JP2011512148A - 開放連続モードで細胞を培養する方法及び装置 - Google Patents

開放連続モードで細胞を培養する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、開放連続モードでの細胞培養の実施と、静的細胞変異体又は懸濁状態で増殖する細胞変異体の選択を可能にする方法と、培養支持体と、この方法を実施するための装置に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、開放連続モードでの細胞培養の実施に関する。
細胞培養法では、不連続培養法と連続培養法が伝統的に区別されている。
不連続培養法では、殺菌された増殖培地を含む培養容器に、母培養物の中であらかじめ増殖させた培養物の一部を植える。同じ性質を再現できるようにするため、娘培養物は一般に所定の希釈度で植えられ、次いでその娘培養物に対して母培養物と同様の増殖サイクルが実行される。工業的な発酵の場合には、実行する各サイクルで同じ培養条件が再現されることが有用である。というのも、そうなっていると、培養が終点に到達する瞬間や、細胞が合成又は変換した興味ある生成物の回収に好ましい増殖段階に到達する瞬間を、前もって予測できるからである。
研究の分野では、信頼性があって代表的な実験データを得るには娘培養物相互の間の再現性が必要とされる。この再現性を得るため、通常は、合成培地と、同じ培養支持体と、標準化された培養条件を利用する。そこで培養物は、温度と圧力が一定のインキュベータの中にあって殺菌状態の閉鎖された容器の中に入れられる。
この再現性は、例えばロボット化されたアームを用いて複数の培養物を同時に植えることのできる自動化されたインキュベータを利用するとさらに大きくできる。このタイプのインキュベータは、内部の温度と圧力が細かく調節される閉鎖エンクロージャの形態を取ることができる。容器は、培養物が植えられると密封され、所定の期間にわたって培養される。
液体培地での不連続培養の1つのサイクルにおいて、細胞は異なる増殖段階を順番に通って変化していくことが知られている。これらの異なる増殖段階は、時間変化する培地の組成の関数である異なる生理学的状態に対応している。一般に、培地中の細胞数が少ない限り、細胞は、同化が最も容易な炭素含有基質を利用して増殖のための代謝を優先するため、活発に分化する。その基質が消費され尽くすと、細胞は、より特殊な酵素を利用してより複雑な基質を加水分解し始めるとともに、それを同化できるより複雑な代謝経路を活性化し始める。すると細胞は生存戦略に入る。細胞が保存用生成物、酵素、抗生物質を合成するのは、この段階においてであることがしばしばある。そうした物質のうちのいくつかは工業的に興味深い。培地が枯渇して培養サイクルが終わると、多くの細胞は死ぬが、他の細胞は、バイオフィルムや、胞子や、関係する細胞種に適した他のあらゆる休止形態になって抵抗する。
不連続モードでは、所定の培地と所定のタイプの細胞に関し、基本的な物理化学的パラメータ(細胞密度、pH、酸素、炭素、窒素の割合、又は細胞の増殖段階を示す他のあらゆるパラメータ)から、大半の細胞が所定の瞬間にどの増殖段階にあるかを明確にできる。実際、培地が一様であるならば、細胞全体の増殖は比較的同期している。したがって、特に典型的な増殖曲線を利用して、例えば細胞密度の1つの値を細胞のある程度早い1つの成長段階と関連づけることができる。また、顕微鏡で直接観察し、形態の基準をもとにして増殖段階を明らかにすることもできる。
不連続モードで同じ培養サイクルを連続的に極めて多数回再現することからなるろいろな実験が文献に記載されている。これらの実験から、非常に長い期間にわたって細胞の性質も特性も変化させることなく細胞を再現できることがわかる(Lenski, R.E.とTravisano, M.、1994年、「適応と多様化のダイナミクス:細菌の集団での10,000世代の実験」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第91巻、6808〜6814ページ)。
逆に、連続培養の技術では、培養物は、新鮮な培地又は希釈剤(すなわちその培地の1つの成分)の定期的な供給の恩恵を受けるため、細胞の増殖が長期にわたって維持される。培地の希釈は、一般に、あらかじめ選択した形式に従ってなされる。その形式は、定期的又は連続的にすることができる。
連続培養の主要な方法として、新鮮な培地を添加して細胞密度を平均値近傍の一定値に維持するモード(タービドスタット・モード)と、新鮮な培地又は希釈剤を導入し、物理化学的パラメータ(pH、C/N比等)を所定の値の近傍に維持するモード(ケモスタット・モード)が区別される。
逆接的だが、非常に長い期間にわたって連続培養を維持するための文献に記載されている試みでは、不連続培養の技術を用いる場合と同じくらいの長期間にわたって細胞系列を維持することはできなかった(Dijkuizen, D.E.、1993年、「自然選択と適応進化を研究するために用いるケモスタット」、Meth. Enzymol.、第224巻、613〜631ページ)。この結果は、連続モードでは細胞が十分に早くさまざまな生理学的段階に到達し、すべてが同じ増殖段階にあるわけではないという事実によって説明できる。おそらく、新鮮な培地を定期的に供給すると細胞の微小環境がさらに乱され、完全に一様な培地を得ることができない。したがって、所定の世代数の終わりに“希釈抵抗性”と呼ばれる静的細胞変異体が系統的に出現する。これら変異体は、バイオフィルムやフィラメントの形態、又は休止形態(胞子、殻等の形態)で現われる。変異体は、適応の制約を逃れるとともに、ときには培地で用いられる選択剤(抗生物質等)も逃れる下位集団を形成する。ここに説明した連続モードのあらゆる培養装置は、静的変異体の出現に有利に働く。これら変異体は装置の内面を占領するため、その内面の効率が制限される(Chao, L.とRamsdell, G.、1985年、「ケモスタット培養物の液相に含まれる細菌の共存に対する壁面集団の効果」、J. Gen. Microbiol.、第131巻、1229〜1236ページ)。細胞濃度が一定の連続培養(タービドスタット・モード)は、希釈に抵抗する変異体の侵入に特に敏感である。そのため連続培養は比較的短期間しか実施できず、可能なのは一般に200世代未満である。
さらに、細胞増殖速度が大きい条件で実現される連続モードでの培養は、多数の自発的な突然変異を起こしやすい。
これらの条件は、希釈に鈍感なバイオフィルムとして増殖する接着性変異体の増殖に特に適している。
こうしたさまざまな困難があるため、文献に開示されている連続培養の方法と装置は工業的にはほとんど利用されておらず、科学研究にさえほとんど利用されていない。
しかしその潜在的な可能性は早くから認識されていた(Monod, J.、1950年、「連続培養の技術。理論と応用」、Ann. Inst. Pasteur、第79巻、390〜410ページ;Novick, AとSzilard, L.、1950年、「ケモスタットの説明」、Science、第112巻、715〜716ページ。
しかし連続培養技術は、今日では、まさに増殖状態の異なる細胞変異体の出現と選択を有利にできるという事実から、予期せず再び注目されている。したがって懸濁状態で増殖する細胞変異体、又はそれとは逆に静的細胞変異体を得ることを望みうる。後者は、例えばバイオフィルムの生物学を研究する上で特に有用である。
この選択の原理は、懸濁状態で選択的に進化する細胞変異体、又は逆に主として静的形態になる細胞変異体を長期にわたって選択するのに、連続モードでの培養によって有利になる自発的進化を利用するというものである。
遺伝的突然変異の結果であるかどうかには関係なく、懸濁状態で増殖する変異体は、一般に、培地中に存在する他の細胞よりも活発に分化する傾向、又は培地の資源をよりよく利用する傾向がある。培養物を長期にわたって維持する場合、集団中のこれら変異体の頻度は時間経過とともに増加するため、それを容易に単離できる。
この原理によって選択される懸濁状態で増殖する変異体は、一般に、同じ系列からの他の細胞よりも競争上有利である。したがってこれら変異体は、例えば既存の工業的発酵法(例えば不連続培養モードで実施される方法)の収率を改善するのに役立つ。
国際出願WO 200/34433には、懸濁状態で増殖する変異体の選択を可能にする連続培養を実現するための装置が記載されている。この装置には、1つの通路で互いに接続された2つの培養容器が取り付けられていて、望みに応じて第1の容器の内容物を第2の容器に移すこと、又はその逆を実行できる。この通路には、望みに応じて作動させて一方の容器の培養物を他方の容器に移すための弁が取り付けられている。これら2つの培養容器のそれぞれには、各培養容器の内部の培地とガスを常に更新することのできる独立な流体ネットワークから培地とガスの供給がなされる。このかなり複雑な流体ネットワークは、殺菌流体を利用して2つの培養容器それぞれを独立に清掃して殺菌することのできる第2の流体ネットワークに接続されている。したがってこの装置は、第1の容器の液体培地の中の培養物を第2の容器に移せる構成にされている。容器の一方に培養物が含まれているとき、他方の容器を清掃して殺菌すること、又はその逆が可能である。殺菌と清掃の間、容器の壁に付着した静的変異体は除去されるのに対し、懸濁状態で増殖する細胞は、他方の容器の中で連続培養状態が維持される。この装置は、この操作を必要な回数だけ繰り返せる構成にされている。したがって理論上は、静的変異体の蓄積を回避して連続培養を無限の期間にわたって維持することができる。
しかし実際には、この装置には大きな欠点があることが知られており、その中で特に以下のものが挙げられる。
− 装置内の容器の清掃と殺菌には、複雑な流体ネットワークを必要とする。この流体ネットワークは、十分な殺菌レベルを維持するには完全に気密でなければならない。ところで工業的スケールでこのような流体ネットワークを再現することは難しい。というのも、培養容器の体積を大きくすると、システムの動作に必要な殺菌用と清掃用の液体の体積が大きくなりすぎるからである。この流体は、汚染されていない状態で保管しておかねばならず、そうなると保管コストが大きくなる。さらに、システムを作動させるとき、有効な1つの選択的培養のために2つのタンクを利用する必要がある。これらの要素により、同一の技術的プラットフォームで実施できる培養の数が制限される。
− 培養物は閉鎖容器の中に維持されているため、培養中の細胞にアクセスするのは難しい。流体ネットワークが無菌であることを監視する必要があるだけに、このアクセスの数はそれだけ少なくなる。したがって、培養物の追跡を行なうこと、特にリアルタイムでの追跡を行なうことは難しい。
− 使用する培地に溶けない物質や、使用する培地と混和しない物質又は混和が難しい物質を培養物の中に導入することも、流体ネットワークを利用する必要性と、培養物を閉じ込める必要性から難しい。
− 装置のさまざまな区画の間の圧力を調節することは難しいため、システムの圧力を一定かつ一様にすることは実質的に不可能である。この条件では培養物の再現性に影響が及ぶ。さらに、流体ネットワーク内の圧力が過剰になる可能性があり、すると装置の動作が乱れたり中断したりする可能性がある。
− 1つの培養容器から別の培養容器に培養物を移すことによって静的モードの培養を実現することはできない。というのも、これは、懸濁状態の培養物を回収し、静的変異体を除去することを必然的に意味するからである。
国際出願WO 2005/083052には、連続培養中に懸濁状態で増殖する変異体を選択するための別の装置が記載されている。この装置は可撓性チューブの形態を取っており、そのチューブの内部において、チューブの上流と下流に位置する2つの締め付け点の間で培養物が生成する。培地の更新は、チューブを2つの締め付け点の間で移動させ、新鮮な培地を供給して使用した同じ体積の培地を廃棄することによってなされる。締め付け点の開閉によって蠕動効果が発生する。2つの締め付け点の間に導入されるチューブの新しい区画が新鮮な培地を供給して希釈に寄与するのに対し、壁に固定されている静的変異体は、チューブが使用した区画の位置で移動するにつれて除去される。
この装置は、培養物の体積と閉じ込めに関して前と同じ制約を有する。さらに、チューブの1つしかない壁を通して拡散によるガスの交換を適切に行なうことは難しいように思われる。
本発明の方法と装置は、上に説明した培養装置の制約をなくすことを目的とする。
本発明の目的の1つは、細胞培養物を連続的に培養し、特に所定の増殖段階にある変異体を選択できるようにすることである。本発明によれば、培養は、閉鎖エンクロージャの中に配置した培養支持体と開放モードの培養容器の中で実施される。
培養容器又は培養タンクとは、本発明では、一般に培地と直接接触することになる培地の入れ物を意味する。培地支持体とは、本発明では、培養容器と、その培養容器の支持体とを含む全体を意味する。以下に説明する本発明の培地支持体は、特別な培地支持体である。
以下に説明する連続細胞培養法の特別な構造により、この方法で用いる閉鎖エンクロージャの中に配置されて使用される培養容器がどのようなものであれ、連続モードで得られる培養物に容易にアクセスすることができる。
本発明による装置のエンクロージャの中に配置される以下に説明する本発明の培養支持体の特別な構造により、連続モードで得られる培養物に容易にアクセスすることができる。例えば本発明の好ましい1つの特徴によれば、この培養支持体は、培養物があまりの多くの静的変異体を含むようになったとき、培養支持体に収容された培養容器を望みに応じて交換できるように構成されている。しかし本発明の範囲で他の培養支持体及び/又は培養容器も考えられ、それを本発明の方法で使用することができる。
閉鎖エンクロージャの中での操作は、ロボット化された操作アームを利用して実現できる。こうすると、汚染のリスクを著しく減らすこともできる。
本発明によれば、装置の中に存在する培養支持体及び/又は培養容器の数は、単純にそれらが配置される閉鎖エンクロージャのサイズに合わせることができる。したがって複数の培養を直列又は並列に同時に実施することが可能になる。
本出願に記載した方法と装置、ならびにこの装置の実現方法は多数の利点を持っており、その中から以下のものを挙げることができる。
− 懸濁させた単細胞生物又は少数細胞生物(閉鎖エンクロージャの中に存在するガス混合物が何であるかに応じて好気性生物と嫌気性生物のどちらか)を1つの液相の中で一様な温度と圧力で殺菌条件にて培養できる。特に、一定の照明と、撹拌なしの懸濁状態での培養モードとを必要とする光合成微生物を培養できる。
− 一定体積で、培養物の中で直接測定される所定の物理化学的パラメータ(細胞密度、pH、生成物の濃度等)に応じて決まる細胞の増殖段階での連続培養を多数の世代にわたって実現でき、しかもそれが非常に長い期間にわたって可能である。
− 培養物を続けて制御又は追跡するのに必要なさまざまなパラメータ(pH、pO2、基質、生成物等)の測定ができる。
− 選択圧を生み出すとともに変更が可能な物理化学的パラメータ(分子の供給、T(℃)、pH等)を培養物に適用することができる。
− 新しい殺菌培養容器の中に培養物をピペットで移すこと、及び/又は培養支持体を交換することにより、懸濁状態で増殖しているバイオマス(希釈される)を、培養システムの壁全体に固着しているバイオマス(希釈に対して鈍感である)から必要なだけ頻繁に分離することができる。
− 培養容器及び/又は培養支持体に存在する液相を取り出してこの液相を新鮮な培地で置き換え、例えば支持体に固定した静的変異体を再び懸濁させることにより、(懸濁状態で増殖する変異体ではなく)静的変異体を選択することができる。
− 使い捨ての、又は廃棄可能な、又はリサイクル可能な培養支持体及び/又は培養容器及び/又はピペット材料を利用できる。
本発明は、特に懸濁状態で増殖する細胞変異体、又は静的に増殖する細胞変異体を選択できるようにする、一般に開放連続モードでの細胞培養法を目的とする。
連続モードでの培養、又は連続培養とは、本発明では、液体培地の中で実現され、増殖している細胞を長期にわたって維持するためにその培地の一部が更新される培養を意味する。細胞は、事前には決めていない多数の世代にわたって維持されることが好ましい。世代数は100世代を超えることが好ましく、200世代を超えることがより好ましく、1000世代を超えることがより一層好ましい。
培地の更新、又は培地の1つの成分(希釈剤)の更新は、定常的、又は定期的、又は周期的に実施することができる。培地は、組成の中に入る1つ又は複数の成分に関して、又はこれら成分の混合物全体に関して更新できる。培地は、一般に、少なくとも過半の細胞(培養している細胞の少なくとも50%が好ましい)が、より好ましくは細胞の少なくとも80%が懸濁状態に維持されるように更新する。本発明によれば、培地は、は液体培地であることがより一般的である。
以下では、“培地”と“培養物”という用語を同じ意味で用いる。
1つの“細胞”は、膜によって境界が限られた細胞質を含んでいて、自律的に生殖する能力を有するサイズが小さな1つの生物学的総体として定義される。細胞として、動物性又は植物性の真核細胞又は原核細胞が可能である。微生物は複数の細胞であると考えられる。
細菌、酵母、単細胞藻類は、本発明を実施するための好ましい細胞である。
液体培地とは、栄養物質を含むとともに、場合によっては他の成分(選択剤(抗生物質))を含んでいて、中で細胞が増殖できる液体混合物を意味する。
細胞変異体は、同じ条件で培養された母細胞と同じ生理学的特徴を持たない娘細胞として定義される。
変異体を対象とする生理学的変化が、遺伝子の変化(点突然変異、遺伝子材料の欠損又は獲得)が理由となって発生する可能性があるが、その生理学的変化は、ストレスや、培養中の細胞の挙動に対して継続的な影響を与える可能性のある他のあらゆる因子からも発生する可能性がある。
本発明では、生理学的変化があらかじめ決められたものである必要はない。逆に、本発明は、自発的な変化から細胞変異体が出現することを促進し、次いでそれら変異体の中から、培養中の他の細胞よりも競争上の利点を与える性質を獲得した変異体を選択することを目的とする。一般に、これらの新しい性質により、より早く増殖すること、又は培地をよりよく利用することが可能になる。
本発明の細胞変異体は、以下の2つの主要モードに従って選択することができる。
− 懸濁状態の変異体:液体培養物の中で浮遊状態で増殖しているものの中からより競争力のある変異体を選択する。この場合、除去しようとするのは静的変異体である。
− 静的変異体:固定された変異体、又は凝集した変異体、又は被嚢化した変異体、又は他のあらゆる別の希釈抵抗形態を取る変異体(例えばバイオフィルムの形態のもの)を選択する。この場合、除去しようとするのは、懸濁状態で増殖する変異体である。
本発明により静的細胞変異体又は懸濁状態で増殖する細胞変異体の選択を可能にする連続細胞培養法は、
a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植える工程と、
b)培地の中で、細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にする工程と、
c)新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤を培養容器に添加することにより、工程b)において到達した培地の中の細胞密度、又は物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持する工程と、
d)工程c)で得られて懸濁状態の細胞が含まれている培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取する工程と、
e)工程d)で得られた一部の培地を第2の培養容器に移す工程と、
f)第1の培養容器を、その中に含まれて残った培地とともに取り出す、それどころか除去する工程と、
g)第2の培養容器の中で複数世代にわたって培養した後、懸濁状態で増殖する細胞及び/又は静的細胞変異体を選択する工程を含むことを特徴とする。
本発明の工程c)では、上に説明した本発明の方法であれ、これから説明する本発明の方法のうちの1つであれ、培養容器への新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤の供給は、新鮮な培地と少なくとも1種類の希釈剤を同時に供給することも除外していない。一般に、少なくとも1種類の希釈剤は、1種類(だけ)の希釈剤が好ましいが、本発明の範囲内で複数の希釈剤を利用することも可能である。
本発明によれば、閉鎖エンクロージャの中に存在するすべての培養容器は一般に同じものだが、同一のエンクロージャの中で培養容器が互いに異なっていたり、複数の異なるタイプのものであったりしてもよい。
この方法によれば、懸濁状態で増殖する細胞変異体と静的変異体を別々に、又は同時に選択することができる。
特に懸濁状態で増殖する変異体を選択したい場合には、特に以下のようにすることができる。懸濁状態で増殖する細胞変異体の選択を可能にする連続細胞培養法は、
a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植える工程と、
b)培地の中で、細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にする工程と、
c)新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤を培養容器に添加することにより、工程b)において到達した培地の中の細胞密度、又は物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持する工程と、
d)懸濁状態の細胞が含まれる培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取する工程と、
e)工程d)で得られて細胞が懸濁状態になっている一部の培地を、第1の培養容器に代わる第2の培養容器に移す工程と、
f)第1の培養容器を、その中に含まれて残った培地とともに取り出す工程と、
g)第2の培養容器の中で複数世代にわたって培養した後、懸濁状態で増殖する細胞を選択する工程を含むことを特徴とする。
この特徴によれば、工程f)において容器とともに除去される培養物の一部は、一般に、静的変異体からなる。工程f)は、取り出し工程、又は除去工程、又は取り出し又は除去の工程である。
特に静的変異体を選択したい場合には、特に以下のようにすること、すなわち、
a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持されていて、中に少なくとも1つの固体表面(プレートが好ましい)が配置された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植え、
b)細胞が植えられた培地の中で、細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にし、
c)新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤を培養容器に添加することにより、工程b)において到達した培地の中の細胞密度、又は物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持し、
d)工程c)で得られて懸濁状態の細胞が含まれている培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取し、
e)工程d)で得られた一部の培地が堆積した固体表面を、第1の培養容器に代わる第2の培養容器に移し、
f)第1の培養容器を、その中に含まれて残った培養物とともに取り出し、
g)複数世代にわたって培養した後、固体表面に固定された静的細胞変異体を選択することができる。
本発明のこの特徴によれば、工程f)において容器とともに取り出される培養物は、懸濁状態で増殖する細胞の大半が存在する液体部分に対応することが最も多い。工程f)は、取り出し工程、又は除去工程、又は取り出し又は除去の工程である。
本発明のこの実施態様では、特に固体表面を介在させる。固体表面は、選択プロセスの間に静的細胞変異体が固定される可能性を提供する。固体表面は、プレート、ボール、粒子等のさまざまな形態を覆うことができる。固体表面は、無機又は有機のさまざまな材料(プラスチック、金属、ガラス、無機物、複合体)で構成することができる。プラスチック材料であるポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンや、これらの誘導体が好ましい。表面は、物理的又は化学的に処理することができる。表面は、培地の中に浮遊させた状態や、培養容器の底に引っ掛けた状態又は置いた状態にすることができる。固体表面は、培養容器を開けることによって取り出すことと、例えば新鮮な培地を含む新しい培養容器の中に配置することができる構成にされていることが好ましい。
この方法の好ましい一実施態様によれば、堅固な表面は、細胞の接着を避ける処理をされた材料からなる。実際、この方法は、どの表面が静的変異体の接着を最良にできるかそれとも接着を最も少なくできるかを明らかにするため、さまざまな表面をテストする工程を含むことができる。この点に関し、この方法は、汚染を制限しつつ例えばカテーテル等の外科用具を完成させるために細胞の接着を制限する材料を選択する上で特に有用である可能性がある。逆に、この方法は、プロテーゼ又は医用インプラントを完成させる際に求められる細胞定着促進材料(生命維持表面)を選択する上で有用である可能性がある。
本発明の方法により、所定の増殖段階にある細胞変異体の選択が可能になることが望ましい。
実際、この方法の工程b)によれば、培地の中の細胞を選択的に増殖段階にする。この増殖段階は、細胞密度、又は培地中で測定できる物理化学的パラメータ(例えばpH、溶けている酸素の量、利用できる炭素又は窒素の量等)によって判断されるか、そのような物理化学的パラメータと結び付いている。
この増殖段階に到達したと“判断する”ときには、実験的にあらかじめ確立されているか、文献のデータをもとにしてあらかじめ確立されている典型的な増殖曲線に頼ることができる。これらの曲線は、一般に、不連続モードで実施された培養をもとにして確立される。これらの曲線により、培地の細胞密度又は物理化学的パラメータを、所定の時期に培養中の細胞の大半が存在する生理学的状態と結び付けることができる。
当業者の間では、特に培地を更新しないとき、細胞は、1つの培養サイクルの間に、特に培地中のいくつかの基質の枯渇と結び付いた異なる生理学的状態を経ることが知られている。これらの生理学的状態は、一般に、環境に対する細胞の適応と見なされる。
本発明の好ましい1つの特徴によれば、測定可能な1つの物理化学的パラメータを特定の値に固定する。それは例えば、興味の対象となる1つの酵素の分泌を示すパラメータであることが知られている細胞密度の値である。この方法では、細胞は、培地に植えた後、この固定された値に達するまで増殖することが予想される。この臨界値に達すると、例えば細胞密度が一定に維持されるようにして連続モードの培養が実施される。したがって細胞を可能な限り長期間にわたって望む生理学的状態に維持することができる。すると例えば細胞が興味の対象である生成物を分泌する期間を長くすることができる。
本発明によれば、細胞の培養は、一般に開放モードで実施される。このようにすると、選択した物理化学的パラメータを一定に維持することから要請される介入とサンプリングが容易になる。これは、本発明を実施するために選択した培養容器が、ピペットを用いた培地の採取、又はプローブを用いた直接的な測定を行なうのに必要な材料をうまく導入することを目的として、上方又は頂部を向いていることが好ましい十分に大きくて実用的な開口部を有することが最も多いことを意味する。頂部とは、一般に、培養容器の水平な底部(地面にすることができる)を基準にして最も高い地点を意味する。
そこで本発明の好ましい一実施態様によれば、この方法は、培養容器の頂部が開いた状態を維持することと、殺菌空気等のガス流を連続的にその開口部の周辺に当てることを特徴とする。
この点に関し、本発明の方法は、閉鎖された容器内で実施されるために培養をリアルタイムでは追跡できない従来の連続モード又は半連続モードの培養法と異なっている。
したがって本発明の方法により、所定の増殖段階に維持された細胞変異体、それどころか所定の増殖段階に同期した細胞変異体を選択することができる。これは、例えば興味の対象である生成物(酵素又は抗生物質等)を一時的に合成する細胞変異体を選択する上で特に有用である。したがって細胞変異体の選択は、細胞が興味の対象である生成物を合成する条件を再現させて実施することができる。したがって本発明の方法は、発酵法(すなわち培地が固定された期間で更新される方法)で利用される工業的な株の改良、特に半連続モードで利用される株の改良に特に適している。
本発明の特別な1つの特徴は、懸濁状態の変異体の選択であるか静的変異体の選択であるかには関係なく、限られた期間で興味の対象である生成物を合成することを目的として、細胞をその生成物の合成に最適な増殖段階に維持しつつ、上に説明した方法を実行することからなる。
本発明の方法は、一般に、閉鎖エンクロージャの中で実施される。このエンクロージャのサイズは、利用者の必要性と、培養物の数及び体積に応じて変えることができる。
より詳細には、本発明の一実施態様によれば、工程a)〜f)を閉鎖エンクロージャの中で実行する。
圧力と温度は、エンクロージャ内で望む一定の値に維持することができる。培養容器は開放されているため、培養物は、一般にエンクロージャの内部と同じ圧力になる。従来の閉鎖システム内で遭遇する局所的な過剰圧の危険性はこのようにして一般に除かれる。
このエンクロージャにより、培養物のガス環境を制御することもできる。これは、嫌気性環境で実施される培養の場合に特に有用である。
この培養法では、殺菌ガス(例えば殺菌空気)が加圧されて泡吹き込み装置(例えば培養容器に開口部から導入される通気用パイプ)によって細胞の培地の中に注入されることが最も多い。ガスをこのように注入することで、培地に通気してエア・リフト(泡の吹き込みによる撹拌)による培地の均一化が可能になるため、エンクロージャの内部を所定のガス圧に維持するのに役立つ。
この方法によれば、エンクロージャの中を殺菌ガス流が巡ることが好ましい。この殺菌ガス流は、選択した培養物の条件に応じ、ガス(窒素、又は混合ガス等)で構成することができる。開放された培養容器の開口部の周囲にこの殺菌ガス流が当たるようにして汚染物をこの領域から遠ざけ、その結果として汚染のリスクを減らすことが好ましい。この殺菌ガス流により、エンクロージャ内の圧力を均衡させることもできる。
殺菌ガス流の循環条件は、閉鎖エンクロージャ内のすべての容器で同じであることが最も多い。
システムをより効率的にするには、ガス流(層流が好ましい)は、一般に培養容器の外部で、その培養容器の上から下に向けて、又はその培養容器の下から上に向けて当てることが一般に好ましい。これから説明する本発明の装置は、殺菌ガス流を培養容器の上から下に向けて当てる(又は向ける)装置である。
ガス流は、培養容器の周辺部で、特にその培養容器の開口部の周辺で作用し、培養容器の下部に圧力低下を生み出すことがより好ましい。この局所的な圧力低下を得るには、培養容器を、上方に向かって開いていて底部にガス流の吸引・排出手段が取り付けられた収容槽の中に配置するとよい。すると培養容器と収容槽の内壁の間に位置する体積の中に局所的な圧力低下を得ることができる。
殺菌空気は、収容槽の内壁と培養容器の間に位置する体積を上から下へと巡り、培養容器の底部からエンクロージャの外に排出されることが好ましい。このようにして汚染物がこの体積に捕獲され、収容槽の下部に向かう。したがって汚染物は、特に培地内への泡の吹き込みによって実現されるガスのおかげでわずかに過剰圧になっている培養容器の内部に侵入しない。
別の一実施態様は、殺菌ガス流を培養容器の下から上に向けて作用させることを含むであろう。
本発明の好ましい一実施態様によれば、同一のエンクロージャ内に配置された複数の培養支持体の中で複数の培養が同時に実行される。
殺菌ガス流は、異なる培養を同一の容器内で同時に実行するときに交差汚染を避ける上で特に有用である。
上に説明した方法の好ましい1つの特徴によれば、上記の工程a)〜f)を1回又は複数回繰り返した後に工程g)に進む。
本発明の一実施態様によれば、工程c)において培地の中の細胞密度をほぼ一定に維持することは、培養容器の中の培地の体積を一定に維持しつつ、培地を新鮮な培地で希釈することによって行なう。
懸濁状態の変異体を選択する場合には、懸濁状態の細胞を含む培地の移動を、殺菌ピペットを利用した採取によって行なうことができる。ピペットで採取する操作は、閉鎖エンクロージャの中に位置するロボット化されたアームを利用して行なうことが好ましい。
使用した第1の培養容器は、一般に、その培養容器が属することのできる培養支持体から取り出される。いずれにせよ、この第1の培養容器は、エア・ロックを利用して閉鎖エンクロージャの外で空にされる。このエア・ロックにより、エンクロージャの内部の圧力を一定に維持するとともに殺菌状態を維持することができる。空にされた容器は一般に廃棄される。
使用中の培養容器は、細胞培養物の温度を調節できる恒温の空洞の中、すなわち、望む温度に維持された壁を持っていて細胞培養物の温度を調節できる開放エンクロージャの中に配置することができる。好ましい1つの特徴によれば、収容槽そのものが恒温にされて空洞として機能する。実際には、収容槽の壁の1つに、その収容槽の内部空間に配置した物体の温度を調節できる加熱手段を取り付けることができる。培養容器の周囲に恒温の空洞が存在している場合、培養容器と収容槽の内壁の間の空間は、もちろん恒温の箱と収容槽の間の空間として含まれていなければならない。
本発明の培養支持体及び/又は培養容器は、使い捨てであってエンクロージャ内でのロボット化された操作に適していることが好ましい。実際、本発明では、エンクロージャ内の移動を可能にする1つ又は複数の自動化アームを利用して、少なくともいくつかの工程、すなわち複数の工程が実行されることが好ましい。エンクロージャは、さまざまな工程中は閉じられたままであることが好ましい。
本発明によれば、細胞は、一般に、エンクロージャを外部環境に対して(直接)開くことなく、前記細胞を、102を超える世代、好ましくは104を超える世代、より好ましくは106を超える世代、さらに好ましくは1010を超える世代にわたって連続的に培養される。
本発明による開放連続モードでの培養法は、それに特に適した培養装置を利用して実施されることが好ましい。
本発明は、開放連続モードで細胞の培養を実行できる培養支持体であって、
− 液体培地を収容できるように頂部が開いた少なくとも1つの培養容器と;
− 上方に向かって開いていて、中に培養容器が位置する少なくとも1つの収容槽と;
− 培養容器と収容槽の間にあって、ガス流が、その培養容器とその収容槽の壁の間でその容器の開口部のまわりを上から下へと循環できるようにする空間と;
− 収容槽の下部に位置するガス流取り出し手段を備えることを特徴とする培養支持体にも関する。
ガス流取り出し手段は、ガス流(例えば空気)を通過させる1つ又は複数のオリフィスからなることが好ましい。
一実施態様では、培養支持体は、取外し可能なブロックの形態であり、その中では複数の収容槽がグループにされていて、その収容槽の中には培養容器のうちの少なくとも1つが収容されている。
収容槽の下部は、培養容器と収容槽の壁の間を循環するガス流の補助取り出し手段として例えば真空ポンプに接続されたチューブ、又は1つ又は複数のガス分配手段を備える底部に嵌め込まれていることが好ましい。
本発明の培養支持体は、収容槽の内部空間の温度を調節する少なくとも1つの手段を備えることができる。収容槽の内部空間の温度を調節するこの手段は、その収容槽の少なくとも1つの壁の中に収容された1つの加熱用抵抗器からなる。
本発明の培養支持体は、培養容器の中に含まれる培地に空気を注入する少なくとも1つの手段として例えば1つ又は複数の通気用パイプを備えることができる。
本発明の培養支持体は、培養容器に含まれる培地の中に存在する細胞の密度を光学的に測定する少なくとも1つの手段を備えることができる。
本発明の培養支持体は、独立栄養モードの微生物を培養するため、培養容器と収容槽の壁の間の空間に位置するか、その収容槽の壁のうちの1つの中に収容されている少なくとも1つの光発生手段を備えることができる。
最後に、本発明は、開放モードで細胞を連続的に増殖させることのできる細胞培養装置であって、
− エンクロージャと;
− そのエンクロージャの中を巡る殺菌ガス流を発生させる手段と;
− エンクロージャの中に位置していて開放モードで細胞の培養を実行できる上述の本発明による1つ又は複数の培養支持体を備えることを特徴とする細胞培養装置に関する。
細胞培養装置は、エンクロージャの中に位置する少なくとも1つの培地更新手段を備えることができる。
細胞培養装置は、培養支持体の中に収容された培養容器を置き換えることのできる少なくとも1つの培養容器を備えることができる。
細胞培養装置は、殺菌ガス発生手段がエンクロージャの中に位置していて、殺菌ガス流が、培養支持体の上から下に向かうことを特徴とすることができる。
細胞培養装置は、培養容器の底部に少なくとも1つの殺菌ガス流取り出し手段をさらに備えることができる。この殺菌ガス流取り出し手段は、培養支持体の培養容器と収容槽の間に位置する空間に圧力低下を生み出すことが好ましい。この殺菌ガス流取り出し手段には、培養容器の開口部の周囲を取り囲む空気を吸引できる少なくとも1つの空気吸引手段を付随させることができる。
細胞培養装置は、培地更新手段が、培養容器の内容物の一部を排出領域へと移す手段を備えることを特徴とすることができる。
細胞培養装置は、培地更新手段が、新鮮な培地を、エンクロージャの中に位置するリザーバから培養容器へと移す手段を備えることを特徴とすることができる。
移す手段は、ピペットと、そのピペットの中にある新鮮な培地又は使用した培地を吸引する手段を備えることが好ましい。
細胞培養装置は、移す手段及び/又は少なくとも1つの培養容器をエンクロージャの外部に出す少なくとも1つの手段をさらに備えることができる。この出す手段は、エア・ロックを備えることが好ましい。
細胞培養装置は、培養物の中に空気を注入する少なくとも1つの手段を備えることを特徴とすることができる。
細胞培養装置は、エンクロージャの内部を移動させることのできる少なくとも1つの自動化アームを備えることを特徴とすることができる。
細胞培養装置は、エンクロージャが閉じられていることを特徴とすることができる。
細胞培養装置は、エンクロージャの中に位置していて、開放モードで複数の細胞培養を並列して実行する複数の培養支持体を備えることができる。
細胞培養装置は、本発明の方法を実施できることを特徴とすることができる。
本発明は、以下の図面を読み取ることでよりよく理解されよう。
本発明による第1の培養支持体を斜めから見た概略図である。 本発明による第2の培養支持体を斜めから見た概略図である。 図2に示したような培養支持体のための空洞を備える取外し可能なブロックを図4の切断線III−IIIで切断した概略図である。 図3の空洞を備える取外し可能なブロックを上から見た図である。 本発明の細胞培養装置を斜めから見てその一部を示した概略図である。 閉鎖エンクロージャ(図示せず)中で何らかの培養支持体を用いて本発明の連続細胞培養法を実施する計画の概略図であり、実施する特定の工程に対応している。 本図及び図7〜10は各々、閉鎖エンクロージャ(図示せず)の中で何らかの培養支持体を用いて本発明の連続細胞培養法を実施する計画の概略図であり、各図は、実施する特定の工程に対応している。 細胞培養の初期工程を示している。 培養容器の交換工程を示している。 培地の採取工程を示している。 分析のために微量サンプルを採取する工程を示している。
図1は、上方に向かって開いていて液体培地を収容するのに適した本発明による第1の培養支持体1の概略図である。
この支持体1は、上方に開いている収容槽2の中に収容された培養容器6を備えている。培養容器は、恒温の箱3の中に配置されている。この箱は、本発明ではなくてもよい。
(満たされた状態を図1に点で示してある)培地には、泡吹き込み装置によってガス(加圧されていることが最も多い)として例えば空気を供給することができる。この装置は、ここでは、例えば泡吹き込み用の管の形をした通気用パイプからなる。このパイプ4は、アーム5によって保持されて、培地が中に存在している培養容器6の開口部を通ってその培養容器6の中に鉛直に沈められる。アーム5は、鉛直方向に運動してパイプ4の下端を培養容器6の中の望む位置に配置することができる。
図1の下方を向いた白い矢印は、殺菌ガス(例えば殺菌空気)の流れを象徴的に示している。この殺菌ガス流は上から下に循環し、収容槽2の内壁と恒温の箱3の間に位置する空間又は体積7を横断する。殺菌ガス流は、複数の排出用オリフィス8から排出される。排出用オリフィス8はガス流の取り出し手段を表わしており、収容槽2の下部、好ましくは底部に位置している。
培養容器6として、上方に開いているあらゆるタイプの容器が可能であり、小さなガラス瓶のタイプ、ボトルのタイプ、エルレンのタイプがある。培養容器6は、収容槽2への位置決めと収容槽2からの取り出しが容易にできることが好ましい。図1に示してあるように、収容槽2の壁の高さを超えない培養容器6を選択することが望ましい。
培養支持体1の上から下に向かって循環させることのできる殺菌ガス流は、収容槽2の内壁によって区画された状態で、培養容器6の開口部のまわりに無菌障壁を作り出す構成にされている。
この殺菌ガス流は、例えば排出用オリフィス8を吸引手段に接続して収容槽2の内部に圧力低下を作り出すことで機能する状態にすることができる。
収容槽2の下部は、殺菌ガス流の補助排出手段(例えば真空ポンプに接続されたチューブ)が取り付けられた底部に嵌め込まれるようにされることが好ましい。場合によってはこの底部に、連続モードの培養を実施する上で有用なガス流回収手段又はガス流分配手段を1つ又は複数個取り付けることができる。
図2は、本発明による第2の培養支持体1’を斜めから見た概略図である。
培養支持体1’は、ここでは透明な状態で示した収容槽2’の中に培養容器6’を備えている。培養容器6’と収容槽2’はどちらも上方に向かって開いている。培養容器6’は、収容槽2’への位置決めと収容槽2’からの取り出しが容易にできる。というのも、培養容器6’は収容槽2’の壁の高さを超えていないからである。培養容器6’には培地11が収容されている。
空間7’が培養容器6’と収容槽2’の内壁の間に規定されていて、この空間7’をガス流が下から上に縦断することができる。殺菌ガス流の排出手段はここには図示していないが、収容槽2’の底部に位置する複数のオリフィスからなる。
培地の中に存在する細胞の密度を測定する2つの光学的手段が、空間7’内で、透明な培養容器6’の両側に配置されている。
培養容器6’の内部には鉛直な内部壁10が存在している。この内部壁により、通気用パイプ4を通じて培地11の中に“エア・リフト”で注入されたガスをよりよく循環させることができる。
図3と図4は、6つの空洞又は区画24、25、26、27、28、29を備える本発明による好ましい培養支持体1’を示している。その空洞には、収容槽16が挿入される。図4は上から見たブロック12を示しており、図3は、横断線III−III(図4参照)で切断したブロック12を示している。
ブロック12は4つの培養容器6’を備えており、その培養容器6’そのものは壁10を備えており、それぞれがブロック12の空洞25、26、28、29の中に位置する。それぞれの培養容器6’は、手作業によって1つの空洞の中に配置することができる。ブロック12は、1つの部材でできていることが好ましい。ブロック12は、実際には、図2に示して上に説明した複数の培養支持体1’が、収容槽2’の外壁によって接合されているかのように見える。空洞の周辺部には壁が設けられていて、収容槽16を形成している。
通気モジュール13の中に収容されたガスの分配、回収、濾過のための手段から個別の通気用パイプが延びて、それぞれの培養容器6’に到達している。培養支持体1’を上から下へと巡る殺菌ガス流は白い矢印で象徴的に示されているのに対し、培地に供給されるガスの経路は、黒い矢印とガスの泡で示されている。殺菌ガス流は、常にこのように循環していることが好ましい。この循環により、ブロック12が閉鎖エンクロージャの中に配置されたとき、それぞれの培養容器6’が確実に閉じ込められた状態にされる。この培養ブロック12は、塊の中に組み込んだ加熱用抵抗器の存在によって恒温状態にできる。
殺菌ガス流は、培養容器6’を収容したそれぞれの空洞の底部から、真空ポンプ等の空気吸引手段に接続されるチューブの形をした排出手段14によって排出される。
ブロック12は、中央下部に、通気用ガスの回収・分配装置を備えることが好ましい。ガスは、培養容器6’の中に潜っている端部を有する通気用パイプ4を末端部とする取外し可能な折れ曲がったパイプ4により、それぞれの培養容器6’の内部に到達する。このパイプは、培養容器6’を設置した後、手作業によって分配装置のコネクタの位置に配置することができる。折れ曲がったパイプは、ガスをそれぞれの培養容器6’の中で低い位置に導いて“エア・リフト”を起こさせ、酸素、又は炭酸ガス、又は他のガスを確実に培地の中に添加したり、培地を確実に均一に混合したりする。
光合成微生物を培養できるようにするため、発光パネル又は光プレート15が、2つの空洞25と26の中の側部に配置されている。プレート15は取外し可能であることが好ましい。プレートは、光合成微生物の培養を可能にする光を発生させるパネルであり、培養容器6’と収容槽16の内壁の間の空間に位置するか、収容槽16の壁の1つの中に含まれている。光は、発光ダイオード(LED)で発生させることが好ましい。光の波長は、対象とする微生物の光合成色素に合わせて選択する。
発生する光は、使用するLEDのタイプに応じ、白色光に対応するか、さまざまな波長の複数の光に対応する。それに加え、LEDの機能モードに応じてストロボ光方式を実現することができる。このような照明を利用できるため、特に照明と、培養物の中に導入される通気・混合用のガスに含まれるCO2の利用とを組み合わせ、原核藻類や真核藻類等の光合成微生物、さらに特定するならば独立栄養性モードの光合成微生物を培養することが可能になる。
独立栄養性モードとは、細胞が、例えば二酸化炭素の形態の無機材料の還元を実行するとともに培地中の無機塩の採取によって有機材料を産生する培養物を意味する。この合成に必要なエネルギーは、例えば光合成の場合と同様、光から来る。
したがって本発明の培養支持体により、場合によっては、本発明による方法の各工程において連続的に細胞に光を当てることができる。
図示していない一変形例によれば、光発生手段は、収容槽の壁の1つの全体又は一部を形成するパネルの形態にすることもできる。
本発明の特別な1つの特徴によれば、光発生手段は、複数のUVランプ又はUVダイオードで構成される。このUVランプ又はUVダイオードは、収容槽の使用前又は使用後に照射することによってその内部空間の汚染を除去したり、選択法の実施中に培養物の中の細胞に突然変異を起こさせたりする機能を持つ。
空洞24、25、26、27、28、29の中に存在する培地の細胞密度の変化を追跡するため、光学的測定手段9が、ペアになって、それぞれの空洞の下部に挿入されている。
上に説明したブロック12の形態になった培養支持体は、本発明による連続培養法の実施を容易にするという利点を有する。実際、複数の培養容器6’を用意し、操作を開始する前に1つの殺菌エンクロージャの中に配置することができる。エンクロージャの内部にガスを添加するシステムへの分配装置の接続は、本発明による培養装置の特定の土台の上にブロックを位置決めする瞬間に素早く接続することによってなされる。しかもこの培養装置は、複数のブロックを収容することができる。同様に、ブロックを土台の上に位置させるとき、必要な電気的接続(加熱、検出、照明)が簡単な接続によってなされるようにされている。このようなブロックにより、操作前の取り扱いが容易になり、その結果、培養法を実施している間に閉鎖エンクロージャの内部で実行される自動化された移動を減らすことができる。したがってこの装置は、より長期間にわたって自律的に動作することができる。
本発明の好ましい一実施態様によれば、培養装置は、6つのタンクを有する取外し可能なブロック12の数を1個から100個まで変えられる自動装置である。各ブロック12は、手作業で条件を整えて殺菌した後、専用の土台の上に設けられた自動装置の中に導入される。ブロック12が設置されると、培養容器に接種物を満たすことによって選択的培養法を開始し、すでに説明した方法に従う一定体積連続培養を実現することができる。したがって多数の連続培養を並列して実行することが可能である。そのとき各ブロック12は、独立した実験場所となることができる。
例えば静的変異体があまりに多く蓄積したという理由で培養物を移す必要があるときには、ブロック12の第1の培養容器の培養物の体積の一部をピペットで採取し、同じブロックの第2の培養容器に移す。1つのブロック12のすべての培養容器が利用され尽くしたときには、培養物を利用可能な別のブロック12の培養容器に移すことができる一方で、完全に利用され尽くしたブロックは、新しい6つの殺菌培養容器を備える条件の整った新しいブロックと交換することができる。
ブロックの形態の培養支持体を備える装置を利用すると、ピペットによる採取、希釈、移動というロボット化された機能をさらに簡単にすることができる。
本発明の装置では、培養物の合計体積が1200ml、又は2400ml、又は少なくとも4800mlに達するよう、10個、又は20個、又は少なくとも40個のブロックの中で、すなわち60個、又は120個、又は少なくとも240個のタンクの中で、単一の微生物種又は所定の微生物集団を同時に選択的に培養することが可能である。そのため所定の変異体を得る確率がそれだけ大きくなる。この増大は、複雑なゲノムを有する細胞にとって、又は増殖が遅い種の細胞にとって、特に興味深い。
図5は、本発明による連続培養装置100を示している。装置100の動作中は閉じられているエンクロージャ17の一部が描かれているが、全体は示されていない。
装置100は、図1に示したような複数の培養支持体1と、エンクロージャ17と、そのエンクロージャ17の中を巡る殺菌ガス流の発生手段23とを備えている。これら培養支持体1は、エンクロージャ17の中で並列に動作する。レールに取り付けられていて空間の3つの次元を移動できるロボット化されたアーム19が、エンクロージャ17の中を移動する。このロボット化されたアーム19には、培地を更新できる移動用ピペット20と、希釈用ピペット21と、操作用把持具22が取り付けられている。
エンクロージャ17のサイズには制限がない。そのため同じエンクロージャ17の中に配置した複数の培養支持体1の中で複数の培養を同時に実行できる。培養支持体は同じでも異なっていてもよい。
エンクロージャ17を横断する殺菌ガス流は、エンクロージャ17の高所に位置する手段23から出て培養支持体1の上から下に向かう白い矢印で示してある。エンクロージャ17の中を巡るその殺菌ガス流は、培養支持体1の底部に位置する複数のオリフィス8からエンクロージャ17の外に排出される。
殺菌ガス流の排出手段は、培養容器6と、同じ培養支持体1の収容槽2との間に位置する空間内に負の圧力を発生させる構成であることが好ましい。一般に、この手段には、培養容器の開口部の周辺を取り囲むガス流を吸引できるガス流の吸引手段(例えばエンクロージャ17のプレートの下に位置する真空ポンプ(図示せず))が付随している。
図6〜図10は、それぞれ、閉鎖エンクロージャ(図示せず)の中で何らかの培養支持体を用いて本発明の連続細胞培養法を実施する計画の概略図であり、各図は、実施する特定の工程を明確にした動作図に対応している。
図7は、細胞培養の初期工程を示している。
図8は、培養容器の交換工程を示している。
図9は、培地の採取工程を示している。
図10は、分析のために微量サンプルを採取する工程を示している。
図6〜図10を以下の実施例の中で説明する。
以下の実施例は、“BED”と表記する本発明の自動培養装置の動作を説明することを目的としている。これは本発明の好ましい装置だが、本出願の中で主張する本発明を制限するものではない。
閉鎖エンクロージャ(図示せず)の中で本発明の連続細胞培養法を実施するこの計画では、何らかの培養支持体を利用する。そのとき、どちらかと言えば、機能図に対応する各図面に本発明の連続培養装置を利用する特定の工程が説明されているタイプの培養支持体が利用される。1つのバージョンでは、この培養装置は、4つの培養支持体11、12、13、14を備えていて、それぞれが、収容槽21、22、23、24を1つだけと、培養容器6’1、6’2、6’3、6’4を1つだけ有する。各培養支持体には、殺菌された通気用パイプ(又は泡吹き込み用の管)に接続されるバブラー・アーム51、52、53、54と、通気用パイプのストック41、42、43、44と、培養容器の排出用エア・ロック181、182、183、184が取り付けられている。
一変形例では、参照記号11、12、13、14が、複数(例えば2個、4個、6個等)の培養容器を備える取外し可能なブロック12のタイプの培養ブロックを表わしていると考えることができる。
− 殺菌培養容器の予備(又はストック)SR、
− 移動用ピペットの予備(又はストック)SPT、
− 新鮮な培地を添加するための希釈用ピペットの予備(又はストック)SPD、
− 希釈用培地のストックSMCD又は殺菌培地のストック、
− エンクロージャの外にサンプルを取り出すためのサンプリング用エア・ロックSE、
− ピペットと汚染された材料を取り出すためのエア・ロックSEPM、
− 材料、又は反応物質、又は測定用の他の物質を導入できる、分析ステーションのエア・ロックSA、
− エンクロージャの中を長さ方向に移動する多機能関節式アーム(アームが三次元で移動する範囲を領域D19によって示す)。
移動用ピペットは、一般に、培養容器の体積に近い体積を持ち(すなわち20〜30mlであることが最も多い)、1つの培養容器の培地の大半を別の培養容器に移すためのものである。希釈用ピペットのほうは、一般に体積がはるかに小さく、例えば2〜3mlであることが最も多い。
xy形式の矢印と参照記号(ここにxは図の番号であり、yはその図のための経路の番号である)は、培養の初期における関節式アームの経路(図6)、希釈操作中の経路(図7)、培養容器を交換する操作中の経路(図8)、培養物のサンプルを採取する操作中の経路(図9)、閉鎖エンクロージャの内部で分析するために培養物のサンプルを採取する操作中の経路(図10)を示す。
装置BEDの動作
基本となる動作サイクル
1)培養の初期工程
操作者は、装置のエンクロージャ内の各ストック領域に以下の装着物/搭載台を設置する:
− 殺菌された培養タンク(又は培養容器)、
− 殺菌された移送用ピペット、
− 殺菌された希釈用ピペット、
− バブラー・アーム51、52、53、54に接続される殺菌された泡吹き込み用の管又は通気用パイプ。
操作者は、細胞培養装置の中の各ストック領域に、さまざまな希釈剤を含む閉じられた殺菌リザーバを設置する。
操作者は、さまざまな希釈剤を含むリザーバを開く。
操作者は、ロボット内の専用の場所に、純粋な培養物No.1を含む閉じられた殺菌培養容器を設置する。
操作者は、その培養容器を開く。
自動化された多機能関節式アームは、リザーバSRの中で搭載台の上にあるタンクを1つ掴み、(図6、経路1 T61)、そのタンクをこの培養物専用の培養支持体まで運ぶ(図6、経路2 T62)。図6に示したケースでは、培養タンク又は培養容器6’1の中で第1の培養支持体11に純粋な培養物No.1が満たされ、次いで以下に説明するように、順番に、対応するタンク又は培養容器6’2、6’3、6’4の中の培養支持体から移送用ピペットによって移送されることにより、他の3つの培養支持体12、13、14に培地が満たされる。
自動化された多機能関節式アームは、培養容器(殺菌タンク)の保護フィルムを破る。
自動化された多機能関節式アームは、リザーバSPTの中で搭載台の上にある移送用ピペットを1つ取り上げる(図6、経路3 T63)。
移送用ピペットが取り付けられた自動化された多機能関節式アームは、培養物を含むチューブの中の培養物を採取する(図6、経路4 T64)。
自動化された多機能関節式アームは、培養物を対応する支持体まで運び、培養容器の中に移送用ピペットの内容物を空ける(図6、経路5 T65)。
自動化された関節式バブラー・アームは、殺菌された泡吹き込み用の管を1つ取り上げ、次いで培養容器の中でその殺菌された泡吹き込み用の管を位置決めする(図6、経路6 T66)。自動化された関節式バブラー・アームは、ガス供給ラインを開く。
2)連続方式での培養
自動装置は、培養支持体の中に位置する検出器から与えられる開始信号を受け取る。培養支持体は、1つの物理化学的パラメータを追跡し、そのパラメータが臨界値に達したときに信号を出すようにプログラムされている。
すると自動化された多機能関節式アームは、対応するリザーバSPDの中で殺菌された希釈用ピペットを1つ取り上げる(図7、経路1 T71)。
自動化された多機能関節式アームは、所定の体積の希釈剤No.1を採取した後、移送中に殺菌状態を維持するため殺菌空気の泡を採取する(図7、経路2 T72)。
自動化された多機能関節式アームはこの操作をn回繰り返し、望ましい体積であるn倍の希釈剤を採取する。
自動化された多機能関節式アームは、希釈用ピペットを対応する支持体まで運び、培養タンクの中にその希釈用ピペットの内容物を空ける(図7、経路3 T73)。
自動化された多機能関節式アームは、過剰な体積を排出するためその希釈用ピペットの位置を決める。
自動化された多機能関節式アームは、過剰な体積を排出する。そのとき排出には2つのモードが可能である。すなわち、
a)自動化された多機能関節式アームは、希釈用ピペットを培養物の中に位置させ、所定の体積の培養物を採取した後、空気の泡を吸引するか、
b)自動化された多機能関節式アームは、培養タンクの中で希釈用ピペットを(望む体積の培養物に対応する)所定の高さに位置させ、培養物の過剰な全体積を吸引した後、空気の泡を吸引する。
自動化された多機能関節式アームは、過剰な培養物を含む希釈用ピペットを、(殺菌状態を維持するために)最も近い液体排出ステーション/廃棄所の役割を果たす排出用エア・ロックの上方に運び、その希釈用ピペットの内容物をその排出用エア・ロック181、182、183、184のいずれかの中に空ける(図7、経路4 T74)。
同様に、自動化された多機能関節式アームは、空になった希釈用ピペットを、(殺菌状態を維持するために)最も近い固体排出ステーション/廃棄所の役割を果たす排出用エア・ロックの上方に運び、希釈用ピペットをその排出用エア・ロック181、182、183、184のいずれかの中に排出する(図7、経路4 T74)。
3)タンクの交換
自動装置は、所定の時間の1つのサイクルが終わったとき、又はバイオフィルムが検出されたときに培養容器の交換を開始させる信号を検出する。
自動化された多機能関節式アームは、リザーバSRの中で搭載台の上にあるタンクを1つ掴み、そのタンクをこの培養物専用の過渡的位置まで運ぶ(図8、経路1と2 T81とT82)。
自動化された関節式アームは、リザーバSPTの中で搭載台の上にある移送用ピペットを1つ取り上げる(図8、経路3 T83)。
自動化された関節式バブラー・アームは、ガスの供給を停止し、使用した泡吹き込み用の管を培養物から出す。
自動化された関節式バブラー・アームは、使用した泡吹き込み用の管を、(殺菌状態を維持するために)最も近い固体排出ステーション/廃棄所の役割を果たす排出用エア・ロックの中に排出し、その排出用エア・ロック181、182、183、184のいずれかの中にある使用したその管を廃棄する。
自動化された関節式アームは、培養物を採取する。
自動化された多機能関節式アームは、培養物を含む移送用ピペットを、この培養物専用の過渡的位置にある新しいタンクまで運び、その移送用ピペットの内容物を新しい培養タンクの中に空ける(図8、経路4 T84)。
自動化された多機能関節式アームは、空になった移送用ピペットを、(殺菌状態を維持するために)最も近い固体排出ステーション/廃棄所の役割を果たす排出用エア・ロックの上方に運び、移送用ピペットをその排出用エア・ロック181、182、183、184のいずれかの中に排出する(図7、経路4 T74)(図8、経路5 T85)。
自動化された関節式バブラー・アームは、殺菌された泡吹き込み用の管を1つ取り上げる(図8、経路6 T86)。
自動化された関節式バブラー・アームは、殺菌されたその泡吹き込み用の管を培養タンクの中に配置する。
自動化された関節式バブラー・アームは、ガスの供給を開始する。
培養容器は、排出用エア・ロックを通じて排出される(図8、経路7 T87)。
4)懸濁状態で増殖する微生物の選択
培養は、図1に示したような培養支持体の中の培養容器(廃棄可能なプラスチック製タンク)の中で実行される。
廃棄可能なこの培養容器は、必要な場合(バイオフィルムの成長)には、上に説明したようにロボット化されたアームの作用によって新しい殺菌容器と定期的に交換することができる。
培養装置の全体図は例えば図5に与えてある。
タンクを交換するときには、アームが、培養タンクの交換中に殺菌されたピペット内の培地を確実に吸引した後、新しい殺菌タンクの中に培地を入れる(内容物交換機能)。
さらに、この自動化されたアームが、培養物の一部をピペットで採取する機能と、採取した体積を同じ体積の新鮮な培地で置き換える機能を保証する(希釈機能)。希釈の頻度は実験者が決めること(ケモスタット)、又は培養物の細胞密度によって制御すること(タービドスタット)ができる。
培養物と接触するあらゆる物理的物体(通気用チューブ、移送用ピペット、希釈用ノズル)は、1回使用するごとに殺菌された新しい物体と交換される。
入れ物(=培養タンク)は、培養物を制御された温度に維持できる恒温の金属製の箱の中に配置される。この箱には、タンク内の細胞密度(IRからわかる)といくつかの吸収性分子の濃度を測定できる1つ又は複数のフォーク(波長の異なる発信器/受信機)が取り付けられている。
培養タンクと恒温の箱は1つの収容槽の中に位置しており、その収容槽の内部では、殺菌ガス流(例えば殺菌空気)が箱とタンクのまわりを常に流れていて、タンクを常に殺菌状態にしている(図1参照)。
そのため懸濁モードで増殖する(したがって希釈される)微生物だけが、選択された条件で長期にわたって増殖状態を維持する。
廃棄可能な使い捨てのタンクと付属品を使用しているため、そして複雑な流体ネットワークが存在していないため、システムは、複雑な操作も長い殺菌も必要としない。
システム内にあるすべてのタンクが作動し、選択された培養物の増殖を保証する。
さらに、このシステムにより、蒸発が相殺されていて希釈率一定かつ体積一定の培養物、又は蒸発が相殺されていなくて希釈率が変動する培養物、又は蒸発が相殺されていて希釈率が変動する培養物を制御することができる。
細かく制御された液相の分子をロボット化されたアームを作動させて供給できるため、流体ネットワークの専用の分岐を増やす必要なしに、多数の成分に関して培養物に加える選択圧力を正確に調節することができる。
さらに、操作が難しい物質(例えば揮発性で反応性のあるアセトアルデヒド)の添加が、この物質を複雑な流体ネットワークの中を通過させる必要なく可能になる。
それに加え、このシステムにより、固体粒子(例えばアルギン酸塩のボールに固定化した細胞)や、水と混和しない液体や、複雑な流体ネットワークの中を気相で運ぶことが実質的に不可能なさまざまな添加剤を添加することが可能になる。
さらに、BEDシステムの外にあるあらゆるタイプの分析装置(HPLC、PCR、ELISA、MS等)に移すためにわずかな体積のアリコートを採取することが、培養のいかなる時期であれ、無菌の状態で、ロボット化されたアームを通じて可能になる。その分析結果を統合して実行中の培養を制御することができる。
さらに、このシステムにより、微生物を培養する際の条件に関する必要性に応じてさまざまな形態の培養タンクを利用することが可能になる。
5)バイオフィルムの形態で増殖する微生物の選択
上に説明した装置により、ロボット化されたアームを通じて培養タンクの中にさまざまな材料からなるプレートを添加し、バイオフィルムの形態で増殖する細胞を選択することができる。
培養物のうちでプレートに固定されているものはそのままにできるのに対し、懸濁状態の細胞を含む培地は、取り出して新鮮な培地と交換することができる。同様に、バイオフィルムで覆われたプレートは、ロボット化されたアームを利用し、殺菌された新しい培養容器の中を移動させることができる。
このようにして、支持体に固定する能力、又は集まってバイオフィルム等の構造を形成する能力を発達させる細胞変異体を選択することが可能になる。
オプションの補足的操作
1)反応物質の添加
この枠組では、あらゆるタイプの反応物質が考えられる。例えば化学物質、生化学物質(タンパク質、DNA等)、生物性物質(細胞懸濁液)等がある。
ロボットは、反応物質の添加を開始させる信号を検出する。
自動化された関節式アームは、殺菌された反応物質用マイクロピペットを1つ取り上げる。
自動化された関節式アームは、その殺菌された反応物質用マイクロピペットを、望む反応物質を収容したリザーバまで運ぶ。
自動化された関節式アームは、培養物の全体積と比べて無視できる決められた体積の反応物質(例えば25μlの反応物質)を採取した後、殺菌された空気の泡を採取する。
自動化された多機能関節式アームは、反応物質を含むそのマイクロピペットを対応するインキュベータまで運び、希釈用ピペットの内容物を培養タンクの中に空ける。
自動化された多機能関節式アームは、マイクロピペットの中で吸引と逆流のサイクルを1回実施することによってそのマイクロピペットの壁部を洗う。
自動化された多機能関節式アームは、反応物質用マイクロピペットを固体要素排出ステーション/廃棄所の上方に運び、反応物質用マイクロピペットを固体要素排出ステーションの中に排出する。
2)ルーチンのサンプル採取
操作者は、サンプリング用又はアリコート採取用のステーションSEの中に殺菌チューブを1つ設置する。
操作者は、サンプリング用又はアリコート採取用のステーションSEの中でその殺菌チューブを開く。
ロボットは、希釈開始信号と採取開始信号を検出する。
ロボットは、この段落2よりも前の部分で説明したようにして希釈を実行するが、1つの工程が異なっている。それは、自動化された多機能関節式アームが、過剰な培養物を含む希釈用ピペットをステーションSEの上方に運び、その希釈用ピペットの内容物を開いた殺菌チューブの中に入れる工程である(図9、経路3 T94)。
操作者は、ステーションSEの中で殺菌チューブを再び閉じる。
操作者は、採取用チューブを再び閉じ、サンプリング用エア・ロックSEを通じて培地を回収する。
3)緊急のサンプル採取
操作者は、殺菌チューブを1つサンプリング・ステーションSEに設置する。
操作者は、サンプリング・ステーションSEの中でその殺菌チューブを開く。
ロボットは、採取開始信号を検出する。
自動化された関節式アームは、リザーバSPDの中の殺菌された希釈用ピペットを1つ取り上げる(図9、経路1 T91)。
自動化された関節式アームは、その希釈用ピペットを関係する培養物のところまで運ぶ(図9、経路2 T92)。
自動化された関節式アームは、所定の体積(例えば2ml)の培養物を採取した後、空気の泡を採取する。
自動化された多機能関節式アームは、培養物のサンプルを含む希釈用ピペットをサンプリング・ステーションの上方に運び、その希釈用ピペットの内容物を開いた殺菌チューブの中に入れる(図9、経路3 T93)。
自動化された多機能関節式アームは、使用した希釈用ピペットを固体要素排出ステーション/廃棄所の上方に運び、その希釈用ピペットを固体要素排出ステーションの中に排出する(図9、経路4 T94)。
操作者は、サンプリング・ステーションの中で殺菌チューブを再び閉じる。
操作者は、採取用チューブを再び閉じ、培地のアリコートを回収する。
4)分析のための微量サンプルの採取
ロボットは、分析のために微量サンプルの採取を開始させる信号を検出する。
自動化された関節式アームは、リザーバSEPDの中の殺菌マイクロピペットを1つ取り上げる(図10、経路1 T101)。
自動化された関節式アームは、その殺菌マイクロピペットを関係する培養物のところまで運ぶ(図10、経路2 T102)。
自動化された関節式アームは、所定の微小体積(例えば10μl)の培養物を採取した後、空気の泡を採取する。
自動化された多機能関節式アームは、培養物のサンプルを含むそのマイクロピペットを分析ステーションSEの上方に運び、そのマイクロピペットの内容物を、分析プラットフォームの中にあるこのサンプルのための位置に置く(図10、経路3 T103)。
自動化された多機能関節式アームは、使用したマイクロピペットを、固体要素排出ステーション/廃棄所の役割を果たすピペットと汚染材料の排出用エア・ロックSEPMの上方に運び、そのマイクロピペットをそのエア・ロックSEPMの中に排出する(図10、経路4 T104)。

Claims (47)

  1. 静的細胞変異体又は懸濁状態で増殖する細胞変異体の選択を可能にする連続細胞培養法であって、
    a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植える工程と、
    b)前記培地の中で、前記細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にする工程と、
    c)新鮮な培地又は希釈剤を前記培養容器に添加することにより、工程b)において到達した前記培地の中の細胞密度、又は前記物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持する工程と、
    d)工程c)で得られて懸濁状態の細胞が含まれている培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取する工程と、
    e)工程d)で得られた一部の培地を第2の培養容器に移す工程と、
    f)前記第1の培養容器を、その中に含まれて残った培地とともに取り出す工程と、
    g)前記第2の培養容器の中で複数世代にわたって培養した後、懸濁状態で増殖する細胞及び/又は静的細胞変異体を選択する工程を含む方法。
  2. 懸濁状態で増殖する細胞変異体の選択を可能にする連続細胞培養法であって、
    a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植える工程と、
    b)前記培地の中で、前記細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にする工程と、
    c)新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤を前記培養容器に添加することにより、工程b)において到達した前記培地の中の細胞密度、又は前記物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持する工程と、
    d)懸濁状態の細胞が含まれる培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取する工程と、
    e)工程d)で得られて細胞が懸濁状態になっている一部の培地を、前記第1の培養容器に代わる第2の培養容器に移す工程と、
    f)前記第1の培養容器を、その中に含まれて残った培地とともに取り出す工程と、
    g)前記第2の培養容器の中で複数世代にわたって培養した後、懸濁状態で増殖する細胞を選択する工程を含む方法。
  3. 静的細胞変異体の選択を可能にする連続細胞培養法であって、
    a)閉鎖エンクロージャの中で開いた状態に維持されていて、中に少なくとも1つの固体表面(プレートが好ましい)が配置された第1の培養容器に含まれる液体培地に、1種類又は複数種類の生きた細胞を植える工程と、
    b)細胞が植えられた前記培地の中で、前記細胞を、所定の細胞密度に対応するか、その培地の中で測定される1つの物理化学的パラメータに対応する所定の増殖段階にする工程と、
    c)新鮮な培地又は少なくとも1種類の希釈剤を前記培養容器に添加することにより、工程b)において到達した前記培地の中の細胞密度、又は前記物理化学的パラメータの値をほぼ一定に維持する工程と、
    d)工程c)で得られて懸濁状態の細胞が含まれている培地の一部を、培地の体積が維持されるようにしてピペットで採取する工程と、
    e)工程d)で得られた一部の培地が堆積した前記固体表面を、前記第1の培養容器に代わる第2の培養容器に移す工程と、
    f)前記第1の培養容器を、その中に含まれて残った培養物とともに取り出す工程と、
    g)複数世代にわたって培養した後、前記固体表面に固定された静的細胞変異体を選択する工程を含む方法。
  4. 前記固体表面が、細胞の接着を避ける処理をされた材料からなる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記培養容器の頂部が開いた状態で維持されるとともに、殺菌空気等のガス流が連続的にその開口部の周辺に適用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 殺菌ガス流が前記培養容器の上から下に向けて適用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 上から下に向かう前記殺菌ガス流を維持して前記培養容器の周辺部に圧力低下を生じさせる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記殺菌ガス流が、前記培養容器の底部から前記エンクロージャの外に排出される、請求項7に記載の方法。
  9. 少なくとも工程a)〜f)を閉鎖エンクロージャの中で実行する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程a)〜f)を1回又は複数回繰り返した後に工程g)に進む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 工程c)において前記培地の中の細胞密度をほぼ一定に維持することを、前記培養容器の中の培地の体積を一定に維持しつつ、前記培地を新鮮な培地で希釈することによって行なう、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記第2の培養容器中の懸濁状態の細胞を含む培地の移送を、殺菌ピペットを利用した採取によって行なう、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 使用した前記第1の培養容器を、エア・ロックを利用して前記閉鎖エンクロージャの外に排出する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 使用中の培養容器を、細胞培養物の温度を調節できる恒温の空洞の中に配置する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 同一のエンクロージャの中に配置した複数の培養支持体の中で複数の培養を同時に実施する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記培地のサンプリングを定期的に実施する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記培養支持体又は前記培養容器が使い捨てである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記培養容器に導入した泡吹き込み装置によってガスを培養中の細胞に注入する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記エンクロージャの内部を移動できる自動化された1つ又は複数のアームを利用して複数の工程を実行する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記エンクロージャを外部環境に対して開くことなく、前記細胞を、102を超える世代、好ましくは104を超える世代、より好ましくは106を超える世代、さらに好ましくは1010を超える世代にわたって連続的に培養する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 自律栄養性の微生物の培養に適用することと、前記のさまざまな工程を実行中に前記培養物に光を当てる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 開放連続モードで細胞の培養を実行できる培養支持体(18)であって、
    − 液体培地を収容できるように頂部(6)が開いた少なくとも1つの培養容器(1)と;
    − 上方に向かって開いていて、中に前記培養容器(1)が位置する少なくとも1つの収容槽(2)と;
    − 前記培養容器(1)と前記収容槽(2)の間にあって、ガス流が、その培養容器(1)とその収容槽(2)の壁の間でその容器の開口部のまわりを上から下へと循環できるようにする空間(7)と;
    − 前記収容槽(2)の下部に位置するガス流取り出し手段(8)とを備える培養支持体。
  23. 前記ガス流取り出し手段が、前記ガス流を通過させる1つ又は複数のオリフィス(8)からなる、請求項22に記載の培養支持体。
  24. 取外し可能なブロック(12)の形態であり、その中では複数の前記収容槽がグループにされていて、その収容槽の中には前記培養容器(1)のうちの少なくとも1つが収容されている、請求項22又は23に記載の培養支持体。
  25. 前記収容槽(2)の下部が、前記培養容器(1)と前記収容槽(2)の壁の間を循環する前記ガス流の補助取り出し手段(14)として例えば真空ポンプに接続されたチューブ、又は1つ又は複数のガス分配手段を備える底部に嵌め込まれている、請求項22〜24のいずれか1項に記載の培養支持体。
  26. − 前記収容槽(2)の内部空間の温度を調節する少なくとも1つの手段(3)をさらに備える、請求項22〜25のいずれか1項に記載の培養支持体。
  27. 前記収容槽(2)の内部空間(7)の温度を調節する前記手段が、その収容槽(2)の少なくとも1つの壁の中に収容された1つの加熱用抵抗器からなる、請求項26に記載の培養支持体。
  28. − 前記培養容器の中に含まれる培地に空気を注入する少なくとも1つの手段として例えば1つ又は複数の通気用パイプ(4)をさらに備える、請求項22〜27のいずれか1項に記載の培養支持体。
  29. − 前記培養容器(1)に含まれる培地の中に存在する細胞の密度を光学的に測定する少なくとも1つの手段(9)をさらに備える、請求項22〜28のいずれか1項に記載の培養支持体。
  30. − 独立栄養モードの微生物を培養するため、前記培養容器(1)と前記収容槽(2)の壁の間の空間に位置するか、その収容槽の壁のうちの1つの中に収容されている少なくとも1つの光発生手段(15)をさらに備える、請求項22〜29のいずれか1項に記載の培養支持体。
  31. 開放モードで細胞を連続的に増殖させることのできる細胞培養装置であって、
    − エンクロージャ(17)と;
    − そのエンクロージャの中を巡る殺菌ガス流(23)を発生させる手段と;
    − 前記エンクロージャ(17)の中に位置していて開放モードで細胞の培養を実行できる請求項22〜30のいずれか1項に記載の1つ又は複数の培養支持体(18)を備える細胞培養装置。
  32. − 前記エンクロージャの中に位置する少なくとも1つの培地更新手段をさらに備える、請求項31に記載の細胞培養装置。
  33. − 前記培養支持体(18)の中に収容された培養容器を置き換えることのできる少なくとも1つの培養容器(1)をさらに備える、請求項31又は32に記載の細胞培養装置。
  34. 前記殺菌ガス発生手段(23)が前記エンクロージャ(17)の中に位置し、前記殺菌ガス流が前記培養支持体(18)の上から下に向かう、請求項31〜33のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  35. − 前記培養容器の底部に少なくとも1つの殺菌ガス流取り出し手段(8)をさらに備える、請求項31〜34のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  36. 前記殺菌ガス流取り出し手段(8)が、前記培養支持体(18)の前記培養容器(1)と前記収容槽(2)の間に位置する空間(7)に圧力低下を生み出す、請求項35に記載の細胞培養装置。
  37. 前記殺菌ガス流取り出し手段(8)に、前記培養容器の開口部(6)の周囲を取り囲む空気を吸引できる少なくとも1つの空気吸引手段が付随している、請求項35又は36に記載の細胞培養装置。
  38. 前記培地更新手段が、前記培養容器の内容物の一部を排出領域へと移す手段(20)を備える、請求項32〜37のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  39. 前記培地更新手段が、新鮮な培地を、前記エンクロージャ(17)の中に位置するリザーバから前記培養容器へと移す手段(20)を備える、請求項32〜38のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  40. 前記移す手段が、ピペット(20)と、そのピペットの中にある新鮮な培地又は使用した培地を吸引する手段を備える、請求項38又は39に記載の細胞培養装置。
  41. − 前記移す手段(20)及び/又は少なくとも1つの培養容器を前記エンクロージャの外部に出す少なくとも1つの手段をさらに備える、請求項31〜40のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  42. 前記出す手段がエア・ロックを備える、請求項41に記載の細胞培養装置。
  43. 前記培養物の中に空気を注入する少なくとも1つの手段(4、21)を備える、請求項31〜42のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  44. 前記エンクロージャの内部を移動させることのできる少なくとも1つの自動化アーム(19)を備える、請求項31〜43のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  45. 前記エンクロージャ(17)が閉鎖されている、請求項31〜44のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  46. 前記エンクロージャの中に位置していて、開放モードで複数の細胞培養を並列して実行する複数の培養支持体を備える、請求項31〜45のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
  47. 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法を実施するための、請求項31〜46のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
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