JP2011257062A - 空調システムの運転制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サーバラックなど発熱機器を収容する情報通信機械室用として好適な空調システムの制御技術を提供する。
【解決手段】空調システム運転時における温度情報と、各空調機の稼動情報と、空調機電力消費量に関係する外部環境情報と、を含む運転条件情報を所定のインターバルで計測して蓄積するステップと、蓄積した該運転条件情報に基づいて、各空調機の電力消費量を演算するステップと、演算した各空調機の電力消費量総和が最小となる空調機の稼動パターンを選定するステップと、選定した稼動パターンにより実際に運転するステップと、電力消費量演算値と運転時の電力消費量実績値とを比較するステップと、実績値が演算値より小さいときは、随時、該運転情報の電力消費量情報を更新するステップと、を含む。
【選択図】図6

Description

本発明は、空調システム及びその運転制御方法に係り、特にサーバラックなど発熱機器を収容する情報通信機械室用として好適な空調システムの制御技術に関する。
情報通信機械室(データセンタ)においては、ICT装置はサーバラックに格納されるのが一般的である。サーバラックは前面から冷気を吸込み、上面又は背面から排気するタイプが多く、各ラックは同方向を向けて横一列に配置される。機械室内にはこのようなラック列が複数列配置され、ラック列をゾーンに分けて、ゾーンごとに二重床から冷気供給するベース空調機と、列内空調機を配置して温度制御することが一般的に行われている。
近年、ICT装置の高速化、大容量化、高密度化に伴い発熱密度が急速に上昇しており、装置冷却のための空調機・システムの省エネルギー化が喫緊の課題となっているが、従来、空調機は個別に運転制御することが一般的であり、複数の空調機と複数のゾーンを組み合わせてグループ制御することは、一般に行われていない。
一方、省エネルギーを目的とした空調機のグループ制御に関しては、以下の技術が提案されている。
文献1は、複数の熱源機(ボイラー、冷凍機等)の運転台数制御又は出力制御に関する技術であり、外気温度、湿度及び日射量と過去の実績値を用いて、領域ごとに予測モデル(自己回帰移動平均モデル(ARMAモデル))を用いて冷熱負荷予測を行うものである。
文献2は、複数台の空調機を稼動させている場合において、消費電力が上限値を超えて停電状態となることを回避するために、一部の空調機の運転を制限することにより、消費電力の低減を図るものである。
特開平4−155135号公報 特開2002−13778号公報
しかしながら、文献1、2はそれぞれ地域冷暖房、家庭用エアコンを想定した技術であり、情報通信機械室の空調システムには適用困難である。すなわち、情報通信機械室においては、グループ制御により一部の空調機(特に、高発熱領域に設置された局所空調機)が能力停止又は低下の状況になった場合、当該空調機周囲の温度が急上昇し、ICT装置の高温障害につながる危険性が高いからである。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、省エネルギー性向上とICT装置類の高温障害発生回避を両立できる空調システムを提供するものである。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る空調システムのグループ制御方法は、
(1)空調対象空間を、複数の空調機により冷却する空調システムにおいて、
(a)空調システム運転時における空調対象空間の温度情報と、電力消費量を含む各空調機の所定の稼動情報と、空調機電力消費量に関係する所定の外部環境情報と、を含む運転条件情報を所定のインターバルで計測して蓄積するステップと、
(b)蓄積した該運転条件情報に基づいて、当該運転条件における各空調機の電力消費量を演算するステップと、
(c)演算した各空調機の電力消費量総和が最小となる空調機の稼動パターンを選定するステップと、
(d)選定した稼動パターンにより実際に運転するステップと、
(e)電力消費量演算値と運転時の電力消費量実績値とを比較するステップと、
(f)実績値が演算値より小さいときは、随時、該運転情報の電力消費量情報を更新するステップと、
を含むことを特徴とする。
(2)上記発明において、
(g)前記実績値が前記演算値より大きいときは、予め求めた各空調機の稼働率−COP特性に基づいて、電力消費量総和が最小となるように各空調機の稼働率を設定するステップを、さらに含むことを特徴とする。
(3)上記各発明において、
(h)運転時における前記運転条件情報と電力消費量実績値との組み合わせを、前記空調機の稼動パターンとして、随時、追加又は更新するステップを、さらに含むことを特徴とする。
上記各発明は、外部環境情報(例えば、制御ゾーン温度、日射量、季節、時間帯)と、空調機運転条件情報(圧縮機周波数、送風機周波数)と、空調機電力消費量実績値の組み合わせを関連付けてデータ蓄積するとともに、随時、追加又は更新することにより、特定の外部環境条件、運転条件における複数空調機の運転パターン最適化(電力消費量ミニマム)を図るものである。
上記各発明によれば、空調対象空間又はゾーンの発熱状態に対応して複数の空調機の稼働率を制御するため、ICT装置の高温障害発生を回避しつつ、省エネルギー性を向上させる運転が可能となる。
また、消費電力の実績値を更新するため、運転環境に対応した消費電力の演算が可能となる。
本発明の一実施形態に係る空調システム1の全体構成を示す図である。 空調機A1、A2の稼働率−COP関係テーブルの内容を示した図である。 ゾーン別空調負荷パターンテーブルの例を示す図である。 空調機運転条件パターンテーブルの例を示す図である。 空調機稼動パターンテーブルを示す図である。 空調システム1におけるグループ制御フローを示す図である。 稼働率試行フロー1を示す図である。 稼働率試行の具体例を示す図である。 稼働率試行フロー2を示す図である。 空調条件パターンの階層関係を概念的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至9を参照してさらに詳細に説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
図1を参照して、本実施形態に係る空調システム1は、情報通信機械室5内のサーバラック2に格納されているICT装置類(以下、サーバと総称)を、複数のベース空調機及び局所空調機により冷却するシステムである。機械室5内は3つの空調ブロックB1−B3に分割されており、各空調ブロックには2列のラック列が吸気面を対向させて配置されている。空調ブロックB1を例にとると、ブロック内には2台のベース空調機A3、A4(同一仕様)と、ラック列内の内部発熱の大きなサーバ近傍に、2台の同一能力の局所(列内)空調機A1、A2(同一仕様)と、が配置されている。
ベース空調機A3、A4からの冷気は、送風機(図示せず)により二重床空間内(図示せず)を経由して、吹出口付床パネル4からコールドアイル6に吹き出される。局所空調機A1、A2からの冷気は、直接コールドアイル6に吹き出される。
空調ブロックB1についてみると、ブロック内はさらに3つの制御ゾーンZ1−Z3に分割されている。各制御ゾーンには温度センサS1−S3が配設されており、後述するように温度センサS1−S3の計測値に基づいて、各ゾーンの発熱状態を判定し、ベース空調機A3、A4及び局所空調機A1、A2の稼動率制御を行うように構成されている。なお、詳細図示を省略するが、空調ブロックB2、B3についても同様に構成されている。
空調システム1の運転制御は中央制御部7により行われる。中央制御部7には、
各制御ゾーンの温度センサS1−S3の計測値、空調機A1−A4の運転データ、後述する運転環境データが、通信線C1−C7等を介して取り込まれるように構成されている。制御部7にはデータベース(DB)8が付設されており、以下のデータテーブルが格納されている。さらに、後述の運転環境データについては、随時、データの更新を可能とするように構成されている。
<空調機稼働率−COP関係テーブル>
図2は、空調機A1、A2に関する稼働率−COPの関係テーブルの内容を概念的に示した図であり、外気温度をパラメータとしたデータが格納されている。本テーブルは、後述の空調機稼動パターン選定に際して、初期状態における消費電力量の演算及び図8における空調機選択に用いられる。なお、図示を省略するが、空調機A3、A4についても同様の関係テーブルが用意されている。
<ゾーン別空調負荷パターンテーブル>
温度センサS1−S3の計測値に基づき、各ゾーンの発熱状態に応じて空調負荷パターンテーブルを備えている。図3は、高発熱ゾーン(ゾーンへの冷却能力が不足している、または不足すると予想できるゾーン:例えば25℃超)、中発熱ゾーン(ゾーンへの冷却能力が若干不足している、または若干不足すると予想できるゾーン:例えば25℃−20)、低発熱ゾーン(ゾーンへの冷却能力がほぼ足りているゾーン、または足りると予想できるゾーン:例えば20℃未満)の3つに分類した場合の例であり、この場合は合計3(=27)通りの空調負荷パターンに分類される。なお、各発熱ゾーンの分類数、温度範囲については任意に設定することができ、これに応じてパターン数等が定まる。
<運転環境データテーブル>
本実施形態において空調機の運転データとしては、表1に示すように空調機圧縮機周波数、空調機送風機周波数、空調機消費電力及び総消費電力が計測される。また、運転環境データとしては制御ゾーン温度、日射量係数、季節時間帯が計測される。なお、日射量係数は建物蓄熱による影響を考慮したものであり、本実施形態では建物外壁温度を用いている。
所定のインターバル(例えば30分間隔)で計測されるデータは、計測項目ごとに所定の分類単位にまとめられて取り扱われる。ここに所定の分類単位とは、例えば制御ゾーン温度は1℃刻み、季節は月単位刻み、時間帯は4時間刻みのような単位をいう。従って、同表に示すように、制御ゾーン温度については20−21℃、季節については7-9月、時間帯については13:00−17:00の範囲にある計測データは、同一のデータとして取り扱われることになる。
分類されたデータは、図4に示すように、さらに測定時の空調負荷パターン別に分類されてDB8に格納される。
Figure 2011257062
<空調機稼動パターンテーブル>
ゾーン別空調負荷パターン(図3)及び運転条件パターン(図4)に対応して、各空調機の稼働パターン(稼働率、負荷率)テーブルが設定される。図5は、空調負荷パターンP3、空調条件パターンE3を例にとり、テーブルの内容を概念的に示した図である。これら各パターンの階層関係は、概念的に図10のように示される。すなわち、ある空調負荷パターン(Pi)に対して複数の運転条件パターン(E1,E2,・・・、Em)が設定され、さらに、ある運転条件パターン(Pj)に対して複数の空調条件パターン(L1,L2,・・・、Lo)が設定される。
図5において、各空調機の能力比(a)は、空調機A1の定格能力を1としたときの指数で示している。また、各空調機の稼働率(b)を同図のように設定したとき、負荷(c)=(a)×(b)により演算される。さらに、電力消費量(d)は、図2の関係テーブルから該当稼働率に対するCOPを求め、(d)=(c)/COPにより演算される。このように、本稼働パターンテーブルと空調機稼働率−COP関係テーブルを用いることにより、各空調機の電力消費量及び電力消費量総計を演算することが可能となる。
なお、図5では4パターンを例示しているが、実際には各空調機の稼働率を変化させたときの必要パターンが格納されている。
空調システム1は以上のように構成されており、次に図6を参照して、空調ブロックB1を例に本実施形態によるグループ制御の内容について説明する。なお、以下の説明では、既にグループ制御運転が行われており、前回設定された稼動パターンL(i-1)で運転されている状態(S100)を想定している。
最初に、制御ゾーンZ1−Z3について現在温度T(Zj)(j=1−3)が計測される(S101)。いずれかの現在温度が設定温度Ts(例えば20℃)より上限閾値α(例えば+3℃)を超えている場合には(S102においてNO)、サーバの高温障害リスクを回避すべくグループ制御が解除され(S103)、空調機ごとの単独制御に移行する。
上記ステップと並行して運転環境データ(空調機運転データ及び外部環境データ等)が計測される(S104)。計測データは、稼動パターンテーブル(図5)中の各項目につき、上記分類単位にまとめられて1つの運転条件パターン(Ej)として読み込まれる(S105)。さらに、後述するS107において、該当空調条件パターンとして選択される。
S102においてYES、すなわち現在温度が上限閾値以下の場合には、各制御ゾーンの温度T(Zj)に基づいて、図3のテーブルに従い、該当空調負荷パターンが選定される(S106)。
さらに、当該空調負荷パターンの中から該当する空調機運転条件パターン(図4)が選択され、次いで当該運転条件パターンの中から該当する稼動パターンテーブル(図5)が選択される(S107)。さらに、稼動パターンL1−Lnのうち、空調機電力消費量総計(Ec)が最小の空調機稼動パターンL(i)が選定される(S108)。
一方、運転環境データテーブルから、現行運転条件(前回設定稼動パターンL(i-1))による空調機電力消費量(Ep)が読み出され(S109)、演算値(Ec)と読み出し値(Ep)とが比較される(S110)。Ec≧Epの場合は(S110においてNO)、現行運転条件(稼動パターンL(i-1))が継続される(S112)。
Ec<Epの場合には(S110においてYES)、選択した稼動パターンL(i)により各空調機の運転が行われる(S111)。この場合、より省エネ運転を図るため、稼働率試行フロー1に移行する。具体的には図7,8を参照して、最初に現行運転状態の稼働率より稼働率を下げた場合にCOPが向上、又は減少幅が小さい空調機について稼働率を下げて運転される(S1101)。図8の例では、空調機3,4について稼働率をe1からe1'に変更する。残りの空調機については、現行運転状態が維持される。所定時間(例えば3分間)運転継続後に(S1102)、全てのゾーンの温度T(Zi)が設定温度Ts+閾値β(例えば1℃)以内に維持されている場合には(S1103においてYES)、メインフローのS113に進む(S1106)。
いずれかのゾーンの温度T(Zi)が閾値を超えている場合には(S1103においてNO)、稼働率を上げたときにCOPが向上、又は減少幅が小さい空調機について、稼働率を上げて運転される(S1105)。同図の例では、空調機1,2について稼働率をe2からe2'に変更する。なお、全ての空調機について稼働率変更済の場合には、メインフローのS113に進む(S1104においてYES)。
次いで、現行運転状態(稼働パターンL(i-1)又はL(i))における実際の空調機電力消費量(Ec’)が計測され(S113)、さらに上記演算値(Ec)と実測値(Ec’)とが比較される(S114)。
Ec’≦Ecの場合には(S114においてYES)、実測値であるEc’が当該空調負荷パターンにおける空調機消費電力量として、空調機稼動パターンテーブル(図5)の内容が更新される(S116)。
Ec’>Ecの場合には(S114においてNO)、より省エネ化を図るために稼働率試行フロー2に切り替えられる(S115)。具体的には図9を参照して、最初に現行運転状態より稼働率を下げた場合にCOPが向上、又は減少幅が小さい空調機について稼働率を下げて運転される(S1201)。残りの空調機については、現行運転状態が維持される。所定時間(例えば3分間)運転継続後に(S1102)、全てのゾーンの温度T(Zi)が設定温度Ts+閾値γ(例えば1℃)以下に維持されている場合には、本フローを終了して、メインフローの(※1)に進む(S1206)。
いずれかのゾーンの温度T(Zi)が閾値を超えている場合には、稼働率を上げたときにCOPが向上、又は減少幅が小さい空調機について稼働率を上げて(S1205)、再度S1102以下のフローが繰り返される。全ての空調機について稼働率変更済の場合には(S1204においてYES)、メインフローの(※1)に進む。なお、本フローに該当する場合には、消費電力量情報の更新は行われない。
本発明は、情報通信機械室に限らず、局部的に高発熱源を有する空間を複数の空調機により制御する空調システムに広く適用可能である。
1・・・空調システム
2・・・サーバラック
5・・・情報通信機械室
6・・・コールドアイル
7・・・中央制御部
8・・・データベース(DB)
A1、A2・・・局所空調機
A3、A4・・・ベース空調機
B1〜B3・・・空調ブロック
S1〜S4・・・温度センサ
Z1〜Z3・・・制御ゾーン

Claims (3)

  1. 空調対象空間を、複数の空調機により冷却する空調システムにおいて、
    (a)空調システム運転時における空調対象空間の温度情報と、電力消費量を含む各空調機の所定の稼動情報と、空調機電力消費量に関係する所定の外部環境情報と、を含む運転条件情報を所定のインターバルで計測して、予め設定した分類単位の該当カテゴリーに蓄積するステップと、
    (b)蓄積した該運転条件情報に基づいて、当該運転条件における各空調機の電力消費量を演算するステップと、
    (c)演算した各空調機の電力消費量総和が最小となる空調機の稼動パターンを選定するステップと、
    (d)選定した稼動パターンにより実際に運転するステップと、
    (e)電力消費量演算値と運転時の電力消費量実績値とを比較するステップと、
    (f)実績値が演算値より小さいときは、随時、該運転情報の電力消費量情報を更新するステップと、
    を含むことを特徴とする空調システムのグループ制御方法。
  2. 請求項1において、
    (g)前記実績値が前記演算値より大きいときは、予め求めた各空調機の稼働率−COP特性に基づいて、電力消費量総和が最小となるように各空調機の稼働率を設定するステップを、さらに含むことを特徴とする空調システムのグループ制御方法。
  3. 請求項1又は2において、
    (h)運転時における前記運転条件情報と電力消費量実績値との組み合わせを、前記空調機の稼動パターンとして、随時、追加又は更新するステップを、さらに含むことを特徴とする空調システムのグループ制御方法。
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