JP2011501967A - ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット - Google Patents

ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット Download PDF

Info

Publication number
JP2011501967A
JP2011501967A JP2010532255A JP2010532255A JP2011501967A JP 2011501967 A JP2011501967 A JP 2011501967A JP 2010532255 A JP2010532255 A JP 2010532255A JP 2010532255 A JP2010532255 A JP 2010532255A JP 2011501967 A JP2011501967 A JP 2011501967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
loci
locus
emits
dna
primer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010532255A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011501967A5 (ja
Inventor
ロリ ケー. ヘネシー,
ロバート グリーン,
Original Assignee
アプライド バイオシステムズ, エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アプライド バイオシステムズ, エルエルシー filed Critical アプライド バイオシステムズ, エルエルシー
Publication of JP2011501967A publication Critical patent/JP2011501967A/ja
Publication of JP2011501967A5 publication Critical patent/JP2011501967A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/6858Allele-specific amplification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/686Polymerase chain reaction [PCR]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2537/00Reactions characterised by the reaction format or use of a specific feature
    • C12Q2537/10Reactions characterised by the reaction format or use of a specific feature the purpose or use of
    • C12Q2537/143Multiplexing, i.e. use of multiple primers or probes in a single reaction, usually for simultaneously analyse of multiple analysis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/156Polymorphic or mutational markers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

1回のマルチプレックス反応でゲノムDNAの少なくとも11個の特定のSTR遺伝子座を同時に増幅するのに使用する方法および材料を開示し、そうした反応の産物の分析に使用する方法および材料も開示する。本発明には1回のマルチプレックス反応で、10個のAmpFlSTR?SGMplus?STR遺伝子座と、アメロゲニン遺伝子座と、5個の新しいSTR遺伝子座とを含む16個の特定の遺伝子座を同時に増幅する材料および方法が含まれ、そうした遺伝子座を分析する方法および材料も含まれる。

Description

関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2008年10月30日に出願された米国特許出願第60/983,737号(これは、参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
序論
本教示は全般的には、ゲノム系における遺伝子マーカーの検出を対象とする。種々の実施形態では、各遺伝子座の対立遺伝子を決定するため1回のマルチプレックス反応で複数の異なる多型遺伝子座(genetic locus)を同時に増幅する。分析される多型遺伝子座(genetic locus)はショートタンデムリピート(STR:short tandem repeat)遺伝子座であってもよく、ショートタンデムリピートは約200塩基対またはそれ未満のアンプリコンを与えるミニSTRを含む場合がある。
当業者であれば、以下に記載する図が例示のみを目的としたものであることを理解するであろう。各図は、いかなる意味でも本教示の範囲を限定することを意図するものでない。
実施例に記載されているような15個のSTR遺伝子座(10個のSGMplus(登録商標)遺伝子座と5個の新しい遺伝子座)およびアメロゲニン性決定遺伝子座(Amel:Amelogenin)のマルチプレックス増幅により生成されるアンプリコンの相対的なサイズ範囲(塩基対単位)を示す図である。 SGMplus(登録商標)STR遺伝子座VWA(vWA)、D16S539(D16)、D2S1338、D8S1179(D8)、D21S11(D21)、D18S51(D18)、D19S433(D19)、TH01、FGA、D3S1358(D3)、性決定遺伝子座アメロゲニン(Amel)および(丸で囲んだ)5個の新しいSTR遺伝子座D10S1248(D10)、D22S1045(D22)、D2S441、D1S1656(D1)およびD12S391(D12)を同時増幅して得られる産物の5色蛍光検出のアウトプットの図である。遺伝子座は実施例に記載されているようにヒトゲノムDNAサンプルから増幅し、ABI PRISM(登録商標)3130xlジェネティックアナライザーにより検出した。4つのパネルは上から下へ6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)およびPET(登録商標)色素標識のピークに対応する(第5の色素LIZ(商標)はサイズ標準の標識に使用したため示していない)。各パネルのx軸は増幅産物のサイズを塩基対単位で表す。 実施例で使用した5種の蛍光色素(6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)、PET(登録商標)およびLIZ(商標))、および6種の色素のマルチプレックス反応で使用できる第6の追加色素(SID:sixth dye)の発光スペクトル(nm単位の波長)を示す図である。
本明細書に使用する単語の大部分は、その単語について当業者が考えるような意味を持つ。本明細書に具体的に定義される単語は、全体として本教示の文脈から読み取れ、通常当業者が理解するような意味を持つ。当該技術分野で理解されている語句の定義と本明細書に具体的に教示する定義とに矛盾が生じた場合、本明細書を優先するものとする。本明細書に使用する見出しは便宜上使用されているに過ぎず、いかなる意味でも限定するものと解釈してはならない。
本明細書で使用する場合、「DNA」は、ゲノムDNA、cDNA、単離された核酸分子、ベクターDNAおよび染色体DNAなど当該技術分野において理解されている様々な形態のデオキシリボ核酸をいう。「核酸」とは、任意の形態のDNAまたはRNA(リボ核酸)をいう。本明細書で使用する場合、「単離された核酸分子」という用語は、本来の環境から取り除かれた核酸分子(DNAまたはRNA)をいう。単離された核酸分子のいくつかの例としてベクターに組み込まれた組換えDNA分子、異種の宿主細胞内で維持された組換えDNA分子、ある程度または十分に精製された核酸分子および合成DNA分子がある。「単離された」核酸については、その核酸が由来する生体のゲノムDNAの核酸に本来隣接する配列(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まなくてもよい。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は組換え技法により作製した場合、他の細胞成分または培養基を実質的に含まなくてもよいし、あるいは化学的に合成した場合は化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。
「ショートタンデムリピート」または「STR」遺伝子座とは、短い反復配列エレメントを含むゲノムDNAの領域をいう。反復される配列エレメントは、以下に限定されるものではないが、一般に3〜7塩基対長である。各配列エレメントはSTR内で少なくとも1回反復され、本明細書ではそれを「反復単位」という。STRという用語は、複数の反復単位が縦列にまたは塩基を介して反復したゲノムDNAの領域も包含する。ただし、少なくとも配列の1つは縦列に少なくとも2回反復するものとする。
「多型ショートタンデムリピート遺伝子座」はSTR遺伝子座をいい、ゲノムDNAの個々の領域における反復配列エレメントの数(および配列全体の長さ)は対立遺伝子間および個体間で異なる。
本明細書で使用する場合、「対立遺伝子ラダー」とは、遺伝子座から増幅された対立遺伝子からなる標準サイズマーカーをいう。「対立遺伝子」とは、あるDNAの断片に認められる遺伝的変異、すなわち、同一遺伝子座を占めるDNA配列において2つ以上の相互に異なる型の1つをいう。
本明細書で使用する場合、「生化学命名法」とは、ヌクレオチドの塩基をアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)およびシトシン(C)と命名する標準的な生化学命名法をいう。そのヌクレオチドは、たとえば、デオキシグアノシン−5’−トリホスファート(dGTP)である。
「DNA多型」とは、同じ交配集団内のDNA配列に2つ以上の異なるヌクレオチド配列が共存している状態をいう。
「遺伝子座」または「遺伝子座(genetic locus)」とは、染色体上の特定の物理的位置をいう。遺伝子座の対立遺伝子は相同染色体上の同一位置にある。
「遺伝子座特異的プライマー」とは、増幅法に使用する条件下で少なくとも遺伝子座の1つの対立遺伝子に対応して規定した遺伝子座の一部またはその相補鎖と特異的にハイブリダイズし、他のDNA配列とはうまくハイブリダイズしないプライマーをいう。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR:polymerase chain reaction」とは、変性、プライマーとのアニーリングおよびDNAポリメラーゼ酵素による伸長という反復サイクルにより標的DNA配列のコピー数を約10倍またはそれ以上増幅する手法をいう。核酸を増幅するPCRプロセスは、プロセスの説明のため参照によってその全体を本明細書に援用する米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号に記載されている。どのPCRも反応条件として、反応の化学的成分およびその濃度、反応サイクルに使用する温度、反応のサイクル数ならびに反応サイクルの各段階の時間が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「増幅する」とは、特定のヌクレオチド配列の量を酵素により増加させるプロセスをいう。こうしたの増幅は、以下に限定されるものではないが、PCRにより行うのが一般的である。本明細書で使用する場合、「変性」とは、2本の相補的なヌクレオチド鎖がアニールされた状態から分離することをいう。変性の誘導は、たとえば、緩衝液のイオン強度、温度または塩基対の相互作用を破壊する化学品など多くの要素により行うことができる。本明細書で使用する場合、「アニーリング」とは、実質的にワトソン−クリック塩基対により決定される相補性に基づき各鎖が互いに結合するヌクレオチド鎖間の特異的相互作用をいう。アニーリングが起こる際の相補性は100%である必要はない。本明細書で使用する場合、「伸長」とは、プライマーオリゴヌクレオチドおよび標的核酸がアニールされた後に、ポリメラーゼ酵素が標的核酸を複製の鋳型としてプライマーを伸長させて適切なサイズのフラグメントにする増幅サイクルをいう。
「プライマー」とは遺伝子座のDNA鎖とハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチドまたはDNAフラグメントをいい、プライマーの3’終端はDNAポリメラーゼ酵素による重合および伸長部位として機能することができる。「プライマー対」とは、増幅対象のDNA配列の一方の末端で一本鎖とハイブリダイズするプライマー1と、増幅対象のDNA配列の相補鎖の他方の末端とハイブリダイズするプライマー2とを含む2つのプライマーをいう。「プライマー部位」とは、プライマーがハイブリダイズする標的DNAの領域をいう。
「遺伝子マーカー」は一般に、個体をDNAの変異に基づき識別するDNAタイピングなどの分析対象となる特徴を持つゲノムDNAの対立遺伝子である。大部分のDNAタイピング法は、ある集団において少なくとも2つの異なる型、すなわち対立遺伝子に現れることが分かっている、DNAマーカーの1つまたは複数の領域の長さおよび/または配列の違いを検出および分析することを目的にしている。こうした変異は「多型」と呼ばれ、そうした変異が起こるDNAの任意の領域は「多型遺伝子座」と呼ばれる。DNAタイピングが可能な方法の1つでは、PCR増幅技術(KB Mullis、米国特許第4,683,202号)と長さの違いによる多型分析とを組み合わせている。従来はPCRを用いても、比較的小さいDNA断片しか確実に増幅することができなかった。すなわち、3,000塩基長未満のDNA断片の増幅に限られていた(M.Ponce and L.Micol(1992),NAR20(3):623;R.Decorteら(1990),DNA CELL BIOL.9(6):461 469)。長さの違いによる多型のいくつかの例として、ショートタンデムリピート(STR)、ミニサテライトおよびタンデム反復の可変数(VNTR:variable number of tandem repeat)がある。ミニサテライトまたはVNTRを含むDNA断片は一般に、PCRにより確実に増幅するには長すぎる。これに対し、約3〜7ヌクレオチドの反復単位を含むSTRは十分に短いため、PCR用途の遺伝子マーカーとして有用である。これは、長さが変異する他のDNAの領域の場合よりも小さい産物が生成されるように増幅プロトコルを設計できるためである。
1回の増幅反応および分離プロセスで複数の遺伝子座を同時に増幅および検出すると望ましい場合が多い。分析のためいくつかの遺伝子座を同時に標的にするこうした系は「マルチプレックス」システムと呼ばれる。これまで複数のSTR遺伝子座を含むいくつかのこうしたシステムが記載されている。たとえば、AMPFLSTR(登録商標)SGMPLUS(商標)PCR AMPLIFICATION KIT USER’S MANUAL,Applied Biosystems,pp.i−x and 1−1 to 1−16(2001);AMPFLSTR(登録商標)IDENTIFIER(登録商標)PCR AMPLIFICATION KIT USER’S MANUAL,Applied Biosystems,pp.i−x and 1−1 to 1−10(2001);JW Schummら,米国特許第7,008,771号を参照されたい。
一部の国の政府ではDNAタイピング情報のデータベースを維持している。こうしたデータベースの最大のものがNational DNA Database of the United Kingdom(NDNAD)であり、DNAプロフィルは約2.7百万人にのぼる。H.Wallace(2006),EMBO REPORTS 7:S26−S30(Home Office,2006から引用)。1999以来、NDNADのDNAプロフィルは、Applied Biosystemsが開発したSGMplus(登録商標)システムに基づいている。Id.DNAプロファイリングシステムではDNAサンプルを分解したときの個体の特定方法で問題が何度も起きている。欧州および米国の実験室では、分解されたDNAサンプルを分析する際の遺伝子マーカーとして従来のSTR(サイズが約100〜約450塩基対の範囲にあるアンプリコン)とミニSTR(200塩基対またはそれ以下のアンプリコン)とを比較検討するいくつかの試験が行われてきた。たとえば、LA Dixonら(2006),FORENSIC SCI.INT.164(1):33−44を参照されたい。その結果からは、ミニSTR遺伝子座から得られるアンプリコンのようにアンプリコンのサイズが小さくなると、分解されたDNAサンプルの分析から満足できる結果を得られる可能性が高まることが示される。Id.;MD Coble and JM Butler(2005),J.FORENSIC SCI.50(1):43−53。European Network of Forensic Science Institutes(ENFSI)およびEuropean DNA Profiling(EDNAP)グループは、小さいアンプリコンの検出が可能になるようにDNAタイピング用のマルチプレックスPCRシステムを再設計し、欧州内のプロファイリングシステムの標準化にはミニSTRを考慮に入れる旨、合意した。P.Gillら(2006),FORENSIC SCI.INT.156(2−3):242−244。本教示は、長さの違いによる複数の多型を1回の反応で同時に分析することに関する。本教示の種々の実施形態は、ミニSTR遺伝子座をマルチプレックス増幅システムに導入する。こうしたシステムは、DNAタイピングでの使用など種々の用途に適している。
本教示の方法は、共増幅された複数の遺伝子座から対立遺伝子(アンプリコン)を増幅するための遺伝子座、プライマーおよび増幅プロトコルの適切な組を選択することを意図している。アンプリコンはサイズが重複しないように設計し、および/または様々な遺伝子座のサイズが重複する対立遺伝子を識別できるように標識することができる。さらに、こうした方法は、1回の増幅プロトコルで使用できる複数のSTR遺伝子座を選択することも意図している。本明細書に記載の遺伝子座の指定の組み合わせは本出願に独特のものである。本教示の種々の実施形態では、最大のアンプリコンサイズが約200塩基対未満の少なくとも8個のミニSTR遺伝子座を含む15個のSTR遺伝子座の共増幅を教示する。
本明細書に開示する組み合わせ以外の有効な組み合わせを実現するには、たとえば、遺伝子座の組み合わせを試行錯誤して、プライマー対配列を選択し、プライマー濃度の調整を行い分析される全遺伝子座を増幅できる平衡状態を確認すればよい。こうした教示の方法および材料が開示されれば、本方法に使われる遺伝子座、プライマー対および増幅技法ならびに本教示のキットを選択する種々の方法が当業者に示唆されるであろう。こうした方法はすべて添付の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。
本教示の方法を実施するには、どれも1回のマルチプレックス増幅反応で共増幅できるD16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D2S1338、D3S1358、D8S1179、FGA、TH01、VWAと、D10S1248、D12S391、D1S1656、D22S1045およびD2S441の少なくとも1個とを含む、少なくとも11個のSTR遺伝子座の組を選択することから始めればよい。マルチプレックス増幅反応には上述の15個の遺伝子座以外にまたは加えて他の遺伝子座を含めてもよい。本教示のマルチプレックス増幅反応の遺伝子座および遺伝子座を増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを選択できる方法については、本明細書に記載し、下記の実施例で説明する。
本教示に従って使用する遺伝子座の組を選択するには様々な技法があり、どのような技法を用いてもよい。本分析法に使用するのに有用な遺伝子座の組を実現する一手法については、以下の実施例に記載する。少なくとも11個のSTR遺伝子座を含むマルチプレックスを実現すれば、その11個の遺伝子座より多い遺伝子座を含み、STR遺伝子座以外の遺伝子座、たとえば、性決定遺伝子座を含むマルチプレックスを構築するコアとして使用することができる。したがって、最初の11個のSTR遺伝子座を含み、11個の遺伝子座よりも多い新しい組み合わせを構築してもよい。
本教示の方法により分析される遺伝子座の選択にどのような方法を用いたとしても、種々の実施形態では、マルチプレックス分析のため選択された遺伝子座は以下の特徴の1つまたは複数を共有している:(1)対立遺伝子のDNA評価を行える十分な増幅産物が生成されること;(2)妥当な標的遺伝子座の伸長過程での追加塩基の取り込みが原因で、または非特異的アンプリコンの生成が原因でマルチプレックス増幅工程においてアーチファクトがほとんどなく、発生してもごくわずかであること;および(3)ポリメラーゼによる増幅反応の途中終了が原因のアーチファクトがほとんどなく、発生してもごくわずかであること。たとえば、JW Schummら(1993),FOURTH INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON HUMAN IDENTIFICATION,pp.177−187,Promega Corp.を参照されたい。
本明細書で使用する個々のSTR遺伝子座に対する用語は、そうした遺伝子座に付与された当該技術分野において公知の名称をいう。遺伝子座については、たとえば、すべて参照によってその全体を本明細書に援用する以下の一覧における種々の参考文献および種々の受託番号で同定されている。以下の参考文献一覧は、遺伝子座情報の例示のみを意図している。こうした遺伝子座を含み、標的増幅の対象となるDNA領域に関する情報は一般に入手可能であり、以下のまたは他の参考文献および/または受託番号を参照すれば容易に確認できる。必要に応じて、GenBank(登録商標)(National Center for Biotechnology Information,Bethesda,MD)が提供する、出願時点で最新の受託番号を示してある。たとえば、遺伝子座D3S1358の場合、H.Liら(1993),HUM.MOL.GENET.2:1327;D12S391の場合、MV Lareuら(1996),GENE 182:151−153;D18S51の場合、RE Staubら(1993),GENOMICS 15:48−56;D21S11の場合、V.Sharma and M.Litt(1992),Hum.MOL.GENET.1:67;FGA(FIBRA)の場合、KA Millsら(1992),HUM.MOL.GENET.1:779;TH01の場合、A.Edwards(1991),AM.J.HUM.GENET.49:746−756およびMH Polymeropoulosら(1991),NUCLEIC ACIDS RES.19:3753;VWA(vWF)の場合、CP Kimptonら(1992),HUM.MOL.GENET.1:287;D10S1248の場合、MD Coble and JM Butler(2005),J.FORENSIC SCI.50(1):43−53;D16S539の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G07925;D2S1338の場合,J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G08202 and Watsonらin PROGRESS IN FORENSIC GENETICS 7:PROCEEDINGS OF THE 17TH INT’L ISFH CONGRESS,OSLO,2−6 SEPTEMBER 1997,B.Olaisenら,eds.,pp.192−194(Elsevier,Amsterdam);D8S1179の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G08710,and NJ Oldroydら(1995),ELECTROPHORESIS 16:334−337;D22S1045の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G08085;D19S433の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G08036,and MV Lareuら(1997),in PROGRESS IN FORENSIC GENETICS 7:PROCEEDINGS OF THE 17TH INT’L ISFH CONGRESS,OSLO,2−6 SEPTEMBER 1997,B.Olaisenら,eds.,pp.192−200,Elsevier,Amsterdam;D2S441の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G08184;D1S1656の場合、J.Murrayら(1995),未発表のCooperative Human Linkage Center,受託番号G07820を参照されたい。
参照によって本明細書に援用するMD Coble(2005),J.FORENSIC SCI.50(1):43−53で明らかにされているように、ミニSTR(約200塩基対未満の遺伝子座)の増幅であれば、高度に分解されたDNAのプロファイリング分析が可能になる。図1は、上述の15個の遺伝子座全部とサイズ測定用アメロゲニン遺伝子座遺伝子座のサイズ範囲を示す。図1で確認できるように、前述の一覧で特定される遺伝子座のうち8個は、D10S1248、VWA、D8S1179、D22S1045、D19S433、D2S441、D3S1358およびD1S1656などのミニSTR遺伝子座である。
本教示による共増幅および分析用に選択される遺伝子座の組は、少なくとも11個のSTR遺伝子座以外に少なくとも1個の遺伝子座を含んでもよい。この追加遺伝子座は、STRもしくは他の配列多型、または、たとえばある個体のDNAを集団内の他の個体のDNAと分類する何らかの特徴が同定される任意の他の特性を含んでもよい。さらに、追加遺伝子座は、分析されるDNAサンプルの供給源の性別を特定する遺伝子座であってもよい。DNAサンプルがヒトゲノムDNAである場合、アメロゲニン遺伝子座などの性別を識別するための遺伝子座を本方法による共増幅および分析用として選択すればよい。アメロゲニン遺伝子座はGenBankによりHUMAMELY(男性のDNAに存在するようなY染色体上の遺伝子座の同定に使用)またはHUMAMELX(男性または女性のDNAに存在するようなX染色体上の遺伝子座の同定に使用)として同定されている。
1回のマルチプレックス反応による共増幅に適した遺伝子座の組を特定すれば、その組内の各遺伝子座の共増幅に好適なプライマーを決定することができる。反応混合物にオリゴヌクレオチドプライマーを加えて増幅DNAフラグメントの5’および3’末端の境界を画定させてもよい。一方のオリゴヌクレオチドプライマーは変性された鋳型DNAのセンス(+)鎖とアニールし、もう一方のオリゴヌクレオチドプライマーは変性された鋳型DNAのアンチセンス(−)鎖とアニールする。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは約12〜25ヌクレオチド長であってもよいが、サイズは、たとえば、増幅対象の鋳型配列の塩基組成、増幅反応条件などのパラメータによって大きく異なってもよい。本教示の実施にとってプライマーの個々の長さは本質的なものではない。オリゴヌクレオチドプライマーは目的の遺伝子座に隣接する特定のDNA部分にアニールするように設計し、プライマーと相補的な部位の間にあるDNA部分を特異的に増幅するようにすればよい。
オリゴヌクレオチドプライマーは、アデノシン、チミジン、グアノシンおよびシチジンのほか、ウラシル、ヌクレオシドアナログ(たとえば、以下に限定されるものではないが、イノシン、ロックド核酸(LNA:locked nucleic acids)、非ヌクレオチドリンカー、ペプチド核酸(PNA::peptide nucleic acids)およびホスポルアミジット)、および放射性核種(たとえば、32Pおよび35S)、蛍光分子、副溝結合剤(MGB:minor groove binder)などの化学部分を含む、またはそれとコンジュゲートしたヌクレオシドまたは当該技術分野において公知の任意の他のヌクレオシドコンジュゲートを含んでもよい。
一般に、オリゴヌクレオチドプライマーは化学的に合成することができる。プライマーの設計および選択はPCRの最適化における通常の手順である。当業者であれば、本明細書に記載の参考文献から目的の標的遺伝子座を増幅するための特異的なプライマーを容易に設計したり、プライマーの組を得たりすることができる。こうしたプライマーはすべて本教示の範囲内である。
マルチプレックス反応に使用するプライマー配列の選択には注意が必要である。プライマーの選択が不適切な場合、増幅が見られない、予定の標的遺伝子座以外の1つまたは複数の部位で増幅が見られる、プライマー二量体が形成される、異なる遺伝子座に対するプライマー間で望ましくない相互作用が起こる、ある遺伝子座の対立遺伝子のアンプリコンが別の遺伝子座の対立遺伝子と重複(たとえば、サイズ)する、あるいは1回のマルチプレックスシステムに適合せずに、異なる遺伝子座ごとに個々に適した増幅条件またはプロトコルが必要になるなど望ましくない影響が出る場合がある。プライマーについては、本教示のマルチプレックスシステムを用いて、たとえば、当業者よく知られているマルチプレックス最適化の反復プロセスを利用すれば開発および選択を行うことができる。その反復プロセスではプライマー配列を選択し、選択した遺伝子座の共増幅のためプライマーを混合し、遺伝子座を共増幅してから増幅産物を分離および検出して増幅におけるプライマーの有効性を決定する。
プライマー選択の一例を挙げると、上記の遺伝子座のいずれかの増幅に有用である、本明細書に引用する参考文献で特定された、または他の参考文献に記載の個々のプライマーおよびプライマー対を選択して本教示に従ってSTR遺伝子座の増幅および分析を行えばよい。もう1つの例として、増幅システムおよび/またはマルチプレックスシステム開発向けの入手可能で当該技術分野において公知の様々なソフトウェアプログラムのいずれかを使用してプライマーを選択してもよい。たとえば、Primer Express(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems,Foster City,Calif.)を参照されたい。ソフトウェアプログラムの使用例としては、目的の遺伝子座の領域の配列情報をソフトウェアにインポートすればよい。その後ソフトウェアは種々のアルゴリズムを用いて使用者の仕様に最も適合するプライマーを選択する。
最初に、このプライマー選択プロセスでは増幅の際に上述の望ましくない影響のいずれかが現れたり、または一部のプライマーとそのそれぞれの標的間の結合強度が他のプライマーよりも強くなることで、たとえば、一部の遺伝子座のアニーリングおよび増幅が優先されるため、一部の遺伝子座の産物の収量が他の遺伝子座よりも多くなり、増幅産物のバランスが崩れたりする場合がある。あるいは、プライマーが標的遺伝子座の対立遺伝子そのものでない増幅産物、すなわち、非特異的増幅産物を生成することもある。こうしたプライマー設計のまずさが原因の無関係な産物は、たとえば、プライマーとサンプルDNAの非標的領域との、あるいはさらには他のプライマーとのアニーリングに続いて起こる、アニーリング後の増幅に起因する場合がある。
プライマー選択の過程でマルチプレックスシステムにバランスの崩れた増幅産物または非特異的増幅産物が認められる場合、マルチプレックスのセット全体からプライマーを個別に取り出し、同一遺伝子座または他の遺伝子座のプライマーと一緒に増幅に使用すれば、どのプライマーが増幅バランスの崩れまたはアーチファクトに関係するかを特定することができる。アーチファクトまたはバランスの崩れの1つまたは複数を引き起こす2個のプライマーを特定したら、この1個または2個の寄与因子を改変し、一対のみで、あるいはマルチプレックスシステム(またはマルチプレックスシステムのサブセット)で再試験すればよい。このプロセスは、産物の評価の結果、マルチプレックスシステムで増幅された対立遺伝子の増幅アーチファクトが認められないか許容可能なレベルになるまで繰り返してもよい。
プライマー濃度の最適化については最終的なプライマー配列の決定前に行っても、決定後に行ってもよいが、多くの場合、プライマーの選択後に行うと考えられる。一般に、任意の特定の遺伝子座のプライマー濃度が上昇すると、その遺伝子座を対象として生成された産物の量が増加する。しかしながら、プライマー濃度の最適化も、たとえば、ある遺伝子座の産物の収量が増えると、もう一方の遺伝子座またはそれ以外の遺伝子座の収量が減る場合があるため、やはり反復プロセスである。さらに、プライマーは互いに相互作用することもあり、これが様々な遺伝子座の増幅産物の収量に直接影響する場合もある。つまり、特定のプライマーの組の濃度が直線的に増加しても、対応する遺伝子座の増幅産物の収量が直線的に増加するとは限らない。遺伝子座特異的プライマーのさらに詳しい説明には、その教示内容全体を参照によって本明細書に援用するMJ Simons、米国特許第5,192,659号を参照されたい。
マルチプレックス反応における増幅産物の遺伝子座間のバランスはさらに、たとえば、鋳型(サンプルDNA)の投入量、使用する増幅サイクルの数、熱サイクルプロトコルのアニーリング温度、およびサイクルプロセス終了時における追加伸長工程の有無など増幅プロトコルの多くのパラメータにより左右される場合がある。理論的には全対立遺伝子および遺伝子座にわたり増幅産物の収量バランスが完全にとれていることが望ましいものの、実際には実現されないのが一般的である。
さらに、マルチプレックスシステムを構成する遺伝子座を決定し、そのシステムの反応条件を策定するプロセスも反復プロセスである場合がある。すなわち、最初に少数の遺伝子座を対象としたマルチプレックスシステムを開発し、このシステムに増幅アーチファクトおよび産物バランスの崩れが認められないか、ほとんどが認められないようにしてもよい。次いでこのシステムのプライマーを、もう1個の遺伝子座または分析される所望の他のいくつかの遺伝子座のプライマーと組み合わせればよい。この拡大させたプライマーの組み合わせからは、増幅アーチファクトまたは産物の収量バランスの崩れが認められることもあれば、そうでない場合もある。その結果、いくつかの遺伝子座をシステムから除去することもあり、および/または新しい遺伝子座を導入して評価することもある。
上述の反復選択プロセスの1つまたは複数については、STR遺伝子座VWA、D16S539、D2S1338、D8S1179、D21S11、D18S51、D19S433、TH01、FGA、D3S1358ならびにD10S1248、D22S1045、D2S441、D1S1656およびD12S391の1つまたは複数を含む、上記のような共増幅用に選択された少なくとも11個の遺伝子座の共増幅に使用できるプライマーの完全な組が特定されるまで繰り返せばよい。特定の遺伝子座の組を増幅するのに多種多様なプライマーの組が開発され得ることが理解されよう。本教示に使用するプライマーの合成は、当業者に公知の、および/または市販されている任意の標準的なオリゴヌクレオチド合成手順を用いて行うことができる。本教示の種々の実施形態では、下記の全15個のSTR遺伝子座VWA、D16S539、D2S1338、D8S1179、D21S11、D18S51、D19S433、TH01、FGA、D3S1358、D10S1248、D22S1045、D2S441、D1S1656およびD12S391を1つのマルチプレックス増幅システムで共増幅することができる。本教示の他の実施形態では、こうした全15個のSTR遺伝子座を1つのマルチプレックス増幅システムで共増幅するだけでなく、DNAサンプル供給源の性決定のアメロゲニン遺伝子座を含めて共増幅することができる。
本教示の方法に使用するゲノムDNAのサンプルは、その後のDNA増幅に適合する任意のサンプル調製手順を用いて調製できる。こうした手順は当業者に多く知られている。いくつかの例として、フェノール抽出によるDNA精製(J.Sambrookら(1989),in MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,SECOND EDITION,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.9.14−9.19)および塩析による部分精製(S.Millerら(1988),NuCL.ACIDS RES.16:1215)またはキレックス(PS Walshら(1991),BIOTECHNIQUES 10:506−513;CT Comeyら(1994),J.FORENSIC SCI.39:1254)および未処理血液を用いた未精製材料の放出(J.Burckhardt(1994),PCR METHODS AND APPLICATIONS 3:239−243;RBE McCabe(1991),PCR METHODS AND APPLICATIONS 1:99−106;BY Nordvag(1992),BIOTECHNIQUES 12:4 pp.490−492)が挙げられる。
本教示の方法を用いて分析される少なくとも1個のDNAサンプルがヒトゲノムDNAである場合、DNAは、たとえば、1つまたは複数の血液、精液、膣細胞、毛髪、唾液、尿、骨、口腔サンプル、胎盤細胞または胎児細胞を含む羊水、絨毛膜絨毛および/またはこうした組織もしくは他の組織のいずれかの混合物などの組織サンプルから調製してもよい。
任意に、当業者に公知の任意のDNA定量の標準的な方法を用いてDNA濃度を本教示の方法に使用前に測定してもよい。こうした定量方法には、たとえば、J.Sambrookら(1989),supra,Appendix E.5に記載されているような分光光度測定;またはCF Brunkら(1979),ANAL.BlOCHEM.92:497−500に記載されているような測定手法を用いた蛍光測定法がある。DNA濃度は、JS Wayeら(1991),J.FORENSIC SCI.36:1198−1203(1991)に記載されているようなヒト特異的プローブとDNA標準物質とのハイブリダイゼーション量を比較して測定してもよい。増幅反応に使用する鋳型DNAが多すぎると、本当の対立遺伝子でないと見られる増幅アーチファクトが生じる場合がある。
ゲノムDNAのサンプルを調製したら、本教示のマルチプレックス増幅工程で標的遺伝子座を共増幅することができる。増幅方法は様々あるが、遺伝子座の増幅には、たとえば、PCR(RK Saikiら(1985),SCIENCE 230:1350−1354)、転写による増幅(DY Kwoh and TJ Kwoh(1990),AMERICAN BIOTECHNOLOGY LABORATORY,October,1990)および鎖置換増幅(SDA:strand displacement amplification)(GT Walkerら(1992),PROC.NATL.ACAD.SCI,U.S.A.89:392−396)など、どのような増幅方法を用いてもよい。本教示のいくつかの実施形態では、マルチプレックスにおける各遺伝子座に特異的なプライマー対を用いてDNAサンプルを増幅するPCRによりマルチプレックス増幅を行ってもよい。
標準的なPCRの化学成分には一般に、溶媒、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(「dNTP:deoxyribonucleoside triphosphate」)、オリゴヌクレオチドプライマー、二価の金属イオンおよび標的(単数または複数)を含むと見られるPCR増幅用のDNAサンプルが含まれる。PCR用の溶媒としては一般に水にすればよく、典型的には緩衝剤およびKClなどの非緩衝塩を含む。緩衝剤は、以下に限定されるものではないが、トリス−HClなど当該技術分野において公知の任意の緩衝液としもよく、PCRの結果を最適化するため通常の実験により変更しても構わない。当業者であれば最適な緩衝液条件を容易に決定することができる。PCR緩衝液は、増幅に使用する個々の酵素に応じて最適化してもよい。
ポリメラーゼを効果的に機能させるには二価の金属イオンが有利な場合が多い。たとえば、マグネシウムイオンは、ある種のDNAポリメラーゼを効果的に機能させるイオンである。典型的にはMgClまたはMgSOを反応緩衝液に加えて至適マグネシウムイオン濃度を得ればよい。最適なPCR増幅に必要なマグネシウムイオン濃度は、使用する個々のプライマーおよび鋳型の組によって異なる場合がある。したがって、最適な増幅を得るために加えるマグネシウム塩の量は経験的に決定される場合が多く、当該技術分野において日常的に行われている。一般に、最適なPCRのためのマグネシウムイオン濃度は約1〜約10mMの範囲にすればよい。PCRにおけるマグネシウムイオン濃度の典型的な範囲は約2.5mMを中間点として前後に幅がある約1.0〜約4.0mMとしてもよい。あるいは、二価イオンのマンガンを用いて、たとえば、マンガンジオキシド(MnO)の形で、標準的な実験手順により当業者が容易に決定できる、最適ポリメラーゼ活性の観点から望ましい濃度に調整してもよい。
dNTPは核酸分子の増幅に使用される構成要素であり、標準的なPCRでは概して、たとえば、デオキシアデノシン三リン酸(「dATP:deoxyadenosine triphosphate」)、デオキシグアノシン三リン酸(「dGTP:deoxyguanosine triphosphate」)、デオキシシチジン三リン酸(「dCTP:deoxycytidine triphosphate」)およびデオキシチミジン三リン酸(「dTTP:deoxythymidine triphosphate」)をそれぞれ約40〜200μMの濃度で供給すればよい。さらに、デオキシウリジン三リン酸(「dUTP:deoxyuridine triphosphate」)、dNTPアナログ(たとえば、イノシン)およびdNTPコンジュゲートなど他のdNTPを用いてもよく、本明細書で使用する場合、そうしたdNTPも「dNTP」という用語に包含される。本教示の方法には各dNTPを約40〜200μMの濃度で使用すると適している場合もあれば、各dNTPの濃度が約200μMを超えると都合がよい場合もある。このため、本教示の方法のいくつかの実施形態では、各dNTPの濃度は一般に少なくとも約500μMであり、最大約2mMとしてもよい。いくつかのさらなる実施形態では、各dNTPの濃度は約0.5mM〜約1mMの範囲であってもよい。任意のマルチプレックス増幅に使用する個々のdNTP濃度はマルチプレックス条件によって異なる場合があり、標準的な実験手順により当業者が経験的に決定すればよい。
PCRにおいてヌクレオチド三リン酸を増幅産物に重合する酵素は、どのようなDNAポリメラーゼであってもよい。DNAポリメラーゼは、たとえば、当該技術分野において公知の任意の耐熱性ポリメラーゼとしてもよい。本教示に使用できるポリメラーゼのいくつかの例として、Thermus aquaticus、Thermus thermophilus、Thermococcus litoralis、Bacillus stearothermophilus、Thermotoga maritimaおよびPyrococcus sp.など生体由来のDNAポリメラーゼがある。こうした酵素は、たとえば、起源細菌から単離する、組換えDNA技術により作製する、または商業的供給源から購入するといったいくつかの可能な方法のいずれかにより取得することができる。こうした市販されているDNAポリメラーゼの例として、AmpliTaq Gold(登録商標)DNA Polymerase;AmpliTaq(登録商標)DNA Polymerase;AmpliTaq(登録商標)DNA Polymerase Stoffel Fragment;rTth DNA Polymerase;およびrTth DNA Polymerase,XL(すべてApplied Biosystems, Foster City, Calif.社製)が挙げられる。好適なポリメラーゼの他の例として、Bacillus stearothermophilus由来のTne、BstDNAポリメラーゼの大きなフラグメント、Thermococcus litoralis由来のVentおよびVent Exo−、Thermotoga maritima由来のTma、Deep Pyrococcus sp.由来のDeep VentおよびDeep Vent Exo−およびにPfu、ならびに前述のミュータント、変異体および誘導体がある。
本教示の範囲内で他の既知のPCR要素を用いてもよい。そうした要素のいくつかの例として、ソルビトール、界面活性剤(たとえば、Triton X−100、Nonidet P−40(NP−40)、Tween−20)および、たとえば、ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulfoxide)およびテトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC:tetramethylammonium chloride)およびウラシルN−グリコシラーゼなどヌクレオチド対のミスマッチを防ぐ薬、またはPCR手順の開始前のPCRのインキュベーションまたは調製の過程でPCRのアンプリコンの混入および/または不要な産物の生成を防ぐ作用がある他の薬が挙げられる。
個々の反応を最適化するため、通常の実験に従ってPCRサイクルの温度、サイクル数およびその時間を変更してもよい。当業者であれば下記がPCRの種々のパラメーターを決定する際の手引きとなり、さらに、1つまたは複数の条件を変更しても本教示の範囲内であることを認識するであろう。温度およびサイクルの時間は、変性、アニーリングおよび伸長というPCRの3つの段階に応じて決定される。1回の変性、アニーリングおよび伸長を「サイクル」という。変性は一般にDNA鎖が分離するには十分だが、ポリメラーゼ活性を破壊するほど高くない温度で行えばよい。反応には一般に、高温で変性しないが、ある程度の活性を保持する熱耐性ポリメラーゼを使用することができる。ただし、PCRの各変性工程後に補充を行うのであれば非耐熱性ポリメラーゼを用いてもよい。典型的には、変性は約90℃以上約100℃未満で行うことができる。いくつかの実施形態では、変性を行うのは約94〜95℃の温度でもよい。DNAの変性は一般に少なくとも約1〜約30秒間行うことができる。いくつかの実施形態では、変性を行うのは約1〜約15秒間であってもよい。他の実施形態では、変性を行うのは最大約1分間またはそれ以上であってもよい。AmpliTaq Gold(登録商標)などいくつかのポリメラーゼでは、DNAの変性に加えて変性温度でのインキュベーションが酵素を活性化する働きもする。このため、こうしたポリメラーゼを使用する際はPCRの最初の変性工程をその後の変性工程よりも長くすると都合がよい場合がある。
アニーリング段階では、オリゴヌクレオチドプライマーの相補的な領域が標的DNAにアニールし、DNAポリメラーゼがプライマー−鋳型二本鎖に結合すると、プライマーはDNAポリメラーゼにより実質的に伸長される。従来のPCRでは、アニーリング温度は典型的には安定性が最も低いプライマー−鋳型二本鎖の融点(T)またはそれ未満とすればよく、Tについては当業者によく知られているいくつかの理論的方法のいずれかにより推定することができる。たとえば、Tは下記式により求めることができる:
=(4℃×GおよびC塩基の数)+(2℃×AおよびT塩基の数)。
標準的なPCRの場合、アニーリング温度は概して、安定性が最も低いプライマー−鋳型二本鎖の推定Tよりも約5〜10℃低くすればよい。アニーリング時間は約30秒から約2分とすればよい。典型的にはアニーリング段階の後に伸長段階が続く。伸長は、ポリメラーゼ酵素が完全にプライマー伸長を行い増幅産物が適当なサイズになる十分な時間をかけて行うことができる。
PCRのサイクル数(1サイクルは変性、アニーリングおよび伸長を含む)により増幅の程度およびその後の増幅産物の量が決定される。PCRの結果、DNA分子は指数関数的に増幅される。したがって、理論的には前のサイクルに存在した産物数は、PCR試薬が枯渇し、これ以上の増幅産物が生成されないプラトーになるまでPCRの各サイクル後に2倍になる。典型的には、このプラトーになるまで約20〜30サイクルのPCRを行うことができる。サイクル数を特に限定するものではないが、より典型的には約25〜30サイクルを行ってもよい。
いくつかの実施形態では、PCRの最終サイクルの最後の段階後、ある温度で反応物をインキュベートすると都合がよい場合がある。いくつかの実施形態では、長時間の伸長段階を選択してもよい。他の実施形態では、低温(たとえば、約4℃)でのインキュベーションを選択してもよい。
マルチプレックス反応で得られた増幅産物混合物中の、増幅された対立遺伝子産物を評価するには、たとえば、蛍光標識産物の検出、放射性同位元素標識産物の検出、増幅産物の銀染色、または二本鎖増幅産物を可視化するエチジウムプロミド(EtBr:ethidium bromide)およびシアニン系色素SYBRグリーンのようなDNAインターカレーター色素の使用など種々の方法を用いることができる。本教示に用いるプライマーに結合させるのに好適な蛍光標識は多く市販されており、当該技術分野において公知である。蛍光分析の場合、各遺伝子座の増幅に少なくとも1個の蛍光標識プライマーを用いてもよい。蛍光検出は、たとえば、放射性材料を使用する必要がないことから、放射性材料の使用に伴う規制上および安全上の問題が回避されるため、放射能を用いて標識および産物の検出を行う方法よりも望ましい場合がある。さらに、標識プライマーによる蛍光検出は銀染色およびDNAインターカレーターなど他の非放射性検出法よりも選択されることがある。蛍光検出法では一般に、銀染色およびDNAインターカレーターよりもわずかな増幅アーチファクトが明らかにされるためである。これは1つには、蛍光検出では標識を含む増幅されたDNA鎖しか検出されないのに対して、銀染色およびインターカレーター検出法を用いいると、あらゆる増幅産物のどちらの鎖も染色および検出されるため多くの非特異的な増幅アーチファクト可視化されることによる。加えて、EtBrおよびSYBRの使用には健康リスクが伴う可能性もある。EtBrは変異誘発物質として知られており、SYBRは変異誘発物質としてはEtBrほどではないが、一般に皮膚を速やかに通過するDMSOに懸濁される。
マルチプレックス反応にプライマーの蛍光標識を使用する場合、一般に少なくとも3種類の標識を用いて異なるプライマーを標識すればよい。サイズマーカーを用いてマルチプレックス反応の産物を評価する場合、サイズマーカーの調製に使用するプライマーは、反応の際に目的の遺伝子座を増幅するプライマーと異なる標識で標識することができる。自動蛍光画像処理分析の登場によって、マルチプレックス増幅産物の検出および分析を迅速に行うことができる。
本教示のいくつかの実施形態では、フルオロフォアを用いて、たとえば、マルチプレックス増幅の少なくとも1個のプライマーに共有結合させて蛍光標識プライマーを作製することでプライマーを標識してもよい。いくつかの実施形態では、1つのマルチプレックスにおいて異なる標的遺伝子座に対するプライマーを別々のフルオロフォアで標識してもよい。各フルオロフォアはフルオロフォアの発光波長に応じて産物に異なる色を与える。同じマルチプレックス反応にこうした様々な標識プライマーを用いてもよく、その後その各増幅産物をまとめて分析することができる。ある遺伝子座を増幅するプライマー対のフォワードプライマーを標識してもリバースプライマーを標識してもよいが、フォワードプライマーを標識する場合が多いかもしれない。
当該技術分野において周知であり、本教示に使用するのに好適と思われるフルオロフォアの一部の例は以下の通りである。このリストは例示を目的とするものであり、決して網羅的なものではない。考えられるいくつかのフルオロフォアとして:吸収極大が492nmにあり、発光極大が520nmにあるフルオレセイン(FL:fluorescein);吸収極大が555nmにあり、発光極大が580nmにあるN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA(商標));吸収極大が495nmにあり、発光極大が525nmにある5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM(商標));吸収極大が525nmにあり、発光極大が555nmにある2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE(商標)));吸収極大が585nmにあり、発光極大が605nmにある6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX(商標));吸収極大が552nmにあり、発光極大が570nmにあるCY3(商標);吸収極大が643nmにあり、発光極大が667nmにあるCY5(商標);吸収極大が521nmにあり、発光極大が536nmにあるテトラクロロ−フルオレセイン(TET(商標));および吸収極大が535nmにあり、発光極大が556nmにあるヘキサクロロ−フルオレセイン(HEX(商標));吸収極大が546nmにあり、発光極大が575nmにあるNED(商標);発光極大が約520にある6−FAM(商標);発光極大が約550にあるVIC(登録商標);発光極大が約590にあるPET(登録商標);および発光極大が約650にあるLIZ(商標)がある。SR Coticoneら,米国特許第6,780,588号;AMPFLSTR(登録商標)IDENTIFILER(商標)PCR AMPLIFICATION KIT USER’S MANUAL,pp.1−3,Applied Biosystems(2001)を参照されたい。上記の発光および/または吸収波長は標準的なものであり、一般的なガイダンスに対してのみ使用できるものである。実際のピーク波長は様々な用途および異なる条件下で変わる場合があることに留意されたい。
本教示の種々の実施形態は、少なくとも4種類の色素を含む1回のマルチプレックスシステムを含んでもよい。こうした少なくとも4種の色素は、上述の任意の4色素を含んでも、当該技術分野において公知の任意の他の4色素を含んでも、または6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)およびPET(登録商標)を含んでもよい。本教示の他の実施形態は、少なくとも5種類の色素を含む1回のマルチプレックスシステムを含んでもよい。こうした少なくとも5種の色素は、上述の任意の5色素を含んでも、当該技術分野において公知の任意の他の5色素を含んでも、または6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)、PET(登録商標)およびLIZ(商標)を含んでもよい。実施例に記載されているような5種の色素6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)、PET(登録商標)およびLIZ(商標)による16遺伝子座のマルチプレックス増幅から得られるDNAプロファイルの例として図2を参照されたい(LIZ(商標)はサイズ標準の標識に使用したため、LIZ(商標)の増幅ピークは示していない)。本教示の他の実施形態は、少なくとも6種類の色素を含む1回のマルチプレックスシステムを含んでもよい。こうした少なくとも6種の色素は、上述の任意の6色素を含んでも、当該技術分野において公知の任意の他の6色素を含んでも、または6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)、PET(登録商標)、LIZ(商標)および発光極大が約620nmにある第6の色素(dye)(SID)を含んでもよい。図3を参照されたい。
PCR産物はふるい媒体で分析しても、非ふるい媒体で分析してもよい。本教示のいくつかの実施形態では、たとえば、H.Wenzら(1998),GENOME RES.8:69−80(E.Buelら(1998),J.FORENSIC SCI.43:(1),pp.164−170)も参照されたい)に記載されているようなキャピラリー電気泳動またはM.Christensenら(1999),SCAND.J.CLIN.LAB.INVEST.59(3):167−177に記載されているようなスラブゲル電気泳動または変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(たとえば、J.Sambrookら(1989),in MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,SECOND EDITION,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.13.45−13.57を参照されたい)のような電気泳動によりPCR産物を分析することができる。電気泳動によるDNAフラグメントの分離は主にフラグメントサイズが異なっていることに基づく。また、増幅産物は、たとえば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:size exclusion chromatography)のようなクロマトグラフィーにより分析してもよい。
増幅した対立遺伝子を分離したら、その対立遺伝子および、たとえば、ゲルまたはキャピラリー内の他の任意のDNA(たとえば、DNAサイズマーカーまたは対立遺伝子ラダー)を可視化し、分析すればよい。DNAの可視化は、たとえば、銀染色または本明細書に記載するような放射性同位元素および蛍光色素または化学発光物質などのレポーターの使用および酵素と検出可能な基質との組み合わせといった当該技術分野において公知の多くの技法のいずれかにより行うことができる。マルチプレックスの遺伝子座の検出方法は蛍光による場合が多い。たとえば、JW Schummらin PROCEEDINGS FROM THE EIGHTH INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON HUMAN IDENTIFICATION,pub.1998 by Promega Corporation,pp.78−84;E.Buelら(1998),supraを参照されたい。マルチプレックス反応の各遺伝子座の検出に蛍光標識プライマーを用いる場合、増幅後に蛍光検出器により標識産物の検出を行えばよい。上掲の蛍光色素の説明を参照されたい。
DNAサンプル中の各遺伝子座に存在する対立遺伝子のサイズは、電気泳動の際に既知サイズのDNAマーカーなどのサイズ標準と比較して決定することができる。2つ以上の多型STR遺伝子座を含むマルチプレックス増幅を評価するためのマーカーは、遺伝子座特異的対立遺伝子ラダーを含んでも、評価対象の各遺伝子座の対立遺伝子ラダーの組み合わせを含んでもよい。たとえば、C.Puersら(1993),AM.J.HUM.GENET.53:953−958;C.Puersら(1994),GENOMICS 23:260−264を参照されたい。さらに、STR遺伝子座の検出に使用するのに好適ないくつかの対立遺伝子ラダーおよびそこに開示されたラダーのいくつかの構築方法を記載した米国特許第5,599,666号;同第5,674,686号;および同第5,783,406号も参照されたい。個々の遺伝子座に対する対立遺伝子ラダーを構築したら、増幅産物と同時にそのラダーを電気泳動する。各対立遺伝子ラダーはその遺伝子座から対立遺伝子と共に移動する。
また、本教示のマルチプレックス反応産物は、レーン内標準物質、すなわち、たとえば、増幅産物と同じキャピラリー内で電気泳動されるように形成された特殊なサイズマーカーを用いて評価してもよい。レーン内標準物質は、既知の長さのいくつものフラグメントを含んでもよい。さらに、レーン内標準物質は、増幅反応における他の色素と識別可能な蛍光色素で標識してもよい。このレーン標準物質はゲル電気泳動の様々なレーンまたはキャピラリー電気泳動の様々なキャピラリー内の移動を比較するため、増幅されるサンプルまたはサイズ標準/対立遺伝子ラダーと混合し、どちらと電気泳動してもよい。レーン内標準物質の移動の差異は、分離媒体の性能の差異を示す働きをし得る。この差および対立遺伝子ラダーとの相関関係を定量化すれば、様々なレーンまたはキャピラリーにおいて電気泳動された増幅産物の検量線を作成し、未知のサンプルにおける対立遺伝子のサイズ測定を正規化することができる。
蛍光色素を用いて増幅産物を標識する場合、電気泳動して分離した産物は、たとえば、ABI PRISM(登録商標)310または3130xlジェネティックアナライザーまたはABI PRISM(登録商標)377DNAシーケンサー(Applied Biosystems,Foster City,Calif.);またはHitachi FMBIO(商標)II蛍光スキャナー(Hitachi Software Engineering America,Ltd.,South San Francisco,Calif)などの蛍光検出装置を用いて分析することができる。本教示の種々の実施形態では、ABI PRISM3130xlジェネティックアナライザー(Applied Biosystems)のような電気泳動機器をキャピラリーゲル電気泳動プロトコルと併用してPCR産物を分析し、電気泳動した増幅産物の対立遺伝子の分析については、たとえば、Applied Biosystems社製のGeneMapper IDソフトウェアv3.2により行うことができる。他の実施形態では、たとえば、ABI PRISM(登録商標)377自動蛍光DNAシーケンサー用に調製された約4.5%、29:1アクリルアミド:ビスアクリルアミド、8M尿素ゲルで電気泳動して増幅産物を分離してもよい。
本教示はさらに、上述のプロセスに役立つキットを対象とする。いくつかの実施形態では、基本的なキットは、1つまたは複数の遺伝子座特異的プライマーの入った容器を含む。さらに、キットは任意に使用説明書を含んでもよい。キットはさらに、他の任意のキット要素、たとえば、特定の各遺伝子座に対する1つまたは複数の対立遺伝子ラダー、増幅を行うのに十分な量の酵素、増幅を促進する増幅緩衝液、酵素活性を促進する二価カチオン溶液、増幅において鎖を伸長させるためのdNTP、増幅した材料を電気泳動用に調製するための添加液、鋳型コントロールとしてのゲノムDNA、物質が分離媒体中を予想通り移動するかを確認するためのサイズマーカー、および使用者に説明して誤使用を減らすためのプロトコルおよびマニュアルを含んでもよい。また、キット内の種々の試薬の量は、プロセスの最適感度などいくつかの要因によって異なって構わない。手動用の検査キットまたは自動検出器または分析器用の検査キットを提供することは本教示の範囲内である。
個人識別検査またはDNAタイピングは、骨、毛髪、血液、組織および同種のものなど核酸を含む任意の検体で行うことができる。DNAについては検体と、本明細書に記載するような増幅産物の組を生成するマルチプレックスにおいてDNAの所望のSTR遺伝子座の組を増幅するのに使用した一連のプライマーとから抽出すればよい。法医学的検査の場合、個々の検体の増幅パターンまたはDNAプロファイルは、推定される犠牲者から採取した既知のサンプル(一致すると推定される対象)と比較しても、または同じSTR遺伝子座の組が増幅される、推定される犠牲者の家族(たとえば、母親および/または父親)由来の増幅した遺伝子座のパターンと比較してもよい。STR遺伝子座の増幅パターンを用いれば、victimの同一性を確定または除外することができる。親子鑑定の場合、被検検体は一般に子供のものであってもよく、擬父のSTR遺伝子座パターンと比較し、および/または小児の母親のSTR遺伝子座パターンと一致させてもよい。STR遺伝子座の増幅パターンを用いれば、父親の同一性を確定または除外することができる。さらに、たとえば、ウシ、イヌ、ウマおよび他の動物の育種における親子鑑定にも、特定の遺伝子座の増幅および比較を用いることができる。CR Primmerら(1995),MOL.ECOL.4:493−498。
こうしたSTRマーカーは、たとえば、骨髄移植におけるドナーの生着度合いなど臨床現場で使用してもよい。病院では、こうしたマーカーが検体のマッチングおよび追跡確認の際にも有用である場合がある。さらに、こうしたマーカーは、ヒトの人種および民族による相違に関する集団生物学の研究(DB Goldsteinら(1995),PROC.NATL.ACAD.SCI.U.S.A.92:6723−6727)、進化および系統ならびに動物および植物分類群における変異(MW Brufordら(1993),CURR.BlOL.3:939−943)など他の科学分野にも応用されている。
本明細書に記載した参考文献、特許、特許出願、科学文献および他の刊行物のほか、GenBankデータベース配列の受託番号はすべて参照によってその全体を本明細書に援用する。
以下の実施例によって本教示の態様の理解を深めることができる。ただし、実施例はいかなる意味においても本教示の範囲を限定するものと解釈してはならない。
ある種の実施形態では、PCR混合物中で分析されるDNAサンプルとSTR特異的およびアメロゲニン特異的プライマーの組とを組み合わせて遺伝子座D16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D2S1338、D3S1358、D8S1179、FGA、TH01、VWA、アメロゲニンおよび5個の新しいSTR遺伝子座D10S1248、D12S391、D1S1656、D22S1045およびD2S441を増幅した。こうした遺伝子座に対するプライマーの組は、本明細書に記載の上掲の方法に従って設計した。D10S1248、VWA、D16S539およびD2S1338を増幅する各プライマーの組の1つのプライマーを6−FAM(商標)蛍光標識で標識した。アメロゲニン、D8S1179、D21S11およびD18S51を増幅する各プライマーの組の1つのプライマーをVIC(登録商標)蛍光標識で標識した。D22S1045、D19S433、TH01およびFGAを増幅する各プライマーの組の1つのプライマーをNED(商標)蛍光標識で標識した。D2S441、D3S1358、D1S1656およびD12S391を増幅する各プライマーの組の1つのプライマーをPET(登録商標)蛍光標識で標識した。第5の蛍光標識LIZ(商標)を用いてサイズ標準を標識した。
次いでこの反応混合物をポリメラーゼ連鎖反応に付した。STR遺伝子座およびアメロゲニン遺伝子座から増幅産物が生成され、標識プライマーが増幅産物に取り込まれた。このため増幅産物は6−FAM(商標)、VIC(登録商標)、NED(商標)またはPET(登録商標)蛍光標識で標識された。増幅後にこの反応混合物の全部または一部を1つのキャピラリー流路でキャピラリー電気泳動にかけた。さらに、LIZ(商標)標識サイズ標準も電気泳動した。1回のアウトプットで蛍光標識からの発光を検出し、表示させた。5種の色素による16遺伝子座の増幅のDNAプロファイルについては図2を参照されたい(LIZ(商標)標識サイズ標準は示していない)。STR遺伝子座およびアメロゲニン遺伝子座が流路を移動する速度はそのサイズよって決まる。STRおよびアメロゲニン増幅産物のサイズおよびその標識の色により各遺伝子座の対立遺伝子が同定された。
当業者であれば分かるように、本教示の精神を逸脱しない範囲でその教示内容の種々の実施形態に対して多くの変形および修正が可能である。そうした変更はすべて本教示の範囲に包含される。

Claims (25)

  1. (a)マルチプレックス(multplex)増幅反応で分析される少なくとも1個のDNAサンプルの一組の遺伝子座を共増幅する工程であって、該反応の産物は該組内の該共増幅した(co−amplifiedd)遺伝子座から増幅された対立遺伝子の混合物であり、該遺伝子座の組は10個のSTR遺伝子座D16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D2S1338、D3S1358、D8S1179、FGA、TH01、VWA;およびSTR遺伝子座D10S1248、D12S391、D1S1656、D22S1045およびD2S441からなる群から選択される1つまたは複数を含む、工程;
    (b)該混合物中の該増幅された対立遺伝子を評価して該少なくとも1個のDNAサンプル内の該遺伝子座の組で分析された各該遺伝子座に存在する該対立遺伝子を決定する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(a)の前記遺伝子座の組は前記少なくとも1個のDNAサンプルの供給源(単数または複数)の性別を特定するのに使用され得る遺伝子座をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNAサンプル(単数または複数)の前記供給源はヒトであり、該ヒトの性別の特定に使用する前記遺伝子座はアメロゲニン遺伝子座である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記評価する工程の前に前記増幅された対立遺伝子を分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記増幅された対立遺伝子はキャピラリーゲル電気泳動により分離される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記共増幅する工程は前記遺伝子座の組内の該遺伝子座それぞれに対して1対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含み、該対のプライマーはそれぞれ前記マルチプレックス反応における該遺伝子座の組の遺伝子座に隣接する、請求項1に記載の方法。
  7. オリゴヌクレオチドプライマーの各対の少なくとも1個のプライマーは標識プライマーである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記標識プライマーの標識は蛍光標識である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記共増幅する工程は少なくとも5個の蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含み、該少なくとも5個の標識プライマーは、該標識プライマーにそれぞれ共有結合した少なくとも5種類の異なる蛍光標識を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記共増幅する工程は少なくとも6個の蛍光標識オリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含み、該少なくとも6個の標識プライマーは、該標識プライマーにそれぞれ共有結合した少なくとも6種類の異なる蛍光標識を有する、請求項8に記載の方法。
  11. 前記少なくとも6種類の異なる蛍光標識が、520nmでその最大の蛍光を放つ第1の蛍光標識、550nmでその最大の蛍光を放つ第2の蛍光標識、575nmでその最大の蛍光を放つ第3の蛍光標識、590nmでその最大の蛍光を放つ第4の蛍光標識、650nmでその最大の蛍光を放つ第5の蛍光標識および620nmでその最大の蛍光を放つ第6の蛍光標識を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 選択された前記遺伝子座の組の各遺伝子座はポリメラーゼ連鎖反応を使用して共増幅される、請求項1に記載の方法。
  13. 分析される前記少なくとも1個のDNAサンプルはヒト組織から調製される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ヒト組織は血液、精液、膣細胞、毛髪、唾液、尿、骨、口腔サンプル、胎盤細胞を含む羊水および胎児細胞を含む羊水からなる群の1つまたは複数から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 分析される少なくとも1個のDNAサンプルの一組の遺伝子座を共増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、キットであって、該遺伝子座の組は共増幅され得;該プライマーは1つまたは複数の容器内にあり;該遺伝子座の組はアメロゲニン遺伝子座と、10個のSTR遺伝子座D16S539、D18S51、D19S433、D21S11、D2S1338、D3S1358、D8S1179、FGA、TH01、VWAと、STR遺伝子座D10S1248、D12S391、D1S1656、D22S1045およびD2S441からなる群の1つまたは複数とを含む、キット。
  16. 前記キット内の前記オリゴヌクレオチドプライマーはすべて1つの容器内にある、請求項15に記載のキット。
  17. 少なくとも1回のマルチプレックス増幅反応のための試薬をさらに含む、請求項15に記載のキット。
  18. 少なくとも1つのサイズ標準の入った容器をさらに含む、請求項15に記載のキット。
  19. 前記サイズ標準はDNAマーカーである、請求項18に記載のキット。
  20. 前記サイズ標準は遺伝子座特異的対立遺伝子ラダーである、請求項18に記載のキット。
  21. 前記遺伝子座特異的対立遺伝子ラダーのおのおのの格(rung)、および前記遺伝子座の組の各遺伝子座に対する少なくとも1個のオリゴヌクレオチドプライマーは、それらに共有結合した蛍光標識を有し、該オリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも2個は、該プライマーに共有結合した、前記容器内の他のプライマーと異なる蛍光標識を有する、請求項20に記載のキット。
  22. 前記標識プライマーの少なくとも5個が、該標識プライマーにそれぞれ共有結合した少なくとも5種類の異なる蛍光標識を有する、請求項21に記載のキット。
  23. 前記少なくとも5種類の異なる蛍光標識が、520nmでその最大の蛍光を放つ第1の蛍光標識、550nmでその最大の蛍光を放つ第2の蛍光標識、575nmでその最大の蛍光を放つ第3の蛍光標識、590nmでその最大の蛍光を放つ第4の蛍光標識および650nmでその最大の蛍光を放つ第5の蛍光標識を含む、請求項22に記載のキット。
  24. 前記標識プライマーの少なくとも6個が、該標識プライマーにそれぞれ共有結合した少なくとも6種類の異なる蛍光標識を有する、請求項21に記載のキット。
  25. 前記少なくとも6種類の異なる蛍光標識が、520nmでその最大の蛍光を放つ第1の蛍光標識、550nmでその最大の蛍光を放つ第2の蛍光標識、575nmでその最大の蛍光を放つ第3の蛍光標識、590nmでその最大の蛍光を放つ第4の蛍光標識、650nmでその最大の蛍光を放つ第5の蛍光標識および620nmでその最大の蛍光を放つ第6の蛍光標識を含む、請求項24に記載のキット。
JP2010532255A 2007-10-30 2008-10-30 ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット Withdrawn JP2011501967A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US98373707P 2007-10-30 2007-10-30
PCT/US2008/081861 WO2009059049A1 (en) 2007-10-30 2008-10-30 Methods and kits for multiplex amplification of short tandem repeat loci

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014112144A Division JP2014155504A (ja) 2007-10-30 2014-05-30 ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011501967A true JP2011501967A (ja) 2011-01-20
JP2011501967A5 JP2011501967A5 (ja) 2011-12-22

Family

ID=40379790

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010532255A Withdrawn JP2011501967A (ja) 2007-10-30 2008-10-30 ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット
JP2014112144A Pending JP2014155504A (ja) 2007-10-30 2014-05-30 ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014112144A Pending JP2014155504A (ja) 2007-10-30 2014-05-30 ショートタンデムリピート遺伝子座のマルチプレックス増幅のための方法およびキット

Country Status (9)

Country Link
US (3) US20090142764A1 (ja)
EP (2) EP2055787B1 (ja)
JP (2) JP2011501967A (ja)
CN (2) CN101932726A (ja)
AU (1) AU2008318554A1 (ja)
BR (1) BRPI0819360A2 (ja)
CA (1) CA2704463A1 (ja)
TW (1) TW200930818A (ja)
WO (1) WO2009059049A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018126151A (ja) * 2011-05-12 2018-08-16 ネットバイオ・インコーポレーテッドNetBio, Inc. Str遺伝子座の迅速な多重増幅のための方法および組成物

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0811796D0 (en) 2008-06-27 2008-07-30 Forensic Science Service Ltd Improvements in and relating to analysis
JP2012530243A (ja) * 2009-06-15 2012-11-29 ビージー リサーチ エルティーディー 核酸検出方法
CN101691607B (zh) * 2009-08-14 2013-07-17 河北医科大学 荧光标记mini-STR进行人类基因分型的测试方法及试剂盒
CN102725422B (zh) 2009-09-11 2016-01-06 生命科技公司 Y-染色体str标记的分析
US9029088B2 (en) * 2009-10-15 2015-05-12 Life Technologies Corporation Human single nucleotide polymorphisms within CODIS loci D13S317, TH01, vWA, D12S391, and D6S1043
EP2504433B1 (en) * 2009-11-25 2014-10-29 Life Technologies Corporation Allelic ladder loci
WO2011106724A2 (en) 2010-02-26 2011-09-01 Life Technologies Corporation Fast pcr for str genotyping
US20110306505A1 (en) * 2010-04-22 2011-12-15 Life Technologies Corporation X-STR multiplex PCR amplification system
ES2378203B1 (es) * 2010-08-19 2013-03-04 Universidad Del Pais Vasco Método para la obtención del perfil genético de un individuo.
ES2378204B1 (es) * 2010-08-19 2013-03-13 Universidad Del Pais Vasco Método para la obtención del perfil genético de un individuo.
WO2012022821A1 (es) * 2010-08-19 2012-02-23 Universidad Del País Vasco Método para la obtención del perfil genético de un individuo
EP2640848A1 (en) * 2010-11-15 2013-09-25 Life Technologies Corporation Methods and kits for multiplex amplification of short tandem repeat loci
CN102286477B (zh) * 2011-07-12 2013-06-05 公安部物证鉴定中心 Str分型标准物质的制备方法
US20140248692A1 (en) 2011-08-11 2014-09-04 Life Technologies Corporation Systems and methods for nucleic acid-based identification
ES2416836B1 (es) * 2011-12-29 2014-04-07 Universidad Del País Vasco Método para la obtención del perfil genético de un individuo
US20140065613A1 (en) * 2012-09-06 2014-03-06 Life Technologies Corporation Multiplex Y-STR Analysis
GB201323015D0 (en) * 2013-12-24 2014-02-12 Univ Central Lancashire Kits and methods for analysis of DNA
US10253352B2 (en) 2015-11-17 2019-04-09 Omniome, Inc. Methods for determining sequence profiles
US20190256932A1 (en) 2016-10-27 2019-08-22 Huseyin ONAY Str based rapid personal identification
CN106834456B (zh) * 2017-01-16 2021-12-21 江苏苏博生物医学股份有限公司 一种采用荧光标记方法标记的y-str复合扩增检测试剂盒及其使用方法
CN106987621B (zh) * 2017-03-16 2019-01-15 北京博奥晶典生物技术有限公司 通过容错性扩增解决等位基因扩增不平衡的方法
CN107012225B (zh) * 2017-04-20 2020-10-09 司法鉴定科学研究院 一种基于高通量测序的str基因座的检测试剂盒及检测方法
KR101996837B1 (ko) * 2017-04-25 2019-07-09 대한민국 프라이머를 이용한 래더 제작방법
US11591645B2 (en) 2017-08-31 2023-02-28 Seegene, Inc. Evaluation of performance of components using a pair of dimer-forming primers
EP3844757A1 (en) 2018-08-30 2021-07-07 Life Technologies Corporation Machine learning system for genotyping pcr assays
EP3844677A1 (en) 2018-08-31 2021-07-07 Life Technologies Corporation Image driven quality control for array based pcr
WO2021018802A1 (en) * 2019-07-26 2021-02-04 Ark-Biodiversity Gmbh Method for genetic profiling
CN111944889B (zh) * 2020-08-06 2022-05-06 北京阅微基因技术股份有限公司 检测染色体非整倍体数目异常的pcr扩增组合物及检测试剂盒

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4683195A (en) 1986-01-30 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying, detecting, and/or-cloning nucleic acid sequences
US4683202A (en) 1985-03-28 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying nucleic acid sequences
US5192659A (en) 1989-08-25 1993-03-09 Genetype Ag Intron sequence analysis method for detection of adjacent and remote locus alleles as haplotypes
US5599666A (en) 1994-03-28 1997-02-04 Promega Corporation Allelic ladders for short tandem repeat loci
US7008771B1 (en) * 1994-09-30 2006-03-07 Promega Corporation Multiplex amplification of short tandem repeat loci
US6780588B2 (en) 2001-05-07 2004-08-24 Applera Corporation Methods for the reduction of stutter in microsatellite amplification
WO2006004659A1 (en) * 2004-06-30 2006-01-12 Applera Corporation Methods for analyzing short tandem repeats and single nucleotide polymorphisms

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN5010014667; COBLE M D: JOURNAL OF FORENSIC SCIENCES V50 N1, 2005, P43-53 *
JPN6013034852; HILL C.R.et al. "Characterization of 26 New miniSTR Loci.", Poster #44 at Promega Meeting, Nashville *
JPN6013034857; COBLE M.et al. "Development, Characterization and Performance of New MiniSTR Loci for Typing Degrade *
JPN6013034862; J.Forensic Sci.,Vol.51,No.2(2006)p.253-265 *
JPN6013034865; Forensic Sci.Int.,Vol.156(2006)p.242-244 *
JPN7013002640; Forensic Sci.Int.,Vol.163(2006)p.155-157 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018126151A (ja) * 2011-05-12 2018-08-16 ネットバイオ・インコーポレーテッドNetBio, Inc. Str遺伝子座の迅速な多重増幅のための方法および組成物
US11022555B2 (en) 2011-05-12 2021-06-01 Ande Corporation Methods and compositions for rapid multiplex application of STR loci

Also Published As

Publication number Publication date
CN103555830A (zh) 2014-02-05
JP2014155504A (ja) 2014-08-28
TW200930818A (en) 2009-07-16
CN101932726A (zh) 2010-12-29
EP2055787A1 (en) 2009-05-06
CA2704463A1 (en) 2009-05-07
EP3056572A1 (en) 2016-08-17
US20140106353A1 (en) 2014-04-17
AU2008318554A1 (en) 2009-05-07
EP2055787B1 (en) 2016-01-06
US20130012406A1 (en) 2013-01-10
WO2009059049A1 (en) 2009-05-07
US20090142764A1 (en) 2009-06-04
BRPI0819360A2 (pt) 2015-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2055787B1 (en) Methods and kits for multiplex amplification of short tandem repeat loci
US20150037791A1 (en) Methods and kits for multiplex amplification of short tandem repeat loci
JP6100933B2 (ja) アレリックラダー遺伝子座
US20150024387A1 (en) Methods for the Reduction of Stutter in Microsatellite Amplification
EP1385976B1 (en) Methods for the reduction of stutter in microsatellite amplification using sorbitol
US9260757B2 (en) Human single nucleotide polymorphisms
AU2002308607A1 (en) Methods for the reduction of stutter in microsatellite amplification using sorbitol
AU2002305385A1 (en) Methods for the reduction of stutter in microsatellite amplification

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111028

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130716

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131015

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131022

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20131216

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140530

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140714

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20140912

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20140919