JP2011515326A - スルフィド化合物及び有機硫黄−インジウム錯体を利用したスルフィド化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、A.Schlapbachほかは、Tetrahedron(2001, 57, 3069)で、カリウム・ヒーブトキサイドとパラジウム触媒下で、芳香族ヨウ化物とチオールをの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、反応が芳香族ヨウ化物に制限されており、かつ必ずカリウム・ヒーブトキサイドを使用しなければならない。
L.S.Leibeskindほかは、Org.Lett.(2002, 4, 4309)で、銅触媒下で芳香族ホウ素酸とチオイミド間の反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告しているが、24時間の反応時間が必要である。
D.Venkataramanほかは、Org.Lett.(2002, 4, 2803)で、ナトリウム・ヒーブトキサイドと銅−neocuprine触媒の存在下、芳香族ヨウ化物とチオール間の反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、前記反応は芳香族ヨウ化物の反応に制限され、かつ110℃で24時間の反応が必要である。
R.Lereboursほかは、J.Org.Chem.(2003, 68, 7077)で、パラジウム触媒といろいろな塩基の存在下で、芳香族ハライド化合物とチオールにより炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は、トルエン中で48時間のあいだ高温にしなければならない。
D.Venkataramanほかは、Org.Lett.(2004, 6, 5005)で、銅−neocuprine触媒とK3PO4の存在下で、不飽和ヨウ化物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は不飽和ヨウ化物に制限され、かつ110℃で反応が行われなければならない。
P.Zhangほかは、J.Org.Chem.(2004, 69, 8886)で、パラジウム触媒とCs2CO3の存在下で、芳香族ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告しているが、この反応は過量の試薬を使用して20時間以上の加熱が行われなければならない。
T.Itohほか1名は、Org.Lett.(2004, 6, 4587)で、パラジウム触媒とi−Pr2NET塩基の存在下で、芳香族ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は、多量の触媒量と、長い反応時間が必要とされる。
S.L.Buchwaldほかは、Tetrahedron(2004, 60, 7397)で、パラジウム触媒とナトリウム・ヒーブトキシドの存在下で芳香族ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は、強塩基を必要とし、ジオキサン中で18時間反応をさせなければならない。
P.Belslinほかは、Tetrahedron(2005, 61, 5253)で、パラジウム触媒とK2CO3の存在下で、芳香族ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応はキシレン中で、140℃で24時間反応をさせなければならない。
I.Tellituほかは、Chem.Eur.J.(2006, 13, 5100)で、銅−ジアミン触媒の存在下で、不飽和ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は、反応試薬を2倍に使用し、120℃で10時間以上反応させなければならない。
Y.J.Chenほかは、Org.Lett.(2006, 8, 5609)で、銅−tripod触媒とCs2CO3との存在下で、芳香族ヨウ化物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、芳香族ヨウ化化合物だけ使用されており、24時間加熱反応が行われなければならない。
C.H.Chengほかは、Org.Lett.(2006, 8, 5613)で、コバルト−亜鉛触媒とピリジンの存在下で芳香族ハライド化合物とチオールの反応により素−硫黄結合が形成されることを報告したが、1当量以上の亜鉛を還元剤に使用し、10時間加熱反応が行われなければならない。
J.F.Hartwigほかは、J.Am.Chem.Soc.(2006, 128, 2180)で、パラジウム触媒下で、芳香族ハライド化合物とチオールの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、特別に考案されたリガンドを使用して強塩基条件下で高温で反応が行われなければならない。
J.Y.Yingほかは、Org.Lett.(2007, 9, 3495)で、ニッケル−NHC触媒とカリウム・ブトキシドの存在下で、芳香族ハライド化合物とチオールとの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、この反応は強塩基の使用と16時間の加熱反応が行われなければならない。
E.Dominguezほかは、Chem.Eur.J.(2007, 13, 5100)で、銅−ジアミン触媒下で、芳香族ヨウ化物とチオールとの反応により炭素−硫黄結合が形成されることを報告したが、芳香族ヨウ化物だけ使用しており、水中で120℃で10時間以上反応が行われなければならない。
つまり、従来のスルフィド化合物の合成方法は、反応時間が長いという短所があるので、反応時間を短縮させながら高い反応収率を得ることができ、反応時間の短縮とリガンド添加剤のような試薬の使用を減らしながら定量的な反応が行われるようにする新しい合成法の研究が必要である。
下記化学式1で示される有機スルフィド化合物の製造方法において、R1が化学式3で示される求核試薬に由来し、Rが化学式2で示される硫黄・インジウム錯体に由来することを特徴とする
有機硫黄−インジウム錯体を利用した有機スルフィド化合物の製造方法。
前記化学式1のRは、フェニル;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する芳香族化合物;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基を有する芳香族化合物;ハライド、エステル、ニトロ、アルデヒド、ケトン、シアン化物、アミド、或いは、カルボン酸基を有する芳香族化合物;窒素、酸素、或いは、硫黄を有する芳香族ヘテロ環化合物;または、炭素数が1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。)
本発明によるスルフィド化合物の製造方法は、下記化学式1乃至4に示される試薬を用いて行われる。
本発明で使用される求核体は、芳香族ハライド若者族ハライド類似物、不飽和ハライド及び不飽和ハライド類似物が使用され、芳香族化合物と類似ハライド化合物置換基はこの反応に大きな影響を及ぼさない。
そして、化学式1でのRは、有機硫黄−インジウム(In)錯体のRから誘導され、フェニル;p−トリル;p−アニシル;p−F−C6H4;t−ブチル;i−プロピル或いは、n−プロピル及びその他の基が使用される。反応生成物の構造は、前記インジウム錯体の置換基Rの制御によって決定される。
また、本発明の触媒は、PdCl2,PdBr2,Pd(OAc)2,Pd(CH3CN)2Cl2,Pd(PhCN)2Cl2,Pd2dba3CHCl3,Pd(PPh3)4,及び[(allyl)PdCl]2からなる群から選択されるパラジウム触媒が使用され、添加剤は、LiCl,LiBr,LiI,K3PO4,Na2CO3,Cs2CO3,Me2NBun,ピリジン,TEA(トリエチルアミン),DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン),N−メチルピロリジノン,N−メチルピペリジンからなる群から選択されて使用される。そして、前記パラジウム触媒と添加剤は求核体に対して1乃至10mol%が使用される。
また、本発明の方法は、使用する求核体(化学式3)の種類と有機硫黄−インジウム錯体(化学式1)の種類を調節して多用な種類の有機スルフィド化合物を合成することができる。例えば、ナフチル基、多様な置換基を有する芳香族化合物、N, O或いはSを含むヘテロ芳香族化合物、不飽和ハライド化合物または不飽和ハライド化合物の類似物が使用される。それゆえ、本発明によれば、親核体と有機硫黄−インジウム錯体の組み合わせによりいろいろな有機スルフィド化合物を合成することができる。
一方、下記で叙述した例は、本発明を説明するための例に過ぎない。従って、本発明の属する技術分野の通常的な専門家が、本詳細な説明を参照して部分変更使用したものも本発明の範囲に属するのは当然のことである。
前記結果物の1H−NMRスペクトル(300MHz,CDCl3,25。C)δ7.8−8.74(m,4H),7.49〜7.36(m,5H),7.33−7.23(m,3H)。
前記結果物を1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3,25。C)δ8.06(s,1H),7.89(d,J=7.8Hz,1H),7.56(d,J=7.8Hz,1H),7.36(t,J=7.8Hz,1H),4.38(q,J=7.1Hz,2H),3.44(sep,J=6.7Hz,1H),1.40(t,J=7.1Hz,3H),1.31(d,J=6.7Hz,6H)。
前記結果物を1H−NMRスペクトル(300MHz,CDCl3)δ8.40−8.38(m,1H),7.90〜7.85(m,2H),7.67(d,J=7.2Hz,1H),7.52−7.49(m,2H),7.43(t,J=8.4Hz,1H),7.25〜7.17(m,5H)。
前記結果物を1H−NMRスペクトル(300MHz,CDCl3)δ7.60(m,10H),6.70(d,J=15.4Hz,1H),6.62(d,J=15.4Hz,1H)。
前記結果物を1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3)δ7.51−7.49(m,2H),7.35−7.32(m,3H),4.26(q,J=7.2Hz,2H),2.42−2.40(m,2H),2.02−1.99(m,2H),1.61−1.52(m,4H),1.32(t,J=7.2Hz,3H)。
前記結果物を1H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3)δ7.84(d,J=7.6Hz,2H),7.54(dd,J=7.6,6.7Hz,2H),7.41(d,J=6.7Hz,1H),3.73(sep,J=6.8Hz,1H),3.62(d,J=6.8Hz,1H),1.52(d,J=6.8Hz,6H),1.46(d,6.8Hz,6H)。
化学式1で示されるスルフィド化合物誘導体は、現在まで発表された文献と比較した時、より短い反応時間に優秀な収率で合成する方法を提示している。前記化学式2で示される有機硫黄−インジウム錯体と有機求核試薬間の交差−カップリング反応を介して炭素−硫黄結合を形成させる反応で、有機求核試薬内の置換基による影響が大きくないということが分かる。また、反応に使用される前記化学式2で示される有機硫黄−インジウム錯体試薬を過量に使用せずに、当量だけ使用しても定量的な収率を得ることができ、反応後の副産物が少なくて分離と精製が容易なので、多様な種類のスルフィド化物を合成することのできる方法の提供が可能になった。
Claims (10)
- 下記化学式1で示される有機スルフィド化合物の製造方法において、R1が化学式3で示される求核試薬に由来し、Rが化学式2で示される硫黄・インジウム錯体に由来することを特徴とする
有機硫黄−インジウム錯体を利用した有機スルフィド化合物の製造方法。
(前記化学式1のR1は、フェニル;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する芳香族化合物;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基を有する芳香族化合物;ハライド、エステル、ニトロ、アルデヒド、ケトン、シアン化物、アミド、或いは、カルボン酸基を有する芳香族化合物;sp或いはsp2で混成化された炭素に結合した炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基;又は、2又はそれ以上の炭素−硫黄結合を形成し得る構造を有する基、を示す。
前記化学式1のRは、フェニル;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する芳香族化合物;炭素数1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基を有する芳香族化合物;ハライド、エステル、ニトロ、アルデヒド、ケトン、シアン化物、アミド、或いは、カルボン酸基を有する芳香族化合物;窒素、酸素、或いは、硫黄を有する芳香族ヘテロ環化合物;または、炭素数が1乃至6の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す。) - 前記化学式3で示す求核試薬は、−Cl,−Br,−Iからなるハロゲンから選択されるか、または、トリフレート(−OSO2CF3)、メタンスルホネート(−OSO2CH3)、トルエンスルホネート(−OC4H6CH3)、ヨードニウム[RI+PhBF4−, RI+Br−, R=Ph, 2−チエニル, 4−メトキシフェニル, trans−β−スチニル]、及び、アゾニウム塩(−N2+X−, X=Cl, Br,)からなるハロゲン類似物から選択されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 前記有機硫黄−インジウム錯体の量は、前記化学式3において「X」として示したハロゲンまたはハロゲン類似物の数(m=1, 2, 3, 4)によって、求核体のn/3(n=1, 2, 3, 4)倍の当量が使用されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 触媒は、PdCl2, PdBr2, Pd(OAc)2, Pd(CH3CN)2Cl2, Pd(PhCN)2Cl2, Pd2dba3CHCl3, Pd(Ph3)4, および、[(allyl)PdCl]2からなる群から選択されるパラジウム触媒が使用されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- リガンドは、キサントホス(Xantphos), DPEphos(ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル), (Biph)PCy2(Cy=シクロヘキシル), DPPF(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン), DPPE(1,2−ビス(ジフェニルホスフィ)エタン), DPPP(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン), および、Imes(1,3−ビス−ジ−i−プロピルフェニル)イミダゾリウム クロライド)からなる群から選択されるホスフィンリガンドが使用されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 添加剤は、LiCl, LiBr, LiI, K3PO4, Na2CO3, Cs2CO3, Me2NBun, ピリジン, TEA(トリエチルアミン), DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン), N−メチルピロリジオン, N−メチルピペリジンからなる群から選択されて使用されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 前記パラジウム触媒と前記ホスフィンリガンドの量は、求核試薬に対して1乃至10?%で使用されることを特徴とする特許請求の範囲第4項または第5項に記載の方法。
- 前記添加剤は、ハロゲン化リチウム(LiX;X=Cl,Br,I)または無機添加剤であり、前記添加剤の量は求核試薬の1.0乃至4.0倍の当量で使用されること、または、有機アミン類の量は求核試薬の1.0乃至4.0倍の当量で使用されることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 溶媒は、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、テトラハイドロフラン(THF)からなる群から選択されて使用され、70〜110℃の反応温度で行われることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
- 前記の有機硫黄−インジウム錯体を用いた有機スルフィド化合物の製造方法によって製造された有機スルフィド化合物。
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