JP2011519559A - モラセスを用いた効率が向上した発酵法 - Google Patents
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Abstract
トランスグルコシダーゼを用いたモラセスの発酵を向上させるための組成物と方法が述べられている。
Description
本発明は、モラセスの発酵法において、発酵を行いうる糖の量を増加させるため、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを使用する方法に関する。このトランスグルコシダーゼ酵素は、それのみで、または他の炭水化物加工酵素と組合わせて使用できる。
モラセスとは普通、サトウキビとサトウダイコンの加工の副産物をいう。モラセスは世界中で非常に大量に製造されている。例えば、2005年では、世界中のモラセス製造量は5070万トンと見積もられている。モラセス全体の約48%はアジアで製造され、その多くの部分はインド、中国、タイで製造された。サトウキビとサトウダイコンのそれぞれから製造されるモラセスは同様の糖の組成を有している。両タイプのモラセスは発酵可能な糖と発酵できない糖の両者を含んでいる。しかし、サトウダイコンのモラセスは、サトウキビのモラセスよりも低い濃度の発酵可能な糖と高い濃度の発酵できない糖を含んでいる。工業的な発酵は多くのタンパク質、酵素、アミノ酸、アルコール、有機酸、医薬品及び他の生化学的製品の製造用の原料として主に、グルコースとショ糖を使用している。しかし、多くの用途で、モラセスは発酵においても使用できる。
典型的には、サトウキビ又はサトウダイコン由来のモラセスの全組成(糖、タンパク質等)は、相当量のタンパク質、非発酵性デンプン、ラフィノース(三糖(ガラクトース残基-グルコース残基-フルクトース残基))、スタキオース(四糖(ガラクトース残基-ガラクトース残基-グルコース残基-フルクトース残基)のような非発酵性オリゴ糖を含む。従来の方法で使用される酵素はラフィノースとスタキオースを発酵性の糖に加水分解しないので、これらの非発酵性の糖は発酵工程では使用できない。α-ガラクトシダーゼは非発酵性の糖を加水分解できると報告されたが(例えば、SuzukiらUSP 3,767,526, 1973;及びMeguroらUSP4,036,694,1977参照)、これはラフィノースとスタキオースを加水分解しなかった。デキストラナーゼも糖溶液中のデキストリンを加水分解するために使用された(The Alcohol Textbook, 第3版. K.A. Jacques, T. P. Lyons and D.R. Kelsall 編、Nottingham University Press, UK中、Murtaugh, J.E. 1999 Molasses as a feedstock for alcohol production.)が、短い分子鎖のデキストリンにのみ作用し、非発酵性の糖を全く加水分解しなかった。従って、モラセスの発酵性を高めるより良い方法が求められている。
本発明は発酵中又は発酵前にトランスグルコシダーゼを用いてモラセスの発酵収量を高める新しい方法を与える。本方法はトランスグルコシダーゼ酵素をモラセス発酵に加えることによりアルコールの収量を高めるという驚くべき発見に基づいている。別の試験は、意外にもトランスグルコシダーゼがモラセス中の非発酵性の糖、例えばラフィノースとスタキオースを発酵性の糖へ加水分解することを示した。トランスグルコシダーゼはマルト-オリゴ糖を、発酵性の低いイソマルトースやパノースのようなイソマルト-オリゴ糖へ変換することが一般的に知られているので、このことは予想外であった。従って、モラセスへトランスグルコシダーゼを加えることによりラフィノースやスタキオース(3糖)が加水分解されることは予想外であり、またこれらが発酵性の単糖に加水分解されることも予想外であった。
従って、本法の実施態様は、発酵培地または発酵反応中で少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含む酵素組成物とモラセスを接触させ、ラフィノースとスタキオースのような非発酵性の糖を加水分解する方法を含む。本法は、例えば、モラセス中の顆粒デンプン、タンパク質及び残存デンプンを加水分解するために第2の酵素を加えることも含みうる。本発明はまた、モラセスから発酵性の糖に変換し、アルコール(例.エタノール)、有機酸(例.乳酸又はクエン酸)及び生化学分野の特注品(例.アミノ酸、グルタミン酸モノナトリウム等)のような最終製品を得ることにも関係している。
本発明のいくつかの面は、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼ酵素をモラセスと接触させ、発酵性の糖を得ることによりモラセス中の発酵性の糖を増加させる方法を含む。本法はまた、発酵性の微生物の存在下で発酵性の糖を目的製品へ発酵させることも含み得る。接触と発酵は同時に起こりえるか、または接触が前処理となりえる。いくつかの実施態様では、非発酵性オリゴ糖はラフィノース及び/又はスタキオースである。いくつかの実施態様では、非発酵性のオリゴ糖はラフィノース及び/又はスタキオースである。いくつかの実施態様では、モラセスは非発酵性デンプン、例えば、顆粒デンプンを含み、接触、前処理及び/又は発酵は非発酵性デンプン(例.顆粒デンプン)のゼラチン化の温度より低温で起こる。いくつかの実施態様では、本法はまた少なくとも1個の顆粒デンプン加水分解酵素(GSHE)とモラセスを接触させることも含む。このGSHEはアルファアミラーゼ又はグルコアミラーゼでありえる。いくつかの実施態様では、本法はさらに少なくとも1個のアルファアミラーゼと少なくとも1個のグルコアミラーゼをモラセスと接触させることを含む。ここで、アルファアミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼの少なくとも1個は、顆粒デンプン加水分解活性を有する。いくつかの実施態様では、本法はさらに少なくとも1個の他の酵素、例えば、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ(例.酸菌類プロテアーゼ(acid fungal protease))、β-グルコシダーゼ、非GSHEアルファアミラーゼ、及び/又は非GSHEグルコアミラーゼとモラセスを接触させることを含む。いくつかの実施態様では、この酸菌類プロテアーゼはアスペルギルス属の種又はトリコデルマ属の種由来である。いくつかの実施態様では、本法は、GSH活性を有するアルファアミラーゼ、GSH活性を有するGA、ヘミセルラーゼ及び酸菌類プロテアーゼとモラセスと接触させることを含む。いくつかの実施態様では、発酵及び/又は前処理はモラセス中の顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度で起こる。いくつかの実施態様では、接触及び/又は前処理温度は約52℃未満である。いくつかの実施態様では、接触及び/又は前処理温度は約80℃未満である。いくつかの実施態様では、この発酵温度は約15から40℃である。いくつかの実施態様では、
発酵、接触及び前処理温度は約15から40℃である。いくつかの実施態様では、接触及び/又は前処理は約2.0から約7.0で、又は3.5から7.0で行われる。いくつかの実施態様では、発酵は約2.0から7.0又は3.5から7.0のpHで行われる。
発酵、接触及び前処理温度は約15から40℃である。いくつかの実施態様では、接触及び/又は前処理は約2.0から約7.0で、又は3.5から7.0で行われる。いくつかの実施態様では、発酵は約2.0から7.0又は3.5から7.0のpHで行われる。
本発明のさらなる面は、モラセスを少なくとも1個のトランスグルコシダーゼ酵素と接触させ、発酵性生物の存在下モラセスを発酵させることによりエタノールを製造する、モラセスからエタノールを製造する方法である。いくつかの実施態様では、この接触と発酵は同時に起こる。いくつかの実施態様では、この接触は前処理として行われる。いくつかの実施態様では、接触、発酵及び/又は前処理は、モラセス中の顆粒デンプンのデンプンゼラチン化温度より低い温度で起こる。いくつかの実施態様では、前処理は、モラセス中の顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度であるが、本法で使用されるトランスグルコシダーゼ及び/又は他の酵素の最適温度により近い温度で起こる。本発明の別の面は、先に述べた方法により作られる発酵性の糖の組成物である。
本発明の別の面はモラセス中の発酵性の糖を増やすために少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを用いることを含む。いくつかの実施態様では、本使用はさらにエタノールを製造するために発酵性の糖を発酵させることをさらに含む。いくつかの実施態様では、アルファアミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼのような、少なくとも1個のGSHEが含まれる。
本発明の別の面はモラセス中のラフィノース及び/又はスタキオースを加水分解する有効な量で少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含有する、モラセス発酵用の組成物である。いくつかの実施態様では、本組成物はまた、少なくとも1個のGSHEも含む。いくつかの実施態様では、この少なくとも1個のGSHEはグルコアミラーゼ及び/又はアルファアミラーゼである。いくつかの実施態様では、この組成物は、セルラーゼ、ベータグルコシダーゼ、べータ-グルカナーゼ、酸菌類プロテアーゼ、デキストリナーゼ、及びアルファガラクトシダーゼから選ばれる少なくとも1個の他の酵素を含む。いくつかの実施態様では、本組成物は少なくとも1個のTG、アルファアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコアミラーゼ及び酸菌類プロテアーゼを含む。
本発明はトランスグルコシダーゼが非発酵性の糖を発酵性の糖へ加水分解するという発見に基づく。これは、種々の酵素がモラセス発酵においてアルコール収量を増やす性能についてモラセスで試験されたときに見出された。試験を受けたいくつかの酵素はアルコール収量をある程度増やしたが、TRANSGLUCOSIDASE L-500(Danisco US, Inc., Genencor divisionの市販製品)を発酵に加えると、アルコールの収量を相当に増やした。本明細書の別の試験は、トランスグルコシダーゼがラフィノースとスタキオースのような非発酵性のオリゴ糖を加水分解して発酵性の糖にできることを示した。トランスグルコシダーゼは一般的にマルト-オリゴ糖を、発酵性がより低いイソマルトースとパノースのようなイソマルト-オリゴ糖へ変換することが知られているのでこれは予想外であった。つまり、トランスグルコシダーゼをモラセスに加えてラフィノースとスタキオース(三糖)を加水分解することは予想外であり、またそれらが発酵性の単糖に加水分解されることも予想外であった。
本発明は発酵中又は発酵前にトランスグルコシダーゼを用いてモラセスの発酵収量を増加させる新しい方法を与える。本法のいくつかの実施態様は、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含む酵素組成物又はブレンドとモラセスを接触させる方法を含む。いくつかの実施態様では、これによりラフィノースとスタキオースのような非発酵性の糖は発酵性の糖に加水分解される。いくつかの実施態様では、この接触はモラセス中の顆粒デンプンのデンプンゼラチン化温度より低い温度で起こる。本法はまた、例えば、モラセス中の顆粒デンプン、タンパク質及び残留デンプンを加水分解するため第2の酵素の添加を含みえる。本発明はまた、アルコール(例.エタノール)、有機酸(乳酸、クエン酸)及び生化学分野の特注品(アミノ酸、グルタミン酸モノナトリウム等)のような、目的製品を得るためにモラセスから発酵性の糖に変換することにも関する。
本明細書の実施例に示すとおり、トランスグルコシダーゼがモラセス発酵中のエタノールの収量を増やすという端緒となった発見はラフィノースとスタキオース(モラセス中の2種の非発酵性の糖)の加水分解により説明できる。さらに、他のデンプン加水分解酵素、例えば、モラセスの酵母発酵のための未加工デンプン加水分解酵素もまた本法中の発酵性の糖の量を増やした。例えば、顆粒デンプン加水分解性(GSHE)をもつアルファアミラーゼとグルコアミラーゼを加えてもより多くの発酵性の糖が生成する。第2の酵素、例えばプロテアーゼもまた発酵を高めた。例えば、酸菌類プロテアーゼ(Danisco US, Inc., Genencor DivisionのFERMGEN(商標), GC106 )は、モラセス中のタンパク質を加水分解し、窒素の利用能を高め、酵母の増殖を高めた、遊離アミノ基の窒素(FAN)と機能性ペプチドを産生することにより効率的に発酵を改善することが見出された。セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ベータ-グルカナーゼ、デキストラナーゼ及びペクチナーゼのような酵素はモラセス中の非デンプン性多糖とガムの加水分解でも使用できる。本発明はモラセスを発酵してエタノールを得る収量と効率を向上させる方法と組成物を与える。
いくつかの実施態様では、本法はトランスグルコシダーゼの存在下、発酵性微生物により発酵が行われる温度(例.28-38℃)でモラセスを定温反応させ及び/又は発酵させ、トランスグルコシダーゼのない場合の発酵よりも高い発酵収量を与えることを含む。いくつかの実施態様では、この温度はモラセス中の顆粒デンプンのデンプンゼラチン化温度より低い。他の実施態様では、第2の酵素、例えばGSHE類、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、キシラナーゼ、及びセルラーゼが、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼと共に含まれる。いくつかの実施態様では、このトランスグルコシダーゼと任意に少なくとも1つの第2の酵素が前処理工程に加えられ、次に発酵が行われる。
定 義
定 義
別に記載されている場合を除き、本発明の実施は、本技術分野の技術であって、分子生物学、タンパク質工学、組換えDNA技術、微生物学、細胞生物学、細胞培養、遺伝子組み換え生物学、免疫学及びタンパク質精製で普通に使用される従来の技術を含む。このような技術は本技術分野の技術者に知られ、多くの教科書や参考文献に述べられている。本明細書で述べられた全ての特許、特許出願、記事及び刊行物は、上記のものも、下記のものも引用により本明細書に明示的に組み入れられる。
別に定義されている場合を除き、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属している技術分野の普通の技術者により普通に理解されているものと同一の意味をもつ。本明細書に述べられているものと似た又は同等のいずれの方法や物質も本発明の実施又は試験で使用できるが、好ましい方法と物質が述べられている。従って、直ぐ後に定義される用語は、明細書を全体的に参照することにより、より十分に述べられる。また、本明細書で使用される場合、単数表記は、文脈から明らかに異なる場合を除き、複数をも示す。数値範囲はその範囲を限る数を含む。従って、例えば、「化合物」を含む組成物とは2以上の化合物の混合物を含む。用語「または」は、文脈から明らかに異なる場合を除き「及び/又は」を含む意味で一般的に使用される。別に記載がある場合を除き、アミノ酸は、アミノ基からカルボキシ基の向きへ左から右へ書かれる。本発明は、述べられる特定の方法、プロトコール及び試薬に限定されないことは理解されるべきである。なぜならそれらは本技術分野の技術者により用いられる文脈に応じて変わりうるものであるからである。さらに本明細書に与えられた表題は、全体的に明細書を参照したときに得られる発明の種々の局面又は実施態様を限定するものではない。従って、直ぐ後に定義された用語は全体的に明細書を参照することにより十分に定義される。しかし、本発明の理解を容易にするため、多くの用語を下記に定義する。本発明の他の特徴と長所は本明細書と請求項から明らかになろう。
本明細書で使用する場合、「モラセス」はサトウキビ又は他の植物性産品の加工の副産物として製造されるシロップをいう。2,3例を上げると、廃糖みつ(サトウキビから砂糖を製造したときの副産物);ハイテストモラセス(high test(cane) molasses)(サトウキビから絞られた一次産品);精糖所のサトウキビのモラセス(未精製の褐色の砂糖を白い砂糖に精製する工程の副産物);砂糖ダイコンモラセス(サトウダイコンから砂糖を製造するときの副産物);かんきつ類モラセス(乾燥したかんきつ類のパルプの製造の際に絞られる果汁)を含む多くの種類のモラセスがある。
本明細書で「発酵性の糖」とは、発酵性生物(例.酵母)により直接分解されえる糖である。発酵性の糖のいくつかの例はフルクトース、マルトース、グルコース、ショ糖、及びガラクトースを含む。
本明細書で使用する場合、「非発酵性の糖」は発酵性の生物(例.酵母)により直接に分解できない糖である。非発酵性の糖の例はラフィノースとスタキオースを含む。
本明細書で使用する場合、「アルファアミラーゼ」はα-1,4-グルカン-4-グルカノヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.1)であり、デンプン(例.アミロペクチン又はアミロースポリマー)の内部α-1,4-グルコシド結合を開裂又は加水分解する性能を有する。
「デキストリン」は、本明細書ではグルコースの短い分子鎖のポリマー(例.2から10単位)をいう。
本明細書で使用する場合、用語「デンプン」は植物の複合多糖炭水化物、(C6H10O5)xの式(xはいずれの数でも良い)をもつアミロースとアミロペクチンからなる物質をいう。
本明細書で使用する場合、用語「顆粒デンプン」は未加工デンプン、すなわち、ゼラチン化の温度に晒されていないデンプンをいう。
本明細書で使用する場合、用語「顆粒デンプン加水分解(GSH)酵素(GSHE)」と「顆粒デンプン加水分解(GSH)活性を有する酵素」は、顆粒の形態のデンプンを加水分解する性能を有する酵素をいう。
本明細書で使用する場合、用語「グルコアミラーゼ(例.E.C.3.2.1.3)」はデンプン及び関連するオリゴ糖及び多糖の非還元末端からD-グルコースの遊離を触媒できる酵素をいう。
本明細書で使用する場合、用語「トランスグルコシダーゼ」はグルコシル基の転移反応を行うことができる酵素をいう。トランスグルコシダーゼはα-1,6、α-1,4、α-1,3、α-1,2グルコシル基トランスフェラーゼに分けられる。いくつかのトランスグルコシダーゼはD-グルコシルトランスフェラーゼ(例えば、E.C.2.4.1参照)であり、α-D-グルコ-マルト-オリゴ糖と定温反応するとき転移反応と加水分解反応の両者を触媒する。転移はHO-6へ最も頻繁に生じ、D-グルコースからイソマルトース、マルトースからパノースを産生する。この酵素はまたコジビオース(kojibiose)又はニゲロース(nigerose)またはマルトースも生成できる。トランスグルコシダーゼ反応の結果として、マルト-オリゴ糖はイソマルト-オリゴ糖に変換され、非還元末端からのα-D-1,6結合により結合されたグルコシル残基を高い割合で含有する新しいクラスの多糖となる。
本明細書で使用する場合、用語「オリゴ糖」はグルコシド結合で結合した2個から10個の単糖単位を有する化合物をいう。これらの単純な糖の短い分子鎖のポリマーにはデキスリンを含む。
本明細書で使用する場合、用語「DE」又は「デキストロース当量」は全還元糖の濃度を測定する工業的標準であり、乾燥量に基づくD-グルコースとして計算される。加水分解されない顆粒デンプンは本質的に0であるDEを有するし、D-グルコースは100のDEを有する。
本明細書で使用する場合、用語「グルコースシロップ」はグルコースを含有する水性組成物をいう。グルコースシロップは、普通少なくとも20のDEを有する。いくつかの実施態様では、グルコースシロップは21%より多く水を含まない。いくつかの実施態様では、グルコースシロップはデキストロースとして計算して25%以上の還元糖を含む。いくつかの実施態様では、グルコースシロップは少なくとも約90%のD-グルコースを含み、別の実施態様では、グルコースシロップは少なくとも約95%のD−グルコースを含む。いくつかの実施態様では、用語シロップとグルコースシロップは相互に入れ替えて使用される。
本明細書で使用する場合、用語「総糖含量」とは、デンプン組成物中に含有される糖の総量をいう。
本明細書で使用する場合、用語「乾燥固体(ds)」は、乾燥量ベースで、%で表したスラリーの総固体量をいう。
本明細書で使用する場合、用語「ゼラチン化」は、一般にクッキングによりデンプン分子を可溶化し粘度の高い懸濁液を形成することをいう。
本明細書で使用する場合、用語「ゼラチン化温度」はデンプン含有基質のゼラチン化が始まる温度をいう。ゼラチン化の正確な温度は個々のデンプンにより変わり、植物種、環境及び生育条件のような因子により変動する。多くの顆粒デンプンの初期デンプンゼラチン化温度範囲は、例えば、オオムギ(52から59℃)、コムギ(58℃から64℃)、ライ麦(57℃から70℃)、トウモロコシ(62℃から72℃)、高アミローストウモロコシ(67℃から80℃)、コメ(68℃から77℃)、ソルガム(sorghum) (68℃から77℃)、馬鈴薯(58℃から68℃)、タピオカ(59℃から69℃)及び甘藷(58℃から72℃)を含む。(例えば、STARCH CONVERSION TECHNOLOGY, Van Beynumら編(1985) Marcel Dekker Inc. New York の32-38ページJ.J.M.Swinkels、及びThe Alcohol Textbook 第3版、A Reference for the Beverage, Fuel and Industrial Alcohol Industries, Jacquesら編(1999) Nottingham University Press, UK参照)
本明細書で使用する場合、用語「ゼラチン化温度未満」は、ゼラチン化温度より低い温度をいう。
本明細書で使用する場合、用語「発酵」は微生物による有機基質の酵素的かつ嫌気的分解により単純な有機化合物を産生することをいう。発酵は嫌気的条件で起こるが、発酵は、酸素存在下でも起こるので、この用語を厳密な嫌気的条件のみに限定する意図はない。
本明細書で使用する場合、用語「目的生成物」は発酵性の基質から酵素的に変換されたいずれかの炭素源に由来する生成物をいう。いくつかの実施態様では目的生成物はアルコール(例.エタノール)である。
本明細書で使用する場合、用語「に由来する」は用語「により生じた」、「得られた」または「から得ることができる」、及び「から単離された」及びいくつかの実施態様で、本明細書で使用される場合、ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドが、そのヌクレオチオドが天然に含まれている、又はそのヌクレオチドが挿入された細胞から産生されることをいう。
本明細書で使用する場合、「発酵性生物」と「発酵性微生物」はいずれかの微生物または細胞であり、直接に、または間接的に目的生成物を産生する発酵での使用に適しているものをいう。
本明細書で使用する場合、用語「エタノール産生体」または「エタノール産生微生物」は単糖またはオリゴ糖からエタノールを産生できる発酵性生物をいう。
本明細書で使用する場合、用語「回収された」、「単離された」及び「分離された」は、天然に組み合わされている少なくとも1個の成分から取り出されたタンパク質、細胞、核酸またはアミノ酸をいう。
本明細書で使用する場合、用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は本明細書では相互に入れ替えて使用される。本願の開示と請求項では、アミノ酸残基の従来の1文字及び3文字コードが使用される。アミノ酸の3文字コードは、生化学命名に関するIUPAC‐IUB合同委員会(IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN))に則って定義されたとおりである。また、遺伝子コードの縮重のため、一個のポリペプチドは一以上のヌクレオチド配列によりコードできるとも理解される。
本明細書で使用する場合、用語「接触」は、少なくとも1個の酵素が基質を少なくとも1個の目的生成物に変換できる程、その酵素をその個々の基質の十分に近くに置くことをいう。いくつかの実施態様では、この目的生成物は「所望の生成物」(つまり、発酵反応の希望する結果である目的生成物)である。本技術分野の技術者は、少なくとも1個の酵素を含む少なくとも1個の溶液をそれぞれの酵素基質と混合させると「接触する」ことを認識するだろう。
本明細書で述べられている物に似た又は同等のいずれの方法と材料も本発明の実施と試験において使用できるが、例として好ましい方法と材料がこれから述べられる。本明細書に述べられた全ての刊行物は、これらの刊行物の引用に関わる方法及び/又は材料を開示し及び述べるために引用により本明細書に組み入れられる。
ある範囲の値が与えられたとき、文脈から明らかに異なっている場合を除き、その範囲の上限値と下限値の間の値も、下限値の10分の1の単位にまで、具体的に開示されていると理解される。記載された範囲にあるいずれかの記載された値又は中間の値と、記載された範囲にあるいずれか他の記載された値又は中間の値の間のそれぞれのより小さい範囲が本発明に含まれる。これらのより小さい範囲の上限と下限は、それぞれこの範囲に含まれ或いは含まれない。このより小さい範囲のそれぞれは、本発明にこのより小さい範囲の限度のいずれか又は両側がふくまれ、又は何れもが含まれず、記載された範囲内でいずれかの特定の除外限界を含むことができる。記載された範囲が限度の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限度のいずれか一方又は両方を含まない範囲もまた本発明に含まれる。
本明細書に述べられた刊行物は本出願の出願日前の開示についてのみ提供されている。本明細書の記載等のいずれも本発明が先行発明のため、その刊行物に先行すると主張する資格はないことを認めるものと解釈されてはならない。
実施例
実施例
発明者はモラセス発酵にトランスグルコシダーゼを加えると、及び/またはモラセスの前処理としてトランスグルコシダーゼを加えると、トランスグルコシダーゼを加えないモラセスの発酵を上回る利点が得られることを見出した。さらに、アルファアミラーゼ(AA)及び/又はグルコアミラーゼ(GA)のような顆粒デンプン加水分解酵素(GSHE)を加えるとさらに利点が得られた。次の酵素のいずれかのみ、またはトランスグルコシダーゼと組み合わせて任意にGSHEを加えて次の酵素のいずれかを添加すると、さらに利点が得られる。:グルコアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、β-グルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、及び/又は酸菌類プロテアーゼ。いくつかの実施態様では、少なくとも1個のアルファアミラーゼ及び/または少なくとも1個のグルコアミラーゼが加えられる。いくつかの実施態様では、この少なくとも1個のAA及び/又はGAは顆粒デンプン加水分解(GSH)活性を有する。
ある面では、本発明は以下から選ばれた少なくとも1個の第2の酵素と組み合わせてトランスグルコシダーゼを含有する酵素ブレンド又は組成物に関する。すなわち、グルコアミラーゼ、アルファアミラーゼ、顆粒デンプン加水分解酵素、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、β-グルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、ペクチナーゼ、及び酸菌類プロテアーゼ。本発明はまた、モラセス中の発酵性の糖の製造における本ブレンド又は組成物の使用及び最終生成物(例.エタノール)の製造に関する。別の面では、本発明はトランスグルコシダーゼと少なくとも1個のGSHEを含有する酵素ブレンドと組成物に関する。このGSHEはアルファアミラーゼ及び/またはグルコアミラーゼでありえる。さらに別の実施態様では、本発明はトランスグルコシダーゼ、GHSE活性を有するアルファアミラーゼ、及びGSHE活性を有するグルコアミラーゼを含有する酵素ブレンドまたは組成物に関する。さらに別の実施態様では、トランスグルコシダーゼ、AA、及びGAの組み合わせは、さらに以下の第2の酵素のうち少なくとも1個を含む。:酸菌類プロテアーゼ(AFP)、セルラーゼ、ヘミ-セルラーゼ、β-グルカナーゼ、β-グルコシダーゼ及びペクチナーゼ。TGと任意にGSHEを含有するブレンド又は組成物の利点の一つは実質的に同一条件下で発酵のみにより産生されるエタノールの量と比較して多量のエタノールを産生することである。いくつかの面では、この増大は発酵のみの場合と比べて0.1%より大きく、また0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2%、及び2.5%より大きい。
トランスグルコシダーゼ
トランスグルコシダーゼ
適したトランスグルコシダーゼならいずれでも本発明の方法で使用される。トランスグルコシダーゼの種類は本発明に特に重要ではない。いくつかの実施態様では、本トランスグルコシダーゼはグルコシル基転移反応をすることができる酵素である。他の実施態様では、このトランスグルコシダーゼは、またラフィノースとスタキオースのような非発酵性の糖を加水分解して発酵性の糖にすることができる。一般にトランスグルコシダーゼ(例えば、E.C.2.4.1参照)はグルコシル基の転移反応を行うことができる酵素である。トランスグルコシダーゼは、α-1,6、α-1,4、α-1,3、α-1,2グルコシルトランスフェラーゼに分けられる。本発明で有用なトランスグルコシダーゼにはD-グルコシルトランスフェラーゼ(例.E.C.2.4.1.25参照)があり、α-D-グルコ-オリゴ糖と定温反応するとき転移反応といくつかの加水分解反応の両者を触媒する。転移はHO-6に最も頻繁に起こり、D-グルコースからイソマルトース、及びマルトースからパノースを産生する。この酵素はコジビオースまたはニゲロースまたはマルトースも形成できる。トランスグルコシダーゼ反応の結果として、マルト-オリゴ糖はイソマルト-オリゴ糖に転換され、非還元末端からα-D-1,6結合により結合された、高い割合のグルコシル残基を含有する新しいクラスの多糖となる。トランスグルコシダーゼの活性はトランスグルコシダーゼ単位(TGU)として測定される。トランスグルコシダーゼは、細菌、植物及び菌類の異種または内生のタンパク質発現から得られる。本発明で有用なトランスグルコシダーゼのいくつかは、糸状菌、酵母のいくつかの株により産生され、特にアスペルギルス属の株から分泌されるトランスグルコシダーゼである。本組成物で使用される可能性のあるトランスグルコシダーゼ酵素はBarkerら(Studies of Aspergillus niger. Part II. Transglucosidation by Aspergillus niger. J.Chem.Soc., 1953 3588-3593); Pazurら(The glycoprotein nature and antigenicity of a fungal D-glucosyltransferase Carbohydr. Res. 1986 149:137-47)及びNakamuraら(Cloning and sequencing of an alpha-glucosidase gene from Aspergillus niger and its expression in A. nidulans J. Biotechnol. 1997 53:75-84)が一般的に述べている。ある実施態様では、使用される可能性のあるトランスグルコシダーゼ酵素はMegazyme(Co. Wicklow, Ireland) またはDanisco US, Inc. Genencor Divison(Palo Alto, CA ,製品名はTRANSGLUCOSIDASE L-500)から購入しても良い。いくつかの実施態様では、本酵素はトリコデアルマ・レセイ細胞で産生されるAspergillus nigerトランスグルコシダーゼ酵素でありえる。ある場合には、このトランスグルコシダーゼ酵素は野生型菌類トランスグルコシダーゼ(例.NCBIのGenbank database に次のアクセス番号として保存されているアミノ酸配列を有する菌類トランスグルコシダーゼ:D45356(GID:2645159;Aspergillus niger)、BAD06006.1(GID:4031328; Aspergillus awamori)、BAA08125.1(GID:1054565;Aspergillus oryzae)、XP_001210809.1(GID:115492363; Aspergillus terreus)、XP_001271891.1(GID:121707620;Aspergillus clavatus)、XP_001266999.1(GID:119500484;Neosartorya fischeri)、XP_751811.1(GID:70993928; Aspergillus fumigatus)、XP_659621.1(GID:67523121;Aspergillus nidulans)、XP_001216899.1(GID:115433524;Aspergillus terreus)及びXP_001258585.1(GID:119473371;Neosartorya fischeri)、または、野生型菌類トランスグルコシダーゼと少なくとも70%同一、例えば、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有するその変異種でも良い。本発明を何れかの特定のトランスグルコシダーゼに限定する意図はない。なぜなら、いずれの適したトランスグルコシダーゼも本発明の方法で使用されるからである。本発明を具体的に記載したトランスグルコシダーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
第二の酵素
グルコアミアラーゼ類
第二の酵素
グルコアミアラーゼ類
種々のグルコアミラーゼ(GA)(E.C.3.2.1.3.)は本発明で使用される。いくつかの実施態様では、本発明で使用されるグルコアミラーゼは顆粒デンプン加水分解活性(GSH)を有し、またはGSH活性を有するように遺伝子工学的に操作された変異種である。いくつかの実施態様では、GSH活性は有利である。なぜなら、本酵素はモラセス中のより多くのデンプン、特にいずれかの顆粒デンプンを分解するように作用するからである。いくつかの実施態様では、このグルコアミラーゼは細菌、植物、及び/又は菌類により内生的に発現され、いくつかの別の実施態様では本グルコアミラーゼは宿主細胞(例.細菌、植物及び/又は菌類)に異種である。いくつかの実施態様では、本発明で有用なグルコアミラーゼは、いくつかの糸状菌と酵母の株により産生される。例えば、アスペルギルス属とトリコデルマ属の株により産生される市販のグルコアミラーゼは本発明で使用される。適したグルコアミラーゼは天然に発生する野生型グルコアミラーゼと変異種及び遺伝子工学的に操作された変異グルコアミラーゼ(例.ハイブリッドグルコアミラーゼ)を含む。ハイブリッドグルコアミラーゼは、例えば、ある生物由来のGA(例.タラロマイセスGA)の触媒ドメインと、異なる生物由来(例.トリコデルマGA)のデンプン結合ドメインを有するグルコアミラーゼを含む。いくつかの実施態様ではリンカーはデンプン結合ドメイン(SBD)または触媒ドメインとともに含まれる。以下のグルコアミラーゼは本発明に含まれる方法で使用されるグルコアミラーゼの非限定的な例である。アスペルギルス・ニゲルG1、及びG2グルコアミラーゼ(例えば、Boelら(1984) EMBO J.3:1097-1102;WO92/00381, WO00/04136及びUSP6,352,851参照);アスペルギルス・アワモリグルコアミラーゼ(例えば、WO84/02921参照);アスペルギルス・オリゼグルコアミラーゼ(例えば、Hataら(1991)Agric. Biol. Chem. 55:941-949参照)とアスペルギルス・シロウサミ(例えば、Chenら(1996)Prot.Eng.9:499-505;Chenら(1995)Prot.Eng.8:575-582;及びChenら(1994) Biochem J. 302:275-281参照)。
本発明で使用される第2のグルコアミラーゼはタラロマイセス属(例.T・エメルソニー(T.emersonii)、T.レイセッタヌス(T.leycettanus)、T.デュポンティ(T.duponti)及びT.テルモフィルス(T.thermophilus)グルコアミラーゼ(例えば、WO99/28488; USP第RE:32,153;USP第4,587,215参照))の株、トリコデルマ属(例.T.レセイ)の株から得られるもの、及び米国特許公開第2006-0094080号に開示された配列番号4と少なくとも約80%、約85%、約90%及び約95%の配列同一性をもつグルコアミラーゼ; リゾプス属(Rhizopus)(例.R.ニヴェウス(R.niveus)とR.オリゼ(R.oryzae))の株;ムコル(Mucor)属の株とフミコラ(Humicola)属の株(例.H.グリセア(H.grisea (例えば、Boelら(1984)EMBO J. 3: 1097-1102; WO92/00381;WO00/04136;Chenら(1996)Prot.Eng.9:499-505; Taylorら(1978)Carbohydrate Res. 61:301-308; USP. 4,514,496;USP4,092,434;USP4,618,579; Jensenら(1988) Can. J. Microbiol. 34:218-223及びWO2005/052148の配列番号3)から得られるものも含む。いくつかの実施態様では、本発明で有用なグルコアミラーゼはWO05/052148の配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約85%、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%及び約99%の配列同一性を有する。本発明で有用な他のグルコアミラーゼは、アテリア・ロルフシー(Athelia rolfsii)とその変異種(例えば、WO04/111218参照)及びペニシリウム属の種(例.ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum))から得られるものを含む。
本発明で有用な市販のグルコアミラーゼはDISTILLASE(登録商標)、OPTIDEX(登録商標)L-400及びG ZYME(登録商標)G990 4X、GC480、G-ZYME(登録商標)480、FERMGEN(登録商標)I-400(Danisco US, Inc, Genencor Division)、CU. CONC(登録商標)(Shin Nihon Chemicals, Japan)、GLUCZYME(登録商標)(Amano Pharmaceuticals, Japan (例えばTakahashiら(1985),J.Biochem.98:663-671参照))を含むが、これらに限定されない。本発明で使用される第2の酵素はリゾプス属の種により産生される3形態のグルコアミラーゼ(例.E.C.3.2.1.3)、すなわち、”Gluc1”(分子量74,000)、”Gluc2”(分子量58,600)及び”Gluc3”(分子量61,400)を含む。本発明をいずれかの特定のグルコアミラーゼに限定する意図はない。なぜなら適したグルコアミラーゼならいずれでも本発明の方法で使用できるからである。本発明を特定の記載されたグルコアミラーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
アルファアミラーゼ類
アルファアミラーゼ類
種々のアルファアミラーゼは本発明の方法で使用される。いくつかの実施態様では、本発明で使用されるこのアルファアミラーゼは顆粒デンプン加水分解活性(GSH)を有し、またはGSH活性をもつように操作された変異種である。いくつかの実施態様では、GSH活性があることが有利である。なぜなら、この酵素がモラセス中のデンプンのより多く、特にいずれかの顆粒(未加工)デンプンをより多く分解するように作用するからである。GSHE活性を有するアルファアミラーゼは、アスペルギルス・カワチ(例.AkAA),アスペルギルス・ニゲル(例.AnAA)及びトリコデルマ・レセイ(例.TrAA)から得られるものを含むがこれらに限定はされない。いくつかの実施態様では、アルファアミラーゼは酸に安定なアルファアミラーゼであり、有効量で加えられたとき、3.0から7.0のpHの範囲で活性を有する。
さらに、いくつかの実施態様では、このアルファアミラーゼは野生型のアルファアミラーゼ、その変異種又はその断片であり、又は例えば1つの微生物から触媒ドメインが由来し、別の微生物からデンプン結合ドメインが由来するハイブリッドアルファアミラーゼである。このブレンドと組合わせて有用でありえる他のアルファアミラーゼの非限定的な例はバシルス属、アスペルギルス属、トリコデルマ属、リゾプス属、フサリウム属、ペニシリウム属、ニューロスポラ属及びフミコラ属に由来するものである。
本法におけるGSHEまたは第2の酵素として使用できるいくつかのアミラーゼは、市販されている。例えば、Novo Nordisk A/Sから入手できるTERMAMYL(登録商標)120-L、LC及びSC SAN SUPER(登録商標)、SUPRA(登録商標)、及びLIQUEZYME(登録商標)SC、VereniumのFUELZYME(登録商標)LF、及びDanisco, US, Inc., Genencor Divisionから入手できるCLARASE(登録商標)L、SPEZYME(登録商標)FRED、SPEZYME(登録商標)XTRA、GC626、及びGZYME(登録商標)G997である。
本発明は、本発明の方法で使用される、適したアルファアミラーゼとして、いずれかの特定のアルファアミラーゼに限定する意図はない。なぜなら、いずれの適したアルファアミラーゼも本発明の方法で使用できるからである。本発明を具体的に記載されているアルファアミラーゼと市販されている酵素に限定する意図はない。
セルラーゼ類、ヘミセルラーゼ類及びβ-グルコシダーゼ類
セルラーゼ類、ヘミセルラーゼ類及びβ-グルコシダーゼ類
種々のセルラーゼは本発明の方法で使用される。セルラーゼはセルロース(β-1,4-D-グルカン結合)及び/又はその誘導体、例えば、リン酸スオレンセルロース(phosphoric acid swollen cellulose)を加水分解する酵素組成物である。セルラーゼはエキソセロビオヒドロラーゼ(CBH)、エンドグルカナーゼ(EG)及びβ-グルコシダーゼ(BG)に分類される(例えば、これら酵素の分類についてEC3.2.1.91、EC3.2.1.4及びEC3.2.1.21参照)。セルラーゼの例はペニシリウム属、トリコデルマ属、フミコラ属、フサリウム属、テルモモノスポラ属、セルロモナス属、ヒポクレア属、クロストリジウム属、テルモモノスポラ属、バシラス属、セルロモナス属及びアスペルギルス属由来のセルラーゼを含む。飼料用に販売されている市販のセルラーゼの非限定的な例は、ベータ-グルカナーゼであり、例えばROVOBIO(登録商標)(Adisseo)、NATUGRAIN(登録商標)(BASF)、MULTIFECT(登録商標)BGL(Danisco US, Inc., Genencor Division)及びECONASE(登録商標)(AB Enzyme)である。市販のセルラーゼの例はACCELERASE(登録商標)を含む。US20060193897A1で述べられたセルラーゼとエンドグルカナーゼもまた使用できる。ベータ-グルコシダーゼ(セロビアーゼ)はセロビオースを各単糖に加水分解する。
ヘミセルラーゼはヘミセルロースを分解する酵素である。ヘミセルロースは、糖より複雑で、セルロースより複雑でなく、かつ植物の細胞壁に存在する広い範囲の多糖を含む。
多くのセルラーゼが科学文献に記載されてきた。その例にはトリコデルマ・レセイ由来のものが含まれる。:Shoemaker, Sら、Bio/Technology, 1:691-696, 1983、これはCBHIを開示している。;Teeri,Tら, Gene,51:43-52,1987、これはCBHIIを開示している。;Penttila, Mら、Gene, 45:253-263,1986、これはEGIを開示している。;Saloheimo
,Mら、Gene,63:11-22,1988、これはEGIIを開示している。;Okada, Mら、 Appl.Environ.Microbiol., 64:555-563,1988、これはEGIIIを開示している。;Saloheimo,Mら、Eur. J. Biochem., 249:584-591、1997これはEGIVを開示している。; Saloheimo, Aら、Molecular Microbiology, 13:219-228,1994、これはEGVを開示している。Barnett, C.C.,らBio/Technology, 9:562-567, 1991、これはBGL1を開示している。及びTakashima,SらJ.Biochem., 125:728-736,1999、これはBGL2を開示している。トリコデルマ属以外の種由来のセルラーゼはまた、例えば、Ooiらが、1990年に発表し、これはアスペルギルス・アクレアツス(Aspergillus aculeatus)により産生されるエンドグルカナーゼF1-CMCをコードするcDNA配列を開示している。またKawaguchi Tらが1996年に発表し、これはアスペルギルス・アクレアツス由来のベータ-グルコシダーゼ1をコードするcDNAのクローニングと配列決定を開示している。;Sakamotoらが1995年に発表し、これはアスペルギルス・カワチ IFO 4308由来のエンドグルカナーゼCMCアーゼ-1をコードするcDNA配列を開示する。;Saarilahtiらは1990年に発表し、これはエルウィニア・カロトバラ(Erwinia carotovara)由来のエンドグルカナーゼを開示する。; Spilliaert Rらは1994年に発表し、これはロドテルムス・マリヌ(Rhodothermus marinu)の熱的に安定なベータ-グルカナーゼをコードする、bglAのクローニングと配列決定を開示する。;及びHalldorsdottir Sらは1998年にグルコシルヒドロラーゼファミリー12の熱的に安定なセルラーゼをコードするロドテルムス・マリヌス(Rhodothermus marinus)の遺伝子のクローニング、配列決定及び過剰発現を開示している。本発明をいずれか特定のセルラーゼに限定する意図はない。なぜなら、適当なセルラーゼならいずれでも本発明の方法で使用できるからである。本発明を具体的に記載されたセルラーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
β-グルカナーゼ類
,Mら、Gene,63:11-22,1988、これはEGIIを開示している。;Okada, Mら、 Appl.Environ.Microbiol., 64:555-563,1988、これはEGIIIを開示している。;Saloheimo,Mら、Eur. J. Biochem., 249:584-591、1997これはEGIVを開示している。; Saloheimo, Aら、Molecular Microbiology, 13:219-228,1994、これはEGVを開示している。Barnett, C.C.,らBio/Technology, 9:562-567, 1991、これはBGL1を開示している。及びTakashima,SらJ.Biochem., 125:728-736,1999、これはBGL2を開示している。トリコデルマ属以外の種由来のセルラーゼはまた、例えば、Ooiらが、1990年に発表し、これはアスペルギルス・アクレアツス(Aspergillus aculeatus)により産生されるエンドグルカナーゼF1-CMCをコードするcDNA配列を開示している。またKawaguchi Tらが1996年に発表し、これはアスペルギルス・アクレアツス由来のベータ-グルコシダーゼ1をコードするcDNAのクローニングと配列決定を開示している。;Sakamotoらが1995年に発表し、これはアスペルギルス・カワチ IFO 4308由来のエンドグルカナーゼCMCアーゼ-1をコードするcDNA配列を開示する。;Saarilahtiらは1990年に発表し、これはエルウィニア・カロトバラ(Erwinia carotovara)由来のエンドグルカナーゼを開示する。; Spilliaert Rらは1994年に発表し、これはロドテルムス・マリヌ(Rhodothermus marinu)の熱的に安定なベータ-グルカナーゼをコードする、bglAのクローニングと配列決定を開示する。;及びHalldorsdottir Sらは1998年にグルコシルヒドロラーゼファミリー12の熱的に安定なセルラーゼをコードするロドテルムス・マリヌス(Rhodothermus marinus)の遺伝子のクローニング、配列決定及び過剰発現を開示している。本発明をいずれか特定のセルラーゼに限定する意図はない。なぜなら、適当なセルラーゼならいずれでも本発明の方法で使用できるからである。本発明を具体的に記載されたセルラーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
β-グルカナーゼ類
種々のベータ-グルカナーゼはトランスグルコシダーゼと組合わせて本発明で使用できる。エンドグルカナーゼI,II,IIIともよばれるベータ-グルカナーゼ(エンド-セルラーゼ)は、セルロース繊維を攻撃しセルロースのより小さい断片を遊離する酵素であり、この断片はさらにエキソ-セルラーゼで攻撃されグルコースが遊離される。β-グルカナーゼは、また本発明の方法で使用できる。本発明の方法において有用な市販のベータ-グルカナーゼはOPTIMASH(登録商標)BGとOPTIMASH(登録商標)TBG(Danisco, US, Inc. Genencor Division)を含む。いずれの適したベータ-グルカナーゼも本発明の方法で使用できるので、本発明を特定のベータ-グルカナーゼに限定する意図はない。
酸菌類プロテアーゼ類
酸菌類プロテアーゼ類
種々の菌類プロテアーゼ(AFP)は、本発明の方法で使用できる。酸菌類プロテアーゼは、例えば、アスペルギルス属、トリコデルマ属、ムコル属及びリゾプス属、例えば、A・ニゲル、A・アワモリ、A・オリゼ及びM・ミヘイ、から得られるものを含む。AFPは細菌、植物及び菌類の異種のまたは内生のタンパク質発現から得られる。特に、トリコデルマ属の株から分泌されるAFPは、本発明で使用される。適したAFPは天然に発生する野生型AFPと変異種及び遺伝子操作による変異AFPである。本発明で有用な市販のAFP酵素いくつかにはFERMGEN(登録商標)(Danisco US, Inc, Genencor Division)、及びFORMASE(登録商標)200を含む。
いくつかの実施態様では、本発明で有用なこの酸菌類プロテアーゼは、2005年12月20
に出願された米国特許出願11/312,290の配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも約85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性をもつであろう。本発明をいずれか特定の記載された酸菌類プロテアーゼに限定する意図はない。なぜなら、適当な酸菌類プロテアーゼならいずれでも本発明の方法で使用できるからである。本発明を特定の記載された酸菌類プロテアーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
他の第2の酵素
に出願された米国特許出願11/312,290の配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも約85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性をもつであろう。本発明をいずれか特定の記載された酸菌類プロテアーゼに限定する意図はない。なぜなら、適当な酸菌類プロテアーゼならいずれでも本発明の方法で使用できるからである。本発明を特定の記載された酸菌類プロテアーゼと市販の酵素に限定する意図は全くない。
他の第2の酵素
本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼと、任意にアルファアミラーゼ、グルコアミラーゼ、AFP、セルラーゼ、β-グルカナーゼ、及びペクチナーゼからなる組成物またはブレンドを含むが、このブレンド又は組成物は任意に他の第2の酵素も含み得る。例えば、このブレンドが種々の用途(例.モラセス加工)で使用されるとき、他の第2の酵素も含まれ得る。本発明のこのブレンド又は組成物は発酵性微生物、他の成分及び他の第2の酵素とともに前処理及び/又は発酵工程で使用できる。この他の第2の酵素に限定はない。例えば、キシラナーゼ、他のプロテアーゼ(AFP以外)、フィターゼ、ペクチナーゼ、プルラナーゼ、ベータアミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、エステラーゼ、シクロデキストリン、トランスグリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)、アルファガラクトシダーゼ、デキストリナーゼ、ベータ-アミラーゼ及びそれらの組み合わせを含む。
いずれのフィターゼも本発明の方法で第2の酵素として有用である。フィターゼはイノシトール6リン酸から少なくとも1個の無機リン酸を遊離させることができる酵素である。フィターゼは加水分解を開始するフィテート分子のリン酸エステルの特定の位置に対する優先性に基いて分類される(例えば、3-フィターゼ(EC3.1.3.8)または6-フィターゼ(EC 3.1.3.26))。フィターゼの典型的な例は、ミオ-イノシトール6リン酸-3-ホスホヒドロラーゼである。フィターゼは菌類と細菌(例.アスペルギルス属(例.A・ニゲル、A・テレウス及びA・フミガツス)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)(M.テルモフィラ)、タラロマイセス属(T.テルモフィルス)、トリコデルマ属の種(T・レセイ)及びテルモマイセス(Thermomyces)(例えば、WO99/49740参照))のような微生物から得ることができる。また、フィターゼはペニシリウム属の種、(例.P・ホルデイ(P. hordei)(例えば、ATCC No.22053参照)、P・ピシウム(P. piceum)(例えばATCC No.10519参照)、またはP.ブレビコンパクツム(P. brevicompactum)(例えば、ATCC No. 48944参照)(例えば、USP6,475,762参照)から得られる。本発明で有用な追加のフィターゼは、ペニオフォラ属(Peniophora)、E・コリ、シトロバクター属、エンテロバクター属及びブティアウクセラ属(Buttiauxella)から得られる(例えば、2005年10月17日出願、WO2006/043178参照)。本発明で有用な追加のフィターゼは、市販品から得られる(例.NATUPHOS(登録商標)(BASF)、RONOZYME(登録商標)P(Novozymes A/S)、PHZYME(登録商標)(Danisco A/S, Verenium)及びFINASE(登録商標)(AB Enzymes))。いくつかの実施態様では、本発明で有用なフィターゼは細菌ブティアウクセラ属(Buttiauxiella spp.)の種、例えばBP-wtと変異種(例.BP-17)(2008年2月6日出願米国特許出願12/027127参照)由来のものである。適したフィターゼはいずれも本発明の方法で使用できるので、本発明を何れかの特定のフィターゼに限定する意図はない。
いくつかの実施態様では、キシラナーゼは本発明の方法で第2の酵素として使用される。如何なる適したキシラナーゼも本発明で使用できる。キシラナーゼ(例えば、エンド-β-キシラナーゼ)(E.C.3.2.1.8)は、キシラン骨格を加水分解するが、細菌(例.バシラス属、ストレプトマイセス属、クロストリジウム属、アシドテルムス属、ミクロテトラプソラ属またはテルモノスポラ属)または、菌類(アスペルギルス属、トリコデルマ属、ニューロスポラ属、フミコラ属、ペニシリウム属またはフサリウム属(これらの菌類のいくつかからのキシラナーゼについては例えば、EP473545、USP5,612,055;WO92/06209;及びWO97/20920参照))から得られる。本発明で有用なキシラナーゼは市販のブレンド(例.MULTIFECT(登録商標)及びFEEDTREAT(登録商標)Y5(Danisco US, Inc., Genencor Division)、RONOZYME(登録商標)WX(Novozymes A/S)及びNATUGRAIN(登録商標)WHEAT(BASF)を含む。いくつかの実施態様では、このキシラナーゼはトリコデルマ・レセイ由来またはトリコデルマ・レセイ由来の変異キシラナーゼ、またはEP1222256B1で述べられている固有に熱的に安定なキシラナーゼであり、また、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・チュビゲンシス(Aspergillus tubigensis)、バシラス・サーキュランス、バシラス・プミルス、バシラス・スブチリス、ネオカリマスチックス・パトリシアルム(Neocallimastix patriciarum)、ペニシリウム属の種、ストレプトマイセス・リビダンス、ストレプトマイセス・テルモビオラセウス(Streptomyces thermoviolaceus)、テルモモノスポラ・フスカ(Thermomonospora fusca)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・レセイ、トリコデルマ・ビリデ由来の他のキシラナーゼである。
追加のプロテアーゼもまたAFP以外の本発明のブレンド及び/又は組成物とともに使用できる。いずれの適したプロテアーゼも使用できる。プロテアーゼは細菌または菌類に由来しうる。細菌プロテアーゼはバシルス属のプロテアーゼ(例.B・アミロリケファシエンス、B・レンツス、B・リケニフォルミス、及びB・スブチリス)を含む。プロテアーゼの例はB・アミロリケファシエンスから得られるスブチリシンのようなスブチリシン及びその変異種を含むが(USP4,760,025)、これらに限定される訳ではない。適した市販のプロテアーゼはMULTIFECT(登録商標)P3000(Danisco US Inc., Genencor Division)とSUMIZYME(登録商標)FP(Shin Nihon)を含む。適した菌類プロテアーゼには、例えばトリコデルマ属、アスペルギルス属、フミコラ属及びペニシリウム属が含まれるが、これらに限定される訳ではない。
ブレンド/組成物
ブレンド/組成物
本発明のブレンドと組成物は少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含む。いくつかの実施態様では、このトランスグルコシダーゼは、少なくとも1個の顆粒デンプン加水分解酵素(GHSE)と組合わせて使用される。他の実施態様では、この顆粒デンプン加水分解酵素はグルコアミラーゼ又はアルファアミラーゼである。他の実施態様では、本発明のブレンド又は組成物は少なくとも1個のトランスグルコシダーゼ、GSH活性をもつ少なくとも1個のアルファアミラーゼ、及び少なくとも1個のグルコアミラーゼを含む。いくつかの実施態様では、グルコアミラーゼとアルファアミラーゼの両方はGSH活性を有する。他の実施態様では、AA又はGAがGSH活性を有する。いくつかの実施態様では、ブレンド及び/又は組成物は、少なくとも1個の他の酵素、例えば少なくとも1個のセルラーゼ、少なくとも1個のペクチナーゼ、少なくとも1個のベータ-グルカナーゼ、少なくとも1個のベータグルコシダーゼ、少なくとも1個の酸菌類プロテアーゼ(AFP)と組合わせて、トランスグルコシダーゼを含む。いくつかの実施態様では、このブレンドと組成物は、トランスグルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファアミラーゼ、及び酸菌類プロテアーゼを含む。この酵素組成物は2又は3個の酵素成分を混合して含むブレンド処方として使用できる。またはこの酵素成分は別々に工程に加えられ、本発明に含まれる組成となる。本発明の組成物は処方が維持されるようデンプン変換反応の工程で使用される。これは組成物のそれぞれの成分を、例えば、同時に加えるなど、処方が維持されるように時間調整をして加えることを含む。処方とは、酵素があるパーセントで含まれるようにされた、酵素のブレンドや組成物である。処方のいくつかは下記に記載されている。
グルコアミラーゼとアルファアミラーゼを含有する組成物で、本発明により有用なものはSTARGEN(商標)001である。これは、酸に安定なアスペルギルス・カワチアルファアミラーゼとアスペルギルス・ニゲルグルコアミラーゼのブレンド(Danisco US, Inc., Genencor Divisionから購入できる)である。これに本明細書に開示されているようにトランスグルコシダーゼを加えることができる。
いくつかの実施態様では、この酵素ブレンド又は組成物は、以下を含む。
a) TG、AkAA及びGA;
b) TG、GSH活性を持つAA及びGSH活性を持つGA
c) TG、AkAA、GA及びAFP;
d) TG、AA、GSH活性をもつGA、及びセルラーゼ
e) TG、GSH活性をもつAA、GSH活性をもつGA、セルラーゼ及びペクチナーゼ
f) TG、GSH活性をもつAA、GSH活性をもつGA、ヘミセルラーゼ、ベータ-グルカナーゼ、ベータ グルコシダーゼ、ペクチナーゼ及びAFP
g) TG、AA、GA、セルラーゼ及びAFP
h) GC626、ACCELERASE(登録商標)、OPTIDEX(登録商標)L-400、TG-L500、及びFERMGEN(登録商標)
いくつかの酵素処方は以下に定義される。しかし、いくつかの実施態様では、本酵素処方は少なくとも約5%w/wトランスグルコシダーゼであり、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95% w/wを含む。いくつかの実施態様では、ブレンド又は組成物は約1%から約99% w/wでトランスグルコシダーゼを含み、好ましくは、約5%から約95%であり、好ましくは約10%から約80%w/wのトランスグルコシダーゼを含んでいる。トランスグルコシダーゼの量はモラセス中のラフィノース及び/又はスタキオースの量により変わりうることは技術者なら分かる。例えば、モラセスが多くのラフィノース及び/又はスタキオースを有している場合、高いパーセントのトランスグルコシダーゼが含まれよう。さらに、処方中のいずれかの酵素量は、前処理及び/または発酵温度により変わりうる。前処理及び/又は発酵が酵素の最適温度に近い温度で行われるときは、酵素は少なくてよい。いくつかの実施態様では、この酵素処方は少なくとも約5%w/wアルファアミラーゼ(任意にGSHE)であり、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%w/wを含む。いくつかの実施態様では、この酵素処方は約5%と約95%w/wアルファアミラーゼの間にあり、好ましくは、約10%と約50%w/wの間にある。いくつかの実施態様では、この処方は少なくとも約5%のグルコアミラーゼ(任意にGSHE)を有し、少なくとも約10%、15%、20%、25%及び30% w/wを含む。いくつかの実施態様では、本酵素処方は、約5%と95%の間のグルコアミラーゼを有し、好ましくは約10%と約50% w/wの間である。いくつかの実施態様では、本処方は約0-20%w/wのベータ-グルカナーゼを有する。いくつかの実施態様では、本処方は少なくとも約1%w/wのベータ-グルカナーゼを有し、約2%、3%、5%、10%、15%及び20%w/wを含む。いくつかの実施態様では、本処方は約0-15%w/wのキシラナーゼを、いくつかの実施態様では、少なくとも約5%のキシラナーゼを有し、約10%、15%、20%、25%w/w、及び30%w/wを含む。いくつかの実施態様では、本処方は、約0-20%w/wのペクチナーゼを含む。いくつかの実施態様では、本処方は少なくとも約5%w/wのペクチナーゼ、約10%、約15%、約20%、約25%、及び約30% w/wのペクチナーゼを含む。いくつかの実施態様では、本処方は約0-10%w/wのリゾチームを有する。いくつかの実施態様では、この酵素ブレンド又は処方は以下を含む。
1) TG(約50% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30%w/w)+GA(約10%w/w)+酸菌類プロテアーゼ(約10%w/w)
2) TG(約40% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約20%w/w)+GA(20% w/w)+ベータ-グルカナーゼ(約10%w/w)+ベータ-グルコシダーゼ(約10%w/w)
3) TG(約30% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30% w/w)+GA(20% w/w)+ぺクチナーゼ(約20% w/w)
4) TG(約25% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30%w/w)+GA(30%w/w)+キシラナーゼ(約15% w/w)
5) TG(60%w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約20% w/w)+GA(約10% w/w)+リゾチーム(約10%w/w)
1) TG(約50% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30%w/w)+GA(約10%w/w)+酸菌類プロテアーゼ(約10%w/w)
2) TG(約40% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約20%w/w)+GA(20% w/w)+ベータ-グルカナーゼ(約10%w/w)+ベータ-グルコシダーゼ(約10%w/w)
3) TG(約30% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30% w/w)+GA(20% w/w)+ぺクチナーゼ(約20% w/w)
4) TG(約25% w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約30%w/w)+GA(30%w/w)+キシラナーゼ(約15% w/w)
5) TG(60%w/w)+GSHE活性をもつ菌類アルファアミラーゼ(約20% w/w)+GA(約10% w/w)+リゾチーム(約10%w/w)
他の混合物と処方は本明細書の開示から容易に推考できる。
モラセス類
歴史的には用語モラセスとは、具体的にはサトウキビ及びサトウダイコンから得られるジュースを繰り返し蒸発、結晶化及び遠心分離することによるショ糖の調製で得られる最後の流出物をさす。いくつかの種類のモラセスが知られており、一般的に、43%を超えて糖を含むいずれかの液体原料成分もモラセスといわれる。(例えば、Curtin, L.V. “Molassess-General Considerations” Molasses in Animal Nutrition,1983, pp.2-11, National feed Ingredients Association, West Des Moines, Iowa参照)サトウキビモラセス、サトウダイコンモラセス、かんきつ類モラセス、ヘミセルロース絞り液、及びデンプンモラセス等、様々な種類のモラセスが現在、生産されている。サトウキビモラセスはサトウキビからのショ糖の製造又は精製の副産物(サトウキビモラセス)である。サトウダイコンモラセスはサトウダイコンからショ糖を製造する場合の副産物である。かんきつ類モラセスは乾燥かんきつ類パルプの製造から得られる部位的に除水した果汁成分である。ヘミセルロース絞り液は圧縮木材(pressed wood)の製造の副産物であり、デンプンモラセスは、トウモロコシまたはグレインソルガム(grain sorghums)由来のデンプンからデキストロースを製造する場合(デンプンは酵素及び/又は酸により加水分解される)の副産物である。
歴史的には用語モラセスとは、具体的にはサトウキビ及びサトウダイコンから得られるジュースを繰り返し蒸発、結晶化及び遠心分離することによるショ糖の調製で得られる最後の流出物をさす。いくつかの種類のモラセスが知られており、一般的に、43%を超えて糖を含むいずれかの液体原料成分もモラセスといわれる。(例えば、Curtin, L.V. “Molassess-General Considerations” Molasses in Animal Nutrition,1983, pp.2-11, National feed Ingredients Association, West Des Moines, Iowa参照)サトウキビモラセス、サトウダイコンモラセス、かんきつ類モラセス、ヘミセルロース絞り液、及びデンプンモラセス等、様々な種類のモラセスが現在、生産されている。サトウキビモラセスはサトウキビからのショ糖の製造又は精製の副産物(サトウキビモラセス)である。サトウダイコンモラセスはサトウダイコンからショ糖を製造する場合の副産物である。かんきつ類モラセスは乾燥かんきつ類パルプの製造から得られる部位的に除水した果汁成分である。ヘミセルロース絞り液は圧縮木材(pressed wood)の製造の副産物であり、デンプンモラセスは、トウモロコシまたはグレインソルガム(grain sorghums)由来のデンプンからデキストロースを製造する場合(デンプンは酵素及び/又は酸により加水分解される)の副産物である。
本発明の方法で使用されるモラセスの種類は、特に重要ではない。いくつかの実施態様では、本発明の方法で使用されるモラセスの種類は非発酵性糖、ラフィノース及び/又はスタキオースの少なくとも1個を含むいずれかのモラセスでありえる。「モラセス」、言いかえれば、サトウキビ又は他の植物産物の加工の副産物として製造される濃厚なシロップのいずれも使用でき、これは以下のものを含むがこれらに限定されない。例えば、廃糖みつ(サトウキビ由来)、ハイテスト(high test)(サトウキビ)モラセス、精糖所のサトウキビ(refiners cane)又はサトウダイコンモラセス(未処理の褐色の砂糖を精製して白い砂糖を製造する際の副産物)、サトウダイコンモラセス(サトウダイコンから)、及び柑橘類モラセス(乾燥柑橘類パルプから絞った果汁)である。いくつかの実施態様では、本発明の方法で使用されるモラセスは相当量でスタキオース及び/又はラフィノースを含む。いくつかの実施態様では、相当量とは、少なくとも約0.1%ds、0.5%ds、1.0%ds、2%ds、3%ds、4%ds及び5%dsを含む。いくつかの実施態様では、モラセスはサトウキビ及び/又はサトウダイコンからの砂糖製品の副産物として製造される。
使用法
使用法
いくつかの実施態様では、このモラセスはモラセスの発酵においてトランスグルコシダーゼと接触する。いくつかの実施態様では、モラセスは、モラセスの前処理中及びモラセスの発酵前にトランスグルコシダーゼと接触する。いくつかの実施態様では、トランスグルコシダーゼは、前処理及び発酵中の両方で加えられる。いくつかの実施態様では、このトランスグルコシダーゼは、酵素ブレンド又は組成物の一部としてモラセスと接触する。モラセスは、酵素の処方が維持される限り、単回投与又は分割投与して本発明のトランスグルコシダーゼ及び/又は酵素ブレンド又は組成物と接触できる。いくつかの処方の例は下記に与えられる。例えば、分割投与は、望ましい処方で全投与量が、2回に分けてとか、3回に分けてとか1回より多くの回数で加えられることをいう。いくつかの実施態様では、総量の一部が開始時に加えられ、第2の部分が工程中の特定の時間で加えられる。いくつかの実施態様では、少なくとも投与量の一部が、前処理として加えられる。いくつかの実施態様では、本発明のトランスグルコシダーゼ及び/又は酵素ブレンド又は組成物、特にトランスグルコシダーゼのみで、カラム又は固体基材に固定化できる。
酵素ブレンド又は組成物は前処理と発酵のいずれか又は両方、または前処理と発酵を同時に行う時に加えることができる。いずれかの場合、この酵素ブレンド又は組成物はモラセス中の顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度で加えることができる。いくつかの実施態様では、前処理は顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度で行われる。いくつかの実施態様では、前処理はトランスグルコシダーゼの最適温度で顆粒デンプンのゼラチン化の温度よりも低い温度で行われる。いくつかの実施態様では、前処理は酵素ブレンド及び/又は組成物中の少なくとも1個の酵素の最適温度で、顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度で行われる。これにより、本法が発酵と同じ温度で行われたなら必要であるよりも少ない量の酵素の使用が可能になる。いくつかの実施態様では、前処理は酵素の最適温度、顆粒デンプンのゼラチン化温度より低温で行われる。
多くの顆粒デンプンのデンプンゼラチン化開始温度は、:オオムギ(52℃から59℃)、コムギ(58℃から64℃)、ライ麦(57℃から70℃)、トウモロコシ(62℃から72℃)、高アミロース含有トウモロコシ(67℃から80℃)、コメ(68℃から77℃)、ソルガム(sorghum)(68℃から77℃)、馬鈴薯(58℃から68℃)、タピオカ(59℃から69℃)及び甘藷(58℃から72℃)等である。(STARCH CONVERSION TECHNOLOGY, Van Beynumら編(1985)、Marcel Dekker Inc. New York のJ.J.M.Swinkels 32-38ページ、及びThe Alcohol Textbook 第3版、A Reference for the Beverage, Fuel and Industrial Alcohol Industries, Jacques ら編(1999) Nottingham University Press, UK参照)
従って、前処理及び/又は発酵は顆粒デンプンのデンプンゼラチン化温度より低い温度で行うことができる。いくつかの実施態様では、この温度は45℃と70℃の間に保持され、他の実施態様では、この温度は50℃と70℃の間、55℃と70℃の間、60℃と70℃の間、60℃と65℃の間、55℃と65℃の間、及び55℃と68℃の間に保持される。他の実施態様では、この温度は、少なくとも45℃、48℃、50℃、53℃、55℃、58℃、60℃、63℃、65℃、及び68℃である。他の実施態様では、この温度は65℃、68℃、70℃、73℃、75℃及び80℃以下である。
前処理及び/又は発酵はpH3.5から7.0の範囲のpH、また3.5から6.5の範囲のpH、4.0から6.0の範囲のpH及びいくつかの実施態様では、4.5から5.5の範囲のpHで行うことができる。
いくつかの実施態様では、この前処理されたモラセスは発酵性微生物による発酵を受ける。いくつかの実施態様では、接触工程(前処理)と発酵工程は同一の反応槽で同時に、又は連続的に行うことができる。一般的に、発酵法はThe Alcohol Textbook 第3版、A Reference for the Beverage, Fuel and Industrial Alcohol Industries, 編 Jacquesら(1999) Nottingham University Press,UKに述べられている。
発酵において、モラセス中の発酵性の糖(デキストリン類 例.グルコース)は、アルコール(例.エタノール)、有機酸(例.コハク酸、乳酸)、糖アルコール(例.グリセロール)、アスコルビン酸中間体(例.グルコン酸塩、DKG、KLG)及びアミノ酸(例.リジン)のような目的製品を得るために、適した発酵条件下で微生物発酵において使用される。
いくつかの実施態様において、発酵性の糖は15から40℃、20から38℃、及びまた25から35℃の範囲の温度で、pH3.0から6.5の範囲、またpH3.0から6.0の範囲、pH3.0から5.5の範囲、pH3.5から5.0の範囲及び又はpH3.5から4.5の範囲のpHで、5時間から120時間の間、好ましくは、12から120、より好ましくは24から90時間の間、アルコール製品、好ましくはエタノールを製造するために酵母により発酵される。
酵母細胞は、発酵液体培地1ml当たり一般的に104から1012個、好ましくは107から1010個の生菌数で供給される。発酵は発酵性微生物(例.酵母)の栄養に加えて任意に酸及び酵素を含む。いくつかの実施態様では、上記の原料に加え、醗酵培地はビタミン類(例.ビオチン、葉酸、ニコチン酸、リボフラビン)、補助因子及び多量栄養素と微量栄養素及び塩(例.(NH4)2SO4; K2HPO4;NaCl;MgSO4;H3BO3;ZnCl2;及びCaCl2)等を含む、しかしこれらに限定されない補助成分を含むことができる。
発酵生物類
発酵生物類
発酵生物の例は、アルコールデヒドロゲナーゼとピルビン酸デヒドロゲナーゼを発現し、ジモモナス・モブリス(Zymomonas moblis)から得ることができるエタノール産生性細菌のようなエタノール産生性の微生物又はエタノール産生微生物である。(例えば、USP5,000,000;USP5,028,539;USP5,424,202;USP5,514,583及びUSP5,554,520参照)別の実施態様では、エタノール産生性微生物はキシロースリダクターゼとキシリトールデヒドロゲナーゼ、キシロースをキシルロース(xylulose)に変換する酵素群、を発現する。さらに別の実施態様では、キシロース異性化酵素はキシロースをキシルロースへ変換するために使用される。いくつかの実施態様では、ペントースとヘキソースの両方を発酵してエタノールにできる微生物が利用される。例えば、いくつかの実施態様では、微生物は天然の又は遺伝子学的に操作されていない微生物でありえ、他の実施態様ではこの微生物は組換え微生物でありえる。
いくつかの実施態様では、発酵性微生物は、バシラス属、ラクトバシラス属、E.コリ、エルウィニア(Erwinia)属、パントエア(Pantoea)属(例.P. シトリア(P.citrea))、シュードモナス属及びクレブシラ属(例.K・オキシトカ(K. oxytoca))の細菌の株を含む(例えば、USP5,000,000、USP5,028,539、USP5,424,202, USP5,514,583、及びUS5,554,520参照)。発酵工程で使用される発酵性微生物は製造される目的物によりかわる。
さらに別の実施態様では、このエタノール産生性微生物は、菌類の微生物であり、例えば、酵母、特にS.セレビシエ(S. cerevisiae)(USP4,316,956)の株ようなサッカロマイセス属である。種々のS.セレビシエが市販されているが、これらはFALI(登録商標)(Fleischmann’s Yeast)、SUPERSTART(登録商標)(Alltech)、FERMIOL(登録商標)(DSM Specialties)、REDSTAR(登録商標)(Lesaffre)及びAngel Alcohol yeast(Angel Yeast Company, China)を含むがこれらに限定されない。
アルコールと他の目的生成物の回収
アルコールと他の目的生成物の回収
本発酵法のある目的生成物はアルコール製品(例.エタノール)である。本法により製造される目的生成物は発酵培地から分離でき及び/又は精製できる。分離及び精製の方法は既知のものであり、例えば、培地を抽出、蒸留及びカラムクロマトグラフィーに掛けることによる。いくつかの実施態様では、目的生成物はこの培地を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析に掛けることにより、直接、同定及び/又は精製される。
さらに別の実施態様では、マッシュが、例えば、遠心分離により液相と固相に分離され、アルコールのような目的生成物と固体が回収される。このアルコールは蒸留、分子篩による脱水または限外ろ過のような方法により回収できる。
いくつかの実施態様では、エタノール製造方法において本発明の酵素ブレンド又は組成物の使用は、容量で8%、10%、12%、14%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、及び22%より多いエタノールの収量を与える。
さらに別の実施態様では、エタノールの蒸発後の水相の全て、または一部を、発酵用のモラセスを稀釈又は調製するためモラセスに加えることができる。
さらに別の実施態様では、本技術分野で知られているような適当な発酵性微生物の使用により、発酵目的生成物は、限定はなく、エタノール、グリセロール、1,3-プロパンジオール、グルコネート、2-ケト-D-グルコネート、2,5-ジケト-D-グルコネート、2-ケト-L-グロン酸、コハク酸、乳酸、アミノ酸及びそれらの誘導体を含み得る。さらに具体的には、乳酸が目的生成物であるときには、ラクトバシラス (Lactobacillus) 属の種(L.カセイ(L.casei))が使用できる。;グリセロールまたは1,3-プロパンジオールが望ましい生成物であるときは、E・コリが使用できる。そして、2-ケト-D-グルコネート、2,5-ジケト-D-グルコネート、及び2-ケト-L-グロン酸が好ましい目的物であるときは、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)は発酵性微生物として使用できる。上記に列挙したリストは単に例であり、本技術分野の技術者なら、好ましい目的生成物を得るために適当に使用できる多くの発酵性微生物が分かるだろう。
実 験
実 験
本発明は以下の例でさらに詳細に述べられるが、特許請求された発明の範囲を限る意図は決してない。添付された図は本発明の明細書と説明の一部であるとみなされる。引用された全ての引用文献は、それに記載された全てについて、引用により具体的に本明細書に組み入れられる。以下の実施例は特許を請求した発明を説明するために提供され、限定するためではない。
以下の開示と実験では、以下の略号が使用される。:% w/w(重量パーセント);℃(摂氏温度);H2O(水);d H2O (脱イオン水);dl H2O (脱イオン水、Milli-Q ろ過);gまたはgm(グラム);μg(マイクログラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μl(マイクロリットル);mL及びml(ミリリットル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);U(単位);MW(分子量);sec(秒);min(s)(分);hr(s)(時間);DO(溶存酸素);W/V(重量対容量);W/W(重量対重量);V/V(容量対容量);Genencor(Danisco US Inc, Genencor Division,Palo Alto, CA);Ncm(ニュートンセンチメートル)、ETOH(エタノール)、eq(当量);N(規定);dsまたはDS(乾燥固体含量);MT(メトリックトン)
以下の実施例で使用された材料と方法
Agilent 1100 HPLC, Bio-rad Aminex HPX-87H又はRezex RoA-有機酸のカラムを使用する発酵液体培地分析用HPLC法が使用された。ESTD法が以下のように用いられた。:移動層は0.005mol/L H2SO4であった。サンプルが採取され、10倍に稀釈され、0.45μmのメンブレンフィルター(filter membrane)を用いてろ過された。注入容量は20μLであり、ポンプの流速は0.6ml/分であり、カラムのサーモスタットの温度は60℃であった。RID及び光学的検出装置は35℃であった。
モラセス分析のHPLC法-ESTD法
同一のHPLC機器が以下の条件を使用した発酵分析用に使用された。;移動層は蒸留水であり、サンプルは、蒸留水で30Xに稀釈され0.45μmのメンブランフィルターを使用してろ過された。注入容量は20μlであり、ポンプ流速は0.4ml/分であり、カラムのサーモスタットの温度は85℃であった。;RID、光学的検出装置の温度は30℃であり、分析法はESTDであった。
同一のHPLC機器が以下の条件を使用した発酵分析用に使用された。;移動層は蒸留水であり、サンプルは、蒸留水で30Xに稀釈され0.45μmのメンブランフィルターを使用してろ過された。注入容量は20μlであり、ポンプ流速は0.4ml/分であり、カラムのサーモスタットの温度は85℃であった。;RID、光学的検出装置の温度は30℃であり、分析法はESTDであった。
全穀粒のデンプン含量の決定
穀粒は、塩化カルシウム(5mM)が加えられたMOPS緩衝液(50mM, pH7.0)で混合され、酢酸溶液(2N)、水酸化ナトリウム(2N)でpHが調整された;酢酸緩衝液(pH4.2)は以下のように調製された。:500mlの水に200mlの2N酢酸を加えた。標準化したpHメーターを用いて、この緩衝液が4.2+/-0.05になるまで2N水酸化ナトリウムを混合液に加えた。SPEZYME(登録商標)FRED(Danisco US, Inc., Genencor Division, バシラス・リケニフォルミス由来のアルファ-アミラーゼ)とOPTIDEX(登録商標)L-400(Danisco US, Inc., Genencor Division, アスペルギルス・ニゲル由来のグルコアミラーゼ)が加えられ、デンプン含量がHPLCにより決定された。
穀粒は、塩化カルシウム(5mM)が加えられたMOPS緩衝液(50mM, pH7.0)で混合され、酢酸溶液(2N)、水酸化ナトリウム(2N)でpHが調整された;酢酸緩衝液(pH4.2)は以下のように調製された。:500mlの水に200mlの2N酢酸を加えた。標準化したpHメーターを用いて、この緩衝液が4.2+/-0.05になるまで2N水酸化ナトリウムを混合液に加えた。SPEZYME(登録商標)FRED(Danisco US, Inc., Genencor Division, バシラス・リケニフォルミス由来のアルファ-アミラーゼ)とOPTIDEX(登録商標)L-400(Danisco US, Inc., Genencor Division, アスペルギルス・ニゲル由来のグルコアミラーゼ)が加えられ、デンプン含量がHPLCにより決定された。
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による炭水化物とアルコールの分析
オリゴ糖の反応生成物の組成が、屈折率(RI)検出器(ERC-7515A RI検出器, Anspec Company Inc.)を付け、50℃に維持されたHPLCカラム(Rezex 8 u8%H, Monosaccharides)を備えたHPLC (Beckman System Gold 32 Karat Fullerton, CA) により測定された。糖は分子量に基づいて分離された。DP1の表示は単糖であり、例えばグルコースである。DP2の表示は2糖であり、例えば、マルトースである。DP3の表示は、3糖であり、例えば、マルトトリオースであり、「DP4+」の表示は4以上の重合度(DP)をもつオリゴ糖である。
オリゴ糖の反応生成物の組成が、屈折率(RI)検出器(ERC-7515A RI検出器, Anspec Company Inc.)を付け、50℃に維持されたHPLCカラム(Rezex 8 u8%H, Monosaccharides)を備えたHPLC (Beckman System Gold 32 Karat Fullerton, CA) により測定された。糖は分子量に基づいて分離された。DP1の表示は単糖であり、例えばグルコースである。DP2の表示は2糖であり、例えば、マルトースである。DP3の表示は、3糖であり、例えば、マルトトリオースであり、「DP4+」の表示は4以上の重合度(DP)をもつオリゴ糖である。
トランスグルコシダーゼ活性(TGU)は、定量の条件で1分当たり1マイクロモルのパノースを産生するために必要な酵素活性と定義される。トランスグルコシダーゼ活性は以下のようにして定量できる。この酵素を、4mMのパラ-ニトロフェニル-α-グルコシドと1mg/mlのBSAを含む100mMの酢酸ナトリウム緩衝液、pH4.5に取る。30℃で30分の定温反応後、この反応を等容量の1Mの炭酸ナトリウムを加えて終了させ、OD405が記録された。
アルファアミラーゼ活性(AAU)はデンプン加水分解の速度により決定できる。この速度は、分光光度計で測定できるヨウ素による染色性の減少速度に反映される。細菌アルファ-アミラーゼ活性の1AAUは標準的条件下で1分当たり10mgのデンプンを加水分解するに必要な酵素量である。
アルファ-アミラーゼ活性はまた、可溶性デンプン単位(SSU)としても決定でき、pH4.5、50℃で酵素サンプルによる可溶性馬鈴薯デンプン基質(4%DS)の加水分解の程度に基いている。還元糖の含量はMiller, G.L.(1959) Anal. Chem.31;:426-428で述べられているDNS法を用いて測定される。
グルコアミラーゼ活性単位(GAU)は、グルコアミラーゼの活性を測定するためのPNPG定量を用いて決定できる。GAUはpH4.2、60℃で可溶性デンプン基質から1時間当たりにグルコースとして計算したときに1gの還元糖を産生する酵素量として定義される。
フィターゼ活性(FTU)は無機リン酸の遊離により測定された。無機リン酸は酸性モリブデン酸/バナジン酸試薬と黄色の錯体を形成し、この黄色の錯体が分光光度計により波長415nmで測定され、遊離した無機リン酸がリン酸標準曲線で定量された。1単位のフィターゼ(FTU)は、ヨーロッパ標準(CEN/TC 327, 2005-TC327WI 003270XX)で与えられる反応条件で1分当たりにフィテートから1マイクロモルの無機リン酸を遊離する酵素量である。
セルラーゼ活性(ECU)は、この酵素がカルボキシメチルセルロース(CMC)の溶液の粘度を減少させる酵素の性能を測定することにより、エンド-セルラーゼ単位(ECU)で与えられる。このECU定量は、サンプルがカルボキシメチルセルロース(CMC)の溶液の粘度を低下させるサンプルの性能を測定することによりサンプル中の触媒活性の量を定量する。この定量は、CHIC 基質(Hercules 7 LED)の粘度の減少について、相対酵素標準を用いて、40℃;pH7.5; 0.1Mリン酸緩衝液;時間=30分で振動式粘度計(例.Sofraser ,France のMIVI 3000)で行われる。(酵素濃度は約0.15 ECU/mL)このアークスタンダード(arch standard)は、8200ECU/gと定義される。1ECUはこれらの条件下で粘度を半分に低下させる酵素量である。
プロテアーゼ活性(SAPU)(分光光度計による酸プロテアーゼ単位)は、カゼインの分解で測定され、1SAPUは定量条件下でカゼイン基質から1分当たり1マイクロモルのチロシンを遊離するプロテアーゼ酵素活性の量である。
材料-モラセス サトウキビモラセスはMyanmar Great Golden Glory and Siam Chemicals, Thailandから入手した。このモラセスは特徴付けられ、表1にまとめられた。
以下の実験で使用されるモラセスのデンプン含量は0.5%w/wであると決定された。
材料-酵素−以下の酵素が実施例で使用された。:TRANSGLUCOSIDASE L-500, GC626(アルファ アミラーゼ)、GA-L(グルコアミラーゼ)、MULTIFECT(登録商標)(ペクチナーゼ)、GC200(セルラーゼ)、ACCELERASE(登録商標)(ヘミセルラーゼ)及びFERMGEN(登録商標)(AFP) 全てはDanicso US, Inc, Genencor Divisionから得られた。
以下の実施例では、モラセスへのトランスグルコシダーゼの効果が、どのようにこの酵素がエタノール収量を増加させるかを知るため、またどの程度エタノール収量が増加するかを解明するために試験された。トランスグルコシダーゼの存在下でエタノール発酵の効率を高めうる第2の酵素を特定するために、さらに試験が行われた。
実施例1
ラフィノースに対するトランスグルコシダーゼの効果
実施例1
ラフィノースに対するトランスグルコシダーゼの効果
実施例1では、トランスグルコシダーゼ(Danisco US, Inc. Genencor Divisionの TRANSGLUCOSIDASE L-500)の効果がラフィノースとスタキオースについて試験された。
トランスグルコシダーゼは一般的に糖を加水分解する酵素としてよりもトランスフェラーゼとして知られている。さらに詳しく言えば、トランスグルコシダーゼはマルト-オリゴ糖を、発酵性のより低い糖であるイソマルトースとパノースのようなイソマルト-オリゴ糖に変換することが知られている。従って、トランスグルコシダーゼがラフィノースやスタキオースのような非発酵性のオリゴ糖を発酵性の糖に加水分解できるという理論を試験するため、以下のようにして、トランスグルコシダーゼはラフィノースとスタキオースに直接に試験された。
1%のラフィノースと1%のスタキオースの溶液(Sigmaから入手)がそれぞれ別に、pH4.5、60℃で、TRANSGLUCOSIDASE L-500と定温反応し、サンプルがHPLC分析用に採取された。図1の結果は、グルコース、ショ糖、ガラクトース及びフルクトース(発酵性の糖)が加えられたTRANSGLUCOSIDASE L-500によるラフィノースの加水分解から生成したことを示す。スタキオースについてこの結果は、加水分解から生成した糖が同一である(グルコース、ショ糖、ガラクトース及びフルクトース)である点で類似し、他方、それぞれの量の割合は異なっていた。従って、トランスグルコシダーゼはラフィノースやスタキオースのような非発酵性の糖を加水分解して発酵性の糖にするよう作用する。
実施例2では、トランスグルコシダーゼのサトウキビモラセスの発酵に対する効果が試験された。
実施例2
モラセスの発酵に対するトランスグルコシダーゼの効果
実施例2
モラセスの発酵に対するトランスグルコシダーゼの効果
500グラムのサトウキビモラセス(Myanmar Great Golden Glory and Siam Chemicals, Thailand)が1000グラムの水道水で稀釈され、25%の最終DSとされ、20%硫酸を用いてpHが4.8へ調整された(モラセス混合物)。酵母は1グラムの活性乾燥酵母(Dry Angel, Angel Alcohol company)、10グラムの水道水と0.1−0.2%(w/w)のショ糖と混合され、30℃で2時間保持し酵母を増殖させて調製された。先の32.7グラムのモラセス混合物当たり、得られた7mlの酵母がトランスグルコシダーゼと共に、又は含めずに、加えられた。発酵は撹拌速度150rpm、32℃の水浴中で150mlエルレンマイヤーフラスコで行われた。この発酵はビールのサンプルを採取し、蒸留することで42時間で終了された。いくつかのサンプルはHPLC分析に使用された。発酵液体培地の蒸留はモラセス1メトリックトン(MT)当たりのエタノール収量を計算するために行われた。TRANSGLUCOSIDASE L-500(Danisco US, Inc, Genencor Division)は6ppmで加えられた。対照サンプルは酵素を含まなかった。結果が表2(ミャンマーからのモラセス)及び表3(タイからのモラセス)に示されている。両方の表では、エタノールの収量は、20℃で1MTモラセスについて95.5%エタノール(L)で与えられている。エタノールを蒸留する従来の方法を使用するとき、95.5%が20℃で達成できる最大量である。この表で使用されている略号は以下のとおりである。:TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
表2と表3の結果はTRANSGLUCOSIDASE(登録商標)L-500のモラセスへの添加がモラセス発酵においてアルコール収量を増加させるという当初の発見を裏付けた。さらに、アルコール収量の増加はモラセスの産地に拘らず見られた。TRANSGLUCOSIDASE(登録商標)L-500のモラセス中の非発酵性の糖を加水分解して、グルコース、ショ糖、ガラクトース及びフルクトース(発酵性の糖)にする性能は、アルコールの製造用により多くの発酵性の糖を提供した。これが高いアルコール収量となった。
実施例3
未加工デンプン加水分解酵素のモラセスの発酵に及ぼす効果
実施例3
未加工デンプン加水分解酵素のモラセスの発酵に及ぼす効果
酵母によるモラセスの発酵中に未加工デンプン加水分解酵素を加える効果が試験された。酵母発酵はタイのモラセスについて実施例2のように行われた。未加工デンプン加水分解酵素、GC626(Danisco US, Inc., Genencor Division のアルファアミラーゼ)が6ppmで酵母発酵へ加えられた。GC626は顆粒デンプン加水分解酵素(GHSE)である。41.5時間における発酵液体培地はHPLCにより分析され、アルコール含量を調べるために蒸留された(表4)。表4では、エタノールの収量は、20℃における1MTモラセスに対する95.5%エタノール(L)で与えられた。この表で使用される略号は以下のとおりである。:
TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
表4の結果は、顆粒デンプン加水分解酵素(GSHE)をモラセス発酵に加えるとアルコール製造量を増やすことを示している。これはモラセス中の顆粒デンプンの加水分解が発酵性の糖を増やすためらしい。
実施例4
GC626と他の第2の酵素を含む処方
実施例4
GC626と他の第2の酵素を含む処方
タイのモラセスが発酵で使用された。この発酵は実施例2のように行われた。表5で処方CとDとして表される、第2の酵素群の2つの処方が調製された。各処方に含まれた酵素の量は表5に記載されている。処方は普通、以下の酵素の混合物を含んでいた。:グルコアミラーゼ(Danisco US, Inc., Genencor Division のGA-L(登録商標);ペクチナーゼ(Danisco US, Inc., Genencor Division のMULTIFECT(登録商標)Pectinase);セルラーゼ(Danisco US, Inc., Genencor Division のGC220セルラーゼ);及びヘミセルラーゼ(Danisco US, Inc., Genencor Division のACCELERASE(登録商標))これらの酵素は実施例2の方法を用いたモラセス発酵に加えられた。モラセスの発酵に対する効果は3ppmの酸菌類プロテアーゼを加えた場合また加えない場合で分析された。モラセスには非常に多くのタンパク質が含まれているので、プロテアーゼが、デンプン分子への酵素の接近を増やすことにより、発酵の効率を高めるだろうと仮定された。従って、表6の処方C+では3ppmのFERMGEN(登録商標)(Danisco US, Inc., Genencor Division)酸菌類プロテアーゼが3ppmの処方Cと混合されている。表6ではエタノール収量が、20℃における1MTモラセスに対する95.5%エタノール(L)で与えられた。この表で使用される略号は以下のとおりである。:
TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
表6はHPLCの分析と蒸留の結果を示す。表から分かるように、酵素の各ブレンド(C,D及びC+ FERMGEN)は、より効果的な発酵となり、発酵効率を高めた。特定の理論に縛られてはいないが、このアルファ-アミラーゼ(GC626)はモラセス中の未加工デンプン部分を加水分解するらしく、他方、グルコアミラーゼは、高分子量の糖とオリゴ糖を加水分解し、酸菌類プロテアーゼはモラセス中のタンパク質を加水分解し、遊離したアミノ基の窒素を生じさせ、酵母の増殖を助けた。
モラセスの発酵においてこれらの酵素と共にトランスグルコシダーゼを加えたときの複合的効果を分析することは興味深かった。従って、実施例5では、トランスグルコシダーゼがモラセスの発酵においてこれら第2の酵素と共に試験された。
実施例5
他の酵素を伴うTGの処方
実施例5
他の酵素を伴うTGの処方
タイ産のモラセスが発酵で使用された。この発酵は実施例2のように行われた。ブレンドがトランスグルコシダーゼ、顆粒デンプン加水分解酵素(GC626)、グルコアミラーゼ(GA)、ペクチナーゼ、セルラーゼ及びヘミセルラーゼの混合物を含むように調製され、下記の表7に示すように処方EとFを作成した。さらに、Danisco US, Inc., Genencor Divisionの酸菌類プロテアーゼ、FERMGEN(登録商標)も、6ppmで処方EとFに加えられた。表8では、EとFの行のppm値は処方中の総酵素量である。例えば、E+FERMGENは3ppmのEと3ppmのFERMGENを含む。表9では、エタノールの収量は、20℃における1MTモラセスに対する95.5%エタノール(L)で与えられた。この表で使用された略号は以下のとおり。
T(h)(時間);TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
T(h)(時間);TG(トランスグルコシダーゼ);Gluc(グルコース);Fruc(フルクトース);Suc acid(コハク酸);Lac acid (乳酸);Glyc(グリセロール);Acet acid(酢酸);EtOH(エタノール)
表9はFERMGEN存在下又は非存在下、処方EとFを使用したHPLCと蒸留の両方の結果を示す。この結果は処方EとFの両方の発酵おいて製造されたエタノール量が増大していることを示した。しかし、プロテアーゼを追加してもさらにエタノール含量を増やす助けとはならなかった。これは、処方EとF中のより効率の高い酵素を稀釈することになるためかも知れない。
これまで明細書で記載した全ての刊行物と特許は、引用により本明細書に組み入れられる。本技術分野の技術者には、本発明の範囲と本質から逸脱しない、本発明の記載された方法とシステムの種々の修飾と変更が明らかであろう。本発明は具体的な好ましい実施態様に関して述べられてきたが、特許が請求された発明はこのような具体的実施態様に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、本技術分野の技術者に明らかな、発明を実施するための記載された方法の種々の修飾は以下の請求項の範囲内にあると考えている。
Claims (32)
- 醗酵培地のモラセスの発酵収量を増やす方法であって、ラフィノース及び/又はスタキオースのような非発酵性の糖を加水分解できる少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含有する酵素組成物とモラセスを接触させることを含む、方法。
- 請求項1の方法であって、さらに1以上の第2の酵素を加えて、モラセス中の顆粒デンプン、タンパク質及び/又は残留デンプンを加水分解することを含む方法。
- 請求項1の方法であって、発酵反応におけるモラセスからの発酵性の糖が、アルコール、有機酸又は特注の生化学製品のような目的生成物を得るために変換される方法。
- 請求項3の方法であって、当該アルコールがエタノールである、方法。
- 請求項3の方法であって、当該有機酸が乳酸又はクエン酸である方法。
- 請求項3の方法であって、当該特注の生化学製品がアミノ酸である方法。
- モラセス中の発酵性の糖を増やす方法であって、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼ酵素とモラセスを接触させ発酵性の糖を得ることを含む方法。
- 請求項7の方法であって、さらに発酵性微生物の存在下で当該発酵性の糖を発酵させて目的生成物とすることを含む方法。
- 請求項8の方法であって、当該接触と発酵が同時に起こる、或いは接触が前処理である方法。
- 請求項8の方法であって、当該モラセスは非発酵性のデンプンを含有し、当該接触、前処理及び/又は発酵が顆粒デンプンのゼラチン化温度より低い温度で起こる方法。
- 請求項10の方法であって、当該非発酵性のデンプンが顆粒デンプンである方法。
- 請求項10の方法であって、当該接触及び/又は前処理温度が約52℃未満である方法。
- 請求項10の方法であって、当該発酵温度は約15から40℃である方法。
- 請求項10の方法であって、当該発酵、接触及び前処理温度が約15℃から40℃である方法。
- 請求項10の方法であって、当該接触及び/又は前処理が約2.0から7.0のpHで行われる方法。
- 請求項10の方法であって、当該発酵が約3.5から7.0のpHで行われる方法。
- 請求項7の方法であって、さらに当該モラセスを少なくとも1個の顆粒デンプン加水分解酵素(GSHE)と接触させることを含む方法。
- 請求項17の方法であって、当該GSHEがアルファアミラーゼ又はグルコアミラーゼである方法。
- 請求項7の方法であって、さらにヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、β-グルコシダーゼ、非-GSHEアルファアミラーゼ、及び/または非-GSHEグルコアミラーゼのような、少なくとも1個の他の酵素とモラセスを接触させることを含む方法。
- 請求項19の方法であって、当該プロテアーゼが酸菌類プロテアーゼ(acid fungal protease)である方法。
- 請求項20の方法であって、当該酸菌類プロテアーゼがアスペルギルス属又はトリコデルマ属の種由来であるものである方法。
- モラセスからエタノールを製造する方法であって、少なくとも1個のトランスグルコシダーゼ酵素とモラセスを接触させ、発酵性の生物の存在下で当該モラセスを発酵させてエタノールを製造することを含む方法。
- 請求項22の方法であって、当該接触と発酵が同時に生じるか、又は当該接触が前処理として行われる方法。
- 請求項23の方法であって、当該モラセスが顆粒デンプンを含有し、当該接触、発酵及び/または前処理が当該顆粒デンプンのゼラチン化温度よりも低い温度で行われる方法。
- 請求項1から24の方法のうちのいずれかの方法により生成された発酵性の糖を含有する発酵性の糖の組成物。
- 発酵反応においてモラセスの発酵収量を増やす方法であって、当該モラセス中の発酵性の糖を増やすため少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含有する酵素組成物と当該モラセスを接触させることを含む方法。
- 請求項26の方法であって、さらに当該発酵性の糖を発酵させてエタノールを製造することを含む方法。
- 請求項26の方法であって、さらにアルファアミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼのような、少なくとも1個のGSHEと当該モラセスを接触させることを含む方法。
- モラセス中のラフィノース及び/又はスタキオースを加水分解するために有効な量で少なくとも1個のトランスグルコシダーゼを含有する、モラセス発酵用の組成物。
- 請求項29の組成物であって、さらにグルコアミラーゼ及び/又はアルファアミラーゼのような少なくとも1個のGSHEを含有する組成物。
- 請求項30の組成物であって、セルラーゼ、ベータ グルコシダーゼ、ベータ-グルカナーゼ、酸菌類プロテアーゼ、デキストリナーゼ又はアルファガラクトシダーゼのような少なくとも1個の他の酵素を含有する組成物。
- 請求項31の組成物であって、当該組成物がアルファアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコアミラーゼ及び酸菌類プロテアーゼを含有する組成物。
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