JP2011252530A - 駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】油が封入されるケース3内に遊星歯車機構40が収納される構成の駆動装置1において、遊星歯車機構40に備えるキャリア44のがたつき音の発生を抑制または防止する。
【解決手段】キャリア44の第1環状板441は、その円周方向に遊びを持つ状態でケース3に回り止めされる。ケース3には、各ピニオンシャフト443の各油孔443aの端面開口にそれぞれ油を導入させるための油路3dが設けられている。ケース3の油路3dからピニオンシャフト443の油孔443aの端面開口に導入される油が、キャリア44をその円周方向一方に押すことにより、ケース3に対するキャリア44の円周方向の遊びを円周方向一方に詰める形態とされている。
【選択図】図7

Description

本発明は、油が封入されるケース内に遊星歯車機構が収納される構成の駆動装置に関する。
例えば特許文献1に示されているハイブリッド車両に搭載されるトランスアクスルは、2つのモータジェネレータ、動力分割機構、リダクション機構などを備えており、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンから入力される駆動力とモータジェネレータから出力される駆動力との一方または両方を駆動輪に出力するようになっている。
前記動力分割機構およびリダクション機構は、遊星歯車機構で構成されている。このトランスアクスルには、ケース内に封入される油を前記各機構に供給するためのオイルポンプを備えている。このオイルポンプは、エンジンから入力される駆動力を動力源として作動する。
例えば特許文献2に示されている電動パワーステアリング装置では、ウォーム軸の歯をウォームホイールの歯方向に波ワッシャにより弾性的に押し付け、ウォーム軸とウォームホイールとの噛合部の歯打ち音の発生を抑制することが記載されている。
特開2007−196908号公報 特開2010−7810号公報(段落0042)
上記特許文献1に係る従来例に示すようなハイブリッド車両用のトランスアクスルでは、次のような点で改良の余地がある。
走行中にエンジンの始動・停止が繰返し実行されるが、エンジンを円滑に始動させるようにしているものの、エンジントルクの変動、特にエンジンの初爆によるトルク変動が捩り振動としてクランクシャフトを介してトランスアクスルの動力分割機構やリダクション機構に伝達される。前記振動は、エンジンのクランクシャフトが連結されるトランスアクスルのインプットシャフトに設置しているダンパでもって減衰させるようになっているものの、遊星歯車機構からなるリダクション機構から「がたつき音」が発生する可能性がある。
上記特許文献2に係る従来例は、電動パワーステアリング装置のウォーム軸とウォームホイールとの噛合部で発生する歯打ち音の対策に関する発明であって、本発明とは前提となる構成が相違しているうえ、音の発生原因が相違している。つまり、この従来例は、本発明の従来例としてではなく、参考例として提示しているだけである。
このような事情に鑑み、本発明は、油が封入されるケース内に遊星歯車機構が収納される構成の駆動装置において、前記遊星歯車機構に備えるキャリアのがたつき音の発生を抑制または防止することを目的としている。
本発明は、油が封入されるケース内に収納される遊星歯車機構を備える駆動装置であって、前記遊星歯車機構は、サンギヤとリングギヤとの間に複数のピニオンギヤが配置されるとともに前記各ピニオンギヤがキャリアで回転自在に支持される構成とされ、前記キャリアは、前記複数のピニオンギヤそれぞれを回転自在に支持するピニオンシャフト個々の軸方向一端および他端を第1、第2環状板にそれぞれ固定する構成とされ、前記第1環状板は、その円周方向に遊びを持つ状態で前記ケースに回り止めされ、前記ピニオンシャフトの内部には、それの第1環状板寄りの端面と外周面とに開放される油孔が設けられ、前記ケースには、前記各ピニオンシャフトの各油孔の端面開口にそれぞれ当該ケース内に封入されている油を導入させるための油路が設けられ、前記少なくとも1つのピニオンシャフトの油孔は、その端面開口から当該ピニオンシャフトの長手方向に向けて延びかつ当該ピニオンシャフトの中心軸線に対して所定角度傾いた導入領域を有している、ことを特徴としている。
この構成では、ケースの油路から前記ピニオンシャフトの油孔の端面開口に導入される油が前記導入領域を流れてから、その奥で方向転換されてピニオンシャフトの油孔における外周面開口から径方向外向きに流出されるようになる。ここで、前記少なくとも1つのピニオンシャフトの油孔において傾いた導入領域を流れる油の運動エネルギーによって、前記キャリアがその円周方向一方に押されることになる。このように、ピニオンシャフトの油孔の導入領域を傾けることにより、前記ケースに対するキャリアの円周方向の遊びを円周方向一方に詰める形態を実現するようになっている。
このように、ケースの油路から少なくとも1つのピニオンシャフトの油孔に導入される油でもって、ケースに対するキャリアの円周方向の遊びを円周方向一方に詰めるようにしているから、キャリアが円周方向にがたつくことが抑制または防止されるようになる。これにより、遊星歯車機構やその周辺から「がたつき音」が発生することが抑制または防止されるようになる。
好ましくは、前記ケースには、当該ケース内の油を吸入して前記各ギヤの噛合部位に供給するためのオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される油を前記ケースの油路に直接的に導入するための中継路とを備える。
この構成では、オイルポンプから吐出される油が中継路からケースの油路を経てピニオンシャフトの油孔に導入されるようになる。つまり、ピニオンシャフトの油孔に導入される油がオイルポンプによる吐出圧力を受けているから、前記ケースに対するキャリアの円周方向の遊びを円周方向一方に詰めるための油の運動エネルギーが前記オイルポンプを用いていない場合に比べて増大することになる。そのため、キャリアが円周方向にがたつくことを抑制または防止するための効果が向上するようになる。
好ましくは、前記ケースは、前記キャリアの第1環状板がその円周方向に遊びを持つ状態で軸方向から嵌め入れられる陥没部を有し、この陥没部の底面には、開口が前記第1環状板で塞がれることによって前記ケースの油路となる油溝が設けられる。
この構成では、ケースの油路の具体例を特定している。このようにケースの油路を油溝で形成した場合、ケースの油路を孔とする場合に比べて比較的複雑に蛇行するようなパターンで形成することが容易になる。
好ましくは、前記ケース内には、要求に応じて車両の駆動力を発生して前記遊星歯車機構のサンギヤに入力するための電動機が設けられ、前記遊星歯車機構のリングギヤには、エンジンで発生するトルクが入力され、エンジンにより発生するトルクと電動機により発生するトルクとの少なくともいずれか一方を車両の駆動力として出力する構成とされ、前記キャリアの円周方向の遊びを詰める向きは、前記エンジントルクの入力の向きと同じにされる。
この構成では、前記遊星歯車機構のリングギヤにエンジントルクの変動が入力されても、前記遊星歯車機構のキャリアが円周方向にがたつくことが抑制または防止される。
本発明は、油が封入されるケース内に遊星歯車機構が収納される構成の駆動装置において、前記遊星歯車機構に備えるキャリアのがたつき音の発生を抑制または防止することが可能になる。
本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両用のトランスアクスルの概略構成を示すスケルトン図である。 図1のトランスアクスルの構成を詳細に示す断面図である。 図2の動力分割機構およびリダクション機構を拡大して示す図である。 図2のオイルポンプおよびその周辺を拡大して示す図である。 図3のリダクション機構のキャリアを分離した状態を示す斜視図である。 図3のリダクション機構のキャリアとトランスアクスルケースとを軸方向一方から見た状態を示す図である。 図6のトランスアクスルケースの陥没部にキャリアを取り付けた状態において、トランスアクスルケースの油溝とキャリアのピニオンシャフトの導入孔との位置関係を説明するための図である。 図3の(8)−(8)線断面の矢視図である。 図6の(9)−(9)線断面の矢視図である。 図7の(10)−(10)線断面の矢視図である。 本発明の他実施形態で、図9に対応する図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図10に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では、本発明に係る駆動装置として、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両用のトランスアクスルを例に挙げている。
このトランスアクスル1は、主に発電機として機能するモータジェネレータMG1、主に電動機として機能するモータジェネレータMG2、動力分割機構30、リダクション機構40、デファレンシャル50、オイルポンプ60などを備えている。
モータジェネレータMG1は、主に発電することによりモータジェネレータMG2に駆動用の電力を供給するとともにバッテリ(図示省略)を充電する他、発電量を制御することでロータ12の回転数を変化させ、トランスアクスル1の無段変速機としても機能するようになる。
モータジェネレータMG2は、主に電動機として機能することにより円滑な発進、加速をアシストするようにエンジンの補助動力源となる他、回生ブレーキ作動時には、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリに蓄電する。
モータジェネレータMG1,MG2は、ステータ11,21と、ロータ12,22とを備えている。ステータ11,21は、3相巻線が巻回されていて、トランスアクスルケース3に固定されている。ロータ12,22は、永久磁石からなり、トランスアクスルケース3に回転自在に支持されている。
詳しくは、モータジェネレータMG1のロータ12は、トランスアクスルケース3にラジアルベアリング(符号省略)を介して回転自在に支持されており、このロータ12の中心孔内には、エンジンのクランクシャフト(出力軸、図示省略)が連結されるインプットシャフト4がラジアルベアリング(符号省略)を介して相対回転自在に挿通されている。モータジェネレータMG2のロータ22は、トランスアクスルケース3にラジアルベアリング(符号省略)を介して回転自在に支持されており、このロータ22の中心孔内には、オイルポンプドライブシャフト5が相対回転自在に挿通されている。
動力分割機構30は、シングルピニオンギヤタイプの遊星歯車機構とされており、はすば外歯歯車からなるサンギヤ31、はすば内歯歯車からなるリングギヤ32、はすば外歯歯車からなる複数のピニオンギヤ33、キャリア34などを備えている。
サンギヤ31の外径側にリングギヤ32が同心状に配置されている。複数のピニオンギヤ33は、サンギヤ31とリングギヤ32との間にそれらに噛み合わされるように配置されている。キャリア34は、複数のピニオンギヤ33を自転可能に支持するとともにピニオンギヤ33の公転を通じて自転するようにサンギヤ31とリングギヤ32との径方向対向間に非接触状態で介装されている。
また、サンギヤ31は、モータジェネレータMG1のロータ12の内径側に例えばスプライン嵌合により一体回転可能に連結されており、インプットシャフト4の外径側に相対回転可能に配置されている。リングギヤ32は、トランスアクスルケース3にラジアルベアリング(符号省略)を介して回転自在に支持されており、その外周にはカウンタードライブギヤ45が一体に設けられている。キャリア34は、インプットシャフト4の内端外径側に一体回転可能に取り付けられている。
この動力分割機構30の動作としては、インプットシャフト4を通じて入力されるエンジンおよびモータジェネレータMG2の少なくとも一方から出力される駆動力を、カウンタードライブギヤ45、カウンタードリブンギヤ46、デファレンシャルドライブギヤ47、ファイナルリングギヤ51ならびにデファレンシャル50を介して駆動輪52,53に伝達する。
リダクション機構40は、シングルピニオンギヤタイプの遊星歯車機構とされており、はすば外歯歯車からなるサンギヤ41、はすば内歯歯車からなるリングギヤ42、はすば外歯歯車からなる複数のピニオンギヤ43、キャリア44などを備えている。
サンギヤ41の外径側にリングギヤ42が同心状に配置されている。複数のピニオンギヤ43は、サンギヤ41とリングギヤ42との間にそれらに噛み合わされるように配置されている。キャリア44は、複数のピニオンギヤ43を自転可能に支持するとともにピニオンギヤ43の公転を通じて自転するようにサンギヤ41とリングギヤ42との径方向対向間に非接触状態で介装されている。
また、サンギヤ41は、モータジェネレータMG2のロータ22の外径側に例えばスプライン嵌合により一体回転可能に連結されている。リングギヤ42は、動力分割機構30のリングギヤ32と横並びとなるように一体に連結されている。キャリア44は、トランスアクスルケース3に回り止めされた状態で取り付けられているとともに、インプットシャフト4の内端側にラジアルベアリング71を介して同軸上に横並びに配置されている。このラジアルベアリング71によってキャリア44の軸方向への動きが規制されているとともに、非回転のキャリア44がインプットシャフト4に直接接触してインプットシャフト4の回転抵抗となることを防ぐようになっている。
このリダクション機構40の動作としては、エンジンおよびモータジェネレータMG2の少なくとも一方から出力される駆動力を適宜の減速比で減速し、減速された動力をカウンタードライブギヤ45、カウンタードリブンギヤ46、デファレンシャルドライブギヤ47ならびにファイナルリングギヤ51およびデファレンシャル50を介して左右の駆動輪52,53に伝達する。
デファレンシャル50は、ツーピニオンタイプとされており、ファイナルリングギヤ51から入力される動力を必要に応じて左右の駆動輪52,53に分配して伝達するものである。なお、デファレンシャル50のファイナルリングギヤ51は、回転に伴いトランスアクスルケース3内の油をかき上げて、トランスアクスルケース3内の潤滑や冷却が必要な各部位(ギヤ噛み合い部分、すべり接触部分、ベアリングなど)に供給するようになっている。
オイルポンプ60は、トロコイド式ポンプとされており、図4に示すように、ドライブロータ61、ドリブンロータ62、オイルポンプカバー63などを備えている。このオイルポンプ60は、ギヤ式ポンプなどとすることも可能である。ドライブロータ61は、オイルポンプドライブシャフト5の外径側に一体回転可能に連結されている。ドリブンロータ62は、トランスアクスルケース3に不動に固定されている。オイルポンプドライブシャフト5は、インプットシャフト4の内端に同軸に例えばスプライン嵌合により一体回転可能に連結されている。
このオイルポンプ60の動作としては、エンジントルクがクランクシャフト(図示省略)およびコイルスプリング式ダンパ6を介してインプットシャフト4に伝達されると、インプットシャフト4と同期回転するオイルポンプドライブシャフト5がオイルポンプ60のドライブロータ61を回転駆動するので、オイルポンプ60がトランスアクスルケース3内に封入されている油を吸引して、オイルポンプドライブシャフト5およびインプットシャフト4の内部に設けられている軸方向孔5a,4aおよび径方向孔5b,4bを介して、径方向外向きに放出される。この放出された油は、例えば動力分割機構30およびリダクション機構40のサンギヤ31,41とピニオンギヤ33,43とリングギヤ32,42との噛み合い部分やすべり接触部分などに供給されて潤滑、冷却を行う。その他、トランスアクスルケース3内の潤滑や冷却が必要な各部位(すべり接触部分、ベアリングなど)に供給される。
ところで、ハイブリッド車両では、車両の走行状況(車速、アクセル開度、ブレーキ、シフトポジション等)に基づいて、予め定められたエンジン停止条件が満たされた場合に自動的にエンジンを停止するようになっている。
まず、発進時または低速走行時では、エンジンを停止して、バッテリからの電源供給を受けてモータジェネレータMG2を駆動して走行する(EV走行ともいう)。
また、通常走行時では、エンジンを駆動することでエンジンの出力の一部を駆動輪52,53に伝達するとともに、残りの一部を発電に利用し、モータジェネレータMG1で得られた電力でモータジェネレータMG2を駆動して走行する(通常HV走行ともいう)。この通常HV走行では、燃料消費率のよい高トルク域でエンジンが作動するように動力分割機構30における動力配分を調整し、エンジンの出力をアシストする。
さらに、全開加速走行または登坂走行などの高負荷走行時には、通常HV走行時の駆動方法に加えて、バッテリからの電源供給を受けてモータジェネレータMG2を駆動し、モータジェネレータMG2の出力トルクを増大させてエンジンの出力をアシストする(高負荷HV走行ともいう)。
通常HV走行中または高負荷HV走行中には、エンジンが作動した状態で車両が走行しているため、エンジンの出力によって作動するオイルポンプ60が稼動している。一方、EV走行中には、エンジンが停止した状態で車両が走行しているため、この間はオイルポンプ60を作動することができなくなる。そこで、オイルポンプ60の停止が一定時間経過すると、例えばエンジンを強制的に始動させてオイルポンプ60を作動させることがある。
次に、図5から図10を参照して、前記したリダクション機構40のキャリア44について詳しく説明する。
リダクション機構40の構成要素のうち、サンギヤ41、リングギヤ42ならびにピニオンギヤ43は回転自在とされているが、キャリア44のみがトランスアクスルケース3に対して回り止めされている。
このキャリア44は、図5に示すように、キャリアプレート441と、キャリアリテーナ442と、ピニオンギヤ43と同数のピニオンシャフト443とを組み合わせた構成になっている。キャリアリテーナ442は、環状板部442aの円周数ヶ所に軸方向に突出する仕切り凸部442bを設けた形状になっている。キャリアプレート441が請求項に記載の第1環状板に、また、キャリアリテーナ442の環状板部442aが請求項に記載の第2環状板にそれぞれ相当している。
そして、キャリア44をトランスアクスルケース3の隔壁3aに回り止めさせるために、図5に示すように、キャリアプレート441の外周面における所定角度領域には、複数(例えば4つ)の径方向外向きの突片441aが設けられている。また、トランスアクスルケース3の隔壁3aには、図6に示すように、キャリアプレート441を嵌め込むための陥没部3bが設けられている。
この陥没部3bには、キャリアプレート441の各突片441aが個別に嵌め合わされる複数(例えば4つ)の半円形係合部3c・・・を備えている。そして、図7に示すように、キャリアプレート441を隔壁3aの陥没部3bに嵌め込むと、各突片441aと各半円形係合部3cとの嵌め合いによってキャリアプレート441が隔壁3aに対して回り止めされるようになる。
ところで、隔壁3aの陥没部3bに対するキャリアプレート441の嵌め合い状態は、嵌め込み作業を無理なく円滑に行えるようにするために、ルーズフィット状態とされている。このルーズフィット状態とは、突片441aと半円形係合部3cとの嵌め合い部分においてキャリアプレート441の円周方向や径方向の隙間(遊びともいう)が存在するような状態(図7参照)のことである。
しかしながら、そのような嵌め合い隙間を設けていると、状況によってはキャリア44が円周方向前後にがたつく可能性がある。具体的に、例えばモータジェネレータMG2を非駆動としてエンジントルクのみで車両を駆動するような状況では、モータジェネレータMG2のロータ22からリダクション機構40のリングギヤ42に至るまでの動力伝達経路に存在する構成要素(41,43,44)に動力伝達方向に駆動力が作用していない「フローティング状態」になっているために、例えばエンジントルクの変動がインプットシャフト4に入力されることによって、トランスアクスルケース3の陥没部3a内でキャリア44が円周方向前後にがたつく可能性が高くなり、キャリア44がケース3に衝突して「がたつき音」を発生する可能性が高くなる。
なお、エンジンのクランクシャフトが連結されるインプットシャフト4には、コイルスプリング式のダンパ6が設けられているが、このダンパ6では前記エンジントルクの変動を完全に減衰できない場合がある。
この他、キャリア44の軸方向の動きを規制するために、キャリア44とインプットシャフト4の内端との間にラジアルベアリング71を設置しているものの、キャリア44とインプットシャフト4の内端との間には若干の軸方向遊びが存在している。なお、リダクション機構40において、ピニオンギヤ43にサンギヤ41との噛み合いにより発生するスラスト力とリングギヤ42との噛み合いにより発生するスラスト力とが理論上釣り合う関係より、キャリア44にはスラスト力が発生しない。これらのことから、モータジェネレータMG2のロータ22の回転方向が反転するような状況において、キャリア44が軸方向にがたつく可能性がある。
そこで、リダクション機構40のキャリア44が円周方向および軸方向にがたつくことを抑制または防止するようにしているので、以下において詳しく説明する。
要するに、この実施形態では、リダクション機構40のキャリア44のキャリアプレート441とトランスアクスルケース3の隔壁3aにおける陥没部3bとの嵌め合い隙間を、ピニオンシャフト443に供給される油でもって円周方向一方に詰めるようにしている。さらに、キャリア44とインプットシャフト4の内端との間に存在する若干の軸方向遊びを、ピニオンシャフト443に供給される油でもって軸方向一方に詰めるようにしている。
ピニオンシャフト443の軸方向一端がキャリアプレート441に設けられる板厚方向の貫通孔441bに嵌合固定され、また、ピニオンシャフト443の軸方向他端がキャリアリテーナ442の環状板部442aに設けられる板厚方向の貫通孔442cに嵌合固定されている。このピニオンシャフト443の外径側には、ピニオンギヤ43がラジアルベアリングとしてのすべり軸受444を介して回転自在に取り付けられている。
キャリアプレート441とピニオンギヤ43の軸方向一端面との間や、キャリアリテーナ442の環状板部442aとピニオンギヤ43の軸方向他端面との間には、それぞれスラストベアリングとしてのワッシャ445,446が介装されている(図3参照)。
前記のすべり軸受444とピニオンシャフト443との嵌め合い隙間や、ワッシャ445,446が存在する場所には、油が供給されるようになっている。この油供給経路について説明する。
まず、図5に示すように、ピニオンシャフト443には、その端面から外周面に向けて開放する油孔が設けられている。この油孔は、ピニオンシャフト443の軸方向一端面から軸方向途中までの領域に設けられる導入孔443aと、導入孔443aの奥から外周面に開放するように径方向に沿う領域に設けられる排油孔443bとで構成されている。
この実施形態では、図7に示す5つのピニオンシャフト443のうち、鉛直方向で最も下に配置されるピニオンシャフト443の導入孔443aについては、図10に示すように、その中心軸線102がピニオンシャフト443の中心軸線101に対して所定角度θ傾いた状態で設けられている。この導入孔443aの奥をキャリア44の円周方向の一方へ向けるように、キャリアプレート441やキャリアリテーナ442に対するピニオンシャフト443の組み込み形態が管理されている。
なお、図7において、キャリア44の中心を通る仮想鉛直方向直線(図示省略)の右側領域に位置する2つのピニオンシャフト443の各導入孔443aを前記真下のピニオンシャフト443と同様にピニオンシャフト443の中心軸線101に対して所定角度θ傾けるようにすることが好ましい。これら2つのピニオンシャフト443についても、前記真下のピニオンシャフト443と同様の組み込み形態とされる。
この場合、真下に位置する1つのピニオンシャフト443の導入孔443aと右側領域に位置する2つのピニオンシャフト443の導入孔443aとの傾きによって、それら計3つの導入孔443a個々に導入されるトータルの油の運動エネルギーがキャリア44を円周方向一方に押すようになる。
また、図6に示すように、トランスアクスルケース3の隔壁3aにおける陥没部3bの底面には、油溝3dが設けられている。この油溝3dは、隔壁3aの軸挿通孔3eの周りに適宜のパターンで設けられており、ピニオンシャフト443の導入孔443aの開口端に重ね合わされるようになっている。この油溝3dの開口は、キャリア44のキャリアプレート441で塞がれることにより、油路となる。さらに、図7および図9に示すように、隔壁3aには、その裏側から陥没部3b側へ油を流入させるための油導入孔3fが2つ設けられている。
次に、油の流れを説明する。デファレンシャル50のファイナルリングギヤ51の回転に伴いかき上げられる油が、図9に示すように、トランスアクスルケース3の隔壁3aの油導入孔3fに流入されてから油溝3dに導入されるようになっている。
この油溝3dに導入された油は、図7の矢印で示すように流れ落ちて、図8に示すように90度方向転換されてすべてのピニオンシャフト443の導入孔443aに導入され、さらに90度方向転換されて排油孔443bからすべり軸受444とピニオンシャフト443との嵌め合い部分(すべり接触部分)に流出されるようになる。この嵌め合い部分を潤滑、冷却した油は、軸方向両端からそれぞれ流出して、キャリアプレート441とピニオンギヤ43の軸方向一端面との間に介装されるワッシャ445およびキャリアリテーナ442とピニオンギヤ43の軸方向一端面との間に介装されるワッシャ446におけるすべり接触部位を潤滑、冷却する。
ところで、図10に示すように、油溝3dからの油が、5つのピニオンシャフト443のうち、真下および右側領域に配置される計3つのピニオンシャフト443の中心軸線101に対して斜めに傾けられた導入孔443aに導入されることに伴い、それらトータルの油の運動エネルギーによってキャリア44が円周方向一方(例えば図7、図10の白抜き矢印参照)に押されるとともに、軸方向一方(例えば図3において動力分割機構30側)に押されることになる。これにより、キャリア44が旋回力を受けるようになる。この旋回力は前記油が供給され続けるかぎり継続して発生する。なお、キャリア44が受ける旋回力の向きは、エンジンからインプットシャフト4に入力される前進トルクの向きと同方向とされる。このようにすれば、キャリア44が押される円周方向の向きとしては、前記前進トルクの伝達方向になる。
このように、キャリア44が円周方向一方へ押されることによって、キャリアプレート441の各突片441aとトランスアクスルケース3の陥没部3bにおける各半円形係合部3cとの円周方向の嵌め合い隙間(図7参照)が円周方向一方に詰められることになる。また、すべてのピニオンシャフト443の導入孔443aそれぞれの奥壁に衝突する油の運動エネルギーによって、キャリア44が軸方向一方へ押されることになるので、キャリア44の軸方向遊びが軸方向一方に詰められることになる。
そして、前記キャリア44が受ける旋回力の向きをエンジンからインプットシャフト4に入力される前進トルクの向きと同方向にしているから、モータジェネレータMG2を非駆動としてエンジントルクのみで車両を駆動している状況において、エンジントルクの変動がインプットシャフト4に入力されても、キャリア44が円周方向にがたついてトランスアクスルケース3に衝突することを抑制または防止できるようになる。つまり、エンジントルクが一時的に低下するときでもキャリア44の突片441aがトランスアクスルケース3の陥没部3bにおける各半円形係合部3cの円周方向一方に押し付けられた状態のまま保たれるようになるので、キャリア44が円周方向にがたつかずに済むのである。
この他、キャリア44の軸方向遊びが軸方向一方に詰められているので、モータジェネレータMG2のロータ22の回転方向が反転するような状況においても、キャリア44が軸方向にがたついてラジアルボールベアリング71に衝突することを抑制または防止できるようになる。
これらのことから、前記した各状況において、リダクション機構40やその周辺から「がたつき音」が発生することを抑制または防止できるようになるなど、静粛性に優れたトランスアクスル1を提供することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記実施形態では、FF方式の車両に搭載されるトランスアクスル1のリダクション機構40に本発明を適用した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図示していないがFR(フロントエンジン、リアドライブ)方式やその他の方式の車両に搭載される駆動装置に本発明を適用することが可能である。
(2)上記実施形態において、図11に示すように、オイルポンプ60から吐出される油を中継路65を介してトランスアクスルケース3の油導入孔3fに直接的に導入させる形態にすることが可能である。
この場合、中継路65から油導入孔3fおよび油溝3dを経てピニオンシャフト443の導入孔443aに導入される油が、オイルポンプ60による吐出圧力を受けているから、キャリア44を円周方向一方や軸方向一方へ押すための油の運動エネルギーが上記実施形態に比べて増大することになる。これにより、キャリア44が円周方向ならびに軸方向にがたつくことを抑制または防止するための効果が向上するようになる。
(3)上記実施形態では、複数(5つ)のピニオンシャフト443のうち、図7において鉛直方向の最も下に位置するピニオンシャフト443の導入孔443aと、図7においてキャリア44の中心を通る仮想鉛直方向直線(図示省略)の右側領域に位置する2つのピニオンシャフト443の各導入孔443aとを斜めに傾けた例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば複数(5つ)のピニオンシャフト443のうち、図7において鉛直方向の最も下に位置するピニオンシャフト443の導入孔443aと、図7においてキャリア44の中心を通る仮想鉛直方向直線(図示省略)の左側領域に位置する2つのピニオンシャフト443の各導入孔443aとを斜めに傾ける形態にすることが可能である。この場合には、各導入孔443aを傾ける向きを前記実施形態と反対に設定することにより、油溝3dを流れ落ちてくる油の運動エネルギーによってキャリア44が前記実施形態と逆向き(反時計方向)に押されるようになる。
(4)上記実施形態では、図6および図7に示すように、トランスアクスルケース3の隔壁3aに設ける油溝3dを、隔壁3aの軸挿通孔3eの中心を通る仮想鉛直方向直線(図示していない)の左右で対称となるパターンにした例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。この油溝3dのパターンについては、例えば左右非対称となるように設定することが可能である。
例えば油溝3dのパターンについては、油溝3dからすべてのピニオンシャフト443の導入孔443a個々にそれぞれ油を斜め向きに導入させるとともに、導入孔443a個々に導入される油の運動エネルギーそれぞれを同じ向きにさせるようなパターンにすることが好ましい。これにより、キャリア44を円周方向一方や軸方向一方に押す作用を可及的に増大させることが可能になる。
1 トランスアクスル
MG1 モータジェネレータ(主にジェネレータ)
MG2 モータジェネレータ(主にモータ)
3 トランスアクスルケース
3a 隔壁
3b 隔壁の陥没部
3c 陥没部の半円形係合部
3d 隔壁の油溝
4 インプットシャフト
5 オイルポンプドライブシャフト
30 動力分割機構
40 リダクション機構
41 リダクション機構のサンギヤ
42 リダクション機構のリングギヤ
43 リダクション機構のピニオンギヤ
44 リダクション機構のキャリア
441 キャリアプレート
442 キャリアリテーナ
443 ピニオンシャフト
443a ピニオンシャフトの導入孔
443b ピニオンシャフトの排油孔
50 デファレンシャル
51 ファイナルリングギヤ
60 オイルポンプ

Claims (4)

  1. 油が封入されるケース内に収納される遊星歯車機構を備える駆動装置であって、
    前記遊星歯車機構は、サンギヤとリングギヤとの間に複数のピニオンギヤが配置されるとともに前記各ピニオンギヤがキャリアで回転自在に支持される構成とされ、
    前記キャリアは、前記複数のピニオンギヤそれぞれを回転自在に支持するピニオンシャフト個々の軸方向一端および他端を第1、第2環状板にそれぞれ固定する構成とされ、前記第1環状板は、その円周方向に遊びを持つ状態で前記ケースに回り止めされ、
    前記ピニオンシャフトの内部には、それの第1環状板寄りの端面と外周面とに開放される油孔が設けられ、
    前記ケースには、前記各ピニオンシャフトの各油孔の端面開口にそれぞれ当該ケース内に封入されている油を導入させるための油路が設けられ、
    前記少なくとも1つのピニオンシャフトの油孔は、その端面開口から当該ピニオンシャフトの長手方向に向けて延びかつ当該ピニオンシャフトの中心軸線に対して所定角度傾いた導入領域を有している、ことを特徴とする駆動装置。
  2. 請求項1に記載の駆動装置において、
    前記ケースには、当該ケース内の油を吸入して前記各ギヤの噛合部位に供給するためのオイルポンプと、このオイルポンプから吐出される油を前記ケースの油路に直接的に導入するための中継路とを備える、ことを特徴とする駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動装置において、
    前記ケースは、前記キャリアの第1環状板がその円周方向に遊びを持つ状態で軸方向から嵌め入れられる陥没部を有し、
    この陥没部の底面には、開口が前記第1環状板で塞がれることによって前記ケースの油路となる油溝が設けられる、ことを特徴とする駆動装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の駆動装置において、
    前記ケース内には、要求に応じて車両の駆動力を発生して前記遊星歯車機構のサンギヤに入力するための電動機が設けられ、前記遊星歯車機構のリングギヤには、エンジンで発生するトルクが入力され、
    エンジンにより発生するトルクと電動機により発生するトルクとの少なくともいずれか一方を車両の駆動力として出力する構成とされ、
    前記キャリアの円周方向の遊びを詰める向きは、前記エンジントルクの入力の向きと同じにされる、ことを特徴とする駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107228183A (zh) * 2017-06-09 2017-10-03 苏州朗高电机有限公司 一种混动客车电机轴承润滑结构
DE102021207527A1 (de) 2021-07-15 2023-01-19 Zf Friedrichshafen Ag Getriebe für ein integrales Differential, integrales Differential sowie Antriebsstrang

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