JP2011506847A - 燃焼機関の燃焼室 - Google Patents

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Abstract

本発明は、内燃機関用、特にディーゼル機関用のピストン(3)に関するものであり、前記ピストンは、スカート部(31)によって横方向に画成される本体を備え、前記スカート部(31)は、往復動軸Cを持つシリンダ(1)の壁と協働することができ、前記シリンダ内で、前記ピストン(3)が、この軸Cに沿って摺動することができ、前記ピストン(3)は横断面部(32)を備え、前記横断面部(32)は、中央突起部(321)と、外周リング(322)と、往復動軸Bを持つボウル(323)とを含み、前記ボウル(323)は、前記中央突起部(321)から前記外周リング(322)に向かって延び、該外周リング(322)に、前記ボウル(323)が厚さEpの唇状部(3220)で接続され、前記ボウル(323)は、前記唇状部(3220)と垂直方向にほぼ一直線に並ぶ輪環面(3230)を含み、該輪環面(3230)は、最大半径Rtの好ましくはドーム状の側面を有し、前記輪環面(3230)は、内曲ゾーンRの領域の前記唇状部(3220)の下に噴射される燃料を前記中央突起部(321)に向けて誘導することができるピストン(3)であって、前記中央突起部(321)の頂部は、前記ボウル(320)の前記往復動軸Bを中心とする平坦領域を示し、該平坦領域は、0mm〜5mmの範囲の、好ましくは2.5mmにほぼ等しい幅Ltを持つことを特徴とする。

Description

本発明は概して、燃焼機関、特に圧縮点火式内燃機関の設計に関する。
原動機製造業者は、機関運転性を向上させると同時に、機関が、益々厳しくなる排出規制に確実に対応することができるようにし、規制が変更されるたびに、大きな技術開発が行なわれ、追加の、そして/または更に複雑な排出制御装置を使用することになり、この排出制御装置は、費用が嵩むことが分かっており、かつ性能レベルの低下をもたらす虞があるという問題に直面している。
製造業者は、より小型の機関の運転性を向上させようとしており、この小型機関は、特に二重過給(double supercharging)を用いて機関燃焼室に吸入される空気量を広範囲の機関回転速度に亘って増やすことにより益々大きい比出力を生み出す。
このタイプの機関は、当該機関が、大きい比出力を生み出すと同時に、できる限り少ない汚染排出物しか放出しないように開発される必要がある。
本発明の1つの目的は、改良され、かつ窒素酸化物及び粉塵の排気物質量を特に低減することができる内燃機関の燃焼室を提案することにある。
本発明の1つの主題は、内燃機関用の、特にディーゼル機関用のピストンであり、前記ピストンは、スカート部によって横方向に画成される本体を備え、前記スカート部は、往復動軸Cを持つシリンダの壁と協働することができ、前記シリンダ内で、前記ピストンが、この軸Cに沿って摺動することができ、前記ピストンは横断面部を備え、前記横断面部は、中央突起部(central pip)と、外周クラウンリングと、往復動軸Bを持つボウルと、を含み、前記ボウルは、前記中央突起部から前記外周クラウンリングに向かって延び、該外周クラウンリングに、前記ボウルが厚さEpの唇状部で接続され、前記ボウルは、前記唇状部と垂直方向にほぼ一直線に並ぶ輪環面を含み、該輪環面は、好ましくは最大半径Rtの半ドーム状の側面を有し、前記輪環面は、内曲ゾーンRの前記唇状部の下に噴射される燃料を前記中央突起部に向けて誘導することができ、前記中央突起部の頂部は、前記ボウルの前記往復動軸Bを中心とする平坦ゾーンを有し、該平坦ゾーンは、0mm〜5mmの範囲の幅Ltを、好ましくは2.5mmにほぼ等しい幅Ltを持つことを特徴とする。
本発明によるピストンを使用することによって特に、以下の利点を実現することができる。
−後処理システムを更に複雑化し、更に高コスト化するという必要がない。
−排出制御規制に適合するために窒素酸化物排出量が低減する。
幾つかの特定の実施形態によれば、前記ピストンは以下の特徴のうちの1つ以上を有する。
−前記突起部のうち、前記ボウルの前記往復動軸Bに位置する前記頂部は、前記外周クラウンリングよりも5.4mm〜7mmの範囲の距離Dtだけ下方の高さまで隆起する。
−前記中央突起部は前記輪環面に向かって、前記ボウルの前記往復動軸Bを基準にして幾何学的方向に測定される29.5°〜34.5°の角度Aで傾斜する。
−前記ボウルは、前記シリンダの中心に設けられ、前記ボウルの前記往復動軸Bは、前記シリンダの前記往復動軸Cに一致する。
−前記輪環面の最大曲率半径Rtは5mm〜7mmの範囲である。
−前記唇状部は、前記ボウルの前記往復動軸Bから距離De/2に位置し、距離Deは、49.5mm〜52mmの範囲である。
−前記輪環面は、前記ボウルの前記往復動軸Bから距離Db/2に位置し、距離Dbは、53.5mm〜55.5mmの範囲である。
−前記ボウルの前記往復動軸Bを基準とする、前記クラウンリングの端部の距離De/2と、前記輪環面の端部の距離Db/2との差が1.5mm〜3.5mmの範囲である。
−前記ボウルの最大深さPは、14.3mm〜15.5mmの範囲である。
本発明の別の主題は、窒素酸化物及び粉塵の排出量の点で厳しい排出制御規制に適合するように設計される内燃機関、更に詳細には、本発明によるピストンを少なくとも1つ備えるディーゼル式の機関である。
ディーゼル式のこの内燃機関は、往復動軸Cを持つシリンダを有し、このシリンダの上端部は、下面を備えるシリンダヘッドによって閉じられ、この下面は、ピストンの横断面部とともに燃焼室を画成するように機能し、このピストンのピストンボウルは、軸Cに一致する往復動軸Bの回りに芯合わせされ、前記機関は、前記シリンダヘッドの前記下面の開口部と、吸気バルブによって閉止することができる少なくとも1つの吸気ダクト、及び排気バルブによって閉止することができる少なくとも1つの排気ダクトと、予熱プラグと、前記燃焼室に向かって、ほぼ前記シリンダの前記往復動軸Cの位置で開口する先端を有する燃料インジェクタと、を備える。
本発明の他の特徴及び利点は、完全に非制限的な例を通して次の図を参照しながら以下に示す本発明の実施形態についての記述から明確に理解されるものと思われる。
図1は、本発明による内燃機関の部分模式断面である。 図2は、ピストンボウルの往復動軸を含む平面に沿った部分断面であり、本発明によるピストンの吸気側のクラウン部分の詳細を示している。
図1は、特にディーゼル機関用の内燃機関100を示しており、この内燃機関100は、往復動軸Cを持つ少なくとも1つのシリンダ1と、シリンダヘッド2と、ピストン3と、を備える。
本記述の残りの部分では、この往復動軸Cは、シリンダヘッド2に向かって上に向いていると見なすことにする。
ピストン3は、当該ピストンがシリンダの往復動軸Cに沿って摺動することができるようにシリンダ1内に取り付けられ、ピンを受け入れて当該ピストンを駆動コネクティングロッドの小端部に接続するように設計されたピストン本体を有し、前記本体はピストンスカート部31により横方向に画成され、このピストンスカート部31は、シリンダの往復動軸Cに平行に延び、かつシリンダ1の内壁と協働する。ピストンは更に、横断面部32を含み、この横断面部32は、シリンダヘッド2の下面20とともに、シリンダ1の燃焼室を画成するように機能する。
新気または新気と再循環排気ガスとの混合ガスが燃焼室に、シリンダヘッド2内に形成され、かつ少なくとも1つの吸気バルブ50で閉止することができる少なくとも1つの吸気ダクト5を介して吸入される。
吸入された空気−燃料混合ガスの燃焼残渣は、シリンダヘッド2内に形成され、かつ少なくとも1つの排気バルブ60で閉止することができる少なくとも1つの排気ダクト6を介して排出される。
予熱プラグ4をシリンダヘッド2に取り付け、当該プラグの端部は燃焼室に臨んで開口され、その結果、当該プラグで空気−燃料混合ガスを冷間始動時に加熱することができる。
燃料インジェクタ7はシリンダヘッド2に取り付けられ、シリンダ1の往復動軸Cにほぼ沿って燃焼室に臨むように開口される。
軸方向平面に沿った部分断面として本発明によるピストン3の上側部分の詳細を描いた図2に示すように、横断面部32は、中央突起部321と、外周クラウンリング322と、シリンダの往復動軸Cに一致する往復動軸Bを持つ環状キャビティまたはボウル323とを含み、前記ボウル323は、中央突起部321から外周クラウンリング322に向かって延びており、この外周クラウンリング322に当該ボウルが接続される。
別の構成として、ボウル323をシリンダ1内でずらすことができ、従って、シリンダ1の往復動軸C及びボウル323の往復動軸Bを、3mmにほぼ等しい値よりも短いことが好ましい距離だけ互いからずらすことができる。
外周クラウンリング322は、ピストン3のスカート部31からボウル323の往復動軸Bに向かって、外周クラウンリング322の内曲部分Rの距離に対応する厚さEpの唇状部3220を構成する端部にまで横方向に延び、内曲部分Rの下に、ボウル323は半ドーム状の側面を持つ輪環面3230を有し、この輪環面は、5mm〜7mmの範囲の最大曲率半径Rtを有する。
唇状部3220は、ボウル323の往復動軸Bから距離De/2に位置し、距離Deは、49.5mm〜52mmの範囲である。
輪環面3230は、ボウル323の往復動軸Bから距離Db/2に位置し、距離Dbは、53.5mm〜55.5mmの範囲である。
インジェクタ7は燃料を、輪環面3230のうち、内曲縁部Rとしても知られる唇状部3220の下部縁部に隣接する上側領域に向かって噴射流の形態で選択的に噴射するように設計されているので、燃料噴射流がこの内曲縁部Rから誘導されるときの流れを、ピストン3が当該ピストンの上昇行程に入るときに酸素が検出されるボウルの底部に向かって輪環面3230の壁に沿って流れるようにすることにより改善して、黒煙を低減することができ、ガスを中央突起部321に向かって循環させることができる。
好ましくは、内曲縁部Rは、ボウル323の往復動軸Bを基準とするクラウンリングの端部の距離De/2と、輪環面の端部の距離Db/2との差を、1.5mm〜3.5mmの範囲に保持することにより維持される。
ボウル323は、外周クラウンリング322の内曲縁部Rの距離に対応する厚さEpの唇状部3220を境界とする。
ボウル323の最大深さPは、14.3mm〜15.5mmの範囲である。比Db/Pは、ボウル323に実効幅を与え、この実効幅により、空気を全負荷運転状態において効果的に利用することができるので、特定の高い性能を達成することができる。
内曲縁部Rのこの設計を、輪環面3230、及び、最大ボウル323深さPと組み合わせることにより、燃料噴射流を、ボウル323の底部に捕捉される大量の空気に向かって良好に誘導することができる。
中央突起部321の頂部は、ボウル323の往復動軸Bを中心とする平坦ゾーンを有し、当該平坦ゾーンは、0mm〜5mmの範囲の幅Ltを、好ましくは2.5mmにほぼ等しい幅Ltを有する。中央突起部321の頂部は、外周クラウンリング322の高さよりも距離Dtだけ低い高さまで隆起しており、この距離Dtは、5.4mm〜7mmの範囲である。中央突起部321の頂部を切り取り、外周クラウンリング322の頂部までの距離Dtにより、ボウルの底部に向かって噴射される燃料噴射流と中央突起部321との、特に中央突起部321の頂部との干渉を抑制することができるので、黒煙及び未燃焼燃料の排出量を低減することができる。
このようにして中央突起部321の頂部を切り取ることによって更に、中央突起部321に、輪環面3230に緩やかに向かう角度Aの傾斜を付けることができる。ボウル323の往復動軸Bを基準に幾何学的方向に測定される傾斜の角度Aは29.5°〜34.5°の範囲である。従って、これにより、角度Aの傾斜が付いていなければ、ボウル323の幅が広くなるにつれて水平方向に主として誘導され易くなる燃焼運動の垂直方向成分を助長することができる。
このように中央突起部321に角度Aの傾斜を付けることにより、燃焼によりボウル323の底部において生成される煤を中央突起部321に向かって排出して後酸化を促進することができるので、黒煙の低減につながる。
二重過給機(double supercharging device)を備え、かつこれらの特徴を組み合わせたピストン3を備える内燃機関100は、二重過給のない内燃機関と比較して、使用に際してとりわけ有利である。
実際に判明したのは、このような改良機関100によって、比出力を約25%だけ増やすことができると同時に、汚染排出物の量を同じ水準に維持することができるということである。

Claims (10)

  1. スカート部(31)によって横方向に画成される本体を備え、前記スカート部(31)は、往復動軸Cを持つシリンダ(1)の壁と協働することができ、前記シリンダ内で、ピストン(3)が、この軸Cに沿って摺動することができ、前記ピストン(3)は横断面部(32)を備え、前記横断面部(32)は、中央突起部(321)と、外周クラウンリング(322)と、往復動軸Bを持つボウル(323)とを含み、前記ボウル(323)は、前記中央突起部(321)から前記外周クラウンリング(322)に向かって延び、該外周クラウンリング(322)に、前記ボウル(323)が厚さEpの唇状部(3220)で接続され、前記ボウル(323)は、前記唇状部(3220)と垂直方向にほぼ一直線に並ぶ輪環面(3230)を含み、該輪環面(3230)は、最大半径Rtの好ましくは半ドーム状の側面を有し、前記輪環面(3230)は、内曲ゾーンRの前記唇状部(3220)の下に噴射される燃料を前記中央突起部(321)に向けて誘導することができる、内燃機関用、特にディーゼル機関用のピストン(3)であって、前記中央突起部(321)の頂部は、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bを中心とする平坦ゾーンを有し、該平坦ゾーンは、0mm〜5mmの範囲の、好ましくは2.5mmにほぼ等しい幅Ltを有することを特徴とするピストン(3)。
  2. 前記突起部のうち、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bに位置する前記頂部は、前記外周クラウンリングよりも5.4mm〜7mmの範囲の距離Dtだけ低い高さまで隆起していることを特徴とする、請求項1に記載のピストン(3)。
  3. 前記中央突起部は前記輪環面(3230)に向かって、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bを基準にして幾何学的方向に測定される29.5°〜34.5°の範囲の角度Aで傾斜していることを特徴とする、請求項1および請求項2のいずれか1項に記載の内燃機関用ピストン(3)。
  4. 前記ボウル(323)は、前記シリンダの中心に設けられ、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bは、前記シリンダ(1)の前記往復動軸Cに一致することを特徴とする、請求項1から請求項3のうちの1項に記載のピストン(3)。
  5. 前記輪環面(3230)の最大曲率半径Rtは5mm〜7mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項4のうちの1項に記載のピストン(3)。
  6. 前記唇状部(3220)は、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bから距離De/2に位置し、距離Deは、49.5mm〜52mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項5のうちの1項に記載のピストン(3)。
  7. 前記輪環面(3230)は、前記ボウル(323)の前記往復動軸Bから距離Db/2に位置し、距離Dbは、53.5mm〜55.5mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項6のうちの1項に記載のピストン(3)。
  8. 前記ボウル(323)の前記往復動軸Bを基準とする、前記クラウンリングの端部の距離De/2と、前記輪環面の端部の距離Db/2との差が1.5mm〜3.5mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項7のうちの1項に記載のピストン(3)。
  9. 前記ボウル(323)の最大深さPは、14.3mm〜15.5mmの範囲であることを特徴とする、請求項1から請求項8のうちの1項に記載のピストン(3)。
  10. ディーゼル式の内燃機関(100)であって、前記機関は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のピストン(3)を少なくとも1つ備えることを特徴とする、内燃機関(100)。
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