感光体ドラム上の静電潜像をトナーで現像し、このトナー像を記録紙に転写し定着させて印刷を行う電子写真方式のプリントでは、孤立点の再現が難しい特性がある。また、段差のある場所では、画素が連続して並ぶ箇所(連接する箇所)に比べて、濃度が低下するという特性がある。このような段差が、細線の途中にあると、当該箇所で細線が薄れ、途切れたような描写となることもある。
ランダマイズ処理では、図18(d)、図19(b)、図20(c)などに例示したように、本来の画素格子の随所に、画素ずらしに起因した微細な段差が多数発生する。そのため、電子写真方式の印刷装置でプリントすると、段差の部分で濃度が低下して濃度ムラを引き起こす場合がある。そして、この濃度低下に周期性が生まれると、新たなモアレの要因になる。たとえば、図21に示すように、グラデーションをラインスクリーン(1200dpi、290線、15度のラインスクリーン)で表した画像にランダマイズ処理を施すと、成長途中のラインスクリーンパターンが分断され、濃度の低い領域が現われてモアレが生じてしまう。
なお、画素ずらしによって濃度が変化する箇所(特異点とする)は段差に限るものではなく、出っ張りや先端など他の画素との連続性が不十分な箇所にも生じる。また、ランダマイズ処理に限らず、最近傍法や他の変形処理による画素位置関係の変化に起因した特異点についても同様の問題がある。さらに、中間調の画素を使用可能なスクリーンパターンでは、通常、濃い画素が中央に集まるようにスクリーンパターンを構成するが、ランダマイズ処理などによって濃い画素が中央から遠ざかるように画素ずらしされると、濃度ムラや筋状のモアレが現われることがあり、画素ずらしに起因するそのような弊害への対応も要請される。
また、インクジェットプリンタなどでは、インクのにじみによる効果で、特異点で濃度が増すこともあり、そのような場合への対応も求められる。
特許文献1〜3に開示の技術は、ランダマイズ処理によって画像変形を行う手法の応用例であり、各々、その技術が問題とする要因のモアレや濃度ムラを軽減することは可能である。しかし、これらの処理によって、画像情報の各所に発生する孤立点等の特異点に起因したモアレや濃度ムラに対応することはできない。
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、画像変形処理によって生じた画素位置関係の変化に起因して印刷装置で生じる濃度ムラやモアレを軽減することのできる画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]画素位置関係の変化を伴う画像の変形処理が行われた画像データに対して、前記変形処理によって生じた画素位置関係の変化によって所定の印刷装置で生じる階調変化を評価する評価部と、
前記評価部による前記評価の結果に基づいて、前記階調変化を抑制するための補正処理を行う補正処理部と、
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
上記発明では、画像の変形処理(たとえば、最近傍法やランダマイズ処理による)によって画素位置関係の変化の生じた(画素ずらしが行われた)箇所において、この画素ずらしに起因して、印刷装置の出力画像に階調変化が生じるか否かを評価し、その階調変化が抑制されるように補正処理を行う。このように画像変形処理による画素ずらしに起因して出力画像に階調変化が現われる箇所について、その階調変化が抑制されるように画像データを補正するので、画像変形処理に起因するモアレや濃度ムラを抑制することができる。
[2]前記補正処理は、画素位置関係を変更する位置置換処理と、画素の階調を変更する階調補正処理とを含む
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
上記発明では、補正処理として、画素位置関係を元に戻すなどの位置置換処理と、画素の階調を中間調などに変更する階調補正処理とを有する。複数の補正方法を有することで、それぞれの箇所に最適な方法を選択することができる。
[3]前記補正処理部は、前記位置置換処理を優先し、位置置換処理で補正できない場合に前記階調補正処理を行う
ことを特徴とする[2]に記載の画像処理装置。
上記発明では、画像変形処理で生じた画素位置関係の変化による階調変化を補正する際に、画素位置を変更する位置置換処理を優先する。そして、位置置換処理では補正できない場合、たとえば、線分の途中に画素ずらしにより段差が生じているときは、この段差を元に戻しても段差の場所が隣に移動するだけで階調の補正効果は得られない。このような場合は、画素自体の階調を変更する階調補正処理を行う。
[4]前記評価部は、画素位置関係の変化した画素を基点に、この画素に類似する階調を有する画素が、前記画素位置関係の変化した方向と直交する方向に連接する数を連結数として求め、
前記補正処理部は、前記連結数が所定値未満の箇所では前記位置置換処理を、前記連結数が所定値以上の箇所では前記階調補正処理を行う
ことを特徴とする[2]または[3]に記載の画像処理装置。
上記発明では、連結数が大きい場合は、[3]で説明した、線分の途中に段差があるような場合に相当するので、このような場合は階調補正処理を選択する。
[5]前記補正処理部は、前記位置置換処理では、連結数の変化が小さくなる方向へ画素位置を変更する
ことを特徴とする[4]に記載の画像処理装置。
上記発明では、たとえば、第1画素と第2画素の境界に段差があり、第2画素にのみ他の画素が横方向へ連接している場合、第1画素を第2画素の方へ移動させる。第2画素を第1画素の方へ移動させると、段差の位置が第2画素とその隣の画素との境界に移動することになり段差の解消に繋がらないが、第1画素を第2画素側へ移動させれば(このように移動させれば連結数が大きくなる。即ち、元の画像における連結数に近づき)、段差が解消される。また、上記と逆の関係、たとえば元々連結している画素(連結画素とする)と、連結していない画素(周辺画素とする)があり、画像の変形処理で前記周辺画素が、前記連結画素に連結した場合、前記周辺画素を、元の位置関係に移動させることで、各々の画素の連結数が、元の画像における連結数に近づき、画像変形処理に起因する、モアレや濃度ムラを軽減することができる。
[6]前記評価部は、前記評価として、画素位置関係の変化した部分での段差の大きさを示す先端度を評価し、
前記補正処理部は、先端度が、前記画素位置関係の変化前の先端度に戻るように補正する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、たとえば、段差がなければ先端度0、段差の大きさが1画素であれば先端度1、段差の大きさが2画素であれば先端度2のように評価し、画素位置関係の変化により先端度が増減したときは、その増減を元に戻すように画素位置関係を変更する。
[7]前記補正処理部は、前記変形処理が行われた画像が2値画像の場合は、前記階調補正処理として、一方の階調を、数箇所に一箇所の割合で打点する処理を行う
ことを特徴とする[2]乃至[6]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、2値画像のため、中間調を使用する階調補正処理はできない。そこで、中間調(グレー)の画素を各箇所に打つ代わりに、2値の一方の値(たとえば、黒)を数箇所に1回の割合で打つことで、より巨視的な範囲での濃度を、中間調を使用可能な時の濃度に近づける。
[8]前記評価部は、画素位置関係の変化した画素が斜め線の一部か否かを評価し、
前記補正処理部は、画素位置関係の変化した画素が斜め線の一部の場合は、前記階調補正処理によって補正する
ことを特徴とする[2]乃至[6]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、画素位置関係の変化した画素が斜め線の一部であった場合、その画素について画素位置関係を元に戻しても、画素位置関係の変化する位置が斜めにシフトするだけで階調を補正できない。そこで、階調補正処理によって濃度補正する。
[9]前記階調補正処理は、画素位置関係の変化によって濃度低下する場合にその濃度低下箇所の空白部分に中間調の画素を打つ処理を含む、
ことを特徴とする[2]乃至[8]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、画素位置関係が変化した箇所(段差の箇所)で濃度低下する場合は、段差の部分(濃度低下箇所)にある空白部分(白画素の部分)に中間調の画素を打って濃度を高める補正を行う。たとえば、画素単位に取り得る階調数が多数ある場合は、画素位置関係の変化した画素自体の階調を変えることで所望の濃度補正ができる。しかし、画素単位に取り得る階調数が少数(たとえば、白、グレー、黒の3値)であり、面積変調を主として階調表現手段としている場合は、画素位置関係の変化した画素そのものの階調を変えても適切に濃度補正できないことがある。そこで、空白部分に中間調の画素を打つこと、すなわち、面積変調を利用して濃度を補正する。
[10]前記評価部は、前記変形処理によって生じた画素位置関係の変化によって所定の特異点が発生もしくは消滅した箇所を検出して前記評価を行う
ことを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、変形処理による画素位置関係の変化によって特異点が発生または消滅した箇所を検出して評価し、その評価結果に基づいて、その箇所の階調を補正する。特異点は、たとえば、斜めに2画素が孤立して並ぶ半孤立点、線分の途中の段差を構成している箇所など、画素位置関係に起因して、印刷装置での印刷時に階調変化を引き起こすような部分である。特異点のパターンを予め定義しておけば、パターンマッチングなどにより特異点を検出することができる。
[11]前記補正処理部は、前記印刷装置の特性に応じて前記補正処理を行う
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
上記発明では、画素位置関係に起因した階調変化に関する印刷装置の特性に応じて、この特性に基づく階調変化を抑制するように補正処理を行う。
[12]所定の評価パッチを前記印刷装置に印刷させる評価画像生成部と、前記印刷装置で印刷された評価パッチの印刷画像の濃度を測定した結果に基づいて前記補正処理部による補正特性を設定する補正特性設定部と、
を有する
ことを特徴とする[11]に記載の画像処理装置。
上記発明では、印刷装置で評価パッチを印刷し、その濃度を実測した結果に基づいて、補正特性を設定する。
[13]画素位置関係の変化を伴う画像の変形処理が行われた画像データに対して、前記変形処理によって生じた画素位置関係の変化によって所定の印刷装置で生じる階調変化を評価し、該評価結果に基づいて、前記階調変化を抑制するための補正処理を行う
ことを特徴とする画像処理方法。
上記発明では、画像の変形処理(たとえば、最近傍法やランダマイズ処理による)によって画素位置関係の変化の生じた(画素ずらしが行われた)箇所において、この画素ずらしに起因して、印刷装置の出力画像に階調変化が生じるか否かを評価し、その階調変化が抑制されるように補正処理を行う。このように画像変形処理による画素ずらしに起因して出力画像に階調変化が現われる箇所について、その階調変化が抑制されるように画像データを補正するので、画像変形処理に起因するモアレや濃度ムラを抑制することができる。
[14]前記補正処理は、画素位置関係を変更する位置置換処理と、画素の階調を変更する階調補正処理とを含み、
前記位置置換処理を優先し、位置置換処理で補正できない場合に前記階調補正処理を行う
ことを特徴とする[13]に記載の画像処理方法。
上記発明では、画像変形処理で生じた画素位置関係の変化による階調変化を補正する際に、画素位置を変更する位置置換処理を優先する。そして、位置置換処理では補正できない場合、たとえば、線分の途中に画素ずらしにより段差が生じているときは、この段差を元に戻しても段差の場所が隣に移動するだけで補正効果を得られないような場合は、画素自体の階調を変更する階調補正処理を行う。
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法によれば、画像変形処理によって生じた画素位置関係の変化に起因した濃度ムラやモアレを軽減することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置10の概略構成を示している。画像処理装置10は、画像入力部11と、画像処理部12と、画像出力部13と、画像変形処理部14と、特異点評価部15と、補正処理手段選択部16と、補正処理部17と、特性評価画像生成部22と、補正パラメータ設定部24を備えている。また、画像処理装置10の周辺装置として、評価画像測定部23が設けられる。なお、特性評価画像生成部22、補正パラメータ設定部24は画像処理装置10の周辺装置として設けられてもよい。
画像入力部11は、処理対象の画像データを入力する。画像処理部12は、その画像データに対して、色補正やスクリーン処理などの各種の処理を施す。画像に変形処理を施す場合は、画像処理部12の途中から、画像変形処理部14、特異点評価部15、補正処理手段選択部16、補正処理部17を経由して画像処理部12へ戻るルートで処理される。
画像変形処理部14は、画素位置関係の変化を伴う画像の変形処理を行う。たとえば、最近傍法、ランダマイズ法など公知の手法で画像の変形処理を行う。画像変形処理部14以下で処理される画像データは、2値画像、もしくは、面積変調を主たる階調補正手段として用いる多値画像である。すなわち、画素毎に使用可能な階調数が少数(たとえば、3階調〜16階調程度)であり、画素の濃度を中間調にして階調表現も可能であるが、主として面積変調で階調表現をする、というような画像データである。
特異点評価部15は、画素位置関係の変化(画素ずらし、とも呼ぶ)によって生じる階調変化を評価する。すなわち、画像変形処理部14で行われた画像の変形処理によって、着目画素とその周辺画素とが予め定めたパターンの画素位置関係になる特異点が発生、あるいは消滅した箇所(補正対象箇所とする)を検出する。そして、その補正対象箇所とその周辺画素との関係を評価(階調の補正方法を選択するための所定の指標について評価)する。ここでは、後述する連結数や先端度などを評価する。
補正処理手段選択部16は、特異点評価部15が検出した補正対象箇所について、特異点評価部15の評価結果に基づいて、予め定めた複数種類の中から階調の補正方法(補正処理のタイプ)を選択する。ここでは、画素位置を変更したり置き換えたりする位置置換処理、補正対象箇所あるいはその隣接画素の濃度を変更する階調補正処理のいずれかを選択する。
補正処理部17は、各補正対象箇所を、その補正対象箇所に対して補正処理手段選択部16が選択したタイプの補正処理を施して階調補正を行う。補正処理部17の出力する画像データは画像処理部12に入力され、必要に応じてさらに別の画像処理が施された後、画像出力部13へ出力される。
画像出力部13は、入力された画像データに対応する画像を記録紙上に形成して出力するプリンタである。たとえば、電子写真方式やインクジェット方式のプリンタが使用される。他の方式でもかまわないが、本発明は、画素位置関係に起因して印刷された画像の階調が変化するような特性を有するプリンタに好適である。
特性評価画像生成部22は、画像出力部13の特性を評価するための所定の評価画像の画像データを生成する機能を果たす。画像出力部13は、特性評価画像生成部22の生成した評価画像の画像データを入力して画像出力部13で印刷出力する機能を備えている。
評価画像測定部23は、画像出力部13が印刷出力した出力画像20の濃度を測定する装置である。ここでは、特性評価画像生成部22が生成した画像データに基づいて画像出力部13が印刷出力した評価画像の濃度を測定する。補正パラメータ設定部24は、評価画像測定部23の測定結果(特性評価画像生成部22の生成した評価画像と評価画像測定部23の測定した評価画像との対比結果)から補正パラメータを生成する。この補正パラメータは補正処理手段選択部16に入力されて設定される。補正処理手段選択部16は、設定された補正パラメータに基づいて、画素の階調を変化させる階調補正処理を行う。
なお、画像処理装置10は、論理回路やシーケンサなどを組み合わせた回路で構成されてもよし、情報処理装置で所定のプログラムを実行することによってその機能が実現されてもよい。
図2は、代表的な特異点を例示している。図中、グレーの画素は特異点を成す画素であり、白の画素は特異点を成す画素と類似する階調を有する画素とする。特異点には、孤立点(同図(a))、半孤立点(同図(b))、半連接点(同図(c))、段差点(同図(d))、先端点(同図(e))などがある。
孤立点は、周囲に同一もしくは類似階調の画素が存在しない画素である。半孤立点は2つの画素が斜めに連接した画素である。半連接点は、半孤立点の一方の画素のみ横方向(画素ずらし方向と直交する方向)に他の画素が連接している場合の他方の半孤立点に相当する画素である。段差点は、半孤立点の各画素にそれぞれに横方向(画素ずらし方向と直交する方向)に他の画素が連接している場合の各半孤立点に相当する画素である。
先端点は各種存在する。先端点については、同図(e)に示すように、先端度を定義する。先端度は、着目画素(特異点)とその隣(画素ずらし方向と直交する方向に隣)の画素との段差(画素ずらし方向のずれ)の大きさを示す。ここでは、段差の大きさが1画素ならば先端度1、段差の大きさが2画素ならば先端度2、段差がない場合を先端度0とする。
特異点はこれらに限定されない。たとえば、同図(b)〜(d)が縦方向に連続する場合のその縦方向の端部のラインにおいて同図(b)〜(d)と同様の箇所は特異点になる。
なお、本発明の対象となる特異点は、画像変形処理部14による画像変形処理によって、画素ずらし処理が実施された結果、上記特異点の性質が変化した箇所である。たとえば、画像変形処理部14による画像変形処理によって、画素ずらしが実施された結果、(1)特異点でない画素が特異点に変化した場合、(2)特異点が他のタイプの特異点に変化した場合、(3)特異点が特異点でなくなった場合、がある。
特異点評価部15における特異点の検出や特異点の種類の判別は公知のパターンマッチングやテンプレートマッチングの手法を用いて行えばよい。多値画像の場合は、画像を仮に2値化(2値化時の閾値は固定値でもよいし、近傍の画像特性を元にした、公知の2値化手法を用いてもよい)し、2値画像を元に判別すればよい。
図3は、本発明の補正処理による濃度ムラの修復パターン(階調補正のパターン)を例示している。画像変形処理によって画素ずらしが行われた結果、半孤立点あるいは半連接点が発生あるいは消滅した場合は、それら特異点に関する変化が解消されるように、画素値を補修、または画素位置を変更や置換する位置置換処理を行う。同図a、bの修復結果(1)では、変形処理後の画像における画素P1とその下方の画素とを置換している。たとえば、画像変形処理によって画素ずらしが行われた結果、段差が発生した場合は、局所的にその段差を元に戻す方向に、また逆に、段差が消滅した場合は(後述の図9(a))、局所的にその段差を復元する方向に画素位置の置換などを行う。
画像変形処理によって画素ずらしが行われた結果、段差点や先端点(同図c、d、e)が発生あるいは消滅している場合は、その段差に係る画素の位置を変更や置換する位置置換処理によって修復することは困難である。たとえば、同図cの場合に、画像変形処理後の画像に生じている段差を、同図a、bの修復結果(1)のように位置置換処理で修復しても、段差の位置が隣の画素に移動するだけで、段差を解消できない。
そこで、このような場合は、同図c、d、eの修復結果(1)あるいは修復結果(2)に示すように中間調を打つなどの階調補正処理を行う。ここでは、段差の箇所で印刷画像において濃度低下が生じ、その濃度低下を抑制するための階調補正処理を行うものとする。修復結果(1)は、段差位置の空白画素に中間調の画素P2を打つことで濃度を高めて階調補正している。修復結果(2)は、修復結果(1)のように段差位置の空白画素に中間調を打つと濃度が高くなりすぎる場合に対応したものであり、修復結果(2)では、段差位置の空白画素に中間調の画素P2を打つと共に段差位置の画素P3の濃度を低下させる。
図4、図5は、本発明による濃度ムラの修復の他の例を示している。図4は、ランダマイズ処理で画素ずらしされた画像(図18(d)に示したものと同じ)を本発明の補正処理で修復した例を、図5は、ランダマイズ処理で画素ずらしされた画像(図19(b)に示したものと同じ)を本発明の補正処理で修復した例をそれぞれ示している。図5に示すように多数の画素が連接する箇所では、位置置換処理は使用できす、階調補正処理によって濃度補正される。
次に、画素位置関係が変化した画素に関する連結数について、図6を参照して説明する。
図6(a)は元画像を、同図(b)は元画像に対して、破線Aの位置で上下に画素ずらしの生じる変形処理を施した画像を示している。同図(b)の中で斜線を施した画素は、変形処理によって画素位置関係が変化した画素(着目画素)である。連結数は、着目画素を基点として、横方向(画素ずらし方向と直交する方向)に連接する画素数をカウントする。着目画素のみの場合は連接数1、着目画素に1画素連接している場合は連結数2、着目画素に2画素連接している場合は連結数3というようにカウントする。図では最大で連接数は3までカウントしている。連結数のカウントは特異点評価部15が行う。1画素単位で画素ずらしする場合、カウントの最大値は2でかまわない。
補正処理手段選択部16は、位置置換処理と階調補正処理のいずれで階調補正(修復)するかを連結数に基づいて選択する。連結数が1ならば、位置置換処理で修復する。たとえば、図6(c)(d)に示すように、段差の境界Aを挟む2つの着目画素それぞれの連結数が共に1の場合、いずれかの着目画素を移動させて段差を解消する。たとえば、図6(d)では画素P1を上方向にずらして(画素P1とその上の画素とを置換して)段差を解消させている。なお、画像変形処理で画素ずらしされた画素が元の位置に戻るように位置置換処理で画素位置を置換することが望ましい。
着目画素の一方の連結数が1で他方の連結数が2以上の場合、連結数1の着目画素を移動(置換)して段差を解消する。すなわち、連結数の小さい方を移動させる、換言すれば、移動後の連結数が大きくなるように移動させる。たとえば、図6(c)の状態で画素P2は連結数1、他方の着目画素P3は連結数2なので、同図(d)に示すように、画素P2を下方に移動させる(同図cにおいて画素P2の下方にあった画素と画素P2とを置換する)。両方の着目画素の連結数が2以上の場合は、中間調画素を使用する階調補正処理を行う(図6(d)のグレー画素参照)。
図7は、特性評価画像生成部22が生成する特性評価画像を例示している。同図(a)は段差のない横向き直線を表した標準パターンであり、同図(b)は、同図(a)の直線の各所に段差を設けた第1中間調パターン、同図(d)は、同図(b)の段差位置の空白画素に中間調の画素P3を打った第3中間調パターン、同図(e)は、同図(b)の段差位置の空白画素に同図(d)よりも濃い中間調の画素P4を打った第4中間調パターン、同図(c)は同図(d)の第3中間調パターンでは段差の部分が濃くなり過ぎる場合に対応するためのパターンであり、段差位置の空白画素に中間調の画素P3を打つと共にこの中間調の画素に隣接する段差位置の画素P2の濃度を薄くした第2中間調パターンである。
これらのパターンを含む特性評価画像を画像出力部13で印刷出力し、その出力画像を評価画像測定部23で測定し、補正パラメータ設定部24は、その測定結果から中間調の画素を使用する階調補正処理によって階調補正(修復)する場合の補正パラメータ(どの中間調パターンで補正するか)を決定する。すなわち、どのくらいの中間調を打って補正すればよいかは、プリンタの特性や時期などによって異なるので、上記特性評価画像を印刷出力して測定することで、孤立点、半孤立点などの変化(生成・消滅)によってその部分にどの程度の濃度変化が生じるかを実測し、その程度に応じて補正する。
具体的には、段差による濃度低下が基準範囲にあれば第3中間調パターン(同図(d))を選択し、基準範囲を超えて大きく低下する場合は第4中間調パターン(同図(e))が選択され、濃度低下が基準範囲未満で小さい場合は第2中間調パターン(同図(c))が選択される。
第1中間調パターンでは中間調を利用しないことになる。画像出力部13が電子写真方式の場合、濃度低下が必ず生じるので第1中間調パターン(同図(b))を使用する場合は無いであろう。一方、インクジェット方式のプリンタの場合は、標準パターンよりも第1中間調パターンの方が段差の部分で濃度が高くなる場合がある。そのような場合は濃度増加分を補償するパターンを生成して同様の処理が可能。たとえば同図(f)に示すように、段差位置にある画素P5の濃度を標準パターンより薄くした中間調パターンを作成して評価する。
図8は、位置置換処理における例外処理の一例を示している。微細な段差パターンにおいては様々なパターンが存在し、その中には簡単な位置置換処理では補正が困難なパターンもある。そのような場合は置換位置を再検索しても良い。たとえば、図8に示すように、同図(a)に示す元画像が、同図(b)のように破線Bの位置で左に画素ずらし(矢印b)され、さらに同図(c)のように破線Aの位置で上への画素ずらし(矢印a)されると、画素P1は半孤立点になる。同図(d)に示すように、この画素P1と、該画素P1が画素ずらしの前に存位していた位置にある画素P2とを置換しても、これらの画素P1、P2は同一または類似階調なので、置換の意味がなく、階調補正できない。このような場合は、同図(e)に示すように、さらに離れた箇所の画素P3など他の位置の画素と置換する。
図9は、斜め線に関する例外処理を示している。同図(a)のように元画像に半孤立点が存在し、画像変形処理での画素ずらしの結果、孤立点同士が隣に連接する関係となった場合、同図(a)の修復結果に示すように、一方の画素を置換することによって、対象となる画素(この例では黒の画素)の位置関係が元の状態に戻り、濃度変化が解消される。
しかしながら、同図(b)(c)に示すように、元画像において半孤立点が斜め方向に連続している場合は、同図(a)と同様の位置置換ではうまくいかない。すなわち、画素ずらし箇所に生じた半孤立点の結合(同図(b))や離散(同図(c))を解消するために画素置換を行っても、図中のNG修復例の欄に示すように、問題箇所が一つ移動するのみで濃度変化そのものは解消されない。そこで、同図(b)、(c)の修復結果の欄に示すように、結合した一方の画素、または離散した中間の画素、の階調値を調節することで濃度変化を解消、または緩和する。
次に、画素ずらし箇所が比較的近傍の複数箇所で生じている場合の処理を図10に基づいて説明する。同図(a)は元画像であり、その下部に画素ずらしのパターンを示してある。同図(b)は画素ずらし後の画像であり、段差の箇所Dで濃度低下が発生する。このように、画素ずらしによって濃度低下箇所が近くで複数発生している場合、2つの処理方法を選択することができる。その一つ(補正処理A)は、同図(c)に示すように、各々の対象箇所を中間階調の画素P1で補修(階調補正処理で対応)するものであり、適切な中間階調を用いることで、好ましい補修結果が得られる。
他の一つ(補正処理B)は、2値画像出力プリンタや、取りうる中間階調数が極端に少ない多階調出力プリンタ等、中間調画素の利用が制限される場合の処理方法(同図(d)参照)である。この場合、全対象箇所に調整用画素(ここでは黒画素)を打点すると調整量が過剰となる場合がある。そこで、調整箇所の一部についてのみ打点する(濃度調整のためのドットの打点頻度を加減する)ことで、全体的な濃度ムラを抑える。同図(d)は、1/2の確率で打点を行う例(画素P2を打点し、破線で示した画素P3の位置には打点しない例)を示している。このように、打点は偏りが無いよう、均一に分散することが望ましい。
次に、打点密度の高いスクリーン画像に対して画像変形処理により画素ずらしが行われた場合の濃度補正方法について説明する。スクリーンパターン(網点)は、離れて見ると1つの丸(画素の集まり)の面積を変えて階調を表現しており、中間調を使用できる場合は、通常、濃度の高い画素ほど中央に集めるようになっている。このようなスクリーンパターンに対して画像変形処理で画素ずらしが行われると、濃度の高い画素がスクリーンパターンの中央から遠ざかり、濃度の低い画素が中央に近づくといった現象が生じ得る。これにより、濃度の落ちた部分に白い筋が走るようになる。そこで、画素ずらしによってそのような箇所が生じた場合、濃度の濃い画素がより中央に集まるように画素位置の置換を行う。
図11(a)は、スクリーンパターンの元画像を示しており、その上部に画素ずらしのパターンを示してある。同図(b)は画素ずらし後の画像であり、同図(b)の太枠画素はそれぞれ、先端度(隣の画素との落差)の高まった画素である。同図(c)は、補正処理後の画像を示している。
この場合の濃度の補正方法は以下の手順で行う。
(1)画像変形処理で画素ずらしされた位置にある各画素の「先端度」をカウントする。
(2)画像変形処理前の先端度が0または1であり、画素ずらしによって先端度が高くなった画素について、
・画素ずらしの境界を越えて、斜め画素ずらし方向に画素を移動させる場合の移動先に階調を持つ画素(白(地の色)でない画素)が存在しないときは、その移動先に移動させる。
・移動先に階調を持つ画素が存在するときは、移動先に存在する画素の階調が当該画素より小さい場合のみ移動先の画素と当該画素の画素位置を置換する(これ以外では置換しない)。
図12では、画像変形処理前の先端度0の画素P1および先端度1の画素P2(同図(a))がそれぞれ、画素変形処理の画素ずらしによって、先端度1と先端度2に高まった場合(同図(b))を示している。同図(c)は上述の手順で移動先・置換先を判定する状態を、同図(d)は補正後の画像を示している。同図(c)に示すように画素P2は、画素ずらしの境界を越えた斜め画素ずらし方向の画素P4(移動先)が白画素なので、その移動先に画素P2を移動させる(同図(d)の画素P2参照)。また同図(c)に示すように、画素P1は、画素ずらしの境界を越えた斜め画素ずらし方向の画素P3(移動先)が階調を有する画素であり、画素P3の階調(濃度)が画素P1より小さいので、画素P3と画素P1とを置換する(同図(d)の画素P1、P3参照)。
このような手順で移動先、置換先を決定して位置置換処理を行うことで、中央に濃い画素を集めるというスクリーンの特性を維持するように補正することができ、白筋の発生を防ぐことができる。
図13は、画像処理装置10の画像変形処理部14、特異点評価部15、補正処理手段選択部16、補正処理部17によって行われる処理の流れを示している。
画像変形処理部14は、画像変形処理を実施する(ステップS101)。このとき、該画像変形処理での画素位置関係の変化が生じた箇所を示す情報(段差生成情報)を作成する。たとえば、図6のような画像変形処理が行われた場合、図中の破線Aで示す画素ずらしの位置を示す情報を段差生成情報として作成する。
以後の処理は特異点評価部15、補正処理手段選択部16、補正処理部17が協同して行う。まず、画像変形処理部14から段差生成情報を取得する(ステップS102)。そして、画像変形処理部14が生成した変形処理後の画像データの各画素について以下の処理を行う。まず、処理禁止カウンタがオン(カウント値が1以上)か否かを調べる(ステップS103)。処理禁止カウンタは、位置置換処理が連続的に行われることを回避するために使用される。処理禁止カウンタの詳細は後述する。
処理禁止カウンタがオフの場合は(ステップS103;No)、着目画素が特異点補正候補か否かを判定する。すなわち、段差生成情報に基づき、着目画素が画像変形処理部14によって画素ずらしされた位置の画素であれば特異点補正候補と判定する。特異点補正候補でなければ(ステップS105;No)、全画素について処理終了か否かを調べ(ステップS115)、全画素終了ならば(ステップS115;Yes)、処理を終了する(終了)。全画素終了でなければ(ステップS115;No)、次の画素を着目画素にして(ステップS116)、ステップS103へ移行し、処理を続ける。
着目画素が特異点補正候補の場合は(ステップS105;Yes)、連結数を、図6で説明した基準でカウントして、評価する(ステップS106)。連結数が所定値以上(ここでは、2以上)の場合は(ステップS106:連結数大)、補正処理の方法として階調補正処理を選択し、階調補正処理によって濃度補正を行い(ステップS107)、ステップS115へ移行する。
詳細には、ステップS107では、各画素の濃度として中間調を使用可能な場合(多値画像)は、段差箇所を中間調の画素で濃度補正する。一方、2値画像の場合は、図10(d)の補正処理Bで示したように、所定の確率で段差位置の空白画素を打点(または消去)する処理を行う。
連結数が所定値未満(ここでは、2以下)の場合は(ステップS106:連結数小)、着目画素が孤立点または半孤立点か否かを判断する(ステップS108)。
孤立点または半孤立点の場合は(ステップS108;Yes)、この孤立点または半孤立点が画素ずらしによって生成されたものか否かを判断する(ステップS111)。生成されたものである場合(ステップS111;Yes)、補修処理を実行し(ステップS112)、その後、処理禁止カウンタをセットして(ステップS113)、ステップS115へ移行する。以後は、前述と同様の処理を行う。
孤立点または半孤立点が画素ずらしで生成されたものでない場合は(ステップS111;No)、該着目画素に関して、先端度が、画素ずらしに起因して変化しているかを判別する(ステップS110)。先端度が変化している場合は(ステップS110;変化あり)、ステップS112へ移行し、以後は、前述と同様の処理を行う。
先端度が変化していない場合は(ステップS110;変化なし)、濃度を補正する必要はない。この場合、処理禁止カウンタを更新して(ステップS114)、ステップS115へ移行し、以後は、前述と同様の処理を行う。
着目画素が孤立点または半孤立点でないときは(ステップS108;No)、元画像で孤立点または半孤立点であった画素が画像変形処理の画素ずらしによって他の画素と結合したもの(結合により孤立点または半孤立点でなくなったもの)か否かを判別する(ステップS109)。
結合したものである場合(ステップS109;Yes)、ステップS112へ移行し、以後は、前述と同様の処理を行う。
結合したものでない場合は(ステップS109;No)、ステップS110へ移行し、以後は、前述と同様の処理を行う。
処理禁止カウンタがオンの場合は(ステップS103;Yes)、処理禁止カウンタを更新して(ステップS104)、ステップS115へ移行し、以後は、前述と同様の処理を行う。
図14は、処理禁止カウンタの更新処理(図13のS104、S114)を示している。処理禁止カウンタのカウント値を+1し(ステップS141)、加算後の値が所定数(たとえば、3)に達した場合は(ステップS142;Yes)、カウント値を0にリセット(処理禁止カウンタをオフ)する(ステップS143)。
なお、処理禁止カウンタの初期値は0(処理禁止カウンタオフ)になっている。また、処理禁止カウンタは、主走査方向(画素ずらし方向と直交する方向)の1ライン分の各画素について個別に設けられている。そして、図13の処理では、着目画素の主走査方向位置に対応する処理禁止カウンタの参照、更新を行う。これにより、図13の処理では、あるラインである画素を補正したら、その後の数ラインの間は、この画素と主走査方向が同一位置の画素について補正処理が禁止される。たとえば、ステップS112の補修処理を1回実行したら、その画素と同一主走査方向位置の下方3画素については補修処理を実行しない、というように動作する。このように、処理禁止カウンタを使用することで、同一の主走査方向位置において副走査方向に連続する複数画素に対して濃度の補正処理(ステップS112の補修処理)が連続して行われることが防止され、たとえば、補正箇所が非常に密接して存在する際に、1箇所の補正の影響が隣接する補正箇所と干渉し、新たなテクスチャの発生等の副作用を抑えることができる。
図15は、図13のステップS112の補正処理の詳細を示している。補正処理手段選択部16は、当該処理(ステップS112)へ、図13のステップS109またはS111から来たか、ステップS110から来たかによって補正処理の方法を選択する(ステップS201)。ステップS109またはS111から来た場合は(ステップS201:A)、着目画素が斜め線の一部か否かを判別する(ステップS202)。斜め線の一部でない場合は(ステップS202;No)、補正方法として位置置換処理を選択し、段差を元に戻すように画素位置を変更して(ステップS203)処理を終了する(リターン)。
斜め線の一部の場合は(ステップS202;Yes)、2値画像か否かを判別し(ステップS204)、2値画像でない場合は(ステップS204;No)、図9(b)(c)の補修結果に示すように、中間調の画素を打つ処理を実施し、中間調で濃度の補正を行う(ステップS205→リターン)。2値画像の場合は(ステップS204;Yes)、所定の確率で2値打点(または消去)することで濃度補正を行う(ステップS206→リターン)。すなわち、図10(d)と同様の手法で補正する。つまり、斜め線の中で濃度補正を要する箇所のうち、数箇所に1箇所の割合で画素位置の変更を実施する。
図15の処理へ、図13のステップS110から来ている場合は(ステップS201;B)、図11、図12で説明したように、先端度の変化が緩和される方向に位置置換処理を実施して(ステップS207)処理を終了する(リターン)。
このように本発明では、画像変形処理によって画素位置関係が変化した箇所について、その画素位置関係の変化に起因して印刷画像に階調変化が生じるか否かを評価し、階調変化を抑制するように補正するので、モアレや濃度ムラを軽減した高画質な画像変形を実現することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、画像変形処理は、最近傍法やランダマイズ処理に限定されるものではなく、画素位置関係の変化(画素ずらし)を生じさせるならば、任意の画像変形処理でかまわない。
実施の形態では、連結数が2未満の場合にのみ位置置換補正を行うようにしたが、位置置換補正を採用するか否かの基準となる連結数は2に限定されない。たとえば、2画素単位に画素置換を行うならば、位置置換補正を採用するか否かの基準となる連結数を3としてもよい。なお、基準となる連結数は、位置置換による補正が視認できない範囲内にすることが好ましい。
また、実施の形態では、位置置換処理で補正できない場合に階調補正処理で補正するようにしたが、階調補正のみで補正するようにしてもよい。たとえば、画素ずらしによって半孤立点(連結数が1の段差)が生じた場合に、その段差によって濃度低下が生じるならばその段差部分の空白箇所に中間調を打つことで濃度低下を抑制する、あるいは段差によって濃度が高まる場合は段差部分の画素の濃度を下げることで濃度補正してもよい。
また、本発明は画像処理装置10の全部を要しない。本発明は、画像の変形処理のルートに係る部分のみで実現される。すなわち、画像変形処理部14、特異点評価部15、補正処理手段選択部16、補正処理部17のみで構成されてもよいし、画像変形処理部14から段差発生情報を入力可能に構成されるならば、画像変形処理部14を外部に設け、画像処理装置を、特異点評価部15、補正処理手段選択部16、補正処理部17で構成してもよい。
実施の形態では、補正処理は位置置換処理と階調補正処理を示したが、これら以外の方法による補正処理であってもかまわない。また、補正処理を3種類以上から選択するように構成してもかまわない。