JP2011507899A - 安定なエルサミトルシン塩製剤 - Google Patents

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Abstract

安定な形態のエルサミトルシン塩を含有する製剤を提供する。これらの製剤は新生物疾患及び状態の治療に有用である。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2007年12月19日出願の米国仮特許出願第61/015,183号に基づく優先権を主張する。この出願の内容は引用によってその全体を本明細書に援用する。
発明の分野
本開示は、新生物疾患及び状態を治療するための非経口投与に有用なエルサミトルシン製剤に関する。
エルサミトルシンは、グラム陽性菌の放線菌株J907−21から分離された複素環式の抗新生物性抗生物質である。これについては、米国特許番号(USPN)4,518,589及び4,572,895に記載されており、前記特許がエルサミトルシンの自然史、化学組成、製造法及び生物活性に関して開示している全内容は、引用によって本明細書に援用する。エルサミトルシンは、DNAのグアニン−シトシン(G−C)リッチ配列部分にインターカレートしてトポイソメラーゼI及びIIを阻害し、一本鎖切断及びDNAの複製の阻害をもたらす。エルサミトルシンは、転移性の乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん及び卵巣がんに対して、及び再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者において、著しい腫瘍崩壊活性を有している。
エルサミトルシンは、化学的には、ベンゾ(h)(1)ベンゾピラノ(5,4,3−cde)(1)ベンゾピラン−5,12−ジオン,10((2−O−(2−アミノ−2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−アルファ−D−ガラクトピラノシル)−6−デオキシ−3−C−メチル−ベータ−D−ガラクトピラノシル)オキシ)−6−ヒドロキシ−1−メチルとして知られ、一般的に式Iに描かれた構造を有する。エルサミトルシン(elsamitrucin)は、10−O−エルサミノシルエルサロシルカルタリン(10-O-elsaminosylelsarosylchartarin)、BBM 2478A、BMY−28090、SPI−28090、BRN 5214813、エルサマイシンA、エルサミトルシナ(elsamitrucina)、及びエルサミトルシン(elsamitrucine)としても知られている。
先行技術の凍結乾燥エルサミトルシン粉末に、滅菌水を添加されたコハク酸を供給する。これによりエルサミトルシン塩がその場で(in situ)形成される。すなわち、エルサミトルシン塩基を有機溶媒に溶解した後、十分なコハク酸水溶液を加えることにより、可溶化遊離塩基:酸の1:1溶液が形成される。次に、得られたエルサミトルシン−コハク酸溶液は、pHを3.5〜4.5に調整され、安定性増大のためにマンニトールのような増量剤と混合された後、凍結乾燥される(例えば、米国特許第5,508,268号参照)。粉末形(結晶又はアモルファス)の安定なエルサミトルシン塩は現在のところ入手できないので、すべての高可溶性エルサミトルシン医薬組成物は、遊離塩基を用いてその場で製造されなければならない。エルサミトルシンは、典型的にはヒトを含む動物に非経口(一般的に静脈内)投与されるが、先行技術のその場で形成される塩に固有の不安定性のために、凍結乾燥粉末として供給され、使用直前に注射用の滅菌水で再構成される。
米国特許第4,518,589号 米国特許第4,572,895号 米国特許第5,508,268号
そこで、安定なエルサミトルシン塩を含有する製剤が求められている。これらの製剤は、遊離塩基及び該遊離塩基をその場で可溶化するために必要な相応の有機溶媒を使用せずとも製造可能な塩を含有すべきである。
本開示は、新生物疾患及び状態を治療するための非経口投与に有用な、水溶性の固体エルサミトルシン塩を含有する製剤に関する。
本開示の一態様において、前記製剤は、少なくとも一つの安定な固体のエルサミトルシン塩及び製薬学的に許容しうる担体の溶液を含む。
本開示の別の態様において、前記製剤は、溶液のpHを維持するための緩衝剤を必要としない。
本開示の別の態様において、前記製剤は安定化抗酸化剤を必要としない。
本開示の別の態様において、前記製剤はさらに浸透圧調整剤を含む。
本開示の別の態様において、前記製剤はさらにpHを約3.5〜約4.5に設定するための薬剤を含む。
本開示の別の態様において、前記製剤のpHは約4.0である。
本開示の別の態様において、前記製剤の固体エルサミトルシン塩は、乳酸エルサミトルシン、フマル酸エルサミトルシン、マレイン酸エルサミトルシン、コハク酸エルサミトルシン、酒石酸エルサミトルシン、トシル酸エルサミトルシン、メタンスルホン酸エルサミトルシン、安息香酸エルサミトルシン、サリチル酸エルサミトルシン、塩酸エルサミトルシン、硫酸エルサミトルシン、及びリン酸エルサミトルシンからなる群から選ばれる。
本開示の別の態様において、前記製剤の固体エルサミトルシン塩は、トシル酸エルサミトルシンである。
本開示の別の態様において、前記製薬学的に許容しうる担体は、水又は生理食塩水である。
本開示のこれら及びその他の目的、利点及び特徴は、書面の明細書を参照することにより、より十分に理解及び評価されるであろう。
[図面の簡単な説明]
[図1] 本開示の教示に従って製造された、アセトニトリル:水の1:1混合物から再結晶化されたトシル酸エルサミトルシンを示す図である。
[図2A] 5℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図2B] 5℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図3A] 25℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図3B] 25℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図4A] 40℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図4B] 40℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図5A] 60℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図5B] 60℃における2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の、時間に対する効力を示す図である。
[図6] 逆位のエルサミトルシンF2 RTU剤形のアレニウスプロットを示す図である。
[図7] 立位のエルサミトルシンF2 RTU剤形のアレニウスプロットを示す図である。
用語の定義
開示の説明に先立ち、本明細書中で以後使用される一定の用語の理解を提供するのが有用であろう。
類似体:本明細書における“類似体”とは、別の化合物に構造的類似性を有する化合物を含む。例えば、抗ウィルス化合物のアシクロビルは、ヌクレオシド類似体で、塩基のグアニンから誘導されるヌクレオシドのグアノシンに構造的に類似している。従って、アシクロビルは、グアノシンを模倣し(生物学的に“類似”し)、ウィルスの核酸のグアノシン残基を置換する(残基と競合する)ことによってDNA合成を妨害し、翻訳/転写を防止する。このように、別の化合物(親化合物)との構造類似性を有し、親化合物の生物活性又は化学活性を模倣する化合物は類似体である。類似体が親化合物の生物学的又は化学的性質を、同一的、補足的又は競合的のいずれかの何らかの関連様式で模倣できるならば、本明細書で言う類似体として資格認定されるのに必要な元素又は官能基置換の最小又は最大数というものはない。類似体は親化合物の誘導体であり得、また、そうであることが多い(下記の“誘導体”参照)。本明細書中に開示されている化合物の類似体は、それらの親化合物と等しい、それより小さい又は大きい活性を有しうる。
誘導体:本明細書における“誘導体”とは、親化合物から自然に又は合成的に製造される(誘導される)化合物である。誘導体は類似体でありうるので(上記の“類似体”参照)、類似の化学活性又は生物活性を有しうる。しかしながら、本明細書においては、誘導体は必ずしも親化合物の活性を模倣する必要はない。誘導体として資格認定されるのに必要な元素又は官能基置換の最小又は最大数というものはない。一例として、抗ウィルス化合物のガンクロビル(ganclovir)はアシクロビルの誘導体である。ガンクロビル(ganclovir)は、アシクロビルとは異なる抗ウィルス活性のスペクトル並びに異なる毒性を有している。本明細書中に開示されている化合物の誘導体は、それらの親化合物と等しい、それより小さい、大きい又はそれらと類似しない活性を有しうる。
エルサミトルシン:本明細書において、“エルサミトルシン”という用語は、約825.83Daの分子量を有する抗新生物組成物を意味し、化学的には、ベンゾ(h)(1)ベンゾピラノ(5,4,3−cde)(1)ベンゾピラン−5,12−ジオン,10((2−O−(2−アミノ−2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−アルファ−D−ガラクトピラノシル)−6−デオキシ−3−C−メチル−ベータ−D−ガラクトピラノシル)オキシ)−6−ヒドロキシ−1−メチルとして知られ、一般的に式Iに描かれた構造を有している。エルサミトルシン(elsamitrucin)は、10−O−エルサミノシルエルサロシルカルタリン(10-O-elsaminosylelsarosylchartarin)、BBM 2478A、BMY−28090、SPI−28090、BRN 5214813、エルサマイシンA、エルサミトルシナ(elsamitrucina)、及びエルサミトルシン(elsamitrucine)としても知られている。天然源からのエルサミトルシンの単離及び特徴付けの方法については米国特許第4,518,589号及び4,572,895号参照。Konishi M,Sugawara K,Kofu F,Nishiyama Y,Tomita K,Miyaki T,Kawaguchi H.1986.Elsamicins,new antitumor antibiotics related to chartreusin I.Production,isolation,characterization and antitumor activity.J.Antibiot.(Tokyo)Jun;39(6):784−91も参照。
製剤:本明細書において、製剤という用語は、本開示のエルサミトルシン塩の一つ又は複数及び少なくとも一つの製薬学的に許容しうる担体、例えばこれらに限定されないが注射用水又は生理食塩水を含む製薬学的に許容しうる調剤品を意味する。さらに、本開示の製剤は、安定剤、保存剤、又は追加の治療薬も含みうる。本開示の医薬製剤は、当業者に公知の任意の手段によって投与でき、理想的には、静脈内投与又は皮膚、筋肉もしくは身体のその他の組織への注射に適している。該医薬製剤は経口投与を意図されてもよい。
塩:本明細書において、“塩”とは、酸の酸水素の一部又はすべてが金属又は金属のように働く基によって置換されて得られる化合物、すなわちイオン性結晶化合物を含む。この場合、塩は遊離塩基と有機酸の生成物で、安定な固体として存在でき、溶液中でのみ存在する擬似塩(pseudo salts)又はその場で製造された塩は含まない。
適切な塩形:本明細書において、“適切な塩形”という用語は、アモルファス又は結晶形のいずれかの安定な固体状態で製造されたエルサミトルシン塩を意味する。
固体又は固体塩:本明細書において、固体又は固体塩という用語は、固体状態で存在し、30%未満の残留湿分、好ましくは10%未満の残留湿分、さらに好ましくは5%未満の残留湿分しか有さないエルサミトルシン塩のことを言う。本明細書において“湿分”とは水又は有機溶媒のことである。“固体”という用語は、本明細書中では、本開示のエルサミトルシン塩を、その場で形成され主として水性相中で存在する塩と区別するためにも使用される。さらに、この固体塩は凍結乾燥品ではない。
安定な:本明細書において、“安定な”とは、エルサミトルシン塩が75℃の高温で9時間又はさらに好ましくは98℃で一晩乾燥中にほぼ完全な1:1の塩比を示す(すなわち固体状態における分解がないことを示す)NMRデータを保持するエルサミトルシン塩又は非経口のエルサミトルシン塩含有製剤(その場での塩形成以外の方法で製造された)のことを言う。さらに、本明細書で言う安定なとは、インビトロ増殖阻害試験(実施例4参照)による測定でその抗新生物活性の少なくとも90%を、適切な保管温度において固体形で少なくとも24ヶ月間及び液体形で18ヶ月間保持している非経口製剤に含有されたエルサミトルシン塩のことを言う。
発明の詳細な説明
エルサミトルシン及び構造的に関連した抗生物質は、DNAのGCリッチトラクト(tract)に結合する。その場合、Z−DNAよりB−DNAに対し、明白な選択性を有する。それらはRNA合成を阻害し、フリーラジカルの形成によってDNAの一本鎖切断を起こす。エルサミトルシンはまた、これまでに報告された中で最も強力なトポイソメラーゼIIの阻害薬とみなすこともでき、いくつかのDNA−タンパク質複合体の形成を阻害できる。エルサミトルシンは、c−mycがん遺伝子のP1及びP2プロモーター領域に結合し、Sp1転写因子の結合を阻害することによって転写を阻害する。
エルサミトルシンは、再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者における活性及び広範囲のマウス新生物、例えば白血病P388、白血病L1210、及び黒色腫B16及びM5076、並びにMX1及びHCT116異種移植片に対するインビボ活性を示している(例えばRaber MN,Newman RA,Newman BM,Gaver RC,Schacter LP1992 Phase I trial and clinical pharmacology of elsamitrucin.Cancer Res.Mar 15;52(6):1406−10参照)。
さらに、難治性/再発性非ホジキンリンパ腫の実験的治療から、エルサミトルシン関連毒性は比較的軽度で、主に無力、吐き気及び嘔吐からなり、骨髄抑制は含まれないことが示された。エルサミトルシンの活性とその骨髄抑制の欠如は、特に他の実証済み薬剤と併用した場合に、この疾患における有用性を示唆している(Allen SL,Schacter LP,Lichtman SM,Bukowski R,Fusco D,Hensley M,O’Dwyer P,Mittelman A,Rosenbloom B,Huybensz S.1996. Phase II study of elsamitrucin (BMY−28090) for the treatment of patients with refractory/relapsed non−Hodgkin’s lymphoma.Invest.New Drugs.14(2):213−7参照)。
エルサミトルシンのドキソルビシン(DX)と比較したインビトロ活性も、二つの感受性乳がん細胞株、すなわち一つはエストロゲン受容体陽性(ER+、MCF7)及び一つはエストロゲン受容体陰性(ER−、MDA−MB−231)株、並びにDX抵抗性の副次株(サブライン)(MCF7DX)に対して調べた。この二つの薬物の活性は、未治療患者からの19の臨床乳がん標本に対しても調べた。薬物は、マウスにおいて10%の死亡率を引き起こす致死量(LD10)に3時間暴露した場合の曲線下面積から算出された薬理学的関連濃度、並びに10倍及び100倍の濃度で試験された。DX感受性株では、エルサミトルシンによってDXよりも大きいRNA及びDNA前駆体組み込みの阻害並びに細胞増殖の阻害が引き起こされた。さらに、抗増殖効果は、ER+のMCF7の方がER−のMDA−MB−231細胞株よりも10倍高かった(IC50:0.25対0.21マイクログラム/ml)。エルサミトルシンは、MCF7DX副次株ではDXに対する交差耐性を示した。臨床標本では、DNA前駆体組み込みに対する効果は、同じ薬物濃度でエルサミトルシンの方がDXよりも多く観察された。エルサミトルシンに対するインビトロ感受性はER+腫瘍の方がER−腫瘍よりも顕著であった。二つの群で薬物の最小阻害濃度はそれぞれ0.1及び3.5マイクログラム/mlであった。これらのインビトロの結果から、主にER+乳がん患者の臨床治療におけるエルサミトルシンの有望な役割が示されるであろう(Silvestrini R,Sanfilippo O,Zaffaroni N,De Marco C,Catania S.1992.Activity of a chartreusin analog,elsamitrucin,on breast cancer cells.Anticancer Drugs.Dec;3(6):677−81参照)。
Bristol−Myers Squibbに譲渡された、Nassarらによる1996年4月16日発行の米国特許第5,508,268号(以後‘268特許)には、エルサミトルシン塩基、有機溶媒、安定剤及び緩衝剤を含む非経口製剤が開示されている。前記特許において開示されているエルサミトルシン組成物は、各種の有機酸、例えば塩酸、L(+)−乳酸、L−酒石酸、D−グルクロン酸、メタンスルホン酸、アジピン酸及びコハク酸を用いて製造され、コハク酸が好適であった。エルサミトルシン組成物は、(公報の)カラム4の5〜30行にある実施例の教示に従って製造される。この実施例ではコハク酸塩のみが記載されている。具体的には、‘268特許は、その開示によれば、エルサミトルシン塩は、少なくとも一つの還元剤(保存剤)と組み合わせた有機酸を使用してその場で形成され、pHはおよそ4に調整されている。得られた溶液はろ過され、安定性試験のために液体の状態で保持された。‘268特許に開示されているその他の態様では、有機酸、エルサミトルシン塩基、還元剤及びその他の適切な製薬学的賦形剤、例えば、これに限定されないが、糖が溶液中で混合され、得られた組成物が凍結乾燥されている。
しかしながら、‘268特許は、安定な固体のエルサミトルシン塩について、開示も検討も教示もしていない。‘268特許の教示とは際立って対照的に、本発明者らは、エルサミトルシン塩基と選択された有機酸を用いて製造された安定な固体のエルサミトルシン塩を提供する方法を見出した。本開示の教示に従って製造された結果の組成物は、‘268特許に記載されている凍結乾燥物とは対照的に、固体の乾燥又は部分乾燥されたエルサミトルシン塩粉末である。従って、本開示のエルサミトルシン塩組成物は、可溶化された塩基及び有機酸の混合物を含有するその場の溶液ではなく、固体状態の真の塩である。
本開示は、‘268特許に記載されているようなその場で形成された混合物に優る多数の利益を提供する。第一に、本開示の教示に従って製造されたエルサミトルシン塩は、不純物について注意深く分析でき、極めて高い政府規則に適合するように必要に応じて精製することができる。さらに、本開示の真の塩は、正確に秤量でき、注射用水のような適切な製薬学的担体に溶解させることができる。選択された塩自体は、固体状態で貯蔵された場合に極めて安定で、長い貯蔵寿命を有する。それらの対応する可溶化溶液も同様である。従って、本開示のエルサミトルシン塩を用いて非経口溶液が製造でき、長期間貯蔵できる。
本開示の一態様において、製剤は、少なくとも一つの安定な固体エルサミトルシン塩及び製薬学的に許容しうる担体を含む。
本開示の別の態様において、製剤は、溶液のpHを維持するための緩衝剤を必要としない。
本開示の別の態様において、製剤は安定化抗酸化剤を必要としない。
本開示の別の態様において、製剤はさらに浸透圧調整剤を含む。
本開示の別の態様において、製剤はさらにpHを約3.5〜約4.5に設定するための薬剤を含む。
本開示の別の態様において、製剤のpHは約4.0である。
本開示の別の態様において、製剤の固体エルサミトルシン塩は、乳酸エルサミトルシン、フマル酸エルサミトルシン、マレイン酸エルサミトルシン、コハク酸エルサミトルシン、酒石酸エルサミトルシン、トシル酸エルサミトルシン、メタンスルホン酸エルサミトルシン、安息香酸エルサミトルシン、サリチル酸エルサミトルシン、塩酸エルサミトルシン、硫酸エルサミトルシン、及びリン酸エルサミトルシンからなる群から選ばれる。
本開示の別の態様において、製剤の固体エルサミトルシン塩は、トシル酸エルサミトルシンである。
本開示の別の態様において、製薬学的に許容しうる担体は、水又は生理食塩水である。
本開示の製剤はpHを維持するための緩衝剤が不要でありうる。緩衝剤は、通常、弱酸又は弱塩基のいずれかであり、これらが緩衝液を構成する。緩衝剤は通常水に添加され、緩衝液が形成される。緩衝剤はこれらの緩衝液中で見られる緩衝を担う物質である。これらの薬剤は、酸性又は塩基性条件下に置かれねばならない物質に加えられ、該物質を安定化させる。例えば、緩衝化アスピリンは、アスピリンが患者の胃を通過する際のアスピリンのpHを維持するMgOなどの緩衝剤を有している。緩衝剤の別の使用は、胃の酸性度を低下させるのが主目的の制酸錠においてである。緩衝剤の例は、リン酸二水素カリウム、コハク酸、L(+)−乳酸、及びL−酒石酸であるが、これらに限定されない。
本製剤を製造する場合、所望pHを設定する薬剤を使用するだけでよく、必ずしもその所望pHを維持する必要はない。この目的のために酸及び塩基が使用できる。一つのそのような薬剤の例はNaOHのような強塩基である。強塩基は、酸塩基反応で非常に弱い酸を脱プロトン化できる塩基性の化合物である。約13より大きいpKを有する化合物は強塩基と呼ばれる。強塩基の一般例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、例えばNaOH及びCa(OH)である。
当業者は、エルサミトルシン製剤の所望pH又はpH範囲を決定することができ、必要であればこのpH又はpH範囲をpH調整剤で設定することができる。本開示の目的のために、pH範囲は、約3.5〜約4.5及び約2.0〜約4.0でありうるが、これらに限定されない。別の態様において、pHは約4でありうる。
また、本製剤は安定化抗酸化剤を必要としない。安定化抗酸化剤は、他の分子の酸化を緩徐化又は防止できる分子である。酸化は、電子を物質から酸化剤に移動させる化学反応である。酸化反応はフリーラジカルを生成でき、これが細胞を損傷する連鎖反応を開始させる。抗酸化剤は、フリーラジカル中間体を除去することによってこれらの連鎖反応を終結させ、それら自体が酸化されることによってその他の酸化反応を阻害する。結果的に、抗酸化剤は、チオール又はポリフェノールなどの還元剤であることが多い。抗酸化剤の更なる例は、硫黄−及びアルカリ金属−含有抗酸化剤などであるが、これらに限定されない。硫黄−及びアルカリ金属−含有抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム及びホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどであるが、これらに限定されない。
一つ又は複数の浸透圧調整剤を本開示の製剤に含めてもよい。浸透圧調整剤は、溶液の浸透圧を設定できる化学物質である。浸透圧は、半透膜によって仕切られたスペースで、溶質濃度の差のために溶液によって生み出される静水圧である。浸透圧調整剤の包含は、患者の浸透圧に適合させるために必要でありうる。そのような浸透圧調整剤の例は、マンニトール及び塩化ナトリウムなどであるが、これらに限定されない。
本開示の製剤は、すぐに使える溶液として製造できる。これまでに報告されたエルサミトルシンの溶液は、米国特許第5,508,628号に記載されているように、固体形を得るために凍結乾燥されており、これを投与直前に水のような製薬学的担体で再構成するというものであったが、本開示の製剤は液体形で安定であり、以下の実施例に記載のように長期貯蔵寿命を有している。従って、本開示の溶液は貯蔵でき、使用前に再構成することなく投与できる。米国特許第5,508,628号の可用製剤は、その場で形成されたエルサミトルシン塩溶液がメタノール、エタノール、クロロホルム、n−ブタノール及びt−ブタノールのような残留溶媒を含有しているため、凍結乾燥を必要とする。凍結乾燥(freeze-drying, lyophilization, cryodesiccation)は、典型的には、傷みやすい材料を保存するため又は材料を輸送により好都合にするために使用される脱水プロセスである。凍結乾燥は、材料を凍結した後、周囲圧を減じ、そして十分な熱を加えて材料中の凍結水を固体状態から気体に直接昇華させることによって行われる。
残留溶媒が存在したままであることは患者への投与には許されないことであろう。米国特許第5,508,628号ではこれらの不純物を除去するために凍結乾燥が必要であった。一態様において、本開示の製剤は、そのような不純物、例えばメタノール、エタノール、クロロホルム、n−ブタノール及びt−ブタノールを含有していない。
以下の実施例は、本発明の例示的態様として提供される。当然のことながら、本発明の安定で乾燥した、又はほぼ乾燥したエルサミトルシン塩は以下の実施例によって制限されない。以下の実施例の教示は、通常技能の製薬化学者がここに開示されているのと同じ組成物をもたらすその他の変形を為す際のガイダンスとして使用することができる。
実施例1
本開示の安定なエルサミトルシン塩の初期製造
エルサミトルシン塩の少量バッチを、最適化及びスケールアップに先立って製造した。有機酸に基づく8種類の対イオンを選択した。これらは、乳酸、マレイン酸、コハク酸、L−酒石酸、p−トルエンスルホン酸(本明細書中ではp−TSA又はトシル酸とも呼ばれる)、安息香酸、サリチル酸、及び硫酸であった。製薬化学の分野の専門家に公知の、以前のスクリーン法に基づいて3種類の溶媒を選択した。選択された溶媒は、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、及び酢酸(AcOH)であった。p−TSA/MeOHの追加の組合せも含めて、合計25種類の反応を実施した。
各反応バイアルに3.0×10−5molのエルサミトルシン塩基を加えた。エルサミトルシン塩基は、0.25mLのDMF又はAcOHに55℃で、1.5mLのジオキサンに80℃で、又は12mLのMeOHに70℃で溶解し、溶解を確実にするために5分間撹拌した。次に、各バイアルに、上記有機酸の一つの0.126Mジオキサン溶液245〜270μLを加えた(表1参照)。これは、8種類の各酸の1.05当量に相当する(酒石酸はジオキサンに不溶性のため、1:1のメタノール/水混合物に調合した)。
初期温度を10分間保持し、その後DMF及びAcOHは20℃/時間、ジオキサンは30℃/時間及びMeOHは25℃/時間の速度で室温にまで下げた。ジオキサン/L−酒石酸、ジオキサン/p−TSA、ジオキサン/硫酸、及びAcOH/硫酸のバイアルに固体が形成された。固体をろ過によって回収し、真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。固体が形成されなかったバイアルは、窒素ストリームを用いて濃縮乾固し、真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。真空下でメタノールを除去し、得られた残渣を高真空下室温で乾燥させた。全サンプルとも、x線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)によって分析し、塩の結晶度を測定した。結晶固体は、ジオキサン/硫酸及びAcOH/硫酸から得られ、半結晶固体は、ジオキサン/L−酒石酸、ジオキサン/p−TSA、DMF/乳酸、DMF/マレイン酸、DMF/L−酒石酸、DMF/安息香酸、DMF/硫酸、AcOH/乳酸、AcOH/p−TSA、及びAcOH/安息香酸から得られた。すべてのその他の固体はXRPDによりアモルファスであることが分かった。
実施例2
エルサミトルシン塩製造の最適化
実施例1の教示に従って製造された次の三つのエルサミトルシン塩がスケールアップ開発のために選ばれた。選ばれた塩は、酒石酸エルサミトルシン、硫酸エルサミトルシン及びトシル酸エルサミトルシンであった。これらが選ばれた理由は、それぞれが冷却プロセス中に沈殿する結晶又は半結晶固体を提供したからであった。このことは、塩のより良好な単離及び精製(必要であれば)を可能にするので、より大規模な製造技術にとってそれらはより適切である。しかしながら、実施例2の目的のためのそれらの選択は制限とみなされるべきではない。
L−酒石酸、硫酸及びp−TSAをジオキサンに溶解した。適切な反応容器のそれぞれに1.7×10−4molのエルサミトルシン塩基を入れた。該塩基を7.5mLのジオキサンに80℃で溶解し、溶解を確実にするために5分間撹拌した。次に、各バイアルに、これら三つの各酸約1.05当量に相当する有機酸のジオキサン中0.5M溶液350〜380μLを入れた(表2)。
初期温度を10分間保持し、その後ジオキサンの場合、30℃/時間の速度で室温にまで下げた。固体は、ジオキサン/L−酒石酸及びジオキサン/硫酸及びジオキサン/p−TSAを用いて酸をバイアルに添加すると形成され、沈殿は冷却プロセス中に発生した。ろ過後、固体を真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。サンプルは、結晶度(表3)及びその他の物理的性質を測定するためにXRPD、DSC、及びTGAによって分析した。
表3に示されているとおり、実施例2のすべての固体は半結晶性で、約5%までの残留溶媒を含有し、迅速な沈殿のために固体中に多量の溶媒が保持されていたため、一貫してペースト状であった。
本開示のエルサミトルシン塩は、上記より遅い沈殿法を用いても製造された。反応容器に7.6×10−5molのエルサミトルシン塩基及び5mLのジオキサンを80℃で入れた。塩基の溶解を確実にするために混合物を5分間撹拌した後、1.05当量に相当する酒石酸の0.2M水溶液400μLを溶解エルサミトルシン塩基に加えた。温度を10分間80℃に保持した後、バイアルを30℃/時間の速度で室温に冷却した。冷却段階にある間、沈殿が生じた。この固体をろ過により回収し、真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。サンプルをXRPD、DSC、及びTGAによって分析し、物理的性質を測定した[表3、OVL−A−55(1)及びOVL−A−55(2)]。第一のサンプル[ジオキサン/硫酸、OVL−A−55(1)]はXRPDにより結晶性であったが、TGA分析及びDSC曲線上での三つの吸熱ピークにより3.6%の残留溶媒を含有していた。第二のサンプル[ジオキサン/L−酒石酸、OVL−A−55(2)]は半結晶性であった。
次に、エルサミトルシン塩を次のように水性環境中で製造した。反応バイアルに、100mgのエルサミトルシン塩基、1.05当量の対応酸(p−TSA、コハク酸、及びL−酒石酸は固体として添加;硫酸は0.5mLの水に溶解した)及び水(p−TSA、コハク酸、及びL−酒石酸は10mL、硫酸は9.5mL)を入れた。懸濁液を10分間撹拌しながら80℃に加熱し、透明溶液を形成させた後、30℃/時間の速度で室温に下げた。室温で一晩撹拌後、沈殿物はどの実験でも形成されなかった。穏やかな窒素流下、35℃で水を除去した。3分の1の水を除去した後、p−TSAの実験で沈殿が観察された。この固体をろ過し、真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。ろ液も分析した。他の三つのバイアルは蒸発乾固して真空下50℃及び30インチHgで乾燥させた。結果は、生成した固体は半結晶性で、アモルファス含有量が高いことを示していた[表3、OVL−A−47(1)、OVL−A−47(2−1)、OVL−A−47(3)、及びOVL−A−65]。
実施例3
顕微鏡法を用いるトシル酸エルサミトルシン塩の結晶化
顕微鏡スライド上に1〜2mgのアモルファス性のトシル酸エルサミトルシンをスパチュラを使って蒔き、カバースリップを載せた。溶媒滴をカバースリップの横に置き、溶媒をカバースリップの下から滲み込ませて薬物を溶解させるようにした。溶媒と接触した薬物は室温で保管し、顕微鏡下100倍又は400倍の倍率で検査した。使用した溶媒は、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン及びイソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンと水との1:1混合物であった。針状又は棒状の結晶が、顕微鏡下、エタノール、メタノール、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、アセトン、及びすべての水:溶媒混合物の溶媒で観察された。サンプルの顕微鏡検査で、トシル酸エルサミトルシン塩は少なくとも一つの溶媒で結晶化することが示された。
実施例4
エルサミトルシンのMSA、p−TSA及びHCl塩の微結晶化
少量の塩(1〜2mg)を顕微鏡スライドに載せ、カバースリップでカバーした。数滴の溶媒をカバースリップの縁に加え、毛管現象で溶媒がスライドとカバースリップの間に吸い込まれるようにした。物質が部分溶解されるようであれば、スライドをホットプレート上でほとんどの固体が溶解されるまで徐々に加熱した。各スライドを室温に冷却し、ゆっくり結晶化させた。水中メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びアセトニトリルの1:1混合物を結晶化に使用した。全4種類の異なる溶媒系中のどの塩もエルサミトルシンの結晶を生成した。トシル酸エルサミトルシン塩の結晶は、図1に示すように、平面偏光下で複屈折を示した。
実施例5
p−TSA塩の再結晶化のスケールアップ
p−TSAの再結晶化はクレイグ(Craig)管での緩やかな蒸発を用いて実施した。p−TSA塩をアセトニトリルと水の1:1混合物に高温で溶解した。クレイグ管に熱ろ過した後、反応から溶媒を緩やかに蒸発させ、沈殿物を得た。顕微鏡下で晶癖を観察したところ針状であった。該結晶をろ過により単離し、真空下で乾燥させた。この物質はXRDに対して透過性であることが観察され、顕微鏡検査によって結晶性であることが確認された。示差走査熱量測定分析では、該物質は、溶融と、その後の分解又は結晶化を、それぞれ183℃及び186℃で示した。1H NMR分析で、該サンプルはAPI:対イオン(p−TSA)が1:1の比率であることが示された。
p−TSA塩の水中溶解度を、室温でスラリーを6時間撹拌後、HPLCでチェックした。p−TSA塩の水中溶解度は15.6mg/mLであることが分かった(表5、ロット番号OVL−A−137)。pH4(安息香酸塩緩衝液)でのp−TSA塩の溶解度は14.7mg/mLである(表5、OVL−A−143)。
本開示の教示に従って製造されたエルサミトルシン塩を安定性について試験した。単離されたp−TSA塩の二つのサンプル(それぞれ40mg)を75℃の真空オーブンに9時間入れた。この暴露後、サンプル#1を取り出し、温度を98℃に上げた。第二のサンプルは一晩乾燥させた。NMRデータは、完全な1:1の塩比を示しており、高温での乾燥中に固体状態での分解はなかった。TGAによる重量減は両サンプルともほぼ2.5%であった。カール・フィッシャー分析から、二つのロットとも依然として水分を有していることが示された。サンプル#1は4.0%の水分含有量で、#2は4.6%であった。エルサミトルシンのp−TSA塩(16mg)を1.6mLの安息香酸塩緩衝液(pH4)中に溶解し、50℃で10日間撹拌した。HPLC及びMSのためのサンプルを3、5、及び10日目に取り出した。MS(ピーク282)でもHPLCでも分解生成物の証拠は見つからなかった。
実施例6
HCl塩形成のスケールアップ
エルサミトルシン(200mg)を1mLのアセトニトリル/水(1:1)中でスラリー化し、75℃に加熱して、非常に濃厚なスラリーとした。1MのHCl水溶液(0.321mL、1.05当量)を該スラリーに加え、透明溶液を形成させた。次に、その混合物を非常に穏やかに撹拌しながら25℃/hの速度で室温にゆっくり冷却した。室温で約6時間撹拌後、得られた固体をろ過により単離し、真空下50℃及び30インチHgで乾燥させ、187.5mg(収率88.86%)のHCl塩を得た。DSC及びXRD分析から、該塩の結晶性を確認した。
実施例7
エルサミトルシン及びトシル酸エルサミトルシン塩のインビトロ増殖阻害活性
以下の実験で、本開示の教示に従って製造されたエルサミトルシン塩は、エルサミトルシン塩基と比較した場合、それらのインビトロ抗新生物活性を保持していることが確認される。エルサミトルシン及びトシル酸エルサミトルシンをインビトロでB16F10(マウス肺)、HCT116(ヒト結腸)、HT29(ヒト結腸)及びSK−MES−1(ヒト非小細胞肺がん)を用いて試験した。細胞増殖の阻害は、96ウェルマイクロカルチャープレート中で半自動化MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイを用いて評価した。
SK−MES−1ヒト非小細胞肺がん、B16F10マウス黒色腫細胞、HCT116及びHT29ヒト結腸がん(まとめて“試験細胞培養物”)を、ウシ胎仔血清、抗生物質及びグルタミンのようなその他の適当な増殖因子を補給した緩衝化RPMI1640中に維持した。試験細胞(1,500〜2,000細胞/ウェル)を96ウェルマイクロカルチャープレートに総体積100μL/ウェルで播種した。37℃、5%CO及び95%空気の加湿インキュベーター中で一晩インキュベーション後、エルサミトルシン溶液をRPMI1640で様々な濃度に希釈し、100μLの体積で各ウェルに加えた。エルサミトルシン塩基及びトシル酸エルサミトルシンの溶液(エルサミトルシン溶液)を調製し、−20℃のフリーザーに保管した。当該溶液を全実験のために10回以内解凍した。
試験細胞及び様々な濃度のエルサミトルシン溶液を蒔いた細胞培養プレートを、37℃、5%CO及び95%空気の加湿インキュベーター中に5〜10日間置いた。次に、プレートを短時間遠心分離し、100μLの増殖培地を除去した。細胞培養物を50μLのMTT試薬(ダルベッコ(登録商標)リン酸緩衝化生理食塩水中1mg/ml)とともに4時間37℃でインキュベートした。得られた紫色のホルマザン沈殿物を200μLのイソプロパノール中0.04NのHClで可溶化した。TECAN(登録商標)GENiosマイクロプレートリーダーを用いて、波長595nm及び参照波長650nmで吸光度をモニターした。全実験で吸光度データは各薬剤につき二つのオーバーラップする濃度範囲で取得した。大部分の場合、研究はより広い濃度範囲を用いて反復された。
各試験の結果を保存し、グラフ分析及びIC50値の決定のためにPRISM(登録商標)3.03にインポートした。全結果を薬物濃度に対する対照吸光度のパーセンテージとしてグラフ化した。IC50値は、PRISM(登録商標)3.03で、非線形回帰分析を用い、下記の4−ロジスティック方程式:
によって記載されるS字型用量反応曲線にデータを適合させて推定した。
Topは最高薬剤濃度における対照吸光度の最大パーセンテージ、Bottomは対照吸光度の最小パーセンテージ、Yは観察された吸光度、Xは薬剤濃度、IC50は対照細胞と比べて50%細胞増殖を阻害する薬剤の濃度、そしてnは曲線の傾きである。表4は、エルサミトルシン及びトシル酸エルサミトルシン塩が試験した細胞株に対して本質的に同じ抗増殖効果を有していることを示している。従って、表4に示されているように、本開示の教示に従って製造されたエルサミトルシン塩は、エルサミトルシン塩基のみを用いて製造された治療用組成物と等価又は優れたインビボ抗新生物活性を有することが期待できる。トシル酸エルサミトルシンは、類似量のエルサミトルシン塩基の好ましくは約20%、さらに好ましくは約15%及び最も好ましくは約10%以内のIC50を含む。
実施例8
エルサミトルシン製剤の安定性
2.5mL剤形のエルサミトルシンF2製剤(10mg/mLのエルサミトルシン遊離塩基と4.77%マンニトール、pH4.0)を安定性試験のために使用した。該製剤は5及び25℃で12週間、立位でも逆位でも安定であり、これらのサンプルのpHは4.0〜4.3の範囲でかなり安定に維持されていた。しかしながら、高温で保管されたこれらのサンプルについては分解の進行につれてpHの低下が観察された。アレニウス法を用いると、立位サンプルの5及び25℃におけるゼロ次分解速度定数(kT)は、概算でそれぞれ1日5.79×10−5及び9.84×10−4mg/mLであった。逆位サンプルでは、対応するゼロ次分解速度定数は5℃及び25℃でそれぞれ1日2.49×10−5及び6.28×10−4mg/mLであった。従って、このエルサミトルシンF2剤形は、25℃で2.5年より長期間、90%を超える効力を維持可能であると予測された(この剤形は5℃では効力の同レベルの低下に達するのに47年かかるのと比べて)。
使用されたエルサミトルシンF2 RTU製剤は、トシル酸エルサミトルシン:3.2903g(最終溶液中で10mg/mLの遊離塩基に相当)、マンニトール:11.9251g、注射用水:250mLからなる。pHはNaOHを用いて4.0に設定された。
安定性試験の設計:250mLのトシル酸エルサミトルシンストック溶液(10mg/mLの遊離塩基、4.77%マンニトール、pH4.0)を調製した。80×5mLのアンバーセラムバイアル(amber serum vial)に2.5mLのトシル酸エルサミトルシンストック溶液を充填し、窒素でフラッシュして栓で密閉した。これらの密閉バイアルを立位及び逆位で4、25、40及び60℃の温度キャビネットにそれぞれ保管した。ストック溶液の毒性をゼロ時に記録した。pH測定及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のために様々な時点でサンプルを取り出した。60℃の場合、測定は0、2、7、10、14日に実施した。40℃の場合、測定は0、7、14、28、38、64、77、84日に実施した。25℃の場合、測定は0、7、14、28、64、84日に実施した。4℃の場合、測定は0、7、14、28、64、84日に実施した。
安定性試験に使用された装置及び材料は次の通りである。バイアル:5mLのWheatonアンバーセラムバイアル(口の内径×外径−13×20mm、部品番号223695、ロット番号1394689)、栓:20−mm Stelmiセラムストッパー(ブロモブチル、グレイ、部品番号6720GC、ロット番号 B603/18047)、アルミニウムシール:20−mm Wheatonライニングなしアルミニウムシール(部品番号224193−01)、トシル酸エルサミトルシン:Albany Molecular Research,Inc.,ロット番号DKK−M−27、注射用水(WFI):Phoenix Pharmaceuticals,ロット番号 703097F、マンニトール:J.T.Baker,ロット番号 C39645、0.2N水酸化ナトリウム溶液:VWR International,ロット番号7050、0.22ミクロン酢酸セルロース膜フィルター:Corning Inc.,部品番号430624、ディフューザー:Waters,部品番号WAT007272、pHメーター:Fisher Scientific Accumet Basic,VWR Symphony Ag/AgCl pH電極を備えている(pH=4.01、7.0及び10.0のVWR pH標準液で校正)、浸透圧計:Advanced Instrument Osmometer Model 3320。
トシル酸エルサミトルシンストック溶液の調製:3.2903gのトシル酸エルサミトルシン及び11.9251gのマンニトールを250mLの容量フラスコに正確に量り入れる。約200mLの注射用水を使用前にWatersのディフューザーで1時間窒素の通気によって脱ガスし、これを前記フラスコに加えた。混合物を45〜50℃の水浴中で全固体が溶解するまで撹拌した。周囲温度に冷却後、溶液のpHを0.2NのNaOHで4.0に調整した。次に、注射用水をマークまで加え、溶液のpHを再チェックした。次に、該溶液を0.22ミクロンの酢酸セルロース膜フィルターを通してろ過し、Watersのディフューザーで5分間窒素を通気した。2.5mLのストック溶液を5mLのアンバーセラムバイアルに移した(80個)。各バイアルのヘッドスペースを窒素でパージし、Stelmiのセラムストッパー及びWheatonのライニングなしアルミニウムシールで密閉した。
本安定性試験の場合、エルサミトルシンのHPLC重量/重量アッセイも、関連不純物の測定のほかに実施した。HPLCアッセイのための試薬は次の通りである。HPLCグレードのアセトニトリル及びトリフルオロ酢酸(ロット番号44093418)をEMD Scienceから入手した。水は、Millipore Milli−Qシステムを用いて精製した。装置は、カラムヒーター、オートサンプラー及びWaters 2996フォトダイオードアレイ検出器を備えたWaters Alliance 2695分離モジュールからなるクロマトグラフィーシステムであった。データ取得は、Waters Empower Pro 2ソフトウェアによって制御された。カラムとして、Cadenza Cd−C18,3μm,4.6×150mm(Silverstone Sciences)を使用した。検出は267nmで行った。移動相Aは0.1%トリフルオロ酢酸入りの水を含有していた。2mLのトリフルオロ酢酸を2000mLの水にピペットで加えた。移動相Bは0.08%トリフルオロ酢酸入りのアセトニトリルを含有していた。1mLのトリフルオロ酢酸を1250mLのアセトニトリルにピペットで加えた。1Lの水を1Lのアセトニトリルと完全に混合した。
以下に示すように、HPLC分析を様々な時点で実施した。
以下の表にグラジエント条件を示す。
HPLC分析は、1.0mL/分に等しい流速のグラジエントで実施した。オーブン温度は40℃に設定された。オートサンプラー温度は25℃であった。注入体積は10μLであった。サンプル希釈液−アセトニトリル/水(50/50,v/v):1Lの水を1Lのアセトニトリルと完全に混合した。サンプルブランク−アセトニトリル/水(50/50,v/v):サンプル希釈液をサンプルブランクとして使用した。標準溶液−〜0.1mg/mLのエルサミトルシン:26.32mgのトシル酸エルサミトルシンを正確に秤量し、200mLの容量フラスコ中で200mLのサンプル希釈液に溶解した。サンプル溶液の調製(1時点につき1個のバイアル):2mLのエルサミトルシンRTU溶液を20mLの容量フラスコにピペットで入れ、18mLのサンプル希釈液で希釈した。2mLの希釈溶液を20mLの容量フラスコ中でさらに18mLのサンプル希釈液で希釈して最終分析サンプルを得た(約0.1mg/mLの濃度)。エルサミトルシンのリテンションタイムは約11.7分であった。
使用直後、カラムを溶媒Bで30分間、次いでサンプル希釈液で45分間フラッシュ洗浄した。カラムは各使用終了時、サンプル希釈液中に保管された。ゼロ時におけるストック溶液中のエルサミトルシン遊離塩基の平均濃度は10.035mg/mLで、平均浸透圧は301.6mOsm/kgに等しいことが分かった。
エルサミトルシンF2 RTU−2.5mL剤形の効力を以下の表8に示す。表8には立位及び逆位の2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の12週間の間の効力がまとめてある。この剤形は、図2A、2B、3A及び3Bに示されているように、4及び25℃で、どちらの保管位置でも安定であった。高温では異なる分解程度を示した。313及び333Kにおけるゼロ次分解速度定数(kT)を表9に示す。
2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の推定分解速度定数の測定(k278K & k293K):表9中の限定的データに対してアレニウス法を用いると、エルサミトルシンF2 RTU剤形の立位での5℃(又は278K)及び25℃(又は293K)における分解速度定数は、それぞれ1日5.79×10−6及び9.84×10−4mg/mLに等しいと概算された。立位のエルサミトルシンF2 RTU剤形の効力の10%低下(すなわち10mg/mLから9mg/mLへ)を得るには、5℃で保管した場合約17282日、25℃では1016日を要することになる。
同様に、逆位の場合、エルサミトルシンF2 RTU剤形の概算分解速度定数は、5℃及び25℃でそれぞれ1日2.49×10−5及び6.28×10−4mg/mLであった。このことは、エルサミトルシンF2 RTU剤形の効力は、40236日間逆位で5℃で保管された場合に10%低下し、25℃で保管された場合は(10%低下するのに)1593日かかることを意味している。
一般に、逆位で保管されたエルサミトルシンF2 RTU剤形のサンプルの方が立位のものより安定である。二つの保管位置間の安定性の相違の理由は不明であるが、Stelmiセラムストッパーの組成が関係していると考えるのが妥当である。該セラムストッパーは、製剤と接触している間、分解機構をどういうわけか緩徐化する。
不純物プロフィール:表3〜6に2.5mLエルサミトルシンF2 RTU剤形の不純物プロフィールのリストを示す。5及び25℃で保管されたバイアルの場合、製剤のpHは試験期間中かなり安定であった(4.0〜4.3の範囲)。しかしながら、高温で保管されたこれらのサンプルには、分解の進行とともにpHの低下が観察された。主要な分解不純物(60℃のストレス条件下で誘導された)は、以下のリテンションタイムを有するものであった。すなわち、0.59、0.62、1.41、1.65、1.82及び1.84。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されている、成分の量、分子量などの性質、反応条件などを表すすべての数字は、特に断りのない限り、すべての場合において“約”という用語で修飾されていると理解されるべきである。従って、それとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、本開示によって得ようとしている所望の性質に応じて変動しうる近似値である。最低限でも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメーターは、少なくとも報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示されている数値はなるべく正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値も元来、それらの各試験測定に見出される標準偏差に必然的に由来する一定の誤差を含有している。開示を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)使用されている“a”及び“an”及び“the”という用語及び類似の参照は、本明細書において特に断りのない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、単数及び複数の両方をカバーすると解釈されるものとする。本明細書において、値の範囲の記述は、単に、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に言及することの簡略化法としての役割を果たすことを目的としたものに過ぎない。本明細書においては特に断りのない限り、各個別の値は、あたかもそれが本明細書中で個別に記述されたかのように本明細書に取り込まれる。本明細書中に記載されているすべての方法は、本明細書において特に断りのない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。いずれか及びすべての例の使用、又は本明細書中に提供されている例示的言語(例えば“のような”)は、単に本発明をよりよく照らし出すことを目的としたものであり、別途特許請求されている本発明の範囲に制限を課しているのではない。本明細書中のどの言語も、本発明の実施に必須の、特許請求の範囲に記載されていない何らかの要素を示していると解釈されるべきではない。
本明細書中に開示された発明の代替の構成要素又は態様のグループ分けを制限と解釈すべきでない。各グループのメンバーは、個別に又はグループの他のメンバーもしくは本明細書中に見出される他の構成要素と任意に組み合わせて言及及び特許請求されうる。グループの一つ又は複数のメンバーは、便宜上及び/又は特許性の理由から、グループに包含されうる又はグループから削除されうることが予想される。何らかのそのような包含又は削除が発生する場合、本明細書においては、本明細書は修正されたグループを含有するものとみなされるので、添付の特許請求の範囲で使用されるありとあらゆるマーカッシュグループの記載要件を満たす。
発明を実施するために発明者に公知の最善の様式を含む本発明の好適な態様が本明細書中に記載されている。当然のことながら、前述の記載を読むと、それらの好適な態様に対する変形が当業者には明らかであろう。発明者らは、熟練技術者が必要に応じてそのような変形を使用することを想定し、また発明者らは本発明が本明細書中に具体的に記載された以外の方法で実施されることも意図している。従って、本発明は、関係法によって許される限り、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている主題のあらゆる変更及び均等物を含む。さらに、上記構成要素の、そのすべての可能な変形における任意の組合せも、本明細書において特に断りのない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、本発明に包含される。
さらに、本明細書全体にわたって、特許及び印刷出版物への参照がなされている。上記引用文献及び印刷出版物のそれぞれは、引用によってそれらの全文を個別に本明細書に援用する。
終わりに、本明細書中に開示された本発明の態様は、本発明の原理の例示であることは理解されるべきである。使用されうるその他の変更も本発明の範囲に含まれる。従って、例として、しかし制限としてではなく、本発明の代替の構成が本明細書での教示に従って利用できる。ゆえに、本発明は、精密に示し記載されたものに限定されない。

Claims (11)

  1. 少なくとも一つの安定な固体のエルサミトルシン塩、及び
    製薬学的に許容しうる担体
    の溶液を含む製剤。
  2. 前記製剤が溶液のpHを維持するための緩衝剤を含有しない、請求項1に記載の製剤。
  3. 前記製剤が安定化抗酸化剤を必要としない、請求項1に記載の製剤。
  4. 浸透圧調整剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  5. 前記浸透圧調整剤がマンニトールである、請求項4に記載の製剤。
  6. pHを約3.5〜4.5に設定するための薬剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  7. pHを約3.0〜約4.0に設定するための薬剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  8. pHを約4.0に設定するための薬剤をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
  9. 前記安定な固体のエルサミトルシン塩が、乳酸エルサミトルシン、フマル酸エルサミトルシン、マレイン酸エルサミトルシン、コハク酸エルサミトルシン、酒石酸エルサミトルシン、トシル酸エルサミトルシン、メタンスルホン酸エルサミトルシン、安息香酸エルサミトルシン、サリチル酸エルサミトルシン、塩酸エルサミトルシン、硫酸エルサミトルシン、及びリン酸エルサミトルシンからなる群から選ばれる、請求項1に記載の製剤。
  10. 前記エルサミトルシン塩がトシル酸エルサミトルシンである、請求項9に記載の製剤。
  11. 前記製薬学的に許容しうる担体が水又は生理食塩水である、請求項1に記載の製剤。
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