JP2011255528A - 印刷装置、及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷装置は、連続媒体を供給する供給手段と、供給手段によって供給された連続媒体の被印刷領域を吸着保持する保持手段と、保持手段を副走査方向に走査させる副走査手段と、液状体を吐出する吐出手段と、吐出手段を、副走査方向と交差する主走査方向に走査させる主走査手段と、液状体を硬化させる硬化光を照射する硬化光源と、硬化光源を光源走査方向に走査させる光源走査手段と、を備え、吐出手段は及び硬化光源は、走査手段によって吐出手段を主走査方向に走査させ、光源走査手段によって硬化光源を光源走査方向に走査させ、副走査手段によって保持手段を副走査方向に走査させることによって、保持手段に吸着保持された被印刷領域に向けて、液状体の吐出、又は硬化光の照射が可能に配設されている。
【選択図】図1
Description
硬化光源は、光源走査手段によって硬化光源を光源走査方向に走査させ、副走査手段によって保持手段を副走査方向に走査させることによって、保持手段に吸着保持された被印刷領域の被印刷面に向けて硬化光を照射可能となる位置に配設されている。このため、被印刷領域を好適な形状に維持して印刷吐出されて配置された液状体を、被印刷領域の当該好適な形状を維持したまま、硬化光を照射して硬化させることができる。
印刷工程の印刷吐出走査工程においては、被印刷領域は保持手段に保持されたままであり、好適な形状が維持される。印刷工程の改行工程では、保持手段を副走査方向に移動させることによって被印刷領域と吐出手段とを相対移動させる。このため、被印刷領域は保持手段に保持されたままであり、吸着工程において被印刷領域が保持手段に吸着保持された好適な形状の状態を維持して、改行を実施することができる。
硬化工程の照射走査工程においては、被印刷領域は保持手段に保持されたままであり、好適な形状が維持される。第二改行工程では、保持手段を副走査方向に移動させることによって被印刷領域と硬化光源とを相対移動させる。このため、被印刷領域は保持手段に保持されたままであり、吸着工程において被印刷領域が保持手段に吸着保持された好適な形状の状態を維持して、第二改行工程を実施することができる。
最初に、印刷装置において印刷用の機能液を吐出するために用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
次に、連続媒体の一例であるフィルム10に印刷する印刷装置1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、印刷装置の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、印刷装置の概略構成を示す模式平面図であり、図1(b)は、印刷装置の概略構成を示す模式側面図である。
ヘッド機構部2が備える液滴吐出ヘッド20は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドであり、紫外線硬化性を有する機能液を液滴として、印刷対象物に向けて吐出する。供給排出機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴を着弾させる印刷対象物であるフィルム10の被印刷領域101(図5(d)など参照)を印刷位置などに供給し当該位置から排出する。機能液供給部は、液滴吐出ヘッド20への機能液の供給を行う。メンテナンス装置部5は、液滴吐出ヘッド20の保守を行う。硬化ユニット6は、フィルム10に着弾させられた機能液に紫外線を照射して硬化させる。
印刷装置1は、また、これら各機構部等を総括的に制御する印刷装置制御部(図示省略)を備えている。液滴吐出ヘッド20が、吐出手段に相当する。機能液が液状体に相当する。
Y軸走査機構42は、Y軸ガイドレール42aとY軸スライダー42bと、をそれぞれ1対備えている。吸着ユニット33は、吸着テーブル33aと、テーブル台43と、テーブル昇降機構44と、供給ローラー34と、従動ローラー34aと、媒体送りローラー36と、従動ローラー36aと、を備えている。各リール、及び各ローラーは、それぞれ回動軸まわりに回動可能であり、それぞれの回動軸は互いに略平行である。
フィルム10が送られる方向は、互いに略平行である各リール、及び各ローラーの回動軸の軸方向に略直交する方向である。各リール、及び各ローラーの回動軸の軸方向に平行な方向をX軸方向と表記し、フィルム10における吸着テーブル33aの吸着面上に位置する部分の送り方向をY軸方向と表記する。
2本のY軸ガイドレール42aのそれぞれに支持されたY軸スライダー42bには、吸着ユニット33のテーブル台43の一端がそれぞれ固定されている。両端がそれぞれY軸スライダー42bに固定されたテーブル台43は、Y軸スライダー42bに支持されて、2本のY軸ガイドレール42aの間に差渡されている。テーブル台43は、Y軸駆動モーターによって、Y軸ガイドレール42aに沿って、Y軸方向に摺動自在であって、Y軸方向における任意の位置に保持可能である。Y軸方向が、副走査方向に相当する。Y軸走査機構42が、副走査手段に相当する。
テーブル台43は、Y軸走査機構42によってY軸方向に摺動自在であって、Y軸方向における任意の位置に保持可能に支持されている。これにより、吸着テーブル33aと、供給ローラー34及び従動ローラー34aと、媒体送りローラー36及び従動ローラー36aとは、Y軸走査機構42によってY軸方向に摺動自在であって、Y軸方向における任意の位置に保持可能である。
従動ローラー34aは、外周が供給ローラー34の外周に接しており、図示省略した付勢装置によって、供給ローラー34に押し付けられている。供給ローラー34は供給モーターによって回動させられ、供給ローラー34に当接している従動ローラー34aは、供給ローラー34に従って回動する。供給リール31から供給されたフィルム10は、供給ローラー34と従動ローラー34aとの間に挟まれて、従動ローラー34aによって供給ローラー34に押し付けられており、供給ローラー34の回動による外周の回動長さに略同等の長さが供給される。
当該張られた部分には、吸着テーブル33aの吸着面が臨んでいる。上述した吸着位置に位置する吸着テーブル33aの吸着面の位置は、媒体送りローラー36の外周及び供給ローラー34の外周に接する面の位置に略一致している。吸着位置に位置する吸着テーブル33aの吸着面は、供給ローラー34と媒体送りローラー36との間に張られたフィルム10に略接している。
吸着方法としては、大気吸引装置を設けて負圧によって吸着する方法や、帯電及び除電装置を設けて静電気によって吸着する方法などを用いることができる。
アイドラローラー38は、回動軸が軸方向に交差する方向に揺動可能であり、揺動方向の一方に付勢されている。フィルム10における、媒体送りローラー36及び従動ローラー36aと、巻取リール32との間の部分に、アイドラローラー38が付勢された状態で当接している。これにより、媒体送りローラー36及び従動ローラー36aとアイドラローラー38との間、及びアイドラローラー38と巻取リール32との間の部分が、略弛みなく張られている。これにより、フィルム10は、巻取リール32に巻き取られる際の状態が略平坦に維持され易くなっている。また、媒体送りローラー36におけるフィルム10の送り速度と、巻取リール32におけるフィルム10の巻取り速度との差によって、媒体送りローラー36と巻取リール32との間の部分の弛み量が変動する。しかし、弛み量の変動に追従してアイドラローラー38の位置が変わることで、略弛みなく張られた状態が維持される。吸着ユニット33の移動による媒体送りローラー36と巻取リール32との間の部分の弛み量の変動についても、同様にして、略弛みなく張られた状態が維持される。
供給排出機構部3が、供給手段に相当する。フィルム10が、連続媒体に相当する。吸着テーブル33aが保持手段に相当する。フィルム10の吸着テーブル33aに吸着される面がフィルム10の裏面であり、裏面の反対側の面が印刷面である。
X軸走査機構11は、X軸ガイドレール11aとX軸スライダー11bと支持柱台11dとを、それぞれ1対備えており、さらにガイドレール支持柱11cを4本備えている。一対の支持柱台11d,11dは、X軸方向において吸着テーブル33aを挟んで両側にそれぞれ1個ずつ配設されており、上述した一対のY軸ガイドレール42a,42aを間に挟む位置に配設されている。一方のY軸ガイドレール42aと支持柱台11dとの間には、メンテナンス装置部5が配設されている。
2本のガイドレール支持柱11cが、1個の支持柱台11dの上に、支持柱台11dのY軸方向の両端において、それぞれ1本ずつ立設されている。1個のX軸ガイドレール11aは、支持柱台11dの供給リール31の側の端にそれぞれ立設されたガイドレール支持柱11cに差渡されて、吸着テーブル33aの上方で、X軸方向に延在している。もう1個のX軸ガイドレール11aは、支持柱台11dの巻取リール32の側の端にそれぞれ立設されたガイドレール支持柱11cに差渡されて、吸着テーブル33aの上方で、X軸方向に延在している。
X軸走査機構11によってヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20をX軸方向に走査させ、吐出ノズル24を対向させることができる部分に、吐出ノズル24から吐出した機能液を着弾させることができる。当該領域を着弾領域と表記する。X軸方向が、主走査方向に相当する。X軸走査機構11が、主走査手段に相当する。
X軸走査機構11によってヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20をX軸方向に走査させ、Y軸走査機構42によってフィルム10における吸着テーブル33aに吸着保持された部分をY軸方向に走査させる。これにより、フィルム10における吸着テーブル33aに吸着保持された部分の略全面に対して、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24を臨ませることができる。
光源走査機構64は、光源軸ガイドレール64aと光源軸スライダー64bと一対のガイドレール支柱(図示省略)とを、備えている。一対のガイドレール支柱は、Y軸方向において、支持柱台11dに対してフィルム10の送り方向の下流側に、X軸方向において吸着テーブル33aを挟んで両側にそれぞれ1個ずつ配設されており、上述した一対のY軸ガイドレール42a,42aを間に挟む位置に立設されている。
光源軸ガイドレール64aは、吸着テーブル33aを挟んで両側にそれぞれ立設されたガイドレール支柱に差渡されて、吸着テーブル33aの上方で、X軸方向に略平行に延在している。光源軸ガイドレール64aの延在方向を光源走査方向と表記する。光源走査方向は、設計上はX軸方向と同一である。光源軸スライダー64bは、光源軸駆動モーター(図示省略)を介して、光源軸ガイドレール64aに、光源軸方向に摺動自在であって、任意の位置に保持可能に支持されている。
UVランプ61は、Y軸走査機構42によってランプ筐体62の開口に臨む位置に移動させられた吸着テーブル33aに吸着されたフィルム10に、紫外線を照射することができる。ランプ筐体62の開口は、光源走査機構64によって光源走査方向に走査されることによって、フィルム10のX軸方向の幅を包含する範囲に臨むことが可能であるため、UVランプ61は、フィルム10のX軸方向の幅を包含する範囲に紫外線を照射することができる。UVランプ61としては、例えば、高輝度であることからメタルハライドランプを用いる。
硬化ユニット6が備えるUVランプ61、又はUVランプ61とランプ筐体62が、硬化光源に相当する。光源走査機構64が、光源走査手段に相当する。
上述した表面硬化光源は、例えば硬化光の射出方向を、ヘッドユニット21の反対側に傾けて、表面硬化光源からの硬化光がヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20に照射されることを抑制している。
吸着テーブル33aに吸着保持されたフィルム10における、配置された機能液を硬化させる硬化対象部分を、Y軸方向において有効硬化領域まで移動させて停止させ、光源走査機構64によってUVランプ61を光源走査方向に走査させると共に、UVランプ61から紫外線を照射する。これにより、硬化対象部分に配置された機能液を硬化させることができる。UVランプ61を光源走査方向に移動させると共に紫外線を照射する照射走査と、吸着テーブル33aに吸着保持されたフィルム10をY軸方向に移動させる改行とを制御することにより、吸着テーブル33aの吸着面に吸着されたフィルム10上の任意の位置に紫外線を照射する。これにより、フィルム10上の任意の位置に配置された機能液を硬化させることができる。
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したX軸、Y軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が印刷装置1に装着された状態において、図1に示したX軸、Y軸、及びZ軸と一致している。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
圧電素子59は電極層と圧電材料とを積層した活性部を有し、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る、すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が印刷装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば180個の18倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約226.7mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24から1滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
上述した有効硬化領域は、X軸方向の幅が、フィルム10のX軸方向の幅を包含する範囲であり、Y軸方向の幅が、ユニットノズル列240AのY軸方向の長さを包含する範囲であって、着弾領域のY軸方向における幅である。UVランプ61を光源走査方向に移動させると共に紫外線を照射する照射走査工程と、着弾領域のY軸方向における幅を改行幅とする改行とを交互に実施することによって、フィルム10などの全面に印刷吐出された機能液の硬化を実施することができる。
次に、印刷装置1によってフィルム10に印刷する印刷工程について、図4、図5、図6、及び図7を参照して説明する。図4は、印刷工程を示すフローチャートである。図5、図6、及び図7は、印刷工程における、ヘッドユニット及び硬化ユニットの位置に対するフィルムの被印刷領域の位置及び吸着テーブルの位置を示す説明図である。図5、図6、及び図7に示したX軸、Y軸、及びZ軸は、図1に示したX軸、Y軸、及びZ軸と一致している。
このとき、吸着ユニット33の移動に同期させて、供給ローラー34及び媒体送りローラー36を回動させることで、吸着ユニット33の移動方向と反対側に、吸着ユニット33に対してフィルム10を相対移動させる。供給ローラー34及び媒体送りローラー36は、Y軸走査機構42によって移動されながら、同じ速度で移動方向と反対側にフィルム10を送るため、供給ローラー34及び媒体送りローラー36がフィルム10を伝って移動している状態となる。これにより、移動速度の誤差を無視すると、吸着ユニット33はY軸方向に移動するが、フィルム10のY軸方向の位置は移動しない。また、フィルム10にはY軸方向の力は作用しない。
被印刷領域101は、フィルム10において、フィルム10が吸着テーブル33aに吸着された状態を解除することなく印刷を実施することが可能な範囲の領域である。
印刷開始位置は、ヘッドユニット21に対する被印刷領域101のY軸方向の位置が、ヘッドユニット21をX軸方向に走査させると共に液滴吐出ヘッド20から機能液を吐出させる印刷吐出走査を開始できる位置である。図5(c)及び図5(d)に示した印刷開始位置は、例えば、被印刷領域101に、フィルム10の送り方向における最も下流側(巻取リール32側)から順次印刷吐出走査を実施して印刷する場合における印刷開始位置である。
印刷吐出済み行の位置が、硬化位置領域に位置していた(ステップS26でYES)場合には、ステップS27に進む。
当該印刷吐出走査によって、第三印刷行123に機能液が配置されている。並行して実施された照射走査によって、ステップS24の印刷吐出走査によって機能液を配置されている第一印刷行121における当該機能液が硬化されている。
硬化は、機能液のタック性がほとんどなくなるまで進行させることが好ましい。機能液のタック性がほとんどなくなるように硬化させるためには、硬化率(重合率)が95%以上に硬化させる。より好ましくは、硬化率(重合率)が98%以上に硬化させる。
印刷吐出走査における走査速度は、液滴吐出ヘッド20における吐出間隔などと整合させることが必要であるなど、変更する場合には、多くの制約がある。照射走査における走査速度は、適切な有効硬化領域が得られるような、UVランプ61から射出する紫外線の強度が設定できれば早くすることが可能であり、印刷吐出走査における走査速度より自由度が高い。
被印刷領域101への印刷吐出が完了していなかった(ステップS29でNO)場合には、ステップS27に戻り、ステップS27からステップS29を繰り返す。
被印刷領域101への印刷吐出が完了していた(ステップS29でYES)場合には、ステップS30に進む。図6(g)は、ステップS27を実施して、すなわち、第四印刷行124に対する印刷吐出走査と、第二印刷行122に対する照射走査とを並行して実施した後、ステップS28の改行を実施した状態を示している。第四印刷行124に対する印刷吐出走査を実施済であり、被印刷領域101への印刷吐出が完了している。
被印刷領域101に配置された機能液の硬化が完了していなかった(ステップS31でNO)場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、改行を実施する。改行は、上述したステップS25及びステップS28で実施した改行と同様である。ステップS32の次には、ステップS30に戻り、ステップS30及びステップS31を繰り返す。
被印刷領域101に配置された機能液の硬化が完了していた(ステップS31でYES)場合には、ステップS33に進む。図6(h)に示した状態では、第四印刷行124が硬化位置領域に位置している。当該位置で、第四印刷行124に対してステップS30の照射走査を実施して、第四印刷行124に配置されている機能液を硬化させることができる。第四印刷行124に配置されている機能液が硬化された状態が、被印刷領域101に配置された機能液の硬化が完了した状態である。
当該ステップS21の次に実施するステップS22では、吸着テーブル33aによって、フィルム10の被印刷領域101aを吸着する。
当該ステップS22の次に実施するステップS23では、図7(j)に示した被印刷領域101aのように、吸着テーブル33aに吸着された被印刷領域101aを印刷開始位置に移動させる。
次に、上述した印刷装置1と、一部の構成が異なる印刷装置110の構成について、図8を参照して説明する。図8は、印刷装置の概略構成を示す模式図である。図8(a)は、印刷装置の概略構成を示す模式平面図であり、図8(b)は、印刷装置の概略構成を示す模式側面図である。
印刷装置110を用いてフィルム10に印刷する印刷工程は、印刷装置1を用いてフィルム10に印刷する印刷工程と基本的に同様である。
照射走査においては、2個のUVランプ61を使用することができる。例えば、硬化位置領域を光源走査方向において2個の副領域に分割して、それぞれの副領域に1個のUVランプ61を臨ませて紫外線を照射させる。この場合、1個のUVランプ61が紫外線を照射する広さが硬化位置領域の半分になるため、照射走査における走査速度を上述したステップS30などにおける走査速度の1/2にすることができる。走査速度が1/2であることで、UVランプ61が照射する紫外線の強度は、上述した硬化ユニット6のUVランプ61が照射する紫外線の強度の1/2にすることができる。
あるいは、UVランプ61が照射する紫外線の強度及び走査速度は、上述した硬化ユニット6のUVランプ61が照射する紫外線の強度及び走査速度と同等のままで、それぞれの上記副領域に1個のUVランプ61を臨ませて紫外線を照射させる。この場合、照射走査の工程に要する時間を略半分に短縮することができる。
あるいは、UVランプ61が照射する紫外線の強度は、上述した硬化ユニット6のUVランプ61が照射する紫外線の強度と同等のままで、硬化位置領域の全域に、2個のUVランプ61をそれぞれ臨ませて紫外線を照射させる。この場合、走査速度を略2倍にしても、硬化位置領域の全域に、硬化ユニット6と同等の光量の紫外線を照射することができる。これにより、照射走査の工程に要する時間を略半分近くに短縮することができる。
次に、上述した印刷装置1及び印刷装置110と、一部の構成が異なる印刷装置210の構成について、図9を参照して説明する。図9は、印刷装置の概略構成を示す模式平面図である。
光源走査機構264は、光源軸第一ガイドレール264aと、光源軸第二ガイドレール265aと、光源軸第一スライダー264bと、光源軸第二スライダー265bと、二対のガイドレール支柱とを、備えている。二対のガイドレール支柱における一対のガイドレール支柱は、Y軸方向において、支持柱台11dに対してフィルム10の送り方向の下流側に、X軸方向において吸着テーブル33aを挟んで両側にそれぞれ1個ずつ配設されており、一対のY軸ガイドレール42a,42aを間に挟む位置に立設されている。
光源軸第一ガイドレール264aは、吸着テーブル33aを挟んで両側にそれぞれ立設されたガイドレール支柱に差渡されて、吸着テーブル33aの上方で、上述した光源走査方向と同様にX軸方向に略平行な光源走査方向に延在している。光源軸第一スライダー264bは、光源軸駆動モーターを介して、光源軸第一ガイドレール264aに、光源軸方向に摺動自在であって、任意の位置に保持可能に支持されている。
印刷装置210を用いてフィルム10に印刷する印刷工程は、印刷装置1を用いてフィルム10に印刷する印刷工程と基本的に同様である。
照射走査においては、2個のUVLED261を使用して、Y軸方向に並ぶ領域に紫外線を照射することができる。例えば、上述した硬化ユニット6のUVランプ61が紫外線を照射する硬化位置領域をY軸方向において2個の副領域に分割して、それぞれの副領域に対して1個のUVLED261を光源走査方向に走査させて紫外線を照射させる。この場合、1個のUVLED261が紫外線を照射するY軸方向における幅が硬化ユニット6硬化位置領域の半分になる。このため、UVLED261が照射する紫外線の光量は、単位面積あたりの紫外線の強度が略同一である場合、硬化ユニット6のUVランプ61が照射する紫外線の光量の1/2にすることができる。UVLED261が紫外線を照射すY軸方向の幅は、上述した硬化ユニット6のUVランプ61が紫外線を照射すY軸方向の幅の1/2にすることができる。
(1)印刷装置1、印刷装置110、及び印刷装置210においては、Y軸走査機構42によって吸着テーブル33aをY軸方向に走査させて、吸着テーブル33aのY軸方向の全幅を着弾領域及び硬化ユニット6などの有効硬化領域に位置させることができる。
これらの構成により、印刷装置1、印刷装置110、又は印刷装置210を用いてフィルム10の被印刷領域101に印刷を実施する際には、被印刷領域101は、全面が吸着テーブル33aに吸着されている。吸着されている状態を維持して、印刷吐出及び配置された機能液の硬化を実施する。これにより、フィルム10の被印刷領域101を平坦に維持できるため、被印刷領域101に皺ができるなどの平坦な状態が維持されないことに起因して印刷形状精度や印刷位置精度などが損なわれることを、抑制することができる。
これらの構成により、印刷装置1、印刷装置110、又は印刷装置210を用いてフィルム10の被印刷領域101に印刷を実施する際には、被印刷領域101が吸着テーブル33aに吸着されている状態を維持して機能液の硬化が実施される。機能液が硬化する前に吸着が解除された場合、フィルム10を扱うための力をフィルム10に伝える印刷装置の構成部材などが硬化していない機能液に直接接触することで、硬化していない機能液が当該構成部材などに付着したりする可能性が高くなる。また、フィルム10が巻き取られるなどして巻き取られたフィルム10が重なって、硬化していない機能液を介して互いに付着したりする可能性が高くなる。これらの弊害を、吸着テーブル33aに吸着されている状態を維持して機能液の硬化が実施されることで、抑制することができる。
着弾領域と有効硬化領域との距離が改行幅より大きい場合、改行幅の整数倍であることが好ましい。着弾領域と有効硬化領域との距離を改行幅の整数倍にして、着弾領域の幅と有効硬化領域の幅とを等しくすることで、同一の印刷吐出工程において着弾領域に位置していた部分が、同一の照射走査工程において有効硬化領域に位置する。これにより、同一の印刷吐出工程において配置(印刷)された機能液を、同一の照射走査工程において硬化させることができる。それと共に、印刷吐出走査工程と照射走査工程との少なくとも一部を、略並行して実施することができる。
Claims (14)
- 連続媒体を順次供給する供給手段と、
前記供給手段によって供給された前記連続媒体における被印刷領域を、前記連続媒体の被印刷面の反対側の裏面において吸着保持する保持手段と、
前記保持手段を、前記連続媒体の前記保持手段に吸着保持された部分における前記連続媒体の長さ方向に略平行な副走査方向に走査させる副走査手段と、
液状体を吐出する吐出手段と、
前記吐出手段を、前記連続媒体の前記保持手段によって吸着保持された部分における前記連続媒体の面に略平行な方向であって、前記副走査方向と交差する主走査方向に走査させる主走査手段と、
前記液状体を硬化させる硬化光を照射する硬化光源と、
前記硬化光源を、前記主走査方向に略平行な光源走査方向に走査させる光源走査手段と、を備え、
前記吐出手段は、前記主走査手段によって前記吐出手段を前記主走査方向に走査させ、前記副走査手段によって前記保持手段を前記副走査方向に走査させることによって、前記保持手段に吸着保持された前記被印刷領域の前記被印刷面に向けて前記液状体を吐出可能となる位置に配設されており、
前記硬化光源は、前記光源走査手段によって前記硬化光源を前記光源走査方向に走査させ、前記副走査手段によって前記保持手段を前記副走査方向に走査させることによって、前記保持手段に吸着保持された前記被印刷領域の前記被印刷面に向けて前記硬化光を照射可能となる位置に配設されていることを特徴とする印刷装置。 - 前記吐出手段と前記硬化光源とは、前記副走査方向において、同時に前記保持手段の吸着保持面に対向可能な距離を隔てて配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
- 前記硬化光源は、互いに独立して走査可能な複数の副硬化光源を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷装置。
- 前記光源走査手段は、複数の副光源走査手段を備え、それぞれの副光源走査手段は、互いに異なる前記副硬化光源を走査させることを特徴とする、請求項3に記載の印刷装置。
- 前記光源走査手段による走査速度は、前記主走査手段による走査速度と同じ又はそれ以上であり、前記硬化光源は、前記連続媒体における前記光源走査手段による走査の間に前記硬化光源が対向する部分に配置された前記液状体を硬化させることが可能な光量の前記硬化光を照射可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷装置。
- 前記光源走査手段による走査速度は、前記主走査手段による走査速度の少なくとも2倍以上であることを特徴とする、請求項5に記載の印刷装置。
- 前記硬化光源及び前記副硬化光源は、前記液状体を硬化率が95%以上に硬化させる前記硬化光を照射することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
- 連続媒体における被印刷領域を、前記連続媒体の被印刷面の反対側の裏面において、保持手段によって吸着保持し、前記被印刷領域の前記被印刷面に向けて液状体を吐出する吐出手段及び前記被印刷面に着弾した前記液状体に向けて硬化光を照射する硬化光源を用いて前記連続媒体に印刷する印刷方法であって、
前記被印刷領域の前記裏面を前記保持手段によって吸着する吸着工程と、
前記連続媒体の前記保持手段によって吸着保持された部分における前記連続媒体の長尺方向に略平行な副走査方向に、前記保持手段を移動させることによって前記被印刷領域を前記吐出手段に対して相対移動させる改行工程と、前記連続媒体の前記保持手段によって吸着保持された部分における前記連続媒体の面方向に略平行であって、前記副走査方向に交差する方向である主走査方向に前記吐出手段を走査させると共に、前記吐出手段から前記被印刷領域の前記被印刷面に向けて前記液状体を吐出する印刷吐出走査工程と、を有する印刷吐出工程と、
前記改行工程において前記副走査方向に前記保持手段を移動させることによって、又は前記改行工程と同様に前記副走査方向に前記保持手段を移動させることによって、前記被印刷領域を前記硬化光源に対して相対移動させる第二改行工程と、前記主走査方向と略平行な光源走査方向に前記硬化光源を走査させると共に、前記印刷吐出走査工程において前記保持手段によって吸着保持された部分に配置された前記液状体に、当該部分が前記保持手段によって吸着保持された状態を維持して、前記硬化光源から前記硬化光を照射する照射走査工程と、を有する硬化工程と、を有することを特徴とする印刷方法。 - 前記吐出手段と前記硬化光源とは、前記副走査方向において、同時に前記保持手段の吸着保持面に対向可能な距離を隔てて配設されており、前記印刷吐出工程は、前記照射走査工程と略並行して実施される前記印刷吐出走査工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の印刷方法。
- 前記照射走査工程は、前記硬化光源を構成する複数の副硬化光源のそれぞれの副硬化光源を互いに独立して走査させるとともに、前記副硬化光源から前記硬化光を照射する副照射走査工程を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の印刷方法。
- 前記副照射走査工程では、複数の副光源走査手段を用いて、それぞれの副光源走査手段に、互いに異なる前記副硬化光源を走査させることを特徴とする、請求項10に記載の印刷方法。
- 前記照射走査工程における走査速度は、前記印刷吐出走査工程における走査速度と同じ又はそれ以上であり、前記硬化光源は、前記連続媒体における前記照射走査工程の間に対向する部分に配置された前記液状体を硬化させることが可能な光量の前記硬化光を照射可能であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の印刷方法。
- 前記照射走査工程と前記印刷吐出走査工程とを略並行して実施し、1回の前記印刷吐出走査工程の間に、複数回数の前記照射走査工程を実施し、前記硬化光源は、前記連続媒体における複数回数の前記照射走査工程の間に前記硬化光源が対向する部分に配置された前記液状体を硬化させることが可能な光量の前記硬化光を照射することを特徴とする、請求項12に記載の印刷方法。
- 前記照射走査工程では、前記液状体を硬化率が95%以上に硬化させることを特徴とする、請求項8乃至13のいずれか1項に記載の印刷方法。
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