本発明の目的は、カテーテル及びカテーテルの製造を提供することにある。
一態様において、カテーテルは、基端及び先端を有するとともに少なくとも一つの内腔を定義する長手方向に延びる本体を含む。内腔は基端から本体を貫通して先端まで長手方向に延び、折り返して基端まで戻る。液体金属が内腔内に配置される。
本開示のこの態様の実施形態は、以下の特徴の一つ以上を含み得る。幾らかの形態において、液体金属は、ガリウム及びインジウムの合金、例えばガリスタン(galistan)を含む。幾らかの例において、カテーテルは液体金属と電気的に連通される電源を含み、同液体金属は電流のための導電管を提供する。液体金属は内腔を貫通して流れ、同内腔内において、液体金属の流速はカテーテルの温度を制御する。液体金属が内腔内を流出入することは、例えば、系内において固体金属製の長い導体が永続的な高周波(RF)によって局所的に加熱されるMRIの用途において有用である。
流れる液体金属導体は、伝導される熱を伝導源から離れるように移動させるので、局所的な加熱を防ぐ傾向にある。幾らかの例において、内腔は、カテーテル本体の基端部と比較して、先端部ではより狭く定義された断面を有する。液体金属が内腔を貫通して流れる場合、同本体の先端部の比較的狭い内腔は液体金属の流れに対して抵抗を生じ、それにより局所的な加熱を可能にする。カテーテルが液体金属と電気的に連通される電源を含む場合、同本体の先端部の比較的狭い内腔は、液体金属導電管に対して電流の抵抗を生ずることとなり、それにより局所的な加熱を可能にする。
幾らかの実施形態において、内腔と本体の外面との間の壁厚は、同本体の基端部と比較して、先端部ではより薄く、それにより、同本体の外面と先端部の周囲の液体金属との間には、同外面と基端部の周囲の液体金属との間と比較して、より大きな熱伝導性を与えることができる。
幾らかの実施形態において、カテーテルは、本体の先端に配置されるバルーンを含む。バルーンの壁は内腔と流体連通する流体通路を定義する。バルーンの流体通路は内腔と直列式に流体連通し得る。幾らかの例において、バルーンの流体通路は内腔よりも狭く定義された断面を有する。カテーテルが液体金属と電気的に連通される電源を含む場合、液体金属は電流に対する導電管を提供し、実質的にバルーンの周囲の組織を加熱する。
別の態様において、カテーテルは、基端及び先端を有するとともに第一及び第二の内腔を定義する長手方向に延びる本体を含み、同第一及び第二の内腔は本体を貫通して長手方向に延びる。電気的な駆動装置(例えば、アクチュエータ又はセンサ)が本体の先端に連結され、第一及び第二の内腔と電気的に連通される。電源が、第一及び第二の内腔と電気的に連通される。液体金属は、第一及び第二の内腔内に配置され、電源と電気的な駆動装置との間に導電管を提供する。
本開示のこの態様の実施形態は、以下の特徴の一つ以上を含み得る。幾らかの実施形態において、液体金属はガリウム及びインジウムの合金、例えばガリスタンを含む。幾らかの例において、各内腔は基端から本体を貫通して先端まで長手方向に延び、折り返して基端まで戻る。液体金属は第一及び第二の内腔を貫通して流れ、それにより伝導された熱が熱伝導源から離れるように移動される。幾らかの実施形態において、カテーテルは、第一及び第二の内腔に配置される、電気的には絶縁され、かつ熱的には伝導性を有する粒子を含む。同粒子は加熱により膨張し、第一及び第二の内腔を塞ぎ、例えば電源と電気的な駆動装置との間に一時的な又は永久的な導電管を提供する液体金属を分離する。幾らかの例において、選択された粒子は、導電管を提供するための可逆的な、又は非可逆的な系を提供する。例えば、発泡剤が装填されたポリマーマイクロカプセルからなる粒子は非可逆的な系を提供し、パラフィン又は別の種類のロウを含む粒子は可逆的な系を提供する。
更に別の態様において、カテーテルは基端及び先端を有するとともに第一及び第二の内腔を定義する長手方向に延びる本体を含む。各内腔は基端から本体を貫通して先端まで長手方向に延び、折り返して基端まで戻る。電気的な駆動装置が本体の先端に連結され、第一及び第二の内腔と電気的に連通される。電源が、第一及び第二の内腔と電気的に連通される。液体金属は第一及び第二の内腔を貫通して流れ、電源と電気的な駆動装置との間に導電管を提供する。液体金属の流速はカテーテルの温度を制御する。幾らかの実施形態において、液体金属はガリウム及びインジウムの合金、例えばガリスタンを含む。
別の態様において、押出装置のための押出ヘッドは、少なくとも一つの熱伝導通路を定義するヘッド本体と、同通路と流体連通するポンプと、押出ヘッドの温度を制御するために通路を通ってポンプ圧送される液体金属と、を含む。幾らかの実施形態において、液体金属はガリウム及びインジウムの合金、例えばガリスタンを含む。この押出装置又は別の押出装置は例えばガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金である液体金属の冷却槽を含み、押出ヘッドによって形成された押出成形品をブロー成形する。
別の態様において、ブロー成形装置はマニホールドと、同マニホールドと流体連通される少なくとも一つのノズルと、ノズルと流体連通されるブロー成形型とを含む。ブロー成形型はブロー成形凹部と、少なくとも一つの熱伝導通路とを定義する。同通路はポンプと流体連通されており、液体金属が通路を介してポンプ圧送され、ブロー成形装置の温度を制御する。幾らかの実施形態において、液体金属はガリウム及びインジウムの合金、例えばガリスタンを含む。このブロー成形装置は例えばガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金である液体金属の冷却槽を含み、ブロー成形装置による製品を冷却する。
別の態様において、押出されたポリマーを冷却するための方法は、所望の冷却温度を有する、ガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金である液体金属の浴槽に、押出されたポリマーを配置する工程を含む。
別の態様において、押出されたポリマーを加熱するための方法は、所望の冷却温度を有する、ガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金である液体金属の浴槽、に押出されたポリマーを配置する工程を含む。
本開示の一つ以上の実施形態の詳細は、添付された図面及び詳細な説明とともに以下に記載される。別の特徴、目的及び利点も、詳細な説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
種々の図面において、同一の符号は同一の部材を示す。
図1及び2を参照すると、カテーテルは、基端112及び先端114をそれぞれ有するとともに、少なくとも一つの内腔120を定義する長手方向に延びる本体110を含む。カテーテル100を把持及び操作するために、基端112にはハンドル190が設けられている。内腔120は基端112から本体110を貫通して先端114まで長手方向に延び、折り返して基端112まで戻る。液体金属130が内腔120に配置されている。幾らかの実施形態において、液体金属130は、例えばガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金、ガリウム、インジウム及びスズの共晶合金を含む。ガリスタンは室温では液体であり、約−20℃から2000℃の間では液体のままである。ガリスタンは水銀を含んでおらず、無毒であると考えられる。金属物質であるので、ガリスタンは電気及び熱を通す(熱伝導性は、水よりも約65倍大きい)。その他の実施形態において、液体金属130はガリウム及びインジウムの合金を含む。好ましくは、液体金属130の組成は65乃至75質量%のガリウムと20乃至25%のインジウムとを含む。スズ、銅、亜鉛及びビスマスのような物質が、比較的小さな割合にて存在することもある。液体金属130の好ましい組成の一つは、66%を超えるガリウム、20%を超えるインジウム、11%を超えるスズ、1%の銅、P/oの亜鉛及び1%のビスマスを含む。
幾らかの実施形態において、カテーテル100は液体金属130と電気的に連通される電源200を含む。液体金属130は、カテーテル100の剛性に寄与することなく、カテーテル本体110を貫通する電気的な導管又は経路を提供する。カテーテル本体110は液体金属130を電流が流れることにより加熱され得る。幾らかの例において、液体金属130はポンプ300によって内腔内を流れる。液体金属130の流速及び/又は液体金属130を流れる電流のレベルはカテーテルの温度を制御する。
図3を参照すると、内腔120は、本体110の基端部111と比較して、同本体110の先端部113ではより狭く定義された断面を有する。液体金属130が内腔120を通って流れる場合、同本体110の先端部113の比較的狭い内腔部122は液体金属130の流れに対して抵抗を付与し、それにより同本体110の先端部113において熱伝導性が増大する。液体金属130の流速は、同本体110の先端部113の所望の温度を得るために制御され得る。カテーテル100が液体金属130と電気的に連通される電源300を含む場合、電流が液体金属130を貫通して流れ、比較的狭い内腔部122は、形成された回路において電流的な抵抗を生ずる。同本体110の先端部113の温度は、液体金属130を流れる電流を調節することによって制御され得る。
図4を参照すると、幾らかの実施形態において、内腔120と本体の外面115との間の壁厚TDは、同本体110の基端部111における壁厚TPと比較して、同本体110の先端部113ではより薄くなっており、それにより、同本体110の外面115と同本体110の先端部113の周囲の液体金属130との間には、同本体110の基端部111の周囲の液体金属と比較して、より大きな熱伝導性を与えることができる。液体金属130が加熱される(例えば電流を介して、或いは加熱されたリザーバにおいて)場合、本体110の先端部113は標的組織の局所的な部分に熱を送達する。
図5を参照すると、幾らかの実施形態において、カテーテル100は、本体110の先端114に配置されるバルーン400を含む。バルーン400の壁410は内腔120と流体連通する流体通路420を定義する。幾らかの例において、図5に示されるように、バルーンの流体通路420は内腔120と直列的に流体連通し得る。その他の例において、バルーンの流体通路420は内腔120と並列的に流体連通し得る。幾らかの実施形態において、カテーテル100は液体金属130と電気的に連通される電源300を含む。液体金属130は実質的にバルーン400の周囲の組織を加熱するために、電流に対して導電管を提供する。バルーンの流体通路420は、同バルーンの流体通路420の全体に沿って、又は幾らかの部分に沿って、内腔120よりも狭く定義された断面を有する。液体金属130が内腔120を流れる場合、比較的狭いバルーンの流体通路420は液体金属130の流れに対して抵抗を与えることとなり、バルーン400の熱伝導性が増大する。液体金属130の流速は、所望の温度のバルーン400を得るために制御され得る。カテーテルが液体金属130と電気的に連通される電源300を含む場合、電流が液体金属130を流れ、比較的狭いバルーンの流体通路420は形成された回路において電気抵抗を生ずる。バルーン400の温度は、液体金属130を流れる電流を調節することによって制御され得る。
図6を参照すると、幾らかの実施形態において、カテーテル1000は、基端1112及び先端1114を有するとともに第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bを定義する長手方向に延びる本体1110を含み、同第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bは本体1110を貫通して長手方向に延びる。カテーテル1000を把持及び操作するために、基端1112にはハンドル1190が設けられている。電気的な駆動装置1500(例えば、アクチュエータ又はセンサ)が本体1110の先端1114に連結され、第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bと電気的に連通される。電源200が、第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bと電気的に連通される。液体金属130は、第一の内腔1120A及び第二の内腔1120B内に配置される。液体金属130は、電源200と電気的な駆動装置1500との間に導電管を提供する。幾らかの実施形態において、液体金属130は例えばガリスタンのようなガリウム及びインジウムの合金を含む。
図7を参照すると、幾らかの実施形態において、第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bはそれぞれ、基端1112から本体1110を貫通して先端1114まで長手方向に延び、折り返して基端1112まで戻る。液体金属130は第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bをそれぞれ貫通して流れ(例えば第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bとそれぞれ流体連通するポンプ300及び302を介して、)、それにより、伝導された熱が熱伝導源から離れるように搬送される。液体金属130の流速はカテーテルの温度を制御する。
図8及び9を参照すると、幾らかの実施形態において、カテーテル1000は、第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bにそれぞれ配置される、電気絶縁性及び熱伝導を有する粒子1600を含む。粒子1600は第一の内腔1120A及び第二の内腔1120Bを塞ぐべく加熱時に膨張するように処方化及び/又は構成され、それにより、電源200と電気的駆動装置1500の間に一時的な又は永久的な導電管を提供する液体金属130を分離する。幾らかの例において、選択される粒子1600は可逆的な系又は非可逆的な系を提供する。例えば、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2007/0154711号(出願番号第10/595910号)に記載されているように、発泡剤が充填されたポリマーマイクロカプセルからなる粒子1600は、液体金属130(例えばガリスタン)の温度上昇により内腔120内にて可逆的に膨張し、同内腔120を永久的に塞ぐであろう。可逆的な系を示す別の例において、適切な相変化物質の粒子1600は十分な熱膨張及び収縮を得るために使用され、流れを制限又は阻止するために可逆的に膨張し、その後、温度の低減に伴い、縮小又は収縮し、再び流れを生ずる。温度の上昇に伴い固体から液体に変化する際に比較的大きな体積に膨張する適切な物質の例はパラフィンである。対応する溶融温度を備えた異なるパラフィンの処方は、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれているEdwin T.Carlen及びCarlos H.Mastrangeloによる「電熱的に活性化されたパラフィンマイクロアクチュエータ(Electrothermally Activated Paraffin Microactuators)」(Journal of Microelectromechanical Systems、Vol.11、No.3、2002年6月)なる論文に開示されている。精密な遷移(膨潤点)を備えた粒子1600は異なる種類のロウを混合することによって得られる。溶融パラフィンは弾性の膜に封入される。幾らかの例において、パリレン膜がロウ(例えば、パラフィン)上に蒸着される。最初のミクロンサイズの球形のロウ粒子1600は、高速にて撹拌された水中に溶融したロウが含まれた溶液を急速に冷却することによって得られ、その後、パリレン層又はシリコン層が外膜として粒子に堆積される。次に、粒子1600は篩い分けされ、所望の寸法の粒子が得られる。別の製造方法において、精密にテンプレートされた粒子1600(例えば、シリカマイクロ粒子)に蒸着され、その後ロウ上にパリレン(又は別のポリマー)が蒸着される。操作時において、液体金属130の温度上昇によってロウが溶融すると、ロウはパリレン外膜を拡大させる。
図10〜11を参照すると、幾らかの実施形態において、押出装置2000のための押出ヘッド2100は少なくとも一つの熱伝導通路2120を定義するヘッド本体2110を含む。押出ヘッド2000は、押出物質2004(例えばポリマー)を受承し、かつ形成するように構成された一つ以上の押出通路2112を定義する。ポンプ2200が通路2120と流体連通可能となっている。液体金属2130は、(例えば、押出物質を加熱又は冷却するために)押出ヘッドの温度を制御するべく通路2120を介してポンプ圧送される。幾らかの例において、液体金属2130は、ガリウムとインジウムとの合金、例えばガリスタンを含む。押出装置2000の一つの例は、押出物質2004(例えばプラスチック製ペレット)を保持するホッパ2002を含み、同押出物質2004は供給口2006を介して移動し、スクリュハウジング2010に収容されるとともに連結されたモータ2012によって駆動されるスクリュ2008と接触する。回転するスクリュ2008は、スクリュハウジング2010において押出物質2004を前方へ移動させる。同スクリュハウジング2010は所望の溶融温度の押出物質2004とするように加熱することができる。押出物質2004は、スクリュハウジング2010内を通過して押される際に徐々に溶融し、ブレーカー・プレート2014及び供給ライン2016を経て、最終的な製品の外形に適合する押出ヘッド2100まで移動する。
図12を参照すると、幾らかの実施形態において、(例えば、カテーテルのための)ブロー成形装置3100は、少なくとも一つのノズル3112と流体連通されるブロー成形マニホールド(manifold)3110を含む。ノズル3112はブロー成形マニホールドと流体連通され、同ブロー成形マニホールド3110はブロー成形凹部3150及び少なくとも一つの熱伝導通路3120を定義する。ポンプ3200が通路3120と流体連通され、かつブロー成形装置の温度を制御するために、通路3120を介して液体金属3130をポンプ圧送する。幾らかの例において、液体金属3130はガリウムとインジウムとの合金、例えばガリスタンを含む。非常に低い温度(例えば約−20℃)にて液体のままである、例えばガリスタンのような液体金属の能力は、ブロー成形装置3100を迅速に冷却するためのクーラントとしての使用を可能にする。ブロー成形装置3100は、延長ブロー成形装置、射出ブロー成形装置又は延伸ブロー成形装置であり得る。溶融ポリマーはノズル3112を介してマニホールド3110の加熱された予備成形凹部3150に注入される。
押出製品は通常、押出後に冷却され、それは多くの場合、押出品を、水浴中を貫通させることによって達成される。プラスチックは非常に良好な断熱材であり、従って迅速に冷却することは困難である。図13を参照すると、幾らかの実施形態において、押出されたポリマー6100(例えば、カテーテル)を冷却する方法は、押出されたポリマー6100を、例えばガリスタン6130のようなガリウムとインジウムとの合金である液体金属の浴槽6000であって所望の冷却温度を有する浴槽6000中に配置する、又は引く工程を含む。同様に、押出されたポリマー6100(例えば、カテーテル)を加熱する方法は、押出されたポリマー6100を、例えばガリスタン6130のようなガリウムとインジウムとの合金である液体金属の浴槽6000であって所望の加熱温度を有する浴槽6000中に配置する、又は引く工程を含む。同方法は、熱成形と称される共通した押出後の工程に対して使用され、同工程では、押出品6100は、柔らかくなるまで加熱され、鋳型の周囲で新たな形状に形成される。
種々の実施形態を記載してきた。にもかかわらず、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされるであろう。従って、その他の実施形態も以下の添付された特許請求の範囲内にある。