JP2011515328A - アトルバスタチンの効率的な製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アトルバスタチンの効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明はアトルバスタチンの効率的な製造方法に係り、さらに詳しくは、シス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートを出発物質としてC3及びC5位のジヒドロキシ基をトリアルキルオルトホルマートにより保護した後に末端ニトロ基またはシアノ基をアミン基に還元し、その後、エチル4−フルオロベンゼン−2−ハロアセタート及びイソブチリルクロリドで順次にN−アルキル化反応させ、そして、N,3−ジフェニルプロピンアミドとの環化反応、さらに、脱保護及び加水分解反応といった一連の製造過程を行うことにより、高脂血症治療剤として有効な下記の一般式1で表わされるアトルバスタチンを効率的に合成する方法に関する。
Figure 2011515328

【選択図】なし

Description

本発明はアトルバスタチンの効率的な製造方法に係り、さらに詳しくは、シス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートを出発物質としてC3及びC5位のジヒドロキシ基をトリアルキルオルトホルマートにより保護した後に末端ニトロ基またはシアノ基をアミン基に還元し、その後、エチル4−フルオロベンゼン−2−ハロアセタート及びイソブチリルクロリドで順次にN−アルキル化反応させ、そして、N,3−ジフェニルプロピンアミドとの環化反応、さらに、脱保護及び加水分解反応といった一連の製造過程を行うことにより、高脂血症治療剤として有効な下記の一般式1で表わされるアトルバスタチンを効率的に合成する方法に関する。
Figure 2011515328
アトルバスタチンは、HMG Co A還元酵素抑制活性に優れていることから高脂血症治療剤として有効であり、現在、リピトール(Lipitor(tm))という製品名として市販されている。
アトルバスタチンの製造方法については多くの研究が進んでいる。(例えば、下記の特許文献1〜6、及び非特許文献1参照)
これまで発表されているアトルバスタチンの最も一般的な製造方法は、下記の反応式1の通りである。下記の反応式1によるアトルバスタチンの製造方法においては、下記の一般式16で表わされる化合物を反応中間体として製造した後、シス−ジオールの光学活性構造を有する一般式10−A化合物を得るステップを含んでなる。
反応式1
Figure 2011515328
すなわち、前記反応式1においては、出発物質として前記一般式12で表わされるエチルα−ブロモ−4−フルオロベンゼンアセタートを使用し、これをエチルジオキサランエチルアミドと反応させて前記一般式13で表わされる化合物を製造した。
その後、前記一般式14で表わされる3級アミン化合物を製造して環化反応させることにより、アトルバスタチンの骨格構造を有する前記一般式15で表わされる化合物を製造した。さらに、オキサラン基をアルデヒド基に変換した前記一般式16で表わされる化合物を製造した後に3段階以上の多段階工程を経て前記一般式17で表わされる化合物を製造した。さらに、前記一般式17で表わされる化合物のケトン基を還元してシス−ジオールの光学活性構造を有する前記一般式10−Aで表わされる化合物を製造した後、いくつかの段階の過程を経てアトルバスタチンを製造した。
しかしながら、前記反応式1による従来の製造方法は、下記の如き理由により産業的に適用するには限界がある。
1)N−アルキル化反応と環化反応などの製造工程後の後期工程においてケトン基の還元反応によりシス−ジオールの光学活性(キラル)構造を誘導している。すなわち、前記一般式10−Aで表わされるシス−ジオールの光学活性化合物を後期工程に誘導するためにいくつかの段階の製造工程を迂回していて製造工程が増えてしまう結果、歩留まりが格段に低下して経済性に乏しく、超低温(−78℃)の厳しい反応条件が維持される必要があるなど産業的に適用するには限界がある。
2)前記一般式14で表わされる化合物とN,3−ジフェニルプロピンアミドとの環化反応は無水酢酸下で100℃以上の高温中で反応しなければならず、しかも、反応後に無水酢酸を濃縮除去しなければならないといった精製過程の困難さなどにより環化反応の歩留まり(43%)が極めて低い原因となっている。
3)前記一般式15で表わされる化合物のオキサラン基をアルデヒド基に変換する反応は、48時間の長い反応時間を要しており、反応条件もまた還流反応条件として産業的に利用する上で難点があり、歩留まりも68.5%と低い。
上述した理由から、前記反応式1によるアトルバスタチンの一般的な製造方法は産業的に適用する上で好適なものではない。
前記反応式1による従来の製造方法を補完したアトルバスタチンの改善された製造方法が発表され、これを簡略に示すと、下記の反応式2の通りである。
反応式2
Figure 2011515328
前記反応式2による改善された製造方法においては、前記一般式4−Aで表わされる化合物と前記一般式11で表わされる化合物との間の環化反応を誘導して、アトルバスタチンの骨格構造を有する前記一般式10−Aで表わされる化合物を製造した。
また、前記反応式2による製造方法において環化反応に用いられる前記一般式4−Aで表わされる化合物と前記一般式11で表わされる化合物は、それぞれ下記反応式2aと2bで表わされる製造過程を行うことにより製造した。
反応式2a
Figure 2011515328
反応式2b
Figure 2011515328
しかしながら、前記反応式2による改善された製造方法もまた下記の如き理由から産業的に適用するには限界がある。
1)前記一般式9−Aで表わされる化合物を製造するための環化反応が、100℃以上の高温条件下で48時間以上の長時間に亘って行われるといった欠点がある。
2)前記環化反応に用いられる化合物を多段階の製造過程を行うことにより製造しており、特に、前記一般式11で表わされる4−(4−フルオロフェニル)−2−イソブチリル−3−フェニル−4−オキソ−N−フェニル−ブチリルアミド化合物の製造歩留まりは35%以下であり、原料物質の合成過程が経済的ではないという欠点がある。
3)前記一般式9−Aで表わされる化合物の光学活性ジヒドロキシ基が2,2−ジメチルジオキサンにより保護化されていて、脱保護化が容易ではないという欠点がある。
4)前記一般式9−Aで表わされる化合物を脱保護するためには、過量(反応物に対して20%w/v以上)の酸を用いて80℃以上の高温条件下で8時間以上露出しなければ脱保護化が行われず、且つ、65%以下の低い歩留まりを示すという欠点がある。
以上述べた理由から、前記反応式2によるアトルバスタチンの改善された製造方法もまた厳しい反応条件を要しており、製造歩留まりが低いだけではなく、純度もまた低くて産業的に適用する上で好適なものではない。
他の製造方法として、例えば、下記の特許文献7においては、アトルバスタチン合成用の中間体として保護化反応と脱保護反応を比較的に行い易い化学構造を有する下記の一般式4−Bで表わされる化合物が発表されている。
Figure 2011515328
前記一般式4−Bで表わされる化合物は、ジヒドロキシ保護基として2,2−ジメチルジオキサンを導入した前記一般式4−Aで表わされる化合物に比べて保護化反応と脱保護反応条件が全般的に緩やかで且つ歩留まりが増大されたという効果を得ている。
以上述べたように、前記一般式1で表わされるアトルバスタチン化合物の製造のための従来の方法は産業的に利用するには限界があることが指摘されている。
国際特許公開WO98/04543号 米国特許登録第5,124,482号 米国特許登録第5,216,174号 米国特許登録第5,273,995号 米国特許登公開第2004/0072893号 大韓民国特許登録第75791号 大韓民国公開特許第2004−84915号
J. Med. Chem., 1991, 34, 357〜366
本発明は産業的に利用可能であり、且つ、不純物を生成することなく高い歩留まりと高い純度にて目的とする前記一般式1で表わされるアトルバスタチン化合物を製造することのできる新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の反応式3に示すように、下記の如き製造過程を含んでなるアトルバスタチン化合物の製造方法を提供することを特徴とする:
i)下記の一般式2で表わされるシス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートを酸触媒下でCH(ORで表わされるトリアルキルオルトホルマートと保護化反応させて、下記の一般式3で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−置換−ヘキサノアートを製造する過程と、
ii)下記の一般式3で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−置換−ヘキサノアートの末端ニトロ基またはシアノ基を還元反応させて、下記の一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアートを製造する過程と、
iii)下記の一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアートをエチル4−フルオロベンゼン−2−ハロアセタート及びイソブチリルクロリドと順次にN−アルキル化反応させて、下記の一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアートを製造する過程と、
iv)下記の一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアートをN,3−ジフェニルプロピンアミドと環化反応させて、下記の一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドを製造する過程と、
v)下記の一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドをアルコール溶媒及び酸触媒の条件下で脱保護反応させた後に、水溶液中で加水分解して、下記の一般式1で表わされるアトルバスタチンを製造する過程。
反応式3
Figure 2011515328
前記反応式3において、Rはニトロメタン基(CHNO)またはシアノ基(CN)を示し、RはH、C−Cのアルキル基、置換または非置換のフェニル基、または置換または非置換のナフチル基を示し、R及びRはそれぞれH、C−Cのアルキル基、置換または非置換のフェニル基、または置換または非置換のナフチル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。
また、前記反応式3による一連の製造過程を行う過程において、反応中間体として合成される前記一般式4、一般式7及び一般式9で表わされる化合物のそれぞれは新規な化合物であるが、本発明は新規な化合物として前記一般式4、一般式7及び一般式9で表わされる化合物を提供することを特徴とする。
本発明による前記一般式1で表わされるアトルバスタチンの製造方法においては、下記の如き効果を得ている。
1)ジヒドロキシ基が保護化された光学活性ジオール中間体を反応初期に合成してアトルバスタチンの作用基を高い歩留まりにて先に導入した後に環化反応を行うことから、各製造段階において生成される中間体を96%(HPLCエリア%)以上の高純度にて製造することができるという効果を得ている。
2)ジヒドロキシ基の保護化剤としてトリアルキルオルトホルマートを選択使用することにより、7段階の工程のうち4工程が産業的に極めて容易な室温以下の反応温度条件下でも1〜2時間内に目的化合物をほとんど定量的に得るという効果を得ている。
3)ジヒドロキシ基の保護化剤としてトリアルキルオルトホルマートを選択使用することにより、0℃〜室温の条件下でも保護化反応が可能であり、脱保護化反応と加水分解反応を連続して行うことができることから、目的とするアトルバスタチンを高い歩留まりと高い純度(98%以上、HP LCエリア%)にて得るという効果を得ている。
以下、本発明の製造方法を各製造過程別に詳述する。
i)過程は、前記一般式2で表わされるシス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートのジヒドロキシ基を保護化する過程である。本発明においては、ジヒドロキシ基の保護化剤としてCH(ORで表わされるトリアルキルオルトホルマートを選択使用したところにその特徴がある。本発明の保護基の導入反応をより具体的に説明すると、前記一般式2で表わされるシス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートを酸触媒下で適切な溶媒を用いて0℃〜室温の反応温度、好ましくは、0℃〜5℃の温度範囲の緩やかな反応条件下でトリアルキルオルトホルマートによりジヒドロキシ基を定量的に保護化することができた。保護化反応に用いられる酸触媒としては、硫酸、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファスルホン酸(CSA)及びp−トルエンスルホン酸などよりなる群から選ばれるものを使用することができる。好適な溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルエーテル、ベンゼン、ジクロロメタン及びアセトニトリルよりなる群から選ばれるものを使用することができる。
ii)過程は、前記一般式3で表わされるジヒドロキシ基が保護された化合物の末端ニトロ基またはシアノ基をアミノ基に還元する過程である。前記還元反応は、THFと炭素数1〜4のアルコールとの混合溶媒、パラジウム触媒、及びアンモニアまたはアンモニウムホルマートを使用する条件下で室温下で水素化反応して行う。より具体的に、前記一般式3で表わされるジヒドロキシ基が保護された化合物をアンモニアまたはアンモニウムホルマートが存在するTHFとメタノールとの混合溶媒において、10%のパラジウム/カーボン触媒を用いて20℃〜30℃の温度条件下で水素化反応して前記一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアートを製造した。
iii)過程は、前記一般式4で表わされる化合物の末端アミン基をN−アルキル化反応させて3級アミン基に変換する過程である。N−アルキル化反応に用いられるアルキル化剤はエチル4−フルオロベンゼン−2−ハロアセタート及びイソブチリルクロリドであり、これらのアルキル化剤を順次に反応させて前記一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアートを製造した。上述したN−アルキル化反応は0℃〜5℃の温度下で行い、反応は1〜2時間内に高純度(95%以上)にて目的とする前記一般式7で表わされる化合物を適量的に得ることができた。好適な溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルエーテル、ベンゼン、ジクロロメタン及びアセトニトリルよりなる群から選ばれるものを使用することができる。なお、必要に応じて、塩基をさらに使用することができる。塩基は当分野において汎用されている無機または有機塩基であり、好ましくは、1級、2級または3級のC10アルキルアミン、ピリジンなどの有機塩基を使用する。
iv)過程は、前記一般式7で表わされる3級アミン化合物をN,3−ジフェニルプロピンアミドと環化反応させる過程である。環化反応は無水酢酸中で60℃〜90℃の温度に加熱する条件下で行い、これにより、前記一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドを製造した。
v)過程は、前記一般式9で表わされる環化化合物を脱保護及び加水分解して本発明が目的とする前記一般式1で表わされるアトルバスタチンを製造する過程である。脱保護反応は、炭素数1〜4のアルコール及び酸触媒条件下で0℃〜室温(概ね25℃)の比較的に緩やかな反応条件下で行う。脱保護反応に用いられる酸触媒としては、硫酸、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファスルホン酸(CSA)、p−トルエンスルホン酸などよりなる群から選ばれるものを使用することができる。脱保護反応は、具体的には、メタノールまたはエタノールのアルコール溶媒とHCl水溶液内において0℃〜室温(約25℃)において1〜1.5時間攪拌して前記一般式10で表わされる化合物を製造した。また、脱保護反応としては、反応溶媒として水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、及びジクロロメタンよりなる群から選ばれる単独または混合溶媒をさらに使用することもできる。上述した脱保護反応が完了すると、加水分解反応を連続して行うことができるが、加水分解反応は水溶液中で行う。具体的に、加水分解反応は前記一般式10で表わされる化合物含有反応液に精製水を加えて固体化した後に残留する酸を除去し、メタノールに溶かした後に連続して水酸化ナトリウム入り水溶液を加えて加水分解反応を連続して行った。前記加水分解反応が終了すると、反応溶液に酸を加えてpH1〜4の範囲、好ましくは、pH2〜3の範囲に調整して、目的とする前記一般式1で表わされるアトルバスタチンを得た。本発明による脱保護反応と加水分解反応は連続して行い、2段階の製造工程は88.3%の高い歩留まりにて行われた。
上述したように、本発明の製造方法は、その製造過程が比較的に簡単であり、反応条件が緩やかである他、製造歩留まり及び純度が高くて高脂血症治療剤として有効な薬品であるアトルバスタチンの工業的な生産方法として適用する上で極めて好適である。
このように、本発明を下記の実施例に基づいて一層詳述するが、本発明が下記の実施例により限定されるものではない。
[実施例]
実施例1.シス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−7−ニトロ−ヘプタノアート(一般式3)の合成
シス−t−ブチル−7−ニトロ−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタノアート5g(19.0mmol)を45mLのTHFに溶かした後に0℃まで冷却した。反応物に2滴のCHSOHを加えた後に2.5mL(22.8mmol)のCH(OCHを徐々に加えた。反応物を30分間温度を維持しながら攪拌した後にトリエチルアミン(TEA)により中和後に濃縮した。反応物に20mLのHOを加えた後にジクロロメタン50mLにより抽出し、塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムにより乾燥後に減圧濃縮して、無色オイルの表題のエピマー化合物を定量的に得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 4H), 2.23(dd, 2H), 2.62(t, 2H), 3.18(s, 3H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.87(s, 1H)
実施例2.シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−7−ニトロ−ヘプタノアート(一般式3)の合成
前記実施例1の方法と同様にして保護化反応を行うが、保護化剤としてCH(OEtを用いて表題の化合物を定量的に得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0(t, 3H), 1.28(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 4H), 2.23(dd, 2H), 2.62(t, 2H), 3.23(t, 2H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.87(s, 1H)
実施例3.シス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−6−シアノ−ヘキサノアート(一般式3)の合成
前記実施例1の方法と同様にして保護化反応を行うが、出発物質としてシス−t−ブチル−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアート(19.0mmol)を用いて無色オイルの表題化合物を定量的に得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 4H), 3.18(s, 3H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.87(s, 1H)
実施例4.シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−6−シアノ−ヘキサノアート(一般式3)の合成
前記実施例1の方法と同様にして保護化反応を行うが、出発物質としてシス−t−ブチル−6−シアノ−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアート(19.0mmol)を使用し、保護化剤としてCH(OEtを用いて無色オイルの表題化合物を定量的に得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0(t, 3H), 1.28(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 4H), 3.26(t, 2H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.87(s, 1H)
実施例5.シス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアート(一般式4)の合成
前記実施例1において得られたシス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−7−ニトロ−ヘプタノアート5g(18.2mmol)を50mLのMeOHと50mLのTHFとの混合溶媒にアンモニアが飽和された溶液に入れ、10%のPd/C触媒下で室温において6時間水素化反応を行い、無色オイルの表題化合物4.43g(88.6%)を得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.4〜2.8(m, 4H), 3.18(s, 3H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.86(s, 1H).
実施例6.シス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアート(一般式4)の合成
前記実施例5の方法と同様にして還元反応を行うが、アンモニアに代えてアンモニウムホルマート5.7g(90.8mmol)を入れて反応して、表題化合物4.63g(92.6%)を得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0〜1.2(m, 1H), 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 4H), 3.18(s, 3H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.86(s, 1H).
実施例7.シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアート(一般式4)の合成
前記実施例5の方法と同様にして還元反応を行うが、反応物質としてシス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−7−ニトロ−ヘプタノアートを用いて表題化合物(歩留まり89.8%)を得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0(t, 3H), 1.28(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 4H), 3.26(t, 2H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.87(s, 1H).
実施例8.シス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−6−アミノ−(N−エチル−(4−フルオロベンゼン)−アセタート)−ヘプタノアート(一般式6)の合成
前記実施例5において得られたシス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアート5g(18.2mmol)を窒素下でアセトニトリル50 mLに溶かした後にトリエチルアミン(TEA;6.34mL、45.5mmol)を入れて0℃まで冷却した。そして、エチル2−ブロモ−4−フルオロベンゼンアセタート5.7g(21.2mmol)をアセトニトリル10mLに溶かした溶液を徐々に加えた後に30分間攪拌し、室温において2時間さらに攪拌した後に濃縮した。反応物に30mLの1N−HClを加えた後にジクロロメタン80mLにて抽出した。抽出液を0℃まで冷却した後に2N−NaOH溶液20mLを加えて30分間攪拌後に有機層を分離した。有機層を水、塩水により順次に洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥してろ過した。
ろ液を減圧濃縮して表題化合物を7.69g(93.0%)得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0〜1.2(m, 4H), 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 4H), 3.1〜3.4(m, 5H), 3.56(s, 1H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.86(s, 1H), 6.7〜7.3(m, 4H).
実施例9.シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−6−アミノ(N,N−((4−フルオロベンゼン)イソブチリル)−酢酸)−ヘプタノアート(一般式7)の合成
前記実施例8において得られたシス−t−ブチル−2−メトキシ−3,5−ジオキサン−6−アミノ−(N−エチル−(4−フルオロベンゼン)−アセタート)−ヘプタノアート15g(32.9mmol)を窒素下で150mLのCHClに溶かした後にトリエチルアミン(TEA;5.5mL、39.54mmol)を入れて0℃まで冷却した。そして、イソブチリル5.15mL(49.4mmol)を30mLのCHClに溶かした溶液を徐々に加えた。反応液の温度を維持しながら1.5時間攪拌した後に30mLの2N−HCl、水100mLにより順次に洗浄後に減圧濃縮した。濃縮液を20mLのMeOHにより溶かした後に1.5gのNaOHを水10mLに溶かした後に加えて0℃において1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後にpH2.0に調整し、ジクロロメタンにより抽出した。抽出液を水と塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥、濃縮して固体の表題化合物16.6g(96.3%)を得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0〜1.2(m, 10H), 1.29(s, 9H), 1.4〜1.6(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 5H), 3.1〜3.4(m, 5H), 3.56(s, 1H), 3.76(m, 1H), 4.34(m, 1H), 5.86(s, 1H), 6.7〜7.3(m, 4H).
実施例10.5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミド(一般式9)の合成
前記実施例9において得られたシス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−6−アミノ(N,N−((4−フルオロベンゼン)イソブチリル)−酢酸)−ヘプタノアート8g(15.2mmol)とN,3−ジフェニルプロピンアミド4.1g(18.2mmol)を窒素下で無水酢酸100mLに入れて75〜80℃において5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後に冷水300mLを加え、その後、エチルアセタートにより抽出した。抽出液をさらに冷水により繰り返し洗浄した後に濃縮した。濃縮液をエチルアセタート/ヘキサン中で再結晶化して白色固体の表題化合物6.8g(68.7%)を得た。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0〜1.3(m, 18H), 1.89(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 7H), 3.1〜3.4(m, 4H), 3.56(s, 1H), 5.86(s, 1H), 6.7〜7.3(m, 14H).
実施例11.5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−3,5−ジヒドロキシ−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミド(一般式10)の合成
前記実施例10において得られた5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−エトキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミド10gを60mLのMeOHに入れて6mLの2N−HClを加えた後に室温において1.5時間攪拌して表題化合物を定量的に得た。それ以上の精製過程なしに直ちに次の加水分解反応に供した。
1H NMR(CDCl3) δ 1.0〜1.3(m, 15H), 1.89(m, 2H), 2.2〜2.7(m, 7H), 3.3(t, 2H), 3.56(s, 1H), 5.86(s, 1H), 6.7〜7.3(m, 14H).
実施例12.アトルバスタチンNa塩(一般式1)の合成
前記実施例11において得られた5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−3,5−ジヒドロキシ−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドが溶解されているMeOH溶液を0℃まで冷却後に3N−NaOH水溶液により丁寧にpHを12に調整した後に室温において2時間攪拌した。攪拌中にpHは補正し続けた。薄層クロマトグラフィー(TLC)及びHPLCにより出発物質が完全に除去されることが確認されると、0℃において2時間さらに攪拌し且つろ過した。ろ過された白色固体物を減圧下で35〜40℃において乾燥して、白色固体のアトルバスタチンナトリウム塩6.4g(74.4%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6) δ 9.84(s, 1H), 7.4〜7.9(m, 2H), 6.9〜7.0(m, 12H), 3.93(br, 1H), 3.74(br, 2H), 3.0〜 3.2(m, 1H) 2.0〜1.93(m, 4H), 1.2〜1.36(m, 9H)
以上述べたように、本発明は、アトルバスタチンの製造に当たって、特定の作用基を導入するための製造過程が不要になるだけではなく、7段階ともに製造過程が比較的に緩やかな反応条件下で短い反応時間によりアトルバスタチンを高い歩留まりにて製造し、しかも、商業的な生産性に優れている。

Claims (11)

  1. i)下記の一般式2で表わされるシス−t−ブチル−6−置換−3,5−ジヒドロキシ−ヘキサノアートを酸触媒下でCH(ORで表わされるトリアルキルオルトホルマートと保護化反応させて、下記の一般式3で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−置換−ヘキサノアートを製造する過程、
    Figure 2011515328
    前記反応式において、Rはニトロメタン基(CHNO) またはシアノ基(CN)を示し、RはC−Cのアルキル基を示す;
    ii)下記の一般式3で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−置換−ヘキサノアートの末端ニトロ基またはシアノ基を還元反応させて、下記の一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアートを製造する過程、
    Figure 2011515328
    前記反応式において、Rはニトロメタン基(CHNO)またはシアノ基(CN)を示し、RはC−Cのアルキル基を示す;
    iii)下記の一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアートをエチル4−フルオロベンゼン−2−ハロアセタート及びイソブチリルクロリドと順次にN−アルキル化反応させて、下記の一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアートを製造する過程、
    Figure 2011515328
    前記反応式において、R及びRはそれぞれC−Cのアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す;
    iv)下記の一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアートをN,3−ジフェニルプロピンアミドと環化反応させて、下記の一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドを製造する過程、
    Figure 2011515328
    前記反応式において、R及びRはそれぞれC−Cのアルキル基を示す;
    v)下記の一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミドをアルコール溶媒及び酸触媒の条件下で脱保護反応させた後に、水溶液中で加水分解して、下記の一般式1で表わされるアトルバスタチンを製造する過程、
    Figure 2011515328
    前記反応式において、RはC−Cのアルキル基を示す;
    を含んでなることを特徴とするアトルバスタチンの製造方法。
  2. 前記保護化反応は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルエーテル、ベンゼン、ジクロロメタン、及びアセトニトリルよりなる群から選ばれる有機溶媒を使用する条件下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記保護化反応は、硫酸、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファスルホン酸(CSA)、及びp−トルエンスルホン酸よりなる群から選ばれる酸触媒を使用する条件下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記還元反応は、テトラヒドロフランとアルコールとの混合溶媒、パラジウム触媒、及びアンモニアまたはアンモニウムホルマートを使用する条件下で水素化反応を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記N−アルキル化反応は有機塩基の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記環化反応は無水酢酸内で60℃〜90℃に加熱する条件下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記脱保護反応は、炭素数1〜4のアルコール溶媒と、硫酸、塩酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファスルホン酸(CSA)、及びp−トルエンスルホン酸よりなる群から選ばれる酸触媒を用いて0℃〜25℃の温度条件下で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記脱保護反応は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、及びジクロロメタンよりなる群から選ばれる単独または混合溶媒をさらに使用する条件下で行うことを特徴とする請求項1または請求項7に記載の製造方法。
  9. 下記の一般式4で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミノ−ヘプタノアート:
    Figure 2011515328
    式中、RはC−Cのアルキル基を示す。
  10. 下記の一般式7で表わされるシス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−6−N,N−ジ置換アミノ−ヘプタノアート:
    Figure 2011515328
    式中、R及びRはそれぞれC−Cのアルキル基を示す。
  11. 下記の一般式9で表わされる5−(4−フルオロフェニル)−2−(1−メチルエチル)−1−(シス−t−ブチル−2−アルコキシ−3,5−ジオキサン−7−アミド−ヘプタノアート)−N,4−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボキスアミド:
    Figure 2011515328
    式中、RはC−Cのアルキル基を示す。
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