本発明は、その中で往復動ピストン(図示せず)を駆動するシリンダを画定するシリンダブロック2を保持する概ね密閉されたシェル1を呈する(例えば、冷凍システムに適用される型からなる)往復式密閉コンプレッサについて説明される。シェル1の内側下部には油溜め3が画定されており、そこから潤滑油は油ポンプ10によりコンプレッサ可動部品へ圧送される。
ここに記載する構成では、冷凍コンプレッサはピストンを動かすクランク軸4により駆動される型であり、前記クランク軸4は上部に偏心部(図示せず)を呈し、シリンダブロック2に中間部を軸支されており、シリンダブロック2から下方に突出し油ポンプ10を保持する下部を有する。
シリンダブロック2は電動モータステータ5を固定しており、さらにクランク軸4に取り付けられたロータ6を含んでいて、このクランク軸4をモータ動作時に回転させるが、前記ロータ6は軸方向中心孔6aを呈する環状薄層積層体により形成されており、その中心孔6aはその内部にクランク軸4の下部4aが嵌合固定される上側孔部と、ロータ6を形成する薄層積層体の連続する各2つの環状薄層間に周辺伸張部6cを形成する内壁を呈する下側孔部6bとを有する。
油ポンプ10は、ロータ6に装着した上部21と油溜め3内に浸した下部22と管状スリーブ20内部の細長い定置ポンプ軸30とを含み、管状スリーブ20の隣接する対向内面に対し環状ギャップを画定し、ブラジル特許出願第0604908−7号明細書にて既に説明したように装着下端部31をシェル1とシリンダブロック2のうち一方の部品により支持してある。この以前の構成では、管状スリーブ20はクランク軸4の円筒状の管状下部4aに螺合により固定されている(図1)。
ポンプ軸30は、この構成では定置されており、その装着下端部31をシェル1とシリンダブロック2とステータ5の部品の少なくとも1つに固定されるよう、管状スリーブ20の下部21の下端部21aを越えて突出させて呈示しており、前記固定は同時係属ブラジル特許出願第0604908−7号内で説明されている適当な手段や、または指片、接着剤、螺子、リベット、クランプ、ホック、溶接等によっても行われ、この固定は本発明の目的ではない。
本発明の解決策では、管状スリーブ20は共に回転するようロータ6に固定してあり、油溜め3内に収容された潤滑油内に浸した下部と、螺旋状の外面油流路4bに流体連通する上部とを呈しており、流路4bはクランク軸4内に配設されていて、油ポンプ10が圧送する油を潤滑対象であるコンプレッサ部品へ導く。
管状スリーブ20はロータ6の回転時の回転運動にて駆動され、前記運動は電動モータの作動により引き起こされ、その間ポンプ軸30は回転可能に固定されたままである。管状スリーブ20とポンプ軸30との間の相対的な回転運動が、機械的ドラッグと遠心力とにより油溜め3からの油の上昇運動を引き起こす。油の上昇運動は管状スリーブ20の内面上に螺旋溝20aの形で設けられた流路を介して行われ、このスリーブは油溜め3の潤滑油内に浸したその端部から伸びていて、この油を潤滑対象であるコンプレッサの相対的運動部品に対し圧送する。
螺旋溝20aは、ポンプ軸30の隣接する対向外面部分と共に潤滑油上昇流路を画定し、この流路がここで説明する油ポンプにより圧送される油をコンプレッサの相対的運動と共に油溜め3から部品へ運ぶ。ポンプ軸30は、管状スリーブ内部でクランク軸4に対し直交する径方向に自由変位させられるよう管状スリーブ20の内部に配置し、ロータ6に対して回転可能に固定してある。
本発明を実施する1つの方法では、前記クランク軸4に恒久的に当接する少なくとも管状スリーブ20をプラスチック材にて成形する。この具体的構成は、前述の利点を呈する。具体的な構成形態にあっては、管状スリーブ20とポンプ軸30は例えばプラスチック材にて提供される。
プラスチック材による管状スリーブ20およびポンプ軸30の部品の構成により、これらの構成要素の製造が容易になり、特に管状スリーブ20の内面への螺旋溝20aの形成が容易になる。さらに、プラスチック材による製造はまた、前記材料の低熱伝導度が故に圧送対象である油に対しクランク軸4からの熱伝導を最小化する。
本発明は前述した型のコンプレッサ内の油ポンプ10の固定装置を提供し、前記装置は管状スリーブ20周りに配置してスリーブに対し径方向と軸方向とにロックさせる少なくとも1つの保持要素40を備える。保持要素40は径方向外側ロック部41を有しており、これをロータ6の薄層積層体の2つの連続する環状薄層間に形成した個々の対向する周辺伸張部6cに対し密接させて径方向に押し付け、管状スリーブ20をロータ6に対し軸方向にロックする。
同封図面に示した本発明の一実施方法によれば、先に説明したように、管状スリーブ20は管状スリーブ20の軸を横断する少なくとも1つの平面内に配置される複数の保持要素40を保持する。
保持要素(複数可)40は、コンプレッサの全動作寿命期間中ロータ6に対する油ポンプ10の固定が変わらず維持されるよう保証すべく、管状スリーブ20とは異なる材料にて入手され、シェル1の内部に存在する温度等の周囲の条件にさらされるときの変形に対する耐性が高い。本発明を実施する1つの方法として、保持要素40は金属製とする。
しかしながら、図示はしていないが、本解決策の固定装置は1つの保持要素40だけを、例えば好ましくは金属製の環状ディスクの形で提示し、それを管状スリーブ20によって保持するか、または管状スリーブ20をロータ内に挿入する前にロータ6に対し装着することができ、あるいはまた2つの保持要素40だけを単一部材または別個の部材にて互いに直径両端に対向させて配置することを理解すべきである。
保持要素40の数は、ロータ6に対するそれらの固定動作によるだけでなく、管状スリーブ20の構成的特徴によっても規定される。管状スリーブ20がその上部をクランク軸4の管状下部4a内で伸縮自在に嵌合案内させない構成にあっては、保持要素40はさらにクランク軸4に対し管状スリーブ20を調芯し軸方向に位置合わせさせる機能を呈する。これらの場合、本発明の固定装置は、互いに角度方向に離間する少なくとも3つの保持要素40を呈示しなければならず、例えば図示のように、2つの保持要素40を軸方向に位置合わせし離間させるとともに別の保持要素40を直径両端に対向させ、第1の2つの保持要素に対し軸方向に等しく離間させる。本発明を実施するこの方法では、他の保持要素40が存在する場合、これらに3つの保持要素40に対し呈示したこの配置を持たせ、管状スリーブ20上のバイナリーモーメントを排除することができる。
管状スリーブ20が図示のようにクランク軸4の管状下部4aの内部に装着した上部22を呈する構成にあっては、保持要素40に油ポンプ10の管状スリーブ20をロータ6に固定する機能だけを持たせることができ、この場合本発明の固定装置に1つのまたは2つのみの保持要素40を持たせることができる。
保持要素40のそれぞれの管状スリーブ20への装着は、それらが管状スリーブ20に対し軸方向と径方向とに回転可能にロックされるよう行われ、ロータ6に対する管状スリーブ20の固定はロータ6の下側孔部6bの周辺伸張部6c内において各保持要素40の外側端部が形成するロック部41間の干渉により達成される。管状スリーブ20周りに配置された複数の保持要素40を呈する構成では、各保持要素40はそのロック部41をロータ6の下側孔部6bの内壁の個々の周辺伸張部6cに密接させる。
固定装置が少なくとも3つの保持要素40を呈する本発明を実施する1つの方法によれば、ロータ6の下側孔部6bの内壁の各周辺伸張部6cを管状スリーブ20の軸に直交する平面内に形成し、それを他の周辺伸張部6cの平面に対し平行に軸方向に変位させる。
本発明を実施する1つの方法では、各保持要素40は約120°から約270°の間の周辺伸張部を有する開いたリングを備える。しかしながら、120°から180°の間の周辺伸張部を呈する保持要素40の構成により、管状スリーブ20の軸を横断する単一平面内での2または3つの共面保持要素40の装着が可能になる。
この例示構成では、各保持要素40は約180°から約270°の周辺伸張部を有する開いたリングを備える。
各開いたリング形状保持要素40は、ロータ6の下側孔部6bの内径を若干上回る外径を呈する開いたリングの外側エッジの周辺伸張部と、管状スリーブ20の外径を若干上回る直径を有する内部エッジ42とにより形成されたロック部41を呈する。ロック部41は、正中対称面X上に配置された中間部40aと、正中対称面Xに関し対称をなし、中間部40aと開いたリングの1対の自由端40cとの間に形成された2つの側部40bとを備える。
本発明によれば、管状スリーブ20には少なくとも1つの外周流路23が設けられ、その内部に管状スリーブ20周りに装着した少なくとも1つの開いたリング形状の保持要素40を収容して径方向と軸方向にロックし、これによりロック部41の全てまたはその一部をロータ6の内部において管状スリーブ20の装着変位方向とは反対の方向に偏向させることができる。
この、すなわち各外周流路23は、その周りに少なくとも1つの保持要素40の内側エッジ42が密接する底部壁23aと、下部壁23bと、上部壁23cとを呈する。
従って、図示の構成では、各保持要素40が個々の外周流路23内に確実にロックできるようにすべく、この外周流路にはその下部壁23b内に突起の形でその上に個々の保持要素40の側部40bが密接する2つの下側ストップ24aが組み込まれるよう構成してある。各外周流路23の上部壁23cは、保持要素40の中間部40aと側部40bの少なくとも一部が密接する座を形成するため、保持要素40の外側エッジに沿って一定または変化する数値を有して片持ち支持した径方向伸張部に沿って外周流路23から径方向外方へ突出するロック部41を構成することができる。
各保持要素40が一旦個々の外周流路23内に固定的に保持されると、ロータ6の内部への管状スリーブ20の挿入時に、各保持要素のロック部41がロータ6の下側孔部6bの内壁の対向する周辺伸張部6cと干渉し、ロータ6に対し管状スリーブ20の変位とは反対方向に押し付けられて下方へ偏向し(図9)、偏向度は図2に示すようにロータ6の管状スリーブ20の最終装着位置に達するまでロータ6の薄層積層体の内部エッジに対するロック部41の移動に従って変化する。
ロータ6内へのポンプの装着時にロック部41が偏向できるようにすべく、各外周流路23は下部壁23b内に形成した径方向外側伸張部23dを管状スリーブ20を横断する平面に対し低位としてあり、これにより保持要素40は下部を軸方向に密接させ、個々の外周流路23内部に保持される。図示の構成例では、前記密接面は、例示実施形態において、側部6bが形成する保持要素40の個々の部分に対する下側ストップ24aの作用面により形成される。
同封図面に示した構成では、各外周流路23はその下部壁23bに管状スリーブ20に対し差し渡し面に関し対称な2つの下側ストップ24aが組み込んである。各下側ストップ24aは突起の形をしており、2つの下側ストップ24aは同様に突起の形をした直径両端で対向する2つの上側ストップ24bに作動的に関連付けてあり、この2つの上側ストップ24bは外周流路23の上部壁23c内に組み込まれ、2つの下側ストップ24a間を下方に突出し、従って保持要素40を押圧し、ロック部41と個々の上側ストップ24bの径方向外側の保持要素40の径方向隣接伸張部(図示の実施形態では、2つの側部40b内に形成)とに、ロータ6内の管状スリーブ20の挿通方向とは反対方向に初期偏向を分与する。この構成にあっては、保持要素40はその側部40bの一方を2つの下側ストップ24aの端部の一方に密接させ、またその側部40bの他方を前記下側ストップ24aの反対側の端部に密接させ、両側部は直径両端にて対向し正中対称面Xに直交する平行弦の形をして延在する。
保持要素40の事前の偏向は、ロータ6内部の管状スリーブ20の、干渉による、より大きな公差余裕を持った、装着を容易にするのに資する。図示の構成では、管状スリーブ20の直径面の同側に配置された2つの下側ストップ24aの各端部対と個々の隣接する上側ストップ24bとにより形成される各組のストップが、保持要素40の個々の側部40bに対し作用することを理解すべきである。
図面によれば、管状スリーブ20の直径面の同側に配置した下側ストップ24aと隣接する上側ストップ24bの端部どうしが、前記ストップが保持する保持要素40の正中対称面Xに関し対称に配置されている。
図面中に提案した構成にあっては、2つの上側ストップは開いたリングの形をとる保持要素40の正中対称面Xに関し対称に配置されており、2つの下側ストップ24aは前記正中対称面Xに対し横断方向に配置されている。ストップ構成は異なる外周流路23内においても変更しないままとし、各保持要素40を管状スリーブ20に対し直径両端に対向する2つの位置のいずれにも装着できるようにしてあり、その結果、異なる高さに装着された保持要素40は図7A、図7B、図8、図9により良く示されているように、互いに順次180°ずつオフセットする。
各外周流路23はさらに、径方向壁23eを保持要素40の正中対称面Xに一致するよう配置して組み込んであり、この保持要素を個々の外周流路23内に装着する際に、前記径方向壁23eが保持要素40のための回転防止ストップとして機能する。
本発明の固定装置用の図示の構造形態にあっては、管状スリーブ20は複数の外周流路23を含んでおり、これらが互いに軸方向に隣接し、それぞれ開いたリングの形をした個々の保持要素40を受ける。
図示の構成にあっては、各外周流路23はその底部壁23aを管状スリーブ20の個々の外面伸張部により形成してあり、個々の開いたリング形状保持要素40の厚さを相当上回る幅を呈しており、各外周流路23の上部壁23cと下部壁23bには既に前述したように上側ストップ24bと下側ストップ24aが組み込まれている。各外周流路23の前記上壁23cと下壁23bの下側ストップ24aと上側ストップ24bとの間で、これらストップに対し少なくとも1つの個々の保持要素40が干渉により軸方向に密接する。
図示の構成形態にあっては、外周流路23は管状スリーブ20に単一部材にて組み込んだ外周リブ25の間に画定されており、管状スリーブにはさらに、外周流路23よりも下位側にロータ6の下端部環状薄層に対し密接させる周縁環状フランジ26が備わっており、ロータ6の下側孔部の内部に対する管状スリーブ20の軸方向変位を制限するとともに、管状スリーブ20とクランク軸4の管状下部4aとの間での挿入および相対的な軸方向位置決めもまた制限する装着ストップを形成している。
管状スリーブ20周りに180°を上回る周辺伸張部を呈する保持要素40の装着については、各保持要素40は個々の外周流路23内へのその挿入期間中に弾性変形にさらされ、開いたリングの対向する自由端40cの径方向間隙をもって得られる開口位置へ押し付けられ、ついにはそれらは管状スリーブの外径に達し、前記対向する自由端40cはそこで個々の外周流路23内部で管状スリーブ20の外面周りに密接する状態に導かれる。この状態にあっては、各保持要素40の内側エッジ42は管状スリーブ20の外面に対し密接するか、または管状スリーブに対し小さな径方向ギャップを維持し、従ってロータ6の下側孔部6bの内壁とのその干渉時に保持要素40をより良好に適応させることができる。しかしながら、保持要素40が180°未満の周辺伸張部を呈する場合、管状スリーブ20周りの保持要素40の装着は保持要素40の弾性変形を伴わずになされ、管状スリーブ20に対する保持要素の径方向ロックは下側ストップおよび上側ストップと各個々の保持要素40との干渉により得られる。この場合、下側ストップ24aは図示の構成の上側ストップ24bが示す形態と位置を取ることができ、2つの上側ストップ24bは正中対称面X上で直径両端に対向させる形式で配置される。
本発明を実施する一方法では、管状スリーブ20は約10.8mmの直径を呈し、流路は約1.1mmの深さを呈し、外周リブ25は約15.6mmの直径を呈し、一方で周縁環状フランジ26は約16mmを上回る直径を呈し、これは本明細書に記載する型の冷凍コンプレッサ内のロータ6の下側孔部6bの直径である。これらの寸法に対し、保持要素40を形成する各開いたリングは、約10.9mmから11mmの内径と、約16.1mmの外径と、約0.2mmの厚さとを呈する。各保持要素40の外径は、保持要素40を保持する管状スリーブ20のロータ6の中心孔への挿入時に、ロータ6の内壁に対する各保持要素40のロック部41の干渉による固定を助長する。
同封図面に示した本発明を実施する一方法では、管状スリーブ20はロータ6に固定され、前記管状スリーブ20の上部22がクランク軸4の管状下部4aの内部に装着される。それにもかかわらず、クランク軸4の下部4a内部への管状スリーブ20の上部21の装着がなされていない構成に対しても本発明が適用可能であることは理解すべきである。
同封図面に示した本発明の具体的構成では、周縁環状フランジ26は連続しており、管状スリーブ20の全周縁周りに配設してある。しかしながら、前記周縁環状フランジ26を管状スリーブ20の周縁伸張部の一部だけ占有して配設するか、またはまた管状スリーブ20の前記周縁伸張部の一部もしくは全部の周りにフランジセグメントの形で配設できることを理解すべきである。
別の可能な構成では、周縁環状フランジ26や周縁リブ25を単一部材にて管状スリーブ20に組み込むことはない。それらは、例えば螺合や嵌合や接着剤等の任意の適当な手段により前記スリーブ20内に保持することができる。管状スリーブ20内部へのポンプ軸30の装着は、ポンプ軸30の1つの上端部32をクランク軸4の下部4aの内部に対し所定の軸方向間隔をもって維持し、前記軸方向間隔が特にクランク軸4の隣接する内壁部分に対し画定されるよう行われる。この軸方向間隔がクランク軸4内部に通路チャンバを画定し、この通路チャンバに対し潤滑油上昇流路の各螺旋溝20aの上端を開口させ、油溜め2と前記通路チャンバとの潤滑油間の流体連通を可能にし、このことでクランク軸4の外面油流路との流体連通が維持され、潤滑対象であるコンプレッサ部品へ潤滑油が導かれる。
本明細書に提示する概念を主に図示の油ポンプ構成を考慮して説明してきたが、この具体的構成が本発明の適用可能性に対する何らの制約も意味しないことは理解すべきである。保護を意図するのは原理であり、具体的用途または構成形態ではない。