み合わせは、レオウイルス単独で治療したマウスで観察されたレベルの中和レベルを維持した(図4B)。したがって、IL−2+レオウイルスと組み合わせたCPAの使用は、抗腫瘍療法を増強する(図4A)だけでなく、抗レオウイルス抗体のレベルも調節する。
要約すると、これらのデータは、PBS/レオウイルス単独で治療したマウスと比較して、PC−61+IL−2が、全身性送達したレオウイルスの腫瘍内局在化を2〜3log分だけ増強したことを示す。これは、腫瘍部位でのIL−2誘導性脈管漏出によるものであり、全身性送達したウイルスが定着腫瘍へと局所化する能力を増加させた。さらに、本データは、CPA媒介性Treg修飾が、IL−2及びレオウイルスと共に、定着腫瘍に対する治療薬であることを示す。

Claims (43)

  1. 対象体の増殖性障害を治療するための方法であって、
    (a)前記対象体の間質圧力を減少させるステップと、
    (b)1つ又は複数の腫瘍崩壊性ウイルスを前記対象体に投与するステップとを含む方法。
  2. およそ10〜1012プラーク形成単位(PFU)の前記腫瘍崩壊性ウイルスが前記対象体に投与される、請求項1に記載の方法。
  3. およそ10〜1012プラーク形成単位(PFU)の前記腫瘍崩壊性ウイルスが前記対象体に投与される、請求項2に記載の方法。
  4. およそ10〜1012TCID50の前記腫瘍崩壊性ウイルスが前記対象体に投与される、請求項1に記載の方法。
  5. ステップ(a)が、間質圧力を減少させる作用剤を前記対象体に投与することにより実施される、請求項1に記載の方法。
  6. およそ5〜1000mg/mの前記間質圧力を減少させる作用剤が、前記対象体に投与される、請求項5に記載の方法。
  7. 体重1kg当たりおよそ0.001〜10,000mgの前記間質圧力を減少させる作用剤が、前記対象体に投与される、請求項5に記載の方法。
  8. 前記間質圧力を減少させる作用剤が血管透過性を増加させる、請求項5に記載の方法。
  9. 前記間質圧力を減少させる作用剤がタキサンである、請求項5に記載の方法。
  10. 前記タキサンが、ラロタキセル、パクリタキセル、及びドセタキセルからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  11. およそ40〜300mg/mの前記タキサンが前記対象体に投与される、請求項9に記載の方法。
  12. およそ130〜225mg/mの前記タキサンが前記対象体に投与される、請求項9に記載の方法。
  13. およそ175〜200mg/mの前記パクリタキセルが前記対象体に投与される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記作用剤が、インターロイキン−1(IL−1)、インターフェロン−K(IFN−K)、サブスタンスP、プロティナーゼ阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)、ニトログリセリン、セロトニン、血漿キニン、血小板活性化因子(PAF)、プロスタグランジンE1(PGE1)、ヒスタミン、イマチニブ、閉鎖帯毒素(ZOT)、インターロイキン−2、一酸化窒素阻害剤、及びヒト成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  15. 前記プロティナーゼ阻害剤が、N−アルファ−トシル−L−リシル−クロロメチル−ケトン(TLCK)、トシルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)、又はロイペプチンである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記血漿キニンがブラジキニンである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記一酸化窒素阻害剤が、L−N−モノメチルアルギニン(L−NMMA)又はL−N−ニトロ−アルギニンメチルエステル(L−NAME)である、請求項14に記載の方法。
  18. ステップ(a)が、低カルシウムイオン濃度液体を前記対象体に投与することにより実施される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記液体が、50Tmol/L〜200Tmol/Lのカルシウムイオン濃度を含む、請求項18に記載の方法。
  20. ステップ(a)が、増殖性障害の部位又はその付近の過剰間質液を除去することにより実施される、請求項1に記載の方法。
  21. 前記過剰間質液が、人工リンパ系(ALS)により除去される、請求項20に記載の方法。
  22. ステップ(a)が、透過化光線力学療法用薬剤を前記対象体に投与することにより実行される、請求項1に記載の方法。
  23. ステップ(a)が、ステップ(b)と同時に、ステップ(b)の前に、又はステップ(b)の後で実施される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記間質圧力を減少させる作用剤が、前記腫瘍崩壊性ウイルスの前に投与される、請求項5に記載の方法。
  25. 前記作用剤が、前記腫瘍崩壊性ウイルスの1〜12時間前に投与される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記ウイルスが複数回投与で投与される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記間質圧力を減少させる作用剤が複数回投与で投与される、請求項5に記載の方法。
  28. 炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤を前記対象体に投与するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  29. 前記作用剤が炎症促進性サイトカインを阻害するが、NARAの産生を阻害しないか又は最小限にしか阻害しない、請求項28に記載の方法。
  30. 前記炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が白金化合物である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記白金化合物が、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. およそ5〜1000mg/mの前記白金化合物が前記対象体に投与される、請求項30に記載の方法。
  33. 1分当たり2〜7mg/mL(AUC)の前記カルボプラチンが前記対象体に投与される、請求項31に記載の方法。
  34. 1分当たり5〜6mg/mL(AUC)の前記カルボプラチンが前記対象体に投与される、請求項31に記載の方法。
  35. 前記間質圧力を低下させる作用剤がパクリタキセルであり、前記炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤がカルボプラチンであり、前記腫瘍崩壊性ウイルスがレオウイルスである、請求項28に記載の方法。
  36. 前記間質圧力を減少させる作用剤が、前記腫瘍崩壊性ウイルス投与の4時間前の時点で最初に投与され、前記炎症促進性サイトカインを阻害する作用剤が、前記腫瘍崩壊性ウイルス投与の1時間前の時点で2番目に投与される、請求項28に記載の方法。
  37. 前記ウイルスが、前記二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼ(PKR)を阻害しないように1つ又は複数の突然変異又は欠失を有する、請求項1に記載の方法。
  38. 前記腫瘍崩壊性ウイルスが、レオウイルス、シンドビスウイルス、Delta24、水疱性口内炎ウィルス(VSV)、ニューカッスル病ウィルス(NDV)、ワクシニアウイルス、脳炎ウイルス、帯状疱疹ウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、水痘ウイルス、及び麻疹ウイルスからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  39. 前記レオウイルスが哺乳動物レオウイルスである、請求項38に記載の方法。
  40. 前記レオウイルスがヒトレオウイルスである、請求項38に記載の方法。
  41. 前記ヒトレオウイルスが、血清型1レオウイルス、血清型2レオウイルス、及び血清型3レオウイルスからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記ヒトレオウイルスが、血清型3レオウイルスである、請求項40に記載の方法。
  43. 前記レオウイルスが、IDAC寄託番号190907−01を有する、請求項38に記載の方法。
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