JP2011252732A - 放射線検出パネル及びその製造方法 - Google Patents

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晴康 中津川
Naoyuki Nishino
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Abstract

【課題】シンチレータが形成された支持基板が熱を受けた場合の放射線画像の画質低下を抑制する。
【解決手段】入射された放射線をシンチレータ層18によって光へ変換した後に、光電変換層16によって光を電荷へ変換し、光電変換層16に蓄積された電荷をTFT基板14のスイッチ素子をオンさせることで読み出す、間接変換方式の放射線検出パネル10において、カーボンから成る支持基板20のシンチレータ層18形成面と反対側の面に、支持基板20よりも熱伝導率が高い金属板から成る熱伝導シート21をシンチレータ層18の形成前に接着等によって積層した後に、シンチレータ層18の形成を行う。また、シンチレータ層18を形成した支持基板20及び熱伝導シート21のケーシング12内への収容に際し、熱伝導シート21の突出部21Aをケーシング12の貫通孔34内に挿入することで、熱伝導シート21の突出部21Aの端面を放射線画像検出器10のケーシング12の外面に露出させる。
【選択図】図1

Description

本発明は放射線検出パネル及びその製造方法に係り、特に、支持基板上に形成されたシンチレータを備えた放射線検出パネル及び当該放射線検出パネルの製造方法に関する。
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、照射されたX線等の放射線を検出し、照射放射線量の分布を表す放射線画像のデータへ直接変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)が実用化されており、このFPD等のパネル型の放射線検出器と、画像メモリを含む電子回路及び電源部を内蔵し、放射線検出器から出力される放射線画像データを画像メモリに記憶する可搬型の放射線検出パネル(以下、電子カセッテともいう)も実用化されている。電子カセッテは可搬性に優れているので、ストレッチャーやベッドに載せたまま被検者を撮影できると共に、電子カセッテの位置を変更することで撮影部位の調整も容易であるため、動けない被検者を撮影する場合にも柔軟に対処することができる。
上記の放射線画像検出器としては種々の構成が提案されており、例えば、照射された放射線をCsI:Tl、GOS(GdS:Tb)などのシンチレータ(蛍光体層)で光に一旦変換し、シンチレータから放出された光を光検出部によって電荷へ再変換して蓄積する間接変換方式の放射線画像検出器が知られている。間接変換方式の放射線画像検出器におけるシンチレータは、例えば支持基板にCsIを蒸着させることで形成することができる。また、上記の支持基板としては、高剛性で放射線透過率が高い、均質で材質ムラが少ない、耐熱性が高く熱膨張率がガラスに近い、耐薬品性・導電性を有する、等の理由でカーボンが多用されている。
上記に関連して特許文献1には、支持基板上にシンチレータを形成するにあたり、支持基板を保持する基板ホルダ(基板保持手段)に、加熱手段、冷却手段、加熱/冷却手段等の温度制御手段を設けたり、ヒータや加熱用のランプの輻射熱等によって支持基板を加熱したり、真空蒸着における蒸発源からの輻射熱等による支持基板の温度上昇を、支持基板に接触する部材に設けた放熱手段等による冷却と組み合わせた方法により、シンチレータの形成開始時は152〜189℃、形成終了時には190〜250℃となるように、支持基板の温度を制御する技術が開示されている。
また特許文献2には、柱状結晶を有するシンチレータ層を蒸着によってガラス基板上に形成する技術が開示されており、支持基板の材料として、ガラス以外にグラファイトやガラス状カーボンプレート、炭素繊維強化プラスチック等を用いることも記載されている。
また、特許文献3,4にも、支持基板上に蒸着によってシンチレータ層を形成する技術が開示されており、支持基板の材料として各種の材料が記載されている。
特開2010−14469号公報 特開2007−240306号公報 特開2008−209124号公報 特開2007−211199号公報
しかしながら、支持基板として多用されているカーボンは、熱伝導率が比較的低いという特性を有している。また、シンチレータを形成する支持基板は、支持基板上にシンチレータを形成する際の取扱性を考慮して一定以上の剛性を確保するために、厚みを或る程度厚くする必要がある。このため、カーボンで構成した支持基板は厚みが厚いことも相俟って熱伝導性が低く、その一部が外部から熱を受けて温度むら(温度が不均一な状態)が生じた場合、外部から受けた熱が放散されにくく、温度が不均一な状態が比較的長時間継続する。
これにより、支持基板上にCsIを蒸着させてシンチレータを形成する際に、蒸発源等から受ける熱によって支持基板の温度が不均一な状態となり、その影響を受けて支持基板上に形成されるシンチレータも厚み等が面内不均一となる。そして、シンチレータを形成した支持基板を組み込んで製造した放射線検出パネルにおいて、撮影によって得られる放射線画像に濃度むら等の画質低下が生ずるという課題があった。
また、放射線検出パネルの構成によっては、パネルの筐体内のレイアウトが、内蔵する電子回路等の熱源の近傍に支持基板が配置されたレイアウトとなることがあるが、この場合も、熱源から放散された熱が支持基板に蓄熱されることで支持基板の温度が不均一な状態となり、支持基板の温度が不均一な状態がシンチレータの特性(感度)に不均一に影響を及ぼすことで、放射線画像に濃度むら等の画質低下が生ずるという課題があった。
これに対して特許文献1〜4には、上記の課題について何ら記載されておらず、上記の課題を解決するための手段についても記載されていない。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、シンチレータが形成された支持基板が熱を受けた場合の放射線画像の画質低下を抑制できる放射線検出パネルを得ることが目的である。
また本発明は、シンチレータの厚み等の面内不均一性が抑制された放射線検出パネルを製造できる放射線検出パネルの製造方法を得ることが目的である。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る放射線検出パネルは、カーボンから成る支持基板と、前記支持基板の一方の面上に形成されたシンチレータと、熱伝導率が前記支持基板よりも高く、前記支持基板の前記シンチレータが形成された面と反対側の面に積層された熱伝導部材と、前記シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と、を含んで構成されている。
請求項1記載の発明に係る放射線検出パネルは、カーボンから成る支持基板と、当該支持基板の一方の面上に形成されたシンチレータと、シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と、を含んで構成されているが、請求項1記載の発明では、上記の支持基板のシンチレータが形成された面と反対側の面に、熱伝導率が支持基板よりも高い熱伝導部材が積層されている。これにより、支持基板が熱を受けた場合、支持基板が受けた熱は支持基板に蓄熱されることなく熱伝導部材へ伝導した後に、熱伝導部材内を伝導されて熱伝導部材の端部(表面)に到達し、到達した端部(表面)から排出(放散)される。
従って、支持基板が熱を受けた場合の支持基板の温度の不均一さが低減され、支持基板の温度がシンチレータの特性に影響を及ぼす度合いの不均一さも低減されるので、シンチレータが形成された支持基板が熱を受けた場合の放射線画像の画質低下を抑制することができる。
なお、請求項1記載の発明において、熱伝導部材としては、例えば請求項2に記載したように、熱伝導率が支持基板よりも高い金属から成る板状部材を適用することができる。この場合、熱伝導部材の剛性として比較的高い剛性を確保することも容易であり、熱伝導部材の剛性として比較的高い剛性を確保することで、後述のように支持基板の厚みを薄くすることも容易に実現することができる。
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、シンチレータは、請求項3に記載したように柱状結晶構造部を有していることが好ましい。これにより、シンチレータに放射線が入射されることに伴ってシンチレータで発生された光は、柱状結晶構造部において、柱状結晶の間隙に案内されて光検出部側へ射出されることで、光検出部側へ射出される光の拡散が抑制されるので、放射線検出パネルによって検出される放射線画像のボケを抑制することができる。
また、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、熱伝導部材が支持基板に積層されることに伴い、熱伝導部材及び支持基板から成る基板全体の剛性は支持基板単体よりも向上することから、熱伝導部材が積層された支持基板は、例えば請求項4に記載したように、熱伝導部材が積層されていない支持基板にシンチレータが形成される場合よりも、支持基板自体の厚みが薄くされていることが好ましい。これにより、支持基板自体の熱伝導性が向上することで、支持基板が熱を受けた場合の支持基板の温度の不均一さを更に低減することができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、熱伝導部材は、例えば請求項5にも記載したように、支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿った端部が放射線検出パネルの筐体の外面に露出するように、支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿って延設されていることが好ましい。これにより、支持基板が受けた熱は、熱伝導部材へ伝導し、支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿って熱伝導部材内を伝導し、支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿った熱伝導部材の端部に到達した後に、当該端部から放射線検出パネルの筐体外へ排出(放散)されるので、放射線検出パネルからの排熱の効率が向上し、支持基板の温度の不均一さを更に低減させることができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明において、熱伝導部材は、例えば請求項6に記載したように、支持基板側と反対側の面の少なくとも一部が放射線検出パネルの筐体の外面に露出するように配置されていることが好ましい。これにより、支持基板が受けた熱は、熱伝導部材へ伝導し、熱伝導部材の厚み方向に沿って熱伝導部材内を伝導し、熱伝導部材のうち支持基板側と反対側の面に到達した後に、当該支持基板側と反対側の面から放射線検出パネルの筐体外へ排出(放散)されるので、放射線検出パネルからの排熱の効率が向上し、支持基板の温度の不均一さを更に低減させることができる。
また、請求項1、請求項3〜請求項6の何れかに記載の発明において、熱伝導部材としては、例えば請求項7に記載したように、熱伝導率が支持基板よりも高い金属製の線材がメッシュ状に編み込まれて成るメッシュ部材を適用することも可能であり、例えば請求項8に記載したように、グラファイトから成る板状部材を適用することも可能であり、請求項9に記載したように、熱伝導率が支持基板よりも高い金属製の粉体をカーボンに混入した材料から成る板状部材を適用することも可能である。また、請求項2、請求項7、請求項9の何れかに記載の発明において、熱伝導率が支持基板よりも高い金属としては、例えば請求項10に記載したように銅又はアルミニウムを適用することができる。
請求項11記載の発明に係る放射線検出パネルの製造方法は、カーボンから成る支持基板の一方の面上に、熱伝導率が前記支持基板よりも高い熱伝導部材が積層された状態で、前記支持基板の熱伝導部材が積層された面と反対側の面に蒸着によってシンチレータを形成し、前記シンチレータを形成した前記支持基板及び前記支持基板に積層された前記熱伝導部材を、前記シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と共に単一の筐体内に収容して放射線検出パネルを製造する。
請求項11記載の発明では、カーボンから成る支持基板の一方の面上に、熱伝導率が支持基板よりも高い熱伝導部材が積層された状態で、支持基板の熱伝導部材が積層された面と反対側の面に蒸着によってシンチレータを形成するので、蒸着中に支持基板が受けた熱は、支持基板に蓄熱されることなく熱伝導部材へ伝導した後に、熱伝導部材内を伝導されて熱伝導部材の端部(表面)に到達し、到達した端部(表面)から排出(放散)される。これにより、蒸着中に支持基板が熱を受けることによる支持基板の温度の不均一さが低減されるので、支持基板の温度の不均一さの影響を受けて、支持基板上に形成されるシンチレータの厚み等が不均一となることが抑制される。
そして、請求項11記載の発明では、シンチレータを形成した支持基板及び支持基板に積層された熱伝導部材を、シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と共に単一の筐体内に収容して放射線検出パネルを製造するので、請求項11記載の発明によれば、シンチレータの厚み等の面内不均一性が抑制された放射線検出パネルを製造することができる。
以上説明したように本発明は、カーボンから成り一方の面上にシンチレータが形成された支持基板のうち、シンチレータが形成された面と反対側の面に、熱伝導率が支持基板よりも高い熱伝導部材を積層したので、シンチレータが形成された支持基板が熱を受けた場合の放射線画像の画質低下を抑制できる、という優れた効果を有する。
また本発明は、カーボンから成る支持基板の一方の面上に、熱伝導率が支持基板よりも高い熱伝導部材が積層された状態で、支持基板の熱伝導部材が積層された面と反対側の面に蒸着によってシンチレータを形成し、シンチレータを形成した支持基板及び支持基板に積層された熱伝導部材を光検出部と共に単一の筐体内に収容して放射線検出パネルを製造するので、シンチレータの厚み等の面内不均一性が抑制された放射線検出パネルを製造できる、という優れた効果を有する。
実施形態で説明した放射線画像検出器の、(A)は断面図、(B)は支持基板周りの斜視図である。 シンチレータの結晶構成を模式的に示す概略図である。 シンチレータの柱状結晶領域の断面を示すイメージ図である。 シンチレータの非柱状結晶領域の非柱状結晶断面を示すイメージ図である。 放射線画像検出器の構成を模式的に示す概略側面図である。 放射線画像検出器の電気系の構成を示す概略ブロック図である。 放射線画像検出器の1画素に相当する部分の等価回路を示す回路図である。 真空成膜装置の概略構成図である。 基板保持具に基板を取り付ける工程を示す概略図である。 放射線画像検出器の他の構成を示す、(A),(B)は断面図、(C)は外観を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1(A)には本実施形態に係る放射線画像検出器(所謂電子カセッテ)10が示されている。放射線画像検出器10は、底面が矩形で厚みを有する平板状とされているが、可搬性を考慮して薄型に構成されており、画像情報を担持した放射線が照射される毎に前記画像情報を画像データに変換して蓄積記憶する機能を有している。放射線画像検出器10は、図1(A)における下方側の底面が放射線照射面10Aとされており、放射線画像の撮影時には、放射線照射面10Aが被写体を挟んで放射線発生部(図示省略)と対向するように配置され、放射線発生部から射出され、被写体を透過することで画像情報を担持した放射線は、放射線画像検出器10の放射線照射面10Aに照射される。
図1(A)に示すように、放射線画像検出器10は、放射線を透過させる材料から成りおよそ扁平な箱形のケーシング(筐体)12によって覆われている。また、放射線画像検出器10は、放射線を一旦光に変換し、その光を電荷に変換して放射線検出を行う間接変換方式であり、ケーシング12の内部には、ケーシング12のうちの放射線照射面10A側から順に、TFT基板14、a−Siフォトダイオードから成り光−電気変換を行う光電変換層16、放射線−光変換を行うシンチレータ層18、支持基板20、熱伝導シート21及び電子回路基板22が設けられている(間接変換方式)。なお、図示は省略するが、熱伝導シート21と電子回路基板22との間には、電子回路基板22に搭載された各種電子回路が放射線の照射に伴って損傷することを回避するために鉛板が配設されている。また、光電変換層16はTFT基板14上に設けられている一方、シンチレータ層18は支持基板20の一方の面上に形成され、熱伝導シート21は支持基板20のシンチレータ層18が形成された面と反対側の面に接着等によって積層されている。
以下、まずシンチレータ層18について説明する。シンチレータ層18は、入射された放射線を、放射線の入射線量に応じた光量の光へ変換するためのものであり、構成材料としては、例えば、CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)、NaI:Tl(タリウム賦活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)から成る結晶を用いることができるが、これらの材料から成るものに限られるものではない。なお、上記の各種材料の中でも、発光スペクトルが光電変換層16の分光感度が極大となる波長域(550nm付近)と適合し、湿度による経時的な劣化も生じ難い等の理由から、CsI:Tlを用いてシンチレータ層18を構成することが好ましい。
また本実施形態におけるシンチレータ層18は、図2に示すように、放射線入射側(光電変換層16側)に柱状結晶24から成る柱状結晶領域が形成され、シンチレータ層18の放射線入射側と反対側(支持基板20側)に非柱状結晶26から成る非柱状結晶領域が形成されて構成されている。なお、上記の柱状結晶領域は請求項3に記載の柱状結晶構造部に対応しており、シンチレータ層18は請求項3に記載のシンチレータに対応している。
上記のように、シンチレータ層18のうち、高効率の発光が得られる柱状結晶24から成る柱状結晶領域が光電変換層16側に位置しているので、シンチレータ層18で発生された光は柱状結晶24の間隙に案内されて光電変換層16側へ射出され、光電変換層16側へ射出される光の拡散が抑制されることで、放射線画像検出器10によって検出される放射線画像のボケが抑制される。また、シンチレータ層18の深部(非柱状結晶領域)に到達した光も、非柱状結晶26によって光電変換層16側へ反射されることで、光電変換層16に入射される光の光量(シンチレータ層18で発光された光の検出効率)が向上する。
なお、シンチレータ層18の放射線入射側に位置する柱状結晶領域の厚みをt1とし、シンチレータ層18の支持基板20側に位置する非柱状結晶領域の厚みをt2としたときに、t1とt2が下記の関係式を満たすことが好ましい。
0.01≦(t2/t1)≦0.25
柱状結晶領域の厚みt1と非柱状結晶領域の厚みt2とが上記関係式を満たすことで、発光効率が高く光の拡散を防止する領域(柱状結晶領域)と、光を反射する領域(非柱状結晶領域)と、のシンチレータ層18の厚み方向に沿った比率が好適な範囲となり、シンチレータ層18の発光効率、シンチレータ層18で発光された光の検出効率、及び、放射線画像の解像度が向上する。非柱状結晶領域の厚みt2が厚過ぎると発光効率の低い領域が増え、放射線画像検出器10の感度の低下に繋がることから、(t2/t1)は0.02以上かつ0.1以下の範囲であることがより好ましい。
図3は、シンチレータ層18を構成する柱状結晶24の、図2のA−A線に沿った断面を示す。図3から明らかなように、柱状結晶領域において、柱状結晶24は結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を示し、且つ、柱状部分の周辺部に間隙が形成されており、個々の柱状結晶24は互いに独立して存在している。ここで、柱状結晶24の柱状部分における結晶径は、効率的な導光性を生じさせる観点から2μm以上15μm以下であることが好ましく、4μm以上かつ10μm以下であることがより好ましい。
なお、上記の結晶径とは、柱状結晶24の成長方向上面から観察した結晶の最大径を意味する。具体的な測定方法としては、シンチレータ層18の層厚方向に対して垂直な面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで柱径(結晶径)を測定する。1回の撮影でシンチレータ層18を表面から見た時に柱状結晶が100本から200本観察できる倍率(約2000倍程度)で観察し、1回の撮影での撮影範囲内に存在する結晶全てに対し、柱状結晶の柱径の最大値を測定して平均した値を採用することができる。柱径(μm)は、小数点以下2桁まで読み、平均値をJIS Z 8401に従い小数点以下2桁目を丸めた値とした。
図4は、シンチレータ層18を構成する非柱状結晶26の、図2のA'−A'線に沿った断面を示す。図4から明らかなように、非柱状結晶領域では、結晶同士が不規則に結合したり重なり合ったりして結晶間の明確な間隙は殆ど認めらない。非柱状結晶領域のように結晶間が癒着している場合の結晶径の測定は、隣接結晶間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の粒界と見なし、癒着した結晶同士を最小多角形となるように分離して柱径および柱径に対応する結晶径を測定し、柱状結晶領域における結晶径と同様にして平均値をとり、その値を採用することができる。
非柱状結晶の結晶径は、効率的な反射を生じさせる観点から0.2μm以上かつ7.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上かつ6.0μm以下であることがより好ましい。また、非柱状結晶の結晶形状は、反射効率の観点から略球状であることが好ましく、非柱状結晶領域は、球状に近い結晶(略球状結晶)の集合体で構成されることが好ましい。
次に、上述したシンチレータ層18が形成された支持基板20及び熱伝導シート21について説明する。本実施形態では、支持基板20として、カーボンから成り、平板状かつ底面が矩形状に整形された支持基板を用いている。なお、支持基板20は無垢のカーボン板で構成してもよいし、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化合成樹脂)から成る基板を用いてもよく、CFRPを構成する炭素繊維としてもピッチ系とPAN系の何れを用いてもよい。
また支持基板20は、シンチレータ層18が形成された面と反対側の面に熱伝導シート21が接着等によって積層されており、これに伴い、支持基板20及び熱伝導シート21から成る基板全体の剛性(例えば基板の撓み等に対する剛性)は支持基板20単体よりも向上する。このため、本実施形態では、支持基板20及び熱伝導シート21から成る基板全体の剛性が、熱伝導シート21が積層されていない状態の支持基板20にシンチレータ層18を形成する場合に要求される剛性と同程度となるように、支持基板20自体の厚み寸法を、熱伝導シート21が積層されていない状態の支持基板20にシンチレータ層18を形成する場合よりも小さく(厚みを薄く)している。なお、上記事項は請求項4記載の発明に対応している。
熱伝導シート21は、熱伝導率が支持基板20よりも高い金属(例えばアルミニウムや銅等)から成り、平板状かつ底面が矩形状に整形されている。図1(B)に示すように、熱伝導シート21の底面は、長辺が支持基板20の長辺とおよそ同長さとされている一方、短辺は支持基板20の短辺よりも長くされており、支持基板20の短辺方向に沿った両端部から突出する突出部21Aが生ずるように支持基板20と積層されている。図1(A)に示すように、放射線画像検出器10のケーシング12の側面には貫通孔34が形成されており、熱伝導シート21は、支持基板20及び熱伝導シート21がケーシング12内に収容される際に、突出部21Aが貫通孔34内に挿入されることで、突出部21Aの端面がケーシング12の外面に露出している。
後述のように支持基板20にはシンチレータ層18が形成されるが、熱伝導シート21は、支持基板20にシンチレータ層18が形成されるよりも前に接着等によって支持基板20に積層される。なお、熱伝導シート21は本発明における熱伝導部材に対応しており、より詳しくは請求項2,5に記載の熱伝導部材に対応している。
図5に示すように、TFT基板14は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)から成るスイッチ素子48が絶縁性基板50上にマトリクス状に配列(図6も参照)されて構成されている。絶縁性基板50としては、例えば、ガラス基板、各種セラミック基板、樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板50は、これらの材料に限られるものではない。
また、光電変換層16はバイアス電極38、光導電層40及び電荷収集電極42の積層体によって構成されている。光導電層40はシンチレータ層18とTFT基板14との間に配置されており、シンチレータ層18による放射線−光変換によってシンチレータ層18から射出された光が入射されることで電荷を生成する。光導電層40のシンチレータ層18側の表面には、光導電層40にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極38が形成されており、TFT基板14には、光導電層40で生成された電荷を収集する電荷収集電極42が形成されている。電荷収集電極42はスイッチ素子48に対応してTFT基板14にマトリクス状に配列されており、個々の電荷収集電極42で収集された電荷は個々のバイアス電極38と電荷収集電極42との間に蓄積される。従って、放射線画像検出器10に照射された放射線Xに担持されていた放射線画像情報は画素単位で電荷へ変換されて光電変換層16に保持される。光電変換層16に保持された電荷はスイッチ素子48がオンされることで読み出される。
また、TFT基板14上には、TFT基板14上を平坦化するための樹脂製の平坦化層44が形成されており、平坦化層44上には、シンチレータ層18をTFT基板14に接着するための接着層46が形成されている。なお、接着層46や平坦化層44は必須ではなく、TFT基板14の表面とシンチレータ層18の柱状結晶領域とを対向させ直接密着させるようにしてもよい。
また、TFT基板14には、一定方向(行方向)に延設され、個々のスイッチ素子48を行単位でオンオフさせるための複数本のゲート配線54と、ゲート配線54と直交する方向(列方向)に延設され、オンされたスイッチ素子48を介して光電変換層16から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線56が設けられている。個々のゲート配線54はゲート線ドライバ58に接続されており、個々のデータ配線56は信号処理部60に接続されている。光電変換層16(の個々のバイアス電極38と電荷収集電極42との間)に電荷が蓄積されると、スイッチ素子48はゲート線ドライバ58からゲート配線54を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オンされたスイッチ素子48に対応する電荷収集電極42とバイアス電極38との間に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線56を伝送されて信号処理部60に入力される。従って、光電変換層16に保持されている電荷は行単位で順に読み出される。
図7に示すように、スイッチ素子48のソースはデータ配線56に接続され、データ配線56は信号処理部60に接続されている。また、図7(及び図6)では光電変換層16のうち個々のスイッチ素子48(画素)に対応するバイアス電極38、光導電層40及び電荷収集電極42を光電変換部62として示しており、スイッチ素子48のドレインは光電変換部62に接続され、スイッチ素子48のゲートはゲート配線54に接続されている。信号処理部60は、個々のデータ配線56毎にサンプルホールド回路64を備えている。個々のデータ配線56を伝送された電荷信号はサンプルホールド回路64に保持される。サンプルホールド回路64はオペアンプ64Aとコンデンサ64Bを含んで構成され、電荷信号をアナログ電圧に変換する。また、サンプルホールド回路64にはコンデンサ64Bの両電極をショートさせることで、コンデンサ64Bに蓄積された電荷を放電させるリセット回路として作用するスイッチ64Cが設けられている。
サンプルホールド回路64の出力側にはマルチプレクサ66、A/D(アナログ/デジタル)変換器68が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はアナログ電圧に変換されてマルチプレクサ66に順に(シリアルに)入力され、A/D変換器68によってデジタルの放射線画像情報へ変換される。
図5に示すように、信号処理部60にはラインメモリ70が接続されており、信号処理部60のA/D変換器68から出力された放射線画像情報はラインメモリ70に順に記憶される。ラインメモリ70は放射線画像を表す放射線画像情報を所定ライン分記憶可能な記憶容量を有しており、1ラインずつ電荷の読み出しが行われる毎に、読み出された1ライン分の放射線画像情報がラインメモリ70に順次記憶される。
ラインメモリ70は放射線画像検出器10全体の動作を制御する検出器制御部72と接続されている。検出器制御部72はマイクロコンピュータから成り、外部機器との間での各種情報の伝送を制御する外部I/F部74が接続されている。従って、検出器制御部72は外部I/F部74を介して外部機器との間で各種情報の送受信が可能とされている。なお、外部I/F部74と外部機器との間の情報の伝送には光通信が好適であるが、これに限定されるものではなく、通信ケーブル経由での有線通信や、光以外の電磁波を用いた無線通信を適用することも可能である。
また、放射線画像検出器10は電源部76を備えており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ58、信号処理部60、ラインメモリ70、外部I/F部74や検出器制御部72として機能するマイクロコンピュータ)は、電源部76から供給された電力によって作動する。電源部76は、放射線画像検出器10の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路や素子へ電力を供給する。なお、図6及び図7に示した各回路は何れも電子回路基板22に搭載されている。また、図6及び図7に示した各回路は、光電変換層16及びTFT基板14と共に本発明における光検出部に対応している。
次に図8を参照し、支持基板20上にシンチレータ層18を形成する際に用いられる真空成膜装置80について説明する。真空成膜装置80は、蒸着材料を支持基板20に蒸着して成膜する際に用いられる真空槽82を備えている。真空槽82はステンレス等の金属で構成され、真空ポンプ(図示省略)が接続されており、真空ポンプによって内部が真空とされる。真空槽82内部の底部(下側)には、蒸着材料を支持基板20へ向けて蒸発させる蒸発源84が設けられている。なお、蒸発源84としては、蒸着材料を加熱して気化させるための抵抗加熱ヒーター(図示省略)が内部に設けられた構成を採用することができるが、これに限られるものではなく、電子ビームや高周波誘導、レーザー等による加熱を行う構成でもよいし、加熱による気化のみならず、比較的低圧力で行なわれるイオンビームスパッタリング等によって物質の気化を行う構成でもよい。
また、真空槽82内部の天部(上側)には、支持基板20のうちの蒸着材料を蒸着する蒸着面が、蒸発源84と所定距離を空けて対向している状態で支持基板20を保持するための基板保持具86が設けられている。基板保持具86は、伝熱材88、支持基板20を所定の温度に保つ温調プレート90を介して真空槽82内部の天部に取り付けられている。伝熱材88は粘着性を有していても良く、十分粘着性がある場合、基板保持具86は伝熱材88の粘着性のみで温調プレート90に保持される。伝熱材88が基板保持具86を保持するのに十分な粘着性を有していない場合や、全く粘着性を有していない場合、基板保持具86は図示しない固定部材によって温調プレート90に保持される。
基板保持具86は、支持基板20の裏面(蒸着面と反対側の面)が底面92Aに取り付けられるベース部材92を備えている。またベース部材92には、ベース部材92の表裏を貫通する複数個の断面円形状の吸引孔94が設けられている。より詳しくは、図9に示すように、吸引孔94は直交する2方向に沿ってマトリクス状にベース部材92に設けられている。また、支持基板20がベース部材92の底面92Aに貼り付けられた状態で、吸引手段(図示省略)が作動され、支持基板20を吸引する吸引力(負圧)が吸引孔94に発生される。この吸引力により、支持基板20はベース部材92の底面92Aに密着される。
また、ベース部材92の水平方向両側には、下側に向って突出する位置決めピン96が埋設されている。また、位置決めピン96に位置決めされる断面L字状のマスク部材98が設けられており、このマスク部材98により、支持基板20の蒸着面上における成膜領域100の範囲が決定される。すなわち、マスク部材98には、位置決めピン96に位置決めされる支持部98Aと、一端部が支持部98Aと連結され他端部が支持基板20と蒸発源84との間に延びるマスク部98Bとが設けられている。そして、マスク部98Bが、蒸発源84から支持基板20に向けて蒸発された一部の蒸着材料を遮ることで、支持基板20の蒸着面に成膜される成膜領域100の範囲が決定されることになる。
また、温調プレート90に伝熱材88を介して取り付けられるベース部材92の天面92Bには、吸引孔94の内部の空気をベース部材92の天面92Bに設けられた吸引口94Aを介さずに外部へ排出する連通路102が複数本設けられている。連通路102は、全ての吸引孔94の吸引口94Aを横切るように直線状に形成され、伝熱材88によって覆われる領域から露出してベース部材92の両端部まで延びている。この構成により、連通路102は、真空成膜装置80に基板保持具86が取り付けられた状態で、全ての吸引孔94の内部の空気を外部と連通させる。
次に本実施形態の作用として、まず放射線画像検出器10の製造について説明する。前述のように、支持基板20は、平板状に形成されたカーボン材を矩形状に切り出すことで製作される。続いて、支持基板20へのシンチレータ層18の形成に先立ち、支持基板20のうちシンチレータ層18を形成する面と反対側の面に、支持基板20の短辺方向に沿った両端部から突出する突出部21Aが生ずるように、熱伝導シート21を接着等によって積層する(図9も参照)。
この熱伝導シート21の積層により、支持基板20及び熱伝導シート21から成る基板全体の剛性(例えば基板の撓み等に対する剛性)が増大する。従って、本実施形態のように、支持基板20自体の厚み寸法を、熱伝導シート21が積層されていない状態の支持基板20にシンチレータ層18を形成する場合よりも小さく(厚みを薄く)しても、基板全体の剛性として、熱伝導シート21が積層されていない状態の支持基板20にシンチレータ層18を形成する場合の支持基板20単体と同等の剛性を確保することができ、放射線画像検出器10の各製造工程(例えば支持基板20にシンチレータ層18を形成する工程)における支持基板20の撓みが抑制される。
次に支持基板20にシンチレータ層18が形成される。支持基板20へのシンチレータ層18の形成にあたっては、まず、基板保持具86への支持基板20及び熱伝導シート21の取り付けが行われる。すなわち、ベース部材92の底面92Aを鉛直方向上方に向けて配置した状態で、熱伝導シート21のうち支持基板20側と反対側の面をベース部材92の底面92A上に配置する。
次に、ベース部材92の天面92B側に吸引手段(図示省略)を配置し、この吸引手段を作動させて吸引孔94に支持基板20及び熱伝導シート21を吸引する吸引力を発生させることで、ベース部材92の底面92Aに接触している熱伝導シート21をベース部材92の底面92Aに密着させる。また、熱伝導シート21が底面92Aに密着され、支持基板20及び熱伝導シート21がベース部材92(基板保持具86)に取り付けされると、ベース部材92から吸引手段を離脱させる。
続いて、支持基板20及び熱伝導シート21が取り付けられた(熱伝導シート21が密着された)基板保持具86が真空成膜装置80に取り付けされる。すなわち、まずベース部材92の底面92Aが鉛直方向下方を向くようにベース部材92が反転される(この状態での支持基板20及び熱伝導シート21の配置位置を図9に破線で示す)。また、ベース部材92の両側から下方に向けて突出した位置決めピン96に、マスク部材98の支持部98Aに形成された凹部が嵌め込まれ、マスク部材98がベース部材92に対して位置決めされた後、図示しない固定部材によってマスク部材98がベース部材92に固定される。さらに、ベース部材92の天面92Bに、温調プレート90に基板保持具86を固定する伝熱材88が貼付される。
次に、伝熱材88が貼付された基板保持具86が、未だ真空状態となっていない真空成膜装置80の真空槽82の中に挿入され、伝熱材88を介して温調プレート90に基板保持具86(及び支持基板20)が取り付けされる。この状態で、真空ポンプ(図示省略)が作動されて真空槽82の内部が真空状態とされる。このとき、吸引孔94の内部に滞留していた空気は連通路102を通って真空槽82の内部に放出され、真空ポンプによって吸引される。
続いて、真空成膜装置80によって支持基板20へのシンチレータ層18の形成が行われる。本実施形態に係るシンチレータ層18は、柱状結晶領域と非柱状結晶領域とが連続的に形成されて構成されているが、このような構成のシンチレータ層18は、気相堆積法を用いることで、支持基板20の蒸着面に直接、かつ容易に形成可能である。
以下、CsI:Tlを用いた態様を例に挙げて説明すると、シンチレータ層18のうちの非柱状結晶領域は、真空度0.01〜10Paの環境下で、CsI:Tlを蒸発源84によって気化させ、支持基板20の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを支持基板20の蒸着面上に堆積させることで形成することができる。気相堆積法により支持基板20上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は不定形、或いは略球状で直径が比較的小さな結晶の集合体が形成される。
また、非柱状結晶領域が厚みt2となるように非柱状結晶領域を形成した後、真空度を上げる、支持基板20の温度を高くする、の少なくとも一方を行うことで、効率よく均一な柱状結晶を成長させることができ、非柱状結晶領域の形成から連続的に柱状結晶を成長させる(柱状結晶領域を形成する)ことができる。そして、柱状結晶領域が厚みt1となった時点でCsI:Tlを停止させることで、支持基板20の蒸着面上に、厚みt1の柱状結晶領域と厚みt2の非柱状結晶領域とが連続的に形成されて成るシンチレータ層18が形成される。
本実施形態では、支持基板20に熱伝導シート21が積層されているので、シンチレータ層18の形成時に支持基板20が蒸発源84等から受けた熱は、支持基板20の厚みを薄くしていることも相俟って支持基板20から熱伝導シート21へ速やかに伝導し、熱伝導シート21の端部(支持基板20側と反対側の面や支持基板20の平面方向に沿った端部)へ向けて熱伝導シート21内を伝導した後に、熱伝導シート21の端部から排出(放散)されることで、支持基板20の蒸着面上の各位置における温度が均一化される。また、支持基板20に熱伝導シート21が積層されていることで、シンチレータ層18の形成時に熱伝導シート21がベース部材92と密着されることと相俟って、支持基板20の蒸着面の平面性が維持される。
これにより、支持基板20の蒸着面(の成膜領域100)に形成されるシンチレータ層18(の非柱状結晶領域及び柱状結晶領域)の厚みや特性の均一化を実現することができ、放射線画像検出器10によって検出された放射線画像に、シンチレータ層18の厚みや特性の不均一性に起因する濃度むら等の画質低下が生ずることを防止することができる。
シンチレータ層18が形成された支持基板20及び熱伝導シート21は、基板保持具86と一体化された状態で真空槽82から取り出され、ベース部材92からマスク部材98が取り外された後に、支持基板20もベース部材92から離間される。シンチレータ層18が形成されてベース部材92から離間された支持基板20及び熱伝導シート21は、光電変換層16が形成されたTFT基板14及び電子回路基板22と共に、図1(A)に示す配置でケーシング12内に収容されることで放射線画像検出器10が製造されるが、シンチレータ層18が形成された支持基板20及び熱伝導シート21のケーシング12内への収容に際しては、熱伝導シート21の突出部21Aがケーシング12に設けられた貫通孔34内に挿入される。これにより、放射線画像検出器10が完成した状態で、熱伝導シート21の突出部21Aの端面は放射線画像検出器10のケーシング12の外面に露出される。
放射線画像の撮影時には放射線画像検出器10の電子回路基板22に搭載された各種回路が動作するが、このうちオペアンプ64Aや電源部76等は動作中の発熱量が比較的大きく、これらの回路で発生した熱は電子回路基板22から支持基板20側へ放射される。しかしながら、図1(A)に示す構成では、電子回路基板22と支持基板20との間に熱伝導シート21が存在しているので、放射線画像の撮影時に電子回路基板22から支持基板20側へ放射された熱は熱伝導シート21に受熱される。また、支持基板20は熱伝導率が比較的低いので、熱伝導シート21が受けた熱は、主に支持基板20の平面方向に沿った端部へ向けて熱伝導シート21内を伝導した後に、支持基板20の平面方向に沿った熱伝導シート21の端部からケーシング12外へ排出(放散)される。
これにより、電子回路基板22から支持基板20側へ放射された熱が支持基板20へ伝導することが抑制され、放射線画像の撮影時における支持基板20の各位置における温度も均一化されるので、支持基板20の温度が不均一な状態がシンチレータ層18の特性(感度)に不均一に影響を及ぼすことで、放射線画像に濃度むら等の画質低下が生ずることを防止することができる。
なお、図1(A)では、支持基板20の平面方向に沿った熱伝導シート21の端部が放射線検出パネル10の筐体12の外面に露出するように、熱伝導シート21の底面の短辺方向の長さを支持基板20の平面方向に沿って延設した態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、放射線検出パネル10の筐体12からの排熱の効率は低下するものの、熱伝導シート21全体を放射線検出パネル10の筐体12内に収容する態様(熱伝導シート21の端部を放射線検出パネル10の筐体12の外面に露出させない態様)も本発明の権利範囲に含まれる。
また、上記では本発明におけるシンチレータの一例として、図2に示すように、柱状結晶領域と非柱状結晶領域が連続的に形成された構成のシンチレータ層18を説明したが、本発明におけるシンチレータは、例えば上記の非柱状結晶領域に代えてアルミニウム等から成る光反射層が設けられ、柱状結晶領域のみが形成された構成であってもよいし、他の構成であってもよい。
また、上記では本発明に係る放射線画像検出パネルとして、支持基板20及びシンチレータ層18のうち、シンチレータ層18側から放射線が入射されることを前提とした構成(図1(A)参照)を例に説明したが、本発明に係る放射線画像検出パネルは上記構成に限定されるものではなく、例えば支持基板20及びシンチレータ層18のうち、支持基板20側から放射線が入射されることを前提とした構成(一例として図10(A)に示すように、放射線入射方向から見てTFT基板14の背面側に電子回路基板22が配置された構成の放射線画像検出器110)であってもよいし、例として図10(B),(C)に示すように、支持基板20及びシンチレータ層18のうち、シンチレータ層18側からも支持基板20側からも放射線が入射されることを前提とした構成(図10(C)に示すように、電子回路基板22に搭載されていた各種回路が、支持基板20やTFT基板14の側方に配置されたケーシング114内に収容されている構成の放射線画像検出器112)であってもよい。
更に、上記のように、電子回路基板22をTFT基板14の背面側、或いは支持基板20やTFT基板14の側方に配置する場合(熱伝導シート21を挟んで支持基板20の反対側に電子回路基板22を配置しない場合)には、例として図10(A)〜(C)に示すように、熱伝導シート21のうち支持基板20と反対側の面の少なくとも一部が、放射線画像検出器110,112の筐体12の外面に露出する(熱伝導シート21を放射線画像検出器110,112の天板の一部として用いる)ように構成することが好ましい。これにより、図1(A)に示す構成よりも熱伝導シート21のうち筐体12の外面に露出している部分の面積が増大することで、放射線画像検出器110,112の筐体12からの排熱の効率が更に向上し、支持基板20の温度の不均一さを更に低減させることができる。なお、上記構成は請求項6に記載の発明に対応している。
また、上記では熱伝導部材としての熱伝導シート21を、熱伝導率が支持基板20よりも高い金属から成り平板状かつ底面が矩形状に整形された金属板で構成した態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明における熱伝導部材は、例えば、熱伝導率が支持基板20よりも高い金属(例えば銅等)製の線材がメッシュ状に編み込まれて成る金属メッシュで構成してもよいし、グラファイトから成る板状の部材で構成してもよいし、熱伝導率が支持基板20よりも高い金属(例えばアルミニウムや銅等)製の粉体をカーボンに混入した材料から成る板状の部材で構成してもよい。また、熱伝導シートの構成材料としては、アルミニウムと炭素材料の複合材料、又は、銅と炭素材料の複合材料である超熱伝導材料(STC:Super Thermal Conductive composites/島根県、”高熱伝導性と低熱膨張性を併せ持つ新素材を開発!”、[online]、[平成22年5月25日検索]、インターネット<URL:http://www.pref.shimane.lg.jp/sangyo/kouhou/shinsozaikaihatsu.html>)も好適である。また、熱伝導部材の底面も矩形状に限られるものではなく、熱伝導部材の熱伝導・排熱の機能が損なわれない範囲内で、任意の底面形状を採用可能であることは言うまでもない。
また、上記では熱伝導シート21として金属板を用いることで、熱伝導シート21内における熱伝導率は熱伝導の方向に拘わらず均質であるが、本発明における熱伝導部材は、熱伝導の方向によって熱伝導率が相違する熱伝導異方性を有する構成であってもよい。例えば図1(A)に示す放射線画像検出器10では、熱伝導シート21の短辺方向に沿った端部が筐体12の外面に露出しているので、当該端部からの排熱量がなるべく多くなるように、熱伝導シート21は、支持基板20の平面と平行かつ熱伝導シート21の短辺と平行な方向に沿った熱伝導率が他の方向に沿った熱伝導率よりも高いことが好ましい。また、例えば図10(A)〜(C)に示す放射線画像検出器110,112では、熱伝導シート21の支持基板20と反対側の面が筐体12の外面に露出しているので、当該面からの排熱量がなるべく多くなるように、熱伝導シート21は、熱伝導シート21の厚み方向に沿った熱伝導率が他の方向に沿った熱伝導率よりも高いことが好ましい。
10 放射線画像検出器
12 ケーシング
14 TFT基板
16 光電変換層
18 シンチレータ層
20 支持基板
21 熱伝導シート
22 電子回路基板
80 真空成膜装置
84 蒸発源
86 基板保持具
110 放射線画像検出器
112 放射線画像検出器

Claims (11)

  1. カーボンから成る支持基板と、
    前記支持基板の一方の面上に形成されたシンチレータと、
    熱伝導率が前記支持基板よりも高く、前記支持基板の前記シンチレータが形成された面と反対側の面に積層された熱伝導部材と、
    前記シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と、
    を含む放射線検出パネル。
  2. 前記熱伝導部材は、熱伝導率が前記支持基板よりも高い金属から成る板状部材である請求項1記載の放射線検出パネル。
  3. 前記シンチレータは柱状結晶構造部を有している請求項1又は請求項2記載の放射線検出パネル。
  4. 前記熱伝導部材が積層された前記支持基板は、前記熱伝導部材が積層されていない支持基板にシンチレータが形成される場合よりも、前記支持基板自体の厚みが薄くされている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  5. 前記熱伝導部材は、前記支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿った端部が前記放射線検出パネルの筐体の外面に露出するように、前記支持基板の表面又は裏面と平行な方向に沿って延設されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  6. 前記熱伝導部材は、前記支持基板側と反対側の面の少なくとも一部が前記放射線検出パネルの筐体の外面に露出するように配置されている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  7. 前記熱伝導部材は、熱伝導率が前記支持基板よりも高い金属製の線材がメッシュ状に編み込まれて成るメッシュ部材である請求項1、請求項3〜請求項6の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  8. 前記熱伝導部材は、グラファイトから成る板状部材である請求項1、請求項3〜請求項6の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  9. 前記熱伝導部材は、熱伝導率が前記支持基板よりも高い金属製の粉体をカーボンに混入した材料から成る板状部材である請求項1、請求項3〜請求項6の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  10. 前記熱伝導率が前記支持基板よりも高い金属は銅又はアルミニウムである請求項2、請求項7、請求項9の何れか1項記載の放射線検出パネル。
  11. カーボンから成る支持基板の一方の面上に、熱伝導率が前記支持基板よりも高い熱伝導部材が積層された状態で、前記支持基板の熱伝導部材が積層された面と反対側の面に蒸着によってシンチレータを形成し、
    前記シンチレータを形成した前記支持基板及び前記支持基板に積層された前記熱伝導部材を、前記シンチレータから放出された光を電気信号へ変換する光検出部と共に単一の筐体内に収容して放射線検出パネルを製造する放射線検出パネルの製造方法。
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