ここで図面を参照して本発明を記載する。なお、全体を通して同じ要素を指すために同じ参照番号を使用している。以下の記載では、本発明の完全な理解をもたらすために、説明の目的で、多くの具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても、本発明を実行できることは明らかであり得る。他の例では、本発明の説明を容易にするために、周知の構造とデバイスとが、ブロック図の形で示されている。
本明細書で使用されているように、「オブジェクト」、「モジュール」、「インターフェイス」、「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「エンジン」、「ユニット」、「記憶装置」、等の用語は、コンピュータに関連するエンティティ、又は特定の機能を有する演算機械に関連するエンティティを指すことを意図している。エンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアの何れかであり得る。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、エグゼキュータブル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであり得るが、これらに制限されない。例として、サーバで実行されるアプリケーションとサーバとの両者が、コンポーネントであり得る。1つ以上のコンポーネントが、1つのプロセス及び/又は実行スレッド内にあっても、1つのコンポーネントが、1つのコンピュータに配置されていても及び/又は2つ以上のコンピュータに分散されていてもよい。更に、これらのコンポーネントは、様々なデータ構造を記憶した様々なコンピュータ読出し可能媒体から実行することができる。コンポーネントは、例えば1つ以上のデータパケットを有する信号に従って、ローカル及び/又はリモートプロセスによって通信することができる(例えば、1つのコンポーネントからのデータは、ローカルシステム、分散システムにおいて別のコンポーネントと、及び/又はインターネットのようにネットワークを渡って他のシステムと、信号によって対話する)。
更に、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することを意図している。即ち、特に指定されている場合を除いて、又は文脈から明らかである場合を除いて、「XはA又はBを用いる」は、通常の包括的な置換の何れかを意味することを意図している。即ち、XはAを用いる、XはBを用いる、或いは、XはA及びBの両者を用いる、である場合に、「XはA又はBを用いる」は、上述の例の何れにおいても満たされる。更に、この明細書と請求項とにおいて使用されている冠詞「a」と「an」は、特に指定されている場合を除いて、又は単数を指すことが文脈から明らかである場合を除いて、通常は、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。
図面を参照すると、図1は、例示的な生物学に基づく自律学習システム100を示している。適応推論エンジン110は、目標コンポーネント120に接続されている。有線又は無線の通信リンク115が、適応推論エンジン110と目標コンポーネント120とを接続している。目標コンポーネント120によって設定又は遂行される特定の目標のために、適応推論コンポーネント110は、入力130を受け取って、出力140を送る。入力130は、目標を達成するために用いられ、出力140は、遂行又は達成される目標の態様を表わす又は記録することができる。更に、適応推論エンジン110は、データ記憶装置150からリンク155を通してデータを受信することができ、且つこのようなデータ記憶装置にデータ又は情報を記憶することができる。例えば、記憶される情報は、出力140の一部であり得る。出力140の一部は、有線又は無線のリンク165を通して送られる。(i)入力130と、出力140と、データ記憶装置150中のデータ(及び、入力と、出力と、データ記憶装置中のデータ、の履歴)とが、適応推論エンジン110の動作に対するコンテキストを含んでいて、(ii)そのコンテキストを、リンク115と、155と、165とを介して、適応推論エンジンにフィードバックすることによって、コンテキストに基づく適応を容易にしている、と理解されるべきである。特に、目標コンポーネント120は、フィードバックされたコンテキストを活用して、特定の最初の目標を適応させて、適応させた目標を設定して、遂行することができる。
入力130は、外部からのデータ又は情報と見なすことができる。外部からのデータ又は情報は、(1)音、例えば、音声コマンド、周囲の雑音又は音声、アラーム;(2)画像、即ち、地上の静止又は移動カメラ、又は空中(例えば、飛行機、衛星)のカメラであって、放射線スペクトルの複数の間隔で動作することができるカメラによって捕らえられた画像;(3)バイオメトリックインジケータ;(4)トークン、例えば、大量の製造された製品、材料のサンプル;命令、記録、測定結果を含み得るデータ;等を含むことができる。出力140は、入力130と性質上ほぼ同じであり得る。出力140は、内部からのデータと見なすことができる。入力と出力140は、入力と出力のインターフェイスによって、それぞれ、受け取ることと、送ることができる。入力と出力のインターフェイスは、例えば、カメラ、入力パッド、メディアドック(例えば、USBポート、IR無線入力)である。入力と出力のインターフェイスは、適応推論コンポーネント110中に存在し得る。既に記載したように、入力130と出力140は、適応推論エンジン110に対するコンテキストの一部であり得る。更に、適応推論コンポーネント110は、目標を遂行するために、入力130を要求することができる。
生物学に基づく自律システム100中のコンポーネントは、再帰的に定義され得る。コンポーネントは、コンポーネントが学習した基本コンポーネントの複雑さの実質的な程度を、自律システム100に与えることができる。
各リンク115、155、又は165は、通信インターフェイスを含むことができる。通信インターフェイスは、送信又は受信されるデータ又は情報の操作を容易にすることと、データの保存とデータの検索とのためにデータベースを利用することと、アクタから情報を受信することと、アクタに情報を送ることができる。リンク115、155、又は165の有線の実施形態は、撚り対線と、T1/E1電話回線と、AC線と、光ファイバ線と、対応する回線とを含むことができる。一方で、無線の実施形態は、ウルトラモバイル広帯域リンク、ロングタームエボリューションリンク、又はIEEE 802.11リンクと、関連する電子機器とを含むことができる。データ記憶装置150に関して、データ記憶装置150は、単一の要素として示されているが、分散型データウェアハウスであってもよい。分散型データウェアハウスでは、異なる物理的又は論理的位置に、データメモリのセットが配備される。
例示的なシステム100において、適応推論エンジン110と目標コンポーネント120は、別々のコンポーネントとして示されているが、このようなコンポーネントのうちの一方が、他方の中に存在する場合があると理解されるべきである。
目標コンポーネント120は、1つ以上の分野(例えば、科学的分野、商業的分野、芸術的分野、文化的分野、等)、又は事業部門(例えば、市場部門、産業部門、研究部門、エネルギ部門、公共政策部門、等)に属し得る。更に、目標は、通常、多くの分野にわたり、複数の市場に焦点を当てる場合があるので、目標コンポーネントは、1つ以上の特定の分野又は部門内に、複数の異なる目標を設定することができる。目標を遂行するために、目標コンポーネントは、機能コンポーネントと、監視コンポーネントとを含むことができる。目標を達成するための特定の動作は、機能コンポーネントによって行なわれる。一方で、目標の達成に関する変数の条件は、監視コンポーネントによって決定される。更に、機能コンポーネントは、目標コンポーネント120によって達成され得る目標空間を決定することができる。目標空間は、特定の機能を用いて到達できる目標を実質的に全て含む。機能コンポーネントによって与えられるこのような特定の機能に対して、特定の目標のコンテキストに即した適応によって、目標空間内で第1の目標を第2の目標に適応させることができると理解されるべきである。目標空間内の最初の目標は、1以上のアクタによって決定され得る。アクタは、機械又は人間のエージェント(例えば、エンドユーザ)であり得る。適応推論エンジン110は、目標のドリフティング(drifting)によって、目標コンポーネント120を、細かくて複雑な対象へ向かわせることができるので、最初の目標は、包括的な高レベルの対象であり得ることに留意すべきである。目標と、目標コンポーネントと、目標適応とについて次に説明する。
図2は、コンテキストに即した目標適応を表した図200である。通常、目標(例えば、目標2101又は目標2103)は、目標コンポーネント(例えば、コンポーネント120)の機能に関連する抽象的概念であり得る。目標は、高レベルの抽象的概念であり得る。即ち、「退職後の生活のために貯蓄する」、「利益を確保する」、「楽しむ」、「料理を学ぶ」、「現地に行く」、「データベースを開発する」、「製品を製造する」、等である。更に、目標は、より具体的に絞り込んだものであってもよい。例えば、「60,000乃至80,000ドルの範囲内の年収で貯金をして、早く退職する」、「オフシーズンに、宿を含む旅行費用を5,000ドル以下にして、アメリカから日本に旅行する」、又は、「就職面接会場に着いたら、将来の雇用者である共同経営者たちに35分のプレゼンテーションをする」である。更に、目標(例えば、2101)は、関連するコンテキスト(例えば、2201)を有する。既に記載したように、適応推論エンジン110に接続された目標コンポーネント120は、通常、設定目標(例えば、目標2101、又は目標2103)に従う。例えば、「製品を製造する」という目標(例えば、目標2101)は、製造ツールシステムに任せることができる。製造ツールシステムは、例えば、分子線エピタキシーリアクタ(例示的な目標コンポーネント120)であって、標準仕様又はカスタム仕様を採用して、製品を製造する。このような目標(例えば、目標2101)を達成している間、出力140は、製造された製品を含み得る。更に、適応推論コンポーネント(例えば、コンポーネント110)は、「製品を製造する」という目標(例えば目標2101)を、コンテキスト(例えば、コンテキスト2201)に基づいて適応させる(例えば、適応2301)ことができる。例えば、コンテキストは、ツールシステムの仕様によって、又は目標コンポーネント中の監視コンポーネントによって収集されたデータによって、生成され得る。具体的には、最初の高レベルの目標(例えば、目標2101)を、「半導体デバイスを製造する」(例えば、目標2102)に適応させることができる。既に記載したように、目標コンポーネント120は、目標を達成するために複数の機能コンポーネントから構成されてもよい。更に、目標コンポーネント120は、モジュール式であってもよい。この場合に、目標を適応させるように、目標サブコンポーネントが組み込まれ得る。一例として、「製品を製造する」という目標を遂行する目標コンポーネントは、複数市場を評定して予見する、コンポーネントを具備し得る。複数市場を評定して予見する、コンポーネントは、超並列インテリジェントコンピューティングプラットフォームに接続されている。これは、「分子エレクトロニクスコンポーネントを利用するマルチコアプロセッサを製造する」という目標(例えば、目標210N)に適応させる(例えば、230N)ために、様々な市場の市場条件を分析することができる。このような適応は、幾つかの中間適応2301−230N−1と、中間適応後の目標2102−210N−1とを含むことに留意すべきである。中間適応は、前に遂行した目標から生成された中間コンテキスト2202−220N−1に基づく。
目標と、目標コンポーネントと、目標適応との別の例において、目標は、「映画AのDVDを店Bで購入する」ことであり得る。目標コンポーネント120は、ナビゲーションシステムを備えた車であって、適応推論エンジン110を具備している。(この例では、適応推論エンジン110が目標コンポーネント120の中にあることに留意すべきである)。アクタ(例えば、車の運転者)は、店Bの場所を入力又は選択することができる。目標コンポーネントは、目標を達成するための指示を生成することができる。アクタが店に向かっている間に、店Bが在庫の映画Aの搬入を止めたという入力130を、適応推論エンジン110が受信した(例えば、RFIDリーダが在庫のデータベースを更新して、更新メッセージがコンポーネント110に同報通信された)場合に、適応推論エンジン110は、(i)映画Aの在庫がある店Cを特定する追加の入力130を要求して、(ii)店Cに着くためにアクタが利用できる資源を評定して、(iii)目標の達成におけるアクタの関心レベルを評価することができる。(i)−(iii)に示されているように、入力130を通して作成された、修正されたコンテキストに基づいて、目標コンポーネントは、「映画AのDVDを店Cで購入する」という目標に適応させる指示を受信することができる。
適応推論エンジン110は、目標コンポーネント120によって決定された目標に関連する副目標(sub-goal)を設定できると理解されるべきである。適応推論エンジンが、補完的なタスクの達成を可能にするか、又は目標に関連する概念の学習を可能にすることによって、副目標は目標の達成を助けることができる。
以上をまとめると、生物学に基づく自律システム100は、コンテキストに即した目標適応を備えた、目標に駆動されるシステム(goal-driven system)である。受け取ったコンテキストに基づく目標適応は、入力情報を分析して、役に立つ情報の出力140を生成するために、追加の適応層を取り入れていると理解されるべきである。(a)情報又はデータ分析のプロセスを適応させて、(b)コンテキストに基づいて最初の目標を適応させる能力は、システムを、非常に適応性又は自律性のあるものにする。
図3は、例示的な生物学に基づく自律学習ツール300の高レベルのブロック図を示している。実施形態300において、自律学習システムは、ツールシステム310を含んでいる。ツールシステム310は、機能コンポーネント315と、センサコンポーネント325とを具備する。機能コンポーネント315は、ツールシステムに特定の機能を与え、1つの機能ツールコンポーネントか、或いは実質的に同じ又は異なる機能ツールコンポーネントの集まりを具備し得る。センサコンポーネント325は、ツールによって行なわれるプロセスに関する幾つかの観測可能な大きさを調べることができる。ツールによって行なわれるプロセスは、例えば、半導体ウェーハの熱処理である。ツールシステム310は、プロセスに関連するアセット328を生成する。集められたアセット328は、データアセットを含む。データアセットは、例えば、生産のプロセスのデータ又はテストの実行のデータである。集められたアセット328は、相互作用コンポーネント330に送られ得る。相互作用コンポーネント330は、アセット328を受け取るインターフェイスとしての役割を果たすことができるアダプタコンポーネント335と、受け取ったアセット328を処理することができる相互作用マネージャ345と、受け取って処理したデータを記憶することができるデータベース355とを含む。相互作用コンポーネント330は、ツールシステム310と、生物学に基づく自律学習システム360との相互作用を容易にする。ツールシステム310によって行なわれるプロセスにおいて生成されたデータに関連する情報は受信されて、自律学習システム360にインクリメンタルに供給され得る。
生物学に基づく自律学習システム360は、メモリプラットフォーム365を含む。メモリプラットフォーム365は、受信した情報358(例えば、データ、変数、関連する関係、因果グラフ、テンプレート、等)を記憶する。受信した情報358は、知識ネットワーク375を介して、処理プラットフォーム385に通信され得る。処理プラットフォーム385は、受信した情報を操作することができ、処理した情報を、知識ネットワーク375を通して、メモリプラットフォーム365に通信することができる。自律学習システム360の構成コンポーネントは、概して、脳の生物学的な態様に似ているかもしれない。メモリは、情報を操作して知識を生成する処理コンポーネントとネットワーク化されている。更に、知識ネットワーク375は、相互作用コンポーネント330から情報を受信することと、相互作用コンポーネント330に情報を送ることができる。相互作用コンポーネント330は、相互作用マネージャ345を介して、アクタ390に、又はツールシステム310に情報を通信することができる。自律学習システム360が情報358を受信して、記憶して、処理して、伝送すると、それに依存するツールシステム310とアクタとに、複数の改善をもたらすことができる。即ち、改善は、(a)時間の進行に伴って、自律学習システム360とツールシステム310とが、次第に独立し、アクタの介入(例えば、人間の指示と管理)の必要が低減することと、(b)自律システムが、アクタへの出力の品質を改善すること(例えば、故障の根本原因をより良く識別すること、又はシステムの故障をその発生前に予測すること)と、(c)自律学習システム360が、時間の経過と共に、その性能を改善すること、従って、自律学習システム360が、より高速に、より少ない消費資源で、改善された結果を出すことと、を含む。
メモリプラットフォーム365は、機能メモリコンポーネントの階層を具備する。機能メモリコンポーネントの階層は、ツールシステム310の初期設定又は構成中に受け取った知識(例えば、情報358)(例えば、先験的知識)を記憶するように構成され得る。先験的知識は、相互作用コンポーネント330を通して、情報入力358として送られ得る。更に、メモリプラットフォーム365は、(a)ツールシステム310の初期設定/構成後に、自律学習システム360をトレーニングするために用いられるトレーニングデータ(例えば、情報入力358)と、(b)自律学習システム360によって生成された知識とを記憶することができる。知識は、相互作用コンポーネント330を通して、相互作用マネージャ345を介して、ツールシステム310又はアクタ390に送られ得る。
例えば人間のエージェントである、アクタ390によって供給される情報入力358(例えば、データ)は、プロセスに関連する変数を識別するデータ、2つ以上の変数の関係、因果グラフ(例えば、依存関係グラフ)、又はエピソード情報を含むことができる。このような情報は、学習プロセスにおいて、生物学に基づく自律システム360を導くのを助け得る。更に、1つの態様において、アクタ390は、このような情報入力358を、ツールシステム310によって行なわれる特定のプロセスに対する情報の関連性(relevance)に関して、重要であると考え得る。例えば、酸化物エッチングシステムのオペレータ(例えば、アクタ390は人間のエージェントである)は、製造プロセスの成果にとって、エッチングレートは重大であると判断し得る。従って、エッチングレートは、自律学習システム360に通信される属性であり得る。別の態様において、アクタ390によって供給される情報入力358は、ヒントになる場合がある。それによって、プロセスの変数間の特定の関係を学習する指示が生成される。一例として、ヒントは、特定の蒸着ステップ内において、チャンバの容積と、排気圧と、入って来るガスフローとの関数として、ツールシステム310の蒸着チャンバ中の圧力の振る舞いを学習するように示唆し得る。別の例として、ヒントは、チャンバの圧力に対する詳細な時間関係を学習するように指示し得る。このような例示的なヒントによって、複数のプロセスの変数に対する圧力の関数従属性を学習することができる、自律学習システム中の1つ以上の機能処理ユニットがアクティブにされ得る。更に、このようなヒントによって、アクタ390に利用可能な経験に基づく関数又はモデルに対して、学習した関数を適用して比較する1つ以上の機能ユニットも、アクティブされ得る。
例えば半導体製造ツールである、ツールシステム310は、複雑であり得るので、異なるアクタが、異なるタイプの特定の、十分又は不十分な知識を通して、ツールシステムの操作又は動作を専門に行い得る。一例として、人間のエージェント、例えばツールエンジニアは、異なるガスが異なる分子量を有するので、異なる圧力を生成し得ることを知っており、一方で、プロセス/ツールエンジニアは、第1のガスから得られる圧力の読み取り値を、第2のガスから得られる等価な圧力に、どのように変換するかについて知っている。このような知識の基本的な例は、1つの単位(例えば、Pa)から別の単位(例えば、lb/in2、又はPSI)に、圧力の読み取り値を変換することであり得る。生物学に基づく自律学習システムにおいて提示される別のタイプの一般的でより複雑な知識は、ツールシステムの特性(例えば、チャンバの容積)と、ツールシステムで行なわれた測定(例えば、チャンバで測定された圧力)との関数の関係であり得る。例えば、エッチングのエンジニアは、エッチングレートがエッチングチャンバの温度によって決まることを知っている。知識の多様性と、このような知識が不十分であり得るという事実とを考慮に入れて、アクタ(例えば、エンドユーザのような人間のエージェント)は、複数の程度の伝達される知識によって、自律学習システム360を導くことができる。(i)特定の知識がない。アクタは、自律学習システムに手引きを与えない。(ii)基礎知識。アクタは、ツールシステムの特性とツールシステムにおける測定値との有効な関係を伝達することができる。例えば、アクタは、エッチングレート(κE)と処理温度(T)との関係(例えば、関係(κE,T)(relationship(κE,T))を伝達する。更なる詳細は備えていない。(iii)識別された出力を備えた基礎知識。アクタは、ツールシステムの特性とツールシステムの測定値との関係に加えて、従属変数に対する特定の出力を、関係(例えば、関係(出力(κE,T))(relationship(output(κE,T))で提供することができる。(iv)関係に関する部分的な知識。アクタは、ツールシステムの特性及び測定値と、関連する従属変数及び独立変数との間における数式の構造(例えば、κE=k1e−k2/T、k1又はk2に対する具体的な値はない)を知っている。しかしながら、アクタは、その関係の1つ以上の関連する定数の正確な値を知らない。(v)完全な知識。アクタは、関数の関係の完全な数学的記述を有する。自律学習システム360が進化して、ツールの関数の関係を自律的に学習することを試みると、このような手引きは、時間の経過に伴って、インクリメンタルに提供され得ることに留意すべきである。
知識ネットワーク375は、知識のバスである。知識のバスは、設定された優先順位に従って、情報(例えば、データ)を通信するか、又は電力を供給する。優先順位は、情報の源コンポーネント又はプラットフォームと、情報の宛先コンポーネント又はプラットフォームとの対によって設定され得る。更に、優先順位は、送信される情報に基づき得る(例えば、この情報は実時間で送られなければならない)。優先順位は、静的ではなく、動的であって、自律学習システム360における学習の進歩の関数として、及び、生物学に基づく自律学習ツール300中に存在する1つ以上のコンポーネントにおける1つ以上の要求を考慮して、変わり得ることに留意すべきである。例えば、問題の状況が認識されて、通信が認められて、それに応じて実行され得る。知識ネットワーク375を介しての通信と電力供給は、有線リンク(例えば、撚り対線、T1/E1電話回線、AC線、光ファイバ線)、又は無線リンク(例えば、UMB、LTE、IEEE 802.11)により行なうことができ、1つの機能プラットフォーム(例えば、メモリプラットフォーム365及び処理プラットフォーム385)内のコンポーネント(示されていない)間で行なれ得るか、又は異なるプラットフォームのコンポーネント間で行なわれ得る(例えば、自己認識のメモリプラットフォーム中のコンポーネントは、自己認識の別のサブコンポーネントと通信する)。或いは、通信は、コンポーネント間で行われ得る(例えば、認識コンポーネントは、概念化コンポーネントと通信する)。
処理プラットフォーム385は、機能処理ユニットを具備する。機能処理ユニットは、情報を操作する。即ち、特定のタイプ(例えば、数字、シーケンス、時系列、関数、クラス、因果グラフ、等のような、特定のデータ型)の入力情報を受信又は検索する。処理ユニットは、計算を行なって、特定のタイプの出力情報を生成する。出力情報は、知識ネットワーク375を介して、メモリプラットフォーム365中の1つ以上のコンポーネントに送られ得る。1つの態様において、機能処理ユニットは、メモリプラットフォーム365に記憶されているデータ型のインスタンス又はデータ構造を読み出して修正して、新たなデータ構造をその中に入れることができる。別の態様において、機能処理ユニットは、適切性と、重要性と、活性化/抑制エネルギと、通信の優先順位とのような、様々な数値属性に対する調節を行うことができる。各機能処理ユニットは、動的な優先順位を有する。動的な優先順位は、情報を操作する階層を決定する。優先順位の高いユニットは、優先順位の低いユニットよりも先にデータを操作する。特定の情報を操作した機能処理ユニットが、新たな知識の生成(例えば、学習)をしなかった場合は、その機能処理ユニットに関連する優先順位を下げることができる。新たな知識の生成は、例えば、ランクキング順位又はランキング関数の生成であり、ツールシステム310の動作に関連する良い実行と悪い実行とを区別する。逆に、新たな知識を生成すると、処理ユニットの優先順位は上がる。
処理プラットフォーム385は、優先順位を付けられた機能処理ユニットを通して、特定の状況(例えば、特定のデータ型)において第1の動作を試みる人間の傾向をエミュレートし、その動作が新たな知識を生成する場合は、後の実質的に同じ状況において、その動作を活用すると理解されるべきである。逆に、第1の動作が新たな知識を生成しない場合は、その状況に対処するために第1の動作を用いる傾向を弱めて、第2の動作を利用する(例えば、活性化を伝播する)。第2の動作が新たな知識を生成しない場合は、その優先順位を下げて、第3の動作を用いる。処理プラットフォーム385は、新たな知識が生成されて、別の動作がより高い優先順位を獲得するまで1つの動作を用い続ける。
1つの態様において、アクタ390は、プロセスレシピ(recipe)パラメータと、命令(例えば、イオン注入されたウェーハのアニーリングサイクルに対する温度のプロファイル、半導体の蒸着におけるシャッタの一連の開/閉、イオン注入プロセスにおけるイオンビームのエネルギ、又はスパッタリング蒸着における電界の大きさ)と、初期設定パラメータとを、自律学習システム360に対して提供することができる。別の態様において、アクタは、ツールシステム310のメンテナンスに関連するデータを供給することができる。更に別の態様において、アクタ390は、ツールシステム310によって行なわれたプロセスのコンピュータシミュレーションの結果を生成して提供することができる。このようなシミュレーションにおいて生成された結果は、生物学に基づく自律学習システムをトレーニングするためのトレーニングデータとして用いることができる。更に、シミュレーション又はエンドユーザは、プロセスに関連する最適化データを、ツールシステム310に伝送することができる。
自律学習システム360は、1つ以上のトレーニングサイクルを通して、トレーニングされ得る。各トレーニングサイクルを利用して、生物学に基づく自律学習ツール300を発展させて、(i)外部からの介入なしに、多数の機能を行なうことを可能にすること、(ii)製造システムの調子(health)の根本原因を診断する場合に、より良い応答、例えば改善された精度又は正確さを提供すること、及び(iii)性能を向上させること、例えば、応答時間を速めること、メモリ消費量を低減すること、又は製品の品質を改善すること、ができるようにする。トレーニングデータは、アダプタコンポーネント335を介して、又は、相互作用マネージャ345を通して、自律学習システムに供給され得る。ツールシステム310で実行されたプロセスの較正又は標準に関連するデータ328から、トレーニングデータを集める場合に、このようなデータは、内部からであると見なされ得る。データベース355(例えば、外部のプローブによって行われた外部での測定に関するデータ、又はツールシステム310における修復の介入の記録)から、トレーニングデータを取り出す場合に、このようなトレーニングデータは、外部からであると見なされ得る。アクタによって、トレーニングデータが供給される場合に、データは、相互作用マネージャ345を通して送られ、外部からであると見なされ得る。内部からの又は外部からのトレーニングデータに基づくトレーニングサイクルは、自律学習システム360がツールシステム310の予想される振る舞いを学習するのを助ける。
既に記載したように、機能コンポーネント315は、複数の機能ツールコンポーネント(示されていない)を具備し得る。機能ツールコンポーネントは、ツール別の半導体製造能力に関わり、機能ツールコンポーネントを使用して、(a)半導体基板(例えば、ウェーハ、フラットパネル、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD)、等)を製造すること、(b)気相エピタキシャル成長又は非気相エピタキシャル成長を行なうこと、(c)イオン注入又はガスクラスタイオンインフュージョンを助けること、(d)プラズマ又は非プラズマ(ドライ又はウェット)の酸化物エッチング処理を行なうこと、(e)リソグラフィ処理(例えば、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、等)を実施すること、等ができる。更に、ツールシステム310は、炉と;制御された電気化学的環境で動作する露光ツールと;平坦化デバイスと;電気めっきシステムと;光学的、電気的、及び熱的特性に関するテストデバイスであって、(動作サイクルによる)寿命測定に含まれ得るテストデバイスと;計測ツールと、ウェーハ洗浄装置、等において具現され得る。
ツールシステム310によって行われるプロセスにおいて、センサコンポーネント325を含むセンサとプローブは、様々な変換器及び技術を通して、異なる物理的性質(例えば、圧力、温度、湿度、質量密度、蒸着速度、層の厚さ、表面の粗さ、結晶配向、ドーピング濃度、等)と、機械的性質(バルブの開口部又はバルブの角度、シャッタのオン/オフ動作、ガスフラックス、基板の角速度、基板の配向、等)とに関するデータ(例えば、データアセット)を、そのデータの用途に応じた様々な複雑度で集めることができる。このような技術は、X線回折、透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy, TEM)、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy, SEM)、質量分析、露光量評価、磁気電気伝導測定(magnetoelectric transport measurements)、光学的特性の測定、等を含むことができるが、これらに制限されない。製品(例えば、半導体基板)に関連する追加のデータアセットは、開発検査(development inspection, DI)の限界寸法(critical dimension, CD)と、最終検査(final inspection, FI)のCIとである。プローブは、ツールシステム310の外部にあり、インターフェイスコンポーネント(示されていない)を通してアクセスすることができると理解されるべきである。例えば、このような外部のプローブは、DI CIとFI CIとを提供することができる。このようなデータアセット328は、ツールシステム310によって製造又は製作された物理的な製品、或いは出力アセットを効果的に特徴付けると理解されるべきである。
1つの態様において、センサコンポーネント325中のデータソースを、アダプタコンポーネント335に接続することができる。アダプタコンポーネント335は、データアセット328をアナログ又はディジタル形式で収集するように構成され得る。アダプタコンポーネント335は、実行されたプロセス中に集められたデータ368を、自律学習システム360におけるそのデータの用途に従って構成又は分解するのを助けることができる。その後で、データは、メモリプラットフォーム365に置かれる。アダプタコンポーネント335中のアダプタは、センサコンポーネント325中の1つ以上のセンサに関連付けられて、特定の頻度で、又は他の特定の条件で、1つ以上のセンサを読み出す。外部データソースのアダプタは、ツールの外部から送り込まれたデータを通す能力と、データを取り出す能力とを有し得る。例えば、MES/履歴データベースアダプタは、どのようにMESデータベースを調べて、様々なオートボット(autobot)の情報を抽出して、そのデータを自律システムの1つ以上のコンポーネントのワーキングメモリに入れる/パッケージ化するかを知っている。一例として、ツールがウェーハを処理するときに、アダプタコンポーネント335は、ウェーハレベルの実行データを、一度に1つのウェーハずつ収集することができる。次に、アダプタコンポーネント335は、個々の実行を1つのバッチに統合して、「ロットレベルデータ」、「メンテナンス間隔データ」、等を形成することができる。その代わりに、ツールシステム310が、ロットレベルデータの1つのファイル(又は、コンピュータ製品アセット)を出力すると、アダプタコンポーネント335は、ウェーハレベルデータ、ステップレベルデータ、等を抽出することができる。更に、例えばセンサコンポーネント325中の圧力制御装置が動作する時間と変数である、分解されたデータ要素を、ツールシステム310の1つ以上のコンポーネントに関係付けることができる。既に記載したように、受信したデータ328を処理又はパッケージ化した後で、アダプタコンポーネント335は、処理されたデータをデータベース355に記憶することができる。
データベース355は、(i)センサコンポーネント325中のセンサによって行なわれる測定を経た、ツールシステム310からのデータ、(ii)製造実行システム(manufacturing execution system, MES)データベース又は履歴データベース、或いは(iii)ツールシステム310のコンピュータシミュレーション、例えばアクタ390によって行なわれた半導体ウェーハを製造するシミュレーション、で生成されたデータ、を含むことができる。1つの態様において、MESは、製造プロセスを測定及び制御することと、装置の可用性と状態とを追跡することと、在庫を制御することと、危険を知らせるために監視することができるシステムである。
ツールシステム310によって製作された製品又は製品アセットは、相互作用コンポーネント330を通して、アクタ390に送られ得ると理解されるべきである。製品アセットはアクタ390によって分析されて、結果として得られた情報又はデータアセットは、自律学習システム360に送られ得ると理解されるべきである。別の態様において、相互作用コンポーネント330は、アダプタコンポーネント335を介して、製品アセット328の分析を行なうことができる。
更に、実施形態300において、相互作用コンポーネント330と自律学習システム360は、ツールシステム310に対して外部に配備されていることに留意すべきである。生物学に基づく自律学習ツール300の別の配備構成、例えば組み込み配備(embedded deployment)を実現することができ、相互作用コンポーネント330と生物学に基づく自律学習システム360は、例えばシングル組み込みモードで、ツールシステム310内の、1つの特定のツールコンポーネントの中に、又は、例えばマルチプル組み込みモードで、ツールシステム310内の、ツールコンポーネントの1つクラスタの中に存在することができる。このような配備に代わるものは、階層で実現され得る。ここでは、自律学習システムは、自律学習ツールのセットをサポートする。自律学習ツールのセットは、グループツール又はツール複合体を形成する。このような複雑な構成は、以下で詳しく記載する。
次に、例示的なツールシステム310を図4に関連して記載する。生物学に基づく自律学習システム360に対する例示的なアーキテクチャは、図5−9に関連して詳しく提示され、記載される。
図4は、例示的な半導体製造システム400の図である。例示的な半導体製造システム400は、動作を監視して、分析して、改善するために、生物学に基づく自律学習システム360を利用することができる。具体的には、システム400は、熱現像及びコーティングシステムである。熱現像及びコーティングシステムは、図3に関連して既に記載したツールシステム310を例示している。システム400は、ロード/アンロードセクション405と、プロセスセクション410と、インターフェイスセクション415とを含む。1つの態様において、ロード/アンロードセクション405は、カセットテーブル420を有する。カセットテーブル420の上には、複数のカセット425がある。各カセット425は、複数の半導体基板を保管する。複数のカセット425は、システム400にロードされ、且つシステム400からアンロードされる。プロセスセクション410は、基板を1つずつ連続的に処理するために、1つの基板を処理する様々なユニットを有する。インターフェイスセクション415は、品質確認、プロセスの開発、その場(in situ)の根本原因の分析のために、複数のプローブ及びセンサへのアクセスを容易にし得る。集めたデータ(例えば、データ368)は、インターフェイスコンポーネントを通して、生物学に基づく自律学習システムに送ることができる。
1つの態様において、プロセスユニット410は、第1のプロセスユニットグループ430を含む。第1のプロセスユニットグループ430は、冷却ユニット(cooling unit, COL)435と、配列ユニット(alignment unit, ALIM)440と、接着ユニット(adhesion unit, AD)445と、引き伸ばしユニット(extension unit, EXT)450と、2つのプリベーキングユニット(prebaking unit, PREBAKE)455と、2つのポストベーキングユニット(postbaking unit ,POBAKE)460とを具備し、これらは下から順番に積み重ねられている。更に、第2のプロセスユニットグループ465は、冷却ユニット(cooling unit, COL)435と、引き伸ばし−冷却ユニット(extension-cooling unit, EXTCOL)470と、引き伸ばしユニット(extension unit, EXT)475と、第2の冷却ユニット(COL)435と、2つのプリベーキングユニット(prebaking unit, PREBAKE)455と、2つのポストベーキングユニット(postbaking unit ,POBAKE)460とを含む。冷却ユニット(COL)435と、引き伸ばし−冷却ユニット(EXTCOL)470は、低い処理温度で動作し、下方段に配置され得る。プリベーキングユニット(PREBAKE)455と、ポストベーキングユニット(POBAKE)460と、接着ユニット(AD)445は、高温で動作し、上方段に配置されている。この配置により、ユニット間の熱干渉を低減することができる。その代わりに、これらのユニットは、代わりの又は別の配置であってもよい。プリベーキングユニット(PREBAKE)455と、ポストベーキングユニット(POBAKE)460と、接着ユニット(AD)445は、各々、熱処理装置を具備する。熱処理装置の中で、基板は、室温よりも高い温度に加熱される。1つの態様では、プリベーキングユニット455と、ポストベーキングユニット460と、接着ユニット445とから、インターフェイスコンポーネント340を通して、生物学に基づく自律学習システム360に、温度と圧力のデータを供給することができる。基板に対する回転速度と位置のデータは、配列ユニット440から送られ得る。
図5は、生物学に基づく自律学習システムの例示的なアーキテクチャ500の高レベルのブロック図を示している。実施形態500において、自律学習システム360は、機能メモリコンポーネントの階層を具備している。機能メモリコンポーネントの階層は、長期メモリ(long term memory, LTM)510と、短期メモリ(short term memory, STM)520と、エピソードメモリ(EM)530とを含む。このような機能メモリコンポーネントの各々は、知識ネットワーク375を通して通信することができる。知識ネットワーク375は、図3に関連する記載に説明されているように動作する。更に、自律学習システム360は、オートボットコンポーネント540を含むことができる。オートボットコンポーネント540は、オートボットとして識別される機能処理ユニットを含み、処理プラットフォーム385に関連して記載した機能処理ユニットと実質的に同じ特性を有する。オートボットコンポーネント540は、処理プラットフォーム385の一部であり得ることに留意すべきである。
更に、自律学習システム360は、1つ以上の主要な機能ユニットを具備することができる。1つ以上の主要な機能ユニットは、自己認識コンポーネント(self-awareness component)550と、自己概念化コンポーネント(self-conceptualization component)560と、自己最適化コンポーネント(self-optimization component)570とを含む。第1のフィードフォワード(feed forward, FF)ループ552は、正方向リンクの役割をすることができ、自己認識コンポーネント550と自己概念化560との間でデータを通信することができる。更に、第1のフィードバック(feed back, FB)ループ558は、逆方向リンクの役割をすることができ、自己概念化コンポーネント560と自己認識コンポーネント550との間でデータを通信することができる。同様に、自己概念化コンポーネント560と自己最適化コンポーネント570との間における、正方向リンクと逆方向リンクのデータ通信は、それぞれ、第2のFFループ562と第2のFBループ568とを通して達成することができる。FFリンクでは、コンポーネントに通信する前に、データを変換して、コンポーネントがそのデータを受信して、更にそれを処理する。一方で、FBリンクでは、次のデータ要素が、そのデータを受信するコンポーネントによって変換されて、処理されると理解されるべきである。例えば、FFリンク552を通して転送されるデータは、自己認識コンポーネント550によって、そのデータを自己概念化コンポーネント560に通信する前に、変換され得る。FFリンク552と562は、コンポーネント550とコンポーネント570との間におけるデータの間接的な通信を助けることができ、一方で、FBリンク568と558は、コンポーネント570と550との間におけるデータの間接的な通信を助けることができる。更に、データは、コンポーネント550と、360と、370との間において、知識ネットワーク375を通して、直接的に送られ得る。
長期メモリ510は、初期設定/構成後に自律学習ツールシステム300をトレーニングするために、ツールシステムの初期設定又は構成中に相互作用コンポーネント330を通して供給された知識(例えば、先験的知識)を記憶することができる。更に、長期メモリ510は、自律学習システム360によって生成された知識も記憶することができる。LTM510は、メモリプラットフォーム365の一部であり得るので、メモリプラットフォーム365の特性と実質的に同じ特性を示し得ると理解されるべきである。一般に、長期メモリ510は、知識ベースを含むことができる。知識ベースは、ツールシステムコンポーネント(例えば、製造コンポーネント、プローブコンポーネント、等)に関する情報と、関係と、手続きとを含む。知識ベースの少なくとも一部分は、意味ネットワークであって、データ型(例えば、数列、平均、又は標準偏差)と、データ型間の関係と、第1のセットのデータ型を第2のセットのデータ型に変換する手続きとを記述又は分類する。
知識ベースは、知識要素又は概念を含み得る。1つの態様において、各知識要素は、2つの数値属性に関連し得る。2つの数値属性は、知識要素又は概念の、適切性(suitability)(ξ)と慣性(inertia)(ι)とである。このような属性は、共同で、概念の優先順位を決定する。これらの2つの数値属性の十分に定義された関数、例えば、加重和、幾何平均は、概念の状況スコア(situation score)(σ)であり得る。例えば、σ=ξ+ιである。知識要素の適切性は、特定時における、ツールシステム又は目標コンポーネントの状況に対する知識要素(例えば、概念)の関連性、として定義することができる。1つの態様において、第1の要素又は概念は、第2の要素よりも高い適切性スコアを有し、より低い適切性スコアを有する第2の要素よりも、自律学習システム360の現在の状態とツールシステム310の現在の状態とに、より関連性があり得る。知識要素又は概念の慣性は、知識要素の利用に関連する難しさとして定義することができる。例えば、低い第1の慣性値は、数の要素(element)に与られ得る。第1の値よりも高い第2の慣性値は、数のリスト(list)に属し得る。数の数列(sequence)は、第2の値よりも高い第3の慣性値を有し得る。数の行列(matrix)は、第4の慣性値を有し得る。第4の慣性値は、第3の値よりも大きい。慣性は、他の知識又は情報構造に適用され得ることに留意すべきである。他の知識又は情報構造は、例えば、グラフ、データベース中のテーブル、オーディオファイル、ビデオフレーム、コードの断片(snippet)、コードスクリプト、等である。後者のアイテムは、実質的に全て、入力130の一部であり得る。本発明は、適切性と慣性との十分に定義された関数を提供する。この関数は、知識要素を検索して適用する可能性に影響を及ぼし得る。最高の状況スコアを有する概念は、処理ユニットによる処理のために短期メモリ520に提供される可能性が最も高い概念である。
短期メモリ520は、一時記憶域であって、ワーキングメモリ(例えば、作業域又はキャッシュ)として、或いは、特定のアルゴリズム又は手続きに関連する、協力/競合する動作又はオートボットが、データ型を操作できる位置として利用され得る。STM520に含まれるデータは、1又は複数のデータ構造を有し得る。STM520におけるこのようなデータ構造は、オートボットとプランナユーバボット
(例えば、計画に専用のオートボット)とによって行なわれるデータ変換の結果として、変更することができる。短期メモリ520は、データ、相互作用マネージャ345によって提供される学習命令、長期メモリ510からの知識、1つ以上のオートボット又はユーバボットによって提供及び/又は生成されるデータ、並びに/或いは、アクタ390によって提供される初期設定/構成コマンドを含み得る。短期メモリ520は、その中に記憶されているデータを変換するために使用される、1つ以上のオートボット及び/又はユーバボットの状態を追っていくことができる。
エピソードメモリ530は、エピソードを記憶する。エピソードは、プロセスに関連し得る概念とパラメータとの、アクタに識別されたセットを含み得る。1つの態様において、エピソードは、外部からのデータ又は入力130を含み、これは、特定のコンテキストを自律学習システム100に提供することができる。一般に、エピソードは、目標を遂行しているときに(例えば、ツールシステム110、目標コンポーネント120、又は自律学習システム160によって)識別又は生成された特定のシナリオに関連付けられ得ることに留意すべきである。エピソードを識別するアクタは、プロセスエンジニア、ツールエンジニア、フィールドサポートエンジニア、等のような人間のエージェントであり得るか、又は機械であり得る。エピソードメモリ530は、人間のエピソード記憶に似ていると理解されるべきである。特定のシナリオに関連付けられた知識、例えばエピソードは、エピソードを生成した学習過程を思い出さすことなくアクセス可能であり提示され得る。一般に、エピソードの紹介又は定義は、トレーニングサイクルの一部か、又は実質的に任意の外部から提供された入力である。エピソードの紹介又は定義により、生物学に基づく自律学習システム360は、エピソードに関連するデータ中に存在し得るデータパターン又は入力パターンを特徴付けるように学習することを試み得る。エピソードに関連する、特徴付けられたデータパターンは、エピソードと、エピソードの名前と共に、エピソードメモリ530に記憶され得る。エピソードをエピソードメモリ530に加えると、エピソード別のオートボットを生成することになり得る。ツールシステム310又は一般に目標コンポーネント120によって行われるプロセスのパラメータのセットが、エピソードにおいて定義されている動作範囲に入ると、エピソード別のオートボットがアクティブになる。遂行されている目標又はプロセスに関連する第1の特徴が認識されると、エピソード別のオートボットは、十分な活性化エネルギを受け取る。受け取ったエピソードによって設定されている基準を、パラメータが満たしている場合に、エピソード別のオートボットは、エピソード中のデータパターンと、利用可能な現在のデータとを比較する。ツールシステム310又は目標コンポーネントの(認識されたデータパターンによって定義されている)現在の状況が、記憶されているエピソードと一致する場合は、アラームを発生させて、ツールメンテナンスエンジニアがその状況に確実に気付いて、予防処置をとって、機能コンポーネント315、センサコンポーネント325、又はツールプロセスで利用されている物質、に対する更なる損傷を軽減できるようにする。
オートボットコンポーネント540は、オートボットのライブラリを具備し、入力データ型(例えば、行列、ベクトル、数列、等)に対して特定の動作を行なう。1つの態様において、オートボットは、オートボットの意味ネット中に存在し、各オートボットは、関連する優先順位を有し得る。オートボットの優先順位は、その活性化エネルギ(EA)とその抑制エネルギ(EI)との関数である。オートボットコンポーネント540は、オートボットの編成されたリポジトリであり、自己認識コンポーネント550に対するオートボットと、自己概念化コンポーネント560に対するオートボットと、自己最適化コンポーネント570に対するオートボットと、別のオートボットとを含むことができる。別のオートボットは、コンポーネント間及び様々なメモリユニット間において、データを転送する及び渡すことに関与し得る。オートボットが行うことができる特定の動作は、数列の平均、数列の順序付け、第1のベクトルと第2のベクトルとのスカラ積、第1の行列と第2の行列との乗算、時間に関する時系列の導関数、数列の自己相関の計算、第1の数列と第2の数列との相互相関演算、全ての基底関数中の1つの関数の分解、時系列の数値データストリームのウェーブレット分解、又は時系列のフーリエ分解を含み得る。入力データに応じて、更なる動作が行なわれ得ると理解されるべきである。更なる動作は、画像か、録音された音か、又はバイオメトリックインジケータの中の特徴の抽出、ビデオフレームの圧縮、周囲の音又は音声コマンドのディジタル化、等である。オートボットによって行なわれる動作の各々は、1つ以上の入力データ型を変換して、1つ以上の出力データ型を生成する、指定された機能(named function)であり得る。オートボットコンポーネント540中のオートボットに対する各機能は、LTM中の要素を有し得る。従って、ユーバボットは、合計の「注意期間(attention span)」と、自律学習システム360の要求とに基づいて、オートボットの活性化/抑制エネルギを決定することができる。自律学習システム360に類似して、オートボットコンポーネント540中のオートボットは、時間の経過に伴って、性能を改善することができる。オートボットにおける改善は、生成された結果(例えば、出力)のより良い品質、より良い実行性能(例えば、より短い実行時間、より多数の計算を行なう能力、等)、又は特定のオートボットに対する入力ドメインの拡張された範囲(例えば、オートボットが操作できる追加のデータ型を含むこと)を含み得る。
LTM510と、STM520と、EM530とに記憶されている知識、即ち、概念とデータは、主要な機能ユニットによって用いられ得る。主要な機能ユニットは、その機能の一部を、生物学に基づく自律学習システム360に与える。
自己認識コンポーネント550は、ツールシステム310の最初の許容動作状態と、その後にツールシステムが劣化したときの状態との間における、ツールシステムの劣化レベルを決定し得る。1つの態様において、自律学習システム360は、許容動作状態を特徴付けるデータと、このような許容動作状態で製作された製品アセットに関連するデータとを受信することができる。このようなデータアセットは、規準データ(canonical data)として特定され得る。生物学に基づく自律学習システム360は、規準データを処理することができ、関連する結果(例えば、重要なパラメータに関する統計、1つ以上のパラメータの観測されたドリフト、ツールパラメータに関する予測関数、等)は、自己認識コンポーネント550によって記憶され、情報入力358として供給されたデータと比較するために用いられ得る。情報入力358として供給されるデータは、例えば、生産プロセスデータ又はテスト実行データである。規準データの生成された学習結果と、デバイスプロセスの実行データとの差が小さい場合に、製造システムの劣化は小さいと見なされ得る。その代わりに、規準データの記憶されている学習結果と、サンプルのプロセスデータとの差が大きい場合に、ツールシステム(例えば、半導体製造システム)の劣化は相当なレベルであり得る。相当なレベルの劣化のときは、プロセス又は目標に対して、コンテキストに即した調節をすることになり得る。ここに記載されている劣化は、劣化ベクトル(Q1,Q2,・・・QU)から計算することができる。なお、劣化ベクトルの各成分Qλ(λ=1,2,・・・U)は、異なる観点の利用可能なデータセットである。例えば、Q1は、多変量平均であってもよく、Q2は、関連する多変量偏差であってもよく、Q3は、プロセスステップにおける特定の変数に対するウェーブレット係数のセットであってもよく、Q4は、予測圧力と測定圧力との平均差であってもよい、等である。正常なトレーニングの実行により、コンポーネントごとに、値の特定のセット(例えば、トレーニングデータアセット)が生成される。これらの値は、各コンポーネントからの実行データ(例えば、実行データアセット)を用いて生成された成分Q1−QUと比較され得る。劣化を評価するために、適切な距離メトリックを用いて、{Q}の空間中の「正常な位置」から実行劣化ベクトルまでの(例えば、ユークリッド)距離を比較する。このようなユークリッド距離が大きい場合に、ツールシステムはより劣化していると言われる。更に、第2のメトリックは、2つのベクトル間のコサイン類似度メトリックを計算することであり得る。
自己概念化コンポーネント560は、重要なツールシステム310の、関係(例えば、1つ以上のツールの振る舞いの関数(behavior function))と、記述(例えば、要求及び測定されたパラメータに関する統計、劣化に対するパラメータの影響、等)との理解を構築するために構成され得る。関係と記述は、データアセット又はソフトアセットでもあると理解されるべきである。理解は、アクタ390(例えば、人間のエージェント)が供給した手引きを通して、又は自律学習システム360によって、(例えば、入力データに基づく、コンテキストに即した目標適応と推論とによって)自律的に確立される(推論は、例えば、遺伝的アルゴリズムのような進化的プログラミング、又は多変量回帰によって達成され得る)。自己概念化コンポーネント560は、ツールシステム310、又は一般にコンポーネント120のような目標コンポーネントの、1つのパラメータの振る舞いの関数の記述を構築することができる。例えば、半導体製造システムにおける蒸着チャンバ中の圧力を、特定の蒸着ステップ中における時間の関数として記述する。更に、自己概念化コンポーネント560は、ツールシステムに関連する振る舞い、例えば、入力情報358の特定のセットに対する従属変数の関数の関係、を学習することができる。1つの態様において、自己概念化コンポーネント560は、特定のガスフロー、温度、排気バルブの角度、時間、等から、定められた容積の蒸着チャンバ中の圧力の振る舞いを学習することができる。更に、自己概念化コンポーネント560は、予測に使用され得る、システムの関係と特性とを生成することができる。学習した振る舞いの中から、自己概念化コンポーネントは、正常な状態を特徴付ける、関係と記述とを学習することができる。通常、このような正常な状態は、自律学習システム360によって、基準状態として用いられる。基準状態は、観測ツールの振る舞いの変化と比較される。
自律学習システム360によって収集された情報に基づいて、(a)ツールシステム310の潜在的な故障原因、又は(b)ツールシステムの劣化の根本原因の1つ以上の源、を識別するために、自己最適化コンポーネント570は、(例えば、自己概念化コンポーネント560によって学習された関数従属性又は関係と、測定値とに基づく予測の)予測値間におけるツールシステム310の偏差レベルに基づいて、生物学に基づく自律学習システム300の現在の調子又は性能を分析することができる。自己最適化コンポーネント570は、自律学習システム360が故障の間違った根本原因を最初に誤って識別したかどうかを、時間の経過と共に、学習することができる。学習システム300は、メンテナンスログ又はユーザの手引きの入力により、実際の根本原因を正確に識別することができる。1つの態様において、自律学習システム360は、将来の診断の精度を改善するために、学習と共に、ベイズ推論を利用して、その診断の基準(basis)を更新する。その代わりに、最適化計画に適応させてもよい。適応させた計画は、後で検索して、採用して、実行するために、最適化事例の履歴に記憶され得る。更に、ツールシステム310によって行われるプロセス、又は一般に目標コンポーネント120によって遂行されている目標、に対する1組の適応化は、最適化計画を通して実現することができる。プロセス又は目標の最適化を助け得る適応計画を立てるために、自己最適化コンポーネント570は、データのフィードバック(例えば、リンク565と、555と、515とを通して実行されるループ)を活用することができる。
実施形態500において、生物学に基づく自律学習システム360は、プランナコンポーネント580と、システムコンテキストコンポーネント590とを更に具備することができる。機能メモリコンポーネント510、520、530の階層と、主要な機能ユニット550、560、570とは、知識ネットワーク375を通して、プランナコンポーネント580及びシステムコンテキストコンポーネント590と通信することができる。
プランナコンポーネント580は、オートボットコンポーネント540中のより高レベルのオートボットを具備し活用することができる。このようなオートボットは、プランナユーバボットとして識別され、適切性と、重要性と、活性化/抑制エネルギと、通信の優先順位とのような、様々な数値属性を調節することができる。プランナユーバボットのセットを生成することによって、プランナコンポーネント580は、固定の、直接的で包括的な方式を実施することができる。プランナユーバボットのセットは、特定のデータ型又はデータ構造を、短期メモリ520中の利用可能な特定の知識と、特定のオートボットとを通して、短期メモリ520中で強制的に操作することができる。1つの態様では、プランナコンポーネント580によって生成されたオートボットを、オートボットコンポーネント540の中に置いて、知識ネットワーク375を通じて利用する。その代わりに又は更に、プランナコンポーネント580は、自律学習システム360の現在のコンテキストと、ツールシステム310の現在の条件と、短期メモリ520の内容(その内容で動作することができる関連するオートボットを含み得る)と、様々なオートボットを利用する費用/利益の分析と、の関数として、間接的で包括的な方式を実施することができる。対象の生物学に基づく自律学習ツール300は、プランナコンポーネントを動的に拡張できると理解されるべきである。
プランナコンポーネント580は、調整コンポーネントの役割をすることができる。調整コンポーネントは、生物学に基づく自律ツール300におけるプロセス又は目標適応が劣化を生じないことを、確実にすることができる。1つの態様において、計画されたプロセス又は目標適応に基づいて動作条件を推論する調整ユーバボットを生成することによって直接的な包括的方式を通して、調整する特徴を実施することができる。このような推論は、調整ユーバボットが作用するデータ型の意味ネットワークを通して行なわれる。この推論は、費用/利益を分析することによって、サポート又は補足され得る。プランナコンポーネント580は、目標のドリフティングを目標空間の特定区域内に維持することができると理解されるべきである。従って、目標コンポーネント、例えばツールシステム310に対する特定の損傷を軽減することができる。
システムコンテキストコンポーネント590は、自律学習システム360を活用する生物学に基づく自律学習ツール300の現在の能力を捕らえることができる。システムコンテキストコンポーネント590は、状態識別子を含むことができる。状態識別子は、(i)内部の能力の程度に関連する値(例えば、プロセスを行なう(又は、目標を遂行する)ツールシステム310の効果の程度、プロセスを行なう間に用いられる資源のセット、最終的な製品又はサービスの品質評価(又は、遂行されている目標の成果)、デバイスの配送時間、等)と、(ii)自律学習ツール300の状態を示す標示又は識別子とを含む。例えば、標示は、「初期状態」、「トレーニング状態」、「監視状態」、「学習状態」、又は「適用する知識」のような、状態を示すことができる。能力の程度は、所定の範囲における、数値又はメトリックによって特徴付けられ得る。更に、システムコンテキストコンポーネント590は、特定の期間に自律学習システム360によって行なわれる学習の要約と、行なわれた学習を考慮して実施することができる可能なプロセス又は目標適応の要約とを含むことができる。
図6Aは、例示的なオートボットコンポーネント540を示している。オートボット6151−615Nは、オートボットとユーバボットとのライブラリを表わしている。各オートボット6151−615Nは、特定の動的な優先順位6251−625Nを有する。オートボット6151−615Nは、メモリ(例えば、長期メモリ、短期メモリ、又はエピソードメモリ)と通信することができる。既に示したように、オートボットの優先順位は、オートボットの活性化エネルギと抑制エネルギとによって決定される。オートボット(例えば、オートボット6151又は615N)によって処理できるデータが、STMの中にある場合に、オートボットは、(ユーバボットを通して)活性化エネルギを取得する。オートボット(例えば、オートボット6152)の活性化エネルギと抑制エネルギとの加重和、例えばΣ=wAEA+wIEIによって、オートボットがその機能タスクを行なうために自分自身をいつアクティブにできるか、を決定することができる。Σ>ψである場合に、オートボットは、自分自身をアクティブにする。なお、ψは、所定の組込まれた閾値(inbuilt threshold)である。対象の生物学に基づく自律学習ツール300は、オートボットを動的に増補できると理解されるべきである。
図6Bは、オートボットの例示的なアーキテクチャ650を示している。実質的に、オートボット660は、オートボットコンポーネント540に含まれているオートボットの何れかであり得る。機能コンポーネント663は、オートボット660が入力データに対して行なうことができる動作の少なくとも一部を決定して実行する。プロセッサ666は、オートボット660によって行なわれる動作の少なくとも一部を実行することができる。1つの態様において、プロセッサ666は、機能コンポーネント663のコプロセッサとして動作することができる。更に、オートボット660は、内部メモリ669を具備することができる。内部メモリ669の中には、以前に行なわれた動作結果のセットがある。1つの態様において、内部メモリは、キャッシュメモリとして動作し、動作に関連する入力データ、EAとEIの現在の値と前の値、オートボットの動作履歴のログ、等を記憶する。更に、内部メモリ669がエラーの量と特定のタイプをオートボット660にフィードバック又は逆伝搬した場合に、オートボット660は、次の結果の品質をどのように改善するかについて学習するのを助け得る。従って、特定のやり方で特定の入力データを操作するトレーニングサイクルのセットによって、オートボット660をトレーニングすることができる。
更に、オートボット(例えば、オートボット660)は、自己記述(self-describing)をすることができる。自己記述の中で、オートボットは、(a)オートボットが操作又は要求できる、入力データの1つ以上のタイプと、(b)オートボットが生成できる、データのタイプと、(c)入力情報と出力情報とに対する1つ以上の制約と、を特定することができる。1つの態様において、オートボット660が自己記述をして、オートボットの利用可能性と能力とをユーバボットに示すのを、インターフェイス675が助けることができ、その結果、ユーバボットは、特定のツールのシナリオに従って、活性化/抑制エネルギをオートボットに供給することができる。
図7は、生物学に基づく自律学習システムにおける自己認識コンポーネントの例示的なアーキテクチャ700を示している。自己認識コンポーネント550は、ツールシステム(例えば、ツールシステム310)における、学習した正常状態に対する現在の劣化レベルを決定することができる。劣化は、多数の源から発生し得る。源は、例えば、ツールシステム中の機械部品の消耗;ツールシステムに1つ以上の最適範囲外で動作させ得るレシピ(例えば、データアセット)又はプロセスを開発する開発動作又は不適当な動作;ツールシステムの不適当なカスタマイゼーション;或いは、メンテナンススケジュールに対する不適切な固執、である。自己認識コンポーネント550は、(i)メモリの階層と、(ii)機能動作ユニットと、(iii)認識プランナのセットとを通して、再帰的にアセンブル又は定義され得る。メモリは、例えば、認識メモリである。認識メモリは、メモリプラットフォーム365の一部であり得る。機能動作ユニットは、例えば、認識オートボットである。認識オートボットは、オートボットコンポーネント540の中にあり、且つ処理プラットフォーム385の一部であり得る。自律学習システム360は、劣化のレベルに基づいて、情報358と利用可能なデータアセット328とを分析して、可能性のある障害をランク付けすることができる。1つの態様において、極端なレベルの劣化、例えばツールシステムの障害、に応じて、アクタ(例えば、フィールドエンジニア)は、1つ以上のメンテナンス動作を行なうことができる。メンテナンス動作は、例えば、チャンバの洗浄、フォーカスリングの交換、等である。ツールシステムの修復の成功は、システム障害前の劣化に一致する劣化レベルを回復することによって確認される。ツールシステムの修復が成功した場合に、自律学習システム360は、メンテナンス動作前の関連する徴候(例えば、データアセット及びパターンと、関係と、このような組み合わせから抽出される他の実質的にあらゆるタイプの理解)を保存することができる。従って、次に、データアセットから自律的に探り出した新たな理解と、劣化の分析とを通して、学習した徴候が識別された場合に、記憶されている修復計画を再び行って、コストを低減して、平均修復時間(mean time to repair, MTTR)を改善することができる。
認識ワーキングメモリ(awareness working memory, AWM)710は、STMである。AWM710は、認識センサメモリ(awareness sensory memory, ASM)として識別される、メモリの特定区域を含み得る。ASM720は、データを記憶するのに利用され得る。このデータは、例えば、情報入力358であって、センサコンポーネント325中のセンサ又はアクタ390から得られ、アダプタコンポーネント335中の1つ以上のアダプタによってパッケージ化され、知識ネットワーク375によって受信され得る。更に、自己認識コンポーネント550は、複数の特定の機能オートボットを具備することができる。複数の特定の機能オートボットは、オートボットコンポーネント540中に存在し、認識プランナユーバボット(AP)を含むことができる。
更に、自己認識コンポーネント550は、認識知識メモリ(awareness knowledge memory, AKM)730を具備することができる。AKM730は、LTMの一部であり、自己認識コンポーネント550の動作に関連する複数の概念を含むことができる。概念は、例えば、属性(attribute);エンティティ(entity)、例えば、クラス(class)又は因果グラフ(casual graph);関係(relationship);或いは手続き(procedure)である。1つの態様において、半導体製造ツールに対する自己認識コンポーネント550は、ドメイン別の概念、例えば、ステップ(step)、実行(run)、バッチ(batch)、メンテナンス間隔(maintenance-interval)、ウェット洗浄サイクル(wet-clean-cycle)、等と、一般的な目的の概念、例えば、数(number)、リスト(list)、シーケンス(sequence)、集合(set)、行列(matrix)、リンク(link)、等とを含むことができる。このような概念は、より高レベルの抽象的概念を入れることができる。例えば、ウェーハの実行(run)は、ステップ(step)の順序付けられたシーケンス(sequence)として定義することができる。ステップは、レシピパラメータ(例えば、所望の値)の設定と、1つ以上のステップの測定との両者を有する。更に、AKM730は、2つ以上の概念をリンクすることができる関数の関係、例えば、平均(average)、標準偏差(standard-deviation)、範囲(range)、相関(correlation)、主成分分析(principal component analysis, PCA)、マルチスケール主成分分析(multi-scale principal component analysis, MSPCA)、ウェーブレット(wavelet)、又は実質的にあらゆる基底関数、等を含むことができる。複数の関数の関係が、同じ1つの概念に適用され、従って、関係付けられ得ることに留意すべきである。例えば、(関数の)関係である平均(average)、標準偏差(standard-deviation)の関係、最大値(maximum)の関係、等によって、数(number)のリスト(list)が実数のインスタンスにマップされる。1つ以上のエンティティから別の1つのエンティティへの関係が、関数又は汎関数(例えば、関数の関数)である場合に、その関数を行なうために、ユーバボットによって、関連する手続きが実行され得る。概念の正確な定義は、UML、OMGL、等のような適切なデータスキーマ定義言語で表現することができる。更に、システムを停止することなく、(ツールシステムの)実行時に、AKM730の内容を動的に増補できることに留意すべきである。
ここに記載されている知識ベース中の任意の概念のような、AKM730中の各概念を、適切性の属性と慣性の属性とに関連付けて、概念別の状況スコアを生成することができる。最初に、自律システムがデータを提供される前は、AKM730中の全ての要素に対する適切性の値は、ゼロであるが、全ての概念に対する慣性は、ツールによって決まり、アクタによって割り当てられるか、又は履歴データ(例えば、データベース355中のデータ)に基づき得る。1つの態様において、数(numbers)の集合(set)から平均(average)を生成する手続き(procedure)の慣性は、かなり低くなり得る(例えば、ι=1)。その理由は、平均の計算は、コンピュータシミュレーションから得られるか、又は実質的に全ての状況に関与する集められたデータセットに適用可能な、相当に単純な演算として見なすことができるからである。同様に、数(numbers)の集合(set)を変換する、最大化(maximize)及び最小化(minimize)の手続き(procedure)は、相当に低い慣性値を与えられ得る。その代わりに、範囲の計算(compute a range)と、標準偏差の計算(compute a standard deviation)は、このような知識要素を適用するのがより難いので、より高い慣性値(例えば、ι=2)を与えられ得る。PCAの算出(calculate a PCA)は、より高いレベルの慣性を示し、MSPCAの計算(calculate a MSPCA)は、更により高い慣性値を有し得る。
状況スコアを用いて、AKM730及びAWM710から、どの概念を通信するかを決定することができる(以下を参照)。状況スコアの閾値を超えた知識要素又は概念は、AWM710に送ることができる。このような概念を送ることができるのは、概念を保持するのに十分に利用可能な記憶域がAWM710にあって、且つより高い状況スコアを有する異なる概念が、AWM710に送られなかった場合である。AWM710中の概念の適切性、従って、概念の状況スコアは、時間の進行と共に古くなり得る。従って、既にメモリの中にある1つ以上の概念が、最早不要であるか、又は最早適用できない場合に、より高い適切性を有する新たな概念を、認識ワーキングメモリ710に入れることができる。概念の慣性がより大きくなると、概念をAWM710に送るのと、AWM710から取り出すのとに、より長い時間がかかることに留意すべきである。
例えば、スパッタターゲットを替える、電子ビーム銃を加える、蒸着プロセスが終了する、その場のプローブ(in situ probe)を開始する、アニーリング段階が完了する、等のように、ツールシステムの状態が変化する場合に、認識プランナ550のユーバボットは、AKM730の中の各概念のうちのどの概念(例えば、知識要素)が、新たな状態に適用されて、適切性の値、従って状況スコアを増加できるかを示すことができる。同様に、特定のオートボットの活性化エネルギを低減して、新たな状況に適したオートボットのEAを増加するために、ユーバボットは、オートボット6151−615Nの活性化エネルギを調節することができる。プランナユーバボットは、適切性(及び状況スコア)のインクリメントを、それらの概念に対する第1の隣接する概念、第2の隣接する概念、等に伝播することができる。AKM730中の第1の概念に隣接する概念は、選択された測度、例えば、ホップ数、ユークリッド距離、等に従って、配置上、第1の概念から特定の距離内に存在する第2の概念であると理解されるべきである。適切性におけるインクリメントを最初に受け取った第1の概念から、第2の概念までの距離が長くなると、第2の概念の適切性のインクリメントは小さくなることに留意すべきである。従って、適切性(及び、状況スコア)のインクリメントは、「概念上の距離」の関数として、抑えられた伝播(dampened spread)を示す。
アーキテクチャ700において、自己認識コンポーネント550は、認識スケジュールアダプタ(awareness schedule adapter, ASA)760を具備する。ASA760は、認識プランナコンポーネント750の拡張部である。ASA760は、(例えば、センサコンポーネント325を経て相互作用コンポーネント330を通った、入力130を経た、又は(フィードバック)リンク155を経た)外部からのデータ又は内部からのデータをまとめて要求及び変更することができる。1つの態様において、認識スケジュールアダプタ760は、データのサンプリング頻度の調節を取り入れることができる。例えば、認識スケジュールアダプタ760は、アダプタコンポーネント335中の異なるアダプタが、データ(例えば、情報入力358)を、ASM720を宛先として知識ネットワーク375に送るレートを調整することができる。更に、認識スケジュールアダプタ760は、正常なデータパターンの記述に含まれていないプロセスの変数か、又は適応推論エンジンで受信されたデータから推論されるように目標の達成を進めない変数、に関連するデータの集まりを、低い頻度でサンプリングするか、又は実質的に削除することができる。逆に、ASA760は、正常なデータパターンの中で広範囲に使用されている変数のセット、即ち、目標を積極的に進めることができる変数のセットを、より高い頻度でサンプリングすることができる。更に、自律学習システム360が、ツールシステム310の状態の変化(又は、特定の目標に関連する状況の変化)を認知して、製品の品質又はプロセスの信頼度が正常なデータパターンから次第にずれていること(又は、目標がドリフトした結果、目標空間中の最初の目標から相当に外れたこと)を、データが示している場合に、自律学習システムは、ASA760を介して、より迅速なデータサンプリングを要求して、より多くの量の役に立つ情報(例えば、入力130)を集めて、劣化を効率的に検証して、従って、適切にアラームを発することができる。1つの態様では、目標コンポーネントは、最初の目標を入力したアクタに、目標のドリフトの要約を表示することができる。例えば、家庭用娯楽システムを購入するときに、電器店が最初の支出目標から相当に逸脱している場合に、予算を適応させた後の支出の見積りを変更したログが、顧客に表示され得る。又は、データウェアハウスを最適化するように目標に適応させるときに、メモリ空間と、関連するインフラストラクチャとに関連付けられたコストのデータベースアーキテクチャが示され得る。
アクタ390(例えば、人間のエージェント)は、自己認識コンポーネント550を複数のやり方でトレーニングすることができる。複数のやり方は、1つ以上のエピソード(例えば、適応させるのに成功した目標の例を含む)を定義することを含み得る。エピソードに対する、自己認識コンポーネント550を通しての、自律学習システム360のトレーニングは、次のように行われ得る。アクタ390は、エピソードを作成して、一意の名前をエピソードに提供する。次に、新たに作成されたエピソードのデータを、自律学習システム360に与え得る。データは、ツールシステムの1つの特定の動作ステップ中の特定のセンサのデータ、1つの特定のステップ中のパラメータのセット、実行に対する1つのパラメータの平均、等であり得る。
その代わりに又は更に、アクタ390は、より基本的な手引きを提供してもよい。例えば、フィールドサポートエンジニアは、ツールシステム310に、予防のツールメンテナンス(preventive tool maintenance, PM)を行なうことができる。PMは、計画されて周期的に行われても、計画されていなくても、又は非同期であってもよい。自律学習システム360による要求に応じて、定期的な予防のメンテナンスに応じて、又はスケジュールされていないメンテナンスに応じて、製造システムに対する予防のツールメンテナンスを行なうことができると理解されるべきである。連続するPMの間には、ある期間が置かれていて、このような期間中に、ツールシステムにおいて、1つ以上のプロセス(例えば、ウェーハ/ロット製造)を行うことができる。データと、製品アセットと、関連する情報、例えば、行なわれた計画及び計画外のメンテナンス、とを通して、自律学習システムは、「故障のサイクル」を推論することができる。従って、自律学習システムは、アセット328を利用して、平均故障間隔(mean time between failure, MTBF)を推論することができる。このような推論は、故障時間のモデルを通して、重大なデータ及び製品アセットの関数としてサポートされる。更に、自律学習システム360は、情報I/O358として受信した異なるアセット間の関係を通して、又は、専門家のアクタによって送られた、管理下でのトレーニングセッションから得た履歴データを通して、モデルを開発することができる。専門家のアクタは、トレーニングされる異なる自律学習システムと相互作用する異なるアクタであってもよいと理解されるべきである。
ウェーハレベルの実行データを平均して、PM間の期間における重大なパラメータのドリフトを評価できることを、自律システムに知らせることによって、アクタ390は自律システムを導くことができる。自律システムは、より困難な課題も行なうことができる。アクタ390は、学習命令によって、計画外の各PMの前に、ウェーハの平均レベルにおけるデータパターンを特徴付けることを学習するように、自律学習システム360に指示する。このような命令によって、自律学習システム360に、計画外のPMの前にデータパターンを学習するように促すことができ、データパターンが認識オートボットによって識別され得る場合に、自己認識コンポーネント550は、時間の進行と共に、このようなパターンを学習することができる。パターンの学習中に、認識コンポーネント550は、オートボットコンポーネント540中に存在する認識オートボットからの、又は自己概念化コンポーネント560からの支援(又は、サービス)を要求することができる。ツールシステムのパターンが、高い信頼度で学習される場合に、生物学に基づく自律学習システム360は、ツールのメンテナンスを必要とし得る機能不全に関連する参照エピソードを作成することができる(信頼度は、例えば、パターンの再現性の程度によって測定され、パターンの再現性の程度は、PCA分解係数、K−クラスタアルゴリズムにおける主要なクラスタのサイズ、又は異なるパラメータのセットと時間との関数としての第1のパラメータの大きさの予測、等に反映される)。従って、参照エピソードが生じる前に、アラームを発することができる。オートボットコンポーネント540中に存在し得る認識オートボットは、機能不全の参照エピソードに対するデータパターン、又は、計画外のメンテナンスを必要とし得る実質的にあらゆる具体的な状況を、それが必要になる前に、完全に特徴付けることはできないことに留意すべきである。しかしながら、自己概念化コンポーネント560中のオートボットは、ツールシステム310の調子のこのような予防的な管理を行なうことができると理解されるべきである。調子の予防的な管理は、難しい(deep)振る舞いと予測の関数の分析を含み得る。
図8は、認識ワーキングメモリ720において動作することができるオートボットの図800である。図示されているオートボット、即ち、定量化器(quantifier)815と、予想エンジン825と、予想外スコア生成器835と、要約生成器845は、認識エンジンを構成し得る。認識エンジンは、仮想の創発的な(emergent)コンポーネントである。その創発的な性質は、基本構成要素、例えば、オートボット815、825、835、845の協調的な動作から生じる。認識エンジンは、高度な動作をするために、1つ以上の計画ユーバボットが協働するオートボットの集まりをどのように使用することができるかの一例であると理解されるべきである。計画ユーバボットは、様々なオートボット(例えば、平均、標準偏差、PCA、ウェーブレット、導関数、等)又は、自己概念化コンポーネント560のサービスを用いて、生物学に基づく自律学習システムにおいて受信されたデータパターンを特徴付ける。各ステップ、実行、ロット、等に対するデータは、外部のエンティティによって、トレーニング中に正常又は異常として標示される。正常なデータを利用して、典型的な正常なプロセスのデータパターンを学習するために、計画ユーバボットは定量化器815を用い得る。定量化器815は、非標示(unlabeled)のデータセット(例えば、情報入力358)を評価することもできる。非標示のデータセットは、ASM720に置かれている。定量化器815は、正常なデータパターンと、非標示データのデータパターンとを比較することができる。正常なデータに対する予想パターン、又は正常なデータについてのパラメータを予測する式は、予想エンジン825によって、記憶されて操作され得る。非標示のデータパターンと、正常なデータパターンとは、幾つかのメトリックに基づいて、様々な点で異なり得ることに留意すべきである。例えば、(PCAとMS−PCAとに適用され、トレーニングを実行することにより導き出される)ホテリングT2統計量に対する閾値を超える;非標示のデータセットのうちのデータのサブセットの平均は、トレーニングされた正常なデータを用いて計算された平均から、3σ(又は、他の所定の偏差間隔)よりも大きく異なる;測定されたパラメータのドリフトが、正常な実行に関連するデータにおいて観測されたドリフトと、相当に異なる;等である。要約生成器845は、正常なデータに対する成分のベクトルを生成する。一方で、予想外スコア生成器835は、ベクトル中の成分におけるこのような差を実質的に全て取り込んで、ランク付け又は加重して、ツールシステムに対する正味の劣化の予想外スコアを計算することができる。ツールシステムに対する正味の劣化の予想外スコアは、ツールシステムの調子の状態を反映し、ツールシステムがどのくらい「正常から離れている」か、を反映する。正常なメトリックと非標示のメトリックとの不一致は、時間の関数として変化し得ると理解されるべきである。従って、正常なデータをより多く集めることによって、自律学習システム360は、時間の経過と共に、より高レベルの統計的信頼度で、様々な動作制限を学習することができ、それに応じて、製造プロセスレシピ(例えば、目標)を調節することができる。例えば、予想外スコアを通して測定された劣化条件は、要約生成器845を介して、アクタに報告することができる。
図9は、生物学に基づく自律学習システムの自己概念化コンポーネントの例示的な実施形態900を示している。自己概念化コンポーネントの機能は、重要な半導体製造ツールの関係と記述の理解を構築することである。このような理解は、製造プロセス(例えば、目標)を調節するために用いられ得る。獲得されるこの理解は、手引きを供給するエンドユーザ(例えば、アクタ390)と協力して、又は自律的に、構築される。他の主要な機能コンポーネント550及び570と同様に、自己概念化コンポーネント560は、メモリの階層、動作ユニット、即ちオートボット及びプランナ、に関して再帰的にアセンブル又は定義される。このようなコンポーネントは、優先順位に従って使用可能になる知識ネットワークと通信することができる。
実施形態900には、概念化知識メモリ(conceptualization knowledge memory, CKM)910が示されている。CKM910は、自己概念化コンポーネント560の動作に必要な概念(例えば、属性(attribute)、エンティティ(entity)、関係(relationship)、手続き(procedure)を含む。CKM910中の概念は、(i)ドメイン別の概念、例えば、ステップ(step)、実行(run)、ロット(lot)、メンテナンス間隔(maintenance-interval)、ウェット洗浄サイクル(wet-clean-interval)、ステップ測定(step-measurement)、ウェーハ測定(wafer-measurement)、ロット測定(lot-measurement)、ウェーハ上の位置(location-on-wafer)、ウェーハ区域(wafer-region)、ウェーハの中心(wafer-center)、ウェーハのエッジ(wafer-edge)、最初のウェーハ(first-wafer)、最後のウェーハ(last-wafer)、等と、(ii)一般的な目的の、ドメインから独立した概念、例えば、数(number)、定数(constant)(例えば、e、π)、変数(variable)、シーケンス(sequence)、時系列(time-sequence)、行列(matrix)、時間−行列(time-matrix)、細粒度の振る舞い(fine-grained-behavior)、粗粒度の振る舞い(coarse-grained-behavior)、等と、を含む。更に、自己概念化コンポーネントは、多くの一般的な目的の関数の関係、例えば、加算(add)、減算(subtract)、乗算(multiply)、除算(divide)、2乗(square)、3乗(cube)、累乗(power)、指数関数(exponential)、対数(log)、正弦(sine)、余弦(cosine)、正接(tangent)、誤差関数(erf)、等と、他のドメイン別の関数の関係とを含む。他のドメイン別の関数の関係は、様々なレベルの詳細を示すことができ、適応概念化テンプレートメモリ(adaptive conceptualization template memory, ACTM)920中にある。
ACTM920は、CKM910の拡張部分である。ACTM920は、関数の関係を保持することができる。ツールシステム310(例えば、半導体製造ツール)と相互作用するアクタ(例えば、エンドユーザ)には、この関数の関係が完全又は部分的に知っている。ACTMは、CKMの論理的な拡張部分であるが、実際のメモリ記憶装置は自己概念化コンポーネント560内の1つの記憶ユニットに見え得るので、このような分離によって、オートボットと、プランナと、他の機能コンポーネントは影響を受けないことに留意すべきである。更に、自己概念化コンポーネント560は、目標概念化メモリ(conceptualization goal memory, CGM)930を含むことができる。CGM930は、概念化ワーキングメモリ(conceptualization working memory, CWM)940の拡張部分である。CGM930は、現在の目標のオートボットを助けることができる。現在の目標は、例えば、学習(f,圧力,時間,ステップ)(learn(f, pressure, time, step))である。即ち、特定のプロセスステップ(step)に対して、圧力(pressure)の関数fであって、時間(time)に依存する関数fを学習(learn)することである。関数fの学習は、副目標を表わすことに留意すべきである。副目標は、ツールシステム310を利用して半導体デバイスを製造するという目標の達成を助け得る。
更に、ACTM920中の概念は、適切性の数値属性と、慣性の数値属性とを有する。これらは状況スコアをもたらし得る。慣性値は、概念が学習される可能性を示し得る。例えば、行列(matrix)の概念に対する慣性値がより高く、時系列(time-sequence)の概念に対する慣性がより低い場合に、自己概念化コンポーネント560は、行列(matrix)のデータの関数の振る舞いではなく、時系列(time-sequence)の関数の振る舞いを学習し得るという状況をもたらし得る。自己認識コンポーネント550と同様に、より低い慣性を有する概念が、CKM910からCWM940に送られる可能性がより高い。
現在のコンテキスト、ツールシステム310(又は、通常、目標コンポーネント120)の現在の状態、CWM940の内容、或いは、CWM940においてアクティブな1又は複数の現在のオートボットの関数として、概念プランナ(conceptual planner, CP)は、活性化エネルギを、様々なオートボットに提供し、状況エネルギを、CKM910及びACTM920中の様々な概念に提供する。適応推論エンジンは、伝搬される概念の態様に基づいて推論するので、活性化エネルギと状況エネルギとが変化すると、CWM940又はCKM910中の概念に対する意味ネットワークが変化して、意味ネットワークが変化する結果として知識が生成され、その知識に基づいて(例えば、学習に基づいて)、目標適応がもたらされ得ると理解されるべきである。
上述のように、ACTM920の内容は、知識を記述することができる概念であり、従って、これらの概念は、適切性の数値属性と慣性との数値属性を有し得る。オートボットは、ACTM920の内容を使用して、(より低い慣性を有する概念が、より高い慣性を有する概念よりも、活性化される可能性が高いという制約のもとで)ツールシステム310の関数の振る舞いを学習し得る。全ての手引きが、同じ慣性を有する必要はない。例えば、第1の完全な関数(complete function)と第2の完全な関数との両者の概念が、完全な関数を表わしていても、第1の完全な関数は、第2の完全な関数よりも、低い慣性を与えられることがある。
部分的に定義された式のような部分的な知識が、CWM940においてアップロードされると、例えば、既存の知識を用いて、部分的な知識を完成させることができる。CPは、オートボットを協動させて、利用可能なデータを用いて、最初に、未知の係数値を識別する。従って、暫定的な係数のセットが、部分的に定義された式の概念を、完全な関数の概念に完成させ得る。次に、予め構築された関数の関係の概念において、完全な式の概念を利用する。予め構築された関数関係の概念は、加算(add)、乗算(multiply)、等である。出力を備えた基礎知識(例えば、関係(出力(κE),T)(relationship(output(κE),T)))は、CWM940中のオートボットが様々な関数の記述を構築して評価するのを助け得る。関数の記述は、κEとTとの関係を記述することができる最良の関数を特定するために、κEに対するデータとTに対するデータとを含む。一方で、出力を備えていない基礎知識は、オートボットがCPに助けられて、出力として変数又は独立変数を指定して、残りの変数の関数としてそれを表現するのを試みることを助け得る。良い関数の記述が見付からない場合には、別の変数を独立変数として指定して、適切な関数の関係に収束するまで、プロセスを繰り返すか、又は、適切な関数の関係が見付からないことを、自律学習システム360が、例えばアクタ390に知らせる。識別された良い関数の関係は、CKM910に提示され、自律学習システム360中のオートボットによって、慣性のレベルと共に、利用され得る。慣性のレベルは、CPによって割り当てられる。例えば、割り当てられた慣性は、識別された関係の数学上の複雑さの関数であり得る。複数の変数と、パラメータと、作用素(例えば、勾配、ラプラシアン、偏導関数、等)とを含む非線形の関係に割り当てられる慣性値よりも、2つの変数間の線形の関係は、低い慣性値を割り当てられ得る。
概念化エンジン945は、「仮想のコンポーネント」であって、認識オートボットと概念化オートボットとの協働する動作を示し得る。1つの態様において、自己認識コンポーネント550は、変数のグループ(例えば、グループ中の変数は、良い対の相関特性を示す変数であり得る)を、自己概念化コンポーネント560に、(FFループ552によって)フィードフォワードすることができる。フィードフォワードされた情報は、自己概念化コンポーネント560が、関数の関係のテンプレートに対してCKM910とACTM920とをチェックするのを容易にし得る。テンプレートが利用可能であると、概念化エンジン945中に存在し得る概念化学習者(conceptualization learner, CL)のオートボットは、フィードフォワードされたグループ中の変数間の関数の振る舞いを、より迅速に学習することができる。このような関数の振る舞いの学習は、主要な目標のうちの副目標であり得ると理解されるべきである。CPのオートボットに助けられるCLのオートボットは、更に、概念化検証器(conceptualization validator, CV)のオートボットも使用することができる。CVのオートボットは、提出された関数の関係の品質を(例えば、予測値と測定値との平均誤差は、機器が解決する範囲内であると)評価することができる。CLのオートボットは、自律的に、又はアクタが供給した手引きを通して、関数の関係を独立して学習することができる。このようなアクタが供給した手引きは、外部からのデータとして見なすことができる。CLが学習した関数は、目的の変数のグループとして、(例えば、FBリンク558を介して)自己認識コンポーネント550にフィードバックすることができる。例えば、κ0(例えば、漸近エッチングレート)とU(例えば、活性化バリア)とが、CLに既知の特定値を含む場合に、関数κE=κ0exp(−U/T)を学習した後で、自己概念化コンポーネント560は、手引きのグループ(出力(κE),T (output(κE),T))を、自己認識コンポーネント550にフィードバックすることができる。このようなフィードバック通信により、自己認識コンポーネント550は、このような変数のグループに関するパターンを学習することができ、従って、変数のグループに対する劣化を迅速に認識し、必要であれば、アラーム(例えば、アラームの要約、検証されたアラーム受信者リスト)を生成して発することができる。メモリ960は、概念化エピソードメモリである。
CLとCVとに関する次の2つの態様に留意すべきである。第1に、CLは、(例えば、符号を操作して)式を単純化できるオートボットを含み得る。これは、関数の関係を簡潔な数式として記憶するのを助け得る。一例として、関係P=((2+3)Φ)((1+0)÷Θ)は、P=3Φ÷Θに単純化される。なお、Pと、Φと、Θは、それぞれ、圧力と、フローと、排気バルブの角度とを示す。第2に、CVは、関数の関係の品質を決定する場合に、式の構造の複雑さを考慮することができる。例えば、予測値対測定値の平均誤差のような、実質的に同じ特性を有するパラメータの場合に、より複雑な式ではなく、より単純な式が好ましい(例えば、より単純な式は、より低い概念の慣性を有し得る)。
更に、自己認識コンポーネント550から自己概念化コンポーネント560への情報の重要なFF552の通信と、自己概念化コンポーネント560から自己認識コンポーネント550へのFB558の通信は、エピソードに対するデータパターンを特徴付けるために、認識オートボットと概念化オートボットとが協働することを意味し得る。図5に関連して既に記載したように、自己認識コンポーネント550がエピソードを学習しない場合に、自己概念化コンポーネント560は、適切な関数の関係のセットを提供することによって、自己認識コンポーネント550を支援することができる。例えば、ツールシステム310で実行されるプロセスの安定化ステップにおける圧力の時間依存性についての細かい記述が、エピソードを特徴付けるに必要である。自己概念化コンポーネント560は、安定化ステップにおける圧力のこのような詳しい(例えば、1秒ごとの)時間依存性を構築することができる。従って、FBループ558によって、自己認識コンポーネント550は、正常なツールの状況における安定化ステップの圧力のパターンを特徴付けて、学習した圧力の時間依存性と、特定のエピソードデータにおける圧力のパターンとを比較することを学習することができる。一例として、生物学に基づく自律学習ツール300中のエピソードの発生を識別するデータパターンとして、エピソード中のデータには安定化ステップ前に測定された圧力にはスパイクがあり、正常なツール動作中の圧力データにはスパイクがないことが検出される。
同様に、ツールシステムのデータの重大な測定値の経時的な変動についての知識と、自己概念化コンポーネント560によって送られる予測関数のセットを利用できることとに基づいて、スケジュールされていないPMを予測することができる。予測関数は、自己認識コンポーネント(例えば、コンポーネント550)が、スケジュールされていないPMが生じる状況を予測するのを助け得る。この場合に、予測は、時間の関数としての、変数の推定値(projected value)のセットに基づく。
図10は、生物学に基づく自律学習システムにおける自己最適化コンポーネントの例示的な実施形態1000を示している。既に記載したように、自己最適化コンポーネントの機能は、ツールシステム310の現在の調子(例えば、性能)を分析して、現在の調子の分析結果に基づいて、ツールシステム310の調子の劣化に対する実質的に全ての潜在的な原因を診断又はランク付けして、自律学習システム360によって獲得された習得事項に基づいて、根本原因を識別することである。他の主要な機能コンポーネント550及び560に類似して、自己最適化コンポーネント570は、メモリプラットフォーム365に属し得るメモリの階層と、処理プラットフォーム385の一部であり得るオートボット及びプランナとから再帰的に構築される。
最適化知識メモリ(optimization knowledge memory, OKM)1010は、ツールシステム310の振る舞いの診断と最適化とに関する概念(例えば、知識)を含む。振る舞いは、目標又は副目標を含み得ると理解されるべきである。従って、OKM1010は、ドメイン又は目標別の概念、例えば、ステップ(step)、ステップデータ(step-data)、実行(run)、実行データ(run-data)、ロット(lot)、ロットデータ(lot-data)、PMの時間間隔(PM-time-interval)、ウェット洗浄サイクル(wet-clean-cycle)、プロセスレシピ(process-recipe)、センサ(sensor)、制御装置(controller)、等を含む。後の方の概念は、半導体デバイスを製造するツールシステム310に関連する。更に、OKM1010は、ドメインから独立した概念を含む。ドメインから独立した概念は、読み出し(reading)(例えば、センサコンポーネント325中の圧力センサからの読み出し)、シーケンス(sequence)、比較器(comparator)、ケース(case)、ケースインデックス(case-index)、ケースパラメータ(case-parameter)、原因(cause)、影響(influence)、因果依存関係(causal-dependency)、証拠(evidence)、因果グラフ(causal-graph)、等を含む。更に、OKM1010は、比較(compare)、伝搬(propagate)、ランク付け(rank)、解答(solve)、等のような、関数の関係のセットを含み得る。このような関数の関係は、オートボットコンポーネント540中に存在し得るオートボットによって活用され、手続きの実行によって、その機能の少なくとも一部をOKM1010に与えることができる。OKM1010に記憶されている概念は、適切性の数値属性と、慣性の数値属性と、そこから導き出される状況スコアとを有する。適切性と、慣性と、状況スコアとの意味は、自己認識コンポーネント550と自己概念化コンポーネント560とに対する意味と実質的に同じである。従って、実行データ(run-data)が、ステップデータ(step-data)よりも、低い慣性を与えられる場合に、自己最適化コンポーネント570のプランナ(例えば、ユーバボット)は、OKM1010から最適化ワーキングメモリ(optimizing working memory, OWM)1020に、実行データ(run-data)の概念を通信する可能性が高い。また、実行データ(run-data)とステップデータ(step-data)との間におけるこのような慣性の関係によって、実行(run)に関する概念を用いて動作する最適化オートボットの活性化率が増加し得る。
自己認識コンポーネント550と自己概念化コンポーネント560は、FFリンク552と562とを通して、OKM1010に記憶されている概念の状況スコアと、最適化プランナ(optimization planner, OP)を通しての最適化オートボットの活性化エネルギとに影響し得ることに留意すべきである。OPは、最適化プランナコンポーネント1050中に存在し得る。OKM1010に記憶されている概念であって、且つ自己認識コンポーネント550と自己概念化コンポーネント560とによって影響される概念は、特定のコンテキストの関数として最適化される特定の目標の態様を決定し得ると理解されるべきである。一例として、プロセスのステップに対するデータパターンが著しく劣化したことを、自己認識コンポーネント550が認識すると、関連するステップ(step)の概念の状況スコアが上げられ得る。従って、OPは、(例えば、目標を遂行している一方で)プロセス中に実行されるステップのセットを修正するために、ステップ(step)の概念に関する最適化オートボットに、追加の活性化エネルギを供給し得る。同様に、自己概念化コンポーネント560が、生産ロットに対するツールの測定値間に、新たな関数の関係を識別すると、自己概念化コンポーネント560から(例えば、FF562を介して)受信したFF情報により、自己最適化コンポーネント570は、(1)ロット(lot)の概念の状況スコアと、(2)ロット(lot)の概念に依存する機能を有する最適化オートボットの活性化エネルギとを上げて、ロット(lot)の概念の態様(例えば、ロット中のウェーハの数又はタイプ、ロットのコスト、ロットにおいて利用される資源、等)を修正する。
ツールシステム310の調子の評価は、次に記載するように、診断エンジン825を通して行なわれ得る。調子の評価は、製造プロセスの副目標であり得ることに留意すべきである。診断エンジン825は、依存関係グラフを自律的に作成して、アクタ390が依存関係グラフを増補することを可能にしいている。(このような依存関係グラフは、外部からのデータとして又は内部からのデータとして見なすことができる)。因果グラフは、ツールシステム310によって行われるプロセスの動力(dynamics)と、アクタ390によって立てられ得る診断計画とに従って、インクリメンタルに送られ得る。例えば、因果グラフは、「圧力」異常が、4つの原因のうちの1つによって生じていることを示している。4つの原因は、蒸着チャンバに漏れがあること、チャンバへのガスフローが不良であること、(ガスフローの大きさを制御する)排気バルブの角度が不良であること、又は、圧力センサが誤っていることである。ツールシステム310のコンポーネントは、故障の先験的確率(例えば、チャンバの漏れが0.01の確率で発生し得ること、ガスフローが0.005の確率で不良になること、等)を有する。更に、アクタ390又は自己概念化コンポーネント560は、圧力異常に対する条件付き依存性(conditional dependency)を定義することができる。この条件付き依存性は、条件付き確率として表わされ得る。例えば、チャンバに漏れがあると仮定して、圧力に問題がある確率は、
であり得る。通常、アクタ390は、ツールの故障の源に原因として関係している条件付き確率を提供することができる。自律学習システム360は、アクタ390によって定義された確率の割り当てが概算的な見積であり得ると見なしていることに留意すべきである。多くの場合に、概算的な見積は、物理学的な確率(例えば、観測によってサポートされる実際の確率)と著しく異なり得る。因果グラフの例は、後述の図11Aと11Bとに関連して提示されて説明される。
更に、自己最適化コンポーネント570は、予知コンポーネント1060を具備することができる。予知コンポーネント1060は、ツールシステム310に関連する情報I/O358を通して、ツールシステム310の性能に関する1組の予知を生成することができる。このような情報は、機能コンポーネントによって用いられる物質の品質、ツールシステム310によって生成される製品アセット328の物理的特性、例えば、屈折率、光吸収係数、又は製品アセット328がキャリアでドープされる場合の磁気伝導特性、等を含むことができる。予知コンポーネント1060によって、複数の技術が利用され得る。この技術は、第1の特徴付け技術を含む。第1の特徴付け技術は、情報358を処理する場合に自己認識コンポーネントによって用いられ得る技術と実質的に同じである。即ち、例えば、(i)フーリエ変換を利用する周波数分析、ガボール変換、ウェーブレット分解、統計技術に基づく非線形フィルタリング、スペクトル相関と、(ii)(センサコンポーネント325によって測定され得る)時間に依存するスペクトル特性を利用した時間分析、非線形信号処理技術、例えば、ポアンカレ写像及びリャプノフスペクトル技術、(iii)実空間ベクトル又は信号空間ベクトルの振幅と角度の変動分析、(iv)異常予測技術、等である。分析(i)、(ii)、(iii)、又は(iv)を通して生成されたデータアセット又は情報は、ニューラルネットワークの推論、ファジー論理、ベイズネットワークの伝搬、進化的アルゴリズム、例えば遺伝的アルゴリズム、データ融合技術、等により補われ得る。センサコンポーネント325と、OKM101において利用可能な情報とによって証明された、特定のアセット又は特性における不調傾向を識別すると、最適化プランナコンポーネント1050と、コンポーネント540中に存在し得る最適化オートボットとによって生成された適切な修正手段を用いて、分析技術と予測技術との組み合わせを利用して、ツールシステム310の最適化を助けることができる。
図11Aは、自己概念化コンポーネント560によって生成される例示的な因果グラフ1100を示している。因果グラフは、数学関数の従属変数と独立変数との関係、又は自己概念化コンポーネント560によって予測される関係を表わす。一例として、自己概念化コンポーネント560は、圧力(P)と、ガスフロー(Φ)と、バルブの角度(θ)とに対するデータにアクセスすることによって、1つ以上の数学的手法を使用して、データ入力又は独立変数の関数として、目的の出力又は従属変数に対する予測関数1110を、概念化又は学習することができる。数学的手法は、例えば、曲線当てはめ、線形回帰、遺伝的アルゴリズム、等である。データ入力又は独立変数は、ガスフロー、バルブの角度、温度、湿度、等である。目的の出力又は従属変数は、例えば圧力である。例示的な学習した予測関数1110には、圧力と2つの入力変数Φ、θとの間に、P=2π(Φ/θ3)という関係があり得る。このような学習した関数から、自己概念化コンポーネント560は、依存関係グラフ(dependency graph)1100を自律的に構築する。
依存関係グラフ1100を生成するために、自己概念化コンポーネント560は、2つのステップで進めることができる。即ち、(i)ルーツノードとして、比較器1120を取り入れる。比較器1120は、1つの学習した関数1110を入力として受け取る。比較器1120における故障は、ツール(例えば、ツールシステム310)における故障を示唆する。ツールは、生物学に基づく自律学習システムを用いる。比較器の故障は、ブール値(例えば、「合格/不合格」1130)の結果になり得る。ブール値の結果は、学習した関数1110を通して生成された予測値と、圧力の測定値とを比較することに基づき得る。予測圧力値と、集められた圧力データ(例えば、センサコンポーネント325中に存在する圧力センサによって報告されたデータ)との平均差が、ユーザに指定された範囲内にとどまらない場合に、自己概念化コンポーネント560は、比較器1120において故障のフラグを立てる。ユーザに指定された範囲は、例えば、平均差は予測圧力の5%以内にとどまるといったものである。比較器1120の故障は、予測関数1110の出力に依存する(dependent)。比較器の故障は、圧力の読み出し(pressure reading)(PR1140)の失敗(fail)に依存する(影響を受ける)。圧力の読み出しが失敗し得るのは、圧力センサ(pressure sensor)PS1143)の失敗か、又は物理的圧力(例えば、物理量(physical quantity)PP1146)の失敗に因る。物理的圧力PP1146が失敗し得るのは、圧力機構(pressure mechanism)PM1149)が失敗し得ることに因る。従って、システムは、PR1140と{PS1143、PP1146}との間と、PP1140と{PM1149}との間に、依存関係を自律的に生成する。
(ii)学習した関数1110中の従属変数を用いて、次のような依存関係グラフを完成させる。学習した関数1110中の従属変数、即ち、ガスフローの読み出し(gas-flow reading)(ΦR1150)に失敗するか、又はバルブの角度の読み出し(valve angle reading)(θR1160)に失敗した場合に、物理的機構PM1149が失敗し得る。従って、自己概念化コンポーネント560は、PM1149と{ΦR1150、θR1160}との間に依存関係を生成する。自己概念化コンポーネント560は、読み出しの失敗に対して、実質的に同じ処理又は理由を用いて、ΦR1150と{ΦS1153、ΦP1156}との間と、θR1160と{θS1163、θP1166}との間に、依存関係を生成する。自己概念化コンポーネント560は、ΦP1156と{ΦM1159}との間と、θPと{θM}との間とに、依存関係を追加することができる。物理量(例えば、PP1146、ΦP1156、θP1166)と、関連する機構(例えば、PM1149、ΦM1159、θM1169)との関係は、冗長であり、より分かり易くするために提供されていることに留意すべきである。従って、機構ノード(例えば、ノード1149、1159、1169)を削除してもよく、機構ノードの子供を、関連する物理的大きさのノード(例えば、ノード1146、1156、1166)の子供にしてもよい。
依存関係グラフ1100のような依存関係グラフにおいて、葉レベルのノードは、物理的な故障点である。葉レベルのノードは、例えば、ノード1140、1143、1146、1149;ノード1150、1153、1156、1159;1160、1163、1166、1169である。1つの態様において、アクタ(例えば、アクタ390であり、ユーザであり得る)は、全ての物理的な故障点に対する先験的確率を、生物学的な自律学習システムに供給することができる。このような先験的確率は、コンポーネントに対する製造仕様、フィールドデータ、MTBFデータ、等から取得され得るか、又は製造ツール中に存在する部品であって、関連する製造処理に関わる部分の性能をシミュレートすることによって生成され得る。更に、アクタは、以前の経験、判断、フィールドデータ、潜在的故障モードに基づいて、条件付き確率(例えば、第1の故障があると、第2の故障の可能性を無くし得る、又は、第1の故障が、第2の故障の発生の可能性を上昇させ得る、等)を供給することができる。例えば、コンポーネント330のような相互作用コンポーネントを介して、先験的確率と条件付き確率とを受信すると、自律システムは、学習と共にベイジアンネットワークの伝搬を使用して、自律システムに提出された実際の故障データに基づいて、確率を更新することができる。従って、故障の結果、即ち比較器の合格又は不合格の結果に、フィールドデータが矛盾又はサポートしているときに、アクタによって提供された最初の確率が誤っている場合に、自律システムはその確率を調節する。
アクタ(例えば、アクタ390であり、ユーザであり得る)は、機構の故障に基づいて自律的に生成される依存関係グラフ(例えば、依存関係グラフ900)に対して、依存関係を追加できることに留意すべきである。このような追加は、例えば相互作用マネージャ345を通して行なわれ得る。1つの態様において、一例として、依存関係グラフ1100は、PLEAK1170、PALT1173と表示された2つのノードによって増補されている。その結果、{ΦR1150、θR1160、PLEAK1170、PALT1173}に対するPM1149の依存関係が生成される。依存関係グラフ1100は、より大きな(deeper)グラフによって増補されることもあると理解されるべきである。PLEAK1170の追加により、ガスフローの読み出し又はバルブ角度の読み出しの失敗に加えて、ツールに漏れがある場合にも、圧力機構が失敗し得ることを、自己概念化コンポーネント560を通して、自律システムに知らせる。ノードPALT1173は、ノード1170を補足している。ノードPALT1173は、漏れの他に、機構がシステムの故障をもたらす可能性を表わす。ノード又はより大きなグラフを追加すると、アクタは、依存関係を記述した、ノードに対する先験的確率と、関連する条件付き確率とを割り当てる。
学習した関数は、上述の関数P=F(Φ,θ)よりも複雑であり、且つ相当により多くの独立変数を含み得るが、因果グラフは、実質的に同じやり方で作成され得ると理解されるべきである。
図11Bは、予測比較器とレシピ比較器とを備えた、例示的な、学習した関数の依存関係グラフの図1180である。学習した関数の比較器(例えば、比較器1120)に加えて、生物学に基づく自律学習システムは、1つ以上のレシピ比較器を生成することができる。レシピ比較器(例えば、比較器A1195A又は比較器B1195B)は、レシピパラメータの設定値と、対応する平均測定値又は読み出しとを比較する。対応する平均測定値又は読み出しは、ツールシステム(例えば、ツールシステム310)中の関連するセンサから得られる。1つの態様において、関連するセンサからのレシピパラメータ(例えば、θ1185A又はΦ1185B)と、対応する規定値とを集めたものを与えられると、自律システムは、各設定されたパラメータに対するレシピ比較器を生成する。予測関数の比較器と同様に、設定されたレシピ値と読み出しとが、アクタ(例えば、アクタ390)によって決定され得る特定の閾値分、異なる場合に、レシピ比較器は、故障を知らせる。処理圧力は特定の値に設定されていないので、図1180において、圧力のレシピ比較器は生成されないことに留意すべきである。
根本原因を特定するために、生物学に基づく自律学習システムは、1つ以上の予測器又はレシピ比較器の故障を利用して、依存関係グラフ中にある全ての物理的な故障点をランク付けすることができる。根本原因は、例えば、最高の故障率を有する物理的な故障点である。1つの態様において、完全な依存関係グラフが1つ以上の比較器を有する場合に、生物学に基づく自律学習システムは、ベイジアン推定を使用して、比較器の故障を知らせた確率を伝搬することができる。従って、システムは、比較器ごとの個々の合格/不合格の結果(例えば、比較器A1195Aに対する結果1198A又は比較器B1195Bに対する結果1198B)に対して、故障の確率を計算することができる。一例として、予測比較器1120とレシピ比較器A1195Aとが不合格として、一方で、比較器B1195Bが合格としたと仮定する。自律システムは、比較器を故障にした各物理的な故障点に対する故障の確率を計算することができる。(例えば、比較器1195Aと比較器A1195Bとが不合格とし、一方で比較器B1195Bが合格とした場合における、圧力センサの故障の確率である)。次に、故障する可能性が最も高いもの(計算された最高確率)又は最も可能性の高い根本原因から、故障する可能性が最も低いもの(計算された最低確率)まで、各故障点を順序付けることができる。役に立つ情報であると考えられ得る根本原因(例えば、出力140)の識別は、更なる処理のために、相互作用マネージャを介してアクタに送られ得る。更なる処理は、例えば、新たな部品を注文すること、メンテナンスサービスを要求すること(アクタは、ツールの製造業者のある場所と通信するか、又はツールの製造会社ある場所にいる)、ソフトウェアの更新をダウンロードすること、新たなトレーニングセッションのスケジュールを立てること、等である。
図12は、生物学に基づく自律学習ツールシステムの例示的なグループの配備の高レベルのブロック図1200を示している。自律ツールシステム12201−1220Kのグループは、生物学に基づく自律学習ツール360によって制御され得る。生物学に基づく自律学習ツール360は、(入力)情報358を受信し、且つ(出力)情報358をインターフェイス330に送る。インターフェイス330は、アクタ390が、自律ツールシステム12201−1220Kのグループ及び自律学習システム360と相互作用するのを助ける。自律ツールシステム12201−1220Kの各々は、個々に、関連する自律学習システム1250によってサポート又は支援される。このような学習システムは、学習システム360と実質的に同じ機能を有する。グループ1210において、自律ツール12201−1220Kの各々は、それぞれ、関連するローカルアクタ3901−390Kと、独立した相互作用をすることができると理解されるべきである。このようなアクタは、上述で図3に関連して既に記載したアクタ390と実質的に同じ機能を有する。更に、自律ツール12201−1220Kとの相互作用は、自律システム300におけるやり方と実質的に同じやり方であり、相互作用コンポーネント1240を通して、ツール別情報(例えば、12481−1248K)とアセット(例えば、アセット12501−1250K)とを提供し且つ受け取ることによって行われる。ツール別情報(例えば、12481−1248K)と、アセット(例えば、アセット12501−1250K)との両者は、通常は、ツールシステム別である。特に、グループ配置1210では、各アクタ3901−390Kが、関連するシステムツール(例えば、システムツール12202)の動作の異なる態様を監視できると理解されるべきである。一例として、ローカルアクタ3901−390Kは、1組の特定の出力(例えば、12601−1260K)が重大であると定めることができる。このような決定は、履歴データ又は設計(例えば、プロセスに対するレシピ)に基づき得るか、又は、生成されたパターン、構造、関係、等を通して自律的に生成され得る。このような決定がないときは、自律学習システム360は、グループ出力1265をもたらす実質的に全ての出力(例えば、12601−1260K)が重大
であると仮定する。
1つの態様において、自律学習システム360は、正常な(例えば、障害のない)グループツール1200の動作中に、重大な出力パラメータに対する予想値を、(システム300に関連して既に記載した学習機構を通して)学習することができる。1つの態様において、測定された出力1265が、予想された出力からずれている場合に、自律学習システム360は、グループ1200の性能の性能メトリックが劣化したと識別することができる。単一の自律ツールシステム300に関連して既に記載したやり方と実質的に同じやり方で、即ち、自律学習システム360中の自己認識コンポーネントを通して、後者の評価を行なうことができると理解されるべきである。自律グループツール1200が、劣化した性能を示しても、自律ツールシステム12201−1220Kの部分集合が、劣化していない出力を提供し、所定のメトリックに対する個々の予想値を満たすことができることに留意すべきである。
更に、単一のツールシステム(例えば、ツールシステム310)のシナリオと同様に、自律学習システム360は、個々のツールに関係する出力パラメータの関数として、重大な出力パラメータに対する予測モデルを構築することができる。このような出力パラメータは、アセット328の入力/出力を通して集めることができると理解されるべきである。グループツール1200において、ツールの出力(例えば、12601−1260K)の測定値は、各ツールシステム12201−1220Kの中に存在するセンサコンポーネントを介して、生物学に基づく自律学習システム360に利用可能になり得ることに留意すべきである。これは、各自律学習システム(例えば、360又は1250)の中に配備された知識ネットワークを通して、アクセスすることができる。
更に、自律システム360は、グループ1200のアセット328の関数として、グループの故障時間の予測モデルも構築することができる。グループ1200のアセット328は、例えば、グループの入力データ、グループの出力、グループのレシピ、又はグループのメンテナンス動作である。1つの態様において、グループの故障時間を決定するために、自律学習システム360は、故障のデータを収集することができる。故障のデータは、ツール12201−1220Kのセット中の実質的に全ての動作ツールに対するメンテナンス動作と、出力12601−1260Kと、関連するアセット12501−1250Kと、(例えば、センサコンポーネントのセットを通して)検出された故障間隔とを含む。(前の故障の評価の結果として、グループ1200中のツール(例えば、12201−1220K)のセット中の特定のツール(例えば、ツールシステム2 12201とツールシステムK 1220K)が壊れているかもしれないことが分かる)。集められたデータを(例えば、自律学習システム360中の処理コンポーネント385を通して)自律的に分析して、グループのアセット(例えば、入力、レシピ、・・・)と、出力と、メンテナンス動作との関数として、故障時間の予測関数を学習することができる。集められたデータから構築される、グループの故障時間のモデルは、グループツール1200の性能に影響を与える実質的な主要因を容易に示すことができると理解されるべきである。
1つの態様において、アクタ390(例えば、グループレベルの制御装置)は、グループツール1200中のツールシステム(例えば、12201−1220K)の個々のコンポーネントに対して構築された、故障時間のモデルを用いて、部品の在庫を最適化して、メンテナンスのスケジューリングを最適化することができる。このような最適化は、自律システム360によって、少なくとも部分的に行なわれ得ると理解されるべきである。例えば、自律システムは、MES(又は、ERP)システムにアクセスして、入手可能な部品数を識別する。ツールシステム12201−1220Kに機能を提供する1組の部品であって、特定の期間Δτ内に(例えば、交換のために)必要になると予想され得る1組の部品(例えば、システム310中のコンポーネント315のような機能コンポーネント内の1つ以上コンポーネントの中の部品)が、在庫のある供給可能量を超える場合に、追加の部品を注文することができる。その代わりに又は更に、部品が入手可能である場合に、部品が必要になる予想スケジュールを分析して、新たな注文をする最適又は適切な時を決定することができる。
自律システム360に利用可能な機会を活用して、部品を分析して、かなり短い期間中に故障し得る部品を識別するために、必須の既にスケジュールされているメンテナンス動作中に、メンテナンスのスケジュールを再評価して最適化することができると理解されるべきである。更に、1つの態様では、部品のコスト、部品を交換する時、等のような追加情報によって、グループ又は個々の故障時間のスケジュールを自律的に補足して、現在のメンテナンスサイクル中における部品の交換が、次の予定されたメンテナンスサイクルにおける部品の交換に対して、有益であるかどうかを決定することができると理解されるべきである。自律システム360は、グループツール1200の1つの出力製品(例えば、ウェーハ、自動車、コンピュータ、等)当たりのコストと、グループツール1200の動作中に特定の注文をする合計コストとを計算するために、グループツール1200の動作に関連する様々なコストを、入力として考慮することができることに留意すべきである。個々のツールアセット12501−1250K(例えば、レシピ)と、出力12601−1260Kと、メンテナンス動作との関数として、コストのモデルを構築した後で、自律システム360は、個々のツールシステム12201−1220Kを、動作コストの昇順でランク付けすることができる。組み合わせたコストデータアセットを利用して、個々のツールシステムに関連するアセットと、出力と、メンテナンス動作とに対する、コストの予測モデルを構築することができる。例えば、このような評価は、グループツールに対する動作又はメンテナンスコストに実質的に影響する変数と動作アセットとを識別することができる。1つの態様において、コストを最小化するために、自律システム360は、利用可能な履歴データアセットを利用して、作業場(floor plant)における装置の構成、又は生産ラインを再設計することができる。更に、このような最適化プロセス中に、自律システム360は、代わりの動作パターンを利用するために、様々なツールシステムの停止に依存し得る。更に、自律システム360は、コスト効果分析を利用して、1組のトレードオフ(trade-off)のシナリオを決定することができる。トレードオフのシナリオでは、コストの高い特定のツールシステムの出力を除いて、特定の出力の生産を進める。
ツールシステム12201−1220Kは、実質的に同じであってもよく、又は異なっていてもよい(例えば、ツールシステム12201−12203はステッパーであり、ツール1220Jはステッパーであり、1220K−4−1220Kはターボ分子真空ポンプである)。一般に、同種(例えば、ツールシステムは類似している)と、異種(例えば、ツールは異なる)とにおける主な違いは、入力と出力の測定値(例えば、測定アセット)が異なることにあり得る。例えば、ツールグループ1200に対する目的の重大な出力は、DI CDの均一性であり得るが、グループツール1200の一部であるコーティングシステムは、このような出力測定値を提供することができない。従って、自律システム360は、個々のツール(例えば、12201−1220K)の出力の関数として、ツールグループの出力を表わすモデルを構築することができる。従って、グループの性能が劣化したように見える場合に、個々のツールに関連する個々の性能を分析して、性能の劣化をもたらした最大加重を有するツールを切り離すことができる。
図13は、自律ツールシステムの複合体の配備図を示している。複合体システム1310は、自律ツール複合体13201−1320Qのセットを具備している。ツール複合体の各々は、同種又は異種グループの自律ツールを具備し得る。例えば、自律性の製作設備(示されない)を具備し得る異なる自律ツールグループのセット、又は異なる自律性の製作設備のセットである。通常、自律ツール複合体13201−1320Qは、異なる地理的な位置に配置され得る(例えば、複合体は、異なる位置で製作された部品を車両に搭載する自動車のアセンブリラインを表わし得る)と理解されるべきである。同様に、製造プロセスが複数のステップを備え得ることを考慮して、プラント内の異なる位置に、工場の自律ツールのグループを配備することができる。従って、製品出力チェーン1365は、部分的に製造、処理、又は分析された製品を、自律ツール複合体13201−1320Qに提供するのを助けることができる。このような特徴は、双方向の矢印13601−1360Qで示されている。双方向の矢印13601−1360Qは、複合体13201−1320Qに関連付けられた出力/入力を表わす。
相互作用コンポーネント340と、アクタ390と、自律学習システム360とを具備する自律学習システムによって、複合体システム1310は、自律のサポートをされ得る。1つの態様において、自律のサポートは、出力アセット(例えば、出力1365又は1265)の全体的な製作効率(overall fabrication effectiveness, OFE)のメトリックを改善することを目的にし得る。更に、自律ツールの複合体13201−1320Qの各々は、相互作用コンポーネント1330と、自律学習システム1340とによって自律的にサポートされ得る。インターフェイスコンポーネント1330は、自律学習システム1340とアクタ3901−390Qとの相互作用を助ける。このようなコンポーネントの各々の機能は、システム360及びシステム1200に関連して既に記載したそれぞれのコンポーネントの機能と実質的に同じである。相互作用コンポーネント1330と自律システム1340との間で通信される情報1348I(I=1,2,・・・Q)は、それぞれの自律ツール複合体I 1320Iに関連する。同様に、自律ツール複合体I 1320Iに送られる、又は自律ツール複合体I 1320Iから受け取られるアセット1350Iは、自律ツール複合体I 1320Iによって異なる。
自律ツール複合体1320
1−1320
Qの性能に対処するために、性能タグによって、製作プロセスのマルチステップ特性が取り入れられ得る。性能タグは、複合体のインデックスC
αと、実行(run)のインデックス(R)とを利用して、製品を識別する。なお、インデックスαは、複合体C(例えば、自律複合体1320
Q)内の特定のツールグループを示す。従って、特定の製品に関連する性能のメトリック又は製品の品質は、標示(C
α;R)によって識別される。標示(C
α;R)は、「グループレイヤの出力」と称することができる。このような標示は、各自律動作グループを、個々のコンポーネントC
αとして識別するのを助ける。従って、自律システム360は、製作複合体(例えば、自律ツール複合体1310
2)の関数として、及び各製作複合体内のツールグループの関数として、品質と性能のメトリックをマップすることができる。後者は、最初に、複合体(例えば、製作設備)を識別して、その後で、評価された劣化に関連するツールを分析することによって、悪い性能又は品質の、根本原因の分析を助ける。複数の複合体ツールから構成されている自律システムで生成された出力アセットを、第1の複合体(N)から第2の複合体(N’)に移送できることを、インデックスC
αが明らかにしていると理解されるべきである。従って、(例えば、マルチステップの製作プロセスの一部としての)アセットの移送に関連して性能を追跡する合成シンボルは、
と示すことができる。
自律ツール複合体の性能は、製品の歩留まりの関数として示され得る。このような歩留りは、異なる複合体をランク付けするために利用される。1つの態様において、自律学習システム360は、各自律ツール又は自律グループツールからの、出力アセットに少なくとも部分的に基づいて、歩留りに対するモデルを作成することができる。例えば、半導体製造に用いられるツール又はツールグループの場合に、歩留りは、ウェーハの厚さ、デバイスの均一性、不純物濃度(例えば、外部と内部のドーパント濃度)、DI CD、FI CD、等の関数として表すことができる。更に、他の歩留りのメトリックを利用して、特に、ツール複合体システム(例えば、13201−1320Q)を具備する自律学習システムにおける、歩留りに対するモデルを決定することができる。複合体間では、出力アセットが送られ得る。歩留りに対するモデルは、全体的な設備効率(OEE)、サイクルの時間効率、時間通りの配送率(on-time delivery rate)、設備稼動率、再生率、機械ラインの歩留り、プローブにおける歩留り及び最終試験における歩留り、アセットの生産量、起動又は立ち上げ性能レート、等である。自律ツール複合体のセットの動作をサポートする自律システムは、歩留りのメトリックに関連する調節に関して、アクタ3901−390Qと通信するか、又はプロセスを設計し直すために、前記歩留りのメトリック間の関係を自律的に特定できることに留意すべきである。
静的な分析と動的な分析との組み合わせ(例えば、シミュレーション)を通して、上述の歩留りの関数を分析して、影響又は重みの程度に従ってグループレイヤの出力をランク付けして、特定の歩留りに結びつけることができる。アセットの出力又は歩留りに作用する影響に少なくとも部分的に基づいて、グループレイヤの出力レベルにおいて、ツール、ツールのグループ、又は複合体をランク付けすることによって、グループ又は複合体の自律学習システム360が、グループ中の各ツール又は複合体中のグループに関連する自律システムを通して、歩留りの劣化における主なツールとして、特定のツールを切り離すことができるかどうかを、自律的に識別できることに留意すべきである。このようなツールの位置が特定されると、グループ又は複合体レベルの自律システム360は、性能劣化の候補になり得る障害のランク付けに関する情報を用いて、メンテナンス部門にアラームを発生させることができる。
更に、最低ランクの自律ツール複合体の歩留りを用いて、歩留りに主に影響するツールグループのグループレイヤの出力を識別することができる。悪い性能の原因を識別するために、このようなツールグループは、異なる自律複合体中の実質的に同じツールグループと、故障時間について比較され得る。更に、自律ツール複合体システムは、異なるツール複合体の特定のツールグループ内のツールをランク付けする。自律ツール複合体(例えば、13201−1320Q)のグループをサポート及び分析する自律学習システムは、各複合体の推測故障時間に従って、複合体の各々をランク付けできることに留意すべきである。例えば、故障時間は、入力/出力アセット(例えば、アセット358)のロードを考慮して、動作時間間隔によって変化し得るので、故障時間の予測を有するデータベースは、指定期間で(例えば、週、月、四半期、又は年ごとに)更新され得る。
更に、グループツールの悪い性能の主な原因である個々のツールが識別されると、最低動作のツールに関連する自律システム、又はこのような最低動作のツールを含む複合システムに関連する自律システムは、そのツールの出力を分析して、最低動作のグループの出力に最も大きな影響を与える出力を識別することができる。(例えば、グループツール内で性能が最低であるとランク付けされるツールは、例えば、均一のドーピング濃度又は均一の表面反射率のような特定の目標品質特性を有するアセットを、最も高い頻度で出力しないツールである)。例えば、上述のように低い均一性のアセットを出力する、ツールグループ又は複合体中のツールは、ツールグループの均一性のばらつきを相当な割合(例えば、60%)でもたらし得る。(例えば、光学ディスプレイ、又はさもなければ、高解像度ディスプレイの表面反射率の均一性の変化のばらつきは、コーティングの表面反射率の均一性の問題が原因である)。これを受けて、1つの態様において、ツール自律システムは、グループの各出力に対して、ツールアセット(例えば、入力、レシピ、プロセスパラメータ、ツールのオペレータ又はアクタ、等)の関数として、ツールの出力を表わす関数を構築する。次に、このモデルを分析して、悪い性能の主な要因を識別する。自律システムは、グループツール中の最良動作のツールを識別して、そのツールに最良の性能をもたらした原因を分析できることに留意すべきである。原因は、例えば、動作中のツールの真空レベルが、グループツール中の異なるツールの真空レベルよりも常に低い、又は、エピタキシャル蒸着中に、最良動作ツールにおけるウェーハが、蒸着を行う異なるツールよりも遅い速度で回転して、最良動作ツールが、より高いデバイス品質を常に達成させるといったことである。最高ランクのツールと最低ランクのツールにおけるこのような要因は、複合システム中の他のツールにおける同じパラメータと比較され得る。比較によって、最高ランクの性能の根本原因及び最低ランクの性能の根本原因として識別された要因が、ツール複合体システム全体で実質的に同じであるように見える場合には、新たなモデルが作成されて、別の根本原因が識別され得る。根本原因を識別して、最良の実施を真似て(例えば、ツール複合体1320Pにおいて利用されているコーティングレシピが、出力アセットの性能を特定の望ましいマージンまで上昇させることを考慮して、実質的に全てのツール複合体において、それを取り入れる)、低い性能の根本原因を抑える(例えば、塗装しているトンネルの作業温度でのペンキの粘性のために、塗装された製品の着色が非均一になる場合に、その特定のブランドのペンキを捨てる)まで、モデルの作成と検証のこのような反復的な自律プロセスを続けることができる。ツール、ツールのグループ、又はツール複合体のランク付けは、自律的であり、単一の自律ツールシステム(例えば、システム360)と実質的に同じやり方で進められる。自律ツール複合体の動作をサポートする自律システムは、このような自律複合体を、その内部構造の複雑さに関わらず、単一のコンポーネントとして見なす。このような自律複合体には、複合体に関連した自律システムを通してアクセスして管理することができる。
図14は、上述のツールシステムのクラス間のモジュール性と再帰的な結合とを示す図1400である。ツールシステムのクラスは、例えば、個々の自律ツール360と、グループの自律ツール1200と、複合体の自律ツール1300である。自律システム1400では、軸方向の通路として示されている知識ネットワーク375を通して、目標と、コンテキストと、アセットとが循環して、異なる自律ツールシステム360と、1200と、1300とに送られる。このような情報とアセットは、各自律システムにおいて処理される。処理は、分析と、修正と、新たな情報及びアセットの生成とを含み得る。このような処理は、それぞれ自律システム360、1200、1300を表したものの外側のベルト上の矢印として図示されている。処理されて生成されたアセットは、知識ネットワーク375に送られて、自律システム間で循環され得る。図1400において、アセットの処理と生成は、方位角で行われるように表わされている一方で、アセットの通信は、径方向のプロセスである。図1400が示しているように、自律ツールシステムは、実質的に同じ要素に基づいており、実質的に同じ要素は、実質的に同様に機能する。
図15は、アセット生成のマルチステーションプロセスについて、評価して報告する例示的なシステム1500を示している。自律システム1504は、生物学に基づく自律学習システム360と、アクタ390と、関連する相互作用コンポーネント330とを具備する。関連する相互作用コンポーネント330は、Nステーションプロセス1510から生成されるアセット328を送受信し、後向き連鎖(backward chaining)によって性能を評価することができる。Nステーションプロセスは、1組のNプロセスステーション15101−1510Nを通して実行される。1組のNプロセスステーション15101−1510Nは、出力1520を生成し、個々の自律ツール360、自律ツールグループ1220、又は、自律ツール複合体1320を含むことができる。性能評価の結果として、自律システム1508は、プロセスステーション15101−1510N中の、指定した程度の性能の劣化を有するツール又はツールグループの位置を特定することができる。更に、自律システム1508は、選択されたステーションについて、評価報告、修復報告、又はメンテナンススケジュールを提供することができる。異なるプロセスステーションは、実質的に同じ動作を実行できると理解されるべきである。このようなシナリオは、出力アセット1515を生成して、更なる処理のために異なるツール又はツールグループに送った後で、出力アセット1515を更なる処理のために特定のツール又はツールグループに戻すという状況を反映している。
一般に、後向き連鎖において、出力を生成する動作フロー(例えば、プロセスフロー1530)は、一般に動作フローを評価するプローブフロー(例えば、評価フロー1540)と、反対方向に進む。従って、通常は、評価はトップボトム方式で行ない、高レベルステージの特定の動作、例えば最終的なアセット出力1520を評価して、より低いレベルステージに進み、特定の動作の完了前に、特定のステージを評価することに焦点を当てることを図っている。自律システム1504によって適用されるように、出力アセット1520は、プロセスステーションN 1510
Nを介して受信される。1546によって示されているように、自律システム1504は、1組の性能メトリック
を評定することができる。この性能メトリックは、プロセスステーションN 1510Nにおける実質的に全ての動作コンポーネント(例えば、ツール、グループ、又は複合体ツール)の予想性能に少なくとも部分的に基づいて、特定の劣化ベクトル(示されていない)を導き出す。更に、プロセス1530において、出力アセット(例えば、アセット1515)は、異なる地理的エリアに運ばれ得るので、自律システム1504によって評価される劣化ベクトルは、プロセスの途中の部分に関連するメトリックを含むことができる。プロセスの途中の部分は、部分的に完成したアセット1515をもたらす。例えば、プロセス1530が、車両用エアバッグのための加速度計の配備に関する場合に、プロセス1530に示されているルートを用いずに、加速度計を搬送する別のルートを利用した結果として、搬送された加速度計の機械部品が破損する場合がある。このような評価の結果1549が、Nステーションの出力1520に障害があることを示している場合に、自律システム1504は、プロセスステーションNに関連する障害のあるツール又はツールグループを切り離して、報告(例えば、評価報告1550、修復報告1560、又はメンテナンススケジュール1570)を生成する。生成された報告は、1以上のアクタ(例えば、アクタ3901−390Q)によって利用される情報を含み得る。更に、報告を記憶して、性能に関する特定の問題、特に、頻繁に発生しない問題、に対する解決策(又は「処置」)のレガシーを作成することができる。従って、通常広範囲に利用可能なデータから恩恵を受けることができる自律的に発展する解決策に関連して、アクタが介入するのが好ましい。更に、報告が利用可能であることにより、故障のシミュレーション、又は故障エピソードの法医学的分析(forensic analysis)を容易にすることができる。これは、少なくとも2つのレベルで、製造コストを下げることができる。即ち、(a)コストのかかる、故障頻度の低い設備が、稀な条件下で故障するのを予測することができる。これは、自律システム360によってシミュレートすることができ、設備の複雑さに対応していないバックグラウンドを有するアクタが、その設備を操作したことによって発生する。(b)評価報告1550と修復報告1560とに記憶されている履歴データに少なくとも部分的に基づいて、様々な故障のシナリオを予測することによって、部品の在庫を最適化することができる。
プロセスステーションN 1510
Nの結果1549から、障害のあるツール又はツールグループが得られない場合に、より低いレベルのプロセスステーションN 1510
N−1で評価を行う。プロセスステーションN 1510
N−1は、部分的に処理された出力アセット1515を生成し、出力1520を生成するプロセスサイクル1530の一部である。1組の異なる性能メトリック
の分析を通して、劣化の程度を抽出して、関連するツール又はツールグループ(例えば、複合体C)の位置を特定することができる。障害のある自律ツールの複合体、自律ツールのグループ、又は個々の自律ツールがない場合に、自律システム1504は、オブジェクトに対して逆方向のトップボトム評価のフロー1540を続けて、最終的な出力1520における悪い性能の源の位置を特定する。
図16は、ツール複合体システムによって自律的に生成された出力アセットを配送することができる例示的な自律システム1600のブロック図である。システム1600において、ツール複合体1320Qは、出力アセット1610のセットを自律的に生成することができる。出力アセット1610のセットは、(i)情報、又は(ii)自律ツール複合体1320Qによって製作された生産品であり得る。この情報(例えば、構造、データパターン、測定された変数間の関係、例えば、自律ツール複合体1320Qを構成している同様の又は異なるツールグループにおける既存の劣化エピソード又は条件に対する改善策、等)は、ある状態、例えば、ツール複合体システム1320Qを構成し得る1つ以上のツールの性能劣化の条件、に関して収集又は推論されたものである。更に、システム1600において、出力アセット1610は、アセット選択器1620によってフィルタをかけられて、分散コンポーネント1630に送られるか又は通信され得る。このような分散コンポーネント1630は、生物学に基づく自律学習システム360のインテリジェントな態様を利用することができる。分散コンポーネント1630は、管理コンポーネント1635を具備する。管理コンポーネント1635は、パッケージ化コンポーネント1645と、データを整える(prepare)ことができる暗号化コンポーネント1655と、スケジューラ1665と、アセット監視装置1675とを操作することができる。パッケージ化コンポーネント1645は、配送プロセスのために、アセットの配送の準備をすることができる。このような準備は、損傷予防と紛失予防とを含むことができる。データアセット又は情報(例えば、一部の仕様から外れて、例えば閾値を超えた温度で、動作した結果として生じたシステムの望ましくない条件のような、エピソードメモリ530中のイベント)の場合に、パッケージ化コンポーネント1645は、配送されるアセットの対象受信者に少なくとも部分的に基づいて、情報を提示するための特定のフォーマットを変更することができる。例えば、所有権情報(proprietary information)は、抽象的であってもよく、特定せずに提示することができる(例えば、ガスの明確な名称を、単語「gas(ガス)」に置き換えることができ、特定のパラメータ間の関係を、変数間の関係に一般化することができる。例えば、「p(O2)<10−8トール」を、「p(gas)<10−8トール」としてパッケージ化することができる。)更に、パッケージ化コンポーネント1645は、暗号化コンポーネント1655を利用して、アセットの送信中と、対象受信者におけるアセットの回復中における情報の完全性を保証することができる。
更に、1つの態様において、管理コンポーネント1635は、(i)アセット記憶装置1683、(ii)パートナ記憶装置1686、(iii)顧客記憶装置1689、(iv)ポリシー記憶装置にアクセスすることができる。アセット記憶装置1683は、通常、配送される予定のアセット又は配送されたアセットを収める。パートナ記憶装置1686は、特定のアセットの配送又は完成に関連する取引上のパートナを含む。顧客記憶装置1689は、選択したアセットを配送した又は配送できる、現在、過去、又は未来の顧客を収めることができる。ポリシー記憶装置は、ライセンス供与、顧客のサポート及び関係、アセットのパッケージ化のための手順、スケジューリングの手順、知的所有権の実施、等のような、アセットの配送に関連する態様を決定することができる。生物学に基づく自律学習システムによって学習又は生成された知識、例えば情報アセット、に少なくとも部分的に基づいて、ポリシー記憶装置に収められる情報を動的に変化し得ると理解されるべきである。
アセットはパッケージ化されると、アセットは、配送のスケジュールを立てられ、配送記録が記憶され、又はアセットがデータアセットである場合は、アセットのコピーが記憶され得る。アセットのパッケージ化は、能動又は受動型の、監視デバイス、例えばRFIDタグ、或いはバーコード(例えば、二次元コード、アステカ(Aztec)コード、等)をパッケージに加えることを含み得る。その後で、アセットは、異なる自律ツール複合体P 1320Pに配送され得る。
図17は、アセット(例えば、完成した製品、部分的に完成した製品、・・・)に対する、設計から製造及び販売までの、自律的に決定される配送ステップの例を示している。六角形のセル1710は、特定の地理的エリア(例えば、都市、郡、州、1つの以上の国)を表わしている。自律ツール複合体の2つのクラス、例えば、「円形」の複合体1720、1730、1740、1750、1760と、「正方形」の複合体1765、1775は、1組の製品又はアセットの製造系統に関与している。(地理的エリアは、六角形のセルの他に、実質的にあらゆる範囲エリアを包含できることに留意すべできある)。例示的なシナリオとして、アセットの製造は複合体1720から始まるが、これに制限されない。複合体1720は、高山スポーツ(例えば、スキー、登山、パラグライディング、等)のための、光を操作する、注文仕様のソリッドステートデバイスの設計を提供する複合体であり得る。設計は、ソース材料の光学的特性及びそれらの組み合わせの計算のシミュレーションと、デバイスのシミュレーションとを含み得る。このような例において、複合体1720は、超並列スーパーコンピュータであってもよく、この例では、自律ツールグループ(図12)のセットとして構成され得る。シミュレーションコンピュータのネットワーク中の各コンピュータは、自律ツールグループと見なされる。複合体1720は、光学デバイスの1つ以上の設計と、そのデバイスの記述に関連する一連の報告、例えばデータアセット、とを出力する。このような出力又はアセット(示されていない)は、(例えば、コンポーネントによる)適切な暗号化とパッケージ化の後で、無線リンクであり得る通信リンク1724を介して、複合体1730に送られ得る。
複合体1730は、データアセットを受信することができ、非制限的な例として、受信したアセットに従って、蒸着プロセスを開始して、ソリッドステートデバイスを製作する。この目的のために、複合体1730は、複合体1740と組むことができる。両者は、製作設備と見なすことができ、2つの複合体からなる自律複合体ツール1310の一部である。このような複合体は、受信した仕様のアセットに従って複数のデバイスを生産することができる。1つのデバイスが製作され、それがテストされて、品質と性能のメトリックを割り当られると、このようなメトリックは、後向き連鎖をもたらして、複合体1730と1740を含む自律ツール中で、「性能の悪いもの」の位置が特定され得る。複数のメトリックを決定することによって、複合体1720と1730の動作を自律的に調節して、出力アセット又はデバイスの生産を最適化することができる。リンク1724は内部リンクを示し、複合体1730と1740は、同じ製作工場の一部であることに留意すべきである。従って、車両用搬送ルートを提供するリンク1724を利用する場合とは実質的に異なる条件で、アセットを搬送することができる。地理的に異なる位置において市販用のパッケージングをするために、リンク1744を用いて、デバイスを発送することができる(このような搬送は、有利なパッケージングコスト、熟練した労働者、法人税の優遇、等によって動機付けられ得る)。複合体1740における自律学習システムは、時間効率とコスト効率のよい配送を保証するために、(例えば、スケジューラによって)発送時刻とルート(例えば、リンク1744)とを最適化できると理解されるべきである。アセットは、複合体1750においてパックされ、複合体1760において無線リンクによって遠隔テストされる。1つの態様では、テストされるデバイスの容積と、テストされるデバイスを含むロットとを、複合体1760中の自律システムによって決定することができる。パックされたデバイスが販売を許諾されると、アセットは、道路のリンク1744を通って複合体1740に発送され、次に、道路のリンク1770を通って、異なるクラスの複合体1775に発送される。このような複合体は、提携した供給業者(partner vendor)であり得る。複合体1775は、保管倉庫であり得る。これは、ツールグループの複合体と見なすことができる。このような複合体は、内部で、複合体1765にリンクされている。複合体1765は、受け取ったアセットのショールームであり得る。
既に提示され記載された例示的なシステムを考慮して、開示された内容に従って実施され得る方法は、図18と、19と、20のフローチャートに関連して、一層良く理解されるであろう。説明を簡潔にする目的で、方法は一連のブロックとして示され記載されているが、幾つかの動作は、ここに示され記載されている順序と異なる順序で及び/又は他のブロックと同時に行うことができるので、開示されている態様は動作の数又は順序によって制限されないと理解及び認識されるべきである。更に、後述の方法を実施するために、例示された動作の全てが必要とされるわけではない。ブロックに関連する機能は、ソフトウェア、ハードウェア、その組み合わせ、又は他の何らかの適切な手段(例えば、デバイス、システム、プロセス、コンポーネント)によって実施され得ると理解されるべきである。更に、後述と本明細書の全体を通じて開示されている方法を、製造品に記憶して、このような方法を様々なデバイスへ移送及び転送するのを容易にすることができると理解されるべきである。その代りに、当業者は、状態図のように一連の相互に関連する状態又はイベントとして方法を表現できることを理解及び認識するであろう。
図18は、コンテキストに即した目標調節を伴った、生物学に基づく自律学習のための例示的な方法1800を提示している。動作1810において、目標を設定する。目標は、目標又は目的を達成するために用いられる目標コンポーネントの機能に関連する抽象的概念である。目標は、多くの分野にわたり、様々な部門(例えば、産業、科学、文化、政治、等)に及び得る。通常、動作1810は、アクタによって実行され得る。アクタは、学習システム(例えば、適応推論エンジン)に接続できる目標コンポーネントの、外側又は外部に存在し得る。目標の多くの分野にわたる性質を考慮して、目標コンポーネントは、多数の機能を有するツール、デバイス、又はシステムであり得る。例えば、特定のプロセスを行うツールシステム(例えば、ツールシステム310)、又は、1組の要求に対して特定の成果を提供するデバイス、等である。動作1820において、データを受信する。このようなデータは、内部からのものであり得る。例えば、目標を遂行する目標コンポーネント(例えば、コンポーネント120)で生成されたデータである。1つの態様において、特定のプロセスを行なう部分として、ツールに関連するセンサ又はプローブのセットは、適応インテリジェントコンポーネントで受信されたデータを収集することができる。更に、受信データは、外部からのものであってもよい。例えば、アクタ(例えば、アクタ390)によって送られるデータである。アクタは、人間のエージェント又は機械であり得る。外部からのデータは、プロセスを進めるために利用されるデータか、又は、一般に、特定の目標を達成させるために利用されるデータであり得る。人間のエージェントは、ツールシステムのオペレータであってもよく、ツールによって行なわれるプロセスに関連する命令又は特定の手続きを提供することができる。アクタの例は、ツールシステムのシミュレーションを行なうコンピュータ、又は実質的に任意の目標コンポーネントであってもよい。ツールシステムのシミュレーションを用いて、ツールシステムに対する配備のパラメータ、又は、ツールに対する別の動作条件(例えば、人間のエージェントに対して危険をもたらし得る動作条件、又はコストのかかり得る動作条件)をテストするパラメータを決定できると理解されるべきである。受信データは、特定のプロセスに関連する生産データ又はトレーニングデータ、或いは一般的に、特定のコードであり得る。
別の態様において、受信データは、データ型、或いは手続き又は機能ユニットに関連付けられ得る。データ型は、実際のデータの高レベルの抽象的概念である。例えば、ツールシステムのアニーリング状態において、アニーリングサイクル期間中、プログラムされたレベルで温度を制御することができるといったものである。ツールシステム中の温度センサによって測定される時系列の温度値は、シーケンス(sequence)のデータ型に関連付けられ得る。機能ユニットは、処理コードのパッチ又は受信命令のライブラリに相当し得る。処理コードのパッチは、ツールの動作に必要なデータ、又はツールによって生成されたデータの分析に必要なデータを操作する。機能ユニットは、そのユニットの特定の機能に関する概念に抽象化され得る。例えば、乗算コードの断片は、乗算(multiply)の概念に抽象化され得る。このような概念は、多重定義され得る。即ち、1つの概念が、複数のデータ型に従属することになり得る。複数のデータ型は、例えば、乗算(シーケンス)(multiply(sequence))、乗算(行列)(multiply(matrix))、又は乗算(定数,行列)(multiply(constant, matrix))である。更に、機能ユニットに関連する概念は、機能ユニットに関連する他の概念を継承することができる。機能ユニットに関連付けられる他の概念は、例えば、導関数(スカラ 積(ベクトル,ベクトル))(derivative(scalar_product(vector, vector)))である。これは、独立変数に関する2つのベクトル(vector)のスカラ積(scalar product)の導関数(derivative)を表すという概念を示すことができる。機能の概念は、それ自体で概念であるクラスを、そのまま真似ていると理解されるべきである。更に、データ型は、優先順位に関連付けられて、優先順位に従って、意味ネットワーク中に置かれ得る。同様に、機能の概念(又は、オートボット)も、優先順位に関連付けられて、異なる意味ネットワークに置かれ得る。概念の優先順位は、動的であって、意味ネットワークにおける概念の活性化を助けることができる。
動作1830において、受信データから知識を生成する。上述のように、これは、意味ネットワークにおいて示され得る。知識の生成は、意味ネットワークにおいて活性化を伝搬することによって達成され得る。このような伝搬は、スコアの組み合わせに加えて、概念に割り当てられた状況スコアによって決定され得る。1つの態様において、スコアの組み合わせは、2つのスコアの加重加算か、又は2つ以上のスコアの平均であり得る。ツールシステムの条件、又は外部のアクタから受信した情報入力に基づいて、スコアの組み合わせのルールを必要に応じて修正できると理解されるべきである。時間の進行に伴って、優先順位は古くなり、めったに活性化されない概念は廃れて、新たな概念がより適切になり得ると理解されるべきである。
生成された知識は、完全な情報であり得る。例えば、蒸着ステップにおける定常状態の圧力は、定常状態のフローと定常状態の排気バルブの角度とのような2つの独立変数の、正確で十分に定義された数学関数(例えば、確率的又は未知ではなく、確定的に評価された関数を含む、全てのパラメータについての一価関数)である。その代わりに、生成された知識は、部分的な理解を表わすこともある。例えば、エッチングレートは、温度に対して、既知の関数従属性(例えば、指数関数従属性)を有し得るが、具体的な関係、例えば、エッチングレートと温度とにおける関数従属性を決定するパラメータの正確な値は、未知である。
動作1840において、生成された知識は、更なる知識を自律的に生成するのに、後で利用するために記憶される。1つの態様において、知識は、メモリの階層に記憶され得る。階層は、メモリ中の知識の持続性と、追加の知識を作成するための知識の可読性とに基づいて、決定され得る。1つの態様において、階層中の第3の層は、エピソードメモリ(例えば、エピソードメモリ530)であり、受信データの印象と知識とを集めることができる。このようなメモリ層において、概念の操作は重要でなはなく、その代わりに、このメモリは、ツールシステム又は外部のアクタから受信した利用可能な情報の貯蔵部の役割を果たす。1つの態様において、このようなメモリは、メタデータベースと見なされ、複数のデータ型と手続きの概念とを記憶することができる。第2の層において、知識は短期メモリに記憶され、概念は相当に操作され、意味ネットワークにおける活性化を伝播することができる。このようなメモリ層において、機能ユニット又は手続きの概念は、受信データと、新たな知識を生成する概念、即ち学習とを操作する。第1の層のメモリは、長期メモリ(例えば、LTM510)であり、知識は、このメモリ層に記憶される重要な新たな知識と共に、アクティブに利用するために維持される。更に、長期メモリ中の知識は、短期メモリ中の機能ユニットによって利用され得る。
動作1850において、生成又は記憶された知識を利用する。知識は、次の目的で用いられ得る。(i)記憶されている知識と、新たに受信されたデータとの差を識別することによって、目標コンポーネント(例えば、ツールシステム310)の劣化レベルを決定する(自己認識コンポーネント550を参照)。データは、外部から(例えば、入力130)又は内部から(例えば、出力140の一部)受信され得る。(ii)(例えば、自己概念化コンポーネント560において)例えば、データパターンを識別するか、又は変数間の関係を発見することによって、外部からのデータ又は内部からのデータ、或いはこの両者を特徴付ける。変数は、設定目標を達成するために利用され得る。又は、(iii)(例えば、自己最適化コンポーネント570において)データを生成するツールシステムの性能を分析して、将来の故障又は現在の故障の根本原因と、修理の必要性とを示すか、或いは、ツールシステムの劣化がツールの故障を引き起こす前に、予防のメンテナンスを実施するように、アラームを発する。外部から又は内部からの受信データと、その後に生成された知識とによって、記憶されている知識と生成された知識との利用に影響が生じることに留意すべきである。
動作1860は、検証動作であり、生成された知識を考慮して、目標の達成度を調べることができる。設定目標が達成された場合は、例示的な方法1800は終了できる。その代わりに、設定目標が達成されていない場合は、動作1870において、設定目標が再検討され得る。後者において、現在の目標を修正又は適応させた場合に、方法1800のフローは、新たな目標を設定することになり得る。例えば、生成された知識に基づいて、目標を適応させることができる。現在の目標が修正されない場合に、方法1800のフローは、知識の生成に戻る。生成された知識を利用して、引き続き、現在設定されている目標を遂行する。
図19は、目標コンポーネントの状態に関連する概念の状況スコアを調節する例示的な方法のフローチャート1900を提示している。動作1910において、目標コンポーネントの状態を決定する。通常、状態は、コンテキストを通して設定される。コンテキストは、様々なデータ入力(例えば、入力130)によって、又は入力に関連し且つ特定の関係を示す概念のネットワークを通して、決定され得る。入力データは、目標コンポーネントが遂行している目標に関係する。例えば、特定の薄膜デバイスのコーティングプロセスについてのレシピは、「絶縁デバイスを蒸着する」という目標に関連する入力であると見なすことができる。動作1920において、目標コンポーネントの状態に適用され得る概念のセットを決定する。このような概念は、動作1910で入れられたデータ型の抽象的概念であり得るか、又はメモリプラットフォーム(例えば、長期メモリ510又は短期メモリ520)中の既存の概念であり得る。通常、記述の概念(例えば、機能コンポーネントを有さない概念)に作用することができる機能の概念は、目標の達成に向けてより頻繁に利用され得る。動作1930において、目標の状態に関連する概念のセット中の各概念に対する状況スコアを決定する。状況スコアのセットは、概念の利用又は適用に対する階層を設定することができ、これは、目標の適応又は副目標の生成/ランダム化のような、目標の動態(dynamics)を決定し得る。特定の概念に対する状況スコアの調節により、目標の達成と、目標適応の一部としての目標空間内での伝搬とが行なわれ得る。
図20は、推論によって知識を生成する例示的な方法のフローチャート2000を提示している。動作2010において、概念をデータ型に関連付けて、概念の優先順位を決定する。通常、優先順位は、概念の利用率又は概念の重みに基づいて決定され得る。このような重みは、概念の利用し易さ(例えば、データ型を処理する複雑さ)を表わし得るパラメータの関数(例えば、加重和、又は幾何平均)を通して決定され得る。このようなパラメータは、状態を記述する概念の適切性のパラメータ(例えば、その概念に関係する近隣の概念の数)と、概念の慣性とを用いて識別され得る。明らかに時間に依存する慣性と適切性のパラメータの結果として、又は概念の伝搬の結果として、優先順位は時間に依存し得ると理解されるべきである。時間に依存する優先順位は、経時的な観点(aging aspect)を、特定の概念に取り入れることができ、従って、特定の知識のシナリオの中で、概念が関連性を無くしていくこと(例えば、優先順位に基づく知識ネットワークのノード構造)によって、知識(例えば、知識(例えば、目標を遂行するために用いられるパラダイム、一例として、ナノ構造デバイスを作成するためのレシピ))のフレキシビリティを増すことができる。動作2020において、優先順位を付けられた概念のセットに対する意味ネットワークを設定する。意味ネットワークは、複数のサブネットワークを具備することができ、複数のネットワークの各々は、クラス中の概念間の関係のセットを特徴付けることができると理解されるべきである。一例として、2層の意味ネットワークにおいて、第1のサブネットワークは、データ型から導き出される概念間の関係を表わすことができ、一方で、第2のサブネットワークは、データ型を変更するために利用され得る動作を記述する機能の概念(例えば、プランナオートボット又はユーバボット、概念のオートボット)間の関係を含むことができる。動作2030において、推論するために意味ネットワークにより優先順位のセットを伝搬して、概念のネットワークに関連する知識を生成する。1つの態様において、このような伝搬を利用して、目標適応に対する最適化計画を生成するか、又は特定の目標を遂行するシステムにおける故障を予測することができる。
図21は、アセットの配送についての例示的な方法2100のフローチャートである。個々の自律ツール、グループの自律ツール(例えば、システム1210)、又は複合体の自律ツールシステム(例えば、システム1310)によって、アセットが提供され得る。アセットは、別のやり方でも生成され得ると理解されるべきである。動作2110において、アセットを受け取る。1つの態様において、受け取ったアセットは、1つ以上の自律ツールによって生成された出力アセットから選択されたアセットであり得る。動作2120において、受け取ったアセットを配送するために処理する。既に記載したように、通常、アセットは、アセットの生成に利用される知識に関連する長所(advantage)を保持している。従って、競合企業がアセットをリバースエンジニアリングするのを防ぐようなやり方で、アセットをパッケージ化することができる。アセットの宛先に応じて、アセットに関連するパッケージ化情報をカスタマイズすることができ、アセットを受け取るエンティティが、取引上のパートナ、顧客、或いはアセットを製作している組織の他の支店、部門、又はグループであるかどうかに少なくとも部分的に基づいて、異なるレベルの情報を供給することができると理解されるべきである。アセットと共にパッケージ化される情報のレベルは、特定のポリシー(例えば、ポリシー記憶装置1692に記憶されているポリシー)に従うことができる。更に、データアセット又はコンピュータプログラムアセットの場合に、このようなアセットによって送られる情報の保全性を保持するために、アセットはパッケージ化される一方で、暗号化され得る。更に、適切な配送スケジュールに従う一方で、アセットを配送する処理の一部は、記憶装置(例えば、アセット記憶装置1683)にアセットを保持することを含み得る。1つの態様において、このようなスケジュールは、自律システム(例えば、システム360)によって最適化することができる。自律システムは、ツールシステムをサポートし、ツールシステムは、配送されるアセットを製作又は生成する。
動作2130において、処理されたアセットを配送する。通常、配送は、アセットの特徴及び特性と、アセットの届け先とによって決まる。例えば、工場プラント内で、アセンブリラインでアセット製品を完成させるために、アセットが配送される場合がある。アセンブリラインでは、異なるアセンブリ段階を経た未完成の車(例えば、アセット)が搬送され得る。同様に、食品業界では、調理工場全体で、冷凍食品(例えば、アセット)が配送される。その代わりに又は更に、業界によっては、コスト効率の良い生産市場から利益を得るために、未完成のアセットを海外に配送して完成させてもよい。
動作2140において、例えば、適用される配送規定を順守したアセットの配送を確実にするために、又はアセットの配送状態にアクセスすることによって適切な在庫補充を確実にするために、配送されるアセットを監視する。更に、アセットの配送を監視することにより、紛失と損傷とを軽減し、取引上のパートナ及び顧客との相互作用を促進することができる
ここに記載されている様々な態様又は特徴は、標準のプログラミング及び/又はエンジニアリング技術を使用した製造品、装置、又は方法として実施され得る。ここで使用されている「製造品」との用語は、任意のコンピュータ読出し可能デバイス、キャリア、又は媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含することを意図している。例えば、コンピュータ読出し可能媒体は、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ・・・)と、光ディスク[例えば、コンパクトディスク(compact disk, CD)]、ディジタルバーサタイルディスク(digital versatile disk, DVD)・・・)と、スマートカードと、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ・・・)とを含むことができるが、これらに制限されない。
上述は、請求項に係る内容の例を含んでいる。請求項に係る内容を記載する目的で、コンポーネント又は方法の考えられる組合せを全て記載することは当然に不可能であるが、当業者には、請求項に係る内容の多くの更なる組合せと置換とが可能であることが分かり得る。従って、請求項に係る内容は、添付の請求項の意図及び範囲内に入る変更と、修正と、バリエーションとを全て包含することを意図している。更に、「具備する」との用語が、請求項において移行詞(transitional word)として用いられている場合に解釈されるときの「具備する」との用語と同様に、「含む」との用語が、詳細な説明又は請求項の何れかにおいて使用されている限りにおいて、「含む」との用語は包含することを意図している。