JP2011514246A - バイオマスの処理のためのクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridiumsporosphaeroides) - Google Patents

バイオマスの処理のためのクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridiumsporosphaeroides) Download PDF

Info

Publication number
JP2011514246A
JP2011514246A JP2010547044A JP2010547044A JP2011514246A JP 2011514246 A JP2011514246 A JP 2011514246A JP 2010547044 A JP2010547044 A JP 2010547044A JP 2010547044 A JP2010547044 A JP 2010547044A JP 2011514246 A JP2011514246 A JP 2011514246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biomass
culture
microorganism
microbial
clostridium sporosphaeroides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010547044A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011514246A5 (ja
JP5266441B2 (ja
Inventor
ロイター、モニカ
ドゥホウ、ヴェラ
ファーター、ダニエル
Original Assignee
シュマック ビオガス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/DE2008/075017 external-priority patent/WO2009086812A2/de
Priority claimed from DE102009003587A external-priority patent/DE102009003587A1/de
Application filed by シュマック ビオガス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク filed Critical シュマック ビオガス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
Publication of JP2011514246A publication Critical patent/JP2011514246A/ja
Publication of JP2011514246A5 publication Critical patent/JP2011514246A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5266441B2 publication Critical patent/JP5266441B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P5/00Preparation of hydrocarbons or halogenated hydrocarbons
    • C12P5/02Preparation of hydrocarbons or halogenated hydrocarbons acyclic
    • C12P5/023Methane
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • C12N1/205Bacterial isolates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12RINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES C12C - C12Q, RELATING TO MICROORGANISMS
    • C12R2001/00Microorganisms ; Processes using microorganisms
    • C12R2001/01Bacteria or Actinomycetales ; using bacteria or Actinomycetales
    • C12R2001/145Clostridium
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/10Biofuels, e.g. bio-diesel
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)

Abstract

微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)をバイオマスに添加してなるバイオマス処理方法について記載する。

Description

本発明は、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用してバイオマスを処理する方法に関する。
バイオ燃料は、主として、植物基質を酵母、細菌または真菌類の助けをかりて発酵させることにより得られる。このようにして製造される液体エネルギー源、特にバイオエタノールは、適合する燃焼設備の燃料として、または自動車エンジンもしくは発電用および発熱用原動機の燃料もしくは燃料添加剤として使用することができる。このように、バイオマスは、容易に輸送可能な比較的エネルギー密度の高い液体エネルギー源に変換することができ、きわめて広範囲に使用することができる。
液体バイオ燃料の製造原料としては、ショ糖またはデンプン含有量の高いその土地で入手可能なほとんどの植物が使用の対象となる。ヨーロッパでは主にトウモロコシ、穀物および甜菜が使用され、北米ではトウモロコシ、そしてラテンアメリカではサトウキビの茎または糖蜜が使用される。しかしサトウキビ(モロコシ類)、ライコムギあるいはキャッサバ(マニオカ)といった、上記以外のエネルギー植物も原料の対象となる。現在、バイオマスの液状化の出発原料としては、特にトウモロコシおよび穀物が使用されている。人間および動物の食糧として使用されるほか、エネルギーの確保、CO2バランスの改善および資源保護などにも役立つ植物をめぐって、原料不足の深刻化、原料価格の上昇、競合状態が発生している中、単にトウモロコシおよび穀物の穀粒だけを使用するにとどまらず、むしろ植物全体をエネルギー源として導入しようとする試みや、農業的な管理を必要としない野性キビ(Rutenhirse)やチャイナ葦(Chinaschilf)といった植物を使用しようとする試みが強まっている。これらの原料から製造されるバイオ燃料は「第二世代」燃料と呼ばれるものである。さらに、藁や木材業あるいは庭園や景観の維持管理に伴って排出される植物性廃棄物など、有効活用に有望な植物残渣の利用にも努力がはらわれている。
バイオマスを効率よく発酵させるためには、原料として使用される植物材料およびその中に含まれる乾燥有機物質質(oTS)を資源化するまえに、まずそれを解きほぐす必要がある。それは乾燥有機物質質を加水分解することによって行われ、乾燥有機物質の液状化に相当する。次に、液状化したバイオマス基質を発酵させると、エタノールまたは別のバイオ燃料が製造される。しかし既存の技術では高いエネルギー効率は得られない。その主たる原因は、液状化が不十分なために原料の資源化が十分に行われないことにある。
バイオエタノールの製造では、グルコースをエタノールに変換する酵母を添加して、まずエタノール発酵が行われる。基質によって、糖の割合が比較的高い場合もあるし(たとえば糖蜜の場合)、デンプン、セルロースまたはヘミセルロースのように、まず高分子基質を酵素的または化学的に分解しなければならず、そうすることによってはじめてアルコール発酵が可能になる場合もある(たとえば穀物、わら、植物全体の使用)。液状化に相当するこの基質の加水分解は、一義的に微生物、具体的には細菌が関与している。
有機原料を液体バイオ燃料に変換しないで、エネルギーガスに変換する必要があるときは、バイオガスプラントを使用することになる。バイオガスプラントでは、メタンは有機物質の微生物分解プロセスによって製造される。この場合、バイオガスは、多段階発酵プロセスまたは腐敗プロセスで、空気の遮断下に、嫌気性菌または微好気性菌の活動によって生成する。
基質として使用される有機物は、化学的な視点から見ると、高分子構造を有しており、その構造はバイオガスプラントの各工程における微生物の代謝活性によって、低分子量ビルディングブロックに分解される。しかし、有機発酵基質の発酵に活性な微生物集団の特徴は、未だ十分解明されていない。
現在の知識水準によれば、逐次的にも、並行的にも進行し、互いに相互作用する4つの生物化学的代謝プロセス、すなわち加水分解、酸生成、酢酸生成およびメタン生成が認められ、有機発酵基質を最終生成物であるメタンと二酸化炭素に分解することができる。
加水分解においては、しばしば粒子状で存在する高分子有機化合物は、発酵細菌の細胞外酵素(たとえばセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)によって可溶性分解生成物に変換される。すなわち、たとえば脂肪は脂肪酸に、そして炭水化物たとえば多糖類は、オリゴ糖類および単糖類に、そしてタンパク質はオリゴペプチドまたはアミノ酸に分解される。これらと一緒に発生する気体生成物は、主に二酸化炭素からなる。
通性嫌気性細菌および偏性嫌気性細菌は、しばしば加水分解細菌と同じ細菌であって、酸生成過程で加水分解生成物(たとえば単糖類、二糖類、ジペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、グリセリン、長鎖脂肪酸)を細胞内で短鎖脂肪酸またはカルボン酸、たとえば酪酸、プロピオン酸および酢酸、そして短鎖アルコール、たとえばエタノール、および気体生成物である水素および二酸化炭素に代謝する。
続く酢酸生成過程では、酸生成過程で生成した短鎖脂肪酸およびカルボン酸ならびに短鎖アルコールを酢酸生成細菌が取り込み、β酸化後、酢酸として再び分泌する。酢酸生成の副生成物はCO2および水素分子(H2)である。
酢酸という酢酸生成の生成物のみならず、メタノールおよびギ酸エステルといった別の基質も、偏性嫌気的に進行するメタン生成過程でメタン生成生物によってメタンおよびCO2に変換される。ここで生成するCO2のほか、別のプロセス工程、たとえば加水分解で生成するCO2も同様に、H2とともに微生物によってメタンに変換される。
所定量の出発物質からの最終生成物の収率を向上させることは、バイオマスの液状化およびバイオガスの製造においても、あらゆる化学反応と同様、プロセスを実施する上で不可欠な目標である。所定量のバイオマスからできるだけ多くの液体有機化合物、すなわちできるだけ多くのメタンが生成するようにすべきである。
再生可能資源協会は、2005年にバイオガス測定プログラムの成果を発表した("Ergebnisse des Biogas-Messprogramms", 2005, Hrsgb. Fachagentur Nachwachsende Rohstoffe e.V., Guelzow)。そしてその中で様々なバイオガスプラントの比較が行われている。この測定プログラムは、様々な既存プラントの代表的な断面を紹介しており、デザイン、メーカー、使用原料が異なるプラントを理解するのに役立った。調査した総容積負荷の実測値は0.45kg oTS/m3・日(多段式プラント)から5.7kg oTS/m3・日(単段式)の範囲にあった。単段式も多段式もほとんどのプラントで、容積負荷は1および3kg oTS/m3・日の間であった。
発酵槽の容積負荷とは、発酵槽の1立方メートル当たり、そして1日当たりの乾燥有機物質のキログラム数で表わされる発酵槽に供給される基質の量である。バイオガスの生産量は発酵槽の容積負荷に大きく依存し、容積負荷が大きくなるほど多量のバイオガスが製造される。容積負荷が高いとそのバイオガス製造プロセスの経済性は高くなるが、その一方で発酵の生物学的プロセスの不安定性も増加する。
容積負荷を上げることは、バイオプラントを効率的に運転するための1つの可能性である。その場合、一日あたりのoTSの供給量を徐々に増加させることによってバイオガス生産量が上昇する。実際には6kg oTS/m3・日を超える高い容積負荷はこれまで使用されていない。プラント運転の目標はプラントを経済的に運転することである。その場合、プラントが故障するとコストがきわめて高くなってしまうため、生物学的プロセスの安定性が最優先される。
プロセスの安定性を確保するには既存のプラントを低い容積負荷で運転することであるが、これは、効率的な運転を行うために適切な大きさの発酵容積を必要とする。その結果、追加的な建設コストによって初期投資が上昇する。容積負荷が高い場合、有機物質、特に固体の形の有機物室によって発酵槽内に存在する生物群の負荷が上昇するため、発酵内容物は濃密化しつづけることになる。その原因は、乾燥物質含有量が高くなり、バイオマスからバイオガスへの変換が不完全なことにある。
バイオガスの製造に使用される基質に含まれる乾燥物質の割合は5%から90%の範囲にある。基質をポンプ輸送する必要がある湿式法の場合、乾燥物質の割合が約35%まで、最高でも40%までの基質が使用できる。乾燥物質の割合が高い基質ほど、そして特に乾燥有機物質の割合が高いほど、多くの場合エネルギー含量が高いため、これは使用に有利と考えられる。しかし粘性が高く乾燥物質の含有量が高い場合、ポンプ輸送および撹拌時のエネルギー消費量が高いうえに、ポンプや撹拌装置などの摩耗あるいは修繕に伴う費用が高くつく。乾燥物質含有量が高く基質の希釈が必要な場合、水供給および排水の追加的費用に加えて、水の供給、再循環あるいは排水処理に伴う設備の追加が必要となる。
連続運転で乾燥物質の割合が高くなるにつれて、発酵内容物の撹拌および輸送に関する問題が増えてくる。さらに乾燥物質の割合が高くなると生物群は不安定になり、その結果、生物学的プロセスは完全な機能停止に陥り、ひいてはガスの生産も完全に止まってしまう。この現象は「発酵槽の機能停止(Fermenterabsturz)」と呼ばれる。濃密化するのを防止するため、液体物質、たとえば水または液肥を加えて、発酵槽内容物を液状化することが可能である。その場合、法的な制限(EEG)があって、乾式発酵−ボーナスを受け取ろうとする場合、乾燥物質の割合が平均30%を下回る物質の添加は認められていない。したがって、液体を追加する形で供給して、発酵物を液状化することはほとんど適用不可能である。
上で考察したこと以外に、資源である淡水の不足を考えると、水を添加して発酵内容物を液状化することは除外される。液体物質としての液肥は、一方で、技術的な点でコスト高を伴い、他方で、どこででも入手できるわけではないうえに、品質が一定しないことも問題である。加えて、液肥を使用する場合、各州の法律的な理由により、発酵プロセスによっては、発酵残渣を再度農地に散布しようとするとき、衛生的な処理工程が必要になる。
それゆえ、バイオマスを処理する方法、具体的にはバイオ燃料を製造するためにバイオマスを液状化する効率的な方法、および従来法と比べてバイオガスの収量が高いバイオガス製造方法を必要としている。
用語の定義
本発明で使用する「バイオ燃料」という用語は、バイオマスから製造される液体もしくは気体燃料またはエネルギー源を意味する。バイオ燃料は、移動性燃焼機関(たとえば自動車)および固定燃焼機関(たとえば地域暖房施設における発電および熱エネルギーの発生)に使用される。バイオ燃料には、バイオディーゼル、バイオエタノール、バイオメタノール、バイオケロシン、バイオ水素またはバイオガスなどがある。
本明細書で使用する「バイオエタノール」という用語は、再生可能な炭素源または廃棄物のうちの生分解性部分としてのバイオマスから、アルコール発酵によって製造されたエタノールを意味する。バイオエタノールは、添加物として鉱物油燃料、たとえばバイオディーゼルまたはバイオ燃料に、様々な濃度で添加して使用される。
本発明で使用する「バイオガス」という用語は、有機基質を嫌気的に生物分解して得られるガス状生成物を意味する。通常、バイオガスはメタンを約45〜70%、二酸化炭素を30〜55%、ならびに窒素、硫化水素およびその他のガスを少量含んでいる。
本発明で使用する「発酵(fermentation)」または「発酵すること(fermentierung)」という用語は、嫌気性および好気性物質代謝プロセスを包含し、工業プロセスにおいて、供給基質から、微生物の働きによって生成物、たとえばバイオガスが製造される。「発酵(Gaerung)」という用語は、嫌気性過程のみが対象となるという点で限界が設けられる。
本発明で使用する「発酵槽」という用語は、その中で基質を微生物によって分解すると同時にバイオガスの生成が行われる容器を意味する。「反応槽」、「発酵容器」および「腐敗容器」という用語は同義に使用される。
本発明で使用する「発酵基質」または「基質」という用語は、有機的および生分解可能な物質を意味し、発酵させるために発酵槽に添加される。基質としては再生可能な原料、有機肥料(Wirtschaftsduenger)、再加工農産業(agrarindustrie)からの基質、地域共同体から排出される有機残渣、屠殺残渣または伐採剪定植物片からの基質が対象となりうる。このような基質の例として、サイロ貯蔵トウモロコシ、サイロ貯蔵ライムギ、甜菜残渣、糖蜜、サイロ貯蔵干し草、牛または豚の液肥、牛、豚、家禽または馬の糞尿、ビールの絞りかす、リンゴ、果物またはブドウの絞りかす、穀類、馬鈴薯または果物の残渣、有機廃棄物容器からの有機廃棄物、調理廃棄物、市場廃棄物、脂肪切断機からの脂肪、瘤胃内容物、豚の胃内容物などを挙げることができる。「発酵基質」および「基質」という用語は同義に使用される。
「発酵残渣」または「発酵物(Gaergut)」という用語は、発酵槽から排出され、しばしば適当な容器に貯められるバイオガス製造残渣を意味する。
本発明で使用する「容積負荷」という用語は、1日当たり、作業空間1立方メートル当たりの発酵槽に供給される乾燥有機物質(oTS)のkg量を意味する。
本発明で使用する「乾燥有機物質(oTS)」という用語は、無機物質を除去し105℃で乾燥した混合物の無水有機部分を意味する。通常、乾燥物質の割合は基質に対する%で表示される。
本明細書で使用する「滞留時間」という用語は、基質が発酵槽内に滞留する平均時間を意味する。
本発明で使用する「バイオガス比収量(spezifische Biogasausbeute)」または「メタンの比収量」という用語は、発生したバイオガスまたはメタンの量(発生したガスを標準立方メートル単位Nm3で表示)を、使用した乾燥有機物質または基質で除した値(通常トンt当たり)を意味する。
「空間時間収量」という用語は、バイオガス生産量を1リットルの発酵容積に規格化して表示したものである。この測定量を使用すれば異なるプラント間のガス生産高の比較が改善される。
「ヌクレオチド配列」という用語は、DNA配列およびそれに対応するRNA配列を包含する。本発明に記載されている、塩基A、U、C、Gを使用したRNA配列は、たとえば塩基A、T、C、Gを使用した対応DNA配列に関連しており、またその逆も成立する。
微生物のヌクレオチド配列の決定は標準化した手順で行われる。これによって微生物のDNAまたはRNAの各ヌクレオチドは高い確度で同定できる。配列決定法の確度は高いにもかかわらず、配列中の個々の位置は繰り返し存在する可能性があるため、その特定の位置に存在するヌクレオチドを十分な確度で決定することはできなかった。このような場合、本発明ではヌクレオチド配列中にNの文字で表示してある。以下の記載において、ヌクレオチド配列中にNの文字が使用されている場合、それは、すべての考えられるヌクレオチドを表しており、したがって、リボ核酸の場合はA、U、GまたはCを表わし、デオキシリボ核酸の場合はA、T、GまたはCを表わす。
本発明中で使用する「ヌクレオチド突然変異」という用語は、最初のヌクレオチド配列が変化することを意味する。その場合、個々のヌクレオチドあるいはいくつかの直接前後につづくヌクレオチド配列もしくは変化していないヌクレオチドによってさえぎられたヌクレオチド配列が除去されるか(欠失)、付加されるか(挿入または付加)または他のものと置換される(置換)。この用語は、上に挙げた個々の変化の考えられるあらゆる組み合わせも包含する。
本発明で使用する「欠失」という用語は、それぞれ最初の配列から1個、2個またはそれより多くのヌクレオチドが除去されることを意味する。
本発明で使用する「挿入」または「付加」という用語は、それぞれ最初の配列に1個、2個またはそれより多くのヌクレオチドを付け加えることを意味する。
本発明で使用する「置換」という用語は、ある決まった位置に存在するヌクレオチドを別のヌクレオチドと交換することを意味する。
「微生物」という用語は顕微鏡的に小さい生物を意味し、その生物は通常単細胞生物であるが、多細胞生物であってもよい。微生物の例としては細菌、顕微鏡的な大きさの藻類、真菌類または原生動物を挙げることができる。
本発明で使用する微生物の「属」、微生物の「種」、微生物の「株」という名称は、生物分類学で使用される分類カテゴリー、具体的には系統学的な分類わけを意味する。微生物の属、種および株は、そのRNA配列に基づいて同定され識別される。ある決められた属、ある決められた種またはある決められた株には完全に決められたRNA配列を有する微生物だけでなく、ある一定の範囲内のその遺伝子的変異体も入り、遺伝子的変異体は、株、種、属の順に多くなる。
細菌の「種」の定義は学問的に変化しており、決着していないし、様々な考え方には議論の余地がある。本発明において、「種」という用語は、ゲノム解析および系統学的解析に基づき、staleyによる総説(Philos. Trans. R. Soc. Lond. B. Biol. Sci., 2006, 361, 1899-1909)に記載されている種の概念であると解釈する。DNA−DNAハイブリダイゼーションが70%を超え、ヌクレオチドの平均同一性(ANI)が94%を超えている2種類の細菌が、同じ種に属するとされ、あるいは16S rRNAの同一性が97%未満である2種は、異なる2つの種に帰属されていることは広く知られている。
これと関連して「培養物」という用語は、微生物の増殖または少なくとも生存を保証する作られた条件下における微生物の蓄積物を意味する。細菌に適する培養物としては、たとえば増菌培養物または純粋培養物、液体培養物、および培養培地のような固体培地培養物のほか、さらに冷凍グリセリン培養物のような維持培養物、ゲル培養物のような固定化培養物、あるいは細胞ペレットのような高濃縮培養物がある。
微生物の「純粋培養物」という用語は、ただ1つの細胞の子孫を意味する。これは異なる微生物の混合物から多段階プロセスにより単離される。多段階プロセスには細胞集団からただ1つの細胞を分離することを包含し、該細胞から成長と細胞分裂とによって形成されるコロニーが、別の個々の細胞やコロニーから分離された状態にあることが必要である。1つのコロニーを注意深く分離して、それを再び液体中に懸濁させそして塗抹することをくり返すことによって所望する微生物の純粋培養物を得ることができる。出発材料中の所望微生物が数の上で優位にある限り、純粋培養物の単離は、液体栄養培地でも行うことができる。栄養液の懸濁液を連続希釈して、最終希釈段階でただ一つの細胞しかない状態にする。そこではじめてこの細胞が純粋培養物の基礎となる。「純粋培養物」という用語の解説とこれを作るための方法は、Hans G. Schlegel著、“Allgemeine Mikrobiologie”、第7版、1992年、Georg Thieme Verlag、205頁に記載されている。引用することによりその全文をここに組み込む。
「混合培養物」という用語は、様々な微生物の混合物を意味する。天然の微生物集団は、通常混合培養物である。しかし混合培養物は、たとえば複数の純粋培養物を混合して人工的に作ることもできる。
本発明の課題は、従来技術と比較して利用可能なバイオ燃料の収量を高める、バイオマスの処理方法を提供することにある。
本発明によれば、この課題は請求項1に記載のバイオマスの処理方法によって解決される。本発明のさらなる利点の詳細、実施態様および実施形態は、従属項、発明の詳細な説明および実施例によって明らかとなろう。
本発明はバイオマスの処理方法を提供する。バイオマスに微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加する。
バイオマスの処理方法は、好ましくはバイオマスの液状化方法が対象となる。バイオマスの処理またはバイオガスの生成に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用することはもちろん、この微生物が存在することすらこれまで未知であった。しかし意外なことに、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)をバイオマス基質に添加することにより、基質の粘性を著しく低下できることが見出された。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用すると、バイオマスのいちじるしい液状化が起こり、そのためバイオ燃料生成プラントの性能および効率が著しく改善される。
さらに、バイオマスの処理方法は、好ましくはバイオマスからのバイオガスの生成方法でもある。驚くべきことに、発酵基質に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することにより、発酵槽の容積負荷を高めることができると共に、生成されるバイオガスの量も著しく増加させることできることが見出された。実験から明らかにすることができたように、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の添加により、発酵プロセスの不安定化を招くことなく、発酵槽の容積負荷を50%を超えて高めることができる。容積負荷の増加と並行して、生成されるバイオガスの量も顕著に増加する。加えて、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加しない場合と比べて、乾燥有機物質の分解が著しく向上するため、バイオガスの比収量も向上する。分解率の高まりにより、基質利用率が向上し、ガスの比収量を大きく改善することができる。さらに、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することにより、ガスの収量を一定に維持しつつ発酵基質の発酵槽内滞留時間を大きく短縮することができ、その結果、容積負荷を高めることが可能になる。それゆえ、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用は、バイオガスプラントの性能および効率の飛躍的な改善をもたらす。
微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が好ましい特性を発揮する理由は、その代謝活性によって加水分解速度が高まり、そのため、代謝活性の成果として、存在する分解困難な有機物質(たとえばセルロース、ヘミセルロース)の一部が、可溶性の酸およびCO2に変換されることにあるものと考えられる。セルロースは水および水性溶液に不溶であり、それゆえ、発酵プロセスでセルロースが分解されると液状化が起こる。乾燥物質の含有量はもはやそれ以上増加しないため、基質の撹拌性およびポンプ輸送性はそのまま維持される。かくして基質の撹拌は一定に維持することができ、プロセスからのガスの取り出しを改善することができる。
加水分解工程における微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)による分解効率および代謝効率を高めることにより、酸性化させず、あるいは生成するバイオガス中のメタン含有量を低下させないで、発酵原料の液状化が導かれる。容積負荷は明らかに向上し、プロセスの安定性は改善される。
このように、本発明により、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することにより、発酵プロセスの改善された安定性を確保しながら発酵基質を液状化する方法が提供される。不溶性成分を分解することで基質を液状化することは、バイオマスからバイオ燃料を製造するためにも使用できる。
本発明の好ましい実施形態によれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、主として微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)からなる微生物培養物の形で添加される。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、バイオガスプラントの発酵基質中では、存在している微生物の総数に対して10-4%を下回るごく僅かな痕跡量しか検出できなかった。この微生物を添加するには、通常自然界から単離される微生物量では十分でないため、培養物として増やすのが普通である。実際には、微生物を添加するには、微生物を培養物の形で発酵槽の発酵基質に直接添加するのが最も簡単である。
クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の培養物の添加は、懸濁培養物の形、乾燥、凍結乾燥もしくは湿潤細胞ペレットの形で行うか、あるいは胞子懸濁液、胞子調製物、または乾燥、凍結乾燥もしくは湿潤胞子ペレットの形で行うことができる。
すでに言及した発酵プロセスに対する様々な好ましい効果は、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)と結びついているため、この微生物種は、添加培養物中に自然界に存在するよりも多量に存在していなければならない。言うまでもなく、任意の組成の混合培養物が添加に使用できる。ただし、その前提はクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)種が自然界に存在するより多量に存在しているという点だけである。
好ましい培養物は、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)と微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)および/またはパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)との混合培養物である。特に好ましい培養物は、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株と微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株および/またはパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2株との混合培養物である。微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)および微生物種パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)は、バイオマスの処理に関して、似た特性を示すので、両者はバイオマスの処理での使用が想定される。したがって、微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)および微生物種パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)は、本明細書に記載するバイオマスの処理のための方法および応用にも使用可能である。
微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、好ましくは、主として微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)からなる、微生物の培養物の形で発酵基質に添加される。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の数を決定するのと平行して微生物の総数も決定すれば、培養物中の微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合を百分率の形で表示することができる。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、混合培養物中に存在する各種微生物種の中で最も高い百分率を占めていれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、混合培養物中に存在する主要微生物種である。
各種発酵基質における微生物集団の組成および発酵プロセスが進行中の生物組成はほとんどわからないが、非常に大きく変動し、かつ複雑な動的過程の下にあり、その過程はそのときそのときのプロセス条件によって影響される。微生物組成および発酵基質中の微生物の総数を決定する方法も、そして発酵基質中の各種微生物のそれぞれの割合を決定する方法も、当業者によく知られており、それらはたとえばAmannらの総説(Microbiol. Review. 59, 143-169, 1995)に記述されている。
微生物をあらかじめ培養するかいなかに関係なく微生物の組成を決定するための好ましい方法は、たとえば、核酸を抽出してPCRにかけたのちrDNAクローンライブラリー(たとえば、16S rRNAに基づく)を作成することであり、あとで配列を決定することが可能である。このクローンライブラリーを使って、たとえば、特異的蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブとのインサイチュハイブリダイゼーションによって発酵基質における微生物集団の組成を突き止めることができる。好適なrRNAベースオリゴヌクレオチドプローブは、上記総説からわかっており、たとえば、probeBASE(Loyら、2003, Nucleic Acids Res. 31, 514-516. Loyら、2007, Nucleic Acids Res. 35, D800-D804.)またはARBプログラムパッケージ(Ludwigら、Nucleic Acids Research. 2004, 32, 1363-1371)によって見出すことができる。集団全体に対する個々の微生物の割合の定量的決定は、定量的ドットブロット法、インサイチュハイブリダイゼーションまたは全細胞ハイブリダイゼーションによって適切に行うことができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、発酵基質に添加される培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-4%を占める。特に好ましくは、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-2%を占め、さらに好ましくは、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも1%を占める。
さらに別の好ましい実施形態によれば、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10%を占め、好ましくは微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも50%を占め、そしてさらに好ましくは、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも90%を占める。
全く好ましい実施形態によれば、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)種微生物の純粋培養物が添加される。純粋培養物は、生物化学的に特異的な代謝プロセスおよび代謝活性、ならびに特殊な増殖条件により特徴付けられる。特異的な代謝プロセスおよび代謝活性の点で、発酵微生物の純粋培養物の添加は、複雑なバイオガス生産プロセスのより良い制御に大きく貢献することができる。
本発明のさらに別の特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの微生物固定化培養物の成分として微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が添加される。自然界に存在する微生物から単離した微生物の量では微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の添加には十分でないため、通常は培養物の形で増菌がはかられる。実際場面では、発酵槽の発酵基質に微生物を添加するには、微生物を固定化した培養物の形で添加するのが最も簡単であることは明らかである。
すでに言及した発酵プロセスに対する様々な好ましい効果は、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が関係しているので、添加する固定化培養物中に存在するこの微生物種は、自然界に存在する量より増菌された量で存在すべきである。言うまでもなく、任意の組成の固定化混合培養物が添加に使用できる。その前提は、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が自然界に存在するより多量に存在しているという点だけである。
本発明の好ましい実施形態によれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、発酵基質に添加される固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-4%を占める。特に好ましくは、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-2%を占め、さらに好ましくは、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも1%を占める。
さらに別の好ましい実施形態によれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10%を占め、好ましくは微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも50%を占め、そしてさらに好ましくは、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、固定化培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも90%を占める。
全く好ましい実施形態によれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の少なくとも1つの固体化純粋培養物が添加される。
微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を固定化する担体材料としては、天然または合成ポリマーが使用可能である。好ましくはゲル形成ポリマーが使用される。これらのポリマーは、ゲル構造の内部に細菌を取り込むか、あるいは沈着層を形成し得るという利点がある。このような材料は、水にゆっくり溶解するか分解され、その結果、比較的長時間にわたって微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を放出するため、有利に使用される。
好適なポリマーとしてば、たとえばポリアニリン、ポリピロール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン、アガロース、アルギン酸塩またはセルロースなどの多糖類、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸セルロース、硫酸アルカリセルロース、ポリスチレンと無水マレイン酸とのコポリマー、スチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマー、ポリスチレンスルホネート、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、シリコーン、セルロースフタレート、ゼラチン、アラビアゴム、アルブミンまたはフィブリノーゲンなどのタンパク質、ゼラチンと水ガラスの混合物、ゼラチンとポリホスフェートの混合物、ゼラチンと、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマーの混合物、セルロースアセテートブチレート、キトサン、ポリジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアクリル酸とポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとの混合物、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。高分子材料は通常の架橋剤、たとえばグルタルアルデヒド、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、またはタンニン化合物で架橋してもよい。
アルギン酸塩は、一方でクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)微生物の活性に何ら負の影響を及ぼすことはないし、他方で微生物によって徐々に分解されるため、固定化材として特に有利である。アルギン酸塩固定化材がゆっくり分解すると内部に包み込まれた微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は徐々に放出される。
固定化するには、微生物とポリマーゲルとを混合し、それから適当な硬化剤溶液で硬化させる。それには、まずゲル溶液と混合し、それから適当な高さから硬化剤溶液中に滴下する。固定化の正確な実施方法は当業者にとって既知である。
さらに別の好ましい実施形態によれば、下記微生物の添加とおおよそ同じ時間に、追加バイオマスが発酵槽に添加される。追加バイオマスは、微生物を添加したのち1秒から3日までの時間間隔で添加してもよいし、微生物の添加と同時に添加してもよい。その際、発酵槽の容積負荷は新しい基質を連続的に転化することによって連続的に上げることができるか、またはほぼ一定に保つことができ、そして発酵はあらゆる容積負荷で実施することが可能であるが、好ましくは1m3当たり、1日当たりの乾燥有機物質(organischer Trockensubstanz)0.5kgの容積負荷[kg oTS/m3・日]以上で、そして、さらに好ましくは容積負荷4.0kg oTS/m3・日以上で、そして、特に好ましくは容積負荷8.0kg oTS/m3・日以上で実施することが可能であり、現在の技術水準と比べて、容積負荷の増加は2倍を超える。
特に、使用される発酵基質は、固形成分の割合を高くすることができる。加水分解活性を有する発酵微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加すれば、これらの固形成分は少なくとも部分的に液状化する。微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加して発酵基質を液状化すれば、発酵槽基質の農密化を防止し、適切に対処することができる。さらに水または液肥の形で液体を発酵基質に導入すれば回避できる。このように淡水資源の節約という形でさらに別の利点がある。さらに、基質の撹拌とポンプ輸送の維持が可能であることも利点である。上記液状化によって撹拌装置およびポンプの損傷は防止され、撹拌に要するエネルギーは大幅に少なくてすむ。
微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、バイオ燃料の製造を目的とするアルコール発酵におけるバイオマスの液状化に使用することもできる。
さらに別の実施形態では、バイオマスの処理は、発酵基質を絶えず撹拌しながら行われる。発酵基質を絶えず撹拌することで、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の培養物は、発酵基質内によく分散する。バイオガスを製造する場合、生成したバイオガスを発酵プロセスからより良好に取り出すことが可能である。
また、発酵基質を絶えず撹拌すれば発酵槽内の熱分布は一様になる。一定の間隔をおいて連続的に行った発酵槽内の温度測定から、発酵基質の発酵は、20℃から80℃の温度範囲、好ましくは約35℃から60℃の温度範囲、特に好ましくは40℃から50℃の温度範囲で行うと効率がよいことが示された。したがって本発明においては、これらの温度範囲が好ましい。加水分解とならんで、発酵プロセスの特に最終工程、すなわちメタン生成微生物によるメタンの生成は、昇温温度で特に効率よく行われる。多段階バイオガスプラントの場合、異なる反応槽で異なる温度で運転することが重要である。たとえば、第一工程は中温条件で行われ、それにつづく工程、特にメタン生成は好熱条件で行われる。これに対する好適な条件は現在の技術水準から既知である(たとえば、DE10 2005 012367 A1)。
本発明の全実施形態は、一段式バイオガス製造法に限定されるものではない。二段式または多段式製造法でも微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用して行うことができる。同様に、液体バイオ燃料の製造法でも、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用することができる。
さらに別の実施形態によれば、発酵基質および微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は連続的に添加される。微生物群が安定していれば、発酵槽を連続運転してバイオガスを連続的に製造すべきであり、プロセスの不調によって発酵のための基質供給が中断されることは避けなければならない。
同様に、非連続運転、たとえば「バッチ式」の発酵によって、この発酵法およびそれと関連するプロセスを実施することも考えられる。そこで別の実施形態によれば、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の発酵中に、たとえば一定の時間間隔で発酵基質を添加してもよい。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を一定の時間間隔で添加すると生細胞の数が多くなるため、発酵プロセス、たとえば加水分解の進行が向上し、同時に発酵に対する発酵基質の利用率が高まる。
本発明の好ましい実施形態によれば、添加後の微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質中に存在する微生物の総数の10-8%から50%を占める量で発酵基質に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を加える。所望の効果を得るには、特に発酵槽の大きさに依存して、したがって発酵基質の量に依存して、きわめて大きく異なる量の微生物を添加する必要がある。
発酵基質中の微生物の総数を決定することと発酵基質中の異なる微生物種の割合を決定することは、当業者にとっては何ら問題ではない。すなわち、たとえば蛍光標識オリゴプローブを使えば、発酵基質中の各種微生物の割合は、上に記述した方法によって、同定できる。
特に好ましくは、添加後の微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質中に存在する微生物の総数の10-6から25%を占める量で、発酵基質に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を加える。そして特に好ましくは、添加後の微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質中に存在する微生物の総数の10-4から10%を占める量で、発酵基質に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を加える。全く好ましくは、添加後の微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質に存在する微生物の総数の10-3ないし1%を占める量で、発酵基質に微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を加える。
微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の添加は、基本的には発酵プロセスのあらゆる任意の時点に添加でき、特に、発酵槽の最初の運転開始時または運転再開時の発酵基質の接種にも微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を使用することができる。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は培養物の形で1回、または一定の時間間隔もしくは不定の時間間隔で複数回、好ましくは週に1回または月に1回、特に好ましくは日に1回または週に2回から5回ほど適当な濃度で適当な量を添加することができる。微生物の好適な濃度および添加量はすでに知られており、また実施例にも記述されている。
発酵プロセスに不調が生じた場合、発酵を安定させるために微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することができる。このような不調は、所定の発酵特性パラメータを監視することで早期に認識可能である。特性パラメータはバイオガスを製造するための稼動する発酵プロセスの質に関する情報を提供する。このような特性パラメータは、発生ガスの量および発生バイオガス中のメタン含有量だけではなく、たとえば発生バイオガス中の水素含有量、発酵基質のpH値、発酵基質の酸化還元電位、発酵基質のカルボン酸含有量、発酵基質中に含まれる各種カルボン酸の割合、発酵基質の水素含有量、発酵基質における乾燥物質の割合、発酵基質における乾燥有機物質の割合、基質の粘性および発酵槽の容積負荷も含む。
本発明は、バイオマスの処理のための微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用も包含する。
本発明は、バイオマスの液状化のための微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用も包含する。
本発明は、発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造のための微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用も包含する。
本発明は、バイオ燃料の製造のための、記載した方法の1つによって得られる液状バイオマスの使用も包含する。好ましくは、記載した方法の1つによって得られる液状化バイオマスがバイオエタノールの製造のために使用される。
同じく、本発明は、No.DSM 22577の下に寄託されている微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株を包含する。微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3は、ブダペスト条約に基づいてブラウンシュバイクにあるDeutschen Sammlung von Mikroorganismen und Zellkluturen GmbHに純粋培養物として寄託した。その名称はクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3、寄託番号はDSM22577。
同じく、本発明は、No.DSM 22578の下に寄託されている微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株も包含する。微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1aは、ブダペスト条約に基づいてブラウンシュバイクにあるDeutschen Sammlung von Mikroorganismen und Zellkluturen GmbHに純粋培養物として寄託した。その名称はクロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a、寄託番号はDSM22578。
細菌種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、当業者に知られている方法によって、発酵基質または発酵槽の残渣から単離可能である。単離する場合、発酵槽から採取した適当な基質を選択培地に移し、比較的長時間培養し、最後に選択培地から微生物の個々のコロニーを単離する。これから得られた微生物DNAをPCRによって増幅したのち、DNAに基づいて微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を選び出すことができる。
細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3は二次発酵槽の発酵基質から単離した。それには、液体選択培地に窒素および二酸化炭素を通気し、それからNa2Sを選択培地に添加し、オートクレーブ処理(121℃で20分間)した。つづいて、二次発酵槽の発酵基質から得られたバイオマスを選択培地に移し、少なくとも1週間、少なくとも30℃の温度で培養した。液体選択培地から得られた試料を固体選択培地に移し、それから固体選択培地上で生育した微生物コロニーを選び出した。得られた微生物DNAをPCR法によって増幅したのち、既知のDNA配列と比較した。
二次発酵槽の発酵基質から細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3を単離することに成功したのち、これらの微生物は配列分析に付された。16S rRNAの部分配列を決定し、それを対応するDNA配列に転換した。DNA配列(配列番号1)は1409個のヌクレオチドを含む。最も近い類縁種として乳児の糞便試料に由来する微生物クロストリジウムsp.クローン1099982248072を同定したが、バイオ燃料の製造とは全く関係がなかった(Genbank登録番号EF434352、配列の長さは1340ヌクレオチド)。配列の比較から、クロストリジウムsp.クローン1099982248072の配列には、配列番号1と比較して、ヌクレオチドの置換またはギャップが46あることがわかった。ヌクレオチドが1340個のクロストリジウムsp.クローン1099982248072の配列長では、同一性96.57%の結果が得られた。
本発明は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.57%を超える配列領域を含むヌクレオチド配列を有する核酸を有する微生物も包含する。特に好ましくは、ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.58%を超えるか、または96.59%を超えるか、または96.60%を超えるか、または96.65%を超えるか、または96.70%を超えるか、または96.75%を超えるか、または96.80%を超えるか、または96.90%を超えるか、または97.0%を超えるか、または97.1%を超えるか、または97.2%を超えるか、または97.3%を超えるか、または97.4%を超えるか、または97.5%を超えるか、または97.6%を超えるか、または97.7%を超えるか、または97.8%を超えるか、または97.9%を超える配列領域を含む。
特に好ましくは、ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が98.0%を超える配列領域を含む。さらに好ましくは、ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が98.1%を超えるか、または98.2%を超えるか、または98.3%を超えるか、または98.4%を超えるか、または98.5%を超えるか、または98.6%を超えるか、または98.7%を超えるか、または98.8%を超えるか、または98.9%を超える配列領域を含み、さらに好ましくはヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99%を超える配列領域を含む。
さらに別の好ましい実施形態によれば、前記微生物は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.5%を超える配列領域を含むヌクレオチド配列を有し、特に好ましくは、前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.8%を超える配列領域を含む。
全く好ましい実施形態によれば、前記ヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列と一致する配列領域を含む。
本発明の好ましい実施形態において、出発ヌクレオチド配列の配列番号1に対して、1ヵ所、または2ヵ所、または3ヵ所、または4ヵ所、または5ヵ所、または6ヵ所、または7ヵ所、または8ヵ所、または9ヵ所、または10ヵ所、または11ヵ所、または12ヵ所、または13ヵ所、または14ヵ所、または15ヵ所、または16ヵ所、または17ヵ所、または18ヵ所、または19ヵ所、または20ヵ所、または21ヵ所、または22ヵ所、または23ヵ所、または24ヵ所、または25ヵ所、または26ヵ所、または27ヵ所、または28ヵ所、または29ヵ所、または30ヵ所、または31ヵ所、または32ヵ所、または33ヵ所、または34ヵ所、または35ヵ所、または36ヵ所、または37ヵ所、または38ヵ所、または39ヵ所、または40ヵ所、または41ヵ所、または42ヵ所、または43ヵ所、または44ヵ所、または45ヵ所、または46ヵ所にヌクレオチドの突然変異が存在する。「ヌクレオチドの突然変異」という用語の意味は、本明細書の「定義」の項で説明されている。
本発明は、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化の方法および/または発酵法によってバイオマスからバイオガスを製造する方法に使用するのに適する微生物の培養物も包含し、微生物の前記培養物には配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が少なくとも96.57%のヌクレオチド配列を有する配列領域を含む微生物が存在し、そして該微生物は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-4%を占める。
バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化の方法および/またはバイオマスから発酵法によるバイオガス製造方法の中での使用に適する微生物の培養物は、好ましくはその中に、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.57%を超える配列領域を有するヌクレオチド配列を有する微生物が含む。特に好ましくは、前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.58%を超えるか、または96.59%を超えるか、または96.60%を超えるか、または96.65%を超えるか、または96.70%を超えるか、または96.75%を超えるか、または96.80%を超えるか、または96.90%を超えるか、または97.0%を超えるか、または97.1%を超えるか、または97.2%を超えるか、または97.3%を超えるか、または97.4%を超えるか、または97.5%を超えるか、または97.6%を超えるか、または97.7%を超えるか、または97.8%を超えるか、または97.9%を超える配列領域を含む。
さらに好ましくは、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の培養物中に、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が98%を超えるヌクレオチド配列を持つ配列領域を有する微生物が存在する。特に好ましくは、前記ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が98.1%を超えるか、または98.2%を超えるか、または98.3%を超えるか、または98.4%を超えるか、または98.5%を超えるか、または98.6%を超えるか、または98.7%を超えるか、または98.8%を超えるか、または98.9%を超える配列領域を含み、さらに好ましくは配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.0%を超える配列領域を含む。
さらに別の好ましい実施形態によれば、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の培養物中には、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.5%を超えるヌクレオチド領域を有するヌクレオチド配列を持つ微生物が存在する。全く好ましくは、前記ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.8%を超える配列領域を含む。
全く好ましい実施形態によれば、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の培養物中には、前記ヌクレオチドが配列番号1のヌクレオチド配列と一致する配列領域を含むヌクレオチド配列を有する微生物が存在する。
さらに別の好ましい実施形態によれば、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-2%、好ましくは少なくとも1%を占める。特に好ましくは、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも25%を占める。
全く好ましくは、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)は、培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも90%を占める。特に好ましくは、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の純粋培養物が対象となり、該微生物は、そのヌクレオチド配列について、上で特徴づけしたように微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物が対象となる。
特に好ましくは、上記の場合、微生物の固定化培養物が対象となる。
本発明は、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の固定化培養物も包含し、該微生物の固定化培養物中には、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が少なくとも96.57%の配列領域を含むヌクレオチド配列を有する微生物が存在する。
好ましくは、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の固定化培養物中には、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が少なくとも96.57%を超える配列領域を含むヌクレオチド配列を有する微生物が存在する。特に好ましくは、前記ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.58%を超えるか、または96.59%を超えるか、または96.60%を超えるか、または96.65%を超えるか、または96.70%を超えるか、または96.75%を超えるか、または96.80%を超えるか、または96.90%を超えるか、または97.0%を超えるか、または97.1%を超えるか、または97.2%を超えるか、または97.3%を超えるか、または97.4%を超えるか、または97.5%を超えるか、または97.6%を超えるか、または97.7%を超えるか、または97.8%を超えるか、または97.9%を超えるか、98.0%を超えるか、98.1%を超えるか、または98.2%を超えるか、または98.3%を超えるか、または98.4%を超えるか、または98.5%を超えるか、または98.6%を超えるか、または98.7%を超えるか、または98.8%を超えるか、または98.9%を超える配列領域を含む。さらに好ましくは、前記ヌクレオチド配列は配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.0%を超える配列領域を含む。
さらに別の好ましい実施形態によれば、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の固定化培養物中には、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が少なくとも99.5%を超える配列領域を有するヌクレオチド配列を持つ微生物が存在する。全く好ましくは、前記ヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.8%を超える配列領域を含む。
全く好ましい実施形態によれば、バイオマスの処理方法、具体的にはバイオマスの液状化法および/または発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法への使用に適する微生物の固定化培養物中には、配列番号1のヌクレオチド配列と一致する配列領域を含むヌクレオチド配列を有する微生物が存在する。
本発明は、ヌクレオチド配列に関して上で特徴づけした微生物をバイオマスの処理方法に使用することも包含する。好ましくは、これらの微生物は、上で詳しく説明したバイオマスの処理方法の1つに使用される。
本発明は、ヌクレオチド配列について上で特徴づけした微生物をバイオマスの液状化方法に使用することも包含する。好ましくは、この微生物は、上で詳しく説明したバイオマスの液状化方法の1つに使用される。
本発明は、ヌクレオチド配列について上で特徴づけした微生物をバイオマスから発酵によってバイオガスを製造する方法に使用することも包含する。好ましくは、この微生物は、上で詳しく説明したバイオマスから発酵によってバイオガスを製造する方法の1つに使用される。
本発明は、ヌクレオチド配列について上で特徴づけした微生物の培養物をバイオマスの処理方法に使用することも包含する。好ましくは、微生物のこの培養物は上で詳しく説明したバイオマスの処理方法の1つに使用される。
本発明は、ヌクレオチド配列について上で特徴づけした微生物の培養物をバイオマスの液状化方法に使用することも包含する。好ましくは、微生物のこの培養物は上で詳しく説明したバイオマスの液状化方法の1つに使用される。
本発明は、ヌクレオチド配列について上で特徴づけした微生物の培養物をバイオマスから発酵によってバイオガスを製造する方法に使用することも包含する。好ましくは、微生物のこの培養物は、上で詳しく説明したバイオマスから発酵によってバイオガスを製造する方法の1つに使用される。
本発明を図解してその長所を明らかにするため、実施例を挙げて説明する。実施例は図1ないし図4を参照しながらくわしく説明する。実施例と関連して記述する内容が本発明の範囲を限定するものでないことは言うまでもない。
発酵基質の液状化の程度を調べるための基質流動試験。 発酵の測定結果:ガス生産量を空間時間収量(NL/L)として、また発酵槽の容積負荷を時間的変化としてプロットしたものである。 さらに別の発酵の測定結果:ガスの収量を空間時間収率(NL/L)として、また発酵槽の容積負荷を時間的変化としてプロットしたものである。 さらに別の発酵の測定結果:ガスの収量を空間時間収率(NL/L)として、また発酵槽の容積負荷を時間的変化としてプロットしたものである。
細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3は、二次発酵槽の発酵基質から単離することに成功した。この微生物はブダペスト条約に基づいてブラウンシュバイクにあるDeutschen Sammlung von Mikroorganismen und Zellkluturen GmbHに純粋培養物として寄託した(クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3、寄託番号DSM22577)。
細菌クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1aも二次発酵槽の発酵基質から単離することに成功した(クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a、寄託番号DSM22578)。
以下に挙げる実施例からわかるように、細菌クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株は混合培養物でも、また純粋培養物でも、本発明にしたがう特性、たとえばバイオガスプロセスにおける容積負荷の増大、ガス収率の向上および安定化ならびにバイオマスの液状化能力といった特性に関して、細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株と似た特性を示す。
以下では特にことわらない限り、たとえば、Sambrookら、1989,Molecular cloning: A Laboratory Manual 2. Auflage, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記述されているような、分子生物学の標準的な方法を使用した。
微生物の単離および濃縮
細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株は、二次発酵槽の発酵基質から単離することに成功した。微生物の単離は、唯一の炭素源としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む選択培地を使って行った。カルボキシセルロースは、バイオガスプラントの発酵基質に含まれるセルロースと非常に大きな類似性を有することに加え、ヒドロキシル基とカルボキシメチル基(−CH2−COOH−)との結合によって水性培地に対して良好な溶解性を呈する。クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3を選抜するために使用した培地(DSMZ培地520プラス1%CMCおよび0.2%酵母抽出物)にはN2を通じた。これによって、嫌気性条件下で選抜を行うことができた。そこに含まれる残留酸素は、0.5g/L Na2Sによって還元された。
次に、選択培地に二次発酵槽から採取した上澄み(1:2000希釈)を播種した。40℃で1週間培養したのち顕微鏡観察で個々の桿菌を認めた。液体培養物をさらに選択し、嫌気カルボキシメチルセルロースプレート上に塗布し、純粋培養物として単離した。
比較的多量の細菌クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株を得るには(たとえばタイプ3の発酵槽に添加するための)、1m3発酵槽に前培養物100mLを播種し、嫌気条件下で培養した。約2時間の倍加時間でかなりの速さで増殖するため、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3は生物工学的応用に特に適しているように思われる。細菌が比較的少量の場合は(たとえばタイプ1、2および4の発酵槽に添加するための)、500mLから1L規模で培養した。発酵プロセスに添加するための培養は1から2日間行った。得られた細胞密度は培養培地1mL当たり細胞108個ないし1010個であった。遠心分離にかけて菌体を集め、最少量の培地に取り上げたのち、発酵プロセスに使用した。一時的に保管する場合は細胞を凍結させた。
微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)および微生物種パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)は、たとえば、上記3種類の微生物がほぼ等しい割合からなる混合培養物を使用する場合、同じ条件で培養することができた。
DNAの分離およびヌクレオチド配列決定
単離した増殖コロニーの細胞材料は、標準プログラムによるコロニーPCR法を使った微生物DNAの増幅に使用した。
16S rRNA配列を決定するため、PCR法によって細胞DNAから16S rRNA遺伝子を増幅した。それには、GRGTTTGATCCTGGCTCAGおよびACGGHTACCTTGTTACGACTTの配列(5’→3’方向に記載してある。Hは、C、TまたはAを意味する。)を有するプライマーを使用した。PCR産物として得られたDNA断片をクローニングベクターにクローニングし(ベクターp−Driveを使用し、QIAGEN/Hilden社のQIAGEN PCRクローニングキットでライゲーション)、大腸菌に形質転換し(QIAGEN PCR−クローニングハンドブックに従って)、コロニー−PCRで検査した。好適なクローンを選抜するため、得られたコロニー−PCR産物を制限酵素断片長多形(RFLP)分析にかけた。それぞれのクローンから相当するプラスミドDNAを分離し、鎖切断法(Sangerら、1977)によって配列を決定した。
配列分析
コロニーの配列分析を行ったのち、プログラムパッケージARB(Ludwigら、Nucleic Acids Research. 2004. 32, 1363-1371)を使って16S rDNAまたはその対応する16S rRNAへの変換を系統分類学的に分析し、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)種の微生物であると分類できた。データベースwww.ncbi.nlm.nih.govからのBLASTプログラム(Basic local alignment search tool)を使ったクローン化16S rDNAまたは対応する16S rRNAの配列分析に基づいて、クロストリジウムsp.クローン1099982248072が最も近い近縁体であると決定した。
セルロース含有培地の液状化
加水分解活性を有する発酵微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物を使った試験から、非常に粘稠なカルボキシメチルセルロースを含有する選択培地を加えると、培地は、細菌が増殖するにつれて次第に水に近い粘性にまで液状化が誘導できることが証明された。このことは培養フラスコを振盪しながら目で検査すればはっきりと観察できる。
発酵基質の液状化−基質流動試験
湿式法の場合、高い乾燥物質含有量の発酵基質を液状化すること、あるいは液状−かゆ状の粘性を維持することは、摩擦による損傷を抑えながらコスト的に有利に工業プロセスを進めるために不可欠である。連続運転すると、発酵内容物が「粘性を増す」事態が発生することがあり、そのこともバイオガス生成プロセスにとって、好ましくない影響を及ぼす。そこで、試験を実施し微生物の添加が発酵基質の粘性に及ぼす効果を決定した。試験では、斜めに傾けた平面上で基質試料の流動性を測定した(基質流動試験)。
流動試験の出発物質には、約8〜12%の乾燥物質の割合有するバイオガスプラントから採取した物質を使用した。それぞれ発酵槽から採取した物質500mLを1LのSchottフラスコに入れ、40℃で1日間インキュベートした。次に、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a、パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2または3種の細菌を同じ割合で混合したものの前培養物500mLから採取した細菌細胞塊(約4×1011個の細胞に相当する)をそれぞれ培地1mLに再懸濁し、添加し、さらに5日間40℃で振盪しながらインキュベートした。比較対照用試料には培地1mLのみを添加した。それぞれ試料1.3gを、斜めに傾けた金属製平面の出発点に置き、各試料の流動速度(10分間当たりに移動距離)をcm目盛のスケールで読み取り、それを発酵基質の流動度または粘性の形で表示する。流動試験結果を図1に示す。
図1に示すスポットは次のとおりである:スポット1:微生物無添加の対照試料(比較例);スポット2:クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a(比較例);スポット3:クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3;スポット4:パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2(比較例);スポット5:クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3およびパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2を同じ割合で混合した混合物。図1のAは試料を付けた直後のスポット、図1のBは2分後のスポット、そして図1のCは18分後のスポットを表わす。
クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の生きた細菌を添加すると、発酵槽内容物の粘性は、非常に大きく低下するのに対して、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1aおよびパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2を添加した場合は、効果は明らかであるが、前者ほど顕著ではないことがわかる。3種類の微生物の混合物を添加することによっても、基質の顕著な液状化を達成することができた。さらにもう一つの試験では、死細胞(滅菌オートクレーブ)を加えた場合は実質的に効果のないことが確認された。試料の目視検査でも、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の生細胞を加えると粘性物質の割合が低下することがわかった。すでに発酵槽を通過し、その結果微生物による発酵プロセスを終えた基質に対しても添加細菌はさらなる液状化をもたらすということは、予想外の驚くべきことであった。このことは、発酵プロセスでは、基質は、微生物を追加しないと完全に分解せず、追加的エネルギーを残しており、本発明による微生物を添加することによって、初めてその利用が可能になることを意味する。
細胞密度の決定
生細胞の細胞密度を測定するため、それぞれ細菌試料10μL(たとえば前培養物、細菌培養物、発酵試料の上澄み、)とBacLightTM色素(Invitrogen)2μLとを混合し、1000倍の倍率で顕微鏡観察した(AXIO Imager A1, Zeiss, Jena)。UV光の下、2種類のフィルターを使用し、BacLightTMシステムで試料中の生細胞の割合を決定することができる。全細胞数はトーマ血球計算盤で算出した。前培養物中の生細胞の割合は、おおむね90%を超えた。
試料中のクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3またはパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2またはクロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a細胞の割合の決定−「フィッシング」
細菌種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3またはパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2またはクロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1aの割合は、Amannらが記載する方法(1995, Microbiol. Rev. 59, 143-169)にしたがい、「全細胞ハイブリダイゼーション法」によって決定した。「フィッシング」のプローブとして、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3に対しては、Cy3−ccacagctctcacgcccg(5’→3’の方向に記述)の配列の標識オリゴヌクレオチドを使用し、パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2に対しては、Cy3−gcaacccgaacTgagacc(5’→3’の方向に記述)の配列の標識オリゴヌクレオチドを使用し、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1aに対しては、Cy3−CTTCATGCGAAAATGTAA(5’→3’の方向に記述)の配列の標識オリゴヌクレオチドを使用した。これらのオリゴヌクレオチドは標識としてそれぞれ5’末端にインドカルボシアニン(Cy3)色素を結合していた。
発酵槽のタイプ
試験は、タイプの異なる発酵槽を使用し、パイロットプラント規模で実施した。発酵槽の運転は約40℃の運転温度で行った。基質には主として乾燥有機物質(oTS)の割合が30〜35%のサイロ貯蔵トウモロコシを使った。発酵に関係する代謝活性微生物に必要な微量元素を供給するため、通常は市販の微量元素混合物(たとえばNovodyn(登録商標))を添加した。
タイプ1発酵槽:横型長方形のプラグフロー発酵槽、内容量150L、この発酵槽は内側に入り込むように作られた壁によって構造的に分割され、基質が流れる通路は面積が小さくしてあり、発酵空間は基質投入口のすぐうしろ1/4と、開口部(Lochblende)のうしろ3/4とに分割された二段式プラント。
タイプ2発酵槽:第一段として横型長方形のプラグフロー発酵槽、内容量150L、プラス第二段として全撹拌式球形発酵槽、内容量200L;球形発酵槽とプラグフロー発酵槽の間を再循環する、総容量350Lの二段式プラント。
タイプ3発酵槽:横置円筒型プラグフロー発酵槽、内容量30m3、一段式プラント。
タイプ4発酵槽:横型長方形のプラグフロー発酵槽、内容量150L、発酵槽の空間は構造的に分割されていない一段式プラント。再循環は場合に応じて選択。
発酵槽内部の微生物の分布−「トレーサー試験」
発酵槽内の粘稠な基質、そしてそれゆえその他の添加物も、完全に混合するにはかなりの時間がかかり、加えて、その時間は使用する撹拌装置にも依存するため、発酵槽内添加微生物が均一に分布するまでの時間を決定できる試験を確立した。この「トレーサー試験」では、微生物の代わりに、LiClの粉末を10mgリチウム/kg出発基質の農度で(タイプ2の発酵槽に対しては2倍量)、基質添加場所から添加した。それから異なる時間(添加は1日目に行う)に、発酵槽の異なる場所で基質試料を採取し(基質投入後に発酵槽を始動し、残った基質が排出される前に終了で)、そのLi含有量を、DIN EN ISO 13346(S7a)およびDIN EN ISO 11885(E22)に記載の方法により、誘導結合型プラズマ原子発光分光法で分析した。発酵槽の内容物が完全に混合したら、発酵槽前端部と発酵槽の後端部のLi含有量測定値が同じにならなければならないし、約10mg/kg出発基質の値(タイプ2発酵槽の場合は約20mg/kg出発基質)を示さなければならない。3種類の異なるタイプの発酵槽に対するこのような「トレーサー試験」の結果を表1に示す。
Figure 2011514246
タイプ2およびタイプ3の発酵槽の場合、発酵槽の内容物の完全な混合およびそれと並行する「トレーサー」の均一な分布は、「トレーサー」を添加してから5日間で達成されるのに対して、タイプ1の発酵槽では8日後にはじめて達成されることがわかった。添加微生物の均一な分布必要とされる時間も数日であることが推測される。
本発明による微生物を添加した場合と添加しなかった場合の長期間発酵によるバイオガスの製造
実際の実施経験で知られている平均容積負荷に対して、これをパイロットプラント規模で少なくとも2倍に引き上げることができた。容積負荷が8kg oTS/m3・日の場合、1m3当たり、1週間当たり2×1013個の細胞を添加することによって安定した運転が実現できた。その際、温度(40℃)およびpH値(6〜9)または緩衝能など、実際の運転における通常のプロセスパラメータは変化しなかった。
内容量150Lから30000Lまでの異なる試験発酵槽を使用して、現実的な条件下(T 〜40℃、pH6〜8、連続的仕込み、連続撹拌)で行った発酵プロセス中に、1立方メートル当たり、1日当たりの乾燥有機物(kg)の容積負荷(kg oTS/m3・日)および生成するバイオガスの時間的変化を数ヶ月の期間に渡り測定した。異なる試験プラント間の比較がしやすいように、ガスの収量として、バイオガスの比収量の代わりに空間時間収量(発酵体積1L当たり生成したバイオガスの標準リットル数[単位:NL/L])で表示した。すなわち、生成したバイオガスの量をそのときの発酵体積で規格化した。さらに、理論的に期待されるガス発生量の時間的変化も計算した。
農業技術・土木機構(Kuratorium fuer Technik und Bauwesen in der Landwirtschaft e.V.)(KTBL)ならびに州農業研究所(Bundesforschungsanstalt fuer Landwirtschaft)および再生可能資源協会(Fachagentur Nachwachsende Rohstoffe)は、安定した発酵時に基質使用量に応じておおよそどれほどの量のバイオガスを見込むことができるかを示す基準値を公表している。したがって、これらの基準値は理論的に生成可能なバイオガス量を反映することができる。またこれに代えて、その他の州のその他の研究機関によって公表された基準値も使用することが可能である。oTSの割合が22%から40%までの間にあるサイロ貯蔵トウモロコシの場合、期待されるガスの収量は533Nl/kg oTSから650Nl/kg oTSまでの範囲にあると言われている("Handreichung Biogasgewinnung und -nutzung", 2006, Hrsgb. Fachagentur Nachwachsende Rohstoffe e.V., Guelzow およびKTBLホームページ www.ktbl.de)。このような基準値によって、理論的ガス生成量[NL/日]の時間的変化を計算した。その際、すべての試験に対して、ガスの理論的収量として663NL/kg oTSという非常に高い値を仮定した。使用したサイロ貯蔵トウモロコシについて実際に測定したoTSの割合の値は、仕込みによって30および40%oTSの間で変動した。
ガスの収量および容積負荷以外に、発酵内容物の乾燥物質含有量、pH、酸濃度(たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、酢酸当量)、温度、ガス比収量、バイオガスの組成、粘性、導電性、酸化還元電位、ならびに栄養物および微量元素の濃度など、発酵プロセスの一連の特性パラメータも測定した。
微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の添加でのタイプ4発酵槽による長期間発酵
ここではパイロットプラントとして容積150Lの横型プラグフロー発酵槽が対象となる。この発酵槽は一段式プラントとして運転された。
図2は、微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株を添加した場合と添加しなかった場合について、試験発酵槽で発酵プロセス時に測定した各特性パラメータの値を示す。符号10で示す曲線は、1立方メートル当たり、1日当たりの乾燥有機物質のキログラム数で表わされる発酵槽の容積負荷(kg oTS/m3・日)の時間的変化を表わし、符号20で示す曲線はそれぞれ5日間の平均空間時間収量測定値(NL/L)の時間的変化を表わす。符号30で示す曲線は、理論的ガス生産量の時間的変化を表わす。
前記プラントは運転日246日まで微生物を添加しないで運転した。発酵が安定した状態にあるこのプラントでは6ないし7kg oTS/m3・日の高い容積負荷を達成することができた。このときの実際のガスの収量はそれぞれ理論値よりやや低い状態であった。
容積負荷を10kg oTS/m3・日まで引き上げる試験を232日(星印で表示)から行ったが、ガスの生成は直ちに崩壊した。容積負荷が再び約6kg oTS/m3・日まで戻ったあと、246日からは1週間に2回微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の培養物を添加した(30mLから200mLの体積で1回の添加当たり5×1010個および2×1011細胞個のあいだ)。クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の添加時点はX軸上にひし形の符号40で示してある。
その後、ガスの実際の収量は理論計算値を超えて上昇しつづけた。発酵プロセスが安定していると、容積負荷は上昇しつづけることができ、360日まで9kg oTS/m3・日という高い値で推移した。その結果、空間時間収量も最初の4NL/Lから6NL/Lまで上昇した。360日が経過した時点で(矢印)、運転を休止するため基質の供給を停止し、それ以上微生物の添加は行わなかった。ガス生成は完全に停止した。
384日から、プラントの容積負荷は、新たに微生物を添加しなくても1日以内に5kg oTS/m3・日に向かって上昇した。約415日まで容積負荷は7kg oTS/m3・日の値に向かって上昇し、さらにその後7および8kg oTS/m3・日の間の高い値にとどまった。このあと、ガスの生成は再び高効率で始まり、検討した全期間にわたって理論的に期待されるガス生産量あるいはそれを上回る生産量がつづいた。
数週間の休止後もこのようにプラントの運転が問題なくつづけられることはきわめて異例であることは当業者のよく知るところである。クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3に対するオリゴヌクレオチドプローブを取り付けたプラントを再度高負荷運転した後の「フィッシング」実験によれば、発酵槽の中の微生物は定着し、発酵槽内容物から検出される細菌の総数の約0.5%の濃度で存在することが確認された。このことは高い容積負荷およびガス収量ならびに発酵プロセスの安定性に対する好ましい効果も説明しており、こうした効果は、すでに微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3を定期的に添加したときにも認められた。
クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3ならびにクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株およびパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2株混合物の添加でのタイプ1発酵槽による長期間発酵
ここでは、パイロットプラントとして容積150Lの横型長方形プラグフロー発酵槽が対象となる。この発酵槽は、内部に入り込むように作られた壁によって構造的に分割され、基質が流れる通路は面積が小さくしてあるため、二段式プラントとして運転された。この発酵槽は発酵空間が擬似的に2つの反応室に分割されており、その容積比は1:3になっている。小さい方の室は基質投入口のすぐうしろにあり、大きい方の室は開口部のうしろにある。発酵特性パラメータの測定から、両反応室で部分的に異なる値が生じることが判明した。その結果、種々の基質反応が、好ましくは、どちらかの反応室で行なわれると推定することができる。
図3は、微生物の混合物または微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の添加下にタイプ1試験発酵槽で発酵プロセスを行う間に得た各特性パラメータの測定結果を示す。符号10で示す曲線は、1立方メートル当たり、1日当たりの乾燥有機物質のキログラム数で表わされる発酵槽の容積負荷(kg oTS/m3・日)の時間的変化を表わし、符号20で示す曲線はそれぞれ5日間の平均空間時間収量測定値(NL/L)の時間的変化を表わす。符号30は、理論的ガス生産量(NL/L)の時間的変化を表わす。
プラントは、原料の投入を完全に新しくやりなおした。すでに1週間後には、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株およびパエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2株をほぼ同じ割合で混合した混合物を1週間に2から5回添加した。添加時点は符号50で示してある。約1012個の細胞からなる細胞ペレット約3gを添加した。発酵プロセスが安定している場合、容積負荷は、約6kg oTS/m3・日に達するまで徐々に上昇させることができる。得られたガスの収量は、おおむね理論的に期待される収量か、僅かに低い収量であった。
106日からは混合培養物の代わりにクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物を週に5回添加した(同じく、約1012個の細胞からなる細胞ペレット約3g)。添加時点は符号60で示してある。容積負荷は、観察期間の終わりまで、ずっと6および7kg oTS/m3・日という高い水準を維持し続け、測定酸濃度は、臨界領域に達することはなかった。発酵内容物中の乾燥有機物質の測定した割合は、12%oTSの値を決して超えることはなく、それゆえ、容積負荷が高くても発酵槽の内容物は撹拌性がよく、粘性が高すぎることはなかった。微生物を添加しない比較対照実験では容積負荷が5kg oTS/m3・日を超えると運転不能であった。
クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の純粋培養物を添加した場合、混合培養物を添加した期間と比べて、実際に測定したガスの収量は明らかに上昇した。混合培養物を週に5回添加した期間に測定した平均ガス収量は4.1NL/Lであったのに対して、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物を添加したあとの平均ガス収量は4.6NL/Lであった。これは12%の増加に相当し、経済的に非常に大きな意味を持つ。この実施例からも、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の純粋培養物を添加すると、バイオガスの比収量(Nm3/t)は向上し、容積負荷を同じにした場合、ガスの収量は上昇し、添加される基質が、より効率的に使用されたことを示している。
微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の添加でのタイプ3発酵槽による長期間発酵
この試験プラントについては、横型円筒形のプラグフロー発酵槽として製作された、容積が30m3のパイロットプラント規模の大型試験プラントが対象となる。この発酵槽は一段式プラントとして運転された。
図4は、微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株または微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の添加下にタイプ3試験発酵槽で発酵プロセスを行う間に得た各特性パラメータの測定結果を示す。符号10で示す曲線は、1立方メートル当たり、1日当たりの乾燥有機物質のキログラム数で表わされる発酵槽の容積負荷(kg oTS/m3・日)の時間的変化を表わし、符号20で示す曲線は、測定した空間時間収量の時間的変化を表わす。それぞれ5日間にわたる空間時間収量(NL/L)は符号70で示してある。符号30は、理論的ガス生産量[NL/L]の時間的変化を表わす。
微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株を添加した時点は符号90で示してある。微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株を添加した時点は符号80で示してある。矢印は発酵槽の機能の「急激な低下」(Absturz)が始まったことを示す。
運転184日目から、バイオガスプラントは4から5k goTS/m3・日の容積負荷で運転した。図4を見ればわかるように、この試験で得られたバイオガスの空間時間収量は理論的に期待される値を明らかに上回った。プロセスの水準をこの高さで維持するために、207日から微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株の純粋培養物を添加した(100から200Lバッチから得た湿潤細胞ペレットそれぞれ約100gを1週間に4から5回添加。これは約4から8×1013個の細胞に相当)。このようにして、プロセスを2週間を超える期間、この高い水準に維持することができた(空間時間収量3.5から4NL/L、理論的に期待されるガス収量を約15%から30%上回る)。しかし、227日から、「発酵槽の機能の急激な低下」ともいうべき、わずか1kg oTS/m3・日を多少上まわる程度まで容積負荷の急速な低下と平行してガス生成の突然の低下が起こった。pH値(229日に約7.7〜7.8から6.0へ低下)や遊離脂肪酸の蓄積を表わす測定値(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸および酢酸当量に対する値の急激な上昇)など、別の測定パラメータからも、発酵プロセスの平衡が破れたことを観察することができた。発酵プロセスを再度安定化するためには、運転日228日から、それぞれ微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の純粋培養物を添加した(100ないし200Lバッチから得た湿潤細胞ペレットそれぞれ約100gを1週間に4から5回添加)。機能が急激に低下したときに得られたガス収量は、理論的に期待される値にかろうじて達したに過ぎなかったが(符号20および30で表示された測定シリーズを参照)、すでに230日からは、すなわち微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の最初の培養物を添加してから2日後には、測定されたガス収量は理論的に期待されるガス収量を再び上回る。ガス収量が連続して上昇するのと平行して容量負荷の上昇も238日から可能であった。257日まで微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の添加を続けた。この時点で容積負荷は約4kg oTS/m3・日に達し、得られたガス収量は理論的に計算される値を終始大きく上回ったが、効率は急激な機能低下に陥る前よりいくらか低い状態がつづいた。こうした結果をふまえて微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の添加を中止し、260日からは新たに微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株を添加した(100ないし200Lのバッチから得た湿潤細胞ペレットそれぞれ約100gを1週間に4から5回添加)。これによって容積負荷は、4.5および5kg oTS/m3・日のあいだまで再度容易に上昇することができ、再びガスの増収が観察され、発酵槽の急激な機能低下に陥る前の水準に達した。かくして、本発明による微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株の添加は、機能の急激な低下状態にある発酵槽を安定化するのに好適であることが明らかになった。
発酵に際して、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物を添加することにより、容積負荷を最大値約9k goTS/m3・日まで引き上げることができた。
容積負荷の上昇と平行してバイオガス収量の向上が観察できた。その際、生成されたバイオガスの量(標準リットル/日[NL/日])とガスの理論生産量(標準リットル/日[NL/日])とは一致するか、ガスの理論生産量と比べて高いガス生産量が観察された。
クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3を添加することにより、プラントの容積負荷をさらに引き上げることができた。そのとき、乾燥物質または乾燥有機物質の含有量(%)はほとんど変わらず一定であった。この観察から、発酵基質を発酵させる間、非発酵乾燥有機物質は蓄積しないという考えに至った。したがって、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の純粋培養物を添加することは、発酵基質に含まれる乾燥物質の連続的な変換反応に貢献し、その変換反応は乾燥物質の蓄積を減らすため、そのことによっても連続発酵が可能になる。
バイオガスプラントが一定の容積負荷で運転されている期間は、乾燥物質の減少が観察され、そしてそのことは、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3微生物が、その加水分解物質代謝選択性によって乾燥物質が発酵槽に蓄積するのを引き下げるだけでなく、乾燥物質の加水分解も助長することを暗示する。
ここまで述べてきた実施例では、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の純粋培養物だけでなく、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を含む混合培養物も使用した。具体的には、パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)、クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)およびクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)からなる群から選択される2ないし3種類の微生物からなる混合培養物を添加することが可能である。
加水分解活性を有する発酵微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3の添加は、乾燥有機物質の加水分解に対して好ましい効果を示す。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することにより、それ以外は同じ条件で、発酵槽の容積負荷を約4〜5kg oTS/m3・日から約6〜9kg oTS/m3・日まで引き上げることができる。容積負荷の上昇と平行して、生成バイオガス量も増加する。そしてさらに、微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加しない場合と比べて、明らかに多量の乾燥有機物質が分解されるため、バイオガスの比収量も向上する。微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用は、バイオガスプラントの効率と有効性を劇的に改善する。

Claims (53)

  1. バイオマスに微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)を添加することを特徴とするバイオマスの処理方法。
  2. バイオマスの液状化方法であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. バイオマスからバイオガスを製造する方法であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が微生物培養物の形で添加され、かつ微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、該培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-4%を占めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記微生物培養物中の前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、該培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10%を占めることを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 前記微生物培養物中の前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、該培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも50%を占めることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記微生物培養物中の前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、該培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも90%を占めることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の純粋培養物を添加することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、微生物の少なくとも1つの固定化培養物の成分として、バイオマスに添加されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の添加とほぼ同時に、バイオマスを発酵槽に追加することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. バイオマスを連続的に加えて発酵槽の容積負荷を連続的に高めることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. バイオマスからのバイオガスの製造が、容積負荷0.5kg oTS/m3・日以上、そして好ましくは4.0kg oTS/m3・日以上、そして特に好ましくは8.0kg oTS/m3・日以上で行われることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 基質の添加および微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の添加を連続的に行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、添加後の該微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質中に存在する微生物の総数の10-8%と50%との間になる量で添加されることを特徴とする請求項1〜13項のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、添加後の該微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の割合が、発酵基質中に存在する微生物の総数の10-3%と1%との間になる量で添加されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)をさらに添加することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記微生物種クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)が、微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株であることを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 微生物種パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)をさらに添加することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記微生物種パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)が、微生物パエニバチルス・マセランズ(Paenibacillus macerans)SBG2株であることを特徴とする請求項18記載の方法。
  20. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、微生物クロストリジウムsp.クローン1099982248072株であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. バイオマスの処理における微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用。
  22. バイオマスの液状化における微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用。
  23. 発酵による、バイオマスからバイオガスの製造における微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の使用。
  24. 前記微生物種クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、微生物クロストリジウムsp.クローン1099982248072株であることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の使用。
  25. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法によって得られる液状化バイオマスのバイオ燃料の製造における使用。
  26. 前記液状化バイオマスがバイオエタノールの製造に使用することを特徴とする請求項25記載の使用。
  27. DSMZにNo.22577で寄託されている微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)SBG3株。
  28. DSMZにNo.22578で寄託されている微生物クロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)SBG1a株。
  29. ヌクレオチド配列を有する核酸を含む微生物であって、該ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が96.57%を超える配列領域を含むことを特徴とする微生物。
  30. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が97.0%を超える配列領域を含むことを特徴とする請求項29記載の微生物。
  31. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が98.0%を超える配列領域を含むことを特徴とする請求項30記載の微生物。
  32. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.0%を超える配列領域を含むことを特徴とする請求項31記載の微生物。
  33. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列との配列同一性が99.5%を超える配列領域を含むことを特徴とする請求項32記載の微生物。
  34. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1のヌクレオチド配列と一致する配列領域を含むことを特徴とする請求項33記載の微生物。
  35. バイオマスの処理方法に使用するのに好適な微生物培養物であって、該微生物培養物中に請求項29〜34に記載の微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が存在し、かつ該微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、該培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも10-4%を占めることを特徴とする微生物培養物。
  36. 前記微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、前記培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも1%を占めることを特徴とする請求項35記載の微生物培養物。
  37. 前記微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、前記培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも25%を占めることを特徴とする請求項36記載の微生物培養物。
  38. 前記微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、前記培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも50%を占めることを特徴とする請求項37記載の微生物培養物。
  39. 前記微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)が、前記培養物中に存在する微生物の総数の少なくとも90%を占めることを特徴とする請求項38記載の微生物培養物。
  40. 微生物クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)の純粋培養物であることを特徴とする請求項39記載の微生物培養物。
  41. 微生物固定化培養物であることを特徴とする請求項35〜40のいずれか1項に記載の微生物培養物。
  42. バイオマスの処理における、請求項27〜34のいずれか1項に記載の微生物の使用。
  43. 前記バイオマスの処理が、請求項1〜20のいずれか1項に記載のバイオマスの処理方法であることを特徴とする請求項42記載の使用。
  44. バイオマスの液状化における、請求項27〜34のいずれか1項に記載の微生物の使用。
  45. 前記バイオマスの液状化が、請求項2〜20のいずれか1項に記載のバイオマスの液状化方法であることを特徴とする請求項44記載の使用。
  46. 発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造における請求項27〜34のいずれか1項に記載の微生物の使用。
  47. 前記発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造が、請求項3〜20のいずれか1項に記載の発酵によるバイオマスからのバイオガス製造方法であることを特徴とする請求項46記載の使用。
  48. バイオマスの処理における、請求項35〜41のいずれか1項に記載の微生物培養物の使用。
  49. 前記バイオマスの処理が、請求項1〜20のいずれか1項に記載のバイオマスの処理方法であることを特徴とする請求項48記載の使用。
  50. バイオマスの液状化における、請求項35〜41のいずれか1項に記載の微生物培養物の使用。
  51. 前記バイオマスの液状化が、請求項2〜20のいずれか1項に記載のバイオマスの液状化方法であることを特徴とする請求項50記載の使用。
  52. 発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造における、請求項35〜41のいずれか1項に記載の微生物培養物の使用。
  53. 前記発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造が、請求項3〜20のいずれか1項に記載の発酵によるバイオマスからのバイオガスの製造方法であることを特徴とする請求項52記載の使用。
JP2010547044A 2008-12-23 2009-07-07 バイオマスの処理のためのクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides) Expired - Fee Related JP5266441B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DEPCT/DE2008/075017 2008-12-23
PCT/DE2008/075017 WO2009086812A2 (de) 2008-01-10 2008-12-23 Clostridium sporosphaeroides zur erzeugung von biogas
DE102009003587.7 2009-03-07
DE102009003587A DE102009003587A1 (de) 2009-03-07 2009-03-07 Mikroorganismen zur Verflüssigung von Biomasse
PCT/DE2009/075035 WO2010072219A1 (de) 2008-12-23 2009-07-07 Clostridium sporosphaeroides zur behandlung von biomasse

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2011514246A true JP2011514246A (ja) 2011-05-06
JP2011514246A5 JP2011514246A5 (ja) 2012-03-15
JP5266441B2 JP5266441B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=41478652

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010547044A Expired - Fee Related JP5266441B2 (ja) 2008-12-23 2009-07-07 バイオマスの処理のためのクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)

Country Status (11)

Country Link
US (1) US8420361B2 (ja)
EP (1) EP2352835B1 (ja)
JP (1) JP5266441B2 (ja)
CN (1) CN101918569B (ja)
AU (1) AU2009324272B2 (ja)
CA (1) CA2710591C (ja)
DK (1) DK2352835T3 (ja)
HR (1) HRP20120885T1 (ja)
PL (1) PL2352835T3 (ja)
SI (1) SI2352835T1 (ja)
WO (1) WO2010072219A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017524657A (ja) * 2014-05-26 2017-08-31 ロケット フレールRoquette Freres バイオガス生成のためのメタン発酵基質
WO2023136335A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター タンパク質を含むセルロース系繊維物を分解する方法

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102013002332A1 (de) * 2012-12-07 2014-06-12 Eads Deutschland Gmbh Nutzung von Biomasse zur Erzeugung von Kraftstoffen
CN106190409A (zh) * 2016-08-24 2016-12-07 太湖县享有新能源有限责任公司 一种易燃、脱硫的秸秆生物质燃烧棒及其制备方法
CN112047575B (zh) * 2020-09-10 2022-06-24 江苏润誉环保设备科技有限公司 一种处理均苯四甲酸二酐生产废水的方法及专用装置
CN112077126B (zh) * 2020-09-17 2023-07-25 杭州楠大环保科技有限公司 一种家用餐厨垃圾相变制水降解处理系统及其处理方法
DE102021101167A1 (de) * 2021-01-20 2022-07-21 WAS Wirtschaftsagentur Martin Schroeder GmbH Verfahren und Vorrichtung zur Verwertung von organischen Materialien
WO2023159251A1 (en) * 2022-02-21 2023-08-24 Novozymes A/S Method for carring out the combined operation of a bioethanol production unit and a biogas unit
WO2023164436A1 (en) * 2022-02-23 2023-08-31 Novozymes A/S Process for producing fermentation products and biogas from starch-containing materials

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004113067A (ja) * 2002-09-25 2004-04-15 Ebara Corp セルロース分解能を有する新菌株、その利用方法および増殖促進法
JP2005254168A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Ebara Corp セルロース系有機物を含む処理対象物の嫌気性処理方法および装置
WO2006056819A1 (en) * 2004-11-26 2006-06-01 University Of Szeged Method for increased production of biogas
WO2006119052A2 (en) * 2005-05-03 2006-11-09 Anaerobe Systems Anaerobic production of hydrogen and other chemical products

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2258254A1 (fr) 1998-12-23 2000-06-23 Andre Balu Usine de traitement industriel des dechets domestiques et des boues organiques par le recyclage des produits valorisables et par la production acceleree de gaz biologique (le biogaz) et d'un amendement organique (le digestat) generes par la fermentation anaerobie mesophile des matieres organiques
JP3617528B1 (ja) * 2004-06-18 2005-02-09 有限会社エムアイシー バイオマス処理方法
ATE430808T1 (de) 2005-09-05 2009-05-15 Gangotree Resource Developers Dreistufiges biomethanisierungsverfahren

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004113067A (ja) * 2002-09-25 2004-04-15 Ebara Corp セルロース分解能を有する新菌株、その利用方法および増殖促進法
JP2005254168A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Ebara Corp セルロース系有機物を含む処理対象物の嫌気性処理方法および装置
WO2006056819A1 (en) * 2004-11-26 2006-06-01 University Of Szeged Method for increased production of biogas
WO2006119052A2 (en) * 2005-05-03 2006-11-09 Anaerobe Systems Anaerobic production of hydrogen and other chemical products

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017524657A (ja) * 2014-05-26 2017-08-31 ロケット フレールRoquette Freres バイオガス生成のためのメタン発酵基質
WO2023136335A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター タンパク質を含むセルロース系繊維物を分解する方法

Also Published As

Publication number Publication date
HRP20120885T1 (hr) 2012-11-30
CA2710591C (en) 2014-10-21
CN101918569A (zh) 2010-12-15
SI2352835T1 (sl) 2013-01-31
PL2352835T3 (pl) 2013-02-28
EP2352835B1 (de) 2012-09-05
CN101918569B (zh) 2014-05-21
US8420361B2 (en) 2013-04-16
EP2352835A1 (de) 2011-08-10
DK2352835T3 (da) 2012-12-03
WO2010072219A1 (de) 2010-07-01
CA2710591A1 (en) 2010-07-01
US20110244542A1 (en) 2011-10-06
AU2009324272B2 (en) 2012-06-21
AU2009324272A1 (en) 2010-07-29
JP5266441B2 (ja) 2013-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5266441B2 (ja) バイオマスの処理のためのクロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)
Shokrkar et al. Bioethanol production from acidic and enzymatic hydrolysates of mixed microalgae culture
Yıldırım et al. Improvement of biogas potential of anaerobic digesters using rumen fungi
Ortigueira et al. Third generation biohydrogen production by Clostridium butyricum and adapted mixed cultures from Scenedesmus obliquus microalga biomass
Nielsen et al. Comparison of two‐stage thermophilic (68 C/55 C) anaerobic digestion with one‐stage thermophilic (55 C) digestion of cattle manure
Ventorino et al. Pre-treatment and inoculum affect the microbial community structure and enhance the biogas reactor performance in a pilot-scale biodigestion of municipal solid waste
Aydin et al. Rumen anaerobic fungi create new opportunities for enhanced methane production from microalgae biomass
EP1828065B1 (en) Method for increased production of biogas in thermophilic, anaerobic fermenters
CN101506107B (zh) 使用超嗜热生物体产能
Ananthi et al. A review on the impact of various factors on biohydrogen production
JP2011514246A5 (ja)
Xia et al. Recent studies on thermophilic anaerobic bioconversion of lignocellulosic biomass
Li et al. Strategy of controlling the volumetric loading rate to promote hydrogen-production performance in a mesophilic-kitchen-waste fermentor and the microbial ecology analyses
MX2011004601A (es) Fermentacion de etanol mejorada utilizando un bioproducto de digestion.
Wang et al. Promoting chain elongation efficiency from food waste by refluxing chain elongation fermentation liquid
Yu et al. Performance of a mixed inoculum of sludge and pit mud for short and medium-chain fatty acids production: Insight into key microbiome and functional potential in anaerobic fermentation inoculum
Wang et al. Multiple hydrolyses of rice straw by domesticated paddy soil microbes for methane production via liquid anaerobic digestion
Yamei et al. Bioreactor performance and microbial community dynamics in a production-scale biogas plant in northeastern China
JP5469092B2 (ja) バイオガスの生成のためのクロストリジウム・サルタゴフォルマム(Clostridium sartagoformum)
Sitthikitpanya et al. Valorization of sugarcane leaves and co-digestion with microalgal biomass to produce biofuels and value-added products under the circular economy and zero-waste concepts
DE102009003780B4 (de) Methanogene Mikroorganismen zur Erzeugung von Biogas
Dubrovskis et al. The production of methane from the straw pellets with addition of enzymes.
Malovanyy et al. Mesophilic anaerobic digestion of broadleaf cattail suspensions using the fermented residues of yeast production as inoculum
Juntupally et al. Microbial coculture to enhance biogas production
DE102009026114A1 (de) Mikroorganismen zur Behandlung von Biomasse

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111025

A524 Written submission of copy of amendment under section 19 (pct)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20120125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121016

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130116

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130123

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130214

TRDD Decision of grant or rejection written
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5266441

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees