JP2011513700A - ベーン基部のコーティングを試験する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ベーン基部のコーティング(36)を試験する方法に関する。この試験方法は、少なくとも1つの支承面を含むいわゆるディスク試験片(22)と、前記コーティングで被覆された少なくとも1つの支承面(34)を含み、ディスク試験片の両側に挿入される2つの試験半片(32)からなる別のいわゆるベーン試験片(32)とを提供するステップと、ディスク試験片(22)と挿入されたベーン試験片(32)を引張サイクルにかけるステップであって、引張サイクルの間、試験片は互いに引っ張られ、引張力がベーン試験片とディスク試験片との接触支承面を介して伝達されるステップとを含む。本発明の方法は、コーティングの挙動および経年変化の非常に高い信頼性の再現のために使用され、したがって、コーティングの品質の正確な評価が可能になる。

Description

本発明は、ターボ機械のブレード根元部の減摩コーティングの品質管理の分野に関する。より詳細には、本発明は、ターボ機械のブレード根元部に被覆されるコーティングを試験する方法に関する。
ブレード、特に、航空機のターボ機械(ターボリアクタまたはターボプロップ)のファンブレードは、極度に応力を受ける機械部品である。このために、ブレードの保持部であるブレード根元部は、ブレードの特に重要な部分である。ブレード根元部は、境界面または支承面を備え、この面は動作時に応力および高温を受ける。ブレード根元部の支承面に加わる応力、すなわち、せん断応力を低減するために、知られている方法では減摩コーティングが使用される。いわゆる耐フレッチング性コーティングは、すなわち熱照射による付着が可能である。このコーティングは多層である場合もある。ブレードの故障の主なタイプは、コーティングの(チッピング、亀裂、崩れ、または摩耗による)崩壊に関係するので、減摩コーティングの品質は不可欠である。
典型的には、ブレード根元のコーティングの耐久性は、ブレードが受けるサイクル数(すなわち、「エンジンサイクル」)に関係する。実際には、このサイクルは、ターボ機械の完全な動作段階(飛行機に取り付けられたターボリアクタの場合、飛行中)、すなわち、起動から停止までに、ブレードが受ける一連の応力である。したがって、特に、飛行機の場合、サイクルは離陸と着陸とを含む。
サイクル数として表されるコーティングの耐久性は、商取引の契約に関係する場合があり、仕様に合わせるか、またはエンジニアリング会社によって計画される場合がある。ブレード根元部のコーティングは、通常、ブレードの動作の間、ブレード根元部のコーティングには何も介在しないものとされるため、ブレードの耐用年数全体にわたって使用可能な状態を維持するものでなければならない。
このコーティングの品質およびブレード自体の材料との境界面の品質を保証するために、知られている方法で顕微鏡によるコーティング試験が実施される。この試験は、一般に、コーティングおよびブレード根元部を切断し、そしてこの断面の様子を顕微鏡で観察するものである。この試験により、コーティングの内部構造およびコーティングの厚さを調べることができ、また、ある程度、ブレード根元部の材料との境界面の品質を調べることができる。また、標準的な硬度試験によって、または引張もしくはせん断保持力試験によって、コーティングの品質を試験することも知られている。
これらのさまざまな試験は、高品質のコーティングを辛うじて許容できる品質のコーティングと区別し、ブレード根元部に付着されたコーティングを使用する際の耐久性および機械的側面に関する正しい見解を立てるには不十分であることがわかった。すなわち、これらの試験により、種々のコーティングが満足のいく方法で多数のサイクルに耐える限り、これらのコーティングの間の品質差を立証することができない。
本発明の目的は、コーティングの品質に関して従来の試験よりもより差別化できることを示せるブレード根元部のコーティングを試験する方法を提案することであり、この方法により、ブレードの耐用年数、すなわち、通常は10,000から15,000サイクルでの結果が得られるため、ブレード根元部にコーティングを施した場合の時間的安定性に関する実際の評価と高い相関性のある結果が得られる。
この目的は:
少なくとも1つの支承面を備えるいわゆるディスク試験片と、試験される前記コーティングで被覆された少なくとも1つの支承面を備える別のいわゆるブレード試験片であって、ディスク試験片の両側で係合されるようになされた2つの試験半片からなるブレード試験片とを提供するステップと、
ディスク試験片と係合されたブレード試験片を引張サイクルにかけるステップであって、引張サイクルの間、引張方向にこれらの試験片が互いに対して引張応力を受け、引張歪みはブレード試験片とディスク試験片とを接触させる支承面を介して伝達されるステップと、
所定の評価基準に従って、前記コーティングを評価するステップとを含む方法によって達成される。
このように定義された試験の原理は、基本的に、知られている試験とは異なる。実際に、その原理は、新しいブレード根元部の検査を基本とするのではなく、ブレード根元部、およびより精密には、その支承面を、ブレードの耐用年数の間受けるであろう応力を表す疲労試験にかけることにある。有利には、この方法は、ブレードを使用する必要がなく、単に2つの試験片のみ使用すればよく、特に、そのうちのブレード試験片は試験されるコーティングで被覆された支承面を有する。さらに、ブレード試験片は1つの支承面だけでなく複数の支承面を有することも十分に可能であり、この場合、ディスク試験片はブレード試験片の各支承面に対して1つの支承面を備えることに留意されたい。
ブレードのコーティングの試験の目的は、例えば、一般には、新しいコーティングを試験すること、または作動される一連のブレードに塗布されるコーティングの品質を効果的に評価することとすることができる。この本発明の目的によれば、使用される試験片および試験条件(サイクル数、そのサイクルの間に加えられる最大の力)は、多かれ少なかれ、ブレード根元部の動作中にコーティングが受ける実際の応力を示すことができる。したがって、典型的には、引張サイクル数および試験片に加えられる最大引張力は、ブレード根元部の支承面における最大許容圧力およびブレードの耐用年数の間のエンジンサイクル数に基づいて、所与のコーティングに対して決められる。
さらに、引張サイクルの間、伝達された歪みに応じて変位が生じる。引張サイクルは、時間に応じて引張力が変動する曲線に特性化される。実際には、引張力は最初の0から増加する、または最小値(最大値に対して)から最大値まで増加し、その後、初期値に戻る。初期値および最大値は、一方および/または他方別々に、しばらくの間維持される。さらに、ターボ機械の異なる動作段階がどのようにシミュレートされるかに応じて、他の引張サイクルのプロファイルも想定できる。増加率パラメータ、すなわち、単位時間当たりの引張力の増加率も調整可能である。
典型的には、ブレード試験片は、引張力が15,000から30,000daNで可変の3,000から15,000の引張サイクルを受ける。
試験片の評価は、引張サイクル時に(例えば、試験機に取り付けられたカメラ、および/または超音波センサのようなセンサを使用して)、または引張サイクルの終わりに、試験片が除去された時点で行われる。
一実施形態によれば、方法の評価ステップでは、ブレード試験片は、その支承面にチッピングまたは崩れを呈しているか否かを判断するために検査される。
本発明の方法の利点は、実際のブレード根元部のコーティングの挙動および経年変化を高度に表す結果を提供できることである。
知られている方法では、ブレードのロータディスクへの締め付けは、一般的に取り付けを形成するホゾ穴−ホゾ結合によってなされる。この取り付けは、ブレードの半径方向内側一端部に作られたホゾからなり、ホゾはロータディスクの周囲に設けられたホゾ穴に固定される。したがって、一方のブレード根元部と、他方のロータディスクのホゾ穴間に形成されたロータディスクのボスまたはホゾとは、それぞれ相補的なダブテール形状であり、半径方向の反対側に配置されて、ブレードとロータディスクとの間を確実に相互に締め付ける。
インペラでは、ブレードはロータディスクの外側周囲に均一に取り付けられ、ロータディスクは締め付けられるブレードと同じ数の締付セルを備える。
ロータディスクへのブレードへの取り付けは、周方向に繰り返されるパターンを形成し、そのパターンは、例えば、ブレード根元部とそれに対応するロータディスクのホゾ穴とによって、またはロータディスクのダブテールホゾ(またはダブテール)とインペラの根元部を囲む2つのブレード根元部の半部とによって規定される。
したがって、本発明の方法の原理は、正確には、パターンが受ける繰り返し応力を再生すること、つまり、2つのブレード根元部の半部によって保持されるロータディスクのダブテールホゾの応力を再現することにある。
ブレード試験片は、ディスク試験片または対試験片の両側で係合して単一パターンを再現するようになされた2つの試験半片からなる。対試験片の周囲に試験半片を左右対称に配置することにより、引張サイクル時にそれらに加えられる横歪みが反対方向に対称になり、このために互いに相殺される。これにより、本発明の方法は、有利には、引張サイクル時に対試験片が受ける横歪みに耐える構造の任意の機械的手段を必要としない。さらに、ブレード根元部がその両面に支承面を有し、それらの支承面が左右対称でない場合、2つの試験半片が1つの対試験片を囲む配置により、2つの試験半片はブレード根元部の2つの境界面を表す支承面を有することができる。これらの支承面は同じ試験の時に試験され、このことで、ブレード根元部の両面のコーティングの挙動を同時に試験し、調べることができる。
さらに、本発明の方法により、実態を高度に表す結果を得ることができる。実際に、試験片の配置がターボ機械における試験片各々の位置に対応する。つまり、ブレード根元部の2つの半部を表す2つの試験半片は、ロータディスクのホゾを表す対試験片を両側で囲み、保持する。この配置で、優れた結果を示すことがわかった。
一実施形態によれば、ブレード試験片およびディスク試験片の支承面は、相補的形状であり、引張方向に対して傾斜方向に伸び、その結果、これらの支承面間の接触はブレード根元部とターボ機械のロータディスクのホゾとの接触を表す。支承面の傾斜した形状は、半径方向の引張歪みを横方向または周方向の歪みに変換する。
有利には、ブレード試験片および/またはディスク試験片の支承面は、引張方向に対して約45°の角度をなす。より具体的には、この角度は30°から60°の間で変化してもよい。
一実施形態によれば、ブレード試験片は、その支承面(複数可)の近くはターボ機械のブレード根元部を表す形状であり、引張軸は前記ブレード根元部の半径方向軸である。ブレード試験片のこの形状により、コーティングの最も代表的な動作条件の条件下でコーティングを試験することが可能になる。特に、ブレード試験片は、ブレード根元部またはコーティングが施されるブレード根元部の挙動および機械的変形を表す挙動および機械的変形を有することができる。
一実施形態によれば、ディスク試験片は、その支承面(複数可)近くはターボ機械のロータディスクのホゾを表す形状である。この形状は、ブレード試験片の側に配置される試験片の一部を含む。
したがって、試験片の各支承面はそれぞれ、ブレード根元部とそれに対応するロータディスクのホゾの支承面を表す。
また、取り付け、つまり、ブレード根元部のロータディスクのホゾに対する取り付けの挙動を忠実に表すために、通常は、ブレード試験片はブレード根元部と同じ材料、すなわち、典型的には、高圧および低圧圧縮機用のチタン系合金や動作温度が500°を越えるエンジン部用のニッケル系合金製である。同じ理由から、ディスク試験片は、ロータディスクの材料と同じ材料を選ぶ、すなわち、同様にチタンまたはニッケル系合金製とすることも可能である。
試験は、好ましくは、引張試験機を使用して行われる。この試験機は、それぞれ試験片のうちの第1の試験片と第2の試験片とを保持する第1および第2の保持手段のフレームを備える。試験の間、これらの保持手段により、試験片は両試験片の係合位置である所望の位置で維持され、その位置でそれぞれの支承面は一致して接触する。この位置は、動作中のブレード根元部とロータディスクとのそれぞれの位置を再現することが好ましい。
この試験機はさらに、一方の保持システムを引張方向に他方の保持システムと互いに交互に変位させる引張手段を備える。この時、保持システムは互いに対して引張動作を受けて、支承面、すなわち、ブレード試験片の支承面に、動作時にブレード根元部が経験する応力を表す応力を受けさせる。引張方向の変位は、通常は、コンパレータなどの変位測定システムによって測定され、記録される。
引張サイクルの終わりに、ブレード試験片の支承面のコーティングが評価される。この評価は、特に、目視(すなわち、マクロ的)または顕微鏡検査によって行われ、この段階で、結合、衝撃抵抗などの追加の検査やその他の検査も可能である。この検査では、コーティングを承認または拒否する決定に基づいて評価基準がブレード根元部のコーティング用に規定されなければならない。この基準は、一般に、ブレードの支承面(複数可)全体にわたって、コーティングのチッピングまたは崩れによる崩壊がないことである。例えば、最大許容チッピング(数、寸法における)を示す目視基準系が使用される。チッピングの最大サイズの観測は、幾何学的測定によっても調べられる。
最後に、好ましくは、試験方法は所与のコーティングに対して一回実施されるのではなく、一般には、コーティングの評価試験は一連の試験(例えば、3つの試験)からなるので、結果の信頼性を増大させることに留意されたい。したがって、結果は統計的方法によって求められ、結果のばらつきが低減される。
この場合、ブレード根元部のコーティングを試験する方法は:
支承面が試験されるコーティングで被覆された1つのブレード試験片と、1つのディスク試験片とを備える、1つまたは複数の試験片の組で既定の試験を行うステップと、
ブレードのコーティングの品質を適格と判断するために、統計的方法により得られた結果を分析するステップとを含む。
ブレードの評価基準は、例えば、ブレードが最大引張力20,000daNで13,500サイクル受けた後に、ブレードのいずれもチッピングを呈しない場合、適格と見なされ、承認されるというものであってもよい。所与の割合の不良を承認することも可能である。
また、実行される試験の有効性は、引張サイクル時(終わりでなく)にブレード試験片のチッピングの発生を観察することによって高くなり得る。これにより、満足できないコーティングは早期に検出可能である。
この原理に戻れば、本発明の方法の変形形態では、試験片の評価は引張サイクル時に行われ、これらのサイクル数は予め決められていない。この場合、サイクルは停止基準に達すれば、例えば、ブレード試験片の支承面のコーティングにチッピングが見られれば、すぐに停止される。
本発明の別の実施形態によれば、本発明の方法はさらに、予め引張サイクルのパラメータを決めるステップを含む。この場合、コーティングの評価は、所定数の引張サイクルの後に行われる。したがって、本発明の方法によれば、最初に、引張サイクルのパラメータが決められ、評価基準が選択される。次に、試験片がそのように計画された引張サイクルを受ける。そして、サイクルの最後に、通常は、試験片が除去された後に、試験片は評価基準を参照して評価される。
引張サイクルのパラメータは、通常はサイクル数、そのサイクルの間に加えられる最大の力、または時間に応じて変化する引張力の増減率、温度などである。これらのパラメータは、試験が始まる前に、サイクル数と同じように、評価されるコーティングやブレード、およびシミュレートされるターボ機械の動作モードに応じて決められる。
特に、本発明の方法を使用してブレード根元部のコーティングの品質を試験するには、サイクルの間の最大引張力を低減することによってサイクル数を増加させることを選択することができることに留意されたい。その逆の場合も同様である。実際に、ブレード根元部のコーティングでは、パラメータがブレード根元部の適正値の範囲にある時(例えば、ブレード根元部自身の材料の機械抵抗を越える圧力を除く)、一群のブレード試験片のコーティングの品質を試験するには、わずかなサイクル数を大きな引張力で実施する、またはより多くのサイクル数をより小さな引張力で実施するのもほぼ同じであることがわかった。例えば、ほぼ同等の方法で、試験片を被覆するコーティングを15,000daNの最大引張力で15,000の引張サイクル、または19,000daNの最大引張力で6,000の引張サイクルにかけることにより、試験することが可能である。
一実施形態によれば、引張サイクル時に、弾性戻し手段が試験片の横方向の開口を制限する。この開口は、引張の影響下で試験片によって互いに加えられる開口力を受けて生じる。2つの試験片の(引張方向に垂直な方向の)横方向の開口は、ターボ機械において、動作時に、ロータディスクのホゾとブレード根元部とが変形する、特に、試験片が引張方向に対して傾斜方向に配置された支承面を備える場合に変形するという事実を再現する。弾性戻し手段により試験片の横方向の開口が制限される可能性により、本発明の方法によって得られる結果の示すところが高くなる。
上述の実施形態の発展形態によれば、引張サイクル時の試験片の挙動を追跡するために、引張サイクル時に、試験片の横方向の開口が測定される。このパラメータにより、試験片の互いの相対位置は確実にコーティングが試験される位置を依然として表すことができる。
例として示された非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を読めば、本発明はより十分に理解され、本発明の利点が明らかになる。説明は、添付図面を参照してなされる。
試験機内の本発明の方法を実施するのに使用される試験片の正面部分断面図である。 試験機内の本発明の方法を実施するのに使用される試験片の側面部分断面図である。 これらの試験片の支承面の部位の軸方向部分断面図である。 本発明の方法が実施される試験機の軸方向断面図である。
図1、図2は、本発明の方法を実施するのに使用される試験片22、32の部分断面図であり、試験機に設置された状態の図である。
本発明の方法によれば、ブレード根元部のコーティングを試験するために、第1のステップは、試験に使用され消耗される試験片を作成することにある。この試験片は、2つ1組で作成され、各組は1つのいわゆるブレード試験片32と1つのいわゆるディスク試験片22とを備える。
ディスク試験片22は、対試験片とも表される。ディスク試験片22は、一端(図1の上端)には比較的対称なバルブを有し、その両側23はスピンドルの左右に片持ち梁のように突出する。ディスク試験片22はさらに、他端には締め付け手段を有し、引張試験時にディスク試験片を保持するのに使用される第1の保持手段によってディスク試験片22を試験機に固定できるようにする。本明細書では、この手段は、試験機の締め付けスピンドル26が通るために設けられた穴である。
次に、ブレード試験片は、ディスク試験片22の周囲に位置決めされる2つの試験半片32からなる。試験半片32は、対向する境界面または支承面を備え、この面は試験位置で試験片22の対応する支承面と接触する。試験半片32の支承面34は、試験半片32の基部に形成された膨出部35の傾斜上面に配置される。試験半片32の支承面34は、ブレード根元部の支承面に類似した境界面であり、試験片の支承面は22の支承面はロータディスクのダブテールホゾの支承面に類似した境界面である。
図1、図2に示されるような本発明の方法を実施可能な試験機では、試験半片32は保持システム30によって保持される。この保持システム30は、試験の間、2つの試験半片32を保持するのに使用され、より正確には、対試験片22の対応する支承面の反対側の試験半片32の支承面34を保持するのに使用される。保持システム30は、平行な支柱38と、支柱38を互いに戻す弾性戻し手段40とを備える。この例では、弾性戻し手段は4つのネジ40であり、それらのネジ40は対試験片22の周囲の定位置で試験半片をしっかりと保持する。試験半片32は、試験半片32に形成された、具体的には、試験半片32の膨出部35から離れた部分に形成された細長孔41を通るネジ42によって支柱38に固定される。
また、本発明の方法は、互いにしっかりと締め付けられた2つの支柱38で実施されてもよいし、または2つの支柱38が単一部品を形成して実施されてもよいが、支柱38は保持ステム30内部では独立した部分であるのが有利であることに留意されたい。
図3は、試験片22と一方の試験半片32とが接触する状態をより詳細に示した図である。試験半片32は、下面31と背面33が支柱38に載った状態で表されている。試験半片32は、点Bから点Dまで伸びる支承面34を備える。この支承面34では、試験半片32は試験されるコーティング36で被覆されている。このコーティングは、ブレード根元部の支承面を保護するのに使用されるコーティングと同じ種類のコーティングであり、同じ方法で塗布される。このコーティングは、支承面34の一部である接触領域24の両側に突出している。実際には、試験半片32と対試験片22との表されている相対位置では、接触領域24は支承面34の一部(点Bと点Cとの間)に広がるだけである。当然、引張試験時に、この接触領域の位置は支承面34に対して変化することになる。
図3に示されるように、試験片22の支承面および試験半片32の支承面は、引張方向である方向Eに対して偏向または傾斜した方向に配置される。これは、ブレード根元部がロータディスクに締め付けられる際に見られる傾斜である。この傾斜角度αは、45°に近い。
本発明の方法の第2のステップは、試験片を引張サイクルにかけるステップにある。この操作は、上述した試験機で実施され、図4に示されている。
この試験機10は、一般に機械溶接されたフレームからなるフレーム構造体12を備える。このフレーム構造体12は、2つの保持システム20、30を支持する。
試験機の底部に位置する第1の保持システム20は、対試験片22を定位置で保持する固定柱29を備える。対試験片22は、第1の保持システムのスピンドル26が通る穴を備え、この穴によって対試験片22は、どんな引張応力を受けようとも維持される。
第2の保持システム30は、2つの試験半片32を定位置で保持するのに使用される。この保持システム30は、リニアアクチュエータ14または任意の他の同等の作動手段によって、両矢印Aに沿って垂直方向に交互に直線並進運動される可動梁39を備える。この可動梁39は、スライドバー16によって交互に垂直並進運動で案内される。保持システム30はさらに、試験半片32を可動梁39にしっかりと接合する手段を備え、その手段は、つまり、上述の支柱38からなる。
リニアアクチュエータ14の特性は、リニアアクチュエータが第2の保持システム30に第1の保持システム20に対する垂直並進運動を付与できるように選ばれる。この垂直並進運動は、ブレードを有するターボ機械の動作時に、ブレードによって、より正確には、ブレード根元部によってロータディスクに対して行われる垂直並進運動を表している。この運動は、エンジンの回転時に、ブレードが受ける大きな遠心力によるものである。この遠心力は、ブレードにかかる半径方向の引張に類似する。
引張サイクルの原理は、試験片を、いわゆる引張方向の応力サイクルにかけることであり、種々の図面で示されているように、試験片は、引張歪みが対向する支承面を介して伝達されるように配置される。このようにして、試験半片および対試験片のそれぞれの支承面は力が加えられ押圧されて互いに接触し、このことで、ブレード試験片(本明細書では、2つの試験半片)のコーティングを試験する、試験にかけることができる。図4の試験機では、応力は、試験片22(すなわち、対試験片)が固定された状態で試験半片32に加わる。この逆の構造も可能である。
試験機10では、試験片22が引張応力(矢印E)を受ける時、その支承面は試験半片の支承面34と接触する。傾斜角度αによって、接触の影響下で、試験片22に加わる引張方向Eの軸方向の力は、試験半片32に加わる矢印F方向の横方向力に変換される。この開口力(opening force)に耐えるために、支柱38はネジ40で接合されて開口を防ぐ。このネジは、ある程度の計算された弾性を有し、このことにより、ネジは開口力を受けてわずかに伸びて、ロータの回転の影響下で、ブレード根元部およびロータディスクのホゾの変形を再現することができる。
ブレード根元部の周方向(すなわち、引張方向およびブレード根元部の支承面に垂直に)2つの支柱38が横方向に変位できることで、運転時のブレードの保持状態をより忠実に再現することができる。
ブレード根元部が受ける引張サイクルの適切な操作をチェックするために、試験機はさらに、試験時の試験半片の移動を測定するための手段を備える。この測定によって、試験時のさまざまな部分の適切な操作や正確な位置決めが確実になる。試験機は、引張軸に沿った変位を測定する第1の測定システム19と、試験半片32の横方向の開口を測定する第2の測定システム18とを備えてもよい。
一例として、図4の試験機を使用した本発明の方法によってブレード根元部のコーティングを試験する実際の手順について、詳細に説明する。
まず、試験片の組を試験するために、手順は:
2つの試験半片と1つのディスク試験片とからなる試験片の組を準備する、
この試験片の組を10,000の引張サイクルにかける(この場合、引張力は各引張サイクル時の時間に応じて同じプロファイルに従って変化する)、
その後、ブレード試験半片の支承面の状態を検査して、この状態が承認できるか否かを決定することに留意されたい。試験の結果は、試験片の組に対して、ブレード試験半片の支承面の試験片の材料自体にチッピングおよび/または摩耗が無いかが十分に考慮される。
引張サイクル数(10,000)およびその引張サイクル時に時間に応じて引張力を変化させるプロファイルは、コーティングが施されるブレードに応じて、予め決められる。
試験片の組を試験するこの方法が規定されると、ブレードのコーティングを適格と決める方法を計画することができる。
ブレードのコーティングを適格とするために、上述の方法によって、試験片の3つの組が試験される。
そのコーティングは、試験片の3つの組から少なくとも2つに対して満足できる結果が得られれば、適格となる。

Claims (8)

  1. ブレード根元部のコーティング(36)を試験する方法であって、
    少なくとも1つの支承面を備えるいわゆるディスク試験片(22)と、前記コーティングで被覆された少なくとも1つの支承面を備える別のいわゆるブレード試験片(32)であって、ディスク試験片の両側で係合されるようになされた2つの試験半片(32)からなるブレード試験片とを提供するステップと、
    ディスク試験片(22)と係合されたブレード試験片(32)を引張サイクルにかけるステップであって、引張サイクルの間、引張方向(A)に試験片が互いに対して引張応力を受け、引張歪みがブレード試験片とディスク試験片とを接触させる支承面を介して伝達されるステップと、
    所定の評価基準に従って、前記コーティングを評価するステップとを含む、方法。
  2. ブレード試験片の支承面とディスク試験片の支承面とが相補形状であり、引張方向(A)に対して傾斜方向に伸びることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 引張サイクル時に、弾性戻し手段(40)を使用して、引張の影響下で互いに対して試験片によって加わる開口力を受けて生じる試験片の横方向の開口が制限されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 引張サイクル時に、前記横方向の開口が測定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. ブレード試験片(32)がその支承面の近くでは、ターボ機械のブレード根元部を表す形状であり、引張軸が前記ブレード根元部の半径方向軸であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ディスク試験片(22)がその支承面の近くでは、ターボ機械のロータディスクのホゾを表す形状であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 予め引張サイクルのパラメータを決めるステップをさらに含み、コーティングの評価が、所定数の引張サイクルの後に行われることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 評価が、目視または顕微鏡検査を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
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