JP2011516067A - Δ4デサチュラーゼ、および多価不飽和脂肪酸の製造におけるその使用 - Google Patents

Δ4デサチュラーゼ、および多価不飽和脂肪酸の製造におけるその使用 Download PDF

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Abstract

本明細書では、all−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸[「DPA」;22:5ω−3]をドコサヘキサエン酸[「DHA」;22:6ω−3]に変換し、ドコサテトラエン酸[「DTA」;22:4ω−6]をall−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸[「DPAn−6」;22:5ω−6]に変換する二次活性がある、Δ4デサチュラーゼについて記載される。本明細書では、Δ4デサチュラーゼをコードする、単離された核酸断片およびこのような断片を含む組み換えコンストラクト、ならびにこのΔ4デサチュラーゼを油性酵母中で使用して、長鎖多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]を製造する方法についても記載される。

Description

関連出願の相互参照
本明細書は、その全体を参照によって本明細書に援用する、目下係属中の2008年4月2日に出願された米国仮特許出願第61/041716号明細書の優先権の利益を主張する。
本発明は生物工学分野にある。より具体的には、本発明はΔ4脂肪酸デサチュラーゼ酵素をコードする核酸断片の同定、長鎖多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]の製造におけるこのデサチュラーゼの使用に関する。
多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]、特にω−3およびω−6PUFAと関連付けられている健康上の利点は、文献で十分に立証されている。大量のω−3およびω−6PUFAを製造する方法を見つけるために、研究者らは彼らの研究を遺伝子の発見、および脂質および脂肪酸をもたらすコードされた生合成経路の理解に向けている。
植物、藻類、真菌、ストラメノパイル、および酵母をはじめとする多様な異なる宿主が、商業的PUFA生産の手段として調査されている。遺伝子操作は、いくつかの宿主の自然の能力が、天然ではリノール酸[「LA」;18:2ω−6]またはα−リノレン酸[「ALA」;18:3ω−3]脂肪酸生成に限定されているものでさえ、実質的に改変されて様々な長鎖ω−3/ω−6PUFAの高レベルの生成をもたらし得ることを実証している。これが自然の能力の結果または組み換え技術の結果のいずれであっても、ドコサペンタエン酸[「DPA」;22:5ω−3]からのドコサヘキサエン酸[「DHA」;22:6ω−3]の生成は、Δ4デサチュラーゼの発現を必要とするかもしれない。より具体的には、これまでに同定されたほとんどのΔ4デサチュラーゼ酵素はDPAをDHAに変換する一次能力を有し、ドコサテトラエン酸[「DTA」;22:4ω−6]をω−6ドコサペンタエン酸[「DPAn−6」;22:5ω−6]に変換する二次活性がある。
DHAの合成においてΔ4デサチュラーゼ酵素が果たす役割に基づいて、様々な起源からこれらの酵素を同定し特性決定するかなりの努力がなされている。多数のΔ4デサチュラーゼが、公開文献および特許文献の双方で開示されている。いくつかの例としては、ミドリムシ(Euglena gracilis)(配列番号13;GenBank登録番号AY278558;非特許文献1);タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506;非特許文献2);スラウストキトリウム・アウレウム(Thraustochytrium aureum)(配列番号14;GenBank登録番号AAN75707);スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種(GenBank登録番号CAD42496;特許文献1);シゾキトリウム・アグレガタム(Schizochytrium aggregatum)(配列番号41;特許文献2);パブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)(配列番号42;GenBank登録番号AAQ98793);およびイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)(配列番号43;GenBank登録番号AAV33631;非特許文献3;特許文献3)が挙げられる。ω−3/ω−6脂肪酸の製造において使用される、多様な宿主生物中での異種性発現に適したΔ4デサチュラーゼをコードする、追加的遺伝子の同定および単離に対する必要性がある。
出願人らは、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からΔ4脂肪酸デサチュラーゼをコードする遺伝子を単離することで、前述の問題を解決した。
米国特許第7,087,432号明細書 国際公開第2002/090493号パンフレット 国際公開第2002/090493号パンフレット
Meyerら、Biochemistry,42(32):9779〜9788(2003年) Tononら、FEBS J.,272(13):3401〜3412(2005年) Pereiraら,Biochem.J.,384(2):357〜366(2004年)
本明細書に記載されるのは、Δ4デサチュラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする新しい遺伝子コンストラクト、および藻類、細菌、酵母、ユーグレナ属、ストラメノパイル、真菌、植物、および動物中において多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]を生成するためのそれらの使用である。
本明細書に記載されるのは、
(a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択される単離されたΔ4デサチュラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列;
(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズする単離されたヌクレオチド配列;および
(c)(a)または(b)と完全に相補的な単離されたヌクレオチド配列
からなる群から選択される単離された核酸分子である。
本明細書に記載されるその他の単離された核酸分子は、配列番号2に記載の配列を有するポリペプチドとの比較でアラインメントのクラスタル(Clustal)W法に基づいて少なくとも68%の同一性を有する、少なくとも514個のアミノ酸からなるΔ4デサチュラーゼ酵素をコードする第1のヌクレオチド配列、または第1のヌクレオチド配列の相補体(complement)を含む第2のヌクレオチド配列を含む。
本明細書に記載されるのはまた、本明細書に記載される核酸分子の遺伝的キメラおよびそれらを含む形質転換宿主細胞である。さらに本明細書に記載されるのは、ドコサヘキサエン酸を生成する方法であり、
a)(i)アラインメントのClustal W法に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとの比較で少なくとも68%の同一性を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする単離されたヌクレオチド分子、および
(ii)all−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(22:5、ω3)源を含む宿主細胞を提供するステップと、
b)Δ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸断片が発現されて、all−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(22:5、ω3)がドコサヘキサエン酸に変換される条件下で、ステップ(a)の宿主細胞を生育させるステップと、
c)ステップ(b)のドコサヘキサエン酸を任意に回収するステップ
を含む。
同様に、
a)(i)アラインメントのClustal W法に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとの比較で少なくとも68%の同一性を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする単離されたヌクレオチド分子;および
(ii)ドコサテトラエン酸源
を含む宿主細胞を提供するステップと、
b)Δ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸断片が発現して、ドコサテトラエン酸がall−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(22:5、ω−6)に変換される条件下で、ステップ(a)の宿主細胞を生育させるステップと;
c)ステップ(b)のall−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(22:5、ω−6)を任意に回収するステップ
を含む、all−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(22:5、ω−6)を生成する方法が提供される。
生物学的寄託
以下の生体物質は、「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約」の条項に従って為された。
Figure 2011516067
本明細書での用法では、「ATCC」とは、ATCC,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209,U.S.A.に所在する、American Type Culture Collection International Depository Authorityを指す。列挙した寄託物は、表示された国際受託機関に少なくとも30年間保存され、それを開示する特許の付与時に一般に公開される。寄託株の利用可能性は、政府の行動によって付与された特許権を失墜させて主題発明を実施する認可とはみなされない。
本発明は、本明細書の一部をなす以下の詳細な説明および添付の配列説明から、より完全に理解できる。
ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路を図示する。この経路の説明を考察する際には図1Bと合わせ見るべきである。 ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路を図示する。この経路の説明を考察する際には図1Aと合わせ見るべきである。 Clustal W分析(DNASTARソフトウェアのMegAlign(商標)プログラム)を使用した、ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号13;GenBank登録番号AY278558)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種FJN−10 Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号38;GenBank登録番号AAZ43257)、およびパブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号42;GenBank登録番号AAQ98793)の間のアラインメントを示す。縮重プライマーは枠線内領域に対応するようにデザインされた。 Clustal W分析(DNASTARソフトウェアのMegAlign(商標)プログラム)を使用した、ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号13;GenBank登録番号AY278558)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種FJN−10 Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号38;GenBank登録番号AAZ43257)、およびパブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号42;GenBank登録番号AAQ98793)の間のアラインメントを示す。縮重プライマーは枠線内領域に対応するようにデザインされた。 Clustal W分析(DNASTARソフトウェアのMegAlign(商標)プログラム)を使用した、ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号13;GenBank登録番号AY278558)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種FJN−10 Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号38;GenBank登録番号AAZ43257)、およびパブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号42;GenBank登録番号AAQ98793)の間のアラインメントを示す。縮重プライマーは枠線内領域に対応するようにデザインされた。 ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子(E1594D4と称する;配列番号1)と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(E1594D4Sと称する;配列番号3)とのDNA配列比較を図示する。 ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子(E1594D4と称する;配列番号1)と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(E1594D4Sと称する;配列番号3)とのDNA配列比較を図示する。 ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子(E1594D4と称する;配列番号1)と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(E1594D4Sと称する;配列番号3)とのDNA配列比較を図示する。 ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子(E1594D4と称する;配列番号1)と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(E1594D4Sと称する;配列番号3)とのDNA配列比較を図示する。 ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子(E1594D4と称する;配列番号1)と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(E1594D4Sと称する;配列番号3)とのDNA配列比較を図示する。 p1594D4Sのプラスミドマップを提供する。 pZKL4−220ESC4のプラスミドマップを提供する。 総脂質画分中に約31%のEPAを産生するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4184U株の開発を図示する。
次の配列は、37C.F.R.1.§821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998年)、およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822に記載の規則に従う。
配列番号1〜9、13〜14、37〜47は、表1に示すような、プライマー、遺伝子またはタンパク質(またはそれらの部分)をコードするORF、あるいはプラスミドである。
Figure 2011516067
配列番号10〜12は、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 cDNAの合成のために使用される、SMART(商標)IVオリゴヌクレオチドプライマー、CDSIII/3’ PCRプライマーおよび5’CDSIII PCRプライマーにそれぞれ対応する。
配列番号15〜17は、縮重オリゴヌクレオチドプライマーD4−F1、D4−F2、およびD4−F3にそれぞれ対応し、それらは全て配列番号18に記載のペプチドをコー
ドする。
配列番号19は、配列番号20に記載のペプチドをコードする縮重オリゴヌクレオチドプライマーD4−F4に対応する。
配列番号21は、配列番号22に記載のペプチドをコードする縮重オリゴヌクレオチドプライマーD4−F5に対応する。
配列番号23〜25は、縮重オリゴヌクレオチドプライマーD4−F6、D4−F7、およびD4−F8にそれぞれ対応し、それらは全て配列番号26に記載のペプチドをコードする。
配列番号27および28は、縮重オリゴヌクレオチドプライマーD4−R1およびD4−R2に対応し、これらはどちらも配列番号29に記載のペプチドをコードする。
配列番号30〜34は、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子の5’コード領域を増幅するのに使用される、プライマー1594D4−5−1、1594D4−5−2、DNR CDS5−2、1594D4−5−4および1594D4−5−5にそれぞれ対応する。
配列番号35および36は、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ遺伝子の3’コード領域を増幅するのに使用される、プライマー1594D4−3−1および1594D4−3−2にそれぞれ対応する。
出願人らは、健康に良いPUFAを生成するための生化学的経路の操作に使用してもよい、新しいユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ酵素、および該酵素をコードする遺伝子を同定した。したがって主題発明には多くの用途がある。
PUFA、またはその誘導体は、食事代用物、または栄養補給剤、特に乳児用調製粉乳として、静脈内栄養補給を受ける患者のために、または栄養失調を予防しまたは治療するために使用できる。代案として、精製されたPUFAおよびその誘導体を料理用油、脂肪またはマーガリン中に組み込んで、消費者が日常の食事の一部として摂取することによって、消費者が所望の食事補給を得られるようにしてもよい。さらに、PUFAはまた、乳児用調製粉乳、栄養補給剤またはその他の食品中に組み込んでもよく、抗炎症薬またはコレステロール低下剤としての用途があるかもしれない。場合により組成物は、ヒトまたは動物のいずれかのため製薬用途に使用してもよい。
定義
本開示では、いくつかの用語および略語を使用する。以下の定義が提供される。
「読み取り枠」はORFと略記される。
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略記される。
「米国微生物系統保存機関」はATCCと略記される。
「多価不飽和脂肪酸」はPUFAと略記される。
「トリアシルグリセロール」はTAGと略記される。
「総脂肪酸」は「TFA」と略記される。
「乾燥細胞重量」は「DCW」と略記される。
「発明」または「本発明」という用語は、本明細書での用法では限定を意図せず、特許請求の範囲で定義されるかまたは本明細書に記載される本発明のいずれにも全般的に当てはまる。
「脂肪酸」という用語は、約C12〜C22の鎖長の異なる長鎖脂肪酸(アルカン酸)を指すが、より長いおよびより短い鎖長の酸の双方が知られている。最も多数を占める鎖長はC16〜C22の間である。脂肪酸の構造は簡易表記体系「X:Y」によって表され、Xは特定の脂肪酸中の炭素[「C」]原子総数であり、Yは二重結合の数である。「飽和脂肪酸」対「不飽和脂肪酸」、「一不飽和脂肪酸」対「多価不飽和脂肪酸」[「PUFA」]、および「ω−6脂肪酸」[「ω−6」または「n−6」]対「ω−3脂肪酸」[「ω−3」または「n−3」]の間の区別についてさらに詳しくは、米国特許第7,238,482号明細書に記載される。
本明細書でPUFAを記載するのに使用される命名法を表2に示す。「略記法」と題された欄ではω基準系が使用されて、炭素数、二重結合数、およびこの目的では1番とされるω炭素から数えたω炭素に最も近い二重結合の位置を示す。表の残部はω−3およびω−6脂肪酸およびそれらの前駆物質の一般名、明細書全体を通じて使用される略語、および各化合物の化学名を要約する。
Figure 2011516067
表2に列挙されるω−3/ω−6PUFAは、本明細書に記載される方法を使用すると油性酵母の油画分中に蓄積される可能性が最も高いが、この一覧は制限的または網羅的と見なすべきではない。
細胞の「総脂質画分」という用語は、本明細書では細胞の全てのエステル化脂肪酸を指す。トリアシルグリセロール[「油」]画分、ホスファチジルコリン画分、およびホスファチジルエタノールアミン画分をはじめとする、総脂質画分内の様々な下位画分が単離できるが、これは決して全ての下位画分を包含するものではない。
「トリアシルグリセロール」[「TAG」]および「油」という用語は同義であり、グリセロール分子にエステル化された3つの脂肪酸アシル残基から構成される中性脂質を指す。TAGは、長鎖PUFA、ならびにより短い飽和および不飽和脂肪酸、およびより長鎖の飽和脂肪酸を含有できる。細胞のTAG画分はまた「油画分」とも称され、「油生合成」は総称的に細胞内のTAG合成を指す。油またはTAG画分は総脂質画分の下位画分であるが、それはまた油性生物中において、乾燥細胞重量の%としての細胞中の総脂肪酸の重量として測定される、総脂質含量の主要部分も構成する[下記参照]。油[「TAG」]画分中の脂肪酸組成および総脂質画分の脂肪酸組成は、一般に類似している。したが
って総脂質画分中のPUFA濃度の増大または減少は、油[「TAG」]画分中のPUFA濃度の増大または減少に対応し、逆もまた然りである。
「総脂肪酸」[「TFA」]という用語は、本明細書では所定のサンプル中において、(当該技術分野で知られているような)塩基エステル交換法によって脂肪酸メチルエステル[「FAME」]に誘導体化できる全ての細胞脂肪酸の和を指し、それは例えば総脂質画分または油画分であってもよい。したがって総脂肪酸は、ホスファチジルコリン画分、ホスファチジルエタノールアミン画分、およびジアシルグリセロールとモノアシルグリセロールとトリアシルグリセロール[「TAGまたは油」]画分をはじめとする、中性および極性脂質画分からの脂肪酸を含むが、遊離脂肪酸は含まない。
細胞の「総脂質含量」という用語は、乾燥細胞重量[「DCW」]の%としてのTFAの測定値である。したがって総脂質含量[「TFA%DCW」]は、例えば100ミリグラムのDCWあたりの総脂肪酸のミリグラムに等しい。
一般に脂肪酸濃度は、本明細書では、例えば100ミリグラムのTFAあたりの所定の脂肪酸のミリグラムなどのTFA[「%TFA」]の重量%として表される。本開示中で特に断りのない限り、総脂質に対する所定の脂肪酸の%への言及は、%TFAとしての脂肪酸濃度に等しく、例えば総脂質の%DHAは、DHA%TFAに等しい。
場合によっては、細胞中の所定の脂肪酸の含量をその乾燥細胞重量の%[「%DCW」]として表すことが有用である。したがって例えばドコサヘキサエン酸%DCWは、次式に従って求められる。
(ドコサヘキサエン酸%TFA)(TFA%DCW)]/100
「脂質プロフィール」および「脂質組成」という用語は同義であり、総脂質画分中または油[「TAG」]画分中などの特定の脂質画分に含有される個々の脂肪酸の量を指し、量はTFAの%として表される。混合物中に存在する個々の各脂肪酸の和は、100になるはずである。
代謝経路または生合成経路は、生化学的意味において、細胞内で起きて酵素によって触媒され、細胞によって使用されまたは保存される代謝産物の形成、または「流束発生ステップ」と呼ばれる別の代謝経路の開始のどちらかを達成する一連の化学反応と見なすことができる。これらの経路の多くは複雑であり、開始物質を所望の正確な化学構造を有する生成物に成形する段階を追った改変を伴う。
「PUFA生合成経路」という用語は、オレイン酸をLA、EDA、GLA、DGLA、ARA、DRA、DTA、およびDPAn−6などのω−6脂肪酸に、そしてALA、STA、ETrA、ETA、EPA、DPA、およびDHAなどのω−3脂肪酸に変換する代謝過程を指す。この過程については文献に詳細に記載されている。例えば国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい。簡単に述べるとこの過程は、小胞体膜中に存在する「PUFA生合成経路酵素」と称される一連の特別な延長および不飽和化酵素による、炭素原子の付加を通じた炭素鎖の延長、および二重結合の付加を通じた延長分子の不飽和化を伴う。より具体的には「PUFA生合成経路酵素」とは、Δ9エロンガーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼ、C20/22エロンガーゼΔ4デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼおよび/またはΔ17デサチュラーゼをはじめとする、PUFAの生合成と関連付けられている酵素(および前記酵素をコードする遺伝子)のいずれかを指す。
「ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」という用語は、適切な条件下で発現すると、ω−3およびω−6脂肪酸の片方または双方の生成を触媒する酵素をコードする一組の遺伝子を指す。典型的にω−3/ω−6脂肪酸生合成経路に関与する遺伝子は、PUFA生合成経路酵素をコードする。代表的な経路を図1に示し、様々な中間体を経由するミリスチン酸のDHAへの変換を提供して、ω−3およびω−6脂肪酸の双方が共通の原料からどのように生成できるかを実証する。経路は自然に2つの部分に別れ、1つの部分はω−3脂肪酸、別の部分はω−6脂肪酸のみを発生させる。ω−3脂肪酸のみを発生させる部分のみを本明細書ではω−3脂肪酸生合成経路と称する一方、ω−6脂肪酸のみを発生させる部分は本明細書ではω−6脂肪酸生合成経路と称する。
「機能性」という用語は、本明細書ではω−3/ω−6脂肪酸生合成経路に関して、経路中の遺伝子のいくつか(または全て)が、活性酵素を発現し、生体内触媒作用または基質変換をもたらすことを意味する。いくつかの脂肪酸生成物は、この経路の遺伝子のサブセットの発現のみを必要とするので、「ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」または「機能性ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路」は、上の段落に列挙される遺伝子の全てが必要とされることを暗示しないものとする。
「ω6デサチュラーゼ/ω6エロンガーゼ経路」という用語は、最低限少なくとも1つのω6デサチュラーゼおよび少なくとも1つのC18/20エロンガーゼを含み、それによってGLAおよび/またはSTAを中間体脂肪酸として、LAおよびALAからそれぞれDGLAおよび/またはETAを生合成できるようにするPUFA生合成経路を指す。その他のデサチュラーゼおよびエロンガーゼが発現すれば、ARA、DTA、DPAn−6、EPA、DPA、およびDHAもまた合成されるかもしれない。
「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」という用語は、最低限少なくとも1つのΔ9エロンガーゼおよび少なくとも1つのΔ8デサチュラーゼを含み、それによってEDAおよび/またはETrAを中間体脂肪酸として、LAおよびALAからのそれぞれDGLAおよび/またはETAの生合成を可能にするPUFA生合成経路を指す。その他のデサチュラーゼおよびエロンガーゼが発現すれば、ARA、EPA、DPA、およびDHAもまた合成されるかもしれない。
「中間体脂肪酸」という用語は、脂肪酸代謝経路中でその他の代謝経路酵素の作用によって意図される生成物脂肪酸にさらに変換され得る、この経路中で生成されるあらゆる脂肪酸を指す。例えばΔ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路を使用してEPAを生成する場合、EDA、ETrA、DGLA、ETA、およびARAが生成でき、これらの脂肪酸はその他の代謝経路酵素の作用を通じてEPAにさらに変換され得るので「中間体脂肪酸」と見なされる。
「デサチュラーゼ」という用語は、隣接する炭素の1つから水素を取り去り、それによってそれらの間に二重結合を導入することによって、脂肪酸中の隣接する炭素を不飽和化できるポリペプチドを指す。不飽和化からは、対象の脂肪酸または前駆物質が生じる。特定の脂肪酸に言及するために明細書全体を通じてオメガ基準系を使用したにもかかわらず、デルタ系を使用して基質のカルボキシル末端から数えることによってデサチュラーゼ活性を示す方が、より都合がよい。本明細書で特に興味深いのは、基質脂肪酸DPAからDHAへの変換および/またはまたは基質脂肪酸DTAからDPAn−6への変換を触媒するΔ4デサチュラーゼである。その他のデサチュラーゼとしては、1)分子のカルボキシル末端から数えて17番目および18番目の炭素原子間で脂肪酸を不飽和化し、例えば基質脂肪酸ARAからEPAへの変換および/または基質脂肪酸DGLAからETAへの変換を触媒するΔ17デサチュラーゼ;2)基質脂肪酸LAからGLAへの変換および/または基質脂肪酸ALAからSTAへの変換を触媒するΔ6デサチュラーゼ;3)基質脂肪酸オレイン酸からLAへの変換を触媒するΔ12デサチュラーゼ;4)基質脂肪酸LAからALAへの変換および/または基質脂肪酸GLAからSTAへの変換を触媒するΔ15デサチュラーゼ;5)基質脂肪酸DGLAからARAへの変換および/または基質脂肪酸ETAからEPAへの変換を触媒するΔ5デサチュラーゼ;6)基質脂肪酸EDAからDGLAへの変換および/または基質脂肪酸ETrAからETAへの変換を触媒するΔ8デサチュラーゼ;および7)基質脂肪酸パルミチン酸からパルミトレイン酸(16:1)への変換および/または基質脂肪酸ステアリン酸からオレイン酸への変換を触媒するΔ9デサチュラーゼが挙げられる。当該技術分野ではΔ15およびΔ17デサチュラーゼはまた、ω−6脂肪酸をそれらのω−3対応物に変換するそれらの能力(例えばそれぞれLAからALAへおよびARAからEPAへの変換)に基づいて、時折「オメガ−3デサチュラーゼ」、「w−3デサチュラーゼ」、および/または「ω−3デサチュラーゼ」とも称される。脂肪酸デサチュラーゼの遺伝子で適切な宿主を形質転換して宿主脂肪酸プロフィールに対するその効果を判定することよって、特定の脂肪酸デサチュラーゼの特異性を経験的に判定することが望ましいかもしれない。
「E1594D4」という用語は、本明細書の配列番号1によってコードされる、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594から単離されたΔ4デサチュラーゼ酵素(配列番号2)を指す。同様に「E1594D4S」という用語は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594に由来する合成Δ4デサチュラーゼを指す(すなわち配列番号3および4)。
「変換効率」および「%基質変換」という用語は、それによってデサチュラーゼなどの特定の酵素が基質を生成物に変換できる効率を指す。変換効率は、次式に従って測定される。
([生成物]/[基質+生成物])100
式中、「生成物」は即時生成物および経路中のそれから誘導される全生成物を含む。
「エロンガーゼ」という用語は、脂肪酸炭素鎖を延長して、エロンガーゼが作用する脂肪酸基質よりも炭素2個分だけ長い酸を生成できるポリペプチドを指す。この延長過程は、国際公開第2005/047480号パンフレットに記載されるように、脂肪酸シンターゼと結びついた多段階機序で起きる。エロンガーゼ系によって触媒される反応の例は、GLAからDGLAへ、ARAからDTAへ、STAからETAへ、およびEPAからDPAへの変換である。一般にエロンガーゼの基質選択性はいくらか広いが、鎖長と不飽和の程度およびタイプとの双方によって差別される。例えばC14/16エロンガーゼは、例えばミリスチン酸などのC14基質を利用し;C16/18エロンガーゼは、例えばパルミチン酸などのC16基質を利用し;C18/20エロンガーゼ[Δ6エロンガーゼとしてもまた知られており用語は同義的に使用できる]は、例えばGLA、STAなどのC18基質を利用し;C20/22エロンガーゼ[C20エロンガーゼとしてもまた知られており用語は同義的に使用できる]は、例えばARA、EPAなどのC20基質を利用する。同様にしてΔ9エロンガーゼは、LAおよびALAからEDAおよびETrAへの各変換を触媒できる。
いくつかのエロンガーゼは特異性が広く、したがって単一酵素がいくつかのエロンガーゼ反応を触媒し得ることに留意することが重要である。したがって例えば単一酵素が、C16/18エロンガーゼおよびC18/20エロンガーゼの双方として機能してもよい。脂肪酸エロンガーゼの遺伝子で適切な宿主を形質転換して宿主脂肪酸プロフィールに対するその効果を判定することによって、特定の脂肪酸エロンガーゼの特異性を経験的に判定することが望ましいかもしれない。
「油性」という用語は、それらのエネルギー源を油の形態で保存する傾向がある生物を指す(Weete、「Fungal Lipid Biochemistry」、第2版、Plenum、1980年)。「油性酵母菌」という用語は、TAGである油を生成できる酵母菌として分類される微生物を指す。一般に油性微生物の細胞油またはTAG含量はS字形曲線に従い、対数増殖後期または定常増殖初期において脂質濃度が最大に達するまで増大し、次に定常増殖後期および死滅期において徐々に減少する(YongmanitchaiおよびWard、Appl.Environ.Microbiol.57:419〜25(1991年))。油性微生物が、それらの乾燥細胞重量の約25%以上を油として蓄積することは珍しくない。油性酵母の例としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)属が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「ミドリムシ綱(Euglenophyceae)」という用語は、淡水、海洋、土壌、および寄生環境内で生活する一群の単細胞の無色または光合成鞭毛虫[「ユーグレナ属」]を指す。このクラスは孤立単細胞によって特徴付けられ、大部分は自由遊泳性であって2本の鞭毛を有し、その1本は非出現性(nonemergent)であってもよく、貯胞として知られる前陥入からから立ち上がる。光合成ユーグレナ属は、微小ディスクから拡張プレートまたはリボンまで様々である、単数から多数の葉緑体を含有する。無色のユーグレナ属は、栄養素同化作用を浸透栄養または摂食栄養に依存する。約1000種が記載されており、約40属および6目に分類される。ミドリムシ綱(Euglenophyceae)の例としては、ユーグレナ(Euglena)、ユートレプチエラ(Eutreptiella)、およびテトルエトレプチア(Tetruetreptia)属が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書での用法では「生物由来資源」という用語は、具体的には商業的に意味のある量でPUFAを産生する組み換え生産宿主発酵からの廃酵母または使用済み酵母細胞物質を指し、好ましい生産宿主は油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の組み換え株である。生物由来資源は、ホールセル、ホールセル溶解産物、均質化細胞、部分的加水分解細胞物質、および/または例えば微生物産生油などの部分的精製細胞物質の形態であってもよい。
本明細書の用法では、「単離された核酸断片」および「単離された核酸分子」という用語は同義的に使用されて、一本鎖または二本鎖で、場合により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有するRNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAポリマーの形態の単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントを含んでなってもよい。
核酸断片は、適切な温度および溶液イオン強度条件下で、核酸断片の一本鎖形態がその他の核酸断片とアニールできる場合、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸断片と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件については良く知られており、Sambrook,J.、Fritsch,E.F.およびManiatis,T.「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989年)で例証される。
温度およびイオン強度条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件を調節して、中程度に類似した断片(遠縁生物からの相同的配列など)や類似性の高い断片(近縁関係にある生物からの機能性酵素を複製する遺伝子など)をスクリーンできる。ハイブリダイゼーション後洗浄は、ストリンジェンシー条件を決定する。好ましい条件の1つの組は、6×SSC、0.5%SDSで室温を15分間で開始して、次に2×SSC、0.5%SDSで45℃を30分間繰り返して、次に0.2×SSC、0.5%SDSで50℃を30分間を2回繰り返す一連の洗浄を使用する。ストリンジェントな条件のより好ましい組は、0.2×SSC、0.5%SDS中での最後の2回の30分間の洗浄温度が60℃に上昇されること以外は、洗浄が上と同一である、より高い温度を使用する。高度にストリンジェントな条件の別の好ましい組は、0.1×SSC、0.1%SDS中で65℃の最後の2回の洗浄を使用する。ストリンジェントな条件の追加的な組としては、例えば0.1×SSC、0.1%SDSで65℃のハイブリダイゼーション、および2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
ハイブリダイゼーションは2つの核酸が相補的配列を含有することを要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で塩基間のミスマッチも可能である。核酸がハイブリッド形成するための適切なストリンジェンシーは、当該技術分野で良く知られている変数である核酸の長さおよび相補性の程度に左右される。類似性の程度または2つのヌクレオチド配列間の相同性が大きいほど、これらの配列を有する核酸ハイブリッドのTm値はより大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションのより高いTmに対応して、相対安定性は以下の順で低下する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100クレオチドを超えるハイブリッドのためにTmを計算する式が導かれている(Sambrookら、前出、9.50〜9.51を参照されたい)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションのためには、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチド長がその特異性を決定する(Sambrookら、前出、11.7〜11.8を参照されたい)。一実施態様では、ハイブリダイズ可能な核酸長は、少なくとも約10ヌクレオチドである。好ましくはハイブリダイズ可能な核酸の最小長さは少なくとも約15ヌクレオチドであり;より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチドであり;最も好ましくは長さは少なくとも約30ヌクレオチドである。さらに当業者は、プローブ長などの要因次第で、必要に応じて温度および洗浄液塩濃度を調節してもよいことを認識するであろう。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「かなりの部分」とは、当業者による配列の手動評価によって、あるいはBLAST(「基礎的局在性配列検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool」、Altschul,S.F.ら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1993年))などのアルゴリズムを使用したコンピュータ自動化アラインメントおよび同定によって、遺伝子またはポリペプチドの推定上の同定を得るのに十分なポリペプチドまたは遺伝子のヌクレオチド配列のアミノ酸配列を含む部分である。一般に推定的にポリペプチドまたは核酸配列が既知のタンパク質または遺伝子に相同的であると同定するためには、10個以上の隣接するアミノ酸または30個以上のヌクレオチド配列が必要である。さらにヌクレオチド配列に関して、配列依存遺伝子同定法(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離(例えばバクテリアのコロニーまたはバクテリオファージプラークの原位置ハイブリダイゼーション)において、20〜30個の隣接するヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用しても良い。さらにプライマーを含む特定の核酸断片を得るために、塩基12〜15個の短いオリゴヌクレオチドを増幅プライマーとしてPCRで使用しても良い。したがってヌクレオチド配列の「かなりの部分」は、配列を含む核酸断片を特異的に同定、および/または単離できるようにする十分な配列を含む。
本明細書の開示は、特定のユーグレナ属のタンパク質をコードする完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。明細書で報告される配列の便益を有する当業者は、今や開示される配列の全てまたは相当部分を当業者に既知の目的のために使用してもよい。したがって添付の配列一覧で報告される完全な配列、ならびに上で定義されるこれらの配列の相当部分は、本開示に包含される。
「相補的」という用語は、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基間の関係について述べるために使用される。例えばDNAについて、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって添付の配列一覧で報告される完全な配列に相補的な単離された核酸断片、ならびにこれらと実質的に類似した核酸配列は、本開示に包含される。
「相同性」、および「相同的」という用語は、本明細書では区別なく使用される。これらは、1個もしくはそれ以上のヌクレオチド塩基の変化が、遺伝子発現を仲介するまたは特定の表現型を生成する核酸断片の能力に影響しない核酸断片を指す。これらの用語はまた、最初の未変性断片と比べて、得られる核酸断片の機能特性を実質的に変化させない、1個もしくはそれ以上のヌクレオチドの欠失または挿入などの本明細書に記載されている核酸断片の変更も指す。したがって当業者は、本発明が特定の例示的配列以上のものを包含することを理解するであろうと解釈される。
さらに当業者は、本発明によって包含される相同的な核酸配列が、0.5×SSC、0.1%SDS、60℃のような中程度にストリンジェントな条件下において、本明細書に例示されている配列と、または機能的にそれらと同等物である本明細書に記載されている本ヌクレオチド配列のあらゆる部分とハイブリダイズする、それらの能力によってもまた定義されることを認識する。
「コドン縮重」とは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響しないヌクレオチド配列の変動を可能にする遺伝子コードの性質を指す。したがって本明細書に記載されるのは、配列番号2および/または配列番号4に記載されるユーグレナ属のポリペプチドをコードするアミノ酸配列の全てまたは相当部分をコードする、あらゆる核酸断片である。当業者は、特定のアミノ酸を特定化するヌクレオチドコドンの使用における、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」についてよく知っている。したがって宿主細胞中の改善された発現のために遺伝子を合成する場合、そのコドン使用頻度が、宿主細胞の好むコドン使用頻度に近くなるように遺伝子をデザインすることが望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者に公知の手順を使用して化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位からアセンブルできる。これらのオリゴヌクレオチド構成単位をアニールし次にライゲーションして遺伝子セグメントを形成し、次にそれを酵素的にアセンブルして遺伝子全体を構築する。したがって遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために個別に調整し、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることができる。当業者は、コドン利用が宿主によって好まれるコドンに偏っている場合の遺伝子発現成功の可能性を理解する。好ましいコドンの判定は、配列情報が利用できる宿主細胞由来の遺伝子の調査に基づくことができる。例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のコドン使用頻度プロフィールは、米国特許第7,125,672号明細書で提供される。
「遺伝子」とは特定のタンパク質を発現する核酸断片を指し、それはコード領域のみを指してもよく、またはコード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)制御配列を含んでもよい。「天然遺伝子」とは、自然界にそれ自体の制御配列と共に見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界に共に見られない制御およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる起源由来の制御配列およびコード配列、あるいは同一起源由来であるが、自然界に見られるのとは異なる様式で配列される制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「内在性遺伝子」とは、生物ゲノム中のその天然位置にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子とは、遺伝子移入によって宿主生物に導入された遺伝子を指す。外来性遺伝子は、非天然生物中に挿入された天然遺伝子、天然宿主内の新しい位置に導入された天然遺伝子、あるいはキメラ遺伝子を含んでなることができる。「導入遺伝子」とは、形質転換によってゲノム中に導入された遺伝子である。「コドン最適化遺伝子」とは、そのコドン使用頻度が宿主細胞の好むコドン使用頻度を模倣するようにデザインされた遺伝子である。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適した制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、配列内、または下流(3’非コード配列)に位置して(またはそのイントロン内に位置して)、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、5’非翻訳リーダー配列(例えば転写開始部位と翻訳開始コドンの間)、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造を含んでもよい。
「プロモーター」とは、コード配列または機能性RNAの発現を調節できるDNA配列を指す。一般にコード配列はプロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターはその全体が天然遺伝子に由来しても良く、あるいは自然界に見られる異なるプロモーター由来の異なる要素からなっても良く、あるいは合成DNAセグメントを含むことさえも良い。異なるプロモーターが、異なる組織または細胞タイプ中で、あるいは異なる発育段階で、あるいは異なる環境または生理学的条件に呼応して、遺伝子の発現を導いても良いことが当業者には理解される。ほとんどの場合にほとんどの細胞タイプ中で遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構造プロモーター」と称される。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が、同一プロモーター活性を有してもよいこともさらに認識される。
「3’非翻訳配列」および「転写ターミネーター」という用語は、コード配列下流に位置するDNA配列を指す。これには、mRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響できる調節シグナルをコードするポリアデニル化認識配列、およびその他の配列が含まれる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響することで特徴づけられる。3’領域は、関連したコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響できる。
「RNA転写物」とは、RNAポリメラーゼが触媒するDNA配列転写から得られる生成物を指す。RNA転写物がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写物と称され、あるいはそれは一次転写物の転写後プロセッシング由来のRNA配列であってもよく、成熟RNAと称される。「メッセンジャーRNA」または「mRNA」とは、イントロンがなく、細胞によってタンパク質に翻訳されることができるRNAを指す。「cDNA」とは、mRNAに対して相補的であり、それに由来する二重鎖DNAを指す。「センスRNA」とは、mRNAを含み、細胞によってタンパク質に翻訳されることができるRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」とは、標的一次転写物またはmRNAの全部または一部に相補的であり、標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写物を指す(米国特許第5,170,065号明細書、国際公開第99/28508号パンフレット)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写物のあらゆる部分、すなわち5’非コード配列、3’非コード配列、またはコード配列にあっても良い。「機能性RNA」とは、翻訳されないがそれでもなお細胞プロセスに影響するアンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはその他のRNAを指す。
「作動的に結合した」という用語は、1つの機能が他方の機能による影響を受けるような、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。例えばプロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼすことができる場合、それはそのコード配列と作動的に結合する、すなわちコード配列がプロモーターの転写調節下にある。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で制御配列に作動的に結合できる。
「発現」という用語は、本明細書での用法では、核酸断片由来のセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写と安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳も指す。
「形質転換」とは、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす核酸分子の宿主生物中への転移を指す。核酸分子は、例えば自律的に複製するプラスミドであってもよく、またはそれは宿主生物のゲノムに組み込まれてもよい。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組み換え」または「形質転換」生物と称される。
「プラスミド」および「ベクター」という用語は、細胞の中心的代謝の一部ではない遺伝子を運ぶことが多く、通常環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、あらゆる供給源に由来する一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの配列、ゲノム一体化配列、直鎖または環状のファージまたはヌクレオチド配列を自律的に複製するかもしれず、そこではいくつかのヌクレオチド配列が、選択された遺伝子産物のために発現カセットを細胞中に導入することができる独自の構成に、結合または組み換えされる。
「発現カセット」という用語は、選択された遺伝子産物の発現に必要とされる、選択された遺伝子のコード配列、およびコード配列に先行する制御配列(5’非コード配列)およびコード配列に続く制御配列(3’非コード配列)を含んでなるDNA断片を指す。したがって発現カセットは、典型的に1)プロモーター配列、2)コード配列、すなわち読み取り枠[「ORF」]、および3)3’非翻訳領域、すなわち真核生物中では通常ポリアデニル化部位を含有するターミネーターから構成される。発現カセットは通常ベクター内に含まれ、クローニングおよび形質転換を容易にする。各宿主に対する正しい制御配列が使用される限りは、異なる発現カセットを細菌、酵母、植物、および哺乳類細胞をはじめとする、異なる生物に形質転換することができる。
「%同一性」という用語は、配列を比較して判定される2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係であると言及される。「%同一性」は、場合によってはこのような比較配列間の整合パーセンテージによって判定される、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「%同一性」および「%類似性」は、1.)「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)Lesk,A.M.編)Oxford University、NY(1988年)、2.)「Biocomputing:Informatics and Genome Projects」(Smith,D.W.編)Academic、NY(1993年)、3.)「Computer Analysis of Sequence Data」、第一部、(Griffin,A.M.、およびGriffin,H.G.編)Humania、NJ(1994年)、4.)「Sequence Analysis in Molecular Biology」von Heinje,G.編、Academic、NY(1987年)、5.)「Sequence Analysis Primer」(Gribskov,M.およびDevereux,J.編)Stockton、NY(1991年)に記載されているものをはじめとするが、これに限定されるものではない公知の方法によって容易に計算できる。
%同一性を判定する好ましい方法は、試験された配列間に最良の一致を与えるようにデザインされている。%同一性および%類似性を判定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラム中で体系化されている。配列アラインメントおよび%同一性の計算は、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.(Madison,WI))のMegAlignTMプログラムを使用して実施されてもよい。配列の多重アラインメントは、「アラインメントのClustal V法」および「アラインメントのClustal W法」をはじめとするアルゴリズムのいくつかの変法を包含し、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.)のMegAlignTMプログラムにある、「Clustalアラインメント法」(HigginsおよびSharp,CABIOS,5:151〜153(1989年);Higgins,D.G.ら、Comput.Appl.Biosci.,8:189〜191(1992年)に記載されている)を使用して実施される。いずれかのClustalプログラムを使用した配列アラインメントの後、プログラムの「配列距離」表を見ることで「%同一性」を得ることができる。
アラインメントのClustal V法を使用する多重アラインメントでは、デフォルト値はGAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に相当する。Clustal V法を使用するタンパク質配列のペアワイズアラインメントおよび%同一性計算のデフォルトパラメーターは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸ではこれらのパラメーターは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4、およびDIAGONALS SAVED=4である。アラインメントのClustal W法を使用する多重アラインメントのデフォルトパラメーターは、GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergent Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUBに相当する。
同一のまたは類似した機能または活性を有するポリペプチドをその他の種から識別するのに、配列%同一性の様々な測定が有用であることは、当業者によって良く理解されている。適切な核酸断片、すなわち本明細書の開示に記載される単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で報告されるアミノ酸配列と少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約75%同一、より好ましくは少なくとも約80%同一であるポリペプチドをコードする。好ましい核酸断片は、本明細書に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%同一のアミノ酸配列をコードする。より好ましい核酸断片は、本明細書に記載のアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列をコードする。最も好ましいのは、本明細書に記載のアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列をコードする核酸断片である。好ましい範囲は上に記載したが、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%などの68%から100%までのあらゆる整数のアミノ酸同一性が、本発明で有用かもしれない。
適切な核酸断片は上の相同性を有するだけでなく、典型的に少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、なおもより好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
「モチーフ」という用語は、進化的に関連したタンパク質の整合配列に沿って、特定の位置で保存されたアミノ酸の組を意味する。その他の位置のアミノ酸が相同的なタンパク質の間で変動できる一方で、特定の位置において高度に保存されたアミノ酸は、タンパク質の構造、安定性、または活性に必須のアミノ酸を示唆する。それらはタンパク質相同体ファミリーの整合配列におけるそれらの高度な保存によって同定されるので、それらを識別子または「シグネチャー」として使用して、新たに配列が判定されたタンパク質が、以前同定されたタンパク質ファミリーに属するかどうかを判定できる。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析のために有用なあらゆるコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販のものでも、あるいは独立して開発されても良い。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、1.)Genetics Computer Group(GCG)(Madison,WI)からのGCGプログラム一式(Wisconsin Package Version 9.0)、2.)BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990年))、および3.)DNASTAR,Inc.(Madison、WI)からのDNASTAR、4.)Gene Codes Corporation(Ann Arbor、MI)からのSequencher、および5.)スミス−ウォーターマン・アルゴリズムを組み入れたFASTAプログラム(W.R.Pearson、Comput.Methods Genome Res.[Proc.Int.Symp.](1994年)、1992年会議、111〜20、編集者:Suhai,Sandor、Plenum、New York,NY)が挙げられるが、これに限定されるものではない。この説明では、配列分析ソフトウェアを分析のために使用する場合、分析結果は特に断りのない限り、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づく。本明細書での用法では、「デフォルト値」とは、最初に初期化されるときにソフトウェアに元からロードされる、あらゆる値またはパラメーターの組を意味することになる。
本明細書で使用される標準リコンビナントDNAおよび分子クローニング技術については技術分野で良く知られており、Sambrook,J.、Fritsch,E.F.、およびManiatis,T.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1989年)(下文においてManiatis);Silhavy,T.J.、Bennan,M.L.およびEnquist,L.W.、「Experiments with Gene Fusions」Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor、NY(1984年);およびAusubel,F.M.ら、「Current Protocols in Molecular Biology」Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience、Hoboken,NJによる出版(1987年)に記載されている。
概説:脂肪酸およびトリアシルグリセロールの微生物生合成
一般に、油性微生物中の脂質蓄積は、増殖培地中に存在する全体的な炭素対窒素比に応えて誘発される。油性微生物中に遊離パルミチン酸(16:0)の新規(de novo)合成をもたらすこのプロセスについては、米国特許第7,238,482号明細書に詳細に記載されている。パルミチン酸は、エロンガーゼおよびデサチュラーゼの作用を通じて形成される、より長鎖の飽和および不飽和脂肪酸誘導体の前駆物質である(図1)。
TAG(脂肪酸の主要な貯蔵単位)は、以下が関与する一連の反応によって形成される。1.)アシルトランスフェラーゼによる1分子のアシル−CoAのグリセロール−3−リン酸塩へのエステル化がリゾホスファチジン酸を生じ、2.)アシルトランスフェラーゼによる第2のアシル−CoA分子のエステル化が、一般にホスファチジン酸として同定される1,2−ジアシルグリセロールリン酸塩を生じ、3.)ホスファチジン酸ホスファターゼによるリン酸塩の除去が1,2−ジアシルグリセロール[「DAG」]を生じ、4.)アシルトランスフェラーゼの作用による第3の脂肪酸の付加がTAGを形成する。
飽和および不飽和脂肪酸および短鎖および長鎖脂肪酸をはじめとする、幅広い脂肪酸をTAGに組み込むことができる。
オメガ脂肪酸の生合成
オレイン酸がω−3/ω−6脂肪酸に変換される代謝プロセスは、炭素原子付加を通じた炭素鎖の延長、および二重結合添加を通じた分子の不飽和化を伴う。これは、小胞体膜内に存在する一連の特別な不飽和化酵素および延長酵素を必要とする。しかし図1に示され下に記載されるように、特定ω−3/ω−6脂肪酸生成のための複数の代案の経路があることが多い。
具体的には、図1は下述の経路を描写する。全ての経路は、Δ12デサチュラーゼによるオレイン酸から第1のω−6脂肪酸であるリノール酸[「LA」]への最初の変換を要する。次に「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」および基質としてLAを使用して、長鎖ω−6およびω−3脂肪酸が次のようにして形成される。1)LAがΔ9エロンガーゼによってエイコサジエン酸[「EDA」]に変換され;2)EDAがΔ8デサチュラーゼによってジホモ−γ−リノレン酸[「DGLA」]に変換され;3)DGLAがΔ5デサチュラーゼによってアラキドン酸[「ARA」]に変換され;4)ARAがC20/22エロンガーゼによってドコサテトラエン酸[「DTA」]に変換され;5)DTAがΔ4デサチュラーゼによってドコサペンタエン酸[「DPAn−6」]に変換される。代案としては「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」は、次のように基質としてα−リノレン酸[「ALA」]を使用して、長鎖ω−3脂肪酸を生成できる。1)LAがΔ15デサチュラーゼによって第1のω−3脂肪酸であるALAに変換され;2)ALAがΔ9エロンガーゼによってエイコサトリエン酸[「ETrA」]に変換され;3)ETrAがΔ8デサチュラーゼによってエイコサテトラエン酸[「ETA」]に変換され;4)ETAがΔ5デサチュラーゼによってエイコサペンタエン酸[「EPA」]に変換され;5)EPAがC20/22エロンガーゼによってドコサペンタエン酸[「DPA」]に変換され;6)DPAがΔ4デサチュラーゼによってドコサヘキサエン酸[「DHA」]に変換される。任意にω−6脂肪酸は、ω−3脂肪酸に変換されてもよい。例えばETAおよびEPAは、Δ17デサチュラーゼ活性によってそれぞれDGLAおよびARAから生成する。
ω−3/ω−6脂肪酸生合成の代案の経路は、Δ6デサチュラーゼおよびC18/20エロンガーゼ、すなわち「Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路」を利用する。より具体的にはLAおよびALAは、Δ6デサチュラーゼによってそれぞれγ−リノレン酸[「GLA」]およびステアリドン酸[「STA」]に変換されてもよく、次にaC18/20エロンガーゼがGLAをDGLAにおよび/またはSTAをETAに変換する。引き続いて下流PUFAが、上述のように形成される。
ω−3/ω−6脂肪酸生成のために特定の宿主生物中で発現されることが必要な特定の機能性は、宿主細胞(およびその天然PUFAプロフィールおよび/またはデサチュラーゼ/エロンガーゼプロフィール)、基質可用性、および所望の最終産物に左右されるであろうことが考察される。当業者は、ω−3/ω−6脂肪酸生合成のために所望される各酵素をコードする様々な遺伝子候補を同定できるであろう。有用なデサチュラーゼおよびエロンガーゼ配列は、細菌、藻類、真菌、卵菌類、酵母、ストラメノパイル、植物、動物などの天然原料から単離されるあらゆる起源に由来してもよく、半合成経路または新規合成を通じて生成される。宿主に導入されるデサチュラーゼおよびエロンガーゼ遺伝子の特定の起源は重要でないが、デサチュラーゼまたはエロンガーゼ活性を有する特定のポリペプチドを選択する上での考察としては、1)ポリペプチドの基質特異性および活性;2)ポリペプチドまたはその構成要素が律速酵素であるかどうか;3)デサチュラーゼまたはエロンガーゼが所望のPUFAの合成に必須であるかどうか;4)ポリペプチドが必要とする補助因子;および/または5)ポリペプチドがその生成後にキナーゼまたはプレニル基転移酵素などによって改変されるかどうかが挙げられる。発現されるポリペプチドは、好ましくは宿主細胞中のその位置の生化学的環境に適したパラメーターを有する。米国特許第7,238,482号明細書を参照されたい。
特定の各デサチュラーゼおよび/またはエロンガーゼの変換効率を考慮することもまた有用かもしれない。より具体的には各酵素は、基質を生成物に変換するのに100%効率では滅多に機能しないので、宿主細胞中に生じる未精製油の最終脂質プロフィールは、典型的に所望のω−3/ω−6脂肪酸、ならびに様々な上流中間PUFAからなる様々なPUFAの混合物である。したがって各酵素の変換効率もまた、所望の脂肪酸の生合成を最適化する際に考慮すべき変数である。
上の各考察を念頭において、例えばGenBank、特許文献、およびPUFA産生能力を有する生物の実験解析などの公的に入手可能な文献に従って、適切なデサチュラーゼおよびエロンガーゼ活性(例えばΔ6デサチュラーゼ、C18/20エロンガーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、Δ9エロンガーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ4デサチュラーゼ、およびC20/22エロンガーゼ)を有する遺伝子候補を同定できる。これらの遺伝子は特定の宿主生物へ導入して、生物のPUFA合成を可能にし、または増強するのに適するであろう。
新しいユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 Δ4デサチュラーゼ配列の同定
本開示は、Δ4デサチュラーゼ(配列番号2)をコードする、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594から単離されたヌクレオチド配列(配列番号1)に関する。この配列を本明細書では「E1594D4」と称する。
E1594D4のヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列と公共データベースとの比較からは、アラインメントのClustal W法を使用して、本明細書で報告されるE1594D4アミノ酸配列と最も類似した既知の配列が、514個のアミノ酸長にわたり約68%同一であることが明らかにされる(HigginsおよびSharp,CABIOS,5:151〜153(1989年);Higgins,D.G.ら、Comput.Appl.Biosci.,8:189〜191(1992年)に記載される;LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.)のMegAlign(商標)v6.1プログラムにある)。より好ましいアミノ酸断片は本明細書の配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、少なくとも約80%〜90%同一の配列が特に適切であり、少なくとも約90%〜95%同一の配列が最も好ましい。同様に、ORFに対応する好ましいE1594D4をコードする核酸配列は活性タンパク質をコードするものであり、それは本明細書で報告されるE1594D4の核酸配列と少なくとも約70%〜80%同一であり、少なくとも約80%〜90%同一の配列が特に適切であり、少なくとも約90%〜95%同一の配列が最も好ましい。
代案の実施態様では、特定の宿主生物中における発現のためにE1594D4デサチュラーゼ配列をコドン最適化できる。当該技術分野で良く知られているように、宿主が好むコドンの使用はポリペプチドをコードする外来遺伝子の発現を実質的に増強できることから、これは代案の宿主中で酵素発現をさらに最適化する有用な手段たり得る。一般には関心のある特定の宿主種中で、好ましくは最大量で発現されるタンパク質中のコドン使用頻度を調べ、最高頻度で使用されるコドンを判定することで、宿主が好むコドンを判定できる。次に宿主種中で好まれるコドンを使用して、例えばデサチュラーゼ活性を有する関心のあるポリペプチドのコード配列の全体または一部を合成できる。
このようにしてE1594D4をヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化した。これは先のY.リポリティカ(Y.lipolytica)のコドン使用頻度プロフィールの決定、好まれるコドンの同定、および「ATG」開始コドン周囲の共通配列の決定に基づいて可能であった(米国特許第7,238,482号明細書および米国特許第7,125,672号明細書を参照されたい)。本明細書で「E1594D4S」と称するコドン最適化された合成遺伝子は、野生型E1594D4のアミノ酸残基1および2の間に挿入された1個の追加的アラニンアミノ酸を有し;したがってE1594D4Sの全長は1548個のヌクレオチド(配列番号3)であるのに対し、配列番号4で記載されるコードされるタンパク質は長さが515個のアミノ酸である。
当業者は本明細書の教示を使用して、野生型E1594D4の配列に基づいて、代案の宿主(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)以外)中での最適発現に適した、様々なその他のコドン最適化Δ4デサチュラーゼタンパク質作り出せるであろう。したがって開示本明細書は、配列番号2によってコードされる、野生型E1594D4に由来するあらゆるコドン最適化されたΔ4デサチュラーゼタンパク質に関する。これとしては、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成Δ4デサチュラーゼタンパク質(すなわち配列番号4に記載のE1594D4S)をコードする、配列番号3に記載のヌクレオチド配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。
相同体の同定および単離
配列分析ソフトウェアを使用して、本デサチュラーゼ配列(すなわちE1594D4、E1594D4S)のいずれかまたはその一部を使用して、同一または別の細菌、藻類、真菌、卵菌類、酵母、ストラメノパイル、ユーグレナ属、植物または動物種中でΔ4デサチュラーゼ相同体を検索してもよい。一般にこのようなコンピュータソフトウェアは、様々な置換、欠失、およびその他の修飾に相同性の程度を割り当てることにより、類似した配列をマッチさせる。
代案としては、Δ4相同体同定のために本デサチュラーゼ配列またはその一部のいずれかをハイブリダイゼーション試薬として採用してもよい。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本的構成要素には、プローブ、対象とする遺伝子または遺伝子断片を含有することが疑われるサンプル、および特定のハイブリダイゼーション法が含まれる。本発明のプローブは、典型的に、検出される核酸配列に相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは、検出される核酸配列と「ハイブリダイズ可能」である。プローブの長さは、5個の塩基から数万個の塩基の間で変動してもよいが、典型的に約15個の塩基から約30個の塩基のプローブ長が適切である。プローブ分子の一部のみが、検出される核酸配列に相補的であればよい。さらにプローブと標的配列との間の相補性は完璧でなくてもよい。ハイブリダイゼーションは不完全に相補的な分子間でも生じ、その結果、ハイブリダイズした領域の特定塩基の一部は、適切な相補的塩基と対合形成しない。
ハイブリダイゼーション法については、良く定義されている。典型的には、プローブおよびサンプルは、核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合されなくてはならない。これは適切な濃度および温度条件下において、無機または有機塩存在下で、プローブとサンプルを接触させることを伴う。プローブとサンプル核酸の間であらゆる可能なハイブリダイゼーションが起き得るように、プローブおよびサンプル核酸は、十分長い時間接触しなくてはならない。混合物中のプローブまたは標的濃度が、ハイブリダイゼーションが生じるのに必要な時間を決定する。プローブまたは標的濃度が高いほど、必要なハイブリダイゼーションインキュベーション時間はより短くなる。任意にカオトロピック剤(例えば塩化グアニジニウム、グアニジウムチオシアネート、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウム、トリフルオロ酢酸セシウム)を添加してもよい。所望ならば、ハイブリダイゼーション混合物にホルムアミドを典型的に30〜50%(v/v)で添加できる。
様々なハイブリダイゼーション溶液を用いることができる。それらは典型的に約20〜60容量%、好ましくは30容量%の極性有機溶剤を含む。一般的なハイブリダイゼーション溶液は、約30〜50%v/vのホルムアミドと、約0.15〜1Mの塩化ナトリウムと、(例えばクエン酸ナトリウム、トリス−HCl、PIPESまたはHEPES(pH範囲約6〜9)などの)約0.05〜0.1Mの緩衝液と、(例えばドデシル硫酸ナトリウムなどの)約0.05〜0.2%の洗剤、または0.5〜20mMのEDTA、ファーマシア(Pharmacia Inc.)からのFICOLL(約300〜500kdal)、ポリビニルピロリドン(約250〜500kdal)、および血清アルブミンを用いる。典型的なハイブリダイゼーション溶液にはまた、約0.1〜5mg/mLの未標識キャリア核酸、断片化核DNA(例えば仔ウシ胸腺またはサケ精子DNA、または酵母RNA)、および任意に約0.5〜2%wt/volのグリシンも含まれる。多様な極性水溶性剤または膨潤剤(例えばポリエチレングリコール)、アニオン性ポリマー(例えばポリアクリレートまたはポリメチルアクリレート)、およびアニオン性糖類ポリマー(例えば硫酸デキストラン)をはじめとする体積排除剤などのその他の添加剤もまた含まれてもよい。
核酸ハイブリダイゼーションは多様なアッセイ型式に適合できる。最も適切なもの1つは、サンドイッチアッセイ型式である。サンドイッチアッセイは、特に非変性条件下でのハイブリダイゼーションに適合できる。サンドイッチタイプのアッセイの主要構成要素は、固体担体である。固体担体は、未標識で配列の一部と相補的である固定化核酸プローブをそれに吸着し、またはそれと共有結合する。
追加の実施態様では、本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼ核酸断片(または同定されたあらゆるその相同体)のいずれかを使用して、同一または別の細菌、藻類、真菌、卵菌類、酵母、ストラメノパイル、ユーグレナ属、植物または動物種から、相同的なタンパク質をコードする遺伝子を単離してもよい。配列依存プロトコルを使用した相同的遺伝子の単離は、当該技術分野で周知である。配列依存プロトコルの例としては以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。1.)核酸ハイブリダイゼーション法、2.)ポリメラーゼ連鎖反応[「PCR」](米国特許第4,683,202号明細書)などの核酸増幅技術の様々な使用で例示されるようなDNAおよびRNA増幅法;リガーゼ連鎖反応[「LCR」](Tabor,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、82、1074(1985年));または連鎖置換増幅[「SDA」](Walkerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、89、392(1992年))、および3.)相補性によるライブラリー構築およびスクリーニング法。
例えば良く知られている方法を使用して、DNAハイブリダイゼーションプローブとして核酸断片の全てまたは一部を使用して、あらゆる所望の生物からのライブラリーをスクリーンし、本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼと類似したタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子を直接単離でき、そこではDPAn−6またはDHAを産生する生物が好ましい。核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブは、当該技術分野で知られている方法によってデザインおよび合成できる(Maniatis、前出)。さらに配列全体を直接使用して、ランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーションまたは末端標識技術などの当業者に知られている方法によってDNAプローブを合成でき、または利用できる生体外転写系を使用してRNAプローブを合成できる。さらに特定のプライマーをデザインして、Δ4デサチュラーゼ配列の一部または全長を増幅するのに使用できる。得られた増幅生成物を増幅反応中に直接標識し、または増幅反応後に標識して、適切なストリンジェンシー条件下でプローブとして使用し、完全長DNA断片を単離できる。
典型的にPCR−タイプ増幅技術では、プライマーは異なる配列を有し、互いに相補的でない。所望の試験条件次第で、プライマーの配列は、標的核酸の効率的かつ忠実な複製を提供するようにデザインされるべきである。PCRプライマーデザインの方法は一般的であり、よく知られている。(K.E.Davis編、「Human Genetic Diseases:A Practical Approach」よりTheinおよびWallace、「The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders」(1986年)33〜50、IRL:Herndon,VA;およびWhite,B.A.編、「Methods in Molecular Biology」よりRychlik,W.、「PCR Protocols:Current Methods and Applications」(1993年)第15巻、31〜39、Humana:Totowa,NJ)。
一般に、Δ4デサチュラーゼ配列の2本の短い断片をPCRプロトコルで使用して、DNAまたはRNAからの相同遺伝子をコードするより長い核酸断片を増幅してもよい。1つのプライマーの配列が本開示の核酸断片に由来する、クローンされた核酸断片ライブラリーに対して、PCRを実施してもよい。別のプライマーの配列は真核性の遺伝子をコードするmRNA前駆物質の3’末端のポリアデニル酸トラクトの存在を利用する。
代案としては第2のプライマー配列は、クローニングベクターに由来する配列に基づいてもよい。例えば当業者は、RACEプロトコル(Frohmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:8998(1988年))に従って、PCRを使用して転写物の一点と3’または5’末端との間の領域のコピーを増幅し、cDNAを作り出すことができる。3’および5’方向を向いたプライマーは、本開示の配列からデザインできる。市販される3’RACEまたは5’RACEシステム(例えば、Gibco/BRL(Gaithersburg,MD))からを使用して、特定の3’または5’cDNA断片を単離できる(Oharaら、Proc.Natl Acad.Sci.U.S.A.、86:5673(1989年);Lohら、Science 243:217(1989年))。
代案としては、本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼ核酸断片(またはその同定されたあらゆる相同体)のいずれかを新しい改善された脂肪酸デサチュラーゼ創出のために使用してもよい。当該技術分野で良く知られているように、生体外変異誘発および選択、化学的変異誘発、「遺伝子シャフリング」法またはその他の手段を用いて、天然デサチュラーゼ遺伝子の変異を達成できる。さらに改善された脂肪酸をドメイン交換によって合成してもよく、本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼ核酸断片のいずれかからの機能ドメインが代案のデサチュラーゼ遺伝子の機能ドメインで交換され、それによって新しいタンパク質がもたらされる。
様々なω−3および/またはω−6脂肪酸の製造法
適切なプロモーター制御下において、本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼ(すなわちE1594D4、E1594D4Sまたはその他の変異酵素、コドン最適化された酵素またはその相同体)をコードするキメラ遺伝子の導入は、形質転換宿主生物中にそれぞれDPAn−6および/またはDHAの増大する生成をもたらすことが予期される。したがって本明細書に記載されるのは、基質が所望の脂肪酸生成物(すなわちそれぞれDPAn−6またはDHA)に変換されるように、脂肪酸基質(すなわちDTAまたはDPA)を本明細書に記載されるデサチュラーゼ酵素(例えばE1594D4、E1594D4S)に曝露するステップを含む、PUFAを直接生産する方法である。
より具体的には、本明細書では宿主細胞中におけるDHAの生成方法が提供され、宿主細胞は、
(i)アラインメントのClustal W法に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとの比較で少なくとも68%の同一性を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする単離されたヌクレオチド分子、および
(ii)DPA源
を含み、宿主細胞はΔ4デサチュラーゼが発現されてDPAがDHAに変換されるような条件下で生育されて、DHAが任意に回収される。
当業者は、Δ4デサチュラーゼの広い基質範囲によって、DTAからDPAn−6への変換のために本酵素がさらに使用できるかもしれないことを認識するであろう。したがって本明細書に記載されるのはまた、DPAn−6を生成する方法であり、宿主細胞は、
(i)アラインメントのClustal W法に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとの比較で少なくとも68%の同一性を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする単離されたヌクレオチド分子、および
(ii)DTA源
を含み、宿主細胞はΔ4デサチュラーゼが発現されてDTAがDPAn−6に変換されるような条件下で生育されて、DPAn−6が任意に回収される。
上記方法のどちらかで基質として使用されるDTAまたはDPA源は天然または遺伝子導入宿主のどちらかによって産生されてもよく、または基質は外来性で提供されてもよい。特に本明細書に記載されるΔ4デサチュラーゼ(例えばE1594D4、E1594D4Sまたはその他の変異酵素、コドン最適化された酵素またはその相同体)をΔ6デサチュラーゼ、C18/20エロンガーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、Δ9エロンガーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼおよび/またはC20/22エロンガーゼなどのPUFA生合成経路の酵素をコードする追加的遺伝子と併せて発現させて、DPAn−6および/またはDHAの生成をもたらしてもよいことが考察される。特定の発現カセットに含まれる特定の遺伝子は、宿主細胞(およびそのPUFAプロフィールおよび/またはデサチュラーゼ/エロンガーゼプロフィール)、基質可用性、および所望の最終産物に左右される。
代案の実施態様では、本明細書に記載される完全配列、これらの完全配列の補体、これらの配列のかなりの部分、それから誘導されるコドン最適化されたデサチュラーゼ、および実質的にそれと相同的な配列に基づいて、宿主生物の天然Δ4デサチュラーゼを中断することが有用かもしれない。
発現系、カセット、およびベクター
本明細書に記載される遺伝子および遺伝子産物は、異種の宿主細胞中で発現されてもよい。組み換え宿主中における発現は、様々なPUFA経路中間体を生成するのに、または今まで宿主を使用して可能でなかった新しい生成物を合成するため宿主中の既存PUFA経路を調節するのに、有用かもしれない。
外来性タンパク質の高レベルの発現を誘導する制御配列を含有する、発現系および発現ベクターについては良く知られている。これらのいずれかを使用して、本配列の遺伝子産物のいずれかを生成するためのキメラ遺伝子を構築できる。次にこれらのキメラ遺伝子を形質転換を通じて適切な宿主細胞に導入し、コードされる酵素の高レベルの発現を提供できる。
適切な宿主細胞の形質転換のために有用なベクター(例えばコンストラクト、プラスミド)およびDNA発現カセットについては、良く知られている。コンストラクト中に存在する配列の特定の選択は、所望の発現産物(前出)、宿主細胞の性質、および形質転換細胞と非形質転換細胞を分離する提案される手段に左右される。しかし典型的にベクターは、少なくとも1つの発現カセット、選択可能なマーカー、および配列を含有して、自律複製または染色体の組み込みを可能にする。適切な発現カセットは、転写開始を制御する遺伝子の5’領域、すなわちプロモーターと、遺伝子コード配列と、転写終結を制御するDNA断片の3’領域、すなわちターミネーターとを含む。双方の制御領域が、形質転換宿主細胞からの遺伝子に由来することが最も好ましいが、このような制御領域は必ずしも生産宿主として選択された特定種に天然の遺伝子に由来しないことを理解すべきである。
所望の宿主細胞中におけるΔ4デサチュラーゼORFの発現を進めるのに有用な転写制御領域またはプロモーターは数多く、良く知られている。これらの制御領域は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、イントロン配列、3’UTRおよび/または5’UTR領域、およびタンパク質および/またはRNA安定化因子を含んでもよい。このような因子は、それらの強度および特異性が異なっていてもよい。選択される宿主細胞中でこれらの遺伝子の発現を誘導できる実質的にあらゆるプロモーター(すなわち天然、合成、またはキメラ)が適切であるが、宿主種からの転写および翻訳領域が特に有用である。宿主細胞中の発現は、誘導的または構成的様式で起きることができる。誘導的発現は関心のある遺伝子と作動的に連結する制御可能プロモーター活性を誘導することによって起き、一方構成的発現は関心のある遺伝子と作動的に連結する構成的プロモーターの使用によって起きる。
宿主細胞が例えば酵母である場合、酵細胞中で機能する転写および翻訳領域が、特に宿主種から提供される。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で使用するのに好ましい転写開始調節領域については、国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい。構成的または誘導的転写が所望されるかどうか、関心のあるORFを発現するプロモーターの効率、構築の容易さなどに応じて、いくつかの制御配列のいずれを使用してもよい。
転写終結シグナルコードする3’非コード配列、すなわち「終結領域」が、組み換えコンストラクト中に提供されなくてはならず、それから開始領域が得られた遺伝子の3’領域由来のもの、または異なる遺伝子からのものであってもよい。多数の終結領域が知られており、それらが由来するのと同一のおよび異なる属および種のどちらで利用しても、多様な宿主中で満足に機能する。終結領域は通常、特定の特質のためでなく、より便宜的に選択される。終結制御領域はまた、好ましい宿主に天然の様々な遺伝子に由来してもよい。当業者は入手できる情報を利用して、転写ターミネーターとして機能する3’領域配列をデザインおよび合成できるので、3’領域はまた合成することもできる。終結領域は不要かもしれないが、高度に好ましい。
デサチュラーゼなどの遺伝子をクローニングベクターに単に挿入することは、所望の速度、濃度、量などでのその発現を保証しない。高発現率に対する必要に応えて、転写、RNA安定性、翻訳、タンパク質安定性および位置、酸素制限、および宿主細胞からの分泌を制御する、いくつかの異なる遺伝的要素を操作することにより、多数の特殊発現ベクターが作り出されている。操作される特徴のいくつかはとしては、関連転写プロモーターおよびターミネーター配列の性質、クローンされた遺伝子のコピー数(プラスミドコピー数を増大させることで、または複数のクローンされた遺伝子をゲノムに組み込むことで、追加的コピーを単一発現コンストラクト中にクローンしてもよく、および/または追加的コピーを宿主細胞に導入してもよい)、遺伝子がプラスミド由来であるかまたは宿主細胞ゲノムに組み込まれるかどうか、合成される外来性タンパク質の最終細胞内所在、宿主生物中のタンパク質の翻訳および正確な折りたたみの効率、宿主細胞中のクローンされた遺伝子のmRNAおよびタンパク質の固有の安定性、およびその頻度が宿主細胞の好むコドン使用頻度に近づくようなクローンされた遺伝子中のコドン使用頻度が挙げられる。これらのそれぞれを本明細書に記載される方法および宿主細胞で使用して、Δ4デサチュラーゼの発現をさらに最適化してもよい。
宿主細胞の形質転換
例えばプロモーター、ORF、およびターミネーターを含むキメラ遺伝子を含む組み換えコンストラクトを作り出した後、それを宿主細胞中で自律複製できるプラスミドベクターに入れ、またはそれを宿主細胞のゲノムに直接組み込む。発現カセットの組み込みは、宿主ゲノム中で無作為に起きることができ、または宿主遺伝子座での遺伝子組み換えを標的とするのに十分な宿主ゲノムとの相同性領域を含有するコンストラクトの使用を通じて、標的を定めることができる。コンストラクトが内在性遺伝子座に標的を定めれば、全てまたはいくつかの転写および翻訳調節領域を内在性遺伝子座によって提供できる。
別々の複製ベクターから2つ以上の遺伝子が発現する場合、各ベクターは異なる選択手段を有してもよく、他のコンストラクトに対する相同性を欠いて、安定した発現を維持し、コンストラクト中の要素の再集合を防止すべきである。調節領域、選択手段、および導入コンストラクト増殖方法の思慮深い選択は、全ての導入された遺伝子が必要なレベルで発現して、所望の生成物の合成を提供するように実験的に判定できる。
対象とする遺伝子を含むコンストラクトは、あらゆる標準的技術によって宿主細胞に導入してもよい。これらの技術としては、形質転換、例えば酢酸リチウム形質転換(Methods in Enzymology、194:186〜187(1991年))、プロトプラスト融合、微粒子銃衝撃、電気穿孔、マイクロインジェクション、真空ろ過、または宿主細胞中に対象とする遺伝子を導入するその他のあらゆる方法が挙げられる。
便宜上、例えば発現カセット中のDNA配列を取り込むように、あらゆる方法によって操作されている宿主細胞を本明細書では「形質転換された」または「組み換え」と称する。形質転換された宿主は、発現カセットがゲノム中に組み込まれるか、増幅されるか、または複数のコピー数を有する染色体外要素上に存在するかどうか次第で、発現カセットの少なくとも1つのコピーを有し、2つ以上を有してもよい。形質転換宿主細胞は、米国特許第7,238,482号明細書および米国特許第7,259,255号明細書に記載されるような、様々な選択技術によって同定できる。
形質転換に続いて、Δ4デサチュラーゼに適した基質(および任意に宿主細胞中で同時発現されるその他のPUFA酵素)が宿主によって自然にまたは遺伝子導入的に産生されてもよく、またはそれらは外来性で提供されてもよい。
ω−3および/またはω−6脂肪酸生合成の代謝エンジニアリング
本Δ4デサチュラーゼ配列の知識は、様々な宿主細胞中でω−3および/またはω−6脂肪酸生合成を操作するのに有用であろう。これはPUFA生合成経路内の直接的な代謝エンジニアリング、または炭素をPUFA生合成経路に寄与する経路の追加的操作を必要とするかもしれない。
望ましい生化学的経路をアップレギュレートし、望ましくない生化学的経路をダウンレギュレートするのに有用な技術については、当該技術分野で良く知られている。例えばエネルギーまたは炭素についてω−3および/またはω−6脂肪酸生合成経路と競合する生化学的経路、または特定のPUFA最終産物の生成を妨げる天然PUFA生合成経路酵素を遺伝子破壊によって排除してもよく、またはアンチセンスmRNAおよび亜鉛フィンガー標的技術などのその他の手段によってダウンレギュレートしてもよい。
国際公開第2006/033723号パンフレット、国際公開第2006/055322号パンフレット[米国特許出願公開第2006−0094092−A1号明細書]、国際公開第2006/052870号パンフレット[米国特許出願公開第2006−0115881−A1号明細書]、および国際公開第2006/052871号パンフレット[米国特許出願公開第2006−0110806−A1号明細書]は、GLA、ARA、EPAまたはDHAをそれぞれ増大させる手段としてのPUFA生合成経路の改変、およびTAG生合成経路中およびTAG分解経路中の望ましい操作についてそれぞれ検討している。
Δ4デサチュラーゼの組み換え発現のための好ましい宿主
多様な真核生物が宿主として適切であり、それによって本明細書に記載されるようにΔ4デサチュラーゼを含む形質転換宿主生物を生じる。これらとしては、広い温度およびpH値範囲にわたって、単純または複合糖質、脂肪酸、有機酸、油、グリセロールおよびアルコール、および/または炭化水素をはじめとする多様な原材料で生育する宿主が挙げられる。本明細書に記載される遺伝子は出願人らの譲受人のニーズに基づき、最初は油性酵母(特にヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))中での発現のために単離された。しかし転写、翻訳、およびタンパク質生合成器管は高度に保存されているので、あらゆる細菌、酵母、藻類、ストラメノパイル、卵菌類、ユーグレナ属および/または真菌が本核酸断片の発現に適切な宿主になるであろうことが考察される。
好ましい宿主は、油性酵母などの油性生物である。これらの油性生物は、自然に油を合成および蓄積でき、総油分は、約25%を超える細胞乾燥重量、より好ましくは約30%を超える細胞乾燥重量、および最も好ましくは約40%を超える細胞乾燥重量を構成できる。様々な藻類、コケ、真菌、酵母、およびストラメノパイルが天然油性に分類される。油性酵母菌として典型的に同定されている属としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)が挙げられるが、これに限定されるものではない。より具体的には、例示的な油合成酵母菌としては、ロドスポリジウム・トルイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス・スターケイ(Lipomyces starkeyii)、L.リポフェラス(L.lipoferus)、カンジダ・レブカウフィ(Candida revkaufi)、C.プルケリマ(C.pulcherrima)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C.ユチリス(C.utilis)、トリコスポロン・プランス(Trichosporon pullans)、T.クタネウム(T.cutaneum)、ロドトルラ・グルティナス(Rhodotorula glutinus)、R.グラミニス(R.graminis)、およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)(以前はカンジダ・リポリティカ(Candida lipolytica)として分類されていた)が挙げられる。
最も好ましいのは油性酵母菌ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であり、さらなる実施態様で最も好ましいのは、ATCC#76982、ATCC#20362、ATCC#8862、ATCC#18944、および/またはLGAMS(7)1と称されるY.リポリティカ(Y.lipolytica)株である(Papanikolaou S.、およびAggelis G.、Bioresour.Technol.82(1):43〜9(2002年))。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換に関する具体的教示は、米国特許第4,880,741号明細書、米国特許第5,071,764号明細書、およびChen,D. C.ら(Appl.Microbiol.Biotechnol.,48(2):232〜235(1997年))に含まれる。Y.リポリティカ(Y.lipolytica)中でARA、EPA、およびDHAを改変するのに応用できる特定の教示は、国際公開第2006/055322号パンフレット、国際公開第2006/052870号パンフレット、および国際公開第2006/052871号パンフレットでそれぞれ提供される。油性酵母(すなわちヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))中における、Δ4デサチュラーゼを含む発現ベクターの合成および形質転換の詳細な手段は、国際公開第2006/052871号パンフレットで提供される。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で遺伝子を発現する好ましい方法は宿主の線状DNAのゲノムへの組み込みによる。Ura3遺伝子座(GenBank登録番号AJ306421)、Leu2遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号AF260230)、Lys5遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号M34929)、Aco2遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号AJ001300)、Pox3遺伝子遺伝子座(Pox3:GenBank登録番号XP_503244;または、Aco3:GenBank登録番号AJ001301)、Δ12デサチュラーゼ遺伝子遺伝子座(国際公開第2004/104067号パンフレット)、Lip1遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号Z50020)、Lip2遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号AJ012632)、SCP2遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号AJ431362)、Pex3遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号CAG78565)、Pex16遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号CAG79622)および/またはPex10遺伝子遺伝子座(GenBank登録番号CAG81606)中などのゲノム内の複数位置への組み込みは、遺伝子の高レベル発現が所望される場合に特に有用であり得る。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)において使用される好ましい選択方法は、カナマイシン、ハイグロマイシン、およびアミノグリコシドG418に対する抵抗性、ならびにウラシル、ロイシン、リジン、トリプトファンまたはヒスチジンを欠く培地に生育する能力である。5−フルオロオロト酸[5−フルオロウラシル−6−カルボン酸一水和物;「5−FOA」]もまた、酵母Ura突然変異体の選択のために使用され得る。この化合物はオロチジン5’−一リン酸デカルボキシラーゼ[OMPデカルボキシラーゼ]をコードする機能性URA3遺伝子を有する酵母細胞に対して有毒である。したがってこの毒性に基づいて、5−FOAはUra突然変異酵母株の選択および同定のために特に有用である(Bartel,P.L.およびFields,S.、「Yeast 2−Hybrid System」、Oxford University:New York、第7巻、109〜147、1997年;ヤロウィア(Yarrowia)における5−FOAについての国際公開第2006/052870号パンフレットも参照)。
その他の微生物宿主としては、油性の細菌、藻類、ユーグレナ属、ストラメノパイル、およびその他の真菌が挙げられ、この大きな微生物宿主グループ内で特に興味深いのは、天然でω−3/ω−6脂肪酸を産生する微生物である。例えばキクロテラ(Cyclotella)種、ニッチア(Nitzschia)種、クサレカビ(Pythium)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種、シゾキトリウム(Schizochytrium)種、およびモルティエラ(Mortierella)によってARA、EPAおよび/またはDHAが生成される。したがって例えば(Δ17デサチュラーゼおよびC20/22エロンガーゼに加えて)誘導性プロモーターまたは調節プロモーターの制御下における、本Δ4デサチュラーゼ遺伝子のいずれかによる、ARAの生成のために商業的に使用されるモルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)の形質転換は、DHAを合成できる形質転換生物を生じることができる。M.アルピナ(M.alpina)の形質転換法については、Mackenzieら(Appl.Environ. Microbiol.、66:4655(2000年))によって記載される。同様にヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)微生物(例えばスラウストキトリウム(Thraustochytrium)、シゾキトリウム(Schizochytrium))の形質転換法は、米国特許第7,001,772号明細書で開示されている。
代案の実施態様では、宿主は植物またはその他の動物であってもよい。例えばダイズ(GlycineおよびSoja種)、コーン(Zea mays),亜麻(Linum種)、ナタネ(Brassica種)、月見草、カノーラ、トウモロコシ、綿、紅花(Carthamus種)およびヒマワリ(Helianthus種)をはじめとするPUFA生成のために容易に改変し得る油種子植物を使用する。例えば米国特許出願公開第2007−0237876A1号明細書を参照されたい。
選択される宿主または発現コンストラクトにかかわらず、複数の形質転換体をスクリーンして所望の発現レベル、制御、およびパターンを示す株を得なくてはならない。このようなスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(Southern,J.Mol.Biol.、98:503(1975年))、mRNA発現のノーザン分析(Kroczek,J.Chromatogr.Biomed.Appl.、618(1〜2):133〜145(1993年))、タンパク質発現のWesternおよび/またはElisa分析、PUFA生成物の表現型分析またはGC分析によって達成されてもよい。
ω脂肪酸生成の発酵工程
形質転換された宿主細胞は、キメラデサチュラーゼ遺伝子の発現を最適化する条件下で生育させて、最大かつ最も経済的な所望のPUFA収率を生じさせる。一般に、修正により最適化されてもよい培地条件としては、炭素源のタイプおよび量、窒素源のタイプおよび量、炭素−対−窒素比、異なる無機イオンの量、酸素レベル、生育温度、pH、バイオマス生成相の長さ、油蓄積相の長さ、および細胞収穫時間および方法が挙げられる。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のような対象の油性酵母は、一般に酵母菌抽出物−ペプトン−デキストロース液体培地(YPD)のような複合培地で、または生育に必要な構成要素が欠如しており、それによって所望の発現カセットの選択を強要する合成最少培地(例えばDIFCO Laboratories(Detroit,MI)からの酵母菌窒素ベース)上で生育させる。
本明細書に記載されている方法および宿主細胞のための発酵培地は、米国特許第7,238,482号明細書で教示されているものなどの適切な炭素源を含有しなくてはならない。適切な炭素源としては多種多様な原料が挙げられ、糖、グリセロールおよび/または脂肪酸が好ましい。最も好ましいのはグルコースおよび/または10〜22個の間の炭素を含有する脂肪酸である。
窒素は、無機(例えば(NHSO)または有機(例えば尿素またはグルタミン酸)源から供給されてもよい。適切な炭素および窒素源に加えて、発酵培地はまた、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝液、ビタミン、および油性宿主の生育と、PUFA生成の酵素的経路の促進とに適した、当業者に既知であるその他の構成要素を含有しなくてはならない。脂質およびPUFAの合成を促進する、Fe+2、Cu+2、Mn+2、Co+2、Zn+2、Mg+2のようないくつかの金属イオンが注目されている(D.J.KyleおよびR.Colin編、「Ind.Appl.Single Cell Oil」より、Nakahara,T.ら、61〜97(1992年)。
本明細書に記載されている方法および宿主細胞のための好ましい増殖培地は、DIFCO Laboratories(Detroit,MI)からの酵母菌窒素ベースなどの一般的な市販の調製培地である。その他の合成または人工増殖培地もまた使用されてもよく、形質転換宿主細胞の生育に適する培地は、微生物学または発酵科学の当業者に知られている。発酵に適したpH範囲は、典型的に約pH4.0〜pH8.0の間であり、pH5.5〜pH7.5が初期生育条件の範囲として好ましい。発酵は好気性または好気性条件下で実施されてもよく、微好気条件が好ましい。
典型的に油性酵母菌細胞中のPUFAおよびTAGの高レベルの蓄積は、代謝状態が生育と脂肪合成/貯蔵との間で「平衡状態」でなくてはならないので、二段階過程を必要とする。したがって最も好ましくは、油性酵母中のPUFAを含む油の生成には、二段階発酵過程が必要である。このアプローチについては米国特許第7,238,482号明細書に記載され、様々な適切な発酵過程デザイン(すなわちバッチ、供給バッチ、および連続)および成育中の考察事項についても同様に述べられる。
PUFAの精製および加工
PUFAをはじめとする脂肪酸は、遊離脂肪酸として、またはアシルグリセロール、リン脂質、スルホ脂質または糖脂質などのエステル化形態体で、宿主微生物中にあってもよい。これらの脂肪酸は、当該技術分野で良く知られている多様な手段を通じて、宿主細胞から抽出されてもよい。酵母脂質の抽出技術、品質分析、および許容基準の1つのレビューは、Z.Jacobs(Critical Reviews in Biotechnology,12(5/6):463〜491(1992年))である。A.SinghおよびO.Ward(Adv.Appl.Microbiol.,45:271〜312(1997年))による後処理プロセスの簡潔なレビューもまた入手できる。
一般に(PUFAをはじめとする)脂肪酸を精製する手段としては、有機溶剤を用いた抽出(例えば米国特許第6,797,303号明細書および米国特許第5,648,564号明細書)、超音波処理、(例えば二酸化炭素を使用した)超臨界流体抽出、鹸化、および加圧などの物理的手段、またはそれらの組み合わせが挙げられる。米国特許第7,238,482号明細書を参照されたい。
食材、健康食品、医薬品、および動物飼料で使用されるPUFA
市場には、ω−3および/またはω−6脂肪酸、特にALA、GLA、ARA、EPA、DPA、およびDHAを組み込んだ多数の食品および飼料製品がある。本明細書に記載される方法および宿主細胞によって作られた長鎖PUFAを含む油性酵母由来資源、PUFAを含む部分的精製生物由来資源、PUFAを含む精製油、および/または精製PUFAは、それらの添加により改善された食品または飼料の摂取に際して健康上の利点を与えることが考察される。これらの油は、数例を挙げると類似食品、飲料、肉製品、穀物製品、ベークド食品、スナック食品、および乳製品に添加することができる。米国特許出願公開第2006−0094092号明細書を参照されたい。
これらの組成物は、医療栄養物、栄養補助食品、乳児用調製粉乳、および医薬品をはじめとするメディカルフードに添加されることで、健康上の利点を与えてもよい。当業者は、健康上の利点を与えるために、食品、飼料、栄養補助食品、栄養補給食品、医薬品、およびその他の摂取可能な製品に添加されるべき油の量を認識するであろう。これらの油を摂取することの健康上の利点は、当該技術分野において記載されており、継続的に研究されている。このような量は本明細書では「効果的」量と称され、とりわけこれらの油を含有する摂取される製品の性質、およびそれらが対処することが意図される健康状態に左右される。
本発明の具体化を例示するが、その可能なバリエーション全てを完全に定義するものではない以下の実施例において、本発明をさらに説明する。
一般方法
実施例で使用する標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野でよく知られており、1.)Sambrook,J.、Fritsch,E.F.およびManiatis,T.、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989年)(Maniatis);2.)T.J.Silhavy、M.L.Bennan、およびL.W.Enquist、「Experiments with Gene Fusions」、Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984年);および3.)Ausubel,F.M.ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版、Hoboken,NJ(1987年)に記載されている。
微生物培養の維持および生育に適した材料および方法は、技術分野でよく知られている。以下の実施例で使用するのに適した技術については、以下に記載されている。Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugene W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.Krieg、およびG.Briggs Phillips編、「Manual of Methods for General Bacteriology」、American Society for Microbiology、Washington,D.C.(1994年)、またはThomas,D.Brock、「Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology」、第2版、Sinauer Associates:Sunderland,MA(1989年)。微生物細胞の生育および維持のために使用される全ての試薬制限酵素および材料は、特に断りのない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI)、DIFCO Laboratories(Detroit,MI)、GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD)、またはSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から得た。大腸菌(E.coli)(XL1−Blue)コンピテント細胞は、Stratagene Company(San Diego,CA)から購入した。大腸菌(E.coli)株は、典型的にルリア・ベルターニ(Luria Bertani)(LB)プレート上で37℃で生育させた。
一般分子クローニングは、標準法に従って実施された(Sambrookら、前出)。DNA配列は、染料ターミネーター技術(米国特許第5,366,860号明細書、欧州特許第272,007号明細書)を使用し、ベクターおよび挿入断片特異的プライマーの組み合わせを使用して、ABI Automatic配列決定装置上で作成した。配列編集はSequencher(Gene Codes Corporation(Ann Arbor,MI))内で実施した。全ての配列は、両方向に少なくとも2回のカバレッジに相当する。遺伝子配列の比較は、特に断りのない限り、DNASTARソフトウェア(DNASTAR Inc.(Madison,WI))を使用して達成した。
略語の意味は以下の通り。「sec」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモル濃度を意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「U」は単位を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kB」はキロベースを意味する。
発現カセットの命名法
発現カセットの構造は単純な表記体系「X::Y::Z」によって表され、Xはプロモーター断片を記述し、Yは遺伝子断片を記述し、Zはターミネーター断片を記述し、それらは全て互いに作動的に連結する。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換および培養
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362株はAmerican Type Culture Collection(Rockville,MD)から購入した。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株は、下に示す処方に従った数種の培地中で、慣例的に28〜30℃で生育させた。寒天プレートは、標準法に従って各液体培地に20g/L寒天を添加することによって、必要に応じて調製した。
YPD寒天培地(1Lあたり):10g酵母抽出物[Difco];20gのBactoペプトン[Difco];および20gグルコース。
基礎最少培地(MM)(1Lあたり):20gグルコース;1.7gアミノ酸非含有酵母窒素ベース;1.0gプロリン;およびpH6.1(未調節)。
最少培地+ウラシル(MM+ウラシルまたはMMU)(1Lあたり):MM培地を上のように調製して、0.1gウラシルおよび0.1gウリジンを添加する。
高グルコース培地(HGM)(1Lあたり):80グルコース;2.58gのKHPO;5.36gのKHPO;pH7.5(調節の必要なし)。
Y.リポリティカ(Y.lipolytica)の形質転換は、特に断りのない限りChen,D.C.ら、Appl.Microbiol.Biotechnol.48(2):232〜235(1997年)の方法に従って実施した。簡単に述べると、ヤロウィア(Yarrowia)をYPDプレート上に画線培養し、30℃でおよそ18時間生育させた。いくつかの大型白金耳を満たす細胞をプレートからこすり取り、平均分子量3350の2.25mLの50%PEG、pH6.0の0.125mLの2M酢酸Li、および0.125mLの2M DTTを含有する1mLの形質転換緩衝液に再懸濁した。次に約500ngの直線化プラスミドDNAを100μLの再懸濁細胞内でインキュベートし、15分間隔でボルテックス混合しながら39℃に1時間保った。細胞を選択培地プレートに蒔いて、30℃に2〜3日間保った。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4184U株の単離
国際公開第2008/073367号パンフレットの実施例7に記載されるようにして、Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路の発現を通じて、総脂質と比較してEPAを産生するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4184株を作り出した。簡単に述べると、図5に略図で示すように、Y4184株は、Y2224株(野生型ヤロウィア(Yarrowia)ATCC#20362株のUra3遺伝子の自律突然変異からのFOA抵抗性変異体)、Y4001株(Leu−表現型が17%EDAを産生する)、Y4001U1株(Leu−およびUra−)、Y4036株(Leu−表現型が18%DGLAを産生する)、Y4036U株(Leu−およびUra−)、Y4069株(Ura−表現型が12%ARAを産生する)、Y4084株(14%EPAを産生する)、Y4084U1株(Ura−)、Y4127株(18%EPAを産生し、2007年11月29日に米国微生物系統保存機関に登録番号ATCC PTA−8802の下に寄託された)、Y4127U2株(Ura−)、Y4158株(25%EPAを産生する)、Y4158U1株(Ura−を産生する)、およびY4184株(総TFAと比較して30.7%EPAを産生する)の構築を通じて、Y.リポリティカ(Y.lipolytica)ATCC#20362から誘導された。
野生型ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362と比較したY4184株の最終遺伝子型は、unknown 1−、unknown 2−、unknown 3−、unknown 4−、unknown 5−、unknown 6−、YAT1::ME3S::Pex16、EXP1::ME3S::Pex20(2コピー)、GPAT::EgD9e::Lip2、FBAINm::EgD9eS::Lip2、EXP1::EgD9eS::Lip1、FBA::EgD9eS::Pex20、YAT1::EgD9eS::Lip2、GPD::EgD9eS::Lip2、GPDIN::EgD8M::Lip1、YAT1::EgD8M::Aco、EXP1::EgD8M::Pex16、FBAINm::EgD8M::Pex20、FBAIN::EgD8M::Lip1(2コピー)、GPM/FBAIN::FmD12S::Oct、EXP1::FmD12S::Aco、YAT1::FmD12::Oct、GPD::FmD12::Pex20、EXP1::EgD5S::Pex20、YAT1::EgD5S::Aco、YAT1::RD5S::Oct、FBAIN::EgD5::Aco、FBAINm::PaD17::Aco、EXP1::PaD17::Pex16、YAT1::PaD17S::Lip1、YAT1::YlCPT1::Aco、GPD::YlCPT1::Acoであった(配列中FmD12はフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)Δ12デサチュラーゼ遺伝子[国際公開第2005/047485号パンフレット]であり;FmD12Sはフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)に由来するコドン最適化されたΔ12デサチュラーゼ遺伝子[国際公開第2005/047485号パンフレット]であり;ME3Sはモルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)に由来するコドン最適化されたC16/18エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/046817号パンフレット]であり;EgD9eはミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/061742号パンフレット]であり;EgD9eSはミドリムシ(Euglena gracilis)に由来するコドン最適化されたΔ9エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/061742号パンフレット]であり;EgD8Mはミドリムシ(Euglena gracilis)[米国特許第7,256,033号明細書]に由来する合成変異Δ8デサチュラーゼ[国際公開第2008/073271号パンフレット]であり;EgD5はミドリムシ(Euglena gracilis)Δ5デサチュラーゼ[米国特許出願公開第2007−0292924−A1号明細書]であり;EgD5Sはミドリムシ(Euglena gracilis)に由来するコドン最適化されたΔ5デサチュラーゼ遺伝子[米国特許出願公開第2007−0292924号明細書]であり;RD5Sはペリディニウム(Peridinium)種CCMP626に由来するコドン最適化されたΔ5デサチュラーゼ[米国特許出願公開第2007−0271632号明細書]であり;PaD17はピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)Δ17デサチュラーゼ[国際公開第2008/054565号パンフレット]であり;PaD17Sはピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)に由来するコドン最適化されたΔ17デサチュラーゼ[国際公開第2008/054565号パンフレット]であり;YlCPT1はヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ジアシルグリセロールコリンリン酸転移酵素遺伝子[国際公開第2006/052870号パンフレット]である)。
最後に、Y4184株中のUra3遺伝子を中断するために、コンストラクトpZKUE3S(国際公開第2008/073367号パンフレットの表22に記載される)を使用して、EXP1::ME3S::Pex20キメラ遺伝子をY4184株のUra3遺伝子に組み込んで、それぞれY4184U1株(総脂質の11.2%のEPA)、Y4184U2株(総脂質の10.6%のEPA)、およびY4184U4株(総脂質の15.5%のEPA)をもたらす(集合的にY4184U)。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の脂肪酸分析
脂肪酸分析のために、Bligh,E.G.およびDyer,W.J.、Can.J.Biochem.Physiol.37:911〜917(1959年)に記載されているように、細胞を遠心分離して収集し、脂質を抽出した。ナトリウムメトキシドでの脂質抽出物のエステル交換反応によって、脂肪酸メチルエステル[「FAME」]を調製し(Roughan,G.およびNishida,I.、Arch Biochem Biophys.276(1):38〜46(1990年))、引き続きHewlett−Packardからの30m×0.25mm(内径)HP−INNOWAXカラムを装着したHewlett−Packard 6890 GCで分析した。オーブン温度は3.5℃/分で、170℃(25分間保持)から185℃であった。
直接塩基エステル交換のために、ヤロウィア(Yarrowia)培養物(3mL)を収集し、蒸留水で1回洗浄し、スピードバック(Speed−Vac)内で真空下において5〜10分乾燥させた。ナトリウムメトキシド(100μLの1%)をサンプルに添加して、次にサンプルをボルテックスし20分間振盪した。3滴の1M NaClおよび400μLのヘキサンを添加した後、サンプルをボルテックスして遠心分離した。上層を除去して上述のようにGCで分析した。
実施例1
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594脂質プロフィール、全RNA単離およびゲノムDNA単離
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594細胞(1Lの培養物)をProvasoli−Guillard National Center for Culture of Marine Phytoplankton(CCMP)(Bigelow Laboratory for Ocean Sciences,(West Boothbay Harbor,Maine))から購入した。メタノールに溶解された600μlのナトリウムメトキシドに、50mL培養物からの細胞を再懸濁した。サンプルを20分間振盪して50μlの1M NaClを添加した。混合後、600μlのヘプタンを添加した。サンプルをボルテックスし、エッペンドルフ微量遠心管内で1分間遠心分離した。上層を下層から注意深く分離して、GC分析のためにガラスバイアルに入れた。分析結果を表3に示す。脂肪酸は16:0(パルミチン酸)、16:1(パルミトレイン酸)、18:0、18:1(オレイン酸)、18:2、GLA、ALA、DGLA、ARA、EPA、DPA、およびDHAと同定され;各組成は、総脂肪酸[「TFA」]の重量%として表される。
Figure 2011516067
EPA、DPA、およびDHAの存在に基づいて、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594は、DPA(22:5、ω−3)をDHA(22:6、ω−3)に変換できる機能性Δ4デサチュラーゼを有すると結論された。
トリゾール試薬(Invitrogen,(Carlsbad,CA))を使用して製造業者のプロトコルに従って、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594から全RNAおよびゲノムDNAを単離した。1L培養物からの細胞ペレット(体積約0.25mL)を0.75mLのトリゾール試薬に再懸濁して、0.5mLの0.5mmガラスビーズと混合し、最高速に設定したBiospecミニビードビーター(Bartlesville,OK)内で3分間均質化した。混合物をエッペンドルフ遠心機内で14,000rpmで30秒間遠心分離して、残骸およびガラスビーズを除去した。上清を150μLの24:1クロロホルム:イソアミルアルコールで抽出した。上部水相をRNA単離のために使用する一方、下部有機相をDNA単離のために使用した。
RNA単離では、水相0.375mLのイソプロピルアルコールと混合し、室温で5分間インキュベートした。沈殿したRNAを8,000rpm、4℃で5分間遠心分離して収集した。ペレットを0.7mLの80%エタノールで1回洗浄して風乾した。このようにして720μgの全RNAを得た。
ゲノムDNA単離では、下部有機相を75μLのエタノールと混合して室温で5分間インキュベートした。次にサンプルをエッペンドルフ遠心機内で5,000rpmで2分間遠心分離した。ペレットを10%エタノール中の0.75mLの0.1Mクエン酸ナトリウムで2回洗浄した。毎回、サンプルを洗浄液中で室温で15分間インキュベートし、エッペンドルフ遠心機内で4℃、5,000rpmで5分間の遠心分離がそれに続いた。ペレットを風乾して、300μLの8mM NaOHに再溶解した。1M HEPESでサンプルのpHを7.5に調節した。次にDNAサンプルをQiagenPCR精製キットを用いて、製造業者のプロトコルに従ってさらに精製した。このようにしてユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594から45μgのゲノムDNAを得た。
実施例2
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 cDNA合成
cDNAをユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 mRNAから、次のようにして直接合成した。ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からの全RNA(2.4μg)をテンプレートとして使用して、二本鎖cDNAを合成した。BD Bioscience Clontech(Palo Alto,CA)からのCreator(商標)SMART(商標)cDNAライブラリー構築キットを使用した。1μLの全RNAサンプルを1μLのSMART IVオリゴヌクレオチド(配列番号10)、1μLのCDSIII/3’PCRプライマー(配列番号11)、および2μLの水と混合した。混合物を75℃で5分間加熱して、次に氷上で5分間冷却した。サンプルに2μLの5×第一鎖緩衝液、1μLの20mM DTT、1μLのdNTPミックス(各10mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、および1μLのPowerScript逆転写酵素を添加した。サンプルを42℃で1hインキュベートした。次に得られた第一鎖cDNAを増幅のためのテンプレートとして使用した。反応混合物は、2μLの上記第一鎖cDNAサンプル、80μLの水、10μLの10×Advantage 2 PCR緩衝液、2μLの50×dNTPミックス(各10mMのdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、2μLの5’CDSIII PCRプライマー(配列番号12)、2μLのCDSIII/3’PCRプライマー(配列番号11)、および2μLの50×Advantage 2ポリメラーゼミックスを含有した。95℃で1分間と、それに続く95℃で10秒間および68℃で6分間を20サイクルの条件を使用して、PCR増幅を実施した。増幅産物をQiagen PCR精製キットを用いて、製造業者のプロトコルに従って精製した。精製産物を50μLの水で溶出した。
実施例3
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594Δ4デサチュラーゼ遺伝子のコード領域の一部の単離
本実施例は、その他の既知のΔ4デサチュラーゼ配列の保存領域に由来するプライマーの使用による、Δ4デサチュラーゼをコードするユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594遺伝子の一部(本明細書で「E1594D4」(配列番号1および2)と称する)の同定について記載する。
ミドリムシ(Euglena gracilis)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号13;GenBank登録番号AY278558;Meyerら、Biochemistry,42(32):9779〜9788(2003年))、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506;Tononら,FEBS J.,272(13):3401〜3412(2005年))、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種FJN−10Δ4脂肪酸デサチュラーゼ(配列番号38;GenBank登録番号AAZ43257)、およびパブロバ・ルセリ(Pavlova lutheri)(配列番号42;GenBank登録番号AAQ98793;Tononら、FEBS Lett.,553(3):440〜444(2003年))をDNASTARソフトウェアのMegAlign(商標)プログラムのClustal W法を使用して、(低速、正確、Gonnetオプション;Thompsonら,Nucleic Acids Res.,22:4673〜4680(1994年))図2に示すように位置合わせした。このアラインメントに基づいて、縮重プライマーを表4に示すようにデザインした(配列番号13、37、38、および42に対するプライマー位置を図2の枠線領域内に示す)。
Figure 2011516067
8個の順方向および2個の逆方向プライマーのあらゆる可能な組み合わせを使用して、合計16の異なるPCR増幅反応を実施した。各反応混合物は1μlの1:10希釈ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 cDNA(実施例2から)、各5μlの順方向および逆方向プライマー(20μM)、14μlの水、および25μlのTaKaRa ExTaq 2×プレミクス(TaKaRa Bio,(Mountain View,CA))を含有した。サーモサイクラー条件を94℃で1分間、次に94℃で20秒間、55℃で20秒間、および72℃で1分間を30サイクルと、それに続く72℃で7分間の最終延長に設定した。PCR産物を標準アガロースゲル上で電気泳動法によって分析し、推定上のΔ4デサチュラーゼ断片を下の表5に示すように検出した。
Figure 2011516067
上の表5に記載される各断片をQiagen PCR精製キット(Valencia,CA)で精製し、pCR2.1−TOPO(Invitrogen)にクローンして配列決定した。
BLAST「nr」データベース(全ての非重複性GenBank CDS翻訳と、3次元構造Brookhavenタンパク質データバンク、SWISS−PROTタンパク質配列データベース、EMBLおよびDDBJデータベースに由来する配列とを含む)に含まれる配列との類似性を求めるBLAST(基本的局所アラインメント検索ツール(Basic Local Alignmant Search Tool);Altschul,S.F.ら、J.Mol.Biol.,215:403〜410(1993年))検索を行って、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594配列のアイデンティティを判定した。国立バイオテクノロジー情報センター[「NCBI」]によって提供されるBLASTNアルゴリズムを使用して、「nr」データベース中に含まれる全ての公的に入手可能なDNA配列との類似性について配列を分析した。
BLAST配列分析は、プライマーペアD4−F4/D4−R1およびD4−F7/D4−R1によって生成された断片が、その他の生物からの既知のΔ4デサチュラーゼとの多大な相同性を示す単一遺伝子からのものであることを示した。配列を847bpのコンティグ(配列番号5)にアセンブルし、それはユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からの推定上のΔ4デサチュラーゼの一部をコードすると想定された。
実施例4
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からの全長Δ4デサチュラーゼの単離
実施例3に記載される配列番号5に記載の部分的847bp配列に基づいて、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594のcDNAサンプルからの推定上のΔ4デサチュラーゼ遺伝子の5’および3’末端を単離するように、プライマーをデザインした。
Δ4デサチュラーゼ5’コード領域の単離
ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594からの推定上のΔ4デサチュラーゼの5’領域をcDNA末端のネステッドPCR増幅によって単離した。推定上のΔ4デサチュラーゼ遺伝子の部分配列に基づいて、1回目の増幅のために、プライマー1594D4−5−1(配列番号30)をBD−Clontech Creator(商標)Smart(商標)cDNAライブラリーキットからの5’CDSIII PCRプライマー(配列番号12)と組み合わせて使用した。反応混合物は、1μlの各プライマー(10μM)、1μlのユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 cDNA(約50ng)、22μlの水、および25μlのTaKaRa ExTaq 2×プレミクスを含有した。サーモサイクラー条件を94℃で60秒間、次に94℃で20秒間、55℃で20秒間、および72℃で30秒間を30サイクルと、それに続く72℃で5分間の最終延長に設定した。
2回目のPCR増幅では、1回目のPCR反応からの1μlの希釈生成物をテンプレートとして使用し、PCR産物を水で1:50に希釈した。各1μlのプライマー1594D4−5−2(配列番号31)およびDNR CDS5−2(配列番号32)(各プライマーで10μMの原液)を使用したことを除いては、上述のように増幅を行った。
2回目のPCR産物からの359bpのDNA断片をpCR2.1−TOPO(Invitrogen)にクローンして配列決定した。分析は、この断片が元のE1594D4部分的断片(配列番号5)と部分的に重なって上流にさらに伸びることを示したので、本断片(配列番号6)を「E1594D4−5’−A」と称した。しかし配列番号6の延長された359bp断片には、翻訳開始コドンがなかった。既知のΔ4デサチュラーゼとの配列比較に基づいて、およそ400bpが5’末端から欠損していると想定された。
上述したのと同じPCR条件を用いて、上で利用される断片E1594D4−5’−Aを得るための方法を反復し、E1594D4遺伝子の追加的5’領域を得た。しかし1回目の増幅では、プライマー1594D4−5−4(配列番号33)でプライマー1594D4−5−1(配列番号30)を置き換えた。1回目の生成物の1:50希釈に続いて、プライマー1594D4−5−2(配列番号31)の代わりにプライマー1594D4−5−5(配列番号34)を使用して、2回目のPCRを行った。
2回目のPCR産物中の約400bpのDNA断片をpCR2.1−TOPOにクローンして配列決定した。配列分析は、この断片が開始コドンおよび9bpの5’非翻訳領域も含めてE1594D4遺伝子の5’末端を含有したことを示した。断片を「1594D4−5’−B」(配列番号7)と称した。
Δ4デサチュラーゼ3’コード領域の単離
推定上のΔ4デサチュラーゼの3’領域もまた、ネステッドPCR増幅によって単離された。1回目では、反応混合物は、各1μlのプライマー1594D4−3−1(配列番号35、10μM)およびプライマーCDSIII/3’PCRプライマー(配列番号11、10μM)、1μlのユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594 cDNA(約50ng)、22μlの水、および25μlのTaKaRa ExTaq 2×プレミクスを含有した。サーモサイクラー条件を94℃で60秒間、次に94℃で20秒間、55℃で20秒間、および72℃で30秒間を30サイクルとそれに続く72℃で7分間の最終延長に設定した。2回目のPCRでは、反応混合物は各1μlのプライマー1594D4−3−2(配列番号36、10μM)およびCDSIII/3’PCRプライマー(配列番号11、10μM)、1μlの1:50希釈された1回目のPCR産物、22μlの水、および25μlのTaKaRa ExTaq 2×プレミクスを含有した。PCR条件はその他の点では、1回目のPCRで使用したものと同一である。
2回目のPCRによって、約900bpのDNA断片を作り出した。この断片をpCR2.1−TOPOにクローンして配列決定した。配列分析は、この断片(「1594D4−3」と称され、配列番号8に記載される)が、E1594D4遺伝子の3’領域を含むことを示した。
完全なΔ4デサチュラーゼコード配列のアセンブリーおよび分析
E1594D4部分的断片(配列番号5)、1594D4−5’−A断片(配列番号6)、1594D4−5’−B断片(配列番号7)、および1594D4−3’断片(配列番号8)のアセンブリーにより、推定上のユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594Δ4デサチュラーゼ(E1594D4)遺伝子全体のcDNA配列を特定した。9bpの5’非翻訳領域および516bpの3’非翻訳領域を含む2070bpのcDNA配列を「E1594D4−cDNA」(配列番号9)と称した。E1594D4 CDS(配列番号1)は長さが1345bpであり、514個のアミノ酸のポリペプチド(配列番号2)をコードする。
NCBIによって提供されるBLASTXアルゴリズム(Gish,W.およびStates、D.J.,Nature Genetics,3:266〜272(1993年))を使用して、E1594D4配列(すなわち配列番号2)を「nr」データベース中に含まれる全ての公的に入手可能なタンパク質配列との類似性について比較した。配列番号2がそれに対して最大の類似性を有する配列を要約するBLASTX比較の結果を%同一性、%類似性、および期待値によって報告する。「%同一性」は、2つのタンパク質の間で同一であるアミノ酸の百分率と定義される。「%類似性」は、2つのタンパク質の間で同一であるかまたは保存されているアミノ酸の百分率と定義される。「期待値」は、このサイズのデータベース検索において全くの偶然として予期される所定スコアでのマッチ数を特定して、マッチの統計的有意性を推定する。
このようにして配列番号2は、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(配列番号37;GenBank登録番号AAX14506)からのΔ4脂肪酸デサチュラーゼのアミノ酸配列と、期待値0.0で、65%の同一性および76%の類似性を共有することが分かった。さらに全長E1594D4遺伝子は、その他のΔ4脂肪酸デサチュラーゼと同一性および類似性を共有する。より具体的にはClustal W分析(DNASTARソフトウェアのMegAlign(商標)プログラム)を使用した、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594(配列番号2)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)(配列番号37、前出)、ミドリムシ(Euglena gracilis)(配列番号13;GenBank登録番号AY278558)、およびスラウストキトリウム(Thraustochytrium)種FJN−10(配列番号38;GenBank登録番号AAZ43257)からのΔ4デサチュラーゼタンパク質の間のペアワイズ比較からは、下の表6に示す%類似性が得られた。
Figure 2011516067
実施例5
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のためにコドン最適化されたΔ4デサチュラーゼ遺伝子[「E1594D4S」]の合成
国際公開第2004/101753号パンフレットおよび米国特許第7,125,672号明細書に記載されるのと同様の方法で、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594(配列番号1および2;「E1594D4」)のΔ4デサチュラーゼ遺伝子のコドン使用頻度をヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のために最適化した。具体的には、ヤロウィア(Yarrowia)コドン使用頻度パターン(国際公開第2004/101753号パンフレット)、「ATG」翻訳開始コドン周囲の共通配列、およびRNA安定性原則(Guhaniyogi,G.およびJ.Brewer,Gene,265(1〜2):11〜23(2001年))に従って、E1594D4のΔ4デサチュラーゼ遺伝子のコード配列に基づいて、コドン最適化されたΔ4デサチュラーゼ遺伝子(「E1594D4S」と称する、配列番号3および4)をデザインした。1545bpのコード領域の内、合計200bpが改変され(12.9%;図3)、191個のコドンが最適化された(37.1%)。GC含量は、野性型遺伝子(すなわちE1594D4)中の56.1%から、合成遺伝子(すなわちE1594D4S)中の54.6%に低下した。E1594D4Sの翻訳開始コドンの周囲および停止コドンの後に、NcoI部位およびNotI部位をそれぞれ組み込んだ。NcoI部位を翻訳開始コドン周囲に付加するために、E1594D4Sは野生型E1594D4のアミノ酸残基1および2の間に挿入された1個の追加的アラニンアミノ酸を有した。したがってE1594D4Sの全長は515個のアミノ酸である(配列番号4)。デザインされたE1594D4S遺伝子(配列番号3;図4Aで「1594D4S」と標識する)は、GenScript Corporation(Piscataway,NJ)によって合成され、pUC57(GenBank登録番号Y14837)にクローンされてp1594D4S(図4A;配列番号39)が作り出された。
実施例6
E1594D4Sを含むpZKL4−220ESC4コンストラクトの作成
本実施例は、プラスミドpZKL4−220ESC4の構築について記載する。このプラスミドは2個のキメラC20/22エロンガーゼ遺伝子および1個のキメラE1594D4S遺伝子をヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のリパーゼ4様遺伝子座(GenBank登録番号XM_503825)に組み込むように構築される。これはキメラ遺伝子をヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のゲノム中に組み込み、次にヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中におけるユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594に由来するコドン最適化されたΔ4デサチュラーゼの機能を研究できるようにデザインされた。
プラスミドpZKL4−220ESC4(図4B)は、以下の構成要素を含有した。
Figure 2011516067
実施例7
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4184U4株中におけるコドン最適化されたΔ4デサチュラーゼ(「E1594D4S」)の発現
pZKL4−220ESC4プラスミドを含むE1594D4S(実施例6)をAscI/SphIで消化して、次に標準形質転換手順を使用してY4184U4株(一般方法)を形質転換するために使用した。形質転換体をMMプレート上で選択した。30℃で4日間の生育後、MMプレート上に生育した3つの形質転換体を選択して、新鮮なMMプレート上に再度画線塗抹した。ひとたび生育したら、これらの株および対照株を30℃の3mL液体MMに個々に接種して、250rpm/分で2日間振盪した。細胞を遠心分離によって収集し、高グルコース培地[「HGM」]に再懸濁して、次に250rpm/分で5日間振盪した。細胞を遠心分離によって収集し、脂質を抽出して脂肪酸メチルエステル[「FAME」]をエステル交換によって調製し、引き続いてHewlett−Packard 6890 GCで分析した。
結果を下の表8に示す。具体的には、脂肪酸は16:0(パルミチン酸)、16:1、18:0(ステアリン酸)、18:1(オレイン酸)、LA、ALA、EDA、DGLA、ARA、ETrA、ETA、EPA、DPA、およびDHAと同定され;脂肪酸組成は、総脂肪酸[「TFA」]の重量%(重量%)で表される。
Figure 2011516067
表8のGC分析は、3つの形質転換体全てで総脂質の約2%のDHAおよび10.2%のDPAが生成されたが、対照Y4184株では生成されなかったことを示した。E1594D4Sを発現する3つの形質転換株中の基質DPAのDHAへの変換効率は、約16%と測定された。変換効率は次式に従って測定された:([生成物]/[基質+生成物])*100、式中、「生成物」は直接生成物およびそれに由来する経路中の全ての生成物を含む。このようにしてこの実験データは、ユートレプチエラ・ギムナスチカ近種(Eutreptiella cf_gymnastica)CCMP1594に由来して、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成Δ4デサチュラーゼ(E1594D4S、配列番号3に記載される)が、基質DPAをDHAに変換する上で活性であったことを実証した。

Claims (10)

  1. (a)配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるΔ4デサチュラーゼ酵素をコードする単離されたヌクレオチド配列;
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSというハイブリダイゼーション条件下で(a)とハイブリダイズする単離されたヌクレオチド配列;
    (c)(a)または(b)と完全に相補的な単離されたヌクレオチド配列;および
    (d)配列番号2に記載の配列を有するポリペプチドとの比較でアラインメントのクラスタルW法に基づいて少なくとも68%の同一性を有する少なくとも514個のアミノ酸のΔ4デサチュラーゼ酵素をコードする第1のヌクレオチド配列、または第1のヌクレオチド配列の相補体を含む第2のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子
    からなる群から選択される単離された核酸分子。
  2. 少なくとも191個のコドンが、ヤロウィア中での発現のためにコドン最適化される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 配列番号1および配列番号3からなる群から選択される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 配列番号2および配列番号4からなる群から選択される、Δ4デサチュラーゼ酵素をコードするポリペプチド。
  5. 少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結した、請求項1に記載の単離された核酸分子を含むキメラ遺伝子。
  6. 請求項1に記載の単離された核酸配列を含み、好ましくは酵母;好ましくはヤロウィア、カンジダ、ロドトルラ、ロドスポリジウム、クリプトコッカス、トリコスポロン、およびリポマイセスからなる群から選択される油性酵母;藻類;細菌;ユーグレナ属;ストラメノパイル;真菌;および好ましくはダイズ、トウモロコシ、亜麻、ナタネ、サクラソウ、カノーラ、メイズ、綿、ベニバナ、およびヒマワリからなる群から選択される植物からなる群から選択される宿主細胞。
  7. 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、形質転換されたヤロウィア・エスピー。
  8. a)(i)アラインメントのクラスタルW法に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較したとき、少なくとも68%の同一性を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする単離されたヌクレオチド分子;および
    (ii)all−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(22:5、w−3)およびドコサテトラエン酸からなる群から選択される原料脂肪酸
    を含む宿主細胞を備えるステップと、
    b)Δ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする核酸断片が発現して、all−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(22:5、w−3)が原料脂肪酸である場合ドコサヘキサエン酸が生産される多価不飽和脂肪酸であり;ドコサテトラエン酸が原料脂肪酸である場合all−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(22:5、w−6)が生産される多価不飽和脂肪酸であるように、原料脂肪酸をall−cis−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(22:5、w−3)およびドコサテトラエン酸からなる群から選択される多価不飽和脂肪酸に変換する条件下でステップ(a)の宿主細胞を成長させるステップと;
    c)任意に、ステップ(b)で生産された多価不飽和脂肪酸を回収するステップと
    を含む、ドコサヘキサエン酸およびall−cis−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(22:5、w−6)からなる群から選択される多価不飽和脂肪酸を製造する方法。
  9. 単離された核酸分子が、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するΔ4デサチュラーゼポリペプチドをコードする、請求項8に記載の方法。
  10. a.)単離された核酸分子が配列番号1および配列番号3からなる群から選択される核酸配列を有し;
    宿主細胞が藻類;細菌;酵母;好ましくはヤロウィア、カンジダ、ロドトルラ、ロドスポリジウム、クリプトコッカス、トリコスポロン、およびリポマイセスからなる群から選択される油性酵母;ストラメノパイル;ユーグレナ属、真菌;植物細胞;および動物細胞からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
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